JP7429570B2 - スクリューロータの製造方法および設計方法 - Google Patents

スクリューロータの製造方法および設計方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 ▲1▼公開日 令和2年2月1日 ▲2▼集会名 第7回 産学人材支援プログラム「産と学生との集い-学生のための精密工学先端技術講演会」
本発明は、スクリューロータの製造方法および設計方法に関する。
スクリューロータおよびゲートロータを用いたコンプレッサは、スクリューロータの溝とゲートロータのブレードとが噛み合うことで圧縮室を形成し、互いに回転することによって圧縮室の容積を小さくすることで空気の圧縮を行う。スクリューロータとゲートロータとは互いに回転軸が直交しているため、スクリューロータの溝、特に溝側面は非常に複雑な形状を有している。例えば、ゲートロータの回転軸から溝側面までの距離と、スクリューロータの回転軸から溝側面までの距離とが、ゲートロータの回転量によって変わってくるため、スクリューロータの溝側面のリード角が場所によって異なる。
このような複雑な形状を有するスクリューロータを製造するために、一般的には、5軸のマシニングセンタが用いられる(例えば、特許文献1)。この技術によれば、スクリューロータの溝側面については、エンドミルの側面切削による粗加工を行った後、特殊形状のエンドミルを用いて仕上げ加工を行う。
国際公開第2017/057026号
特許文献1の技術によれば、エンドミルの側面切削のみでは複雑な溝側面の形状に加工することができず、目標とする溝側面の形状に対して大きな誤差部分が残ってしまう。したがって、その誤差部分を仕上げ加工によって除去している。しかしながら、この仕上げ加工は上記の側面切削に比べて多くの時間を要する。
本発明の目的の一つは、エンドミルの側面切削によってスクリューロータの溝側面を加工しつつも、目標とする溝側面の形状に対する誤差を少なくすることにある。
本発明の一実施形態によれば、ゲートロータとスクリューロータを用いたコンプレッサにおける前記スクリューロータの製造方法であって、エンドミルの側面切削によって前記スクリューロータの溝側面を加工することを含み、前記溝側面を加工するときの前記エンドミルの位置は、前記スクリューロータに対する基準加工位置に対して、前記エンドミルの基準位置を当該基準加工位置から離れる方向へ移動する第1補正、および移動後の前記基準位置を中心として前記エンドミルの軸を傾ける第2補正によって得られ、前記ゲートロータの回転軸に対応するA軸を中心とする前記エンドミルの回転角度と、前記スクリューロータの回転軸であるB軸の回転角度とが所定の回転比率を維持した状態で、前記基準加工位置が変更され、前記エンドミルの基準位置が、当該エンドミルの軸上に設定され、前記第2補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して変動する、スクリューロータの製造方法が提供される。
さらに前記第1補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して変動してもよい。
前記エンドミルは、軸方向の変化に対して切削部分の外径が一定になる領域を含んでもよい。
前記基準位置は、前記エンドミルが前記溝側面を加工する範囲の両端部以外で決められた位置の当該エンドミルの軸上に設定されてもよい。
前記エンドミルは、軸方向の変化に対して切削部分の外径が変化する領域を含んでもよい。
前記基準位置は、前記エンドミルの切削部分のうち前記溝側面を加工する範囲で最も外径が小さい位置の当該エンドミルの軸上に設定されてもよい。
前記A軸を中心とする前記エンドミルの回転角度が所定の範囲であるときに、前記エンドミルの軸が前記B軸に垂直に近くなるほど前記第1補正の補正量が小さくてもよい。
前記第2補正は、前記A軸に平行かつ前記基準位置を通過する軸を中心とした前記エンドミルの第1回転と、前記B軸に平行かつ前記基準位置を通過する第2軸を中心とした前記エンドミルの第2回転と、を組み合わせて前記エンドミルの軸を傾ける補正を含んでもよい。
前記A軸を中心とする前記エンドミルの回転角度が所定の範囲であるときに、前記エンドミルの軸が前記B軸に垂直に近くなるほど前記第1回転の補正量が大きくてもよい。
また、本発明の一実施形態によれば、ゲートロータとスクリューロータを用いたコンプレッサにおける前記スクリューロータの溝側面を側面切削によって加工するときのエンドミルの位置を、前記スクリューロータに対する基準加工位置に対して、前記エンドミルの軸上に設定された基準位置を当該基準加工位置から離れる方向へ移動する第1補正、および移動後の前記基準位置を中心として前記エンドミルの軸を傾ける第2補正を用いて決定するための設計方法であって、前記基準加工位置における前記溝側面の設計値と前記エンドミルによる加工後の推定値との誤差が小さくなるように前記第2補正の補正量を決定し、前記ゲートロータの回転軸に対応するA軸を中心とする前記エンドミルの回転角度と、前記スクリューロータの回転軸であるB軸の回転角度とが所定の回転比率を維持した状態で、前記基準加工位置を変更して前記第2補正の補正量を決定する、設計方法が提供される。
さらに前記第1補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して決定され、当該基準加工位置における前記溝側面の設計値と前記エンドミルによる加工後の推定値との誤差が小さくなるように決定されてもよい。
本発明によれば、エンドミルの側面切削によってスクリューロータの溝側面を加工しつつも、目標とする溝側面の形状に対する誤差を少なくすることができる。
