本発明に係る振動センサユニット、回転電機、およびポンプ装置の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
以下の説明において、本発明に係るポンプ装置の一例として、ポンプ部およびモータ部が一体に構成されているウェットモータポンプ(以下単に「ポンプ」という。)が説明される。ポンプは、取扱液の漏洩が無い構造を有するシールレスモータポンプであり、ポンプの全体が取扱液内に浸漬されていて、取扱液の一部がモータ部内にも導入される構造を有する。
●ポンプ装置(1)●
●ポンプ装置(1)の構成
先ず、本発明に係るポンプ装置(以下単に「ポンプ装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。
図1は、ポンプ装置の実施の形態を示す模式断面図である。
同図は、取扱液の流れを白抜き矢印で示している。同図は、説明の便宜上、ポンプ装置1を簡略化して示している。
ポンプ装置1は、取扱液(例えば、水)の送液に用いられる。ポンプ装置1は、ポンプ部2、モータ部3、制御装置4、および振動センサユニット5を有してなる。
なお、本発明において、取扱液は、水に限定されない。すなわち、例えば、取扱液は、高温の油、または、極低温の液化ガス(液化天然ガス、液化水素など)でもよい。
以下の説明において、「前方向」はモータ部3に対して後述されるインペラ26が位置している方向であり、「後方向」は前方向の反対方向である。「下方向」は重力方向であり、「上方向」は下方向の反対方向である。
ポンプ部2は、取扱液を吸込み、吐出する。ポンプ部2は、筐体21、ポンプ室22、吸込管23、吐出管24、内部流路25、およびインペラ26を備える。
筐体21は、モータ部3を収容すると共に、インペラ26が収容されるポンプ室22、および内部流路25を区画している。筐体21は、例えば、ステンレス鋼製である。筐体21の前端部は、前方に向けて円筒状に延伸されていて、吸込管23を形成している。筐体21の後端部は、後方に向けて円筒状に延伸されていて、吐出管24を形成している。筐体21とモータ部3(後述される筐体31)との間には、前後方向に沿うように内部流路25が形成されている。内部流路25は、ポンプ室22と吐出管24とに連通している。すなわち、筐体21は、ポンプ室22、吸込管23、吐出管24、および内部流路25を構成している。
吸込管23は、ポンプ室22に吸い込まれる取扱液の流路である。
吐出管24は、ポンプ室22から吐出される取扱液の流路である。
内部流路25は、吸込管23からポンプ室22に吸い込まれた取扱液が吐出管24に案内される流路である。内部流路25は、筐体21と、後述される筐体31との間に形成されている。
インペラ26は、後述される回転軸32の前端部320に取り付けられていて、同回転軸32の回転に伴い回転する。すなわち、インペラ26は、モータ部3の回転により回転する。インペラ26は、回転することにより、吸込管23からポンプ室22内に吸い込まれた取扱液を内部流路25および吐出管24を介して吐出させる。
モータ部3は、所定の駆動条件で駆動して、ポンプ室22内のインペラ26を回転させる。モータ部3は、筐体21に収容されている。モータ部3は、本発明に係る回転電機の一例である。モータ部3は、筐体31、回転軸32、2つの軸受33,34、ロータ35、ステータ36、およびモータ室37を備える。
筐体31は、回転軸32、軸受33,34、ロータ35、およびステータ36を収容するモータ室37を区画している。筐体31は、例えば、SUS304などのステンレス鋼製である。筐体31は、前部開口310、後部開口311、液導入口312,313を備える。
前部開口310は、筐体31の前壁314を前後方向に貫通している孔である。後部開口311は、筐体31の後壁315を前後方向に貫通している孔である。
液導入口312,313は、筐体31の周壁316を貫通している孔である。液導入口312,313は、内部流路25とモータ室37とに連通していて、取扱液をモータ室37に導入している。液導入口312,313は、例えば、周壁316の前部に配置されている。
なお、本発明において、液導入口312,313は、周壁316の後部や中央部に配置されていてもよい。
また、本発明において、液導入口312,313の数は、取扱液をモータ室37に導入可能な数であればよく、「2」に限定されない。
回転軸32は、ロータ35の回転に伴い回転して、回転動力をインペラ26に伝達する。回転軸32の形状は、例えば、円柱状である。回転軸32は、導電性および磁性を有する金属製である。すなわち、回転軸32は、導電性を有する磁性体材料製である。
本明細書において、「軸方向」は回転軸32の軸心に沿う方向であり、前後方向である。「回転方向」は回転軸32の回転方向であり、回転軸32の円周方向である。
回転軸32は、ロータ35に挿通されていて、ロータ35に固定されている。回転軸32は、軸方向が前後方向に向けられた状態で、軸受33,34に回転自在に支持されている。回転軸32は、筐体31の前部開口310および後部開口311に挿通されている。回転軸32の前端部320は、ポンプ室22内に突出している。回転軸32の後端部321は、筐体31の後方の内部流路25内に突出している。回転軸32は、外周面322および後端面323を備える。外周面322の形状は、回転軸32の周方向(回転方向)に沿う円筒状である。後端面323は、左右方向および上下方向に平行な平面状であり、外周面322に対して直角な端面である。
軸受33,34は、筐体31に取り付けられていて、回転軸32を回転自在に支持している。軸受33,34は、例えば、公知のボールベアリングである。軸受33は回転軸32の前部を支持していて、軸受34は回転軸32の後部を支持している。
ロータ35は、ステータ36に生じる回転磁界により回転する。ロータ35の形状は、円筒状である。ロータ35は、ステータ36に収容されている。ロータ35が回転すると、回転軸32はロータ35と共に回転する。
ステータ36は、ロータ35を回転させる回転磁界を生成する。ステータ36は、円筒状のステータコア360、および複数のモータ巻線361を備える。回転軸32の径方向において、ステータコア360の内周面はロータ35の外周面に直接対向している。
制御装置4は、ポンプ装置1全体の動作を制御する。制御装置4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)4aなどのプロセッサ、CPU4aの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)4bなどの揮発性メモリ、動作プログラムなどの各種動作情報を記憶するROM(Read Only Memory)4cなどの不揮発性メモリ、および、後述される検出結果などの各種検出情報を記憶するフラッシュメモリなどの記憶部4dを備える。
振動センサユニット5は、モータ部3の回転軸32の振動を検出する。振動センサユニット5の構成は、後述される。
●振動センサユニット(1)●
●振動センサユニット(1)の構成
図2は、振動センサユニット5の一部の構成(後述される本体部6および導線7)の図1のA矢視における模式背面図である。
同図は、本体部6および導線7の模式背面図、および、振動センサユニット5の機能ブロック図を示している。同図は、説明の便宜上、回転軸32も図示している。
図3は、図2に示されている構成(本体部6および導線7)のBB線における模式断面図である。
同図は、説明の便宜上、回転軸32も非断面で図示している。以下の説明において、図1は、適宜参照される。
振動センサユニット5は、本体部6、導線7、回路基板8、およびスペーサ9を備える。本体部6および導線7は、回転軸32の振動に対応する信号(後述される誘導電流)を生成するセンシング部を構成している。回路基板8は、センシング部に定電流を流すと共にセンシング部により生成された信号に所定の信号処理を実行して、回転軸32の振動を検出する信号処理部を構成している。
本体部6は、電源81からの定電流が導線7に流れたとき、導線7の周囲の磁場に生じる磁束の通り道となる、いわゆるヨークとして機能している。本体部6は、磁性を有する金属(例えば、鉄など)製である。すなわち、本体部6は、磁性体材料製である。本体部6の形状は、前後方向視において、円形の環状である。本体部6は、外周面60、内周面61、および2つの突出部62,63を備える。
なお、本発明において、本体部6は、磁性を有する合金(例えば、低炭素鋼、SUS430など)製でもよい。
外周面60の形状は、円筒状である。内周面61の形状は、略円筒状である。
内周面61のうち、一部(本実施の形態では、上端部)は、本体部6の径方向の内方(下方)へ向けて突出していて、突出部62を形成している。内周面61のうち、他の一部(本実施の形態では、右端部)は、本体部6の径方向の内方(左方)へ向けて突出していて、突出部63を形成している。すなわち、後方視において、突出部63は、突出部62から本体部6の周方向に沿って時計回り方向に90°回転した位置に配置されている。換言すれば、本体部6の周方向において、突出部62,63は、相互に90°離れた位置に配置されている。突出部62,63の形状は、突出方向が異なる点を除き、共通している。突出部62の端面(下端面)64は、前後方向および左右方向に平行な平面状であり、内周面61の一部を構成している。突出部63の端面(左端面)65は、前後方向および上下方向に平行な平面状であり、内周面61の一部を構成している。すなわち、内周面61は、端面64,65、および突出部62,63以外の面(以下「第1面66」という。)を備える。端面64,65は、本発明における第2面の一例である。
端面64,65の内接円IC1の半径は、回転軸32の半径よりも大きく、第1面66の半径よりも小さい。第1面66の半径は、回転軸32の半径よりも大きい。すなわち、内接円IC1の直径は、回転軸32の直径(外径)よりも大きく、第1面66の内径よりも小さい。換言すれば、内周面61は、回転軸32の半径よりも大きい半径を有する第1面66、および、第1面66の曲率中心との距離が第1面66の半径よりも小さい端面64,65を備える。したがって、回転軸32は、本体部6に挿通可能である。後方視において、内接円IC1は、外周面60および第1面66と同心円上に配置されている。第1面66の半径は、本発明における第1半径の一例である。
