JP7420959B2 - 発熱部材 - Google Patents

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Description

本発明は、立体形状を有する発熱部材に関する。
基板上に導電性細線で構成された導電膜が形成された導電性積層体は、種々の用途に使用されている。導電性積層体は、例えば、タブレット型コンピュータ及びスマートフォン等の携帯情報機器を始めとした各種の電子機器において、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせて用いられ、指、スタイラスペン等を画面に接触又は近接させることにより電子機器への入力操作を行うタッチパネルに利用されている。
例えば、特許文献1には、曲面を含む立体形状を有し、その曲面上に金属層が配置されている導電性積層体が記載されている。
特許文献1には、導電性積層体の金属層を電極又は配線として機能させたタッチセンサーが記載されている。また、特許文献1には、導電性積層体の金属層を電熱線として機能させた発熱部材が記載されており、導電性積層体は、発熱部材にも用いられる。
国際公開第2017/163830号
上述のように特許文献1には、曲面を含む立体形状の曲面上に金属層が配置された導電性積層体を、タッチセンサー以外に発熱部材として利用することが記載されている。しかしながら、発熱部材として利用した場合、導電性積層体の場所によって昇温速度が異なり、昇温速度が不均一であった。例えば、楕円体状の立体形状を有する場合、平面部と、楕円体状の部分との昇温速度の差が大きい。
本発明の目的は、均一な昇温速度を示す、立体形状を有する発熱部材を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、立体形状を有する基材と、基材上に配置される導電性細線とを有する発熱部材であって、基材が、曲率半径が異なる領域を少なくとも2つ有し、曲率半径が異なる領域のうち、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の面積率が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の面積率よりも小さい、発熱部材を提供するものである。
曲率半径が小さくなるほど、導電性細線の面積率が大きくなることが好ましい。
最も大きい曲率半径の領域をBとし、最も小さい曲率半径の領域をAとし、(領域Aの導電性細線の面積率)/(領域Bの導電性細線の面積率)で表される比をγABとするとき、1.1≦γAB≦5.0であることが好ましい。
最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の線幅が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の線幅よりも小さいことが好ましい。
最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数よりも少ないことが好ましい。
導電性細線は、線幅が30μm以下であることが好ましい。
複数の導電性細線で構成される導電層部材の平均シート抵抗は、4Ω/sq以下であることが好ましい。
導電性細線は、メッシュ状に配置されていることが好ましい。
導電性細線で構成されるメッシュ状の開口部の内部に、ダミー配線が配置されていることが好ましい。
本発明によれば、均一な昇温速度を示す、立体形状を有する発熱部材を提供できる。
本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す側面図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す平面図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の発熱部材の導電層部材の導電性細線の配置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第2の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第3の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第2の例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第2の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第3例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第2の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第3の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。 比較例1の導電性細線を示す模式図である。 比較例2の導電性細線を示す模式図である。 比較例3の発熱部材を示す模式的斜視図である。 比較例3の発熱部材の導電性細線の構成を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の発熱部材を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」及び「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、「全部」、「いずれも」又は「全面」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
なお、可視光に対して透明とは、特に断りがなければ、可視光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、40%以上のことであり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上のことである。また、以下の説明において、透明とは、特に断りがなければ、可視光に対して透明であることを示す。
可視光透過率は、JIS(Japanese Industrial Standards) K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
[発熱部材の第1の例]
図1は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す側面図であり、図2は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す平面図であり、図3は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例を示す模式的断面図である。
図1及び図2に示す発熱部材10は、例えば、立体部12と平面部14とを有する。立体部12は、例えば、楕円体の曲面に沿った立体形状を有する。また、発熱部材10は、立体部12と、平面部14とが一体的に形成されており、例えば、銀ペースト又は粘着テープ等により複数の部材が接合される接合部を有していない。
平面部14のX方向の各端部14cに接続部15が設けられている。立体部12と平面部14とには、導電層部材22が設けられており、接続部15と電気的に接続されている。各接続部15に、図1に示す電源部16が電気的に接続されている。電源部16により、導電層部材22に電圧が印加されて、発熱部材10が発熱する。なお、図2及び図3に電源部16の図示は省略している。なお、図2のY方向はX方向と直交する方向である。
発熱部材10の立体部12と平面部14は、図3に示すように、電気的に絶縁性を有する基材20と、導電層部材22とにより構成されている。基材20は立体形状を有し、基材20上、すなわち、基材20の表面20a上に導電層部材22が配置されている。後述のように導電層部材22は、複数の導電性細線24により構成される。
基材20は、曲率半径が異なる領域を少なくとも2つ有するものであり、例えば、上述の立体部12と平面部14とを有する。立体部12と平面部14とは曲率半径が異なり、立体部12は平面部14よりも曲率半径が小さい。
曲率半径が異なる領域とは、例えば、曲率半径が30mm以下の範囲である領域1、30mm超300mm以下の範囲である領域2、300mm超3000mm以下の範囲である領域3、3000mm超の範囲である領域4に分けられる。この場合、領域1での導電性細線の面積率と、領域4での導電性細線の面積率とについて、(領域1の面積率)/(領域4の面積率)で表される比をγ14とするとき、1.3≦γ14≦5.0であることが好ましい。また、(領域2の面積率)/(領域4の面積率)で表される比をγ24とするとき、1.1≦γ24≦3.0であることが好ましい。また、(領域1の面積率)/(領域3の面積率)で表される比をγ13とするとき、1.1≦γ13≦3.0であることが好ましい。発熱部材10において、最も大きい曲率半径の領域をBとし、最も小さい曲率半径の領域をAとし、(領域Aの導電性細線の面積率)/(領域Bの導電性細線の面積率)で表される比をγABとするとき、1.1≦γAB≦5.0であることが好ましい。このような比率で設計することにより、発熱量が補正されて昇温速度の均一性を高めることができる。
