以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
図1を参照して、本実施形態に係る蓄電装置1について説明する。図1は、蓄電装置1の側面図である。
蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、モジュール積層体2と、拘束部材4と、を備えている。モジュール積層体2は、積層された複数の蓄電モジュール3を含んでいる。拘束部材4は、モジュール積層体2に対して、積層方向(第1方向)の両側から拘束荷重を付加する。蓄電モジュール3は、積層方向から見て、例えば矩形状を有する。本明細書では、説明の便宜上、積層方向をZ軸方向とし、積層方向から見た蓄電モジュール3の長手方向をY軸方向とし、蓄電モジュール3の短手方向をX軸方向としている。なお、積層方向とは、蓄電モジュール3と一対の集電板5A,5B(後述)を積層する方向である。また、本明細書では、蓄電装置1の使用時における姿勢を基準として、「上」「下」の語を用いる。ここでは、Z軸方向の正側が上側に該当し、負側が下側に該当する。ただし、「上」「下」という語は、蓄電装置1の流通時などの姿勢まで限定するものではない。また、本実施形態に係る蓄電装置1は、上側の絶縁板20A及び下側の絶縁板20Bが同趣旨の構造を有しているため、絶縁板20Aを下側に配置してもよい。
モジュール積層体2は、複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では8つ)の集電板5と、を含む。蓄電モジュール3は、一例としてバイポーラ電池である。蓄電モジュール3は、例えばニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池等の二次電池である。ただし、蓄電装置1は、上記二次電池に限られず、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1は、ニッケル水素二次電池である。
複数の蓄電モジュール3は、集電板5を介して積層されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、集電板5を介して電気的に接続されている。本実施形態では、図3に示されるように、複数の(8つ)の集電板5は、Z軸方向における一端側の集電板5Aと、他端側の集電板5Bと、蓄電モジュール3間に介在する複数(6つ)の集電板5Cと、によって構成されている。集電板5Cは、Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間に設けられている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、集電板5Cは、互いに対向する電極積層体の電極露出部間に接触配置されている。
集電板5A,5Bは、複数の蓄電モジュール3のうち積層端に位置する蓄電モジュール3のZ軸方向の正側及び負側に設けられている。これにより、集電板5A,5Bは、積層方向であるZ軸方向において蓄電モジュール3を挟むように上下に積層される。図1に示されるように、一方の集電板5Aには、負極端子7が接続されている。他方の集電板5Bには、正極端子6(取出部)が接続されている。負極端子7及び正極端子6は、集電板5A,5Bの縁部からY軸方向に突出している。負極端子7及び正極端子6を介して、蓄電装置1の充放電が実施される。なお、負極端子7及び正極端子6は、蓄電装置1のY軸方向の負側の端部に設けられる。また、本実施形態では、負極端子7は、X軸方向の正側に寄った位置に設けられ、正極端子6は、X軸方向の負側に寄った位置に設けられる。
拘束部材4は、モジュール積層体2をZ軸方向の両側から上下に挟む一対の拘束板8(負極端子7側の拘束板8A及び正極端子6側の拘束板8B)と、一対の拘束板8を連結する複数の連結部材9と、を含む。一対の拘束板8は、蓄電モジュール3と集電板5A,5Bとを積層方向であるZ軸方向に拘束する。また、一対の拘束板8は、積層方向であるZ軸方向において蓄電モジュール3と集電板5A,5Bと絶縁板20A,20Bとを上下に挟むように積層される。連結部材9は、一対の拘束板8を介してZ軸方向にモジュール積層体2に拘束荷重を付加する。本実施形態では、連結部材9は、一対の拘束板8を締結するボルト9a及びナット9bによって構成されている。
