JP7416434B2 - 多細胞凝集体の保存及び/又は輸送 - Google Patents

多細胞凝集体の保存及び/又は輸送 Download PDF

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Description

多細胞凝集体を保存及び/又は輸送するための新規な手段を提供する。多細胞凝集体は、複数の隣接する細胞を含み、ここで、凝集体は可逆的に架橋されたヒドロゲル中に捕捉又は封入され、捕捉又は封入された凝集体は密封された容器にパッケージングされる。第1の場所から第2の場所への保管及び/又は輸送のために前記凝集体を調製するための方法、並びに前記凝集体を輸送するための関連する方法、及び前記凝集体の注文又は要求を満たすための方法も提供される。
細胞は、科学的研究、食品、医薬品開発、再生医療及び3Dプリンティングを含むいくつかの状況において使用され得る。適切な細胞は、組織(例えば、微小組織)、細胞層、オルガノイド及びスフェロイドを含む、隣接する細胞の群(一般に、本明細書中では多細胞凝集体と呼ばれる)の形態であり得る。
多細胞凝集体は、それらの使用地点から地理的に分離されることが多い場所での使用のために生成及び/又は調製されてもよい。しかしながら、このような細胞材料の英国内又は世界中への出荷は数時間又は数日を要し、遅延の影響を受けやすく、目的に合った状態で材料を使用地点に配送される必要がある。組織などの多細胞凝集体の効果的な輸送及び回収は困難であることが証明されており、多くの方法は例えば、細胞形態、細胞完全性の及び/又は経時的な細胞生存率の損失のような変化をもたらす。したがって、多細胞凝集体の保存及び/又は輸送は例えば、実験室供給(研究のための流通)及び治療(商業的販売/試験)に関して大きな障壁となる。
細胞材料の保存及び輸送のための従来の方法は、適切な媒体(例えば、2~8℃)中でのコールドチェーン輸送、又は輸送前及び輸送中のサンプルの凍結のいずれかである。例えば、凍結保存された組織の輸送が一般的に使用される。しかしながら、そのような方法は、一般に、出荷前に多数の処理工程が実行されることを必要とし、これらのプロセスは、出荷される材料に悪影響を及ぼすか、又はコストを著しく増大させる可能性がある。例えば、凍結保存はしばしば、細胞又は組織の生存率の損失、構造的完全性の低下、及び輸送中に低温を維持する必要性に伴う追加のコストをもたらす。コールドチェーン輸送にも多くの欠点がある。これらには、輸送期間を短縮する必要性(それ故、輸送物流及びスケジューリングの複雑さを増大させる)、並びに細胞又は組織の生存率、形態、構造的完全性及び品質に対する悪影響が含まれる。これらの欠点は細胞材料がヒト用(例えば、化粧品又は臨床用、又は食品としてのヒト用)である場合に特に重大な問題である。
多細胞凝集体を含む細胞物質を保存及び/又は輸送するための単純であるが効果的な方法が必要とされている。
本発明者らは、複数の隣接する細胞を含む多細胞凝集体を保存及び/又は輸送するための新規な手段を開発した。
本発明者らは、驚くべきことに、可逆的に架橋されたヒドロゲル中の多細胞凝集体の捕捉又は封入が、保存及び/又は輸送の機械的及び環境的ストレスから凝集体中の細胞材料を保護することを示した。驚くべきことに、捕捉又は封入された細胞材料は、保存及び/又は輸送の間、細胞形態、構造的完全性及び/又は細胞生存率(例えば、特定の温度、酸素及び二酸化炭素レベル、並びに支持栄養素)を維持するために通常必要とされる最適条件を必要としない。したがって、捕捉された又は封入された細胞材料は、その使用地点への効果的な保存又は送達のために、密封された容器にパッケージングされ得、その一方で、材料は、目的に適合する状態に維持される。さらに、パッケージングされた材料の保存及び/又は輸送は細胞の生存率、構造的完全性及び/又は形態に有意に影響を及ぼすことなく、はるかに広範囲の条件(例えば、周囲温度を含む、より広範囲の温度)で効果的に行うことができる。
ヒドロゲルは個別化された細胞の保存及び/又は輸送において使用するための有効なパッケージング材料であることが以前に示されており、ここで、細胞はヒドロゲル中で分離又は分散される(例えば、本発明者らによって出願されたWO2012/127224を参照のこと)。本発明者らは、今や驚くべきことに、保存及び/又は輸送中に、気体及び代謝産物などの可溶性因子の欠如からのストレスを含む、機械的及び環境的ストレスからの必要な保護を提供するためには、ヒドロゲルが各細胞をヒドロゲルと個別に直接接触させる必要はないことを明らかにした。本発明者らは、ヒドロゲルが、保存及び/又は輸送の間に複数の隣接細胞を含む多細胞凝集体の生存率を支持する(及び細胞形態及び構造的完全性を保持する)ためにも使用され得ることを、本明細書において有利に示した。本発明者らによって成功裏に試験された凝集体のタイプの例としては、細胞スフェロイド、オルガノイド、微小組織及び細胞層(例えば、少なくとも1つの層を有する多細胞凝集体、ここで、凝集体の基底層/側面が一方の側で組織培養プレートに付着し、凝集体の頂端層/側は他方の側でヒドロゲルによりコーティングされている)が挙げられる。この文脈において、凝集体は、1つの細胞層(すなわち、単層)を含んでいてもよいし、又は複数の層(例えば、二重層など)を含んでいてもよい。
有利には、ヒドロゲルは、広範囲の多細胞凝集体を保存及び/又は輸送するために効果的に使用され得る。
本発明の方法は、任意の細胞劣化が起こる直前に多細胞材料(例えば、単離又は製造された組織)を保存するために特に有用であり得、これは、適切なスタッフが利用可能になるまで、GMP実験室がアクセス可能になるまで、又はサンプルをまとめて処理され得るまで、多細胞材料(例えば、単離/製造された組織)がエンドポイント性能に影響を及ぼすことなく安全に保存され得るので、ユーザに柔軟性を提供する。
本発明は、アルギン酸塩ヒドロゲルを用いて例示されている。しかしながら、本発明は、同等の機械的特性を有する他の可逆的に架橋されたヒドロゲルにも同様に適用される。本発明の文脈内で等しく使用され得る代替的なヒドロゲルは、以下により詳細に記載される。
さらに、本発明は特定の細胞型(例えば、間質細胞、上皮細胞又は神経細胞を含む多細胞凝集体)を使用して例示されている。さらに、単純な多細胞スフェロイド及び単純な3次元組織構築物に対する本発明の使用を記載するデータを提示する。しかし、本発明はこれらの特定の細胞型に限定されず、以下により詳細に記載されるように、他の多細胞凝集体に同様に適用可能である。
一態様では、以下によって複数の隣接細胞を含むインビトロ多細胞凝集体を第1の場所から第2の場所に輸送する方法が提供される:
(a)i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで前記多細胞凝集体は、アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及びiii)多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを、水密又は気密容器にパッケージングし密封すること;によって、輸送のための多細胞凝集体を調製すること;並びに、
(b)ステップ(a)のパッケージングされた多細胞凝集体を、10~30℃で、第1の場所から第2の場所へ輸送すること、ここで、第1の場所と第2の場所との間の距離は少なくとも1マイルである。
任意選択で、本方法はさらに、次を含んでも良い:
(c)前記第2の場所でアルギン酸塩ヒドロゲルから多細胞凝集体を放出すること。
別の態様において、複数の隣接する細胞を含むインビトロ多細胞凝集体についての注文又は要求を満たすための方法が提供され、この方法は、以下を含む:
多細胞凝集体についての命令又は要求を受領すること;並びに、
a)i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで、前記多細胞凝集体は、アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及び;iii)多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを、水密又は気密の容器中にパッケージング及び密封すること;によって輸送する多細胞凝集体を調製すること;並びに、
b)輸送のためにステップ(a)のパッケージングされた多細胞凝集体を発送すること;又はステップ(a)の多細胞凝集体を、注文又は要求で指定された場所に輸送すること。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、10~30℃で、第1の場所から第2の場所に輸送され、第1の場所と第2の場所との間の距離は少なくとも1マイルである。
さらなる態様では、複数の隣接する細胞を含むインビトロ多細胞凝集体を少なくとも24時間保存する方法が提供され、この方法は、以下を含む:
(a)i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで前記多細胞凝集体は、アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及びiii)多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを、水密又は気密の容器中にパッケージング及び密封すること;によって保存のための多細胞凝集体を調製すること;並びに、
(b)ステップ(a)のパッケージングされた多細胞凝集体を、10~30℃で少なくとも24時間保存すること。
任意選択で、本方法は、次をさらに含んでも良い。
(c)保存後に、前記アルギン酸塩ヒドロゲルから前記多細胞凝集体を放出すること。
任意選択で、ステップ(a)は、前記多細胞凝集体を前記アルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させる前に、前記多細胞凝集体を輸送、発送又は保存のための容器中に配置することを含む。
あるいは、ステップ(a)は、前記多細胞凝集体を前記アルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させた後に、前記多細胞凝集体を輸送、発送又は保存のための容器中に配置することを含む。
任意選択的に、前記容器は、細胞培養容器である。
任意選択で、前記容器は、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿、又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記複数のウェルを含む細胞培養プレートは、4、6、8、12、24、48、96、384、1536ウェル細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム又はアルギン酸ナトリウムを含む。
任意選択で、アルギン酸塩は、0.5%(w/v)~5.0%(w/v)の量のアルギン酸カルシウムである。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、組織、細胞層、スフェロイド、オルガノイド又はそれらの任意の組合せを含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、異種の細胞型を含む。
あるいは、前記多細胞凝集体は、同種の細胞型を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト細胞を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、又はヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)を含む。