本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの構造を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの動作を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるスクリューロータを側面から見た図である。 本発明の第1実施形態におけるゲートロータのブレードとスクリューロータとの関係を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるスクリューロータを製造するための加工装置を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるスクリューロータを製造するための加工装置を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの定義(ED1方向の切削)を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの定義(ED2方向の切削)を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの補正(オフセット補正、角度補正)を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(A軸補正)を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(B軸補正)を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの補正値を決定する方法を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(ED1方向の切削)の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。 本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(ED2方向の切削)の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。 本発明の第2実施形態における溝部の角部(切削前)を説明する図である。 本発明の第2実施形態における溝部の角部(切削後)を説明する図である。 本発明の第3実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態におけるスクリューロータの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなど付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
第1実施形態では、スクリューロータと2枚のゲートロータとを含むスクリューコンプレッサ(以下、単にコンプレッサという)において、スクリューロータの溝側面をエンドミルの側面切削により加工しつつも、溝側面の目標形状との誤差を少なくする製造方法について説明する。特に、この例では、使用されるエンドミルがラジアスエンドミルである。ラジアスエンドミルは、軸方向の変化に対して切削部分の外径が一定になる領域を含む構造を有する。
[コンプレッサの構成]
図1は、本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの構造を説明する図である。第1実施形態におけるコンプレッサ1は、スクリューロータ10および2枚のゲートロータ50を含む。スクリューロータ10は、複数(この例では6)の溝100を含み、軸部15の軸中心を回転軸SAとして回転する。ゲートロータ50は、複数(この例では11)のブレード53を含み、軸部55の軸中心を回転軸GAとして回転する。ブレード53は、溝100に噛み合っている。これによって、スクリューロータ10を覆うケースとブレード53と溝100との間で空気を閉じ込める空間が形成される。なお、スクリューロータ10が有する溝100の数と1つのゲートロータ50が有するブレード53の数との関係により、ゲートロータ50が1回転する時間は、スクリューロータ10が1回転する時間の11/6倍になる。
スクリューロータ10が回転すると、ブレード53が溝100に沿って移動することでゲートロータ50が回転する。2枚のゲートロータ50は、互いにスクリューロータ10の回転軸SAに対して対称に配置されている。なお、コンプレッサ1は、スクリューロータと2枚のゲートロータを用いた公知のコンプレッサと概ね同じであるため、その他の詳細の構造については説明を省略する。
図2は、本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの動作を説明する図である。図3は、本発明の第1実施形態におけるスクリューロータを側面から見た図である。図2は、スクリューロータ10の断面形状を示し、その断面は、スクリューロータの回転軸SAを含み、かつゲートロータ50の回転軸GAに垂直な面である。なお、軸部15については記載を省略している。
以降の図示において、スクリューロータ10とゲートロータ50との向きをわかりやすくするため、x方向、y方向およびz方向を規定した。x方向は、回転軸GAに沿った方向である。y方向は回転軸SAに沿った方向である。z方向は、回転軸GAと回転軸SAとのそれぞれに垂直な方向である。
