JP7425456B2 - 可視光ledを用いた微生物の増殖抑制方法及び装置 - Google Patents

可視光ledを用いた微生物の増殖抑制方法及び装置 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 頒布日 2018年9月1日 刊行物 第39回日本食品微生物学会学術総会 講演要旨集 公開者 安友優子、菅野由佳、白井昭博
特許法第30条第2項適用 頒布日 2018年9月1日 刊行物 第39回日本食品微生物学会学術総会 講演要旨集 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年9月27日から2018年9月28日 集会名、開催場所 第39回日本食品微生物学会学術総会 大阪市立大学(大阪府大阪市住吉区杉本3-3-138) 公開者 安友優子、菅野由佳、白井昭博
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年9月27日から2018年9月28日 集会名、開催場所 第39回日本食品微生物学会学術総会 大阪市立大学(大阪府大阪市住吉区杉本3-3-138) 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 発行日 2018年11月12日 刊行物 日本防菌防黴学会 第45回年次大会要旨集 公開者 安友優子、菅野由佳、白井昭博
特許法第30条第2項適用 発行日 2018年11月12日 刊行物 日本防菌防黴学会 第45回年次大会要旨集 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年11月13日から2018年11月14日 集会名、開催場所 日本防菌防黴学会 第45回年次大会 タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1) 公開者 安友優子、菅野由佳、白井昭博
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年11月13日から2018年11月14日 集会名、開催場所 日本防菌防黴学会 第45回年次大会 タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1) 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 発行日 2019年2月23日 刊行物 LED総合フォーラム2019in徳島 論文集 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 開催日 2019年2月23日 集会名、開催場所 LED総合フォーラム2019in徳島 徳島グランヴィリオホテル グランヴィリオホール(徳島県徳島市万代3-5-1) 公開者 白井昭博、菅野由佳、安友優子
特許法第30条第2項適用 頒布日 2018年9月1日 刊行物 第39回日本食品微生物学会学術総会 講演要旨集 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年9月27日から2018年9月28日 集会名、開催場所 第39回日本食品微生物学会学術総会 大阪市立大学(大阪府大阪市住吉区杉本3-3-138) 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 発行日 2018年11月12日 刊行物 日本防菌防黴学会第45回年次大会要旨集 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 開催日 2018年11月13日から2018年11月14日 集会名、開催場所 日本防菌防黴学会 第45回年次大会 タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1) 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 発行日 2019年2月23日 刊行物 LED総合フォーラム2019in徳島 論文集 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 開催日 2019年2月23日 集会名、開催場所 LED総合フォーラム2019in徳島 徳島グランヴィリオホテル グランヴィリオホール(徳島県徳島市万代3-5-1) 公開者 國見明加、長宗秀明、白井昭博
特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 2019年3月1日 ウェブサイトのアドレス https://www.pled.tokushima-u.ac.jp/ https://www.pled.tokushima-u.ac.jp/wp-content/themes/plp/pdf/shirai.pdf 公開者 白井昭博
本発明は、可視光LEDを用いた微生物の増殖抑制方法及び増殖抑制装置に関する。
保存技術や流通網が発達するにつれて、様々な食材が消費者に広く届くようになってきている。しかし、水産物や青果、これらの加工食品をはじめとする食品に存在する微生物は時間と共に増殖し、これは食品の品質低下、ひいては腐敗につながる。このため、微生物の増殖を抑制することは重要である。
微生物の増殖を抑制する方法として、従来、加熱処理、加圧処理、紫外線照射、オゾン水や亜塩素酸ナトリウム溶液等による洗浄といった様々な手段が知られている。例えば、亜塩素酸ナトリウム溶液は生食用野菜の洗浄に使用できることが従来知られており、今日においてもなお、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いたより使い勝手のよい新たな方法(ウルトラファインバブルを含有した弱アルカリ性の安定型次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた方法、特許文献1)が報告されている。
特開2018-102174号公報
本発明は、微生物の増殖を効果的に抑制できる方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、可視光LED(発光ダイオード)のピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度4mW/cm以上で、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように、対象物に可視光LEDを光源とする可視光線照射を行うことにより、微生物の増殖を効果的に抑制できることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。項1.対象物に可視光LEDを光源とする可視光線照射を行う工程を含む、対象物における微生物の増殖抑制方法、ここで、該照射が、可視光LEDのピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように行われることを特徴とする、方法。
項2.照度が4~500mW/cmである、項1に記載の方法。
項3.照射エネルギーが7.5~500J/cmである、項1または2に記載の方法。項4.照射時間が1~60分である、項1~3のいずれかに記載の方法。
項5.対象物が、水産物、農作物、畜産物及びこれらの加工物からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれかに記載の方法。
項6.更に、対象物にピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を照射する工程を含む、項1~5のいずれかに記載の方法。
項7.更に、対象物に、次の一般式(1)で表される化合物を接触させる工程を含む、項1~6のいずれかに記載の方法:
Figure 0007425456000001
(式中、Rは、炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシ基または炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、直接結合、炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基または炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基を示し、Rは、水素原子、水酸基または炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基を示す。
ここで、Rで示される炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基及び炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基ならびにRで示される炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基上には、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、ケト基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、炭素数1~18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びシクロヘキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の基が置換していてもよい。)
項8.対象物における微生物の増殖を抑制するために使用される可視光線照射装置であって、可視光LEDを光源として対象物に可視光線照射を行う照射部を備え、前記照射部は、ピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように可視光線を照射する、可視光線照射装置。
項9.対象物を支持する支持部を更に備え、前記照射部は、前記支持部に支持された対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、項8に記載の可視光線照射装置。項10.前記支持部は、対象物を搬送するコンベヤであり、前記照射部は、前記コンベヤで搬送される対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、項9に記載の可視光線照射装置。
項11.前記支持部は、対象物の少なくとも一部を収容する収容体であり、前記照射部は、前記収容体に収容される対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、項9に記載の可視光線照射装置。
項12.前記照射部は、ピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を対象物に照射する光源を更に有する、項8~11のいずれかに記載の可視光線照射装置。
項13.対象物に、次の一般式(1)で表される化合物を接触させる接触部を更に備える、項8~12のいずれかに記載の可視光線照射装置:
Figure 0007425456000002
(式中、Rは、炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシ基または炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、直接結合、炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基または炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基を示し、Rは、水素原子、水酸基または炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基を示す。
ここで、Rで示される炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基及び炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基ならびにRで示される炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基上には、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、ケト基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、炭素数1~18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びシクロヘキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の基が置換していてもよい。)
