JP7426531B1 - リサイクル高分子複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の物性を有する高分子複合材料を提供する。【解決手段】本発明に係る組成提案システムは、第1の学習済みモデルM5-1に、第1の取得部101により取得されたリサイクル高分子材料の物性値を入力することで予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する予測部103と、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値を設定する設定部107と、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する最適化部112とを有し、最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が予測される毎に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更することで、仮想のリサイクル高分子複合材料に含まれる、リサイクル高分子材料とそれ以外の成分との質量比率を最適化する。【選択図】図3

Description

本発明は、組成提案システム、リサイクル高分子複合材料の製造方法及びリサイクル高分子複合材料に関する。
複数の高分子材料を含む組成物から形成される高分子複合材料は、自動車部品、家電製品、食品・医療容器、建材・土木産業材等の材料として広く使用されている。高分子複合材料として、例えば、プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物が用いられる。
プロピレン系樹脂組成物として、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体、又はヘテロファジックプロピレン重合材料を含むプロピレン系重合体と、エチレン-α-オレフィン共重合体とを含むプロピレン樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018-178107号公報
ここで、高分子複合材料を製造する際、高分子複合材料の用途等に応じて、高分子複合材料等の任意の特性を満たすように、高分子複合材料の製造に用いる高分子の種類及び高分子複合材料の組成等を決める必要がある。高分子の種類及び高分子複合材料の組成等の決定には、実際に、実験で、種々の高分子を含む組成物を用いて高分子複合材料を製造してその物性を測定したり、最適な物性を有する高分子複合材料の組成を探したりする必要があるため、非常に多くの労力を要すると共に、原料や装置の準備が必要であった。
そのため、高分子複合材料の製造等の際に生じるエネルギー効率の向上を図る観点から、高分子複合材料の組成や構造等のパラメータから効率的に高分子複合材料の物性を提案できる方法が求められている。
特に、高分子複合材料の製造に、バージン高分子とリサイクルされた高分子(リサイクル高分子)を用いる場合、リサイクル高分子は、組成が一定でない場合が多いため、組成及びゴム量等の特性を正確に分析するのに手間がかかる。そのため、所望の物性を有する高分子複合材料を得るために、バージン高分子とリサイクル高分子をどの程度配合等すべきか特定するのは困難であった。
本発明の一態様は、所望の物性を有する高分子複合材料を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
リサイクル高分子材料を含むリサイクル高分子複合材料が所望の物性値を1つ以上満たすように、前記リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の組成を提案する組成提案システムであって、
前記リサイクル高分子材料の物性値を取得する取得部と、
バージン高分子材料を含むバージン高分子複合材料の物性値と前記バージン高分子複合材料の記述子を含むパラメータとが対応付けられた第1の学習用データセットを用いて学習された第1の学習済みモデルに、前記取得部により取得された前記リサイクル高分子材料の物性値を入力することで、前記第1の学習済みモデルにより予測された、前記リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する予測部と、
仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値を設定する設定部と、
リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと前記リサイクル高分子複合材料の物性値とが対応付けられた第2の学習用データセットを用いて学習された第2の学習済みモデルに、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、前記目標値に近づくように、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する最適化部と、
を有し、
前記最適化部は、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が予測される毎に、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更することで、前記仮想のリサイクル高分子複合材料に前記構成成分として含まれる、前記リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を最適化する組成提案システムである。
本発明の他の態様は、
リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料である。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.08g/cm~1.16g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>5000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>80MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>6である。
本発明の他の態様は、
リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.20g/cm~1.25g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>7500MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>115MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>9.0である。
本発明の他の態様は、
リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.30g/cm~1.35g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>10,000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>140MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>11.0である。
本発明の一態様は、所望の物性を有する高分子複合材料を提供できる。
第1の学習装置及び第1の予測装置の概略構成を示すブロック図である。 第2の学習装置及び第2の予測装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る組成提案システムの構成を示すブロック図である。 第1の学習装置、第2の学習装置、第1の予測装置、第2の予測装置及び組成提案システムのハードウェア構成を示すブロック図である。 第1の学習方法を説明するフローチャートである。 第1の予測方法を説明するフローチャートである。 第2の学習方法を説明するフローチャートである。 第2の予測方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係る組成提案方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態に係るリサイクル高分子複合材料の製造方法を説明するフローチャートである。 タルク量の実測値と予測値との関係を示す図である。 ゴム量の実測値と予測値との関係を示す図である。 曲げ弾性率の実測値と予測値との関係を示す図である。 曲げ強度の実測値と予測値との関係を示す図である。 常温シャルピー衝撃強度の実測値と予測値との関係を示す図である。 常温シャルピー衝撃強度の予測値と、曲げ弾性率FMの予測値との関係を示す図である。 密度と実際の曲げ弾性率との関係を示す図である。 密度と実際の曲げ強度との関係を示す図である。 密度と実際の常温シャルピー衝撃強度と密度との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、本実施形態において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本実施形態に係る組成提案システムについて説明する。本実施形態に係る組成提案システムは、リサイクルされた高分子材料(リサイクル高分子材料)を含むリサイクル高分子複合材料が所望の物性値を1つ以上満たすように、リサイクル高分子複合材料に含まれる、リサイクル高分子材料等の構成成分の組成等を提案する。
高分子複合材料に含まれる高分子材料は、バージン高分子材料の他に、リサイクル高分子材料を用いて形成される場合がある。リサイクル高分子材料は、バージン高分子材料と異なり、その組成がリサイクルされる原料、製造条件、製造元等によって異なる場合がある。リサイクル高分子材料を用いる場合、所望の物性を有するリサイクル高分子複合材料を製造するために、入手されるリサイクル高分子材料ごとにその組成等を考慮して、リサイクル高分子複合材料の組成を決定する必要がある。
本実施形態に係る組成提案システムは、最初に、リサイクル高分子材料の物性値から、その記述子を含むパラメータを予測する。次に、本実施形態に係る組成提案システムは、予測したパラメータの特性を有するリサイクル高分子材料を含むリサイクル高分子複合材料の物性値を予測し、その物性値の予測結果に基づいて、リサイクル高分子複合材料のパラメータを最適化する。これにより、本実施形態に係る組成提案システムは、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分(例えば、リサイクル高分子材料等)の組成等の最適な記述子を提案できる。
なお、本実施形態において、高分子複合材料は、高分子材料と充填材とを構成成分として含む複合材料(組成物)である。高分子複合材料は、バージン高分子複合材料でもよいし、リサイクル高分子複合材料でもよいし、バージン高分子複合材料とリサイクル高分子複合材料の両方を含んでもよい。
本明細書において、バージン高分子材料、リサイクル高分子材料、バージン高分子複合材料及びリサイクル高分子複合材料は、以下の通り、定義する。
「バージン高分子材料」とは、新品の原料のみを用いて製造された高分子(バージン高分子)を含む材料であり、バージン高分子のみから構成されてもよい。
「リサイクル高分子材料」とは、リサイクルされた原料を含んで製造された高分子(リサイクル高分子)を含む材料であり、リサイクル高分子と他の成分を含んでもよいし、リサイクル高分子のみから構成されてもよい。リサイクル高分子材料は、リサイクルされた原料のみで製造された高分子材料でもよいし、新品の原料とリサイクルされた原料を含んで製造された高分子材料でもよい。リサイクル高分子材料は、リサイクルされる高分子の種類によって、バージン高分子と同一の高分子の他に、その高分子以外の成分(例えば、ポリオレフィンエラストマー及び充填材)を含む混合物である場合がある。例えば、リサイクル高分子材料がプロピレンである時、リサイクル高分子材料は、プロピレンと、プロピレン以外の成分(例えば、ポリオレフィンエラストマー及び充填材)を含む混合物を構成する場合がある。
「バージン高分子複合材料」とは、高分子材料として新品のバージン高分子材料を含み、リサイクル高分子材料を含まないバージン複合材料をいう。バージン高分子複合材料は、バージン高分子材料と充填材とを構成成分として含む混合物(組成物)であり、バージン高分子材料と繊維状充填材とを構成成分として含むバージン繊維強化複合材料であってよい。
「リサイクル高分子複合材料」とは、高分子材料としてリサイクル高分子材料を含み、リサイクル高分子材料と、リサイクルに由来しない充填材とを、構成成分として含む混合物であり、リサイクル高分子材料と、リサイクルに由来しない繊維状充填材とを、構成成分として含むリサイクル繊維強化複合材料であってよい。リサイクル高分子複合材料は、高分子材料がリサイクル高分子材料のみで製造された場合と、高分子材料がバージン高分子材料とリサイクル高分子材料を含んで製造された場合を含む。
ここで、本実施形態に係る組成提案システムを説明するに当たり、高分子複合材料について説明する。
<高分子複合材料>
高分子複合材料は、高分子材料と充填材とを構成成分として含む混合物(組成物)であり、高分子材料と繊維状充填材とを構成成分として含む繊維強化複合材料であってよい。高分子複合材料は、その用途等に応じて所定の形状に成形された成形物でもよい。本実施形態では、高分子材料が、プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物である場合について説明する。なお、高分子材料は、プロピレン系樹脂組成物に限定されず、プロピレン以外の高分子を含む組成物でもよい。
[プロピレン系樹脂組成物]
高分子材料であるプロピレン系樹脂組成物は、少なくとも1つのプロピレン系重合体(A)を含む。
(プロピレン系重合体(A))
プロピレン系重合体(A)は、プロピレンに由来する単量体単位を有する重合体である。プロピレン系重合体(A)としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体、及びヘテロファジックプロピレン重合材料等が挙げられる。プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。プロピレン系重合体(A)は、プロピレン系樹脂組成物の成形体の剛性と耐衝撃性との観点から、プロピレン単独重合体及びヘテロファジックプロピレン重合材料からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
((プロピレン単独重合体))
プロピレン系重合体(A)がプロピレン単独重合体を含む場合、当該プロピレン単独重合体の極限粘度数(η)は、プロピレン系樹脂組成物の溶融時の流動性と、プロピレン系組成物の成形体の靭性との観点から、0.10dL/g~2.00dL/gであることが好ましい。
なお、本実施形態において、極限粘度数(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dL及び0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法により、極限粘度数を求める。外挿法による極限粘度数の計算方法は、例えば、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載されている。
上記プロピレン単独重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0以上であることが好ましい。プロピレン系重合体(A)の分子量分布は、3.0~30.0であることが好ましい。
本実施形態において、分子量分布は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を用いて算出される、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)をいう。
((条件))
装置:東ソー株式会社製 HLC-8121 GPC/HT
分離カラム:東ソー株式会社製 GMHHR-H(S)HT 3本
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
試料濃度:約1mg/mL
試料注入量:400μL
検出器:示差屈折
検量線作成方法:標準ポリスチレンを使用
プロピレン単独重合体は、例えば、重合触媒を用いて、プロピレンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒;チーグラー・ナッタ型触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して、変性させた触媒が挙げられる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合及び気相重合が挙げられる。
重合方式としては、例えば、バッチ式、連続式及びこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式であってもよい。
重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、単量体濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする重合体の分子構造に応じて、適宜決定すればよい。
重合工程の後、重合体中に含まれる残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて重合体を、重合体が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。
((プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体))
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、プロピレンに由来する単量体単位とプロピレン以外の単量体に由来する単量体単位とを含有するものである。ランダム共重合体は、ランダム共重合体の質量を基準として、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を0.01質量%~20質量%含有することが好ましい。
プロピレン以外の単量体は、エチレンに由来する単量体等である。プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素数4~12のα-オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンから選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
なお、「α-オレフィン」とは、α位に炭素-炭素不飽和二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素を意味する。
ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンランダム共重合体及びプロピレン-エチレン-1-オクテンランダム共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)がプロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体を含む場合、前記ランダム共重合体の極限粘度数(η)は、プロピレン系樹脂組成物の溶融時の流動性の観点から、例えば、1.00dL/g~10.00dL/gであることが好ましい。
ランダム共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.0~30.0であることが好ましい。
ランダム共重合体は、例えば、プロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式に従って、プロピレン及びプロピレン以外の単量体を重合することにより製造できる。
((ヘテロファジックプロピレン重合材料))
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する重合体(I)(但し、重合体(I)の全質量を100質量%とする。)と、エチレン及び炭素数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体(II)を含む。ヘテロファジックプロピレン重合材料は、重合体(I)のマトリックスの中で、重合体(II)が分散した構造を有する混合物を意味する。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、例えば、重合体(I)を形成する第1の重合工程と、重合体(II)を形成する第2の重合工程を行うことにより製造できる。これらの重合工程において採用される、重合触媒、重合方法及び重合方式の例示は、上記と同様である。
重合体(I)は、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。重合体(I)が、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、重合体(I)の全質量を基準として、例えば、0.01質量%以上20質量%未満であってもよい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン及び炭素数4以上のα-オレフィンが挙げられる。中でも、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体が挙げられる。
重合体(I)は、プロピレン系樹脂組成物の成形体の寸法安定性の観点から、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
重合体(I)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対して、50質量%~99質量%であることが好ましい。
重合体(II)は、エチレン及び炭素数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位を40質量%以上含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有することが好ましい。
重合体(II)において、エチレン及び炭素数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、40~70質量%であってよく、45質量%~60質量%であってもよい。
重合体(II)において、エチレン及び炭素数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンとしては、エチレン及び炭素数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、エチレン及び1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種が更に好ましい。
重合体(II)としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体及びプロピレン-1-デセン共重合体が挙げられる。中でも、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体及びプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体が好ましく、プロピレン-エチレン共重合体がより好ましい。
重合体(II)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を基準として、1質量%~50質量%であることが好ましい。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、キシレン不溶(CXIS)成分及びキシレン可溶(CXS)成分を含んでよい。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対して、50質量%~99質量%であることが好ましい。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXS成分の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましい。
本実施形態においては、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分は、主として重合体(I)から構成され、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXS成分は、主として重合体(II)から構成されると考えられる。
ヘテロファジックプロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、及び(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料が挙げられる。
