JP7409755B2 - 電子天びん、および電子天びんの秤量精度の安定化方法 - Google Patents
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Description
本発明は、電子天びん、特に、秤量精度をより安定化させる電子天びん、および前記電子天びんの秤量精度の安定化方法に関する。
従来、秤量精度の高い電子天びんには、風防が備えられている(例えば特許文献1)。風防で秤量皿を覆うことで、精度低下の要因の一つである秤量皿周囲の空気の流動を防ぐことができる。秤量精度の低下や秤量のばらつきを抑制し、安定させることは重要である。
秤量精度を安定させるために、電子天びんにおいては、試料の秤量を行う前に、一度テストとして分銅の秤量を行う「予備荷重」と呼ばれる準備作業を行うことが望ましい。予備荷重を行うことで、秤量精度をより安定させることができる。予備荷重は、同じ環境にて秤量を複数回行うことで秤量機構の狂いを正す「校正」とは全く別の作業であり、秤量機構を環境になじませる作業であり、特に電子天びんの電源を入れて最初の一回目の秤量では、秤量機構が作業環境になじんでおらず、秤量結果に誤差が生じやすいため、これを回避する意味でも、実際の作業環境にて予備荷重を行うことが望ましい。
しかし、予備荷重は推奨作業であり、義務ではないため、ユーザが忘れてしまう、あるいは面倒に思ってしまい、予備荷重が行われないことが多い。特に風防を備える電子天びんでは、高い秤量精度を保つために、予備荷重を行うことが望ましいが、秤量のために風防の扉を開閉せねばならず、時間と手間がかかるために余計に敬遠されるという問題がある。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、秤量精度をより安定させる電子天びんおよび該電子天びんによる秤量精度の安定化方法を提供する。
前記問題を解決するために、本開示のある態様においては、試料を載置する秤量皿と、前記秤量皿に連結された秤量機構と、前記秤量皿を覆う秤量室を含む風防と、前記秤量室の壁の一部を構成する扉を自動で開閉する開閉機構と、前記秤量機構に内蔵分銅の荷重を自動で加除する前記内蔵分銅の昇降機構と、前記開閉機構および前記昇降機構の制御、および前記秤量機構による計測値からの秤量値の算出を行う制御部とを備え、前記制御部の命令により、以下の(I)~(VII)の一連の動作が、実施可能に電子天びんを構成した。(I)前記開閉機構が、前記扉を開ける。(II)前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構にかける。(III)前記開閉機構が、前記扉を閉める。(IV)所定時間経過後に、前記開閉機構が、前記扉を開ける。(V)前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構から除去する。(VI)前記開閉機構が、前記扉を閉める。(VII)前記制御部が、前記秤量値のゼロ点調整を行う。
この態様によれば、自動で予備荷重が実施される。秤量機構が周囲環境になじみ、秤量の一回目から、秤量値が安定する。ユーザは命令を入力するだけでよく、予備荷重が容易になされる。
また、ある態様においては、前記秤量室内の温度を計測する温度センサを備え、前記温度センサにより、前記秤量室の温度変化が所定値以上となったことが検出されると、前記制御部により、前記(I)~(VII)の一連の動作が実施されるように構成した。この態様により、温度変化を検知して予備荷重が実施される。予備荷重を実施して現在の環境に秤量機構をなじませることで、温度変化が僅かに秤量機構、ひいては秤量精度に悪影響を与えることを抑制した。
また、ある態様においては、前記開閉機構による前記扉の最終開閉動作からの経過時間を計測するタイマーを備え、前記タイマーが所定時間以上をカウントすると、前記制御部により、前記(I)~(VII)の一連の動作が実施されるように構成した。この態様によれば、時間経過により周辺環境が変化して秤量機構に悪影響を与える前に、予備荷重を実施される。現在の環境に秤量機構がなじみ、環境変化による秤量への悪影響が抑制される。
