以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本技術の実施の形態
2.変形例
<1.本技術の実施の形態>
従来からの無線LANシステムでは、例えば、隣接する2つの周波数チャネルで同時にデータを送る技術を採用したり、最大で8チャネル、周波数帯域幅160MHzまでを同時に利用可能なチャネルボンディング技術を採用したりして、通信速度の高速度化に対応しているのは先に述べた通りであるが、今後もより高速化の需要が高まることが予想されることから、さらに多くの周波数チャネルを利用した通信が実施されることが想定されている。
これらの無線LANシステムにおいて、従来からのマルチチャネル(複数の周波数チャネル)を利用した通信方法としては、プライマリチャネルにおいて所定のアクセス制御を実施して伝送路へアクセスが可能となった場合に、他のセカンダリチャネルが利用されていなければ、プライマリチャネルに加えて、セカンダリチャネルを併せて用いて通信を実施することができる構成になっていた。
例えば、下記の文献Aに開示されている構成によれば、アクセスポイント(AP)が複数の端末にマルチユーザ送信する場合に、各端末にあらかじめ割り当てたチャネル情報を、プライマリチャネルでRTS(Request to Send)フレーム(マルチユーザRTS)として送信し、各端末からのCTS(Clear to Send)フレームの受領をもって、データを送信する技術が開示されている。
文献A:国際公開第2016/143718号
また、従来の無線LANシステムにおけるアクセス制御方法として、キャリア検出による伝送路の利用状況を把握し、所定の時間にわたって伝送路が利用されていない場合に、送信を可能とする技術が広く利用されている。
さらに、受信側の通信装置での信号受信を確実に行うために、RTSフレームとCTSフレームをデータ伝送に先立って交換しておき、周囲の通信装置でネットワークアロケーションベクタ(NAV:Network Allocation Vector)を設定する、仮想的キャリア検出によるアクセス制御手順も定義されている。
しかしながら、複数の周波数チャネルを利用してデータを送信する場合、従来からの無線LANシステムが存在することから、20MHz帯域幅の周波数チャネルごとに利用状況を把握しなければならい、という問題がある。
特に、ネットワークアロケーションベクタ(NAV)の設定により、受信中の通信装置が自身の通信装置の近傍にある場合には、信号を検出していなくても送信することができないという問題があった。
従来からのネットワークアロケーションベクタ(NAV)の設定は、RTSフレームとCTSフレームの双方に記載されたDurationの持続時間にわたってネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されてしまう。そのため、RTSフレームを送信した通信装置は伝送路の利用を検出していなくとも、CTSフレームを送信する通信装置が信号を検出していたり、あるいは隣接するベーシックサービスセット(BSS:Basic Service Set)からの信号によってネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていたりすると、CTSフレームを返送(返信)することができず、データの送受信を行うことができないという問題があった。
さらに、送信元となる通信装置からRTSフレームが送信されることによって、周囲にネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていることから、データの送受信が行われないにもかかわらず、そのDurationの持続期間にわたって、他の通信装置も送信を行うことができない、という問題があった。
上述の文献Aに開示されているマルチユーザRTSで周波数チャネルを割り当てる構成では、データ送信チャネルはアクセスポイントによって、事前に各端末に割り当てられており、端末側でオーバーラップするベーシックサービスセット(BSS)の通信装置からのネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていなければ、マルチユーザRTSで、CTSフレームの応答を行うことができず、さらにはデータの送信も行うことができず、周波数チャネルを有効に活用することができない、という問題があった。
さらに、データの送信を終了した後に、ACK(Acknowledgement)フレームの返送(返信)を要求する場合において、オーバーラップして存在する他のネットワークの通信装置が受信している場合には、ACKフレームを送信することで、その受信と衝突してしまうという問題があった。
本技術では、上述した問題を解決して、複数の周波数チャネルの利用状況に応じて空きチャネルで通信を行うための通信方法(新方式)を提案する。
すなわち、本技術を適用した通信方法(新方式)において、データの送信側となる通信装置(例えば基地局)では、利用可能な周波数チャネルの中から選択した送信可能な周波数チャネルに関する情報(以下、チャネル情報という)、及びデータの送信に利用する周波数の帯域幅(周波数チャネル数)に関する情報(以下、帯域幅情報という)を含んだ要求信号(例えばMCH_RTSフレーム等の要求フレーム)を生成し、生成した要求信号を、受信側の通信装置(例えば端末局)に送信する。
一方で、データの受信側となる通信装置(例えば端末局)では、送信側の通信装置(例えば基地局)から送信されてくる要求信号(例えばMCH_RTSフレーム)を受信し、受信した要求信号に含まれるチャネル情報及び帯域幅情報に基づいて、送信可能な周波数チャネルの中から受信可能な周波数チャネルを選択し、選択した受信可能な周波数チャネルを利用して、応答信号(例えばCTSフレーム等の応答フレーム)を、送信側の通信装置(例えば基地局)に送信する。
そして、データの送信側となる通信装置(例えば基地局)では、受信側の通信装置(例えば端末局)から送信されてくる応答信号(例えばCTSフレーム)を受信し、受信側の通信装置(例えば端末局)で受信可能な周波数チャネルとして選択された周波数チャネルを利用して、データ(例えばデータフレーム)を、受信側の通信装置(例えば端末局)に送信する。
なお、ここでは、応答フレーム(応答信号)として、現状の方式で用いられるCTSフレームを送信することで、周囲に存在する通信装置に受信利用を通知し、その受信持続時間に相当するネットワークアロケーションベクタ(NAV)を設定させることにより、そのチャネルでデータ受信を確実に実施することが可能となる。
また、本技術を適用した通信方法(新方式)において、データの送信側となる通信装置(例えば基地局)では、第1の周波数チャネル(例えば周波数チャネルf3,f4)を利用して、データ(例えばデータフレーム)を、受信側の通信装置(例えば端末局)に送信する。一方で、データの受信側の通信装置(例えば端末局)では、第1の周波数チャネル(例えば周波数チャネルf3,f4)を利用して、送信側の通信装置(例えば基地局)から送信されてくるデータ(例えばデータフレーム)を受信する。
続いて、データの送信側となる通信装置(例えば基地局)では、データ(例えばデータフレーム)の正常な受信の確認(例えばACKフレーム)を要求するための信号であって、利用可能な周波数チャネルの中から選択した送信可能な周波数チャネル(例えば受信側の通信装置(例えば端末局)が確認信号(例えばACKフレーム)を送信可能な周波数チャネル)に関する情報(チャネル情報)を含む要求信号(例えばBARフレーム等の要求フレーム)を生成し、生成した要求信号(例えばBARフレーム)を、第2の周波数チャネル(例えば周波数チャネルf3,f4と異なる周波数チャネルf1)を利用して送信する。
一方で、データの受信側の通信装置(例えば端末局)では、第2の周波数チャネル(例えば周波数チャネルf1)を利用して、送信側の通信装置(例えば基地局)から送信されてくる要求信号(例えばBARフレーム)を受信し、データ(例えばデータフレーム)を正常に受信した場合には、受信した要求信号に含まれるチャネル情報に基づいて、送信可能な周波数チャネルの中から周波数チャネルを選択し、選択した周波数チャネルを利用して、確認信号(例えばACKフレーム)を、送信側の通信装置(例えば基地局)に送信する。
なお、ここでは、要求フレーム(要求信号)を、BAR(Block Ack Request)フレームとして、これに応答するフレームを、現状の方式で用いられるACKフレームとすることで、確実にACKフレームを返送することが可能となる。
以下、本技術を適用した通信方法(新方式)の詳細について説明する。
(無線ネットワークの構成の例)
図1は、無線ネットワークの構成の例を示した図である。
図1において、ベーシックサービスセットBSSの無線ネットワークとして、基地局AP10、端末局STA11、及び端末局STA12によって構成されている。さらに、これに隣接するオーバーラップしたベーシックサービスセットOBSSの無線ネットワークとして、基地局AP20、端末局STA21、及び端末局STA22によって構成されている。
図1においては、ベーシックサービスセットBSSの端末局STA12と、ベーシックサービスセットOBSSの端末局STA21とが、互いの信号を受信できる位置に存在しており(図中の点線の矢印A1)、これらの端末局STAによる信号の送信によって他方の端末局STAの受信に干渉を与えてしまうような構成となっている。
(現状のアクセス制御の例)
図2は、図1に示した無線ネットワークの構成を前提として場合における、現状の方式による無線ネットワークのアクセス制御の例を示した図である。
図2においては、ベーシックサービスセットBSSの基地局AP10と端末局STA12、ベーシックサービスセットOBSSの端末局STA21と基地局AP20との間で交換されるアクセス制御シーケンスを示しており、それぞれ隣接する端末局STAの電波が到達する構成となっている。
つまり、ここでは、同一の周波数チャネル上でのデータ伝送に先立ってRTSフレームとCTSフレームを交換して、データフレームによるデータ通信を実行し、その後にACKフレームを返送するシーケンスを示している。
具体的には、RTSフレームが、ベーシックサービスセットBSSの基地局AP10と、ベーシックサービスセットOBSSの基地局AP20からそれぞれ送信され(S1,S11)、このRTSフレームに対して、端末局STA12と端末局STA21がCTSフレームでそれぞれ応答している(S2,S12)。