任意選択で、重合は化学剤によって誘発される。
任意選択で、化学重合剤は、塩化カルシウムである。
別の態様において、複数の隣接する細胞を含むインビトロ組織が提供され、ここで、該組織は可逆的に架橋されたアルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入され、そして捕捉又は封入された組織は、密封された水密又は気密容器中にパッケージングされる。
任意選択で、前記ヒドロゲルは、架橋アルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム又はアルギン酸ナトリウムを含む。
任意選択で、前記架橋アルギン酸塩は、0.5%(w/v)~5.0%(w/v)のアルギン酸カルシウムである。
任意選択で、前記複数の隣接する細胞は、細胞層、スフェロイド、オルガノイド又はそれらの任意の組合せを形成する。
任意選択で、前記容器は、密封された保存バイアル又は輸送チューブである。
任意選択で、前記密封保存バイアルは、マイクロ遠心チューブ、遠心チューブ、極低温バイアル、輸送チューブ、又は汎用容器である。
任意選択で、前記容器は細胞培養容器である。
任意選択で、前記細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。
場合により、前記複数のウェルを含む細胞培養プレートは、4、6、8、12、24、48、96、384及び1536ウェル細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、異種の細胞型を含む。
あるいは、前記多細胞凝集体は、同種の細胞型を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト細胞を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、又はヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)を含む。
さらなる態様において、第1の場所から第2の場所への保存又は輸送のための複数の隣接する細胞を含むインビトロ組織を調製する方法が提供され、以下を含む:
i)組織とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;
ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された組織含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで前記組織はアルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及び
iii)多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを水密又は気密の容器中にパッケージング及び密封すること。
任意選択で、この方法は、前記組織を前記アルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させる前に、前記組織を保存又は輸送のための容器内に配置することを含む。
任意選択で、この方法は、前記組織を前記アルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させた後、前記組織を保存又は輸送のための容器内に配置することを含む。
任意選択で、この方法は、
iii)第1の場所から第2の場所へ輸送するために、密封された容器を発送すること
をさらに含み、ここで、前記多細胞凝集体は10~30℃の温度で第1の場所から第2の場所へ輸送され、第1の場所と第2の場所との間の距離は少なくとも1マイルである。
別の態様において、隣接する複数の細胞を含む多細胞凝集体が提供され、ここで、凝集体は可逆的に架橋されたヒドロゲル中に捕捉されるか又は封入され、そして捕捉又は封入された凝集体は、密封された容器中にパッケージングされる。
任意選択で、前記ヒドロゲルは架橋アルギン酸塩を含み、ヒドロゲルは任意で、架橋アルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム塩又はアルギン酸ナトリウムを含む。
任意選択で、前記架橋アルギン酸塩は、約0.5%(w/v)~5.0%(w/v)のアルギン酸カルシウムである。
任意選択で、前記隣接する複数の細胞は、組織、細胞層、スフェロイド、オルガノイド又はそれらの任意の組合せを形成する。
任意選択で、前記容器は細胞培養容器である。
任意選択で、前記細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記複数のウェルを含む細胞培養プレートは、4、6、8、12、24、48、96、384、1536ウェル細胞培養プレートから選択される。
別の態様において、第1の場所から第2の場所への保存又は輸送のための隣接する複数の細胞を含む多細胞凝集体を調製する方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
i)多細胞凝集体とヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;
ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有ヒドロゲルを形成すること、ここで凝集体はヒドロゲル中に捕捉又は封入される;
ここで、前記凝集体含有ヒドロゲルは、第1の場所から第2の場所への保存又は輸送のために容器中にパッケージングされ、本方法は前記凝集体含有ヒドロゲルを前記容器中に密封することを含む。
任意選択で、この方法は、前記多細胞凝集体を前記ヒドロゲル形成ポリマーと接触させる前に、多細胞凝集体を保存又は輸送のための容器に配置することを含む。
あるいは、この方法は、前記多細胞凝集体を前記ヒドロゲル形成ポリマーと接触させた後に、多細胞凝集体を保存又は輸送のための容器に配置することを含む。
任意選択で、本方法は第1の場所から第2の場所への輸送のために、密封された容器を発送することをさらに含む。
別の態様では、隣接する複数の細胞を含む多細胞凝集体を、第1の場所から第2の場所に輸送する方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
(a)本明細書に記載の方法に従って、輸送のための多細胞凝集体を調製すること;
(b)ステップ(a)の多細胞凝集体を第1の場所から第2の場所に輸送すること;及び任意選択で、
(c)第2の場所でヒドロゲルから前記多細胞凝集体を放出すること。
別の態様では、多細胞凝集体の注文又は要求を満たすための方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
a)多細胞凝集体の注文又は要求を受け取ること;
b)本明細書に記載の方法に従って、輸送のために多細胞凝集体を調製すること;及び
c)輸送のために、ステップ(b)の多細胞凝集体を発送すること;又はステップ(b)の多細胞凝集体を、注文又は要求において指定された場所に輸送すること。
任意選択で、前記容器は細胞培養容器である。
任意選択で、前記細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿、又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記複数のウェルを含む細胞培養プレートは、4、6、8、12、24、48、96、384、1536ウェルの細胞培養プレートから選択される。
任意選択で、前記ヒドロゲルは、アルギン酸塩を含む。
任意選択で、前記ヒドロゲル形成ポリマーは、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム又はアルギン酸ナトリウムを含む。
任意選択で、前記アルギン酸塩は、約0.5%(w/v)~5.0%(w/v)の量のアルギン酸カルシウムである。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、組織、細胞層、スフェロイド、オルガノイド、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、異種又は同種の細胞型を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト細胞を含む。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、又はヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)を含む。
任意選択で、重合は化学剤によって誘発される。
任意選択で、化学重合剤は塩化カルシウムである。
任意選択で、前記多細胞凝集体は、周囲温度で第1の場所から第2の場所に輸送される。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、用語「含む」及び「含む」及びそれらの変形は「含むが、それらに限定されない」を意味し、それらは他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を排除することを意図しない(及び排除しない)。
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、単数形はその状況が他のことを要求していない限り、複数形を含む。特に、不定冠詞が使用される場合は本明細書がその状況が他のことを要求していない限り、単数だけでなく複数も意図していると理解されたい。
本発明の特定の態様、実施形態若しくは実施例と結び付けて記載される特徴、実体、特性、化合物、化学的部分若しくは化学基は矛盾していない限り、本明細書に記載した任意の他の態様、実施形態若しくは実施例に適用できると理解されたい。
本明細書で言及される特許、科学及び技術文献は、出願時に当業者に利用可能であった知識を確立する。発行された特許、公開された特許出願及び係属中の特許出願、並びに本明細書に引用される他の刊行物の開示全体はそれぞれが参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合には、本開示が優先される。
本発明の様々な態様を以下でさらに詳細に説明する。
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下にさらに説明される:
図1は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、96ウェルプレート中での細胞単層の保存後のヒト脂肪由来間質細胞(hASC)の細胞回収、生存率及び形態を示す。 図2は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無における、96ウェルプレート中での保存及び輸送後の成熟皮質ニューロンの細胞回収、生存率及び形態を示す。 図3は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無における、96ウェルプレート中で保存した後の、初代ヒト腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)の細胞回収、生存率及び形態を示す。 図4は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無における、密封チューブ中での保存後のhASC由来スフェロイドの生存率を示す。グラフ内では、各時点での右側のバーが「+Hydrogel」に対応する。スフェロイドを「-Hydrogel」中で保存した後に組織培養プラスチック上にプレーティングした場合、細胞増殖は見られない。 図5は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無における、96ウェルプレート中での保存後のhASC由来スフェロイドの生存率を示す。A)96ウェルプレートからの単一ウェル。 図6は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、密封チューブ中のヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)構築物の生存率及び完全性を示す。-Hydrogel保存条件で生存細胞は残らないことに留意されたい。 図7は、96ウェル培養プレート中に保存された皮膚ケラチノサイト上皮細胞の保存を示す。ヒト皮膚ケラチノサイト上皮細胞の生存率及び形態は96ウェル培養プレート内で維持されていた。 図8は、96ウェル培養プレート中に保存された皮膚線維芽細胞の保存及び発送を示す。ヒト皮膚線維芽細胞の生存率及び形態は、96ウェル培養プレート内で維持されていた。 図9は、96ウェル培養プレート、384ウェル培養プレート、及び96ウェルプレート中の3Dマイクロスキャフォールド中に保存されたHEK-293細胞の保存及び発送を示す。HEK‐293及び一過性にトランスフェクトしたHEK-293細胞の薬学的応答性は維持された。 図10は、96ウェルプレートにおけるヒト腹部皮膚生検の保存を示す。新たに採取した腹部皮膚生検材料を96ウェルプレートに保存した。 図11は、iPSC由来血管芽細胞(マクロファージ前駆細胞工場)の保管を示す。アルギン酸カルシウムヒドロゲルビーズに懸濁したiPSC由来血管芽細胞を保存した。 図12は、ヒトの皮膚3D構築物の保存を示す。ヒトの皮膚3D構築物をアルギン酸塩ヒドロゲル保護で保存した。 図13は、96ウェル培養プレート中に保存された結腸直腸癌オルガノイドの保存を示す。結腸直腸癌オルガノイドの生存率及び形態は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護を備えた96ウェルプレート中での保存後に維持されていた。
本発明のいくつかの異なる態様を以下に記載する。それらは、理解を容易にするために別々に議論される。しかしながら、提供される定義及び例の各々は、文脈が許す場合、すべての態様に等しく適用される。
[多細胞凝集体]
複数の隣接又は相互接続した細胞を含む多細胞凝集体が提供され、ここで、凝集体は可逆的に架橋されたヒドロゲル中に捕捉又は封入され、捕捉又は封入された凝集体は密封された容器中にパッケージングされる。
アルギン酸塩ヒドロゲル中に個々の細胞を完全に封入すると、低温でそれらの機能性を維持することができることが以前に示されている。しかしながら、多細胞凝集体では、各細胞の少なくとも1つの表面(又は表面の一部)が別の細胞(又はマトリックス又は人工構築物)と接触しているので、各細胞はヒドロゲル中に完全には封入されない。三次元多細胞凝集体において、内部のいくつかの細胞はヒドロゲルによって完全には封入されないかもしれないが、外部に向かういくつかの細胞は封入されるのであろう。本発明者らは驚くべきことに、本明細書中に記載されるようなヒドロゲル中の多細胞凝集体の封入又は捕捉(ここで、凝集体の各細胞は、ヒドロゲル自体によって完全かつ直接的に取り囲まれない)が細胞形態、完全性及び/又は生存性を保持しながら、多細胞凝集体を効果的に保存及び/又は輸送するために使用され得ることを今や示した。
「多細胞凝集体」及び「凝集体」という用語は、文脈の別段の指定がない限り、本明細書では互換的に使用される。凝集体とは、例えば、細胞のボール、クラスター、レイヤーなどをいう。
本明細書中で使用される場合、「多細胞凝集体」は、複数の隣接する又は相互接続された細胞をいう。多細胞凝集体は例えば、少なくとも10個の隣接する細胞(ここで、各細胞は凝集体内の少なくとも1つの他の細胞と直接接触している(換言すれば、接触している))から形成され得る。例えば、凝集体は、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、又は少なくとも10などの隣接するセルを含むことができる。好ましい例では、隣接する細胞は相互接続される。
任意選択で、多細胞凝集体はインビトロ多細胞凝集体である(換言すれば、多細胞凝集体は、単離され、そしてその生物学的文脈上、外側にある)。
多細胞凝集体の細胞は、典型的には構造的に無傷の細胞膜を有する。ヨウ化プロピジウム染色を含む、細胞膜の構造的完全性を決定するためのいくつかの方法が公知である(以下の実施例を参照のこと)。
好ましい例において、多細胞凝集体中の細胞は、生存細胞又は生細胞であるか、又は多細胞凝集体中の細胞の少なくとも実質的に全てが、好ましくは生きている(又は生存している)。細胞が生きているかどうかを決定するための方法は、当該分野で周知である。
本明細書中で使用される場合、「隣接する」は、細胞の集合体を形成する様式で互いに接続される細胞をいう。隣接する細胞は、ハイドロゲル形成ポリマー溶液などの溶液中に置かれた場合、凝集形態を保持する。隣接する細胞は直接接触していてもよく、例えば、細胞の凝集体を形成する様式で互いに接着又は接触していてもよい。あるいは隣接する細胞がマトリックス、基質又は足場(例えば、細胞外マトリックス)の存在などによって、細胞の凝集体を形成する様式で間接的に接続されてもよく、ここで、マトリックス、基質又は足場は、隣接する細胞を凝集体に接続する。
上記のように、マトリックス、基質又は足場は、隣接する細胞を接続して、凝集体を形成し得る。用語「マトリックス」、「基質」及び「スキャフォールド(足場)」は本明細書中で互換的に使用され、総称的に、凝集体内の「構造」と呼ばれる。ヒドロゲルの機械的強度は、このような構造をゲル内に封入することによって増強され得ることが見出された。この構造はまた、凝集体形成を促進又は維持し得る。構造は、天然由来であっても合成であってもよい。
一例では、構造が合成又は天然ポリマーであってもよい。好ましくは、構造は生分解性である。構造は、ポリ乳酸(例えば、ポリ(乳酸-コ-カプロラクトン)(PLACL))、コラーゲン又はナイロンを含むポリマーであってもよい。
別の例において、細胞は、多細胞凝集体を形成する様式で、細胞外マトリックス(ECM)を介して隣接する。適切な構造のさらなる例は、3D細胞培養のためのAlvatex(登録商標)ポリスチレンスキャフォールドである。他の構造は、コラーゲン、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース、ガラス、又はマトリゲルなどを含み得る。
構造は、ナイロンメッシュであってもよい。このような複合材料は、アルギン酸塩ゲルよりも堅牢であり、ゲルの保存又は輸送中に破損しにくいという利点を有する。さらなる利点は、ナイロンメッシュが縫合されてもよく、それによってゲルが縫合によって保持され得ることである。ナイロンメッシュはゲル内にあってもよく、部分的にゲル内にあってもよく、部分的にゲルの外側にあってもよく、又はゲルの外側(すなわち、ゲルの表面上)にあってもよい。ナイロンメッシュは、好ましくは0.01~100μmのメッシュサイズを有する。好ましくは、それは可溶性又は不溶性であり得る適切な非毒性材料から作製される。好ましい例では、ヒドロゲルは、ナイロンメッシュを含むディスクの形態である。好ましくは、ナイロンメッシュは、ディスク内に埋め込まれる。
あるいは、凝集体は構造を含まなくてもよい。構造を有する又は有さない細胞培養のための適切な方法は、当該分野で周知である。
好ましい例では、隣接するセルは相互接続される。本明細書で使用される「相互接続された」とは、互いに直接接触し、例えば、細胞間接続(例えば、1つ以上の細胞接合(細胞間ブリッジとしても知られる))によって物理的に接続される細胞をいう。細胞接合部は、隣接する細胞間、又は細胞と細胞外マトリックスとの間の接触を提供する多重タンパク質複合体で構成される。細胞接合部は特に上皮組織に豊富に存在する。細胞接合部は、隣接する細胞間のコミュニケーションを可能にする。
多細胞凝集体は、隣接する細胞の任意の群であり得、例えば、それは、組織又は器官(例えば、動物若しくは植物の組織若しくは器官、又は合成/人工組織若しくは器官、すなわち、組織工学的に作られた組織若しくは器官)の形態であり得る。
好適な動物組織又は器官の例としては、皮膚、角膜、筋肉、肝臓、及び心臓組織又は器官が挙げられる。このような組織又は器官は、生きている動物から直接得ることができる。動物から適切な多細胞凝集体を単離するための方法は、当該分野で周知である。
好適な植物組織又は器官(生きている植物から得られる)の例としては、内胚葉、中胚葉及び外胚葉の胚葉、葉肉組織、木部組織及び師部組織、葉、茎、根、及び生殖器官に由来する細胞又は組織が挙げられる。植物から適切な多細胞凝集体を単離するための方法は、当該分野で周知である。
適切な合成組織又は器官の例には、インビトロ又はエクスビボで生成又は増殖された任意の細胞組織又は器官が含まれる。非限定的な例としては、細胞球、スフェロイド、オルガノイド又は微小組織が挙げられる。これらのタイプの凝集体は、典型的には三次元の細胞培養法を用いて生成される。このような方法は、当該分野で周知である。適切な方法の例は、以下の実施例の項に提供される。
本明細書中に記載される多細胞凝集体はまた、隣接する(例えば、相互接続された)複数の細胞を含み得、ここで、細胞は細胞のシート(すなわち、単層のような細胞の1つ以上の層)、例えば、インビトロ又はエクスビボで培養された細胞のシートの形態である。言い換えれば、集合体は平面状であってもよい。非限定的な例は、角膜細胞のシート(例えば、角膜細胞の単層)を含む多細胞凝集体であり、適切な方法の例は、以下の実施例の項で提供される。
一例では、多細胞凝集体が表面(例えば、組織培養ウェル又は組織培養フラスコなどの容器の表面)に付着させることができる。例えば、多細胞凝集体は接着細胞を含んでもよく、接着細胞は容器の表面に接着してもよい。適切な容器(例えば、密封可能な容器)は、本明細書の他の場所で詳細に記載される。一例では、多細胞凝集体は、そのような表面上に接着層(例えば、単層、二重層又は多層凝集体)を形成する細胞を含む。
一例において、多細胞凝集体はそれらがインビトロで播種及び/又は増殖された容器(例えば、培養容器)の表面に付着され得る。
特定の例において、多細胞凝集体は複数の隣接する(例えば、相互接続された)細胞を含み、ここで、細胞は、組織、細胞層、スフェロイド、オルガノイド、又はそれらの任意の組み合わせを形成する。
いくつかの例では、多細胞凝集体中の細胞はすべて同じ型である。例えば、それらは全て、脳細胞、筋肉細胞又は心臓細胞であり得る。他の例では、多細胞凝集体中の細胞は、全て同じ系統、例えば全ての造血前駆細胞からである。いくつかの例では、細胞は幹細胞、例えば神経幹細胞又は胚性幹細胞である。
したがって、一例では、多細胞凝集体が同種又は異種の細胞型を含む。
一例では、細胞は、脂肪細胞、アストロサイト、血液細胞、血液由来細胞、骨髄細胞、骨肉腫細胞、脳アストロサイトーマ細胞、乳癌細胞、心筋細胞、小脳顆粒細胞、軟骨細胞、角膜細胞、真皮乳頭細胞、胚性癌細胞、胚性幹細胞、胚性腎細胞、内皮細胞、上皮細胞、赤白血病リンパ芽球、線維芽細胞、胎児細胞、胚マトリックス細胞、肝細胞、腸細胞、ケラチノサイト、角膜実質細胞、腎細胞、肝細胞、肺細胞、リンパ芽球、メラノサイト、メサンギウム細胞、髄膜細胞、間葉系幹細胞、ミクログリア細胞、神経細胞、神経幹細胞、神経芽腫細胞、オリゴデンドロサイト、オリゴデンドログリオーマ細胞、口腔ケラチノサイト、器官培養細胞、骨芽細胞、卵巣腫瘍細胞、膵臓ベータ細胞、周皮細胞、神経周膜細胞、根鞘細胞、シュワン細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、星細胞、滑膜細胞、甲状腺癌細胞、絨毛栄養膜細胞、卵黄嚢癌細胞、卵母細胞、精子及び胚様体である。