本発明の方法及び装置によれば、微生物の増殖を効果的に抑制することができる。
図1は本発明の一実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図2は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図3は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図4は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図5は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図6は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図7は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図8は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図9は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図10は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図11は本発明の他の実施形態の可視光線照射装置の概略構成を示す図である。 図12は釜揚げしらすをシャーレに広げた様子を上から撮影した写真である。 図13はピーク波長405nmまたは465nmでのLED照射結果を示す図である。 図14はピーク波長405nm、412nm、421nmまたは455nmでのLED照射結果を示す図である。 図15は照度12.48mW/cm2または1.71mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図16は照度12.48mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図17は照度12.48mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図18は照度12.48mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図19は照度12.48mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図20はちりめんへのLED照射結果を示す図である。 図21はミニトマトヘタ部へのLED照射の写真を示す図である。 図22はミニトマトヘタ部へのLED照射結果を示す図である。 図23はミニトマトヘタ部へのLED照射結果を示す図である。 図24は照度120.3mW/cm2でのLED照射の写真を示す図である。 図25は照度120.3mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図26は照度120.3mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図27は照度10mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図28は照度208mW/cm2でのLED照射結果を示す図である。 図29は味覚試験結果を示す図である。 図30は味覚試験結果を示す図である。 図31は化合物とLED照射の併用結果を示す図である。 図32は化合物を用いLED照射を行わなかった結果を示す図である。 図33は化合物とLED照射の併用結果を示す図である。 図34は化合物を用いLED照射を行わなかった結果を示す図である。
微生物の増殖抑制方法
本発明は、対象物に可視光LEDを光源とする可視光線照射を行う工程を含み、ここで、該照射が、可視光LEDのピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように行われることを特徴とする、対象物における微生物の増殖抑制方法を提供する。
本発明において対象物は、水産物、農作物、畜産物、これらの加工食品、養液栽培に用いられる養液等が例示される。対象物は可食性(可食部)、非可食性(非可食部)を問わず、微生物の増殖が問題となりやすい点から、対象物は可食性であることが好ましく例示される。また、可食性の対象物として、例えば、次の例示から選択される少なくとも1種が好ましく例示される。
本発明を制限するものではないが、水産物及びその加工物としては、生しらす、釜揚げしらす、乾燥しらす(ちりめん)、わかめ、海苔、昆布、生食用魚介類(さしみ等)、一夜干し魚介類、加熱済み魚介類(ゆでがに、ゆでだこ等)、魚肉練り製品(かまぼこ、ちくわ等)等が例示される。農作物及びその加工物としては、トマト、ピーマン、人参、レタス、ミズナ、ホウレンソウ、キャベツ、ネギ、ジャガイモ、レンコン、ニンニク、香辛料、ブドウ、イチゴ、スダチ、ミカン、モモ、ナシ等、これらがカットされたもの、油揚げ等が例示される。畜産物及びその加工物としては、生肉(ミンチを含む、生食用、非生食用を含む)、家禽卵、乾燥肉製品(干し肉等)、つくね、ハンバーグ、ソーセージ等が例示される。
また、本発明を制限するものではないが、可食性の対象物として、15℃以下での保存が好ましい水産物、農作物、畜産物、これらの加工食品等が例示され、より好ましくは-30~10℃での保存が好ましい水産物、農作物、畜産物、これらの加工食品等が例示される。
本発明において可視光LEDを光源とする可視光線照射は、可視光LEDのピーク波長が405~421nmの範囲にある限り、公知の光源を用いて行えば良い。
ピーク波長が405~421nmの範囲にある限り、そのスペクトルの半値全幅は制限されないが、半値全幅は、好ましくは波長380~455nmの間にあるもの、より好ましくは波長395~430nmの間にあるものが例示される。
前記照射において、照度(放射照度)は4mW/cm以上であればよく、好ましくは4~500mW/cm、より好ましくは10~480mW/cm、更に好ましくは10~280mW/cmが例示される。ここで照度は、対象物表面における照度を意味する。
前記照射において、照射時間は制限されないが、好ましくは1分以上、より好ましくは1~60分、更に好ましくは1~50分、特に好ましくは1~40分、更に特に好ましくは1~30分が例示される。
前記照射において、照射エネルギーは7.5J/cm以上であればよく、好ましくは7.5~500J/cm、より好ましくは15~433J/cm、更に好ましくは22~433J/cm、特に好ましくは45~217J/cmが例示される。
ここで照射エネルギーは、対象物表面における照度(mW/cm)と照射時間(秒)との積から求める。後述する実施例2のように、照射が対象物の上下両側から行われる場合、本明細書において照射エネルギー7.5J/cm以上は、上側において算出した照射エネルギーと下側において算出した照射エネルギーの和である。
本発明の方法では、このようにLEDを対象物の一方向のみから照射してもよく、二方向以上から照射してもよく、対象物の大きさ、厚み等の形状等に応じて適宜決定すればよい。より具体的には、例えば、LEDを対象物の上側から照射(設置)してもよく、下側から照射してもよく、上側下側の両方から照射してもよく、これらの側面(上側(下側)に対して垂直になる面側)から照射してもよい。また、これらの任意の組み合わせであってもよい。前述のように、対象物の上側下側の両側から照射が行われる場合、前記「照射エネルギー7.5J/cm以上」は、上側について算出した照射エネルギーと下側について算出した照射エネルギーの和を意味する。同様に、例えば、対象物の上下左右前後の全ての面からLED照射(設置)する場合、前記「照射エネルギー7.5J/cm以上」は、上側、下側、左側、右側、前側(手前側)、後側の各側について算出した照射エネルギーの和(6側面の和)を意味する。
対象物への可視光線照射時の温度は制限されず、冷凍温度、冷蔵温度、また、しらす等の釜揚げ時の温度等のいずれの温度であってもよいが、例えば、対象物の品質劣化をなるべく回避したり、照射が容易である点から、好ましくは28℃以下、より好ましくは-30℃~28℃の温度(周囲温度)で実施することが例示される。また、これらの範囲で好ましく実施できることから、該温度は0~25℃や4~10℃であってもよい。
可視光線照射時の対象物の状態は制限されず、例えば冷凍、解凍、半解凍、冷蔵、加熱後等のいずれの状態であってもよく、また、これらの処理が何らなされていない状態であってもよい。水産物やその加工食品等の消費期限が比較的短い食品は、冷凍、解凍、半解凍、冷蔵、加熱等の処理を行われることも多いが、本方法においては、これらのいずれの処理が行われたものに対しても適用できる。
本発明によれば、前述のようにして対象物に可視光線を照射することにより、対象物において微生物の増殖を抑制することができる。また、本発明によれば、可視光線の照射後に、冷蔵や冷凍、また、冷凍に続き解凍を行った場合等においても、微生物の増殖を抑制できる。また、微生物の増殖が問題になりやすい対象物は、冷蔵や冷凍等の-30~15℃での保存が推奨されることが多いが、本発明の方法は、このような微生物の増殖が問題になりやすい対象物に対しても好ましく適用することができる。
このように本発明において微生物は、対象物においてその増殖が問題となるものであれば制限されず、細菌、カビや酵母といった真菌等が例示される。
この観点から、本発明の方法は、更に、対象物を-30~15℃で保持する工程を含むものが、好ましく例示されるといえる。該方法において、対象物を-30~15℃で保持する工程は、前記可視光線照射を行う工程よりも前に実施されてもよく、前記可視光線照射を行う工程よりも後に実施されてもよく、前後の両方で実施されてもよい。
また、本発明の方法においてLED照射は、対象物が何ら包装等されていない状態で行ってもよく、対象物の一部または全部が包装等されている状態で行ってもよい。包装等がされている対象物に照射する場合、より良い効率の点から、包装等は可視光透過性を有する包装であることが好ましい。また、対象物がトレー等の容器上にある場合であって、該容器の可視光透過性が乏しい場合、より良い効率の点から、該照射は、トレー等によって対象物へのLED照射が妨げられない方向から行うことが好ましい。
また、本発明の方法は、更に、対象物にピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を照射する工程を含んでいてもよい。ピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線の照射手順等は制限されず、従来公知の手順等に従い実施すればよい。本発明の方法において、該工程は、前記可視光線照射(前記LED照射)を行う工程よりも前に実施されてもよく、前記可視光線照射を行う工程よりも後に実施されてもよく、前記可視光線照射を行う工程と同時に行われてもよく、また、前、後及び同時の少なくとも2つを組み合わせて実施されてもよい。この限りにおいて制限されないが、一実施形態として、例えば、該工程は、前記可視光線照射を行う工程よりも前に実施され、前記可視光線照射を行う工程後に、前述の対象物を-30~15℃で保持する工程を実施してもよい。このように、本発明の方法において、該工程の実施と前述の対象物を-30~15℃で保持する工程の実施の前後も問わない。
また、本発明の方法は、更に、対象物に、次の一般式(1)で表される化合物を接触させる工程を含んでいてもよい。
Figure 0007425456000003
(式中、Rは、炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシ基または炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは、直接結合、炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基または炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基を示し、Rは、水素原子、水酸基または炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基を示す。