本体部6は、筐体31の後方に配置されていて、例えば、非磁性体材料(例えば、SUS304など)製のボルト(不図示)により、筐体31の後壁315の外面にスペーサ9を介して取り付けられている。回転軸32の後端部321および後端面323は、本体部6の内側に配置されている。後方視において、本体部6の外周面60(内接円IC1,第1面66)は、回転軸32の外周面322と同心円上に配置されている。すなわち、回転軸32は、本体部6(コイル部70)の周方向に回転するように、本体部6の内側に配置されている。前後方向において、回転軸32の後端面323は、本体部6の中央に配置されている。すなわち、本体部6の内周面61(端面64,65、第1面66)の前半部は、回転軸32の後端部321の外周面322に対向していて、同外周面322と離間して配置されている。換言すれば、回転軸32の径方向において、本体部6(突出部62,63)は、回転軸32の後端部321の外方に配置されている。また、回転軸32の周方向において、本体部6は、回転軸32の後端部321の外周面322の全周を覆っている。軸受33,34が摩耗していないとき、外周面322と端面64との間の間隔(以下「ギャップG1:図5参照。以下同じ。」という。)は、外周面322と端面65との間の間隔(以下「ギャップG2:図5参照。以下同じ。」という。)と同じである。
導線7は、電源81からの電流が導線7に流れることにより、回転軸32の振動を検知するために用いられる磁束を発生させる。導線7は、例えば、ポリイミド樹脂で被覆されている銅線である。導線7は、コイル部70および2つの引出部71,72を備える。
導線7の中央部は、本体部6の外周面60にコイル状に巻き回されていて、コイル部70を形成している。すなわち、本体部6の形状は、コイル部70の周方向に沿う円環状である。また、本体部6は、コイル部70の径方向において、コイル部70の内方に、コイル部70に当接して配置されている。後方視において、コイル部70は、回転軸32の外周面322と同心円上に配置されている。換言すれば、回転軸32は、回転軸32がコイル部70の周方向に回転するように、本体部6およびコイル部70の内側に配置されている。前後方向において、コイル部70の長さは、本体部6の長さよりも短い。
なお、本発明において、前後方向におけるコイル部70の長さは、本体部60の長さと同じでもよい。
導線7のうち、コイル部70を除く部分は、引出部71,72を形成している。引出部71,72は、例えば、絶縁性のチューブなどに覆われている。引出部71,72は、例えば、モータ部3の配線(不図示)と共に、気密性および耐圧性を有する公知の端子台などを介して筐体21の外側に引き出されている。
図4は、振動センサユニット5の回路構成図である。
以下の説明において、図1および図2は、適宜参照される。
回路基板8は、電子部品80(コンデンサC1、オペアンプOA1、およびA/D変換回路AD1)、電源81、および演算ユニット82を実装している公知のプリント配線基板である。すなわち、振動センサユニット5は、電子部品80、電源81、および演算ユニット82も備える。回路基板8は、引出部71に接続されている端子T1、および、引出部72に接続されている端子T2を備える。
オペアンプOA1の非反転入力は端子T1に接続されていて、同反転入力は接点P3を介して端子T2に接続されると共に、接地されている。端子T1(引出部71)と非反転入力との間には、接点P1を介して電源81の一端が接続されている。端子T2(引出部72)と反転入力との間には、接点P2を介して電源81の他端が接続されている。コンデンサC1は、電源81の一端(接点P1)と非反転入力との間に接続されている。オペアンプOA1の出力端子は、A/D変換回路AD1を介して、演算ユニット82に接続されている。
電源81は、コイル部70に直流の定電流を流す公知の定電流電源回路である。
以下の説明では、主に図2が参照される。
演算ユニット82は、回転軸32の振動に応じてコイル部70に生じた電圧の交流成分の変化に基づいて、回転軸32の振動を検出する。演算ユニット82は、例えば、CPU82aなどのプロセッサ、CPU82aの作業領域として機能するRAM82bなどの揮発性メモリ、および、検出プログラムなどの各種動作情報を記憶するROM82cなどの不揮発性メモリ、を備える。演算ユニット82は、取得部820、および振動検出部821を備える。
演算ユニット82では、回転軸32の振動を検出する検出プログラムが動作して、検出プログラムが振動センサユニット5のハードウェア資源と協働して、回転軸32の振動を検出している。また、演算ユニット82を構成しているプロセッサ(CPU82a)に検出プログラムを実行させることにより、検出プログラムは同プロセッサを取得部820、および振動検出部821として機能させて、同プロセッサに振動の検出方法を実行させることができる。同様に、コンピュータに検出プログラムを実行させることにより、検出プログラムは、コンピュータを振動センサユニット5として機能させることができる。
取得部820は、A/D変換回路AD1によりデジタル信号に変換された信号(後述される振動信号)を取得する。取得部820の具体的な動作は、後述される。
振動検出部821は、取得部820が取得した信号に基づいて、回転軸32の振動を検出する。振動検出部821の具体的な動作は、後述される。
スペーサ9は、本体部6の筐体31への取り付けを補助すると共に、筐体31が磁性体材料製であるときには本体部6から筐体31への磁束の漏れを防ぐ。スペーサ9は、例えば、SUS304などの被磁性体材料製である。スペーサ9の形状は、リング板状である。スペーサ9の前面9aは、例えば、筐体31の後面の形状に合わせた凹凸を有していて、スペーサ9の後面9bは平面状である。
なお、本発明において、筐体31が非磁性体材料製であるとき、振動センサユニット5は、スペーサ9を備えていなくてもよい。この場合、筐体31の後壁315の外面のうち、本体部6が当接する部分は、平面状であるとよい。
●振動の検出原理
次に、振動センサユニット5における回転軸32の振動の検出原理が説明される。本実施の形態では、振動センサユニット5は、回転軸32の径方向(ラジアル方向)における回転軸32の振動(以下「ラジアル振動」という。)、および、回転軸32の軸方向(スラスト方向)における回転軸32の振動(以下「スラスト振動」という。)を検出する。以下の説明において、図1~図4は、適宜参照される。
図5(a)は回転軸32のラジアル振動の一例を示す模式図であり、(b)は回転軸32のスラスト振動の一例を示す模式断面図である。
同図は、回転軸32の振動を二点鎖線で例示している。
導線7に電源81からの直流電流が流れると、コイル部70の周囲に磁場が形成される(磁界が発生する)。前述のとおり、本体部6は磁性体材料製であるため、この磁場における磁束のうち、大部分の磁束は、本体部6内に集中して通されている。また、同磁束のうち、一部の磁束は、回転軸32と突出部62,63との間のギャップG1,G2を介して回転軸32にも通されている。回転軸32がラジアル振動していないとき、回転軸32に通されている磁束の数はほぼ変化しない。一般的に、「N」巻きのコイルを貫く磁束が所定時間「Δt」の間に「ΔΦ」変化するとき、コイルに生じる誘導起電力「V」は、次式(1)で表される。
V=-N×(ΔΦ/Δt) (1)
すなわち、誘導起電力「V」は、磁束の変化(増減)が急になるにつれて大きくなり、磁束の変化が緩やかになるにつれて小さくなり、磁束の変化が無いと「0」になる。したがって、回転軸32がラジアル振動していないとき、コイル部70に生じる誘導起電力「V」は、ほぼ「0」である。
前述のとおり、回転軸32の周方向において、本体部6は、回転軸32の後端部321の全周を覆っている。回転軸32の周方向において、突出部62,63は、相互に90°離れた位置に配置されている。したがって、回転軸32がラジアル振動したとき、回転軸32は、極短時間のうちに突出部62および/または突出部63との接近と離間とを繰り返す。すなわち、ギャップG1および/またはギャップG2(以下、単に「ギャップG1,G2」という。)は、極短時間のうちに、増減(変化)する。このとき、ギャップG1,G2における磁気的な磁束の通り易さ(パーミアンス)が変化して、コイル部70のインダクタンスはその通り易さに応じて変化する。すなわち、コイル部70のインダクタンスは、ギャップG1,G2の増減に応じて変化する。つまり、例えば、回転軸32が突出部62,63に接近するにつれて(ギャップG1,G2が減少したとき)、ギャップG1,G2における磁束は、通り易くなる。このとき、回転軸32に通される磁束が増加して、コイル部70に鎖交する磁束は変化(増加)する。一方、例えば、回転軸32が突出部62,63から離間するにつれて(ギャップG1,G2が増加したとき)、ギャップG1,G2における磁束は、通り難くなる。このとき、回転軸32に通される磁束が減少して、コイル部70に鎖交する磁束は変化(減少)する。この磁束の通り易さの時間変化に応じて、コイル部70に生じる誘導起電力が変化して、コイル部70には誘導起電力に応じた誘導電流が流れる。
式(1)に示されるとおり、誘導起電力の大きさは、磁束の変化率に対応(比例)している。すなわち、誘導起電力は、磁束の変化率が大きくなるにつれて大きくなり、磁束の変化率が小さくなるにつれて小さくなる。換言すれば、誘導起電力の発生によりコイル部70に流れる誘導電流の電圧は、回転軸32の変位の速度(振動の速度)、すなわち、単位時間当たりの変位(振動)の大きさが大きくなるにつれて大きくなり、回転軸32の変位の速度(振動の速度)、すなわち、単位時間当たりの変位(振動)の大きさが小さくなるにつれて小さくなる。また、式(1)に示されるとおり、誘導起電力は、磁束の変化を打ち消す方向に発生する。そのため、誘導起電力の正負は、ラジアル振動の周期に対応する周期で入れ替わる。したがって、誘導電流の電圧はラジアル振動に応じた交流成分を含んでいて、その電圧値はラジアル振動の大きさを示している。換言すれば、ラジアル振動によりコイル部70に生じる誘導電流は、ラジアル振動の速度(交流成分の変化)を示す振動信号として機能している。このとき、導線7の両端(端子T1,T2間)には、直流電流と導線7の抵抗分とが乗算された直流電圧も生じているが、この直流電圧はコンデンサC1によりオペアンプOA1へは伝達されない。