そして、基地局AP10と端末局STA12、及び基地局AP20と端末局STA21との間でデータ通信がそれぞれ行われる(S3,S13)が、データ伝送時間に差がある場合に、ACKフレームを返送するタイミングが異なるため、端末局STA21のACKフレームの返送が、端末局STA12のデータ受信中に発生する(S14)。
これにより、信号の衝突(コリジョン)が発生し、端末局STA12では、基地局AP10からのデータを受信することができなくなる。
(本技術のアクセス制御の例)
図3は、図1に示した無線ネットワークの構成を前提として場合における、新方式による無線ネットワークのアクセス制御の例を示した図である。
図3においては、図2と同様に、ベーシックサービスセットBSSの基地局AP10と端末局STA12、ベーシックサービスセットOBSSの端末局STA21と基地局AP20との間で交換されるアクセス制御シーケンスを示しており、それぞれ隣接する端末局STAの電波が到達する構成となっている。
ここでは、MCH_RTSフレームが、同一の周波数チャネル(f1)上で、ベーシックサービスセットBSSの基地局AP10と、ベーシックサービスセットOBSSの基地局AP20からそれぞれ送信される(S21,S31)。
このMCH_RTSフレームを受信した端末局STA12と端末局STA21では、利用可能となっている周波数チャネルをそれぞれ選択してCTSフレームで応答する。このとき、端末局STA12は、周波数チャネル(f3)を利用してCTSフレームを返送する(S22)一方で、端末局STA21は、周波数チャネル(f2)を利用してCTSフレームを返送する(S32)。
これにより、基地局AP10と基地局AP20は、それぞれ異なる周波数チャネル(f3,f2)でCTSフレームを受信することになる。そして、基地局AP10は、周波数チャネル(f3)を利用してデータフレームの送信を実施する(S23)一方で、基地局AP20は、周波数チャネル(f2)を利用してデータフレームの送信を実施する(S33)。なお、ここでも、データ伝送時間に差があるものとする。
その後、端末局STA21から基地局AP20へのACKフレームの返送のタイミングが到来したときに、ここでは、異なる周波数チャネル(f3,f2)を利用していることから、端末局STA12の受信に影響を与えずに、ACKフレームを交換することができる。
つまり、基地局AP20から端末局STA21に、所定の周波数チャネル(f1)を利用してMCH_BARフレームを送信する(S34)。このとき、端末局STA21は、周波数チャネル(f3)のCTSフレームを検出しているため、それを除いた周波数チャネル(f2)を選択し、選択した周波数チャネル(f2)を利用してACKフレームを返送する(S35)。このとき、基地局AP10から端末局STA12に、データフレームが送信されている(S23)が、データフレームの送信には周波数チャネル(f3)を利用しているため、信号の衝突は発生しない。
このように、本技術による無線ネットワークのアクセス制御では、基地局APから送信される要求フレーム(例えば、MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム)に利用可能な周波数チャネルに関するチャネル情報を少なくとも記載して、端末局STAから送信される応答フレーム(例えば、CTSフレームやACKフレーム)を利用する周波数チャネルで返送することで、オーバーラップして存在するネットワークの他の端末局STAに干渉を与えないようにしている。
図3においては、その後、基地局AP10から端末局STA12に、所定の周波数チャネル(f1)を利用してMCH_BARフレームが送信され(S24)、端末局STA12では、周波数チャネル(f2)を除いた周波数チャネル(f3)が選択され、選択された周波数チャネル(f3)を利用してACKフレームが返送される(S25)。このとき、基地局AP20から端末局STA21に、データフレームが送信されている(S36)が、データフレームの送信には周波数チャネル(f2)を利用しているため、信号の衝突は発生しない。
(周波数チャネルの配置の例)
図4は、無線LANシステムで利用可能な周波数チャネルの配置の例を示した図である。
図4においては、例えば現在利用可能な周波数帯域である5GHz帯におけるチャネル配置を示している。図4のA、すなわち、最上段に示すように、中心周波数に応じて20MHz単位で低い周波数から、チャネル36,40,44,48,52,56,60,64が配置されている。さらに高い周波数では20MHz単位で、チャネル100,104,108,112,116,120,124,128,132,136,140,144までが配置されている。
なお、これらの利用可能な周波数チャネルについては、各国で法制度化されている利用可能な周波数帯域が異なっていることから、それぞれ範囲が異なる場合がある。
図4のB(2段目)は、40MHz単位で周波数チャネルを利用する場合の構成を示しており、中心周波数に応じて低い周波数では、チャネル38,46,54,62が配置され、高い周波数では、チャネル102,110,118,126,134,142が配置される。
図4のC(3段目)は、80MHz単位で周波数チャネルを利用する場合の構成を示しており、中心周波数に応じて低い周波数では、チャネル42,58が配置され、高い周波数では、チャネル106,122,138が配置される。
図4のD(4段目)は、160MHz単位で周波数チャネルを利用する場合の構成を示しており、中心周波数に応じて低い周波数では、チャネル50が配置され、高い周波数では、チャネル114が配置される。
また、図4のE(5段目)及び図4のF(6段目)には、さらに多くの周波数チャネルを束ねて利用する場合の構成を示しており、高い周波数の240MHzの全てのチャネルを利用するケースと、低い周波数と高い周波数にまたがって320MHzのチャネルを利用するケースをそれぞれ示している。
(本技術のアクセス制御手順の例)
図5は、新方式によるマルチチャネルのアクセス制御手順の例を示した図である。
図5においては、説明の便宜上、f1からf4までの4つの周波数チャネルを利用してマルチチャネルのアクセス制御を実施する手順を示しているが、周波数チャネルの数は一例であって、3つ以下又は5つ以上の周波数チャネルを用いてアクセス制御を実施してもよい。
図5のA、すなわち、図中の1段目は、基地局AP10の動作として、縦軸は周波数チャネル(f)を表し、横軸は時間(t)を表している。
図5のAにおいて、基地局AP10は、時刻t11に、その周囲で利用されていない周波数チャネルf1~f4を、自身の送信で利用可能であると判断した場合に、受信先(受信側)の端末局STA12に対して、チャネル情報及び帯域幅情報を含むMCH_RTSフレーム(図5のAの「MCH_RTS」)を、所定の周波数チャネルf1を利用して送信する。例えば、このMCH_RTSフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載され、帯域幅情報として2チャネル(例えば40MHz等)が記載されている。
さらに時刻t12に、基地局AP10は、要求フレームとしてのMCH_RTSフレームに対する応答フレーム(CTSフレーム)の受信を、自身の送信で利用可能であると判断した周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施して、この例では、周波数チャネルf3,f4で、受信先の端末局STA12からのCTSフレーム(図5のBの「CTS」に対応する図5のAの「Rx」)を受信する。これにより、時刻t13から時刻t14までの間において、基地局AP10は、周波数チャネルf3,f4を利用してデータフレーム(図5のAの「Data」)を端末局STA12に送信する。
また、時刻t15に、基地局AP10は、その周囲で利用されていない周波数チャネルf1~f4を、自身の送信で利用可能であると判断した場合に、データフレームの受信先であった端末局STA12に対し、チャネル情報を含むMCH_BARフレーム(図5のAの「MCH_BAR」)を、所定の周波数チャネルf1を利用して送信する。例えば、このMCH_BARフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載されている。
ただし、データフレームの送信時に利用される周波数チャネル(f3,f4)と、MCH_BARフレームの送信時に利用される周波数チャネル(f1)とは、異なる周波数チャネルとなっている。
そして、時刻t16に、基地局AP10は、要求フレームとしてのMCH_BARフレームに対する応答フレーム(ACKフレーム)の受信を、自身の送信で利用可能であると判断した周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施して、この例では、周波数チャネルf3で、受信先の端末局STA12からのACKフレーム(図5のBの「ACK」に対応する図5のAの「Rx」)を受信する。
図5のB(2段目)は、端末局STA12の動作として、縦軸は周波数チャネル(f)を表し、横軸は時間(t)を表している。なお、図5のB(2段目)の横軸は、図5のA(1段目)の横軸の時系列にも対応しており、図5のBの時刻t22乃至時刻t27は、図5のAの時刻t11乃至時刻t16にそれぞれ対応している。
図5のBにおいて、端末局STA12は、時刻t21に、周波数チャネルf2にてその周囲に存在する端末局STA21からのCTSフレーム(図5のCの「CTS」に対応する図5のBの「Rx」)を受信した場合、周波数チャネルf2に対し、その後のデータ受信の持続時間までのネットワークアロケーションベクタ(図5のBの「BUSY/NAV」)を設定する。
さらに時刻t22に、端末局STA12は、所定の周波数チャネルf1で、基地局AP10から自身宛となるMCH_RTSフレーム(図5のAの「MCH_RTS」に対応する図5のBの「Rx」)を受信する。例えば、このMCH_RTSフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載され、帯域幅情報として2チャネル(例えば40MHz等)が記載されている。
