以下に、本開示の実施の形態に係るパラメータ調整装置およびパラメータ調整方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るパラメータ調整装置の構成の一例を示す図である。パラメータ調整装置1は、加工対象物を加工するための加工プログラムに基づいて計算される工具経路上の単位時間毎の補間点群によって構成される工具移動指令の生成に使用される複数のパラメータである指令値生成パラメータセットを調整する装置である。工具移動指令は、工作機械のサーボモータ等の駆動装置を駆動するための指令である。
指令値生成装置3は、外部入力された加工プログラム310に従い、単位時間毎の工具の移動指令をパラメータ調整装置1に出力する。加工プログラム310は、加工目標形状320に対応した工具経路の移動指令と、このときの移動速度指令と、が記述されたコンピュータプログラムである。工具経路の移動指令は座標値とこのときの移動モードとをG0、G1等のGコードによって指定され、工具経路の移動速度指令は速度値が記述されたFコードによって指定される。
加工目標形状320は、加工すべき曲面である加工曲面を含む加工対象物の目標の形状データである。加工目標形状320は、パラメータ調整装置1に外部入力される。一例では、加工目標形状320は、CAD(Computer Aided Design)データからのデータ変換による入力、キーボードなどの作業者の操作による図形入力などの方法によってパラメータ調整装置1に入力される。
図2から図4は、加工目標形状の一例を示す図である。図2は、加工目標形状320の斜視図であり、図3は、加工目標形状320の正面図であり、図4は、加工目標形状320の上面図である。加工目標形状320は、直方体状のブロック321の上面321aに半球状の突起部322を有し、上面321aにおける1つの角部が平面によって切り取られた形状を有する。加工目標形状320は、上面321aに注目すると、半球状の突起部322を形成する加工曲面S1と、上面321aの加工曲面S1以外の領域を形成する平面状の加工曲面S2と、角部が切り取られた位置の平面上の加工曲面S3と、を有する。また、加工曲面S1と加工曲面S2との境界には円環状の加工エッジE1が存在し、加工曲面S2と加工曲面S3との境界には直線状の加工エッジE2が存在している。
図5は、図2から図4に示される加工目標形状を加工する加工プログラムの一例を示す図である。加工プログラム310には、直方体状のブロック321の上面321aを図2から図4に示される加工目標形状320となるように工作機械を動作させる処理が記述されている。図5に示される例では走査線加工の加工パスを例に扱うが、等高線加工であってもよい。また、加工方向についても限定されない。
指令値生成装置3は、外部入力された加工プログラム310に従った単位時間毎の工具の移動指令を出力するにあたって、解析処理、加減速処理、平滑化処理、スムージング処理、補間処理などを行う。解析処理は、加工プログラム310に基づいて、移動経路および移動経路上の送り速度を出力する処理である。加減速処理は、予め設定された許容加速度に基づいて停止状態と送り速度の状態との間の加減速波形を計算する処理である。平滑化処理は、予め設定された許容経路誤差および加減速波形に基づいて移動経路を平滑化した移動指令を出力する処理である。スムージング処理は、平滑化処理後の速度波形を滑らかにする処理である。スムージング処理は、移動平均フィルタ処理とも称される。補間処理は、スムージング処理後の速度で移動したときの単位時間毎の工具位置である補間点を計算する処理である。ここでは、単位時間毎の工具の移動指令の1つ1つは、補間点と称される。
指令値生成装置3におけるそれぞれの処理はパラメータに従って動作する。以下に、パラメータについて説明する。
加減速処理では、設定する許容加速度によって加減速波形が変化する。つまり、許容加速度がパラメータとなる。図6は、許容加速度が変化したときの加減速波形の変化の一例を示す図である。この図において、横軸は時刻を示し、縦軸は速さを示している。実線で示されるグラフは、許容加速度が高いときの加減速波形であり、破線で示されるグラフは、許容加速度が低いときの加減速波形である。図6によれば、許容加速度を低くすることで、許容加速度が高いときと比較して、加速度が低く滑らかな加減速波形が得られるが、加工時間が増加するようになることがわかる。
平滑化処理では、設定する許容経路誤差によって、移動指令および速度波形が変化する。つまり、許容経路誤差がパラメータとなる。図7は、許容経路誤差が変化したときの移動経路の変化の一例を示す図であり、図8は、許容経路誤差が変化したときの加減速波形の変化の一例を示す図である。図8において、横軸は時刻を示し、縦軸は速さを示している。図7において、加工プログラム310上の工具の移動経路は、点線で示されるように、X軸に沿って進み、その後Y軸に沿って進むものである。実線で示される移動経路は許容経路誤差が大きいときの移動経路であり、破線で示される移動経路は許容経路誤差が小さいときの移動経路である。図8においては、図7の移動経路に沿って加工を行うときのX軸方向の加減速波形と、Y軸方向の加減速波形と、が示されている。また、Y軸方向の加減速波形で、実線のものは許容経路誤差が大きい場合を示し、破線のものは許容経路誤差が小さい場合を示している。図7および図8によれば、許容経路誤差が大きくなることで、許容経路誤差が小さいときと比較して、加工時間を短縮することができるが、工具の経路誤差が大きくなることがわかる。
スムージング処理では、設定する移動平均フィルタの時定数によって、工具の移動指令および速度波形が滑らかになるように変化する。以下では、移動平均フィルタの時定数は、フィルタ時定数と称される。この処理では、フィルタ時定数がパラメータとなる。移動平均フィルタ後経路、すなわち工具移動指令の経路上の補間点xは移動平均フィルタ前経路、すなわち加工プログラム310の経路上の点Xの平均値で表されるため、次式(1)で表すことができる。
ここで、nは始点から終点までの補間点の番号を示している。また、mは移動平均フィルタのフィルタ時定数であり、パラメータにより設定される。
図9は、フィルタ時定数が変化したときの工具の移動経路の変化の一例を示す図であり、図10は、フィルタ時定数が変化したときの加減速波形の変化の一例を示す図である。図10において、横軸は時刻を示し、縦軸は速さを示している。図9において、加工プログラム310上の工具の移動経路は、点線で示されるように、X軸に沿って進み、その後Y軸に沿って進むものである。実線で示される移動経路はフィルタ時定数が小さいときの移動経路であり、破線で示される移動経路はフィルタ時定数が大きいときの移動経路である。図10においては、図9の移動経路に沿って加工を行うときのX軸方向の加減速波形と、Y軸方向の加減速波形と、が示されている。また、破線のものはフィルタ時定数が大きい場合を示し、実線のものはフィルタ時定数が小さい場合を示している。図9および図10によれば、移動平均フィルタのフィルタ時定数を大きくすることで、フィルタ時定数が小さいときと比較して、滑らかな加減速波形が得られるが、加工時間および工具の経路誤差が大きくなることがわかる。
以下で説明するように実施の形態1では、パラメータ調整装置1は許容加速度、許容経路誤差およびフィルタ時定数の合計3つを指令値生成パラメータセットとして扱う。つまり、パラメータ調整装置1は、これら3つの指令値生成パラメータセットをパラメータ調整の対象とする。ただし、実施の形態1において扱う3つのパラメータに限らず、指令値生成装置3から生成される補間点に影響するすべてのパラメータをパラメータ調整の対象として扱うことが可能である。
なお、指令値生成装置3は、指令値生成装置3の設定値記憶部に予め記憶された指令値生成パラメータセットの設定値で動作する。パラメータ調整装置1からの外部入力によって設定値記憶部の設定値を書き換えることが可能である。
図1に戻り、パラメータ調整装置1は、特徴量算出部11と、評価指標計算部12と、評価指標情報記憶部13と、第1最適解探索部14と、候補情報記憶部15と、嗜好情報設定部16と、表示部17と、第2最適解探索部18と、調整後指令値生成パラメータセット記憶部19と、を備える。
特徴量算出部11は、指令値生成装置3で生成された工具移動指令から制御対象の工作機械の動作をシミュレーションし、加工の特徴量を算出する。加工の特徴量の一例は、加工目標形状320と工具先端点の位置に配置された工具との間の距離である加工誤差量、工具先端点の速度、工具先端点の加速度、工具先端点の加加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの位置、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの反転位置である。
ここで、ワークの全体を同じ1つの条件で加工する場合には、上記のように処理が行われるが、ワークを複数の部分に分けて、分けた部分ごとに条件を変更して加工を行うようにすることもできる。この場合には、特徴量算出部11は、指令値生成装置3で生成された工具移動指令から制御対象の工作機械の動作をシミュレーションして工具先端点を求め、工具先端点における加工の情報である加工の特徴量を、加工目標形状320が有する1つ以上の加工曲面毎または加工エッジ毎に算出する。加工目標形状320が有する1つ以上の加工曲面または加工エッジは、形状構成要素に対応する。
特徴量算出部11は、まず、工具先端点を推定する工具先端点推定処理を行い、その後に、工具先端点における加工の特徴量を算出する特徴量算出処理を行う。以下に、工具先端点推定処理および特徴量算出処理を順に説明する。
<工具先端点推定処理>
特徴量算出部11は、指令値生成装置3で生成された工具移動指令に追従するように、実際にまたはシミュレーションで駆動する制御対象である工作機械の駆動制御部から得られる結果情報を用いて工具先端点を推定する。シミュレーションの結果を利用する場合には、特徴量算出部11は、工作機械の挙動を計算機上でシミュレーションして、指令値生成装置3の出力である補間点から実際の工具先端点を推定する。具体的には、工作機械の慣性、粘性および弾性のパラメータ、慣性、粘性および弾性に起因する共振周波数または反共振周波数、軸反転時のバックラッシまたはロストモーションのパラメータ、熱変位のパラメータ、加工時の反力に起因する変位量のパラメータ等を予め設定して、工作機械の動作をシミュレーションする。ここで、シミュレーションで計算される工具先端点の推定精度は変更することができ、一例では工作機械の駆動軸相当の推定精度が求められる場合には、工具先端点として駆動軸の位置情報が使用されてもよく、補間点相当の推定精度が求められる場合には、工具先端点として補間点が使用されてもよい。また、実際の動作の結果を利用する場合には、特徴量算出部11は、実際の工作機械を運転させて工具先端点相当の情報を取得する。