次に、回転軸32がスラスト振動していないとき、回転軸32の外周面322が本体部6の内周面61と対向している面積(以下「対向面積A1」という。)は、一定である。一方、回転軸32がスラスト振動しているとき、極短時間のうちに、回転軸32は前後方向に変位して、回転軸32の後端面323は本体部6の内側で前後方向に変位(進退)する。このとき、対向面積A1は、回転軸32(後端面323)の変位に応じて増減する。すなわち、例えば、回転軸32が後方へ変位したとき対向面積A1は増加して、回転軸32が前方へ変位したとき対向面積A1は減少する。この対向面積A1の増減に応じて、回転軸32に通されている磁束は、変化する。すなわち、例えば、対向面積A1が増加するにつれて、回転軸32に通される磁束は増加して、コイル部70に鎖交する磁束は変化(増加)する。一方、例えば、対向面積A1が減少するにつれて、回転軸32に通される磁束は減少して、コイル部70に鎖交する磁束は変化(減少)する。この対向面積A1の時間変化に応じて、コイル部70に生じる誘導起電力が変化して、コイル部70には誘導起電力に応じた電流(振動信号)が流れる。その結果、ラジアル振動の場合と同様に、スラスト振動によりコイル部70に生じる誘導電流は、スラスト振動の速度(交流成分の変化)を示す振動信号として機能している。
このように、振動センサユニット5は、振動に起因するセンシング部の物理的な歪み(変位)に基づいて振動を検出するのではなく、電磁誘導を用いた電気的な変位に基づいて振動源とは非接触で振動を検出している。そのため、振動センサユニット5では、センシング部自体への回転軸32の振動の伝達が不要となる。そのため、振動センサユニット5では、目的外(回転軸32の振動以外)の振動を検出し難く、目的外の振動に起因する誤検出、および、振動に起因するセンシング部の故障も生じ難い。また、センシング部は、コイル(コイル部70)とヨーク(本体部6)のみで構成されている。そのため、センシング部は、極低温から高温までの幅広い温度範囲で使用可能であり、故障も生じ難い。
また、本体部6が突出部62,63を備えることにより、回転軸32が端面64,65に近づくように振動したとき、コイル部70に誘導起電力が生じ易くなる。したがって、振動検出部821による振動の検出感度は、本体部6が突出部62,63を備えていない場合の振動の検出感度に比べて、向上する。
なお、本発明において、ラジアル振動およびスラスト振動は、共にコイル部70に生じる誘導起電力の電圧の交流成分の変化に基づいて検出される。そのため、振動センサユニット5では、ラジアル振動およびスラスト振動を検出可能であるが、その振動がラジアル振動かスラスト振動かの判定は容易ではない。
●ポンプ装置(1)の動作
次に、ポンプ装置1の動作が、振動センサユニット5の動作を中心に以下に説明される。以下の説明において、図1~図5は、適宜参照される。
ポンプ装置1が動作しているとき、回転軸32は、ロータ35の回転と共に回転している。電源81は、導線7(コイル部70)に直流の定電流を流している。軸受33,34が摩耗しておらず、回転軸32が振動していないとき、コイル部70には誘導起電力が生じていない。
次に、軸受33,34が摩耗していて、回転軸32が振動(ラジアル振動および/またはスラスト振動)しているとき、コイル部70には、同振動に応じた誘導起電力が生じていて、誘導電流(振動信号)が流れている。このとき、コンデンサC1は、電源81からの直流電流(定電流)のオペアンプOA1への流入を阻止している。その結果、オペアンプOA1には振動信号のみが流れて、オペアンプOA1は振動信号に含まれる電圧の交流成分の変化を増幅して出力する。オペアンプOA1からの出力(増幅された振動信号)は、A/D変換回路AD1でデジタル信号に変換されて、演算ユニット82に入力されて、取得部820に取得される。
振動検出部821は、取得部820により取得された振動信号(電圧の交流成分の変化を示す信号)に基づいて、回転軸32の振動を検出する。具体的には、振動検出部821は、所定期間(例えば、数秒)における振動信号に基づいて、電圧の変化率を取得する。前述のとおり、誘導起電力の大きさは、磁束の変化率、すなわち、回転軸32の変位の変化率に対応している。そのため、振動検出部821は、電圧の変化率を取得することにより、回転軸32の変位の変化率を間接的に取得できる。また、前述のとおり、誘導起電力は、回転軸32が振動しなければ生じない。そのため、振動検出部821は、例えば、振動信号の電圧値が所定の閾値以上か否かを判定することにより、回転軸32の振動の有無を判定して、同振動を検出できる。
次いで、振動検出部821は、取得した電圧の変化率に基づいて、回転軸32の振動情報(振動の周期、加速度、および変位量)を取得する。具体的には、振動検出部821は、例えば、電圧の変化率に対して公知のFFT処理およびフィルタ処理を施すことにより、回転軸32の振動の周期を取得する。また、振動検出部821は、例えば、公知の微分処理を用いて電圧の変化率を時間で微分することにより、回転軸32の振動の加速度を取得する。さらに、振動検出部821は、例えば、公知の積分処理を用いて電圧の変化率を時間で積分することにより、回転軸32の振動の変位量を取得する。取得された振動情報は、例えば、記憶部4dに記憶される。
ここで、例えば、回転軸32の振動の要因が軸受33,34のボールの一部の破損であるとき、回転軸32は、破損したボールの位置に対応して小さな周期で振動する。また、回転軸32の振動の要因が軸受33,34の正常な摩耗であるとき、回転軸32の振動は、ボールの破損時の周期よりも大きな周期で振動する。このように、回転軸32の振動の周期は、回転軸32の振動の要因の予測に寄与し得る情報である。したがって、予め、振動の周期と振動の要因との相関関係が特定されていれば、ポンプ装置1は、回転軸32の振動の周期に基づいて、回転軸32の振動の要因を特定可能である。
また、ポンプ装置1は、回転軸32の振動の加速度に基づいて、回転軸32の振動の要因が軸受33,34の損傷(加速度は大きい傾向となる)であるか、軸受33,34の摩耗(加速度は小さい傾向となる)であるか、を推定可能である。
さらに、ポンプ装置1は、回転軸32の振動の変位量に基づいて、軸受33,34の摩耗量を推定可能である。したがって、ポンプ装置1は、例えば、インジケータなどの表示機器(不図示)を用いて、軸受33,34の摩耗量を表示可能である。
さらにまた、本体部6は、前後方向視(回転軸32の軸方向視)において、ステータ36(ステータコア360およびモータ巻線361)と略同心円上に配置されていて、前後方向において、ステータ36よりも後方に配置されている。この構成では、仮に、ステータ36の回転磁界から磁束の漏れ(回転磁束)が生じていても、同漏れは回転軸32の周方向に沿って回転していて、本体部6も同周方向に沿う環状である。そのため、同周方向において、同漏れがコイル部70を横切る総量は変わらず、コイル部70は同漏れに基づく誘導起電力を生じさせ難い(漏れに基づくノイズが生じ難い)。
●まとめ(1)
以上説明された実施の形態によれば、振動センサユニット5は、本体部6、導線7、および振動検出部821を備える。本体部6は磁性体材料製であり、本体部6の形状は回転軸32が挿通可能な円環状である。導線7は、本体部6の外周面60にコイル状に巻き回される1つのコイル部70を備える。回転軸32は、導電性を有する磁性体材料製であり、回転軸32の周方向(回転方向)に沿う円筒状の外周面322を備える。回転軸32は、本体部6(コイル部70)の周方向に回転するように本体部6の内側に配置されている。本体部6の内周面61は、回転軸32の外周面322と離間して配置されていて、同外周面322と直接対向している。振動検出部821は、導線7(コイル部70)に生じる電圧の交流成分の変化に基づいて、回転軸32の振動を検出する。この構成によれば、回転軸32がラジアル振動したとき、回転軸32の外周面322と本体部6の内周面61との間隔は、極短時間のうちに、増減(変化)する。このとき、コイル部70に生じる誘導起電力が変化して、コイル部70には誘導起電力に応じた誘導電流(振動信号)が流れる。コイル部70に流れる誘導電流の電圧はラジアル振動に応じた交流成分を含んでいて、その電圧値はラジアル振動の速度を示している。振動検出部821は、例えば、振動信号の電圧値が所定の閾値以上か否かを判定することにより、回転軸32の振動の有無を判定して、同振動を検出できる。また、振動検出部821は、取得した電圧の変化率に基づいて、回転軸32の振動情報(振動の周期、加速度、および変位量)を取得できる。このように、振動センサユニット5は、振動に起因するセンシング部の物理的な歪み(変位)に基づいて振動を検出するのではなく、電磁誘導を用いた電気的な変位に基づいて振動を検出している。そのため、振動センサユニット5では、センシング部自体への回転軸32の振動の伝達が不要となる。したがって、振動センサユニット5では、目的外(回転軸32の振動以外)の振動は検出し難く、目的外の振動に起因する誤検出、および、振動に起因するセンシング部の故障も生じ難い。また、センシング部は、コイル(コイル部70)とヨーク(本体部6)のみで構成されている。そのため、センシング部は、極低温から高温までの幅広い温度範囲で使用可能であり、温度に起因する故障も生じ難い。このように、本発明では、幅広い温度範囲で使用可能であり、振動および温度に起因する故障が生じ難い振動センサユニット5(モータ部3、ポンプ装置1)が実現できる。
また、以上説明された実施の形態によれば、本体部6の内周面61は、回転軸32の半径よりも大きい第1半径を有する第1面66、および、第1面66の曲率中心との距離が第1半径よりも小さい端面64,65を備える。本体部6(コイル部70)の周方向において、端面64,65は、相互に90°離れた位置に配置されている。この構成によれば、端面64,65と外周面322との間の間隔(ギャップG1,G2)が、第1面66と外周面322との間の間隔よりも小さい。そのため、回転軸32が端面64,65に近づくように振動したとき、コイル部70に誘導起電力が生じ易くなる。したがって、振動検出部821による振動の検出感度は、本体部6が突出部62,63を備えていない場合の振動の検出感度に比べて、向上する。