拘束板8は、Z軸方向から見た蓄電モジュール3及び集電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8は、Z軸方向から見てモジュール積層体2と重なる本体部11と、本体部11からX軸方向に延在すると共にZ軸方向から見てモジュール積層体2と重ならない縁部10と、を有する。本実施形態では、一対の縁部10は、X軸方向における本体部11の両側に設けられている。すなわち、本体部11は、一対の縁部10に挟まれている。縁部10は、Z軸方向の外側(Z軸方向における蓄電モジュール3とは反対側)を向く外面10aと、Z軸方向の内側(Z軸方向における蓄電モジュール3側)を向く内面10bと、を有している。本体部11は、Z軸方向の外側を向く外面11aと、Z軸方向の内側を向く内面11bと、を有している。外面10aは、外面11aよりもZ軸方向の内側に位置している。内面10bは、内面11bよりもZ軸方向の内側に位置している。
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に延在する外縁部分である。一対の縁部10は、Z軸方向から見てモジュール積層体2と重ならないように配置されている。各縁部10には、ボルト9aが挿通される複数の挿通孔10cが設けられている。各縁部10において、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。
ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール3及び複数の集電板5が、拘束板8A,8Bによって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されている。また、Z軸方向の拘束荷重がモジュール積層体2に対して付加されている。
集電板5Aと拘束板8Aとの間には、絶縁板20Aが設けられる。また、集電板5Bと拘束板8Bとの間には、絶縁板20Bが設けられる。絶縁板20A,20Bは、集電板5A,5Bと拘束板8A,8Bとの間の絶縁性を確保するための部材である。
次に、図2を参照して、蓄電装置1のうち、Z軸方向における端部付近の構成について更に詳細に説明する。図2は、蓄電装置1のうち、Z軸方向の負側の端部付近の構成の展開斜視図である。なお、図2では、Z軸方向の負側(正極端子6側)に対応する端部付近の構成について説明するが、Z軸方向の正側(負極端子7側)に対応する端部付近も同趣旨の構成を有する。
図2に示すように、蓄電装置1は、Z軸方向の負側の端部付近において、Z軸方向の端部の蓄電モジュール3と、集電板5Bと、絶縁板20Bと、拘束板8Bと、を備える。蓄電モジュール3、集電板5B、絶縁板20B、及び拘束板8Bは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状の形状を有している。集電板5Bは、後述の液受部22を有する絶縁板20Bに接触する。
蓄電モジュール3は、電極板の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極と、セパレータとを複数枚積層することによって構成された積層体13(発電要素)によって構成される。また、積層体13の外周部には枠状のシール部材14(枠体)が設けられることで、当該シール部材14でシールされている。積層体13の内部には、電解液が封入される。なお、蓄電モジュール3はZ軸方向において両端に電流取出面13aを有する。電流取出面13aは、蓄電モジュール3から電流を取り出す面であり、シール部材14から積層体13の電極が露出することによって形成される。
