JP7427139B1 - マスク治具、成膜方法および成膜装置 - Google Patents

マスク治具、成膜方法および成膜装置 Download PDF

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Abstract

マスク治具(1)は、溶射法において用いられる。マスク治具(1)は、本体部(11)を備える。本体部(11)は、第1面(11a)と、第2面(11b)とを含む。第2面(11b)は、第1面(11a)とは反対側に位置する。本体部(11)には、第1面(11a)から第2面(11b)にまで到達する本体貫通穴(12)が形成される。本体貫通穴(12)に着脱可能な取付部材(14)をさらに備える。取付部材(14)には、本体貫通穴(12)に挿入された状態で第1面(11a)と第2面(11b)とを結ぶ第1方向に貫通する部材貫通穴(15)が形成される。取付部材(14)はイミド系樹脂により形成される。

Description

本開示は、マスク治具、取付部材、成膜方法および成膜装置に関する。
従来、溶射法の1つであるコールドスプレー法が知られている。コールドスプレー法では、キャリアガスと共に成膜材料を基材に噴射することで、当該基材上に成膜する(たとえば、特開2017-170369号公報参照)。
また、上述したコールドスプレー法などの溶射法において、成膜範囲を規定するため基材の表面上に配置されるマスク治具が用いられる(たとえば、特開2002-361135号公報参照)。マスク治具に形成された貫通穴を介して基材の表面に成膜材料が供給されることにより、成膜領域の平面形状を規定できる。
特開2017-170369号公報 特開2002-361135号公報
上述したコールドスプレー法などの溶射法において、マスク治具を用いる場合には、マスク治具の表面にも成膜材料からなる膜が形成される。マスク治具の表面への成膜を防止する観点から、特開2002-361135号公報では、マスク治具の表面にTiN、AlNなどの表面硬化膜が形成される。しかしこの方法によってはマスク治具の表面への成膜を防止する効果は少ない。またTiN、AlNなどの窒化物材料の成膜は高価であり、実用性に欠ける。
上記の課題を解決する観点から、表面への成膜を抑制可能なポリアミドイミド製のマスク治具を用いることが考えられる。しかし当該マスク治具の製法および成膜性を考慮すれば、製造可能なマスク治具の寸法の範囲に制限がある。つまりサイズの大きいポリアミドイミド製のマスク治具を製造することは困難である。
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。その目的は、より安価に所望の寸法で形成可能であり、表面への成膜防止が可能なマスク治具、取付部材、成膜方法および成膜装置を提供することである。
本開示に係るマスク治具は、溶射法において用いるマスク治具であって、本体部を備える。本体部は、第1面と、第2面とを含む。第2面は、第1面とは反対側に位置する。本体部には、第1面から第2面にまで到達する本体貫通穴が形成される。本体貫通穴に着脱可能な取付部材をさらに備える。取付部材には、本体貫通穴に挿入された状態で第1面と第2面とを結ぶ第1方向に貫通する部材貫通穴が形成される。取付部材はイミド系樹脂により形成される。
本開示に係る取付部材は、溶射法において用いるマスク治具に備えられ、一方の端部から、その反対側の他方の端部まで貫通する部材貫通穴が形成されている。上記取付部材は、イミド系樹脂により形成される。
本開示に係る成膜方法は、基材の表面に対向するように、上記マスク治具を配置する工程を備える。配置する工程では、マスク治具の第1面が基材の表面に面するように、マスク治具が配置される。本開示に係る成膜方法は、マスク治具の貫通穴を介して、コールドスプレー法により成膜原料となる粉末を基材の表面に吹き付ける工程を備える。
本開示に係る成膜装置は、ノズルを含むスプレーガンと、粉末供給部と、ガス供給部と、上記マスク治具とを備える。粉末供給部は、スプレーガンに成膜原料となる粉末を供給する。ガス供給部は、スプレーガンに動作ガスを供給する。マスク治具は、基材とスプレーガンとの間に配置される。
本開示によれば、より安価に所望の寸法で形成可能であり、表面への成膜防止が可能なマスク治具、取付部材、成膜方法および成膜装置を提供できる。
本実施の形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に係るマスク治具を示す斜視図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第1例を示す概略断面図である。 比較例に係るマスク治具と、マスク治具に覆われた基材側への粉末の供給態様を示す概略断面図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第2例を示す概略断面図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第3例を示す概略断面図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第4例を示す概略断面図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第5例を示す概略断面図である。 図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第6例を示す概略断面図である。 本実施の形態に係る成膜方法を示すフローチャートである。
<成膜装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図1を参照して、成膜装置100は、ノズル2bを含むスプレーガン2と、粉末供給部3と、ガス供給部4と、マスク治具1とを主に備える。
