JP7410272B2 - 速度調整支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、速度調整支援装置に関し、特に機械寿命を考慮した速度調整の支援を行う速度調整支援装置に関する。
工場等の製造現場には産業機械が設置されている。製造現場では、産業機械を動作させることで製品の製造を行う(例えば、特許文献1等)。産業機械の動作について加工精度を保ちながら製造に掛かる時間(サイクルタイム)を短縮することが求められる。例えば、工作機械を用いた金属加工を行う際には、加工精度を寸法公差内に収めつつ、サイクルタイムが短くなるように、制御装置のパラメータ、制御用プログラム等による設定を手動乃至自動で調整する。
制御装置の設定を調整する際には、産業機械毎に許容される速度や速度の変化量である加速度の範囲内で該産業機械の可動部を動作させる必要がある。調整された加速度が大きすぎる場合、産業機械の動作時にショックが発生し、該産業機械の可動部や、可動部に取り付けられている部品等が過度に摩耗したり破損したりするからである。また、これに加えて加速度の変化量である加加速度についても、大きすぎると産業機械でショックが発生し、産業機械の寿命を縮める原因となる。
特開2018-120431号公報
加加速度に関して許容値以内で制御するための調整をするためには、オペレータは制御中に出力される加加速度を把握する必要がある。そのためには、産業機械から取得される可動部の位置の時間的推移に基づいて、例えば微分計算を繰り返し行うことで、速度の時間的推移→加速度の時間的推移→加加速度の時間的推移を順に計算する必要がある。この段階的な計算は、CPUによる計算コストを増大させ、また、大きな記憶容量を必要とする。そのため、プログラムの解析処理や移動量の補間処理等の産業機械の動作の制御に必要な処理を行っている制御装置や、膨大な計算を必要とするシミュレーション処理を行うシミュレーション装置等で、更に加加速度の演算を行うことは困難である。これが原因で、加加速度に関する判定等の処理は加工中やシミュレーション中に十分に行われず、そのため、加加速度の超過の発生を検出した際に、どのような状況で加加速度の超過が発生したのか、その改善にはどのような調整を行えば良いのかを、オペレータに知らせる支援が十分に取れていなかった。
そこで、限られた計算資源の中で加加速度の演算を行い、演算した加加速度に基づいて制御に係るパラメータの調整を支援する技術が求められている。
本発明の一態様による速度調整支援装置は、各制御周期において出力される出力加速度の差分を単位時間あたりの加加速度とし、これを用いて速度制御に係るパラメータの調整を支援することで、上記課題を解決する。
そして、本発明の一態様は、産業機械を制御するための制御用プログラムを解析し、速度に係る値が予め設定された許容値の範囲に収まるようにするためのパラメータの調整を支援する速度調整支援装置であって、制御周期間での前記産業機械の各軸の加速度の差から単位時間あたりの加加速度を演算する加加速度演算部と、前記加加速度演算部が演算した加加速度と、予め記憶される各軸の許容加加速度とを比較する加加速度比較部と、前記加加速度比較部による比較の結果、加加速度が超過していた場合に、少なくとも超過状態と改善手段を含む超過情報を作成する超過情報作成部と、を備え、当該超過情報に基づき、前記産業機械の速度に係るパラメータの調整作業を支援する、速度調整支援装置である。
本発明の一態様により、許容加加速度を超過したことをオペレータに通知し、オペレータが許容値を超過しないような数値制御装置の設定変更が容易となることで、量産加工における許容加加速度超過を防ぐことが可能となる。
第1実施形態による速度調整支援装置の概略的なハードウェア構成図である。 第1実施形態による速度調整支援装置の概略的な機能ブロック図である。 調整ルールの例を示す図である。 加加速度が許容値を超過する場合の産業機械の動作例を示す図である。 超過情報の表示例を示す図である。 パラメータ調整後の産業機械の動作例を示す図である。 第2実施形態による速度調整支援装置の概略的なハードウェア構成図である。 第2実施形態による速度調整支援装置の概略的な機能ブロック図である。 一変形例による速度調整支援装置の概略的な機能ブロック図である。 他の変形例による速度調整支援装置の概略的な機能ブロック図である。 調整事例の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の第1実施形態による速度調整支援装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の速度調整支援装置1は、例えば産業機械を制御する制御装置の上に実装することができる。また、本発明の速度調整支援装置1は、例えば産業機械を制御する制御装置と有線/無線のネットワークを介して接続されたパソコン、フォグコンピュータ、クラウドサーバ等の上に実装することができる。本実施形態では、速度調整支援装置1を、産業機械を制御する制御装置上に実装した例を示す。
本発明の速度調整支援装置1が備えるCPU11は、速度調整支援装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステムプログラムを読み出し、該システムプログラムに従って速度調整支援装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、速度調整支援装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータや制御用プログラム、入力装置71を介して入力されたデータや制御用プログラム、産業機械から取得される各データ等が記憶される。
