JP7411667B2 - ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム - Google Patents

ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム Download PDF

Info

Publication number
JP7411667B2
JP7411667B2 JP2021545404A JP2021545404A JP7411667B2 JP 7411667 B2 JP7411667 B2 JP 7411667B2 JP 2021545404 A JP2021545404 A JP 2021545404A JP 2021545404 A JP2021545404 A JP 2021545404A JP 7411667 B2 JP7411667 B2 JP 7411667B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roi
tumor
ics
cells
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021545404A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022520936A (ja
Inventor
カンダウェル シャンムガム,
フランク エー. シニクロープ,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mayo Foundation for Medical Education and Research
Original Assignee
Mayo Foundation for Medical Education and Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mayo Foundation for Medical Education and Research filed Critical Mayo Foundation for Medical Education and Research
Publication of JP2022520936A publication Critical patent/JP2022520936A/ja
Priority to JP2023063071A priority Critical patent/JP2023098973A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7411667B2 publication Critical patent/JP7411667B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
    • G01N33/57407Specifically defined cancers
    • G01N33/57419Specifically defined cancers of colon
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/705Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • G01N2333/70503Immunoglobulin superfamily, e.g. VCAMs, PECAM, LFA-3
    • G01N2333/7051T-cell receptor (TcR)-CD3 complex
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/705Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • G01N2333/70503Immunoglobulin superfamily, e.g. VCAMs, PECAM, LFA-3
    • G01N2333/70517CD8
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/52Predicting or monitoring the response to treatment, e.g. for selection of therapy based on assay results in personalised medicine; Prognosis

