以下、添付図面に従って本開示の技術に係る撮像装置、撮像方法、及びプログラムの一例について説明する。
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。fpsとは、“frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual Focus”の略称を指す。AFとは、“Auto Focus”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。A/Dとは、“Analog/Digital”の略称を指す。PCとは、“Personal Computer”の略称を指す。AIとは、“Artificial Intelligence”の略称を指す。TOFとは、“Time of Flight”の略称を指す。
本明細書において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。また、本明細書の説明において、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、コントローラ12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示の技術に係る「撮像装置」の一例であり、コントローラ12は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。コントローラ12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対する焦点の調整を手動で行う場合に、ユーザ等によって操作される。
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されている。ただし、本例は、あくまでも一例に過ぎず、撮像装置10は、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよいし、スマートデバイス、ウェアラブル端末、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等の各種の電子機器に内蔵されるデジタルカメラであってもよい。
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示の技術に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、少なくとも1つの被写体を含む撮像エリアを撮像する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ20によって生成される。
第1実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示の技術は成立する。
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに従って行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレートであってもよいし、60fpsを超えるフレームレートであってもよい。
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示を受け付ける。なお、以下では、説明の便宜上、上述した「全押し状態」には、撮像開始用のソフトキーに対してユーザがタッチパネル30を介してオンした状態も含まれる。
第1実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
一例として図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有する。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の感光画素72B(図3参照)を有しており、受光面72Aは、複数の感光画素72Bによって形成されている。各感光画素72Bは、マイクロレンズ72C(図3参照)を有する。各感光画素72Bは、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
また、複数の感光画素72Bには、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、RGBストライプ配列、R/G市松配列、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dを有する。対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dは、被写体側(物体側)から撮像装置本体16側(像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、ズームレンズ40C、及び絞り40Dの順に配置されている。
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、第2アクチュエータ38、及び第3アクチュエータ39を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。制御装置36のNVMは、例えば、EEPROMである。ただし、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等を制御装置36のNVMとして適用してもよい。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
第1アクチュエータ37は、フォーカス用スライド機構(図示省略)及びフォーカス用モータ(図示省略)を備えている。フォーカス用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にフォーカスレンズ40Bが取り付けられている。また、フォーカス用スライド機構にはフォーカス用モータが接続されており、フォーカス用スライド機構は、フォーカス用モータの動力を受けて作動することでフォーカスレンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
第2アクチュエータ38は、ズーム用スライド機構(図示省略)及びズーム用モータ(図示省略)を備えている。ズーム用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にズームレンズ40Cが取り付けられている。また、ズーム用スライド機構にはズーム用モータが接続されており、ズーム用スライド機構は、ズーム用モータの動力を受けて作動することでズームレンズ40Cを光軸OAに沿って移動させる。
なお、ここでは、フォーカス用スライド機構とズーム用スライド機構とが別々に設けられている形態例を挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎず、フォーカス及びズームを共に実現可能な一体型のスライド機構であってもよい。また、この場合、フォーカス用モータとズーム用モータとを用いずに、1つのモータによって生成された動力がスライド機構に伝達されるようにすればよい。
第3アクチュエータ39は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Dは、開口40D1を有しており、開口40D1の大きさが可変な絞りである。開口40D1は、例えば、複数枚の絞り羽根40D2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40D2に伝達する。複数枚の絞り羽根40D2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40D1の大きさを変化させる。開口40D1の大きさが変化することで、絞り40Dによる絞り量が変化し、これによって露出が調節される。
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によってフォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、第1実施形態では、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。したがって、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。なお、ここでは、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。なお、交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動で焦点を合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量でフォーカスレンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点の位置が調節される。AFモードでは、AFが行われる。AFとは、イメージセンサ20から得られる信号に従って焦点の位置を調節する処理を指す。例えば、AFモードでは、撮像装置本体16によって撮像装置10と被写体との間の距離が演算され、被写体に焦点が合う位置にフォーカスレンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点の位置が調節される。
撮像装置本体16は、イメージセンサ20、コントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72及びA/D変換器74を備えている。
入出力インタフェース70には、コントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
コントローラ12は、撮像装置10の全体を制御する。すなわち、図2に示す例では、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、通信I/F52、光電変換素子ドライバ54、及び制御装置36がコントローラ12によって制御される。コントローラ12は、CPU62、NVM64、及びRAM66を備えている。CPU62は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例であり、NVM64及び/又はRAM66は、本開示の技術に係る「メモリ」の一例である。
CPU62、NVM64、及びRAM66は、バス68を介して接続されており、バス68は入出力インタフェース70に接続されている。なお、図2に示す例では、図示の都合上、バス68として1本のバスが図示されているが、バス68は、複数本のバスであってもよい。バス68は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
NVM64は、非一時的記憶媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。各種プログラムには、後述のプログラム65(図5参照)が含まれる。NVM64は、例えば、EEPROMである。ただし、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等をNVM64として適用してもよい。また、RAM66は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。CPU62は、NVM64から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM66で実行する。CPU62は、RAM66上で実行するプログラムに従って画像処理を行う。
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、CPU62からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示す撮像データ73としてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎に撮像データ73を読み出す。