一例では、細胞は角膜細胞である。例えば、細胞は好ましくは角膜縁上皮細胞、すなわち、角膜縁で角膜縁から得ることができる幹細胞と分化細胞との不均一混合物を含む角膜幹細胞であってもよい。言い換えれば、角膜幹細胞を含む多細胞凝集体は、角膜幹細胞と、角膜上皮表現型にまだ完全には関与していない細胞との混合物を含み得る。
別の実施形態では、細胞は、分化型又は未分化型の角膜線維芽細胞(ケラトサイト)などの間質前駆細胞を含む。好ましくは、これらの角膜線維芽細胞が角膜縁周辺部(peripheral limbus)又は角膜輪部(limbal ring)から得られる。
別の例では、細胞は骨髄細胞である。
他の例では、細胞は軟骨細胞である。
さらに別の例では、細胞は上皮細胞である。
一実施形態では、多細胞凝集体は、ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、又はヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)を含む。
さらなる実施形態では、多細胞凝集体がヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、ヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)、ヒトケラチノサイト、ヒト皮膚線維芽細胞、HEK-293細胞、又はヒトiPSC由来血管芽細胞を含む。
好ましくは、細胞は哺乳動物細胞である。別の例では、細胞は魚類細胞である。
適当な細胞型の非限定的な例としては、ヒト細胞、又はヒト以外の霊長類、げっ歯類、ウサギ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ブタ、魚類又は鳥類由来の細胞が挙げられる。
本発明の文脈において、本明細書に記載される多細胞凝集体は、可逆的に架橋されたヒドロゲル中に捕捉又は封入される。
本明細書で使用される場合、「捕捉された」という用語は、ヒドロゲルによって物理的に捕捉/捕捉され、ヒドロゲルから放出されない(例えば、ヒドロゲルが溶液に戻るように架橋が逆転しない限り)凝集体を指す。凝集体はヒドロゲルによって完全に取り囲まれていることによって捕捉されてもよく、又はヒドロゲルによって取り囲まれている凝集体の大部分(全部ではないが)によって捕捉されてもよい。この文脈では「大部分」は、ヒドロゲルによって取り囲まれている凝集体(体積で)の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を指す。この文脈では「完全に取り囲まれた」とは凝集体(体積で)の約100%を指す。ヒドロゲルで囲まれた用語「捕捉された」が(本明細書の他の箇所に記載されているように)容器の固体表面のような表面に結合/付着していない凝集体に特に関連する。
ヒドロゲルは凝集体をヒドロゲル中に捕捉するために、凝集体の少なくとも大部分を覆う/取り囲むコーティングであってもよい。
「封入された」という用語は、ヒドロゲル中に多細胞凝集体を包み込むことを指す。非接合多細胞凝集体(すなわち、容器の固体表面などの表面に結合/接着しない凝集体)の文脈では、多細胞凝集体がヒドロゲルによって完全に囲まれたときに、ヒドロゲルによって「封入」される。固体表面に結合/接着する多細胞凝集体の文脈では、凝集体の非接合(「遊離」)外部表面積の少なくとも大部分がヒドロゲルによって包囲されているときに、凝集体は「封入」されているとみなされる。言い換えれば、この文脈では封入は、多細胞凝集体の利用可能な表面をヒドロゲル中に封入することを指す。「大部分」が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約98%を指し、あるいは利用可能な外部凝集体表面積の約99%がヒドロゲルによって覆われていることを指す。
「非接合(「自由」)外部表面積」及び「利用可能な外部凝集体表面積」という語句は、固体表面と直接接触していない凝集体の外部表面(周辺)を指し、これは本明細書では「利用可能な表面」とも呼ばれる。
ヒドロゲルは、凝集体をヒドロゲル中に封入するために、凝集体の利用可能な表面の少なくとも大部分を覆う/取り囲むコーティングであってもよい。用語「コーティング」及びその等価物は、ヒドロゲルの層を記載するために本明細書中で使用される。ヒドロゲルコーティングは、凝集体とは別個に形成され、次いで、凝集体を封入又は捕捉する様式で、凝集体の上に(ブランケットに類似して)配置され得る。この文脈において、ヒドロゲルコーティングは、凝集体とは別個に(すなわち、空間的に分離して)形成される架橋アルギン酸塩の層を含み得る。次に、ヒドロゲル層を凝集体の表面上に配置することができ(例えば、表面結合単層、二層又は多層凝集体)、ここでヒドロゲル層は凝集体を被覆するが、その場では架橋されない。あるいは、ヒドロゲルコーティングは、その場で(すなわち、凝集体の存在下で)形成されてもよい。
1つ以上の細胞層を含む凝集体の文脈において、凝集体は凝集体の基底側の固体表面のみへの付着を介して、(例えば、本明細書に記載されるような容器の)固体表面に付着され得ることに留意されたい。言い換えれば、複数の細胞層を有する凝集体において、(凝集体の基底側の)細胞層のうちの1つのみが固体表面に付着し、この付着によって、凝集体は全体として固体表面に付着することができる。このような凝集体はまた、本明細書中に記載される方法を使用して、ヒドロゲルによって封入又はコーティングされ得る。
1つ以上の多細胞凝集体は、適切な場合、単一のヒドロゲル中に捕捉又は封入され得る。例えば、ヒドロゲルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上の凝集体を捕捉又は封入し得る。
本発明のいくつかの例において、ヒドロゲル中に捕捉又は封入される凝集体中の細胞の濃度は約10~10細胞/mlヒドロゲル溶液(例えば、細胞培養条件下又は周囲条件下で維持されるアルギン酸塩ゲルの場合)である。
本明細書で使用される「可逆的に架橋されたヒドロゲル」は可逆的な架橋によって形成されるヒドロゲルを指す(すなわち、ヒドロゲルが溶液に戻るように架橋を戻すことができる)。架橋を戻すことは、捕捉された又は封入された多細胞凝集体がヒドロゲルから放出されることを可能にする(例えば、それらの使用時点/輸送又は保存が完了した後)。可逆的に架橋されたヒドロゲルの例は、当該技術分野において周知である。従って、適切なヒドロゲルは、当業者によって容易に同定され得る。
本明細書で言及されるヒドロゲルは、架橋又はネットワーク構造又はマトリックスを有するヒドロゲル形成ポリマー;及び間質液を含む。ヒドロゲルは、その中に封入又は捕捉された凝集体における細胞分化を抑制又は防止することができる。好ましくは、ヒドロゲルは半透過性である。
用語「ヒドロゲル形成ポリマー」は適切な条件下で架橋又はネットワーク構造又はマトリックスを形成することができるポリマーを指し、間質液及び多細胞凝集体は、このような構造又はマトリックス内に保持され得る。ヒドロゲルは内部細孔を含む。
架橋、ネットワーク構造又はマトリックスの形成の開始は、ポリマーの性質に依存して、任意の適切な手段によるものであり得る。
ポリマーは一般に親水性ポリマーであるだろう。それは、水性液体中で膨潤することができる。本発明の一例では、ヒドロゲル形成ポリマーはコラーゲンである。この実施例では、コラーゲンヒドロゲルが間質液及び捕捉された又は封入された多細胞凝集体の周りに連続した足場を形成するコラーゲン原線維のマトリックスを含む。溶解したコラーゲンは、希アルカリを添加することによって重合/凝集して、架橋したコラーゲン原線維のゲル化ネットワークを形成することができる。原線維のゲル化ネットワークは、溶解したコラーゲン線維の元の体積を支持し、間質液を保持する。このようなコラーゲンゲルの製造のための一般的な方法は当該分野で周知である(例えば、WO2006/003442、WO2007/060459及びWO2009/004351)。
コラーゲンゲルにおいて使用されるコラーゲンは、任意の原線維形成コラーゲンであり得る。
原線維形成コラーゲンの例は、I型、II型、III型、V型、VI型、IX型及びXI型である。ゲルは、全ての1つのタイプのコラーゲン又は異なるタイプのコラーゲンの混合物を含み得る。好ましくは、ゲルはI型コラーゲンを含むか、又はそれからなる。本発明のいくつかの例では、ゲルは、コラーゲン原線維のみから、又は実質的にコラーゲン原線維のみから形成され、すなわち、コラーゲン原線維はゲル中の唯一の、又は実質的に唯一のポリマーである。本発明の他の例において、コラーゲンゲルは、他の天然に存在するポリマー、例えば絹、フィブロネクチン、エラスチン、キチン及び/又はセルロースをさらに含み得る。一般に、非コラーゲン天然ポリマーの量は、ゲルの5%未満、好ましくは4%、3%、2%又は1%(wt/wt)未満である。同様の量の非天然ポリマー、例えばペプチド両親媒性物質、ポリラクトン、ポリラクチド、ポリグリコン、ポリカプロラクトン及び/又はリン酸ガラスもゲル中に存在し得る。
本発明のいくつかの例において、ヒドロゲル形成ポリマーは、アルギン酸又は金属イオンのアルギン酸塩である。好ましくは、金属は、第1族金属(例えば、アルギン酸リチウム、アルギン酸ナトリウム、又はアルギン酸カリウム)又は第2族金属(例えば、アルギン酸カルシウム、マグネシウム、アルギン酸バリウム、又はアルギン酸ストロンチウム)である。好ましくは、ポリマーはアルギン酸カルシウム又はアルギン酸ナトリウム又はアルギン酸ストロンチウムであり、最も好ましくはアルギン酸カルシウムである。
アルギン酸塩ゲル透過性を決定する1つの因子は、ゲルのマンヌロン酸(M)及びグルロン酸(G)含量である。高いM:G比を有するゲルは、小さい固有孔径を有する。M:G比は、捕捉された又は封入された多細胞凝集体の生存率を改善するために、必要に応じてゲルの透過性を増加させるように操作され得る。いくつかの例では、アルギン酸塩ゲルのG含有量は0~30%である。いくつかの例では、M含有量は、好ましくは30~70%である。いくつかの好ましい例では、ゲルは、50~70%又は60~70%のM含有量を有するアルギン酸塩ゲルであり、ゲルはさらに、又は細孔エンハンサー(本明細書ではポロゲンとも呼ばれる)を含む。いくつかの例では、孔径増加剤がヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。この例において、HECはヒドロゲルの調製において使用され得;次いで、使用前にヒドロゲルから完全に、実質的に完全に、又は部分的に除去される。ヒドロゲル中のHECの好ましい濃度(調製中)は、0.5~3.0%のHEC、より好ましくは1.0~2.5%、さらにより好ましくは1.2~2.4%のHECを含む。いくつかの好ましい実施形態では、(調製中の)ヒドロゲル中のHECの濃度が1.2%又は2.4%である(濃度は重量%で示す)。HECは、ミセルとしてゲル中に懸濁され得る。HECの除去は、適切な水性溶媒又は緩衝液(例えば、組織培養培地)中でヒドロゲルを洗浄することによって達成され得る。
本発明のいくつかの例では、ヒドロゲル形成ポリマーはアルギン酸塩である。いくつかの例において、多細胞凝集体は、まず、本明細書に記載されるような異なるヒドロゲル形成ポリマーでコーティングされ、続いてアルギン酸塩のさらなるコーティングでコーティングされ得る。他の例では、ヒドロゲル形成ポリマーは、アルギン酸塩と別のヒドロゲル形成ポリマーとの混合物である。いくつかの例では、アルギン酸塩は修飾される(例えば、ペプチドで)。
本発明のさらに他の例では、ヒドロゲル形成ポリマーは、架橋アクリル酸系(例えば、ポリアクリルアミド)ポリマーである。