ここで、Rで示される炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基及び炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基ならびにRで示される炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基上には、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、ケト基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、炭素数1~18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びシクロヘキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の基が置換していてもよい。)
このように、Rは、炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基である限り制限されない。本発明を制限するものではないが、Rで示される炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
として、本発明を制限するものではないが、好ましくは炭素数1~3の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、より好ましくは炭素数1または2の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、更に好ましくはメチル基が例示される。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシ基または炭素数1~4の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基である限り制限されない。
で示されるハロゲン原子として、本発明を制限するものではないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。
で示される炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基として、本発明を制限するものではないが、メチルオキシ基(メトキシ基)、エチルオキシ基(エトキシ基)、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基が挙げられる。
で示される炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基として、本発明を制限するものではないが、前述のRで示される炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基と同様に説明される。
として、本発明を制限するものではないが、好ましくは水素原子、炭素数1~4の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基、より好ましくは水素原子、炭素数1~3の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基、更に好ましくは水素原子、炭素数1または2の直鎖状または分岐鎖状アルコキシ基、特に好ましくは水素原子、メトキシ基が例示される。
は、直接結合、炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基または炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基である限り制限されない。
で示される炭素数1~12の直鎖状アルキレン基として、本発明を制限するものではないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基が挙げられる。
で示される炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基として、本発明を制限するものではないが、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等が例示される。炭素数3~12の直鎖状アルケニレン基において、二重結合の位置や数は制限されない。
で示される炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基として、本発明を制限するものではないが、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基等が挙げられる。炭素数3~12の直鎖状アルキニレン基において、三重結合の位置や数は制限されない。
として、本発明を制限するものではないが、好ましくは直接結合、炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基、炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基、より好ましくは直接結合、炭素数1~6の直鎖状アルキレン基、炭素数2~6の直鎖状アルケニレン基、炭素数2~6の直鎖状アルキニレン基、更に好ましくは直接結合、炭素数2~4の直鎖状アルケニレン基、炭素数2~4の直鎖状アルキニレン基が例示される。
は、水素原子、水酸基または炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基である限り制限されない。
で示される炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基として、本発明を制限するものではないが、メチルオキシ基(メトキシ基)、エチルオキシ基(エトキシ基)、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基等が例示される。
として、本発明を制限するものではないが、好ましくは水素原子、水酸基、炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基、より好ましくは水素原子、水酸基、炭素数1~12の直鎖状アルコキシ基、更に好ましくは水素原子、水酸基、炭素数1~4の直鎖状アルコキシ基が例示される。
また、Rで示される炭素数1~12の直鎖状アルキレン基、炭素数2~12の直鎖状アルケニレン基及び炭素数2~12の直鎖状アルキニレン基ならびにRで示される炭素数1~18の直鎖状アルコキシ基上には、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、ケト基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、炭素数1~18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル基及びシクロヘキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の基が置換していてもよい。
ここで、ハロゲン原子は前述と同様に説明される。炭素数1~18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、本発明を制限するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、n-オクタデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルテトラデシル基、2,3,4,5,6,7-ヘキサメチルドデシル基等が例示される。
前記一般式(1)で表される化合物のベンゼン環上に示されるHO-、RO-、R-の位置も制限されず、これらはベンゼン環上の2~6位にそれぞれ異なって存在(置換)していればよい。該化合物として、本発明を制限するものではない、好ましくはベンゼン環上の4位にHO-が置換する化合物が例示され、より好ましくは4位にHO-が置換し且つ3位及び5位にRO-、R-がそれぞれ異なって置換する化合物が例示される。
本発明を制限するものではないが、一例として、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが炭素数2の直鎖状アルケニレン基(ビニレン基)、Rが水酸基で示す化合物はフェルラ酸といえる。また、本発明を制限するものではないが、一例として、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが直接結合、Rが水素原子で示す化合物はバニリンといえる。
前記化合物は市販品を用いてもよく、公知の手順により化学合成して得てもよい。また、前記化合物において、幾何異性体、光学異性体といった立体異性体はいずれであってもよい。また、前記化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
該工程は、対象物と一般式(1)で表される化合物とを接触させることができる限り制限されない。例えば、これらの接触は、一般式(1)で表される化合物を必要に応じて溶媒と混合し、得られた混合物を対象物の一部または全部にスプレー(噴霧)、滴下、含浸等して行ってもよく、また、得られた混合物に対象物の一部または全部を浸漬等して行ってもよく、スプレーや浸漬等の回数、その方法等は制限されず、適宜決定すればよい。溶媒としては、水、グリセロール、エタノール、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide(DMSO))等の任意の溶媒、また、該溶媒の任意の混合物であってもよく、本発明の効果が得られる限り制限されない。
また、本発明を制限するものではないが、これらにおいて、例えば、養液栽培に用いられる養液等(養水分、液状肥料、培養液等)に前記化合物を混合して、得られた混合物を対象物と接触させてもよい。該対象物は制限されず、本発明を制限するものではないが、養液栽培を行いながら前記化合物と簡便に接触させることができるという観点からは、前記化合物を混合した養液と接触させる対象物として、農作物の根等が好ましく例示される。また、このように養液等に前記化合物を混合した場合、該養液等に前記化合物が接触しているともいえることから、該養液等自体を対象物としてもよい。
対象物と接触させる一般式(1)で表される化合物の量、接触時間等も制限されず、使用する化合物の種類、対象物等に応じて適宜決定すればよい。本発明を制限するものではないが、一例として、モル濃度0.1~50mMの前記化合物を対象物に接触させることが挙げられ、より好ましくは0.5~25mM、更に好ましくは1~15mMの該化合物を対象物に接触させることが挙げられる。
該接触工程は、例えば、前記LED照射を行う工程よりも前に実施されてもよく、前記LED照射を行う工程と同時に行われてもよく、その順序は問わず、また、前、同時及び後の少なくとも2つを組み合わせて実施されてもよい。この限りにおいて制限されないが、好ましくは前記LED照射時に該化合物が対象物に接触していること例示され、この観点から、好ましい一実施形態として、例えば、該接触工程は、前記LED照射を行う工程よりも前及び/または前記LED照射を行う工程と同時に実施される。
また、接触時の対象物の状態は前述と同様に制限されず、例えば冷凍、解凍、半解凍、冷蔵、加熱後等のいずれの状態であってもよく、また、これらの処理が何らなされていない状態であってもよい。このことから、本発明の方法において、例えば、該接触工程の実施と前述の対象物を-30~15℃で保持する工程の実施の前後も問わない。また、該接触は、例えば、農作物等の対象物が収穫される前に行ってもよく、収穫された後に行ってもよく、これらは制限されない。
また、本発明の方法は、該接触工程よりも後に、対象物から前記一般式(1)で表される化合物を取り除くために、前記対象物を洗浄する工程を更に備えていてもよい。該洗浄工程は、対象物を洗浄できる限り制限されず、飲用適の水、殺菌した海水、飲用適の水を使用した人工海水、また、これらと同等の品質を備える液体等により行うことが好ましく例示できる。
また、本発明の方法は、該接触工程と、前述のピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を照射する工程(紫外線/可視光線照射工程)とを含んでいてもよい。この場合も、該接触工程は、前記紫外線/可視光線照射工程よりも前に実施されてもよく、前記紫外線/可視光線照射工程よりも後に実施されてもよく、前記紫外線/可視光線照射工程と同時に行われてもよく、また、前、後及び同時の少なくとも2つを組み合わせて実施されてもよい。