A/D変換器74は、光電変換素子72から読み出されるアナログの撮像データ73をデジタル化する。A/D変換器74によりデジタル化された撮像データ73は、いわゆるRAW画像データであり、R画素、G画素、及びB画素がモザイク状に配列された画像を表す。また、第1実施形態では、一例として、RAW画像データに含まれるR画素、B画素、及びG画素の各画素のビット数、すなわち、ビット長は、14ビットである。
CPU62は、A/D変換器74から撮像データ73を取得し、取得した撮像データ73に対して画像処理を行う。CPU62は、撮像データ73に基づいて、動画像データ80を生成する。画像メモリ46には、動画像データ80が記憶される。動画像データ80は、ライブビュー画像の表示に用いられる画像データ81と、撮像エリア内における複数の被写体の撮像装置10との間の距離に関する距離データ82とを含む。
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えている。CPU62は、ディスプレイ28に対して、画像メモリ46に記憶された動画像データ80を表示させる。また、CPU62は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。
また、UI系デバイス48は、ユーザからの指示を受け付ける受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(図1参照)を含む複数のハードキーである。CPU62は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、ハードキー部78がUI系デバイス48に含まれているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、ハードキー部78は、外部I/F50に接続されていてもよい。
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。USBインタフェースには、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。
通信I/F52は、ネットワーク(図示省略)に接続される。通信I/F52は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とコントローラ12との間の情報の授受を司る。例えば、通信I/F52は、コントローラ12からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、通信I/F52は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してコントローラ12に出力する。
一例として図3に示すように、光電変換素子72の受光面72Aには、複数の感光画素72Bが2次元状に配列されている。各感光画素72Bには、カラーフィルタ(図示省略)、及びマイクロレンズ72Cが配置されている。図3では、受光面72Aに平行である1つの方向(例えば、2次元状に配列された複数の感光画素72Bの行方向)をX方向とし、X方向に直交する方向(例えば、2次元状に配列された複数の感光画素72Bの列方向)をY方向としている。複数の感光画素72Bは、X方向及びY方向に沿って配列されている。各感光画素72Bは、独立した一対のフォトダイオードPD1及びPD2を含む。フォトダイオードPD1には、撮像レンズ40を透過した被写体を示す光束(以下、「被写体光束」とも称する)が瞳分割されることで得られた第1光束(例えば、撮像レンズ40(図2参照)における第1の瞳部分領域を通過する光束)が入射され、フォトダイオードPD2には、被写体光束が瞳分割されることで得られた第2光束(例えば、撮像レンズ40(図2参照)における第2の瞳部分領域を通過する光束)が入射される。
フォトダイオードPD1は、第1光束に対する光電変換を行う。フォトダイオードPD2は、第2光束に対する光電変換を行う。
一例として、光電変換素子72は、1つの感光画素72Bに一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子である。一例として、光電変換素子72は、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えている。撮像モードにおいて撮像が行われる場合に、光電変換素子72は、一対のフォトダイオードPD1及びPD2を合わせて1つの感光画素72Bとすることで、非位相差画素データ73Aを出力する。また、AFモードでは、光電変換素子72は、一対のフォトダイオードPD1及びPD2のそれぞれから信号を検出することにより、位相差画素データ73Bを出力する。すなわち、光電変換素子72に設けられた全ての感光画素72Bは、いわゆる位相差画素である。
感光画素72Bは、非位相差画素データ73Aと、位相差画素データとを選択的に出力可能である。非位相差画素データ73Aは、感光画素72Bの全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、位相差画素データ73Bは、感光画素72Bの一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである。ここで、「感光画素72Bの全領域」とは、フォトダイオードPD1とフォトダイオードPD2とを合わせた受光領域である。また、「感光画素72Bの一部の領域」とは、フォトダイオードPD1の受光領域、又はフォトダイオードPD2の受光領域である。感光画素72Bは、本開示の技術に係る「位相差画素」の一例である。
なお、非位相差画素データ73Aは、位相差画素データ73Bに基づいて生成することも可能である。例えば、位相差画素データ73Bを、一対のフォトダイオードPD1及びPD2に対応する一対の画素信号ごとに加算することにより、非位相差画素データ73Aが生成される。また、位相差画素データ73Bには、一対のフォトダイオードPD1及びPD2のうちの一方から出力されたデータのみが含まれていてもよい。例えば、位相差画素データ73BにフォトダイオードPD1から出力されたデータのみが含まれている場合には、非位相差画素データ73Aから位相差画素データ73Bを画素ごとに減算することにより、フォトダイオードPD2から出力されるデータを作成することが可能である。
動画像データ80に含まれる画像データ81(すなわち、ライブビュー画像の表示に用いられる画像データ)は、非位相差画素データ73Aに基づいて生成される。動画像データ80に含まれる距離データ82(すなわち、撮像エリア内における複数の被写体の撮像装置10との間の距離に関する距離データ)は、位相差画素データ73Bに基づいて生成される。
一例として図4に示すように、撮像装置10は、位置センサ42を備える。位置センサ42は、光軸OA方向におけるフォーカスレンズ40Bの位置を検出する。像距離は、撮像レンズ40の主点から光電変換素子72の受光面72Aまでの深度方向に沿った距離である。像距離は、既定の計算式、又はデータマッチングテーブルを用いて位置センサ42の検出結果に基づいて導出される。深度方向は、光軸OAと平行な方向である。
物体距離は、撮像レンズ40の主点から合焦状態にある被写体までの深度方向に沿った距離である。合焦状態にある被写体は、合焦位置に位置する。合焦位置は、焦点が最も合っている位置である。物体距離をLとした場合、Lは、下式(1)で算出される。ただし、tは、像距離であり、上述の通り、位置センサ42の検出結果に基づいて導出される。また、fは、フォーカスレンズ40Bの焦点距離であり、既知の固定値である。
撮像装置10の被写界深度は、後方被写界深度及び前方被写界深度を有する。被写界深度をDとした場合、Dは、下式(2)で算出される。また、後方被写界深度をDrとした場合、Drは、下式(3)で算出される。また、前方被写界深度をDfとした場合、Dfは、下式(4)で算出される。ただし、Fは、絞り40D(図2参照)の絞り値、すなわちF値であり、δは、許容錯乱円径である。F値は、絞り40Dの絞り量を検出するセンサ(図示省略)の検出結果に基づいて導出される。許容錯乱円径は、既知の固定値である。許容錯乱円径は、受光面72Aに配列された感光画素72B(図3参照)の配列ピッチの2倍程度であり、1画素程度の大きさのボケを許容する。許容錯乱円径は、ユーザがUI系デバイス48(図2参照)を用いて設定変更することが可能とされていてもよい。
近点距離は、撮像レンズ40の主点から被写界深度の近点までの深度方向に沿った距離である。近点距離をLnとした場合、Lnは、下式(5)で算出される。遠点距離は、撮像レンズ40の主点から被写界深度の遠点までの深度方向に沿った距離である。遠点距離をLfとした場合、Lfは、下式(6)で算出される。
以上の式(1)~(6)は、以下に説明するフォーカス位置制御処理で利用される。
一例として図5に示すように、NVM64には、プログラム65が記憶されている。プログラム65は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。CPU62は、NVM64からプログラム65を読み出し、読み出したプログラム65をRAM66上で実行する。CPU62は、RAM66上で実行するプログラム65に従って、撮像データ73(図6参照)に基づいて動画像データ80を生成する動画像生成処理を行う。また、動画生成処理には、フォーカス位置制御処理が含まれている。すなわち、CPU62は、動画像生成処理において、以下に説明するフォーカス位置制御処理を行う。フォーカス位置制御処理は、CPU62がプログラム65に従って、物体設定部101、距離データ取得部102、AF続行判定部103、物体間距離判定部104、及びフォーカス位置制御部105として動作することで実現される。
一例として図6に示すように、物体設定部101は、動画像データ80に含まれる画像データ81に基づいて、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第1物体及び第2物体を設定する。第1物体及び第2物体としては、例えば、人、人の顔、人の体、動物、車、及び固定物等が挙げられる。第1物体及び第2物体は、互いに異なる種類の物体でもよい。また、第1物体及び第2物体のうちの少なくともいずれかは、複数の物体の集合体でもよい。また、第1物体及び第2物体のうちの少なくともいずれかは、複数種類の物体が混在した集合体でもよい。なお、本明細書中において、画像に含まれる物体とは、画像に像として含まれる物体を意味する。
物体設定部101は、撮像装置10の撮像開始タイミングで焦点が合っている物体を第1物体として設定してもよい。また、物体設定部101は、撮像装置10に事前に登録された情報に基づいて第1物体を設定してもよい。物体設定部101は、複数の物体のうち、第1物体に設定された物体以外の物体を第2物体に設定する。なお、物体設定部101による具体的な物体設定処理については、後述する第5実施形態で説明する。
図6に示す例では、一例として、複数の物体90A及び90Bが示されている。一例として、複数の物体90A及び90Bは、いずれも人である。以下、物体90Aが第1物体として設定され、物体90Bが第2物体として設定された例を説明する。以降、物体90Aを第1物体90Aと称し、物体90Bを第2物体90Bと称する。第1物体90Aは、本開示の技術に係る「第1物体」の一例であり、第2物体90Bは、本開示の技術に係る「第2物体」の一例である。
なお、図6に示す例では、一例として、被写界深度の近点側に位置する第1物体90Aが第1物体として設定され、被写界深度の遠点側に位置する第2物体90Bが第2物体として設定されるが、被写界深度の遠点側に位置する第2物体90Bが第1物体として設定され、被写界深度の近点側に位置する第1物体90Aが第2物体として設定されてもよい。
距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第1物体90Aに関する第1距離データ82A、及び第2物体90Bに関する第2距離データ82Bを取得する。