図2に示す溝100の位置は、スクリューロータ10の特定の回転位置における例である。スクリューロータ10がBR方向に回転すると、ゲートロータ50がAR方向に回転する。ゲートロータ50のブレード53が移動することにより、溝100内の空気が徐々に圧縮され、吸気側(図2、3の上部側)から排気側(図2、3の下部側)に向けて送られる。
溝100の内面のうち、排気側の面を第1側面103、吸気側の面を第2側面105、第1側面103と第2側面105との間の面を底面101という。ゲートロータ50の回転によりブレード53が移動しつつも、ブレード53が溝100に噛み合った状態を維持するため、第1側面103および第2側面105(以下、単に溝側面という場合がある)は、非常に複雑な表面形状を有している。例えば、溝側面は、回転軸SAからの距離によってリード角αが異なり、捻れた表面形状を有している。
図4は、本発明の第1実施形態におけるゲートロータのブレードとスクリューロータとの関係を説明する図である。図4において、ブレード53は、その回転位置によってブレード53a、53b、53cとして示している。ブレード53aは、ブレード53がスクリューロータ10の溝100に噛み合い始める位置に対応する。ブレード53bは、ブレード53の向きが回転軸SAに対して垂直になり、最も深くまで溝100と噛み合っている状態の位置である。ブレード53cは、ブレード53がスクリューロータ10の溝100と噛み合った状態が解除される位置に対応する。
以下の説明において、回転角度θAはブレード53bの位置を基準としたAR方向への回転角度であり、回転角度θBはBR方向の回転角度を示す。距離GLは、回転軸GAからブレード53の端部までの距離に対応する。距離RRは、スクリューロータ10の径に対応し、回転軸SAからブレード53cの端部までの距離にも対応する。距離Rbは回転軸SAからブレード53bまでの距離に対応する。言い換えると、距離Rbは、回転軸SAから最も深い溝100の底面101までの距離に対応する。
ブレード53がAR方向に回転すると、ブレード53の端部と回転軸GAとの距離は、距離GLで一定である。一方、ブレード53の端部と回転軸SAとの距離は、ブレード53の位置によって異なる。したがって、ブレード53の特定の部分(例えば端部)と溝100が接する部分は、ゲートロータ50の回転速度が一定であり、スクリューロータ10の回転速度が一定であったとしても、回転軸SAからの距離によってスクリューロータ10の移動量は異なるから、ブレード53に対する溝100の表面の相対速度が変わる。すなわち、距離RRは距離Rbより大きいため、ブレード53bの位置の場合における溝100の相対速度よりも、ブレード53cにおける溝100の相対速度の方が大きくなる。これによって、ブレード53bの位置とブレード53cの位置とでは、底面101に隣接する部分の溝側面のリード角αが異なり、さらには、底面101に隣接する部分と底面101から離れた部分とでも、溝側面のリード角αが異なる。すなわち、ブレード53の位置が同じであっても、溝深さによってリード角αが異なる。
このように溝100は複雑な形状を有することになるが、スクリューロータ10の大きさ、ブレード53形状、および、ゲートロータ50が1回転する時間とスクリューロータ10が1回転する時間との比による回転角度θAと回転角度θBとの関係等から、理想的な溝100の形状(以下、理想形状という)を空間内の座標として演算することができる。
従来におけるエンドミルの側面切削では、複雑な表面形状を有する第1側面103と第2側面105とを形成することは困難であり、粗加工に用いることはできても、理想形状との誤差が大きすぎるために仕上げ加工が必須であった。一方、本発明者は、以下に説明する方法によりエンドミルの加工位置を制御することによって、側面切削においても理想形状との誤差を低減することができることを見出した。以下、その方法について説明する。
[加工装置]
スクリューロータ10における溝100の加工装置について説明する。この加工装置は、その構造自体は公知の5軸のマシニングセンタと同じであり、その制御方法に大きな違いがあるため、加工装置の構造については簡単に説明する。
図5および図6は、本発明の第1実施形態におけるスクリューロータを製造するための5軸のマシニングセンタを説明する図である。図5は装置を側面から見た場合の例を示し、図6は装置を上面から見た場合の例を示している。図6においては、エンドミルを支持する部分については図示を省略している。
加工装置500は、ワーク支持ステージ510、エンドミル支持ステージ530、エンドミル回転部535、回転軸支持部550および回転軸555を含む。ワークであるスクリューロータ10(説明を簡易にするため、溝100が加工される前または加工の途中であるワークの状態であっても単にスクリューロータ10という)は、軸部15が配置されている部分に回転軸555が通されている。回転軸555は、回転軸支持部550に支持されている。回転軸支持部550およびワーク支持ステージ510によって、ワークをA軸およびB軸を回転軸として回転させ、エンドミル支持ステージ530によってエンドミル300をX軸およびY軸に沿って移動させる。Y軸とB軸とはA軸による回転位置が所定の位置であるときに同じ軸であり、Y軸はスクリューロータ10の回転軸SAと一致するようにして、スクリューロータ10となるワークが加工装置500に設置される。X軸とA軸とはB軸による回転位置が所定の位置であるときに同じ軸であり、X軸はY軸と垂直な方向(図示の例では鉛直方向)に対応する。
エンドミル回転部535は、エンドミル300を支持して回転させる。エンドミル支持ステージ530はエンドミル回転部535を支持し、エンドミル300をZ軸に沿って移動させる。Z軸は、エンドミル300の軸方向に対応する。このように加工装置500は、エンドミル300で加工する際に、ワークをA軸およびB軸において回転させ、エンドミル300をX軸、Y軸およびZ軸に沿って移動させることが可能である。すなわち、加工装置500は、5軸のマシニングセンタである。