このことから、該接触工程、前記LED照射を行う工程、前記紫外線/可視光線照射工程の3工程を併用する場合もこれらの順序は制限されず、適宜決定すればよい。本発明を制限するものではないが、一実施形態として、前記紫外線/可視光線照射工程、該接触工程、前記LED照射を行う工程の順で行ってもよく、別の実施形態として、該接触工程、前記LED照射を行う工程、前記紫外線/可視光線照射工程の順で行ってもよく、また、例えば、これらにおいて該接触工程と前記LED照射を行う工程とを同時に行ってもよい。
本発明の方法によれば、対象物における微生物の増殖を効果的に抑制することができる。また、本発明の方法によれば、前記紫外線/可視光線照射工程及び/または前記接触工程を併用することによっても、対象物における微生物の増殖を効果的に抑制できる。特に、後述の実施例に示す通り、本発明の方法によれば、前記接触工程を併用することにより、細菌や真菌といった微生物のなかでも、特に酵母やカビといった真菌の増殖を効果的に抑制することができる。
可視光線照射装置
本発明は、対象物における微生物の増殖を抑制するために使用される可視光線照射装置を提供する。本発明の可視光線照射装置は、可視光LEDを光源として対象物に可視光線照射を行う照射部を備え、前記照射部は、ピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上の可視光線を照射することを特徴としている。これらの照射等は前述と同様にして説明される。
可視光線照射装置は、例えば対象物を支持する支持部を備えていて、照射部が支持部に支持された対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、照射部及び支持部が予め一体化された装置として構成することができる。当該装置としては、例えば、支持部として対象物を搬送するコンベヤに照射部が一体化された装置、支持部として対象物の少なくとも一部を収容する収容体に照射部が一体化された装置等を例示することができる。収容体としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナ、収納庫、物置、倉庫、容器、水槽、釜等を例示することができる。
コンベヤに照射部が一体化された装置としては、例えば図1及び図2に示すように、コンベヤ3により搬送される対象物2に対して上側から可視光線Lが照射されるように照射部1を設置する。対象物2に対して上側とは、図1に示すように真上であってもよいし、図2に示すように斜め上であってもよい。図1では、コンベヤ3を覆うように照射部1を設置することで、コンベヤ3により搬送される対象物2の全体に対して均一に可視光線Lの照射を行うことができる。また、図2では、コンベヤ3の幅方向の両側縁に中央に向けて可視光線Lが照射されるよう照射部1を設置するとともに、コンベヤ3の幅方向中央にも両側縁に向けて可視光線Lが照射されるよう照射部1を設置することで、コンベヤ3により搬送される対象物2の全体に対して均一に可視光線Lの照射を行うことができる。
また、コンベヤ3により搬送される対象物2に対して下側(対象物2と接触する搬送面30側)から可視光線Lが照射されるように照射部1を設置してもよい。対象物2に対して下側とは、真下であってもよいし、斜め下であってもよい。照射部1は、コンベヤ3の搬送面30に設けてもよいし、搬送面30が光透過性を有する場合には搬送面30の下側に設けてもよい。
なお、コンベヤ3は、対象物2を水平方向に搬送するものだけでなく、対象物2を斜め方向に搬送するものであってもよい。コンベヤ3は上下に多段式に並べられていて、対象物2を下方向または上方向に連続して搬送するものであってもよい。コンベヤ3の種類としては、ベルトコンベヤ、スラットコンベヤ、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ等、種々の構成のものであってよい。コンベヤ3は、常温環境下、冷蔵環境下、冷凍環境下に置かれていてもよい。
次に、対象物を冷蔵または冷凍保存する冷蔵庫または冷凍庫に照射部が一体化された装置としては、例えば図3に示すように、冷蔵庫または冷凍庫4内の棚40上に置かれる対象物2に対して上側から可視光線Lが照射されるように照射部1を設置する。具体的には、冷蔵庫または冷凍庫4内の天面や各棚40の下面の全域にわたって照射部1を設置する。これにより、冷蔵庫または冷凍庫4内に保存される対象物2の全体に対して均一に可視光線Lの照射を行うことができる。なお、冷蔵庫または冷凍庫4内の天面や各棚40の下面に加えてまたは代えて、冷蔵庫または冷凍庫4内の側面や底面、各棚40の上面に照射部1を設置してもよい。
次に、対象物を搬送するコンテナに照射部が一体化された装置としては、例えば図4に示すように、コンテナ5内に内部空間を左右方向に複数の区画50に仕切る仕切り51を複数設け、隣り合う2つの仕切り51の対向する側面同士に照射部1を設置する。これにより、コンテナ5内の各区画50に収納される対象物2の全体に対して均一に可視光線Lの照射を行うことができる。なお、各仕切り51の側面に加えてまたは代えて、コンテナ5内の前後の側面、底面、天面に照射部1を設置してもよい。
次に、対象物を収納する容器に照射部が一体化された装置としては、図示は省略するが、容器の底壁及び前後左右の側壁の少なくとも一つの壁の内面、好ましくは前後左右の側壁の対向する2つの壁の内面に照射部1を設置する。容器の天井は開放されていてもよいし、蓋により閉じられるようにしてもよい。蓋の内面に照射部1を設置してもよい。この対象物2を収納可能な容器に照射部1を設置した装置を、対象物2を容器内に収納した状態で、冷蔵庫や冷凍庫内に入れることで、可視光線Lの照射により微生物の増殖を抑制しながら対象物2の鮮度低下を防止することもできる。なお、容器が透明等の透光性を有していれば、容器の各壁や蓋の外面に照射部1を設置してもよい。
収納庫、物置、倉庫、水槽、釜等の他の収容体についても、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナ、容器と同様に、照射部を一体化することができる。なお、上述した照射部及び支持部が一体化された装置はあくまでも例示であり、支持部により支持された対象物に可視光線を照射可能に照射部が設置されたものであれば、種々の構成のものが含まれる。
可視光線照射装置は、支持部を備えず、対象物を搬送する既存のコンベヤ、対象物を冷蔵または冷凍保存する既存の冷蔵庫または冷凍庫、対象物を輸送する既存のコンテナ、対象物を収納する既存の容器等に照射部を設置可能に構成されたものであってもよい。例えば図5に示すように、天板部60の下面に照射部1が取り付けられた移動テーブル6を例示することができる。天板部60は複数の脚部61により支持されており、脚部61の下端に車輪62が取り付けられていることで、移動テーブル6が移動可能である。天板部60の下方の空間に例えば対象物2を載置する台や対象物2を搬送するコンベヤ等が位置するように移動テーブル6を配置し、天板部60の下面の照射部1より可視光線Lを対象物2に照射することで、対象物2の全体に対して均一に可視光線Lの照射を行うことができる。
更に、例えば図6に示すように、ガラス製やプラスチック製の透明容器80内に照射部1を封入した投げ込み型の照射器8を例示することができる。照射器8をしらす等の対象物2をゆでる釜9の中に投入することで、釜揚げ中の対象物2に対して可視光線Lを照射することが可能である。この場合、透明容器80は可視光線Lを透過できる。
上述した可視光線照射装置は、対象物に、前記一般式(1)で表される化合物を接触させる接触部を更に備えていてもよい。接触部は、対象物と前記化合物とを接触させることができる限り制限されない。例えば、接触部は、前記化合物を必要に応じて溶媒と混合して得られる混合物を対象物の一部または全部にスプレー(噴霧)、滴下、含浸等するものであってもよく、また、混合物に対象物の一部または全部を浸漬等するものであってもよく、スプレーや浸漬等の回数、その方法等は制限されない。溶媒としては、水、グリセロール、エタノール、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide(DMSO))等の任意の溶媒、また、該溶媒の任意の混合物であってもよく、本発明の効果が得られる限り制限されない。
前記化合物の量、接触時間等も制限されず、使用する化合物の種類、対象物等に応じて適宜決定すればよい。本発明を制限するものではないが、一例として、モル濃度0.1~50mMの前記化合物を対象物に接触させることが挙げられ、より好ましくは0.5~25mM、更に好ましくは1~15mMの該化合物を対象物に接触させることが挙げられる。
接触部による対象物と前記化合物との接触は、照射部1による対象物への前記可視光線照射(LED照射)よりも前に実施されてもよく、前記LED照射と同時に実施されてもよく、その順序は問わず、また、前、同時及び後の少なくとも2つを組み合わせて実施されてもよい。この限りにおいて制限されないが、前記LED照射時に前記化合物が対象物に接触していることが好ましく、この観点からは、対象物と前記化合物との接触は、対象物への前記LED照射よりも前及び/または同時に実施されることが好ましい。
例えば図7に示すように、コンベヤ3により搬送される対象物2に対して上側から可視光線Lを照射する照射部1よりも、対象物2の搬送方向を基準にして上流側に、接触部7を設置する。本実施形態では、接触部7は、前記化合物を溶媒に混合して得られる混合物Mの液滴Dを対象物2に対して上側から噴霧する噴霧装置70である。前記混合物Mの液滴Dの大きさは特に制限されない。対象物2に対して上側とは、真上であってもよいし、斜め上であってもよい。これにより、対象物2にLED照射する前に、対象物2を前記化合物と接触させることができる。
なお、図示は省略するが、照射部1をコンベヤ3により搬送される対象物2に対して下側から可視光線Lが照射されるように設置するとともに、接触部7(噴霧装置70)を混合物の液滴を対象物に対して上側から噴霧するように設置してもよい。また、図示は省略するが、照射部1をコンベヤ3により搬送される対象物2に対して上側から可視光線Lが照射されるように設置するとともに、接触部7(噴霧装置70)を混合物の液滴を対象物に対して上側から噴霧するように設置してもよい。これにより、対象物にLED照射するのと同時に、対象物を前記化合物と接触させることができる。
接触部7は、図8に示すように、前記混合物を貯留する水槽71であってもよく、水槽71中の前記混合物Mに対象物2の少なくとも一部を所定時間浸漬させた後、手動又は自動で対象物2を水槽71から取り出してコンベヤ3で搬送してもよい。これにより、対象物2にLED照射する前に、対象物2を前記化合物と接触させることができる。なお、前記混合物Mに少なくとも一部を所定時間浸漬させた後の対象物2を、手動又は自動で水槽71から取り出して、照射部1を備えた冷蔵庫、冷凍庫、コンテナ、収納庫、物置、倉庫、容器、釜内に収容してもよい。
なお、図9に示すように、水槽71の底壁、及び前後左右の側壁の少なくとも一つの壁の内面に照射部1を設置してもよい。水槽71の天井は開放されていてもよいし、蓋により閉じられるようにしてもよく、蓋の内面に照射部1を設置してもよい。水槽71に前記混合物Mを貯留した状態で、前記混合物Mに対象物2を少なくとも一部浸漬させることで、対象物2にLED照射するのと同時に、対象物2を前記化合物と接触させることができる。照射部1は、透明等の透光性を有するケース内に収納した状態で水槽71の内面に設置される。なお、水槽71が透明等の透光性を有していれば、水槽71の各壁や蓋の外面に照射部1を設置してもよい。また、図示は省略するが、水槽71の周りに照射部1を設置し、水槽71の外側から水槽71内の対象物2に対してLED照射してもよい。
前記化合物は、例えば、養液栽培に用いられる養液(養水分、液状肥料、培養液等)に混合し、得られた混合物を対象物と接触させてもよい。例えば図10に示すように、栽培容器72内で前記化合物を混合した養液に対象物2の一部を浸漬させた状態で、対象物2に照射部1よりLED照射してもよい。本実施形態では、照射部1は、栽培容器72の底壁、及び前後左右の側壁の少なくとも一つの壁の内面又は外面に設置されている。照射部1は、透明等の透光性を有するケース内に収納した状態で栽培容器72の内面に設置される。なお、水槽71が透明等の透光性を有していれば、水槽71の各壁や蓋の外面に照射部1を設置してもよい。また、図示は省略するが、栽培容器72の周りに照射部1を設置し、栽培容器72の外側から栽培容器72内の対象物2に対してLED照射してもよい。