集電板5Bは、蓄電モジュール3に対して設けられた平板状の平板部15と、上述の正極端子6と、を有する。平板部15は、蓄電モジュール3の電流取出面13aと接触する。平板部15は、Z軸方向から見たときに、全域が電流取出面13aと重なる形状・大きさに形成されている。正極端子6は、平板部15のY軸方向の負側の外縁部15aに形成される。正極端子6は、Z軸方向からみて、Y軸方向の正側に設けられた液受部22と、蓄電モジュール3を挟んだ反対側に設けられている。これにより、一対の集電板5A(図1参照)及び集電板5Bは、積層方向における両端側の電流取出面13aを挟むように設けられる。なお、本実施形態では、蓄電モジュール3が複数積層されている。従って、集電板5A(図1参照)はZ軸方向の正側の蓄電モジュール3のZ軸方向の正側の電流取出面13aと接触し、集電板5BはZ軸方向の負側の蓄電モジュール3のZ軸方向の負側の電流取出面13aと接触する。ただし、蓄電装置1は一つの蓄電モジュール3を有していてもよい。この場合、集電板5A,5Bは、一つの蓄電モジュール3の両側の電流取出面13aを挟むように設けられる。
絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間に設けられる、樹脂などの絶縁性の材料によって形成される部材である。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁性を確保するために設けられた部材である。絶縁板20Bは、蓄電モジュール3に対して積層方向における下側(すなわち、Z軸方向における負側)に配置される。絶縁板20Bは、Z軸方向から見て集電板5Bの平板部15の全域と重なるように配置される。これにより、集電板5Bと拘束板8Bとが対向する箇所には、絶縁板20Bが介在することで、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁性が確保される。なお、絶縁板20BのY軸方向の負側のカバー部24には、後述の端子台17を覆う端子台保護部16が形成される。絶縁板20Bの更に詳細な構成については後述する。
拘束板8Bは、上述の通り、平板状の本体部11と、ボルト挿通用の挿通孔10cが形成された一対の縁部10と、を備える。拘束板8BのY軸方向の負側の外縁部8aには、端子台17が設けられる。当該端子台17には、正極端子6及び図示されない配線などが接続される。
次に、図3~図8を参照して、絶縁体20の構成について、蓄電モジュール3、集電板5B、及び拘束板8Bとの位置関係を踏まえて、詳細に説明する。図3は、絶縁体20及び拘束板8Bの全体構成を示す展開斜視図である。図4は、集電板5B、絶縁板20B、及び拘束板8Bを組み立てた状態を示す斜視図である。図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。図6は、図4のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、図4のVII-VII線に沿った断面図である。図8は、図2のVIII―VIII線に沿った断面図である。
図3に示すように、絶縁板20Bは、本体部21と、液受部22と、側壁部23A,23Bと、カバー部24と、を備える。なお、以降の説明においては、蓄電モジュール3から排出される電解液の流れとの関係を考慮して、絶縁板20Bが蓄電モジュール3よりも鉛直方向における下側に配置されている姿勢を基準として説明を行う。すなわち、電解液は、Z軸方向の正側から負側へ向かって流れる。以降の説明では、Z軸方向の正側を「上」と称し、Z軸方向の負側を「下」と称する場合がある。なお、Z軸方向の正側に配置される拘束板8Aと集電板5Aとの間にも絶縁板20Bが設けられており、当該絶縁板20Bも図3等に示すZ軸方向の負側の絶縁板20Bと上下対称をなして同趣旨の構成を有している。従って、Z軸方向の正側を下側に向けた場合、蓄電モジュール3から排出される電解液は、Z軸方向の負側から正側へ流れるため、拘束板8A側の絶縁板20Bが当該電解液を受ける。
本体部21は、集電板5Bの平板部15と拘束板8の本体部11との間に配置される平板状の部分である。本体部21は、Y軸方向に長手方向を有する長方形状をなしている。本体部21は、Y軸方向の両端側にX軸方向に互いに平行をなす一対の短辺を構成する外縁部21a,21bを有する。外縁部21aは、Y軸方向の負側に配置され、外縁部21bは、Y軸方向の正側に配置される。本体部21は、X軸方向の両端側にY軸方向に互いに平行をなす一対の長辺を構成する外縁部21c,21dを有する。外縁部21cは、X軸方向の負側に配置され、外縁部21dは、X軸方向の正側に配置される。本体部21は、拘束板8Bの本体部11と略同一の形状及び大きさを有している。なお、本体部21は、拘束板8BよりもY軸方向の両側において僅かに長い(図6及び図8参照)。本体部21は、Z軸方向から見て、集電板5Bの平板部15の全域と重なるような形状及び大きさを有している。