さらに、以上説明された実施の形態によれば、本体部6は、本体部6(コイル部70)の径方向において、内周面61の一部が内方に向けて突出する突出部62,63を備える。端面64は突出部62に配置されていて、端面65は突出部63に配置されている。この構成によれば、内周面61に突出部62,63を形成するだけで、振動検出部821による振動の検出感度は、容易に向上する。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、回転軸32は、回転軸32の径方向に平行で、回転軸32の外周面322に対して直角な後端面323を備える。回転軸32は、本体部6(コイル部70)周方向に回転するように、本体部6の内側に配置されている。後端面323は、本体部6の内側に配置されている。この構成によれば、回転軸32が後方へ変位したとき対向面積A1は増加して、回転軸32が前方へ変位したとき対向面積A1は減少する。この対向面積A1の増減に応じて、回転軸32に通されている磁束は、変化する。この対向面積A1の時間変化に応じて、コイル部70に生じる誘導起電力が変化して、コイル部70には誘導起電力に応じた電流(振動信号)が流れる。コイル部70に流れる誘導電流の電圧はスラスト振動に応じた交流成分を含んでいて、その電圧値はスラスト振動の速度を示している。振動検出部821は、例えば、振動信号の電圧値が所定の閾値以上か否かを判定することにより、回転軸32の振動の有無を判定して、同振動を検出できる。また、振動検出部821は、取得した電圧の変化率に基づいて、回転軸32の振動情報(振動の周期、加速度、および変位量)を取得できる。このように、この構成によれば、振動センサユニット5は、ラジアル振動を検出する構成により、スラスト振動も検出できる。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、回転軸32は磁性体材料製であり、電源81はコイル部70に直流の定電流を流す定電流電源回路である。この構成によれば、コイル部70の周囲に容易に磁場が形成できる。そして、コイル部70に流れる定電流は、回転軸32が振動していないときは本体部6および回転軸32に安定した磁束を通して、回転軸32が振動しているときは振動に応じた磁束の変化を生じさせる。この磁束の変化に基づいてコイル部70に誘導起電力が生じて、振動検出部821は導線7(コイル部70)に生じる電圧の交流成分の変化に基づいて回転軸32の振動を検出できる。
●ポンプ装置(2)●
次に、ポンプ装置の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)が、先に説明された実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。第2実施形態では、振動センサユニットの構成が第1実施形態と異なる。以下の第2実施形態の説明において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通している機能を有する部材には、特に明示されている場合を除き、第1実施形態と同じ符号が付されていて、その説明は省略されている。
●ポンプ装置(2)の構成
図6は、ポンプ装置の第2実施形態を示す模式断面図である。
同図は、取扱液の流れを白抜き矢印で示している。同図は、説明の便宜上、ポンプ装置1Aを簡略化して示している。
ポンプ装置1Aは、取扱液(例えば、水)の送液に用いられる。ポンプ装置1Aは、ポンプ部2、モータ部3、制御装置4、および振動センサユニット5Aを有してなる。
●振動センサユニット(2)●
●振動センサユニット(2)の構成
図7は、振動センサユニット5Aの一部の構成(本体部6および後述される導線7A)の図6のC矢視における模式背面図である。
同図は、本体部6および導線7Aの模式背面図、および、振動センサユニット5Aの機能ブロック図を示している。同図は、説明の便宜上、回転軸32も図示している。
図8は、図7に示されている構成(本体部6および導線7A)のDD線における模式断面図である。
同図は、説明の便宜上、回転軸32も非断面で図示している。以下の説明において、図6は、適宜参照される。
振動センサユニット5Aは、本体部6、導線7A、回路基板8A(電子部品80A、電源81A、および演算ユニット82A)、およびスペーサ9を備える。本体部6および導線7Aは、回転軸32の振動に対応する信号(後述される誘導電流)を生成するセンシング部を構成している。回路基板8A(電子部品80A、電源81A、および演算ユニット82A)は、センシング部に電流を流すと共に、センシング部により生成された信号に所定の信号処理を実行して、回転軸32の振動および導線7Aの温度を検出する信号処理部を構成している。振動センサユニット5Aにおいて、導線7Aおよび回路基板8Aの構成が、第1実施形態の振動センサユニット5とは異なる。
本体部6は、外周面60、内周面61、および2つの突出部62,63を備える。
導線7Aは、コイル部70A、2つの引出部71,72、および中間引出部73を備える。導線7Aのうち、コイル部70Aおよび2つの引出部71,72は、2種の導線701,702により構成されている。具体的には、コイル部70Aの半部および引出部71は導線701で構成されていて、コイル部70Aの他の半部および引出部72は導線702で構成されている。導線702は、導線701と共に1本の導線7Aを形成するように、導線701と接続点7P(図9参照。以下同じ。)で接続されている。導線701の長さは、導線702の長さと同じである。
導線701は、例えば、ポリイミド樹脂で被覆されている銅線である。導線702は、例えば、ポリイミド樹脂で被覆されているニッケル線である。すなわち、導線701は銅を主成分として含んでいて、導線702はニッケルを主成分として含んでいる。銅は本発明における第1金属の一例であり、ニッケルは本発明における第2金属の一例である。
なお、本発明において、導線701,702のうち、一方が抵抗値の温度変化率(抵抗温度係数)が比較的小さい金属製、他方が抵抗値の温度変化率が比較的大きい金属製であればよく、導線701,702の主成分は、銅およびニッケルに限定されない。
導線7の中央部は、本体部6の外周面60にコイル状に巻き回されていて、コイル部70Aを形成している。コイル部70Aのうち、コイル部70Aの半部は導線701により形成されている第1コイル部74であり、コイル部70Aの他の半部は導線702により形成されている第2コイル部75である。すなわち、第1コイル部74の両端部のうち、一方の端部は接続点7Pであり、他方の端部は引出部71に連続している。第2コイル部75の両端部のうち、一方の端部は接続点7Pであり、他方の端部は引出部72に連続している。第1コイル部74は外周面60に直接巻き回されていて、第2コイル部75は第1コイル部74に巻き回されている。つまり、コイル部70Aは、第1コイル部74および第2コイル部75により2重に巻き回されている。コイル部70Aの周方向において、第1コイル部74は、第2コイル部75と同じ方向に巻き回されている。このように、コイル部70Aは、第1コイル部74および第2コイル部75を備える。
中間引出部73は、例えば、ポリイミド樹脂で被覆されている銅線である。中間引出部73は、接続点7Pに接続されていて、引出部71,72と同様に、端子台などを介して回路基板8Aまで引き出されている。
なお、本発明において、中間引出部73は、導線701または導線702と一体に構成されていてもよい。この場合、導線701または導線702は、中間引出部73と第1コイル部74または第2コイル部75との境界部分に接続されている。この構成でも、中間引出部73は、導線701と導線702との接続点7Pに接続されている。
また、本発明において、コイル部70Aは、2重に巻き回されていなくてもよい。すなわち、例えば、前後方向において、コイル部70Aのうち、前半部が第1コイル部74で構成されていて、後半部が第2コイル部75で構成されていてもよい。
図9は、振動センサユニット5Aの回路構成図である。
以下の説明において、図6~図8は、適宜参照される。
回路基板8Aは、電子部品80A(コンデンサC1,C2、抵抗R1,R2、オペアンプOA1,OA2、およびA/D変換回路AD1)、電源81A、および演算ユニット82Aを実装している公知のプリント配線基板である。回路基板8Aは、端子T1,T2、および、中間引出部73に接続されている端子T3を備える。
オペアンプOA1の非反転入力は端子T1に接続されていて、同反転入力は端子T2に接続されている。オペアンプOA2の非反転入力は端子T1に接続されていて、同反転入力は接点P14を介して端子T2およびオペアンプOA1の反転入力に接続されている。端子T1(引出部71)と各非反転入力との間には、接点P11を介して電源81A(後述される第1電源810)の一端が接続されている。端子T2(引出部72)と各反転入力との間には、接点P12を介して電源81A(後述される第2電源811)の他端が接続されている。第1電源810の他端および第2電源811の一端は、接点P15を介して端子T3に接続されると共に、接地されている。コンデンサC1は、接点P13を介して電源81Aの一端とオペアンプOA1の非反転入力との間に接続されている。コンデンサC2は、接点P14を介して電源81Aの他端とオペアンプOA1の反転入力との間に接続されている。抵抗R1の一端は、接点P16を介してコンデンサC1とオペアンプOA2の非反転入力との間に接続されている。抵抗R2の一端は、接点P17を介してコンデンサC2とオペアンプOA2の反転入力との間に接続されている。抵抗R1,R2の他端は、接点P18を介して接地されている。
電源81Aは、第1コイル部74に直流の定電流を流す第1電源810、および、第2コイル部75に直流の定電流を流す第2電源811を備える。第1電源810および第2電源811は、公知の定電流電源回路である。第1電源810および第2電源811の他端は、端子T3に接続されると共に、接地されている。
以下の説明では、主に図7が参照される。
演算ユニット82Aは、回転軸32の振動に応じてコイル部70Aに生じた電圧の交流成分の変化に基づいて、回転軸32の振動を検出する。演算ユニット82Aは、例えば、CPU82aなどのプロセッサ、CPU82aの作業領域として機能するRAM82bなどの揮発性メモリ、および、検出プログラムなどの各種動作情報を記憶するROM82cなどの不揮発性メモリ、を備える。演算ユニット82Aは、取得部820、振動検出部821、および温度検出部822を備える。