具体的には、距離データ取得部102は、距離データ82に含まれる位相差画素データ73B(図3参照)に基づいて、フォトダイオードPD1から出力された信号による第1物体90Aの像と、フォトダイオードPD2から出力された信号による第1物体90Aの像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)を導出することにより、第1物体90Aに関する第1距離データ82Aを取得する。第1距離データ82Aは、第1物体90Aの撮像装置10との間の距離(以降、第1物体距離と称する)に関するデータである。以下では、受光面72Aから第1物体距離離れた位置を第1物体位置と称する。第1物体位置は、深度方向における第1物体90Aの位置を表す。
同様に、距離データ取得部102は、距離データ82に含まれる位相差画素データ73B(図3参照)に基づいて、フォトダイオードPD1から出力された信号による第2物体90Bの像と、フォトダイオードPD2から出力された信号による第2物体90Bの像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)を導出することにより、第2物体90Bに関する第2距離データ82Bを取得する。第2距離データ82Bは、第2物体90Bの撮像装置10との間の距離(以降、第2物体距離と称する)に関するデータである。以下では、受光面72Aから第2物体距離離れた位置を第2物体位置と称する。第2物体位置は、深度方向における第2物体90Bの位置を表す。
AF続行判定部103は、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行するか否かを判定する。ここで、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFとは、イメージセンサ20から得られる信号に従って第1物体90Aと第2物体90Bとの間の位置(例えば、第1物体90Aと第2物体90Bとの中央の位置)に焦点を合わせることを意味する。
例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置が被写界深度から外れた状態が第1既定時間以上継続した場合には、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行しないと判定する。第1既定時間は、例えば、3秒である。第1既定時間は、固定値であってもよいし、ユーザ等から与えられた指示及び/又は各種条件(例えば、撮像条件)等に応じて変更される可変値であってもよい。また、例えば、AF続行判定部103は、被写界深度が既定範囲より狭くなった場合には、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行しないと判定する。既定範囲は、予め設定された範囲でもよく、種々の条件に応じて変化する範囲でもよい。また、例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置が撮像範囲から外れた場合には、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行しないと判定する。
物体間距離は、第1物体位置及び第2物体位置間の深度方向の距離である。例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置が被写界深度から外れた状態で、かつ、物体間距離が被写界深度の長さ未満である状態が、第2既定時間以上継続した場合には、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行すると判定する。被写界深度の長さは、被写界深度の深度方向の長さに相当する。以下、被写界深度の深度方向の長さを被写界深度の長さと称する。第2既定時間は、例えば、3秒である。第2既定時間は、固定値であってもよいし、ユーザ等から与えられた指示及び/又は各種条件(例えば、撮像条件)等に応じて変更される可変値であってもよい。また、例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている時間が第3既定時間以上である場合には、第1物体90A及び第2物体90Bに対するAFを続行すると判定する。第3既定時間は、例えば、3秒である。第3既定時間は、固定値であってもよいし、ユーザ等から与えられた指示及び/又は各種条件(例えば、撮像条件)等に応じて変更される可変値であってもよい。
なお、AF続行判定部103は、上記以外の条件に基づいて判定を行ってもよい。第1既定時間は、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例であり、第2既定時間は、本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例である。
AF続行判定部103は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び、式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置が被写界深度に収まっているか否か、及び、第2物体位置が被写界深度に収まっているか否かを判定する。
また、AF続行判定部103は、式(2)から算出される被写界深度に基づいて、被写界深度と既定範囲との広狭を判定する。また、AF続行判定部103は、第1距離データ82A及び第2距離データ82Bから得られる物体間距離、並びに式(2)から算出される被写界深度に基づいて、物体間距離と被写界深度の長さとの長短を判定する。
また、AF続行判定部103は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた画像データ81、及び第2物体90Bの特徴を表すとしてNVM64及び/又はRAM66(図2参照)に予め記憶された特徴画像データを取得する。そして、AF続行判定部103は、いわゆるテンプレートマッチング方式で第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。すなわち、AF続行判定部103は、特徴画像データが画像データ81に含まれるか否かに基づいて、第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。なお、ここでは、テンプレートマッチング方式で第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かが判定されているが、本開示の技術は、これに限定されず、AIによる被写体認識方式で第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定されるようにしてもよい。
物体間距離判定部104は、物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。より詳しく説明すると、物体間距離判定部104は、第1距離データ82A及び第2距離データ82Bから得られる物体間距離、並びに式(2)から算出される被写界深度に基づいて、物体間距離と被写界深度の長さとの長短を特定し、特定結果に基づいて物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。
一例として図7に示すように、フォーカス位置制御部105は、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。フォーカス位置を設定する制御を行うとは、CPU62が、制御装置36を介して第1アクチュエータ37を駆動させることでフォーカスレンズ40Bを移動させることにより、フォーカスレンズ40Bの位置を指定の位置に移動させることである。
図7に示す例では、第2物体位置が被写界深度の遠点側から外れているが、第2物体位置が被写界深度の近点側から外れ、かつ、AF続行判定部103で判定が否定された場合にも、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離、被写界深度の中央範囲に関する設定値に基づいて、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
被写界深度の中央範囲は、被写界深度の中央から被写界深度の前方及び後方に延びる範囲であり、被写界深度に対する割合で規定される。一例として、被写界深度の中央範囲は、被写界深度の20%の範囲に設定される。被写界深度の中央範囲は、20%に限定されず、任意に設定可能である。被写界深度の中央範囲は、第1物体90Aの種別等の因子に応じて増減されてもよい。また、被写界深度の中央範囲は、被写界深度の前方へ増減されてもよく、被写界深度の後方へ増減されてもよい。被写界深度の中央範囲は、本開示の技術に係る「被写界深度の第2中央範囲」及び「被写界深度の第3中央範囲」の一例である。
なお、フォーカス位置制御部105は、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
また、第2物体位置が被写界深度から外れた状態が第1既定時間以上継続したことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合と、被写界深度が既定範囲より狭くなったことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合と、第2物体位置が撮像範囲から外れたことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合とで、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央範囲の長さ及び/又は位置を変更してもよい。
また、フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aに基づいた深度方向の第1物体位置、及び第2距離データ82Bに基づいた深度方向の第2物体位置が被写界深度内に収まるか否かに応じてフォーカス位置を制御する。
一例として図6に示すように、フォーカス位置制御部105は、物体間距離が被写界深度の長さ未満であることにより、物体間距離判定部104で判定が肯定された場合には、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
また、一例として図8及び図9に示すように、フォーカス位置制御部105は、例えば第2物体位置が被写界深度から外れ、かつ、物体間距離が被写界深度の長さ以上になることにより、物体間距離判定部104で判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。フォーカス位置を移動させる制御を行うとは、CPU62が、制御装置36を介して第1アクチュエータ37を駆動させることでフォーカスレンズ40Bを移動させることにより、フォーカスレンズ40Bの位置を移動させることである。
具体的には、一例として図8に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置が被写界深度の遠点側から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を被写体方向に移動させる制御を行う。フォーカス位置を被写体方向に移動させる制御を行うと、被写界深度がフォーカス位置の移動方向と同じ方向である第2物体位置の方向に移動する。
また、一例として図9に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置が被写界深度の近点側から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を像方向に移動させる制御を行う。フォーカス位置を像方向に移動させる制御を行うと、被写界深度がフォーカス位置の移動方向と同じ方向である第2物体位置の方向に移動する。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