加工装置500は、さらに、各構成の動作を制御するための制御装置580を含む。制御装置580は、CPU、RAMおよびROMなどを含む制御部581と、制御プログラム591および設計プログラム593を記憶する記憶部583とを含む。制御部581は、制御プログラム591を実行することによって、予め設定された設計値(加工位置、加工条件等)でエンドミル300を用いたワークの加工を行うように、加工装置500の各構成の動作を制御する。制御部581は、設計プログラム593を実行することによって、予め設定された条件に基づいて設計値を算出する。
このような加工装置500を用いたエンドミル300の側面切削によって、スクリューロータ10の溝側面を加工する。続いて、設計プログラム593によって設計値を算出するための方法、すなわち、理想形状との誤差を小さくするためのエンドミル300の加工位置を設計する方法について説明する。
[設計方法]
まず、設計においては、スクリューロータ10における溝100の理想形状を決定する。この理想形状は、図4において説明したような構造を元にしてリード角αの算出などの過程を経て3次元座標で算出される。続いて、溝100の理想形状に基づいて、エンドミル300の軸の位置を設定する。軸の位置の設定においては、軸上の座標の2点を特定する。この2点は、基準位置P0と調整位置P1とする。以下の説明では、基準位置P0から調整位置P1へのベクトルをツールベクトルという。
[基準位置P0および調整位置P1の決定方法]
図7は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの定義(ED1方向の切削)を説明する図である。ED1方向の切削とは、この例では右刃エンドミルによるダウンカットによって第1側面103を排気側から吸気側に向けて切削することを示す。図7は、図4に示すゲートロータ50の回転軸GAからスクリューロータ10を見たときの溝100のうち、溝深さの1/2の位置における第1側面103および第2側面105を示している。位置GCは、ブレード53の厚さ方向の中心位置に対応する。このときのブレード53の位置は、図4に示すブレード53bの位置に対応する。位置CLは、第1側面103および第2側面105に対してブレード53が接触する位置(コンタクトライン)に対応する。距離Gt位置GCと位置CLとの距離に対応する。幅Wはブレード53の幅に対応する。位置GCのうち、第1側面103と第2側面105との中心にあたる位置が、回転軸GAの位置に対応する。
先に説明したリード角αは、y方向と溝側面(第1側面103または第2側面105)とのなす角に対応する。リード角αは、溝100の底面101に近いほど小さく、吸気側および排気側に近づくほど小さくなる。
エンドミル300の位置は、図7に示す位置すなわち溝100の深さの半分に対応する位置において、その切削部分の外径(以下、単に外径という)が位置CLにおいて第1側面103で接触するように決められている。したがって、エンドミル300の中心軸350は、位置CLにおける第1側面103から、その面の垂直方向(法線方向)にエンドミル300の半径dだけ移動させた位置になる。中心軸350の位置を位置CLにおける第1側面103の位置からx方向にdx、y方向にdyの位置として定義する。この定義によれば、tan(α)=dy/dxとなる。
上述した基準位置P0は、このように決められた中心軸350の位置として定義する。一方、調整位置P1は、基準位置P0をz方向に沿ってスクリューロータ10の外側面まで移動させた位置に対応する。基準位置P0をz方向に沿って移動させ、エンドミル30の側面切削が可能な先端部分を先端位置P2とする。このように基準位置P0、調整位置P1および先端位置P2を規定しているため、これらはいずれも中心軸350上に位置することになる。なお、半径d=0と仮定した場合には、中心軸350の位置は第1側面103の表面上の位置と一致するため、基準位置P0、調整位置P1および先端位置P2はいずれも第1側面103の表面に位置する。
図8は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの定義(ED2方向の切削)を説明する図である。ED2方向の切削とは、この例では右刃エンドミルによるダウンカットによって第2側面105を吸気側から排気側に向けて切削することを示す。図8に示す各構成の位置関係については、図7と同様に決定できるため、説明を省略する。
[ツールベクトルの補正方法]
上述したように、図7および図8で示したエンドミル300の半径d=0と仮定した場合には、中心軸350の位置は第1側面103の表面上の位置と一致する。この状態で、回転軸GAに相当する位置を中心にして中心軸350を回転させ、回転軸SAを中心にしてスクリューロータ10を回転させる。このとき、上述したように、ゲートロータ50が1回転する時間が、スクリューロータ10が1回転する時間の11/6倍になるような回転比率で、それぞれの回転を制御する。このように移動させた中心軸350の位置からスクリューロータ10における第1側面103の理想形状の座標を特定することもできる。このようにして特定した座標をマッピング座標という。