<特徴量算出処理>
特徴量算出部11は、工具先端点推定処理で求めた工具先端点のそれぞれについて、当該工具先端点における加工の特徴量を加工目標形状320の加工曲面または加工エッジに対応付けて算出する。以下に、加工の特徴量の一例である加工誤差量、工具先端点の速度、工具先端点の加速度、工具先端点の加加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの位置、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加加速度、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの反転位置の算出方法について説明する。
加工誤差量は、工具先端点に対応する切削点の位置と、工具先端点の位置および工具方向に従って配置された工具の形状表面と、の間の最短距離として算出することができる。工具先端点の位置は、制御対象である工作機械の挙動をシミュレーションして得られる情報から計算されたもの、あるいは制御対象を運転させて得られたものである。
工具先端点の速度、加速度および加加速度は、次のように算出することができる。始点から終点までの工具先端点において、n番目の工具先端点の位置をPT(n)とし、所定の制御周期の時間Δtだけ進んだn+1番目の工具先端点の位置をPT(n+1)とすれば、n番目における工具先端点の速度VT(n)は、次式(2)で表されるように、二つの工具先端点の位置PT(n+1),PT(n)の間の距離を所定の制御周期の時間Δtで除算することで算出される。
同様に、n番目における工具先端点の加速度AT(n)は、次式(3)で表されるように、二つの工具先端点での速度VT(n+1),VT(n)の間の差を所定の制御周期の時間Δtで除算することで算出される。
同様に、n番目における工具先端点の加加速度JT(n)は、次式(4)で表されるように、二つの工具先端点の加速度AT(n+1),AT(n)の間の差を所定の制御周期の時間Δtで除算することで算出される。
また、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの位置、速度、加速度および加加速度は、次のように算出することができる。n番目の工具先端点に対応した第1駆動軸の位置PM1(n)は、工作機械の運転情報の時系列データから取得することができる。運転情報は、工作機械を運転させた際の運転状態を示す情報である。運転情報は、工作機械、工作機械を制御する数値制御装置すなわち指令値生成装置3、または工作機械に取り付けられたセンサなどから得た情報を含む。この例の場合には、運転情報は、工作機械が有する複数の駆動軸のそれぞれの位置データを含む。
所定の制御周期の時間Δtだけ進んだn+1番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の位置をPM1(n+1)とすれば、時刻tのn番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の速度VM1(n)は、次式(5)によって算出される。
同様に、所定の制御周期の時間Δtだけ進んだn+1番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の速度をVM1(n+1)とすれば、n番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の加速度AM1(n)は、次式(6)によって算出される。
同様に、所定の制御周期の時間Δtだけ進んだn+1番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の加速度をAM1(n+1)とすれば、n番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の加加速度JM1(n)は、次式(7)によって算出される。
なお、第1駆動軸以外の他の駆動軸のそれぞれについても同様の方法で位置、速度、加速度および加加速度を算出することができる。
工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの反転位置は、次のように算出することができる。上述の方法によって、n番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の速度VM1(n)および所定の制御周期の時間Δtだけ進んだn+1番目における工具先端点に対応した第1駆動軸の速度VM1(n+1)が算出される。このとき、速度VM1(n)の符号と速度VM1(n+1)の符号とを比較して、符号が反転した時刻に対応する位置を第1駆動軸の反転位置とすることができる。なお、第1駆動軸以外の他の駆動軸のそれぞれについても同様の方法で反転位置を求めることができる。
特徴量算出部11は、加工の特徴量を、加工目標形状320の加工曲面または加工エッジと対応付ける。一例では加工目標形状320において、加工曲面および加工エッジを識別する識別情報であるID番号を加工曲面および加工エッジの情報毎に予め割り振っておくことで、該当するID番号の加工の特徴量を特定することが可能である。
特徴量算出部11は、以上のようにして算出した加工の特徴量を評価指標計算部12に出力する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、特徴量算出部11は、加工目標形状320についての加工の特徴量を評価指標計算部12に出力する。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、特徴量算出部11は、加工の特徴量を加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に分けて評価指標計算部12に出力する。
評価指標計算部12は、特徴量算出部11で算出された加工の特徴量から加工結果を評価する1つ以上の評価指標値を計算する。以下の説明では、加工結果が、サイクルタイムである加工時間、加工面の形状精度である加工精度および加工面の面精度である面品位である場合を例に挙げる。なお、加工時間と加工精度と面品位とは互いにトレードオフ関係にある。
加工時間に関する評価指標値Qtは、一例では、加工プログラム310に記述された指令速度に対する結果情報から計算された工具先端点の速度の減速率を使用することができ、次式(8)によって算出される。
ここで、〇は、加工目標形状320が持つ加工曲面または加工エッジを表している。図2から図4の加工目標形状320の場合には、〇は、加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2を表している。また、Nは、加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する工具先端点のデータ点数を示し、Fcは、指令速度を示し、Fは、工具先端点の速度を示している。
(8)式によれば、工具先端点の速度Fが指令速度Fcと一致するほど加工時間の評価指標値Qtは小さい値になる。つまり、実施の形態1においては、評価指標値Qtが小さな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは、加工時間の側面から優良であるといえる。ただし、評価指標値Qtは、加工時間を評価することができるものであればよく、(8)式によって特定されるものに限定されない。一例では、評価指標値Qtは、特定の加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する工具先端点のデータ点数Nそのものであってもよいし、データ点数Nに対して実行単位を乗じて計算した時間を使用してもよい。
また、(8)式では、加工時間の評価指標値Qtを算出するのに、工具先端点の速度を使用したが、工具先端点の速度の平均値、速度の最大値、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの速度の平均値、速度の最大値を使用することも可能である。
また一般的に、加工時間が短くなる場合、加速度の平均値、加速度の最大値、加加速度の平均値、加加速度の最大値が大きくなる傾向があるため、工具先端点の加速度の平均値、加速度の最大値、加加速度の平均値、加加速度の最大値、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加速度の平均値、加速度の最大値、加加速度の平均値、加加速度の最大値などを加工時間の評価指標値Qtとして使用することも可能である。ただしこの場合には、評価指標値Qtが大きな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは加工時間の側面から優良であると定められる。
加工精度に関する評価指標値Qaは、一例では、加工目標形状320と工具先端点の位置に配置された工具との間の距離である加工誤差量の平均値を使用することができ、次式(9)によって算出される。
ここで、〇は、加工目標形状320が持つ加工曲面または加工エッジを表している。図2から図4の加工目標形状320の場合には、〇は、加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2を表している。また、Nは、加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する工具先端点のデータ点数を示し、eは、加工の特徴量として計算された加工誤差量を示している。
(9)式によれば、加工誤差量eが小さくなるほど加工精度の評価指標値Qaは小さい値になる。つまり、実施の形態1においては、評価指標値Qaが小さな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは、加工精度の側面から優良であるといえる。ただし、評価指標値Qaは、加工精度を評価することができるものであればよく、(9)式によって特定されるものに限定されない。一例では、機械振動の程度、または、工具の追従性を示す値であってもよい。