なお、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度よりも狭い既定範囲内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行ってもよい。既定範囲は、被写界深度の中心から被写界深度の前方及び後方に延びる範囲であり、被写界深度に対する割合で規定される。一例として、既定範囲は、被写界深度の80%の範囲に設定される。既定範囲は、80%に限定されず、任意に設定可能である。既定範囲は、第1物体90Aの種別、第1物体90Aの移動方向、又は第1物体90Aの移動速度等の因子に応じて増減されてもよい。また、既定範囲は、被写界深度の前方へ増減されてもよく、被写界深度の後方へ増減されてもよい。
この場合、フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、式(5)から算出される近点距離、式(6)から算出される遠点距離、及び被写界深度の既定範囲に関する設定値に基づいて、第1物体位置が既定範囲内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
図8及び図9に示す例において、第2物体位置が被写界深度から外れた方向、及びフォーカス位置が移動する方向は、本開示の技術に係る「第1方向」の一例である。
次に、第1実施形態に係る撮像装置10の作用について図10を参照しながら説明する。図10には、第1実施形態に係るフォーカス位置制御処理の流れの一例が示されている。図10に示すフォーカス位置制御処理は、例えば、AFモードにおいてレリーズボタン22により撮像指示が行われる前のライブビュー画像の表示中に実行される。
図10に示すフォーカス位置制御処理では、先ず、ステップS11で、物体設定部101は、動画像データ80に含まれる画像データ81に基づいて、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第1物体90Aを設定する。
ステップS12で、物体設定部101は、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第2物体90Bを設定する。
ステップS13で、距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第1物体90Aに関する第1距離データ82Aを取得する。
ステップS14で、距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第2物体90Bに関する第2距離データ82Bを取得する。
ステップS15で、AF続行判定部103は、第1物体90A及び第2物体90Bに対してAFを続行するか否かを判定する。ステップS15において、AF続行判定部103が、第1物体90A及び第2物体90Bに対してAFを続行しない場合は、判定が否定されて、図10に示す処理は、ステップS16に移行する。ステップS15において、AF続行判定部103が、第1物体90A及び第2物体90Bに対してAFを続行する場合は、判定が肯定されて、図10に示す処理は、ステップS17に移行する。
ステップS16で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。この場合、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
ステップS17で、物体間距離判定部104は、物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。ステップS17において、物体間距離が被写界深度の長さ未満の場合は、判定が肯定されて、図10に示す処理は、ステップS18に移行する。ステップS17において、物体間距離が被写界深度の長さ未満でない場合は、判定が否定されて、図10に示す処理は、ステップS19に移行する。
ステップS18で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
ステップS19で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
図10に示す処理は、ステップS16の処理が実行された後、終了する。なお、上述の撮像装置10の作用として説明した撮像方法は、本開示の技術に係る「撮像方法」の一例である。
以上説明したように、第1実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた動画像データ80により示される動画像に含まれる第1物体90Aの撮像装置10との間の距離に関する第1距離データ82A、及び動画像に含まれる第2物体90Bの撮像装置10との間の距離に関する第2距離データ82Bを取得する。そして、CPU62は、第1距離データ82Aに基づいた深度方向の第1物体位置、及び第2距離データ82Bに基づいた深度方向の第2物体位置が被写界深度内に収まるか否かに応じてフォーカス位置を制御する。したがって、例えば、第1物体90A及び第2物体90Bを撮像する場合に、第2物体90Bが深度方向に移動した場合においてもフォーカス状態の急な変化を抑制することができる。
また、CPU62は、第2物体位置が被写界深度から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。したがって、例えば、第1物体90A及び第2物体90Bを撮像する場合に、第2物体90Bが深度方向に移動した場合においてもフォーカス状態の急な変化を抑制することができる。
また、CPU62は、第2物体位置が被写界深度から外れた状態が第1既定時間以上継続した場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体90Aに焦点を合わせることができる。
また、CPU62は、被写界深度が既定範囲より狭くなった場合にも、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体90Aに焦点を合わせることができる。
また、CPU62は、第2物体位置が被写界深度から外れた状態で、かつ、物体間距離が被写界深度の長さ未満である状態が、第2既定時間以上継続した場合には、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体90A及び第2物体90Bに焦点を合わせることができる。
また、CPU62は、イメージセンサ20から出力される撮像データ73に基づいて第1距離データ82A及び第2距離データ82Bを取得する。したがって、イメージセンサ20以外の距離センサを不要にできる。
また、イメージセンサ20は、複数の感光画素72Bを有し、CPU62は、撮像データ73のうち、感光画素72Bから出力された位相差画素データ73Bに基づいて第1距離データ82A及び第2距離データ82Bを取得する。したがって、撮像データ73から第1距離データ82A及び第2距離データ82Bを取得することができる。
また、感光画素72Bは、非位相差画素データ73Aと、位相差画素データ73Bとを選択的に出力する画素である。また、非位相差画素データ73Aは、感光画素72Bの全領域によって光電変換が行われることで得られる画素データであり、位相差画素データ73Bは、感光画素72Bの一部の領域によって光電変換が行われることで得られる画素データである。したがって、撮像データ73から、画像データ81及び距離データ82を取得することができる。
なお、第1実施形態では、フォーカス位置制御部105は、例えば第2物体位置が被写界深度から外れ、かつ、物体間距離が被写界深度の長さ以上になることにより、物体間距離判定部104で判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。しかしながら、フォーカス位置制御部105は、例えば物体間距離が被写界深度の長さ未満であっても、第2物体位置が被写界深度から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行ってもよい。また、この場合に、第2物体位置は、被写界深度内に収まっても収まらなくてもどちらでもよい。
また、第1実施形態では、CPU62は、光電変換素子72に含まれる感光画素72Bの各々に対応する位置について距離を取得するが、必ずしもすべての感光画素72Bに対応する位置から距離を取得する必要はない。すなわち、距離を取得する感光画素72Bを間引いてもよい。
また、第1実施形態では、光電変換素子72は、一画素に一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子であり、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えているが、全ての感光画素72Bが撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を兼ね備えていることには限定されない。光電変換素子72には、撮像及び位相差に関するデータを出力する機能を有しない感光画素72Bが含まれていてもよい。また、光電変換素子72は、一画素に一対のフォトダイオードPD1及びPD2が設けられた像面位相差方式の光電変換素子に限られず、非位相差画素データ73Aを取得するための撮像用の感光画素72Bと、位相差画素データ73Bを取得するための位相差検出用の感光画素72Bとを含むものであってもよい。この場合、位相差画素は、第1の瞳部分領域と第2の瞳部分領域とのうち一方を受光するように遮光部材が設けられる。
また、第1実施形態では、位相差方式の光電変換素子72により距離データ82を取得しているが、位相差方式に限定されず、TOF方式の光電変換素子を用いて距離データ82を取得してもよいし、ステレオカメラ又は深度センサを用いて距離データ82を取得してもよい。なお、距離データ82は、イメージセンサ20のフレームレートに合わせて取得されるようにしてもよいし、イメージセンサ20のフレームレートで規定される時間間隔よりも長い時間間隔又は短い時間間隔で取得されるようにしてもよい。
[第2実施形態]
一例として図11及び図12に示すように、第2実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。すなわち、CPU62は、物体設定部101、距離データ取得部102、AF続行判定部103、物体間距離判定部104、及びフォーカス位置制御部105に加えて、物体移動判定部106として動作する。
一例として図11に示すように、物体移動判定部106は、フォーカス位置制御部105によって第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御が行われた場合には、第1物体位置と被写界深度の近点との間の距離が第1既定距離以下になったか否かを判定する。
より詳しく説明すると、物体移動判定部106は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び第1既定距離に基づいて、第1物体位置と被写界深度の近点との間の距離と、第1既定距離との長短を特定し、特定結果に基づいて第1物体位置と被写界深度の近点との間の距離が第1既定距離以下になったか否かを判定する。
また、一例として図12に示すように、物体移動判定部106は、フォーカス位置制御部105によって第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御が行われた場合には、第1物体位置と被写界深度の遠点との間の距離が第2既定距離以下になったか否かを判定する。
より詳しく説明すると、物体移動判定部106は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、式(6)から算出される遠点距離、及び第2既定距離に基づいて、第1物体位置と被写界深度の遠点との間の距離と、第2既定距離との長短を特定し、特定結果に基づいて第1物体位置と被写界深度の遠点との間の距離が第2既定距離以下になったか否かを判定する。
以下では、特に区別して説明する必要が無い場合、被写界深度の近点及び被写界深度の遠点を被写界深度の既定端と称し、第1既定距離及び第2既定距離を既定距離と称する。被写界深度の既定端は、本開示の技術に係る「被写界深度の既定端」の一例であり、既定距離は、本開示の技術に係る「既定距離」の一例である。