不揮発性メモリ14に記憶されたデータや制御用プログラムは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システムプログラムがあらかじめ書き込まれている。
インタフェース15は、速度調整支援装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば産業機械の制御に用いられる制御用プログラムや各パラメータ等を読み込むことができる。また、速度調整支援装置1内で編集した制御用プログラムや各パラメータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段(図示せず)に記憶させることができる。PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)16は、速度調整支援装置1に内蔵されたシーケンス・プログラムで産業機械及び該産業機械の周辺装置(例えば、工具交換装置や、ロボット等のアクチュエータ、産業機械に取付けられているセンサ等)にI/Oユニット17を介して信号を出力し制御する。
また、産業機械の本体に配備された操作盤の各種スイッチや周辺装置等の信号を受け取り、必要な信号処理をした後、CPU11に渡す。
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、制御用プログラムやシステムプログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース18を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、作業者による操作に基づく指令,データ等をインタフェース19を介してCPU11に渡す。
産業機械が備える軸を制御するための軸制御回路30はCPU11からの軸の移動指令量を受け取って、軸の指令をサーボアンプ40に出力する。サーボアンプ40はこの指令を受け取って、産業機械が備える軸を移動させるサーボモータ50を駆動する。軸のサーボモータ50は位置・速度検出器を内蔵し、この位置・速度検出器からの位置・速度フィードバック信号を軸制御回路30にフィードバックし、位置・速度のフィードバック制御を行う。
なお、図1のハードウェア構成図では軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50は1つずつしか示されていないが、実際には制御対象となる産業機械に備えられた軸の数だけ用意される。例えば、一般的な工作機械を制御する場合には、工具が取り付けられた主軸とワークとを直線3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向へと相対的に移動させる3組の軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50が用意される。
スピンドル制御回路60は、主軸回転指令を受け取り、スピンドルアンプ61にスピンドル速度信号を出力する。スピンドルアンプ61はこのスピンドル速度信号を受け取って、産業機械のスピンドルモータ62を指令された回転速度で回転させ、工具を駆動する。スピンドルモータ62にはポジションコーダ63が結合され、ポジションコーダ63が主軸の回転に同期して帰還パルスを出力し、その帰還パルスはCPU11によって読み取られる。
図2は、本発明の第1実施形態による速度調整支援装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による速度調整支援装置1が備える各機能は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がシステムプログラムを実行し、速度調整支援装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
本実施形態の速度調整支援装置1は、プログラム解析部100、送り速度演算部110、制御部130、超過情報作成部140、画面表示部150を備える。速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、入力装置71、外部機器72等から取得した制御用プログラム200が予め記憶される。また、速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、制御対象となる産業機械2の各軸で許容される速度許容値、加速度許容値、加加速度許容値等が予め記憶された領域である許容値記憶部210が予め用意されている。更に、速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、パラメータの調整ルールが予め記憶された領域である調整ルール記憶部220が予め用意されている。