ここで、図4は本発明の実施形態の発熱部材の導電層部材の導電性細線の配置の一例を示す模式図である。なお、図4においてX方向とY方向とは直交する。
図4に示すように導電層部材22は、複数の導電性細線24により構成されている。導電層部材22においては、例えば、X方向に延びる複数の導電性細線24と、Y方向に延びる複数の導電性細線24とにより、例えば、四角の開口部25が複数形成されており、導電性細線24がメッシュ状に配置されている。この場合、図2に示す発熱部材10は、接続部15を除く、立体部12及び平面部14に、メッシュ状の導電層部材22が配置される。
例えば、X方向において、互いに平行、かつ隣り合う導電性細線24同士は、導電性細線24の仮想的な中心線CL間の距離として定義されるピッチPxを隔てて配置されている。Y方向において、互いに平行、かつ隣り合う導電性細線24同士は、導電性細線24の仮想的な中心線CL間の距離として定義されるピッチPyを隔てて配置されている。
また、導電性細線24のX方向における幅はWxであり、導電性細線24のY方向における幅はWyである。
後述のように、導電性細線24の幅Wxと、導電性細線24の幅Wyとは、同じである構成と、異なる構成がある。発熱部材10の位置に基づいて導電性細線24の幅Wyを変えることもある。
導電性細線24の配置は、発熱部材10の位置により異なる。
発熱部材10において、曲率半径が異なる領域のうち、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線24の面積率が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線24の面積率よりも小さい。最も大きい曲率半径の領域の面積率、すなわち、図1では平面部14に配置された導電性細線24の面積率が、他の曲率半径が異なる領域の面積率、図1では立体部12に配置された導電性細線24の面積率よりも小さい。すなわち、立体部12に配置された導電性細線24の面積率は、平面部14に配置された導電性細線24の面積率よりも大きく、これにより、立体部12における発熱量が平面部14よりも大きくなる。
上述のように、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線24の面積率を、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線24の面積率よりも小さくすることにより、昇温速度を均一にできる。発熱部材10において、例えば、立体部12と平面部14との昇温速度を均一にできる。
導電性細線24の面積率は、下記式により得られる。なお、下記式の評価視野とは、顕微鏡等により観察される画面全体のことである。
導電性細線の面積率=(評価視野における導電性細線の面積)/(評価視野全面積)
曲率半径は、表面形状を略球の一部として近似した際のその球の半径を曲率半径とする。面積4cm以内の測定箇所に対して10カ所、曲率半径を測定し、10カ所の平均値を、測定箇所における曲率半径とする。なお、曲率半径が1mm以下の微小な凹凸は、昇温速度に与える影響が小さいので、それを無視した形状における値をその曲率半径と取り扱う。
また、曲率半径が3000mm以上のところは実質的に平面として扱う。測定方法は3D(three dimensions)プロファイラ、3Dスキャナ等により表面の形状を測定する。3Dプロファイラとしては、株式会社キーエンス社製VK-8700、3Dスキャナとしては、例えば、SHINING 3D社製Einscan PRO2X、クレアフォームジャパン株式会社製HandySCAN700、株式会社データ・デザイン社製ArtecSpaceSpider等が挙げられる。
導電性細線の面積率は、曲率半径を測定した測定箇所(面積4cm以内)を顕微鏡を用いて観察し、接続されている導電性細線の線幅、長さ、及び本数を測定する。倍率は導電性細線の線幅により適宜選択されるが、例えば、導電性細線の線幅が10μmの場合は500倍が選択できる。
ここで、図5は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図6は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第2の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。図7は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第3の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図8は本発明の実施形態の発熱部材の第1の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。
なお、図2に示す第1の位置P1は、立体部12の中心Cfである。第2の位置P2及び第3の位置P3は、立体部12の中心Cfを通る直線Ly上、かつ立体部12内の位置であり、第1の位置P1に対して、第2の位置P2と第3の位置P3とは等間隔の位置にある。
第4の位置P4は、直線Ly上の平面部14の位置である。第5の位置P5は、立体部12の中心Cfを通る直線Lx上、かつ平面部14の端部14c近傍の位置である。第6の位置P6は、平面部14の端部14c近傍の位置である。
なお、曲率半径は、小さい順から、第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4であり、第1の位置P1の曲率半径が最も小さい。楕円体状の立体部12でも、その位置によって曲率半径が異なる。第4の位置P4、第5の位置P5及び第6の位置P6は、曲率半径が大きく、実施的に平面として扱うことができる。
発熱部材10は、例えば、図2に示す第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4において、導電性細線24の配線密度が異なる。例えば、Y方向に沿って配置され、かつX方向に延びる導電性細線24の本数が異なり、導電性細線24の配線密度が異なる。第5の位置P5及び第6の位置P6は、平面部14にあり、同じ平面部14の第4の位置と、導電性細線24の配線密度が同じである。
第1の位置P1~第5の位置P5において、X方向に延びる導電性細線24の本数が異なるが、X方向に沿って配置され、かつY方向に延びる導電性細線24の本数は同じである。X方向に延びる導電性細線24の本数は、多い順から、第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4である。
図5~8に示すように、第1の位置P1における導電性細線24に比して、第2の位置P2における導電性細線24、第3の位置P3における導電性細線24、第4の位置P4における導電性細線24は、X方向に延びる導電性細線24の本数が減っている。例えば、第4の位置P4のX方向に延びる導電性細線24の本数は、第1の位置P1の約43%である。第1の位置P1と第4の位置P4とは導電性細線24の単位面積当りの本数が異なり、第4の位置P4は第1の位置P1よりも単位面積当りの本数が少ない。
このように、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数が、すなわち、第4の位置P4の導電性細線24の単位面積当りの本数が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数、すなわち、第1の位置P1、第2の位置P2、及び第3の位置P3の導電性細線24の単位面積当りの本数よりも少ないことが好ましい。これにより、発熱部材10では、より昇温速度を均一にできる。
立体部12は、突出しているため、平面部14に比して、周囲の環境の影響を受けることがあり、立体部12に風が当たった場合、立体部12の昇温速度が遅くなる可能性がある。この場合、立体部12の昇温速度と、平面部14の昇温速度とが同程度になるように、立体部12又は平面部14の面積率を調整してもよい。また、導電性細線24の端部においても内部に比べて放熱量が多くなる場合があるため、端部の面積率を調整してもよい。このように、局所的に放熱量が多い所の発熱量を向上させる構成としてもよい。