また、(9)式では、加工精度の評価指標値Qaを算出するのに、加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する加工誤差量を使用したが、特定の加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する加工誤差量の最大値および最小値を使用することも可能である。
また一般的に、加工精度が悪化する場合、加速度の平均値、加速度の最大値、加加速度の平均値、加加速度の最大値が大きくなる傾向があるため、工具先端点の加速度の最大値および最小値、工具先端点の加加速度の最大値および最小値、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加速度の最大値および最小値、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加加速度の最大値および最小値などを加工精度の評価指標値Qaとして使用することも可能である。
さらに、評価指標値Qaが大きな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは加工精度の側面から優良であると定められてもよい。
面品位に関する評価指標値Qqは、一例では、加工目標形状320と工具先端点の位置に配置された工具との間の距離である加工誤差量の分散値を使用することができ、次式(10)によって算出される。
ここで、〇は、加工目標形状320が持つ加工曲面または加工エッジを表している。図2から図4の加工目標形状320の場合には、〇は、加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2を表している。また、Nは、加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する工具先端点のデータ点数を示し、eは、加工の特徴量として計算された加工誤差量を示し、eaは、加工誤差量の平均値を示している。
(10)式によれば、加工誤差量eの分散が小さくなるほど面品位の評価指標値Qqは小さい値になる。つまり、実施の形態1においては、評価指標値Qqが小さな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは、面品位の側面から優良であるといえる。ただし、評価指標値Qqは、面品位を評価することができるものであればよく、(10)式によって特定されるものに限定されない。一例では、機械振動の程度を示す値であってもよい。
また、(10)式では、面品位の評価指標値Qqを算出するのに、加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する加工誤差量と加工誤差の平均値との差を使用したが、特定の加工曲面および加工エッジのそれぞれに該当する加工誤差量の最大値と最小値との差、工具先端点の加速度の最大値と最小値との差、工具先端点の加加速度の最大値と最小値との差、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加速度の最大値と最小値との差、工作機械の複数の駆動軸のそれぞれの加加速度の最大値と最小値との差などを使用することも可能である。
さらに、評価指標値Qqが大きな値であるほど、パラメータ調整装置1における指令値生成パラメータセットは面品位の側面から優良であると定められてもよい。
なお、ここでは、加工時間、加工精度および面品位に関する3つの評価指標が計算されたが、作業者の嗜好に合わせて、加工時間、加工精度および面品位のうちのいずれか1つ以上の評価指標が計算されてもよい。
評価指標情報記憶部13は、加工目標形状320の加工曲面または加工エッジのそれぞれについて、評価指標計算部12によって算出された加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値と、指令値生成パラメータセットと、を対応付けた評価指標情報を記憶する。なお、評価指標情報は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値並びに指令値生成パラメータセットに加えて対応する加工の特徴量を有していてもよい。
第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットと評価指標値とを用いて学習された指令値生成パラメータセットから評価指標値を推論するための第1学習結果を用いて、第1探索用の指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値を推論し、推論した結果を用いてそれぞれの評価指標値を同時に最適化する複数の指令値生成パラメータセットである指令値生成パラメータセット候補を探索する。なお、複数の指令値生成パラメータセット候補を探索する場合には、トレードオフ関係にある評価指標値のバランスが異なるように、それぞれの評価指標値を同時に最適化する指令値生成パラメータセット候補を探索する。一例では、加工時間、加工精度および面品位の評価指標値の和に対するそれぞれの評価指標値の割合が、バランスとなる。また、一例では、指令値生成パラメータセット候補の3つの評価指標値のうち少なくとも1つの評価指標値が他の指令値生成パラメータセット候補の対応する評価指標値と定められた割合以上離れていることが、評価指標値のバランスが異なると称される。この例では、第1最適解探索部14は、それぞれの評価指標値を同時に最小化する1つ以上の指令値生成パラメータセット候補を探索する。ここで、同時に最小化するとは、トレードオフ関係にある3つの評価指標値において、ある1つの評価指標値を良くしようとすると、他の目的関数が悪化するような解を見つけることである。
以下では、指令値生成パラメータセットと評価指標値との関係を学習する学習処理と、学習結果を用いてパラメータセットを探索する探索処理と、について説明を行う。
<学習処理>
学習処理では、第1最適解探索部14は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値とパラメータ範囲とを入力として、指令値生成パラメータセットと評価指標計算部12において計算した評価指標値との関係を学習し、学習結果を出力する。すなわち、第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットと加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値とを含む学習用データを用いて、指令値生成パラメータセットから評価指標値を推論するための第1学習結果を生成する。
具体的には、指令値生成パラメータセットを入力とし、評価指標値を出力とするニューラルネットワークが構成され、第1最適解探索部14は、ニューラルネットワークの重み係数を更新して学習を行う。重み係数を更新して学習が行われた場合には、ニューラルネットワークは指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値の良好な推定値を出力する。第1最適解探索部14は、ニューラルネットワークを用い、指令値生成パラメータセットを入力として評価指標値を出力とする関数を得ることで、学習結果として指令値生成パラメータセットと評価指標値との関係式である第1学習結果を得る。
第1最適解探索部14は、加工目標形状320において、次回の加工動作を実行するための指令値生成パラメータセットを、規定されるパラメータ範囲の中から選定して出力する。第1最適解探索部14は、次の指令値生成パラメータセットの選定にあたって、学習結果に基づいて優良な評価指標値を示す指令値生成パラメータセットを選定してもよいし、等間隔に刻んだグリッドの点の中から各指令値生成パラメータセットを順に選定してもよい。第1最適解探索部14は指令値生成パラメータセットに基づいて、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を計算する関数を更新する機能を有する。
ここでは、第1最適解探索部14の動作が4回実行されて、第4組までの指令値生成パラメータセットが評価される過程を説明する。第1組の指令値生成パラメータセットはPr1と表記され、第2組の指令値生成パラメータセットはPr2と表記され、第3組の指令値生成パラメータセットはPr3と表記され、第4組の指令値生成パラメータセットはPr4と表記される。4組の指令値生成パラメータセットのそれぞれは、許容加速度、許容経路誤差およびフィルタ時定数の3個のパラメータを有している。
図11は、第1組から第4組までの指令値生成パラメータセットに基づいて生成された加工動作が行われた場合の加工目標形状における加工曲面の加工誤差量のマッピング図および加工時間の関係の一例を示す図である。図11では、加工曲面S1の加工誤差量のマッピング図が示されている。マッピング図Maは、第1組の指令値生成パラメータセットが用いられた場合の加工曲面S1の加工誤差量および加工時間を示している。マッピング図Mbは、第2組の指令値生成パラメータセットが用いられた場合の加工曲面S1の加工誤差量および加工時間を示している。マッピング図Mcは、第3組の指令値生成パラメータセットが用いられた場合の加工曲面S1の加工誤差量および加工時間を示している。マッピング図Mdは、第4組の指令値生成パラメータセットが用いられた場合の加工曲面S1の加工誤差量および加工時間を示している。また、加工曲面S1における加工誤差量の分布は、面品位を示している。加工曲面S1において加工誤差量が一様であれば面品位は高く、加工誤差量が均一ではない場合には面品位は低いと考えられる。これらのマッピング図Ma-Mdの加工曲面S1に付されているハッチングは誤差量を示しており、誤差量の凡例が各マッピング図Ma-Mdの右側の「誤差量」に示されている。また、加工時間は、各マッピング図Ma-Mdの右側の「タクト」におけるスライドバーで示されている。
第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータを第1組の指令値生成パラメータセットPr1とした場合の加工動作の結果によって得られた加工目標形状320における加工曲面S1についての加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値Qt1,Qa1,Qq1を受け取ると、第1組の指令値生成パラメータセットPr1を第2組の指令値生成パラメータセットPr2に変更する。このとき、第1組の指令値生成パラメータセットPr1が用いられた加工動作の結果に基づいて第2組の指令値生成パラメータセットPr2が選定されてもよいし、第1組の指令値生成パラメータセットPr1が用いられた加工動作の結果に関わらず、予め定められていた通りに第2組の指令値生成パラメータセットPr2が選定されてもよい。