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

関連出願への相互参照
本願は、2019年2月5日出願の米国仮特許出願第62/801,482号(その内容全体が参照により本明細書に援用される)の利益を主張する国際出願である。
発明の分野
本発明は、結腸直腸がんなどの増殖性疾患の予後診断及び治療に使用するための、腫瘍試料中の免疫細胞の分散集団の検出、特徴付け、及び計数に関する。
関連技術の記載
炎症反応の有無は、とりわけ結腸直腸がん、黒色腫、乳がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、食道がん、及び尿路上皮癌など、多くの異なるがん種において予後因子になることが知られている。Pagesら(2010)参照。例えば結腸直腸がんでは、少なくとも1986年以降、免疫細胞浸潤の相対量は結腸直腸がんの独立した予後因子であると考えられてきた。Jass(1986)参照。
プログラムデスリガンド1(PD‐L1)は、プログラム細胞死タンパク質1(PD‐1)受容体の結合を介して免疫系を調節する免疫チェックポイントタンパク質である。PD‐L1は、複数の免疫細胞型に発現し、結腸直腸がん(CRC)細胞を含む多くのがん細胞型にも発現する。PD-L1は、活性化T細胞上のPD-1受容体に結合することができ、細胞傷害性T細胞の抑制につながり、がんの免疫回避を可能にする。Zouら(2016)参照。免疫チェックポイントタンパク質PD-1/PD-L1に対する抗体は、細胞傷害性T細胞を再活性化してがん細胞を攻撃することができ、固形腫瘍の治療に革命をもたらした。DNAミスマッチ修復不全(dMMR)を伴うCRCは、高頻度突然変異及び突然変異に特異的なネオペプチドの発現をもたらすマイクロサテライト不安定性(MSI)を有する。Llosaら(2015)参照。抗PD-1抗体であるペムブロリズマブによる転移性CRCの治療は、これらの患者に頻繁且つ持続的な反応が得られたことから、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンによる治療後に増悪したこの腫瘍サブグループを対象として、米国食品医薬品局より承認を受けた。しかしながら、dMMR mCRC患者の半数以上は、未知の機序のため、PD-1遮断に対する耐性を示す。Leら(2017)を参照。現在までのところ、dMMR腫瘍内のPD-1遮断に対する反応を予測するバイオマーカーはまだ同定されていない。
配列表の参照による援用
2020年1月30日に作成され、ファイルサイズが56,745バイトの「CRC_stage_IV_ST25」と題された本明細書に添付の配列表は、参照により本明細書に援用される。
本開示は概して、例えばTリンパ球(CD3バイオマーカーとCD8バイオマーカーに対して陽性の免疫細胞)を含むステージIVの結腸直腸腫瘍における免疫細胞の評価に関するものであり、腫瘍の試料に対する免疫状況スコア(immune context score)(ICS)を算出するためのスコアリング関数を使用する。
ある実施態様において、形態学的に(例えばヘマトキシリン及びエオシンで染色された試料の画像で)及び/又は1若しくは複数の免疫細胞マーカーの細胞発現に基づいて、1又は複数種の免疫細胞が検出される。例示的な実施態様において、免疫状況スコアは、免疫チェックポイント指向性療法によるステージIVのDNAミスマッチ修復不全(dMMR)型結腸直腸がんの治療の結果を予測するために使用される。
様々な実施態様において、この方法は、ステージIVの結腸直腸腫瘍から採取された組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得ること;組織試料中の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)識別すること;ROIの少なくとも一部においてCD8細胞を検出すること;ROI内のCD8細胞密度を得てICSを算出すること;及びその後、ICSに基づいて対象に対する治療を選択することを含む。この方法は、CD8+細胞密度が低い場合には補助化学療法の全コースと任意選択でチェックポイント阻害剤指向性療法とを含む治療を選択すること、また、CD8+細胞密度が高い場合にはチェックポイント阻害剤指向性療法と任意選択で補助化学療法の縮小コースとを含む治療を選択することを更に含む。
別の実施態様では、メモリに格納された一組のコンピュータ実行可能関数をコンピュータプロセッサに実行させることを含むコンピュータ実装方法が提供され、この一組のコンピュータ実行可能関数は、(A)ステージIVの結腸直腸腫瘍の組織切片のデジタル画像を得ることであって、組織切片が少なくともヒトCD8について組織化学的に染色されている、デジタル画像を得ること;(B)デジタル画像中の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIが腫瘍コア(CT)を含む、アノテーションを付けること;及び(C)スコアリング関数をROIに適用することであって、スコアリング関数が、CTにおけるCD8+細胞の密度を含む特徴ベクトルを算出して、組織切片の免疫状況スコアを得ることを含む、適用すること、を含む。いくつかの実施態様において、CD8+密度は、合計メトリックとして得られる。他の実施態様では、CD8+密度は、ROIの複数の制御領域の平均値又は中央値として得られる。いくつかの実施態様において、CD8+密度は、正規化係数をCD8+密度に適用することによって正規化され、正規化係数は、所定の特徴メトリックの上限又は下限に等しい。ある実施態様では、正規化係数は、試料の代表的な集団にわたるCD8+密度の分布を評価すること、特徴メトリック値の分布の歪みを識別すること、及び所定の試料数を超える値を識別することによって得られ、その値は正規化係数として選択される。
別の特定の実施態様では、(a)腫瘍組織切片のデジタル画像上の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIの少なくとも1つがCT領域の一部を含む、アノテーションを付けること;(b)ROI内でヒトCD8を発現する細胞を検出し、定量化すること;(c)ROI内のCD8+細胞の密度を算出し、任意選択でCD8+細胞密度又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞密度を特徴ベクトルに対して正規化して、腫瘍の免疫状況スコア(ICS)を得ることを含む方法が提供される。ある実施態様では、密度は、細胞の面密度又は細胞の線密度である。
本明細書では、腫瘍組織試料の免疫状況をスコアリングするためのシステムも提供され、このシステムは、少なくともコンピュータプロセッサとメモリを含み、ここでメモリは、コンピュータプロセッサによって実行される一組のコンピュータ実行可能命令を格納し、この一組のコンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載のプロセス及び方法のいずれかを含む。いくつかの実施態様において、本システムは、腫瘍組織試料の切片を組織化学的に標識するための自動スライド染色装置及び/又は組織化学的に染色された切片のデジタル画像を生成するための手段(デジタルカメラ又はスキャナシステムに動作可能に連結された、顕微鏡など)を備える。更なる実施態様では、本システムは、試料、切片及びデジタル画像上で実施されるプロセスを追跡及び/又は制御するための臨床検査情報システム(LIS)を更に含み得る。
ROIの特徴メトリックを算出する2つの異なる方法を示す。画像の破線は、ROIの境界を示している。画像の「X」は、画像内でマーキングされた関心オブジェクトを示す。画像内の円は制御領域であり、制御領域のグローバルメトリックを算出するために使用されることがある。 本明細書に開示されている例示的な免疫状況スコアリングシステムを示す。 図3Aは、本明細書に開示されている画像解析システムに実装された例示的なワークフローを示しており、ROI生成関数が実行される前に、画像全体に対してオブジェクト識別関数が実行される。図3Bは、本明細書に開示されている画像解析システムに実装された例示的なワークフローを示しており、ROI生成関数が実行された後に、ROIのみに対してオブジェクト識別関数が実行される。 本明細書に開示されている画像解析システムの一部を形成し得る例示的なコンピューティングシステムを示す。 腫瘍コア(CT)及び浸潤縁(IM)におけるCD8+及びCD3+T細胞密度(スコア0~100)の分布を、(A)レスポンダー(上段)とノンレスポンダー(下段)間、(B)病勢コントロ―ル期間が12か月以上の患者(上段)と12か月未満の患者(下段)間で示したものである。各T細胞サブタイプの密度の中央値は、密度スコアが含まれる円の大きさに反映される。レスポンダーは完全奏効患者と部分奏効患者、ノンレスポンダーは安定状態患者と進行性疾患患者である。
I. 定義
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術的及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。例えば、Lackie, DICTIONARY OF CELL AND MOLECULAR BIOLOGY, Elsevier(第4版.2007);Sambrookら,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL, Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor,N.Y.1989)を参照されたい。「a」又は「an」という用語は、「1又は複数」を意味することが意図される。「含む(備える)」(「comprise」、「comprises」、「comprising」)という用語は、工程又は要素の列挙の前にある場合、更なる工程又は要素の追加は任意選択であり、除外されないことを意味する。
抗体:本明細書中の用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び(所望の抗原結合活性を示す限り)抗体断片を含む様々な抗体構造体を包含する。
抗体断片:「抗体断片」とは、インタクトな抗体以外の分子であって、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の一部を含む分子を意味する。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
バイオマーカー:本明細書で使用される用語「バイオマーカー」とは、生物学的試料又は生物学的試料が得られる対象を特徴付けるために使用することができる、生物学的試料中に見出される任意の分子又は分子群を指すものとする。例えば、バイオマーカーは、その有無又は相対的存在量が次のとおりである分子又は分子群であり得る。
* 特定の細胞又は組織の種類又は状態の特徴である;
* 特定の病態又は病状の特徴である;或いは
* 病態の重篤度、病態の進行若しくは退縮の可能性、及び/又は病態が特定の治療に反応する可能性を示唆している。
別の例として、バイオマーカーは、細胞型又は微生物(細菌、マイコバクテリア、真菌、ウイルスなど)又は置換基分子若しくはその分子群であってもよい。
バイオマーカー特異的試薬:一次抗体など、細胞試料中の1又は複数のバイオマーカーに特異的に直接結合することが可能な特異的検出試薬。
細胞試料:本明細書で使用される場合、用語「細胞試料」とは、細胞培養物、体液試料又は病理学的、組織学的若しくは細胞学的解釈のために採取された外科標本など、無傷の細胞を含む任意の試料を意味する。
連続スコアリング関数:「連続スコアリング関数」は、1又は複数の変数の実際の大きさが入力される(任意選択で、値の上限及び/若しくは下限を設定したり、且つ/又は正規化係数を適用したりできる)数式である。いくつかの例では、連続スコアリング関数に入力される値は、変数の実際の大きさである。他の例では、連続スコアリング関数に入力される値は、所定のカットオフの上限まで(及び/又は必要に応じて下限まで)の変数の絶対値であり、ここで、カットオフ値から外れた全ての絶対値は、カットオフ値を割り当てられる。他の例では、連続スコアリング関数に入力される値は、変数の正規化された値である。
完全奏功(CR):本明細書で用いる「完全奏効」とは、特定の療法の後で対象における全ての標的病変が消失することを意味する。
Cox比例ハザードモデル:式1のモデル:
Figure 0007411667000001
式中、
Figure 0007411667000002
は、時間tで予測されるハザード(h(t))とベースラインハザード(h0(t))との比であり、b1,b2...Bppは、独立変数のそれぞれについて外挿された定数である。全体を通して使用されているこの比率
Figure 0007411667000003
を、「Cox免疫状況スコア」又は「ICScox」と称するものとする。
検出試薬:「検出試薬」とは、細胞試料中のバイオマーカー特異的試薬に近接して染料を付着させるために用いる試薬のことである。非限定的な例には、バイオマーカー特異的試薬(一次抗体など)、二次検出試薬(一次抗体に結合できる二次抗体など)、三次検出試薬(二次抗体に結合できる三次抗体など)、バイオマーカー特異的試薬と直接的又は間接的に会合した酵素、蛍光又は発色性染料の付着をもたらすそのような酵素と反応性の化学物質、染色工程の合間に使用される洗浄試薬などが含まれる。
検出可能な部分:試料上に付着した検出可能な部分の存在(すなわち定性分析)及び/又は濃度(すなわち、定量分析)を示す、(視覚的、電子的又はその他の方法で)検出可能なシグナルを発することができる分子又は材料。検出可能なシグナルは、光子の吸収、放出及び/又は散乱(無線周波数、マイクロ波周波数、赤外周波数、可視周波数、及び紫外周波数光子を含む)を含む、既知又は未発見の任意の機構によって生成され得る。「検出可能な部分」という用語は、発色性、蛍光性、リン光性、及び発光性の分子及び材料;ある物質を別の物質に変換して検出可能な差異をもたらす(例えば、無色の物質を着色物質に変換することによって若しくはその逆、又は沈殿物を生成するか若しくは試料の濁度を上げることによって)触媒(酵素など)を含む。いくつかの例では、検出可能な部分は、クマリン、フルオレセイン(又はフルオレセイン誘導体及びアナログ)、ローダミン、レゾルフィン、ルミノフォア、及びシアニンを含むいくつかの一般的な化学物質クラスに属するフルオロフォアである。蛍光分子の追加例は、Molecular Probes Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies, Molecular Probes, Eugene, OR, ThermoFisher Scientific,第11版に記載されている。他の実施態様では、検出可能な部分は、ジアミノベンジジン(DAB)、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン-4’-スルホンアミド(DABSYL)、テトラメチルローダミン(DISCOVERY Purple)、N,N’-ビスカルボキシペンチル-5,5’-ジスルホナト-インド-ジカルボシアニン(Cy5)、及びローダミン110((Rhodamine)を含む色素など、明視野顕微鏡法によって検出可能な分子である。
特徴メトリック:試料中のバイオマーカーの発現レベルを示す値。例としては、発現強度(例えば0+、1+、2+、3+の尺度で)、バイオマーカーに対して陽性の細胞数、細胞密度(例えば、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性細胞数、ROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性細胞数など)、ピクセル密度(すなわち、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性ピクセル数、ROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性ピクセル数など)等が挙げられる。特徴メトリックは、合計メトリック又はグローバルメトリックとすることができる。
組織化学的検出:組織試料の構造間の横断的関係に照らしてバイオマーカー又は他の構造を顕微鏡で検出することを可能にする方法で、バイオマーカーに特異的な試薬及び検出試薬を用いて、組織試料中のバイオマーカー又は他の構造を標識するプロセス。例としては、免疫組織化学(IHC)、発色in situハイブリダイゼーション(CISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、銀in situハイブリダイゼーション(SISH);及びホルマリン固定パラフィン包埋組織切片のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色などがある。
免疫チェックポイント指向性療法:免疫チェックポイント分子の活性化を阻害する療法。
免疫チェックポイント分子:免疫細胞によって発現され、その活性化が細胞傷害性T細胞応答をダウンレギュレートするタンパク質。例としては、PD-1、TIM-3、LAG-4、及びCTLA-4が挙げられる。
免疫逃避バイオマーカー:腫瘍細胞が発現するバイオマーカーで、腫瘍がT細胞媒介性免疫応答を回避するのを助ける。免疫逃避バイオマーカーの例としては、PD-L1、PD-L2、及びIDOが挙げられる。
浸潤縁(IM):浸潤性新生物組織と正常組織の境界面。ROIの文脈で使用される場合、「IM」は、浸潤縁として専門の読影者によって識別された腫瘍の領域に限定されたROIを指す。
モノクローナル抗体:実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、例えば天然の突然変異を含有しているか又はモノクローナル抗体調製物の製造中に発生する可能性のあるバリアント抗体(このようなバリアントは一般に少量で存在する)を除き、集団を構成する個々の抗体が同一であり、且つ/又は同じエピトープに結合する。典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すものであり、特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部若しくは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法、又はこれらの組合せを含むがこれらに限定されない様々な技術によって作られる。
非線形連続スコアリング関数:f(x)=a+bx以外nの一般的な構造を持つ連続スコアリング関数で、xは変数、aとbは定数である。したがって、「非線形連続スコアリング関数」は、例えば、非線形代数関数(非定数、非線形多項式関数;有理関数;及びn番目の根関数など)及び超越関数(指数関数、双曲線関数、対数関数、及びべき関数など)を含む。
非連続スコアリング関数:「非連続スコアリング関数」(本明細書では「2値スコアリング関数」とも呼ぶ)とは、各変数が所定の「ビン」(例えば「高」、「中」又は「低」)に割り当てられ、同じビンの全メンバーの数学関数に同じ値が入力されるスコアリング関数である。例えば、評価される変数がCD8+T細胞の密度であると仮定する。非連続又は2値スコアリング関数では、まず密度値を分析して、「高密度」又は「低密度」のビンに分類されるかどうかを決定し、そのビンのメンバーに割り当てられた任意の値(例えば、低ければ0、高ければ1)が非連続スコアリング関数に入力される。例えば、密度が1mm当たり500個のCD8+細胞の試料と、1mm当たり700個のCD8+細胞の2つの試料を考えてみよう。非連続スコアリング関数に入力される値は、それらがどのビンに分類されるかによって異なる。「高ビン」が500細胞/mmと700細胞/mmの両方を包含する場合、1の値が各試料の非連続スコアリング関数に入力される。「高」と「低」のビンの間のカットオフが500~700細胞/mmの間にある場合、1つ目の試料の非連続スコアリング関数に0の値が入力され、2つ目の試料の非連続スコアリング関数に1の値が入力される。「低ビン」が500細胞/mmと700細胞/mmの両方を包含する場合、各試料の非連続スコアリング関数に0の値が入力される。
正規化する:異なる特徴メトリックが同じ尺度で表わされるように、固定係数によって特徴メトリックを調整すること。
正規化係数:正規化された特徴メトリックを得るために特徴メトリックに適用される、固定係数。
正規化された特徴メトリック:正規化係数によって値が調整された、特徴メトリック。
客観的奏効率:事前設定された量の腫瘍負荷が減少した、対象の割合。
部分奏効(PR):本明細書で使用される場合、特定の治療後に標的病変の最長径(LD)の和が、ベースラインLD和を基準として、少なくとも30%減少した場合、対象は「部分奏効」を有すると特徴付けられる。
PD-1軸指向性療法:PD-1誘導性T細胞のアネルギー、消耗及び/又は老化を予防する療法。例としては、PD-1特異的抗体(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680(アストラゼネカ)、JS001(Shanghai Junshi Biosciences)、IBI308(Innovent Biologics)、JNJ-63723283など)、PD-L1特異的抗体(アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブなど)、PD-1リガンド断片及び融合タンパク質(AMP-224(PD-L2の細胞外ドメインとヒトIgGのFc領域との融合)など)及び小分子阻害剤(CA-170(PD-L1、PD-L2及びVISTAに対する結合特異性のある小分子、並びにBMS-1001 & BMS-1166(PD-L1を二量化すると予測される小分子、例えば国際公開第2015034820号及び同第2015160641号参照)など)が含まれる。
腫瘍周囲(PT)領域:浸潤縁のすぐ近傍にある腫瘍の領域で、腫瘍外組織の一部と腫瘍コアの一部を含むこともある。
腫瘍周囲(PT)ROI:IM領域の少なくとも一部と、任意選択でIM領域のすぐ近傍の腫瘍外組織及び/又はIMのすぐ近傍の腫瘍コア領域の一部を含むROI。例えば、「PT ROI」は、腫瘍細胞と非腫瘍細胞との境界面上の任意の点のから定義された距離内の全てのピクセルを包含してもよく、又は腫瘍細胞と非腫瘍細胞との境界面を中心として定義された幅のROIを包含してもよく、又は各々が腫瘍細胞と非腫瘍細胞との境界面上の点を中心とする複数の定義された形状(例えば、各々が腫瘍細胞と非腫瘍細胞との境界面上の離散点を中心とする、複数の重なり合う円)を包含してもよい。
進行性疾患(PD):本明細書で使用される「進行性疾患」は、治療開始以降に記録された最小LD和又は1若しくは複数の新しい病変の出現を基準として、特定の療法の後に少なくとも20%増加した標的病変の最長径(LD)の和を有する対象を記述するのに使用される。
試料:本明細書で使用される「試料」という用語は、バイオマーカーの有無を検査することが可能な対象から得られた任意の材料をいう。
二次検出試薬:バイオマーカー特異的試薬に特異的に結合することが可能な特異的検出試薬。
切片:名詞として使われる場合は、通常はミクロトームを用いて切断される、顕微鏡分析に適した組織試料の薄いスライス。動詞として使われる場合は、切片を作成するプロセス。
連続切片:本明細書で使用される「連続切片」という用語は、ミクロトームによって組織試料から順番に切断された一連の切片のうちのいずれか1つを指すものとする。2つの切片を互いに「連続切片」と考えるためには、必ずしも組織からの連続する切片である必要はないが、一般に、組織学的染色の後に構造を互いに一致させることができるように、同じ空間的関係にある十分に類似した組織構造を含んでいる必要がある。
特異的検出試薬:細胞試料の文脈で、標的化学構造に特異的に結合することが可能な物質の任意の組成物。本明細書で使用される場合、語句「特異的結合」、「~に特異的に結合する」若しくは「~に特異的な」又は他の類似の反復は、標的に特異的検出試薬との間の測定可能で再現可能な相互作用を指し、この相互作用は生体分子を含む分子の異種集団の存在下での標的の存在を決定するものである。例えば、標的に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に且つ/又はより長い持続時間でこの標的に結合する抗体である。一実施態様では、特異的検出試薬が無関係の標的に結合する程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定して、抗体の標的への結合の約10%未満である。特定の実施態様において、標的に特異的に結合するバイオマーカー特異的試薬は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。別の実施態様では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、必須ではない。例示的な特異的検出試薬には、特定のヌクレオチド配列に特異的な核酸プローブ;抗体及びその抗原結合断片、並びに、ADNECTIN(10番目のFN3フィブロネクチンベースの足場;ブリストル・マイヤーズスクイブ社)、AFFIBODY(黄色ブドウ球菌由来のプロテインAのZドメインベースの足場;スウェーデン、ソルナのAffibody AB)、AVIMER(ドメインA/LDL受容体ベースの足場;カリフォルニア州サザンオークスのアムジェン)、dAbs(VH又はVL抗体ドメインベースの足場;英国、ケンブリッジのグラクソ・スミスクライン)、DARPin(アンキリンリピートタンパク質ベースの足場;スイス、チューリッヒのMolecular Partners AG)、ANTICALIN(リポカリンベースの足場;ドイツ、フライジングのPieris AG)、NANOBODY(VHH(ラクダ科のIg)ベースの足場;ベルギー、ヘントのAblynx N/V)、TRANS-BODY(トランスフェリンベースの足場;ニューヨーク州ニューヨークのファイザー社)、SMIP(メリーランド州ロックビルのEmergent Biosolutions社)及びTETRANECTIN(C型レクチンドメイン(CTLD)、テトラネクチンベースの足場;デンマーク、オルフスのBorean Pharma A/S)など、操作された特異的結合組成物が含まれる。このような操作された特異的結合構造の記述は、内容が参照により援用されるWurchら、Development of Novel Protein Scaffolds as Alternatives to Whole Antibodies for Imaging and Therapy: Status on Discovery Research and Clinical Validation, Current Pharmaceutical Biotechnology,9巻,502-509頁(2008)によってレビューされている。