なお、「(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料」とは、「重合体(I)がプロピレン単独重合体であり、重合体(II)がプロピレン-エチレン共重合体であるヘテロファジックプロピレン重合材料」を意味する。他の類似の表現においても同様である。
重合体(I)の極限粘度数(ηI)は、例えば、0.10dL/g~2.00dL/gであることが好ましい。
重合体(II)の極限粘度数(ηII)は、1.00dL/g~10.00dL/gであることが好ましい。
重合体(I)の極限粘度数(ηI)に対する重合体(II)の極限粘度数(ηII)の比([η]II/[η]I)は、1~20であることが好ましい。
重合体(I)の極限粘度数(ηI)の測定方法としては、例えば、重合体(I)を形成した後に、重合体の極限粘度数を測定する方法が挙げられる。
重合体(II)の極限粘度数(ηII)は、例えば、ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数(ηTotal)、重合体(I)の極限粘度数(ηI)並びに重合体(II)及び重合体(I)の含有量を用いて、下記式(I)により算出できる。
ηII=(ηTotal-ηI×XI)/XII ・・・(I)
なお、式(I)中、ηTotal、ηI、XI及びXIIは、それぞれ、以下の意味である。
ηTotal:ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数(dL/g)
ηI:重合体(I)の極限粘度数(dL/g)
XI:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体(I)の質量の比(重合体(I)の質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
XII:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体(II)の質量の比(重合体(II)の質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
ここで、XI、XIIは、重合時の物質収支から求めることができる。
なお、XIIは、重合体(I)の融解熱量及びヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量を測定し、下記式(II)を用いて算出してもよい。
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P ・・・(II)
式(II)中、(ΔHf)T、(ΔHf)Pは、以下の意味である。
(ΔHf)T:ヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量(J/g)
(ΔHf)P:重合体(I)の融解熱量(J/g)
CXIS成分の極限粘度数(ηCXIS)は、0.10dL/g~2.00dL/gであることが好ましい。
CXS成分の極限粘度数(ηCXS)は、1.00dL/g~10.00dL/gであることが好ましい。
CXIS成分の極限粘度数(ηCXIS)に対するCXS成分の極限粘度数(ηCXS)の比(ηCXS/ηCXIS)は、1~20であることが好ましい。
重合体(I)の分子量分布(Mw(I)/Mn(I))は、3.0以上であることが好ましい。
CXIS成分の分子量分布(Mw(CXIS)/Mn(CXIS))は、3.0以上であることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)の温度230℃、荷重2.16kgfでのメルトフローレート(MFR)は、プロピレン系樹脂組成物の成形加工性の観点から、5g/10分~300g/10分であることが好ましい。
なお、本実施形態において、MFRは、JIS K7210に準拠して測定される値をいう。
(ポリオレフィンエラストマー(B))
プロピレン系樹脂組成物は、ポリオレフィンエラストマー(B)を含んでもよい。ポリオレフィンエラストマー(B)は、ポリオレフィンエラストマー(B)の全質量を100質量%として、ポリオレフィンエラストマー(B)に含まれるエチレンに由来する単量体単位の含有量と炭素数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量との合計が100質量%であってよい。
炭素数が4以上のα-オレフィンとしては、例えば、炭素数4~12のα-オレフィンが挙げられる。炭素数が4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン及び1-デセンが挙げられる。中でも、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンが好ましい。上記α-オレフィンは、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン等の環状構造を有するα-オレフィンであってよい。
ポリオレフィンエラストマー(B)としては、例えば、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、及びエチレンと環状構造を有するα-オレフィンとの共重合体(エチレン-α-オレフィン共重合体)が挙げられる。
なお、エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と、炭素数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位とを含有する共重合体であり、プロピレンに由来する単量体単位を含まないものを意味する。
ポリオレフィンエラストマー(B)において、炭素数が4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、ポリオレフィンエラストマー(B)の全質量を基準として、1質量%~49質量%であることが好ましい。
ポリオレフィンエラストマー(B)の温度190℃、荷重2.16kgfでのMFRは、0.1g/10分~80g/10分であることが好ましい。
ポリオレフィンエラストマー(B)の密度は、プロピレン系樹脂組成物の成形体の耐衝撃性の観点から、0.850g/cm~0.890g/cmであることが好ましい。
ポリオレフィンエラストマー(B)は、重合触媒を用いて、エチレン及び炭素数4以上のα-オレフィンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒、及びチーグラー・ナッタ型触媒が挙げられる。
均一系触媒としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して変性させた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒が挙げられる。
ポリオレフィンエラストマー(B)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、及びエスプレンSPO(登録商標)が挙げられる。
(充填材(C))
プロピレン系樹脂組成物は、充填材(C)を含んでよい。プロピレン系樹脂組成物に含まれる充填材(C)は、例えば、プロピレン系樹脂組成物の成形体の寸法安定性を高める機能を有する。充填材(C)としては、無機充填材及び有機充填材が挙げられる。プロピレン系樹脂組成物は、充填材(C)を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
無機充填材としては、ガラス、含水珪酸マグネシウム(タルク(3MgO・4SiO・HO))、ケイ酸塩鉱物、アルミナ、シリカ、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸塩鉱物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック及び硫化カドミウムが挙げられる。
有機充填材としては、ポリエステル、芳香族ポリアミド、セルロース及びビニロンが挙げられる。
充填材(C)は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、無機充填材が好ましく、板状ケイ酸塩鉱物であるフィラー(タルク)がより好ましい。
充填材の形状は、板状であってよく、繊維状であってよく、針状であってよい。
充填材(C)の平均粒子径D50は、成形体の剛性、耐衝撃性及び寸法安定性の観点から、例えば、0.5μm~20.0μmとしてよい。
なお、平均粒子径D50は、JIS R1629に規定された方法に従い、レーザー回析法又は遠心沈降法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。このように定義される粒子径は、一般に「50%相当粒子径」と称され、「D50」で表記される。
充填材(C)の含有量は、プロピレン系樹脂組成物の成形体の寸法安定性の観点から、プロピレン系重合体(A)及びポリオレフィンエラストマー(B)の合計100質量部に対して、10質量部~60質量部であってよい。
プロピレン系樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤及び光拡散剤が挙げられる。プロピレン系樹脂組成物は、これらの成分を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
[繊維状充填材]
繊維状充填材は、無機充填材又は有機充填材を繊維状に形成した充填材である。無機充填材又は有機充填材は、上述の充填材(C)で用いられる無機充填材又は有機充填材を用いてよい。繊維状充填材は、無機充填材を繊維状に形成した繊維状無機充填材であることが好ましい。繊維状無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等が用いられる。
高分子複合材料が、リサイクル高分子複合材料である場合、リサイクル高分子複合材料は、リサイクル高分子とリサイクル高分子以外の成分を構成成分として含み、リサイクル高分子複合材料中のフィラー(タルク)量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たす。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.08g/cm~1.16g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>5000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>80MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>6である。
本実施形態に係る組成提案システムを説明するに当たり、組成提案システムで用いられる学習済みモデルを生成する学習装置と、生成した学習済みモデルを用いて予測する予測装置について説明する。学習装置及び予測装置は、説明変数及び目的変数が異なる2つの学習装置及び予測装置として、第1の学習装置及び第1の予測装置と、第2の学習装置及び第2の予測装置とを有する。
<第1の学習装置>
第1の学習装置について説明する。なお、ここでは、高分子複合材料に含まれる高分子材料であるプロピレン系重合体(A)は、ヘテロファジックプロピレン重合材料とし、エラストマーを含んでもよく、充填材は、タルクとする。また、後述する、第1の予測装置2で用いる充填材も、第1の学習装置1と同様とする。
また、第1の学習装置1で用いる高分子材料又は高分子複合材料は、バージン高分子材料又はバージン高分子複合材料であり、高分子材料又は高分子複合材料の物性値と高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータは、バージン高分子材料又はバージン高分子複合材料の物性値とバージン高分子材料又はバージン高分子複合材料の記述子を含むパラメータである。
図1は、学習装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、第1の学習装置1は、取得部11、前処理部12、学習用データセット作成部13、学習部14及び表示部15を備える。第1の学習装置1は、高分子材料又は高分子複合材料の物性値から高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルM1を生成する。
第1の学習装置1では、入力される物性値が高分子材料の物性値である場合、高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルM1が生成される。入力される物性値が高分子複合材料の物性値である場合、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルM1が生成される。
ここでは、入力される物性値が高分子複合材料の物性値であり、予測されるパラメータが高分子複合材料の記述子を含むパラメータである場合について説明するが、用いられる高分子複合材料が充填材を含まない場合には、第1の学習装置1の説明に用いる「高分子複合材料」は、「高分子材料」とみなす。
取得部11は、高分子複合材料の物性値を説明変数として取得すると共に、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として取得する。
第1の学習装置1において説明変数として用いる高分子複合材料の物性値としては、成形性(流動性)、密度、降伏応力、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、ロックウェル硬度、剛性、耐衝撃性、光沢性等が挙げられる。なお、成形性は、高分子複合材料のMFR等で評価できる。耐衝撃性は、常温又は低温におけるIZOD衝撃強度、シャルピー衝撃試験で評価できる。
第1の学習装置1において目的変数として用いる高分子複合材料の記述子としては、高分子複合材料に含まれる構成成分の質量比率、構成成分の種類毎の特性値及び構造値等が挙げられる。
高分子複合材料の記述子は、高分子複合材料に含まれる構成成分の質量比率と、構成成分の種類毎の特性値及び構造値の少なくとも一方を含む。
構成成分は、一種の高分子を必須成分として含み、一種の高分子以外の成分を任意成分として含んでもよい。一種の高分子と、一種の高分子以外の成分は、いずれも複数含んでもよい。構成成分は、一種の高分子を含むため、構成成分の種類毎の特性値及び構造値は、一種の高分子の特性値及び構造値であってよい。
構成成分の質量比率は、構成成分の組成とその比率である。例えば、高分子複合材料に含まれる、ヘテロファジックプロピレン重合材料、ポリオレフィンエラストマー(B)及び充填材(C)のそれぞれの比率である。構成成分の質量比率は、高分子複合材料に含まれる、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量等を含む。構成成分の質量比率は、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量のうちの1つ以上を含んでよい。
構成成分の種類毎の特性値は、構成成分の極限粘度、MFR等が挙げられる。
構成成分の極限粘度は、高分子複合材料に含まれる、少なくとも一種の高分子材料の極限粘度を含む。構成成分の極限粘度は、例えば、高分子複合材料に含まれる、ヘテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)の極限粘度である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を構成する重合体(I)及び重合体(II)の少なくとも一方の極限粘度であり、重合体(I)及び重合体(II)の両方の極限粘度でもよい。
構成成分の種類毎の構造値は、構成成分の分子量、構成成分の含有量、構成成分に含まれる共重合体の単量体単位比率、共重合体の組成の比率等である。
構造値は、構成成分の含有量及び構成成分に含まれる共重合体の単量体単位比率の少なくとも一方を含むことが好ましい。共重合体の単量体単位比率は、エチレンに由来する単量体単位を含む共重合体(例えば、ヘテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)等)における共重合体の単量体単位比率でもよい。
構成成分の分子量は、高分子材料とその他の高分子の分子量を含む。構成成分の分子量は、例えば、高分子複合材料に含まれる、ヘテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)等の分子量である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料の分子量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれる重合体(I)及び重合体(II)の少なくとも一方の分子量であり、重合体(I)及び重合体(II)の両方の分子量でもよいし、重合体(I)又は重合体(II)の分子量としてよい。
構成成分の含有量は、高分子材料とその他の高分子の含有量を含む。構成成分の含有量は、例えば、高分子複合材料に含まれる、ヘテロファジックプロピレン重合材料、ポリオレフィンエラストマー(B)及び充填材(C)の含有量である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を構成する重合体(I)及び重合体(II)の少なくとも一方の含有量であり、重合体(II)の含有量のみでもよい。
構成成分に含まれる共重合体の単量体単位比率は、例えば、高分子複合材料に含まれるヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれるエチレン量、ポリオレフィンエラストマー(B)に含まれるエチレン量である。なお、エチレン量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)等のエチレンに由来する単量体単位を含む共重合体における、共重合体の単量体単位比率である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれるエチレン量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれる重合体(I)及び重合体(II)の少なくとも一方に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量であり、重合体(II)に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量のみでもよい。
構成成分に含まれる共重合体の組成の比率は、高分子複合材料に含まれる、ヘテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)等に含まれる共重合体の組成の比率である。ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれる共重合体の組成の比率は、重合体(I)と重合体(II)との比率としてもよい。
構成成分の種類毎の特性値及び構造値は、構成成分が高分子材料である場合、高分子材料の特性又は構造を示すパラメータを含むことが好ましい。そのため、特性値及び構造値は、高分子材料であるテロファジックプロピレン重合材料及びポリオレフィンエラストマー(B)等の特性又は構造を示すパラメータとして、例えば、これらの分子量及び共重合体の単量体単位比率と相関するパラメータ等を含んでよい。
分子量と相関するパラメータとして、例えば、極限粘度及びメルトフローレート(MFR)等が挙げられる。
共重合体の単量体単位比率と相関するパラメータとして、例えば、密度及びガラス転移温度等が挙げられる。
構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方は、構成成分の種類毎の平均値を含むことが好ましく、構成成分の種類毎の特性値は、平均特性値を含み、構成成分の種類毎の構造値は、平均構造値を含むことが好ましい。
即ち、構成成分の分子量、構成成分の含有量、構成成分の極限粘度、構成成分に含まれる共重合体の単量体単位比率、共重合体の組成の比率は、それぞれ、構成成分の平均分子量、構成成分の平均含有量、構成成分の平均極限粘度、構成成分に含まれる共重合体の平均単量体単位比率、共重合体の組成の平均比率としてよい。
特性値及び構造値の平均値を用いると、高分子複合材料の構成成分として1つの高分子材料を含む場合と、2つ以上の高分子材料を含む場合とで、学習に用いる高分子複合材料の記述子を含むパラメータの数を揃えることができるため、学習済みモデルM1の予測精度が向上する場合がある。例えば、学習用データセットに2つのプロピレン材料を含む高分子複合材料が存在し、第1の成分の特性値及び構造値と、第2の成分の特性値及び構造値を高分子複合材料の記述子を含むパラメータとして用いる。この場合、他の学習用データセットに1つのプロピレン材料を含む高分子複合材料が存在する場合には、該材料の第2の成分は存在しないので、第2の成分の特性値及び構造値は欠損データとなる。学習に用いる高分子複合材料の記述子を含むパラメータに欠損データがある場合、得られる学習済みモデルの予測精度は低下する。このような場合、高分子複合材料の記述子を含むパラメータとして各成分毎の特性値及び構造値の平均値を用いる。これにより、2つのプロピレン材料を含む高分子複合材料と、1つのプロピレン材料を含む高分子複合材料とで、対応する記述子を含むパラメータの数を揃えることができ、学習データに欠損を生じないため、学習済みモデルの予測精度が向上する。
高分子複合材料の記述子は、追加の記述子として、算出した上記の各成分の特性値又は構造値(平均特性値又は平均構造値)と質量比率との交差項を含んでよい。なお、各成分の特性値又は構造値は、これらの平均特性値又は平均構造値でもよい。即ち、高分子複合材料の記述子は、追加の記述子として、算出した上記の各成分の特性値又は構造値と質量比率との積を合算した値を含んでよい。
なお、交差項は、説明変数である、高分子複合材料の物性値同士の間の交互作用(いわゆる相乗効果)を表現するのに有効である。非線形モデルを用いる場合は必ずしも含める必要はないが、学習データセット内のデータ数が少ない場合には、精度向上に寄与する場合があるため、交差項を用いることが好ましい。交差項を作る高分子複合材料の記述子は、目的変数である高分子複合材料の物性に対して効くと思われる記述子の組み合わせを適宜選択してもよいし、全てのパターンを試して予測精度が高い組み合わせを選択してもよい。
前処理部12は、取得した高分子複合材料の物性(説明変数)及び高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)の前処理を行う。なお、第1の学習装置1は、取得部11で、予め前処理された、高分子複合材料の物性及び高分子複合材料の記述子を含むパラメータが取得される場合、前処理部12を備えなくてもよい。
前処理部12は、取得部11で取得した高分子複合材料が重複する場合、高分子複合材料の物性及び高分子複合材料の記述子を含むパラメータの重複する値は、平均値(中央値)を算出してよい。
前処理部12は、物性値としては、成形性、密度、降伏応力、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、ロックウェル硬度、剛性、耐衝撃性、光沢性等の平均値を算出してよい。前処理部12は、高分子複合材料の記述子を含むパラメータとして、高分子複合材料の種類毎の特性値及び構造値の平均値を算出してよい。
学習用データセット作成部13は、前処理された、高分子複合材料の物性を説明変数として、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として、それぞれ抽出して、学習用データセットに加える。学習用データセット作成部13は、入力された、高分子複合材料の物性と高分子複合材料の記述子を含むパラメータとを紐付けて、学習用データセットを作成する。
なお、前処理部12で、高分子複合材料の物性と高分子複合材料の記述子を含むパラメータの前処理が行われない場合には、学習用データセット作成部13は、取得部11で取得した、高分子複合材料の物性(説明変数)と高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)をそれぞれ抽出して、学習用データセットに加えてよい。
学習部14は、高分子複合材料の物性(説明変数)と、高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習することで、学習済みモデルM1を生成する。
学習済みモデルM1は、不図示の記憶部に記憶されている学習用データセット(学習用データテーブル)を利用して予め機械学習が行われた学習済みモデルである。学習済みモデルM1は、第1の学習装置1の不図示の記憶部に記憶されている学習用データセットを利用して機械学習が行われることで得られる、高分子複合材料の物性(説明変数)と高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)との対応関係の学習結果が適用される。学習済みモデルM1は、高分子複合材料の物性を説明変数として入力データとし、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として出力データとし、高分子複合材料の物性と高分子複合材料の記述子を含むパラメータとの入出力関係をモデル化するためのプログラムである。なお、学習済みモデルM1は、関数等の数式で表してもよい。