端末局STA12は、MCH_RTSフレームに含まれるチャネル情報に記載された周波数チャネルf1~f4のうち、周波数チャネルf2についてはネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていることから、周波数チャネルf2を除いた周波数チャネルf3,f4の2チャネル(例えば、20MHz×2 = 40MHz)を利用する周波数チャネルとして選択する。ここでは、単一のチャネルではなく、複数のチャネル(マルチチャネル)が選択されることで、例えば、データフレームの受信時間(送信時間)を短縮することができる。
そして、時刻t23に、端末局STA12は、選択した周波数チャネルf3,f4を利用して、CTSフレーム(図5のBの「CTS」)を基地局AP10に送信する。これにより、時刻t24から時刻t25までの間において、端末局STA12は、周波数チャネルf3,f4を利用して、基地局AP10からのデータフレーム(図5のAの「Data」に対応した図5のBの「Rx」)を受信する。
また、データフレームを受信した後の時刻t26に、端末局STA12は、基地局AP10が以前に利用可能と指定していた周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施しておき、この例では、所定の周波数チャネルf1で、基地局AP10からのMCH_BARフレーム(図5のAの「MCH_BAR」に対応した図5のBの「Rx」)を受信する。例えば、このMCH_BARフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載されている。
ここでも、周波数チャネルf2についてはネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていることから、あるいは端末局STA21からのACKフレームを受信しているタイミングでもあるので、端末局STA12は、周波数チャネルf1~f4のうち、周波数チャネルf2を除いた周波数チャネルf3を選択する。そして、時刻t27に、端末局STA12は、選択した周波数チャネルf3を利用して、ACKフレーム(図5のBの「ACK」)を基地局AP10に送信する。
図5のC(3段目)は、端末局STA21の動作として、縦軸は周波数チャネル(f)を表し、横軸は時間(t)を表している。なお、図5のC(3段目)の横軸は、図5のB(2段目)の横軸の時系列にも対応しており、図5のCの時刻t32は、図5のBの時刻t21と、図5のCの時刻t34は、図5のBの時刻t23とそれぞれ対応している。
図5のCにおいて、端末局STA21は、時刻t31に、所定の周波数チャネルf1で、基地局AP20から自身宛となるMCH_RTSフレーム(図5のDの「MCH_RTS」に対応した図5のCの「Rx」)を受信する。例えば、このMCH_RTSフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載され、帯域幅情報として1チャネル(例えば20MHz等)が記載されている。
ここで、端末局STA21は、MCH_RTSフレームに含まれるチャネル情報に記載された周波数チャネルf1~f4に、周囲に利用されている周波数チャネルがないことから、周波数チャネルf2の1チャネル(例えば20MHz)を選択する。
そして、時刻t32に、端末局STA21は、選択した周波数チャネルf2を利用して、CTSフレーム(図5のCの「CTS」)を基地局AP20に送信する。これにより、時刻t33から時刻t35までの間において、端末局STA21は、周波数チャネルf2を利用して、基地局AP20からのデータフレーム(図5のDの「Data」に対応した図5のCの「Rx」)を受信する。
ただし、ここでは、端末局STA21は、基地局AP20が利用可能と指定していた周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施しておき、この例では、時刻t34に、周波数チャネルf3,f4にてその周囲に存在する端末局STA12からのCTSフレーム(図5のBの「CTS」に対応した図5のCの「Rx」)を受信した場合、周波数チャネルf3,f4に対し、その後のデータ受信の持続時間までのネットワークアロケーションベクタ(図5のCの「BUSY/NAV」)を設定する。
そして、データフレームを受信した後の時刻t36に、基地局AP20が以前に利用可能と指定していた周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施しておき、この例では、所定の周波数チャネルf1で、基地局AP20からのMCH_BARフレーム(図5のDの「MCH_BAR」に対応した図5のCの「Rx」)を受信する。例えば、このMCH_BARフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載されている。
ここで、周波数チャネルf3,f4についてはネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていることから、端末局STA21は、周波数チャネルf1~f4のうち、周波数チャネルf3,f4を除いた周波数チャネルf2を選択する。そして、時刻t37に、端末局STA21は、選択した周波数チャネルf2を利用して、ACKフレーム(図5のCの「ACK」)を基地局AP20に送信する。
図5のD(4段目)は、基地局AP20の動作として、縦軸は周波数チャネル(f)を表し、横軸は時間(t)を表している。なお、図5のDの横軸は、図5のC(3段目)の横軸の時系列にも対応しており、図5のDの時刻t41乃至時刻t46は、図5のCの時刻t31乃至時刻t37(時刻t34は除く)にそれぞれ対応している。
図5のDにおいて、基地局AP20は、時刻t41に、その周囲で利用されていない周波数チャネルf1~f4を、自身の送信で利用可能であると判断した場合に、受信先(受信側)の端末局STA21に対して、チャネル情報及び帯域幅情報を含むMCH_RTSフレーム(図5のDの「MCH_RTS」)を、所定の周波数チャネルf1を利用して送信する。例えば、このMCH_RTSフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載され、帯域幅情報として1チャネル(例えば20MHz等)が記載されている。
さらに時刻t42に、基地局AP20は、MCH_RTSフレームに対するCTSフレームの受信を、自身の送信で利用可能であると判断した周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施して、この例では、周波数チャネルf2で、受信先の端末局STA21からのCTSフレーム(図5のCの「CTS」に対応した図5のDの「Rx」)を受信する。これにより、時刻t43から時刻t44までの間において、基地局AP20は、周波数チャネルf2を利用してデータフレーム(図5のDの「Data」)を端末局STA21に送信する。
また、時刻t45に、基地局AP20は、その周囲で利用されていない周波数チャネルf1~f4を、自身の送信で利用可能であると判断した場合に、データフレームの受信先であった端末局STA21に対し、チャネル情報を含むMCH_BARフレーム(図5のDの「MCH_BAR」)を、所定の周波数チャネルf1を利用して送信する。例えば、このMCH_BARフレームには、チャネル情報として周波数チャネルf1~f4が記載されている。
ただし、データフレームの送信時に利用される周波数チャネル(f2)と、MCH_BARフレームの送信時に利用される周波数チャネル(f1)とは、異なる周波数チャネルとなっている。
そして、時刻t46に、基地局AP20は、MCH_BARフレームに対するACKフレームの受信を、自身の送信で利用可能であると判断した周波数チャネルf1~f4にて受信の待ち受けを実施して、この例では、周波数チャネルf2で、受信先の端末局STA21からのACKフレーム(図5のCの「ACK」に対応した図5のDの「Rx」)を受信する。
以上のように、本技術によるマルチチャネルのアクセス制御では、基地局APから端末局STAに対してデータフレームを送信するに際して、チャネル情報及び帯域幅情報を含むMCH_RTSフレームを送信することで、複数の周波数チャネル(f1~f4等)の利用状況に応じた空きチャネル(f3とf4やf2等)を利用して、データフレームの送受信を行うことができる。また、基地局APが、端末局STAからのACKフレームを受領するに際して、チャネル情報を含むMCH_BARフレームを送信することで、複数の周波数チャネル(f1~f4等)の利用状況に応じた空きチャネル(f3やf2等)を利用して、ACKフレームの送受信を行うことができる。
(データフレームの構成の例)
図6は、データフレームの構成の例を示した図である。
図6に示したフレーム構成は、MPDU(MAC Protocol Data Unit)と称され、PHYレイヤのプリアンブル信号に続いて送信される。
図6において、データフレームは、Frame Control,Duration,Address1乃至Address4,Sequence Control,QoS Control,HT Control,Frame Body,FCSを含む。
Frame Controlには、フレーム制御情報やフレームの種類が記載される。Durationには、フレームの持続時間が記載される。Address1乃至Address4には、送信元や受信先を識別するアドレス情報が記載される。
Sequence Controlには、フレームのシーケンス制御を行うためのシーケンス番号情報が記載される。QoS Controlには、フレームのQoS制御のパラメータが記載される。HT Controlには、高スループットの制御のためのパラメータが記載される。
これらの情報が、MACヘッダとして、実際に送信されるデータに付加される。データフレームにおいては、MACヘッダに対して実際に送信されるデータ部分がFrame Bodyとして構成され、さらに末尾に誤り検出のためのFCS(Frame Check Sequence)が付加される。
(MCH_RTSフレームの構成の例)
図7は、本技術を適用したマルチチャネルRTSフレーム(MCH_RTSフレーム)の構成の例を示した図である。