安定状態(SD):本明細書で使用される場合、特定の治療後、治療開始以降の最小のLDの和を基準として、部分奏効(PR)に相当するのに十分な縮小も進行性疾患(PD)に相当するのに十分な増加もない場合、対象は「安定状態」を有すると特徴付けられる。
染料:名詞として使用される場合、「染料」という用語は、明視野顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、電子顕微鏡法などを含む顕微鏡分析のための細胞試料中の特定の分子又は構造を可視化するために用いることができる任意の物質を指すものとする。動詞として使用される場合、用語「染色する」は、細胞試料上に染料の付着をもたらす任意のプロセスを指すものとする。
対象:本明細書で使用される場合、用語「対象」又は「個体」は、哺乳動物である。哺乳類には、家畜化された動物(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、個体又は対象は、ヒトである。
試験試料:試料が得られた時点で転帰不明の対象から得られた腫瘍試料。
組織試料:本明細書で使用される場合、「組織試料」という用語は、試料が得られた対象の内部に存在していたような、細胞間の横断的な空間的関係を保持している細胞試料を指すものとする。
腫瘍コア(CT):浸潤縁ではない浸潤性新生物病変の領域。ROIの文脈において、「CT」は、IMでもなく、アーチファクトとしてROIから除外されもしない、腫瘍領域全体のうちの一部を指す。
腫瘍試料:腫瘍から得られた組織標本。
全腫瘍(WT)領域:実質的に全てが浸潤性新生物細胞から構成される1又は複数の近接領域によって特徴付けられる組織切片の一部であり、CT領域とIM領域の両方を含む。
全腫瘍ROI:全腫瘍領域に限定されたROI。
II. バイオマーカーの説明
CD3:CD3は、細胞表面受容体複合体であり、T細胞系列を有する細胞を定義するバイオマーカーとして頻繁に用いられる。CD3複合体は、4つの異なるポリペプチド鎖:CD3ガンマ鎖、CD3デルタ鎖、CD3イプシロン鎖、及びCD3ゼータ鎖で構成される。CD3ガンマとCD3デルタはそれぞれ、CD3イプシロン(εγホモ二量体とεδヘテロ二量体)と共にヘテロ二量体を形成し、CD3ゼータはホモ二量体(ζζホモ二量体)を形成する。機能的には、εγホモ二量体、εδヘテロ二量体、及びζζホモ二量体は、T細胞受容体複合体と共にシグナル伝達複合体を形成する。ヒトCD3ガンマ鎖、CD3デルタ鎖、CD3イプシロン鎖、及びCD3ゼータ鎖の例示的な配列(並びにこれらのアイソフォーム及びバリアント)は、Uniprot Accesion No.P09693(本明細書に配列番号1で開示されている基準(canonical)アミノ酸配列)、P04234(本明細書に配列番号2で開示されている基準アミノ酸配列)、P07766(本明細書に配列番号3で開示されている基準アミノ酸配列)、及びP20963(本明細書に配列番号4で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。本明細書で使用する用語「ヒトCD3タンパク質バイオマーカー」は、基準配列の機能を維持する基準ヒト配列及びその天然バリアントを有する任意のCD3ガンマ鎖、CD3デルタ鎖、CD3イプシロン鎖及びCD3-ゼータ鎖ポリペプチド;基準配列の機能を維持する基準ヒト配列及びその天然バリアントを有するCD3ガンマ鎖、CD3デルタ鎖、CD3イプシロン鎖及びCD3-ゼータ鎖ポリペプチドのうちの1又は複数を含む、εγホモ二量体、εδヘテロ二量体及びζζホモ二量体;並びに1種以上の前記CD3ホモ二量体又はヘテロ二量体のうちの1種以上を含む任意のシグナル伝達複合体を包含する。いくつかの実施態様において、ヒトCD3タンパク質バイオマーカー特異的薬剤は、CD3ガンマ鎖ポリペプチド(例えば配列番号1のポリペプチド)、CD3デルタ鎖ポリペプチド(例えば配列番号2のポリペプチド)、CD3イプシロン鎖ポリペプチド(例えば配列番号3のポリペプチド)若しくはCD3ゼータ鎖ポリペプチド(例えば配列番号4のポリペプチド)内の構造(例えばエピトープ)に特異的に結合するか又はεγ-ホモ二量体、εδ-ヘテロ二量体若しくはζζホモ二量体内に位置する構造(例えばエピトープ)に結合する任意のバイオマーカー特異的薬剤を包含する。
CD8:CD8は、細胞傷害性サプレッサーT細胞サブセット、胸腺細胞、特定のナチュラルキラー細胞、及び骨髄細胞の亜集団に見出される、ヘテロ二量体のジスルフィド結合膜貫通糖タンパク質である。CD8受容体のヒトアルファ鎖及びベータ鎖(並びにそのアイソフォーム及びバリアント)の例示的な配列は、Uniprot Accession No.P01732(本明細書に配列番号5で開示されている基準アミノ酸配列)及びP10966(本明細書に配列番号6で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。本明細書で使用される場合、用語「ヒトCD8タンパク質バイオマーカー」は、基準配列の機能を維持する基準ヒト配列及びその天然バリアントを有する、任意のCD8アルファ鎖ポリペプチド;基準配列の機能を維持する基準ヒト配列及びその天然バリアントを有する、任意のCD8ベータ鎖ポリペプチド;基準配列の機能を維持する基準ヒト配列及びその天然バリアントを有する、CD8アルファ鎖ポリペプチド及び/又はCD8ベータ鎖ポリペプチドを含む任意の二量体を包含する。いくつかの実施態様において、ヒトCD8タンパク質バイオマーカー特異的薬剤は、CD8アルファ鎖ポリペプチド(配列番号5のポリペプチドなど)、CD8ベータ鎖ポリペプチド(配列番号6のポリペプチドなど)内の構造(エピトープなど)に特異的に結合するか又はCD8二量体内に位置する構造(エピトープなど)に結合する、任意のバイオマーカー特異的薬剤を包含する。
CTLA-4:CTLA-4(CD152としても知られる)は、ヒトの2番染色体上のCTLA4遺伝子によって発現される免疫チェックポイントタンパク質である。ヒトCTLA-4タンパク質(並びにそのアイソフォーム及びバリアント)の例示的な配列は、Uniprot Accesion No.P16410(本明細書に配列番号7で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。
PD-1:プログラムデスリガンド1(PD-1)は、2番染色体上のPDCD1遺伝子によってコードされるCD28ファミリー受容体のメンバーである。ヒトPD-1タンパク質(並びにそのアイソフォーム及びバリアント)の例示的な配列は、Uniprot Accesion No.Q15116(本明細書に配列番号8で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。いくつかの実施態様において、ヒトPD-1タンパク質バイオマーカー特異的薬剤は、ヒトPD-1ポリペプチド(配列番号8のポリペプチドなど)内の構造(エピトープなど)に特異的に結合する任意のバイオマーカー特異的薬剤を包含する。
PD-L1:プログラムデスリガンド1(PD‐L1)は、9番染色体上のCD274遺伝子によりコードされる1型膜貫通タンパク質である。PD-L1は、PD-1とCD80のリガンドとして作用する。ヒトPD-L1タンパク質(並びにそのアイソフォーム及びバリアント)の例示的な配列は、Uniprot Accesion No.Q9NZQ7(本明細書に配列番号9で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。いくつかの実施態様において、ヒトPD-L1タンパク質バイオマーカー特異的薬剤は、ヒトPD-L1ポリペプチド(配列番号9のポリペプチドなど)内の構造(エピトープなど)に特異的に結合する任意のバイオマーカー特異的薬剤を包含する。
PD-L2:プログラムデスリガンド2(PD‐L2)は、9番染色体上のPDCD1LG2遺伝子によりコードされる膜貫通タンパク質である。PD-L2は、PD-1のリガンドとして作用する。ヒトPD-L2タンパク質(並びにそのアイソフォーム及びバリアント)の例示的な配列は、Uniprot Accesion No.Q9BQ51(本明細書に配列番号10で開示されている基準アミノ酸配列)に見出すことができる。いくつかの実施態様において、ヒトPD-L2タンパク質バイオマーカー特異的薬剤は、ヒトPD-L2ポリペプチド(配列番号10のポリペプチドなど)内の構造(エピトープなど)に特異的に結合する任意のバイオマーカー特異的薬剤を包含する。
III. スコアリング関数
本方法及びシステムのスコアリング関数は、DNAミスマッチ修復不全を伴うステージIVの結腸直腸がんを有する患者の腫瘍試料に適用される。試験するバイオマーカーのパネルを選択し、試料をバイオマーカー用に染色し、1又は複数のROIからバイオマーカーの特徴メトリックを算出する(この特徴メトリックは、任意選択で正規化されていたり、上限値又は下限値が設定されていたりしてもよい)。
本スコアリング関数は、腫瘍コア(CT)内に位置するCD8+細胞の密度に基づいている。更なるバイオマーカーは、特定の治療コースに対する対象の反応を予測するスコアリング関数の能力を有意に低下させない限り、スコアリング関数(例えばCD3+密度)に含めることができ、且つ/又は異なる組織コンパートメント(例えば浸潤縁)から含めることもできる。
一実施態様において、本明細書に記載のスコアリング関数は、細胞カウントを腫瘍コンパートメントの面積(mm)で除することによって各コンパートメント(例えばCT)内のCD3+及びCD8+T細胞の密度が算出される非連続スコアリング関数である。密度値を用いて、各T細胞サブタイプ及びコンパートメント(CD3+IM、CD3+CT、CD8+IM、CD8+CT)について0~100の範囲の密度スコアを算出し、「高」ICSと「低」ICSを区別するための閾値を決定する。例示的な実施態様では、この閾値は、受信者動作特性(ROC)曲線分析によって決定される。
別の実施態様では、本明細書に記載のスコアリング関数は、CTにおける少なくともCD8+T細胞密度を含む連続スコアリング関数であり、CT領域におけるCD8+T細胞密度は、連続スコアリング関数における変数の中で最も高い重みを有するものである本発明において有用な例示的な連続スコアリング関数モデルには、Cox比例ハザードモデル及びロジスティック回帰モデルが含まれる。ある実施態様では、モデル内で最も高い重みを有する変数としてCT領域におけるCD8+T細胞密度を含む多変量連続スコアリングモデルが提供される。
III.A. 試料及び試料調製
非連続的なスコアリング関数は、ステージIVの結腸直腸腫瘍から得られた組織切片の画像で実行される。この試料は、典型的には、例えば、固定(例えばホルマリンベースの固定剤によって)、ワックスマトリックス(例えばパラフィン)への包埋、及び切片化(例えばミクロトームによる)を含む、組織化学染色に適合する方法で処理される。得られた試料が目的のバイオマーカーの試料の組織化学的染色と適合性がある限り、本開示によって特定の処理工程は必要とされない。特定の実施態様では、試料は、ステージIVの結腸直腸がん腫瘍の、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料のミクロトーム切片である。
III.B. バイオマーカーパネル
ある実施態様では、ステージIVの結腸直腸試料の少なくとも1つの組織切片を、適切な検出試薬と組み合わせてヒトCD8タンパク質バイオマーカー特異的試薬で標識し、CD8+細胞の密度を評価する。更に、腫瘍は、ミスマッチ修復及び/又はマイクロサテライト安定性状態に基づいて分類することができる。
ミスマッチ修復状態(「MMR」とも呼ばれる)は、典型的には、ミスマッチ修復に関与する4つの遺伝子:hPMS2、hMLH1、hMSH2、及びhMSH6の発現及び/又はメチル化状態を評価することを含む。基準タンパク質配列は、それぞれ、配列番号11~14に開示されている。これらの4つの遺伝子のいずれかの発現が欠損している腫瘍は、ミスマッチ修復が不全である(「dMMR」という)と決定されたが、一方、これらのいずれの遺伝子の発現も欠損していない腫瘍は、MMR正常(proficient MMR)である(「pMMR」という)と決定される。MMRの状態は、例えば、タンパク質ベースのアッセイ(固相酵素イムノアッセイ(例えばELISA)又は免疫組織化学アッセイなどのイムノアッセイ)又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ(例えばリアルタイム逆転写酵素PCRアッセイ)により決定され得る。
マイクロサテライト不安定性(「MSI」)は、MMR不全によって引き起こされる。その結果、マイクロサテライト遺伝子座の長さの変化が蓄積し始める。MSI状態を評価するためのアッセイは、当技術分野において周知である。例えば、Murphyら,J.Mol.Diagn.,8巻,3刷,305-11頁(2006年7月);Esemuedeら,Ann.Surg.Oncol.,17巻,12刷,3370-78頁(2010年12月);Mukherjeeら,Hereditary Cancer in Clinical Practice,8巻,9刷(2010年);MSI Analysis System(Promega)(MSI高表現型の7つのマーカー(ほぼ単形性の5つのモノヌクレオチドリピートマーカー(BAT-25、BAT-26、MONO-27、NR-21、及びNR-24)と高度に多形性の2つのペンタヌクレオチドリピートマーカー(ペンタC、ペンタD)を含む)の評価)を参照されたい。
III.C. 試料の組織化学的染色
試料の切片は、バイオマーカー染色された切片を作製するために、1又は複数のバイオマーカー特異的試薬を一組の適切な検出試薬と組み合わせて塗布することによって染色される。バイオマーカー染色は、典型的には、バイオマーカーとバイオマーカー特異的試薬との間の特異的結合を容易にする条件下で、試料の切片をバイオマーカー特異的試薬と接触させることによって達成される。その後、バイオマーカー特異的試薬と相互作用する一組の検出試薬と試料を接触させて、バイオマーカーに近接する検出可能な部分の付着を容易にし、それにより、バイオマーカーに局在する検出可能なシグナルを生成する。通常、組織の望ましくない非特異的染色を防ぐために、異なる試薬の塗布の合間に洗浄工程が実施される。
バイオマーカー特異的試薬は、バイオマーカー特異的試薬に近接する検出可能な部分の付着を媒介することにより、バイオマーカーの検出を容易にする。
いくつかの実施態様において、検出可能な部分は、バイオマーカー特異的試薬に直接コンジュゲートされているため、バイオマーカー特異的試薬がその標的に結合すると、試料上に付着する(直接標識法と一般に称される)。直接標識法は、より直接的に定量化可能であることが多いが、感度が不十分であることが多い。他の実施態様では、検出可能な部分の付着は、バイオマーカー特異的試薬と会合している検出試薬の使用によってもたらされる(間接標識法と一般に呼ばれる)。間接標識法は、バイオマーカー特異的試薬に近接して付着させることができる検出可能な部分の数を増加させ、したがって、特に色素と組み合わせて使用される場合、直接標識法よりも感度が高いことが多い。
いくつかの態様において、間接的な方法が使用され、ここで検出可能な部分は、バイオマーカー特異的試薬に局在化した酵素反応を介して付着される。このような反応に適した酵素はよく知られており、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ及びペルオキシダーゼを含むがこれらに限定されない。明示的に含まれる具体的な酵素は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、及びβ-ラクタマーゼである。酵素は、バイオマーカー特異的試薬に直接コンジュゲートしていても、又は標識コンジュゲートを介してバイオマーカー特異的試薬と間接的に会合していてもよい。本明細書で用いられる場合、「標識コンジュゲート」は、
(a)特定の検出試薬と
(b)特定の検出試薬にコンジュゲートした酵素であって、適切な反応条件下で発色基質、シグナル伝達コンジュゲート又は酵素反応性色素と反応性であり、色素のin situ生成及び/又は組織試料上への色素の付着をもたらす、酵素
を含む。
非限定的な例では、標識コンジュゲートの特異的検出試薬は、二次検出試薬(一次抗体に結合した種特異的二次抗体、ハプテンコンジュゲート一次抗体に結合した抗ハプテン抗体又はビオチン化一次抗体に結合したビオチン結合タンパク質など)、三次検出試薬(二次抗体に結合した種特異的三次抗体、ハプテンコンジュゲート二次抗体に結合した抗ハプテン抗体又はビオチン化二次抗体に結合したビオチン結合タンパク質など)、又は他のこのような取り合わせであってもよい。このようにして試料に結合したバイオマーカー特異的試薬に局在化した酵素は、検出可能な部分を付着させるための複数のスキームで使用することができる。
場合によっては、この酵素は、発色化合物/基質と反応する。発色性化合物/基質の具体的で非制限的な例には、4-ニトロフェニルホスフェート(pNPP)、ファストレッド、ブロモクロロインドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、BCIP/NBT、ファストレッド、APオレンジ、APブルー、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、o-ジアニシジン、4-クロロナフトール(4-CN)、ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)、o-フェニレンジアミン(OPD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-ガラクトピラノシド(X-Gal)、メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトピラノシド(MU-Gall)、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクトピラノシド(PNP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-Gluc)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、フクシン、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー又はテトラゾリウムバイオレットが含まれる。
いくつかの実施態様では、該酵素を金属組織学的検出スキームにおいて使用することができる。金属組織学的検出法は、アルカリホスファターゼなどの酵素を、水溶性金属イオン及び酵素の酸化還元に不活性な基質と組み合わせて使用することを含む。いくつかの実施態様では、該基質は、酵素によって酸化還元活性剤に変換され、その酸化還元活性剤が金属イオンを還元し、それに検出可能な沈殿物を形成させる。(例えば、2004年12月20日に出願された米国特許出願公開第11/015,646号、PCT公開第2005/003777号、及び米国特許出願公開第2004/0265922号を参照されたい。尚、これら各々の全内容は、参照により本明細書に援用される)。金属組織学的検出法は、水溶性金属イオン、酸化剤及び還元剤と共に酸化還元酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼなど)を用いて、先と同じく検出可能な沈殿物を形成することを含む。(例えば、参照により全内容が本明細書に援用される米国特許第6,670,113号を参照されたい)。
いくつかの実施態様では、酵素作用は、酵素と色素自体との間で起こり、その反応は、色素を非結合種から試料への付着種に変える。例えば、DABとペルオキシダーゼ(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)の反応はDABを酸化し、それを沈殿させる。
更に他の実施態様では、検出可能部分は、酵素と反応して試料又は他の検出成分に結合することができる反応種を形成するように作られている潜在的反応性部分を含むシグナル伝達コンジュゲートを介して付着する。このような反応種は、それらの発生に近い(すなわち酵素の近くの)試料と反応することができるが、急速に非反応種に変わるため、酵素が付着した部位から遠位の部位にはシグナル伝達コンジュゲートが付着することはない。潜在的反応性部分の例には、例えば国際公開第2015124703号に記載されているキノンメチド(QM)アナログと、例えば国際公開第2012003476号に記載されているチラミドコンジュゲートが含まれる(これらの各文献は、その全内容が参照により本明細書に援用される)。いくつかの例では、潜在的反応性部分は、N,N’-ビスカルボキシペンチル-5,5’-ジスルホナト-インド-ジカルボシアニン(Cy5)、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン-4’-スルホンアミド(DABSYL)、テトラメチルローダミン(DISCO、紫色)及びローダミン110(ローダミン)等の色素に直接コンジュゲートしている。他の例では、潜在的反応性部分は特異的な結合対の一方のメンバーにコンジュゲートし、色素は該特異的な結合対の他方のメンバーに結合している。他の例では、潜在的反応性部分は、特異的結合対の一方のメンバーに結合し、酵素は、特異的結合対の他方のメンバーに結合しており、ここで酵素は、(a)発色基質と反応して色素の生成をもたらすか、又は(b)色素と反応して色素(DABなど)の付着をもたらす。特異的な結合対の例には、
(1)潜在的反応性部分に結合したビオチン又はビオチン誘導体(デスチオビオチンなど)と、色素に結合したか又は発色基質と反応性若しくは色素と反応性の酵素(例えば色素がDABの場合にはビオチン結合タンパク質に結合したペルオキシダーゼ)に結合したビオチン結合体(binding entity)(例えばアビジン、ストレプトアビジン、脱グリコシル化アビジン(ニュートラアビジンなど)又はビオチン結合部位にニトロ化チロシンを有するビオチン結合タンパク質(CAPTAVIDINなど));及び
(2)潜在的反応性部分に連結されたハプテンと、色素に結合したか又は発色基質と反応性若しくは色素と反応性の酵素(例えば色素がDABの場合にはビオチン結合タンパク質に結合したペルオキシダーゼ)に結合した抗ハプテン抗体
が含まれる。
バイオマーカー特異的試薬と検出試薬の組み合わせの非限定的な例が表1に記載されているが、具体的には以下のとおりである。
Figure 0007411667000004
Figure 0007411667000005
Figure 0007411667000006
Figure 0007411667000007
Figure 0007411667000008
Figure 0007411667000009
Figure 0007411667000010
Figure 0007411667000011
特定の実施態様では、表1に示されるバイオマーカー特異的試薬及び特異的検出試薬は抗体である。当業者が認識するように、バイオマーカー特異的試薬の各々についての検出スキームは、同じであっても異なっていてもよい。
