JP7417819B1 - 固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】カラーフィルタの屈折率の設定及び構造の設計を最適化することで、感度特性の向上が可能な固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法、並びにかかる固体撮像素子を有し、性能の高い電子機器を提供すること。【解決手段】固体撮像素子は、基板と、基板の一方の面側に設けられた、複数のフォトダイオード及び複数のフォトダイオードを区画する隔壁と、隔壁で画成された空間に充填されたカラーフィルタと、カラーフィルタの基板の反対側に設けられ、カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズとを備える。赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnRとし、緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnGとし、青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnBとしたとき、nR>nG≧nBなる関係を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法及び電子機器に関する。
固体撮像素子の単位画素の微細化が進み、そのサイズが、1.0μm□(単位画素の平面視において一辺の長さが1μmの正方形)より小さくなってきている。また、固体撮像素子が搭載される電子機器(スマートフォン、デジタルカメラ等)の小型化、薄型化により感度特性の確保と更なる向上化の技術が必要となる。
固体撮像素子の感度特性の向上化のためには、単位画素の微細化(2次元方向のシュリンク)に対応して、カラーフィルタを薄膜化すること等、縦方向の低背化(3次元方向のシュリンク)が必要になる。
特に、固体撮像素子と光学レンズ等とが一体化された小型カメラモジュールでは、固体撮像素子の端部に入射する光が斜入射光となる。このため、固体撮像素子の感度特性が劣化することにより、感度シェーディングの悪化が顕著となり易い。
特許文献1には、カラーフィルタの屈折率より屈折率が低い隔壁を設け、この隔壁の開口部にカラーフィルタを形成することにより、固体撮像素子の感度特性の向上と混色の低減とを図る技術が開示されている。
国際公開第2019/064993号
本発明者らの検討によれば、固体撮像素子の感度特性を更に向上させるためには、マイクロレンズの屈折率の設定、カラーフィルタの屈折率の設定、マイクロレンズ及びカラーフィルタの構造の設計及び厚さの設定、これらの組み合わせ及び最適化が必要である。
そこで、本発明では上記事情に鑑み、カラーフィルタの屈折率の設定及び構造の設計を最適化することで、感度特性の向上が可能な固体撮像素子及び固体撮像素子の製造方法、並びにかかる固体撮像素子を有し、性能の高い電子機器を提供することとした。
本発明の一態様によれば、固体撮像素子が提供される。この固体撮像素子は、基板と、基板の一方の面側に設けられた、複数のフォトダイオード及び複数のフォトダイオードを区画する隔壁と、隔壁で画成された空間に充填されたカラーフィルタと、カラーフィルタの基板の反対側に設けられ、カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズとを備える。カラーフィルタは、複数のフォトダイオードにそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット、緑色フィルタユニット及び青色フィルタユニットを有する。赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足する。
かかる態様によれば、光(特に、赤色光)のフォトダイオードへの入射効率を高めることにより、感度特性の向上を図ることができる。
図1は、本発明の電子機器を使用したカメラモジュールを示す斜視図である。 図2は、カメラ本体の構成を示す縦断面図である。 図3は、図2の一部を拡大して示す図である。 図4は、本実施形態における受光基板の中央部に入射する光の状態(a)及び端部に入射する光の状態(b)を模式的に示す図である。 図5は、カラーフィルタの構成が図4と異なる受光基板の中央部に入射する光の状態(a)、端部に入射する光の状態(b)及び端部において白色混色が生じる状態(c)を模式的に示す図である。 図6は、カラーフィルタの厚さが図4より厚い受光基板の端部に入射する光の状態を模式的に示す図である。 図7は、スチレン-アクリル共重合樹脂を使用したマイクロレンズの屈折率波長分布を示すグラフである。 図8は、マイクロレンズにおいて光が屈折する(集光される)様子を模式的に示す図である。 図9は、隔壁の構成を示す概略断面図である。 図10は、隔壁による光の全反射作用を説明するための模式図である。 図11は、カラーフィルタと隔壁との間に接着剤層を設けた構成を示す概略断面図である。 図12は、カラーフィルタの配置パターンを模式的に示す平面図である。 図13は、本発明の固体撮像素子の製造方法の第1実施形態を示す概略図である。 図14は、本発明の固体撮像素子の製造方法の第2実施形態を示す概略図である。 図15は、マイクロレンズの形成方法を示す概略図である。 図16は、カラーフィルタと隔壁との関係を示す概略図である。
以下、本発明の固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法及び電子機器ついて、図示の好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も、本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
例えば、本発明において「工程」は、他と区別して認識できる工程のみを意味するものではなく、他の操作と組み合わされたもの、実際上の複数の工程に分散されているもの、この「工程」中に他の工程要素が含まれているもの、及び1つの工程で複数の工程の操作を合わせて実施できるものが発明の趣旨に合致する限り、本発明の範疇に属し得る。
<カメラモジュール及び固体撮像素子>
図1は、本発明の電子機器を使用したカメラモジュールを示す斜視図である。図2は、カメラ本体の構成を示す縦断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示す図である。なお、以下の説明では、図2及び図3中の上側を「上」又は「上方」とも言い、下側を「下」又は「下方」とも言う。
図1に示すカメラモジュール(電子機器)100は、固体撮像素子を有するカメラ本体1と、コネクタCと、カメラ本体1とコネクタCとを電気的に接続する可撓性配線基板Bとを備えている。なお、可撓性配線基板Bに代えてリジッド配線基板を使用してもよい。
カメラ本体1は、図2に示すように、固体撮像素子2と、固体撮像素子2の上側に接合部4を介して接合された光学系3とを有している。
固体撮像素子2は、受光基板21と、受光基板21の下側に密着するように形成された接合基板22と、受光基板21の上側にスペーサ24を介して接合されたカバー基板23とを備えている。
ここで、接合基板22には、例えば、シリコン基板が用いられる。シリコン基板には、ロジック回路基板が形成(積層)されてもよい。そして、接合基板22として形成されたロジック回路基板は、更にDRAM(Dynamic Random Access Memory)基板等を含む多層積層基板としてもよい。
なお、受光基板21については、後に詳述する。
接合基板22は、基板221と、基板221の表面及び/又は内部に形成された配線層(図示せず。)と、基板221を貫通して設けられた複数のビア(導電部)222と、各ビア222に対応して設けられ、電気的に接続された接続端子223とを有している。
基板221は、例えば硬質な樹脂材料、セラミックス材料のような絶縁材料等で構成されている。ビア222及び接続端子223は、それぞれ、例えば導電性材料で構成されている。
スペーサ24は、各種の接着材料で構成され、必要に応じて、スペーサ粒子を混合することができる。なお、スペーサ24は、金属材料、セラミックス材料等で形成される枠体で構成することもできる。
カバー基板23は、ガラス材料(石英を含む。)、樹脂材料のような光透過性を有する材料で構成されている。
光学系3は、開口311が形成された筐体31と、筐体31内に配置された第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33と、筐体31の下側に接合部35を介して接合された赤外線カットフィルタ34とを備えている。
接合部35及び上記接合部4は、それぞれ、例えばアクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤等で構成することができる。
筐体31は、カメラ本体1の内部の遮光性を確保するために、黒色又は暗色を呈する材料、又は遮光性を有する材料で構成されている。
第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33は、いずれも下方に向かって突出する凸曲面を有している。図2に示すように、筐体31の開口311を通過した入射光は、第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33を通過する際に拡散されて、固体撮像素子2に入射する。
受光基板21は、図3に示すように、基板211と、複数のフォトダイオード(光電変換素子)212と、絶縁膜213と、隔壁216と、カラーフィルタ215と、マイクロレンズ217とを備え、前記受光基板21の平面視において、前記フォトダイオード212と、隣接するフォトダイオード212間に形成された隔壁216の中心までを固体撮像素子2における単位画素210とする。なお、図3(図4~図6、図8~図11及び図13~図16も同様)では、図面が見難くなるのを防止する観点から、断面を示すハッチングを省略している。
基板(基部)211は、例えば、シリコン基板、InGaAs基板等で構成することができる。また、基板211の表面には、密着性の向上、物質の拡散の防止、平坦性の向上等を目的として、下地層が形成されていてもよい。
なお、基板211は、例えば、プラズマ接合等により、接合基板22の基板221と一体的に形成されてもよい。この場合、固体撮像素子2は、裏面照射型固体撮像素子とも称される。
基板211の上面(一方の面)側には、複数のフォトダイオード212が設けられている。複数のフォトダイオード212は、基板211と一体的に形成されていてもよく、基板211の上面に配置(実装)されていてもよい。
フォトダイオード212は、例えば、シリコンフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、有機又は無機光電変換層の単層体並びに有機又は無機光電変換層を含む積層体、量子ドットを含む光電変換層の単層体並びに有機又は無機光電変換層を含む積層体等で構成することができる。
ここで、図2の左下には、受光基板21の点線で囲んだ部分を拡大した平面図が示されている。
本明細書中では、受光基板21の平面視において、フォトダイオード212と、このフォトダイオード212を含み、隣接するフォトダイオード212と間に形成された隔壁216の中心までの領域を「単位画素210」と定義する。
フォトダイオード212の平面視でのサイズは、特に限定されないが、好ましくは0.8μm□前後であり、必要に応じて大きいサイズ又は小さいサイズに変更することができる。
複数のフォトダイオード212上には、絶縁膜213が設けられている。
絶縁膜213は、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸窒シリコン膜、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、酸化チタン(TiO)膜等で構成することができる。
絶縁膜213上(すなわち、基板211の上面側)には、隔壁216が設けられている。この隔壁216は、複数のフォトダイオード212を区画するように、間隙に沿って絶縁膜213の上面に立設されている。
隔壁216で画成された空間に充填されるとともに、隔壁216の上面(基板211と反対側の面)を覆うように、カラーフィルタ215が設けられている。
カラーフィルタ215は、複数のフォトダイオード212にそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bを有している。
赤色フィルタユニット215Rは、約580nm以上の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
緑色フィルタユニット215Gは、約480nm以上600nm以上の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
青色フィルタユニット215Bは、約400nm以上500nm以下の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
なお、カラーフィルタ215は、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bに加えて、黄色フィルタユニット、シアン色フィルタユニット、マゼンタ色フィルタユニット、実質的に可視光に透明なクリアフィルタユニット、可視光の分光透過率が概ね一定(フラット)である減光フィルタユニット、近赤外線吸収フィルタユニット、近赤外透過フィルタユニット等を有していてもよい。
カラーフィルタ215上(基板211と反対側)には、マイクロレンズ217が設けられている。マイクロレンズ217は、上側(カラーフィルタ215と反対側)に突出する複数の凸曲面2171を有している。
マイクロレンズ217は、例えば、スチレン-アクリル共重合体樹脂、窒化シリコン等により構成することができる。
なお、マイクロレンズ217とカラーフィルタ215との間には、反射防止層を追加で設けるようにしてもよい。
図4は、本実施形態における受光基板の中央部に入射する光の状態(a)及び端部に入射する光の状態(b)を模式的に示す図である。図5は、カラーフィルタの構成が図4と異なる受光基板の中央部に入射する光の状態(a)、端部に入射する光の状態(b)及び端部において白色混色が生じる状態(c)を模式的に示す図である。図6は、カラーフィルタの厚さが図4より厚い受光基板の端部に入射する光の状態を模式的に示す図である。
なお、受光基板21の中央部とは、図2中点線Xで囲まれる領域付近を指し、受光基板21の端部とは、図2中点線Yで囲まれる領域付近を指す。
一般に、受光基板21に入射する光は、外気とマイクロレンズ217との界面で、それらの屈折率差及び凸曲面2171の曲率に応じて屈折し、更にマイクロレンズ217とカラーフィルタ215との界面で、それらの屈折率差に応じて屈折する。
そして、受光基板21の中央部では、図4(a)及び図5(a)に示すように、主光線の光軸がフォトダイオード212に対して略垂直となる。このため、大半の光がフォトダイオード212の中心に向かって入射するようになる。したがって、受光基板21の中央部に入射する光の集光特性は、カラーフィルタ215が隔壁216の上面を覆う場合(図4参照)と覆わない場合(図5参照)とも、大きな差が生じない。
一方、受光基板21の端部では、図4(b)及び図5(b)に示すように、主光線の光軸がフォトダイオード212に対して傾斜する。このため、図5(b)に示すように、入射する光の外気とマイクロレンズ217との界面における屈折の程度によっては、一部の光がフォトダイオード212に入射しない場合がある。
具体的には、隔壁216の上面で反射されたり、隔壁216が、例えば、透光性を有する場合には、図5(c)に示すように、隔壁216を通過して、隣接するフォトダイオード212に白色入射光による混色(白色光混色)したりする。この場合、受光基板21の端部において、受光基板21の中央部に対して集光特性が劣化して、感度特性が低下し易い。
なお、かかる白色光混色は、隔壁216の構成材料及び/又は構造を工夫することにより防止又は抑制することができる(図9参照)。
これに対して、本実施形態では、カラーフィルタ215が隔壁216の上面を覆うように形成されている。このため、図4(b)に示すように、例えば、隔壁216に向かう光をマイクロレンズ217とカラーフィルタ215との界面で屈折させることができる。その結果、より多くの光を所定のフォトダイオード212に導入することができる。これにより、受光基板21の端部において、受光基板21の中央部における集光特性に近づけ、感度特性が低下するのを防止又は抑制することができる。
また、隣接するフィルタユニット215R、215G及び215Bが接触して形成されているため、隣接するフィルタユニット215R、215G及び215B同士の隙間からの白色入射光による混色も防止することができる。
かかる観点から、カラーフィルタ215の屈折率は、マイクロレンズ217の屈折率より大きいことが好ましい。これにより、マイクロレンズ217とカラーフィルタ215との界面における光の屈折の程度を十分に高め、上記効果をより向上させることができる。
また、上記効果をより高める観点からは、フォトダイオード212の微細化のみならず、受光基板21の低背化(特に、カラーフィルタ215の薄膜化)することも好ましい。
図4に示すように、カラーフィルタ215の厚さが、図6に示す場合の厚さより小さいと、主光線の光軸がフォトダイオード212の中心からのシフト量を小さくすることができる。このため、マイクロレンズ217の屈折率やカラーフィルタ215の屈折率に大きな影響を受けることなく、受光基板21の端部における集光特性を改善して、感度特性を向上させ易い。
赤色フィルタユニット215Rの厚さ(最も厚い部分)Tは、緑色フィルタユニット215Gの厚さ(最も厚い部分)T及び青色フィルタユニット215Bの厚さ(最も厚い部分)Tと同一か又は薄いことが好ましい。一般に、赤色フィルタユニット215Rの厚さTは、緑色フィルタユニット215Gの厚さT及び青色フィルタユニット215Bの厚さTより薄くすることが難しいが、後述する赤色樹脂組成物を使用することで実現可能である。
かかる構成によれば、カラーフィルタ215の薄膜化が可能であり、受光基板21(固体撮像素子2)を低背化して、その感度特性をより向上させることができる。
赤色フィルタユニット215Rの厚さT、緑色フィルタユニット215Gの厚さT及び青色フィルタユニット215Bの厚さTの最大値は、0.55μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.45μm以下であることがさらに好ましい。このように薄いカラーフィルタ215を備える受光基板21(固体撮像素子2)は、十分に低背化することができる。