発熱部材10は、曲率半径が小さくなるほど、導電性細線24の面積率が大きくなることが好ましい。例えば、導電性細線24の単位面積当りの本数が多いことが好ましい。上述の第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4では、曲率半径が小さくなるほど、導電性細線24の面積率が大きく、例えば、導電性細線24の単位面積当りの本数が多くなっている。これにより、発熱部材10では、より昇温速度を均一にできる。
[発熱部材の第2の例]
発熱部材10は、上述の図1~図8に示すものに限定されるものではない。
図9は本発明の実施形態の発熱部材の第2の例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図10は本発明の実施形態の発熱部材の第2の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。
なお、図9及び図10において、図1~図8に示す発熱部材10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
発熱部材の第2の例は、発熱部材の第1の例に比して、導電性細線24の面積率を、導電性細線の線幅で調整した点が異なり、それ以外の構成は発熱部材の第1の例と同じである。
発熱部材の第2の例では、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の線幅が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の線幅よりも小さい。
例えば、第1の位置P1において、X方向に延びる導電性細線24のY方向の線幅Wyは、第4の位置P4において、X方向に延びるY方向の線幅Wyの2倍である。すなわち、曲率半径が最も大きい第4の位置P4における導電性細線24のY方向の線幅Wyは、曲率半径が最も小さい第1の位置P1における導電性細線24のY方向の線幅Wyよりも小さく、1/2である。しかしながら、Y方向に延びる導電性細線24のX方向の線幅Wxは、第1の位置P1~第6の位置P6で同じである。
また、図示はしないが、第1の位置P1における導電性細線24のY方向における線幅Wyは、第2の位置P2、第3の位置P3における導電性細線24のY方向における線幅よりも大きい。すなわち、第2の位置P2、第3の位置P3における導電性細線24のY方向における線幅も、第1の位置P1における導電性細線24のY方向の線幅Wyよりも小さい。これにより、発熱部材10では、より昇温速度を均一にできる。
[発熱部材の第3の例]
図11は本発明の実施形態の発熱部材の第3例の第1の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図12は本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第2の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図13は本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第3の位置における導電性細線の配置を示す模式図であり、図14は本発明の実施形態の発熱部材の第3の例の第4の位置における導電性細線の配置を示す模式図である。
なお、図11~図14において、図1~図8に示す発熱部材10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、図12~図14は、ダミー配線26を、導電性細線24と区別するために、便宜的に点線で示すが、ダミー配線26は導電性細線24と同じ構成である。
発熱部材の第3の例は、発熱部材の第1の例に比して、ダミー配線26を設けた点が異なり、それ以外の構成は発熱部材の第1の例と同じである。発熱部材の第3の例では、X方向に延びる導電性細線24の本数を減らすが、減らした箇所に、ダミー配線を設けた構成である。ダミー配線26は、X方向に延びており、導電性細線24で構成された開口部25(図4参照)の内部に配置される。
なお、第1の位置P1~第6の位置P6において、Y方向に延びる導電性細線24の本数は同じである。
図11に示す第1の位置P1の導電性細線24が面積率が最も高く、ダミー配線がない。図12に示す第2の位置P2の導電性細線24では、2本、ダミー配線26が配置されている。図13に示す第3の位置P3の導電性細線24では、6本、ダミー配線26が配置されている。図14に示す第4の位置P4の導電性細線24では、8本、ダミー配線26が配置されている。第2の位置P2と第4の位置P4とでは、X方向に延びる導電性細線24の本数が約43%である。
ダミー配線26は、導電性細線24とは電気的に絶縁された配線のことであり、発熱部材10の発熱に寄与しない。
ダミー配線26を設けることにより、昇温速度の均一性を維持したまま、視認性を向上させることができ、導電性細線24が視認されにくくなる。
なお、上述の発熱部材の第1の例~第3の例において、立体部12の形状として、楕円体形状の形態を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、かまぼこ形状、波型形状、凸凹形状、円柱状、又は角柱形状でもよく、さらにはこれらの立体形状を組合せた形状でもよい。
また、導電層部材22を基材20の表面20aに形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、基材20の裏面に設けてもよい。
なお、上述の発熱部材の第1の例~第3の例において、昇温速度が遅いところがあれば、昇温速度の遅いところの導電性細線24の面積率を高くすることが好ましい。これにより、発熱部材10の昇温速度の均一性をより高くできる。例えば、上述のように、導電性細線24の端部においても内部に比べて放熱量が多くなる場合には、端部の面積率を調整することもできる。
また、上述の発熱部材の第1の例~第3の例において、例えば、可視光に対して透明であることが好ましいが、透明であるのは、可視光に限定されるものではなく、様々な電磁波に対しても透過性を有することが好ましい。例えば、赤外光に対しても透過性を有することが好ましい。赤外光は、例えば、波長が780nm~10μmである。また、例えば、ミリ波又はマイクロ波に対しても透過性を有することが好ましい。ミリ波は、例えば、周波数が30~300GHz、マイクロ波は、例えば、周波数が0.3~30GHzである。更に透明である、透過性を有するとは、電磁波を反射したり、遮ったりすることがないことであり、散乱及び乱反射しないことがより好ましい。
以下、発熱部材10の各構成について説明する。
<基材>
基材20は、絶縁性を有し、かつ少なくとも導電層部材22のいずれかを支持できれば特に限定されるものではないが、例えば、可視光及び赤外光に対して透明であることが好ましく、樹脂材料により構成されることが好ましい。
基材20を構成する樹脂材料の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate:PMMA)、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile butadiene styrene:ABS)、ポリエチレンテレフタラート(Polyethylene terephthalate:PET)、ポリシクロオレフィン、(メタ)アクリル、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate:PEN)、ポリエチレン(Polyethylene:PE)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、ポリスチレン(Polystyrene:PS)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride:PVC)、ポリ塩化ビニリデン(Polyvinylidene chloride:PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene difluoride:PVDF)、ポリアリレート(Polyarylate:PAR)、ポリエーテルサルホン(Polyethersulfone:PES)、高分子アクリル、フルオレン誘導体、結晶性シクロオレフィンポリマー(Cyclo Olefin Polymer:COP)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose:TAC)等が挙げられる。
ここで、基材20の透明性及び耐久性の観点から、基材20は、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂のいずれかを主成分として構成されることが好ましい。ここで、基材20の主成分とは、基材20の構成成分のうち80%以上を占めることをいうものとする。