学習済みモデルM1は、機械学習の中でも、教師あり学習のアルゴリズムを適用することが好ましい。教師あり学習として、例えば、線形回帰(Linear regression)、正則化回帰(Regularized Regression)、部分的最小二乗回帰、多項式回帰、カーネル回帰(Kernel Regression)、ロジスティック回帰(Logistic regression)、ランダムフォレスト(Random Forest)、勾配ブースティング回帰木(Gradient Boosting Regression Tree)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、ニューラルネットワーク(Neural Network)等が挙げられる。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークを3層よりも多層にした深層学習(ディープラーニング)を用いることができる。ニューラルネットワークの種類としては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)、回帰型(再帰型)ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)及び一般回帰ニューラルネットワーク(General Regression Neural Network)等を用いることができる。
表示部15は、学習済みモデルM1の学習において用いられる学習用データセットの情報と、学習済みモデルM1に関する情報等を表示する。
第1の学習装置1は、1つの学習済みモデルM1で、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを出力してよい。このため、第1の学習装置1は、出力する高分子複合材料の記述子を含むパラメータ毎に、それぞれの高分子複合材料の記述子を含むパラメータに応じた学習済みモデルM1を有することが好ましい。
このように、第1の学習装置1は、学習部14を備えるため、高分子複合材料の物性値から高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルM1を生成する。第1の学習装置1により生成される学習済みモデルM1は、入力される、高分子複合材料の物性値から、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測するように学習する。
また、第1の学習装置1は、学習済みモデルM1を生成するため、第1の学習装置1を用いることで、高分子複合材料の物性値から高分子複合材料の記述子を含むパラメータの予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図れる。即ち、高分子複合材料を製造する際、高分子複合材料の用途等に応じて、成形性等の任意の特性を満たす高分子複合材料を製造するために、実際に、実験で、様々な高分子材料を含む高分子複合材料を製造してその物性の測定等が行われる。こうした工程が行われることで、高分子複合材料の製造に有効な高分子の種類及び組成物の組成等が決定されるため、非常に多くの労力を要すると共に、様々な材料の準備のため、費用の負担が大きかった。第1の学習装置1は、高分子複合材料の物性から高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測するために用いることで、高分子複合材料の記述子を含むパラメータの予測を、負担を減らしつつ効率的に行う。よって、第1の学習装置1は、高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第1の予測装置>
第1の予測装置について説明する。図1は、予測装置の構成を示すブロック構成図である。図1に示すように、第1の予測装置2は、取得部21、前処理部22、学習済みモデルM2、予測部23及び表示部24を備える。第1の予測装置2は、リサイクル高分子材料の物性値からリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。
リサイクル高分子材料は、上述の通り、バージン高分子と同一の高分子の他に、その高分子以外の成分を含んでいる場合がある。例えば、リサイクル高分子材料がプロピレンである場合、リサイクル高分子材料は、プロピレンと、プロピレン以外の成分として、例えば、ポリオレフィンエラストマー及び充填材等を含む混合物である場合があり、プロピレン以外の成分の含有量によってリサイクル高分子材料の物性が変わる。第1の予測装置2は、リサイクル高分子材料の物性値から、リサイクル高分子材料に含まれるリサイクル高分子とそれ以外の成分の組成等、リサイクル高分子材料の記述子を予測する。
取得部21は、予測対象の、リサイクル高分子材料の物性値を説明変数として取得する。リサイクル高分子材料の物性値は、上述の第1の学習装置1で取得する高分子複合材料の物性値と同様であるため、詳細は省略する。
前処理部22は、取得した、予測対象の、リサイクル高分子材料の物性値(説明変数)の前処理を行う。前処理の詳細は、第1の学習装置1の前処理部12と同様であるため、詳細は省略する。
学習済みモデルM2は、予め準備した、高分子複合材料の物性値(説明変数)と、高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習されたものである。学習済みモデルM2は、上記の第1の学習装置1で生成した学習済みモデルM1を用いてよい。
予測部23は、学習済みモデルM2に、取得部21により取得された予測対象のリサイクル高分子材料の物性値を入力することで、学習済みモデルM2により予測された、予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する。即ち、予測部23は、1つの学習済みモデルM2から、予測対象のリサイクル高分子材料の1種類の物性値に対応した、予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。
リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータは、上述の第1の学習装置1で取得する高分子複合材料の記述子を含むパラメータと同様であるため、詳細は省略する。
また、予測部23は、複数の学習済みモデルM2を用いることにより、予測対象のリサイクル高分子材料の物性値を含む群に対応した、予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測してよい。例えば、予測部23は、予測対象のリサイクル高分子材料の複数の物性値に対応した、予測対象のリサイクル高分子材料の質量比率、特性値及び構造値等の予測値を予測してよい。ここでは、リサイクル高分子材料の同一の物性を入力として、それぞれの学習済みモデルからそれぞれのリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータの予測値を得てもよいし、同一の予測対象のリサイクル高分子材料から、各学習済みモデルに対応した個別の前処理部を経由してもよい。
また、予測部23は、複数の、予測対象のリサイクル高分子材料の複数の物性値を含む群に対応した、予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測してよい。
表示部24は、学習済みモデルM2により予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを目的変数として表示する。
このように、第1の予測装置2は、予測部23を備え、予測部23において、学習済みモデルM2により、リサイクル高分子材料の物性値から、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。よって、第1の予測装置2は、入力される、リサイクル高分子材料の物性値に対応した、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。
また、第1の予測装置2は、予測部23を備えることで、リサイクル高分子材料の物性値からリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータの予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図りつつ、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。よって、第1の予測装置2は、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを効率的に予測するため、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第2の学習装置>
第2の学習装置について説明する。図2は、第2の学習装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、第2の学習装置3は、取得部31、前処理部32、学習用データセット作成部33、学習部34及び表示部35を備える。第2の学習装置3は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する学習済みモデルM3を生成する。即ち、第2の学習装置3は、図1に示す第1の学習装置1の説明変数及び目的変数の高分子複合材料をリサイクル高分子複合材料に変更し、第1の学習装置1の説明変数及び目的変数を逆にして学習済みモデルを生成するものである。
取得部31は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得すると共に、リサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として取得する。
第2の学習装置3において説明変数として取得するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと、第2の学習装置3において目的変数として取得するリサイクル高分子複合材料の物性値は、上述の第1の学習装置1で取得する高分子複合材料の記述子を含むパラメータ及び高分子複合材料の物性値と同様であるため、詳細は省略する。
前処理部32は、取得したリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)及びリサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)の前処理を行う。前処理部32は、第1の学習装置1の前処理部12と説明変数及び目的変数を逆にしたこと以外、前処理部12と同様であるため、詳細は省略する。なお、第2の学習装置3は、取得部31で、予め前処理された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ及びリサイクル高分子材料の物性値が取得される場合、前処理部32を備えなくてもよい。
学習用データセット作成部33は、前処理された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、リサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として、それぞれ抽出して、学習用データセットに加える。学習用データセット作成部33は、入力された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性値を紐付けて、学習用データセットを作成する。
なお、前処理部32で、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性値の前処理が行われない場合には、第1の学習装置1の前処理部12と同様、学習用データセット作成部13は、取得部31で取得した、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)とリサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)をそれぞれ抽出して、学習用データセットに加えてよい。
学習部34は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)と、リサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習することで、学習済みモデルM3を生成する。
学習済みモデルM3は、第1の学習装置1の学習済みモデルM1と説明変数及び目的変数を逆にしたこと以外、学習済みモデルM1と同様であるため、詳細は省略する。
表示部35は、学習済みモデルM3の学習において用いられる学習用データセットの情報と、学習済みモデルM3に関する情報等を表示する。
第2の学習装置3は、1つの学習済みモデルM3でリサイクル高分子複合材料の1つの物性値を出力する。このため、第2の学習装置3は、出力するリサイクル高分子複合材料の物性値毎に、それぞれのリサイクル高分子複合材料の物性値に応じた学習済みモデルM3を有することが好ましい。
このように、第2の学習装置3は、学習部34を備えるため、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する学習済みモデルM3を生成する。第2の学習装置3により生成される学習済みモデルM3は、入力される、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測するように学習する。
また、第2の学習装置3は、学習済みモデルM3を生成するため、第2の学習装置3を用いることで、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値の予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図れる。第2の学習装置3は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値を予測するために用いることで、リサイクル高分子複合材料の物性値の予測を、負担を減らしつつ効率的に行う。よって、第2の学習装置3は、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第2の予測装置>
第2の予測装置について説明する。図2は、第2の予測装置の構成を示すシステム構成図である。図2に示すように、第2の予測装置4は、取得部41、前処理部42、学習済みモデルM4、予測部43及び表示部44を備える。第2の予測装置4は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。即ち、第2の予測装置4は、図1に示す第1の予測装置2の説明変数及び目的変数を逆にしたものである。
取得部41は、予測対象の、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得する。リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータは、上述の第2の学習装置3で取得するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと同様であるため、詳細は省略する。
前処理部42は、取得した、予測対象の、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)の前処理を行う。前処理の詳細は、第2の学習装置3の前処理部32と同様であるため、詳細は省略する。
学習済みモデルM4は、予め準備した、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)と、リサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習されたものである。学習済みモデルM4は、上記の第2の学習装置3で生成した学習済みモデルM3を用いてよい。
予測部43は、学習済みモデルM4に、取得部41により取得された予測対象のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで、学習済みモデルM4により予測された、予測対象のリサイクル高分子複合材料の物性値を出力する。即ち、予測部43は、1つの学習済みモデルM4から、予測対象のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに対応した、予測対象のリサイクル高分子複合材料の1種類の物性値を予測する。予測部43は、上述の第1の予測装置2が備える予測部23に入力される説明変数及び出力される目的変数を逆にしたこと以外、予測部23と同様であるため、詳細は省略する。
表示部44は、学習済みモデルM4により予測された、リサイクル高分子複合材料の物性値等を目的変数として表示する。
このように、第2の予測装置4は、予測部43を備え、予測部43において、学習済みモデルM4により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。よって、第2の予測装置4は、入力される、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。
また、第2の予測装置4は、予測部43を備えることで、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値の予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図りつつ、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。よって、第2の予測装置4は、リサイクル高分子複合材料の物性値を効率的に予測するため、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<組成提案システム>
本実施形態に係る組成提案システムについて説明する。図3は、本実施形態に係る組成提案システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、組成提案システム10は、第1の取得部101、前処理部102、予測部103、第2の取得部104、学習用データセット作成部105、学習部106、設定部107、第3の取得部108、物性予測部109、比較部110、判定部111、最適化部112、表示部113、第1の学習済みモデルM5-1及び第2の学習済みモデルM5-2を有する。組成提案システム10は、少なくともリサイクル高分子材料を構成成分として含むリサイクル高分子複合材料が所望の物性値を1つ以上満たすように、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の組成を提案する。
第1の取得部101は、リサイクル高分子材料の物性値を説明変数として取得する。
第1の取得部101に最初に入力されるリサイクル高分子材料の物性値は、ランダムに取得された物性値でよく、例えば、リサイクル高分子材料の、ランダムに取得された、成形性(流動性)、密度、降伏応力、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、ロックウェル硬度、剛性、耐衝撃性、光沢性等を用いてよい。また、最初に入力されるリサイクル高分子材料は、複数のリサイクル高分子材料に対応して、複数の群であってよい。
リサイクル高分子材料の物性値は、上述の第1の予測装置2で取得する高分子材料の物性値、又は第2の予測装置4で予測されるリサイクル高分子複合材料の物性値と同様であるため、詳細は省略する。
前処理部102は、第1の取得部101で取得した、リサイクル高分子材料の物性値の前処理を行う。なお、組成提案システム10は、第1の取得部101で、予め前処理された、リサイクル高分子材料の物性値を取得する場合、前処理部102を備えなくてもよい。
前処理部102は、第1の取得部101で取得した、リサイクル高分子材料の物性値が重複する場合、リサイクル高分子材料の物性値の重複する値は平均値(中央値)を算出してよい。
前処理部102は、リサイクル高分子材料の物性値として、リサイクル高分子材料の種類毎の物性値の平均値を算出してよい。
予測部103は、第1の学習済みモデルM5-1に、前処理部102で取得したリサイクル高分子材料の物性値を入力して、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。予測部103は、第1の学習済みモデルM5-1に、前処理部102で取得したリサイクル高分子材料の物性値を入力することで、第1の学習済みモデルM5-1により予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する。
予測部103は、リサイクル高分子材料の物性値に対応した、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを含む群を予測してよい。リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを含む群は、複数の第1の学習済みモデルM5-1により予測される、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータの予測値の群である。例えば、予測部103は、複数の第1の学習済みモデルM5-1により、リサイクル高分子材料の、成形性(流動性)、密度、降伏応力、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、ロックウェル硬度、剛性、耐衝撃性、光沢性等に対応した、構成成分の質量比率(例えば、ゴム量、タルク量及びガラス繊維量)、構成成分の種類毎の特性値及び構造値の予測値の群を予測してよい。
リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータは、上述の第1の予測装置2で予測されるリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータ、又は第2の予測装置4で取得されるリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと同様であるため、詳細は省略する。
第1の学習済みモデルM5-1は、バージン高分子材料を含むバージン高分子複合材料の物性値とバージン高分子複合材料の記述子を含むパラメータとが対応付けられた学習用データセット(第1の学習用データセット)を用いて学習された学習済みモデルである。第1の学習済みモデルM5-1は、図1の第1の学習装置1の学習済みモデルM1、又は図1の第1の予測装置2の学習済みモデルM2を用いてよい。第1の学習済みモデルM5-1は、学習済みモデルM1又は学習済みモデルM2と同様であるため、詳細は省略する。
第2の取得部104は、予測部103で、第1の学習済みモデルM5-1により予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを取得する。
学習用データセット作成部105は、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとみなす。学習用データセット作成部105は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、学習用データセットに加える。即ち、学習用データセット作成部105は、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータをもとに、組成比に応じたリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを作成し、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、学習用データセットに加える。
学習用データセットには、過去のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、過去のリサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として、既に収容されていてよい。学習用データセット作成部105は、第2の学習装置3の学習用データセット作成部33を用いることができる。学習用データセット作成部105は、学習用データセット作成部33と同様であるため、詳細は省略する。
学習部106は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)と、リサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習することで、第2の学習済みモデルM5-2を生成する。