演算ユニット82Aでは、回転軸32の振動およびコイル部70Aの温度を検出する検出プログラムが動作して、検出プログラムが振動センサユニット5Aのハードウェア資源と協働して、回転軸32の振動およびコイル部70Aの温度を検出している。また、演算ユニット82Aを構成しているプロセッサ(CPU82a)に検出プログラムを実行させることにより、検出プログラムは同プロセッサを取得部820、振動検出部821、および温度検出部822として機能させて、同プロセッサに振動の検出方法および温度の検出方法を実行させることができる。同様に、コンピュータに検出プログラムを実行させることにより、検出プログラムは、コンピュータを振動センサユニット5とAとして機能させることができる。
取得部820は、A/D変換回路AD1によりデジタル信号に変換された信号(振動信号および後述される温度信号)を取得する。取得部820の具体的な動作は、後述される。
温度検出部822は、取得部820が取得した信号(後述される温度信号)に基づいて、コイル部70Aの温度を検出する。温度検出部822の動作は、後述される。
●振動の検出原理
第2実施形態では、第1コイル部74および第2コイル部75が1つのコイル部70Aとして取り扱われて、振動が検出される。すなわち、振動検出部821は、第1実施形態と同様に、コイル部70Aに生じる誘導起電力に基づいて、回転軸32の振動を検出している。そのため、第2実施形態における振動の検出原理の詳細は、省略される。
●温度の検出原理
次に、振動センサユニット5Aにおけるコイル部70Aの温度の検出原理が説明される。本実施の形態では、振動センサユニット5Aは、第1コイル部74および第2コイル部75の温度を検出することにより、コイル部70Aの温度(すなわち、コイル部70Aの周囲環境の温度)を検出する。以下の説明において、図9は、適宜参照される。
導線701に第1電源810からの直流電流が流れると、第1コイル部74の両端部(引出部71および中間引出部73)の間には、第1コイル部74の抵抗値に対応する電位差が生じる。同様に、導線702に第2電源811からの直流電流が流れると、第2コイル部75の両端部(引出部72および中間引出部73)の間には、第2コイル部75の抵抗値に対応する電位差が生じる。ここで、第1コイル部74および第2コイル部75の材質は、既知である。また、第1コイル部74および第2コイル部75の抵抗値は、第1コイル部74および第2コイル部75の温度に依存する。そのため、第1コイル部74および第2コイル部75の温度は、第1コイル部74および第2コイル部75の抵抗値から導き出すことができる。また、導線701,702に流れる電流は、定電流である。そのため、導線701(第1コイル部74)の抵抗値は、導線701を流れる電流の電圧値(第1コイル部74の両端部の間の電位差)から導き出すことができる。同様に、導線702(第2コイル部75)の抵抗値は、導線702を流れる電流の電圧値(第2コイル部75の両端部の間の電位差)から導き出すことができる。したがって、導線701の温度は第1コイル部74の両端部の間の電位差に基づいて検出できて、導線702の温度は第2コイル部75の両端部の間の電位差に基づいて検出できる。このように、ポンプ装置1Aでは、コイル部70Aの温度の検出に必要な専用部品を必要とすることなく、回転軸32の振動と共にコイル部70Aの温度も検出できる。ここで、温度の検出に用いられる電流は、電源81Aからの直流の電流である。
●ポンプ装置(2)の動作
次に、ポンプ装置1Aの動作が、振動センサユニット5Aの動作を中心に以下に説明される。ポンプ装置1Aの動作のうち、振動の検出は第1実施形態のポンプ装置1の動作と同じである。そのため、以下の説明では、温度の検出を中心に、ポンプ装置1Aの動作が説明される。以下の説明において、図6~図9は、適宜参照される。
ポンプ装置1Aが動作しているとき、回転軸32は、ロータ35の回転と共に回転している。電源81Aは、導線7A(コイル部70)に直流の定電流を流している。
オペアンプOA2の非反転入力には導線701を流れる定電流の電圧値(第1コイル部74の両端部の電位差)が入力されていて、同反転入力には導線702を流れる定電流の電圧値(第2コイル部75の両端部の間の電位差)が入力されている。オペアンプOA2は、2つの電圧値(各両端部の間の電位差)の差分値を増幅して、第1コイル部74の両端部の間の電位差と第2コイル部75の両端部の間の電位差との差分値を示す信号(以下「温度信号」という。)をA/D変換回路AD1に出力する。温度信号は、A/D変換回路AD1でデジタル信号に変換されて、演算ユニット82に入力されて、取得部820に取得される。
差分値と温度との相関関係は、テーブルまたは関数として、予め求められていて、例えば、ROM82cに記憶されている。温度検出部822は、取得部820が取得した温度信号、および、ROM82cに記憶されている相関関係に基づいて、コイル部70Aの温度(すなわち、コイル部70Aの周囲環境の温度)を検出する。検出された温度は、例えば、記憶部4dに記憶される。
なお、本発明において、演算ユニット82Aはフラッシュメモリなどの情報記憶媒体を備えていて、相関関係および検出された温度は情報記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、コイル部70の温度は、第1コイル部74の両端部の間の電位差、または、第2コイル部75の両端部の間の電位差、のみからでも検出できる。すなわち、導線7Aが第1実施形態の導線7と同様に1種の金属線で構成されていても、コイル部70Aの温度は検出できる。しかしながら、一般的に、金属の抵抗値の温度変化率は、極低温度環境下(例えば、液化天然ガスの送液環境下など)では極端に小さくなる傾向にある。そのため、仮に、導線7Aが1種の金属線のみで構成されていると、極低温度環境下において、抵抗値の変化に対する温度の変化量が大きくなり、温度の検出結果に誤差が生じ得る。そのため、第2実施形態では、コイル部70Aに2種の金属線が用いられていて、温度検出部822は、2種の金属線の温度に対する抵抗値の差分を利用して、極低温度環境下における温度の検出精度を向上させている。
●まとめ(2)
以上説明された実施の形態によれば、振動センサユニット5Aは、本体部6、導線7A、および振動検出部821を備える。この構成によれば、振動センサユニット5Aでは、第1実施形態の振動センサユニット5と同様に、センシング部自体への回転軸32の振動の伝達が不要となる。そのため、振動センサユニット5Aでは、目的外(回転軸32の振動以外)の振動を検出し難く、目的外の振動に起因する誤検出、および、振動に起因するセンシング部の故障も生じ難い。また、センシング部は、コイル(コイル部70A)とヨーク(本体部6)のみで構成されている。そのため、センシング部は、極低温から高温までの幅広い温度環境下で使用可能であり、故障も生じ難い。このように、本発明では、幅広い温度範囲で使用可能であり、振動および温度に起因する故障が生じ難い振動センサユニット5Aが実現できる。
また、以上説明された実施の形態によれば、本体部6の内周面61は、第1面66、および端面64,65を備える。本体部6(コイル部70A)の周方向において、端面64,65は、相互に90°離れた位置に配置されている。この構成によれば、振動検出部821による振動の検出感度は、本体部6が突出部62,63を備えていない場合の振動の検出感度に比べて、向上する。
さらに、以上説明された実施の形態によれば、本体部6は、突出部62,63を備える。端面64は突出部62に配置されていて、端面65は突出部63に配置されている。この構成によれば、内周面61に突出部62,63を形成するだけで、振動検出部821による振動の検出感度は、容易にできる。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、回転軸32は、本体部6の内側に配置されている後端面323を備える。この構成によれば、振動センサユニット5Aは、第1実施形態の振動センサユニット5と同様に、ラジアル振動を検出する構成により、スラスト振動も検出できる。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、回転軸32は磁性体材料製であり、電源81Aはコイル部70Aに直流の定電流を流す定電流電源回路である。この構成によれば、磁束の変化に基づいてコイル部70Aに誘導起電力が生じて、振動検出部821は導線7A(コイル部70A)に生じる電圧の交流成分の変化に基づいて回転軸32の振動を検出できる。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、振動センサユニット5Aは、コイル部70Aの両端部の電位差に基づいて、コイル部70Aの温度を検出する温度検出部822を備える。この構成によれば、振動センサユニット5Aは、回転軸32の振動を検出するセンシング部を用いて、コイル部70Aの温度を検出できる。
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、導線7Aは、中間引出部73、第1コイル部74、および第2コイル部75を備える。第1コイル部74は銅線であり、第2コイル部75はニッケル線である。第2コイル部75は、第1コイル部74と同じ方向に巻き回されていて、第1コイル部74と連続するように接続点7Pで接続されている。中間引出部73は、接続点7Pに接続されている。温度検出部822は、第1コイル部74の両端部の電位差と、第2コイル部75の両端部の電位差と、の差分を示す信号(すなわち、温度信号)に基づいて、第1コイル部74の温度と、第2コイル部75の温度と、を検出する。この構成によれば、2種の金属線の温度に対する抵抗値の差分を利用することにより、極低温度環境下における温度の検出精度が向上する。その結果、振動センサユニット5Aは、極低温度環境下までの幅広い温度範囲で、コイル部70Aの温度の検出にも利用できる。
●変形例●