液受部22は、本体部21のY軸方向の正側の外縁部21bに設けられ、蓄電モジュール3から排出される電解液を受ける部分である。図4に示すように、蓄電モジュール3のY軸方向の正側の側面3aには、積層体13とともに電解液を収容する収容空間に連通する圧力調整弁18が設けられる。圧力調整弁18は、蓄電モジュール3の内部の圧力に異常が生じた場合などに、所定の圧力に達した段階で優先的に内部の電解液を排出する弁である。すなわち、蓄電モジュール3の側面の中では、圧力調整弁18が設けられるY軸方向の正側の側面3aが、最も電解液が排出されやすい箇所に該当する。これに対し、絶縁板20Bは、圧力調整弁18に対応する位置である、Y軸方向の正側の外縁部21bに液受部22を有する。このように、液受部22は、積層方向であるZ軸方向からみて少なくとも圧力調整弁18に対応する位置に配置され、蓄電モジュール3から排出される電解液をためる。これにより、液受部22は、圧力調整弁18から排出された電解液を速やかに受けることができる。なお、図では複数領域(合計四つの領域)に圧力調整弁18が形成されているが、一つの領域の中に、多段の排出口が設けられる。
図4~図6に示すように、液受部22は、下側、すなわちZ軸方向における負側(蓄電モジュール3とは反対側)へ窪んでいる。これにより、液受部22は、下側へ向かって凹をなして、電解液を受けることができる容器として機能する内部空間SP(図5参照)を形成する。当該内部空間SPは、上面側で開口しており、本体部21の外縁部21bに沿ってX軸方向に延びている。内部空間SPは、圧力調整弁18よりも下方に配置されている。内部空間SPは、全ての圧力調整弁18の下方に配置されるようにX軸方向に延びる。
具体的に、図4に示すように、液受部22には、Y軸方向に対向する一対の収容側壁部31,32と、電解液を受ける底面を構成する底壁部33と、を有する。液受部22は、底壁部33及び収容側壁部31,32によって凹状に構成される。当該凹状の構造により収容凹部35が形成される。液受部22には、当該液受部22にためられた電解液を蓄電装置1内の排液貯留部50(図1参照)へと排出する排液ノズル37が設けられる。図1に示すように、排液貯留部50は接続ライン51と接続されており、当該接続ライン51は排液ノズル37と接続される。排液貯留部50は、排出された電解液をためる排液トレイや排液タンクなどによって構成される。
図4に示すように、収容側壁部31は、本体部21の外縁部21bから下側へ延びる。収容側壁部32は、収容側壁部31からY軸方向の正側へ離間した位置にて、当該収容側壁部31と平行をなすように対向する。収容側壁部31,32は、Y軸方向から見て同形状をなしている。収容側壁部31,32は、Y軸方向から見て、拘束板8BのY軸方向の正側の外縁部8b(図3参照)と対応する形状を有しており、当該外縁部8bを覆うカバー部としても機能する。従って、収容側壁部31は、拘束板8Bの外縁部8bとY軸方向に近接した状態で対向している(図6参照)。収容側壁部31,32は、本体部21の外縁部21bのX軸方向における全長にわたって延びており、更に、拘束板8EのX軸方向の両側の縁部10も覆うように延びている。収容側壁部32の収容側壁部31からのY軸方向の離間距離は特に限定されず、蓄電モジュール3から排出される可能性のある電解液の量に応じて、適宜設定可能である。少なくとも、収容側壁部32は、圧力調整弁18よりもY軸方向の正側の位置に設けられる(図6参照)。
底壁部33は、収容側壁部31と収容側壁部32との間でY軸方向に延びると共に、本体部21の外縁部21aの全域と対応するようにX軸方向に延びる。図5に示すように、底壁部33は、傾斜部34A,34Bと、底部36と、を備える。底部36は、本体部21のX軸方向の中央位置に配置される。傾斜部34Aは、底部36のX軸方向の正側に配置される。傾斜部34Bは、底部36のX軸方向の負側に配置される。