プログラム解析部100は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。プログラム解析部100は、制御用プログラム200から産業機械2の動作指令のブロックを逐次読み出して解析する。そして、その解析結果に基づいて産業機械2が備えるサーボモータ50やスピンドルモータ62の動作を指令する指令データを作成する。プログラム解析部100は、作成した指令データの内で、産業機械2の可動部を移動させるサーボモータ50の動作を指令する送り指令に係る指令データについては送り速度演算部110へと出力し、残りの指令データについては制御部130へ出力する。
送り速度演算部110は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。送り速度演算部110は、プログラム解析部100から入力された指令データに基づいて、現在の制御周期における産業機械2の各軸の速度、加速度、加加速度を演算する。そして、送り速度演算部110は、演算した速度、加速度、加加速度と、許容値記憶部210に予め記憶されている産業機械2の許容速度、許容加速度、許容加加速度とをそれぞれ比較する。送り速度演算部110は、現在の制御周期における速度、加速度、加加速度が許容値を超える場合、その超過量や、超過した制御用プログラム200の動作指令のブロック等を含む比較結果情報を超過情報作成部140に出力する。また、速度、加速度、加加速度の演算の結果を制御部130に出力する。
送り速度演算部110は、速度演算部111、速度比較部112、加速度演算部113、加速度比較部114、加加速度演算部115、加加速度比較部116を備える。
速度演算部111は、プログラム解析部100から入力された指令データに基づいて、現在の制御周期における産業機械2の各軸の速度を演算する。速度演算部111は、例えば指令データにより指令される送り速度に基づいて、現在の制御周期における各軸の速度を演算するようにしても良い。
速度比較部112は、速度演算部111が演算した現在の制御周期における各軸の速度と、許容値記憶部210に予め記憶されている産業機械2の各軸の許容速度とを比較する。そして、速度比較部112は、速度演算部111が演算した現在の制御周期における各軸の速度が許容値を超える場合には、許容値でクランプする等の速度調整をするようにしても良い。また、速度比較部112は、各軸の速度が許容値を超える場合に速度調整を行わず、超過した旨を超過情報作成部140に出力するようにしても良い。
加速度演算部113は、速度比較部112から出力された各軸の速度に基づいて、現在の制御周期における産業機械2の各軸の加速度を演算する。加速度演算部113は、例えば速度比較部112から出力された各軸の速度と、前回の制御周期における各軸の速度との差を演算することで、現在の制御周期における各軸の加速度を演算するようにしても良い。また、加速度演算部113は、例えば速度比較部112から出力された各軸の速度と、産業機械2からフィードバックされた前回の制御周期における各軸の速度をとの差を演算することで、現在の制御周期における各軸の加速度を演算するようにしても良い。
加速度比較部114は、加速度演算部113が演算した現在の制御周期における各軸の加速度と、許容値記憶部210に予め記憶されている産業機械2の各軸の許容加速度とを比較する。そして、加速度比較部114は、加速度演算部113が演算した現在の制御周期における各軸の加速度が許容値を超える場合には、許容値でクランプする等の速度調整をするようにしても良い。また、加速度比較部114は、各軸の加速度が許容値を超える場合に加速度調整を行わず、超過した旨を超過情報作成部140に出力するようにしても良い。
加加速度演算部115は、加速度比較部114から出力された各軸の加速度に基づいて、現在の制御周期における産業機械2の各軸の加加速度を演算する。加加速度演算部115は、例えば加速度比較部114から出力された各軸の加速度と、前回の制御周期における各軸の加速度との差を演算することで、現在の制御周期における各軸の加加速度を演算するようにしても良い。また、加加速度演算部115は、例えば加速度比較部114から出力された各軸の速度と、産業機械2からフィードバックされた前回の制御周期における各軸の加速度をとの差を演算することで、現在の制御周期における各軸の加加速度を演算するようにしても良い。
加加速度比較部116は、加加速度演算部115が演算した現在の制御周期における各軸の加加速度と、許容値記憶部210に予め記憶されている産業機械2の各軸の許容加加速度とを比較する。そして、加加速度比較部116は、加加速度演算部115が演算した現在の制御周期における各軸の加加速度が許容値を超える場合には、その旨を超過情報作成部140に出力する。
制御部130は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、軸制御回路30、スピンドル制御回路60、PLC16を用いた産業機械2の各部の制御処理が行われることで実現される。制御部130は、プログラム解析部100が解析した指令データ、及び送り速度演算部110が演算した産業機械2の各軸の送り速度に基づいて産業機械2の各部を制御する。制御部130は、例えば産業機械2の各軸を移動させる指令に基づいて軸の移動に係るデータを生成してサーボモータ50に出力する。また、制御部130は、例えば産業機械2の主軸を回転させる指令に基づいて主軸の回転に係るデータを生成してスピンドルモータ62に出力する。更に、制御部130は、例えば産業機械2の周辺装置を動作させる指令に基づいて該周辺装置を動作させる所定の信号を生成してPLC16に出力する。一方で、制御部130は、サーボモータ50やスピンドルモータ62の状態(モータの電流値、位置、速度、加速度、トルク等)をフィードバック値として取得して各制御処理に使用する。制御部130は、サーボモータ50の速度乃至加速度を、送り速度演算部110に対して出力しても良い。