次に、ポンプ装置1,1Aの変形例が、第1実施形態および第2実施形態と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例の説明において、説明の便宜上、第1実施形態および第2実施形態と同じ部材、および、共通している機能を有する部材には、特に明示されている場合を除き、第1実施形態および第2実施形態と同じ符号が付されていて、その説明は省略されている。また、以下の変形例において、図1、図2および図6は、適宜参照される。
●第1変形例
図10は、ポンプ装置の第1変形例を示す回路構成図である。
同図は、第1変形例に係るポンプ装置1Bが備える振動センサユニット5Bの回路構成図を示している。ポンプ装置1Bでは、回転軸32の材質、振動センサユニット5B(振動センサユニット5Bが備える電子部品80B)の構成、および電源81Bが第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
ポンプ装置1Bにおいて、回転軸32は、導電性を有する非磁性体材料製である。振動センサユニット5Bは、電子部品80Bとして、3つのコンデンサC3,C4、2つのダイオードD1,D2により構成されている倍電圧回路、および電源81Bと端子T1との間に接続されるコンデンサC5を備える。倍電圧回路は、回路基板8Bに実装されていて、電源81とオペアンプOA1との間に接続されている。電源81Bは、交流の定電流を導線7に流す定電流電源回路である。この構成では、コイル部70に流れる定電流により、回転軸32に渦電流が生じている。その結果、回転軸32と本体部6(突出部62,63)との距離の変化に基づいて、コイル部70に誘導起電力が生じる。誘導起電力の大きさは、ギャップG1,G2の大きさに比例する。このように、振動センサユニット5Bは、振動に応じた磁束の変化を検出して、同変化に基づいて回転軸32の振動を検出できる。また、コイル部70に生じた信号の電圧は、倍電圧回路により整流されて、倍増される。その結果、振動センサユニット5Bによる回転軸32の振動の検出精度は、向上する。
●第2変形例
図11は、ポンプ装置の第2変形例を示す模式断面図である。
同図は、第2変形例に係るポンプ装置1Cが備える振動センサユニット5Cの構成の一部(本体部6および導線7)の図3と同様の模式断面図を示している。同図は、説明の便宜上、ポンプ装置1Cが備える回転軸32Cを非断面で図示している。ポンプ装置1Cでは、回転軸32Cの形状が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
ポンプ装置1Cにおいて、回転軸32Cは、小径部324および大径部325を備える。回転軸32Cの後部は、縮径されていて、小径部324を形成している。回転軸32Cのうち、小径部324よりも前側の部分は、大径部325を形成している。小径部324の外径は、大径部325の外径よりも小さい。大径部325の後端面326は、上下方向および左右方向に平行なリング板状の面であり、大径部325の外周面322に対して直角な端面である。回転軸32Cは、本体部6に挿通されている。前後方向において、大径部325の後端面326は、本体部6の中央に配置されている。後端面326は、本発明における回転軸の端面の一例である。この構成では、振動センサユニット5Cは、後端面323に代えて、後端面326の位置に基づいて、スラスト振動を検出する。
なお、第2変形例において、回転軸32Cは本体部6に挿通されているため、本体部6の位置は筐体31の後方に限定されない。すなわち、例えば、本体部6は、筐体31に収容されていてもよい。この場合、回転軸32Cは、筐体31の後方に突出していなくてもよい。
●第3変形例
図12は、ポンプ装置の第3変形例を示す模式背面図である。
同図は、第3変形例に係るポンプ装置1Dが備える振動センサユニット5Dの構成の一部(本体部6および導線7)の図2と同様の模式背面図、および、信号処理部の機能ブロック図を示している。同図は、説明の便宜上、ポンプ装置1Dが備える回転軸32Dも図示している。
図13は、図12の本体部6および導線7のEE線における模式断面図である。
同図は、説明の便宜上、回転軸32Dも断面で図示している。ポンプ装置1Dでは、回転軸32Dの形状、および、振動センサユニット5D(振動センサユニット5Dが備える演算ユニット82D)の構成が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
ポンプ装置1Dにおいて、回転軸32Dは、複数(第3変形例では、3つ)の凹部327を備える。回転軸32Dの径方向において、回転軸32Dの外周面322のうち、後端部321の一部は、内方へ凹んでいて、凹部327を形成している。凹部327の形状は、回転軸32Dの軸方向に沿う矩形溝状である。回転軸32Dの周方向において、凹部327は、等角度間隔(第3変形例では、120°間隔)で配置されている。凹部327は、本体部6の内側に配置されている。凹部327は、本発明における軸凹部の一例である。演算ユニット82Dは、回転数検出部823を備える。回転数検出部823は、回転軸32Dの回転に伴い、各凹部327が周期的に突出部62,63に最接近することによりコイル部70に生じる周期的な誘導起電力の電圧の変動に基づいて、回転軸32Dの回転数を検出する。この構成では、振動センサユニット5Dは、回転数の検出に必要な専用部品を必要とすることなく、回転軸32Dの振動と共に回転数も検出できる。
なお、第3変形例において、回転軸32Dは、凹部327に代えて、回転軸32Dの径方向の外方に向けて突出する凸部を備えていてもよい。この場合、凸部の形状は、例えば、凹部327を反転させた直方体状である。凸部は、本発明における軸突出部の一例である。
また、第3変形例において、凹部327の数は、突出部62,63の数と同じでもよい。
●第4変形例
図14は、ポンプ装置の第4変形例を示す回路構成図である。
同図は、第4変形例に係るポンプ装置1Eが備える振動センサユニット5Eの回路構成図を示している。ポンプ装置1Eでは、振動センサユニット5Eがコイル部70の温度を検出する構成を備える点が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
ポンプ装置1Eにおいて、振動センサユニット5Eは、電子部品80Eとして、抵抗R1、およびオペアンプOA2を備えると共に、演算ユニット82Eを備える。電源81の一端は、接点P31を介して、端子T1、オペアンプOA1の非反転入力、およびオペアンプOA2の非反転入力に接続されている。電源81の他端は、接点P2を介して端子T2に接続されると共に、接地されている。オペアンプOA1の非反転入力とオペアンプOA2の非反転入力との間には、接点P34を介してコンデンサC1が接続されている。抵抗R1の一端は接点P34を介してコンデンサC1とオペアンプOA1の非反転入力との間に接続されていて、抵抗R2の他端は接地されている。オペアンプOA1,OA2の反転入力は、接地されている。演算ユニット82Eの構成は、第2実施形態の演算ユニット82Aの構成と同じである。この構成では、振動検出部821は、第1実施形態の振動センサユニット5と同様に、コイル部70に生じる誘導起電力に基づいて、回転軸32の振動を検出できる。また、温度検出部822は、振動センサユニット5Aと同様に、コイル部70の両端部の間の電位差に基づいて、コイル部70の温度を検出できる。第4変形例では、コイル部70は1種の金属線で構成されている。そのため、振動センサユニット5Eの温度の検出精度は、極低温度環境下では第2実施形態の振動センサユニット5Aの検出精度よりも低下するが、他の温度(特に常温以上)環境下では振動センサユニット5Aに近似し得る。
●第5変形例
図15は、ポンプ装置の第5変形例を示す模式背面図である。
同図は、第5変形例に係るポンプ装置1Fが備える振動センサユニット5Fの構成の一部(本体部6Fおよび導線7)の図2と同様の模式背面図を示している。ポンプ装置1Fでは、本体部6Fの内周面61の形状が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
前後方向視において、内周面61のうち、一部(第5変形例では上端部)は、内周面61が形成している円における弦を描くような平面状に形成されていて、端面64と同等の機能を有する平面部67を形成している。内周面61のうち、他の一部(第5変形例では右端部)は、内周面61が形成している円における弦を描くような平面状に形成されていて、端面65と同等の機能を有する平面部68を形成している。平面部67,68は、本発明における第2面の一例である。この構成では、振動検出部821は、第1実施形態の振動センサユニット5と同様に、コイル部70に生じる誘導起電力に基づいて、回転軸32の振動を検出できる。
●第6変形例
図16は、ポンプ装置の第6変形例を示す模式背面図である。
同図は、第6変形例に係るポンプ装置1Gが備える振動センサユニット5Gの構成の一部(本体部6Gおよび導線7)の図2と同様の模式背面図を示している。ポンプ装置1Gでは、本体部6Gの形状が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
前後方向視において、本体部6Gのうち、一部(第6変形例では、左部)が、本体部6Gの径方向に沿うように切り欠かれていて、切欠部69を形成している。すなわち、後方視において、本体部6の形状は、略C字状である。この構成でも、振動検出部821は、第1実施形態の振動センサユニット5と同様に、コイル部70に生じる誘導起電力に基づいて、回転軸32の振動を検出できる。
●第7変形例
図17は、ポンプ装置の第7変形例を示す回路構成図である。
同図は、第7変形例に係るポンプ装置1Hが備える振動センサユニット5Hの回路構成図を示している。ポンプ装置1Hでは、振動センサユニット5H(振動センサユニット5Hが備える電子部品80H)の構成が第2実施形態のポンプ装置1Aと異なる。