基材20の可視光透過率は、85%以上100%以下であることが好ましい。
また、基材20の厚みは、特に制限されないが、取り扱い性等の点から、0.05mm以上2.00mm以下が好ましく、0.10mm以上1.00mm以下がより好ましい。
(導電性細線)
導電性細線24の線幅Wx、Wyは、特に制限されないが、0.5μm以上50μm以下がより好ましい。視認性の観点から導電性細線の線幅の上限としては、30μm以下が更に好ましく、15μm以下がより更に好ましい。シート抵抗値が優れる点から導電性細線の線幅の下限は1.0μm以上が更に好ましく、より更に好ましくは3.0μm以上である。上述のことから、導電性細線の線幅は、3.0μm以上15μm以下であることがより更に好ましい。
また、導電性の観点から、導電性細線24の厚みは0.01μm以上200.00μm以下に設定することができるが、その上限は、30.00μm以下が好ましく、20.00μm以下がより好ましく、9.00μm以下が更に好ましい。導電性細線24の厚みの下限は、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、1μm以上が更により好ましい。
複数の導電性細線24により構成される導電層部材22は、発熱効率の観点から、平均シート抵抗が4Ω/sq以下であることが好ましい。導電性細線24の電気抵抗が小さい方が、規定の上限電圧印加時の、昇温速度を向上できる。導電層部材22の平均シート抵抗の下限値は、規定の上限電流を流した時の昇温速度の観点から、0.01Ω/sq以上であることが好ましい。
平均シート抵抗の測定方法は、導電層部材22に電流を流した際の導電層部材22に印加される電圧E(単位ボルトV)、電流I(単位アンペアA)、電極間平均距離L(単位ミリメートルmm)、シート平均幅W(単位ミリメートルmm)から以下の式で算出する。なお、電極間平均距離Lは導電層部材22上で電圧を印加する接続部2ヵ所の平均距離であり、シート平均幅は電極間平均距離Lを算出した方向に直交する方向の長さの平均値である。
平均シート抵抗=(E/I)×(W/L)
また、実際に測定する場合の電圧Etotalは導電層部材22に印加される電圧E以外にその接触抵抗Rcに由来する電圧降下分Ecを含むため、その効果は予め接触抵抗を測定しておくことにより以下の式で求める。
E=Etotal-Rc×I
また、簡易的には、JIS(Japanese Industrial Standards) K 7194等の表面抵抗率測定により局所的なシート抵抗を測定しそれを平均化することでも、平均シート抵抗は求められる。
また、例えば、ユーザが発熱部材10を通して景色を視認しようとした場合に、導電性細線24で構成されたメッシュの存在が目立たず、ユーザが発熱部材10を通して違和感なく景色を視認するために、ピッチの上限は、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましい。また、ピッチの下限は、5μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、80μm以上が更に好ましい。
また、発熱部材10が80%以上の可視光透過率を有するために、導電層部材の開口率は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、開口率とは、導電層部材の導電性細線24により形成される開口部の開口率のことである、導電層部材のうち、導電性細線24を除いた透過性部分の割合のことであり、すなわち、メッシュ部分の全体の面積に対する複数の開口部25が占める合計の面積の割合に相当する。
なお、開口部25の形状は、四角形に限定されず、例えば、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)多角形、円、楕円、星形等を組み合わせた幾何学図形とすることもできる。
(ダミー配線)
ダミー配線26は、上述のように、導電性細線24で構成された開口部25の内部に配置される。ダミー配線26は、導電性細線24とは電気的に絶縁された配線であり、発熱部材10の発熱に寄与しない。
ダミー配線を用けることにより、導電性細線間の隙間、すなわち、開口部が目立たなくなり、発熱部材10の視認性が向上する。
発熱部材10の視認性の点から、ダミー配線は、導電性細線と材質及び線幅等が同じであることが好ましい。ダミー配線は、導電性細線を形成する際に、導電性細線とともに形成することができる。このため、ダミー配線は、導電性細線と同じ製造方法で作製することができる。
<金属細線>
導電性細線24は、例えば、金属細線で構成される。導電性細線24を構成する金属の種類は、特に制限されず、例えば、銅、銀、アルミニウム、クロム、鉛、ニッケル、金、すず、及び、亜鉛等が挙げられるが、導電性の観点から、銅、銀、アルミニウムがより好ましい。ダミー配線26も、導電性細線24と同じく金属細線で構成することができる。
金属細線の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、蒸着法及び印刷法等を用いることができる。
蒸着法よる金属細線の形成方法について説明する。まず、蒸着により、銅箔層を形成し、フォトリソグラフィー法により銅箔層から銅配線を形成することにより、金属細線を形成することができる。銅箔層は、蒸着銅箔以外にも、電解銅箔が利用可能である。より具体的には、特開2014-029614号公報に記載の銅配線を形成する工程を利用することができる。
印刷法よる金属細線の形成方法について説明する。まず、導電性粉末を含有する導電性ペーストを金属細線と同じパターンで基板に塗布し、その後、加熱処理を施すことにより金属細線を形成することができる。導電性ペーストを用いたパターン形成は、例えば、インクジェット法又はスクリーン印刷法でなされる。導電性ペーストとしては、より具体的には、特開2011-028985号公報に記載の導電性ペーストを利用することができる。
以下、発熱部材の製造方法の好適態様の一つとして、被めっき層前駆体層を使用する態様が挙げられる。被めっき層前駆体層を用いる態様として、以下の工程1~4を含む製造方法が挙げられる。
工程1:基材の一方の表面側に配置された、めっき触媒又はその前駆体と相互作用できる官能基、及び、重合性基を有する被めっき層前駆体層に露光処理及び現像処理を施し、パターン状被めっき層を形成し、被めっき層付き基材を得る工程
工程2:被めっき層付き基材を変形させて、立体形状を有する被めっき層付き基材を得る工程
工程3:立体形状を有する被めっき層付き基材のパターン状被めっき層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程
工程4:めっき触媒又はその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を施し、めっき層を形成する工程
以下、各工程について詳述する。
<工程1>
工程1は、基材の一方の表面側に配置された、めっき触媒又はその前駆体と相互作用できる官能基、及び、重合性基を有する被めっき層前駆体層に露光処理及び現像処理を施し、パターン状被めっき層を形成し、被めっき層付き基材を得る工程である。
以下では、まず、本工程で使用される部材及び材料について詳述する。
工程1で使用される基材としては、成型後に上述した基材となり得る基材が挙げられる。具体的には、樹脂基材が挙げられる。
なお、工程1で使用される基材は、平板状の基材が使用される。
(被めっき層前駆体層)
被めっき層前駆体層は、基材の一方の表面側に配置される層であり、後述するパターン状被めっき層を形成するための層である。つまり、被めっき層前駆体層とは、硬化処理が施される前の未硬化の状態の層である。
なお、被めっき層前駆体層は、基材に直接接するように基材上に配置されていてもよく、他の層(例えば、プライマー層)を介して基材上に配置されていてもよい。
被めっき層前駆体層は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用できる官能基(以後、「相互作用性基」ともいう。)、及び、重合性基を有する。
相互作用性基及び重合性基の詳細は、後述する。
被めっき層前駆体層の厚みは特に制限されず、形成されるパターン状被めっき層がめっき触媒又はその前駆体を十分に担持できる点で、0.05~2.0μmが好ましく、0.1~1.0μmがより好ましい。
被めっき層前駆体層は、以下の化合物X又は組成物Yを含むことが好ましい。
化合物X:相互作用性基、及び、重合性基を有する化合物
組成物Y:相互作用性基を有する化合物、及び、重合性基を有する化合物を含む組成物
化合物Xは、相互作用性基と重合性基とを有する化合物である。