上記最大値の下限値は、特に限定されないが、0.2μm以上であることが好ましく、0.25μm以上であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルタ215は、必要かつ十分な分光特性を発揮することができる。その結果、固体撮像素子2は、高画質の画像を取得することができる。
特に、厚さTが0.55μmの赤色フィルタユニット215Rは、その波長620nmの光の透過率が80%以上、波長530nmの光の透過率が10%以下、波長650nmの光に対する屈折率が1.8以上であることが好ましい。かかる赤色フィルタユニット215Rは、優れた集光特性を発揮して、固体撮像素子2の感度特性をより高めることができる。
赤色フィルタユニット215Rの波長620nmの光の透過率は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
赤色フィルタユニット215Rの波長530nmの光の透過率は、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。
赤色フィルタユニット215Rの波長650nmの光に対する屈折率は、1.85以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましい。
また、マイクロレンズ217は、屈折率波長分布特性を有する。
図7は、スチレン-アクリル共重合樹脂を使用したマイクロレンズの屈折率波長分布を示すグラフである。図8は、マイクロレンズにおいて光が屈折する(集光される)様子を模式的に示す図である。
図7に示すように、短い波長の光は、長い波長の光より物質内での移動速度が遅いので、屈折率が大きくなる傾向を示す。この特性をマイクロレンズ217の屈折率波長分布特性と言う。なお、マイクロレンズ217の屈折率波長分布特性は、材料に依存することなく同様の傾向、すなわち短い波長の光に対する屈折率が大きくなる傾向を示す。
マイクロレンズ217の所定の凸曲面2171を通過した光は、対応する赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G又は青色フィルタユニット215Bに入射して分光される。
ここで、マイクロレンズ217を通過する光は、図8(a)に示すように、凸曲面2171の曲率とマイクロレンズ217の屈折率波長分布とに従って、フォトダイオード212に向かって集光される。すなわち、短い波長の光は、大きな角度で集光され、長い波長の光は、小さな角度で集光される。
したがって、マイクロレンズ217の赤色の光に対する屈折率をθとし、緑色の光に対する屈折率をθとし、青色の光に対する屈折率θとしたとき、図8(b)に示すように、θ < θ < θとなる。
そこで、本発明では、赤色フィルタユニット215Rの屈折率、緑色フィルタユニット215Gの折率及び青色フィルタユニットの屈折率を所定の関係を満足するように設定した。
具体的には、赤色フィルタユニット215Rの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、緑色フィルタユニット215Gの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、青色フィルタユニット215Bの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足するように設定した。これにより、マイクロレンズ217での集光される角度がより小さい赤色光を、赤色フィルタユニット215Rに入射する際に、より大きい角度で屈折(集光)させることができる。このため、より多くの光をフォトダイオード212に到達させることできる。その結果、受光基板21の端部において、より良好な感度特性を得ることができる。
フィルタユニット215R、215G、215Bの屈折率を上記関係に設定する場合、例えば、使用する色素(顔料)の種類及び量、色素のバインダの種類及び量等のうちの1つを選択して、フィルタユニット215R、215G、215Bを形成するための着色樹脂組成物の組成を調整するようにすればよい。
屈折率nの具体的な値は、特に限定されないが、1.7以上であることが好ましく、1.75以上であることがより好ましく、1.8以上であることがさらに好ましい。
屈折率nの具体的な値は、特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.7以上であることがさらに好ましい。
また、屈折率nの具体的な値は、特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.64以上であることがさらに好ましい。
図9は、隔壁の構成を示す概略断面図である。図10は、隔壁による光の全反射作用を説明するための模式図である。図11は、カラーフィルタと隔壁との間に接着剤層を設けた構成を示す概略断面図である。
隔壁216は、図9(a)に示す構成では、その全体が赤色フィルタユニット215Rの屈折率、緑色フィルタユニット215Gの屈折率及び青色フィルタユニット215Bの屈折率より屈折率が低い低屈折率部2161で構成されている。
かかる構成によれば、図10に示すように、光の全反射作用(光の透過防止作用)により、フィルタユニット215R、215G、215Bを通過した光は、隔壁216で反射されてフォトダイオード212に導かれるので、受光基板21(固体撮像素子2)の感度特性がより向上する。
フィルタユニット215R、215G、215Bの屈折率と隔壁216の屈折率との差をより大きくすれば、図9中に示す臨界角θCAを小さくすることができる。このため、受光基板21の感度特性がより向上し易い。
赤色フィルタユニット215Rの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、緑色フィルタユニット215Gの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、青色フィルタユニット215Bの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、各フィルタユニットの屈折率(n、n、n)と隔壁216の屈折率との差は、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。この場合、臨界角θCAをより小さくすることができ、隔壁216の光の全反射特性をより高めることができる。
隔壁216の屈折率の具体的な値は、特に限定されないが、波長450nmの光に対する屈折率が1.44以下であることが好ましく、1.42以下であることがより好ましく、1.4以下であることがさらに好ましい。
図10に示すように、隔壁216の幅Wは、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上280nm以下であることがより好ましく、50nm以上260nm以下であることがさらに好ましい。この場合、光の全反射作用が劣化するのを防止又は抑制するとともに、隔壁216の機械的強度を維持しつつ、良好な画素サイズ(フォトダイオード212のサイズ)を確保することができる。
また、図10に示すように、隔壁216の高さ(厚さ)Hは、カラーフィルタ215の厚さ(T、T、T)より薄く形成され、0.52μm以下であることが好ましい。このように、隔壁216がカラーフィルタ215より薄く形成され、その上面をカラーフィルタ215が覆うことにより、上述したような白色光混色の抑制が可能となり、且つ受光基板21を十分に低背化することもできる。
隔壁216の構成材料としては、樹脂材料と無機粒子とを含む樹脂組成物が好適に使用される。
樹脂材料としては、例えば、シロキサン樹脂、フッ素系樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、SiO粒子、SiOC粒子、中空シリカ粒子、金属フィラー、炭素粒子(例えば、カーボンブラック)等から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも。隔壁216の強度を高める観点から、無機粒子にはシリカ粒子が好適に使用される。これらの中でも。隔壁216の強度を高め、且つ屈折率を低くできることから、無機粒子には中空シリカ粒子が特に好適に使用される。
隔壁216は、図9(b)に示すように、低屈折率部2161と絶縁膜213(基板211)との間に遮光膜1612を有する構成であってもよい。すなわち、隔壁216は、その少なくとも基板211と反対側に、低屈折率部2161を有していればよい。
遮光膜1612を設けることにより、所定のカラーフィルタ215を通過した光が、本来導入されるべきフォトダイオード212に隣接するフォトダイオード212に導入されること(混色)を効果的に防止することができる。
遮光膜1612の構成材料としては、例えば、アルミニウム、タングステン、銅等から選択される少なくとも1種が挙げられる。
隔壁216は、図9(c)に示すように、金属製の芯部2163と、芯部2163を被覆する低屈折率部2161とを有する構成であってもよい。
芯部2163を設けることによっても、所定のカラーフィルタ215を通過した光が、本来導入されるべきフォトダイオード212に隣接するフォトダイオード212に導入されること(混色)を効果的に防止することができる。
芯部2163の構成材料は、遮光膜2162の構成材料と同様とすることができる。
カラーフィルタ215の厚さは、図9(d)~(f)に示すように、隔壁216の高さとほぼ等しいか、又は若干小さく設定してもよい。この場合、受光基板21(固体撮像素子2)を低背化(高さを低く)することができる。
ただし、上述したように、隔壁216が、例えば、透光性を有する場合には、図5(c)に示すように、隔壁216を通過して、隣接するフォトダイオード212に白色入射光による混色が生じることがある。このため、図9(d)~(f)に示すように、隔壁216の構成(構造)を採用することが好適である。この場合、白色光混色の発生を防止又は抑制することができる。
図11に示すように、カラーフィルタ215と隔壁216との間には、接着層218を設けるようにしてもよい。本実施形態では、接着層218は、カラーフィルタ215と隔壁216との間のみならず、カラーフィルタ215と絶縁膜213との間に連続して設けられている。
接着層218を設けることにより、カラーフィルタ215の基板211からの剥離(離脱)を好適に防止することができる。
かかる接着層218は、例えばエポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤等で構成することができる。
接着層218の厚さは、特に限定されないが、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。かかる厚さの接着層218であれば、光の透過を減衰させることなく、且つ受光基板21(固体撮像素子2)を低背化して、その感度特性をより向上させることができる。さらには、カラーフィルタ215の基板211からの剥離(離脱)をより確実に防止することができる。
以上のような受光基板21において、カラーフィルタ215の配置パターンは、例えば、次のようにすることができる。
図12は、カラーフィルタの配置パターンを模式的に示す平面図である。
カラーフィルタ215の配置パターンは、ストライプ配列(図12(a)参照)、モザイク配列(図12(b)参照)、ベイヤー配列(図12(c)及び(d)参照)等とすることができる。
これらの中でも、カラーフィルタ215の配置パターンは、ベイヤー配列を採用することが好ましく、図12(d)に示す画素加算構造を採用することがより好ましい。
ここで、画素加算構造とは、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bのうちの同一色のフィルタユニットを、図11中の左右方向(第1の方向)及び左右方向に直交する上下方向(第2の方向)の双方に沿って、2個以上且つ自然数の2乗個で連続して配置する構造である。図12(d)に示す画素加算構造では。同一色のフィルタユニットを4個(2個×2個)配置されている。
かかる画素加算構造によれば、固体撮像素子2において、高感度及び高解像度の両立を実現することができる。
例えば、夜景の撮影時のような低照度下での撮影時には、隣接する4画素分の信号を加算して、1画素を4倍相当に拡大する。このように隣接画素を加算することにより、解像度の劣化を防止しつつ、加算をアナログ領域で行うことによりノイズの低減を図ることができる。これにより、低照度下の撮影でも、固体撮像素子2の感度を高め、低ノイズで明るい写真や動画の撮影が可能となる。
一方、日中屋外での撮影のような通常の撮影時には、高度な配列変換処理(リモザイク)により、図12(c)に示す通常のベイヤー配列の場合と同等の解像度を確保することもできる。
<固体撮像素子の製造方法>
次に、本発明の固体撮像素子の製造方法について説明する。
図13は、本発明の固体撮像素子の製造方法の第1実施形態を示す概略図である。図14は、本発明の固体撮像素子の製造方法の第2実施形態を示す概略図である。図15は、マイクロレンズの形成方法を示す概略図である。
図13及び図14では、図12(c)に示す構造のベイヤー配列のカラーフィルタ215を形成する場合について説明する。
<<第1実施形態>>
第1実施形態の固体撮像素子の製造方法では、赤色フィルタユニット215R、青色フィルタユニット215B及び緑色フィルタユニット215Gを、この順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する場合について説明する(図13参照)。ただし、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bを形成する順序は、任意である。
[1]まず、複数のフォトダイオード212、絶縁膜213及び複数のフォトダイオード212を区画する隔壁216を有する基板211を用意する。
[2]次に、隔壁216で画成された空間に充填するとともに、隔壁216の上面(基板211と反対側の面)を覆うようにカラーフィルタ215を形成する。
[2-1]まず、固体撮像素子2の赤色画素を形成すべき領域に、赤色フィルタユニット215Rをフォトリソグラフィ法により形成する。
赤色フィルタユニット215Rは、例えば、赤色感光性樹脂組成物のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光装置や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、赤色フィルタユニット215Rのパターニング精度が向上する。
露光光の照射量(露光量)は、30J/cm以上1,500mJ/cm以下であることが好ましく、50mJ/cm以上1,000mJ/cm以下であることがより好ましく、50mJ/cm以上500mJ/cm以下であることがさらに好ましい。この場合、低エネルギーで、安定的に赤色フィルタユニット215Rを形成することができる。
露光時の雰囲気は、低酸素雰囲気下(例えば、酸素濃度が19体積%以下、15体積%以下、5体積%以下、実質的に無酸素)であってもよく、高酸素雰囲気下(例えば、酸素濃度が21体積%以上、22体積%以上、30体積%以上、50体積%以上)であってもよい。
また、露光光の照度は、1,000W/m以上100,000W/m以下の範囲(例えば、5,000W/m、15,000W/m、35,000W/m)から選択することができる。
未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、未露光部の着色樹脂組成物が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残存する。
現像液は、フォトダイオード212や回路等にダメージを与え難い有機アルカリ現像液が好ましい。
現像液の温度は、20℃以上30℃以下であることが好ましく、現像時間は、20秒以上180秒以下であることが好ましい。
現像液に使用可能なアルカリとしては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5、4、0]-7-ウンデセンのような有機アルカリが挙げられる。
現像液におけるアルカリの濃度は、0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。溶媒には、純水のような各種水が好適に使用される。
また、アルカリには、無機アルカリを使用することもできる。無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム等が挙げられる。
また、現像液には、界面活性剤を添加するようにしてもよい。界面活性剤の例としては、後述する分散剤として例示する界面活性剤と同様の化合物が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
なお、このようなアルカリ現像液を使用した場合、一般に、現像後、純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
現像後、乾燥を施した後に、赤色フィルタユニット215Rの硬化を促進するための加熱処理であるポストベークを行うことも好ましい。
ポストベークは、現像後の塗膜を、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機のような加熱手段を使用して、連続式又はバッチ式で行うことができる。
また、加熱温度は、100℃以上240℃以下であることが好ましい。
かかるポストベークを行うことにより、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bを形成する際に、赤色フィルタユニット215Rにダメージが生じるのを防止又は低減することができる。
[2-2]次いで、固体撮像素子2の青色画素を形成すべき領域に、青色フィルタユニット215Bをフォトリソグラフィ法により形成する。
青色フィルタユニット215Bは、例えば、青色感光性樹脂組成物のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光装置や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、青色フィルタユニット215Bのパターニング精度が向上する。
青色フィルタユニット215Bの形成条件等は、赤色フィルタユニット215Rの形成条件等と同様に設定することができる。
[2-3]その後、固体撮像素子2の緑色画素を形成すべき領域に、緑色フィルタユニット215Gをフォトリソグラフィ法により形成する。