本発明の方法での使用に適した検出試薬を含む市販の検出試薬又はキットの非限定的な例には、VENTANA ultraView検出システム(HRP及びAPを含む酵素にコンジュゲートした、二次抗体);VENTANA iVIEW検出システム(ビオチン化抗種二次抗体及びストレプトアビジンコンジュゲート酵素);VENTANA OptiView検出システム(OptiView)(ハプテンにコンジュゲートした抗種二次抗体及び酵素多量体にコンジュゲートした抗ハプテン三次抗体);VENTANA Amplificationキット(一次抗体結合の部位に付着した酵素の数を増幅させるために、前述のVENTANA検出システムのうちのいずれかと共に使用することができる非コンジュゲート二次抗体);VENTANA OptiView Amplificationシステム(ハプテンにコンジュゲートした抗種二次抗体、酵素多量体にコンジュゲートした抗ハプテン三次抗体、及び同じハプテンにコンジュゲートしたチラミド)が含まれる。使用時には、二次抗体を試料と接触させて、一次抗体への結合を生じさせる。その後、試料を抗ハプテン抗体と共にインキュベートし、酵素と二次抗体との会合を生じさせる。その後、試料をチラミドと共にインキュベートし、追加のハプテン分子の付着を生じさせる。その後、試料を抗ハプテン抗体と共に再度インキュベートし、追加の酵素分子の付着を生じさせる。その後、試料を検出可能な部分と共にインキュベートし、色素付着を生じさせる);VENTANA DISCOVERY、DISCOVERY OmniMap、DISCOVERY UltraMap抗ハプテン抗体、二次抗体、色素原、フルオロフォア、及び色素キット(これらはそれぞれ、ベンタナメディカルシステムズ社(アリゾナ州トゥーソン)から入手可能);PowerVision及びPowerVision+ IHC Detection Systems(二次抗体をHRP又はAPで直接重合し、抗体に対する酵素の比率が高いコンパクトポリマーにしたもの);並びにDAKO EnVisionTM+システム(二次抗体にコンジュゲートした酵素標識ポリマー)。
III.D 対比染色
所望であれば、バイオマーカー染色スライドを対比染色して、ROIを識別するための形態学的に関連する領域を手動又は自動で識別するのに役立てることができる。対比染色の例には、ヘマトキシリン(青から紫に染まる)、メチレンブルー(青に染まる)、トルイジンブルー(核を濃い青色に、多糖類をピンクから赤に染める)、ヌクレアファーストレッド(ケルンエヒトロートともいい、赤に染まる)、及びメチルグリーン(緑に染まる)などの発色性の核対比染色;エオシン(4’,6-ジアミノ-2-フェ二ルインドール(DAPI、青に染まる)、ヨウ化プロピジウム(赤に染まる)、ヘキスト染色(青に染まる)、Nuclear Green DCS1(緑色への染色)、Nuclear Yellow(Hoechst S769121、中性pH下で黄色に染まり、酸性pH下で青に染まる)、DRAQ5(赤に染まる)、DRAQ7(赤に染まる)などの発色性の非核染色;フルオロフォア標識ファロイジン(フィラメント状アクチンを染色し、色はコンジュゲートフルオロフォアに依存)などの蛍光性非核染色が含まれる。
III.E. 試料の形態学的染色
特定の実施態様では、バイオマーカー染色切片の連続切片を形態学的に染色することが望ましい場合もある。この切片は、スコアリングが実施されるROIを識別するために使用することができる。基本的な形態学的染色技術は通常、第1の色素による核構造の染色及び第2の色素による細胞質構造の染色に依存する。ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色とリーズ(Lee’s)染色(メチレンブルー及び塩基性フクシン)を含むがこれらに限定されない、多くの形態学的染色が知られている。特定の実施態様では、各バイオマーカー染色スライドの少なくとも1つの連続切片がH&E染色される。H&E染色の適用方法は、手動法及び自動法を含め、どのような方法を用いてもよい。ある実施態様では、試料の少なくとも1つの切片は、自動染色システムで染色されたH&E染色試料である。H&E染色を実施するための自動システムは、典型的には、2つの染色原理:バッチ染色(「dip’n dunk」とも呼ばれる)又は個別スライド染色のうちの1つで動作する。バッチ染色装置は一般に、多くのスライドを同時に浸す試薬バット又は槽を使用する。一方、個別スライド染色装置は、試薬を各スライドに直接塗布し、同じアリコートの試薬を2枚のスライドで共有することはない。市販のH&E染色装置の例には、ロッシュのVENTANA SYMPHONY(個別スライド染色装置)及びVENTANA HE 600(個別スライド染色装置)シリーズH&E染色装置;アジレント・テクノロジーのDako CoverStainer(バッチ染色装置);ライカバイオシステムズ ヌスロッホ社のLeica ST4020 Small Linear Stainer(バッチ染色装置)、Leica ST5020 Multistainer(バッチ染色装置)、及びLeica ST5010 Autostainer XLシリーズ(バッチ染色装置)H&E染色装置が含まれる。
III.F. ROI選択と特徴メトリック算出
一実施態様では、スコアリング関数は、腫瘍の1又は複数の切片のデジタル画像から得られた特徴ベクトルに適用され、特徴ベクトルは、腫瘍切片の腫瘍コア(CT)領域におけるCD8+細胞の密度を含む。
いくつかの実施態様において、ROIは訓練された読影者によって手動で識別され得、この読影者はCT領域に対応する領域を描出し、その後、この描出された領域はCD8+細胞密度の算出のためのROIとして使用され得る。他の実施態様では、コンピュータ実装システムは、ユーザがROIにアノテーションを付けることを補助することができる(「半自動ROIアノテーション」と呼ばれる)。例えば、ユーザは、デジタル画像内の腫瘍領域全体をマーキングすることができる。コンピュータ実装システムは、その後、訓練されたユーザによって描出された腫瘍領域の内部の領域を自動的に定義することができ、その後それはROI(この場合は腫瘍コア(CT)ROIと称される)として使用される。Yoonら(2019)参照。他の実施態様では、コンピュータ実装システムは、IMとして使用される、訓練されたユーザによって描出された腫瘍領域のエッジを越えて予め定義された距離(例えば0.5mm、1mm又は1.5mm)延伸する領域を自動的に定義することができる。本パラグラフに示される各実施態様において、ROIは、バイオマーカー染色された切片で直接識別されても、バイオマーカー染色された切片の連続切片で識別されてもよい。
特徴メトリックは、ROI内のCD8+発現データにROIのメトリックを適用することによって算出される。特徴メトリック算出に使用できるROIメトリックの例には、例えば、ROIの面積、又はROIを画定するエッジの長さ(CT領域が画定される腫瘍領域全体のエッジの長さなど)が含まれる。特徴メトリックの具体例には、
(a)ROI内のCD8+細胞の面密度(ROIの面積に対する陽性細胞の数)と
(b)CD8+細胞の線密度(CT領域が算出される腫瘍領域を示す線など、ROIを画定するエッジの直線長さに対する、バイオマーカーを発現する細胞のROI内の合計数)
が含まれる。
特徴メトリックは、ROI内の生カウント(以下「合計メトリック」という)に直接基づいてもよく、又はROI内の複数の制御領域の平均若しくは中央値の特徴メトリック(以下「グローバルメトリック」という)に基づいてもよい。これら2つのアプローチを図1に示す。いずれの場合も、IHCスライドの画像は、ROI(破線内の領域として示されている)はアノテーション付けされ、関心オブジェクト(例えばCD8+細胞)は識別されて、提供される。合計メトリックアプローチの場合、特徴メトリックは、ROI内の全てのマーキングされた特徴の関連メトリック(「ROIオブジェクトメトリック」)を定量化することと、そのROIオブジェクトメトリック(マーキングされたオブジェクトの合計又はマーキングされたバイオマーカー発現の総面積など)をROIメトリック(ROIの面積、ROI内の総細胞数など)で除することとによって算出される(工程A1)。グローバルメトリックアプローチの場合、複数の制御領域(白抜き丸印で図示)をROI上にオーバーレイする(工程B1)。制御領域メトリック(「CRメトリック」)は、制御領域の関連メトリック(「CRオブジェクトメトリック」)(制御領域内のマーキングされたオブジェクトの合計又は制御領域内のマーキングされたバイオマーカー発現の総面積など)を定量化することと、それを制御領域ROIメトリック(「CR ROIメトリック」)(制御領域の面積、制御領域内の総細胞数など)で除することとによって算出される(工程B2)。制御領域毎に別々のCRメトリックが算出される。グローバルメトリックは、全CRメトリックの平均値又は中央値を算出することにより得られる(工程B3)。
制御領域が用いられる場合には、メトリック処理のために制御領域をオーバーレイする任意の方法を用いることができる。特定の実施態様では、ROIは、複数の格子空間(等しいサイズのものでも、ランダムなサイズのものでも、様々なサイズのいくつかの組み合せであってもよい)に分割することができ、各格子空間が制御領域を構成している。或いは、既知のサイズ(同じであっても異なっていてもよい)を有する複数の制御領域を互いに隣接して配置するか又は互いに重なり合わせて、実質的にROI全体をカバーすることもできる。また、異なる試料間で比較可能なROIの特徴メトリックを出力する限り、他の方法及び配置を用いてもよい。
所望であれば、算出された特徴メトリックは、正規化された特徴ベクトルに任意選択で変換することができる。
典型的な例では、対象からの試料に対して算出された特徴メトリックがプロットされ、分布が評価されて、右方向又は左方向のスキューが識別される。生物学的に意味のあるカットオフ(右スキュー分布の場合は最大カットオフ及び/又は左スキュー分布の場合は最小カットオフ)が識別され、カットオフを越えた(右スキュー分布の場合は上方に、又は左スキュー分布の場合は下方に)値を有する各試料は、カットオフ値に等しい特徴メトリックを割り当てられる。その後、カットオフ値(以下、「正規化係数」という)を各特徴メトリックに適用する。右スキュー分布の場合、特徴メトリックを正規化係数で除して正規化された特徴メトリックを求めるが、この場合、特徴メトリックは最大尺度で表現される(すなわち、正規化されたメトリックの値は、1、10、100などの所定の最大値を超えない)。左スキュー分布の場合、同様に、特徴メトリックを正規化係数で除して正規化された特徴メトリックを求めるが、この場合、特徴メトリックは最小尺度で表現される(すなわち、正規化されたメトリックの値は、1、10、100などの所定の最小値を下回らない)。所望であれば、正規化された特徴メトリックを所定の一定値で乗算又は除算して、所望の尺度を求めることもできる(例えば、右スキュー分布の場合、正規化係数の分数ではなく正規化係数のパーセンテージを得るために100を乗じる)。正規化された特徴メトリックは、モデル化のために識別された正規化係数、並びに/又は最大及び/若しくは最小カットオフを試験試料に対して算出された特徴メトリックに適用することによって、試験試料に対して算出され得る。
III.G. 連続スコアリング関数のモデル化
連続スコアリング関数を生成するために、患者のコホートからの特徴メトリックは、相対的な腫瘍予後、進行のリスク、及び/又は特定の治療コースに応答する可能性を予測する能力についてモデル化される。一実施態様では、「イベントが起こるまでの時間(time-to-event)」モデルが使用される。これらのモデルは、任意の時点で発生する定義済みのイベントの相対リスクを予測する能力について、各変数を検証する。このような場合の「イベント」とは、通常、全生存、無病生存、及び無増悪生存である。一例では、「イベントが起こるまでの時間」モデルは、全生存期間、無病生存又は無増悪生存のCox比例ハザードモデルである。Cox比例ハザードモデルは、式1のように書くことができる。
Figure 0007411667000012
いずれの場合にも、式中、X,X,...Xpは、特徴メトリック(任意選択で、最大及び/若しくは最小カットオフ、並びに/又は正規化の対象となり得る)であり、b,b...bは、特徴メトリックのそれぞれについて該モデルから外挿された定数である。試験コホートの各患者試料について、追跡されている転帰(死亡までの期間、再発までの期間又は進行までの期間)及び解析されている各バイオマーカーの特徴メトリックに関するデータが取得される。Cox比例モデルの候補は、コホートの各個人の特徴メトリックデータと生存データをコンピュータ化された統計解析ソフトウェアスイート(R Project for Statistical Computing(https://www.r-project.org/で入手可能)、SAS、MATLABなど)に入力することにより生成される。各候補モデルは、C指標(C-index)などのコンコーダンス指標を使用して予測能力について試験される。選択したコンコーダンス指標を用いて最も高いコンコーダンススコアを持つモデルが、連続スコアリング関数として選択される。
更に、1又は複数の層別化カットオフを選択して、免疫チェックポイント指向性療法に対する非応答性の相対リスク(「高リスク」及び「低リスク」、四分位、十分位など)に応じて、患者を「リスクビン」に分けることができる。一例では、層別化カットオフは、受信者動作特性(ROC)曲線を用いて選択される。ROC曲線により、ユーザは、モデルの敏感度(すなわち、できるだけ多くの「陽性」又は「レスポンダー」候補を捕捉することを優先する)とモデルの特異度(すなわち、「ノンレスポンダー」に対する偽陽性を最小限にする)とのバランスをとることができる。ある実施態様では、全生存、無病生存又は無増悪生存について、レスポンダービンとノンレスポンダービンとの間のカットオフが選択され、選択されたカットオフは、敏感度と特異度のバランスがとれている。
IV. 免疫状況スコアリング
ステージIVのdMMRがん患者からの1又は複数の試験試料が、スコアリング関数に関連する1又は複数のバイオマーカー(例えばヒトCD8タンパク質)について染色され、関連する特徴メトリックが算出され、それらが使用されている場合には、正規化係数(複数可)、並びに/又は最大及び/若しくは最小カットオフが特徴メトリックに適用されて、正規化された特徴メトリック(すなわち免疫状況スコア)が得られる。その後、免疫状況スコアは、臨床医による診断及び/又は治療の決定に統合することができる。
IV.A. 特定の免疫状況スコアの臨床応用
ステージIVの結腸直腸がんは、遠隔の臓器及び組織に転移したがんである。本発明は、特定のタイプの治療が特定の対象に適応となるかどうかを決定するために、ステージIVの結腸直腸がんの向けに開発されている。
現在の治療プロトコルは、腫瘍カウントが少ない場合には、遠隔転移の外科的切除を伴う腫瘍及び付近のリンパ節の外科的切除、並びに外科的切除の前及び/又は後の補助化学療法を通常含む。手術の適応とならないステージIVの結腸直腸がんに対しては、化学療法は通常、一次治療として投与され、必要な場合には任意選択的に標的療法と併用して投与される。最も一般的に使用されるレジメンには以下のものがある:FOLFOX:ロイコボリン、フルオロウラシル(5-FU)、及びオキサリプラチン(エロキサチン);FOLFIRI:ロイコボリン、5-FU、及びイリノテカン:(カンプトサール);CAPEOX又はCAPOX:カペシタビン(ゼローダ)及びオキサリプラチン;FOLFOXIRI:ロイコボリン、5-FU、オキサリプラチン、及びイリノテカン;上記の組み合わせのうちの1つに加えて、VEGFを標的とする薬物(ベバシズマブ[アバスチン]、ziv-アフリベルセプト[ザルトラップ]又はラムシルマブ[サイラムザ])又はEGFRを標的とする薬物(セツキシマブ[アービタックス]又はパニツムマブ[ベクティビックス])のいずれかの薬物;5-FU及びロイコボリン(標的薬あり又はなし);カペシタビン(標的薬あり又はなし);イリノテカン(標的薬あり又はなし);セツキシマブ単独;パニツムマブ単独;レゴラフェニブ(スチバーガ)単独;トリフルリジンとチピラシル(ロンサーフ)。
本発明では、スコアリング関数は、腫瘍コア内のCD8+細胞密度に基づく免疫チェックポイント指向性療法の適応となるステージIVのdMMR結腸直腸がん患者を識別するために使用される。
一実施態様において、スコアリング関数は、腫瘍コアを含むROIにおけるCD8+細胞密度を使用する(この密度を正規化し、且つ/又は最大及び/若しくは最少カットオフの対象とすることができる)。一実施態様では、該密度は、面密度又は線密度である。ある実施態様では、各密度は、合計メトリック又はグローバルメトリックから得られる。
ある実施態様では、スコアリング関数は、以下のように使用される:
(a)免疫状況スコア(ICS)が低いステージIVのdMMR結腸直腸がんの対象に対して、標準的な治療コースを実施する、又は
(b)ICSが高いステージIVのdMMR結腸直腸がんの対象に対して、免疫チェックポイント指向性療法を含む治療コースを実施する。
いくつかの実施態様において、ICSは、CD8+細胞密度に基づく。様々な実施態様において、細胞密度は、腫瘍コアにおいて測定される。
いくつかの実施態様において、ICSが低いステージIVのdMMR結腸直腸がんを有する対象に対しては、免疫チェックポイント指向性療法は省略される。別の実施態様では、化学療法の標準的な治療コースは、チェックポイント指向性療法ではない免疫療法による治療を更に含む。
いくつかの実施態様では、ICSが高いステージIVのdMMR結腸直腸がんを有する対象に対して、化学療法の縮小コースが免疫チェックポイント指向性療法と組み合わされる。化学療法コースの「縮小」には、使用される異なる化学療法剤の数、1若しくは複数の化学療法剤の用量、及び/又は1若しくは複数の化学療法剤による治療期間の縮小が含まれ得る。化学療法の縮小コースには、CTCの治療のための他の化学療法剤と比較して毒性プロファイルが低い化学療法剤の選択も含まれ得る。
例示的な免疫チェックポイント指向性療法には、PD-1を標的とするチェックポイント阻害剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI680(アストラゼネカ)、JS001(Shanghai Junshi Biosciences)、IBI308(Innovent Biologics)、JNJ-63723283)、PD-L1(アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブなど)、PD-L1(アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブなど)、CTLA-4(イピリムマブなど)、IDO阻害剤(NLG919など)等が含まれる。ある実施態様では、免疫チェックポイント指向性療法は、PD-1軸指向性療法である。様々な実施態様において、PD-1軸指向性療法は、PD-1又はPD-L1指向性療法である。
IV.B. 免疫状況スコアリングシステム
ある実施態様では、本明細書に記載されるスコアリング関数は、免疫状況スコアリングシステムによって実装される。例示的な免疫状況スコアリングシステムを図2に例示する。
免疫状況スコアリングシステムは、画像解析システム100を含む。画像解析システム100は、本明細書に記載される技術及び動作を実行することができる、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、サーバ、特定用途向けコンピュータ装置又は任意の他のタイプの電子装置など、1又は複数のコンピュータ装置を含み得る。いくつかの実施態様では、画像解析システム100は、単一の装置として実装され得る。他の実施態様では、画像解析システム100は、本明細書で論じられる様々な機能性を共に実現する2以上の装置の組み合わせとして実装されてもよい。例えば、画像解析システム100は、1又は複数のローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワーク(インターネットなど)を介して互いに通信可能に接続された、1又は複数のサーバコンピュータと1又は複数のクライアントコンピュータとを含み得る。
図2に示すように、画像解析システム100は、メモリ116、プロセッサ117、及びディスプレイ118を含むことができる。メモリ116は、任意のタイプの揮発性又は不揮発性メモリの任意の組合せ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)などの読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、光学ディスク等が含まれる。簡潔にするために、メモリ116は単一の装置として図2には示されているが、メモリ116は2以上の装置に分散させることもできることが理解される。
プロセッサ117は、例えば中央演算プロセッサ(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、特殊用途シグナル又はイメージプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)等、任意の種類の1以上のプロセッサを含み得る。簡潔にするために、プロセッサ117は、単一の装置として図2には示されているが、プロセッサ117は任意の数の装置に分散させることもできることが理解される。
ディスプレイ118は、LCD、LED、OLED、TFT、プラズマなど、任意の適切な技術を使用して実装することができる。
図2に示されているように、画像解析システム100は、オブジェクト識別子110、関心領域(ROI)生成器111、ユーザインタフェースモジュール112、及びスコアリングエンジジン114も含むことができる。これらのモジュールは、図2に独立型モジュールとして示されているが、その代わりに、各モジュールを複数のサブモジュールとして実装することができること、また、いくつかの実施態様において、任意の2以上のモジュールを組み合わせて単一モジュールとすることができることは、当業者に明らかであろう。更に、いくつかの実施態様において、システム100は、簡潔にするために図2に示していない追加のエンジン及びモジュール(例えば入力装置、ネットワークキングモジュール及び通信モジュールなど)を含み得る。更に、いくつかの実施態様において、図2に示したブロックの一部を無効化するか又は省略することができる。以下で更に詳述するとおり、システム100のいくつか又は全てのモジュールの機能性は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアに、又はこれらの任意の組み合わせとして実装することができる。本明細書に開示のモジュールを実装するのに有用な、例示的な市販のソフトウェアパッケージには、VENTANA VIRTUOSO;Definiens TISSUE STUDIO、DEVELOPER XD、及びIMAGE MINER;並びにVisopharm BIOTOPIX、ONCOTOPIX、及びSTEREOTOPIXソフトウェアパッケージが含まれる。
画像を取得した後、画像解析システム100は、画像をオブジェクト識別子110に渡すことができ、該識別子は、後でスコアリングのために使用される画像内の関連するオブジェクト及び他の特徴を識別し、マーキングするように機能する。オブジェクト識別子110は、バイオマーカーの発現を表すピクセルのみならず、画像内の様々なオブジェクトを特徴付ける複数の画像特徴を、各画像から抽出(又は各画像について生成)することができる。抽出された画像特徴は、例えば、Haralick特徴、バッグ・オブ・ワーズ特徴等のテクスチャ特徴を含み得る。複数の画像特徴の値を組み合わせて、バイオマーカーの発現を特徴付ける高次元ベクトル(以下、「特徴ベクトル」という)にすることができる。例えば、各オブジェクト及び/又はピクセルについてM個の特徴が抽出された場合、各オブジェクト及び/又はピクセルは、M次元の特徴ベクトルによって特徴付けられ得る。オブジェクト識別子110の出力は、事実上、目的のオブジェクト及びピクセルの位置にアノテーションを付け、これらのオブジェクト及びピクセルを、オブジェクト又はピクセルを記述する特徴ベクトルと関連付ける、画像のマップである。オブジェクト識別子110によって抽出された特徴は、ヒトCD3バイオマーカー特異的試薬で組織化学的に染色された画像において、CD3+細胞をCD3-細胞から区別するのに十分な特徴又は特徴ベクトルを少なくとも含む。
画像解析システム100はまた、画像をROI生成器111に渡すこともできる。ROI生成器111は、免疫状況スコアが算出されるであろう画像のROI(複数可)を識別するために使用される。オブジェクト識別子110が画像全体に適用されない場合には、ROI生成器111によって生成されたROI(複数可)を用いて、オブジェクト識別子110が実行される画像のサブセットを定義してもよい。
一実施態様では、ROI生成器111には、ユーザインタフェースモジュール112を介してアクセスすることができる。バイオマーカーで染色された試料(又はバイオマーカーで染色された試料の形態学的に染色された連続切片)の画像が、ユーザインタフェースモジュール112のグラフィックユーザインタフェース上に表示され、ユーザは、ROIとみなされる画像中の1又は複数の領域にアノテーションを付ける。この例では、ROIアノテーションは、複数の形式を取る。例えば、ユーザは、ROIを手動で定義することができる(以下「手動ROIアノテーション」という)。他の実施態様では、ROI生成器111は、セクションIII.Fで述べたように、ユーザがROIにアノテーションを付けるのを補助することができる(「半自動ROIアノテーション」と呼ばれる)。
いくつかの実施態様では、ROI生成器111は登録機能も含むことができ、それによって、一組の連続切片のうちの1つの切片にアノテーションが付けられたROIがその一組の連続切片の他の切片に自動的に転送される。この機能性は、分析されている複数のバイオマーカーがある場合、又はH&E染色した連続切片をバイオマーカー標識切片と共に提供する場合に、特に有用である。