スプレーガン2は、スプレーガン本体部2aと、ノズル2bと、ヒータ2cと、温度センサ9とを主に含む。スプレーガン本体部2aの先端側である第1端にはノズル2bが接続されている。スプレーガン本体部2aの後端側である第2端には配管6が接続されている。当該配管6はバルブ7を介してガス供給部4に接続されている。ガス供給部4は、配管6を介してスプレーガン2に動作ガスを供給する。バルブ7を開閉することで、ガス供給部4からスプレーガン2に対する動作ガスの供給状態を制御できる。配管6には圧力センサ8が設置されている。圧力センサ8はガス供給部4から配管6に供給される動作ガスの圧力を測定する。
スプレーガン本体部2aの第2端からスプレーガン本体部2aの内部に供給される動作ガスは、ヒータ2cにより加熱される。ヒータ2cはスプレーガン本体部2aの第2端側に配置されている。スプレーガン本体部2aの内部を矢印31に沿って動作ガスが流れる。ノズル2bとスプレーガン本体部2aとの接続部に温度センサ9が接続されている。温度センサ9はスプレーガン本体部2aの内部を流れる動作ガスの温度を測定する。
ノズル2bには配管5が接続されている。配管5は粉末供給部3に接続されている。粉末供給部3は、配管5を介してスプレーガン2のノズル2bに成膜原料となる粉末を供給する。
マスク治具1は、基材20とスプレーガン2との間に配置される。マスク治具1には本体貫通穴12(図2参照)が形成されている。当該本体貫通穴12は基材20の表面における成膜領域を規定する。マスク治具1の具体的な構成は後述する。
<成膜装置の動作>
図1に示した成膜装置100では、矢印30に示すようにガス供給部4から配管6を介して動作ガスがスプレーガン2に供給される。動作ガスとしては、たとえば窒素、ヘリウム、ドライエアまたはそれらの混合物を用いることができる。動作ガスの圧力はたとえば1MPa程度である。動作ガスの流量はたとえば300L/分以上500L/分以下である。スプレーガン本体部2aの第2端に供給された動作ガスは、ヒータ2cによって加熱される。動作ガスの加熱温度は、成膜原料の組成に応じて適宜設定されるが、たとえば100℃以上500℃以下とすることができる。スプレーガン本体部2aからノズル2bに動作ガスは流れる。ノズル2bには、配管5を介して粉末供給部3から矢印32に示すように成膜原料となる粉末10が供給される。粉末10としては、たとえばニッケル粉末、錫粉末、または錫粉末と亜鉛粉末との混合材料を用いることができる。あるいは粉末として、たとえばアルミニウムの粉末が用いられてもよい。粉末10の粒径は、たとえば1μm以上50μm以下である。
ノズル2bに供給された粉末10は、動作ガスとともにノズル2bの先端から基材20に向けて噴射される。基材20の表面にはマスク治具1が配置されている。噴射された粉末10はマスク治具1の本体貫通穴12(図2参照)を介して基材20の表面に到達する。基材20の表面では、噴射された粉末10を原料とする膜が形成される。
<マスク治具の構成>
図2は、本実施の形態に係るマスク治具を示す斜視図である。なお説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。図2を参照して、マスク治具1は、溶射法の一例であるコールドスプレー法において用いられる。マスク治具1は、本体部11を備える。本体部11は、第1面11aと、第2面11bとを含む。第2面11bは、第1面11aとは反対側に位置する。図2においては、第1面11aはZ方向の上側に位置し、第2面11bはZ方向の下側に位置する。第1面11aが図1のノズル2bに近い側である。
本体部11には、第1面11aから第2面11bにまで到達する本体貫通穴12が形成されている。本体貫通穴12は、図2においては円形の平面形状を有している。ただしこれに限らず、本体貫通穴12の平面形状は、正方形、正六角形などの正多角形であっても、楕円形であってもよい。
本体貫通穴12は、図2においてはX方向に間隔をあけて4列、Y方向に間隔をあけて2列形成されているが、本体貫通穴12の形成される数はこれに限らず、適宜変更されてもよい。複数の本体貫通穴12は、図2のように平面視においてたとえば線対称または点対称の位置関係となるように、偏在なく均等に配置されることが好ましい。
より具体的には、マスク治具1には、本体部11を第1面11aから第2面11bまで貫通するようにねじ止め穴13が形成されている。複数のねじ止め穴13が互いに間隔をあけて複数(一例として図2ではX方向に3列、Y方向に3列)形成されている。複数のねじ止め穴13は図2のように平面視においてたとえば線対称または点対称の位置関係となるように、偏在なく均等に配置されることが好ましい。ねじ止め穴13を通すボルトなどの締結材を用いて、後述するベース治具がマスク治具1に固定される。このとき、ねじ止め穴13および本体貫通穴12が偏在なく均等に配置されれば、複数の本体貫通穴12のいずれにもほぼ同じ圧力が加えられる。
本体貫通穴12には、取付部材としてのキャップ部材14が着脱可能に取り付けられている。キャップ部材14は本体貫通穴12の内部に挿入されることにより、マスク治具1に取り付けられる。キャップ部材14は本体貫通穴12から適宜外すことができる。キャップ部材14は、複数の本体貫通穴12のすべてに挿入されてもよいし、複数の本体貫通穴12の一部のみに挿入されてもよい。一部の本体貫通穴12のみに挿入される場合、任意の本体貫通穴12を選択してそれらにキャップ部材14を取り付け可能である。