緑色フィルタユニット215Gは、例えば、緑色感光性樹脂組成物のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光装置や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、緑色フィルタユニット215Gのパターニング精度が向上する。
緑色フィルタユニット215Gの形成条件等は、赤色フィルタユニット215Rの形成条件等と同様に設定することができる。
[3]次に、図15に示すように、カラーフィルタ215の上面(基板211と反対側)に、上側(カラーフィルタ215と反対側)に突出する複数の凸曲面2171を有するマイクロレンズ217を配置する。
[3-1]まず、カラーフィルタ215上に、マイクロレンズ217となるマイクロレンズ母材217aを供給する。このとき、マイクロレンズ母材217aは、カラーフィルタ215の上面の段差を埋め、それ自身の上面が実質的に平坦となるように形成される。
[3-2]その後、マイクロレンズ母材217a上に、フォトダイオード212(単位画素)に対応するパターンで、フォトレジスト220を形成する。
[3-3]次いで、フォトレジスト220を熱軟化点以上の温度で熱処理することにより熱リフローする。この熱リフローにより、フォトレジスト220は、上側に凸の半球状をなすレンズ形状のフォトレジスト220aとなる。
[3-4]次に、このフォトレジスト220aをマスクとして、マイクロレンズ母材217aをドライエッチングする。これにより、フォトレジスト220aのレンズ形状がマイクロレンズ母材217aに転写されて、マイクロレンズ217が形成される。
以上のようにして、受光基板21が形成される。
[4]次に、受光基板21の上側にスペーサ24を介してカバー基板23を接合するとともに、下側に接合基板22を接合する。これにより、固体撮像素子2が得られる。
<<第2実施形態>>
第2実施形態の固体撮像素子の製造方法では、赤色フィルタユニット215Rをフォトレジストをマスクとして用いるドライエッチング法により形成した後、青色フィルタユニット215B及び緑色フィルタユニット215Gを、この順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する場合について説明する(図14参照)。ただし、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bを形成する順序は、任意である。
[1]まず、複数のフォトダイオード212、絶縁膜213及び複数のフォトダイオード212を区画する隔壁216を有する基板211を用意する。
[2]次に、隔壁216で画成された空間に充填するとともに、隔壁216の上面(基板211と反対側の面)を覆うようにカラーフィルタ215を形成する。
[2-4]まず、基板211(絶縁膜213)の全面に、赤色熱硬化性樹脂組成物をスピン塗布した後、オーブン、ホットプレート等を使用して熱処理を行う。これにより、赤色熱硬化性樹脂組成物が硬化して、赤色フィルタユニット集合物215aが形成される。
熱処理により、塗膜の乾燥と硬化とを同時に行ってもよく、乾燥と硬化とを個別に行ってもよい。
加熱温度は、130℃以上300℃以下であることが好ましく、150℃以上280℃以下であることがより好ましく、170℃以上260℃以下であることがさらに好ましい。
また、加熱時間は、10秒以上3時間以下であることが好ましく、30秒以上2時間以下であることがより好ましく、60秒以上60分以下であることがさらに好ましい。ただし、歩留まりを考慮すると、硬化に要する加熱時間は、短時間である程好ましい。
[2-5]次いで、赤色フィルタユニット集合物215a上に、固体撮像素子2の赤色画素を形成すべき領域に対応するパターンで、フォトレジスト219を形成する。
フォトレジスト219は、例えば、フォトレジスト材料のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、フォトレジスト219のパターニング精度が向上する。
フォトレジスト219の形成条件等は、上記第1実施形態における赤色フィルタユニット215Rの形成条件等と同様に設定することができる。
[2-6]その後、フォトレジスト219をマスクとして、赤色フィルタユニット集合物215aをドライエッチングする。これにより、赤色フィルタユニット集合物215aを異方性エッチングして、赤色フィルタユニット215Rを形成得る。
エッチングガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のような希ガス、酸素(O)、塩素原子、フッ素原子、臭素原子のようなハロゲン原子を含むハロゲン化ガス(例えば、CF、C、C、C、C、C、C、CHF、CCl、CClF、AlF、AlCl等)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)等が挙げられる。これらのガスは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エッチングガスとしては、アルゴン、酸素、ハロゲン化ガス、一酸化炭素、二酸化炭素が好ましく、アルゴン、酸素、ハロゲン化ガスがより好ましく、これらを組み合わせた混合ガスがさらに好ましい。
ガス流量は、1,000sccm以下であることが好ましく、500sccm以下であることがより好ましい。
圧力としては、10Pa以下であることが好ましい。
高周波の周波数は、400kHz、60MHz、13.56MHz、2.45GHz等から選択することができる。
高周波の出力(RFパワー)は、50W以上2,000W以下であることが好ましく、100W以上1,000W以下であることがより好ましい。
処理時間は、10分以内であることが好ましく、7分以内であることがより好ましい。
モードとしては、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)、MERIE(Magnetron Reactive Ion Etching:マグネトロン反応性イオンエッチング)、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)、NLD(Neutral Loop Discharge:中性線放電)、又はECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)、DFR(Dual Frequency RIE:2周波反応性イオンエッチング)等を使用することができる。これらの中でも、モードとしては、赤色熱硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜されるが、RIE、ECR、DFR、ICPが好ましい。
[2-7]次いで、固体撮像素子2の青色画素を形成すべき領域に、青色フィルタユニット215Bをフォトリソグラフィ法により形成する。
青色フィルタユニット215Bは、例えば、青色感光性樹脂組成物のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光装置や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、青色フィルタユニット215Bのパターニング精度が向上する。
青色フィルタユニット215Bの形成条件等は、上記第1実施形態における赤色フィルタユニット215Rの形成条件等と同様に設定することができる。
[2-8]その後、固体撮像素子2の緑色画素を形成すべき領域に、緑色フィルタユニット215Gをフォトリソグラフィ法により形成する。
緑色フィルタユニット215Gは、例えば、緑色感光性樹脂組成物のピン塗布、プリベーク、露光、現像等を経て形成される。露光には、光源にi線を用いたステッパー方式の露光装置や、KrFのようなエキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置等が用いられる。エキシマレーザを用いたスキャナー方式の露光装置を使用すれば、緑色フィルタユニット215Gのパターニング精度が向上する。
緑色フィルタユニット215Gの形成条件等は、上記第1実施形態における赤色フィルタユニット215Rの形成条件等と同様に設定することができる。
[3]次に、上記第1実施形態と同様にして、マイクロレンズ217を形成する。
[4]次に、上記第1実施形態と同様にして、固体撮像素子2を得る。
<着色樹脂組成物>
次に、カラーフィルタ215の形成に使用する着色樹脂組成物について説明する。
かかる着色樹脂組成物は、顔料を含有する。
<<顔料>>
顔料としては、できる限り粒径が小さいことが好ましい。着色樹脂組成物中での分散性及び顔料のハンドリング性を考慮して、顔料の平均粒子径は、0.001μm以上0.1μm以下であることが好ましく、0.005μm以上0.05μm以下であることがより好ましい。なお、顔料は、粒子径が0.01±0.005μmの範囲にある粒子を、顔料の総質量に対して75質量%以上含むことが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、体積粒度分布において、粒子径の小さいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)を言う。平均粒子径は、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計等で測定することができる。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩のような金属化合物等が挙げられる。その具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、コバルト、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンのような金属を含む金属酸化物、前記金属を含む複合酸化物等が挙げられる。
一方、有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 11、24、31、53、83、93、99、108、109、110、138、139、147、150、151、154、155、167、180、185、199;C.I.Pigment Orange 36、38、43、71;C.I.Pigment Red 81、105、122、149、150、155、171、175、176、177、209、220、224、242、254、255、264、270;C.I.Pigment Violet 19、23、32、39;C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:3、15:6、16、22、60、66;C.I.Pigment Green 7、36、37、58、59、62、63;C.I.Pigment Brown 25、28等が挙げられる。
有機顔料は、単独で使用してもよいし、色純度を上げるため、2種以上を併用してもよい。
具体的には、赤色顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で使用するか、又はこれらのうちの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料等と併用することができる。
例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.Pigment Red 177が、ペリレン系顔料としては、C.I.Pigment Red 155、C.I.Pigment Red 224が、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.Pigment Red 254が挙げられる。
なお、色再現性の点で、赤色顔料は、C.I.Pigment Yellow 83又はC.I.Pigment Yellow 139のような黄色顔料と併用することが好ましい。
この場合、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5以上100:50以下であることが好ましく、100:10以上100:30以下であることがより好ましい。質量比が上記範囲内にあれば、赤色フィルタユニット215Rの光透過率を抑制して、色純度を向上させることができる。
また、異なる種類の赤色顔料を併用する場合、それらの質量比は、色度に併せて調整することができる。
緑色顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で使用するか、又はこれとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料又はイソインドリン系黄色顔料と併用することができる。
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、36、37、58、59、62、63等が好ましい。また、これらの緑色顔料と、黄色顔料として、例えば、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150,C.I.Pigment Yellow 180又はC.I.Pigment Yellow 185とを併用することが好ましい。
この場合、緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5以上100:150以下であることが好ましく、100:30以上100:120以下であることがより好ましい。質量比が上記範囲にあれば、緑色フィルタユニット215Gにおける400nm以上450nm以下の波長の光の透過率を抑制して、色純度を向上させることができる。
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で使用するか、又はこれとジオキサジン系紫色顔料と併用することができる。
青色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15:6とC.I.Pigment Violet 23とを併用することが好ましい。
この場合、青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0以上100:30以下であることが好ましく、100:0以上100:10以下であることがより好ましい。
更に、上記顔料を、例えば、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びエチルセルロース樹脂等に微分散させて、粉末状加工顔料を生成することにより、分散性及び分散安定性の良好な着色樹脂組成物を得ることができる。
着色樹脂組成物は、粉末状、ペースト状、ペレット状、ペースト状等の形態で好適に使用することができる。
<<色素誘導体>>
着色樹脂組成物は、必要に応じて、色素誘導体を含有することができる。色素誘導体は、有機色素残基に、酸性基、塩基性基、中性基等を有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基のような酸性基を有する化合物、又はこれらのアミン塩、スルホンアミド基、末端に3級アミノ基のような塩基性基を有する化合物、フェニル基、フタルイミドアルキル基のような中性基を有する化合物等が挙げられる。
有機色素は、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドールのようなインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾのようなアゾ系顔料等が挙げられる。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレットに記載された色素誘導体が挙げられる。
キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
酸性基を有する化合物としては、特開2004-307854号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
塩基性基を有する化合物としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。
なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物等と記載している場合があるが、前記有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基のような置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
色素誘導体は、上記化合物を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
色素誘導体の使用量は、有機顔料100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、3質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
有機顔料に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、またはソルベントソルトミリング等の微細化処理を行うことで、有機顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して有機顔料の一次粒子をより微細化することができる。
<<有機成分>>
着色樹脂組成物は、顔料の他に、有機成分を含有する。
フィルタユニットをドライエッチング法により形成する場合、すなわち着色樹脂組成物の硬化物をドライエッチング法により加工する場合、着色樹脂組成物は、有機成分として、側鎖に重合性基を有する第1の構造単位(第1の繰り返し単位)と、側鎖に酸性基又は塩基性基を有する第2の構造単位(第2の繰り返し単位)とを有する共重合体を含むことが好ましい。
かかる着色樹脂組成物は、熱及び/又は光により硬化する樹脂組成物とし得るが、硬化の均一性や、着色樹脂組成物中の顔料の含有量を高める観点からは、少なくとも熱により硬化する樹脂組成物(以下、「着色熱硬化性樹脂組成物」とも記載する。)であることが好ましい。
以下、第1の構造単位と第2の構造単位とを有する共重合体を、「硬化性共重合体」とも記載する。
第1の構造単位を含むことにより、硬化性共重合体に硬化性を付与することができ、第2の構造単位を含むことにより、硬化性共重合体による顔料の分散性を高めることができる。
このため、顔料以外の成分(分散剤、熱硬化性化合物、硬化剤等)の使用量を低減し、多量に顔料を含有する着色樹脂組成物を得ることができる。また、この着色樹脂組成物を使用して、カラーフィルタユニットを形成することにより、より一層の薄膜化が可能となる。