第1最適解探索部14は、第1組の指令値生成パラメータセットPr1の場合と同様の手順で、第2組から第4組までの指令値生成パラメータセットPr2-Pr4に対応する評価指標値Qt2-Qt4,Qa2-Qa4,Qq2-Qq4を受け取る。
図11に示される加工の特徴量が得られた場合には、加工時間の側面からは4つの評価指標値Qt1-Qt4の中では評価指標値Qt1が最も小さい。つまり、第1組の指令値生成パラメータセットPr1は加工時間を優先した指令値生成パラメータセットであるといえる。
加工精度の側面からは4つの評価指標値Qa1-Qa4の中では評価指標値Qa2が最も小さい。つまり、第2組の指令値生成パラメータセットPr2は加工精度を優先した指令値生成パラメータセットであるといえる。
面品位の側面からは4つの評価指標値Qq1-Qq4の中では評価指標値Qq3が最も小さい。つまり、第3組の指令値生成パラメータセットPr3は面品位を優先した指令値生成パラメータセットであるといえる。
なお、第4組の指令値生成パラメータセットPr4は加工時間、加工精度および面品位のすべての側面からみてバランスの取れた指令値生成パラメータセットであるといえる。
第1最適解探索部14は、上述のように、指令値生成パラメータに対応する評価指標値を取得する動作を繰り返し実施する。第1最適解探索部14は、繰り返し実施して得た指令値生成パラメータと指令値生成パラメータに対応する評価指標値とを学習用データとして、ニューラルネットワークを用いた学習動作を行う。図12は、実施の形態1の学習処理で用いられるニューラルネットワークの一例を示す図である。当該ニューラルネットワークは、入力層、中間層および出力層を有する。左端の入力層に指令値生成パラメータセットが入力され、右端の出力層から評価指標値が出力される。入力層の各ノードから中間層の各ノードに対する重み係数は全て独立に設定することができるが、図12ではこれらは全て同一の重み係数W1として表記されている。同様に、中間層の各ノードから出力層の各ノードに対する重み係数は全て独立に設定することができるが、図12では全て同一の重み係数W2として表記されている。
入力層の各ノードの出力値に対して重み係数W1が乗算され、乗算によって得られた結果の線形結合が中間層の各ノードに入力される。中間層の各ノードの出力値に対して重み係数W2が乗算され、乗算によって得られた結果の線形結合が出力層のノードに入力される。各層の各ノードでは、一例ではシグモイド関数といった非線形関数により入力値から出力値が計算されてもよい。入力層および出力層では、出力値は入力値の線形結合であってもよい。
第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットと評価指標値とを用いて、ニューラルネットワークの重み係数W1と重み係数W2とを計算する。ニューラルネットワークの重み係数W1および重み係数W2は、誤差逆伝播法または勾配降下法を用いることで計算することができる。一例では、ニューラルネットワークは、入力層に指令値パラメータセットを入力して出力層から出力された結果が、評価指標値に近づくように重み係数W1と重み係数W2とを調整することで学習する。ただし、ニューラルネットワークの重み係数が得られる計算方法であれば、重み係数W1および重み係数W2の計算方法は上述の方法に限られない。
ニューラルネットワークの重み係数W1,W2が決定されれば、指令値生成パラメータと評価指標値との関係式が得られたことになる。ここまでにおいて、3層のニューラルネットワークを用いた学習を行う例が示された。ニューラルネットワークを用いた学習は、上述の例に限定されない。
以上の動作によって、ニューラルネットワークによる関係式である指令値生成パラメータセットを入力として評価指標値を出力とする関数が第1学習結果として得られることになる。第1学習結果は、指令値生成パラメータから評価指標値を推論するための学習結果である。
この第1学習結果を用いれば、新たな指令値生成パラメータセットに対して加工動作を実行しなくても、この新たな指令値生成パラメータセットに対応する加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値Qt,Qa,Qqを得ることが可能になる。
なお、実施の形態1では、指令値生成パラメータセットと評価指標値との関係式を構築するために、ニューラルネットワークが用いられた。しかしながら、指令値生成パラメータセットと評価指標値との関係を得ることができれば、ニューラルネットワーク以外の方法を用いてもよい。一例では、指令値生成パラメータセットと評価指標値との関係を得るために、2次多項式のような単純な関数が用いられてもよいし、ガウス過程モデルのような確率モデルが用いられてもよい。
また、第1学習結果の予測精度は指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値を取得する動作のくり返し回数に依存する。繰り返し回数が少ない場合には、第1学習結果を短時間で得ることが可能であるが、指令値生成パラメータセットから予測した評価指標値に含まれる誤差が大きくなる傾向にある。一方で、十分な繰り返し回数が確保された場合には、指令値生成パラメータセットから予測した評価指標値に含まれる誤差は小さくなるが、精度の良い第1学習結果を得るために長い時間を要する傾向になる。
学習動作を行うにあたって、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値が最大または最小となる、評価指標値の分布における境界付近に関しては、指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値を取得する動作について十分な繰り返し回数を確保した方がよい。一方で、上記境界付近以外の領域に関しては、指令値生成パラメータに対応する評価指標値を取得する動作について十分な繰り返し回数を確保する必要はない。この場合には、指定されたパラメータ範囲内を広範囲に評価指標値が取得されるようにすればよく、少ない繰り返し回数であっても問題ない。
また、この例では、加工目標形状320における加工曲面毎または加工エッジ毎に、学習処理を行っているが、複数の加工曲面および加工エッジについて同時に学習処理を行ってもよい。図2から図4に示される加工目標形状320の例では、加工曲面S1および加工曲面S2と、加工曲面S1および加工曲面S2に囲まれた加工エッジE1と、を同時に処理する場合には、加工曲面S1,S2と加工エッジE1とにおける評価指標値を線形結合したものを新たな評価式Q’とする。加工曲面S1での評価指標値をQ(S1)とし、加工曲面S2での評価指標値をQ(S2)とし、加工エッジE1での評価指標値をQ(E1)とし、aS1,aS2,aE1を係数とすると、新たな評価式Q’は、次式(11)によって表される。
ここで、□は、評価対象となる加工時間、加工精度または面品位を表している。つまり、評価式Q’は、加工目標形状320が持つ複数の加工曲面および加工エッジの評価指標値を表しており、図2から図4の例では、加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2の評価対象となる加工時間、加工精度および面品位のいずれかの評価指標値を表している。これによって、1つの指令値生成パラメータセットで加工曲面または加工エッジが複数のものからなる形状構成要素を加工する場合でも学習処理を行うことができる。
第1最適解探索部14が学習処理を行う際に使用する学習用データは、特徴量算出部11で特徴量の算出に使用された制御対象についてのデータである。
<探索処理>
探索処理では、第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットから評価指標値を推論するための第1学習結果を用いて探索用の指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値を推論する。また、第1最適解探索部14は、推論した結果を用いてそれぞれの評価指標値を同時に最適化する指令値生成パラメータセットである指令値生成パラメータセット候補を探索する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、第1最適解探索部14は、加工目標形状320について指令値生成パラメータセット候補を探索する。一方、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、第1最適解探索部14は、加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に指令値生成パラメータセット候補を探索する。指令値生成パラメータセット候補は、それぞれの評価指標値を同時に最適化する1つの指令値生成パラメータセットであってもよいし、複数の指令値生成パラメータセットであってもよい。第1最適解探索部14が使用する探索用の指令値生成パラメータセットは、第1探索用の指令値生成パラメータセットに対応する。
つまり、第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータと評価指標値との関係式である第1学習結果に基づいて、数値計算によって、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値のバランスが異なり、定められた指令値生成パラメータの範囲内で同時に加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を最小化するような指令値生成パラメータセットである指令値生成パラメータセット候補を加工目標形状320についてあるいは加工目標形状320における加工曲面毎または加工エッジ毎に1つまたは複数求める。一例では、第1最適解探索部14は、グリッド探索、ランダム探索、ニュートン法、ベイズ最適化または進化計算といった最適化アルゴリズムを用いて、指令値生成パラメータセットを求める。進化計算の一例は、NSGA-II(Non-dominated Sorting Genetic Algorithms II)、AGE-MOEA(Adaptive Geometry Estimation based a MultiObjective Evolutional Algorithm)、AGE-MOEA2、R-NSGA-II(Reference point based NSGA-II)である。この指令値生成パラメータセットは、探索用の指令値生成パラメータセットとなる。そして、探索用の指令値生成パラメータセットを第1学習結果に入力することで、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を求め、探索用の指令値生成パラメータセットと評価指標値とが対応付けられる。探索用の指令値生成パラメータと対応する評価指標値との組み合わせの中で、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を用いて分類したものの中で最良の評価指標値に対応する指令値生成パラメータセットを指令値生成パラメータ候補とする。