一例として図11及び図12に示すように、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置と被写界深度の既定端との間の距離が既定距離以下になったことにより、物体移動判定部106で判定が肯定された場合には、第1物体位置が移動することに応じて、フォーカス位置を移動させる制御を行う。
具体的には、一例として図11に示すように、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置と被写界深度の近点との間の距離が第1既定距離以下になったことにより、物体移動判定部106で判定が肯定された場合には、第1物体位置が近点側に移動することに応じて、フォーカス位置を像方向に移動させる制御を行う。
また、一例として図12に示すように、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置と被写界深度の遠点との間の距離が第2既定距離以下になったことにより、物体移動判定部106で判定が肯定された場合には、第1物体位置が遠点側に移動することに応じて、フォーカス位置を被写体方向に移動させる制御を行う。この場合に、フォーカス位置制御部105は、深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行ってもよい。
深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行うとは、CPU62が、制御装置36を介して第1アクチュエータ37を駆動させることでフォーカスレンズ40Bを移動させることにより、第1物体90Aの移動する方向へフォーカスレンズ40Bの位置を移動させることである。深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行うと、第1物体位置に連動して被写界深度が移動する。
フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が近点側に移動する場合、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、及び式(5)から算出される近点距離に基づいて、第1物体距離が近点距離を上回る状態を維持しつつ、近点側に移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行う。
また、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が遠点側に移動する場合、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体距離が遠点距離を下回る状態を維持しつつ、遠点側に移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が移動することに応じて、フォーカス位置を移動させる制御を行う場合、第1物体位置が移動する方向に被写界深度が既定距離移動する位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
また、フォーカス位置制御部105は、深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行う場合、第1物体位置の移動速度に合わせて被写界深度を移動させてもよく、第1物体位置の移動速度と異なる速度で被写界深度を移動させてもよい。
次に、第2実施形態に係る撮像装置10の作用について図13を参照しながら説明する。図13には、第2実施形態に係るフォーカス位置制御処理の流れの一例が示されている。図13に示すフォーカス位置制御処理において、ステップS11~ステップS19は、第1実施形態に係るフォーカス位置制御処理と同様である。
図13に示す処理は、ステップS18の後に、ステップS20に移行する。
ステップS20で、物体移動判定部106は、第1物体位置と被写界深度の既定端との間の距離が既定距離以下になったか否かを判定する。ステップS20において、第1物体位置と被写界深度の既定端との間の距離が既定距離を上回った場合は、判定が否定されて、図13に示す処理は、ステップS15に移行する。ステップS20において、第1物体位置と被写界深度の既定端との間の距離が既定距離以下になった場合は、判定が肯定されて、図13に示す処理は、ステップS21に移行する。
ステップS21で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が移動することに応じて、フォーカス位置を移動させる制御を行う。この場合、フォーカス位置制御部105は、一例として、深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行ってもよい。ステップS21の処理が実行された後、図13に示す処理は、ステップS15に移行する。
以上説明したように、第2実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている場合には、深度方向へ第1物体位置が移動することに応じて、フォーカス位置を移動させる制御を行う。したがって、第1物体位置が移動することに応じて、被写界深度を移動させることができる。
また、CPU62は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている場合には、深度方向へ移動する第1物体位置にフォーカス位置を連動させる制御を行ってもよい。この場合には、第1物体位置に被写界深度を連動させることができる。
また、CPU62は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている場合には、第1物体位置と被写界深度の既定端との間の距離が既定距離以下となったことを条件に、フォーカス位置を連動させる制御を行う。したがって、第1物体位置が被写界深度の既定端からはみ出す前に、フォーカス位置を連動させる制御を開始することができる。
[第3実施形態]
一例として図14に示すように、第3実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。
すなわち、第3実施形態では、フォーカス位置制御部105は、物体間距離が被写界深度の長さ未満であることにより、物体間距離判定部104で判定が肯定された場合には、第1物体位置と第2物体位置との間の位置(以降、物体間位置と称する)が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
物体間位置は、第1物体位置及び第2物体位置間の中央から外れた位置でもよく、第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置でもよい。図14に示す例では、一例として、物体間位置が第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置に設定されている。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、物体間位置に関する設定値、式(5)から算出される近点距離、式(6)から算出される遠点距離、及び被写界深度の中央範囲に関する設定値に基づいて、物体間位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
被写界深度の中央範囲は、被写界深度の中央から被写界深度の前方及び後方に延びる範囲であり、被写界深度に対する割合で規定される。一例として、被写界深度の中央範囲は、被写界深度の20%の範囲に設定される。被写界深度の中央範囲は、20%に限定されず、任意に設定可能である。被写界深度の中央範囲は、第1物体90Aの種別等の因子に応じて増減されてもよい。また、被写界深度の中央範囲は、被写界深度の前方へ増減されてもよく、被写界深度の後方へ増減されてもよい。被写界深度の中央範囲は、本開示の技術に係る「被写界深度の第1中央範囲」の一例である。
フォーカス位置制御部105は、物体間距離判定部104で判定が肯定された場合には、被写界深度の中央が物体間位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
図14に示す例では、第1物体位置が近点側に位置し、第2物体位置が被写界深度の遠点側に位置しているが、第1物体位置が遠点側に位置し、第2物体位置が被写界深度の近点側に位置している場合にも、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
以上説明したように、第3実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている場合には、物体間位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体位置及び第2物体位置が移動しても、第1物体位置及び第2物体位置を被写界深度に収め続けることができる。
また、物体間位置は、第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置でもよい。この場合には、例えば、物体間位置が、第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置からずれている場合に比して、第1物体位置及び第2物体位置をバランスよく被写界深度に収めることができる。
[第4実施形態]
一例として図15に示すように、第4実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。
すなわち、第4実施形態では、フォーカス位置制御部105は、物体間距離が被写界深度未満であることにより、物体間距離判定部104で判定が肯定された場合には、合焦位置が物体間位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、物体間位置に関する設定値、及び式(1)から算出される物体距離に基づいて、合焦位置が物体間位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
図15に示す例では、第1物体位置が近点側に位置し、第2物体位置が被写界深度の遠点側に位置しているが、第1物体位置が遠点側に位置し、第2物体位置が被写界深度の近点側に位置している場合にも、フォーカス位置制御部105は、合焦位置が物体間位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
以上説明したように、第4実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、第1物体位置及び第2物体位置が被写界深度に収まっている場合には、合焦位置が物体間位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体位置及び第2物体位置が移動しても、第1物体位置及び第2物体位置を被写界深度に収め続けることができる。
また、物体間位置は、第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置でもよい。この場合には、例えば、物体間位置が、第1物体位置及び第2物体位置間の中央の位置からずれている場合に比して、第1物体位置及び第2物体位置をバランスよく被写界深度に収めることができる。
また、一般的に、合焦位置は、被写界深度の中央よりも近点側に位置する。したがって、合焦位置が物体間位置に設定されることにより、例えば被写界深度の中央が物体間位置に設定される場合(図14参照)に比して、第1物体90A及び第2物体90Bのうち遠点側に位置する第2物体90Bに焦点を合わせることができる。
[第5実施形態]
一例として図16に示すように、第5実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。