硬化性共重合体に重合性基を導入する方法としては、側鎖に重合性基を有するモノマーと、側鎖に酸性基又は塩基性基を有するモノマーとを共重合させる態様であってもよく、側鎖に酸性基又は塩基性基を有する共重合体に、重合性基を有する化合物を反応により付加させる態様であってもよい。これらの中でも、硬化性共重合体に重合性基を導入する方法としては、前者が好ましい。
重合性基としては、例えば、アリル基、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられ、アリル基が好ましい。
側鎖に重合性基を有するモノマーとしては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2-(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p-ビニルオキシスチレン、p-{2-(ビニルオキシ)エチル}スチレン等が挙げられ、アリルメタクリレートが好ましい。
硬化性共重合体に酸性基又は塩基性基を導入する方法としては、側鎖に酸性基又は塩基性基を有するモノマーと、側鎖に重合性基を有するモノマーとを共重合させる態様であっても、側鎖に重合性基を有する共重合体に、酸性基又は塩基性基を有する化合物を反応により付加させる態様であってもよい。これらの中でも、硬化性共重合体に酸性基又は塩基性基を導入する方法としては、前者が好ましい。
「酸性基又は塩基性基」(以下、「分散性基」とも言う。)は、各種の官能基から選択することができる。
酸性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、酸性基としては、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基、リン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
酸性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アスパラギン酸、スルホン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、アスパラギン酸が好ましい。
本発明においては、かかる酸性基を有するモノマーと、上記アリル基を有するモノマーとを共重合させた共重合体が好ましく使用される。
塩基性基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、イミダゾール基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム等が挙げられる。
塩基性基を有するモノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルラウリルアミン、N,N-ジメチルパルミチルアミンが好ましく、N,N-ジメチルパルミチルアミンがより好ましい。
本発明において、硬化性共重合体には、かかる塩基性基を有するモノマーと、上記アリル基を有するモノマーとを共重合させた共重合体が好ましく使用される。
顔料が表面に酸性基を有する場合、塩基性基(例えば、1級から3級アミノ基等)を含む硬化性共重合体が好ましく、顔料が表面に塩基性基を有する場合、酸性基(例えば、カルボキシル基等)を含む硬化性共重合体が好ましい。
上記の観点から上記共重合体は、アリル基と顔料吸着基(分散性基)とを含む共重合体がより好ましい。アリル基については、熱により重合(硬化)すればよい。熱硬化方式によれば、着色樹脂組成物を均一に硬化させ易く、開始剤も不要なことから好ましい。また、着色樹脂組成物の全固形分における顔料の含有量を高め易い。
ここで、「着色樹脂組成物の全固形分」とは、着色樹脂組成物から溶剤を除いた全成分のことを言う。
硬化性共重合体の具体例としては、例えば、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/アクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/イタコン酸共重合体、アリルメタクリレート/イタコン酸/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/メタクリル酸/P-{2-(ビニルオキシ)エチル}スチレン共重合体、ビニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性共重合体としては、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/イタコン酸共重合体が好ましい。
硬化性共重合体の重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、3,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上100,000以下であることがより好ましく、7,000以上70,000以下であることがさらに好ましい。
また、分散性基に対する重合性基の比率(重合性基/分散性基)は、モル比で、95/5以上5/95以下であることが好ましく、85/15以上15/85以下であることがより好ましく、75/25以上25/75以下であることがさらに好ましい。
着色樹脂組成物の全固形分における硬化性共重合体の含有量は、硬化性共重合体の種類によっても若干異なり、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上40質量%%以下であることがさらに好ましい。
着色樹脂組成物においては、硬化性共重合体に加えて、任意成分である後述する熱硬化性化合物を使用することもできる。この場合、着色樹脂組成物における、硬化性共重合体と熱硬化性化合物との合計での含有量は、着色樹脂組成物の全固形分(質量)に対して、50質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
有機成分は、着色樹脂組成物の塗膜(液状被膜)の厚さの調整の容易性を向上する観点等から、硬化性共重合体に加えて、硬化性共重合体以外のバインダを含んでいてもよい。本態様(ドライエッチング用途)であれは、バインダは、アルカリ可溶性であることは必要とせず、有機溶剤に可溶であればよい。
かかるバインダとしては、例えば、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体のような側鎖にカルボキシル基を有するポリマー、側鎖にカルボキシル酸を有する酸性セルロース誘導体等が挙げられる。
バインダとしては、上記の他、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させた付加物、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。
また、親水性を有するモノマーを共重合してもよい。かかるモノマーの例としては、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、2級又は3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、バインダとしては、耐熱性の観点から、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選択されるモノマーからなる共重合体が挙げられる。かかる共重合体としては、例えば、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体、ベンジルメタアクリレート/ベンジルメタアクリルアミド共重合体、KSレジスト-106(大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業株式会社製)等が好ましい。
バインダの重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1,000以上2×10以下であることが好ましく、2,000以上1×10以下であることがより好ましく、5,000以上5×10以下であることがさらに好ましい。
着色樹脂組成物は、硬化性共重合体(必要に応じてバインダ)に、顔料を高い含有量で分散させることにより、硬化膜を形成した際に下層等との密着性を付与でき、スピンコート、スリットコート時の成膜性にも寄与することができる。
本態様(ドライエッチング用途)の場合、フォトリソグラフィ法では必須成分であるモノマー(光重合性化合物)や光重合開始剤を、着色樹脂組成物に必ずしも添加する必要がない。このため、着色樹脂組成物の全固形分、換言すれば、着色樹脂組成物の硬化物であるカラーフィルタユニットにおける顔料の含有量を65質量%以上に設定することができる。これにより、カラーフィルタユニットの分光特性を高めることができる。
着色樹脂組成物における顔料の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分に対して、65質量%以上100質量%未満であることが好ましく、70質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。この場合、カラーフィルタユニットの分光特性及び色再現性が高く、着色樹脂組成物の硬化性が良好とすることができる。
<<その他の成分>>
着色樹脂組成物は、上記顔料及び有機成分以外のその他の成分を含有してもよい。
・染料
着色樹脂組成物では、上記顔料と併せて染料を使用してもよい。
染料としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンジリデン系染料、オキソノール系染料、シアニン系染料、フェノチアジン系染料、ピロロピラゾールアゾメチン系染料、キサンテン系染料、フタロシアニン系染料、ベンゾピラン系染料、インジゴ系染料等が挙げられる。
・熱硬化性化合物
着色樹脂組成物は、補助的に熱硬化性化合物を含んでいてもよい。この熱硬化性化合物としては、加熱により硬化可能であれば、特に限定されず、例えば、熱硬化性官能基を有する化合物を用いることができる。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選択される少なくとも1つの置換基を有する化合物が好ましい。
好適な熱硬化性化合物としては、(i)エポキシ樹脂、(ii)メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選択される少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(iii)メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選択される少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられる。
(ii)の化合物において、置換基の数は、メラミン化合物の場合:2個以上6個以下、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物又はウレア化合物の場合:2個以上4個以下であることが好ましく、メラミン化合物の場合:5個以上6個以下、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物又はウレア化合物の場合:3個以上4個以下であることがより好ましい。
以下、(ii)の所定の置換基で置換された化合物を、それぞれ置換メラミン化合物、置換グアナミン化合物、置換グリコールウリル化合物及び置換ウレア化合物と記載する。
置換メラミン化合物としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン又はヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1個以上5個以下がメトキシメチル化された化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン又はヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1個以下5個以下がアシロキシメチル化された化合物又はその混合物等が挙げられる。
置換グアナミン化合物としては、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン又はテトラメチロールグアナミンのメチロール基の1個以上3個以下がメトキシメチル化された化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシメチルグアナミン又はテトラメチロールグアナミンのメチロール基の1個以上3個以下がアシロキシメチル化された化合物又はその混合物等が挙げられる。
置換グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル又はテトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1個以上3個以下がメトキシメチル化された化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1個以上3個以下がアシロキシメチル化された化合物又はその混合物等が挙げられる。
置換ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア又はテトラメチロールウレアのメチロール基の1個以上3個以下がメトキシメチル化された化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
なお、(ii)の化合物は、単独で使用しても、併用してもよい。
(iii)の化合物において、置換基の数は、一分子当り少なくとも2個必要である。
かかる(iii)の化合物は、熱硬化及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位、4位の全てが置換基で置換されている化合物であることが好ましい。
また、骨格となるナフトール化合物及びヒドロキシアントラセン化合物も、フェノール性水酸基に対してオルト位及びパラ位の全てが置換基で置換されている化合物であることが好ましい。
なお、フェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても、置換基で置換されていてもよい。また、ナフトール化合物においても、フェノール性水酸基に対してオルト位以外は、未置換であっても、置換基で置換されていてもよい。
以下、(iii)のメチロール基、アルコキシメチル基又はアシロキシメチル基で置換された化合物を、それぞれメチロール基含有化合物、アルコキシメチル基含有化合物又はアシロキシメチル基含有化合物と記載する。
メチロール基含有化合物は、フェノール性水酸基に対してオルト位又はパラ位が水素原子である化合物を原料とし、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドのような塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
アルコキシメチル基含有化合物は、上記メチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸のような酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
アシロキシメチル基含有化合物は、上記メチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下、アシルクロリドと反応させることにより得られる。
(iii)における骨格化合物としては、フェノール性水酸基に対してオルト位又はパラ位が未置換のフェノール化合物、ナフトール、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられる。その具体例としては、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3-キシレノ-ル、2,5-キシレノ-ル、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、ビスフェノールAのようなビスフェノール類;4,4'-ビスヒドロキシビフェニル、TrisP-PA(本州化学工業株式会社製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、トリメチロールフェノール、トリ(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールのメチロール基の1個以上2個以下がメトキシメチル化されたた化合物、トリメチロール-3-クレゾール、トリ(メトキシメチル)-3-クレゾール、トリメチロール-3-クレゾールのメチロール基の1個以上2個以下がメトキシメチル化された化合物、ジメチロールクレゾール(例えば、2,6-ジメチロール-4-クレゾール等)、テトラメチロールビスフェノールA、テトラメトキシメチルビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAのメチロール基の1個以上3個以下がメトキシメチル化された化合物、テトラメチロール-4,4'-ビスヒドロキシビフェニル、テトラメトキシメチル-4,4'-ビスヒドロキシビフェニル、TrisP-PAのヘキサメチロール体、TrisP-PAのヘキサメトキシメチル体、TrisP-PAのヘキサメチロール体のメチロール基の1個以上5個以下がメトキシメチル化された化合物、ビスヒドロキシメチルナフタレンジオール等が挙げられる。
ヒドロキシアントラセン化合物としては、例えば、1,6-ジヒドロキシメチル-2,7-ジヒドロキシアントラセン等が挙げられる。
アシロキシメチル基含有化合物としては、例えば、上記メチロール基含有化合物のメチロール基の一部又は全部がアシロキシメチル化された化合物等が挙げられる。
これらの中でも、(iii)の化合物としては、例えば、トリメチロールフェノール、ビスヒドロキシメチル-p-クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP-PA(本州化学工業株式会社製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基との双方で置換されたフェノール化合物が好ましい。
なお、(iii)の化合物は、単独で使用しても、併用してもよい。
着色樹脂組成物における、硬化性共重合体と熱硬化性化合物との合計での含有量については、上述した通りである。
・光重合開始剤