また、ある態様においては、前記秤量室の壁の一部を構成する前記扉は複数設けられており、前記開閉機構は、前記複数の扉のうちの少なくとも2以上の前記扉を、個別に自動開閉可能に構成され、前記制御部が前記(I)~(VII)の一連の命令を実施する際には、前記開閉機構に、最後に開閉された前記扉以外の前記扉を開閉させるように構成した。この態様によれば、自動で予備荷重が行われる場合に、予備荷重で自動開閉される扉を秤量に使用される扉と異なら閉めることができ、秤量を準備しているユーザが誤って扉を開けて、予備荷重を自身で邪魔することを防止できる。
また、ある態様においては、試料を載置する秤量皿と、前記秤量皿に連結された秤量機構と、前記秤量皿を覆う秤量室を含む風防と、前記秤量室の一部を構成する扉を自動で開閉する開閉機構と、前記秤量機構に内蔵分銅の荷重を自動で加除する昇降機構と、前記開閉機構および前記昇降機構の制御、および前記秤量機構による計測値からの秤量値の算出を行う制御部とを備えた電子天びんによる予備荷重方法であって、前記開閉機構が、前記扉を開ける、第1ステップと、前記第1ステップ後に、前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構にかける、第2ステップと、前記第2ステップ後に、前記開閉機構が、前記扉を閉める、第3ステップと、前記第3ステップ後に、所定時間経過後に、前記開閉機構が、前記扉を開ける、第4ステップと、前記第4ステップ後に、前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構から除去する、第5ステップと、前記第5ステップ後に、前記開閉機構が、前記扉を閉める第6ステップと、前記第6ステップ後に、前記制御部が、秤量値のゼロ点調整を実施する第7ステップとを備えることを特徴とする電子天びんの精度安定化方法を提供する。この態様により、電子天びんの秤量機構を環境によりなじませることができ、秤量精度を安定させることができる。
上記構成によれば、秤量精度をより安定させる電子天びんおよび該電子天びんによる秤量精度の安定化方法を提供できる。
(風防付き電子天びんの構成)
以下、本開示の構成に係る好ましい実施形態を図面に従って説明する。図1は、好適な実施形態に係る電子天びん1の部分破断斜視図である。図2は電子天びん1の右側面図である。
以下、本開示の構成に係る好ましい実施形態を図面に従って説明する。図1は、好適な実施形態に係る電子天びん1の部分破断斜視図である。図2は電子天びん1の右側面図である。
図1および図2に示すように、電子天びん1は、天びん本体30と、風防10とを備える。天びん本体30は、その上面に試料を載置するための秤量皿31を備える。風防10は、秤量皿31の周囲を囲うように天びん本体30の上面に配置され、秤量皿31の周囲の空気の流動、たとえばエアコンの風、秤量時の人の息、人が歩くときに発生する空気の流れなど、秤量皿31を中心とした荷重負荷部分に風圧として作用して、秤量に影響を与えるのを防ぐ。
風防10は天びん本体30に着脱可能に備えられており、着脱機構には従来周知の構成、例えば特開2008-216047号公開の構成が使用されており、これに限られず、また風防10と天びん本体30とが分離不可に一体化して構成されていても構わない。
天びん本体30の内部には、秤量皿31に連結された、荷重を検出する荷重検出部3、荷重検出部3で検出したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器6、荷重検出部3に内蔵分銅の荷重を加除する内蔵分銅の昇降機構70、および制御部34が配置されている。制御部34は、CPU、メモリなどを集積回路に実走したマイクロコントローラであり、メモリに収納したプログラムに基づいて、各種構成要素を制御する。荷重検出部3が電子天びん1の秤量機構である。
荷重検出部3は、いわゆる電磁平衡式の荷重センサであり、機械式のバランス機構に位置検出器と電磁石を用いてつり合わせることで、秤量皿31に載置された荷重を検知する機構である。A/D変換器6は、アナログ信号をデジタル信号に変更する装置であり、荷重検出部3で検出された荷重は、A/D変換器6でデジタル信号に変換される。