図7において、MCH_RTSフレームは、Frame Control,Duration,Transmit Address,Receive Address,Available Channel Map,Requirement Bandwidth,FCSを含む。
すなわち、MCH_RTSフレームは、現状のRTSフレームに含まれる、伝送の持続時間が記載されるDuration,送信アドレスが記載されるTransmit Address(TA),受信アドレスが記載されるReceive Address(RA),フレームの末尾のFCSに加えて、新たにAvailable Channel Mapと、Requirement Bandwidth(のパラメータ)が追加されている。
Available Channel Mapには、利用可能な周波数チャネルの中から選択した送信可能な周波数チャネル、すなわち、送信側の通信装置(例えば基地局AP)がデータ(例えばデータフレーム)を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報が記載される。例えば、図8は、Available Channel Mapをビットマップ形式で表した場合の例を示している。
図8においては、32ビットのビットマップの各ビットを、0~31の数字で表している。ここでは、先頭のビット0を36チャネル、その次のビット1を40チャネル、・・・、末尾のビット31を160チャネルとして表現し、各ビットに対して利用可能な周波数チャネルが割り当てられる。例えば、Available Channel Mapでは、0~31のビットで表された利用可能な周波数チャネルのうち、送信可能な周波数チャネルに対応したビットを"1"とし、それ以外のビットを"0"とすることができる。
なお、ここでは、ビットマップ形式によって、チャネル情報を表現したが、このような形式に限定されるものではなく、チャネル情報としては、チャネル番号を指定可能な形式であれば、他の形式を採用するようにしてもよい。
Requirement Bandwidthには、データの送信に利用する周波数の帯域幅(周波数チャネル数)に関する帯域幅情報が記載される。例えば、図9は、Requirement Bandwidthとして、利用する周波数の帯域幅を、数値に対応付けて表した場合の例を示している。
図9においては、データの送信に利用する周波数の帯域幅に対して数値を対応付けることで、例えば、数値0は20MHzの帯域幅、数値1は40MHzの帯域幅、・・・ のように、数値が増えるとともに帯域幅も増加し、数値15では320MHzの帯域幅を利用する帯域幅(チャネル数)として指定することができる。なお、例えば、20MHz単位で周波数チャネルが割り当てられているのであれば、例えば、20MHzである帯域幅は、1であるチャネル数に相当し、また、例えば、40MHzである帯域幅は、2であるチャネル数に相当することになる。
(CTSフレームの構成の例)
図10は、CTSフレームの構成の例を示した図である。
図10において、CTSフレームは、Frame Control,Duration,Receive Address,FCSを含む。
すなわち、CTSフレームは、現状のCTSフレームと同様に、伝送の持続時間が記載されるDuration,受信アドレスが記載されるReceive Address(RA),フレームの末尾のFCSから構成される。このように、CTSフレームは、現状と同様の構成とすることで、現状方式の無線LANシステムとの互換性を保つことができる構成となっている。
(MCH_BARフレームの構成の例)
図11は、本技術を適用したマルチチャネルBARフレーム(MCH_BARフレーム)の構成の例を示した図である。
図11において、MCH_BARフレームは、Frame Control,Duration,Transmit Address,Receive Address,Available Channel Map,BA Control,BA Information,FCSを含む。
すなわち、MCH_BARフレームは、現状のBARフレームに含まれる、伝送の持続時間が記載されるDuration,送信アドレスが記載されるTransmit Address(TA),受信アドレスが記載されるReceive Address(RA),ブロックACKの制御情報が記載されるBA Control,必要となるブロックACKに関する情報が記載されるBA Information,フレームの末尾のFCSに加えて、新たにAvailable Channel Map(のパラメータ)が追加されている。
Available Channel Mapは、例えば、図8に示したビットマップ形式の情報などのように、利用可能な周波数チャネルの中から選択した送信可能な周波数チャネル、すなわち、受信側の通信装置(例えば端末局STA)が確認信号(例えばACKフレーム)を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報が記載される。換言すれば、チャネル情報は、送信側の通信装置(例えば基地局AP)が、要求信号(例えばMCH_BARフレーム)を送信可能な周波数チャネルであるとも言える。
なお、返送されるACKフレームの情報(ACK情報)は、データとは異なり短い情報(データ量の少ない情報)となるため、MCH_BARフレームでは、MCH_RTSフレームの構成と比べて、Requirement Bandwidthのパラメータを省くことができる。
(ブロックACKフレームの構成の例)
図12は、ブロックACKフレームの構成の例を示した図である。
図12において、ブロックACKフレームは、Frame Control,Duration,Transmit Address,Receive Address,BA Control,BA Information,FCSを含む。
すなわち、ブロックACKフレームは、現状のブロックACKフレームと同様に、伝送の持続時間が記載されるDuration,送信アドレスが記載されるTransmit Address(TA),受信アドレスが記載されるReceive Address(RA),ブロックACKの制御情報が記載されるBA Control,必要となるブロックACKに関する情報が記載されるBA Information,フレームの末尾のFCSから構成される。このように、ブロックACKフレームは、現状と同様の構成とすることで、現状方式の無線LANシステムとの互換性を保つことができる構成となっている。
(通信装置の構成の例)
図13は、本技術を適用した通信装置(無線通信装置)の構成の例を示したブロック図である。図13に示した通信装置10は、無線ネットワーク(図1)における基地局AP又は端末局STAとして構成される。
図13において、通信装置10は、インターネット接続モジュール11、情報入力モジュール12、機器制御部13、情報出力モジュール14、及び無線通信モジュール15を含んで構成される。
インターネット接続モジュール11は、例えば、基地局APとして光ファイバ網やその他の通信回線からサービスプロバイダを介してインターネット網に接続するための機能を有する回路やその周辺回路、マイクロコントローラ、半導体メモリなどから構成される。インターネット接続モジュール11は、機器制御部13からの制御に従い、インターネット接続に関する処理を行う。例えば、インターネット接続モジュール11は、通信装置10が基地局APとして動作する場合に、インターネット網へ接続するための通信モデム等の機能が実装される構成となっている。
情報入力モジュール12は、例えば、押しボタンやキーボード、タッチパネル等の入力デバイスから構成される。情報入力モジュール12は、ユーザからの指示に対応する指示情報を、機器制御部13に入力する機能を有する。
機器制御部13は、例えばマイクロプロセッサやマイクロコントローラ等から構成される。機器制御部13は、通信装置10を基地局AP又は端末局STAとして動作させるために各部(モジュール)の制御を行う。
機器制御部13は、インターネット接続モジュール11、情報入力モジュール12、又は無線通信モジュール15から供給される情報に対する処理を行う。また、機器制御部13は、自身の処理の結果得られる情報を、インターネット接続モジュール11、情報出力モジュール14、又は無線通信モジュール15に供給する。
例えば、機器制御部13は、データの送信時に、プロトコル上位層のアプリケーション等から渡される送信データを、無線通信モジュール15に供給したり、データの受信時に、無線通信モジュール15から供給される受信データを、プロトコル上位層のアプリケーション等に渡したりする。
情報出力モジュール14は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)表示器などの表示素子を含む出力デバイスから構成される。
情報出力モジュール14は、機器制御部13から供給される情報に基づき、ユーザに対して必要な情報を表示する機能を有する。ここで、情報出力モジュール14で処理される情報には、例えば、通信装置10の動作状態やインターネット網を介して得られる情報などが含まれる。
無線通信モジュール15は、例えば、無線チップや周辺回路、マイクロコントローラ、半導体メモリなどから構成される。無線通信モジュール15は、機器制御部13からの制御に従い、無線通信に関する処理を行う。無線通信モジュール15の構成の詳細は、図14を参照して後述する。
なお、ここでは、無線通信チップや周辺回路などが搭載された無線通信モジュールを一例に説明するが、本技術は、無線通信モジュールに限らず、例えば、無線通信チップや無線通信LSIなどに適用することができる。さらに、無線通信モジュールにおいて、アンテナを含めるかどうかは任意である。
また、図13の通信装置10において、機器制御部13及び無線通信モジュール15は、必須の構成要素となるが、それらを除いたインターネット接続モジュール11、情報入力モジュール12、及び情報出力モジュール14を構成要素に含めるかどうかは任意である。
すなわち、基地局AP又は端末局STAとして動作する通信装置10ごとに、必要とされるモジュールのみで構成されるようにすることができ、不要な部分は簡素化されるか、又は組み込まれない構成とすることができる。より具体的には、例えば、インターネット接続モジュール11は、基地局APにのみ組み込まれ、情報入力モジュール12や情報出力モジュール14は、端末局STAにのみ組み込まれるようにすることができる。