超過情報作成部140は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13や、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。超過情報作成部140は、送り速度演算部110から入力された比較結果情報に基づいて、オペレータに対して表示する超過情報を作成する。超過情報作成部140は、例えば超過した制御用プログラム200のブロック、超過量、解決方法等をオペレータに通知するための画面データを超過情報として作成する。超過情報作成部140は、例えば比較結果情報と、調整ルール記憶部220に記憶される調整ルールに基づいて、調整対象となるパラメータを特定し、特定したパラメータを改善手段として含む超過情報を作成しても良い。
図3は、調整ルール記憶部220に記憶される調整ルールの例を示している。調整ルールは、例えば指令種別、超過した軸名(単独、又は複数)、超過対象(速度、加速度、加加速度)、及び超過量に対して、調整対象となるパラメータを関連付けたデータとして定義できる。超過情報作成部140は、比較結果情報から指令種別、超過した軸名、超過対象(速度、加速度、加加速度)、及び超過量を特定し、特定した各値に該当する調整ルールを調整ルール記憶部220から検索し、検索された調整ルールに含まれる調整対象となるパラメータを改善手段として含む超過情報を作成する。指令種別には単独の指令(G00,G01等)で指定しても良いし、連続した2以上の指令(G01->G01等)で指定しても良い。また、指令種別を連続した2以上の指令(G01->G01等)で指定する場合には、前後の指令による移動方向の成す角度等の条件を指定できるようにしても良い。
調整ルールでは、指令種別や超過対象、超過量等に応じて、適切な調整対象やその調整内容を設定できる。例えば、プログラムの円弧部分(G02,G03等)やコーナ部分において加加速度超過が発生した場合、フィルタ時定数を大きくすることで加加速度は低減できるが、その分経路誤差が増加する。そして上記フィルタ時定数の変更による効果はプログラム全体に生じるので、加加速度の超過部分がある一部に限定される場合にはその部分のみに限定して修正する方法が望ましい。その方法としてはコーナ部分における減速速度や円弧補間における最大加速度を設定するパラメータを利用することが考えられる。加加速度の超過箇所(プログラムの場所)の前後における工具の移動方向(ベクトル)の角度や曲率半径を演算し、その値の大小から超過箇所がコーナ形状、円弧形状かを判別し、その場合には上記コーナ部分における減速速度設定パラメータや最大加速度設定パラメータを調整するように促して特定の箇所のみへの影響に留めるようにオペレータにアドバイスする(図3におけるルール3,4)。
また、調整ルールの他の例として、調製ルールの条件に機械の種類や規模等の条件を設けるようにしても良い。大型機械では大型のワークを加工するため、ワーク重量も大きくなる。そのため、そのような機械では加速を緩やかにするためフィルタ時定数が最初から大きく設定されていることが多く、その場合は加加速度の調整のために更にフィルタ時定数を大きく設定してしまうとプログラムで指定した経路からのズレが大きくなり、加工公差を外れる可能性が出てくる。そのため、制御装置において設定されている軸のストローク(加工範囲)がある一定値よりも大きく設定されている(大きな加工をする)場合には、単にフィルタ時定数を修正させるのではなく、加加速度超過が起きたプログラム部分のプログラム上の指令速度を下げる等のプログラムの見直し(例えば、指令速度を下げて加加速度超過を改善しつつ経路ズレを抑える等)を合わせて調整対象として提案する。
この様に、調整ルールは加加速度超過が発生した条件に合わせて、その条件が発生した状況に合わせて適切な提案がされるように予め作成しておくことが望ましい。
画面表示部150は、図1に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース18を用いた出力処理とが行われることで実現される。画面表示部150は、超過情報作成部140が作成した超過情報を表示する画面データを作成する。そして、作成した画面データを表示装置70に表示する。
図4及び図5を用いて、本実施形態による速度調整支援装置1の動作例を説明する。この動作例では、調整ルール記憶部220には、図3に例示した調整ルールが記憶されているものとする。また、制御対象となる産業機械2の各軸の許容速度は100mm/s、許容加速度は40mm/s2、許容加加速度は50m/s3とする。また、制御周期は1msecであるとする。
図4は、所定の制御用プログラムによる産業機械2の制御時におけるY軸の速度、加速度の変化をグラフで示したものである。図4の例において、上のグラフはY軸の速度変化、下のグラフはY軸の加速度変化を示している。グラフの0秒~12.5秒まではN1ブロックの指令による速度、加速度の変化を、12.5秒~20秒まではN2ブロックの指令による速度、加速度の変化を表している。ここで、N1ブロック、N2ブロックの実行時における速度及び加速度は、それぞれの許容値の範囲内で変化している。しかしながら、N2ブロックの実行中のA点(15秒付近)において、急激な加速度の変化が発生している。加加速度演算部115が演算するA点での加加速度は(20+40)/0.001=60m/s3となる。加加速度比較部116は、この値と許容加加速度50m/s3とを比較し、N2ブロックにおいて加加速度が許容加加速度を10m/s3超過していると判定して、超過が発生したブロックの情報(N2ブロックの情報)、超過した軸名、超過した対象(加加速度)、及び超過量等を含む比較結果情報を超過情報作成部140に出力する。