第2の学習済みモデルM5-2は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性値とが対応付けられた学習用データセット(第2の学習用データセット)を用いて学習された学習済みモデルである。第2の学習済みモデルM5-2は、図2の第2の学習装置3の学習済みモデルM3、又は図2の第2の予測装置4の学習済みモデルM4を用いてよい。第2の学習済みモデルM5-2は、学習済みモデルM3又は学習済みモデルM4と同様であるため、詳細は省略する。
学習部106は、図2の第2の学習装置3の学習部34と同様であるため、詳細は省略する。
設定部107は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値を設定する。
目標値は、リサイクル高分子複合材料の用途等に応じて適宜設定されてよい。
第3の取得部108は、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセット作成部105と同様、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとみなし、説明変数として取得する。即ち、第3の取得部108は、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータをもとに、組成比に応じたリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを作成し、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得する。
物性予測部109は、第2の学習済みモデルM5-2に、第3の取得部108により取得されたリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとし、この仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として入力する。物性予測部109は、第2の学習済みモデルM5-2により、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として出力する。即ち、物性予測部109は、1つの第2の学習済みモデルM5-2から、仮想のリサイクル高分子材料の記述子を含む1種類のパラメータに対応した、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。
比較部110は、物性予測部109で予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を、設定部107で設定された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値と比較する。
判定部111は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する必要があるか否かを判定する。判定部111は、例えば、繰り返しの最適化が所定の回数行われたか否かを判定する。
所定の回数は、用いるリサイクル高分子複合材料の種類、組成等に応じて適宜設定されてよい。
また、判定部111は、同時に、物性予測部109で予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値と、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値との差が所定の範囲内であるかを判定してもよい。
なお、所定の範囲は、用いるリサイクル高分子複合材料の種類、組成等に応じて適宜設定してよい。例えば、所定の範囲は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が目標値と同一でもよいし、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値との誤差が数%以下の範囲でもよい。また、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が複数ある場合、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の少なくとも一つと目標値との誤差が数%以下の範囲でもよい。
最適化部112は、物性予測部109において予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子(例えば、質量比率、特性値及び構造値等)を含むパラメータを変更して最適化する。最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が予測される毎に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更することで、仮想のリサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を最適化する。
即ち、最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が望ましい方向に変更するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する。
構成成分は、上述の通り、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分を必須成分として含み、リサイクル高分子材料と、リサイクル高分子材料以外の成分は、いずれも、1つ以上含んでよい。リサイクル高分子複合材料の記述子として、例えば、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の種類、構成成分の質量比率が最適化される際、リサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれるリサイクルプロピレン系重合体、ポリオレフィンエラストマー及び充填材の種類と、リサイクルプロピレン系重合体、ポリオレフィンエラストマー、充填材及びその他の構成成分の質量比率を最適化されることが好ましい。
リサイクル高分子複合材料の質量比率は、それぞれ、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含んでよい。なお、リサイクル高分子複合材料の質量比率が含まれる場合、バージン高分子複合材料及び仮想のリサイクル高分子複合材料は、リサイクル高分子複合材料と同様、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含んでよい。
リサイクル高分子複合材料の記述子は、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含んでよい。なお、リサイクル高分子複合材料の記述子が含まれる場合、バージン高分子複合材料及び仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子は、それぞれ、リサイクル高分子複合材料と同様、構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含んでよい。
最適化部112は、最適化された、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を、再度、仮想記述子として、第3の取得部108に入力する。
最適化部112は、例えば、米国Anaconda社から配布されているソフトウェアであるAnaconda(登録商標)に含まれるライブラリを用いてよい。Anaconda(登録商標)には、Python(登録商標)及び機械学習で使用されるライブラリ群が含まれている。最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化のため、PythonライブラリであるOptuna(登録商標)を用いて、良好な物性を有する仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
即ち、最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の予測値から、最適化した際の仮想のリサイクル高分子複合材料の望ましい質量比率、特性値及び構造値等を含む記述子を、PythonライブラリであるOptuna(登録商標)を用いて提案できる。
最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されている、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに変更することに限定されない。最適化部112は、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されていない、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに変更してもよい。
即ち、最適化部112は、物性予測部109で予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値に基づいて、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されている高分子複合材料の質量比率、特性値及び構造値等に変更してもよいし、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されていない高分子複合材料の質量比率、特性値及び構造値等に変更してもよい。
また、最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されているか否かに関わらず、特定の、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを回避するように変更してもよい。
即ち、最適化部112は、学習用データセット(第2の学習用データセット)に記録されているか否かに関わらず、特定のリサイクル高分子複合材料の記述子として、リサイクル高分子複合材料の特定の質量比率、特性値及び構造値等を回避するように変更してもよい。
最適化部112は、最適化した際の仮想のリサイクル高分子複合材料の望ましい質量比率、特性値及び構造値等を含む記述子を含むパラメータを実現するための、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を、アルゴリズムを用いて最適化して提案することが好ましい。
アルゴリズムとしては、ランダムサーチ及び数理最適化処理等が挙げられるが、中でも、より効率的に最適化を行う点から、数理最適化処理が好ましい。
数理最適化処理として、遺伝的アルゴリズム、ベイス最適化及びTPE(Tree-structured Parzen Estimator)等を用いることができる。これらは1つのみを単独で用いてもよいし、2つ以上を併用してよい。これらの中でも、1回の処理当たりの計算速度とリサイクル高分子複合材料の物性の予測値の最適化効率のバランスの点から、遺伝的アルゴリズムが好ましい。
最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が望ましい方向に最大化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化してよい。
最適化部112は、物性予測部109で予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の予測値から、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化した際、最適化された仮想のリサイクル高分子複合材料の組成の群(パレート最適解)を提案してよい。
即ち、最適化部112は、物性予測部109で予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性から、仮想のリサイクル高分子複合材料の組成の組合せを複数提案してよい。例えば、最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率の組合せを複数提案してよい。
最適化部112は、リサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値それぞれについて生成された第2の学習済みモデルM5-2に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをそれぞれ入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値のそれぞれが、2つ以上の物性それぞれの前記目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更してよい。
リサイクル高分子複合材料の物性が2つ以上である場合でも、最適化部112は、2つ以上の物性についてのリサイクル高分子複合材料の組成の群(パレート最適解)を提案してよい。
仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する方法として、以下の方法がある。
一つ目の最適化の方法として、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を望ましい方向に最大化又は最小化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化させ、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案する方法がある。
この最適化する方法は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を望ましい方向に最大化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化させることが好ましい。
この最適化する方法では、最適化部112は、最適化の対象となるリサイクル高分子複合材料の物性値の項目と、最適化の方向(最大化又は最小化)を指定することで、リサイクル高分子複合材料の物性値が良好となるように、リサイクル高分子複合材料の記述子を最適化できる。
例えば、最適化部112は、提案されたリサイクル高分子複合材料の組成Rから、第3の取得部108、物性予測部109を経由して、組成Rに対応するリサイクル高分子複合材料の物性の予測値の群Pを得る。このとき、最適化部112は、上記操作を繰り返すことにより、リサイクル高分子複合材料の仮想的な組成Rj(j=1、2・・・n)と、リサイクル高分子複合材料の組成に対応するリサイクル高分子複合材料の物性値の予測値の群Pj(j=1、2・・・n)との対が得られる。そして、最適化部112は、得られたリサイクル高分子複合材料の仮想的な組成Rjと、組成に対応するリサイクル高分子複合材料の物性値の予測値の群Pjとの対から、リサイクル高分子複合材料の物性値の予測値が良好となるリサイクル高分子複合材料の組成の群を選択できる。
例えば、数理最適化処理として遺伝的アルゴリズムを用いる。この場合、第2の取得部104に、初めに(ランダムに)入力される複数の仮想的な組成Rj(j=1、2・・・n)と、対応する物性値の予測値の群Pj(j=1、2・・・n)との対を第一世代とする。そして、予測値の群Pjの値が望ましい(即ち、望ましい方向に最大化又は最小化されている)仮想組成Rjの部分集合から、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを仮想組成間で組み替える交叉操作と、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの一部をランダムに置き換える突然変異操作を行う。これにより、最適化部112は、リサイクル高分子複合材料の物性値の予測値が良好となるリサイクル高分子複合材料の組成の群が得られる。こうして得られた組成の群と対応する予測値の群の対を第二世代として、上記操作を繰り返す。これにより、更にリサイクル高分子複合材料の物性値の予測値が良好となるリサイクル高分子複合材料の組成の群が得られる。
最適化部112は、上記の方法により、リサイクル高分子複合材料の物性値が望ましい方向に最大又は最小であるリサイクル高分子複合材料の記述子の群を仮想記述子の群として提案できる。
よって、最適化部112は、上記の方法により、多数の組み合わせが考えられるリサイクル高分子複合材料の中で、リサイクル高分子複合材料の物性値が望ましい方向に最大化又は最小化されたリサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案できる。
二つ目の最適化する方法として、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を望ましい値に近づけるように、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案する方法がある。
この最適化する方法では、最適化部112は、最適化のための目的関数として、最適化の対象となる、リサイクル高分子複合材料の物性値の項目と、その目標値を指定することで、リサイクル高分子複合材料の物性値が良好となるように、リサイクル高分子複合材料の組成を最適化できる。
最適化部112は、リサイクル高分子複合材料の物性値kの目標値をOk、リサイクル高分子複合材料の組成Rjに対応するリサイクル高分子複合材料の物性値の予測値をPk,jとした時、最適化のための目的関数fkは、下記式(1)により求められる。
fk=|Ok-Pk,j|/|Ok| ・・・(1)
そして、最適化部112は、上記の、第一の最適化する方法と同様の方法によって、目的関数fkを最小化するように組成を最適化する。
最適化部112は、上記の方法により、リサイクル高分子複合材料の物性値を望ましい値(目標値)に近づけるようなリサイクル高分子複合材料の記述子の群を仮想記述子の群として提案できる。
リサイクル高分子複合材料の物性値が2つ以上である場合でも、最適化部112は、上記と同様に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する方法を用い、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案できる。
即ち、最適化部112は、リサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値それぞれについて、第2の学習済みモデルM5-2に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをそれぞれ入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値が、それぞれ、最大化又は最小化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化させ、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案してよい。
また、最適化部112は、リサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性それぞれについて、第2の学習済みモデルM5-2に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをそれぞれ入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値が、2つ以上の物性値のそれぞれの目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化させ、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案してよい。
表示部113は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに関する情報を表示する。リサイクル高分子複合材料の記述子は、1回以上、最適化部112により提案されて判定部111で再度判定された、リサイクル高分子複合材料の記述子でもよいし、最適化部112により最適化されていない、リサイクル高分子複合材料の記述子でもよい。判定部111において、物性予測部109で予測されたリサイクル高分子複合材料の物性が、目標値の所定の範囲内である場合、最初に第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子複合材料の記述子を表示してよい。
表示部113は、例えば、最適化部112により提案された、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を、マップ、ランキング形式、最適な組み合わせ順等、リサイクル高分子複合材料の記述子のリストで表示してよい。
このように、組成提案システム10は、予測部103、設定部107、物性予測部109、比較部110、判定部111及び最適化部112を備える。組成提案システム10は、比較部110において、物性予測部109で予測された仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を設定部107で設定された目標値と比較して、判定部111において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が目標値の所定の範囲内にあるかと判定する。組成提案システム10は、最適化部112において、第2の学習済みモデルM5-2に仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する。
組成提案システム10は、判定部111において、物性予測部109で得られた仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が目標値の所定の範囲内にあると判定されるまで、最適化部112において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する操作を繰り返す。これにより、組成提案システム10は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、設定される目標値と略同等の物性を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと略同等にできる。このため、組成提案システム10は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値から、目標値として設定されるリサイクル高分子複合材料と略同等の物性を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
よって、組成提案システム10は、設定される、リサイクル高分子複合材料の所望の物性値が得られる、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
また、組成提案システム10は、最適化部112を備えることで、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を、仮想のリサイクル高分子複合材料の所望の物性を満たすように最適化する際に要する負担の軽減及び時間の削減を図ることができる。よって、組成提案システム10は、所望の物性を満たすリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを効率良く提案できるため、リサイクル高分子複合材料の製造及び物性の確認等に要するエネルギー消費の低減を図ることができる。
組成提案システム10は、第1の取得部101により取得されるリサイクル高分子複合材料、第1の学習済みモデルM5-1で用いられるバージン高分子複合材料、第2の学習済みモデルM5-2で用いられるリサイクル高分子複合材料及び物性予測部109により取得される仮想のリサイクル高分子複合材料(「リサイクル高分子複合材料等」ともいう。)の質量比率として、それぞれ、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含むことができる。リサイクル高分子材料は、組成比が一定ではないことが多いが、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量は、比較的、大きな変化が生じ難く、リサイクル高分子材料を含むリサイクル高分子複合材料の性能の予測に用い易い。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等の質量比率に、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含むことで、リサイクル高分子複合材料の物性値の予測性能を高めることができるので、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをより高精度に提案できる。