図13は、実施の形態1において第1最適解探索部が探索した加工曲面についての指令値生成パラメータセットの一例を示す図である。図13では、指令値生成パラメータセットに対応する加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値の組み合わせを、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値をそれぞれ軸とする直交座標系にプロットした分布図が示されている。また、この例では、図2から図4の加工目標形状320の加工曲面S1の指令値生成パラメータセットを探索した結果の一例が示されている。図13で抽出された指令値生成パラメータセット候補は、加工時間、加工精度および面品位の3つの評価指標値のうち、加工時間を優先して短縮する指令値生成パラメータセット候補である加工時間優先モードと、加工精度を優先して向上させる指令値生成パラメータセット候補である加工精度優先モードと、面品位を優先して向上させる指令値生成パラメータセット候補である面品位優先モードと、3つの評価指標をバランスよく向上させる指令値生成パラメータセット候補であるバランスモードと、の4つにカテゴライズできる。これら4つのモード以外の評価指標値はその他の指令値生成パラメータセットによるものである。
図13では、指令値生成パラメータセット候補が加工時間優先モード、加工精度優先モード、面品位優先モードおよびバランスモードの4つのカテゴリのそれぞれについて1つずつ抽出された一例が記載されているが、すべてのカテゴリに該当する指令値生成パラメータセットが抽出される必要はなく、少なくとも1つのカテゴリに該当する指令値生成パラメータセットが抽出されればよい。また、1つのカテゴリに該当する指令値生成パラメータセットが複数抽出されてもよい。
このように、第1最適解探索部14は、探索用の指令値生成パラメータセットと、探索用の指令値生成パラメータセットを第1学習結果に入力したときに得られる評価指標値と、の組み合わせから、加工時間、加工精度および面品位の評価指標値のうちのいずれか1つを定められた指令値生成パラメータの範囲内で優先的に向上させた条件下で残りの2つを最適化する指令値生成パラメータセット、並びに加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を定められた指令値生成パラメータの範囲内でバランスよく向上させる指令値生成パラメータセットのうちいずれか1つを含む指令値生成パラメータセット候補を探索する機能を有する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、指令値生成パラメータセット候補は、加工目標形状320について探索される。ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、指令値生成パラメータセット候補は、加工曲面毎または加工エッジ毎に探索される。また、第1最適解探索部14は、学習処理と推論処理とを同時に実施することも可能である。
図1に戻り、候補情報記憶部15は、第1最適解探索部14で抽出された指令値生成パラメータセット候補を評価指標値および特徴量算出部11で算出された加工の特徴量と対応付けた情報である候補情報を記憶する。一例では、複数の指令値生成パラメータセット候補が抽出された場合には、複数の指令値生成パラメータセット候補がそれぞれの評価指標値および特徴量算出部11で算出された加工の特徴量と対応付けされて候補情報記憶部15に記憶される。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、候補情報は、加工目標形状320毎に、指令値生成パラメータセット候補を評価指標値および加工の特徴量と対応付けたものである。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、候補情報は、加工曲面毎または加工エッジ毎に指令値生成パラメータセット候補を評価指標値および加工の特徴量と対応付けたものである。なお、第1最適解探索部14における学習処理および探索処理で得られるすべての指令値生成パラメータセットにおける評価指標値および特徴量算出部11で算出された加工の特徴量が候補情報記憶部15に記憶されてもよい。
嗜好情報設定部16は、指令値生成パラメータセット候補が、工具移動指令を生成する指令値生成装置3に設定されて指令値生成装置3が動作したときに算出された加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示部17に表示する制御を行う。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、嗜好情報設定部16は、加工目標形状320に対して指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示部17に表示する。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、嗜好情報設定部16は、指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて加工曲面毎または加工エッジ毎に表示部17に表示する。また、指令値生成パラメータセットに従って実際の工作機械を運転させて、実際に加工した加工目標形状320のワークをそれぞれの評価指標値と対応付けて作業者に提示してもよいし、加工した加工目標形状320のワークの画像データをそれぞれの評価指標値と対応付けて表示部17に表示してもよい。
また、嗜好情報設定部16は、表示部17に表示された加工の特徴量とそれぞれの評価指標値のうち、作業者によって選択された指令値生成パラメータセット候補のそれぞれの評価指標値に対して嗜好情報を設定する。一例では、嗜好情報設定部16は、表示部17に表示された加工の特徴量とそれぞれの評価指標値のうち、作業者によって選択され、調整された指令値生成パラメータセット候補のそれぞれの評価指標値を嗜好情報として設定する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、嗜好情報は、加工目標形状320に対して設定される。ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、嗜好情報は、加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に設定される。なお、表示制御部は、嗜好情報設定部16に対応する。
なお、第1最適解探索部14による処理の時点で、作業者の可能な範囲で予め嗜好情報を設定しておいてもよい。このとき、第1最適解探索部14では、予め設定した嗜好情報を反映した指令値生成パラメータセット候補が抽出されるため、嗜好情報設定部16は予め設定した項目以外の嗜好情報を設定してもよいし、嗜好情報設定部16は予め設定した項目を設定し直してもよい。
一例では、嗜好情報設定部16は、候補情報記憶部15に記憶された指令値生成パラメータセット候補と、指令値生成パラメータセット候補に対応付けられた評価指標値および加工の特徴量と、を表示部17に表示する。この例では、指令値生成パラメータセット候補は、加工時間優先モード、加工精度優先モード、面品位優先モードおよびバランスモードである。作業者は、図示しない入力部を介して特徴量算出部11で求めた加工の特徴量に基づいて、加工時間優先モード、加工精度優先モード、面品位優先モードおよびバランスモードの4つのカテゴリの中から、指令値生成パラメータセット候補を1つ選択する。また、作業者は、入力部を介して、選択した指令値生成パラメータセット候補から得られる加工の特徴量並びに加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を参考に、作業者の嗜好情報を設定する。嗜好情報は、作業者が設定した評価指標値、すなわち作業者が持つ加工時間、加工形状および面品位に関しての評価指標値である。嗜好情報は、作業者が加工時間、加工精度および面品位のどれを重要視して加工するかを示す情報であるといえる。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、作業者は、加工目標形状320に対して加工時間、加工精度および面品位について嗜好情報を設定する。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、作業者は、加工曲面毎または加工エッジ毎に、加工時間、加工精度および面品位について嗜好情報を設定する。後者の場合には、作業者によって、対象となる加工曲面または加工エッジに対して、選択された指令値生成パラメータセット候補についての加工時間、加工精度および面品位の評価指標値が調整される。この調整は、作業者の嗜好によるものである。嗜好情報設定部16は、調整された加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を嗜好情報とし、対象となる加工曲面または加工エッジに嗜好情報を設定する。
図2から図4に示される例では、加工目標形状320は加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2から構成されており、加工曲面S1-S3および加工エッジE1,E2のそれぞれにおいて作業者の嗜好に最も近い指令値生成パラメータセット候補が作業者によって選択される。図14は、図13に示す加工曲面についての加工時間優先モード、加工精度優先モード、面品位優先モードおよびバランスモードのカテゴリの中から選択した1つの指令値生成パラメータセット候補についての作業者による嗜好情報の設定の一例を示す図である。図14も図13と同様に加工曲面S1についての評価指標値が示されている。図14に示されるように、具体的な処理としては、作業者が予め加工目標形状320の加工曲面S1上の位置を指示すると、指示した加工曲面S1についての現在の加工時間、加工精度および面品位の評価指標値が表示部17に表示される。一例では、作業者によって選択された指令値生成パラメータセット候補に対応付けられた加工時間、加工精度および面品位の評価指標値が表示される。作業者は、表示された現在の加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を入力部を介して修正する。嗜好情報設定部16は、作業者によって修正された加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を嗜好情報として、加工曲面S1に設定する。図14の例では、面品位優先モードが作業者によって選択され、面品位を維持して加工時間を短縮するような調整が行われている。