図3は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第1例を示す概略断面図である。図3は、Z軸に沿って延びる直線(本体貫通穴12の中心線)が乗る断面である。図3を参照して、キャップ部材14には部材貫通穴15が形成されている。部材貫通穴15がキャップ部材14をZ方向の上側から下側に貫通する。言い換えれば部材貫通穴15は、キャップ部材14がマスク治具1の本体貫通穴12に挿入された状態で、第1面11aと第2面11bとを結ぶZ方向にキャップ部材14を貫通する。部材貫通穴15が第1方向にキャップ方向を貫通するとは、その全体が第1面11aと第2面11bとを結ぶように延びていることを意味する。したがって部材貫通穴15はその全ての領域がZ方向に平行またはほぼ平行であることを要さない。部材貫通穴15はその一部の領域がZ方向とは大きく異なる方向に延びてもよい。言い換えれば、部材貫通穴15は第1方向の一方の端部(たとえば最上面16)から他方の端部(たとえば最下面17)に達するようにキャップ部材14を貫通する。部材貫通穴15の詳細については後述する。
本体部11の本体貫通穴12は、本体傾斜穴12aと、本体柱状穴12bとを有している。本体柱状穴12bは、本体貫通穴12のうち第1方向(Z方向またはこれに沿う方向)に延びる領域である。図3においては、本体柱状穴12bは第2面11bに連なるように、Z方向の下側の領域に形成されている。これに対して本体傾斜穴12aは、本体貫通穴12のうち第1面11aに連なり、Z方向に対して傾斜する方向に延びる領域である。本体傾斜穴12aは、第1面11aに連なるように形成される場合、本体柱状穴12bが延びる方向(Z方向)に交差する断面の寸法(X方向などの寸法)が、第1面11aに向けて大きくなるように形成される。
本体傾斜穴12aのZ方向に対する傾斜角度は任意であるが、たとえば30°以上45°以下であることが好ましい。ただし当該傾斜角度は35°以上であってもよく、40°以下であってもよい。
また図3の断面図では本体傾斜穴12aは直線状(すなわち本体傾斜穴12aは平面形状)である。ただしこれに限らず、本体傾斜穴12aは図3にて円弧状などの曲線状(すなわち本体傾斜穴12aは曲面形状)であってもよい。以上の本体傾斜穴12aの特徴は、次に述べる部材傾斜領域14aについても同様である。
図3に示すように、第1例のキャップ部材14は、本体貫通穴12に挿入された状態で、Z方向について、第1面11aに対して上側(第1面11aに対して本体部11の外側)に突出している。より具体的には、キャップ部材14の本体は、部材傾斜領域14aと、部材柱状領域14bと、水平領域14cとを有している。部材傾斜領域14aは、キャップ部材14が本体貫通穴12に挿入された状態で、キャップ部材14のうちZ方向の最も上側に形成され、Z方向に対して傾斜する方向に延びる領域である。部材傾斜領域14aの一部(最上部)が、本体部11内に収まることなく、第1面11aよりも上側に突出している。図3中の点線で示す境界b1は、キャップ部材14における部材傾斜領域14aと部材柱状領域14bとの境界である。すなわち境界b1の上側が部材傾斜領域14aである。境界b1は、キャップ部材14の外壁面(本体貫通穴12に対向する最外部の面)のうちZ方向に延びる部分とZ方向から傾斜して延びる部分との境界から拡がり、部材傾斜領域14aの最上面16に平行な面である。部材傾斜領域14aの少なくとも一部が、第1面11aに対して上側に突出している。図3のように、キャップ部材14の最上面16は、本体貫通穴12に挿入された状態で、その全体が第1面11aの外側に配置されてもよい。
部材柱状領域14bは、キャップ部材14が本体貫通穴12に挿入された状態で、Z方向に沿って延びる領域である。部材柱状領域14bは、部材傾斜領域14aの下側に形成され、特に境界b1と境界b2とに挟まれた領域である。境界b2は、キャップ部材14における部材柱状領域14bと水平領域14cとの境界である。境界b2は、後述する部材貫通穴15の部材柱状穴15bの最下部から拡がり、部材水平穴15cと同一の面上に配置される。本体貫通穴12に挿入された状態で、境界b2は、XY平面に平行な面であってもよい。
水平領域14cは、キャップ部材14が本体貫通穴12に挿入された状態で、キャップ部材14のうちZ方向の最も下側に形成され、XY平面に沿って拡がる領域である。より具体的には、水平領域14cは、部材柱状領域14bとの境界b2の下側の領域である。水平領域14cは、図3の断面図において、部材柱状領域14bからX方向およびY方向の内側に向けて延びている。図3の水平領域14cの最下面17は、第2面11bと同一の面となってもよい。
以上より、本体傾斜穴12aは部材傾斜領域14aに接し、本体柱状穴12bは部材柱状領域14bおよび水平領域14cに接する。
キャップ部材14の部材貫通穴15は、内壁として形成される。部材貫通穴15は、Z方向上側から順に、部材傾斜穴15aと、部材柱状穴15bと、部材水平穴15cと、部材小径穴15dとを有している。図3の断面において、部材傾斜穴15aは、Z方向に対して傾斜している。部材柱状穴15bは部材傾斜穴15aの下側に形成され、Z方向に沿って延びている。部材水平穴15cは、境界b2の平面の内側に、これと同一面となるように(XY平面に沿って)形成されている。部材小径穴15dは部材柱状穴15bおよび部材水平穴15cの下側に形成され、部材水平穴15cの最も内側の部分から延びている。部材小径穴15dは部材柱状穴15bと同様にZ方向に沿って柱状に延びるが、X方向およびY方向の幅(径)が部材柱状穴15bに比べて小さい。部材小径穴15dのX方向(Y方向)の寸法は、溶射により形成される成膜部分のサイズに依存する。ただし一例として、部材小径穴15dのX方向(Y方向)の寸法は、部材柱状穴15bのX方向(Y方向)の寸法の25%以上50%以下であってもよい。あるいは部材小径穴15dは部材柱状穴15bの寸法の30%以上でも35%以上でもよいし、45%以下でも40%以下でもよい。