組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等の記述子として、それぞれ、これらに含まれる構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含むことができる。構成成分の特性値及び構造値は、リサイクル高分子複合材料等の記述子として使用し易いため、組成提案システム10は、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子として、構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含むパラメータを容易に提案できる。
組成提案システム10は、最適化部29で、特定の、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを回避するように変更できる。これにより、組成提案システム10は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子が重複することを避けつつ、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
組成提案システム10は、最適化部29で、数理最適化処理を行って、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子に構成成分として含まれる、リサイクル高分子とリサイクル高分子以外の成分との質量比率を提案できる。これにより、組成提案システム10は、最適化部112で、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをより効率的に最適化を行うことができるので、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをより効率良く提案できる。
組成提案システム10は、最適化部112で、数理最適化処理として、遺伝的アルゴリズム、ベイズ最適化及びTPEの何れかを用いることができる。組成提案システム10は、最適化部112で、数理最適化処理に、遺伝的アルゴリズム、ベイズ最適化及びTPEの何れかを用いても、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化を行い、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
組成提案システム10は、最適化部112で、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が望ましい方向に最大化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化を行うことができる。これにより、組成提案システム10は、最適化部112で、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化を適切に行うことができるので、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを適切に提案できる。
組成提案システム10は、最適化部112で、仮想のリサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率の組合せを複数提案できる。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの候補を、使用者に一度にまとめて複数提供できる。
組成提案システム10は、最適化部112で、第2の学習済みモデルM5-2に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性のそれぞれが、2つ以上の物性それぞれの目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更できる。これにより、組成提案システム10は、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを適切に提案できる。
組成提案システム10は、最適化部112で、2つ以上の物性値についてパレート解を提案できる。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料の物性値が2つ以上である場合でも、2つ以上の物性値についてのリサイクル高分子複合材料の組成の群を提案できる。
組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等の質量比率として、リサイクル高分子複合材料等の構成成分の種類毎の平均値を含むことができる。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等の質量比率に、これらの構成成分の種類毎の平均値を用いることで、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをより適切に提案できる。
組成提案システム10は、バージン高分子材料及びリサイクル高分子材料に、二種類以上の単量体単位を含む共重合体を含むことができる。これにより、組成提案システム10は、バージン高分子材料及びリサイクル高分子材料が共重合体を含む場合でも、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等には、それぞれ、プロピレン系重合体、ポリオレフィンエラストマー及び充填材を含む組成物を用いることができる。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等が、プロピレン系重合体、ポリオレフィンエラストマー及び充填材を含む組成物で構成される場合でも、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
組成提案システム10は、プロピレン系重合体が、プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とを含む共重合体を含むことができる。組成提案システム10は、リサイクル高分子複合材料等に含まれるプロピレン系重合体がエチレンを含む共重合体で構成されている場合でも、所望の物性値を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
なお、上記の、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3及び第2の予測装置4は、第1の学習システム、第1の予測システム、第2の学習システム及び第2の予測システムとして構成されてもよい。即ち、第1の学習装置1及び第2の学習装置3は、各構成を装置内に備えた、PC(Personal Computer)等の単独の装置としているが、各構成の1つ以上は装置の外側に配置してネットワークを介して接続されてもよい。
例えば、学習用データセットはクラウド上に設けられてもよい。この場合、第1の学習装置1及び第2の学習装置3は、ネットワークを介して接続される学習用データセットにより学習システムとして構成される。
同様に、第1の予測装置2、第2の予測装置4も、各構成の1つ以上は装置の外側に配置してネットワークを介して接続されてもよい。
<ハードウェア構成>
次に、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10のハードウェア構成の一例について説明する。図4は、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10は、情報処理装置(コンピュータ)で構成され、物理的には、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1001、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)1002及びROM(Read Only Memory)1003、入力デバイスである入力装置1004、出力装置1005、通信モジュール1006並びにハードディスク等の補助記憶装置1007等を含むコンピュータシステムとして構成することができる。これらは、バス1008で相互に接続されている。なお、出力装置1005及び補助記憶装置1007は、外部に設けられていてもよい。
CPU1001は、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10の全体の動作を制御し、各種の情報処理を行う。CPU1001は、ROM103又は補助記憶装置1007に格納された、例えば、後述する、学習方法、予測方法及び組成提案方法、又は学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムを実行して、学習、予測及び組成提案を行うことができる。
RAM1002は、CPU1001のワークエリアとして用いられ、主要な制御パラメータや情報を記憶する不揮発RAMを含んでもよい。
ROM103は、基本入出力プログラム等を記憶する。学習プログラム、予測プログラム又は組成提案プログラムはROM103に保存されてもよい。
入力装置1004は、キーボード、マウス、操作ボタン、タッチパネル、表示画面等の入力デバイスであり、使用者に入力された情報を指示信号として受け付け、その指示信号をCPU1001に出力する。
出力装置1005は、モニタディスプレイ等の表示装置、スピーカー、プリンタ等の印刷装置等である。出力装置1005では、例えば、モニタディスプレイ等の表示装置に学習結果、予測結果及び組成提案結果等の情報が表示され、入力装置1004や通信モジュール1006を介した入力操作に応じて表示する画面が更新される。
通信モジュール1006は、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスであり、外部のデータ収録サーバ等からの情報を取り込み、他の電子機器に解析情報を出力する通信インタフェースとして機能する。
補助記憶装置1007は、SSD(Solid State Drive)、及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、例えば、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10の動作に必要な各種のデータ、ファイル等を格納する。
第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10の各機能は、RAM1002等の主記憶装置又は補助記憶装置1007から所定のコンピュータソフトウェア(学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムを含む)を読み込ませ、CPU1001により実行することで、RAM1002等の主記憶装置又は及び補助記憶装置1007等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うと共に、入力装置1004、出力装置1005及び通信モジュール1006を動作させることで実現される。
よって、図1~図3に示す、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10の各部は、第1の学習装置1、第1の予測装置2、第2の学習装置3、第2の予測装置4及び組成提案システム10を備えたコンピュータにおいて、プロセッサが予め記憶されている所定のコンピュータソフトウェア(学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムを含む)を実行することで、ソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。
学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムは、例えばコンピュータが備える主記憶装置又は補助記憶装置1007内に格納させておくことができる。また、学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムは、インターネット等の通信回線に接続されたコンピュータ上に格納し、学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムの一部又は全部を通信回線を介してダウンロードさせることで提供してもよい。さらに、学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムは、通信回線を介して提供又は配布するように構成してもよい。
学習プログラム、予測プログラム及び組成提案プログラムは、その一部又は全部が、CD-ROM及びDVD-ROM等の光ディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等、持ち運び可能な記憶媒体に格納された状態から、コンピュータ内に記録(インストールを含む)してもよい。
<第1の学習方法>
次に、第1の学習方法について説明する。第1の学習方法は、図1に示すような構成を有する第1の学習装置1において、高分子複合材料の物性(説明変数)と、高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて、高分子材料を含む高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルを生成する方法である。
図5は、第1の学習方法を説明するフローチャートである。図5に示すように、取得部11により、高分子材料又は高分子複合材料の物性値を説明変数として取得すると共に、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として取得する(第1の学習情報の取得工程:ステップS11)。
次に、前処理部12により、取得した高分子材料又は高分子複合材料の物性値及び高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータの前処理を行う(第1の学習情報の前処理工程:ステップS12)。
次に、学習用データセット作成部13により、前処理された、高分子材料又は高分子複合材料の物性値を説明変数とし、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として、それぞれ抽出して、学習用データセットに加える(第1の学習用データセットの作成工程:ステップS13)。
学習用データセット作成部13により、入力された、高分子材料又は高分子複合材料の物性値と高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータとを紐付けて、学習用データセットが作成される。
次に、学習部14により、高分子材料又は高分子複合材料の物性値と高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータとが対応付けられた学習用データセットを用いて、学習済みモデルM1を生成する(第1の学習工程:ステップS14)。
学習部14は、学習用データセットに含まれる、高分子材料又は高分子複合材料の物性値の入力に応じて、高分子材料又は高分子複合材料の物性値に紐付けられた高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータと合致した出力となるように、学習済みモデルM1を生成する。
次に、表示部15により、学習済みモデルM1の学習において用いられる学習用データの情報と、学習済みモデルM1に関する情報とが表示される(第1の学習情報の表示工程:ステップS15)。
第1の学習方法は、第1の学習工程(ステップS14)を含むことで、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する学習済みモデルM1を生成する。よって、学習方法は、第1の学習工程(ステップS14)において生成した学習済みモデルM1を用いることで、入力される、高分子材料又は高分子複合材料の物性値から、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測するように学習する。
また、第1の学習方法は、第1の学習工程(ステップS14)を含み、第1の学習工程(ステップS14)において、学習済みモデルM1を生成する。このため、第1の学習方法を用いれば、高分子材料又は高分子複合材料の物性値から高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測するために用いることで、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータの予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図る。よって、第1の学習方法を用いれば、高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第1の予測方法>
次に、第1の予測方法について説明する。第1の予測方法は、図1に示すような構成を有する第1の予測装置2において、学習済みモデルM2により、リサイクル高分子材料の物性値から予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する方法である。
図6は、第1の予測方法を説明するフローチャートである。図6に示すように、取得部21により、予測対象の、リサイクル高分子材料の物性値を説明変数として取得する(第1の予測情報の取得工程:ステップS21)。
次に、前処理部12により、取得した、予測対象の、リサイクル高分子材料の物性値の前処理を行う(第1の予測情報の前処理工程:ステップS22)。
次に、予測部23により、学習済みモデルM2に、前処理された、予測対象のリサイクル高分子材料の物性値を入力することで、学習済みモデルM2により予測された、予測対象のリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する(第1の予測工程:ステップS23)。
次に、表示部24により、第1の予測工程S23において、学習済みモデルM2により予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータに関する情報が表示される(第1の予測情報の表示工程:ステップS24)。
第1の予測方法は、第1の予測工程(ステップS24)を含むことで、学習済みモデルM2により、リサイクル高分子材料又は高分子複合材料の物性から、リサイクル高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを目的変数として予測する。よって、第1の予測方法は、入力される、リサイクル高分子材料又は高分子複合材料の物性値に対応した、リサイクル高分子材料又は高分子複合材料の記述子を含むパラメータを予測する。
また、第1の予測方法は、第1の予測工程(ステップS24)を含むことで、リサイクル高分子材料の物性値からリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータの予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図りつつ、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。よって、第1の予測方法は、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを効率的に予測するため、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第2の学習方法>
次に、第2の学習方法について説明する。学習方法は、図2に示すような構成を有する第2の学習装置3において、リサイクル高分子材料を含むリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)とリサイクル高分子複合材料の物性(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する学習済みモデルM3を生成する方法である。
図7は、第2の学習方法を説明するフローチャートである。図7に示すように、取得部31により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得すると共に、リサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として取得する(第2の学習情報の取得工程:ステップS31)。
次に、前処理部32により、取得したリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)及びリサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)の前処理を行う(第2の学習情報の前処理工程:ステップS32)。
次に、学習用データセット作成部33により、前処理された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、リサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として、それぞれ抽出して、学習用データセットに加える(第2の学習用データセットの作成工程:ステップS33)。
学習用データセット作成部33により、入力された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性値を紐付けて、学習用データセットが作成される。
次に、学習部34により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性とが対応付けられた学習用データセットを用いて、学習済みモデルM3を生成する(第2の学習工程:ステップS34)。
学習部34により、学習用データセットに含まれる、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの入力に応じて、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに紐付けられたリサイクル高分子複合材料の物性値と合致した出力となるように、学習済みモデルM3が生成される。
次に、表示部35により、学習済みモデルM3の学習において用いられる学習用データの情報と、学習済みモデルM3に関する情報とが表示される(第2の学習情報の表示工程:ステップS35)。
第2の学習方法は、第2の学習工程(ステップS34)を含むことで、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する学習済みモデルM3を生成する。よって、学習方法は、第2の学習工程(ステップS33)において生成した学習済みモデルM3を用いることで、入力される、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測するように学習する。
また、第2の学習方法は、第2の学習工程(ステップS34)を含み、第2の学習工程(ステップS34)において、学習済みモデルM3を生成する。このため、第2の学習方法を用いれば、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値を予測するために用いることで、リサイクル高分子複合材料の物性値の予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図る。よって、第2の学習方法を用いれば、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<第2の予測方法>
次に、第2の予測方法について説明する。第2の予測方法は、図2に示すような構成を有する第2の予測装置4において、学習済みモデルM4により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、予測対象のリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する方法である。
図8は、第2の予測方法を説明するフローチャートである。図8に示すように、取得部41により、予測対象の、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得する(第2の予測情報の取得工程:ステップS41)。
次に、前処理部42により、取得した、予測対象の、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの前処理を行う(第2の予測情報の前処理工程:ステップS42)。
次に、予測部43により、学習済みモデルM4に、前処理された、予測対象のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで、学習済みモデルM4により予測された、予測対象のリサイクル高分子複合材料の物性値を出力する(第2の予測工程:ステップS43)。
次に、表示部44により、第2の予測工程S43において、学習済みモデルM4により予測された、リサイクル高分子複合材料の物性値等に関する情報が表示される(第2の予測情報の表示工程:ステップS44)。