着色樹脂組成物は、補助的に光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル-s-トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3-アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物等が挙げられる。
ハロメチルオキサジアゾール化合物としては、例えば、2-ハロメチル-5-ビニル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる。
ハロメチル-s-トリアジン系化合物としては、例えば、ビニル-ハロメチル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-ハロメチル-s-トリアジン、4-(p-アミノフェニル)-2,6-ジ-ハロメチル-s-トリアジン等が挙げられる。
光重合開始剤を使用する場合、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノン、9-アントロン、2-ブロモ-9-アントロン、2-エチル-9-アントロン、9,10-アントラキノン、2-エチル-9,10-アントラキノン、2-t-ブチル-9,10-アントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノン、キサントン、2-メチルキサントン、2-メトキシキサントン、2-エトキシキサントン、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、アクリドン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、ジベンジルアセトン、p-(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p-(ジメチルアミノ)フェニル-p-メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン、ベンゾチアゾール系化合物、5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルベンゼンプロパン酸メチル(チヌビン1130)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール(チヌビン400)等が挙げられる。
他の光重合開始剤としては、例えば、ビシナールポリケトルアルドニル化合物、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリルイミダゾールダイマー/p-アミノフェニルケトンの組み合わせ、ベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール-s-トリアジン系化合物の組み合わせ等が挙げられる。
・硬化剤
熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を使用する場合、着色樹脂組成物には、硬化剤を添加することが好ましい。
硬化剤の具体例としては、例えば、ジエチレントリアミン、メタフェニレンジアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素-モノエチルアミンコンプレックス、フェノール樹脂、ジシアンジアミド等が挙げられる。
これらの硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化する化合物である。着色樹脂組成物における硬化剤の含有量は、薄膜化のためには極力少量の方が好ましく、熱硬化性化合物に対して35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
・硬化触媒
着色樹脂組成物は、硬化触媒を含有することができる。
硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化触媒としては、例えば、イミダゾール化合物、三フッ化ホウ素錯体(特に、アミン錯体)、第三アミン類(グアニジン、ビグアニド)、チタン酸エステル、ホスフィン誘導体等を好適に使用することができる。
硬化触媒の使用量としては、エポキシ当量が150以上200以下のエポキシ樹脂に対して、質量比で、1/10以上1/1,000以下であることが好ましく、1/20以上1/500以下であることがより好ましく、1/30以上1/250以下であることがさらに好ましい。
硬化触媒の市販品としては、特に限定さればいが、例えば、イミダゾールシランシリーズ「IS-1000」、「IS-1000D」、「IM-1000」、「SP-1000」、「IA-1000A」、「IA-100P」、「IA-100F」、「IA-100AD」、「IA-100FD」、「IM-100F」、「IS-3000」、「IS-4000」(いずれもジャパンエナジー株式会社製)、「1B2PZ」、「SFZ」(いずれも四国化成株式会社製)等が挙げられる。
・溶剤
着色樹脂組成物は、水の他、少なくとも1種の溶剤を含有することができる。
溶剤は、各成分の溶解性、着色樹脂組成物の塗布性、安全性等を考慮して選択することが好ましい。
溶剤としては、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。
ケトン類の具体例としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
エステル類の具体例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
エーテル類の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
・分散剤
着色樹脂組成物には、顔料の分散性を向上させるために、分散剤を補助的に添加することができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。分散剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
例えば、主鎖に特定の酸アミド基含有モノマー及び四級アンモニウム塩モノマー残基を有するグラフト共重合体は、顔料を微分散する優れた作用を有することから、分散剤として用いることができる。グラフト共重合体を用いることにより、エネルギーや時間の消費を低減しながら顔料を微細に分散させることができる。また、分散した顔料が、時間経過しても凝集したり沈降したりすることがなく、長期にわたる分散安定性を維持することができる。
着色樹脂組成物における分散剤の含有量は、通常、顔料100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
<着色樹脂組成物の調製方法>
次に、着色樹脂組成物の調製方法の一例について説明する。
なお、以下において、硬化性共重合体(及び、必要に応じてバインダー)を「硬化性樹脂」と言うこともある。
着色樹脂組成物は、硬化性樹脂の存在下に、顔料が分散された顔料分散液を用いて好適に調製することができる。
顔料の分散方法としては、顔料粒子を微粒子化し、且つその粒子サイズ分布をシャープにした顔料を用いる方法が好適である。具体的には、平均粒子径が0.01μm程度であり、且つ粒子径が0.01±0.005μmの範囲にある顔料粒子を75質量%以上含む顔料を用いる方法が好ましい。
顔料の粒子サイズ分布を上述の範囲に調整する分散方法としては、例えば、ニーダーや二本ロール等を使用して高粘度状態で分散する乾式分散(混練分散処理)と、三本ロールやビーズミル等を使用して比較的低粘度状態で分散する湿式分散(微分散処理)とを組み合わせた分散方法が挙げられる。分散方法においては、2種以上の顔料を共分散させたり、混練分散処理時には、溶剤を使用しないか若しくは使用量をできるだけ少なくすることも好ましい。
なお、ソルベントショックを和らげるために硬化性樹脂を混練分散処理時と微分散処理時とに分けて添加(2分割使用)したりすることが好ましい。また、混練分散処理から微分散処理に移行する際に顔料粒子が再凝集するのを防止するために溶解性に優れた硬化性樹脂を用いることも好ましい。更に、微分散処理時に使用するビーズミルのビーズに高硬度のセラミックスを使用したり、粒径の小さいビーズを使用したりすることも有効である。
特に、2種以上の顔料を用い、更に2種以上の顔料を50,000mPa・s以上の高粘度状態で分散した後に、1,000mPa・s以下の低粘度状態で分散して得られた顔料を用いることが好ましい。
一般に、これらの顔料は、合成後、種々の方法で乾燥を経て供給される。通常は、水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とするため、乾燥して粉末とするには大きな熱エネルギーを付与する。そのため、顔料は、一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通である。
着色樹脂組成物の調製方法においては、まず、硬化性樹脂中で顔料が分散された顔料分散液を調製することが好ましい。
具体的には、顔料に、硬化性樹脂を混練分散処理後の粘度が50,000mPa・s以上(好ましくは、50,000mPa・s以上100,000mPa・s以下)の比較的高粘度になるように混練分散処理を施すことが好ましい。
ここで、混練分散処理は、高粘度分散であってもよいし、乾式分散であってもよい。
次いで、必要に応じて、混練分散処理後の顔料分散物に硬化性樹脂や他の分散剤等を追加添加し、微分散処理後の粘度が1,000mPa・s以下(好ましくは、100mPa・s以下)の比較的低粘度になるように微分散処理を施すことが好ましい。
なお、微分散処理は、低粘度分散であってもよいし、湿式分散であってもよい。
混練分散処理においては、溶剤の比率が被分散物に対して、0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。このように、溶剤をあまり使用せずに分散を行うと、顔料粒子の表面をビヒクルの樹脂成分を主体とした構成成分との濡れを促進させることができる。このため、顔料粒子表面が形成する界面を、顔料粒子と空気との固体/気体界面から、顔料粒子とビヒクル溶液との固体/溶液界面に変換することができる。顔料粒子の表面が形成する界面を空気から溶液に変換し混合攪拌すると、顔料を一次粒子に近い微小な状態にまで分散することができる。
このように、顔料を高度に分散させるためには、顔料粒子表面が形成する界面を空気から溶液に変換することが有効である。かかる変換には強い剪断力や圧縮力が必要である。このため、混練分散処理においては、強い剪断力や圧縮力を発揮できる混練機を使用し、被混練物として高粘度のものを使用するのが好ましい。
また、微分散処理時においては、ガラスやセラミックの微粒状の分散用メディアと共に混合攪拌することが好ましい。さらに、微分散処理時における溶剤の比率は、被分散物の20質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
微分散処理時においては、顔料粒子を微小な状態にまで均一に安定させて分布させることが必要であることから、凝集している顔料粒子に衝撃力と剪断力とを付与できる分散機を使用し、被分散物として低粘度のものを使用するのが好ましい。
このようにして得られた顔料分散液に、必要に応じて硬化触媒又は硬化剤や、更に熱硬化性化合物を添加し、必要に応じて更に溶剤を添加することで着色樹脂組成物を調製することができる。
特に、赤色樹脂組成物(赤色熱硬化性樹脂組成物)としては、顔料と樹脂とを含み、赤色樹脂組成物の不揮発分における顔料の含有量が65質量%以上95質量%以下であり、樹脂の含有量が3質量%以上35質量%以下である組成物を好適に使用することができる。
したがって、第2実施形態の固体撮像素子の製造方法により形成された赤色フィルタユニット215Rは、かかる赤色樹脂組成物の硬化物で構成される。
フィルタユニットをフォトリソグラフィ法を用いて形成する場合、上記バインダとして、アルカリ可溶性樹脂が使用される。
<<アルカリ可溶性樹脂>>
アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が5000以上100,000以下であることが好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、1,000以上20,000以下であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、「酸基」とも言う。)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。酸基は、有機溶剤に可溶で、且つ弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸由来の基が好ましい。これらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、ラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、適宜設定することができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂のようなアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等挙げられる。
特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、着色樹脂組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂は、重合性基を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。
重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(Diamond Shamrock Co.,Ltd.社製)、ビスコートR-264、KSレジスト106(いずれも、大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれも、株式会社ダイセル社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュア-RD-F8(株式会社日本触媒社製)等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂には、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマー共重合体のような多元共重合体が好適に使用される。
また、アルカリ可溶性樹脂には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したポリマー、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等も好適に使用される。
また、アルカリ可溶性樹脂の市販品としては、例えば、FF-426(藤倉化成社製)等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが特に好ましく、50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが最も好ましい。
着色樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以上12質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが最も好ましい。
なお、着色樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を1種類のみを含有してもよいし、2種類以上を含有してもよい。また、2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を含有する場合、その合計での含有量を上記範囲に調整することが好ましい。
着色樹脂組成物の特に好ましい実施態様は以下の通りである。かかる着色樹脂組成物を使用することにより、フィルタユニットの屈折率をより向上できる。
樹脂としては、芳香族カルボン酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなり、カルボキシル基を有する芳香族ポリエステル部位(X1)と、モノマーをラジカル重合して形成するビニル重合体部位(X2)を有する分散樹脂(A)が好ましい。
かかる分散樹脂(A)は、芳香族ポリエステル部位(X1)が、顔料吸着部位として作用し、ビニル重合体部位(X2)が立体反発部位として作用することで顔料の凝集を抑え、分散安定性に優れた着色樹脂組成物を調製することができる。
分散樹脂(A)において、芳香族ポリエステル部位(X1)は、複数の芳香環を有するためフィルタユニットの屈折率を向上することができる。なお、芳香族カルボン酸無水物は、芳香族テトラカルボン酸無水物又は芳香族トリカルボン酸無水物であることが好ましい。
分散樹脂(A)において、芳香族ポリエステル部位(X1)は、複数の芳香環を有するためフィルタユニットの屈折率を向上することができる。なお、芳香族カルボン酸無水物は、芳香族テトラカルボン酸無水物又は芳香族トリカルボン酸無水物であることが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸無水物を用いて分散樹脂(A)を合成すると、くし型の芳香族ポリエステル分散樹脂を合成することができる。また、芳香族トリカルボン酸無水物を用いて分散樹脂(A)を合成すると、末端に芳香族ポリエステル酸部位及びビニル重合体を有する鎖状分散樹脂を合成することができる。
着色樹脂組成物から形成された被膜を、ドライエッチング法でフィルタユニットに加工する場合、ビニル重合体部位(X2)は、熱架橋性基含有モノマー単位を含有することが好ましい。熱架橋性基を有する分散樹脂(A)は、溶剤耐性が向上する。
熱架橋性基含有モノマー単位の熱架橋性基としては、例えば、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも、熱架橋性の面で、オキセタン基及びブロックイソシアネート基が好ましい。
このような分散樹脂(A)は、例えば、下記の合成方法(1)又は(2)により合成することができる。なお、分散樹脂(A)は、特開2009-155406号公報の分散剤に準じて合成することができる。
〔合成方法(1)〕
まず、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下に、モノマーをラジカル重合してなる片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体を合成する。次に、ビニル重合体の水酸基に対して、芳香族カルボン酸無水物中の酸無水物基を反応させて、カルボキシル基を有する芳香族ポリエステル部位(X1)を形成する。これにより、分散樹脂(A)を合成することができる。