すなわち、ディスプレイ28には、撮像装置10の物体検出機能によって検出された複数の物体110A及び110Bの各々が枠111A及び111Bでそれぞれ囲われた状態で表示される。図16に示す例では、一例として、物体110Aは、人の顔であり、動きを伴う可動物体である。また、一例として、物体110Bは、建物の一部であり、固定された固定物体である。
第5実施形態に係る物体設定部101は、複数の物体110A及び110Bのうち既定条件を満たした物体を第1物体に設定する。既定条件としては、例えば、外部から指示されたという条件、又は、検出処理が行われることによって既定物体として検出されたという条件が挙げられる。
物体設定部101は、外部からの指示の一例として、受付デバイス76によって受け付けられたユーザからの物体110A又は110Bを選択する指示を受けた場合には、ユーザからの指示に従って、ディスプレイ28に表示された複数の物体110A及び110Bから第1物体を設定してもよい。
また、物体設定部101は、外部からの指示の一例として、ユーザが枠111A又は111B内の画像をタッチパネル30で指定したことによる指示を受けた場合には、ユーザからの指示に従って、ディスプレイ28に表示された複数の物体110A及び110Bから第1物体を設定してもよい。
また、物体設定部101は、外部からの指示の一例として、外部I/F50で受信された外部装置からの指示を受けた場合には、外部装置からの指示に従って、複数の物体110A及び110Bから第1物体を設定してもよい。
また、物体設定部101は、検出処理が行われることによって既定物体として検出されたことの一例として、例えば、人工知能を用いた物体検出処理が行われることによって可動物体が検出された場合には、可動物体を第1物体に設定してもよい。
図16に示す例では、物体設定部101は、物体110Aを第1物体として設定し、物体設定部101は、物体110Bを第2物体として設定する。
以上説明したように、第5実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、動画像データ80から特定される複数の物体のうち既定条件を満たした物体を第1物体に設定する。したがって、例えば、既定条件を満たしたか否かに関係なく第1物体が設定される場合にして、ユーザの優先する物体を第1物体に設定できる確率を高めることができる。
また、既定条件は、外部から指示されたという条件でもよい。この場合には、外部から指示された物体を第1物体に設定することができる。
また、既定条件は、検出処理が行われることによって既定物体として検出されたという条件でもよい。この場合には、例えば、検出処理が行われずに第1物体が設定される場合にして、ユーザの優先する物体を第1物体に設定できる確率を高めることができる。
[第6実施形態]
一例として図17に示されるように、第6実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。
すなわち、CPU62は、物体設定部101、距離データ取得部102、AF続行判定部103、物体間距離判定部104、物体位置判定部107、及びフォーカス位置制御部105として動作する。
物体設定部101は、動画像データ80に含まれる画像データ81に基づいて、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第1物体、第2物体、及び第3物体を設定する。第1物体、第2物体、及び第3物体としては、例えば、人、人の顔、人の体、動物、車、及び固定物等が挙げられる。第1物体、第2物体、及び第3物体は、互いに異なる種類の物体でもよい。また、第1物体、第2物体、及び第3物体の少なくともいずれかは、複数の物体の集合体でもよい。また、第1物体、第2物体、及び第3物体の少なくともいずれかは、複数種類の物体が混在した集合体でもよい。
図17に示す例では、一例として、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cが物体設定部によって設定された場合を説明する。第1物体90Aは、本開示の技術に係る「第1物体」の一例であり、第2物体90Bは、本開示の技術に係る「第2物体」の一例であり、第3物体90Cは、本開示の技術に係る「第3物体」の一例である。
距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第1物体90Aに関する第1距離データ82A、第2物体90Bに関する第2距離データ82B、及び第3物体90Cに関する第3距離データ82Cを取得する。
具体的には、距離データ取得部102は、距離データ82に含まれる位相差画素データ73B(図3参照)に基づいて、フォトダイオードPD1から出力された信号による第1物体90Aの像と、フォトダイオードPD2から出力された信号による第1物体90Aの像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)を導出することにより、第1物体90Aに関する第1距離データ82Aを取得する。第1距離データ82Aが第1物体距離に関するデータである点、及び、第1物体位置が深度方向における第1物体90Aの位置を表す点は、第1実施形態と同様である。
同様に、距離データ取得部102は、距離データ82に含まれる位相差画素データ73B(図3参照)に基づいて、フォトダイオードPD1から出力された信号による第2物体90Bの像と、フォトダイオードPD2から出力された信号による第2物体90Bの像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)を導出することにより、第2物体90Bに関する第2距離データ82Bを取得する。第2距離データ82Bが第2物体距離に関するデータである点、及び、第2物体位置が深度方向における第2物体90Bの位置を表す点は、第1実施形態と同様である。
また、距離データ取得部102は、距離データ82に含まれる位相差画素データ73B(図3参照)に基づいて、フォトダイオードPD1から出力された信号による第3物体90Cの像と、フォトダイオードPD2から出力された信号による第3物体90Cの像との位相差(すなわち、ずれ量及びずれ方向)を導出することにより、第3物体90Cに関する第3距離データ82Cを取得する。第3距離データ82Cは、第3物体90Cの撮像装置10との間の距離(以降、第3物体距離と称する)に関するデータである。以下では、受光面72Aから第3物体距離離れた位置を第3物体位置と称する。第3物体位置は、深度方向における第3物体90Cの位置を表す。
AF続行判定部103は、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行するか否かを判定する。ここで、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFとは、イメージセンサ20から得られる信号に従って、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cによって規定される深度方向の範囲の中央部(例えば、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cによって規定される深度方向の範囲の中央の位置)に焦点を合わせることを意味する。
例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置及び/又は第3物体位置が被写界深度から外れた状態が第1既定時間以上継続した場合には、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行しないと判定する。また、例えば、AF続行判定部103は、被写界深度が既定範囲より狭くなった場合には、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行しないと判定する。既定範囲は、予め設定された範囲でもよく、種々の条件に応じて変化する範囲でもよい。また、例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置及び/又は第3物体位置が撮像範囲から外れた場合には、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行しないと判定する。
両端物体間距離は、第1物体位置、第2物体位置、及び第3物体位置のうち両端の位置の間の深度方向の距離である。例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっているが、第2物体位置及び/又は第3物体位置が被写界深度から外れた状態で、かつ、両端物体間距離が被写界深度の長さ未満である状態が、第2既定時間以上継続した場合には、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを継続すると判定する。また、例えば、AF続行判定部103は、第1物体位置、第2物体位置、及び第3物体位置が被写界深度に収まっている時間が第3既定時間以上である場合には、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを継続すると判定する。
なお、AF続行判定部103は、上記以外の条件に基づいて判定を行ってもよい。
第1既定時間は、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例であり、第2既定時間は、本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例である。
AF続行判定部103は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、第3距離データ82Cから得られる第3物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び、式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置が被写界深度に収まっているか否か、第2物体位置が被写界深度に収まっているか否か、及び第3物体位置が被写界深度に収まっているか否かを判定する。
また、AF続行判定部103は、式(2)から算出される被写界深度に基づいて、被写界深度と既定範囲との広狭を判定する。また、AF続行判定部103は、第1距離データ82A、第2距離データ82B、及び第3距離データ82Cから得られる両端物体間距離、並びに式(2)から算出される被写界深度に基づいて、両端物体間距離と被写界深度の長さとの長短を判定する。
また、AF続行判定部103は、イメージセンサ20により撮像されることで得られた画像データ81、第2物体90Bの特徴を表すとしてNVM64及び/又はRAM66(図2参照)に予め記憶された第1特徴画像データ、第3物体90Cの特徴を表すとしてNVM64及び/又はRAM66(図2参照)に予め記憶された第2特徴画像データを取得する。そして、AF続行判定部103は、いわゆるテンプレートマッチング方式で第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。すなわち、AF続行判定部103は、第1特徴画像データが画像データ81に含まれるか否かに基づいて、第2物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。また、同様に、AF続行判定部103は、いわゆるテンプレートマッチング方式で第3物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。すなわち、AF続行判定部103は、第2特徴画像データが画像データ81に含まれるか否かに基づいて、第3物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定する。なお、ここでは、テンプレートマッチング方式で第2物体位置及び第3物体位置が撮像範囲から外れたか否かが判定されているが、本開示の技術は、これに限定されず、AIによる被写体認識方式で第2物体位置及び/又は第3物体位置が撮像範囲から外れたか否かを判定されるようにしてもよい。