可視光線照射装置は、図11に示すように、照射部1、及び、接触部7としての噴霧装置70を一体に備えたものであってもよい。これにより、対象物2が例えば農作物である場合に、収穫前の農作物に対して、前記化合物との接触と、前記LED照射とを同時に行うことができる。また、図11において、対象物2が例えば農作物である場合、収穫後の農作物であってもよい。
前記化合物との接触時の対象物2の状態は制限されず、例えば冷凍、解凍、半解凍、冷蔵、加熱後等のいずれの状態であってもよく、また、これらの処理が何らなされていない状態であってもよい。
上述した可視光線照射装置は、対象物に接触した前記化合物を取り除くために、前記対象物を洗浄する洗浄部を更に備えていてもよい。洗浄部における洗浄は、対象物を洗浄できる限り制限されず、飲用適の水、殺菌した海水、飲用適の水を使用した人工海水、また、これらと同等の品質を備える液体等により行うことができる。
上述した可視光線照射装置において、照射部1は、ピーク波長が405~421nmの範囲にある可視光線を照射する光源(主光源)に加えて、ピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を照射する光源(補助光源)を更に有していてもよい。この補助光源は、ピーク波長が405~421nmの範囲にある可視光線が対象物2に照射される前及び/または後に、ピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線が対象物2に照射されるように照射部1に設けられていてもよい。また、補助光源は、ピーク波長が405~421nmの範囲にある可視光線と同時にピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線が対象物2に照射されるように照射部1に設けられていてもよい。例えば、主光源および補助光源を交互に配置したり、主光源および補助光源を対象物2を間にして対向配置することで、異なるピーク波長の光線を対象物2に同時に照射することができる。
本発明の可視光線照射装置によれば、対象物への前記LED照射により、対象物における微生物の増殖を効果的に抑制することができる。また、本発明の可視光線照射装置によれば、対象物への前記化合物の接触や、対象物への前記紫外線または可視光線照射を併用することによっても、対象物における微生物の増殖を効果的に抑制できる。特に、後述の実施例に示す通り、本発明の可視光線照射装置によれば、対象物への前記化合物の接触を行うことにより、細菌や真菌といった微生物のなかでも、特に酵母やカビといった真菌の増殖を効果的に抑制することができる。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1
試験手順
市販の徳島県産釜揚げしらす(-30℃で冷凍され、2.6℃で16時間かけて解凍されたもの)約1gを、滅菌プラスチックシャーレ(直径53mm)に重ならないように広げた。釜揚げしらすをシャーレに広げた様子を上から撮影した写真を図12に示す。
25℃に設定したインキュベーター内でLEDをしらすに照射した。光源にはピーク波長405nm LED(NCSU275T、日亜化学工業株式会社製)を用い、シャーレ下の2箇所から照射した。光源からしらすまでの距離をそれぞれ30mmに調整して、しらす表面(下側の表面(シャーレを通過))における照度(放射照度)を4.72mW/cm2とした。照度は、レーザパワー/エネルギメータNOVA II(OPPHIR社製)を用いて測定し、しらす表面(2個のLED間の中心(等しい距離)で測定した値であり、シャーレに広げたしらす表面の最も高い照度の値(下側面のピーク照度)といえる(IF=0.5A)。照射時間は60分間、照射エネルギーは17J/cm2とした。照射エネルギー(J/cm2)は、照度(mW/cm2)と照射時間(秒)とを乗じて算出した。
LEDを照射後、食品、添加物等の規格基準における生菌数測定法に準じて、しらすを滅菌ストマッキング用ポリ袋(滅菌パック)に移し、滅菌リン酸緩衝液(0.3 mM KH2PO4、pH 7.2)を10倍希釈となるように加え、1.5分間ホモジナイズした。得られたホモジナイズ溶液を、同組成の滅菌リン酸緩衝液で10倍段階希釈し、標準寒天培地(日水製薬社製)に塗布後、35℃で48時間培養し、コロニーをカウントすることにより一般細菌数を決定した(これを照射直後とする)。LED無照射のしらすについても同様にして一般細菌数を決定した(これを無照射とする)。
また、前記LED照射後に2.6℃で48時間冷蔵保存したしらすについても、同様にして一般細菌数を決定した。また、LED無照射のしらすを同様に2.6℃で48時間冷蔵保存したものについても、同様にして一般細菌数を決定した。
また、ピーク波長465nm LED(日亜化学工業株式会社製)を用いる以外は前述と同様にしてLED照射した釜揚げしらすについても、同様に、保存前後の一般細菌数を決定した。但し、照度は6.47mW/cm2、照射エネルギーは23J/cm2とした。
なお、前述と同じ標準寒天培地を用いて釜揚げしらすから予め分離した一般細菌50株のうち主な細菌は、Psychrobacter sp.(グラム陰性菌、19株)、Kocuria sp.(グラム陽性菌、15株)、Staphylococcus sp.(グラム陽性菌、8株)、Macrococcus sp.(グラム陽性菌、3株)であった。また、LED照射によるしらすの温度上昇は実質的に認められず、細菌数への加熱の影響を考慮する必要はなかった。
結果
結果を図13に示す。図13に示す通り、LED無照射と比較して、ピーク波長405nmのLED照射直後にコロニー数が17%減少し、殺菌効果が認められた。これに対して、図13に示す通り、ピーク波長465nmのLEDを使用した場合は、LED無照射と比較して、LED照射直後にコロニー数の減少は認められなかった。なお、ここで、コロニー数が17%減少とは、LED無照射において決定したコロニー数を100%とした場合に、LED照射することにより減少したコロニー数の割合を示す。
また、図には示さないが、ピーク波長405nmのLEDを使用した場合、48時間冷蔵保存後も、LED無照射と比較して、LED照射試料においてコロニー数が減少した。これに対して、ピーク波長465nmのLEDを使用した場合は、むしろ冷蔵保存後は、LED無照射よりもLED照射を行った場合のほうがコロニー数が大幅に増加した。
このことから、ピーク波長405nm、照度4.72mW/cm2、照射時間60分、照射エネルギー17J/cm2でのLED照射によれば食品に付着した細菌の増殖を効果的に抑制できるのに対して、ピーク波長465nm、照度6.47mW/cm2、照射時間60分、照射エネルギー23J/cm2でのLED照射では望ましい増殖抑制効果は得られないことが分かった。
試験例2
試験手順
前記試験例1と同様にして入手した釜揚げしらすを約1g量り取り、前述と同様にして滅菌シャーレに広げて、25℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射した。光源としてピーク波長405nm LED(NCSU275T、日亜化学工業株式会社製)を用い、光源からしらすまでの距離を調整して、シャーレの上下4箇所(上側2箇所、下側2箇所、光源からしらすまでの距離は上側27.5mm、下側28mm)から照射した。しらす表面(上下各表面)の2個のLED間の中心における照度を12.48mW/cm2とした。照度は、前述のNOVA IIを用いて前述と同様にしてしらす表面で測定し、片側表面の照度(ピーク照度)が12.48mW/cm2であることを意味する。照射時間15分間、照射エネルギーは上下合計で22J/cm2とした。前記試験例1と同様にして、LED照射、LED無照射のしらすについて、冷蔵保存前後の一般細菌数を決定した。
ピーク波長412nmのLED(ILH-XC01-S410-SC211-WIR200、Intelligent LED Solutions Ltd.、距離は上側35mm、下側36mm(0.2A))、ピーク波長421nmのLED(3W 3535 420nm-430nm Star base、tiaochongyi、距離は上側30mm、下側31mm(0.3A))、ピーク波長455nmのLED(LZ4-40B208-0000、LED Engin Inc.、距離は上側30mm、下側31mm(34.7mA))についても、同様に照射条件を照度12.48mW/cm2、照射時間15分間、照射エネルギーは上下合計22J/cm2として一般細菌数の決定を行った。
結果
結果を図14に示す。図14に示す通り、LED無照射と比較して、ピーク波長405nm、412nm、421nmのLED照射直後にコロニー数は38~55%減少した。また、冷蔵保存後は、LED無照射と比較して、LED照射によりコロニー数が55~88%減少した。特に、LED照射且つ保存後のコロニー数は、LED無照射且つ保存前のコロニー数を下回っていた。このことから、これらのLED照射によれば、食品に付着した細菌の増殖を非常に効果的に抑制することができ、特に、これらのLED照射によれば保存後において静菌(無照射且つ保存前の細菌数を下回る効果)という非常に優れた効果が得られることが分かった。
これに対して、ピーク波長455nmのLEDを照射した場合、保存前後のいずれにおいてもLED無照射と比較してコロニー数の減少したものの、保存後はコロニー数の望ましい減少は認められなかった(LED無照射と比較して、照射直後は12%減少、保存後は19%減少)。このことから、照度、照射時間、照射エネルギーが同じであっても、ピーク波長が455nmの場合は望ましい増殖抑制効果が得られないことが分かった。
試験例3
試験手順
前記試験例2と同様にして入手した釜揚げしらす約1gを、前記試験例2同様にして滅菌シャーレに広げて、25℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射し、LED照射、LED無照射のしらすについて、保存前後の一般細菌数を決定した。
本試験例では、ピーク波長421nm LEDを用い、前記試験例2と同様に照度12.48mW/cm2、照射15分間、照射エネルギー22J/cm2(上下合計)とした。また、本試験例では、更に、卵黄加マンニット食塩培地(日水製薬社製)を用いる以外は一般細菌数の測定と同様にして、ブドウ球菌数も決定した。(これらを条件Aとする)。
また、前記条件A(照度12.48mW/cm2、照射15分間、照射エネルギー22J/cm2)に代えて、照度1.71mW/cm2、照射4時間、照射エネルギー24.6J/cm2(シャーレ上側2箇所から照射)とする条件B、照度1.71mW/cm2、照射2時間、照射エネルギー24.6J/cm2(上下合計、シャーレの上下4箇所(上側2箇所、下側2箇所)から照射)とする条件Cとして、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数も決定した。これらにおいて照度は前述と同様にそれぞれ上側面、下側面ピーク照度を意味し、以下の試験例でも同様に照度はピーク照度を意味する。
結果
結果を図15に示す。図15に示す通り、条件Aでは、LED無照射と比較して、LED照射直後においてコロニー数が38%減少した。また、保存後も、LED無照射と比較して、LED照射においてコロニー数が減少した。特に、条件Aでは、LED照射且つ保存後のコロニー数は、無照射且つ保存前のコロニー数を下回っており、すなわち、静菌効果が認められた。このことから、条件Aによれば、食品に付着した細菌の増殖を顕著に抑制することができることが分かった。また、この場合、ブドウ球菌の細菌数にも同様の傾向が認められ、例えば、保存後であっても、LED無照射と比較して、LED照射によりコロニー数が86%減少し、このように、LED照射且つ保存後のコロニー数が、無照射且つ保存前のコロニー数を下回り、静菌効果が得られた。
これに対して、条件B及び条件Cでは、条件Aで認められたような顕著な増殖抑制は認められなかった。条件B及び条件Cは、条件Aよりもむしろ照射エネルギーが高かったことから、細胞増殖抑制効果は、照射エネルギーのみに左右されるものではないことが分かった。
試験例4
試験手順
前記試験例2と同様にして、入手した釜揚げしらすを同様に滅菌シャーレに広げ、ピーク波長405nm LED、照度12.48mW/cm2にて5、10、15、30分間照射を行い、一般細菌数を決定した。前記試験例3と同様の手順でブドウ球菌数も決定した。照射エネルギーは、5分間照射時が7.5J/cm2、10分間照射時が15J/cm2、15分間照射時が22J/cm2、30分間照射時が45J/cm2である。
結果