〔合成方法(2)〕
まず、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物中の水酸基に、芳香族カルボン酸無水物中の酸無水物基を反応させて、カルボキシル基を有する芳香族ポリエステル部位(X1)を形成する。次に、モノマーをラジカル重合してビニル重合体部位(X2)を形成する。これにより、分散樹脂(A)を合成することができる。
分散樹脂(A)の合成に使用する原料を説明する。
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物としては、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
ビニル重合体の合成に使用するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートのような芳香族(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレートのような複素環式(メタ)アクリレート;メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのようなアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンのようなN置換型(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドは、メタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
また、ビニル重合体の合成に使用するモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような脂肪酸ビニルも挙げられる。
また、ビニル重合体の合成に使用するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸のようなカルボキシル基含有モノマーも挙げられる。
ビニル重合体部位(X2)に熱架橋性基含有モノマー単位を導入する場合、以下のモノマーを使用することができる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オキセタン基含有モノマーとしては、例えば、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕アルキルオキセタン等が挙げられる。
その市販品としては、例えば、メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3-イル)メチル(宇部興産社製、「ETERNACOLL OXMA」)等が挙げられる。
ブロックイソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸2-(0-[1'-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が挙げられる。
その市販品としては、例えば、メタクリル酸2-(0-[1'-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(昭和電工社製、「カレンズMOI-BM」)、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(昭和電工社製、「カレンズMOI-BP」)等が挙げられる。
熱架橋性基含有モノマー単位の含有量は、ビニル重合体部位(X2)の合成に使用する全モノマー中、5~90重量%であることが好ましく、20~60重量%であることがより好ましい。熱架橋性基含有モノマー単位を適量含有することにより、分散樹脂(A)に適度な熱硬化性を付与し易い。
芳香族カルボン酸無水物に芳香族テトラカルボン酸無水物を使用すると、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物、又は片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体の水酸基と反応する。これにより、分散樹脂(A)の主鎖に顔料吸着部位となるカルボキシル基を規則的に並べることができるため、顔料の分散性を高めることができる。
また、芳香族カルボン酸無水物に芳香族トリカルボン酸無水物を使用すると、水酸基と反応してエステル結合を形成し、カルボキシル基が生成する。これにより、分子末端に芳香族カルボン酸部位及びビニル重合体部位を有する分散樹脂(A)を合成することができる。
また、テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物以外のポリカルボン酸無水物である、ジカルボン酸無水物、5個以上カルボン酸を有する化合物の無水物を併用することもできる。
芳香族カルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物のような芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、芳香族カルボン酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4'-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、芳香族トリカルボン酸としては、トリメリット酸無水物が好ましい。
芳香族カルボン酸無水物の酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有化合物中の水酸基との当量比は、酸無水物基/水酸基=0.15~1.25であることが好ましく、0.3~1であることがより好ましい。これにより、分散樹脂(A)による顔料分散性がより向上する。
分散樹脂(A)中のビニル重合体部位(X1)の重量平均分子量(Mw)は、1000以上20000以下であることが好ましく、3000以上15000以下であることがより好ましい。ビニル重合体部位(X1)が適度なMwを有することにより、分散樹脂(A)による顔料の分散安定性がより向上する。
分散樹脂(A)の酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以上170mgKOH/g以下であることがより好ましく、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。分散樹脂(A)が適度な酸価を有することにより、分散樹脂(A)による顔料の分散安定性がより向上する。
分散樹脂(A)の含有量は、着色樹脂組成物の不揮発分中、3質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。分散樹脂(A)を適量使用することにより、ドライエッジ工程の剥離液に対する耐性及び屈折率に優れ、着色樹脂組成物の分散安定性がより向上する。
本明細書において、分散樹脂及びバインダ樹脂を含む全樹脂の含有量は、着色樹脂組成物中、3質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
着色樹脂組成物は、重合性化合物を含有することができる。重合性化合物は、重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーを使用することができる。
重合性化合物は、2以上の重合性不飽和基を有する化合物が好ましい。なお、重合性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
重合性化合物は、酸基含有重合性化合物、ウレタン結合含有重合性化合物、その他重合性化合物を含み得る。
(酸基含有重合性化合物)
酸基含有重合性化合物が有する酸基としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、酸基としては、カルボキシル基が好ましい。
酸基含有重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応生成物の水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ジカルボン酸とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのエステル化物等が挙げられる。
酸基含有重合性化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートのようなモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸のようなジカルボン酸との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のようなトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
酸基含有重合性化合物の市販品としては、例えば、大阪有機社製のビスコート#2500P、及び東亞合成社製M-5300、M-5400、M-5700、M-510、M-520等が挙げられる。
(ウレタン結合含有重合性化合物)
ウレタン結合含有重合性化合物は、重合性不飽和基及びウレタン結合をそれぞれ1つ以上含有する化合物である。
ウレタン結合含有重合性化合物としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートとの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、アルコールの構造に制限はないが、多価アルコールを使用した場合、硬化塗膜の架橋度が高くなり、耐溶剤性が上がるため好ましい。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ウレタン結合含有重合性化合物の市販品としては、例えば、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のUA-160TM、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F等が挙げられる。
その他の重合性化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
その他の重合性化合物の市販品としては、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、KAYARAD R526、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD MAND、KAYARD NPGDA、KAYARAD R-167、KAYARAD HX-220、KAYARAD R-551、KAYARAD R712、KAYARAD R-604、KAYARAD R-684、KAYARAD GPO-303、KAYARAD TMPTA、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPEA-12、KAYARAD DPHA-2C、KAYARAD D-310、KAYARAD D-330、KAYARAD DPCA-20、KAYARAD DPCA-30、KAYARAD DPCA-60、KAYARAD DPCA-120、及び東亞合成社製のM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、ビスコート#335HP、ビスコート#700、ビスコート#295、ビスコート#330、ビスコート#360、ビスコート#GPT、ビスコート#400、ビスコート#405、新中村化学社製のA-9300等が挙げられる。
重合性化合物の含有量は、着色樹脂組成物の不揮発中、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、着色樹脂組成物をフォトリソグラフィ法と組み合わせて使用する場合、着色樹脂組成物は、上記重合性化合物を含有することが好ましいが、着色樹脂組成物をドライエッチング法と組み合わせて使用する場合、着色樹脂組成物は、上記重合性化合物を含有しないことが好ましい。
また、このような重合性化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
赤色樹脂組成物の調製に使用する赤色顔料は、固体撮像素子2に対応する分光特性及び屈折率を高める観点から、芳香環を有する化合物が好ましい。
また、赤色フィルタユニットの色調を調整するため赤色顔料に加え、黄色顔料等を併用することができる。
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296等が挙げられる。これらの中でも、屈折率、耐光性、耐熱性、透明性に優れることから、赤色顔料としては、芳香環を有する顔料であるC.I.ピグメントレッド177、254、269が好ましい。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233等が挙げられる。これらの中でも、黄色顔料としては、芳香環を有する顔料であるC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231、233が好ましい。さらに、屈折率が高いことからC.I.ピグメントイエロー139、185を含むことが特に好ましい。
顔料の含有量は、赤色樹脂組成物の不揮発分中、65質量%以上95質量%以下であることが好ましく、75質量%以上90質量%以下であることが好ましい。顔料の含有量が上記範囲内にあれば、赤色フィルタユニット215Rの屈折率がより向上する。
赤色顔料と黄色顔料との質量比は、60:40以上90:10以下であることが好ましく、70:30以上85:15以下であることがより好ましい。質量比が上記範囲内にあれば、赤色フィルタユニット215Rの光透過率の低下を抑制して、色純度を向上させることができる。
また、異なる種類の赤色顔料を併用する場合、それらの質量比は、色度に併せて調整することができる。
赤色フィルタユニット215Rを形成する赤色樹脂組成物は、不揮発分中、顔料を65質量%以上95質量%以下、樹脂を3質量%以上35質量%以下含むことが好ましい。顔料の含有量は70質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。また、樹脂の含有量は、7質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
赤色樹脂組成物は、その不揮発分中、芳香環を含有する化合物を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましい。芳香環を含有する化合物は、樹脂、顔料、色素誘導体、その他添加剤を含む。
赤色樹脂組成物を使用してドライエッチング法で赤色フィルタユニット215Rを形成する場合、顔料、分散樹脂等を含む組成物が好ましい。なお、分散樹脂は、熱架橋性基を含有することが好ましい。
また、同じくフォトリソグラフィ法で赤色フィルタユニット215Rを形成する場合、顔料、分散樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、重合性化合物等を含む組成物が好ましい。
以上、固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法及び電子機器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の固体撮像素子及び電子機器は、それぞれ、同様の機能が発揮される任意の構成と置換されてもよく、任意の目的の機能を発揮する構成を追加するようにしてもよい。
また、本発明の固体撮像素子の製造方法は、同様の効果が発揮される任意の工程と置換されてもよく、任意の目的の工程を追加するようにしてもよい。
また、カメラモジュール100は、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット、パーソナルコンピュータのような電子デバイスに搭載することができる。なお、固体撮像素子2を、直接、電子デバイスに作り込むようにしてもよい。この場合、電子デバイスが本発明の電子機器に相当する。
なお、上記実施形態では、カラーフィルタ215は、隔壁216の上面(基板211と反対側の面)の全体を覆うか、又は隔壁216の上面を覆うことなく、かつその厚さが隔壁216の高さとほぼ等しく設定されているが、図16に示す構成とすることもできる。
図16は、カラーフィルタと隔壁との関係を示す概略図である。
図16(a)に示す構成では、隔壁216の上面の一部がカラーフィルタ215で覆われている。すなわち、カラーフィルタ215は、好ましくは隔壁216の上面の少なくとも一部を覆うように設けられていればよい。したがって、カラーフィルタ215は、カラーフィルタ215を形成する工程において、好ましくは隔壁216の上面の少なくとも一部を覆うように形成される。
また、図16(b)に示す構成では、隔壁216の上面がカラーフィルタ215で覆われず、かつカラーフィルタ215の厚さが隔壁216の高さより大きい。すなわち、カラーフィルタ215は、隔壁216の上面を覆っていても、覆っていなくてもよく、後者の場合、カラーフィルタ215の厚さは、隔壁216の高さより大きくてもよく、ほぼ等しくてもよく、若干小さくてもよい。
図16(a)及び(b)に示す構成のいずれの場合も、白色光混色を防止又は抑制すべく、隔壁216には、図9に示す構成を採用することが好適である。
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
(1)固体撮像素子であって、基板と、前記基板の一方の面側に設けられた、複数のフォトダイオード及び前記複数のフォトダイオードを区画する隔壁と、前記隔壁で画成された空間に充填されたカラーフィルタと、前記カラーフィルタの前記基板の反対側に設けられ、前記カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズとを備え、前記カラーフィルタは、前記複数のフォトダイオードにそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット、緑色フィルタユニット及び青色フィルタユニットを有し、前記赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、前記緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、前記青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足する、固体撮像素子。