第2の予測方法は、第2の予測工程(ステップS43)を含むことで、学習済みモデルM4により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。よって、第2の予測方法は、入力される、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータから、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。
また、第2の予測方法は、第2の予測工程(ステップS43)を含むことで、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータからリサイクル高分子複合材料の物性値の予測に要する負担の軽減及び時間の削減を図りつつ、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。よって、第2の予測方法は、リサイクル高分子複合材料の物性値を効率的に予測するため、リサイクル高分子複合材料の物性値を予測する際のエネルギー消費の低減を図れる。
<組成提案方法>
次に、本実施形態に係る組成提案方法について説明する。本実施形態に係る組成提案方法は、図3に示すような構成を有する組成提案システム10において、学習済みモデルM5により、リサイクル高分子複合材料の組成を提案する方法である。
図9は、本実施形態に係る組成提案方法を説明するフローチャートである。図9に示すように、第1の取得部101により、リサイクル高分子材料の物性値を説明変数として取得する(取得工程:ステップS101)。
最初に取得されるリサイクル高分子材料の物性値は、ランダムに取得された物性値でよく、例えば、リサイクル高分子材料の、ランダムに取得された、成形性(流動性)、密度、降伏応力、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、ロックウェル硬度、剛性、耐衝撃性、光沢性等を用いてよい。また、最初に入力されるリサイクル高分子材料は、複数のリサイクル高分子材料に対応して、複数の群であってよい。
リサイクル高分子材料は、外部より入手したリサイクル高分子材料、使用可能なリサイクル高分子材料のリスト等から、リサイクル高分子材料をランダムに選択する。このとき、リサイクル高分子材料は、1種類でもよいし、複数種類でもよい。
次に、前処理部102により、取得工程(ステップS101)で取得した、リサイクル高分子材料の物性値の前処理を行う(前処理工程:ステップS102)。なお、前処理工程(ステップS102)は、必要に応じて行えばよく、取得工程(ステップS101)で、予め前処理された、リサイクル高分子材料の物性値を取得する場合、前処理工程(ステップS102)は、行わなくてよい。
次に、予測部103により、第1の学習済みモデルM5-1に、前処理工程(ステップS102)において前処理された、リサイクル高分子材料の物性値を入力することで、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを目的変数として予測する(予測工程:ステップS103)。
予測工程(ステップS103)では、複数の第1の学習済みモデルM5-1を用いて、リサイクル高分子材料の物性値に対応した、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータの予測値の群を予測してよい。
予測工程(ステップS103)では、リサイクル高分子材料の質量比率は、タルク量及びゴム量の少なくとも1つ以上を含んでよい。
予測工程(ステップS103)では、リサイクル高分子材料の記述子は、リサイクル高分子材料に含まれる構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含んでよい。
次に、第2の取得部104により、予測部103で、第1の学習済みモデルM5-1により予測された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを取得する(第2の取得工程:ステップS104)。
次に、学習用データセット作成部105により、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとみなす。学習用データセット作成部105により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、学習用データセットに加える(学習用データセット作成工程:ステップS105)。
即ち、学習用データセット作成部105により、第2の取得部104で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータをもとに、組成比に応じたリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを作成し、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、学習用データセットに加える。
学習用データセットには、過去のリサイクル高分子複合材料を用いて、過去のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として、過去のリサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として、既に収容されていてよい。学習用データセット作成工程(ステップS105)は、第2の学習方法の学習用データセット作成工程(ステップS33)と同様に行ってよい。
次に、学習部106により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータ(説明変数)と、リサイクル高分子複合材料の物性値(目的変数)とが対応付けられた学習用データセットを用いて学習することで、第2の学習済みモデルM5-2を生成する(学習工程:ステップS106)。
第2の学習済みモデルM5-2は、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとリサイクル高分子複合材料の物性値とが対応付けられた第2の学習用データセットを用いて学習された学習済みモデルである。第2の学習済みモデルM5-2は、第2の学習方法で生成する学習済みモデルM3、又は第2の予測方法で使用する学習済みモデルM4を用いてよい。第2の学習済みモデルM5-1は、学習済みモデルM3又は学習済みモデルM4と同様であるため、詳細は省略する。
学習工程(ステップS106)は、第2の学習方法の第2の学習工程(ステップS34)と同様であるため、詳細は省略する。
次に、設定部107により、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値を設定する(物性の目標値設定工程:ステップS107)。
目標値は、上述の通り、リサイクル高分子複合材料の用途等に応じて適宜設定されてよい。
次に、第3の取得部108により、第2の取得工程(ステップS104)で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセット作成工程(ステップS105)と同様、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとみなし、説明変数として取得する(第3の取得工程:ステップS108)。
即ち、第3の取得部108により、第2の取得工程(ステップS104)で取得された、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータをもとに、組成比に応じたリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを作成し、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として取得する。
次に、物性予測部109により、第2の学習済みモデルM5-2に、第3の取得工程(ステップS108)により取得された、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータとし、この仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを説明変数として入力する。物性予測部109により、第2の学習済みモデルM5-2を用いて、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を目的変数として予測する(物性予測工程:ステップS109)。
物性予測工程(ステップS109)では、1つの第2の学習済みモデルM5-2から、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含む1種類のパラメータに対応した、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を予測する。
物性予測工程(ステップS109)では、複数の第2の学習済みモデルM5-2を用いて、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに対応した、リサイクル高分子複合材料の物性の予測値の群を予測してよい。
次に、比較部110により、物性予測工程(ステップS109)において予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性を、物性の目標値設定工程(ステップS107)において設定した、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値と比較する(比較工程:ステップS110)。
次に、判定部111により、物性予測工程(ステップS109)で予測した、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われたか否かを判定する(第1判定工程:ステップS111)。
所定の回数は、用いるリサイクル高分子複合材料の種類、組成等に応じて適宜設定されてよい。
仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われた場合(ステップS111:Yes)、判定部111は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する必要がないと判断する。
次に、判定部111により、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値と目標値との差が所定の範囲内であるか否かは判定する(第2判定工程:ステップS112)。なお、図9に示す本実施形態に係る組成提案方法では、判定部111により、第1判定工程(ステップS111)及び第2判定工程(ステップS112)が行われているが、第2判定工程(ステップS1112)は省略してもよい。
仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値と目標値との差が所定の範囲内である場合(ステップS112:Yes)、判定部111は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する必要がないと判断する。
第3の取得工程(ステップS108)において取得した、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータは変更されず、維持される。
次に、表示部113により、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに関する情報が表示される(表示工程:ステップS113)。
一方、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われていない場合(ステップS111:No)、又は仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が目標値との差が所定の範囲内でない場合(ステップS112:No)、判定部111は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更して最適化する必要があると判断する。
次に、最適化部112により、予測工程(ステップS109)において予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、物性の目標値設定工程(ステップS107)において設定した目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子(例えば、質量比率、特性値及び構造値等)を含むパラメータを最適なパラメータになるように変更して最適化する(最適化工程:ステップS114)。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、第3の取得工程(ステップS108)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が予測される毎に、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更することで、仮想のリサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を最適化する。
構成成分は、上述の通り、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分を必須成分として含み、リサイクル高分子材料と、リサイクル高分子材料以外の成分は、いずれも、1つ以上含んでよい。リサイクル高分子複合材料の記述子として、例えば、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の種類、構成成分の質量比率が最適化される際、リサイクル高分子複合材料に構成成分として含まれるリサイクルプロピレン系重合体及びポリオレフィンエラストマーの種類と、リサイクルプロピレン系重合体、ポリオレフィンエラストマー及びその他の構成成分の質量比率を最適化されることが好ましい。
最適化工程(ステップS114)では、リサイクル高分子複合材料の質量比率は、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含んでよい。なお、リサイクル高分子複合材料の質量比率が含まれる場合、バージン高分子複合材料及び仮想のリサイクル高分子複合材料は、リサイクル高分子複合材料と同様、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含んでよい。
最適化工程(ステップS114)では、リサイクル高分子複合材料の記述子は、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含んでよい。なお、リサイクル高分子複合材料の記述子が含まれる場合、バージン高分子複合材料及び仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子は、それぞれ、リサイクル高分子複合材料と同様、構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含んでよい。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、例えば、米国Anaconda社から配布されているソフトウェアであるAnaconda(登録商標)に含まれるライブラリを用いてよい。Anaconda(登録商標)には、Python(登録商標)及び機械学習で使用されるライブラリ群が含まれている。最適化部112は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化のため、PythonライブラリであるOptuna(登録商標)を用いて、良好な物性を有する仮想のリサイクルリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセットに記録されている、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに変更することに限定しなくてもよい。最適化部112により、学習用データセットに記録されていない、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに変更してもよい。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、学習用データセットに記録されているか否かに関わらず、特定の、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを回避するように変更してもよい。
最適化工程(ステップS114)では、最適化した際の仮想のリサイクル高分子複合材料の望ましい記述子(目標値から所定の範囲内)を含むパラメータを実現するために、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子に構成成分として含まれる、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を、ランダムサーチ及び数理最適化手法等のアルゴリズムを用いて最適化することが好ましい。
最適化工程(ステップS114)では、予測工程(ステップS108)において予測された、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の予測値から、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化した際、最適化された仮想のリサイクル高分子複合材料の組成の群(パレート最適解)を提案してよい。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、リサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性それぞれについて生成された第2の学習済みモデルM5-2により予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の2つ以上の物性値のそれぞれが、2つ以上の物性のそれぞれの目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更してよい。
リサイクル高分子複合材料の物性が2つ以上である場合でも、最適化部112により、2つ以上の物性についてのリサイクル高分子複合材料の組成の群(パレート最適解)を提案してよい。
最適化工程(ステップS114)では、最適化部112により、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する方法として、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性を望ましい方向に最大化又は最小化するように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化させ、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案する方法を用いてよい。
また、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する他の方法として、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性を望ましい値に近づけるように、リサイクル高分子複合材料の記述子の群を提案する方法を用いてよい。
最適化工程(ステップS114)において、最適化部112により、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化した後、再度、第3の取得工程(ステップS108)に移行する。そして、第3の取得部108により、最適化された、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を仮想記述子とし、この仮想記述子を含むパラメータを説明変数として第3の取得部108に入力し、上記と同様の工程を行う。
そして、第1判定工程(ステップS111)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われ、第2判定工程(ステップS112)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと目標値との差が所定の範囲内と判定されるまで、最適化工程(ステップS114)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子の最適化を繰り返し行われる。
最終的に、第1判定工程(ステップS111)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われ、第2判定工程(ステップS112)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと目標値との差が所定の範囲内と判定された後、上述の通り、表示部113により、最適化工程(ステップS114)において、提案された、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータに関する情報が表示される(表示工程:ステップS113)。
本実施形態に係る組成提案方法は、予測工程(ステップS103)、特性の目標値設定工程(ステップS107)、比較工程(ステップS110)、及び最適化工程(ステップS114)を含む。組成提案方法は、予測工程(ステップS103)において、第1の学習済みモデルM5-1にリサイクル高分子材料の物性値を入力することで、リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを予測する。組成提案方法は、第3の取得工程(ステップS108)において、得られたリサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータに基づいて、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを取得する。
組成提案方法は、最適化工程(ステップS114)において、第2の学習済みモデルM5-2に仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する。これにより、組成提案方法は、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを、設定される目標値と略同等の物性を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと略同等にできる。このため、組成提案方法は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値から、目標値として設定されるリサイクル高分子複合材料と略同等の物性を有するリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
よって、本実施形態に係る組成提案方法は、所望の物性を有するリサイクル高分子複合材料が得られる、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
また、本実施形態に係る組成提案方法は、最適化工程(ステップS114)を含むことで、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する際に要する負担の軽減及び時間の削減を図ることができる。よって、本実施形態に係る組成提案方法は、所望の物性を満たすリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと略同等のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを効率良く提案できるため、リサイクル高分子複合材料の製造及び物性の確認等に要するエネルギー消費の低減を図ることができる。
本実施形態に係る組成提案方法は、第1判定工程(ステップS111)を含み、第1判定工程(ステップS111)において、第3の取得工程(ステップS108)で取得した、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われたか否かを判定する。本実施形態に係る組成提案方法は、第1判定工程(ステップS111)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータの最適化が所定の回数行われたと判定されるまで、最適化工程(ステップS114)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する操作を繰り返す。これにより、本実施形態に係る組成提案方法は、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値からリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。よって、本実施形態に係る組成提案方法は、設定される、リサイクル高分子複合材料の所望の物性が得られる、リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを提案できる。