傾斜部34A,34Bは、本体部21の平面方向(XY平面方向)に対して傾斜している。傾斜部34Aは、本体部21のX軸方向の正側の外縁部21dの位置から、X軸方向の負側へ向かうに従って下側へ向かうように傾斜して、底部36に接続される。傾斜部34Bは、本体部21のX軸方向の負側の外縁部21cの位置から、X軸方向の正側へ向かうに従って下側へ向かうように傾斜して、底部36に接続される。
底部36は、傾斜部34Aと傾斜部34Bとの間でXY平面方向と平行に広がる。底部36は、底壁部33のうち、Z軸方向において蓄電モジュール3から最も遠ざかる位置、すなわち最も低い位置に該当する。従って、内部空間SPに落下した電解液は、傾斜部34A,34Bの傾斜面で案内されて、底部36に集められる。このような底部36には、排液ノズル37が形成される。このように、底壁部33のZ軸方向における最も下側となる位置に、排液ノズル37が設けられる。排液ノズル37は、上下方向に延びる管状部材である。排液ノズル37は、底部36の位置で開口しており、当該底部36から下方へ延びている。
底壁部33の下面には、下方へ延びる複数のリブ39が設けられる。リブ39は、収容側壁部31と収容側壁部32との間でY軸方向に延びる。複数のリブ39は、X軸方向に所定の間隔で互いに離間するように配置される。このようなリブ39が設けられることで、液受部22の強度が向上する。また、複数のリブ39は、後述の絶縁距離を確保する上でも有利に作用する。
なお、液受部22は、X軸方向の両側に、拘束板8Bの縁部10に対応する形状を有する。具体的に、側壁部23A,23Bの上端からX軸方向における外側へ延びる上壁部41が設けられる。また、上壁部41のX軸方向の外側の端部から下方へ延びる側壁部42が形成される。なお、収容側壁部31,32は、これらの上壁部41及び側壁部42に対応する箇所にも延びている(図4も参照)。
本体部21と液受部22とは一体的に形成されている。ここで、本体部21と液受部22とが一体的に形成されている状態とは、本体部21と液受部22とが切れ目なく、構成材料が連続するように接続された状態である。具体的に、図6に示すように、本体部21の外縁部21bと収容側壁部31の上端部とは、図9に示すような切れ目(本体部221と液受部222との間の境界部)が存在することなく、構成材料が連続した状態で同一部材として接続されている。絶縁板20Bが樹脂材料で構成される場合、本体部21と液受部22を同一の金型で成形することによって、本体部21と液受部22とは一体的に形成される。あるいは、3Dプリンタなどで本体部21と液受部22とを同一工程で形成した場合、両者は一体的に形成される。あるいは、母材を切削などで加工して本体部21及び液受部22の形状を形成した場合、両者は一体的に形成される。
図3及び図4に示すように、側壁部23A,23Bは、液受部22以外の外縁部21d,21cの箇所において、上側(積層方向における蓄電モジュール3側)へ延びる。側壁部23A,23Bは、外縁部21d,21cの全長にわたってY軸方向に延びている。さらに、Y軸方向の正側の端部付近において、側壁部23A,23Bは、液受部22の収容側壁部32まで延びる。
図7を参照して、側壁部23Bについてより詳細に説明する。なお、側壁部23Aは側壁部23BとX軸方向に対称な形状を有する。側壁部23Bは、本体部21の外縁部21cから上方へ向かって略垂直に立ち上がる。側壁部23Bは、拘束板8Bの縁部10におけるX軸方向における内側の立ち上がり面10dと僅かな隙間を空けた状態で、X軸方向に対向するように設けられる。これにより、側壁部23Bは、X軸方向において、拘束板8Bの縁部10と、集電板5B及び蓄電モジュール3との間に介在するように配置される。側壁部23Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁距離を拘束板8Bの縁部10よりも高い位置まで延びている。なお、本実施形態では、側壁部23Bは、蓄電モジュール3よりも低い位置まで延びているが、どこまで延びるかは特に限定されない。