(2)上記(1)に記載の固体撮像素子において、前記カラーフィルタは、前記隔壁の前記基板と反対側の面の少なくとも一部を覆うように設けられている、固体撮像素子。
(3)上記(1)又は(2)に記載の固体撮像素子において、前記カラーフィルタの屈折率は、前記マイクロレンズの屈折率より大きい、固体撮像素子。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、前記赤色フィルタユニットは、顔料と樹脂とを含む赤色樹脂組成物の硬化物で構成され、前記赤色樹脂組成物の不揮発分における前記顔料の含有量が65質量%以上95質量%以下であり、前記樹脂の含有量が3質量%以上35質量%以下である、固体撮像素子。
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、厚さが0.55μmの前記赤色フィルタユニットは、その波長620nmの光の透過率が80%以上、波長530nmの光の透過率が10%以下、波長650nmの光に対する屈折率が1.8以上である、固体撮像素子。
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、前記赤色フィルタユニットの厚さは、前記緑色フィルタユニットの厚さ及び前記青色フィルタユニットの厚さと同一か又は薄く、且つそれらの最大値が0.55μm以下である、固体撮像素子。
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、前記赤色フィルタユニット、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットのうちの同一色の前記フィルタユニットは、第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向の双方に沿って、2個以上且つ自然数の2乗個で連続して配置されている、固体撮像素子。
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、前記隔壁は、その少なくとも前記基板と反対側に、前記赤色フィルタユニットの屈折率、前記緑色フィルタユニットの屈折率及び前記青色フィルタユニットの屈折率より屈折率が低い低屈折率部を有する、固体撮像素子。
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、前記隔壁は、さらに前記低屈折率部と前記基板との間に遮光膜を有する、固体撮像素子。
(10)固体撮像素子の製造方法であって、複数のフォトダイオード及び前記複数のフォトダイオードを区画する隔壁を有する基板を用意する工程と、前記隔壁で画成された空間に充填するようにカラーフィルタを形成する工程と、前記カラーフィルタの前記基板の反対側に、前記カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズを配置する工程とを備え、前記カラーフィルタは、前記複数のフォトダイオードにそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット、緑色フィルタユニット及び青色フィルタユニットを有し、前記赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、前記緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、前記青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足する、固体撮像素子の製造方法。
(11)上記(10)に記載の固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程において、前記カラーフィルタを、前記隔壁の前記基板と反対側の面の少なくとも一部を覆うように形成する、固体撮像素子の製造方法。
(12)上記(10)又は(11)に記載の固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程において、前記赤色フィルタユニット、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットを、任意の順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する、固体撮像素子の製造方法。
(13)上記(10)又は(11)に記載の固体撮像素子の製造方法において、前記カラーフィルタを形成する工程において、前記赤色フィルタユニットをフォトレジストをマスクとして用いるドライエッチング法により形成した後、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットを、任意の順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する、固体撮像素子の製造方法。
(14)電子機器であって、上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の固体撮像素子を有する、電子機器。
もちろん、この限りではない。
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、実施例により本発明を説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
実施例に先立ち、顔料の平均一次粒子径、分散粒子径、樹脂の平均分子量、及び樹脂の酸価の測定方法の計算方法について説明する。
1.測定方法
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から一次粒子の大きさを直接計測する一般的な方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
(分散粒子径)
動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を5nm刻みに数値を丸めて平均径とした。測定用の希釈溶剤は分散体に使用した溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定した。
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35mL/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20μL注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5g以上1g以下に、アセトン80mL及び水10mLを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度とから、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
2.分散樹脂(A)液の製造
(分散樹脂(A-1)液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート90部、n-ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート60部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を80℃に加熱して、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール12部に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.12部を溶解した溶液を添加して、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで、不揮発分40質量%に調整し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量10000の分散樹脂(A-1)液を得た。
(分散樹脂(A-2)液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(宇部興産社製、「ETERNACOLL OXMA」)54部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20部、t-ブチルメタクリレート80部、t-ブチルアクリレート36部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を80℃に加熱して、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール12部に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.12部を溶解した溶液を添加して、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで、不揮発分40質量%に調整し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量18000の分散樹脂(A-2)液を得た。
(分散樹脂(A-3、A-4)液の製造)
表1に記載の組成に変更した以外は、上記分散樹脂(A-1)液と同様に合成・調整し、分散樹脂(A-3、A-4)液を得た。
(分散樹脂(A-5)液の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、トリメリット酸無水物6部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、ジメチルベンジルアミン0.4部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。
さらに、t-ブチルアクリレート60部、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(宇部興産社製、「ETERNACOLL OXMA」)40部、メタクリル酸10部、エチルアクリレート90部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.12部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に不揮発分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。
不揮発分測定で不揮発分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、不揮発分当たりの酸価40mgKOH/g、重量平均分子量(Mn)9,000の分散樹脂(A-5)液を得た。
<表1中の略語>
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
n-BA:n-ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
2-MTA:メトキシエチルアクリレート
OXMA:メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(宇部興産社製、「ETERNACOLL OXMA」)
MOI-BM:2-[0-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(昭和電工社製:カレンズMOI-BM)
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
t-BMA:tert-ブチルメタクリレート
t-BA:tert-ブチルアクリレート
AIBN:2,2'-アゾビスイソブチロニトリル
PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PMA:ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)
TMA:トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社製)
DBU:1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(サンアプロ株式会社製)
3.塩基性色素誘導体の準備
下記の通りの塩基性色素誘導体を準備した。
(塩基性色素誘導体(1))
(塩基性色素誘導体(2))
(塩基性色素誘導体(3))
4.着色剤(顔料)の製造
(着色剤(PR-1))
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド 254(BASFジャパン社製、「B-CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。
次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。
その後、85℃で一昼夜乾燥し、着色剤(PR-1)190部を得た。
(着色剤(PR-2))
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド 177(シニック社製「シニレックスレッド SR3C」)500部、塩化ナトリウム500部、及びジエチレングリコール250部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、120℃で8時間混練した。
次に、この混練物を温水5Lに投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。
その後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(PR-2)を得た。
(着色剤(PR-3))
C.I.ピグメントレッド269(PR269)(クラリアント社製、「Toner Magenta F8B」)100部、塩化ナトリウム800部、及びジエチレングリコール180部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で5時間混練した。
次に、この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩及び溶剤を除いた。
その後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(PR-3)を得た。
(着色剤(PY-1))
C.I.ピグメントイエロー139(BASFジャパン社製、「イルガフォアイエロー 2R-CF」)100部、塩化ナトリウム1200部、及びジエチレングリコール120部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で6時間混練した。
次に、この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。
その後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(PY-1)を得た。
(着色剤(PY-2))
金属錯体系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー 150(ランクセス社製、「Yellow Pigment E4GN」)100部、塩化ナトリウム1600部、及びジエチレングリコール190部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
次に、この混合物を温水3Lに投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除いた。
その後、80℃で1昼夜乾燥し、着色剤(PY-2)を得た。
(着色剤(PY-3))
特開2017-171915号公報に記載された合成方法に従い、アゾバルビツール酸前駆体を調製した(インストラクション1)。
85℃で蒸留水1100部中に、ジアゾバルビツール酸46.2部、及びバルビツール酸38.4部を導入した。次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて、そのpHを約pH5に調節し、90分間撹拌を続けた。
次いで、インストラクション1で調製したアゾバルビツール酸(0.3モル)を、82℃で、蒸留水1500部と混合した。次いで、30%塩酸10部を滴下により添加して、pHを2以上2.5以下に調節した。
その後、メラミン79.4部(0.63モル)を添加した。次いで、0.225モルの25%塩化ニッケルと0.075モルの25%塩化亜鉛との混合溶液を滴下により添加した。82℃で3時間経過してから、水酸化カリウム水溶液を用いて、pHを約5.5に調節した。これに続けて、90℃で、蒸留水約100部を用いて希釈した。
次いで、30%塩酸21部を滴下により添加し、12時間、90℃の温度を保った。次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて、pHを約5に調節した。
次いで、サクションフィルター上で顔料を単離し、洗浄し、真空乾燥キャビネット内で、80℃で乾燥させ、かつ標準的な実験室用ミルの中で2分間かけて磨砕した。
以上のようにして、亜鉛/ニッケルアゾバルビツール酸のメラミンアダクト、25モル%Zn及び75モル%ニッケルの成分を有するハイブリッド化合物を得た。
上記ハイブリッド化合物100部、色素誘導体(d-1)を10部、塩化ナトリウム1000部、及びジエチレングリコール120部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で8時間混練した。
次に、この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩及び溶剤を除いた。
その後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(PY-3)を得た。
(着色剤(PY-4))
C.I.ピグメントイエロー 185(BASFジャパン社製、「Paliotol Yellow L 1155」)50部、塩化ナトリウム250部、及びジエチレングリコール25部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、100℃で6時間混練した。
次に、この混練物を温水5Lに投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。
その後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(PY-4)を得た。