風防10は無底箱型で、前面に正面ガラス12、背部に箱型のケース18、左右の側壁の一部を構成するドア11、上面に上面ドア13を有し、これらによって区画された空間として、内部に略直方体形状の秤量室Sが形成される。秤量室Sには、秤量室S内の温度を計測する温度センサ4が配置されている。
ドア11は、風防10の下部の枠部材であるベース14に設けられたレール14aに沿って、上面ドア13は風防10の上部の左右辺にあるシリンダボックス20に設けられたレール溝20aに沿って、それぞれ前後方向に移動可能となっている。
正面ガラス12、上面ドア13、及び左右のドア11は、内部の状態が観察可能なように透明なガラス又は樹脂で構成されている。上面ドア13およびドア11には、それぞれスライドを補助する取手が取り付けられている。上面ドア13は手動にて開閉可能であり、左右側面のドア11は、自動で開閉可能に構成されている。本実施形態においては、ドア11は手動でも開閉可能となっている。
コントロールパネル35は、天びん本体30及び風防10を操作するためのものであり、天びん本体30および風防10とは別体で設けられている。これは、スイッチを押すなどの操作の振動が秤量に影響を与えることを防ぐためである。別体であるため、ユーザは操作し易い位置に自由に配置することができる。コントロールパネル35と天びん本体30とは、ケーブルCにて接続される。両者によるデータ送受信は、無線にて実施されても構わない。同様に、天びん本体30と風防10とは、図示しないケーブルにて接続されて、データ送受信が可能となっている。
コントロールパネル35は、その上面に、秤量結果や状態を表示する表示部38、操作用の入力部37、赤外線センサ36、押圧スイッチ39を備える。赤外線センサ36は、ドア11の開閉スイッチであり、上部に手をかざすだけでドア11を自動で開閉させることができる。ドア11を自動で開閉させるために、赤外線センサ36の代わりに押圧スイッチを設けても良く、また押圧スイッチと赤外線センサ36の両方を備えるよう構成しても好ましい。赤外線センサ36に、ドア11開閉機能以外の天びん操作機能を割り当てても良い。赤外線センサ36を左右二つ設け、それぞれが対応するドア11を開閉させるように構成してもよい。
電子天びん1は、自動で予備荷重を行う予備荷重機能が設けられており、押圧スイッチ39は、予備荷重の動作を開始させるトリガーである。ユーザが押圧スイッチ39を押すことで、予備荷重の動作が実施される。本実施形態では予備荷重機能専用のスイッチを設け、ワンタッチで予備荷重の動作が開始されるように構成したが、入力部37から予備荷重機能の開始を入力するように構成してもよい。
略直方体形状である風防10の左右の上辺を構成するように、固定部材17が設けられており、固定部材17に長手方向を合わせてシリンダボックス20が係合している。シリンダボックス20は、中空の筐体であり、内部にはドア11を開閉させる駆動手段であるエアシリンダ40が納められている。
エアシリンダ40は複動型であり、内部のピストンの往復運動は、往きと帰りの両方がエア圧力によってなされるため、エアシリンダ40内にエアを送るポートは二箇所に設けられている。エアシリンダ40の前方側には送られたエアによりピストンを後方へと進ませるための後進側ポート46が、後方側にはピストンを前方へと送るための前進側ポート44が、それぞれ設けられている。前進側ポート44,後進側ポート46には図示しないエアチューブが接続され、ケース18内へと繋がっている。ケース18内部には、エアシリンダ40の駆動源であるポンプやエアの流止を制御する電磁弁などが納められている。
(ドアの構造)
ドア11の構造について説明する。図3は風防10の背面図である。図4はドア11の形状や構成を説明するための説明図であり、ドア11、シリンダボックス20、固定部材17のみを示し、シリンダボックス20及び固定部材17を図3のIV-IV線に沿って切断した部分断面斜視図である。