ここで、基準加工位置について定義する。基準加工位置は、図7に示すように決定されたエンドミル300において第1側面103と接触する位置に対応する。エンドミル300の側面切削の加工時におけるエンドミル300(詳細には中心軸350に対応するツールベクトル)のA軸は、この回転軸GAに対応する。加工時において、エンドミル300が回転軸GAでの回転によってスクリューロータ10に対して位置関係を変化させることを、以下の説明においては単に「A軸回転」といい、上述したAR方向を正方向とする。加工時において、スクリューロータ10が回転軸SAでの回転によってエンドミル300に対して位置関係を変化させることを、以下の説明においては単に「B軸回転」といい、上述したBR方向を正方向とする。A軸回転にともなって、上述した回転比率となるように回転軸SAを中心としてスクリューロータ10を回転させることで、スクリューロータ10に対する基準加工位置は、A軸回転およびB軸回転における様々な回転角度に対応して決まることになる。
上述したように、この例では、ゲートロータ50が1回転する時間は、スクリューロータ10が1回転する時間の11/6倍になる。したがって、A軸回転角度に対するB軸回転角度が11/6となるように回転比率が維持された状態で、図7に示すエンドミル300の位置を変化させることによって、基準加工位置が様々なA軸回転角度に対応して決められる。
エンドミル300を制御してA軸回転およびB軸回転によって基準加工位置において溝側面を加工すると、例えば、溝深さによってリード角αが異なることに起因して、基準位置P0以外では理想形状とは誤差が大きくなり、公差に収まるような溝側面を加工することができない。一方、以下に説明するようにツールベクトルの位置を補正しながらエンドミル300を制御することによって、誤差を小さくすることができる。以下、その補正方法について詳述する。
図9は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの補正(オフセット補正、角度補正)を説明する図である。図9は、第1側面103等の理想形状とエンドミル300の加工位置との関係を想定して示したものである。図9においては、第1側面103のほか、溝100を構成する底面101、角部102、角部104および第2側面105についても示している。なお、角部102は、底面101と第1側面103との間をつなぐ部分である。角部104は、底面101と第2側面105との間をつなぐ部分である。角部102と角部104とは、いずれもR形状の表面を有している。
マッピング領域MAは、上述したマッピング座標に対応し、所定の角度範囲でA軸回転およびB軸回転をすることで一定範囲の領域に拡張したものである。したがって、図9に示すように、第1側面103の理想形状とマッピング領域MAとは一致する。ツールベクトルの補正は、オフセット補正(第1補正)および角度補正(第2補正)を含む。
オフセット補正は、基準位置P0を基準加工位置における第1側面103の法線方向かつ第1側面103から離れる方向に移動させる補正である。言い換えると、基準位置P0において、エンドミル300の半径dにオフセット量ddを加算して半径daになるように、中心軸350を移動させて、ツールベクトルを平行移動させる補正に対応する。角度補正は、上記のようにして移動した後の基準位置P0を固定しつつ調整位置P1を移動させることでツールベクトルの向きを変更する回転させる補正である。ツールベクトルのA軸の回転(第1回転)による補正量を「補正角度dA」といい、その補正を「A軸補正」という。また、ツールベクトルのB軸の回転(第2回転)による補正量を「補正角度dB」といい、その補正を「B軸補正」という。この2つの補正についてさらに詳細に説明する。なお、第2側面105に対する側面切削の場合は、第1側面103に対する側面切削の場合と同様な補正方法が適用できるため説明を省略する。
図10は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正を説明する図である。図10は、図7と同じ位置で第1側面103とエンドミル300との位置関係を示したものである。エンドミル300aは、図7に示したエンドミル300の位置であり、第1側面103と基準加工位置において接している。エンドミル300xは、半径にオフセット量ddを加算した場合を想定したエンドミル300を示している。半径にオフセット量ddを加算したため、基準位置P0は、オフセット量ddだけ第1側面103から離れる方向に移動する。エンドミル300bは、移動後の基準位置P0を中心軸350としたエンドミル300の位置を示している。
図11は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(A軸補正)を説明する図である。図11は、エンドミル300とスクリューロータ10とをA軸に沿って見た場合を示し、エンドミル300cの位置は、図10に示すエンドミル300bに対して、基準位置P0を固定して補正角度dAでA軸補正をした後のエンドミル300の位置を示している。言い換えると、A軸補正は、回転軸GAと平行かつ基準位置P0を通過する軸(第1軸)を中心としたエンドミル300の回転による補正に対応する。
図12は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(B軸補正)を説明する図である。図12は、エンドミル300とスクリューロータ10とをB軸に沿って見た場合を示し、エンドミル300dの位置は、図10に示すエンドミル300bに対して、基準位置P0を固定して補正角度dBでB軸補正をした後のエンドミル300の位置を示している。言い換えると、B軸補正は、回転軸SAと平行かつ基準位置P0を通過する軸(第2軸)を中心としたエンドミル300の回転による補正に対応する。