結果を図16及び17に示す。図16は、LED照射直後(冷蔵保存なし)の菌数を示す。図17は、LED照射且つ冷蔵保存後の菌数を示す。図16に示す通り、LED無照射と比較して、LED照射により一般細菌数、ブドウ球菌数のいずれもが著しく減少した。特に、10分以上の照射により、より効果的な増殖抑制が認められた。このように、照射により殺菌効果が得られた。また、図17に示す通り、保存後であっても、LED照射により一般細菌数、ブドウ球菌数に減少が認められ、特に、10分以上の照射により一層顕著な増殖抑制効果(静菌効果)が認められた。
試験例5
試験手順
前記試験例2と同様にして、入手した釜揚げしらすをシャーレに広げ、ピーク波長405nm、照度12.48mW/cm2、照射15分間、照射エネルギー22J/cm2(上下合計)として、25℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射した(測定1)。次いで、該照射後のしらすを-30℃で3日間保存し、次いで、2.6℃で16時間かけて解凍した(測定2)。また、該解凍後、更に2.6℃で48時間保存した(測定3)。これらの照射または保存後に、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を測定した(測定1~3)。これらの結果を図18に示す。
また、-30℃の冷凍状態にある釜揚げしらす約1gを前記滅菌シャーレにしらすが重ならないように広げた。10℃に設定したインキュベーター内で、試験例2と同様にしてLEDを照射し、2.6℃で48時間保存し、一般細菌数を決定し、更に、試験例3と同様にしてブドウ球菌数を決定した。この場合、LED照射が終了した時点で、しらす表面は解凍されていたが、しらす内部は冷凍状態であった。この結果を図19に示す。
結果
図18に示す通り、測定1~3のいずれにおいても、LED無照射に対して、LED照射において菌数の減少が認められた。このことから、LED照射後に冷凍及び解凍を伴う場合であっても、前記LED照射により細菌の増殖を抑制できることがわかった。特に、測定2及び3におけるLED照射の菌数は、測定1における無照射の菌数と比較して同等以下であり、LED照射後に冷凍及び解凍を伴う場合であっても、静菌と同等の優れた増殖抑制効果が得られることが分かった。
また、図19に示す通り、解凍工程中のLED照射であっても、LED無照射と比較して、菌数の減少が認められ、この場合も、一層顕著な増殖抑制効果(静菌効果)が認められた。
試験例6
試験手順
市販の徳島県産ちりめんを用いた以外は、試験例2と同様にしてLED照射を行った。なお、光源からちりめんまでの距離を上側LEDはそれぞれ27.5mm、下側LEDはそれぞれ28mmに調整し、片側表面の照度12.48mW/cm2、照射時間15分間、照射エネルギー22J/cm2(上下合計)とした。照射後、3℃、長時間(10日間、本試験で用いたちりめんの賞味期限に相当)の冷蔵保存を行い、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。無照射わかめについても同様にして菌数を決定した。
結果
結果を図20に示す。図20から明らかなように、釜揚げしらすよりも水分含有量が少ないちりめんに対しても、LED照射による著しい増殖抑制効果が得られた。特に、ちりめんでは賞味期限内に相当する10日間の冷蔵保存中に菌数が増殖しやすいものの、LED照射により、細菌数を9割以上減少させることができた。
試験例7
試験手順
市販の刺身用わかめ(ボイル済み)を正方形型に切り取り(約0.5g)、直径53mmの滅菌プラスチックシャーレの中央に置き、前記試験例6と同様にして、25℃に設定したインキュベーター内でLED照射を行った。前記試験例6と同様にして、片側表面の照度12.48mW/cm2、照射時間15分間、照射エネルギー22J/cm2(上下合計)とした。
LEDを照射後、わかめを滅菌パックに移し、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。また、LED照射後に2.6℃で2日間(刺身用わかめの賞味期限)または4日間保存し、同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。無照射わかめについても同様にして菌数を決定した。
結果
その結果、一般細菌数、ブドウ球菌数のいずれにおいても、LED無照射では、2日間冷蔵保存、4日冷蔵保存の両方において菌数の増加が認められたが、LED照射では、2日間冷蔵保存、4日冷蔵保存の両方において菌数の減少が認められた。このことから、わかめに対しても、LED照射によって、細菌の増殖を抑制することができた。
試験例8
試験手順
3℃、16時間で解凍した市販の一夜干しカマス(開き)の腹の部分の身をメスで約1g切り取り(約12.5mm四角形型、厚み6.3~6.9mm)、直径53mmの滅菌プラスチックシャーレの中央に置き、10℃に設定したインキュベーター内で、前記試験例6と同様にしてLED照射を行った。光源としてピーク波長405nm LED(NVSU333AE、日亜化学工業株式会社製)を用い、光源からカマスまでの距離を上側LEDはそれぞれ29.5mm、下側LEDはそれぞれ30mmに調整し(IF=3.01A)、片側表面の照度120.3mW/cm2、照射時間15分間、照射エネルギー217J/cm2(上下合計)とした。
LEDを照射後、カマスを滅菌パックに移し、前述と同様にして一般細菌数を決定した。また、LED照射後に2.6℃で長時間(6日間、一夜干しカマスの賞味期限)保存したカマスについても同様にして一般細菌数を決定した。LED照射を行わないカマスについても、同様にして菌数を決定した。無照射カマスについても同様にして菌数を決定した。
結果
結果を表1に示す。表1中、各値は、LED無照射カマス(LED照射なし)、LED照射カマス(LED照射あり)のそれぞれにおいて、長時間(6日間)保存後の菌数(保存後菌数)を保存前の菌数(保存前菌数)で徐した値であり、長時間保存による菌数変化(比)を示す。試験を3回行い、表中、算出1~3はLED照射なし、算出4~6はLED照射ありの結果である。表1から明らかなように、LEDを照射しない場合と比較して、LEDを照射することにより、長時間保存による菌数の増加を著しく抑制することができた。カマスは、しらす等と比較して厚みがあるが、このような厚みのある食品に対してもLED照射により細菌増殖を著しく抑制できることがわかった。
Figure 0007425456000004
試験例9
試験手順
市販のミニトマトを次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度1%)に15分間浸漬させ、滅菌水で2回洗浄後、ヘタ部の水分を乾燥させた。乾燥させたヘタ部を、Acinetobacter baumanniiの菌液10mL(105cells/mL)に2回浸し、乾燥させた。A. baumanniiは、露地栽培トマトのヘタ部から分離し、16S rDNA配列から同定した。A. baumanniiは、農作物に付着するグラム陰性菌の代表菌として使用した。
10℃に設定したインキュベーター内で、ヘタが上になるように置いたトマトの斜め上方向2箇所からLED照射を行った(図21)。光源には、405nm LED(NVSU333AE、日亜化学工業株式会社製)を用い、光源からヘタまでの距離を左側用LED29.5mm、右側用LED30mmに調整し、ミニトマトのヘタ部で、LED放射光の角度が90度で上方から交わるように照射して、照度を120.3mW/cm2(但し、該照度はLED1個あたり、ヘタ表面、前述のNOVA IIを用いて測定、IF=3.01A)とした。また、照射時間は15分、照射エネルギー217J/cm2(両方向合計)とした。
LED無照射及びLED照射のミニトマトのヘタをピンセットで採取し、滅菌ストマッキング用ポリ袋に入れて重量を計り、10倍希釈となるように滅菌リン酸緩衝液を加え、1分間ホモジナイズ後、標準寒天培地に塗布し、35℃で48時間培養した。次いで、コロニー形態(色、形)からA. baumanniiと一般細菌を判別し、各コロニー数をカウントすることにより菌数を決定した。この結果を図22に示す。
また、次亜塩素酸ナトリウム溶液で処理をしていないミニトマトを使用(A. baumanniiの接種なし)して、前述と同様にして、試験を行った。この結果を図23に示す。
結果
図22及び23から明らかなように、トマトのヘタに対しても、LED照射によって、一般細菌、A. baumannii、また、ミニトマトに付着した微生物の増殖を抑制することができた。
試験例10
試験手順
前記試験例2と同様にして入手した釜揚げしらす約1gを、前記試験例2同様にして滅菌シャーレに広げた。10℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射した。光源として、ピーク波長405nm LED(NVSU333A(U405)、日亜化学工業株式会社製)を、シャーレ中心から左右に10mmずらして上下に1箇所ずつ設置した(図24)。しらす表面の照度は120.3mW/cm2(上下それぞれLED直下(直上)のしらす表面、前述のNOVA IIを用いて測定、IF=3.01A、光源からしらすまでの距離は上用LED29.5mm、下用LED30mm)とし、5分間、照射エネルギー72J/cm2(上下合計)とした。照射後、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。また、LED照射後に2.6℃で48時間冷蔵保存したしらすについても、一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。LED無照射のしらすについても同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。
また、同様の照度で、15分間、照射エネルギー217J/cm2(上下合計)、30分間、照射エネルギー433J/cm2(上下合計)として試験を行い、同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。
結果
結果を図25及び26に示す。図25及び26のいずれにおいても、LED照射による増殖抑制効果が得られ、特に、静菌という一層顕著な増殖抑制効果が認められた。但し、30分照射後のしらすは、照射前のしらすと比較して、その重量が15%減少した。このため、品質変化のリスクを一層低減する点からは、特に120.3mW/cm2といった高照度での可視光LED照射の場合は、照射時間を30分以内とすることがより良いことが分かった。
試験例11
試験手順
前記試験例2と同様にして入手した釜揚げしらすを滅菌シャーレに広げ、前記試験例2と同様にピーク波長405nm LEDを用いて、照度10mW/cm2、照射15分間、照射エネルギー18J/cm2(上下合計)として、25℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射し、前述と同様に一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。
結果
結果を図27に示す。図27に示す通り、LED照射による著しい増殖抑制効果が得られた。特に静菌という一層顕著な増殖抑制効果が認められた。
試験例12
試験手順
前記試験例10と同様にして入手した釜揚げしらすを滅菌シャーレに広げ、前記試験例10と同様にピーク波長405nm LEDを用いて、照度208mW/cm2、照射1分間、照射エネルギー25J/cm2(上下合計)として、10℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射し、前述と同様に一般細菌数を決定した。
結果
結果を図28に示す。図28に示す通り、LED照射による著しい増殖抑制効果が得られた。特に静菌という一層顕著な増殖抑制効果が認められた。
試験例13
試験手順
前記試験例2と同様にして、入手した釜揚げしらす約1gを滅菌シャーレに広げた。試験例10と同様にして、10℃に設定したインキュベーター内でLEDを照射した。具体的には、光源として、ピーク波長405nm LED(NVSU333A(U405)、日亜化学工業株式会社製)を、シャーレ中心から左右に10mmずらして上下に1箇所ずつ設置した。しらす表面の照度は120.3mW/cm2(上下それぞれLED直下(直上)のしらす表面、前述のNOVA IIを用いて測定、IF=3.01A、光源からしらすまでの距離は上用LED29.5mm、下用LED30mm)とし、5分間、照射エネルギー72J/cm2(上下合計)とした。照射後、前述と同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。また、LED照射後に2.6℃で5日間、7日間冷蔵保存したしらすについても、一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。LED無照射のしらすについても同様にして一般細菌数、ブドウ球菌数を決定した。