オブジェクト識別子110とROI生成器111は、任意の順序で実装することができる。例えば、オブジェクト識別子110は、最初に画像全体に適用されてもよい。その後、識別されたオブジェクトの位置及び特徴を格納し、後でROI生成器111が実装されたときに呼び出すことができる。このような構成では、スコアは、ROIの生成と同時にスコアリングエンジン113によって生成され得る。図3Aでわかるように、異なるオブジェクト(濃い楕円形と濃い菱形で示されている)が混在している画像が得られる。オブジェクト識別タスクが実施された後、画像内の全ての菱形が識別される(白抜きの菱形で示す)。ROIが画像に付け加えられると(破線で示す)、ROI領域内に位置する菱形のみがROIのメトリック算出に含められる。その後、特徴ベクトルは、以下に記述されるように、非連続スコアリング関数によって使用される特徴メトリック及び任意の付加的なメトリックを含んで算出される。或いは、ROI生成器111を最初に実装することもできる。このワークフローでは、オブジェクト識別子110は、ROIにのみ実装されても(これは算出時間を最小にする)、又は画像全体に実装されてもよい(これはオブジェクト識別子110を再実行することなしに、オンザフライの調整を可能にする)。このようなワークフローは、図3Bに示されている。図3Bでわかるように、異なるオブジェクト(濃い楕円形と濃い菱形で示されている)の混合物を有する画像が得られる。ROIは画像に付記されているが(破線で示されている)、オブジェクトはまだマーキングされていない。オブジェクト識別タスクがROIに実装された後、ROI内の全ての菱形が識別され(白抜きの菱形で示す)、ROIの特徴メトリック算出に含められる。その後、特徴メトリック(複数可)と、非連続スコアリング関数で使用される任意の付加的なメトリックとを含めて,特徴ベクトルが算出される。また、オブジェクト識別子110とROI生成器111を同時に実装することも可能である。
オブジェクト識別子110とROI生成器111の両方が実装された後、スコアリングエンジニア112が実装される。スコアリングエンジン112は、少なくとも1つのROIメトリック(ROI面積又はROIエッジの直線長さなど)、ROI内のオブジェクトに関連するメトリック(ROI内のCD8+細胞数など)、及び(使用されている場合は)所定の最大及び/若しくは最小カットオフ、並びに/又は正規化係数から、ROIの特徴メトリックを算出する。特徴メトリックがグローバルメトリックである場合、スコアリングエンジン112はまた、CRメトリックを算出するためにROI内の複数の制御領域をオーバーレイする機能を含むこともできる。
図2に示すように、いくつかの実施態様では、画像解析システム100は、画像取得システム120と通信可能に接続されてもよい。画像取得システム120は、試料の画像を取得し、解析とユーザへの提示のためにそれらの画像を画像解析システム100に提供することができる。
図4に示すように、画像解析システムは、様々な関数を実施するためのコンピューティングシステム400を含むことができ、コンピューティングシステム400は、処理リソース410及び非一時的なコンピュータ可読媒体420を備える。非一時的なコンピュータ可読媒体420は、例えば、以下の関数:生物標本画像422を取得する;画像424内の関連するオブジェクトを識別する;画像426内にROIを生成する;ROI426のROIメトリックを算出する;ROI内の関連オブジェクト、ROIメトリック428、及び使用される他の任意選択の係数(正規化係数、並びに/又は最大及び/若しくは最小メトリック値など)に基づいて、特徴メトリックを生成する;試料430の特徴メトリック及び少なくとも1の他の特徴メトリック(例えば、異なるバイオマーカーの付加的な特徴メトリックであってもよい)を含む特徴ベクトルを生成する;特徴ベクトル432に基づいて免疫状況スコアを算出する;及び免疫状況スコア434を含むレポートを生成する関数、を実行する命令を含む。
画像収取得システム120はまた、セクションIVで上述したような例えばスライドスキャナを含む、染色されたスライドを20倍、40倍又は他の倍率でスキャンして高解像度のスライド全体のデジタル画像を生成することができるスライドスキャナなどのスキャンプラットフォーム125を含んでもよい。基本的なレベルでは、典型的なスライドスキャナには、少なくとも次のものが含まれる:(1)対物レンズ(lens objectives)を備えた顕微鏡、(2)光源(色素に応じて、ハロゲン、発光ダイオード、白色光、及び/又はマルチスペクトル光源など)、(3)スライドガラスを動かすロボット(又はスライドの周りで光学系を動かすロボット)、(4)画像キャプチャ用の1又は複数のデジタルカメラ、(5)ロボットを制御し、デジタルスライドを操作、管理、閲覧するためのコンピュータ及び関連ソフトウェア。スライド上の複数の異なるX-Y位置(場合によっては複数のZ面)のデジタルデータが、カメラの電荷結合素子(CCD)によってキャプチャされ、これらの画像が合わさって、スキャンした面全体の合成画像を形成する。これを実現するための一般的な方法には、以下の2つが含まれる。
(1)スライドステージ又は光学系を非常に小さな刻みで移動させて、隣接する正方形にわずかに重なり合う正方形の画像フレームをキャプチャするタイルベースのスキャニング。その後、キャプチャされた正方形が自動的に相互に照合され、合成画像が作成される。
(2)ラインベースのスキャニング:取得中にスライドステージが単一軸内を移動して、複数の合成画像の「ストリップ」をキャプチャする。その後、画像ストリップは互いにマッチングされて、より大きな合成画像を形成することができる。
各種スキャナ(蛍光と明視野の両方)の詳しい概要は、全内容が参照により援用されるFarahaniら,Whole slide imaging in pathology: advantages, limitations, and emerging perspectives, Pathology and Laboratory Medicine Int’l,7巻,23‐33頁(2015年6月)に見出すことができる。市販のスライドスキャナの例には、以下が含まれる:3DHistech PANNORAMIC SCAN II;DigiPath PATHSCOPE;Hamamatsu NANOZOOMER RS、HT、XR;Huron TISSUESCOPE 4000、4000XT、HS;Leica SCANSCOPE AT、AT2、CS、FL、SCN400;Mikroscan D2;Olympus VS120-SL;Omnyx VL4、VL120;PerkinElmer LAMINA;Philips ULTRA-FAST SCANNER;Sakura Finetek VISIONTEK;Unic PRECICE 500、PRECICE 600x;VENTANA ISCAN COREO、ISCAN HT;及びZeiss AXIO SCAN.Z1。他の例示的なシステム及び特徴は、例えば国際公開第2011-049608号、又はIMAGING SYSTEMS,CASSETTES,AND METHODS OF USING THE SAMEと題された2011年9月出願の米国特許出願公開第61/533,114号(これらは全内容が参照により援用される)に見出すことができる。
スキャニングプラットフォーム125によって生成された画像は、画像解析システム100に、又は画像解析システム100によってアクセス可能なサーバ若しくはデータベースに転送され得る。いくつかの実施態様では、該画像は、1又は複数のローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワークを介して自動的に転送され得る。いくつかの実施態様において、画像解析システム100は、画像取得システム120のスキャニングプラットフォーム125及び/又は他のモジュールと一体化されていても、又はそれらに含まれていてもよく、その場合、該画像は、例えばプラットフォーム125とシステム120の両方によってアクセス可能なメモリを介して、画像解析システムに転送され得る。いくつかの実施態様において、画像取得システム120は、画像解析システム100と通信可能に接続されていないことがあり、その場合、画像は、任意のタイプの不揮発性記憶媒体(例えばフラッシュドライブ)に格納され、その媒体から画像解析システム100又はそれに通信可能に接続されたサーバ若しくはデータベースにダウンロードされてもよい。上記の例のいずれにおいても、画像解析システム100は、生物学的試料の画像を得ることができ、ここで、該試料はスライドに貼り付けられ、組織化学的染色プラットフォーム123によって染色されていてもよく、スライドは、スライドスキャナ又は別のタイプのスキャニングプラットフォーム125によってスキャンされていてもよい。しかしながら、他の実施態様では、後述の技術は、他の手段で取得及び/又は染色された生物学的試料の画像にも適用され得ることを理解されたい。
画像取得システム120はまた、自動IHC/ISHスライド染色装置などの自動組織化学染色プラットフォーム123を含んでもよい。自動IHC/ISHスライド染色装置には、通常、少なくとも次のものが含まれる:染色プロトコルで使用される様々な試薬のリザーバー、リザーバーと流体連通している、スライド上に試薬を分注するための試薬分注ユニット、スライドから使用済みの試薬及び他の廃棄物を除去するための廃棄物除去システム、並びに試薬分注ユニットと廃棄物除去システムの動作を調整する制御システム。染色工程の実施に加えて、多くの自動スライド染色装置は、スライドベーキング(試料をスライドに接着させるため)、脱脂(脱パラフィン化ともいう)、抗原回復、対比染色、脱水及び透明化、カバーガラス被覆など、染色に付随する工程も行うことができる(又は、そのような付随的な工程を実施する別のシステムと互換性がある)。全体が本明細書に援用されるPrichard,Overview of Automated Immunohistochemistry, Arch Pathol Lab Med.,138巻,1578-1582頁(2014)は、intelliPATH(Biocare Medical)、WAVE(Celerus Diagnostics)、DAKO OMNIS及びDAKO AUTOSTAINER LINK48(アジレント・テクノロジー)、BENCHMARK(ベンタナメディカルシステムズ社)、Leica BOND、並びにLab Vision Autostainer(Thermo Scientific)自動スライド染色装置を含む自動IHC/ISHスライド染色装置及びそれらの様々な特徴のいくつかの具体的な例を記載している。更に、ベンタナメディカルシステムズ社は、米国特許5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号、及び第6,943,029号、並びに米国特許出願公開第20030211630号及び第20040052685号を含む(これらの各々は全体が参照により本明細書に援用される)、自動解析を実施するためのシステム及び方法を開示している複数の米国特許の譲受人である。市販されている染色装置は一般に、次のような原理のいずれかで動作する:(1)スライドが水平に配置され、組織試料を含むスライドの表面に水たまり(puddle)として試薬が分注される開放型個別スライド染色(open individual slide staining)(例えばDAKO AUTOSTAINER Link48(アジレント・テクノロジー)及びintelliPATH(Biocare Medical)染色装置に実装されている);(2)試薬を試料上に付着させた不活性流体層で覆うか又はそれを通じて分注する液体オーバーレイ技術(例えばVENTANA BenchMark及びDISCOVERY染色装置に実装されている);(3)スライド表面を別の表面(別のスライド又はカバープレートなど)の近くに配置して狭いギャップを作り、それを通して毛細管力が液体試薬を吸い上げて試料との接触状態を保つ毛細管ギャップ染色(例えばDAKO TECHMATE、Leica BOND及びDAKO OMNIS染色装置で使用される染色原理)。毛細管ギャップ染色を何回か繰り返しても、ギャップ内の流体は混ざらない(例えばDAKO TECHMATE及びLeica BONDで)。ダイナミックギャップ染色と呼ばれる毛細管ギャップ染色のバリエーションでは、毛細管力を利用してスライドに試料を塗布し、その後インキュベーション中に平行表面を互いに対して並進させて試薬を攪拌して試薬混合を行う(例えばDAKO OMNISスライド染色装置(アジレント)に実装されている)。並進ギャップ染色では、並進可能なヘッドをスライドの上に配置する。ヘッドの下面は、スライドの並進中にスライド上の液体から液体のメニスカスが形成されるのを可能にするのに十分な小ささの第1のギャップ分だけ、スライドから間隔が空いている。スライドの幅よりも小さい横寸法を有する混合延長部(mixing extension)が、並進可能なヘッドの下面から延びて、混合延長部とスライドとの間の第1のギャップよりも小さい第2のギャップを画定する。ヘッドの並進中、混合延長部の横寸法は、スライド上の液体中に、概ね第2のギャップから第1のギャップに至る方向に横の動きを生じさせるのに十分である。国際公開第2011-139978号参照。最近、スライド上に試薬を付着させるためにインクジェット技術を使用することが提案された。国際公開第2016-170008号参照。この染色技術のリストは包括的であることを意図しておらず、バイオマーカー染色を実施するためのあらゆる完全又は半自動システムを組織化学的染色プラットフォーム123に組み込むことができる。
画像取得システム120もまた、自動H&E染色プラットフォーム124を含み得る。H&E染色を実施するための自動システムは、典型的には、2つの染色原理:バッチ染色(「dip’n dunk」とも呼ばれる)又は個別スライド染色のうちの1つで動作する。バッチ染色装置は一般に、多くのスライドを同時に浸す試薬バット又は槽を使用する。一方、個別スライド染色装置は、試薬を各スライドに直接塗布し、同じアリコートの試薬を2枚のスライドで共有することはない。市販のH&E染色装置の例には、ロッシュのVENTANA SYMPHONY(個別スライド染色装置)及びVENTANA HE600(個別スライド染色装置)シリーズH&E染色装置;アジレント・テクノロジーのDako CoverStainer(バッチ染色装置);ライカバイオシステムズ ヌスロッホ社のLeica ST4020 Small Linear Stainer(バッチ染色装置)、Leica ST5020 Multistainer(バッチ染色装置)、及びLeica ST5010 Autostainer XLシリーズ(バッチ染色装置)H&E染色装置が含まれる。H&E染色プラットフォーム124は典型的には、バイオマーカー染色切片の、形態学的に染色された連続切片が望まれるワークフローで使用される。
免疫状況スコアリングシステムには、臨床検査情報(laboratory information)システム(LIS)130が更に含まれてもよい。LIS 130は典型的には、試料に対して、並びに試料から得られたスライド及び画像に対して実行される処理を記録及び追跡すること;試料、スライド及び/又は画像に対して特定の処理を実行し、試料及び/又はスライドに塗布された特定の試薬についての情報(ロットナンバー、有効期限、分注量等)を追跡するように、免疫状況スコアリングシステムの異なる構成要素に命令することから選択される1つ以上の関数を実施する。LIS 130は通常、試料に関する情報を含むデータベースと;試料、スライド及び/又は画像ファイルと関連するラベル(例えばバーコード(1次元バーコード及び2次元バーコードを含む)、無線ID(RFID)タグ、試料に付けられた英数字コード等)と;試料又はスライド上のラベルを読み取り、且つ/或いはLIS 130と免疫状況スコアリングシステムの他の構成要素との間でスライドに関する情報を通信する通信装置とを少なくとも備える。したがって、通信装置は例えば、試料処理ステーション、自動組織化学染色機123、H&E染色プラットフォーム124、及びスキャニングプラットフォーム125のそれぞれに配置することができる。最初に試料が処理されて切片になると、試料に関する情報(患者ID、試料タイプ、切片に対して実行される処理など)が通信装置に入力され、試料から作製された各切片に対してラベルが作成される。後続の各ステーションにおいて、このラベルが(例えば、バーコード若しくはRFIDタグをスキャンすることによって、又は手動で英数字コードを入力することによって)通信装置に入力され、該ステーションは、データベースと電子的に通信し、例えば切片に対して特定の処理を実行するように、且つ/又は切片に対して実行される処理を記録するようにステーション又はステーションオペレータに命令する。スキャニングプラットフォーム125において、画像が画像解析システム100に送信されるときに、実行されるべき画像処理工程がLIS 130のデータベースから画像解析システムに送信され、且つ/又は画像解析システム100によって画像に対して実行された画像処理工程がLIS 130のデータベースによって記録されるように、スキャニングプラットフォーム125は、その画像の元となっている切片又は試料に遡って相関するコンピュータ可読ラベル又はコードで各画像を符号化することもできる。本方法及びシステムに有用な市販のLISシステムには、例えばVENTANA Vantage Workflowシステム(ロッシュ)が含まれる。
V. 以上を考慮して、以下の実施態様が特に想定される。
実施の態様1. ステージIVの結腸直腸がんを有する対象を治療する方法であって、
(a)前記対象の結腸直腸腫瘍から採取された組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得ることであって、
(i)前記対象からの腫瘍の試験試料の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)を識別すること;
(ii)ROIの少なくとも一部においてCD8+細胞を検出すること;及び
(iii)ROI内のCD8+細胞密度を得てICSを算出すること
によって、
得ることと、
(b)ICSに基づいて対象に対する治療を選択すること
とを含む、方法。
実施態様2. 前記ステージIVの結腸直腸がんが、DNAミスマッチ修復不全及び/又はマイクロサテライト不安定性(MSI)を有すると診断された、実施態様1に記載の方法。
実施態様3. 実施態様1又は2に記載の方法であって、
(b1)ICSが低い場合は、補助化学療法の全コースと任意選択でチェックポイント阻害薬指向性療法とを含む治療を選択すること;及び
(b2)ICSが高い場合は、チェックポイント阻害剤指向性療法を含む治療と任意選択で補助化学療法の縮小コースとを含む治療を選択すること。
実施態様4. (b2)が補助化学療法を含まない、実施態様3に記載の方法。
実施態様5. (b2)の任意選択の補助化学療法が、チェックポイント阻害剤指向性療法の非存在下での化学療法レジメンと比較して、期間、用量又は毒性が低減される、実施態様3に記載の方法。
実施態様6. チェックポイント阻害剤指向性療法がPD-1軸指向性療法を含む、実施態様3に記載の方法。
実施態様7. チェックポイント阻害剤指向性療法がPD-1又はPD-L1指向性療法を含む、実施態様3に記載の方法。
実施態様8. チェックポイント阻害剤指向性療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、JS001、IBI308、JNJ-63723283、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブから選択される、実施態様6又は7に記載の方法。
実施態様9. CD8+細胞密度が、ROI内の検出された細胞の量をROIの面積で除することによって得られる細胞面密度である、実施態様1に記載の方法。
実施態様10. CD8+細胞密度が、ROIの複数の制御領域の細胞面密度の平均又は中央値から得られる、実施態様1に記載の方法。
実施態様11. 工程(a)(ii)が、ROIの少なくとも一部においてCD3細胞を検出することを更に含み、且つICSが、CD8+細胞密度及びCD3+細胞密度の組合せに基づいて算出される、実施態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
実施態様12. 実施態様1~10のいずれか一項に記載の方法であって、
ROIが、試料の第1の連続切片のデジタル画像上にアノテーション付けされ、第1の連続切片がヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色されており;且つ、
(a)の算出が、
第1のROIを試料の第2の連続切片のデジタル画像に登録することであって、第2の連続切片がヒトCD8について組織化学的に染色されている、登録すること;及び
第2の連続切片のデジタル画像に登録されたROIからヒトCD8+細胞の密度を算出すること
を含む、方法。
実施態様13. (a)の算出が、
第1のROIを試料の第3の連続切片のデジタル画像に登録することであって、第3の連続切片がヒトCD3について組織化学的に染色されている、登録すること;及び
第3の連続切片のデジタル画像に登録されたROIからヒトCD3+細胞の密度を算出すること
を更に含む、実施態様12に記載の方法。
実施態様14. 複数のROIがアノテーション付けされ、少なくとも1のROIがCT領域の一部を含み、別個のROIがIM領域の一部を含む、実施態様12又は13に記載の方法。
実施態様15. メモリに格納された一組のコンピュータ実行可能関数をコンピュータプロセッサに実行させることを含む、コンピュータに実装された方法であって、前記一組のコンピュータ実行可能関数が、
(a)ステージIVの結腸直腸腫瘍の少なくとも1の組織切片のデジタル画像を得ること;及び
(b)実施態様1~14のいずれか一項に記載の方法をデジタル画像上で実行すること
を含む、コンピュータに実装された方法。
実施態様16. 組織試料の免疫状況をスコアリングするためのシステムであって、
(a)プロセッサと;
(b)プロセッサに接続されたメモリであって、プロセッサにより実行されると、プロセッサに実施態様1~14のいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を格納するためのメモリと
を備える、システム。
実施態様17. 上記組織試料の切片のデジタル画像をキャプチャし、その画像をコンピュータ装置に伝達するように適合されたスキャナ又は顕微鏡を更に備える、実施態様16に記載のシステム。
実施態様18. 上記組織試料の1又は複数の切片をCD8及びCD3マーカーについて組織化学的に染色するようにプログラムされた自動スライド染色装置を更に備える、実施態様16又は17に記載のシステム。
実施態様19. 自動スライド染色装置によって染色された上記切片の1又は複数の連続切片を染色するようにプログラムされた自動ヘマトキシリン・エオシン染色装置を更に備える、実施態様18に記載のシステム。
実施態様20. 試料及び画像ワークフローを追跡するための臨床検査情報システム(LIS)を更に備える、実施態様16~19のいずれか一項に記載のシステムであって、LISが、上記組織試料に関係する情報を受信し格納するように構成された中央データベースを備え、該情報が、
(a)腫瘍組織試料で実行される処理工程;
(b)腫瘍組織試料の切片のデジタル画像上で実行される処理工程;及び
(c)腫瘍組織試料及びデジタル画像の処理履歴
のうちの少なくとも1つを含む、システム。
実施態様21. 実施態様1~14のいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行するためにプロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令を格納するための、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
実施態様22. ステージIVの結腸直腸腫瘍から採取された組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得るための方法であって、
(i)前記組織試料の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)を識別すること;
(ii)ROIの少なくとも一部におけるCD8+細胞を検出すること;及び
(iii)ROI内のCD8+細胞の密度を得て、ICSを算出すること
を含む、方法。
実施態様23. メモリに格納された一組のコンピュータ実行可能関数をコンピュータプロセッサに実行させることを含む、コンピュータに実装された方法であって、前記一組のコンピュータ実行可能関数が、
(A)ステージIVの結腸直腸腫瘍の組織切片のデジタル画像を得ることであって、該組織切片が少なくともヒトCD8について組織化学的に染色されている、得ること;
(B)デジタル画像内の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIが腫瘍コア(CT)を含む、アノテーションを付けること;及び
(C)スコアリング関数をROIに適用することであって、スコアリング関数が、CTにおけるCD8+細胞の密度を含む特徴ベクトルを算出して、組織切片についての免疫状況スコアを得ることを含む、適用すること