相互作用性基とは、パターン状被めっき層に付与されるめっき触媒又はその前駆体と相互作用できる官能基を意図し、例えば、めっき触媒又はその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、ならびに、めっき触媒又はその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、及び、含酸素官能基が挙げられる。
相互作用性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、及び、シアネート基などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N-オキシド構造を含む基、S-オキシド構造を含む基、及び、N-ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、及び、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフェート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、及び、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素原子、及び、臭素原子などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用できる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒又はその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及び、ボロン酸基などのイオン性極性基、又は、シアノ基が好ましく、カルボン酸基、又は、シアノ基がより好ましい。
化合物Xは、相互作用性基が2種以上有していてもよい。
重合性基は、エネルギー付与により、化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられる。なかでも、反応性がより優れる点で、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アルケニル基(例:-C=C-)、アクリル酸エステル基(アクリロイルオキシ基)、メタクリル酸エステル基(メタクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、及び、メタクリルアミド基が挙げられる。なかでも、アルケニル基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、又は、メタクリルアミド基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、又は、スチリル基がより好ましい。
化合物X中は、重合性基が2種以上有していてもよい。また、化合物Xが有する重合性基の数は特に制限されず、1つでも、2つ以上でもよい。
上記化合物Xは、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。低分子化合物は分子量が1000未満の化合物を意図し、高分子化合物とは分子量が1000以上の化合物を意図する。
上記化合物Xがポリマーである場合、ポリマーの重量平均分子量は特に制限されず、溶解性など取り扱い性がより優れる点で、1000~700000が好ましく、2000~200000がより好ましい。
このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成方法は特に制限されず、公知の合成方法(特開2009-280905号の段落[0097]~[0125]参照)が使用される。
組成物Yは、相互作用性基を有する化合物、及び、重合性基を有する化合物を含む組成物である。つまり、組成物Yが、相互作用性基を有する化合物、及び、重合性基を有する化合物の2種を含む。相互作用性基及び重合性基の定義は、上述の通りである。
相互作用性基を有する化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。なお、相互作用性基を有する化合物は、重合性基を含んでいてもよい。
相互作用性基を有する化合物の好適形態としては、相互作用性基を有する繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ポリアクリル酸)が挙げられる。
相互作用性基を有する繰り返し単位の一好適形態としては、式(A)で表される繰り返し単位が挙げられる。
式(A)中、R1は、水素原子又はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の種類は特に制限されず、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよく、炭素数1~20が好ましく、例えば、アルキレン基が挙げられる。また、2価の芳香族炭化水素基は、炭素数5~20が好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-NR-、-CO-(-C(=O)-)、-COO-(-C(=O)O-)、-NR-CO-、-CO-NR-、-SO3-、-SO2NR-、及び、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。
Zは、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義は、上述の通りである。
相互作用性基を有する繰り返し単位の他の好適形態としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体由来の繰り返し単位が挙げられる。
不飽和カルボン酸とは、カルボン酸基(-COOH基)を有する不飽和化合物である。不飽和カルボン酸の誘導体とは、例えば、不飽和カルボン酸の無水物、不飽和カルボン酸の塩、及び、不飽和カルボン酸のモノエステルが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及び、シトラコン酸が挙げられる。
相互作用性基を有する繰り返し単位を含むポリマー中における相互作用性基を有する繰り返し単位の含有量は特に制限されず、めっき析出性のバランスの点で、全繰り返し単位に対して、1~100モル%が好ましく、10~100モル%がより好ましい。
相互作用性基を有する繰り返し単位を含むポリマーの好適形態としては、少ないエネルギー付与量(例えば、露光量)にて被めっき層が形成しやすい点で、共役ジエン化合物由来の繰り返し単位、及び、不飽和カルボン酸又はその誘導体由来の繰り返し単位を有するポリマーXが挙げられる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体由来の繰り返し単位の説明は、上述の通りである。
共役ジエン化合物としては、一つの単結合で隔てられた、二つの炭素-炭素二重結合を有する分子構造を有する化合物であれば特に制限されない。
共役ジエン化合物としては、例えば、イソプレン、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、2,4-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、2,4-オクタジエン、3,5-オクタジエン、1,3-ノナジエン、2,4-ノナジエン、3,5-ノナジエン、1,3-デカジエン、2,4-デカジエン、3,5-デカジエン、2,3-ジメチル-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ペンタジエン、3-フェニル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、3-メチル-1,3-ヘキサジエン、2-ベンジル-1,3-ブタジエン、及び、2-p-トリル-1,3-ブタジエンが挙げられる。
なかでも、ポリマーXの合成が容易で、パターン状被めっき層の特性がより優れる点で、共役ジエン化合物由来の繰り返し単位は、式(2)で表されるブタジエン骨格を有する化合物由来の繰り返し単位であることが好ましい。
式(2)中、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基など。炭素数1~12が好ましい。)、及び、芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基など。)が挙げられる。複数あるR2は同一であっても異なっていてもよい。