結果
その結果、保存3、5及び7日目のいずれにおいても、LED無照射の場合と比較して、LED照射した場合において菌数の著しい増殖抑制が認められた。一般生菌数は、食品の微生物汚染の程度を示す最も代表的な指標であり、微生物汚染の状況を反映する指標として知られている。一般的な基準として、一般細菌数は、加熱された食品では105CFU/g以下、未加熱の食品では106CFU/g以下といわれている。本試験例においてLED無照射の場合、保存3日後に105CFU/gを超えたため、基準に従えば、消費期限を2日間とする必要がある。これに対して、LED照射を行った場合、保存5日後でも104CFU/gに満たず、7日後でも105CFU/gに満たなかった。このため、本試験例のLED照射により、少なくとも消費期限を7日間とすることができ、すなわち、無照射の場合と比較して、消費期限を2日から7日間に延長することができる。
試験例14
前記試験例の一部について、ピーク波長405nmを用いた場合の菌数変化を次の表2に示した。なお、前記試験例には示していないが、照度21.2 mW/cm2、照射時間10分、照射エネルギー25J/cm2とする以外は試験例2と同様にして一般細菌数を決定した結果も表2に示す。
表2中、例えば、照度12.48mW/cm2、照射エネルギー7.5J/cm2の欄に示す「16/34(5分)」は、照度12.48mW/cm2、照射エネルギー7.5J/cm2、照射5分間でLEDを照射した場合、照射直後は、LED無照射に対してLED照射により一般細菌数が16%減少し、2.6℃48時間冷蔵保存後は、LED無照射に対してLED照射により一般細菌数が34%減少したことを示す。また、表2中の網掛け部分は、2.6℃48時間冷蔵保存後であっても、LED照射により静菌効果が得られたことを示す。
表2から理解できる通り、照度且つ照射エネルギーを一定の範囲内とすることにより、より効果的に細菌の増殖を抑制することができ、特に、照射直後の顕著な殺菌や、冷蔵保存後の顕著な細菌増殖抑制効果(静菌効果)が得られることが分かった。
試験例15
試験手順
前記試験例2と同様にして釜揚げしらすを滅菌シャーレに広げ、25℃に設定したインキュベーター内でピーク波長280nmとする紫外線LED(NCSU234AE、日亜化学工業株式会社製)を800mm×600mmの基板に8×4=32個を備えた光源を用い1分間照射を行った。照射は上方からの一方向とし、照射距離10mmとした。その照度は、1個のLED直下で11.1mW/cm2であり、照射エネルギー0.67J/cm2とした。
次いで、試験例2に記載するピーク波長405nm、照度12.48mW/cm2、10分間、照射エネルギー15J/cm2での照射を行った。また、該ピーク波長405nmでの別の照射条件として、照度21.2mW/cm2、10分間、照射エネルギー25J/cm2での照射を行った(光源からしらすまでの距離は上側19mm、下側20mm)。
照射直後、2.6℃48時間冷蔵保存し、保存後の一般細菌数及びブドウ球菌数を決定した。また、紫外線LED照射のみ、可視光LED照射のみについても、照射直後、保存後の一般細菌数及びブドウ球菌数を決定した。
結果
その結果、紫外線LEDと可視光LEDとを併用することにより、紫外線LED照射単独または可視光LED照射単独の場合と比較して、より高い細菌増殖抑制効果が得られた。特に、照度21.2mW/cm2、照射エネルギー25J/cm2とした場合は、紫外線LEDと組み合わせることによる相乗的な細菌増殖抑制効果が認められた。このように、前記可視光LED照射と組み合わせて、紫外線LED照射をはじめとする他の波長による照射を使用することができることが分かった。
試験例16
試験手順
前記試験例10と同様(但し、照射距離は上側を30.5mm、下側を31mmとし、上下ともに照度120.1mW/cm2に調整した)にして、入手した釜揚げしらすを滅菌シャーレに広げて、10℃に設定したインキュベーター内で、光源としてピーク波長405nm LED(NVSU333A(U405)、日亜化学工業株式会社製)、照度120.1mW/cm2にて、照射5分間、照射エネルギー72J/cm2(上下合計)、または照射34.7分間、照射エネルギー500J/cm2(上下合計)にて、LEDを照射した。
次いで、釜揚げしらすの味覚試験は、味認識装置(Insent Taste Sensing System,SA402B,インテリジェントセンサーテクノロジー社製)を用いて、該装置の評価手順に従い行った。
照射5分間の試験においては、(1)無照射0日、(2)照射直後、(3)無照射3℃保存2日後、(4)照射後3℃保存2日後、(5)無照射3℃保存5日後、(6)照射後3℃保存5日後、(7)無照射3℃保存7日後、(8)照射後3℃保存7日後のしらすを、それぞれ14-15g用いて評価した。(1)~(8)の釜揚げしらすを滅菌パックに移し、10倍希釈となるよう滅菌超純水を加え、1~2分間ホモジナイズ後上清を濾紙(FIRTER PAPER,glade2,ADVANTEC)で濾過し、70mL以上のろ液を得た。得られたろ液を-80℃で冷凍保存し、測定前日に2.6℃に移し、測定当日30℃で完全解凍した。
照射34.7分間の試験においては、(1)無照射0日、(2)照射直後のしらすを、それぞれ14-15g用いて、前述と同様にして処理、解凍した。
前記味認識装置による味覚評価基準は次の通りである。これは該装置の規定の基準に従うものである。
<味覚評価>
(1)無照射0日試料を基準値0とし、他の試料(2)~(8)の先味(酸味、苦味雑味、渋味刺激、旨味、塩味)、後味(苦味、渋味、旨味コク)を調べた。酸味は-13で除外、塩味は-6、その他はマイナス値で除外できるので、釜揚げしらすでは、塩味、旨味、苦味雑味、渋味刺激、旨味コクを調べることにより、味覚を評価した。該装置による味覚変化量1以上(味覚のプロでは0.5以上)でヒトの舌で感知できるとされる。
結果
照射5分間における味覚試験の結果を次の図29に示す。変化量1以上でヒトの舌で感知できるとされるので、塩味、旨味、苦味雑味、渋味刺激、旨味コクの変化は、ヒトの舌で感知できないレベルであることが分かった。従って、該照射処理は、1週間冷蔵保存においても味覚品質に影響しないことが分かった。
照射34.7分間における味覚試験の結果を次の図30に示す。高照射エネルギー500J/cm2で処理することにより、塩味が1.02増加した。この変化は、前記5分間照射直後の試料の塩味と比較すると顕著であったが、その他の味覚変化は、ヒトの舌では感知できないレベルであることが分かった。塩味の増加は、LED放射熱によるしらす含水量の減少に起因したと考えられた。従って、120mW/cm2での長時間照射は、釜揚げしらすの味覚品質を変化させ得るため、味覚変化抑制の点からは、該照度での照射時間は34.7分間未満にしたほうが良いことが分かった。
試験例17
試験手順
真菌(Cladosporium cladosporioides IFM63149(カビ))をポテトデキストロース培地(PDA培地、日水製薬株式会社製)に植菌し、25℃で14日間、倒立で静置培養した。培養後、培地に0.1%(w/v) Tween 80含有0.85%(w/v) 塩化ナトリウム水溶液を添加し、コンラージ棒で胞子をかき取った。このようにして得た懸濁液から滅菌済みのガーゼ入りチップを用いて菌糸を取り除き、6570×g(3分、4℃)で遠心分離により集菌し、0.8%塩化ナトリウム水溶液で洗菌した。洗菌操作は2回行った。滅菌水で再懸濁後、血球計算盤(手動式血球計数装置、エルマ販売株式会社製)を用いて分生子数を計数し、分生子懸濁液の濃度を算出し、滅菌水で希釈し5×106conidia/mLとなるように調製した。
本試験例では、試験化合物として、フェルラ酸、フェルラ酸メチルエステル、カフェ酸、クマル酸、クロロゲン酸、バニリン酸、没食子酸、バニリンを用いた。フェルラ酸メチルエステル以外は市販品を用いた(フェルラ酸:商品名trans-ferulic acid、カフェ酸:商品名caffeic acid、クマル酸:商品名trans-p-coumaric acid、バニリン酸:商品名vanillic acid、没食子酸:商品名gallic acid hydrate、バニリン:商品名vanillin(いずれも東京化成工業株式会社製)、クロロゲン酸:商品名chlorogenic acid(シグマアルドリッチジャパン製))。フェルラ酸メチルエステルは、下記のように化学合成により得た。
フェルラ酸310mg(1.596mmol)をメタノール7 mLに溶解し、濃硫酸31.3mg(0.2eq.)を添加した。窒素気流下で還流させることで反応させた。4時間反応後、エバポレーターで溶媒を除去し、水を添加し超音波処理することにより残渣を洗浄した。シリカゲルカラム(Silica gel 120、spherical、70-230 mesh、ナカライテクス株式会社製)を用い、移動相をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒として精製した。精製物(colorless oil、278 mg、収率84%)は、薄層クロマトグラフィー(Silica gel 60 F254、Merck KGaA製)により1成分であることを確認し、1H-NMR(CDCl3)スペクトル解析により、目的化合物(フェルラ酸メチルエステル)の構造であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, δin ppm): 3.73 (s, 3H, OCH3), 3.86 (s, 3H, COOCH3), 6.22 (d, 1H, J = 15.9 Hz, ethylene α-CH), 6.85 (d, J = 8.2 Hz, 1H, 4-hydroxy-3-methoxyphenyl group 5-position-CH), 6.96 (s, 1H, 4hydroxy-3-methoxyphenyl group 2-position-CH), 7.01 (d, J = 8.2 Hz, 1H, 4-hydroxy-3-methoxyphenyl group 6-position-CH), 7.55 (d, 1H, J = 15.9 Hz, ethylene β-CH)
なお、一例を説明すると、フェルラ酸は、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが炭素数2の直鎖状アルケニレン基(ビニレン基)、Rが水酸基で示される。
フェルラ酸メチルエステルは、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが炭素数2の直鎖状アルケニレン基(ビニレン基)、Rが炭素数1の直鎖状アルコキシ基(メトキシ基)で示される。
バニリン酸は、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが直接結合、Rが水酸基で示される。
バニリンは、前記一般式(1)において、4位にHO-が置換し、3位にRO-が置換し、5位にR-が置換し、Rがメチル基、Rが水素原子、Rが直接結合、Rが水素原子で示される。
各試験化合物は、80%ジメチルスルホキシド(DMSO、和光特級、和光純薬株式会社製)を用いて、試験濃度の200倍濃度に調製した。後述の試験における菌液中でのDMSO最終濃度は0.4%とした。
前述のようにして得た菌懸濁液を滅菌水で希釈して、24穴プレート(IWAKI)の撹拌子を入れたウェルに入れ(終濃度5×104conidia/mL)、前記試験化合物を2.5mMまたは3.0mMになるように各ウェルにそれぞれ添加した(全量2.65mL)。直ちに初発菌数測定のために、菌液150μLを採取し、0.1%(w/v) Tween 80含有サブロー液体培地1.35mL(1L中にBactoTM Peptone10g(BD社製)、D(+)-グルコース40g(和光純薬工業株式会社製))に希釈した。次いで、25℃に設定したインキュベーター内で、スターラーを用いて菌液を撹拌しながら、1ウェルに対して1個のLEDを用い上方から下方に向けてLED照射を行った。光源として、ピーク波長405 nm LED(NVSU333A(U405)、日亜化学工業株式会社製)を24穴プレートのウェル底面から上方に38.0mmの距離で設置した。その照射距離での照度は、試験前に測定し84.6mW/cm2であった。