物体間距離判定部104は、両端物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。より詳しく説明すると、物体間距離判定部104は、第1距離データ82A、第2距離データ82B、及び第3距離データ82Cから得られる両端物体間距離、並びに式(2)から算出される被写界深度に基づいて、両端物体間距離と被写界深度の長さとの長短を特定し、特定結果に基づいて両端物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。
物体位置判定部107は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れているか否かを判定する。より詳しく説明すると、物体位置判定部107は、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、第3距離データ82Cから得られる第3物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第2物体位置、第3物体位置、近点、及び遠点の位置関係を特定し、特定結果に基づいて第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れているか否かを判定する。
一例として図18に示すように、フォーカス位置制御部105は、AF続行判定部103によって判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
図18に示す例では、第2物体位置が被写界深度の近点側から外れ、第3物体位置が被写界深度の遠点側から外れているが、第2物体位置が被写界深度の遠点側から外れ、第3物体位置が被写界深度の近点側から外れた場合にも、フォーカス位置制御部105は、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、式(5)から算出される近点距離、式(6)から算出される遠点距離、被写界深度の中央範囲に関する設定値に基づいて、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。被写界深度の中央範囲は、第1実施形態と同様である。
なお、フォーカス位置制御部105は、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
また、第2物体位置及び/又は第3物体位置が被写界深度から外れた状態が第1既定時間以上継続したことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合と、被写界深度が既定範囲より狭くなったことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合と、第2物体位置及び/又は第3物体位置が撮像範囲から外れたことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合とで、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央範囲の長さ及び/又は位置を変更してもよい。
また、フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aに基づいた深度方向の第1物体位置、第2距離データ82Bに基づいた深度方向の第2物体位置、及び第3距離データ82Cに基づいた深度方向の第3物体位置が被写界深度内に収まるか否かに応じてフォーカス位置を制御する。
一例として図17に示すように、フォーカス位置制御部105は、両端物体間距離が被写界深度の長さ未満であることにより、物体間距離判定部104で判定が肯定された場合には、第1物体位置、第2物体位置、及び第3物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、第3距離データ82Cから得られる第3物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置、第2物体位置、及び第3物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
また、一例として図19及び図20に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れたことにより、物体位置判定部107で判定が肯定された場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
具体的には、一例として図19に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度の遠点側から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を被写体方向に移動させる制御を行う。フォーカス位置を被写体方向に移動させる制御を行うと、被写界深度がフォーカス位置の移動方向と同じ方向である第2物体位置及び第3物体位置の方向に移動する。
また、一例として図20に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度の近点側から外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を像方向に移動させる制御を行う。フォーカス位置を像方向に移動させる制御を行うと、被写界深度がフォーカス位置の移動方向と同じ方向である第2物体位置及び第3物体位置の方向に移動する。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、第3距離データ82Cから得られる第3物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
なお、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度よりも狭い既定範囲内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行ってもよい。既定範囲は、第1実施形態と同様である。
この場合、フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、第3距離データ82Cから得られる第3物体距離、式(5)から算出される近点距離、式(6)から算出される遠点距離、及び被写界深度の既定範囲に関する設定値に基づいて、第1物体位置が既定範囲内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
図19及び図20に示す例において、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向、及びフォーカス位置が移動する方向は、本開示の技術に係る「第2方向」の一例である。
また、一例として図18に示すように、フォーカス位置制御部105は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から互いに異なる方向に外れたことにより、物体位置判定部107で判定が否定された場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
図18に示す例では、第2物体位置が被写界深度の近点側から外れ、第3物体位置が被写界深度の遠点側から外れているが、第2物体位置が被写界深度の遠点側から外れ、第3物体位置が被写界深度の近点側から外れた場合にも、フォーカス位置制御部105は、上記と同様に第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
図18に示す例において、第2物体位置が被写界深度から外れた方向は、本開示の技術に係る「第3方向」の一例であり、第3物体位置が被写界深度から外れた方向は、本開示の技術に係る「第4方向」の一例である。
フォーカス位置制御部105は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、式(5)から算出される近点距離、式(6)から算出される遠点距離、被写界深度の中央範囲に関する設定値に基づいて、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。被写界深度の中央範囲は、第1実施形態と同様である。中央範囲は、本開示の技術に係る「第4中央範囲」の一例である。
なお、フォーカス位置制御部105は、物体位置判定部107で判定が否定された場合には、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
また、AF続行判定部103で判定が否定された場合と、物体位置判定部107で判定が否定された場合とで、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央範囲の長さ及び/又は位置を変更してもよい。
次に、第6実施形態に係る撮像装置10の作用について図21を参照しながら説明する。図21には、第6実施形態に係るフォーカス位置制御処理の流れの一例が示されている。図21に示すフォーカス位置制御処理は、例えば、AFモードにおいてレリーズボタン22により撮像指示が行われる前のライブビュー画像の表示中に実行される。
図21に示すフォーカス位置制御処理では、先ず、ステップS31で、物体設定部101は、動画像データ80に含まれる画像データ81に基づいて、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第1物体90Aを設定する。
ステップS32で、物体設定部101は、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第2物体90Bを設定する。
ステップS33で、物体設定部101は、画像データ81により示される動画像に含まれる複数の物体から、焦点を合わせる第3物体90Cを設定する。
ステップS34で、距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第1物体90Aに関する第1距離データ82Aを取得する。
ステップS35で、距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第2物体90Bに関する第2距離データ82Bを取得する。
ステップS36で、距離データ取得部102は、動画像データ80に含まれる距離データ82から、第3物体90Cに関する第3距離データ82Cを取得する。
ステップS37で、AF続行判定部103は、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行するか否かを判定する。ステップS37において、AF続行判定部103が、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行しない場合は、判定が否定されて、図21に示す処理は、ステップS38に移行する。ステップS37において、AF続行判定部103が、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cに対するAFを続行する場合は、判定が肯定されて、図21に示す処理は、ステップS39に移行する。
ステップS38で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。この場合、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
ステップS39で、物体間距離判定部104は、両端物体間距離が被写界深度の長さ未満であるか否かを判定する。ステップS39において、両端物体間距離が被写界深度の長さ未満である場合は、判定が肯定されて、図21に示す処理は、ステップS40に移行する。ステップS39において、両端物体間距離が被写界深度の長さ以上である場合は、判定が否定されて、図21に示す処理は、ステップS41に移行する。