(無線通信モジュールの構成の例)
図14は、図13の無線通信モジュール15の構成の例を示したブロック図である。
図14において、無線通信モジュール15は、インターフェース101、送信バッファ102、ネットワーク管理部103、送信フレーム構築部104、マルチチャネル管理部105、管理情報生成部106、制御フレーム送信処理部107、送信電力制御部108、無線送信処理部109、アンテナ制御部110、無線受信処理部111、検出閾値制御部112、制御フレーム受信処理部113、管理情報処理部114、受信データ構築部115、及び受信バッファ116を含んで構成される。
インターフェース101は、例えば入出力インターフェース回路等から構成される。インターフェース101は、機器制御部13(図13)との間でデータをやり取りするためのインターフェースであって、そこに入力される情報やそこから出力される情報を、所定の信号形式で交換するための機能を有する。
インターフェース101は、機器制御部13から入力される送信データを送信バッファ102に書き込む。また、インターフェース101は、機器制御部13から入力される情報を、ネットワーク管理部103に供給したり、あるいはネットワーク管理部103から供給される情報を、機器制御部13に出力したりする。
送信バッファ102は、例えばバッファメモリ等の半導体メモリ装置から構成される。送信バッファ102は、インターフェース101を介して書き込まれた送信データを一時的に格納する。
ネットワーク管理部103は、無線ネットワークにおける通信装置10のアドレス情報などの管理を行う。また、ネットワーク管理部103は、基地局APとして通信装置10が動作している場合に、インターネット網への接続を実施する構成となっている。
送信フレーム構築部104は、送信バッファ102に格納された送信データを読み出して、無線通信により伝送するためのデータフレームとして構築し、無線送信処理部109に供給する。また、送信フレーム構築部104は、送信フレームに関する送信フレーム情報を、管理情報生成部106に供給する。
マルチチャネル管理部105は、複数の周波数チャネルにおける利用状況をそれぞれ管理するマルチチャネル管理機能を有している。また、マルチチャネル管理部105は、要求フレーム(要求信号)や応答フレーム(応答信号)に記載する利用可能な周波数チャネルの状況を監視し、利用可能なチャネルを即座に把握する機能を有している。
マルチチャネル管理部105は、ネットワーク管理部103、検出閾値制御部112、制御フレーム受信処理部113、又は管理情報処理部114から供給される情報に対する処理を行う。また、マルチチャネル管理部105は、自身の処理の結果得られる情報(マルチチャネル管理情報)を、ネットワーク管理部103、管理情報生成部106、制御フレーム送信処理部107、送信電力制御部108、アンテナ制御部110、又は検出閾値制御部112に供給する。
管理情報生成部106には、送信フレーム構築部104からの送信フレーム情報と、マルチチャネル管理部105からのマルチチャネル管理情報が供給される。管理情報生成部106は、送信フレーム情報及びマルチチャネル管理情報に基づいて、管理情報を生成し、制御フレーム送信処理部107及び無線送信処理部109に供給する。
この管理情報には、例えば、実際に無線通信により送信されるフレームのヘッダ情報や、各種のパラメータが含まれる。例えば、MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム等のマルチ制御フレームの各種パラメータ(例えば、Available Channel MapやRequirement Bandwidth等)も、ここで生成されて、制御フレーム送信処理部107に供給される。
制御フレーム送信処理部107には、マルチチャネル管理部105からのマルチチャネル管理情報、管理情報生成部106からの管理情報、及び制御フレーム受信処理部113からの制御フレーム受信情報が供給される。制御フレーム送信処理部107は、マルチチャネル管理情報、管理情報、及び制御フレーム受信情報に基づいて、無線送信処理部109を制御して、制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)を送信するための処理を行う。
この送信処理では、現状のCTSフレームやACKフレーム等の制御フレームを送信する場合の処理に加えて、MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム等のマルチ制御フレームを送信する場合の処理を一元的に制御する機能が追加されている。
送信電力制御部108は、無線送信処理部109に対して、所定のフレームを送信する場合に不要な電波到達範囲にまで信号が届かないように送信電力を制御する。ここでは、マルチチャネル管理部105からのマルチチャネル管理情報に基づき、受信側に意図した受信電界強度で信号が届くように必要最低限の送信電力を調整してデータを送信するように制御する機能が備わっている。
無線送信処理部109は、無線通信により送信するフレームをベースバンド信号に変換してアナログ信号として処理し、その処理の結果得られる送信信号を、アンテナ制御部110に供給する。
ここでは、データフレームを送信する場合、無線送信処理部109には、送信フレーム構築部104からのデータフレーム(送信データを送信するためのフレーム)と、管理情報生成部106からの管理情報(そのデータフレームのヘッダ情報)が供給される。無線送信処理部109は、データフレームにヘッダ情報を含めて、送信電力制御部108からの制御に従い、データフレームに応じた送信信号を生成する。
また、制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)を送信する場合、無線送信処理部109には、管理情報生成部106からの管理情報が供給される。この管理情報には、制御フレームやマルチ制御フレームの各種パラメータが含まれる。無線送信処理部109は、制御フレーム送信処理部107及び送信電力制御部108からの制御に従い、管理情報から得られる制御フレーム(CTSフレームやACKフレーム等)又はマルチ制御フレーム(MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム等)に応じた送信信号を生成する。
アンテナ制御部110は、複数のアンテナ素子が接続されて構成される。アンテナ制御部110は、無線送信処理部109から供給される送信信号を、アンテナ素子を介して無線通信により送信する制御を行う。また、アンテナ制御部110は、無線通信によって送信されてくる無線信号を、アンテナ素子を介して受信し、無線受信処理部111及び検出閾値制御部112に供給する。
無線受信処理部111は、検出閾値制御部112からの制御に従い、アンテナ制御部110から供給される受信信号から、所定のプリアンブル信号を検出した場合に、それ以降に付加されるヘッダ情報やデータ部分を受信する処理を行う。
ここでは、データフレームを受信した場合、無線受信処理部111は、そのデータフレームのヘッダ情報を管理情報処理部114に供給し、そのデータフレームを受信データ構築部115に供給する。また、制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)を受信した場合、無線受信処理部111は、その制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)を制御フレーム受信処理部113及び管理情報処理部114に供給する。
検出閾値制御部112は、送信電力制御部108による送信電力制御を実施した場合に、その範囲内にある基地局AP又は端末局STA(の通信装置10)からの無線信号を検出することができるような信号の検出レベルが設定される。ここでは、空間再利用技術を適用するにあたり、必要最低限の検出閾値で信号を検出するように制御する機能が備わっている。
制御フレーム受信処理部113には、無線受信処理部111からの制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)が供給される。制御フレーム受信処理部113は、無線受信処理部111から供給される制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)を受信するための処理を行い、その処理の結果得られる制御フレーム受信情報を、マルチチャネル管理部105、制御フレーム送信処理部107、検出閾値制御部112、及び管理情報処理部114に供給する。
この受信処理では、現状のCTSフレームやACKフレームなどの制御フレームを受信した場合の処理に加えて、MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム等のマルチ制御フレームを受信した場合の処理を一元的に制御する機能が追加されている。
管理情報処理部114には、無線受信処理部111からのヘッダ情報や制御フレーム(マルチ制御フレームを含む)、及び制御フレーム受信処理部113からの制御フレーム受信情報が供給される。管理情報処理部114は、ヘッダ情報や制御フレーム、及び制御フレーム受信情報に基づいて、実際に無線通信により送信されてきたフレームのヘッダ情報等を含む管理情報を解析して受信アドレス情報に自身が指定されていた場合に、当該フレームに記載されたパラメータを抽出する。
例えば、MCH_RTSフレームやMCH_BARフレーム等のマルチ制御フレームの各種パラメータ(例えば、Available Channel MapやRequirement Bandwidth等)も、ここで抽出され、マルチチャネル管理部105に供給される。また、管理情報処理部114は、管理情報を解析して得られるヘッダ情報等の情報を、受信データ構築部115に供給する。
受信データ構築部115は、管理情報処理部114から供給されるヘッダ情報等の情報に基づいて、無線受信処理部111からのデータフレームから所定のヘッダ情報を除去して必要とされるデータ部分のみを抽出し、受信データとして受信バッファ116に書き込む。
受信バッファ116は、例えばバッファメモリ等の半導体メモリ装置から構成される。受信バッファ116は、受信データ構築部115により書き込まれた受信データを一時的に格納する。受信バッファ116に格納された受信データは適宜読み出され、インターフェース101を介して機器制御部13に出力される。