このとき加工曲面の指定方法は、一例ではマウス、タッチパネルなどのポインティングデバイスによって加工目標形状320の加工曲面上の位置を作業者に選択させればよい。また指示位置は、特定の一点でもよいし複数の点でもよいし連続した領域が指示されてもよい。
また、評価指標値の修正方法は、一例では数値入力でもよいし、ボタン、バーなどのGUI(Graphical User Interface)ボタンを使用して現在の設定値に対して調整していく形であってもよい。このとき、パラメータ調整装置1の候補情報記憶部15に記憶された指令値生成パラメータセット候補に対応する評価指標値の最大値および最小値から、入力可能な範囲あるいは調整可能な範囲が設定されてもよい。
さらに、嗜好情報設定部16は、パラメータ調整装置1の候補情報記憶部15に記憶された指令値生成パラメータセット候補に対応する評価指標値および加工の特徴量を基に、嗜好情報を設定したときに得られる加工の特徴量を予測して加工目標形状320と対応付けて表示部17等に表示してもよい。一例では、パラメータ調整装置1の候補情報記憶部15に記憶された指令値生成パラメータセット候補に対応する評価指標値のうち、設定後の嗜好情報に最も近い評価指標値における加工の特徴量と、嗜好情報の設定前の評価指標値における加工の特徴量と、を線形補間して、設定後の嗜好情報に対する加工の特徴量を予測する方法が考えられる。
嗜好情報は、加工時間、加工精度および面品位すべてに対して設定してもよいし、一部のみに設定してもよい。なお、作業者により嗜好情報が設定されなかった場合には、嗜好情報設定部16は、現在の評価指標値が選考情報として設定されたことと同義であると解釈して嗜好情報を設定する。
図1に戻り、表示部17は、嗜好情報設定部16からの指示にしたがって、候補情報記憶部15に記憶されている記憶情報を表示する。一例では、表示部17は、指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、表示部17は、加工目標形状320に対して指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示する。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、表示部17は、指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に表示する。
第2最適解探索部18は、嗜好情報との差が最も小さくなる評価指標値に対応する指令値生成パラメータセットを探索する。つまり、第2最適解探索部18は、嗜好情報設定部16において設定された嗜好情報に評価指標値が近づくように複数の指令値生成パラメータセットの中から1つの指令値生成パラメータセットを探索する。具体的には、第2最適解探索部18は、指令値生成パラメータセットに対応する加工時間、加工精度および面品位を評価する評価指標値と、加工時間、加工精度および面品位に関して作業者が持つ嗜好情報と、の差を取得する動作を繰り返し実施し、評価指標値と作業者の嗜好情報との差を最も小さくするような指令値生成パラメータセットを求める。求める指令値生成パラメータセットは、1つであってもよいし、複数であってもよい。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、第2最適解探索部18は、加工目標形状320に対して評価指標値と作業者の嗜好情報との差を最も小さくするような指令値生成パラメータセットを求める。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、第2最適解探索部18は、評価指標値と作業者の嗜好情報との差を最も小さくするような指令値生成パラメータセットを加工目標形状320における加工曲面毎および加工エッジ毎に求める。
第2最適解探索部18は、指令値生成パラメータセットと、指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値と、評価指標値と作業者の嗜好情報との差と、を学習用データとして、ニューラルネットワークを用いた学習処理を行う。指令値生成パラメータと、評価指標値と嗜好情報との差と、の関係を得ることができれば、ニューラルネットワークを用いる方法ではない別の方法を用いて、指令値生成パラメータセットと、評価指標値と嗜好情報との差と、の関係を学習してもよい。一例では、指令値生成パラメータセットと、評価指標値と嗜好情報との差と、の関係を得るために、2次多項式のような単純な関数が用いられてもよいし、ガウス過程モデルのような確率モデルが用いられてもよい。このように、第2最適解探索部18は、指令値生成パラメータセット、および指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値と嗜好情報との差を含む学習用データを用いて、指令値生成パラメータセットから指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値と嗜好情報との差を推論するための第2学習結果を生成する。
また、評価指標値と作業者の嗜好情報との差は、加工時間、加工精度および面品位の3次元のデータであるが、ノルムなどの1次元データに変換して学習用データとして使用してもよい。
さらに、第2最適解探索部18における第2学習結果は、第1最適解探索部14の学習処理に基づいて得られた第1学習結果を使用してもよいし、第1最適解探索部14の学習処理に基づいて得られた第1学習結果に対して、追加で学習処理を実施して得られた学習結果を使用してもよい。
第2最適解探索部18は、学習結果である指令値生成パラメータセットと、評価指標値と嗜好情報との差と、の関係式に基づいて、数値計算により、加工時間、加工精度および面品位に関して、評価指標値と作業者の嗜好情報との差を最も小さくするような指令値生成パラメータセットを求める。換言すると、第2最適解探索部18は、指令値生成パラメータセットから指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値と嗜好情報との差を推論するための関係式である第2学習結果を用いて、探索用の指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値と嗜好情報との差を推論し、推論した結果を用いて評価指標値と嗜好情報との差が最も小さくなるような1つの指令値生成パラメータセットを探索する。一例では、第2最適解探索部18は、グリッド探索、ランダム探索、ニュートン法、ベイズ最適化または進化計算といった最適化アルゴリズムを用いて、探索用の指令値生成パラメータセットを求める。進化計算の一例は、NSGA-II、AGE-MOEA、AGE-MOEA2、R-NSGA-IIである。
そして、第2最適解探索部18は、求めた探索用の指令値生成パラメータセットを関係式に入力することによって得られる評価指標値と作業者の嗜好情報との差を求める。そして、評価指標値と嗜好情報との差が最も小さくなる指令値生成パラメータセットを求める。このとき、価指標値と嗜好情報との差が最も小さくなる1つの指令値生成パラメータセットを求めることが望ましい。しかし、価指標値と嗜好情報との差が最も小さくなるものから順に複数の指令値生成パラメータセットを求めてもよいし、評価指標値と嗜好情報との差が作業者の設定する閾値以内に収まる指令値生成パラメータセットをすべて求めてもよい。つまり、第2最適解探索部18は、嗜好情報との差が一定値以内に収まる評価指標値に対応する指令値生成パラメータセットを探索するようにしてもよい。この場合には、第2最適解探索部18によって探索される指令値生成パラメータセットは、1つの場合もあるし、複数の場合もある。このようにして求められた指令値生成パラメータセットは、調整後指令値生成パラメータセットと称される。第2最適解探索部18は、算出した調整後指令値生成パラメータセットを調整後指令値生成パラメータセット記憶部19に保存する。第2最適解探索部18が使用する探索用の指令値生成パラメータセットは、第2探索用の指令値生成パラメータセットに対応する。第2最適解探索部18は、学習処理と推論処理とを同時に実施することも可能である。
調整後指令値生成パラメータセット記憶部19は、第2最適解探索部18によって探索された調整後指令値生成パラメータセットを記憶する。ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、調整後指令値生成パラメータセット記憶部19は、加工目標形状320に対して算出した調整後指令値生成パラメータセットを記憶する。また、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、調整後指令値生成パラメータセット記憶部19は、加工目標形状320における加工曲面毎および加工エッジ毎に算出した調整後指令値生成パラメータセットを記憶する。指令値生成装置3は、指令値生成パラメータセットの設定値を第2最適解探索部18において抽出された調整後指令値生成パラメータセットに書き換える。そして、設定された指令値生成パラメータを用いて指令値生成装置3を動作させて加工することで、作業者の嗜好にあった加工結果を得ることができる。
次に、このような構成のパラメータ調整装置1におけるパラメータ調整方法について説明する。図15は、実施の形態1に係るパラメータ調整方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合を例に挙げる。
まず、パラメータ調整装置1および指令値生成装置3の初期設定が行われる(ステップS11)。具体的には、加工すべき曲面である加工曲面を含む加工対象物の目標の形状である加工目標形状320がパラメータ調整装置1に外部入力される。また、指令値生成装置3においては、加工目標形状320に対応した工具経路の移動指令とこのときの移動速度指令とが記述されている加工プログラム310が外部入力される。