なおさらなる例において、ヒドロゲル形成ポリマーは、架橋性セルロース誘導体、ヒドロキシルエーテルポリマー(例えば、ポロキサマー)、ペクチン又は天然ゴムである。
本発明のいくつかの例では、ヒドロゲルは、生理学的温度で熱可逆性ではない、すなわち、ヒドロゲルのゾル-ゲル転移は0~40℃の温度では得られない。
ヒドロゲルの構造は、ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度を変化させることによって変化させることができる。この構造は、ヒドロゲル中の凝集体の生存率、細胞分化速度、並びにゲルの堅牢性及びその取り扱い特性に影響を及ぼす。ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの好ましい濃度は、0.2~5%(ポリマーの重量対格子間液体の体積)であり、例えば0.2~0.4%、0.4~0.5%、0.5~0.7%、0.7~1.1%、1.1~1.3%、1.3~2.2%、2.2~2.6%、2.6~3.0%、3.0~3.5%、3.5~4.0%、4.0~4.5%及び4.5~5.0%(又はこれらの任意の組合せ、例えば0.2~0.5%、0.2~0.7%など)を含む。
一例では、非ゲル化ヒドロゲル溶液の粘度は、500mPa.sまでであり、任意選択で、非ゲル化ヒドロゲル溶液の粘度は、5~200mPa・sである(好ましくは5~100mPa.s)。
他の例では、ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、0.25%超、0.3%超、0.4%超、0.5%超又は0.6%超である。他の例では、ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、5%未満、4.5%未満、4.0%未満、3.5%未満、3.0%未満、2.6%未満、2.4%未満、1.5%未満、1.4%未満、1.3%未満又は1.2%未満である。いくつかの好ましい例では、ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は、約0.3%、約0.6%又は約1.2%である。いくつかの特に好ましい例において、ヒドロゲル中のヒドロゲル形成ポリマーの濃度は約1%である。本発明のいくつかの特に好ましい例において、ヒドロゲルは、約1%アルギン酸ナトリウム又は約1%アルギン酸カルシウムから形成される。
本発明のいくつかの例では、ヒドロゲルのゲル化が多価金属カチオンを含む化合物を使用して、例えば塩化カルシウムを使用して促進される。特に、塩化カルシウム(例えば、50~200mM塩化カルシウム、好ましくは75~120mM塩化カルシウム)を使用して、アルギン酸塩ヒドロゲルをゲル化することができる。
本発明の他の例では、代替金属塩化物、例えばマグネシウム又はバリウム又は塩化ストロンチウムが使用される。あるいは、例えば、他の多価カチオン(例えば、La3+又はFe3+)を使用してもよい。
いくつかの実施例では、ゲル(好ましくはアルギン酸塩ゲル)は、さらにCOを含む。これは、保存後、特に冷却条件下での保存後の細胞生存率を向上させ得る。本発明はさらに、マグネシウム及びカルシウム塩からなる群より選択される第2族金属塩の存在下でヒドロゲル形成ポリマーをゲル化する工程を含む、ヒドロゲルを調製するための方法を提供する。
本発明のいくつかの例では、ヒドロゲルは、架橋アルギン酸塩を含む。例えば、ヒドロゲルは、架橋アルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム又はアルギン酸ナトリウムを含んでもよい。特定の一例では、架橋アルギン酸塩は、約0.5%(w/v)~約5.0%(w/v)のアルギン酸カルシウムである。例えば、架橋アルギン酸塩は、約1.0%(w/v)~約2.5%(w/v)、約1.5%(w/v)~約2.0%(w/v)のアルギン酸カルシウム、又はそれらの間の任意の範囲であり得る。
間質液は、ポリマーが溶解され、ポリマーがゲル化する任意の液体であってよい。一般に、それは水性液体、例えば水性緩衝液又は細胞培養培地であろう。液体は、抗生物質を含むことができる。好ましくは、ヒドロゲルは無菌、すなわち防腐処理が施されている。好ましくは、液体が動物由来産物(例えばウシ胎仔血清又はウシ血清アルブミン)を含まない。
本明細書中で使用される場合、「細胞分化を抑制又は防止する」という語は、ヒドロゲル中に含まれる多細胞凝集体中の細胞の全て又は実質的な比率内の細胞分化の速度(所与の温度について)が同じ所与の温度で適切な組織培養条件下で維持され、ヒドロゲル中に捕捉又は封入されていない、同等の多細胞凝集体中の対照細胞の速度よりも低い水準であることを手段する。実質的な割合は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は95%であり得る。
ヒドロゲルは、任意の適切なサイズで製造することができる。しかしながら、輸送を容易にするために、ヒドロゲルは、好ましくは長さが1000mm未満、好ましくは長さが500、250、100、又は50mm未満である。ヒドロゲルの厚さは、一般に0.1~50mm、好ましくは0.1~10mm、0.5~5mm、1.0~2.0mm、より好ましくは約1.5mmである。
本発明のヒドロゲルの体積は、好ましくは0.2~100ml、より好ましくは0.2~50ml、0.2~25ml又は0.2~10mlである。いくつかの好ましい例では、本発明のヒドロゲルの体積が0.4~5ml、好ましくは0.4~4ml、より好ましくは0.4~3mlである。いくつかの実施例では、容積が約420μl又は約2mlであってもよい。
本発明のいくつかの例において、ヒドロゲルは、薄層、ディスク又はシートの形態である。このような形態のヒドロゲルは、本明細書において、低体温保存の間の細胞生存率を増強することが示される。好ましくは、ゲルは、ディスク又は薄層の形態である。ディスクは、例えば、5~50mm又は10~50mm、好ましくは10~30mm、より好ましくは15~25mm、最も好ましくは約19mmの直径を有することができる。薄層、ディスク又はシートの厚さは、一般に0.1~5mm、好ましくは0.5~2.0mm、より好ましくは約1.0若しくは1.5mm、又は約1、2、3、4若しくは5mmである。いくつかの例では、ディスク中のヒドロゲルの最終体積は、好ましくは200μl~1ml、好ましくは200~600μl、好ましくは300~500μl、より好ましくは400~450μlである。
本発明のディスクに関して、好ましいヒドロゲルポリマー濃度は、この濃度によって提供される増加した構造安定性のために、約1.2%である。好ましくは、ヒドロゲル(例えば、ディスク)は圧縮されていないヒドロゲルであり、すなわち、軸方向の圧縮力を受けていない。
本発明の文脈において、本発明のヒドロゲルによって捕捉又は封入される多細胞凝集体は、密封容器にパッケージングされ得る。
本明細書で使用される場合、「密封容器」は、気体又は液体の連続的な流れに対して密封を維持することができる容器を指す。例えば、密封容器は、水密又は気密容器、例えばプラスチック容器であってもよい。適切な密封容器の非限定的な例としては、任意に適切な培地(例えば、細胞培養培地)と一緒に密封された、バイアル、凍結バイアル又は組織培養フラスコが挙げられ、他の例では、ヒドロゲルは、任意に制御されたCOレベルで、密封されたバッグ内に含まれてもよい。
一例では、密封容器は細胞培養容器である。任意選択で、細胞培養容器は、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿、又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される。例えば、細胞培養プレートは、4、6、8、12、24、48、96、384、1536ウェル細胞培養プレートから選択され得る。適切な細胞培養容器は、当該分野で周知である。
容器は蓋(例えば、ねじ嵌め蓋)又は別の手段(例えば、接着フィルム、又はテープなど)を使用して封止されてもよい。
[保存又は輸送のための多細胞凝集体の調製方法]
本発明はまた、第1の場所から第2の場所への保存又は輸送のための複数の隣接する細胞を含む多細胞凝集体を調製する方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む:
i)多細胞凝集体とヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;
ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有ヒドロゲルを形成すること、ここで凝集体は、ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;
ここで、前記凝集体含有ヒドロゲルは、保存又は第1の場所から第2の場所への輸送のために容器中にパッケージングされ、凝集体含有ヒドロゲルを容器に密封する。
任意選択で、凝集体は、方法の工程i)の前に容器内に配置される。例えば、多細胞凝集体は保存又は輸送に適した容器内に配置されている間に、ヒドロゲル形成ポリマーが多細胞凝集体と接触されてもよい。この例では、多細胞凝集体の隣接する細胞は、任意選択で、容器内に配置されてもよく(例えば、容器内に播種されてもよく)、細胞は容器に接着してもよい(例えば、容器内に接着層を形成してもよい)。
あるいは、凝集体は、方法の工程i)の後に容器内に配置され得、例えば、ヒドロゲル形成ポリマーは、多細胞凝集体が保存又は輸送に適した容器内に配置される前に、多細胞凝集体と接触され得る(そして任意で工程ii)に従って重合される)。
任意選択で、この方法はiii)第1の場所から第2の場所への輸送のために、密封された容器を発送する工程を含む。
多細胞凝集体は、任意の適切な手段を使用してヒドロゲル形成ポリマーと接触され得る。例えば、多細胞凝集体は、ヒドロゲル形成ポリマーを含有する溶液と混合され得る(重合/凝集の前、又はヒドロゲル形成ポリマーの架橋の前)。
多細胞凝集体は(例えば、一旦ヒドロゲルが形成されると、保存及び/又は輸送のために容器を密封する準備ができるように)密封可能な容器内にある間にヒドロゲル形成ポリマーと接触させてもよく、又は凝集体が密封可能な容器内に配置される前にヒドロゲル形成ポリマーと接触させてもよい。好適な容器は、本明細書の他の箇所に記載されている。
次いで、この方法は凝集体-ポリマーを重合して、可逆的に架橋された凝集体含有ヒドロゲルを形成することを含み、ここで、この凝集体は、ヒドロゲル中に捕捉又は封入される。凝集体ポリマーを重合して可逆的に架橋された凝集体含有ヒドロゲルを形成する方法は、当技術分野において周知であり、使用されるポリマーに応じて異なる。例えば、(本発明のアルギン酸塩ヒドロゲルを形成するための)アルギン酸塩溶液の重合は、塩化カルシウムなどの化学剤によって誘導され得る。
本明細書で使用される場合、ヒドロゲルの「重合」及び「ゲル化」という用語は、液体からヒドロゲルへのヒドロゲル形成ポリマーの状態の変化を指すために互換的に使用される。
ヒドロゲルは、適切な細胞適合性条件下、すなわち、細胞の生存率に有害でないか又は顕著に有害ではない条件下でゲル化される。
いくつかの例では、ヒドロゲルがcGMP(現在の適正製造規範)条件下で調製される。
ヒドロゲル中の細胞の保存、輸送又は送達のために、ヒドロゲルは適切にパッケージングされなければならない。したがって、本発明の方法は第1の場所から第2の場所への保存又は輸送のために、凝集体含有ヒドロゲルを容器にパッケージングし、容器を密封することを含む。適切な容器は、本明細書の他の箇所に記載されている。
凝集体含有ヒドロゲルは密封された/密封可能な容器中の適切な培地と接触していてもよい(例えば、完全に又は部分的に浸漬されていてもよい)。適切な培地には、細胞又は組織培養培地、例えば補充されたDMEM培地が含まれる。