本実施形態に係る組成提案方法は、第2判定工程(ステップS112)を含む。これにより、本実施形態に係る組成提案方法は、第2判定工程(ステップS112)において、物性予測工程(ステップS106)で得られた仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が目標値の所定の範囲内にあると判定されるまで、最適化工程(ステップS114)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する操作を繰り返すことができる。
本実施形態に係る組成提案方法は、比較工程(ステップS110)を含む。本実施形態に係る組成提案方法は、比較工程(ステップS110)において、物性予測工程(ステップS106)で予測された仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値を物性の目標値設定工程(ステップS107)で設定された目標値と比較する。本実施形態に係る組成提案方法は、第2判定工程(ステップS112)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が目標値の所定の範囲内にあるかと判定できる。これにより、本実施形態に係る組成提案方法は、最適化工程(ステップS114)において、第2の学習済みモデルM5-2に仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化できる。
また、組成提案方法は、比較工程(ステップS110)において、第3の取得工程(ステップS108)において取得した、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を、物性の目標値設定工程(ステップS107)で設定された目標値と比較して、第2判定工程(ステップS112)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子が目標値の所定の範囲内にあるかと判定できる。これにより、本実施形態に係る組成提案方法は、最適化工程(ステップS114)において、仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、目標値に近づくように、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化できる。
本実施形態に係る組成提案方法は、上記のような特性を有するため、リサイクル高分子を構成成分として含み、所望の物性を有するリサイクル高分子複合材料の製造に用いることができる。
<リサイクル高分子複合材料の製造方法>
本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料の製造方法について説明する。本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料の製造方法は、上述の本実施形態に係る組成提案方法を用いて、リサイクル高分子複合材料を製造する方法である。図10は、本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料の製造方法を説明するフローチャートである。図10に示すように、図3に示す組成提案システム10で得られた、仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを得る(取得工程:ステップS201)。
次に、パラメータを満たす、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分を原料として準備する(原料準備工程:ステップS202)。
次に、原料準備工程(ステップS202)で準備した、それぞれの原料を混合して、パラメータを満たすリサイクル高分子複合材料を得る(リサイクル高分子複合材料の作製工程)。
リサイクル高分子複合材料は、リサイクル高分子材料と、繊維状充填材と、その他必要に応じて含まれるリサイクル高分子材料以外の成分を、リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分として含み、所望の物性値を有する。
<リサイクル高分子複合材料>
本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料は、上述の本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料の製造方法により製造できる。本実施形態に係るリサイクル高分子複合材料は、例えば、リサイクル高分子材料とリサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、以下に示す第1パラメータ~第3パラメータの何れか1つ以上を満たす。
第1パラメータは、下記(I)~(IV)のパラメータである。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.08g/cm~1.16g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>5000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>80MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>6である。
第2パラメータは、下記(I)~(IV)のパラメータである。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.20g/cm~1.25g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>7500MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>115MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>9.0である。
第3パラメータは、下記(I)~(IV)のパラメータである。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.30g/cm~1.35g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>10,000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>140MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>11.0である。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、実施例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
<実施例1>
(1)学習用データセット1の生成
後述する学習装置(図1に示す第1の学習装置1及び図2に示す第2の学習装置3で用いる学習用データセットを以下の手順により生成した。なお、本実施例では、高分子複合材料であるガラス繊維強化複合材料に含まれる高分子材料であるプロピレン系重合体(A)にヘテロファジックプロピレン重合材料を用い、繊維状充填材にガラス繊維を用いた。
(プロピレン系樹脂組成物の物性の取得)
WO2020/149284に記載の方法に従って、プロピレン系樹脂組成物を2軸押出することによってプロピレン系樹脂組成物を得た。プロピレン系樹脂組成物の物性値として、プロピレン系樹脂組成物を成形して形成したペレットの、MFR、射出成型品の密度、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率、HDT、常温ノッチ付シャルピー衝撃強度及びロックウェル硬度を測定した。
(学習用データセット1の作成)
作成したプロピレン系樹脂組成物の物性値と、プロピレン系樹脂組成物の記述子として、タルク量、ゴム量を対応させた学習用データセットを作成した。
(学習済みモデルM1の生成)
図1に示す第1の学習装置1を用いて、学習済みモデルM1を生成した。
(2)第1の学習装置
(2-1)学習部
学習用データセットを用いて学習部14において学習し、学習済みモデルM1を生成した(学習工程)。
学習済みモデルM1として、ポリプロピレン系樹脂材料のタルク量予測用の学習済みモデルM1-1と、ゴム量予測用の学習済みモデルM1-2とを生成した。
(タルク量予測用の学習済みモデルM1-1の生成)
200件の学習用データセットについて、前処理部12で標準化処理を行い、5×5二重交差検証法によってデータセットを学習用データセットと検証用データセットに分割し、ハイパーパラメータの最適化と、タルク量予測用の学習済みモデルM1-1の予測精度の検証を行った。
そして、回帰式構築用データを用い、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression;SVR)により学習済みモデルM1を生成した。生成したタルク量予測用の学習済みモデルM1-1には、学習プログラムが含まれており、学習プログラムにはPythonをプログラム言語として用いた。
図11に、タルク量の実測値と、検証用データを用いて、回帰式構築用データで構築された学習済みモデルにより予測されたタルク量の予測値との関係を表す。なお、実測値は、実際に測定されたタルク量である。タルク量の実測値と予測値との間の決定係数R2=0.99であった。決定係数R2は、5×5二重交差検証法にて算出した。実際のタルク量と予測されたタルク量との間の平均絶対誤差RMSE(Root Mean Square Error)は、0.46であり、最適ハイパーパラメータは、Cが710.9680713994642であり、εが0.0057724966787030315であり、γが0.003367343151112364であった。
(ゴム量予測用の学習済みモデルM1-2の生成)
200個の学習用データセットについて、前処理部22で標準化処理を行い、5×5二重交差検証法によってデータセットを学習用データセット及び検証用データセットに分割し、ハイパーパラメータの最適化と学習済みモデルの予測精度の検証を行った。
そして、回帰式構築用データを用い、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression;SVR)により、ゴム量予測用の学習済みモデルM1-2を生成した。生成したゴム量予測用の学習済みモデルM1-2には、学習プログラムが含まれており、学習プログラムにはPythonをプログラム言語として用いた。
図12に、ゴム量の実測値と、検証用データを用いて、回帰式構築用データで構築された学習済みモデルにより予測されたゴム量の予測値との関係を表す。なお、実測値は、実際に測定されたゴム量である。ゴム量の実測値と予測値との間の決定係数R2=0.96であった。決定係数R2は、5×5二重交差検証法にて算出した。実際のゴム量と予測されたゴム量との間の平均絶対誤差RMSE(Root Mean Square Error)は、1.13であり、最適ハイパーパラメータは、Cが338.2984019418194であり、εが0.0004977635704389426であり、γが0.008957273495603121であった。
図11、図12より、プロピレン系樹脂組成物のタルク量、ゴム量について、それぞれ、精度の良い学習済みモデルM1が得られることが確認できた。
(3)第1の予測装置2
図1に示す第1の学習装置1で生成した学習済みモデルM1を用いて、図2に示す第1の予測装置2を作成した。作成した第1の予測装置2により、リサイクルされた高分子材料(リサイクル高分子材料)の物性値を予測した。
(1)学習用データセット2の生成
後述する第2の学習装置3で用いる学習用データセット2を以下の手順により生成した。
(リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の特性の取得)
学習用データセット2に用いるリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の特性である、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量について、前述の第1の予測装置2を用いて予測した、タルク量、ゴム量と配合するガラス繊維量をもとに算出した。
(リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子の算出)
リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子として、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の原料の種類ごとの平均構造値、組成比率をそれぞれ下記に従って算出した。
リサイクル高分子材料A-i(i=1、2・・・n)のそれぞれの特性値がP部含有量Pcont,i、フィラー含有量Fcont,i、ゴム含有量Rcont,i、であり、組成比率がXAiであるとき、記述子として下記に示す5つの平均構造値を算出した。なお、Pcontは、P部含有量を示す。
・av.Pcont=Σ_i(100-Fcont,i―Rcont,i)×XAi/100
・av.Fcont=Σ_iFcont,i×XAi/100
・av.Rcont=Σ_iRcont,i×XAi/100
(その他の組成比率に関する記述子)
ガラス繊維について、組成比率の合計値を算出した。
(リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子の計算)
用いたリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子の計算結果を以下に示す。リサイクルガラス繊維強化樹脂材料は、リサイクル高分子材料A-1、リサイクル高分子材料A-2、リサイクル高分子材料A-3、酸変性高分子材料A―4及びガラス繊維Bからなり、それぞれの質量比がA-1:A-2:A-3:A-4:B=30:20:20:1.5:28.5である組成物(混合物)の記述子を算出した。但し、リサイクル高分子材料A-1、A-2及びA-3と、ガラス繊維Bの合計を100質量部とした。それぞれの原料の特性は、それぞれ下記の通りとした。
A-1:タルク量=1.8、ゴム量=18.8
A-2:タルク量=5.8、ゴム量=26.2
A-3:タルク量=17.0、ゴム量=19.6
A-4:タルク量=0、ゴム量=0
まず、下記に示す4種類の記述子を算出した。
(A).リサイクル高分子材料について
(A-1).リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のP部の含量av.Pcont=(100-1.8-18.8)×30/100+(100-5.8-26.2)×20/100+(100-17.0-19.6)×20/100+(100―0-0)×1.5/100=51.6
(A-2).リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のタルク量av.Fcont=1.8×30/100+5.8×20/100+17.0×20/100=5.1
(A-3).リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のゴム量av.Rcont=18.8×30/100+26.2×20/100+19.6×20/100=14.8
(B).ガラス繊維について
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のガラス繊維の含有量Gcont=28.5
(リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の取得)
WO2022/080363に記載の方法に従って、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料を2軸押出することによって、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料を得た。リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値として、射出成型品の曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度を測定した。
(学習用データセット2の作成)
作成したリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子を含むパラメータと、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値である、曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度を対応させた学習用データセット2を作成した。
(学習済みモデルM2の生成)
そして、図2に示した第2の学習装置3を用いて、学習済みモデルM3を生成した。
(2)第2の学習装置
(2-1)前処理部
作成した学習用データセット2を標準化処理を行った。
(2-2)学習部
学習用データセット2を用いて学習部34において学習し、学習済みモデルM3を生成した(学習工程)。
学習済みモデルM3として、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の曲げ弾性率予測用の学習済みモデルM3-1と、曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2と、常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3とを生成した。
(曲げ弾性率予測用の学習済みモデルM3-1の生成)
リサイクル高分子材料を含むガラス繊維強化樹脂材料27個の学習用データセットについて、前処理部32で標準化処理を行い、5×5二重交差検証法によってデータセットを学習用データセット及び検証用データセットに分割し、ハイパーパラメータの最適化と学習済みモデルM3-1の予測精度の検証を行った。
そして、回帰式構築用データを用い、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression;SVR)により学習済みモデルM3を生成した。生成した、曲げ弾性率予測用の学習済みモデルM3-1には、学習プログラムが含まれており、学習プログラムにはPythonをプログラム言語として用いた。
図13に、曲げ弾性率の実測値と、検証用データを用いて、回帰式生成用データで生成された、曲げ弾性率予測用の学習済みモデルM3-1により予測された曲げ弾性率の予測値との関係を表す。なお、実測値は、実際に測定された曲げ弾性率である。実際の曲げ弾性率と予測された曲げ弾性率との間の決定係数R2=0.99であった。決定係数R2は、5×5二重交差検証法にて算出した。実際の曲げ弾性率と予測された曲げ弾性率との間の平均絶対誤差RMSE(Root Mean Square Error)は、171MPaであり、最適ハイパーパラメータは、Cが860.7773617595948であり、εが0.006556323859521451であり, γが0.00019036464103819754であった。
(曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2の生成)
27件の学習用データセットについて、前処理部32で標準化処理を行い、5×5二重交差検証法によってデータセットを学習用データセットと検証用データセットに分割し、ハイパーパラメータの最適化と曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2の予測精度の検証を行った。
そして、回帰式構築用データを用い、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression;SVR)により、曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2を生成した。生成した曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2には、学習プログラムが含まれており、学習プログラムにはPythonをプログラム言語として用いた。
図14に、曲げ強度の実測値と、検証用データを用いて、回帰式生成用データを用いて生成された曲げ強度予測用の学習済みモデルM3-2により予測された曲げ強度の予測値との関係を表す。なお、実測値は、実際に測定された曲げ強度である。実際の曲げ強度と予測された曲げ強度との間の決定係数R2=0.95であった。決定係数R2は、5×5二重交差検証法にて算出した。実際の曲げ強度と予測された曲げ強度との間の平均絶対誤差RMSE(Root Mean Square Error)は、4.7MPaであり、最適ハイパーパラメータは、Cが494.29663614862807であり、εが0.014722045129405956であり, γが0.002062280440242451であった。
(常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3の生成)
27個の学習用データセットについて、前処理部32で標準化処理を行い、5×5二重交差検証法によってデータセットを学習用データセットと検証用データセットに分割し、ハイパーパラメータの最適化と、常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3の予測精度の検証を行った。
そして、回帰式構築用データを用い、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression;SVR)により、常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3を生成した。生成した常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3には、学習プログラムが含まれており、学習プログラムにはPythonをプログラム言語として用いた。
図15に、常温シャルピー衝撃強度の実測値と、検証用データを用いて、回帰式構築用データで生成された、常温シャルピー衝撃強度予測用の学習済みモデルM3-3により予測された常温シャルピー衝撃強度の予測値との関係を表す。なお、実測値は、実際に測定された常温シャルピー衝撃強度である。実際の常温シャルピー衝撃強度と予測された常温シャルピー衝撃強度との間の決定係数R2=0.48であった。決定係数R2は、5×5二重交差検証法にて算出した。実際の常温シャルピー衝撃強度と予測された常温シャルピー衝撃強度との間の平均絶対誤差RMSE(Root Mean Square Error)は、1.32kJ/mであり、最適ハイパーパラメータは、Cが3.1511970815454693であり、εが0.04367160457726784であり、γが0.6227761135297052であった。
図13~図15より、曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度について、精度の良い学習済みモデルが得られていることが確認できた。
(3)第2の予測装置4
図2に示す第2の学習装置3で生成した学習済みモデルM4を用いて、図2に示す第2の予測装置4を作成した。作成した第2の予測装置4によりリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性を予測した。
予測結果と比較するため、対応するリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料を用いて成形体を作製し、評価した。実験的にリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の合成及び評価を行った例を合成例として、既述の学習済みモデルM4を用いてリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値の予測を行った例を利用例とした。
(3-1)合成例1及び利用例1
(合成例1)リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の合成
(利用例1)リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値の予測
既述の予測装置(図1に示す第1の予測装置2及び図2に示す第2の予測装置4)を用いて、リサイクル高分子複合材料の物性値として、曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度を予測した。曲げ弾性率の予測値は、9050MPaであり、曲げ強度の予測値は、156であり、常温シャルピー衝撃強度の予測値は、10.1kj/mであった。