以上の構成を有する図3では、本体貫通穴12、キャップ部材14、部材貫通穴15ともに、Z方向の上側から下側に向けて、X方向およびY方向の寸法(径)が小さくなる。
<材料>
マスク治具1の本体部11を構成する材料は、たとえばステンレス鋼、鋼、銅などの金属、カーボン、アルミナなどのセラミックスなどを適用できる。またキャップ部材14は、イミド系樹脂であるたとえばポリアミドイミド(PAI)により形成される。イミド系樹脂として、ポリアミドイミドの他にたとえばポリイミドが用いられてもよい。
次に、現状と課題について適宜述べながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
<現状の課題>
図4は、比較例に係るマスク治具と、マスク治具に覆われた基材側への粉末の供給態様を示す概略断面図である。図4を参照して、比較例のマスク治具1は、本実施の形態と同様に、第1面11aから第2面11bまで本体部11を貫通する本体貫通穴12が形成される。
コールドスプレー法用のマスク治具1は、使用時に表面への粉末10の堆積、成膜、更には成膜用の粉末10の衝突による劣化が起こる。このためマスク治具1は、交換頻度が高い消耗部材である。そのような劣化を抑制し、ベース治具21に設置された所望の基材20上への高効率な成膜を可能とする観点から、表面に成膜されにくいポリアミドイミドによりマスク治具1またはこれを覆う板状のカバーが製造されることがある。しかしポリアミドイミドは高価である。製造コストを削減するために、成形法によりポリアミドイミド製のマスク治具1が製造されるが、その場合、製造可能なマスク治具1のサイズが小さくなる。
大型の基材に成膜するためには、基材が大きい分だけマスク治具1を大きく作る必要が生じる。しかるに上記より、大きいサイズのポリアミドイミドからなるマスク治具1の製造に、安価な成形法を適用することは困難である。またそもそも大型のマスク治具1の全体を高価なポリアミドイミドで形成すれば価格の高騰を招く。
<作用効果>
上記の課題を解決する観点から、本開示に係るマスク治具は、溶射法において用いられる。マスク治具1は、本体部11を備える。本体部11は、第1面11aと、第2面11bとを含む。第2面11bは、第1面11aとは反対側に位置する。本体部11には、第1面11aから第2面11bにまで到達する本体貫通穴12が形成される。本体貫通穴12に着脱可能な取付部材(キャップ部材14)をさらに備える。キャップ部材14には、本体貫通穴12に挿入された状態で第1面11aと第2面11bとを結ぶ第1方向(Z方向またはこれに沿った方向)に貫通する部材貫通穴15が形成される。キャップ部材14はイミド系樹脂により形成される。
溶射法(コールドスプレー法)は、比較的小さい範囲の成膜を得意とする成膜方法である。このため本体部11のうち成膜しようとする比較的小さい範囲のみに本体貫通穴12が形成され、部材貫通穴15が形成されたキャップ部材14が挿入される。キャップ部材14により、本体貫通穴12を保護できるとともに、本体部11を交換することなく随時キャップ部材14のみを容易に交換できる。キャップ部材14は本体貫通穴12に挿入するだけで設置できる。このためキャップ部材14は、ねじ止めなどの作業を要さず、短時間で容易に設置および取り外しができる。キャップ部材14は本体部11よりサイズが小さいため、ポリアミドイミドの材料費が削減できる。また本体部11は金属などにより製造されるため、その製造において成形法を用いる必要はない。このため大型の基材20用の、任意の寸法(たとえば従来よりも大型)の本体部11(マスク治具1)を容易に製造できる。またキャップ部材14はイミド系樹脂からなるため、キャップ部材14の表面への成膜を抑える効果が確保できる。
以上より、必要な箇所(その真下にて成膜を要する比較的小さい範囲)に特化したイミド系樹脂の使用によるコスト削減効果と、意図せぬ成膜をキャップ部材14が防ぐ効果と、交換作業の時間短縮、容易化と、マスク治具1の寸法をより広範囲に選択できる効果とのすべてを得ることができる。
上記マスク治具1において、本体部11には、間隔をあけて複数の本体貫通穴12が配置されていてもよい。それぞれの本体貫通穴12にキャップ部材14を取り付けるだけでマスク治具1が使用可能となる。このためマスク治具1の本体部11の全体にイミド系樹脂のカバーを被せる構成に比べて、イミド系樹脂の材料費が削減できる。
上記マスク治具1において、キャップ部材14は、本体貫通穴12に挿入された状態で、Z方向について、第1面11aおよび第2面11bの少なくともいずれかに対して突出している。つまりキャップ部材14は、第1面11aおよび第2面11bの少なくともいずれかに対して、本体部11の外側に突出している。たとえば第1面11aに対して上側に突出している場合、本体貫通穴12に挿入されたキャップ部材14が第2面11b側(下側)から落下する不具合を抑制できる。また第1面11aの上側に突出すれば、突出した部分からキャップ部材14を容易に取り出すことができる。
上記マスク治具1において、本体貫通穴12は、第1面11aおよび第2面11bの少なくともいずれかに連なる部分に、Z方向に対し傾斜する本体傾斜穴12aを有してもよい。たとえば第1面11aに連なる部分に本体傾斜穴12aを有する場合、本体貫通穴12に挿入された状態のキャップ部材14にも本体傾斜穴12aに平行な部材傾斜領域が設けられる。これにより、本体貫通穴12に挿入されたキャップ部材14が第2面11b側(下側)から落下する不具合を抑制できる。また傾斜部を有する構成にすれば、傾斜部を有さない構成に比べて、第1面11a側(上側)からキャップ部材14を容易に取り出すことができる。