図2及び図3に示すように、カバー部24は、本体部21のY軸方向の負側の外縁部21aに設けられる。カバー部24は、当該外縁部21aから下方へ向かって延びる。カバー部24は、外縁部21aの全長にわたり、X軸方向に延びる。更に、カバー部24は、拘束板8Bの両側の縁部10を覆うように、外縁部21aよりも上方に立ち上がり、且つ、外縁部21aよりもX軸方向における外側に延びる部分を有する。図8に示すように、カバー部24は、拘束板8BのY軸方向の負側の外縁部8aと近接する位置にてY軸方向に対向している。カバー部24は、下方へむかって、拘束板8Bの下面と略同位置まで延びている。
側壁部23A,23B、及びカバー部24は、本体部21と一体的に形成されている。ただし、側壁部23A,23B、及びカバー部24については、本体部21と必ずしも一体的に形成されている必要はなく、本体部21と別部材のものを後から本体部21に取り付けてもよい。
次に、本実施形態に係る蓄電装置1の作用・効果について説明する。なお、以下の説明では、Z軸方向の負側の集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁板20Bについての作用・効果について説明するが、Z軸方向の正側の集電板5Aと拘束板8Aとの間の絶縁板20Bについても、同様の作用・効果が成り立つ。
蓄電装置1では、絶縁板20Bが、集電板5Bと拘束板8Bとの間に設けられる。絶縁板20Bは、積層方向から見て集電板5Bの平板部15と重なるように配置される。これにより、積層方向において、拘束板8Bと集電板5Bとが対向する箇所には、必ず絶縁板20Bが介在するような構成となる。従って、拘束板8Bと集電板5Bとの間の絶縁性が確保される。このような構成において、蓄電モジュール3に対して積層方向における下側に配置される絶縁板20Bは、積層方向であるZ軸方向からみて少なくとも圧力調整弁18に対応する位置に配置され、蓄電モジュール3から排出された電解液をためる液受部22を有する。従って、蓄電モジュール3において圧力調整弁18から電解液が排出された場合であっても、液受部22が、圧力調整弁18からの電解液(図6の電解液Lを参照)を受けることができる。また、絶縁板20Bが液受部22で排出された電解液を受けることで、集電板5Bと拘束板8Bとが電解液を介して短絡することを抑制できる。
これに対し、本実施形態においては、本体部21と液受部22とは一体的に形成されている。従って、平板部15と液受部22との間の境界部にて液が漏れることを抑制できる。以上より、装置外部への液漏れを抑制できる。なお、蓄電モジュール3の内部から電解液が漏れたとしても、本実施形態のように液受部22で受け、集めた電解液が意図せぬ箇所から漏れないようにしている状態は、装置外部への漏れを抑制した状態に該当する。
ここで、図9を参照して、比較例に係る絶縁板220について説明する。絶縁板220は、本体部221とは別部材として、液受部222を有している。液受部222は、嵌め込み構造などによって本体部221に取り付けられる。この場合、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁距離は、経路(破線で示す矢印の経路)に沿った距離となる。当該経路は、集電板5Bの外縁部から本体部221の上面に沿ってY軸方向の正側へ延びて、本体部221の外縁部221bを回り込んで、本体部221の下面に沿ってY軸方向の負側へ延びて、拘束板8Bに到達する。このように、絶縁距離は、本体部221のY軸方向の負側の外縁部221b付近の上面及び下面の距離にとどまるため、長い絶縁距離を確保することができない。
これに対し、絶縁板20Bは、比較例のように液受部222と本体部221とが別体となっている場合よりも、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁距離を長く確保することができる。具体的に、図6に示すように、絶縁距離を決める経路R1は、本体部21の上面から外縁部21bを折り返した後、液受部22の断面H字状の経路を描いてから、本体部21の下面から拘束板8Bに到達する。このように、絶縁距離は、液受部22の断面形状の分だけ、長くなる。以上より、拘束板8Bと集電板5Bとの間の絶縁性を確保できる。