なお、学習済みモデルM2及びM4には、予測対象となるリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子を含むパラメータを入力しており、リサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子を含むパラメータは、学習済みモデルM2及びM4を生成する際のリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の記述子を含むパラメータと同様にして算出した。
<実施例2>
(1)学習用データセットの生成
上記の実施例1と同様にして行った。
(2)学習装置
上記の実施例1と同様にして行った。
(3)予測装置
上記の実施例1と同様にして行った。
(4)組成提案システム
最適化のためのPythonライブラリであるOptunaを用いて、良好な特性を有するプロピレン系樹脂組成物の組成を提案した。以下、リサイクル高分子複合材料であるリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値を望ましい方向に最大化又は最小化するようなプロピレン系樹脂組成物の組成の群を提案した例(実施例2-1)を示す。
(実施例2-1)リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性値を望ましい値に最大化又は最小化するようなプロピレン系樹脂組成物の組成の群の提案方法
仮想的な組成Rj(j=1、2・・・n)と、組成に対応する複合材料の特性の予測値の群Pj(j=1、2・・・n)との対を、以下のように得た。
リサイクル高分子材料及びガラス繊維を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料について、使用可能な原料リストの中から、リサイクル高分子材料A、ガラス繊維Bをそれぞれランダムに選択すると共に、組成比率をランダムに設定することによって、初期組成R1を得た。但し、初期組成R1中のリサイクル高分子材料Aとガラス繊維Bの合計を100質量部とした。このとき、それぞれの原料は、1種類又は複数種類とした。
上記の図1に示す第1の学習装置1及び図2に示す第2の学習装置3に記載の方法と同様の方法によって、初期組成R1の記述子を含むパラメータを算出した。そして、上記の第1の予測装置2及び第2の予測装置4を用いて、初期組成R1に対応した物性の予測値の群P1を得た。物性の予測値の群P1は、設定した学習済みモデルM2及びM4に対応する物性の予測値の群である。
仮想組成R1と、物性の予測値の群P1から、望ましい物性を有する組成R2を、最適化ライブラリOptunaを用いて提案した。提案のためのアルゴリズムには、遺伝的アルゴリズムを用いた。
最適化のための目的関数としては、最適化の対象となる物性項目と、最適化の方向(最大化又は最小化)を指定することで、複数の物性値が良好となるように、リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の組成を最適化した。
提案された組成R2から、対応するリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の予測値の群P2を得た。
以下、繰り返すことにより、仮想的なリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の組成Rj(j=1,2・・・n)と、組成に対応するリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の予測値の群Pj(j=1,2・・・n)との対を得た。
得られた仮想的なリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の組成Rj(j=1,2・・・n)と、組成に対応するリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の予測値の群Pj(j=1,2・・・n)との対から、リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の予測値が良好となる組成の群を選択した。
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料について、遺伝的アルゴリズムを用いて、曲げ弾性率と常温シャルピー衝撃強度とからなる複数の物性が、ともに最大化方向となるように最適化された組成の群を提案した結果を、図16に示す。図16に示すように、曲げ弾性率と常温シャルピー衝撃強度とが共に最大化方向となるように最適化された組成の群(パレート最適解、図16中、白丸)が得られた。
よって、組成提案システムは、多数の組み合わせが考えられるリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の中で、物性が望ましい方向に最大化された組成の群(パレート最適解)を効率よく提案できることが確認された。
(実施例2-2)リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の特性を望ましい値に近づけるような組成の群の提案方法
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性kの目標値をOk、組成Rjに対応するリサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性の予測値をPk,jとした時に、最適化のための目的関数fkを、下記式(4)のように定めた。
fk=|Ok-Pk,j|/|Ok| ・・・(4)
(式中、|Ok-Pk,j|及び|Ok|は、それぞれ、Ok-Pk,j及びOkの絶対値を示す。)
上記の(実施例2-1)に記載の方法と同様の方法によって、最適化のための目的関数fkを最小化するように組成を最適化することによって、リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の物性を望ましい値に近づけるような、リサイクルガラス繊維強化樹脂材料に含まれるプロピレン系樹脂組成物の組成の群を提案できることが確認された。
(実施例3-1)ガラス繊維強化樹脂材料の複数の物性について、それぞれが望ましい値以上になるような組成比率の算出
前述のリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料27個の学習用データセットを用い、Ridge回帰により学習済みモデルを生成した。さらに、タルク量、ガラス繊維量及びゴム成分量の3つの変数を説明変数として、曲げ弾性率、曲げ強度及びシャルピー衝撃強度の3つの変数を目的変数として、重回帰分析を行い、下記の重回帰式(5)~(7)を得た。
曲げ弾性率=128W+213Wg-102Wr+1081 ・・・(5)
曲げ強度=-0.38W+1.52Wg-3.30Wr+106.30 ・・・(6)
シャルピー常温衝撃=-0.10W+0.15Wg+0.18Wr+4.49・・・(7)
:リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のタルクの質量パーセント
Wg:リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のガラス繊維の質量パーセント
Wr:リサイクルガラス繊維強化樹脂材料中のゴム成分の質量パーセント
得られた、上記の重回帰式(5)~(7)から、所望の物性を複数同時に満たすために必要なプロピレン系樹脂組成物の組成比を、下記のように算出できる。
(利用例3-1)
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の密度が1.10g/cm~1.15g/cmの時、下記式(8)~(10)を全て満たすリサイクルガラス繊維強化樹脂材料は、曲げ弾性率>5,000MPa、曲げ強度>90MPa、常温シャルピー衝撃強度>7.0kj/mを全て満たすと予測される。
5000<128Wt+213Wg-102Wr+1081 ・・・(8)
90<-0.38Wt+1.52Wg-3.30Wr+106.30 ・・・(9)
7.0<-0.10Wt+0.15Wg+0.18Wr+4.49 ・・・(10)
(利用例3-2)
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の密度が1.20g/cm~1.25g/cmの時、下記式(11)~(13)を全て満たすリサイクルガラス繊維強化樹脂材料は、曲げ弾性率>7,500MPa、曲げ強度>115MPa、常温シャルピー衝撃強度>9.0kj/mを全て満たすと予測される。
7,500<128Wt+213Wg-102Wr+1081 ・・・(11)
115<-0.38Wt+1.52Wg-3.30Wr+106.30 ・・・(12)
9.0<-0.10Wt+0.15Wg+0.18Wr+4.49 ・・・(13)
(利用例3-3)
リサイクルガラス繊維強化樹脂材料の密度が1.30g/cm~1.35g/cmの時、下記式(14)~(16)を全て満たすリサイクルガラス繊維強化樹脂材料は、曲げ弾性率>10,000MPa、曲げ強度>140MPa、常温シャルピー衝撃強度>11.0kj/mを全て満たすと予測される。
10,000<128Wt+213Wg-102Wr+1081 ・・・(14)
140<-0.38Wt+1.52Wg-3.30Wr+106.30 ・・・(15)
11.0<-0.10Wt+0.15Wg+0.18Wr+4.49 ・・・(16)
図17~図19に前述のリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料27個の学習用データセットの実際の曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度と、密度との関係を示す。なお、図中、黒丸のプロットのサンプルは、上記の重回帰式(5)~(7)を全て満たし、白丸のプロットのサンプルは、上記の重回帰式(5)~(7)を満足しないものを表す。
図17~図19に示すように、利用例3-1~3-3のリサイクルガラス繊維強化樹脂材料のうち、上記の重回帰式(5)~(7)を全て満たす組成を有するプロピレン系樹脂組成物を用いれば、リサイクルガラス繊維強化樹脂材料は、所望の物性を有するといえる。よって、上記の重回帰式(5)~(7)を全て満足する組成比において、物性バランスに優れるリサイクル高分子材料を含むリサイクルガラス繊維強化樹脂材料が得られるといえる。
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> リサイクル高分子材料を含むリサイクル高分子複合材料が所望の物性値を1つ以上満たすように、前記リサイクル高分子複合材料に含まれる構成成分の組成を提案する組成提案システムであって、
前記リサイクル高分子材料の物性値を取得する取得部と、
バージン高分子材料を含むバージン高分子複合材料の物性値と前記バージン高分子複合材料の記述子を含むパラメータとが対応付けられた第1の学習用データセットを用いて学習された第1の学習済みモデルに、前記取得部により取得された前記リサイクル高分子材料の物性値を入力することで、前記第1の学習済みモデルにより予測された、前記リサイクル高分子材料の記述子を含むパラメータを出力する予測部と、
仮想のリサイクル高分子複合材料の物性の目標値を設定する設定部と、
リサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータと前記リサイクル高分子複合材料の物性値とが対応付けられた第2の学習用データセットを用いて学習された第2の学習済みモデルに、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを入力することで予測される、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が、前記目標値に近づくように、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する最適化部と、
を有し、
前記最適化部は、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の物性値が予測される毎に、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更することで、前記仮想のリサイクル高分子複合材料に前記構成成分として含まれる、前記リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を最適化する組成提案システム。
<2> 前記リサイクル高分子複合材料、前記バージン高分子複合材料、前記高分子複合材料及び前記仮想のリサイクル高分子複合材料の質量比率が、それぞれ、タルク量、ゴム量及びガラス繊維量の少なくとも1つ以上を含む<1>に記載の組成提案システム。
<3> 前記リサイクル高分子複合材料、前記バージン高分子複合材料、前記高分子複合材料及び前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子が、それぞれ、前記リサイクル高分子複合材料、前記バージン高分子複合材料、前記高分子複合材料及び前記仮想のリサイクル高分子複合材料に含まれる前記構成成分の特性値及び構造値の少なくとも一方を含む<1>又は<2>に記載の組成提案システム。
<4> 前記最適化部は、特定の、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを回避するように変更する<1>~<3>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<5> 前記最適化部は、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子に前記構成成分として含まれる、前記リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分との質量比率を、数理最適化処理を行うことで提案する<1>~<4>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<6> 前記数理最適化処理が、遺伝的アルゴリズム、ベイズ最適化及びTPEの何れかである<5>に記載の組成提案システム。
<7> 前記最適化部は、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の物性が望ましい方向に最大化するように、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを最適化する<1>~<6>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<8> 前記最適化部は、前記仮想のリサイクル高分子複合材料に前記構成成分として含まれる、前記リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分との質量比率の組合せを複数提案する<1>~<7>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<9> 前記最適化部は、前記高分子複合材料の2つ以上の物性それぞれについて生成された前記第2の学習済みモデルに、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータをそれぞれ入力することで予測される、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の前記2つ以上の物性のそれぞれが、前記2つ以上の物性それぞれの前記目標値に近づくように、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを変更する<1>~<8>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<10> 前記最適化部は、前記2つ以上の物性についてパレート解を提案する<9>に記載の組成提案システム。
<11> 前記質量比率が、前記構成成分の種類毎の平均値を含む<1>~<10>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<12> 前記バージン高分子材料及び前記リサイクル高分子材料が、二種類以上の単量体単位を含む共重合体を含む<1>~<11>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<13> 前記リサイクル高分子複合材料、前記バージン高分子複合材料、前記高分子複合材料及び前記仮想のリサイクル高分子複合材料が、それぞれ、プロピレン系重合体及び充填材を構成成分として含む繊維強化複合材料である<1>~<12>の何れか1つに記載の組成提案システム。
<14> 前記プロピレン系重合体が、プロピレンに由来する単量体単位とエチレンに由来する単量体単位とを含む共重合体を含む<13>に記載の組成提案システム。
<15> <1>~<14>の何れか1つに記載の組成提案システムで得られた、前記仮想のリサイクル高分子複合材料の記述子を含むパラメータを得る工程と、
前記パラメータを満たす、前記リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を原料として準備する工程と、
それぞれの前記原料を混合して、前記パラメータを満たす、前記リサイクル高分子複合材料を得る工程と、
を含むリサイクル高分子複合材料の製造方法。
<16> リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.08g/cm~1.16g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>5000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>80MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>6である。
<17> リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.20g/cm~1.25g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>7500MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>115MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>9.0である。
<18> リサイクル高分子材料と前記リサイクル高分子材料以外の成分を構成成分として含み、
リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、下記(I)~(IV)のパラメータを満たすリサイクル高分子複合材料。
(I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.30g/cm~1.35g/cmである。
(II):リサイクル高分子複合材料の弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>10,000MPaである。
(III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>140MPaである。
(IV):リサイクル高分子複合材料の衝撃が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>11.0である。
1 第1の学習装置
2 第1の予測装置
3 第2の学習装置
4 第2の予測装置
10 組成提案システム
11、21、31、41、51 取得部
12、22、32、42、102 前処理部
13、33 学習用データセット作成部
14、34、106 学習部
15、24、35、44、113 表示部
23、43、103 予測部
101 第1の取得部
104 第2の取得部
105 学習用データセット作成部
107 設定部
108 第3の取得部
109 物性予測部
110 比較部
111 判定部
112 最適化部
M1、M2、M3、M4 学習済みモデル
M5-1 第1の学習済みモデル
M5-2 第2の学習済みモデル

Claims (4)

  1. リサイクル高分子材料、繊維状充填材及び充填材を構成成分として含むリサイクル高分子複合材料であって
    前記リサイクル高分子複合材料は、リサイクルガラス繊維強化複合材料であり、
    前記リサイクル高分子材料は、プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を有し、
    前記繊維状充填材は、ガラス繊維を有し、
    前記充填材は、タルクを有し、
    リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、前記リサイクル高分子複合材料は、下記(I)~(IV)のパラメータを満たす、組成を有するリサイクル高分子複合材料。
    (I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.10g/cm~1.15g/cmである。
    (II):リサイクル高分子複合材料の曲げ弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>5000MPaである。
    (III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>90MPaである。
    (IV):リサイクル高分子複合材料の常温シャルピー衝撃強度が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>7.0である。
  2. リサイクル高分子材料、繊維状充填材及び充填材を構成成分として含むリサイクル高分子複合材料であって
    前記リサイクル高分子複合材料は、リサイクルガラス繊維強化複合材料であり、
    前記リサイクル高分子材料は、プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を有し、
    前記繊維状充填材は、ガラス繊維を有し、
    前記充填材は、タルクを有し、
    リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、前記リサイクル高分子複合材料は、下記(I)~(IV)のパラメータを満たす、組成を有するリサイクル高分子複合材料。
    (I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.20g/cm~1.25g/cmである。
    (II):リサイクル高分子複合材料の曲げ弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>7500MPaである。
    (III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>115MPaである。
    (IV):リサイクル高分子複合材料の常温シャルピー衝撃強度が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>9.0である。
  3. リサイクル高分子材料、繊維状充填材及び充填材を構成成分として含むリサイクル高分子複合材料であって
    前記リサイクル高分子複合材料は、リサイクルガラス繊維強化複合材料であり、
    前記リサイクル高分子材料は、プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を有し、
    前記繊維状充填材は、ガラス繊維を有し、
    前記充填材は、タルクを有し、
    リサイクル高分子複合材料中のタルク量をWtとし、リサイクル高分子複合材料中のガラス繊維量をWgとし、リサイクル高分子複合材料中のゴム量をWrとした時、前記リサイクル高分子複合材料は、下記(I)~(IV)のパラメータを満たす、組成を有するリサイクル高分子複合材料。
    (I):リサイクル高分子複合材料の密度が、1.30g/cm~1.35g/cmである。
    (II):リサイクル高分子複合材料の曲げ弾性率が、128×Wt+213×Wg-102×Wr+1081>10,000MPaである。
    (III):リサイクル高分子複合材料の曲げ強度が、-0.375×Wt+1.52×Wg-3.30×Wr+106>140MPaである。
    (IV):リサイクル高分子複合材料の常温シャルピー衝撃強度が、-0.102×Wt+0.149×Wg+0.180×Wr+4.49>11.0である。
  4. 前記(II)~(IV)のパラメータを満たす式は、前記リサイクル高分子複合材料27個の学習用データセットを用い、Ridge回帰により生成した学習済みモデルに、タルク量、ガラス繊維量及びゴム成分量の3つの変数を説明変数とし、曲げ弾性率、曲げ強度及び常温シャルピー衝撃強度の3つの変数を目的変数として、重回帰分析を行うことで得られる請求項1~3の何れか一項に記載のリサイクル高分子複合材料。
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