(着色剤(PG-1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製、「FASTGEN GREEN A110」)100部、塩化ナトリウム1200部、及びジエチレングリコール120部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で6時間混練した。
次に、この混練物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。
その後、80℃で一昼夜乾燥し、着色剤(PG-1)97部を得た。
(着色剤(PB-1))
青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製、「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール100部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
次に、この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩及び溶剤を除いた。
その後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(PB-1)98部を得た。
(着色剤(PV-1))
紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー社製、「LIONOGEN VIOLET FG-6140」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール100部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
次に、この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して食塩及び溶剤を除いた。
その後、80℃で24時間乾燥し、着色剤(PV-1)95部を得た。
以下の表2に、各微細化した着色剤の平均一次粒子径(nm)を示す。
5.着色組成物(単色)の製造
[製造例1]
(着色組成物(R-1)の製造)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製、「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した。
その後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発分が25質量%の着色組成物(R-1)を作製した。
着色剤(PR-1)(微細化顔料) :23.9部
分散樹脂(A-1)液(不揮発分40.0質量%):2.25部
塩基性色素誘導体(1) :0.18部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):73.7部
[製造例2~16]
(着色組成物(R-2~16)の製造)
表3に示す組成に変更した以外は、着色組成物(R-1)と同様にして、着色組成物(R-2~R16)を調製した。
6.感光性着色組成物の製造
[製造例1]
(感光性着色組成物(X-1))
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して、感光性着色組成物(X-1)を得た。
着色組成物(R-1)(不揮発分:25.0質量%) :43.33部
着色組成物(R-9)(不揮発分:25.0質量%) :10.83部
分散樹脂(A-1)液(不揮発分:40.0質量%) :8.1部
光重合性化合物(B) :2.8部
光重合開始剤(C) :0.4部
レベリング剤(不揮発分:3質量%) :0.67部
PGMAc :33.87部
[製造例2]
(感光性着色組成物(X-2))
組成を表4に記載した通りに変更した以外は、製造例1と同様に行って感光性着色組成物(X-2)を製造した。
上記で使用した光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)及びレベリング剤は、以下の通りである。
(光重合性化合物(B))
以下の(B-1)~(B-7)をそれぞれ同量にて混合して、光重合性化合物(B)とした。
(B-1)トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM309」)
(B-2)ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM402」)
(B-3)多塩基酸性アクリルオリゴマー(東亞合成社製、「アロニックスM520」)
(B-4)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「KAYARAD DPCA-30」)
(B-5)下記方法で製造した多官能ウレタンアクリレート
内容量1Lの5つ口反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート432g及びヘキサメチレンジイソシアネート84gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(B-5)を含む反応生成物を得た。
反応生成物に占める多官能ウレタンアクリレート(B-5)の割合は、70質量%であり、残部が他の光重合性モノマーで占められている。
なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
(B-6)2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(新中村化学社製、「ABE-300」)
(B-7)エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学社製、「A-9300」)
(光重合開始剤(C))
以下の(C-1)~(C-8)をそれぞれ同量にて混合して、光重合開始剤(C)とした。
(C-1)2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASFジャパン社製、「イルガキュア907」)
(C-2)2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(BASFジャパン社製、「イルガキュア379」)
(C-3)2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、「ルシリンTPO」)
(C-4)2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4',5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾール(黒金化成社製、「ビイミダゾール」)
(C-5)p-ジメチルアミノアセトフェノン(ダイキファイン社製、「DMA」)
(C-6)エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン社製、「イルガキュアOXE02」)
(C-7)1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(BASFジャパン社製、「イルガキュア2959」)
(C-8)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、「イルガキュア819」)
(レベリング剤)
レベリング剤は、ビックケミー社製「BYK-330」1部、DIC社製「メガファックF-551」1部、及び花王社製「エマルゲン103」1部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97部に溶解させた混合溶液である。
7.熱硬化性着色組成物の製造
[製造例3]
(熱硬化性着色組成物(X-3))
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して、熱硬化性着色組成物(X-3)を得た。
着色組成物(R-3)(不揮発分:25.0質量%) :53.33部
着色組成物(R-10)(不揮発分:25.0質量%) :13.33部
分散樹脂(A-2)液(不揮発分:40.0質量%) :8.28部
レベリング剤(不揮発分:3質量%) :0.67部
PGMAc :24.38部
なお、レベリング剤は、上記と同様である。
[製造例4~18]
(熱硬化性着色組成物(X-4~X-18))
組成を表5に記載した通りに変更した以外は、製造例3と同様に行って熱硬化性着色組成物(X-4~X-18)を製造した。
8.着色組成物の評価
各試験を下記の方法で行った。
<分光測定>
実施例及び比較例の着色組成物を、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒乾燥(プリベーク)した。その後、ホットプレートを用いて250℃で5分間、加熱(ポストベーク)して、厚さ0.55μmの膜を作製した。
膜の厚さは、膜の一部を削ってガラス基板表面を露出し、ガラス基板表面と膜との間の段差を、触針式段差計(BRUKER社製、「DektakXT」)を用いて測定することにより求めた。
その後、UV-Vis-NIR分光光度計(アジレントテクノロジー社製、「Cary 5000」)を用いて、得られた膜に対する波長530nm及び620nmの光の透過率を測定した。
そして、以下の評価基準に従って、光の透過率を評価した。
[評価基準]
・波長530nmの光
〇:透過率が10%以下であった。
×:透過率が10%を超えた。
・波長620nmの光
〇:透過率が80%を超えた。
×:透過率が80%以下であった。
<屈折率測定>
実施例及び比較例の着色組成物を、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒乾燥(プリベーク)した。その後、ホットプレートを用いて250℃で5分間、加熱(ポストベーク)して、厚さ0.55μmの膜を作製した。
膜の厚さは、膜の一部を削ってガラス基板表面を露出し、ガラス基板表面と膜との間の段差を、触針式段差計(BRUKER社製、「DektakXT」)を用いて測定することにより求めた。
その後、エリプソメーター(J.A. Woollam Japan社製、「M-2000D」)を用いて、得られた膜に対する波長650nmの光の屈折率を測定(1.2eV以上7.0eV以下)した。
得られた結果を、以下の表6~表8に示す。
100 :カメラモジュール
B :可撓性配線基板
C :コネクタ
1 :カメラ本体
2 :固体撮像素子
21 :受光基板
210 :単位画素
211 :基板
212 :フォトダイオード
213 :絶縁膜
215 :カラーフィルタ
215R :赤色フィルタユニット
215G :緑色フィルタユニット
215B :青色フィルタユニット
215a :赤色フィルタユニット集合物
216 :隔壁
2161 :低屈折率部
2162 :遮光膜
2163 :芯部
217 :マイクロレンズ
2171 :凸曲面
217a :マイクロレンズ母材
218 :接着層
219 :フォトレジスト
220 :フォトレジスト
220a :フォトレジスト
22 :接合基板
221 :基板
222 :ビア
223 :接続端子
23 :カバー基板
24 :スペーサ
3 :光学系
31 :筐体
311 :開口
32 :第1の凸レンズ
33 :第2の凸レンズ
34 :赤外線カットフィルタ
35 :接合部
4 :接合部
H :高さ
W :幅
X :中央部
Y :端部

Claims (14)

  1. 固体撮像素子であって、
    基板と、
    前記基板の一方の面側に設けられた、複数のフォトダイオード及び前記複数のフォトダイオードを区画する隔壁と、
    前記隔壁で画成された空間に充填されたカラーフィルタと、
    前記カラーフィルタの前記基板の反対側に設けられ、前記カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズとを備え、
    前記カラーフィルタは、前記複数のフォトダイオードにそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット、緑色フィルタユニット及び青色フィルタユニットを有し、各色の前記フィルタユニットは、その厚さが0.2μm以上0.55μm以下であり、
    前記赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、前記緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、前記青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足し、
    厚さが0.55μmの赤色フィルタユニットを作製したとき、該赤色フィルタユニットは、その波長620nmの光の透過率が80%以上、波長530nmの光の透過率が10%以下、波長650nmの光に対する屈折率が1.8以上である、固体撮像素子。
  2. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記各色のカラーフィルタは、その厚さが0.3μm以上0.5μm以下である、固体撮像素子。
  3. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記厚さが0.55μmの赤色フィルタユニットは、その620nmの光の透過率が85%以上、波長650nmの光に対する屈折率が1.85以上である、固体撮像素子。
  4. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記赤色フィルタユニットは、顔料と樹脂とを含む赤色樹脂組成物の硬化物で構成され、前記赤色樹脂組成物の不揮発分における前記顔料の含有量が65質量%以上95質量%以下であり、前記樹脂の含有量が3質量%以上35質量%以下である、固体撮像素子。
  5. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    当該固体撮像素子の端部において、前記各色のフィルタユニット及び前記マイクロレンズの各前記凸曲面の、各前記フォトダイオードに対する面内方向での位置関係が、当該固体撮像素子の中央部における位置関係と一致している、固体撮像素子。
  6. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記赤色フィルタユニットの厚さは、前記緑色フィルタユニットの厚さ及び前記青色フィルタユニットの厚さと同一か又は薄く、且つそれらの最大値が0.55μm以下である、固体撮像素子。
  7. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記赤色フィルタユニット、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットのうちの同一色の前記フィルタユニットは、第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向の双方に沿って、2個以上且つ自然数の2乗個で連続して配置されている、固体撮像素子。
  8. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記隔壁は、その少なくとも前記基板と反対側に、前記赤色フィルタユニットの屈折率、前記緑色フィルタユニットの屈折率及び前記青色フィルタユニットの屈折率より屈折率が低い低屈折率部を有する、固体撮像素子。
  9. 請求項に記載の固体撮像素子において、
    前記隔壁は、さらに前記低屈折率部と前記基板との間に遮光膜を有する、固体撮像素子。
  10. 固体撮像素子の製造方法であって、
    複数のフォトダイオード及び前記複数のフォトダイオードを区画する隔壁を有する基板を用意する工程と、
    前記隔壁で画成された空間に充填するようにカラーフィルタを形成する工程と、
    前記カラーフィルタの前記基板の反対側に、前記カラーフィルタと反対側に突出する複数の凸曲面を有するマイクロレンズを配置する工程とを備え、
    前記カラーフィルタは、前記複数のフォトダイオードにそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット、緑色フィルタユニット及び青色フィルタユニットを有し、各色の前記フィルタユニットは、その厚さが0.2μm以上0.55μm以下であり、
    前記赤色フィルタユニットの波長650nmの光に対する屈折率をnとし、前記緑色フィルタユニットの波長550nmの光に対する屈折率をnとし、前記青色フィルタユニットの波長450nmの光に対する屈折率をnとしたとき、n > n ≧ nなる関係を満足し、
    厚さが0.55μmの赤色フィルタユニットを作製したとき、該赤色フィルタユニットは、その波長620nmの光の透過率が80%以上、波長530nmの光の透過率が10%以下、波長650nmの光に対する屈折率が1.8以上である、固体撮像素子の製造方法。
  11. 請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法において、
    前記カラーフィルタを形成する工程において、前記カラーフィルタを、前記隔壁の前記基板と反対側の面の少なくとも一部を覆うように形成する、固体撮像素子の製造方法。
  12. 請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法において、
    前記カラーフィルタを形成する工程において、前記赤色フィルタユニット、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットを、任意の順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する、固体撮像素子の製造方法。
  13. 請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法において、
    前記カラーフィルタを形成する工程において、前記赤色フィルタユニットをフォトレジストをマスクとして用いるドライエッチング法により形成した後、前記緑色フィルタユニット及び前記青色フィルタユニットを、任意の順序でフォトリソグラフィ法を用いて形成する、固体撮像素子の製造方法。
  14. 電子機器であって、
    請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の固体撮像素子を有する、電子機器。
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