を含む、コンピュータに実装された方法。
実施態様24. 方法であって、
(a)腫瘍組織切片のデジタル画像上の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIの少なくとも1つが腫瘍コア(CT)領域の少なくとも一部を含む、アノテーションを付けること;
(b)ROI内でヒトCD8を発現する細胞を検出し、定量化すること;
(c)ROI内のCD8+細胞の密度を算出し、任意選択でCD8+細胞密度又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞密度を特徴ベクトルに対して正規化して、腫瘍の免疫状況スコア(ICS)を得ること
を含む、方法。
実施態様25. 工程(i)の前に、適切な検出試薬と組み合わせて、ヒトCD8タンパク質バイオマーカー特異的試薬で前記組織試料の組織切片を標識する、実施態様22~24のいずれか一項記載の方法。
実施態様26. ステージIVの結腸直腸腫瘍から採取されたヒト組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得るための方法であって、
(i)適切な検出試薬と組み合わせたヒトCD8タンパク質バイオマーカー特異的試薬によって、前記組織試料の組織切片を標識すること;
(ii)前記組織試料の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)を識別すること;
(iii)ROIの少なくとも一部におけるCD8+細胞を検出すること;及び
(iv)ROI内のCD8+細胞の密度を得て、ICSを算出すること
を含む、方法。
実施態様27. 前記CD8+細胞の密度が面密度又は線密度である、実施態様22~26のいずれか一項に記載の方法。
実施態様28. 前記ICSが、ある実施態様においては、ROI内の正規化されたCD8+細胞密度に相当し、ある実施態様においては、1若しくは複数の正規化係数、最大カットオフ及び/又は最小カットオフの適用後のROI内の正規化されたCD8+細胞密度に相当する、実施態様22~27のいずれか一項に記載の方法。
実施態様29. 免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを決定するためにICSが使用される、実施態様22から28のいずれか一項に記載の方法。
実施態様30. 前記方法が、ROI内のCD3+細胞を検出することと、CD3+細胞密度を得ることとを更に含み、任意選択で、ICSがCD8+細胞密度とCD3+細胞密度の組合せに基づいて算出される、実施態様22~29のいずれか一項に記載の方法。
実施態様31. 前記方法が、DNAミスマッチ修復(MMR)状態を決定することを更に含む、実施態様22~30のいずれか一項に記載の方法。
実施態様32. 前記MMR状態を決定することが、hPMS2遺伝子、hMLH1遺伝子、hMSH2遺伝子、及びhMSH6遺伝子の発現及び/又はメチル化状態を決定することを含む、実施態様22~31のいずれか一項に記載の方法。
実施態様33. 実施態様32に明示された遺伝子のいずれか1つの発現が欠損している組織試料がMMR不全であると決定される、実施態様31又は32に記載の方法。
実施態様34. 前記MMR状態を決定することが、タンパク質ベースのアッセイ、ある実施態様ではイムノアッセイ、更なる実施態様では固相酵素イムノアッセイ若しくは免疫組織化学アッセイによって;又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ、ある実施態様ではリアルタイム逆転写酵素PCRアッセイによって発現を決定することを含む、実施態様31~33のいずれか一項に記載の方法。
実施態様35. 前記方法が、マイクロサテライト不安定性(MSI)を決定することを更に含む、実施態様22~35のいずれか一項に記載の方法。
実施態様36. ROIが、手動、半自動又は自動で識別され、ある実施態様では自動で識別される、実施態様22~35のいずれか一項に記載の方法。
実施態様37. ミスマッチ修復不全(dMMR)を伴うステージIVの結腸直腸がんに罹患している患者に免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを決定するための方法であって、実施態様22~36のいずれか一項に記載の方法に従って免疫状況スコア(ICS)を得ることと、高いICSが決定された場合に免疫チェックポイント指向性療法が適応となることを決定することとを含む、方法。
実施態様38. ステージIVのDNAミスマッチ修復不全(dMMR)型結腸直腸がんを有する対象の治療における使用のためのチェックポイント阻害剤であって、実施態様22から36のいずれか一項に記載の方法に従って決定される実施態様において、前記対象が高い免疫状況スコア(ICS)を有する、使用のためのチェックポイント阻害剤。
実施態様39. 前記治療が前記免疫チェックポイント指向性療法と組み合わせた化学療法の縮小コースを含む、実施態様38に記載の使用のためのチェックポイント阻害剤。
実施態様40. 前記化学療法の縮小コースが、使用される異なる化学療法剤の数、1種以上の化学療法剤の用量、及び/若しくは1種以上の化学療法剤による治療期間の縮小であり;且つ/又はステージIVの結腸直腸がんの治療のための他の化学療法剤と比較してより低い毒性プロファイルを有する化学療法剤の選択を含む、実施態様39に記載の使用のためのチェックポイント阻害剤。
実施態様41. 前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、CTLA-4又はIDOを標的とするチェックポイント阻害剤であり、ある実施態様においてはPD-1又はPD-L1を標的とするチェックポイント阻害剤である、実施態様37~40のいずれか一項に記載の主題。
実施態様42. 前記チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、JS001、IBI308、JNJ-63723283、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、イピリムマブ又はNLG919であり、ある実施態様ではペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、JS001、IBI308、JNJ-63723283、アテゾリズマブ、デュルバルマブ又はアベルマブであり、更なる実施態様ではペムブロリズマブである、実施態様37~41のいずれか一項に記載の主題。
実施態様43. 少なくともコンピュータプロセッサとメモリとを含む、腫瘍組織試料の免疫状況をスコアリングするためのシステムであって、メモリが、コンピュータプロセッサによって実行されるべき一組のコンピュータ実行可能命令を格納し、前記一組のコンピュータ実行可能命令が、方法に言及する先の実施態様のいずれか一項に記載の方法を含む、システム。
VI. 実験例
VI.A. 患者及び方法
dMMR転移性結腸直腸がん(mCRC)を有し、ペムブロリズマブ(10mg/Kgの用量を3週間毎に静脈内投与)で治療された12名の患者が識別された。患者及び腫瘍の特徴、MMR検査結果、KRASとBRAFの状態、以前の治療レジメン、及びペムブロリズマブ治療反応データ(最良奏効、最良奏効までの時間、サイクル数、疾患コントロール期間)に関する情報を得るために、電子カルテをレビューした。腫瘍反応は、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)の固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST) version 1.1を用いて評価した。Eisenhauerら(2009)参照。
DNAミスマッチ修復(MMR)状態は、MMRタンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)に対する免疫組織化学(IHC)によって、又はマイクロサテライト不安定性(MSI)に対するPCRベースアッセイを用いて、前述のように腫瘍組織で分析された。Sinicropeら(2013)参照。ホルマリン固定及びパラフィン包埋腫瘍組織において、CD3+及びCD8+Tリンパ球染色を免疫組織化学的解析(VENTANA BenchMark ULTRA自動染色装置;ベンタナメディカルシステムズ社)により実施した。
簡単に言えば、免疫染色スライドと共にH&E染色した切片をスキャンした。中立の病理学者らが、全腫瘍切片アプローチを用いて、手作業でH&E切片に注釈を付けて、浸潤がんを含有する腫瘍領域全体(すなわち腫瘍のコア;CT)の輪郭を描いた。彼らは更に、浸潤過程に関与する腫瘍輪郭の切片を示すことにより、臨床的特徴又は転帰の知識なしに浸潤縁(IM)の境界を画定した。登録アルゴリズム(Sarkarら 2014)は、病理医からのアノテーションをH&Eから隣接するCD3及びCD8のIHC画像に自動的に転送した。
アルゴリズムが、IM境界から腫瘍コア内に0.5mm、且つ腫瘍を越えて1.0mm延びるIM領域を自動生成した。完全に自動化されたコンピュータビジョンと細胞分類(Lorsakulら 2018)は、本研究の全てのスライドでアルゴリズムパラメータを固定して、CT及びIM領域のCD3陽性細胞及びCD8陽性細胞をキャプチャした。組織スライド、デジタル画像、登録、及び細胞検出の忠実度を確保するために、複数の品質工程を採用した。デジタル画像解析は、観察された2つのコンパートメントで検出されたT細胞の組織面積と数を報告する。IMとCTでのCD3+とCD8+TIL密度を画像解析により定量化し、半連続の密度スコア(0~100スケール)を設定するために正規化した。
TIL解析は、患者の転帰について盲検下で実施された。半連続密度スコア(0~100スケール)の算出 CD3及びCD8のカウントを腫瘍コア及び浸潤縁で測定した。各マーカー(CD3+IM、CD3+CT、CD8+IM、CD8+CT)の密度が、上記のカウントをその腫瘍コンパートメントの面積で除することにより算出された。密度分布の右スキューの可能性を考慮して、生物学的に意味のある最大値を、次のように大きな密度を切り捨てることによって設定した:(i)密度値を、1mm当たり0個から始めて250個までの漸増ステップで分類した;(ii)最高密度値の患者らを識別した(「エッジ効果」群);(iii)「エッジ効果」群のカットオフ値を表す密度値を特定した;(iv)「エッジ効果」カットオフ値に対応する漸増ステップを切り捨て値として設定した。この切り捨て値より大きい密度には、切り捨て値が割り当てられた。その後、密度値を標準化し、0~100の範囲の密度スコアを作成した:
密度スコア=密度*100/切リ捨て値
MMR腫瘍の状態は、以前に記載されているように(Sinicropeら 2013)、免疫組織化学的解析(IHC)によって、又はIHC所見が不確定の場合はMSI検査によって決定された。dMMR表現型を有する腫瘍は、IHCによる1種以上のMMRタンパク質の発現の消失を示すか、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるMSI検査での高レベルの腫瘍DNA MSIを示すものと定義された。腫瘍DNAを、QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen)を用いて、腫瘍細胞を50%超含むホルマリン固定パラフィン包埋組織標本から抽出した。
ベースライン特性の比較のために、カテゴリー因子をχ検定で分析し、連続因子をウィルコクソン順位和検定で比較した。各T細胞サブタイプについて、腫瘍コンパートメント間の密度を対毎の差の中央値を用いて比較した(ウィルコクソン符号順位検定)。Cox回帰モデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定し、P値を算出した。各MMR群で別々に解析を行った。各免疫変数(CD3+IM、CD3+CT、CD8+IM、及びCD8+CT)を、単変量及び多変量解析における全生存(OS)に関する連続変数として解析した。共変量は、T3又はT4(対T1-2)、N2(対N1)、悪性度が高い(対低い)、腫瘍側が左(対右)、喫煙歴あり(対なし)、及び年齢(5歳ずつ上がる)というように事前に指定された。調整された解析では、いずれのMMR群においても、OSに関する2つの免疫マーカー間の相互作用は認められなかった。その後、一般的な臨床病理学的特徴を調整したP<0.10でOSとの関連を実証する個々の免疫変数が、後方選択モデルに含められた。後方選択後にOSと統計的に有意な関連があった免疫変数については、Coxモデルハザード比法(Cox Model Hazard Ratio method)及びWald P値法を用いて、OSを区別する最適なカットオフポイントを特定した。OSは、ランダム化から任意の原因による死亡までの期間と定義した。再発までの期間(TTR;すなわち、ランダム化から局所又は転移性腫瘍再発までの期間)を、副次評価項目として解析した。両側P値が報告され、P<0.05を統計的に有意であるとみなされた。解析は、SASソフトウェア(v9.4、SAS Institute Inc.)を用いて実施した。
VI.B. 結果
患者及び腫瘍の特徴、前治療の詳細、並びにペムブロリズマブ反応データを表1にまとめる。以前に受けた化学療法レジメン数の中央値は1であった(範囲1~4つ、7名が1つ、3名が2つ、2名が4つ)。ペムブロリズマブの開始以降の研究コホートの追跡期間中央値は、19.5ヵ月であった(範囲9~41ヵ月)。RECIST version 1.1により決定された患者のX線の奏効データは、以下のとおりであった:完全奏効(CR)2例、部分奏効(PR)5例、安定状態(SD)4例、及び進行性疾患(PD)1例。客観的奏効率は、58.3%(7/12)であった。CR又はPRであったペムブロリズマブ治療患者(n=7)では、奏効までの期間の中央値は12週であった(範囲9~20週)。
Figure 0007411667000013
略語:M、男性;F、女性;dMMR、DNAミスマッチ修復不全;PR、部分奏効;CR、完全奏効;PD、進行性疾患;SD、安定状態;WT、野生型;MT、突然変異体;抗PD-1(ペムブロリズマブ)を10mg/Kgの用量で3週間毎に投与。UNK、不明。
6カ月間のペムブロリズマブ投与後原発巣と肝転移を切除。肝臓では病理学的CRを得た。
ペムブロリズマブは2年間の治療後に中止。
12週後にPR、40週でCRに転換。ペムブロリズマブは2年間の治療後に中止。
ペムブロリズマブ1年間投与後に肝転移を切除し、肝臓では病理学的CRを得た。
PCRに基づく検査により決定。
T細胞密度スコアと治療反応との間の関係を調べるために、患者をペムブロリズマブに対するレスポンダー(CRとPR,n=7)対ノンレスポンダー(SDとPD,n=5)に分けた。各反応カテゴリーにおける浸潤縁(CD3+IM、CD8+IM)及び腫瘍コア(CD3+CT、CD8+CT)でのCD3+及びCD8+T細胞密度スコアの中央値及び範囲を図5Aと表2に示す。図5Aに示すように、T細胞密度スコアの中央値は全て、レスポンダー(R)の方がノンレスポンダー(NR)よりも高く、その差はCD3+CT(74対52)及びCD8+CT(88対37)で最大であった。病勢コントロール期間に基づく解析は、患者を、病勢コントロール期間が12ヵ月以上の群と病勢コントロール期間が12ヵ未満の群の2群分けて行った。病勢コントロール期間に基づくT細胞マーカーの密度スコアの中央値及び範囲を、図5B及び表2に示す。T細胞密度スコアの中央値は全て、12ヵ月以上病勢コントロールが得られた患者群の方が高く、その差はCD8+CTで最大であった(88対36)(図5B)。
Figure 0007411667000014
腫瘍細胞上のPD-L1発現の中央値は、レスポンダー及びノンレスポンダーでそれぞれ、2%(範囲:1~40)及び1%(範囲:0~60)であった。腫瘍内免疫細胞におけるPD-L1発現の中央値は5%と、レスポンダー(範囲:2~25)とノンレスポンダー(範囲:1~10)の間で同程度であった。
要約すると、mCRC患者のdMMR腫瘍では、ペムブロリズマブに対するレスポンダーである患者の方がペムブロリズマブに対するノンレスポンダーである患者よりもCD3+及びCD8+T細胞密度が高かった。これらのデータは、dMMR mCRCにおける抗PD-1抗体に対する反応性の差異を部分的に説明し得る、二分されたT細胞マーカー密度と腫瘍反応性との潜在的な関連を示唆している。
引用文献
1. Anitei et al., Prognostic and Predictive Values of the Immunoscore in Patients with Rectal Cancer, Clinical Cancer Res., Vol. 20, Issue 7, pp. 1891-1899 (2014).
2. Chen & Srinivas, Automatic Lymphocyte Detection in H&E Images with Deep Neural Networks, arXiv:1612.03217v1 (submitted 09-DEC-2016; available at https://arxiv.org/abs/1612.03217).
3. Forrest et al., Comparison of visual and automated assessment of tumour inflammatory infiltrates in patients with colorectal cancer, European J. Cancer, Vol. 50, Issue 3, pp. 544-552 (2014).
4. Galon et al., Towards the introduction of the ’Immunoscore’ in the classification of malignant tumours, J. Pathol., Vol. 232, Issue 2, pp. 199-209 (2014).
5. Galon et al., Validation of the Immunoscore (IM) as a prognostic marker in stage I/II/III colon cancer: Results of a worldwide consortium-based analysis of 1,336 patients., J. Clin. Oncol., Vol. 34, suppl. Abstract No. 3500 (2016) (available at http://meetinglibrary.asco.org/content/168666-176) (“Galon (2016a)”).
6. Galon et al., Validation of the Immunoscore (IM) as a prognostic marker in stage I/II/III colon cancer: Results of a worldwide consortium-based analysis of 1,336 patients. Powerpoint presentation (2016) (http://meetinglibrary.asco.org/content/123627?media=sl) (“Galon (2016b)”).
7. Jass, Lymphocytic infiltration and survival in rectal cancer, J. Clin.Pathol., Vol. 39, Issue 6, pp. 585-589 (1986).
8. Jass et al., A new prognostic classification of rectal cancer, The Lancet, Vol. 329, Issue 8545, pp. 1303-1306 (1987).
9. Mei et al., Tumour-infiltrating inflammation and prognosis in colorectal cancer: systematic review and meta-analysis, British J. Cancer, Vol. 110, pp. 11595-1605 (2014).
10. Pages et al., Immune infiltration in human tumors: a prognostic factor that should not be ignored, Oncogene, Vol. 29, pp. 1093-1102 (2010).
11. Zou W, Wolchok JD, Chen L. PD-L1 (B7-H1) and PD-1 pathway blockade for cancer therapy: Mechanisms, response biomarkers, and combinations. Sci Transl Med. 2016;8(328):328rv324.
12. Llosa NJ, Cruise M, Tam A, et al. The vigorous immune microenvironment of microsatellite instable colon cancer is balanced by multiple counter-inhibitory checkpoints. Cancer discovery. 2015;5(1):43-51.
13. Le DT, Durham JN, Smith KN, et al. Mismatch repair deficiency predicts response of solid tumors to PD-1 blockade. Science. 2017;357(6349):409-413.
14. Pages F, Mlecnik B, Marliot F, et al. International validation of the consensus Immunoscore for the classification of colon cancer: a prognostic and accuracy study. The Lancet. 2018;391(10135):2128-2139.
15. Yoon HH, Shi Q, Heying EN, et al. Inter-tumoral heterogeneity of CD3(+) and CD8(+) T-cell densities in the microenvironment of DNA mismatch repair-deficient colon cancers: implications for prognosis. Clin Cancer Res. 2019; 25(1):125-133.
16. Eisenhauer EA, Therasse P, Bogaerts J, et al. New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer. 2009;45(2):228-247.
17. Sinicrope FA, Mahoney MR, Smyrk TC, et al. Prognostic impact of deficient DNA mismatch repair in patients with stage III colon cancer from a randomized trial of FOLFOX-based adjuvant chemotherapy. J Clin Oncol. 2013;31(29):3664-3672.
18. El Jabbour T, Ross JS, Sheehan CE, et al. PD-L1 protein expression in tumour cells and immune cells in mismatch repair protein-deficient and -proficient colorectal cancer: the foundation study using the SP142 antibody and whole section immunohistochemistry. J Clin Pathol. 2018;71(1):46-51.
19. Sarkar A, Yuan Q, Srinivas C. A robust method for inter-marker whole slide registration of digital pathology images using lines based features. IEEE 11th International Symposium on Biomedical Imaging (ISBI)2014:762-5
20. Lorsakul A, Bredno J, Ochs RL, Morrison L, Day W. Validation of multiplex immunohistochemistry assays using automated image analysis. Int Soc Optics Photonics Med Imaging 2018; Digital Pathology: doi: 10.1117/12.2293168