ステップS40で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置、第2物体位置、及び第3物体位置が被写界深度内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。
ステップS41で、物体位置判定部107は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れているか否かを判定する。ステップS41において、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れている場合は、判定が肯定されて、図21に示す処理は、ステップS42に移行する。ステップS41において、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れていない場合は、判定が否定されて、図21に示す処理は、ステップS43に移行する。
ステップS42で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。
ステップS43で、フォーカス位置制御部105は、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。この場合、フォーカス位置制御部105は、被写界深度の中央が第1物体位置に設定される位置にフォーカス位置を設定する制御を行ってもよい。
図21に示す処理は、ステップS38の処理が実行された後、終了する。なお、上述の撮像装置10の作用として説明した撮像方法は、本開示の技術に係る「撮像方法」の一例である。
以上説明したように、第6実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から同じ方向に外れた場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲でフォーカス位置を第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から外れた方向と同じ方向に移動させる制御を行う。したがって、例えば、第1物体90A、第2物体90B、及び第3物体90Cを撮像する場合に、第2物体90B及び/又は第3物体90Cが深度方向に移動した場合においてもフォーカス状態の急な変化を抑制することができる。
また、CPU62は、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から互いに異なる方向に外れている場合には、第1物体位置が被写界深度の中央範囲内に収まる位置にフォーカス位置を設定する制御を行う。したがって、第1物体90Aに焦点を合わせることができる。
なお、第2物体90B及び第3物体90Cがそれぞれ複数の物体の集合体であり、第2物体位置及び第3物体位置が被写界深度から互いに異なる方向に外れている場合には、第1物体位置が被写界深度内に収まる範囲で、第2物体90B及び第3物体90Cのうち個体数の多い物体の方向にフォーカス位置を移動させてもよい。
また、第1物体90Aに対して第2物体90B及び第3物体90Cが近点側に位置する場合と、第1物体90Aに対して第2物体90B及び第3物体90Cが遠点側に位置する場合とで、フォーカス位置を変えてもよい。
[第7実施形態]
一例として図22及び図23に示すように、第7実施形態では、第1実施形態に対して、撮像装置10の構成が次のように変更されている。
すなわち、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっている場合に、第2物体位置が被写界深度から外れたか否かを判定する。また、CPU62は、物体設定部101、距離データ取得部102、AF続行判定部103、物体間距離判定部104、及びフォーカス位置制御部105に加えて、絞り量制御部108として動作する。
絞り量制御部108は、例えば第2物体位置が被写界深度から外れたことにより、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御を行う。
絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御を行うとは、CPU62が、制御装置36を介して第3アクチュエータ39を駆動させることで絞り40Dの開口40D1の大きさを変化させることにより、被写界深度を拡げることである。この場合、絞り量制御部108は、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御の一例として、絞り量を被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置が収まる量に変更する制御を行ってもよい。これにより、一例として図23に示すように、被写界深度が拡がり、被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置が収まる。
図22に示す例では、第2物体位置が被写界深度の遠点側から外れているが、第2物体位置が被写界深度の近点側から外れた場合にも、絞り量制御部108は、AF続行判定部103で判定が否定された場合には、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御を行う。
絞り量制御部108は、第1距離データ82Aから得られる第1物体距離、第2距離データ82Bから得られる第2物体距離、式(5)から算出される近点距離、及び式(6)から算出される遠点距離に基づいて、絞り量を被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置が収まる量に変更する制御を行う。
次に、第7実施形態に係る撮像装置10の作用について図24を参照しながら説明する。図24には、第7実施形態に係るフォーカス位置制御処理の流れの一例が示されている。図24に示すフォーカス位置制御処理では、ステップS15及びステップS16の処理内容が、第1実施形態に係るフォーカス位置制御処理と異なっている。
ステップS15で、AF続行判定部103は、第1物体位置が被写界深度に収まっている場合に、第2物体位置が被写界深度から外れたか否かを判定する。ステップS15において、第2物体位置が被写界深度から外れた場合は、判定が肯定されて、図24に示す処理は、ステップS17に移行する。ステップS15において、第2物体位置が被写界深度から外れていない場合は、判定が否定されて、図24に示す処理は、ステップS16に移行する。
ステップS16で、絞り量制御部108は、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御を行う。この場合、絞り量制御部108は、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御の一例として、絞り量を被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置が収まる量に変更する制御を行ってもよい。ステップS16の処理が実行された後、図24に示す処理が終了する。
以上説明したように、第2実施形態に係る撮像装置10では、CPU62は、第2物体位置が被写界深度から外れた場合には、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御を行う。したがって、例えば、第1物体90A及び第2物体90Bを撮像する場合に、第2物体90Bが深度方向に移動した場合においてもフォーカス状態の急な変化を抑制することができる。
また、絞り量を変更することにより被写界深度を拡げる制御は、絞り量を被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置が収まる量に変更する制御でもよい。この場合には、被写界深度に第1物体位置及び第2物体位置を収めることができる。
なお、物体間距離が被写界深度の長さ以上になった場合、露出に応じて、イメージセンサ20のゲイン及び/又は光電変換効率が上限以下となる範囲で絞り量を変更して被写界深度を拡げてもよい。
また、高いフレームレートで撮像を行うことで得られた撮像データ73に基づいて動画像データ80を生成する場合には、既定の光量が確保される範囲で絞り量を変更して被写界深度を拡げてもよい。
以上、第1実施形態乃至第7実施形態について説明したが、上記実施形態及び変形例は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、上記実施形態及び変形例が組み合わされた場合に、重複する複数のステップがある場合、各種条件等に応じて複数のステップに優先順位が付与されてもよい。
また、上記実施形態では、CPU62を例示したが、CPU62に代えて、又は、CPU62と共に、他の少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、及び/又は、少なくとも1つのTPUを用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、NVM64にプログラム65が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、プログラム65がSSD又はUSBメモリなどの可搬型の非一時的記憶媒体に記憶されていてもよい。非一時的記憶媒体に記憶されているプログラム65は、撮像装置10のコントローラ12にインストールされる。CPU62は、プログラム65に従ってフォーカス位置制御処理を実行する。
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置にプログラム65を記憶させておき、撮像装置10の要求に応じてプログラム65がダウンロードされ、コントローラ12にインストールされるようにしてもよい。
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶装置、又はNVM64にプログラム65の全てを記憶させておく必要はなく、プログラム65の一部を記憶させておいてもよい。
また、図1及び図2に示す撮像装置10にはコントローラ12が内蔵されているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、コントローラ12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、CPU62、NVM64、及びRAM66を含むコントローラ12が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コントローラ12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コントローラ12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
また、上記実施形態で説明したフォーカス位置制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、フォーカス位置制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することでフォーカス位置制御処理を実行する。
フォーカス位置制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、フォーカス位置制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、フォーカス位置制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、フォーカス位置制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、フォーカス位置制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記のフォーカス位置制御処理はあくまでも一例である。したがって、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。