60分間照射後(照射エネルギー305J/cm2)、ウェルから菌液を150μL採取し、0.1%(w/v) Tween 80含有サブロー液体培地1.35mLに希釈した。更に、この希釈液を0.1%(w/v) Tween 80入り0.8%塩化ナトリウム水溶液で希釈して、10倍段階希釈系列を作製した。各段階希釈液100μLをPDA培地に塗布し、25℃で3日間培養した。培養後にコロニーカウントを行い、生菌数を算出した。試験データはn=3で、結果は3回の実験の平均値である。
また、前記手順において、試験化合物を添加しない以外は同様にして(すなわち滅菌水で希釈した菌懸濁液をDMSO 0.4%溶液と混合)LED照射を行った場合、前記試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わない場合(暗所)、前記試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合(暗所)についても試験を行い、同様にして生菌数を算出した。
結果
前記手順において、試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合、60分後の菌数は初発菌数と同程度であった。これに対して、前記手順において、試験化合物を添加しない以外は同様にしてLED照射を行った場合、60分後の菌数は初発菌数と比較して53%減少した。このように、前記試験化合物を用いない場合であっても、前記LED照射により、細菌と同様に、真菌の増殖も効果的に抑制することができた。
また、前記手順において、試験化合物を添加し且つLED照射を行った結果(前記試験化合物の添加量2.5mM)を図31に示す。図31において、FAはフェルラ酸、VAはバニリン酸、Vaniはバニリン、FAOMeはフェルラ酸メチルエステル、CaAはカフェ酸、GAは没食子酸、CAはクマル酸、ChAはクロロゲン酸を示し、DMSOは試験化合物を添加していない場合を示し、Initialは初発菌数、60minは60分間のLED照射後(照射エネルギー305J/cm2)の菌数を示す。
図31に示す通り、試験化合物としてCaA、GA、ChAを用いた場合は、試験化合物を用いない場合(図中DMSO)と同程度以下の菌数の減少しか認められなかった。例えば、GAを用いた場合、60分後の菌数は初発菌数と比較して51%の減少にとどまった。これに対して、試験化合物としてFA、VA、Vani、FAOMeを用いた場合は、著しい菌数の減少が認められ、初発菌数と比較して、60分後の菌数がFA、Vani、FAOMeでは99%以上減少し、VAでも94%減少した。試験化合物としてCAを用いた場合は、CaA、GA、ChAを用いた場合よりも一層の菌数減少が認められたが、60分後の菌数は、初発菌数と比較して83%の減少であった。このことから、化合物としてFA、VA、Vani、FAOMeを用いた場合は、真菌の増殖を著しく抑制できることが確認された。
また、前記手順において、試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わなかった結果(前記試験化合物の添加量2.5mM)を図32に示す。図32に示す通り、前記試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わない場合、試験化合物の種類によらず、60分後に有意な菌数の減少は認められず、いずれも前記試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合(図32のDMSO)と同程度であった。このことから、前記試験化合物を微生物に接触させるだけでは菌数の減少は認められないことが分かった。また、図31及び32の結果から、FA、VA、Vani、FAOMeとの接触とLED照射との併用によれば、菌数の一層著しい減少が認められ、従って、微生物の増殖を著しく抑制できることが確認された。
なお、結果には示さないが前記試験化合物の添加量が3.0mMである場合も、同様の傾向が認められ、例えば、VAとの接触とLED照射とを併用した場合、60分後(照射エネルギー305J/cm2)の菌数は、初発菌数と比較して99%以上減少していた。また、結果には示さないが、FAの添加量を5.1mMとし、LED照射時間を20分(照射エネルギー102J/cm2)とした以外は前述と同様に試験を行った場合も、20分後の菌数は、初発菌数と比較して99%以上減少し、微生物の増殖を著しく抑制することができることが確認された。
試験例18
試験手順
真菌(Candida albicans NBRC 1385(酵母))をサブロー液体培地に1白金耳植菌し、28℃で24時間、振盪培養した。培養後、6570×g(3分、4℃)で遠心分離により集菌し、0.8%塩化ナトリウム水溶液で洗菌した。洗菌操作は2回行った。集菌した菌を6mLの滅菌水で再懸濁し、菌液を分光光度計(OD=660 nm)で測定し、OD660=0.158(2×106cells/mL)になるように濁度を調整した。
本試験例では、試験化合物として、フェルラ酸、フェルラ酸メチルエステル、カフェ酸、クマル酸、クロロゲン酸、バニリン酸、没食子酸、バニリンを用いた。これらは、前記試験例17と同じ化合物であり、前述と同様に、各試験化合物は、80%ジメチルスルホキシドを用いて、試験濃度の200倍濃度に調製した。後述の試験における菌液中でのDMSO最終濃度は0.4%とした。
前述のようにして得た菌懸濁液を滅菌水で希釈して、24穴プレートの撹拌子を入れたウェルに入れ(終濃度2×105cells/mL)、前記試験化合物を2.5mMになるように各ウェルにそれぞれ添加した(全量2.65mL)。直ちに初発菌数測定のために、菌液150μLを採取し、0.1%(w/v) Tween 80含有サブロー液体培地1.35mLに希釈した。次いで、25℃に設定したインキュベーター内で、スターラーを用いて菌液を撹拌しながら、1ウェルに対して1個のLEDを用い上方から下方に向けてLED照射を行った。光源として、前記試験例17と同じLEDを用い、24穴プレートのウェル底面から上方に38.0mmの距離で設置した。その照射距離での照度は、試験前に測定し84.6mW/cm2であった。
40分間照射後(照射エネルギー203J/cm2)、ウェルから菌液を150μL採取し、0.1%(w/v) Tween 80含有サブロー液体培地1.35mLに希釈した。更に、この希釈液を0.1%(w/v) Tween 80入り0.8%塩化ナトリウム水溶液で希釈して、10倍段階希釈系列を作製した。各段階希釈液100μLをサブロー寒天培地(日水製薬株式会社製)に塗布し、28℃で3日間培養した。培養後にコロニーカウントを行い、生菌数を算出した。試験データはn=3で、結果は3回の実験の平均値である。
また、前記手順において、試験化合物を添加しない以外は同様にして(すなわち滅菌水で希釈した菌懸濁液をDMSO 0.4%溶液と混合)LED照射を行った場合、前記試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わない場合(暗所)、前記試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合(暗所)についても試験を行い、同様にして生菌数を算出した。
結果
前記手順において、試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合、40分後の菌数は初発菌数と同程度であった。これに対して、前記手順において、試験化合物を添加しない以外は同様にしてLED照射を行った場合、40分後の菌数は初発菌数と比較して45%減少した。このように、前記試験化合物を用いない場合であっても、前記LED照射により、細菌と同様に、真菌の増殖も効果的に抑制することができた。
前記手順において、試験化合物を添加し且つLED照射を行った結果を図33に示す。図33においても、図31と同様に、FAはフェルラ酸、VAはバニリン酸、Vaniはバニリン、FAOMeはフェルラ酸メチルエステル、CaAはカフェ酸、GAは没食子酸、CAはクマル酸、ChAはクロロゲン酸を示し、DMSOは試験化合物を添加していない場合を示し、Initialは初発菌数、40minは40分間のLED照射後(照射エネルギー203J/cm2)の菌数を示す。
図33に示す通り、試験化合物としてCaA、GA、CA、ChAを用いた場合は、試験化合物を用いない場合(表中DMSO)よりも菌数が減少したが、それぞれの40分後の菌数は初発菌数と比較して72%、58%、78%、81%の減少にとどまった。これに対して、試験化合物としてFA、VA、Vani、FAOMeを用いた場合は著しい菌数の減少が認められ、初発菌数と比較して、いずれも99%以上減少した。このことから、化合物としてFA、VA、Vani、FAOMeを用いた場合は、真菌の増殖を著しく抑制できることが確認された。
また、前記手順において、試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わなかった結果を図34に示す。図34に示す通り、前記試験化合物を同様に添加したもののLED照射を行わない場合、試験化合物の種類によらず、40分後に有意な菌数の減少は認められず、いずれも前記試験化合物を添加せずLED照射も行わない場合(図34のDMSO)と同程度であった。このことから、前記試験化合物を微生物に接触させるだけでは菌数の減少は認められないことが分かった。また、図33及び34の結果からも、FA、VA、Vani、FAOMeとの接触とLED照射との併用によれば、菌数の一層著しい減少が認められ、従って、微生物の増殖を著しく抑制できることが確認された。

Claims (11)

  1. (A)対象物に、フェルラ酸、フェルラ酸メチルエステル、バニリン酸及びバニリンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を接触させる工程、ならびに
    (B)前記化合物を接触させた対象物に可視光LEDを光源とする可視光線照射を行う工程
    を含む、対象物における微生物の増殖抑制方法、
    ここで、該照射が、可視光LEDのピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように行われることを特徴とする、方法。
  2. 照度が4~500mW/cmである、請求項1に記載の方法。
  3. 照射エネルギーが7.5~500J/cmである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 照射時間が1~60分である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 対象物が、水産物、農作物、畜産物及びこれらの加工物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 更に、対象物にピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を照射する工程を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 対象物における微生物の増殖を抑制するために使用される可視光線照射装置であって、
    対象物に、フェルラ酸、フェルラ酸メチルエステル、バニリン酸及びバニリンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を接触させる接触部、ならびに
    可視光LEDを光源として、前記化合物を接触させた対象物に可視光線照射を行う照射部を備え、
    前記照射部は、ピーク波長が405~421nmの範囲にあり、照度が4mW/cm以上であり、照射エネルギーが7.5J/cm以上となるように可視光線を照射する、可視光線照射装置。
  8. 対象物を支持する支持部を更に備え、
    前記照射部は、前記支持部に支持された対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、請求項に記載の可視光線照射装置。
  9. 前記支持部は、対象物を搬送するコンベヤであり、
    前記照射部は、前記コンベヤで搬送される対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、請求項に記載の可視光線照射装置。
  10. 前記支持部は、対象物の少なくとも一部を収容する収容体であり、
    前記照射部は、前記収容体に収容される対象物に対して可視光線を照射するように配置されている、請求項に記載の可視光線照射装置。
  11. 前記照射部は、ピーク波長が265nm以上405nm未満の範囲にある紫外線または可視光線を対象物に照射する光源を更に有する、請求項10のいずれかに記載の可視光線照射装置。
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