任意選択で、この方法は第1の場所から第2の場所への輸送のために、密封された容器を発送することを含むことができる。本明細書で使用されるように、「発送」は輸送のために容器を放出すること(例えば、意図された目的地への輸送/配達のために郵便局員に容器を放出すること)を指す。したがって、発送は、密封された容器を第2の場所に輸送すること自体は含まない。
[集合体の注文を輸送/履行する方法]
本発明はさらに、複数の隣接する細胞を含む多細胞凝集体を第1の場所から第2の場所に輸送する方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む:
(a)本明細書の他の箇所に記載される調製方法に従って、輸送のための多細胞凝集体を調製すること;
(b)工程(a)の多細胞凝集体を第1の場所から第2の場所に輸送すること;
(c)第2の場所でヒドロゲルから多細胞凝集体を放出すること。
さらに、多細胞凝集体のための注文又は要求を満たすための方法も提供され、この方法は以下のステップを含む:
a)多細胞凝集体の注文又は要求を受領すること;
b)本明細書の他の箇所に記載される調製方法に従って、輸送のための多細胞凝集体を調製すること;
c)工程(b)の多細胞凝集体を輸送のために発送すること;又は工程(b)の多細胞凝集体を、注文又は要求で指定された場所に輸送すること。
注文又は要求は、任意の適切な手段によって、例えば、インターネット、電子メール、テキストメッセージ、電話又は郵便を介して受け取られてもよい。
他の場所に記載される本発明の態様(例えば、適切な容器、ヒドロゲル凝集体、重合剤)は、ここで等しく適用される。
本発明の凝集体はヒドロゲル(及び密封された容器)の中にあり、任意の適切な手段、例えば、車、バン、貨物自動車、オートバイ、航空機等の手段による輸送を含む、郵便又は宅配便などの適切な手段によって輸送され得る。好ましくは、輸送は、郵便又は宅配便による。
第2の場所は、好ましくは第1の場所から離れた場所、例えば、第1の場所から少なくとも1マイル、好ましくは5マイルを超えて離れた場所である。
第1の場所から第2の場所への輸送は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間などを要し得る。
凝集体は、-80℃~45℃、好ましくは4℃~45℃の範囲の温度で、ヒドロゲル(及び密封容器)内に保存又は輸送することができる。一例では、多細胞凝集体は、周囲温度で第1の場所から第2の場所に輸送される。
いくつかの例では、ヒドロゲル(及び密封容器)内の凝集体は、細胞培養条件下(例えば、約37℃、約5%のCO及び約95%の湿気)で保存又は輸送される。いくつかの例では、それらは例えば4~6℃、好ましくは約4℃のチルド条件下で保存又は輸送される。特定の例において、それらは、保存又は輸送される場合に冷蔵される(2~8℃(欧州薬局方)として定義される)。別の例では、それらは冷涼下(8~15℃と定義される)で保存又は輸送される。
他の例では、それらは周囲条件、例えば10~25℃、好ましくは15~20℃下で保存又は輸送される。いくつかの例では、周囲温度が30℃まで(すなわち、10~30℃)、又は40℃までであってもよい。さらに他の例では、それらは約37℃で保存又は輸送される。
いくつかの例では、それらは制御された室温(CRT)(15~25℃と定義される)で保存又は輸送される。それらは、冷涼下又はCRT(すなわち、8~25℃)で保存又は輸送され得る。
さらに他の例では、それらは低体温(すなわち、約35℃未満、典型的には0~32℃の範囲)で保存又は輸送される。一例では、それらはCRTと32℃(すなわち、15~32℃)との間で保存又は輸送される。別の例では、それらは冷涼下で、CRTで、又は32℃(すなわち、8~32℃)まで、保存又は輸送される。
本発明のいくつかの例において、多細胞凝集体を含むヒドロゲルは、保存及び/又は輸送の前に凍結される。これは、多細胞凝集体の細胞が解凍後に生存可能である時間を延長し得、そして/又は使用可能な通過時間を増加し得る。したがって、ヒドロゲルは、このようにして、凍結保護剤として使用され得る。例えば、凝集体を含むヒドロゲルの温度は、0℃未満、-15℃未満、又は-80℃未満に低下させることができる。多細胞凝集体を含むヒドロゲルは、融解又は解凍、すなわち、好ましくはゆっくりとした、制御された、又は制御されていない温度上昇速度で、保存及び/又は輸送中にその温度を、0℃を超えて上昇させてもよいし、又はさせなくてもよい。他の例において、本発明のヒドロゲルは、冷却又は凍結されない。
多細胞凝集体が保持されたヒドロゲルは、10又は20週間まで保存及び/又は輸送することができる。好ましくは、凝集体がヒドロゲルから放出される前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間までヒドロゲル中に保存される。より好ましくは、凝集体がヒドロゲルから放出される前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10日までヒドロゲル中に保存される。
本明細書で言及するヒドロゲルは、複数の隣接する細胞を含む多細胞凝集体を放出することができるものである。言い換えれば、その中に含まれる多細胞凝集体の保護又は保存又は輸送の後、ヒドロゲルは解離することができ、それにより、その中に以前に保持されていた多細胞凝集体のすべて又は実質的にすべての放出又は除去(又は、例えば、細胞培養プレートなどの適切な容器の表面に接着され得る、凝集体からの解離したヒドロゲルの除去)を可能にする。
ヒドロゲルは適切な細胞適合性条件下、すなわち、細胞及び/又は細胞膜の完全性に有害でないか又は顕著には有害でない条件下で解離される。
好ましくは、ヒドロゲルが化学的に分解又は溶解されることによって解離される。例えば、アルギン酸塩ゲルは適切なアルギン酸塩溶解緩衝液(例えば、0.055Mクエン酸ナトリウム、0.15M NaCl、pH6.8)中で崩壊させることができる。
好ましくは、多細胞凝集体中の細胞の少なくとも50%、60%又は70%が保存後に生存可能なままであり、より好ましくは、細胞の少なくとも80%、85%、90%又は95%が保存後に生存可能なままである。生存率は、トリパンブルー排除アッセイ又は他の類似の手段によって評価され得る。他の同様の手段としては、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイ及び抽出後の細胞コロニー形成の試験が挙げられる。
[多細胞凝集体の保存方法]
さらなる態様では、複数の隣接する細胞を含むインビトロの多細胞凝集体を、少なくとも24時間保存する方法が提供され、この方法は以下の工程を含む:
(a)以下の方法で保存のための多細胞凝集体を調製すること;
i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;
ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで多細胞凝集体はアルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及び
iii)多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを水密又は気密容器にパッケージングし、密封すること;並びに
(b)工程(a)のパッケージされた多細胞凝集体を、10~30℃で少なくとも24時間保存すること。
インビトロ多細胞凝集体が保持されたヒドロゲルは、10週間又は20週間まで保存することができる。好ましくは、凝集体がヒドロゲルから放出される前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間までヒドロゲル中に保存される。より好ましくは、凝集体がヒドロゲルから放出される前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10日までヒドロゲル中に保存される。
いくつかの例では、ヒドロゲル(及び密封容器)内の凝集体は、細胞培養条件下(例えば、約37℃、約5%のCO及び約95%湿度)で保存される。いくつかの例では、それらはチルド条件、例えば4~6℃、好ましくは約4℃下で保存される。特定の例において、それらは、保存される場合に冷蔵される(2~8℃(欧州薬局方)として定義される)。別の例では、それらは冷涼下(8~15℃と定義される)で保存される。
他の例では、それらは周囲条件下、例えば10~25℃、好ましくは15~20℃で保存される。いくつかの例では、周囲温度が30℃まで(すなわち、10~30℃)、又は40℃までであってもよい。さらに他の例では、それらは約37℃で保存又は輸送される。
いくつかの例では、それらは制御された室温(CRT)(15~25℃と定義される)で保存される。それらは、冷涼下又はCRT(すなわち、8~25℃)で保存され得る。
さらに他の例では、それらは低体温(すなわち、約35℃未満、典型的には0~32℃の範囲)で保存される。一例では、それらはCRTと32℃(すなわち、15~32℃)との間で保存される。別の例では、それらはCRTで、又は32℃(すなわち、8~32℃)まで、冷涼下で保存される。
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。たとえば、Singleton and Sainsbury、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、2d Ed、John Wiley and Sons、NY(1 94); そしてHale and Marham、The Harper Collins Dictionary of Biology、Harper Perennial、NY(1991)は、発明に用いられる多くの用語の一般的な辞典を当業者に提供する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料が、本発明の実施において使用されるが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。したがって、以下で定義される用語は、本明細書全体を参照することによって、より完全に説明される。また、本明細書で使用されるように、単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数形の参照を含む。特に断らない限り、核酸は5′から3′の方向で左から右に書かれ、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれる。本発明は記載された特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されず、これらは当業者によって使用される文脈に依存して、変化し得ることが理解されるべきである。
本発明の態様は、以下の非限定的な実施例によって実証される。
[実施例1:材料及び方法]
(培養容器中の細胞層の保存)
ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、及びヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)を、標準プロトコルを用いて培養し、保存前に単層を確立させた。培養プレートを通常の培養条件から取り出し、室温に平衡化させた後、使用済み培地を除去し、300μLの培養培地(-Hydrogel対照)又は300μLの1%(w/v)アルギン酸カルシウム複合体で細胞をコーティングしたもの、のいずれかと置き換えた。簡単に述べると、培養培地で希釈した1%(w/v)アルギン酸ナトリウムを細胞上に適用した後、0.1M塩化カルシウムを用いてゲルを20分間架橋した。全ての調製は室温で行った。培養培地で5分間洗浄した後、プレートを接着フィルムで密封した後、15℃に制御された温度のインキュベーター、又は15~25℃に制御された室温(CRT)包装のいずれかに保存した。保存後、300μLの0.1Mクエン酸三ナトリウムを用いてゲルを溶解し、培地で置換した後、標準培養条件に戻した。