Claims (24)

  1. ステージIVの結腸直腸腫瘍から採取されたヒト組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得るための方法であって、
    (i)適切な検出試薬と組み合わせたヒトCD8タンパク質バイオマーカー特異的試薬によって、前記組織試料の組織切片を標識すること;
    (ii)前記組織試料の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)を識別すること;
    (iii)ROIの少なくとも一部におけるCD8+細胞を検出すること;及び
    (iv)ROI内のCD8+細胞の密度を得て、ICSを算出すること
    を含み、
    前記ICSが、免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを決定するために使用され
    CD8+細胞の前記密度が、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性細胞数又はROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性細胞数である
    方法。
  2. 前記ICSが、ROI内の正規化されたCD8+細胞密度に相当する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が、CD3+細胞を検出することと、ROI内のCD3+細胞密度を得ることとを更に含み、任意選択で、ICSがCD8+細胞密度とCD3+細胞密度との組合せに基づいて算出される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記方法が、DNAミスマッチ修復(MMR)状態を決定することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記MMR状態を決定することが、hPMS2遺伝子、hMLH1遺伝子、hMSH2遺伝子、及びhMSH6遺伝子の発現及び/又はメチル化状態を決定することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記方法が、マイクロサテライト不安定性(MSI)を決定することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ROIが、手動、半自動又は自動で識別される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ミスマッチ修復不全(dMMR)を伴うステージIVの結腸直腸がんに罹患している患者に免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを決定することを補助するための方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法に従って免疫状況スコア(ICS)を得ることと、高いICSが決定された場合に免疫チェックポイント指向性療法が適応となることを決定することを補助することとを含む、方法。
  9. ステージIVのDNAミスマッチ修復不全(dMMR)型結腸直腸がんを有する対象の治療における使用のためのチェックポイント阻害剤であって、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法に従って決定される実施態様において、前記対象が高い免疫状況スコア(ICS)を有する、使用のためのチェックポイント阻害剤。
  10. 前記治療が前記免疫チェックポイント指向性療法と組み合わせた化学療法の縮小コースを含む、請求項9に記載の使用のためのチェックポイント阻害剤。
  11. 前記化学療法の縮小コースが、使用される異なる化学療法剤の数、1種以上の化学療法剤の用量、及び/若しくは1種以上の化学療法剤による治療期間の縮小であり;且つ/又はステージIVの結腸直腸がんの治療のための他の化学療法剤と比較してより低い毒性プロファイルを有する化学療法剤の選択を含む、請求項10に記載の使用のためのチェックポイント阻害剤。
  12. PD-1、PD-L1、CTLA-4又はIDOを標的とするチェックポイント阻害剤である、請求項9~11のいずれか一項に記載のチェックポイント阻害剤。
  13. ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、MEDI0680、JS001、IBI308、JNJ-63723283、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、イピリムマブ又はNLG919である、請求項9~12のいずれか一項に記載のチェックポイント阻害剤。
  14. 少なくともコンピュータプロセッサとメモリとを含む、腫瘍組織試料の免疫状況をスコアリングするためのシステムであって、メモリが、コンピュータプロセッサによって実行されるべき一組のコンピュータ実行可能命令を格納し、前記一組のコンピュータ実行可能命令が請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を含む、システム。
  15. ステージIVの結腸直腸腫瘍から採取された組織試料から免疫状況スコア(ICS)を得るための方法であって、
    (i)前記組織試料の腫瘍コア(CT)関心領域(ROI)を識別すること;
    (ii)ROIの少なくとも一部におけるCD8+細胞を検出すること;
    (iii)ROI内のCD8+細胞の密度を得て、ICSを算出すること;及び
    (iv)免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを、ICSを用いて決定すること
    を含み、
    CD8+細胞の前記密度が、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性細胞数又はROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性細胞数である、方法。
  16. メモリに格納された一組のコンピュータ実行可能関数をコンピュータプロセッサに実行させることを含む、コンピュータに実装された方法であって、前記一組のコンピュータ実行可能関数が、
    (A)ステージIVの結腸直腸腫瘍の組織切片のデジタル画像を得ることであって、前記組織切片が少なくともヒトCD8について組織化学的に染色されている、得ること;
    (B)デジタル画像内の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIが腫瘍コア(CT)を含む、アノテーションを付けること;
    (C)スコアリング関数をROIに適用することであって、スコアリング関数が、CTにおけるCD8+細胞の密度を含む特徴ベクトルを算出して、組織切片についての免疫状況スコア(ICS)を得ることを含む、適用すること
    を含み、
    前記ICSが、免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを決定するために使用され
    CD8+細胞の前記密度が、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性細胞数又はROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性細胞数である
    方法。
  17. 方法であって、
    (a)腫瘍組織切片のデジタル画像上の1又は複数の関心領域(ROI)にアノテーションを付けることであって、ROIの少なくとも1つが腫瘍コア(CT)領域の少なくとも一部を含む、アノテーションを付けること;
    (b)ROI内でヒトCD8を発現する細胞を検出し、定量化すること;
    (c)ROI内のCD8+細胞の密度を算出し、任意選択でCD8+細胞密度又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞密度を特徴ベクトルに対して正規化して、腫瘍の免疫状況スコア(ICS)を得ること;及び
    (d)免疫チェックポイント指向性療法が適応となるかどうかを、ICSを用いて決定すること
    を含み、
    CD8+細胞の前記密度が、ROIの面積に対するバイオマーカー陽性細胞数又はROIを画定するエッジの直線距離に対するバイオマーカー陽性細胞数である、方法。
  18. メモリに格納された一組のコンピュータ実行可能関数をコンピュータプロセッサに実行させることを含む、コンピュータに実装された方法であって、前記一組のコンピュータ実行可能関数が、
    (a)ステージIVの結腸直腸腫瘍の少なくとも1の組織切片のデジタル画像を得ること;及び
    (b)請求項1~8及び15~17のいずれか一項に記載の方法をデジタル画像上で実行すること
    を含む、コンピュータに実装された方法。
  19. 組織試料の免疫状況をスコアリングするためのシステムであって、
    プロセッサと、
    プロセッサに接続されたメモリであって、プロセッサにより実行されると、プロセッサに請求項1~8及び15~17のいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行させるコンピュータ実行可能命令を格納するためのメモリ
    とを備える、システム。
  20. 組織試料の切片のデジタル画像をキャプチャし、前記画像をコンピュータ装置に伝達するように適合されたスキャナ又は顕微鏡を更に備える、請求項19に記載のシステム。
  21. 組織試料の1又は複数の切片をCD8及びCD3マーカーについて組織化学的に染色するようにプログラムされた自動スライド染色装置を更に備える、請求項19又は20に記載のシステム。
  22. 自動スライド染色装置によって染色された前記切片の1又は複数の連続切片を染色するようにプログラムされた自動ヘマトキシリン・エオシン染色装置を更に備える、請求項21に記載のシステム。
  23. 試料及び画像ワークフローを追跡するための臨床検査情報システム(LIS)を更に備える、請求項19~22のいずれか一項に記載のシステムであって、LISが、組織試料に関係する情報を受信し格納するように構成された中央データベースを備え、前記情報が、
    (a)腫瘍組織試料で実行される処理工程;
    (b)腫瘍組織試料の切片のデジタル画像上で実行される処理工程;及び
    (c)腫瘍組織試料及びデジタル画像の処理履歴
    のうちの少なくとも1つを含む、システム。
  24. 請求項1~8及び15~17のいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行するためにプロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令を格納するための、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
JP2021545404A 2019-02-05 2020-02-04 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム Active JP7411667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023063071A JP2023098973A (ja) 2019-02-05 2023-04-07 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201962801482P 2019-02-05 2019-02-05
US62/801,482 2019-02-05
PCT/EP2020/052737 WO2020161125A1 (en) 2019-02-05 2020-02-04 Methods and systems for evaluation of immune cell infiltrate in stage iv colorectal cancer