以上のように構成される無線通信モジュール15においては、特に、マルチチャネル管理部105、管理情報生成部106、制御フレーム送信処理部107、制御フレーム受信処理部113、及び管理情報処理部114によって、チャネル情報及び帯域幅情報を含むMCH_RTSフレームや、チャネル情報を含むMCH_BARフレーム等のマルチ制御フレームに関する処理が行われる。
なお、図14において、無線通信モジュール15を構成する各部は、例えば、点線の枠で示すように、送受信データ入出力部151と、制御部152と、フロントエンド部153との3つのブロックに分けることができる。
ここで、送受信データ入出力部151は、インターフェース101、送信バッファ102、ネットワーク管理部103、送信フレーム構築部104、受信データ構築部115、及び受信バッファ116から構成され、主に、入力される送信データや出力される受信データに関する処理や制御が行われる。また、制御部152は、マルチチャネル管理部105、管理情報生成部106、制御フレーム送信処理部107、制御フレーム受信処理部113、及び管理情報処理部114から構成され、主に、制御フレームやマルチ制御フレームなどのフレームに関する処理や制御が行われる。さらに、フロントエンド部153は、送信電力制御部108、無線送信処理部109、アンテナ制御部110、無線受信処理部111、及び検出閾値制御部112から構成され、主に、送信信号や受信信号などの信号に関する処理や制御が行われる。
(データ送信側の動作)
まず、図15及び図16のフローチャートを参照して、例えば、図5の基地局AP10や基地局AP20等のデータの送信側の通信装置10(の無線通信モジュール15)の動作を説明する。
無線通信モジュール15では、インターフェース101を介して送信データを受領したかどうかが判定され(S101)、送信データを受領したと判定された場合(S101の「YES」)、受領した送信データは、送信バッファ102に格納され(S102)、ステップS103以降の処理が実行される。
すなわち、マルチチャネル管理部105は、送信バッファ102に格納されている送信データのデータ量から、送信データの送信に必要な周波数チャネル数(帯域幅)を設定する(S103)。また、このとき、マルチチャネル管理部105は、送信データのカテゴリに応じて優先順位が設定される所定のアクセス待ち時間とランダムな待ち時間をあわせて設定する(S104)。
続いて、マルチチャネル管理部105は、送信可能な全ての周波数チャネルの伝送路の利用状況を把握し(S105)、送信データの送信が可能であるかどうかを判定する(S106)。ここでは、ステップS105,S106の処理が繰り返され、送信データの送信が可能であると判定されたとき(S106の「YES」)、処理は、ステップS107に進められる。
管理情報生成部106は、送信データの送信が可能なタイミングでその送信データ(を含むデータフレーム)を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報、及び送信データの送信に利用する周波数の帯域幅に関する帯域幅情報を取得し、MCH_RTSフレーム(のAvailable Channel Map,Requirement Bandwidth)に記載する(S107)。また、このとき、制御フレーム送信処理部107は、MCH_RTSフレーム(のAvailable Channel Map)に記載されたチャネル情報の中から1つの周波数チャネルを送信チャネルとして設定する(S108)。
なお、ここでは、プライマリチャネルとされる周波数チャネルを送信チャネルとして設定するようにしてもよい。そして、無線送信処理部109は、ステップS108の処理で設定された送信チャネルを利用して、MCH_RTSフレームを送信する(S109)。
続いて、制御フレーム受信処理部113は、ステップS107の処理でチャネル情報として記載した複数の周波数チャネル(いわば受信候補チャネルとしてのマルチチャネル)にて、CTSフレームの受信を待ち受ける設定を行う(S110)。
そして、無線通信モジュール15では、ステップS110の処理で設定された複数の周波数チャネル(受信候補チャネル)で、受信側の通信装置10(例えば端末局STA)からCTSフレームを受信したかどうかが判定され(S111)、CTSフレームを受信したと判定された場合(S111の「YES」)、マルチチャネル管理部105は、対象の受信候補チャネルを、受信側の通信装置10にてデータフレームの受信が可能な受信可能チャネルとして設定する(S112)。
また、ここではタイミングとしてはほぼ同時に、CTSフレームを受信した全ての周波数チャネル(受信可能チャネル)に関する情報が取得されたかどうかが判定され(S113)、全ての周波数チャネルに関する情報が取得されていないと判定された場合(S113の「NO」)、ステップS111乃至S113の処理が繰り返される。このように、ステップS111乃至S113の処理が並列的に繰り返されることで、CTSフレームの受信があった全ての周波数チャネル(受信可能チャネル)に関する情報が取得される。
これにより、マルチチャネル管理部105は、ステップS111乃至S113の処理を繰り返すことで得られる受信側の通信装置10(例えば端末局STA)で受信可能な周波数チャネル数(帯域幅)を取得する(S114)。
そして、マルチチャネル管理部105は、ステップS103の処理で設定された送信側の通信装置10(例えば基地局AP)で送信データ(を含むデータフレーム)の送信に必要な周波数チャネル数(帯域幅)と、ステップS114の処理で取得された受信側の通信装置10(例えば端末局STA)で送信データ(を含むデータフレーム)を受信可能な周波数チャネル数(帯域幅)とを比較し、要求される周波数チャネル数(帯域幅)以上(要求数以上)の設定が可能であるかどうかを判定する(S115)。
そして、要求数以上の設定が可能であると判定された場合(S115の「YES」)、マルチチャネル管理部105は、その要求数以上の設定が可能な1又は複数の周波数チャネルを、受信先(受信側の通信装置10)の受信可能チャネルとして設定する(S116)。また、制御フレーム送信処理部107は、ステップS116の処理で設定した受信先の受信可能チャネルを、送信データの送信チャネルとして設定する(S117)。
無線送信処理部109は、ステップS117の処理で設定された送信チャネルを利用して、送信データを含むデータフレームを送信する(S118)。なお、ここでは、データフレームの送信中においても、自身が送信可能として指定した全ての周波数チャネルにおいて、逐次周波数チャネルの利用状況を把握するために、他の通信装置10からのデータフレームやCTSフレームの受信を行う構成としてもよい(S119)。
また、無線通信モジュール15では、ACKフレームの受領が必要であるかどうかが判定され(S120)、ACKフレームの受領が必要であると判定された場合(S120の「YES」)、ステップS121以降の処理が実行される。
すなわち、管理情報生成部106は、ACKフレームの受領が必要なタイミングで受信側の通信装置10(例えば端末局STA)がACKフレームを送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報を取得して、MCH_BARフレーム(のAvailable Channel Map)に記載する(S121)。また、このとき、制御フレーム送信処理部107は、MCH_BARフレーム(のAvailable Channel Map)に記載されたチャネル情報の中から1つの周波数チャネルを送信チャネルとして設定する(S122)。
なお、ここでは、プライマリチャネルとされる周波数チャネルを送信チャネルとして設定するようにしてもよい。そして、無線送信処理部109は、ステップS122の処理で設定された送信チャネルを利用して、MCH_BARフレームを送信する(S123)。
あるいは、データフレームの送信時(S118)に利用される送信チャネル(第1の周波数チャネル)と、MCH_BARフレームの送信時(S123)に利用される送信チャネル(第2の周波数チャネル)とは、異なる周波数チャネルとされるようにしてもよい。
続いて、制御フレーム受信処理部113は、ステップS121の処理でチャネル情報として記載した複数の周波数チャネル(いわば受信候補チャネルとしてのマルチチャネル)にて、ACKフレームの受信を待ち受ける設定を行う(S124)。
そして、無線通信モジュール15では、ステップS124の処理で設定された複数の周波数チャネル(受信候補チャネル)のいずれかで、ACKフレームを受信したかどうかが判定され(S125)、ACKフレームを受信したと判定された場合(S125の「YES」)、送信バッファ102に格納された送信データのうち、ACKフレームにより受領確認のとれた送信データが削除される(S126)。
なお、ステップS120の判定処理で、ACKフレームの受領が不要であると判定された場合(S120の「NO」)には、ACKフレームに関する処理(S121乃至S125)はスキップされ、処理はステップS126に進められ、送信バッファ102に格納された送信データは削除される(S126)。また、ステップS126の処理が終了すると、図15及び図16のフローチャートに示した処理は終了する。
また、ステップS115の判定処理で、送信データの送信に必要な周波数チャネル数(帯域幅)が揃わないと判定された場合(S115の「NO」)や、ステップS125の判定処理で、ACKフレームにより受領確認がとれない送信データが存在すると判定された場合(S125の「NO」)には、処理は、ステップS103に戻り、再度、送信に必要な周波数チャネル数(帯域幅)の選定が行われる。また、ステップS101の判定処理で、送信データを受領していないと判定された場合(S101の「NO」)には、それ以降の処理自体が行われずに終了される。
以上、データの送信側の通信装置の動作を説明した。
(データ受信側の動作)
次に、図17及び図18のフローチャートを参照して、例えば、図5の端末局STA12や端末局STA21等のデータの受信側の通信装置10(の無線通信モジュール15)の動作を説明する。