式(3)で表されるブタジエン骨格を有する化合物(ブタジエン構造を有する単量体)としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-n-プロピル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-α-ナフチル-1,3-ブタジエン、1-β-ナフチル-1,3-ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン、1-ブロム-1,3-ブタジエン、1-クロルブタジエン、2-フルオロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロル-1,3-ブタジエン、1,1,2-トリクロル-1,3-ブタジエン、及び、2-シアノ-1,3-ブタジエンが挙げられる。
ポリマーX中における共役ジエン化合物由来の繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、25~75モル%であることが好ましい。
ポリマーX中における不飽和カルボン酸又はその誘導体由来の繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、25~75モル%であることが好ましい。
重合性基を有する化合物とは、いわゆるモノマーであり、形成されるパターン状被めっき層の硬度がより優れる点で、2つ以上の重合性基を有する多官能モノマーが好ましい。多官能モノマーとは、具体的には、2~6つの重合性基を有するモノマーが好ましい。反応性に影響を与える架橋反応中の分子の運動性の点で、用いる多官能モノマーの分子量は、150~1000が好ましく、200~800がより好ましい。
多官能モノマーとしては、多官能アクリルアミド、及び、多官能メタクリルアミドからなる群から選択されるアミド化合物が好ましい。
多官能アクリルアミドは、2つ以上のアクリルアミド基を含む。多官能アクリルアミド中のアクリルアミド基の数は特に制限されず、2~10つが好ましく、2~5つがより好ましく、2つがさらに好ましい。
多官能メタクリルアミドは、2つ以上のメタクリルアミド基を含む。多官能メタクリルアミド中のメタクリルアミド基の数は特に制限されず、2~10つが好ましく、2~5つがより好ましい。
なお、アクリルアミド基及びメタクリルアミド基は、それぞれ以下式(B)及び式(C)で表される基である。*は、結合位置を表す。
3は、水素原子又は置換基を表す。置換基の種類は特に制限されず、公知の置換基(例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基など。より具体的には、アルキル基、アリール基など。)が挙げられる。
重合性基を有する化合物の好適態様としては、式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、Qは、n価の連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。
は、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
Qの価数nは、2以上であり、被めっき層と金属配線との密着性をより向上させる観点から、2以上6以下が好ましく、2以上5以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。
Qで表されるn価の連結基としては、例えば、式(1A)で表される基、式(1B)で表される基、
-NH-、-NR(R:アルキル基を表す)-、-O-、-S-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、芳香族基、ヘテロ環基、及び、これらを2種以上組み合わせた基などが挙げられる。
被めっき層前駆体層中における化合物X(又は、組成物Y)の含有量は特に制限されず、被めっき層前駆体層全質量に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限としては、100質量%が挙げられる。
被めっき層前駆体層が組成物Yを含む場合、被めっき層前駆体層中における相互作用性基を有する化合物の含有量は特に制限されないが、被めっき層前駆体層全質量に対して、10~90質量%が好ましく、25~75質量%がより好ましく、35~65質量%がさらに好ましい。
なお、相互作用性基を有する化合物と重合性基を有する化合物との質量比(相互作用性基を有する化合物の質量/重合性基を有する化合物の質量)は特に制限されず、形成されるパターン状被めっき層の強度及びめっき適性のバランスの点で、0.1~10が好ましく、0.5~2がより好ましい。
被めっき層前駆体層は、必要に応じて、他の成分(例えば、重合開始剤、増感剤、硬化剤、重合禁止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、フィラー、難燃剤、滑剤、可塑剤、又は、めっき触媒若しくはその前駆体)を含んでいてもよい。
被めっき層前駆体層の形成方法は特に制限されず、例えば、化合物X又は組成物Yを含む組成物と基材とを接触させて、基材上に被めっき層前駆体層を形成する方法が挙げられる。
上記組成物と基材とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、組成物を基材上に塗布する方法、又は、組成物中に基材を浸漬する方法が挙げられる。
なお、必要に応じて、上記組成物と基材とを接触させた後、必要に応じて、被めっき層前駆体層から溶媒を除去するために、乾燥処理を実施してもよい。
上記組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒の種類は特に制限されず、水及び有機溶媒が挙げられる。
(工程1の手順)
工程1では、被めっき層前駆体層に露光処理及び現像処理を施し、パターン状被めっき層を形成する。
露光処理においては、所望のパターン状被めっき層が得られるように、被めっき層前駆体層に対してパターン状に光照射がなされる。使用される光の種類は特に制限されず、例えば、紫外光、及び、可視光が挙げられる。パターン状に光照射を行う際には、所定の形状の開口部を有するマスクを用いて光照射を行うことが好ましい。
被めっき層前駆体層の露光部においては、被めっき層前駆体層に含まれる重合性基が活性化され、化合物間の架橋が生じ、層の硬化が進行する。
次に、パターン状に硬化処理を施した被めっき層前駆体層に対して、現像処理を施すことにより、未露光部が除去されて、パターン状被めっき層が形成される。
現像処理の方法は特に制限されず、使用される材料の種類に応じて、最適な現像処理が実施される。現像液としては、例えば、有機溶媒、純水、及び、アルカリ水溶液が挙げられる。
上記手順によって形成されたパターン状被めっき層は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する層であって、所定のパターン状に配置される層である。
パターン状被めっき層は、通常、上述した相互作用性基を有する化合物を含む。化合物としては、ポリマーが好ましい。つまり、パターン状被めっき層は、相互作用性基を有する繰り返し単位を含むポリマーを含むことが好ましい。
後述するめっき層は、パターン状被めっき層のパターン模様に沿って配置される。そのため、形成したいめっき層の形状に合わせて、パターン状被めっき層を配置することにより、所望の形状のパターン状被めっき層が形成される。
パターン状被めっき層の厚みは特に制限されず、めっき触媒又はその前駆体を十分に担持でき、かつ、めっき異常を防ぐ点で、0.05~2.0μmが好ましく、0.1~1.0μmがより好ましい。
<工程2>
工程2は、被めっき層付き基材を変形させて、立体形状を有する被めっき層付き基材を得る工程である。
変形の方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。変形の方法としては、例えば、真空成形、ブロー成形、フリーブロー成形、圧空成形、真空-圧空成形、及び、熱プレス成形などの公知の方法が挙げられる。
<工程3>
工程3は、立体形状を有する被めっき層付き基材のパターン状被めっき層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程である。
パターン状被めっき層は上記相互作用性基を有するため、相互作用性基がその機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
めっき触媒又はその前駆体は、めっき処理の触媒又は電極として機能する。そのため、使用されるめっき触媒又はその前駆体の種類は、めっき処理の種類により適宜決定される。
めっき触媒又はその前駆体は、無電解めっき触媒又はその前駆体が好ましい。