次いで、指令値生成装置3は、外部入力された加工プログラム310に従い、単位時間毎の工具の移動指令を出力する(ステップS12)。その後、特徴量算出部11は、制御対象である工作機械の挙動を計算機上でシミュレーションして、指令値生成装置3の出力である補間点から実際の工具先端点を推定する(ステップS13)。
次いで、特徴量算出部11は、ステップS13で推定した工具先端点のそれぞれについて、当該工具先端点における加工の特徴量を加工目標形状320の加工曲面または加工エッジに対応付けて算出する(ステップS14)。その後、評価指標計算部12は、ステップS14で算出された加工の特徴量に基づいて加工時間、加工精度および面品位のそれぞれを評価する評価指標値を計算する(ステップS15)。
次いで、第1最適解探索部14は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値とパラメータ範囲とを入力として、指令値生成パラメータセットと評価指標計算部12で計算した評価指標値との関係を学習し、第1学習結果を出力する(ステップS16)。その後、第1最適解探索部14は、第1学習結果である指令値生成パラメータと評価指標値との関係式に基づいて、数値計算により、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値のバランスが異なり、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を同時に最適化するような指令値生成パラメータセット候補を加工目標形状320における加工曲面毎または加工エッジ毎に求める(ステップS17)。一例では、加工曲面または加工エッジのそれぞれについて、加工時間優先モード、加工精度優先モード、面品位優先モードおよびバランスモードの4つの指令値生成パラメータセット候補を求める。また、指令値生成パラメータセット候補は、加工曲面毎または加工エッジ毎に1つ求めてもよいし、複数求めてもよい。
その後、嗜好情報設定部16は、加工の特徴量を取得した指令値生成パラメータセット候補について、指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量並びに加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を、加工曲面毎および加工エッジ毎に表示部17に表示する(ステップS18)。つまり、嗜好情報設定部16は、指令値生成パラメータセット候補が指令値生成装置3に設定されて当該指令値生成装置3が動作したときに算出された加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示部17に表示する。このように、指令値生成パラメータセット候補についての加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とが対応付けされて作業者に表示される。この後、作業者は、表示されたものの中から作業者の嗜好に合うまたは作業者の嗜好に近い評価指標値に対応する加工の特徴量、すなわち指令値生成パラメータセットを選択することができ、結果として、指令値生成パラメータを作業者の嗜好に収束させることが可能となる。
作業者によって加工の特徴量に基づいて1つの指令値生成パラメータセット候補が加工曲面毎および加工エッジ毎に選択され、加工時間、加工精度および面品位の評価指標値が必要に応じて調整される。嗜好情報設定部16は、作業者によって調整された加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を嗜好情報として加工曲面毎または加工エッジ毎に設定する(ステップS19)。
次いで、第2最適解探索部18は、第2学習結果に基づいて、指令値生成パラメータセットに対応する加工時間、加工精度および面品位を評価する評価指標値と、加工時間、加工精度および面品位に関して作業者が持つ嗜好情報と、の差を取得する動作を繰り返し実施し、評価指標値と作業者の嗜好情報との差を最も小さくするような指令値生成パラメータセットである調整後指令値生成パラメータセットを加工目標形状320における加工曲面毎または加工エッジ毎に求める(ステップS20)。
その後、指令値生成装置3は、指令値生成パラメータセットの設定値を第2最適解探索部18において抽出された調整後指令値パラメータセットに書き換えて動作させて加工を実行することで、作業者の嗜好にあった加工結果を得ることができる。なお、作業者の嗜好が変化した場合には、作業者の嗜好が反映されるステップS18からステップS20までの処理を再開することで、短時間で嗜好が変化した作業者に対して最適な調整後指令値生成パラメータセットを算出することが可能になる。以上で、パラメータ調整方法が終了する。なお、ここでは、各ステップの概要を説明したが、各ステップの詳細は、上述の通りである。
また、ワークの全体を1つの条件で加工する場合には、ステップS14では、特徴量算出部11は、工具先端点における加工の特徴量を加工目標形状320に対応付けて算出する。ステップS17では、第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセット候補を加工目標形状320に対して求める。ステップS18では、嗜好情報設定部16は、加工目標形状320についての指令値生成パラメータセット候補の加工の特徴量並びに加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を、表示部17に表示する。また、ステップS19では、嗜好情報設定部16は、作業者によって調整された加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を嗜好情報として加工目標形状320に設定する。そして、ステップS20では、第2最適解探索部18は、加工目標形状320についての調整後指令値生成パラメータセットを求める。
以上のように、実施の形態1では、指令値生成パラメータセットから加工結果を評価する1つ以上の評価指標値を推論するための第1学習結果を用いて、探索用の指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値を推論し、推論した結果を用いてそれぞれの評価指標値を同時に最適化する複数の指令値生成パラメータセット候補を探索する。そして、探索した指令値生成パラメータセット候補を指令値生成装置3に設定して動作させたときに算出された加工の特徴量とそれぞれの評価指標値とを対応付けて表示部17に表示するようにした。これによって、作業者は、複数の指令値生成パラメータセット候補についての評価指標値と加工の特徴量とを見て、作業者の嗜好に合うものまたは作業者の嗜好に近いものを指令値生成パラメータセットとして選択することが可能となる。そして、選択した指令値生成パラメータセットを用いることで、作業者の嗜好に合った指令値生成パラメータセットに従来に比して早く収束させることができる。つまり、作業者の嗜好に合った指令値生成パラメータセットに従来に比して早く収束させることができる環境を作業者に提供することが可能となる。
また、実施の形態1によって、加工時間、加工精度および面品位の3つを評価指標として、加工目標形状320に対して作業者の嗜好に合わせてパラメータの自動調整を行うことができる。これによって、所望の加工精度を満たしつつ最短の加工時間での加工を実現することが可能となる。つまり、作業者の嗜好に合った指令値生成パラメータセットを従来に比して早く収束させることができるという効果を奏する。
また、作業者の嗜好に合った調整結果を得られなかった場合、あるいは作業者の嗜好に変更があった場合には、図15のステップS18からステップS20までの処理を実行すればよい。これによって、作業者は少ない手間および時間で指令値生成パラメータセットの細かい調整および修正を実施することができる。
さらに、特許文献1に記載の技術では、複数のパラメータセットで動作を確認し、この中で一番適切となるパラメータセットを選択することが可能となるが、一連の加工を通して一条件のパラメータセットを適用することになる。つまり、特許文献1に記載の技術では、部分的に最適なパラメータを設定することはできない。図16は、ブレードの形状の部材の加工の様子の一例を示す図である。図16に示されるように、一例では、ブレード形状の部材400を工具40を用いて加工する場合に、丸みを帯びた両端部分401は高精度に加工し、両端部分401の間の平坦部分402は高速に加工したいというような場合には、一条件のパラメータセットでは対応できない。さらに、パラメータ調整に使用するテストプログラムが、作業者が加工するワーク形状と異なる場合には、パラメータ調整の精度が悪化して、作業者の嗜好に合った調整結果を得ることができない。しかし、実施の形態1では、ワークの全体を複数の部分に分け、分けた部分ごとに異なる条件で加工する場合には、加工目標形状320の加工曲面毎および加工エッジ毎に、作業者の嗜好を反映した調整後指令値生成パラメータセットを求めるようにした。図16の例では、両端部分401と平坦部分402とで作業者の嗜好を反映した異なる調整後指令値生成パラメータが求められる。これによって、ワークの全体または部分的な形状を考慮しつつ、作業者の嗜好に合った評価指標値に対応する指令値生成パラメータセットを従来に比して早く収束させることができる。また、1つのワークの部分ごとに作業者の嗜好に応じて加工することができるという効果を有する。
なお、第2最適解探索部18で使用する学習用データは、第1最適解探索部14で使用する学習用データと同じ制御対象から取得したデータであってもよい。また、第2最適解探索部18で使用する学習用データは、第1最適解探索部14で使用する学習用データとは異なる制御対象から取得したデータであってもよい。つまり、実施の形態1における第1最適解探索部14および第2最適解探索部18の学習結果は、それぞれ異なる制御対象において得られた学習結果であってもよい。一例では、第2最適解探索部18は実際の工作機械において得られた学習結果であり、第1最適解探索部14はこの工作機械の挙動を計算機上で模擬したシミュレーションによる学習結果であってよい。このような構成をとることで、工作機械の経年変化、熱変異などの状態変化が発生した場合においても、シミュレーション上で作業者の嗜好にある程度合わせた後、実際の工作機械において少ない調整回数で高精度に調整することで、作業者の嗜好に合わせてパラメータの自動調整を行うことができる。
実施の形態2.