比較結果情報が入力された超過情報作成部140は、比較結果情報に含まれる各値を用いて調整ルール記憶部220を検索する。そして、検索結果として図3に示される2番目の調整ルールが検索される。超過情報作成部140は、検索された調整ルールに含まれるパラメータを含む超過情報を作成する。作成された超過情報は画面表示部150に出力される。そして、画面表示部150は、図5に例示される情報を表示装置70に表示する。
この表示を見たオペレータが、例えば5sフィルタを設定する調整を行うと、図6のグラフに例示されるように、速度及び加速度が変化するようになる。図6の例では、加加速度の最大値は12m/s3となり、許容加加速度内に収まる。
上記構成を備えた本実施形態による速度調整支援装置1は、加速度の差分抽出と許容値との比較処理のみで加加速度の演算が簡易に行えるようになるため、計算資源が限られている環境でも速度の制御に係るパラメータの調整を容易に支援することができるようになる。
図7は本発明の第2実施形態による速度調整支援装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の速度調整支援装置1は、ネットワークを介して産業機械2と接続されたコンピュータの上に実装した例を示す。
本実施形態による速度調整支援装置1が備えるCPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、インタフェース15,18,19等は、第1実施形態で示した構成と同様の機能を備える。
インタフェース20は、速度調整支援装置1のCPU11と有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、産業機械2や、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等と接続され、相互にデータのやり取りを行っている。
図8は、本発明の第2実施形態による速度調整支援装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による速度調整支援装置1が備える各機能は、図7に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がシステムプログラムを実行し、速度調整支援装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
本実施形態の速度調整支援装置1は、プログラム解析部100、送り速度演算部110、超過情報作成部140、画面表示部150、通信部160、シミュレーション部170、を備える。速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、産業機械2からネットワーク5を介して取得した制御用プログラム200を記憶するための領域が設けられている。また、速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、制御対象となる産業機械2の各軸で許容される速度許容値、加速度許容値、加加速度許容値等が予め記憶された領域である許容値記憶部210が予め用意されている。更に、速度調整支援装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、パラメータの調整ルールが予め記憶された領域である調整ルール記憶部220が予め用意されている。
本実施形態によるプログラム解析部100、送り速度演算部110、超過情報作成部140が備える機能は、制御部130の代わりにシミュレーション部170とデータのやり取りをする点を除き、第1実施形態による各機能と同様である。
通信部160は、図7に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース20を用いた入出力処理が行われることで実現される。通信部160は、ネットワーク5を介して産業機械2、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7との間で、データの送受信を行う。通信部160は、例えば産業機械2から制御用プログラム200を受信する。また、通信部160は、超過情報作成部140が作成した超過情報を産業機械2、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ等へ送信する。