液受部22は、底壁部33及び収容側壁部31,32を有し、底壁部33及び収容側壁部31,32によって凹状に構成されており、液受部22には、当該液受部22にためられた電解液を蓄電装置1内の排液貯留部50へと排出する排液ノズル37が設けられる。この場合、液受部22の収容凹部が、蓄電モジュール3から排出された電解液を受け取る容器として機能する。従って、液受部22が受けることのできる電解液の量を増加することができる。更に、排液ノズル37が、液受部22にたまった電解液があふれ出ないように、排液貯留部50に流すことができる。
蓄電モジュール3の端部には、圧力調整弁18が設けられ、絶縁板20Bは、少なくとも圧力調整弁18に対応する位置に液受部22を有する。この場合、絶縁板20Bは、漏れが発生し易い圧力調整弁18の近くに液受部22を配置することができる。従って、圧力調整弁18から液漏れが発生した場合に、液受部22は、速やかに電解液を受けることができる。
絶縁板20Bは、本体部21の外縁部のうち、液受部22以外の箇所(外縁部21c,21d)において、積層方向における上側(一方側)へ延びる側壁部23A,23Bを有する。この場合、絶縁板20Bは、液受部22以外の箇所においても、側壁部23A,23Bによって絶縁距離を確保することができる。具体的に、図7に示すように、経路R2に示すように、側壁部23Bが立ち上がる分だけ、絶縁距離を延ばすことができる。更に、側壁部23A,23Bは、絶縁板20Bと拘束板8Bとの間の位置合わせ部材としても機能することができる。これにより、拘束板8Bの両側の縁部10に対して、側壁部23A,23Bを沿わせながら絶縁板20Bを嵌め合わせることで、容易に絶縁板20Bと拘束板8Bとの間の位置合わせを行うことができる。なお、Y軸方向の負側の端部においても、図8の経路R3に示すように、カバー部24の分だけ、絶縁距離が延びる。
底壁部33は、本体部21の平面方向であるXY平面方向に対して傾斜する傾斜部34A,34Bを備えており、底壁部33のZ軸方向における最も下側となる位置に、排液ノズル37が設けられる。この場合、液受部22は、受けた電解液を傾斜した傾斜部34A,34Bによって集めることができる。また、液受部22は、集めた電解液があふれ出ないように、排液ノズル37から排出することができる。
蓄電モジュール3は、Z軸方向において両端に電流取出面13aを有し、液受部22を有する絶縁板20Bに接触する集電板5Bは、蓄電モジュール3の電流取出面13aに電気的に接触する平板部15と、平板部15に接続され蓄電モジュール3からの電流を取り出す正極端子6と、を有しており、正極端子6は、Z軸方向からみて、液受部22と蓄電モジュール3を挟んだ反対側に設けられている。この場合、集電板5Bは、高出力で電流を取り出すことができる。また、正極端子6が、液受部22の反対側に配置されるため、正極端子6及び電解液を介して集電板5Bと拘束板8Bとが短絡することを抑制できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、液受部の形状は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本体部21と一体的に形成されており、蓄電モジュール3から漏れた電解液を受けることができれば、特に形状は限定されない。例えば、湾曲したような溝形状であってもよいし、単に、本体部21がそのままY軸方向の正側に延長されて、先端側で上方に立ち上がるように屈曲するような形状であってもよい。また、拘束板の形状も特に限定されるものではない。
また、絶縁板20Bから、側壁部23A,23B及びカバー部24の少なくともいずれかが省略されてもよい。
上述の実施形態において、絶縁板20Bは、本体部21の外縁部のうち、液受部22以外の箇所(外縁部21c,21d)において、積層方向における上側へ延びる側壁部23A,23Bを有していた。しかし、拘束板の形状によっては、絶縁板は、積層方向における下側へ延びる側壁部を有していてもよい。例えば、当該側壁部が、下側において拘束板の側面と対向するように配置されることで、絶縁板と拘束板との間の位置合わせが可能となり、絶縁距離を延ばすこともできる。なお、絶縁板は、上側及び下側の両方に延びる側壁部を有してもよい。