図13は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの補正値を決定する方法を説明する図である。オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBは、中心軸350とマッピング座標M(1)~M(n)(nは整数)との誤差が小さくなるように決められる。マッピング座標M(1)~M(n)は、第1側面103の理想形状103Mの位置に対応する。
エンドミル300の側面301(図13では切削部分の外径を示している)と先端面310との間にR面305が配置されている。図13に示す最大加工長Lcは、エンドミル300の側面切削において加工長が最も長くなるときを示し、調整位置P1と先端位置P2との距離に対応する。基準位置P0は先端位置P2からLc/2の距離に対応する。これは、エンドミル300が図7に示す位置にいる場合の加工長に対応する。このエンドミル300の位置は、A軸回転角度が0°、すなわち、B軸に対して垂直な方向に対応する。A軸回転角度は、この位置からエンドミル300が吸気側に近づくほどA軸回転角度が小さく(マイナス値)なり、排気側に近づくほどA軸回転角度が大きく(プラス値)なる。
なお、A軸回転角度の絶対値が大きい場合には、エンドミル300の側面切削部分が先端位置P2に寄っていき、加工長が短くなる。この場合であっても、基準位置P0、調整位置P1については、この例では、最大加工長Lcを基準とした位置で固定され、A軸回転角度によって加工長が短くなっても変更されない。すなわち、基準位置P0は、側面切削をする部分よりも外側に位置する場合もある。
まず、中心軸350と各マッピング座標M(1)~M(n)との距離は、それぞれ距離Lp(1)~Lp(n)という。一方、エンドミル300による加工後の第1側面103の座標推定値は、エンドミル300の中心軸350から半径dの距離に対応する。したがって、各マッピング座標と座標推定値との誤差は、その位置におけるマッピング座標との距離とエンドミル300の半径dとの差分(例えば、Lp(1)であれば「Lp(1)-d」として定義)にあたる。全体の誤差を算出するにあたって、この例では、まず、距離Lp(1)~Lp(n)に対応する差分のうち、最大値と最小値とを抽出する。そして、最大値と最小値のそれぞれの絶対値の合計を誤差と考えて、この誤差が最も小さくなるように、オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBが決められる。この補正量は、A軸回転(およびそれに対応して決まるB軸回転)における様々な回転角度に対応して決まる基準加工位置のそれぞれに対応して決められる。すなわち、基準加工位置を変更して誤差が最も小さくなるように、オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBが決定される。
例えばA軸回転に対して0.1°毎に基準加工位置が決められて、それに対する補正量が決められる。この例では、補正量は回転角度5°毎に決められる。加工精度に応じた回転角度(例えば0.1°毎)に対する補正量は、公知の補間法によって算出されるが、全ての回転角度に対して誤差から補正量を決めることで補間法による算出は用いられなくてもよい。
続いて、決定された補正量、すなわち、オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBについて説明する。なお、ここで説明する補正量は、溝100およびエンドミル300等が特定の形状を有している場合のものであって、例えば、エンドミル300の半径dを変更した場合には補正量は変わるが、以下に説明する傾向はあまり変わらない。
図14は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。上述したようにA軸回転角度が5°毎にオフセット量ddが決められ、FL1、FL2は、補間法によって算出された補間式に対応するものである。図14に示すように、第1側面103(ED1方向)の切削においても、第2側面105(ED2方向)の切削においても、ツールベクトルのA軸回転角度が0°(B軸に対して垂直な方向)近傍において、オフセット量ddが小さくなる傾向を有する。より詳細には、ED1方向においては、A軸回転角度が-10°から0°においてオフセット量ddが極小となり、ED2方向においては、A軸回転角度が0°から10°においてオフセット量ddが極小となる。ED1方向とED2方向とでは、第1側面103と第2側面105とは切削面が対面し、また切削方向が逆であることから、結果的には、いずれの方向であっても同じ傾向を示しているといえる。そして、ツールベクトルのA軸回転角度のうち、少なくとも、ツールベクトルのA軸回転角度が0°に近づくほどオフセット量ddが小さくなるような、回転角度範囲が存在するともいえる。
図15は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(ED1方向の切削)の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。図示した補正角度dAおよび補正角度dBは、上述したように補間法によって算出されたA軸回転角度0.1°毎のオフセット量ddとの組み合わせによって、誤差が最小になるように補正角度dAおよび補正角度dBが決められたものである。図15に示すように、ツールベクトルのA軸回転角度が0°(B軸に対して垂直な方向)近傍において、補正角度dAが大きくなる傾向を有する。より詳細には、A軸回転角度が-10°から0°において補正角度dAが極大となる。そして、ツールベクトルのA軸回転角度のうち、少なくとも、ツールベクトルのA軸回転角度が0°に近づくほど補正角度dAが大きくなるような、回転角度範囲が存在するともいえる。なお、補正角度dBについては大きな傾向はないが、A軸回転角度が大きくなるほど補正角度dBが減少する傾向にある。