上記マスク治具1において、キャップ部材14は、本体貫通穴12に挿入された状態で、Z方向に沿って延びる部材柱状領域14bと、部材柱状領域14bに対し傾斜する部材傾斜領域14aとを含む。部材傾斜領域14aの少なくとも一部が、第1面11aに対して突出している。このように傾斜部が本体部11から突出する構成とすれば、本体貫通穴12に挿入されたキャップ部材14が第2面11b側(下側)から落下する不具合を抑制できる。またこのような構成とすれば、部材傾斜領域14aを用いて、第1面11a側(上側)からキャップ部材14を容易に取り出すことができる。なお部材傾斜領域14aを有することにより、たとえば次に述べるフランジ領域を有する場合に比べてより容易に、第1面11a側(上側)からキャップ部材14を取り出すことができる。
本開示に係る取付部材は、溶射法において用いるマスク治具1に備えられるキャップ部材14であり、一方の端部(最上面16)から他方の端部(最下面17)まで貫通する部材貫通穴15が形成されている。キャップ部材14はイミド系樹脂により形成される。
キャップ部材14が、溶射法において用いるマスク治具1に備えられる。このため上記のように、必要な箇所(本体貫通穴12)に特化したイミド系樹脂の使用によるコスト削減効果と、意図せぬ成膜をキャップ部材14が防ぐ効果と、交換作業の時間短縮、容易化と、マスク治具1の寸法をより広範囲に選択できる効果とのすべてを得ることができる。
上記キャップ部材14は、部材柱状領域14bと、部材傾斜領域14aとを含む。部材柱状領域14bの貫通穴である部材柱状穴15bは、柱状に延びる。このため部材柱状領域14bは、延びる方向(Z方向)に直交する任意の断面が同一となる(延びる方向について互いに異なる位置の断面が互いに同一になり、断面が変化しない)。部材傾斜領域14aは、図3の断面において、部材柱状領域14bの延びる方向(Z方向)についての一方の端部(たとえば図3の境界b1)から、部材柱状領域14bに対して傾斜する方向に延びる。
本開示に係る成膜装置100は、ノズル2bを含むスプレーガン2と、粉末供給部3と、ガス供給部4と、上記マスク治具1とを備える。粉末供給部3は、スプレーガン2に成膜原料となる粉末を供給する。ガス供給部4は、スプレーガン2に動作ガスを供給する。マスク治具1は、基材20とスプレーガン2との間に配置される。
この場合、上述したマスク治具1を用いることで、当該マスク治具1に対する成膜原料の堆積を抑制できるので、マスク治具1を用いた成膜プロセスを連続的に行うことができる時間を長くすることができる。
<マスク治具の変形例>
図5は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第2例を示す概略断面図である。図5を参照して、マスク治具1およびキャップ部材14の第2例について、第1例と同一の部分には原則同一の符号を付し、機能等が同一である限りその説明を繰り返さない。ただし図5においては、図3のようなZ方向に対して傾斜する部分を有さない。すなわち図5の本体貫通穴12はZ方向に沿って延びる本体柱状穴12bのみからなり、本体柱状穴12bが第1面11aから第2面11bに達するように延びている。
図5に示すように、第2例のキャップ部材14の本体は、部材柱状領域14bと、水平領域14cと、フランジ領域14fとを有している。フランジ領域14fは、キャップ部材14が本体貫通穴12に挿入された状態で、キャップ部材14のうちZ方向の最も上側に形成される。図5中の点線を境界b1とすれば、その上側がフランジ領域14fである。境界b1は、キャップ部材14におけるフランジ領域14fと部材柱状領域14bとの境界である。境界b1は、フランジ領域14fの下面と同一の面上にある。境界b1は、図5においてキャップ部材14のうち本体部11内と本体部11外との境界である第1面11aと同一の面上に配置され、XY平面に沿ってもよい。フランジ領域14fは、この境界b1よりも本体部11の外側に配置される。フランジ領域14fは、XY平面に沿う形状を有する。したがって、図5ではフランジ領域14fは、第1面11aの外側に配置され、その下面が第1面11aに対向している。フランジ領域14fは、その下面が第1面11aに接触していてもよい。
部材貫通穴15は、Z方向上側から順に、部材柱状穴15bと、部材水平穴15cと、部材小径穴15dとを有している。部材柱状穴15bはフランジ領域14fの最上面から、部材柱状穴15bと部材水平穴15cとの境界b2まで、Z方向に沿って延びている。境界b2は、キャップ部材14における部材柱状領域14bと水平領域14cとの境界である。境界b2は、部材貫通穴15の部材柱状穴15bの最下部から拡がり、部材水平穴15cと同一の面上に配置される。本体貫通穴12に挿入された状態で、境界b2は、XY平面に平行な面であってもよい。
フランジ領域14fのX方向(Y方向)に沿う寸法は、本体貫通穴12のX方向の幅の寸法の15%以上30%以下であることが好ましく、その中でも20%以上25%以下であることがより好ましい。
図6は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第3例を示す概略断面図である。図6を参照して、マスク治具1およびキャップ部材14の第3例について、第2例と同一の部分には原則同一の符号を付し、機能等が同一である限りその説明を繰り返さない。ただし図6においては、フランジ領域14fのみならず、水平領域14cも、本体部11から突出している。図6中の点線で示す境界b2は、図5と同様にキャップ部材14における部材柱状領域14bと水平領域14cとの境界であるが、図5の境界b2よりも下側に位置する。図6のように境界b2は、第2面11bと同一の面上に配置され、XY平面に沿ってもよい。水平領域14cは、この境界b2よりもZ方向の下側であり、本体部11の外側に配置される。水平領域14cは、XY平面に沿う形状を有する。キャップ部材14の最下面17は第2面11bよりも下側(本体部11の外側)に配置される。