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023063071A Division JP2023098973A (ja) 2019-02-05 2023-04-07 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022520936A JP2022520936A (ja) 2022-04-04
JP7411667B2 true JP7411667B2 (ja) 2024-01-11

Family

ID=69468559

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021545404A Active JP7411667B2 (ja) 2019-02-05 2020-02-04 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム
JP2023063071A Pending JP2023098973A (ja) 2019-02-05 2023-04-07 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023063071A Pending JP2023098973A (ja) 2019-02-05 2023-04-07 ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20210373024A1 (ja)
EP (1) EP3921648A1 (ja)
JP (2) JP7411667B2 (ja)
CN (1) CN113454458A (ja)
WO (1) WO2020161125A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11830621B2 (en) * 2020-05-29 2023-11-28 Dartmouth-Hitchcock Clinic System and method for rapid and accurate histologic analysis of tumor margins using machine learning
WO2023192946A1 (en) 2022-03-31 2023-10-05 Ventana Medical Systems, Inc. Methods and systems for predicting response to pd-1 axis directed therapeutics in colorectal tumors with deficient mismatch repair
CN114998348B (zh) * 2022-08-03 2022-11-01 南方医科大学南方医院 一种计算机可读存储介质及直肠癌预后预测模型构建系统
CN118620075A (zh) * 2024-08-13 2024-09-10 苏州百道医疗科技有限公司 一种抗pms2重组兔单克隆抗体及其应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017103086A1 (en) 2015-12-18 2017-06-22 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) A method for predicting the response to checkpoint blockade cancer immunotherapy
WO2019020556A1 (en) 2017-07-24 2019-01-31 Ventana Medical Systems, Inc. METHODS AND SYSTEMS FOR ASSESSING INFILTRAT OF IMMUNE CELLS IN TUMOR SAMPLES

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1564604A (en) 1925-06-12 1925-12-08 Chas S Hodges Water wheel
US5595707A (en) 1990-03-02 1997-01-21 Ventana Medical Systems, Inc. Automated biological reaction apparatus
US20030211630A1 (en) 1998-02-27 2003-11-13 Ventana Medical Systems, Inc. Automated molecular pathology apparatus having independent slide heaters
US6582962B1 (en) 1998-02-27 2003-06-24 Ventana Medical Systems, Inc. Automated molecular pathology apparatus having independent slide heaters
DE69942975D1 (de) 1998-02-27 2011-01-05 Ventana Med Syst Inc Automatisierter molekularer pathologieapparat mit unabhängigen objektträgerwärmern
US6670113B2 (en) 2001-03-30 2003-12-30 Nanoprobes Enzymatic deposition and alteration of metals
ES2330441T3 (es) 2003-06-24 2009-12-10 Ventana Medical Systems, Inc. Deposito de metal catalizado por una enzima para la deteccion in situ mejorada de epitopos inmunohistoquimicos y secuencias de acido nucleico.
CA2842723C (en) 2009-10-19 2016-02-16 Ventana Medical Systems, Inc. Imaging system and techniques
WO2011139978A1 (en) 2010-05-04 2011-11-10 Ventana Medical Systems, Inc. Moving meniscus rinsing and mixing in cell staining
AU2011274369A1 (en) 2010-07-02 2012-12-06 Ventana Medical Systems, Inc. Hapten conjugates for target detection
ES2902879T3 (es) * 2012-06-14 2022-03-30 Inst Nat Sante Rech Med Método de cuantificación de células inmunitarias en tejidos tumorales y sus aplicaciones
BR112016004194A8 (pt) 2013-09-04 2020-02-11 Bristol Myers Squibb Co compostos úteis como imunomoduladores
EP3492919A3 (en) 2014-02-24 2019-07-10 Ventana Medical Systems, Inc. Quinone methide analog signal amplification
US9850225B2 (en) 2014-04-14 2017-12-26 Bristol-Myers Squibb Company Compounds useful as immunomodulators
CN115753300A (zh) 2015-04-20 2023-03-07 文塔纳医疗系统公司 用于组织学样品的试剂的喷墨沉积

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017103086A1 (en) 2015-12-18 2017-06-22 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) A method for predicting the response to checkpoint blockade cancer immunotherapy
WO2019020556A1 (en) 2017-07-24 2019-01-31 Ventana Medical Systems, Inc. METHODS AND SYSTEMS FOR ASSESSING INFILTRAT OF IMMUNE CELLS IN TUMOR SAMPLES

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Maria-Gabriela Anitei, et al.,Prognostic and Predictive Values of the Immunoscore in Patients with Rectal Cancer,Clin Cancer Res,2014年04月01日,Vol.20,No.7
YOONJIN Kwak, et al.,Immunoscore encompassing CD3+ and CD8+ T cell densities in distant metastasis is a robust prognostic marker for advanced colorectal cancer,Oncotarget,2016年,Vol.7,No.49,Page.81778- 81790

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023098973A (ja) 2023-07-11
WO2020161125A1 (en) 2020-08-13
US20210373024A1 (en) 2021-12-02
EP3921648A1 (en) 2021-12-15
CN113454458A (zh) 2021-09-28
JP2022520936A (ja) 2022-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11783478B2 (en) Methods and systems for evaluation of immune cell infiltrate in tumor samples
JP7411667B2 (ja) ステージivの結腸直腸がんにおける免疫細胞浸潤の評価のための方法及びシステム
EP3408410B1 (en) Predictive diagnostic workflow for tumors using automated dissection, next generation sequencing, and automated slide stainers
JP7510943B2 (ja) Pd-1軸指向型治療薬に対する応答を予測するための方法およびシステム
US20200355688A1 (en) Methods and systems for evaluation of immune cell infiltrate in stage iii colorectal cancer
US20210293822A1 (en) Methods for predicting the survival time of patients suffering from a microsatellite unstable cancer
EP3797296B1 (en) Her2 heterogeneity as a biomarker in cancer
WO2018122249A1 (en) Methods for predicting the survival time of patients suffering from a microsatellite stable colorectal cancer
US20230204585A1 (en) Histochemical systems and methods for evaluating egfr and egfr ligand expression in tumor samples
Grenert et al. Gene expression profiling from formalin-fixed, paraffin-embedded tissue for tumor diagnosis
Słodkowska et al. Digital pathology in personalized cancer therapy
WO2023192946A1 (en) Methods and systems for predicting response to pd-1 axis directed therapeutics in colorectal tumors with deficient mismatch repair

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221011

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230704

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7411667

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150