無線通信モジュール15では、自身がマルチチャネル対応の通信装置10(の無線通信モジュール15)であるかどうかが判定される(S201)。ステップS201の判定処理で、マルチチャネル対応であって、ユーザがマルチチャネルを利用した通信の設定を希望していると判定された場合(S201の「YES」)、無線通信モジュール15では、マルチチャネルでの受信を待ち受ける設定が行われ(S202)、ステップS203以降の処理が実行される。
すなわち、制御フレーム受信処理部113は、無線受信処理部111によりMCH_RTSフレームが受信された場合(S203の「YES」)に、当該MCH_RTSフレームが自身宛のMCH_RTSフレーム(自身を受信先とする要求)であるかどうかを確認する(S204)。
そして、自身宛のMCH_RTSフレームが受信された場合(S204の「YES」)、制御フレーム受信処理部113は、自身宛のMCH_RTSフレーム(のAvailable Channel Map)に記載されたチャネル情報を取得し(S205)、送信側の通信装置10(例えば基地局AP)が送信データ(を含むデータフレーム)を送信可能な全ての周波数チャネルの伝送路の利用状況を把握する(S206)。
また、制御フレーム受信処理部113は、自身宛のMCH_RTSフレーム(のRequirement Bandwidth)に記載された帯域幅情報を取得する(S207)。そして、マルチチャネル管理部105は、チャネル情報及び帯域幅情報に基づいて、送信可能な周波数チャネルの中に、自身を受信先として受信可能な周波数チャネルがあるかどうかを判定する(S208)。
ここでは、自身を受信先として受信可能な周波数チャネルがある場合(S208の「YES」)には、制御フレーム送信処理部107は、その周波数チャネルを受信可能チャネルに設定し(S209)、データ伝送の持続時間をDuration情報として設定する(S210)。これにより、無線送信処理部109は、ステップS209の処理で設定された受信可能チャネルを利用して、CTSフレームを送信する(S211)。
また、制御フレーム受信処理部113は、ステップS209の処理で設定された受信可能チャネルにて、データフレームの受信を待ち受ける設定を行う(S212)。このように、送信可能な周波数チャネルの中から選択された受信可能チャネルは、データフレームを受信するための受信チャネルであるとともに、CTSフレームを送信するための送信チャネルでもある。
なお、この受信可能チャネルの設定は、例えば、図5の基地局AP10等のデータ送信側の通信装置10(の無線通信モジュール15)が、送信可能としている全ての周波数チャネルの判定が行われるまで(S213の「YES」)、ステップS208に戻って、ステップS208乃至S213の処理が繰り返される。
これにより、送信側の通信装置10(例えば基地局AP)で送信データ(を含むデータフレーム)を送信可能な周波数チャネルの中から、受信側の通信装置10(例えば端末局STA)で送信データ(を含むデータフレーム)を受信可能な周波数チャネルを選択して、データフレームの送信に利用される周波数の帯域幅を確保することが可能となる(データフレームの送信に必要な周波数チャネル数を確保することが可能となる)。
その後、無線通信モジュール15では、ステップS208乃至S213の処理が繰り返されることで設定された受信可能チャネルで、データフレームを受信したかどうかが判定され(S214)、データフレームを受信したと判定された場合(S214の「YES」)には、さらに、データフレームに格納された受信データを正常に受信できたかどうかが判定される(S215)。
そして、無線通信モジュール15では、受信データを正常に受信できたと判定された場合(S215の「YES」)、その受信データを受信バッファ116に格納する(S216)とともに、そのACK情報としてのシーケンス番号等を構築する(S217)。また、無線通信モジュール15では、全ての受信データが揃ったかどうかが判定され(S218)、全ての受信データが揃った場合(S218の「YES」)には、受信バッファ116に格納された受信データが、インターフェース101を介して、プロトコル上位層のアプリケーションに出力される(S219)。
ステップS219の処理が終了すると、処理は、ステップS220に進められる。なお、データフレームを受信していないと判定された場合(S214の「NO」)、受信データを正常に受信できていないと判定された場合(S215の「NO」)、又は全ての受信データが揃っていないと判定された場合(S218の「NO」)においても、処理は、ステップS220に進められる。
ここでは、例えば、データフレームの送信に利用する周波数の帯域幅を確保できなかった場合、すなわち、データの送信側の通信装置10(基地局AP)で、CTSフレームの受信に応じて設定される受信可能チャネルによって、要求される周波数チャネル数(帯域幅)以上(要求数以上)の設定が不可能であると判定された場合(図16のS115の「NO」)には、データフレームは未送信とされ(図16のS118を未実行)、データの受信側の通信装置10(端末局STA)では、データフレームが未受信と判定される(S214の「NO」)。
無線通信モジュール15では、ACKフレームの返送が必要であるかどうかが判定され(S220)、ACKフレームの返送が必要であると判定された場合(S220の「YES」)には、さらに、自身がマルチチャネル対応であるかどうかが判定される(S221)。そして、自身がマルチチャネル対応であると判定された場合(S221の「YES」)には、マルチチャネル管理部105は、送信可能な全ての周波数チャネルの伝送路の利用状況を把握する(S222)。
また、無線通信モジュール15では、MCH_BARフレームを受信したかどうかが判定される(S233)。そして、MCH_BARフレームを受信したと判定された場合(S233の「YES」)には、制御フレーム受信処理部113は、MCH_BARフレーム(のAvailable Channel Map)に記載された受信側の通信装置10がACKフレーム(例えば端末局STA)を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報を取得する(S224)。
このとき、データフレームの受信時(S214)に利用される送信チャネル(第1の周波数チャネル)と、MCH_BARフレームの受信時(S223)に利用される送信チャネル(第2の周波数チャネル)とは、異なる周波数チャネルとされることがあり、全てのチャネルで受信を行う。
また、制御フレーム送信処理部107は、ステップS224の処理で取得されたチャネル情報の中の少なくとも1つのチャネル周波数を送信チャネルとして設定する(S225)。これにより、無線送信処理部109は、ステップS225の処理で設定された送信チャネルを利用して、ACKフレームを送信する(S226)。
なお、ステップS221の判定処理で、自身がマルチチャネル未対応であると判定された場合(S221の「NO」)には、ステップS222乃至S225の処理はスキップされ、単一の送信チャネルでACKフレームが送信される(S226)。また、ステップS220の判定処理で、ACKフレームの送信が不要であると判定された場合(S220の「NO」)、ステップS221乃至S226の処理はスキップされ、ACKフレームは未送信とされる。また、ステップS226の処理が終了すると、図17及び図18のフローチャートに示した処理は終了する。
また、ステップS203の判定処理で、MCH_RTSフレームを受信していないと判定された場合(S203の「NO」)、ステップS204の判定処理で、他の通信装置10宛てのMCH_RTSフレームであると判定された場合(S204の「NO」)、又はステップS208の判定処理で、受信可能な周波数チャネルがないと判定された場合(S208の「NO」)には、処理は、ステップS214に進められ、データフレームの受信動作が行われる。
以上、データの受信側の通信装置の動作を説明した。
以上のように、本技術を適用した通信方法(新方式)では、例えば20MHz帯域幅で1つのチャネルとして構成される複数の周波数チャネルを利用してデータを送受信する無線LANシステムにおいて、送信側の通信装置10(例えば基地局AP)にて利用可能なチャネル資源の情報(チャネル情報)と、20MHz帯域幅のチャネル量の情報(帯域幅情報)とを含んだ要求フレーム(MCH_RTSフレーム)が送信される。一方で、受信側の通信装置10(例えば端末局STA)にて、要求フレームの情報に基づき、利用可能な少なくとも1つ以上のチャネル資源が選択されその選択された周波数チャネルを利用して応答フレーム(CTSフレーム)が返送される。
これにより、無線LANシステムにおいて、データの送信側の通信装置10(例えば基地局AP)と、データの受信側の通信装置10(例えば端末局STA)とが通信を行うに際し、複数の周波数チャネルの利用状況に応じて空きチャネルで通信を行うことができる。すなわち、オーバーラップして隣接するベーシックサービスセット(BSS)で利用されていない周波数チャネルを利用して通信を実施することができる。例えば、図4に示したように、240MHzや320MHz単位で周波数チャネルを利用する場合には、帯域幅が広いため、他の周波数チャネルと被る可能性が非常に高くなるが、本技術を適用した通信方法(新方式)では、複数の周波数チャネルの利用状況に応じて空きチャネルを選択することができるため、周波数帯域が重なることを回避することができる。
また、データの送信側の通信装置10(例えば基地局AP)の伝送路利用状況のみならず、データの受信側の通信装置10(例えば端末局STA)の伝送路利用状況に応じて、最適な周波数チャネルを利用して通信を実施することができる。これにより、現状の方式の無線LANシステムで運用されている周波数チャネルであっても、現状の方式に対応した通信装置(レガシー端末)との互換性を保って、アクセス制御を行うことができる。
さらに、無線LANシステムにおいて、データの送信後に、送信側の通信装置10(例えば基地局AP)にて利用可能なチャネル資源の情報(チャネル情報)を含んだ要求フレーム(MCH_BARフレーム)を送信することで、データの受信側の通信装置10(例えば端末局STA)では、データの受信後にACKフレームを返送する場合に、ACKフレームを返送可能な周波数チャネルを選択することができる。これにより、データの受信側の通信装置10は、他の通信が行われている可能性のない周波数チャネルでACKフレームを返送することができるため、確実にACKフレームを返送することができる。