図6においては、境界b1が第1面11aと同一面上に、境界b2が第2面11bと同一面上に配置される。このため境界b1と境界b2との間の部材柱状領域14bは、その全体が本体部11の本体貫通穴12(本体柱状穴12b)内に収まる。本体柱状穴12bは部材柱状領域14bのみに接する。
図6のように本体貫通穴12内に挿入されたキャップ部材14が第2面11bから下方に突出する場合、第2面11b側から押し上げることによってキャップ部材14を容易に取り外せる。このため図6では、第1面11a側と第2面11b側とのいずれからであっても、容易にキャップ部材14を取り外せる。
図7は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第4例を示す概略断面図である。図7を参照して、マスク治具1およびキャップ部材14の第4例について、第1例と同一の部分には原則同一の符号を付し、機能等が同一である限りその説明を繰り返さない。ただし図7においては、本体貫通穴12は、Z方向上側から順に、本体傾斜穴12aと、本体柱状穴12bとに加え、本体水平穴12cと、本体小径穴12dとを有している。図7のキャップ部材14の本体は、Z方向上側から順に、部材傾斜領域14aと、部材柱状領域14bと、水平領域14cとに加え、部材小径領域14dを有している。図7の部材貫通穴15は、Z方向上側から順に、部材傾斜穴15aと、部材柱状穴15bと、部材水平穴15cと、部材小径穴15dとを有している。
図7の断面図において、本体水平穴12cは、本体柱状穴12bの最下部から、X方向(Y方向)の内側に向けて、XY平面に沿って延びている。図3において第2面11bと同一の面であるキャップ部材14の水平領域14cの最下面17が、図7では第2面11bよりも第1面11a側に配置される。ただし図7においても水平領域14cの最下面が第2面11bと同一の面となり、部材小径領域14dが第2面11bの外側に突出してもよい。あるいは水平領域14cの少なくとも一部が第2面11bの外側に突出してもよい。これにより、第2面11b側からの押し上げによるキャップ部材14の本体部11からの取り外しが容易になる。本体小径穴12dは、本体柱状穴12bおよび本体水平穴12cの下側に形成される。本体小径穴12dは、本体水平穴12cの最も内側の部分から延びている。本体小径穴12dは本体柱状穴12bと同様にZ方向に沿って柱状に延びるが、X方向およびY方向の幅(径)が本体柱状穴12bに比べて小さい。図7においては、本体小径穴12dが第2面11bに連なるように、Z方向の最も下側の領域に形成されている。
第2面11bにおいて、本体小径穴12dの外側に隣接するように、Z方向に延びる切欠き部11cが形成されている。切欠き部11cはZ方向が深さ方向であり、Z方向に延びている。切欠き部11cは本体小径穴12dの周囲に1周形成される。ただし切欠き部11cは本体小径穴12dの周囲(周方向)の一部のみに形成されてもよい。
図7のキャップ部材14において、水平領域14cは、境界b2と境界b3とに挟まれた領域である。境界b1および境界b2は図3と同様である。境界b3は、キャップ部材14における水平領域14cと部材小径領域14dとの境界である。すなわち境界b3の上側が水平領域14cである。図7のように挿入された状態で、境界b3は、本体水平穴12cと同一の面上であってもよい。部材小径領域14dは、図7における境界b3よりも下側の領域であり、第2面11bに連なる。
図7において、部材水平穴15cおよび部材小径穴15dは図3と同様に形成される。ただし図7ではZ方向に延びる部材小径領域14dを有する点が図3とは異なるため、図7の部材小径穴15dは図3の部材小径穴15dよりもZ方向に長い。図7のように、部材小径穴15dは同図の部材柱状穴15bよりもZ方向に長く、本体小径穴12dは同図の本体柱状穴12bよりもZ方向に短くてもよい。
図7のキャップ部材14においても、部材傾斜領域14aの最上面16から、図5と同様の水平方向に沿って延びるフランジ領域14fが形成されてもよい。
図8は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第5例を示す概略断面図である。図8を参照して、図5の第2例のように傾斜部分を有さないキャップ部材14の構成と、図7の第4例のように本体小径穴12d、部材小径領域14dを有する構成とが組み合わせられてもよい。図8における境界b1は、キャップ部材14における部材柱状領域14bと水平領域14cとの境界である。境界b1は、部材柱状穴15bの最下部から拡がり、部材水平穴15cと同一の面上に配置される。境界b2は、キャップ部材14における水平領域14cと部材小径領域14dとの境界である。図8のように挿入された状態で、境界b2は、本体水平穴12cと同一の面上であってもよい。図8の本体部11には、図7と同様に切欠き部11cが形成されてもよい。なお図8には図5のフランジ領域14fが形成されないが、図8にて図5と同様のフランジ領域14fが、部材柱状領域14bの上方に形成されてもよい。
図7および図8の、切欠き部11cを有する例においては、本体小径穴12dおよび部材小径領域14dが形成されるが、このような例に限られない。図9は、図2におけるマスク治具の本体貫通穴および当該本体貫通穴に挿入されたキャップ部材の第6例を示す概略断面図である。図9を参照して、第6例は図3(第1例)と同様の構成に対し、切欠き部11cが形成されている。たとえば図3のように本体小径穴12dおよび部材小径領域14dを有さない例であっても、第2面11bにおける本体貫通穴12(本体柱状穴12b)に隣接する位置に切欠き部11cが形成されてもよい。図示しないが、図5および図6の各例に対しても、図9と同様の位置に切欠き部11cが形成されてもよい。