図16は、本発明の第1実施形態におけるツールベクトルの角度補正(ED2方向の切削)の切削角度(A軸回転角度)依存性を説明する図である。図示した補正角度dAおよび補正角度dBは、上述したように補間法によって算出されたA軸回転角度0.1°毎のオフセット量ddとの組み合わせによって、誤差が最小になるように補正角度dAおよび補正角度dBが決められたものである。図16に示すように、ツールベクトルのA軸回転角度が0°(B軸に対して垂直な方向)近傍において、補正角度dAが大きくなる傾向を有する。より詳細には、A軸回転角度が0°から10°において補正角度dAが極大となる。そして、ツールベクトルのA軸回転角度のうち、少なくとも、ツールベクトルのA軸回転角度が0°に近づくほど補正角度dAが大きくなるような、回転角度範囲が存在するともいえる。なお、補正角度dBについては大きな傾向はないが、A軸回転角度が小さくなるほど補正角度dBが減少する傾向にある。
上述したように、ED1方向とED2方向とでは、第1側面103と第2側面105とは切削面が対面し、また切削方向が逆であることから、図15と図16とは同じ傾向を示しているといえる。
以上のように、オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBは、A軸回転(およびそれに対応して決まるB軸回転)における様々な回転角度によって決まる基準加工位置のそれぞれに対応して決められる。したがって、基準加工位置に対応して、オフセット量dd、補正角度dAおよび補正角度dBは、変動する。
以上説明したように、制御部581は、設計プログラム593を用いて、A軸回転における様々な回転角度に対応してツールベクトルの補正値を算出し、A軸回転角度に対応した補正値によってエンドミル300を基準加工位置から補正することで、溝100の溝側面を加工するときのスクリューロータ10とエンドミル300との位置関係を示すパラメータ、すなわちX軸、Y軸、Z軸、A軸、B軸のパラメータ設計値を算出する。
また、制御部581は、制御プログラム591を用いてエンドミル300を用いたワークの加工を行うときに、算出したパラメータ設計値を設定しておくことによって、基準加工位置から補正せずに加工した場合に比べて、理想形状との誤差を低減した溝100をスクリューロータ10に形成することができる。そして、誤差を低減した側面切削によって従来の仕上げ加工を行う必要がなくなるため、製造工程に要する時間が短縮され、また、溝表面の粗さ(算術平均粗さRa)を低減することもできる。なお、底面101については、エンドミル300の先端面310によって加工すればよい。また、角部102および角部104については、適宜、公知の手法で切削すればよいが、エンドミル300を用いて切削してもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態では、溝100の角部102および角部104を加工するときに、エンドミル300の先端近傍に形成されたR面305を用いる例について説明する。なお、角部102と角部104とは同様に加工できるため、角部104の加工については、その説明を省略する。
図17は、本発明の第2実施形態における溝部の角部(切削前)を説明する図である。図18は、本発明の第2実施形態における溝部の角部(切削後)を説明する図である。図17に示すように、第1側面103および底面101が形成された後において、角部102が滑らかな表面を有しない場合がある。図18に示すように、エンドミル300の側面301を第1側面103に接触させず、また、エンドミル300の先端面310を底面101に接触させない状態で、R面305を角部102に接触させることによって、角部102が滑らかな表面を有するように加工してもよい。底面101と第1側面103とのなす角が90°以上である場合、または、R面305の大きさに対して角部102の大きさが大きい場合に、R面305を用いた角部102の加工が可能である。
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態において用いたエンドミル300ではなく、エンドミル300Aを用いた場合について説明する。エンドミル300Aは、テーパーエンドミルであって、軸方向の変化に対して切削部分の外径が変化する領域を含む構造を有する。
図19は、本発明の第3実施形態におけるツールベクトルのオフセット補正を説明する図である。エンドミル300Aは、先端部分が細く(半径dが小さく)、溝100の理想形状との誤差を少なくできる部分である。そのため、この例では、基準位置P0をエンドミル300Aにおける切削部分の先端位置に設定する。また、この例では、オフセット量ddは、予め決められた値で固定され、A軸回転角度によって変更されない。したがって、ツールベクトル(中心軸350A)の補正角度dAおよび補正角度dBのみが、A軸回転角度によって変化する。
なお、第1実施形態と同様に、テーパーエンドミルであっても、オフセット量ddがA軸回転角度によって変化するようにしてもよい。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の一実施形態は、以下のように様々な形態に変形することもできる。また、上述した実施形態および以下に説明する変形例は、それぞれ互いに組み合わせて適用することもできる。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