ポンプ装置1Hにおいて、振動センサユニット5Hは、電子部品80Hとして、2つの抵抗R3,R4を用いるいわゆるブリッジ回路を備える。また、振動センサユニット5Hは、第2実施形態の第1電源810および第2電源811に代えて、第1実施形態と同様の1つの電源81を備える。電源81の一端は接点P41を介して端子T1とオペアンプOA1の非反転入力に接続されていて、電源81の他端は接点P42を介して端子T2とオペアンプOA1の反転入力に接続されている。抵抗R3,R4は、端子T1,T2と電源81との間に第1コイル部74および第2コイル部75と並列に接続されている。具体的には、抵抗R3の一端は接点P43を介して端子T1と電源81の一端との間に接続されていて、抵抗R3の他端は接点P44を介して抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は接点P45を介して端子T2と電源81の他端との間に接続されている。抵抗R3の他端と抵抗R4の一端との接点P44は、オペアンプOA2の非反転入力に接続されている。端子T3は、オペアンプOA2の反転入力に接続されている。この構成では、オペアンプOA2は、第1コイル部74の両端部の間の電位差と、第2コイル部75の両端部の間の電位差と、の比を示す信号を温度信号としてA/D変換回路AD1に出力する。温度信号は、A/D変換回路AD1でデジタル信号に変換されて、演算ユニット82Aに入力されて、取得部820に取得される。
電位差の比と温度との相関関係は、テーブルまたは関数として、予め求められていて、例えば、ROM82cに記憶されている。温度検出部822は、取得部820が取得した温度信号、および、ROM82cに記憶されている相関関係に基づいて、コイル部70Aの温度を検出する。検出された温度は、例えば、記憶部4dに記憶される。
●第8変形例
図18は、ポンプ装置の第8変形例を示す機能ブロック図である。
同図は、第8変形例に係るポンプ装置1Jが備える振動センサユニット5Jの構成の一部の機能ブロック図を示している。ポンプ装置1Jでは、振動センサユニット5Jが学習データMを用いて回転軸32の振動を推定する点が第1実施形態のポンプ装置1と異なる。
振動センサユニット5Jが備える回路基板8Jに実装されている演算ユニット82JのROM82cには、学習データM、および、同学習データMを用いて回転軸32の振動の変化量を推定する推定プログラムが記憶されている。「学習データM」は、例えば、公知の機械学習アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワークなど)を用いて、A/D変換回路AD1から出力される振動信号から得られる所定期間における電圧の変化率を入力データとして、回転軸32の振動の変位量を出力データ(教師データ)として、予め機械学習された機械学習済みの学習データである。すなわち、学習データMは、電圧の変化率が入力されたとき、回転軸32の振動の変位量を出力するように機械学習されている。振動検出部821は、所定期間における振動信号に基づいて電圧の変化率を取得して、学習データMを用いて回転軸32の振動の変化量を推定する。このように、演算ユニット82Jでは、推定プログラムが動作して、推定プログラムが振動センサユニット5Jのハードウェア資源と協働して、回転軸32の振動の変化量を推定している。また、演算ユニット82Jを構成しているプロセッサ(CPU82a)に推定プログラムを実行させることにより、推定プログラムは同プロセッサを取得部820および振動検出部821として機能させて、同プロセッサに振動の推定方法を実行させることができる。同様に、コンピュータに推定プログラムを実行させることにより、推定プログラムは、コンピュータを演算ユニット82Jとして機能させることができる。この構成では、振動センサユニット5Jは、複雑な演算を必要とすることなく、容易に回転軸32の振動の変位量を推定できる。
なお、第8変形例において、振動検出部821は、学習データMを用いて、回転軸32の摩耗量を推定してもよい。この場合、学習データMは、回転軸32の摩耗量を出力データとして、機械学習されている。
また、第8変形例において、振動センサユニット5Jは、学習データMを記憶する学習データ記憶部を別途備えていてもよい。学習データ記憶部は、例えば、フラッシュメモリなどの情報記憶媒体である。
●その他の実施形態●
なお、以上説明された各実施形態および各変形例の構成は、相互に組み合わされていてもよい。
また、以上説明された各実施形態において、導線7,7Aの主成分は、銅またはニッケルに限定されない。
さらに、以上説明された各実施形態において、本体部6(外周面60、内周面61、内接円IC1)は、本体部6の内部に配置されている回転軸32(外周面322)と離間して配置されていればよく、回転軸32と同心円上に配置されていなくてもよい。すなわち、後方視において、回転軸32の中心は、本体部6(外周面60、内周面61、内接円IC1)の中心からずれていてもよい。この構成でも、振動検出部821は回転軸32の振動により生じる誘導起電力に基づいて回転軸32の振動を検出するため、振動検出部821の振動の検出への影響は小さい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、本体部6は、「3」以上の突出部を備えていてもよい。すなわち、例えば、本体部6は、本体部6の周方向において等角度間隔(120°)で配置されている3つの突出部を備えていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、突出部63の位置は、回転軸32の振動による誘導起電力がキャンセルされる位置(突出部62から本体部6の周方向に沿って180°回転した位置およびその近傍)でなければよく、突出部62から90°回転した位置に限定されない。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、突出部62の位置は内周面61の上端部に限定されず、突出部63の位置は内周面61の右端部に限定されない。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、端面64,65の形状は平面状に限定されない。すなわち、例えば、後方視において、端面64,65の形状は、内周面61と同心円状の円弧状でもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、本体部6は、完全な環状でなくてもよい。すなわち、例えば、本体部6は、第6変形例における本体部6Gのように、環状のうち、一部が切り欠かれた形状(例えば、C字状)でもよい。また、例えば、本体部6は、第7変形例における平面部67,68のいずれかを備える形状(例えば、内周面61が略D字状となる形状)でもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、本体部6は、継ぎ目の無い環状でもよく、継ぎ目の有る環状でもよい。すなわち、例えば、本体部6は、2つの半円環状の磁性体材料により構成されていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、回転軸32の振動検出精度は低下するが、本体部6は、突出部62,63を備えていなくてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、回転軸32は本体部6に挿通されていて、回転軸32の後端面323は本体部6の内側に配置されていなくてもよい。この構成では、振動センサユニット5,5Aは、スラスト振動を検出しない。また、この場合、本体部6は、例えば、回転軸32の径方向において、軸受33,34のいずれか一方を覆うように配置されていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、回転軸32は、導電性を有する磁性体材料製であった。これに代えて、回転軸32は、第1変形例に示されるように、導線性を有するが、磁性を有さない材料(被磁性体材料)製でもよい。この場合、電源81,81Aは、交流の定電流を導線7,7Aに流している。この構成では、コイル部70に流れる定電流により、回転軸32に渦電流が生じている。その結果、回転軸32と本体部6(突出部62,63)との距離の変化に基づいて、コイル部70,70Aに誘導起電力が生じる。誘導起電力の大きさは、ギャップG1,G2の大きさに比例する。したがって、振動センサユニット5,5Aは、振動に応じた磁束の変化を検出して、同変化に基づいて回転軸32の振動を検出できる。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、回転軸32は、導電性を有さない磁性体材料(例えば、フェライト)製でもよい。この構成でも、振動センサユニット5,5Aは、振動に応じた磁束の変化を検出して、同変化に基づいて回転軸32の振動を検出できる。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、電源81,81Aが直流電源の場合、回転軸32のうち、少なくとも本体部6の内側に配置されている部分(例えば、後壁315よりも後方へ突出している部分)が導電性を有する材料で構成されていれば、他の部分は絶縁体材料で構成されていてもよい。すなわち、例えば、回転軸32のうち、後部開口311よりも前方に位置する部分は絶縁材料(例えば、セラミックスなど)製で、後部開口311から後方に突出している部分は導電材料製でもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、電源81,81Aが直流電源の場合、回転軸32のうち、本体部6の内側に配置されている部分(例えば、後壁315よりも後方へ突出している部分)が磁性体材料で構成されていればよく、他の部分は非磁性体材料で構成されていてもよい。同様に、電源81,81Aが交流電源の場合、回転軸32のうち、少なくとも本体部6の内側に配置されている部分が導電性を有する非磁性体材料で構成されていればよく、他の部分は磁性体材料で構成されていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、本体部6の内周面61は、回転軸32の外周面322に直接対向していた。これに代えて、回転軸32と本体部6との間には、物体(例えば、キャンドモータポンプのキャンなど)が配置されていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、振動センサユニット5,5Aは、モータ部3の回転軸32の振動を検出していた。これに代えて、振動センサユニット5,5Aは、導電性を有する材料製の回転体であれば、その振動を検出することができる。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、制御装置4が演算ユニット82,82Aとして機能していてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態において、ポンプ装置1,1Aがセンサユニット5,5Aを備えていた。これに代えて、モータ部3がセンサユニット5,5Aを備えていてもよい。