なお、上記の各例(図3および図5~図9)のキャップ部材14はいずれも、一般公知の射出成形などの、樹脂の成形体の成形方法により形成される。ただし射出成形の代わりに、樹脂材料を切削加工することによりキャップ部材14が形成されてもよい。またマスク治具1の本体部11は、たとえばこれが金属製である場合、切削加工またはプレス加工により形成される。また上記の各例のキャップ部材14の本体部11への取り付け方法はいずれも同様であり、第1面11a上から下方に挿入することが好ましい。
<変形例の作用効果>
上記マスク治具1において、図5の第2例、図6の第3例のように、キャップ部材14は、本体貫通穴12に挿入された状態で、Z方向に沿って延びる部材柱状領域14bと、部材柱状領域14bの端部(たとえば最上部の境界b1)からZ方向に交差する方向(XY平面に沿う方向)に拡がるフランジ領域14fとを含む。フランジ領域14fは、第1面11aの外側に配置され、第1面11aに対向している。フランジ領域14fが本体部11から突出する構成とすれば、本体貫通穴12に挿入されたキャップ部材14が第2面11b側(下側)から落下する不具合を抑制できる。またこのような構成とすれば、第1面11a側(上側)からキャップ部材14を容易に取り出すことができる。
上記マスク治具1において、図7の第4例、図8の第5例のように、本体部11の、第2面11bにおける本体貫通穴12に隣接する位置には、第2面11bから第1面11aに向かうZ方向に延びる凹部としての切欠き部11cが形成されてもよい。切欠き部11cにおいて、これに隣接するキャップ部材14の外壁面などが露出する。このため当該外壁面などを第2面11bの切欠き部11cから押すことにより、キャップ部材14を本体貫通穴12から容易に取り出すことができる。
上記キャップ部材14は、部材柱状領域14bと、フランジ領域14fとを含む。部材柱状領域14bの貫通穴である部材柱状穴15bは、柱状に延びる。このため部材柱状領域14bは、延びる方向(Z方向)に直交する任意の断面が同一となる(延びる方向について互いに異なる位置の断面が互いに同一になり、断面が変化しない)。フランジ領域14fは、図5の断面(図3の断面と同じ)において、部材柱状領域14bの延びる方向(Z方向)についての一方の端部(たとえば図5の境界b1)から、部材柱状領域14bに対して交差する平面(XY平面)を有するように拡がる。フランジ領域14fは部材柱状領域14bと部分的に連なる。
<成膜方法>
図10は、本実施の形態に係る成膜方法を示すフローチャートである。図10を参照して、当該成膜方法は、図3および図5~図9に示した本体貫通穴12を有するマスク治具1および成膜装置100を用いて実施される成膜方法であって、準備工程(S10)と、成膜工程(S20)と、後処理工程(S30)とを主に備える。
準備工程(S10)では、図1に示すように基材20の表面に対向するように、上記マスク治具1を配置する工程を含む。当該配置する工程では、マスク治具1の第1面11a(図3参照)が基材20の表面に面するように、マスク治具1が配置される。
成膜工程(S20)では、マスク治具1の本体貫通穴12を介して、成膜装置100を用いてコールドスプレー法により成膜原料となる粉末を基材20の表面に吹き付ける。この結果、基材20の表面に成膜原料からなる膜が形成される。
後処理工程(S30)では、基材20の表面上からマスク治具1が除去される。その後、基材20に対する加工など必要な処理を実施する。このようにして、基材20の表面に膜を形成することができる。
上述した成膜方法では、本実施形態に係るマスク治具1を用いるため、当該マスク治具1に対する成膜原料の付着量を低減できるので、成膜工程(S20)を連続的に実施できる時間を長くできる。あるいは、上記マスク治具1を用いることで当該マスク治具1を繰り返し使用できる回数を増やすことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。たとえば図3の本体傾斜穴12aおよび部材傾斜領域14aと、図5のフランジ領域14fとの双方を備える構成が適用されてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
溶射法において用いるマスク治具であって、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを含む本体部を備え、
前記本体部には、前記第1面から前記第2面にまで到達する本体貫通穴が形成され、
前記本体貫通穴に着脱可能な取付部材をさらに備え、
前記取付部材には、前記本体貫通穴に挿入された状態で前記第1面と前記第2面とを結ぶ第1方向に貫通する部材貫通穴が形成され、
前記取付部材はイミド系樹脂により形成される、マスク治具。
(付記2)
前記本体部には、間隔をあけて複数の前記本体貫通穴が配置されている、付記1に記載のマスク治具。
(付記3)
前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向について、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかに対して突出している、付記1または2に記載のマスク治具。
(付記4)
前記本体貫通穴は、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかに連なる部分に、前記第1方向に対し傾斜する本体傾斜穴を有する、付記1~3のいずれか1項に記載のマスク治具。
(付記5)