(密封チューブでのスフェロイド及び組織の保存)
hASC由来スフェロイド及びヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)由来組織構築物は、培養培地を含む密封チューブ中に保存する前に、それぞれ1.2及び2.4%(w/v)アルギン酸カルシウムディスク中に封入した。-Hydrogel対照を、アルギン酸塩ヒドロゲルを含まない培養培地に懸濁した。簡単に述べると、スフェロイド及び組織構築物をアルギン酸ナトリウムに懸濁した後、0.102M塩化カルシウムを用いてゲルを8分間架橋した。次いで、ゲルを、冷蔵庫(4℃)又は温度制御インキュベーター(15℃)に保存する前に、1.5mLの培養培地を満たした2mLの低温バイアルに入れた。保存後、0.1Mクエン酸三ナトリウムを用いてゲルを溶解し、スフェロイド及び組織構築物を培養培地中に入れた後、通常の培養条件に戻した。
(培養容器中のスフェロイドの保存)
hASC由来スフェロイドを1%(w/v)アルギン酸ナトリウム中に懸濁した後、2.1に記載のように、96ウェル培養プレート中でゲル化した。プレートを密封し、ゲル溶解前に温度制御されたインキュベーター中で15℃にて保存し、通常の培養条件に戻した。-Hydrogel対照は、300μLの培養培地で満たされたウェルで構成された。
(生存回復率の評価)
保存して通常の培養条件に戻した後に、生存細胞回収率、細胞生存率、及び細胞形態を評価した。AlamarBlue代謝活性を用いて生存細胞数を計数し、非保存対照に対する生存細胞回収率(%)を示した。生存率及び形態は、カルセイン-AM/エチジウムホモダイマー-1(生細胞/死細胞)染色により評価し、蛍光顕微鏡により撮像した。
[実施例2:細胞単層のプレート内保存]
(96ウェル培養プレートに保存された保存ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ASC))
図1は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、96ウェルプレート中での細胞単層の保存後のヒト脂肪由来間質細胞(hASC)の細胞回収、生存率及び形態を示す。hASCを96ウェルプレートに播種し、24時間培養した。保存前に、培養培地を除去し、300μLの培養培地(-Hydrogel)又は300μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体(+Hydrogel)と交換した後、プレートを密封し、15℃で保存した(aに示すプレート)。3日間保存後、プレートを通常の培養条件に2時間戻し、AlamarBlue代謝活性試薬による生存細胞回収率(%)(b)、及びカルセイン-AM(生細胞指示薬;緑色)/EthD-1(死細胞指示薬;赤色)染色(c)による生存率及び形態を評価した。アルギン酸塩ヒドロゲル保護なしでは、hASCの回収率が実験的セットアップ間で非常に変動したが、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の場合、ASC単層の生存性及び完全性が維持された。hASCは、アルギン酸塩ヒドロゲル保護を用いて同じ様式で調製され、そしてプレートを通常の培養条件に一晩戻す(d)前に、長期間(1週間及び2週間)保存した。長期の保存期間にわたってさえ、良好なレベルの生細胞回収が観察され、細胞は正常な紡錘形の形態を示した。結果は、保存されていない培養物に対する細胞回収率(%)の平均±SDで表される。
(96ウェル培養プレートに保存されたヒトiPSC由来皮質ニューロンの保存と輸送)
図2は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、96ウェルプレート中での保存及び輸送後の成熟皮質ニューロンの細胞回収、生存率及び形態を示す。ヒトiPSC由来分化ニューロン(31~36日間成熟)は、300μLの神経維持培地(-Hydrogel)で、又は300μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体(+Hydrogel)でコーティングした状態で、密封96ウェルプレートで保存及び輸送された。15℃で一晩保存した後、プレートを15~25℃に制御された室温(CRT)包装で返送された(全保存時間:3日間;到着温度: 19℃)。プレートを通常の培養条件に5日間戻した後、AlamarBlue(a)によって生存細胞回収を評価した。その後、セルはカルセイン-AM(生細胞指標;緑)とエチジウムホモダイマー-1(死細胞指標;赤)(b)で染色した。アルギン酸塩ヒドロゲル保護なしの保存及び輸送は生存細胞数のかなりの損失をもたらし、一方、培養物をアルギン酸塩でコーティングした場合、細胞回収は維持された。さらに、培養物はそれらの形態及び軸索接続性を維持し、アルギン酸塩ヒドロゲルが室温保存の間に細胞を保護し、そして輸送の間に誘導される機械的ストレスに対して保護し得ることを実証した。成績は、非保存培養と比較した%回収率の平均±SDで表す。
(96ウェル培養プレートに保存したヒト腎臓近位尿細管細胞単層の保存)
図3は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、96ウェルプレート中で保存した後の、初代ヒト腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)の細胞回収、生存率及び形態を示す。2人のドナーからのhPTCを96ウェルプレートに播種し、コンフルエントに達するまで7日間培養した。細胞を、300μLの培養培地(-Hydrogel)又は300μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体(+Hydrogel)でコーティングした密封96ウェルプレート中、15℃で3日間又は5日間保存した後、通常の培養条件に戻した。24時間後、アルギン酸塩ヒドロゲル保護なしでは、付着した生存細胞の証拠はほとんどなかった(a)。逆に、アルギン酸塩ヒドロゲルで覆われた培養物は、かなりの数の生存細胞の回収を示した。3~4日間(3日間保存細胞)及び7~8日間(5日間保存細胞)の回復培養期間後、AlamarBlue代謝活性アッセイによって評価されるように、培養物は完全な%細胞回復を取り戻した(b)。回収されたhPTC培養物はカルセイン-AM(生指標;緑色)及びエチジウムホモダイマー-1(死指標;赤色)染色によって評価されるように、高い生存率%を有する密な上皮培養物を形成した。成績は、非保存培養物と比較した%回収率の平均±SDで表す。
(96ウェル培養プレートに保存した真皮ケラチノサイト上皮細胞の保存)
図7は、96ウェル培養プレートにおけるヒト皮膚ケラチノサイト上皮細胞の生存率及び形態の保存を示す。3人のドナーからのケラチノサイトを96ウェルプレートに播種し、サブコンフルエントになるまで培養した。次いで、細胞を300μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体をオーバーレイし、15℃で5日間保存した。ゲル除去後、細胞を一晩正常培養条件に戻し、生存率及び形態をライブ/デッド(CAM/EthD-1)染色及び蛍光顕微鏡によって評価した。細胞は、保存後、高い細胞生存率及び正常な形態を維持した。
(96ウェル培養プレートに保存した皮膚線維芽細胞の保管・出荷)
図8は、96ウェル培養プレートにおけるヒト皮膚線維芽細胞の生存率及び形態の保存を示す。3人のドナーからの皮膚線維芽細胞を96ウェルプレートに播種し、サブコンフルエントになるまで培養した。次いで、細胞を300μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体をオーバーレイし、15℃で5日間保存した。ゲル除去後、細胞を一晩通常の培養条件に戻し、生存率をMTTアッセイ(a)及び蛍光顕微鏡によるライブ/デッド(CAM/EthD-1)染色(b)によって評価した。細胞は、保存後、高い細胞生存率及び正常な形態を維持した。
(96ウェル培養プレート、384ウェル培養プレート及び96ウェルプレートの3Dマイクロスキャフォールドに保存されたHEK-293細胞の保存及び出荷)
図9は、HEK-293及び一過性にトランスフェクトされたHEK-293細胞の薬学的応答性の保存を示す。HEK-293細胞を96ウェルプレート、384ウェルプレートのいずれかに24時間播種し、アルギン酸カルシウム複合体をオーバーレイした。次いで、細胞を、制御された室温で遠隔地(1マイルを超)に発送し、そしてゲルを、保存の5日後に除去した。細胞は、一晩通常の培養条件に戻し、サイクリックAMP応答エレメントベースのルシフェラーゼアッセイ(a)を用いてフォルスコリンに対する、及びカルシウム流ベースのFLIPRアッセイ(b)を用いてATPに対する薬学的応答性を評価した。EC50値は非保存細胞と機能の損失がないことを示している非保存細胞との間で類似していた。また、HEK-293細胞は5日間にわたる封入、保存及び出荷の前に、DDR1キナーゼ配列をコードするcDNAで一過的にトランスフェクションされた。通常の培養条件に一晩戻した後、細胞をダサチニブで処理し、リガンド結合活性をBRETによって評価した。細胞はcDNAの一過性発現を保持し、ダサチニブに匹敵するEC50を示した。
[実施例3:細胞由来オルガノイド、組織及びスフェロイドの保存]
(クライオバイアル中に懸濁したヒトASCスフェロイドの保存)
図4は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、密封チューブ中での保存後のhASC由来スフェロイドの生存率を示す。5×10のhASCからなる球状体を24時間培養した後、保存培地(-Hydrogel)に懸濁するか、又は1.2%(w/v)アルギン酸カルシウム(+Hydrogel)に封入した。スフェロイドを、保存媒体を含む密封バイアルに入れ、4℃で72時間保存した。スフェロイドは、通常の培養条件に戻る前に、保存からの解放された後の生存率について評価した。a:アルギン酸に埋め込まれたhASCスフェロイドの画像; b:保存後のスフェロイドのカルセイン-AM/エチジウムホモダイマー-1(ライブ/デッド)染色; c:保存後のスフェロイドのカルセイン-AM/エチジウムホモダイマー-1(ライブ/デッド)染色; c:24時間又は72時間の通常の培養状態に戻った後のスフェロイドの相対的代謝活動; d:培養72時間後の保存されたスフェロイドの画像。封入なしの場合、スフェロイドは膨潤したように見え、正常な培養条件に戻しても、付着し、代謝活性を回復することができなかった。アルギン酸塩封入はこれを妨げ、hASC由来スフェロイドの生存性及び完全性を保存した。結果を平均±SDとして表す。
(96ウェル培養プレートに保存したASCスフェロイドの保存)
図5は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、96ウェルプレート中での保存後のhASC由来スフェロイドの生存率を示す。7×10のhASCからなる球状体を24時間培養した後、保存培地(-Hydrogel)中に懸濁するか、又はアルギン酸カルシウム(+Hydrogel)中に封入して、密封した96ウェルプレート中に入れた(aに示すように)。培養プレートを、アルギン酸塩ヒドロゲルを除去せずに、15℃で7日間保存し、その後通常の培養条件に戻した。24時間の培養後、封入されていないスフェロイドは、カルセイン-AM(生指標;緑)及びエチジウムホモダイマー-1(死指標;赤)染色(b)を評価したところ、非常に劣る生存率を示した。反対に、アルギン酸塩保護を有するスフェロイドは生存維持していた。