(1)基準位置P0は、先端位置P2からLc/2の距離として決められているが、中心軸350上に配置されているのであればこの部分に限られず、溝側面を加工する範囲の両端部となる先端位置P2と調整位置P1と間のうち両端部以外のいずれかの位置で決められてもよいし、その範囲外の位置で決められてもよい。調整位置P1についても、中心軸350上の別の位置で決められてもよい。
(2)加工装置500は、5軸のマシニングセンタであれば、A軸、B軸、X軸、Y軸およびZ軸の組み合わせ以外の軸を制御する装置であってもよい。
(3)第1側面103の切削方向ED1は上述した方向とは逆方向であってもよく、第2側面105についてもその切削方向ED2は上述した方向とは逆方向であってもよい。また、切削はダウンカットでなくアップカットで行われてもよいし、右刃エンドミルを用いたものではなく左刃エンドミルを用いたものであってもよい。
1…コンプレッサ、10…スクリューロータ、15…軸部、50…ゲートロータ、55…軸部、53…ブレード、100…溝、101…底面、102…角部、103…第1側面、104…角部、105…第2側面、300…エンドミル、301…側面、305…R面、310…先端面、350…中心軸、500…加工装置、510…ワーク支持ステージ、530…エンドミル支持ステージ、535…エンドミル回転部、550…回転軸支持部、555…回転軸、580…制御装置、581…制御部、583…記憶部、591…制御プログラム、593…設計プログラム

Claims (11)

  1. ゲートロータとスクリューロータを用いたコンプレッサにおける前記スクリューロータの製造方法であって、
    エンドミルの側面切削によって前記スクリューロータの溝側面を加工することを含み、
    前記溝側面を加工するときの前記エンドミルの位置は、前記スクリューロータに対する基準加工位置に対して、前記エンドミルの基準位置を当該基準加工位置から前記溝側面の法線方向に離れる方向へ移動する第1補正、および移動後の前記基準位置を中心として前記エンドミルの軸を傾ける第2補正によって得られ、
    前記ゲートロータの回転軸に対応するA軸を中心とする前記エンドミルの回転角度と、前記スクリューロータの回転軸であるB軸の回転角度とが所定の回転比率を維持した状態で、前記基準加工位置が変更され、
    前記エンドミルの基準位置が、当該エンドミルの軸上に設定され、
    前記第2補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して変動する、スクリューロータの製造方法。
  2. さらに前記第1補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して変動する、請求項1に記載のスクリューロータの製造方法。
  3. 前記エンドミルは、軸方向の変化に対して切削部分の外径が一定になる領域を含む、請求項2に記載のスクリューロータの製造方法。
  4. 前記基準位置は、前記エンドミルが前記溝側面を加工する範囲の両端部以外で決められた位置の当該エンドミルの軸上に設定されている、請求項3に記載のスクリューロータの製造方法。
  5. 前記エンドミルは、軸方向の変化に対して切削部分の外径が変化する領域を含む、請求項1に記載のスクリューロータの製造方法。
  6. 前記基準位置は、前記エンドミルの切削部分のうち前記溝側面を加工する範囲で最も外径が小さい位置の当該エンドミルの軸上に設定されている、請求項5に記載のスクリューロータの製造方法。
  7. 前記A軸を中心とする前記エンドミルの回転角度が所定の範囲であるときに、前記エンドミルの軸が前記B軸に垂直に近くなるほど前記第1補正の補正量が小さくなる、請求項2に記載のスクリューロータの製造方法。
  8. 前記第2補正は、前記A軸に平行かつ前記基準位置を通過する第1軸を中心とした前記エンドミルの第1回転と、前記B軸に平行かつ前記基準位置を通過する第2軸を中心とした前記エンドミルの第2回転と、を組み合わせて前記エンドミルの軸を傾ける補正を含む、請求項1に記載のスクリューロータの製造方法。
  9. 前記A軸を中心とする前記エンドミルの回転角度が所定の範囲であるときに、前記エンドミルの軸が前記B軸に垂直に近くなるほど前記第1回転の補正量が大きくなる、請求項8に記載のスクリューロータの製造方法。
  10. ゲートロータとスクリューロータを用いたコンプレッサにおける前記スクリューロータの溝側面を側面切削によって加工するときのエンドミルの位置を、前記スクリューロータに対する基準加工位置に対して、前記エンドミルの軸上に設定された基準位置を当該基準加工位置から前記溝側面の法線方向に離れる方向へ移動する第1補正、および移動後の前記基準位置を中心として前記エンドミルの軸を傾ける第2補正を用いて決定するための設計方法であって、
    前記基準加工位置における前記溝側面の設計値と前記エンドミルによる加工後の推定値との誤差が小さくなるように前記第2補正の補正量を決定し、
    前記ゲートロータの回転軸に対応するA軸を中心とする前記エンドミルの回転角度と、前記スクリューロータの回転軸であるB軸の回転角度とが所定の回転比率を維持した状態で、前記基準加工位置を変更して前記第2補正の補正量を決定する、
    設計方法。
  11. さらに前記第1補正の補正量が、前記基準加工位置に対応して決定され、当該基準加工位置における前記溝側面の設計値と前記エンドミルによる加工後の推定値との誤差が小さくなるように決定される、請求項10に記載の設計方法。
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