ドア11の構造について説明する。図3は風防10の背面図である。図4はドア11の形状や構成を説明するための説明図であり、ドア11、シリンダボックス20、固定部材17のみを示し、シリンダボックス20及び固定部材17を図3のIV-IV線に沿って切断した部分断面斜視図である。
シリンダボックス20は、中空の筐体であり、シリンダボックス20の内壁にはエアシリンダ40の形状に合わせて凹部が形成されており(図示せず)、エアシリンダ40はシリンダボックス20内に配置され、この凹部に係合して固定される。
一対の固定部材17は、一方向に長い略直方体部材で、ケース18の上部の左右の縁部に設けられた凹部18aに沿って配置され、風防10の上部の枠部材を構成する。シリンダボックス20は背面視して逆L字型を押し出した外形を有し、上辺部分が固定部材17の上面に載置され、内側面が固定部材17の側面に当接して、逆L字の直角部分が固定部材17の角部に係合し、固定部材17と長手方向を合わせて固定されている。
シリンダボックス20は底面を有さず(図3参照)、ドア11の上部がシリンダボックス20内部に入り込んで配置されている。シリンダボックス外側面20bの下端部には内側に向けて内フランジ部20cが長手方向の全長にわたって形成されている。また、固定部材17の外側面17bの下部には、内フランジ部20cに対向して長手方向(前後方向)の全長にわたって伸びる凸部17cが形成されている。
ドア11は全体の外縁部に備えられるホルダー16に保持される。ホルダー16の上部の前後二箇所には、ドア11のスライド方向(前後方向)に直交して、ドア11の厚み方向(左右方向)に突き出た保持部5が形成されている。ドア11の上部が内フランジ部20cと凸部17cとの間に形成されたスリット(以下、ガイド孔20dと呼ぶ)に入り込み、ホルダー16の保持部5が、内フランジ部20cと凸部17cとに係合し、ドア11を懸吊保持している。これにより、ドア11はベース14上面やこれに形成されたレール14a上面からは離間して配置され、ガイド孔20dに沿ってスライド可能に保持される。レール14aにゴミや砂等が侵入すると、ドア11開閉時の摺動抵抗が大きくなって開閉が困難になる問題があるが、ドア11自体を上部から吊るすことでこれを防止している。
内フランジ部20cと凸部17cは、正対せずに上下方向に僅かにオフセットされて形成されており、内側である凸部17cの方が内フランジ部20cよりも僅かに高い位置にある。これは、保持部5がドア11の上部から左右同じ高さに突き出して、ドア11が左右どちらにも振れ易い状態にするよりも、僅かに内側を高くしてドア11を内側に傾けさせて、ドア11の下部をレール14a側面に当接させて、ドア11の姿勢を安定して保持するためである。このように構成することで、ドア11が移動しても振れることがなく、ドア11の開閉の際にも、同じ姿勢を維持した状態で移動させることができ、不用意なドア11の摺動を防止することができる。
ドア11の保持部5は、内フランジ部20cと凸部17cの形状や高さに合わせて形成されており、外側配置された内フランジ部20c側に向かって突出して形成される第1係合部16b、内側配置された凸部17c側に向かって突出して形成される第2係合部16c、さらに第2係合部16cの下方にオフセットされて形成される第3係合部16dからなる。
第3係合部16dは、第2係合部16cと併せて凸部17cを挟むように形成されるが、第3係合部16dは、凸部17c底面とは離間するよう隙を持たせて形成されている。
図4に示すように、ホルダー16の前端上部には、結合部16eが形成されている。結合部16eはドア11の上方へ向けて凸設され、中央にはドア11のスライド方向に沿った結合孔16fが形成されている。エアシリンダ40内のピストンから延在するピストンロッド40aの先端が、この結合孔16fに嵌合して固定されている。ピストン(ピストンロッド40a)がホルダー16でドア11と接続され、ピストンがエア圧力により前後に移動することで、ホルダー16はガイド孔20dに沿ってスライドし、ドア11は開閉する。