前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向に沿って延びる部材柱状領域と、前記部材柱状領域に対し傾斜する部材傾斜領域とを含み、
前記部材傾斜領域の少なくとも一部が、前記第1面に対して突出している、付記1~4のいずれか1項に記載のマスク治具。
(付記6)
前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向に沿って延びる部材柱状領域と、前記部材柱状領域の端部から前記第1方向に交差する方向に拡がるフランジ領域とを含み、
前記フランジ領域は、前記第1面の外側に配置され、前記第1面に対向している、付記1~3のいずれか1項に記載のマスク治具。
(付記7)
前記本体部の、前記第2面における前記本体貫通穴に隣接する位置には、前記第2面から前記第1面に向かう前記第1方向に延びる凹部が形成される、付記1~6のいずれか1項に記載のマスク治具。
(付記8)
溶射法において用いるマスク治具に用いられる取付部材であり、
一方の端部から、前記一方の端部と反対側の他方の端部まで貫通する部材貫通穴が形成されており、イミド系樹脂により形成される、取付部材。
(付記9)
基材の表面に対向するように、付記1に記載のマスク治具を配置する工程を備え、
前記配置する工程では、前記マスク治具の前記第1面が前記基材の前記表面に面するように、前記マスク治具が配置され、さらに、
前記マスク治具の前記本体貫通穴を介して、コールドスプレー法により成膜原料となる粉末を前記基材の前記表面に吹き付ける工程を備える、成膜方法。
(付記10)
ノズルを含むスプレーガンと、
前記スプレーガンに成膜原料となる粉末を供給する粉末供給部と、
前記スプレーガンに動作ガスを供給するガス供給部と、
基材と前記スプレーガンとの間に配置される、付記1に記載のマスク治具とを備える、成膜装置。
1 マスク治具、2 スプレーガン、2a スプレーガン本体部、2b ノズル、2c ヒータ、3 粉末供給部、4 ガス供給部、5,6 配管、7 バルブ、8 圧力センサ、9 温度センサ、10 粉末、11 本体部、11a 第1面、11b 第2面、11c 切欠き部、12 本体貫通穴、12a 本体傾斜穴、12b 本体柱状穴、12c 本体水平穴、12d 本体小径穴、13 ねじ止め穴、14 キャップ部材、14a 部材傾斜領域、14b 部材柱状領域、14c 水平領域、14d 部材小径領域、14f フランジ領域、15 部材貫通穴、15a 部材傾斜穴、15b 部材柱状穴、15c 部材水平穴、15d 部材小径穴、16 最上面、17 最下面、20 基材、21 ベース治具、30,31,32 矢印、100 成膜装置、b1,b2,b3 境界。

Claims (9)

  1. コールドスプレー法において用いるマスク治具であって、
    第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを含む本体部を備え、
    前記本体部には、前記第1面から前記第2面にまで到達する本体貫通穴が形成され、
    前記本体貫通穴に着脱可能な取付部材をさらに備え、
    前記取付部材には、前記本体貫通穴に挿入された状態で前記第1面と前記第2面とを結ぶ第1方向に貫通する部材貫通穴が形成され、
    前記取付部材はイミド系樹脂により形成される、マスク治具。
  2. 前記本体部には、間隔をあけて複数の前記本体貫通穴が配置されている、請求項1に記載のマスク治具。
  3. 前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向について、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかに対して突出している、請求項1または2に記載のマスク治具。
  4. 前記本体貫通穴は、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかに連なる部分に、前記第1方向に対し傾斜する本体傾斜穴を有する、請求項1または2に記載のマスク治具。
  5. 前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向に沿って延びる部材柱状領域と、前記部材柱状領域に対し傾斜する部材傾斜領域とを含み、
    前記部材傾斜領域の少なくとも一部が、前記第1面に対して突出している、請求項1または2に記載のマスク治具。
  6. 前記取付部材は、前記本体貫通穴に挿入された状態で、前記第1方向に沿って延びる部材柱状領域と、前記部材柱状領域の端部から前記第1方向に交差する方向に拡がるフランジ領域とを含み、
    前記フランジ領域は、前記第1面の外側に配置され、前記第1面に対向している、請求項1または2に記載のマスク治具。
  7. 前記本体部の、前記第2面における前記本体貫通穴に隣接する位置には、前記第2面から前記第1面に向かう前記第1方向に延びる凹部が形成される、請求項1または2に記載のマスク治具。
  8. 基材の表面に対向するように、請求項1に記載のマスク治具を配置する工程を備え、
    前記配置する工程では、前記マスク治具の前記第1面が前記基材の前記表面に面するように、前記マスク治具が配置され、さらに、
    前記マスク治具の前記本体貫通穴を介して、コールドスプレー法により成膜原料となる粉末を前記基材の前記表面に吹き付ける工程を備える、成膜方法。
  9. ノズルを含むスプレーガンと、
    前記スプレーガンに成膜原料となる粉末を供給する粉末供給部と、
    前記スプレーガンに動作ガスを供給するガス供給部と、
    基材と前記スプレーガンとの間に配置される、請求項1に記載のマスク治具とを備える、成膜装置。
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