図17は、実施の形態2に係るパラメータ調整装置の構成の一例を示す図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。パラメータ調整装置1Aは、実施の形態1の構成に、加工の特徴量から加工目標形状320の加工曲面または加工エッジ毎の形状を示す情報である形状情報を分析する形状分析部20をさらに備える。
形状分析部20は、特徴量算出部11によって算出された加工の特徴量に基づいて、加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎の形状を示す情報である形状情報を分析する。形状分析部20は、一例では、加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に代表する工具先端点経路に隣接する工具先端点経路である隣接経路を抽出し、抽出した隣接経路に該当する加工の特徴量から形状情報を導出する。一例では、形状分析部20は、隣接経路に該当する加工の特徴量から計算した接線ベクトル変化の累積値を形状情報とする。あるいは、形状分析部20は、加工の特徴量から導出した接線ベクトル変化の平均値を形状情報としてもよい。このときの加工の特徴量は、工具先端点の速度である。また、他の例では、形状分析部20は、隣接経路の重心からの距離を1次元化してフィッティングした関数を形状情報とする。このとき、形状情報は、2次多項式のような単純な関数でフィッティングしたものであってもよい。
なお、隣接経路の抽出方法としては、一例では、加工目標形状320における各加工曲面または各加工エッジに該当する加工の特徴量が対応付けされているため、時系列において連続する加工の特徴量毎にグルーピングして隣接経路が抽出される。
形状分析部20は、以上のようにして算出した隣接経路を基に求めた形状情報を、指令値生成パラメータセットおよび加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値と対応付けて評価指標情報記憶部13に保存する。このように、実施の形態2では、評価指標情報は、加工目標形状320の加工曲面または加工エッジのそれぞれについて、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値と、指令値生成パラメータセットと、形状情報と、を対応付けたものとなる。なお、評価指標情報は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値、指令値生成パラメータセット並びに形状情報に加えて対応する加工の特徴量を有していてもよい。
第1最適解探索部14は、指令値生成装置3におけるパラメータセットである指令値生成パラメータセットと、評価指標計算部12で計算された評価指標値と、の関係に形状分析部20で導出された形状情報を追加して学習して第1学習結果を得る。第1最適解探索部14は、第1学習結果を用いて、加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を同時に最適化する指令値生成パラメータセットを1つ以上探索する。複数の指令値生成パラメータセットを探索する場合には、トレードオフ関係にある評価指標値のバランスが異なり、加工時間、加工精度および面品位の評価指標値を同時に最適化する指令値生成パラメータセットが探索される。
ここで、第1最適解探索部14の学習処理について説明する。第1最適解探索部14は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値と、指令値生成パラメータセットと、形状情報と、を入力として、指令値生成パラメータと評価指標計算部12で計算された評価指標値と形状情報との関係を学習し、第1学習結果を出力する。
具体的には、指令値生成パラメータセットと形状情報とを入力として評価指標値を出力とするニューラルネットワークが構成され、第1最適解探索部14は、このニューラルネットワークの重み係数を更新して学習を行う。
第1最適解探索部14は、加工目標形状320において、次回の加工動作を実行するための指令値生成パラメータセットを、規定されるパラメータ範囲の中から選定して出力する。第1最適解探索部14は、次の指令値生成パラメータセットの選定にあたって、第1学習結果に基づいて優良な評価指標値を示す指令値生成パラメータセットを選定してもよいし、各指令値生成パラメータセットを等間隔に刻んだグリッドの点の中から順に選定してもよい。第1最適解探索部14は指令値生成パラメータセットおよび形状情報に基づいて、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値を計算する関数を更新する機能を有する。
第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットおよび形状情報に対応する評価指標値を取得する動作を繰り返し実施する。第1最適解探索部14は、指令値生成パラメータセットと、指令値生成パラメータセットに対応する評価指標値および形状情報と、を学習用データとして、実施の形態1で説明したようにニューラルネットワークを用いた学習処理を行う。
以上の動作によって、ニューラルネットワークによる関係式である指令値生成パラメータセットおよび形状情報を入力として評価指標値を出力とする関数が第1学習結果として得られることになる。
この第1学習結果を用いれば、新たな指令値生成パラメータセットおよび形状情報に対して加工動作を実行しなくても、この新たな指令値生成パラメータセットおよび形状情報に対応する加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値Qt,Qa,Qqを得ることが可能になる。
なお、実施の形態2では、指令値生成パラメータセットと形状情報と評価指標値との関係式を構築するために、ニューラルネットワークが用いられた。しかしながら、指令値生成パラメータセットと形状情報と評価指標値との関係を得ることができれば、ニューラルネットワーク以外の方法を用いてもよい。一例では、指令値生成パラメータセットと形状情報と評価指標値との関係式を得るために、2次多項式のような単純な関数が用いられてもよいし、ガウス過程モデルのような確率モデルが用いられてもよい。
次に、実施の形態2でのパラメータ調整方法について説明する。図18は、実施の形態2に係るパラメータ調整方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の図15と同一の処理には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
実施の形態2では、ステップS15の後に、形状分析部20が、ステップS14で算出された加工の特徴量に基づいて、加工目標形状320の加工曲面毎または加工エッジ毎に形状情報を分析する(ステップS31)。次いで、ステップS16の処理に代えて、第1最適解探索部14は、加工時間、加工精度および面品位に関する評価指標値と指令値生成パラメータセットと形状情報とを入力として、指令値生成パラメータセットと評価指標計算部12で計算された評価指標値と形状情報との関係を学習し、第1学習結果を出力する(ステップS32)。その後、ステップS17に処理が移る。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1に対して加工曲面または加工エッジの形状情報を追加して学習して第1学習結果を得るようにした。これによって、作業者が所望とする加工目標形状320を変更した場合においても、加工時間、加工精度および面品位の3つを評価指標値として、加工目標形状320における加工曲面毎または加工エッジ毎に作業者の嗜好に合わせてパラメータの自動調整を行うことができる。
なお、実施の形態2における第1最適解探索部14の第1学習結果および第2最適解探索部18の第2学習結果は、実施の形態1と同様でそれぞれ異なる制御対象において得られた第1学習結果および第2学習結果であってもよい。一例では、第2最適解探索部18は実際の工作機械において得られた学習用データを用いた第2学習結果を使用し、第1最適解探索部14はこの工作機械の挙動を計算機上で模擬したシミュレーションにおいて得られた学習用データを用いた第1学習結果を使用するものであってもよい。このような構成をとることで、工作機械の経年変化または熱変異などの状態変化が発生した場合においても、シミュレーション上で作業者の嗜好にある程度合わせた後、実際の工作機械において少ない調整回数で高精度に調整して、作業者の嗜好に合わせて指令値生成パラメータセットの自動調整を行うことができる。もちろん、第1最適解探索部14の第1学習結果および第2最適解探索部18の第2学習結果は、同じ制御対象において得られた第1学習結果および第2学習結果であってもよい。
また、実施の形態2における第1最適解探索部14の第1学習結果および第2最適解探索部18の第2学習結果は、それぞれ異なる加工プログラム310において得られた第1学習結果および第2学習結果であってもよい。一例では、第1最適解探索部14では、様々な形状情報に対応できる汎用的な加工プログラム310を用いて第1学習結果を得て、第2最適解探索部18では作業者が所望する加工目標形状320における加工プログラム310を用いて第2学習結果を得るようにしてもよい。これによって、作業者が所望とする加工目標形状320を変更した場合においても、作業者に少ない手間および時間で、指令値生成パラメータセットの自動調整を行うことができる。
次に、パラメータ調整装置1,1Aのハードウェア構成について説明する。実施の形態1,2のパラメータ調整装置1,1Aは、コンピュータシステム上で、パラメータ調整装置1,1Aにおける処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムがパラメータ調整装置1,1Aとして機能する。
図19は、実施の形態1,2に係るパラメータ調整装置を実現するコンピュータシステムの構成の一例を示す図である。図19に示されるように、このコンピュータシステムは、制御部901と、入力部902と、記憶部903と、表示部904と、通信部905と、出力部906と、を備え、これらはシステムバス907を介して接続されている。
図19において、制御部901は、一例では、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、実施の形態1,2のパラメータ調整装置1,1Aにおける処理が記述されたプログラムを実行する。入力部902は、一例ではキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部903は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部901が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータなどを記憶する。また、記憶部903は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部904は、ディスプレイ、液晶表示パネルなどで構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。一例では、入力部902と表示部904とが一体的に形成されたタッチパネルで入力部902および表示部904が構成されていてもよい。通信部905は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部906は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図19は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図19の例に限定されない。
ここで、プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部903にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部903から読み出されたプログラムが記憶部903の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部901は、記憶部903に格納されたプログラムに従って、実施の形態1,2のパラメータ調整装置1,1Aとしての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、パラメータ調整装置1,1Aにおける処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部905を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図1および図17に示したパラメータ調整装置1,1Aの特徴量算出部11、評価指標計算部12、第1最適解探索部14、嗜好情報設定部16および第2最適解探索部18並びに図17に示した形状分析部20は、図19に示した記憶部903に記憶されたプログラムが図19に示した制御部901により実行されることによって実現される。特徴量算出部11、評価指標計算部12、第1最適解探索部14、嗜好情報設定部16、第2最適解探索部18および形状分析部20の実現には、図19に示した記憶部903も用いられる。評価指標情報記憶部13、候補情報記憶部15および調整後指令値生成パラメータセット記憶部19は、図19に示した記憶部903によって実現される。表示部17は、図19に示した表示部904によって実現される。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。