(ヒト角膜実質線維芽細胞由来組織構築物の保存)
図6は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護の有無での、密封チューブ中のヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)構築物の生存率及び完全性を示す。hCSF由来組織構築物を、保存培地(-Hydrogel)中に懸濁するか、又はアルギン酸カルシウム(+Hydrogel)中に封入した。組織を、保存培地を含む密封チューブに入れ、15℃で72時間保存した。保存から放出した後の組織の生存率について、カルセイン-AM/エチジウムホモダイマー-1(ライブ/デッド)染色によって評価した。封入なしの場合は、生細胞が同定され得ず、そして総細胞数は低かったが、保存の間の封入した場合は細胞生存性及び組織完全性を維持した。
(96ウェルプレートにおけるヒト腹部皮膚生検の保存)
図10は、96ウェルプレート中に新たに収集された腹部皮膚生検の保存を示す。新鮮な皮膚生検材料を分離し、解剖して、96ウェルプレートに入れた後、アルギン酸カルシウム複合体をオーバーレイした。皮膚を15℃で5日間保存した後、ゲルを除去し、4時間培養に戻した。続いて、組織の完全性をH&E及びコラーゲン染色(a)によって調べ、生存率をalamarBlue(b)による相対代謝活性を調べることによって調べた。5日間保存した組織は、構造又は完全性に変化はなく、生存率の低下も示さなかった。
(iPSC由来血管芽細胞の保管(マクロファージ前駆細胞工場))
図11は、アルギン酸カルシウムヒドロゲルビーズ中に懸濁されたiPSC由来血管芽細胞の保存を示す。血管芽細胞をアルギン酸ナトリウムに懸濁させた後、ビーズの形態でカルシウムと架橋させた。完全培地中に懸濁したビーズを、制御された室温で5日間にわたって遠隔地に輸送した。血管芽細胞をアルギン酸塩ビーズから回収し、20日間培養に戻し、その間にマクロファージ前駆細胞を回収し、表現型について評価した。封入は、血管芽細胞が典型的な系統マーカーを発現するマクロファージ前駆細胞を産生する能力を保持した。
(ヒト皮膚3D構築物の保存)
図12は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護によるヒト皮膚3D構築物の保存を示す。3Dカルチャーインサート中の皮膚ケラチノサイト及び線維芽細胞からなる3D組織構築物を保存し、アルギン酸塩ヒドロゲル保護を用いて、制御された室温で5日間及び7日間にわたって輸送した。ゲルを除去し、一晩インキュベートした後、細胞生存率を評価した。生細胞(CAM陽性;緑色)は5日目及び7日目の保存及び輸送後のスキャフォールド全体に見られ、死細胞の証拠はほとんどなかった。皮膚モデルの相対代謝活性は5日目及び7日目の両方の保存後で維持された(非保存対照の約90%)。
(96ウェル培養プレートに保存した大腸癌オルガノイドの保存)
図13は、アルギン酸塩ヒドロゲル保護を伴う96ウェルプレート中での保存後の結腸直腸癌オルガノイドの維持された生存率及び形態を示す。結腸直腸癌オルガノイドを、96ウェルプレート中で培養して確立した。次いで、オルガノイドを150μLのアルギン酸カルシウムヒドロゲル複合体で覆い、15℃で5日間保存した。ゲル除去後、細胞を一晩通常の培養条件に戻し、生存率及び形態を、蛍光顕微鏡及び明視野顕微鏡によるライブ/デッド(CAM/EthD-1)染色によって評価した。オルガノイドは、保存後も、高い細胞生存率及び正常な形態を維持した。
[実施例4:技術的概要]
ここで提示されたデータは、保存及び/又は輸送中の細胞及び単純な組織の保存のための層又はコーティングとしてのアルギン酸の使用を記述したものである。それは、in situ(すなわち、それらが播種及び/又は増殖される培養容器中)での細胞層の保存を提示する。このようにして保存された細胞には、間質細胞、上皮細胞及びニューロン細胞が含まれる。また、単純な多細胞スフェロイド及び単純な3D組織構築物の保存を記載するデータも提示する。データは、アルギン酸塩ヒドロゲルコーティングが室温保存の間、細胞生存率及び培養/組織完全性を保存し、並びに輸送の間、機械的保護を提供する能力を実証する。

Claims (20)

  1. 少なくとも100個の隣接す細胞を含むインビトロ多細胞凝集体を第1の場所から第2の場所に輸送する方法であって、以下のステップを含む方法:
    (a)i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーとを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで前記多細胞凝集体は、前記アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及び;iii)前記多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを水密又は気密容器にパッケージングし密封すること;によって輸送のための多細胞凝集体を調製すること;並びに、
    (b)ステップ(a)のパッケージングされた前記多細胞凝集体を、第1の場所から第2の場所に10~30℃で輸送すること、ここで、前記第1の場所と前記第2の場所との間の距離が少なくとも1マイル(1.6km)である。
  2. 以下のステップをさらに含む、請求項1記載の方法
    (c)前記第2の場所で、前記アルギン酸塩ヒドロゲルから前記多細胞凝集体を放出すること。
  3. 少なくとも100個の隣接す細胞を含むインビトロ多細胞凝集体についての注文又は要求を満たすための方法であって、
    多細胞凝集体の注文又は要求を受領すること;並びに、
    a)i)前記多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで、前記多細胞凝集体は、前記アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及び、iii)前記多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを、水密又は気密の容器中にパッケージング及び密封すること;によって、第1の場所から第2の場所に輸送する細胞凝集体を調製すること;並びに、
    b)輸送のためのステップ(a)のパッケージングされた前記多細胞凝集体を前記第1の場所から発送すること;又は、ステップ(a)の多細胞凝集体を、前記第1の場所から、前記注文又は要求で指定された前記第2の場所に輸送すること
    を含む方法。
  4. 前記多細胞凝集体が、前記第1の場所から前記第2の場所へ10~30℃で輸送され、前記第1の場所と前記第2の場所との間の距離が少なくとも1マイル(1.6km)である、請求項3に記載の方法。
  5. 少なくとも100個の隣接す細胞を含むインビトロ多細胞凝集体を少なくとも24時間保存する方法であって、
    (a)i)多細胞凝集体とアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーを接触させること;ii)該ポリマーを重合させて、可逆的に架橋された凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを形成すること、ここで前記多細胞凝集体は、前記アルギン酸塩ヒドロゲル中に捕捉又は封入される;及びiii)前記多細胞凝集体含有アルギン酸塩ヒドロゲルを、水密又は気密の容器中にパッケージング及び密封すること;によって、保存のための多細胞凝集体を調製すること;並びに、
    (b)ステップ(a)のパッケージングされた前記多細胞凝集体を、10~30℃で少なくとも24時間保存すること
    を含む方法。
  6. 以下のステップをさらに含む、請求項5記載の方法
    (c)前記保存後に前記アルギン酸塩ヒドロゲルから前記多細胞凝集体を放出すること。
  7. ステップ(a)が、前記多細胞凝集体をアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させる前に、前記多細胞凝集体を輸送、発送又は保存のための前記容器中に配置することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ(a)が、前記多細胞凝集体をアルギン酸塩ヒドロゲル形成ポリマーと接触させた後に、前記多細胞凝集体を輸送、発送又は保存のための前記容器中に配置することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記容器が、密封された保存バイアル又は輸送チューブであるか、又は前記容器が細胞培養容器である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記細胞培養容器が、細胞培養チューブ、細胞培養フラスコ、細胞培養皿又は複数のウェルを含む細胞培養プレートから選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記複数のウェルを含む細胞培養プレートが、4、6、8、12、24、48、96、384、及び1536ウェル細胞培養プレートから選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ヒドロゲル形成ポリマーが、アルギン酸塩としてアルギン酸カルシウム、アルギン酸ストロンチウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸マグネシウム又はアルギン酸ナトリウムを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記アルギン酸塩が、0.5%(w/v)~5.0%(w/v)の量のアルギン酸カルシウムである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記多細胞凝集体が、組織、細胞層、スフェロイド、オルガノイド、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記多細胞凝集体が、異種の細胞型を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記多細胞凝集体が、同種の細胞型を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記多細胞凝集体が、ヒト細胞を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記多細胞凝集体が、ヒト脂肪由来間質細胞(hASC)、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)由来皮質ニューロン、ヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(hPTC)、又はヒト角膜実質線維芽細胞(hCSF)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 重合が化学剤によって誘発される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 化学重合剤が、塩化カルシウムである、請求項19に記載の方法。
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