シミュレーション部170は、図7に示した速度調整支援装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステムプログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。シミュレーション部170は、制御用プログラム200に基づく産業機械2の制御動作をシミュレーションする。シミュレーション部170による産業機械2の軸の移動に係る情報は、送り速度演算部110に対してフィードバックデータとして出力される。シミュレーション部170によるシミュレーション結果は、画面表示部150により表示装置70に表示出力されて良い。シミュレーション部170によるシミュレーション結果は、通信部160により産業機械2やフォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等に送信されて良い。
上記構成を備えた本実施形態による速度調整支援装置1は、ネットワーク5を介して産業機械2から取得した制御用プログラム200に基づくシミュレーション処理を実行し、速度、加速度、加加速度の演算を行う。そして、速度、加速度、加加速度が許容値を超えた際に、速度の制御に係るパラメータの調整に係る情報を、表示装置70に表示したり、産業機械2のオペレータに通知したりすることができる。また、速度の制御に係るパラメータの調整に係る情報をフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7に送信して蓄積し、解析処理等に用いることも可能となる。
本実施形態による速度調整支援装置1の一変形例として、超過情報作成部140が参照する調整ルール記憶部220は、図9に例示されるように、フォグコンピュータ6やクラウドサーバ7上に配置するようにしても良い。この様に構成することで、速度調整支援装置1上に調整ルール記憶部220を設ける必要がなくなり、また、複数の速度調整支援装置1の間で調整ルール記憶部220を共有して利用することができるようになるため、記憶容量の効率化や、調整ルールのメンテナンスの効率化が見込まれる。
本実施形態による速度調整支援装置1の他の変形例として、図10に例示されるように、フォグコンピュータ6又はクラウドサーバ7上に過去に行われた産業機械2の速度の調整事例を記憶した調整事例記憶部230を設けるようにしても良い。この場合、超過情報作成部140は、調整ルール記憶部220に代えて、調整事例記憶部230を参照する。調整事例記憶部230には、例えば図11に示されるように、指令種別、超過した軸名、超過対象(速度、加速度、加加速度)、超過量に対して、過去に行われたパラメータの調整内容が関連付けられた調整事例が複数記憶される。調整事例は、各産業機械2で実際に行われ、その結果として加加速度等の超過が改善したパラメータの調整内容を各産業機械2からネットワーク5を介して収集し、収集した情報に基づいて作成するようにすれば良い。超過情報作成部140は、指令種別、超過した軸名、超過対象(速度、加速度、加加速度)が一致し、超過量が近い少なくとも1つの調整事例を検索し、検索された調整事例における調整内容を改善手段として含む超過情報を作成する。この様に構成することで、過去に実際に行われた調整事例に基づいて速度の制御に係るパラメータの調整を容易に支援することができるようになる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
1 速度調整支援装置
2 産業機械
5 ネットワーク
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,18,19,20 インタフェース
16 PLC
17 I/Oユニット
22 バス
30 軸制御回路
40 サーボアンプ
50 サーボモータ
60 スピンドル制御回路
61 スピンドルアンプ
62 スピンドルモータ
63 ポジションコーダ
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 プログラム解析部
110 送り速度演算部
111 速度演算部
112 速度比較部
113 加速度演算部
114 加速度比較部
115 加加速度演算部
116 加加速度比較部
130 制御部
140 超過情報作成部
150 画面表示部
160 通信部
170 シミュレーション部
200 制御用プログラム
210 許容値記憶部
220 調整ルール記憶部
230 調整事例記憶部

Claims (2)

  1. 産業機械を制御するための制御用プログラムを解析し、速度に係る値が予め設定された許容値の範囲に収まるようにするためのパラメータの調整を支援する速度調整支援装置であって、
    単位時間あたりの加加速度を演算する加加速度演算部と、
    前記加加速度演算部が演算した加加速度と、予め記憶される各軸の許容加加速度とを比較する加加速度比較部と、
    前記加加速度比較部による比較の結果、加加速度が超過していた場合に、少なくとも超過状態と改善手段を含む超過情報を作成する超過情報作成部と、
    を備え、
    当該超過情報に基づき、前記産業機械の速度に係るパラメータの調整作業を支援し、
    予め超過状態と調整対象となるパラメータとを関連付けた少なくとも1つ以上の調整ルールを記憶する調整ルール記憶部を更に備え、
    前記超過情報作成部は、前記加加速度の超過状態と、前記調整ルール記憶部に記憶される調整ルールとに基づいて、調整対象となるパラメータを改善手段として特定する、
    速度調整支援装置。
  2. 前記加加速度演算部は、制御周期間での前記産業機械の各軸の加速度の差から単位時間あたりの加加速度を演算する、
    請求項1に記載の速度調整支援装置。
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