ここで、上述の特許文献1には、複数の周波数チャネルの中から、受信機において送信又は受信にも利用可能な1つの周波数チャネルのみを選択し得る技術が開示されているが、データフレームの受信とその後のACKフレームの送信(返送)を考慮して、送受信可能な周波数チャネルを選択することが想定される。それに対して本技術では、データフレームを受信した後のACKフレームの送信(返送)を行うに際して、MCH_BARフレームを用いて利用可能な周波数チャネルをその都度選択する構成となっているため、データフレームの受信のみ可能な周波数チャネルも選択することができる。これにより、本技術の構成では、上述の特許文献1の構成では選択されない周波数チャネル(データフレームの受信のみ可能な周波数チャネル)まで利用可能な周波数チャネルが増えることになって、伝送路の利用効率を向上させることができる。
また、上述の特許文献1には、他のデバイスによる妨害のためにチャネルが占有されていることを検出するために電力密度を測定し、占有チャネルのIDを決定する技術が開示されているが、仮想的キャリア検出によるネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されている状態では、占有チャネルとして認識されないため、そのようなチャネルを利用すると衝突(コリジョン)が発生する恐れがある。それに対して、本技術では、ネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されている周波数チャネルを認識して当該周波数チャネルを除いた周波数チャネルを選択する構成となっていることから、そのような衝突を回避することができる。
なお、上述の文献Aには、各端末にあらかじめ割り当てたチャネル情報を、プライマリチャネルでRTSフレーム(マルチユーザRTS)として送信し、各端末からCTSフレームの受領をもって、データを送信する構成が開示されているが、データの送信チャネルは、各端末にあらかじめ割り当てられており、ネットワークアロケーションベクタ(NAV)が設定されていれば、CTSフレームによる応答を行うことができず、データ送信を行うこともできなかった。それに対して本技術では、CTSフレームの送信(応答)を行うに際して、MCH_RTSフレームを用いて利用可能な周波数チャネルをその都度選択する構成となっていることから、そのようなデータ送信を行うことができないという状況を回避することができる。
また、下記の文献Bには、RTSフレームに要求チャネル帯域幅を記載して、CTSフレームにて要求チャネル帯域幅を承認するフィールドを含む構成が開示され、RTSフレームは要求チャネル数の帯域幅で、CTSフレームは応答チャネル数の帯域幅でそれぞれ送信されるものの、中心周波数が同じである。それに対して本技術では、CTSフレームの送信(応答)を行うに際して、MCH_RTSフレームを用いて利用可能な周波数チャネルをその都度選択する構成となっているため、複数の周波数チャネルの利用状況に応じて空きチャネルを選択することができる。
文献B:特開2014-195266号公報
<2.変形例>
(他の構成の例)
上述した説明では、通信装置10は、基地局AP又は端末局STAとして構成されるとして説明したが、本技術を適用した通信装置は、基地局AP又は端末局STAのほか、基地局AP又は端末局STAを構成する装置の一部(例えば、無線通信モジュールや無線チップ等)として構成されるようにしてもよい。
また、端末局STAは、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ゲーム機、テレビ受像機、ウェアラブル端末、スピーカ装置などの無線通信機能を有する電子機器として構成することができる。
また、上述した説明では、基地局APが、データの送信側の通信装置10である一方で、端末局STAが、データの受信側の通信装置10であるとして説明したが、送信側と受信側とを反対にして、端末局STAを、データの受信側の通信装置10とし、基地局APを、データの送信側の通信装置10とするようにしてもよい。この場合には、端末局STAによって、図15及び図16のフローチャートに示したデータ送信側の動作が実行され、基地局APによって、図17及び図18のフローチャートに示したデータ受信側の動作が実行される。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
データを送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報、及び前記データの送信に利用する周波数の帯域幅に関する帯域幅情報を生成し、
前記送信可能な周波数チャネルの中から選択した周波数チャネルを利用して、生成した前記チャネル情報及び前記帯域幅情報を含む要求信号を他の通信装置に送信し、
前記他の通信装置で受信可能な周波数チャネルとして選択された周波数チャネルを利用して、前記データを前記他の通信装置に送信する
制御を行う制御部を備える
通信装置。
(2)
前記チャネル情報は、前記他の通信装置で選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記チャネル情報は、前記データの送信に利用する周波数の帯域幅よりも広い帯域幅を選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4)
前記制御部は、
前記他の通信装置が受信可能な周波数チャネルを利用して、前記他の通信装置から送信されてくる応答信号を受信し、
受信した前記応答信号に基づいて、前記受信可能な周波数チャネルの中から、利用する周波数チャネルを選択する
制御を行う
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の通信装置。
(5)
前記要求信号は、マルチチャネルに対応したRTS(Request to Send)フレームであり、
前記応答信号は、CTS(Clear to Send)フレームである
前記(4)に記載の通信装置。
(6)
他の通信装置から送信されてくる、前記他の通信装置がデータを送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報、及び前記データの送信に利用する周波数の帯域幅に関する帯域幅情報を含む要求信号を、前記送信可能な周波数チャネルの中から選択された周波数チャネルを利用して受信し、
受信した前記要求信号に含まれる前記チャネル情報及び前記帯域幅情報に基づいて、前記送信可能な周波数チャネルの中から受信可能な周波数チャネルを選択し、
選択した前記受信可能な周波数チャネルを利用して、応答信号を前記他の通信装置に送信する
制御を行う制御部を備える
通信装置。
(7)
前記制御部は、前記応答信号を送信した後に、選択した前記受信可能な周波数チャネルを利用して、前記他の通信装置から送信されてくる前記データを受信する制御を行う
前記(6)に記載の通信装置。
(8)
前記チャネル情報は、前記通信装置で選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(6)又は(7)に記載の通信装置。
(9)
前記チャネル情報は、前記データの送信に利用する周波数の帯域幅よりも広い帯域幅を選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(8)に記載の通信装置。
(10)
前記要求信号は、マルチチャネルに対応したRTSフレームであり、
前記応答信号は、CTSフレームである
前記(6)乃至(9)のいずれかに記載の通信装置。
(11)
第1の周波数チャネルを利用して、データを他の通信装置に送信し、
前記データの正常な受信の確認を要求するための信号であって、前記他の通信装置が確認信号を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報を含む要求信号を生成し、
前記送信可能な周波数チャネルの中から選択された第2の周波数チャネルを利用して、生成した前記要求信号を前記他の通信装置に送信する
制御を行う制御部を備える
通信装置。
(12)
前記第2の周波数チャネルは、前記第1の周波数チャネルと異なる
前記(11)に記載の通信装置。
(13)
前記制御部は、前記他の通信装置で前記送信可能な周波数チャネルの中から選択された周波数チャネルを利用して、前記他の通信装置から送信されてくる前記確認信号を受信する制御を行う
前記(11)又は(12)に記載の通信装置。
(14)
前記チャネル情報は、前記他の通信装置で選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(11)乃至(13)のいずれかに記載の通信装置。
(15)
前記制御部は、前記送信可能な周波数チャネルを利用して、前記他の通信装置から送信されてくる前記確認信号を受信する制御を行う
前記(11)乃至(14)のいずれかに記載の通信装置。
(16)
前記要求信号は、マルチチャネルに対応したBAR(Block Ack Request)フレームであり、
前記確認信号は、ACK(Acknowledgement)フレームである
前記(11)乃至(15)のいずれかに記載の通信装置。
(17)
第1の周波数チャネルを利用して、他の通信装置から送信されてくるデータを受信し、
第2の周波数チャネルを利用して、前記他の通信装置から送信されてくる、前記データの正常な受信の確認を要求するための信号であって、確認信号を送信可能な周波数チャネルに関するチャネル情報を含む要求信号を受信し、
前記データを正常に受信した場合、受信した前記要求信号に含まれる前記チャネル情報に基づいて、前記送信可能な周波数チャネルの中から周波数チャネルを選択し、
選択した前記周波数チャネルを利用して、前記確認信号を前記他の通信装置に送信する
制御を行う制御部を備える
通信装置。
(18)
前記第2の周波数チャネルは、前記第1の周波数チャネルと異なる
前記(17)に記載の通信装置。
(19)
前記チャネル情報は、前記通信装置で選択可能となる周波数チャネルを含む
前記(17)又は(18)に記載の通信装置。
(20)
前記要求信号は、マルチチャネルに対応したBARフレームであり、
前記確認信号は、ACKフレームである
前記(17)乃至(19)のいずれかに記載の通信装置。