さらにまた、以上説明された各実施形態および各変形例において、各種プログラムは、インストール可能なファイル形式、または、実行可能なファイル形式で非一時的な記憶媒体(例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリなど)に記憶されていて、専用の読み込み媒体を介して振動センサユニット5~5Jに提供されてもよい。
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様が、各実施形態において記載された用語および符号が援用されて、以下に記載される。
本発明の第1の実施態様は、回転電機(例えば、モータ部3)の回転軸(例えば、回転軸32,32C,32D)の振動を検出する振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5~5J)であって、円形のコイル状に巻き回される少なくとも1つのコイル部(例えば、コイル部70,70A)を備える導線(例えば、導線7,7A)と、前記コイル部の内側に、前記コイル部に当接して配置される磁性体材料製の本体部(例えば、本体部6,6F,6G)と、前記コイル部に定電流を流す電源(例えば、電源81,81A,81B、第1電源810、第2電源811)と、前記導線に生じる電圧の交流成分の変化に基づいて、前記振動を検出する振動検出部(例えば、振動検出部821)と、を有してなり、前記回転軸は、前記回転軸の回転方向に沿う円筒状の外周面(例えば、外周面60)、を備えて、前記本体部は、前記コイル部の周方向に沿い、前記回転軸が挿通可能な環状、または、前記環状の一部が切り欠かれた形状を有して、前記回転軸が、前記コイル部の前記周方向に回転するように、前記本体部の内側に配置されたとき、前記回転軸のうち、前記本体部の内側に配置された部分は、少なくとも導電性または磁性を有する材料で構成されて、前記本体部の内周面(例えば、内周面61)は、前記回転軸の前記外周面と離間して配置される、振動センサユニットである。
この構成によれば、幅広い温度範囲で使用可能であり、振動および温度に起因する故障が生じ難い振動センサユニットが実現できる。
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記本体部の前記内周面は、前記回転軸の半径よりも大きい第1半径を有する第1面(例えば、第1面66)と、前記第1面の曲率中心との距離が前記第1半径よりも小さい、少なくとも1つの第2面(例えば、端面64,65、平面部67,68)と、を備える振動センサユニットである。
この構成によれば、振動検出部による振動の検出感度は、本体部が突出部を備えていない場合の振動の検出感度に比べて、向上する。
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記本体部の前記内周面は、前記コイル部の前記周方向において、異なる位置に配置される複数の前記第2面、を備える、振動センサユニットである。
この構成によれば、振動検出部による振動の検出感度は、さらに向上する。
本発明の第4の実施態様は、第2の実施態様において、前記本体部は、前記コイル部の径方向において、前記内周面の一部が内方に向けて突出する突出部(例えば、突出部62,63)、を備えて、前記第2面(例えば、端面64,65)は、前記突出部に配置される、振動センサユニットである。
この構成によれば、内周面に突出部を形成するだけで、振動検出部による振動の検出感度は、容易に向上できる。
本発明の第5の実施態様は、第1の実施態様において、前記回転軸は、前記回転軸の径方向に平行で、前記回転軸の前記外周面に対して直角な端面(例えば、後端面323,326)、を備えて、前記回転軸が、前記コイル部の前記周方向に回転するように、前記本体部の内側に配置されたとき、前記端面は、前記本体部の内側に配置される、振動センサユニットである。
この構成によれば、振動センサユニットは、ラジアル振動を検出する構成により、スラスト振動も検出できる。
本発明の第6の実施態様は、第1の実施態様において、前記回転軸(例えば、回転軸32D)は、前記回転軸の径方向において、前記外周面の一部が外方に突出する軸突出部(例えば、凸部)、または、内方に凹む軸凹部(例えば、凹部327)、を備えて、前記回転軸が、前記コイル部の前記周方向に回転するように、前記本体部の内側に配置されたとき、前記軸突出部または前記軸凹部は、前記本体部の内側に配置される、振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5D)である。
この構成によれば、振動センサユニットは、回転数の検出に必要な専用部品を必要とすることなく、回転軸の振動と共に回転数も検出できる。
本発明の第7の実施態様は、第1の実施態様において、前記電源は、前記回転軸のうち、前記本体部の内側に配置された部分が磁性体材料製であるとき、前記コイル部に直流の前記定電流を流す直流電源(例えば、電源81,81A、第1電源810、第2電源811)であり、前記回転軸のうち、前記本体部の内側に配置された部分が導電性を有する非磁性体材料製であるとき、前記コイル部に交流の前記定電流を流す交流電源(例えば、電源81B)である、振動センサユニットである。
この構成によれば、コイル部の周囲に容易に磁場が形成できる。また、被磁性体材料製の回転軸に渦電流が生じる。その結果、振動センサユニットは、振動に応じた磁束の変化を検出できる。
本発明の第8の実施態様は、第1乃至第7の実施態様のいずれか1つの実施態様において、前記コイル部の両端部の間の電位差に基づいて、前記コイル部の温度を検出する温度検出部(例えば、温度検出部822)、を有してなる、振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5A,5E,5H)である。
この構成によれば、振動センサユニットは、回転軸の振動を検出するセンシング部を用いて、コイル部の温度を検出できる。
本発明の第9の実施態様は、第8の実施態様において、前記導線(例えば、導線7A)は、2つの前記コイル部と、2つの前記コイル部それぞれに接続される中間引出部(例えば、中間引出部73)と、を備えて、2つの前記コイル部のうち、一方は、第1金属を主成分として含む第1コイル部(例えば、第1コイル部74)であり、2つの前記コイル部のうち、他方は、前記第1金属とは異なる第2金属を主成分として含む第2コイル部(例えば、第2コイル部75)であり、前記コイル部の前記周方向において、前記第2コイル部は、前記第1コイル部と同じ方向に巻き回されて、前記第1コイル部と連続するように接続点(例えば、接続点7P)で接続されて、前記中間引出部は、前記接続点に接続されて、前記温度検出部は、前記第1コイル部の両端部の電位差と、前記第2コイル部の両端部の電位差と、に基づいて、2つの前記コイル部の温度を検出する、振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5A,5H)である。
この構成によれば、振動センサユニットは、極低温度環境下までの幅広い温度範囲で、コイル部の温度の検出にも利用できる
本発明の第10の実施態様は、第1の実施態様において、前記交流成分を含む信号(例えば、振動信号)を取得する取得部(例えば、取得部820)と、前記交流成分の変化に基づいて取得される電圧の変化率が入力されたとき、前記振動の変位量を出力するように機械学習された学習モデル(例えば、学習モデルM)を記憶する記憶部(例えば、ROM82c)と、を有してなり、前記振動検出部は、前記交流成分の変化を示す信号に基づいて、前記変化率を取得して、取得された前記変化率を前記学習モデルに入力して、前記変位量を推定する、振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5J)である。
この構成によれば、振動センサユニットは、容易に回転軸の振動の変位量を推定できる。
本発明の第11の実施態様は、ロータ(例えば、ロータ35)と、前記ロータを収容して、前記ロータを回転させるステータ(例えば、ステータ36)と、前記ロータと共に回転する回転軸(例えば、回転軸32,32C,32D)と、前記回転軸を支持する軸受(例えば、軸受33,34)と、前記回転軸の振動を検出する振動センサユニット(例えば、振動センサユニット5~5J)と、を有してなり、前記振動センサユニットは、円形のコイル状に巻き回されるコイル部(例えば、コイル部70)を備える導線(例えば、導線7,7A)と、前記コイル部の内側に、前記コイル部に当接して配置される磁性体材料製の本体部(例えば、本体部6,6F,6G)と、前記コイル部に定電流を流す電源(例えば、例えば、電源81,81A、第1電源810、第2電源811)と、前記導線に生じる電圧の交流成分の変化に基づいて、前記振動を検出する振動検出部(例えば、振動検出部821)と、を備えて、前記本体部は、前記コイル部の周方向に沿い、前記回転軸が挿通可能な環状、または、前記環状の一部が切り欠かれた形状を有して、前記回転軸は、前記コイル部の前記周方向に回転するように、前記本体部の内側に配置されて、前記回転軸の回転方向に沿う円筒状の外周面(例えば、外周面322)、を備えて、前記回転軸のうち、前記本体部の内側に配置された部分は、少なくとも導電性または磁性を有する材料で構成されて、前記本体部の内周面は、前記回転軸の前記外周面と離間して配置される、回転電機(例えば、モータ部3)である。
この構成によれば、幅広い温度範囲で使用可能であり、振動および温度に起因する故障が生じ難い振動センサユニットを備える回転電機が実現できる。
本発明の第12の実施態様は、インペラ(例えば、インペラ26)と、前記インペラを回転させる第11の実施態様に記載の回転電機(例えば、モータ部3)と、を有してなる、ポンプ装置(例えば、ポンプ装置1~1J)である。
この構成によれば、幅広い温度範囲で使用可能であり、振動および温度に起因する故障が生じ難い振動センサユニットを備えるポンプ装置が実現できる。