無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば特に制限されず、例えば、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)が挙げられる。具体的には、Pd、Ag、Cu、Pt、Au、及び、Coなどが挙げられる。
この無電解めっき触媒としては、金属コロイドを用いてもよい。
無電解めっき触媒前駆体は、化学反応により無電解めっき触媒となるものであれば特に制限されず、例えば、上記無電解めっき触媒として挙げた金属のイオンが挙げられる。
めっき触媒又はその前駆体をパターン状被めっき層に付与する方法としては、例えば、めっき触媒又はその前駆体を溶媒に分散又は溶解させた溶液を調製し、その溶液をパターン状被めっき層上に塗布する方法、又は、その溶液中に被めっき層付き基材を浸漬する方法が挙げられる。
上記溶媒としては、例えば、水又は有機溶媒が挙げられる。
<工程4>
工程4は、めっき触媒又はその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を施し、めっき層(導電性細線に該当)を形成する工程である。
めっき処理の方法は特に制限されず、例えば、無電解めっき処理、又は、電解めっき処理(電気めっき処理)が挙げられる。本工程では、無電解めっき処理を単独で実施してもよいし、無電解めっき処理を実施した後にさらに電解めっき処理を実施してもよい。
めっき処理の種類は特に制限されず、例えば、銅めっき処理、及び、銀めっき処理が挙げられる。
めっき層は、パターン状被めっき層を覆うように配置されることが好ましい。
上述したように、めっき層は、パターン状被めっき層のパターン模様に沿って配置される。例えば、パターン状被めっき層がメッシュ状である場合、形成されるめっき層もメッシュ状となる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の発熱部材について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(プライマー層形成用組成物の調製)
以下の成分を混合し、プライマー層形成用組成物を得た。
Z913-3(アイカ工業株式会社製) 33質量部
IPA(イソプロピルアルコール) 67質量部
(プライマー層の形成)
得られたプライマー層形成用組成物を、厚み250μmのポリカーボネート樹脂フィルム(帝人株式会社製パンライトPC-2151)上に、平均乾燥膜厚1.0μmとなるようにバー塗布し、80℃で3分間乾燥させた。その後、形成されたプライマー層形成用組成物の層に対して、1000mJの照射量で紫外線(Ultraviolet:UV)を照射し、厚み0.8μmのプライマー層を形成した。
(被めっき層前駆体層形成用組成物の調製)
以下の成分を混合し、被めっき層前駆体層形成用組成物を得た。
IPA(イソプロピルアルコール) 38.00質量部
ポリブタジエンマレイン酸 4.00質量部
FAM-401(富士フイルム株式会社製) 1.00質量部
IRGACURE OXE02(BASF社製、ClogP=6.55)
0.05質量部
(被めっき層前駆体層付き基材の作製)
得られた被めっき層前駆体層形成用組成物をプライマー層上に膜厚0.2μmとなるようにバー塗布し、120℃の雰囲気下で1分間乾燥させた。その後、直ちに、被めっき層前駆体層形成用組成物上に厚み12μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせることにより、被めっき層前駆体層付き基材を作製した。
(被めっき層付き基材の作製)
被めっき層前駆体層付き基材上に、フィルムマスクを配置し、被めっき層前駆体層付き基材に対してフィルムマスク越しに紫外線(エネルギー量200mJ/cm、波長365μm)を照射した。次に、紫外線が照射された後の被めっき層前駆体層付き基材を純水シャワーにより5分間現像処理し、被めっき層付き基材を作製した。
ただし、フィルムマスクには、立体形成後に実施例1に示すパターンとなるように予め延伸される部分を逆算して縮小させたパターンのマスクを用いた。
実施例1は、立体形成後、立体部12の第1の位置P1の、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4において、X方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とした。第1の位置P1のY方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を7.0とした。第2の位置P2のY方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を6.0とした。第3の位置P3のY方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を4.0とした。第4の位置P4のY方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とした。第5の位置P5及び第6の位置P6は、第4の位置P4と同じとした。
また、実施例1は、立体形成後、X方向における接続部15を除く長さLw(図2参照)を100.0mmとし、立体部12のX方向における長さLp(図2参照)を86.6mmとし、接続部15のX方向における長さLc(図2参照)を5.0mmとした。
X方向における導電性細線24とは、Y方向に延びる導電性細線24のことであり、X方向に沿って配置されたものである。Y方向における導電性細線24とは、X方向に延びる導電性細線24のことであり、Y方向に沿って配置されたものである。
(立体成形)
真空引きのための複数の貫通孔を有する型治具に被めっき層付き基材を配置して、被めっき層付き基材の温度が約160℃となるまで被めっき層付き基材を加熱した。さらに、被めっき層付き基材の温度が約160℃となったところで型治具の真空引きを実施することにより、被めっき層付き基材を型治具に密着させて、被めっき層付き基材を図1に示すような楕円体の曲面に沿った形状に立体成形した。
(導電層の形成)
立体成形された被めっき層付き基材を、35℃の1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた。次に、被めっき層付き基材を、55℃のパラジウム触媒付与液RONAMERSE SMT(ロームアンドハース電子材料株式会社製)に浸漬させた。被めっき層付き基材を水洗した後、続けて35℃のCIRCUPOSIT6540(ロームアンドハース電子材料株式会社製)に5分間浸漬させ、その後、再び水洗した。さらに、被めっき層付き基材を、45℃のCIRCUPOSIT4500(ロームアンドハース電子材料株式会社製)に20分間浸漬させた後、水洗して、ポリカーボネート樹脂フィルム上に銅製の導電性細線を有する導電層部材を形成した。得られた導電層部材における導電性細線の線幅は10μmであった。
このようにして、実施例1の発熱部材が得られた。
<実施例2>
実施例2は、実施例1に比して、マスクパターンが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例2は、立体形成後、第1の位置P1の、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4において、X方向における導電性細線24の幅を8μmとした。第1の位置P1のY方向における導電性細線24の幅を18μmとした。第2の位置P2のY方向における導電性細線24の幅を16μmとした。第3の位置P3のY方向における導電性細線24の幅を10μmとした。第4の位置P4のY方向における導電性細線24の幅を8μmとした。なお、第5の位置P5及び第6の位置P6は、第4の位置P4と同じとした。X方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とし、Y方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を4.0とした。
実施例2のマスクパターンは、第1の位置P1の、第2の位置P2、第3の位置P3、及び第4の位置P4において、X方向における導電性細線24の幅を2μmとした。第1の位置P1のY方向における導電性細線24の幅を12μmとした。第2の位置P2のY方向における導電性細線24の幅を10μmとした。第3の位置P3のY方向における導電性細線24の幅を4μmとした。第4の位置P4のY方向における導電性細線24の幅を2μmとした。なお、第5の位置P5及び第6の位置P6は、第4の位置P4と同じとした。
<実施例3>
実施例3は、実施例1に比して、マスクパターンが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。実施例3は、立体形成後、実施例1において導電性細線24がない位置にダミー配線を設けた。
<比較例1>
比較例1は、実施例1に比して、マスクパターンが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。比較例1は、第1の位置P1~第6の位置P6における導電性細線24の配置パターンが異なる。比較例1は、立体形成後、図15に示すように、X方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とし、Y方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を7.0とした。
<比較例2>
比較例2は、実施例1に比して、マスクパターンが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。比較例2は、第1の位置P1~第6の位置P6における導電性細線24の配置パターンが異なる。比較例2は、立体形成後、図16に示すように、X方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とし、Y方向における導電性細線24の配線密度(ライン/mm)を3.0とした。
<比較例3>
比較例3は、実施例1に比して、立体部12が半球形状であり、マスクパターンが異なり、それ以外は実施例1と同じとした。比較例3は、図17に示す発熱部材100である。発熱部材100には、立体部12及び平面部14に、導電層部材102が形成されている。導電層部材102は、図18に示すように、X方向に、メッシュ状パターン104、ライン状パターン103、及びメッシュ状パターン104の順で配置されている。発熱部材100では、立体部12が半球形状であることから、立体部12では曲率半径が変わらず、一定の値である。
図17及び図18において、図1示す発熱部材10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
比較例3は、ライン状パターン103の導電性細線面積率が1.7%であり、メッシュ状パターン104の導電性細線面積率が4.3%であった。立体部12に、ライン状パターン103、及びメッシュ状パターン104が配置されているが、上述のように立体部12では曲率半径が変わらず、一定の値である。このため、2つの導電性細線面積率のうち、最小値1.7%を、下記表1の「導電性細線面積率%(曲率半径最小部)」の欄に記した。
以上のようにして得られた実施例1~3、比較例1~3の発熱部材に対して、曲率半径及び導電性細線の面積率を測定した。
(曲率半径の評価)
導電層が形成された実施例1~3、及び比較例1~3について、それぞれランダムに測定箇所を20箇所選択した。測定箇所の大きさは面積4cm以内とした。
1つの測定箇所について、10カ所、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス社製VK-8700)により形状を測定し曲率半径を求め、10カ所の平均を各測定箇所の曲率半径とした。なお、必要に応じて、実施例1~3、及び比較例1~3を小片(数cm×数cm程度)に分解して、曲率半径の測定を行った。なお、3000mm以上の場合は実質的に平面として扱った。
(導電性細線の面積率の評価)
曲率半径を測定した測定箇所(面積4cm以内)を顕微鏡(株式会社キーエンス社製VHX-5000)を用いて500倍で観察し、接続されている導電性細線の線幅、長さ、及び本数を測定し、以下の計算式で導電性細線の面積率を評価した。なお、1つの測定箇所について、10カ所測定し、10カ所の平均値をその測定箇所の導電性細線の面積率とした。
なお、下記式の評価視野とは、顕微鏡により観察される画面全体のことである。評価視野は、顕微鏡の観察倍率、及び顕微鏡の構成等により、大きさが異なる。
導電性細線の面積率=(評価視野における導電性細線の面積)/(評価視野全面積)
以上のようにして得られた実施例1~3、及び比較例1~3の発熱部材に対して、以下に示す昇温面内均一性と、視認性とを評価した。
(昇温面内均一性の評価)
実施例1~3、及び比較例1~3について、それぞれパッド部(メッシュ端部の5mm幅の導電部)を覆うように導電性銅テープを貼合した。デジタルマルチメーター(菊水電子工業製DME1600)を用いて、実施例1~3、及び比較例1~3について、それぞれ平均3V/10cmとなる電圧を印加した。サーモグラフィカメラ(FLIR SYSTEMS製C3)を用いて、上述のランダムに選択した20箇所の測定箇所の昇温プロファイルを測定したところ、一定時間で温度が飽和した。各測定箇所における10秒ごとの温度をプロットし昇温プロファイルを測定した。飽和温度の80%に到達する時間が最も遅い測定箇所が、飽和温度の80%に到達する時間が最も早い測定箇所の+30%以内である場合をAと評価し、+30%を超える場合をCと評価とした。
(視認性の評価)
上述のランダムに選択した20箇所の測定箇所について、分光光度計(日本分光株式会社製V-670と積分球ユニット)を用いて、可視光透過率(波長380nm~780nmの平均透過率)を測定した。20箇所の測定箇所の可視光透過率の最大と最小の差が2%未満の場合をAと評価し、2%以上の場合をBと評価した。可視光透過率の最大と最小の差が2%以上異なると、目視で見た際に濃淡の差が視認されることを確認した。
以下の表1に、実施例1~3、及び比較例1~3の評価結果を示す。
表1に示すように、実施例1~3は、昇温面内均一性と、視認性とが両方とも優れていた。一方、比較例1~3は、昇温面内均一性が悪い。
実施例1、2と、実施例3とから、ダミー配線を設けることにより、視認性が更に向上した。
10 発熱部材
12 立体部
14 平面部
14c 端部
15 接続部
16 電源部
20 基材
20a 表面
22 導電層部材
24 導電性細線
25 開口部
26 ダミー配線
100 発熱部材
102 導電層部材
103 ライン状パターン
104 メッシュ状パターン
Cf 中心
CL 中心線
Lc 接続部のX方向における長さ
Lp 立体部のX方向における長さ
Lw X方向における接続部を除く長さ
Lx、Ly 直線
P1 第1の位置
P2 第2の位置
P3 第3の位置
P4 第4の位置
P5 第5の位置
P6 第6の位置
Px、Py ピッチ
Wx、Wy 線幅

Claims (9)

  1. 立体形状を有する基材と、前記基材上に配置される導電性細線とを有する発熱部材であって、
    前記基材が、曲率半径が異なる領域を少なくとも2つ有し、
    前記曲率半径が異なる領域のうち、最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の面積率が、他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の面積率よりも小さい、発熱部材。
  2. 曲率半径が小さくなるほど、前記導電性細線の面積率が大きくなる、請求項1に記載の発熱部材。
  3. 前記最も大きい曲率半径の領域をBとし、最も小さい曲率半径の領域をAとし、(領域Aの導電性細線の面積率)/(領域Bの導電性細線の面積率)で表される比をγABとするとき、1.1≦γAB≦5.0である、請求項1又は2に記載の発熱部材。
  4. 前記最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の線幅が、前記他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の線幅よりも小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の発熱部材。
  5. 前記最も大きい曲率半径の領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数が、前記他の曲率半径が異なる領域上に配置された導電性細線の単位面積当りの本数よりも少ない、請求項1~3のいずれか1項に記載の発熱部材。
  6. 前記導電性細線は、線幅が30μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の発熱部材。
  7. 複数の前記導電性細線で構成される導電層部材の平均シート抵抗は、4Ω/sq以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の発熱部材。
  8. 前記導電性細線は、メッシュ状に配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の発熱部材。
  9. 前記導電性細線で構成されるメッシュ状の開口部の内部に、ダミー配線が配置されている、請求項8に記載の発熱部材。
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