ホルダー16が内フランジ部20cと係合した状態においても、エアシリンダ40はホルダー16の上面とは接触せず、ホルダー16とは離間して固定されており(図3参照)、エアシリンダ40はドア11の動きを邪魔しない。また、結合部16eはホルダー16上面よりも上方に突出しているが、結合部16eはピストンロッド40aの先端に固定されているため、エアシリンダ40下方に入り込むことはなく、またシリンダボックス20内の結合部16eの経路も確保されているため、シリンダボックス20と結合部16eが干渉することはない。
本実施形態においては、ドア11の懸吊支持形態をこのように構成したが、平板に形成されたスリットにT字に形成された保持部5が係合する形態や、保持部5をフック状として凸状レールに係合させる形態など、他の従来周知の構成を用いても構わない。
(ブロック図)
図5は電子天びん1の制御系のブロック図である。図6は、ドア11を開閉させる開閉機構60のブロック図である。
図5は電子天びん1の制御系のブロック図である。図6は、ドア11を開閉させる開閉機構60のブロック図である。
図5に示すように、荷重検出部3で検出された荷重は、A/D変換器6でデジタル信号に変換され、制御部34に入力される(以下、荷重検出部3で検出され、A/D変換器6で変換されて制御部に入力される値をAD値と称する)。制御部34は、入力された計測値から、メモリに記憶されたプログラムと補正値に従って秤量値を算出して、これを表示部38に表示させる。補正値とは、温度変化や緯度などに依存する重力値など、環境や状態により変化する値を調整するものである。また、制御部34はゼロ点調整も実施する。ゼロ点調整とは、秤量皿31に試料が載置されていない状態を基準として、その状態をもって秤量値をゼロに調整するものである。
本実施形態における電子天びん本体30による秤量値の算出とは、試料が載置されていない状態でのAD値を基準として、試料を載置するなどの荷重負荷によりAD値がどれだけ変化するかの差分を秤量値として算出することを指す。試料が秤量皿31に載置されていない場合でも、秤量皿31の荷重は常に荷重検出部3に掛かっており、この状態のAD値を表示部38に「秤量値0g」として表示している。温度変化や時間経過によってもAD値は変化することから、制御部34は、ゼロ点調整により、その時点でのAD値を基準として「秤量値0g」とする。
入力部37、赤外線センサ36、押圧スイッチ39で入力された命令や、温度センサ4で計測された秤量室S内温度は、制御部34に入力される。タイマー7によるカウントも制御部34に入力される。タイマー7には、制御部34の内蔵時計を用いてもよい。
制御部34は、さらに、開閉機構60および昇降機構70を制御する。具体的には、制御部34は、開閉機構60を構成する第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、および昇降機構70を構成する第3加圧ポンプ81、第3一方電磁弁82と接続され、各加圧ポンプの始動と停止、各電磁弁の開閉の制御を実施する。制御部34は、入力された信号を基に各種命令信号を生成する。
なお、本実施形態においては、開閉機構60および昇降機構70の駆動手段に加圧ポンプを用いたが、これに限らず、オイルポンプや、モータを駆動手段としたラックアンドピニオンやプーリーベルトなど、他の駆動手段を用いて両機構を構成しても良い。
図6に示す開閉機構60はドア11を開閉させるための機構であり、左右のドア11はそれぞれ開閉機構60を備え、接続された開閉機構60により独立して制御される。本実施形態では、エアシリンダ40の内部のピストン(さらにはピストンから延在するピストンロッド40a)を前方へ移動(前進)させるポンプと後方へ移動(後進)させるためのポンプは、別々に存在する。
開閉機構60は、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、およびエアシリンダ40を備える。エアシリンダ40はピストンロッド40aを介してドア11に接続される。
第1加圧ポンプ62A,第2加圧ポンプ62Bは、共にエアポンプである。エアシリンダ40の駆動源であり、エアを圧縮してエアシリンダ40に送り、エア圧力によりピストンを動かしてドア11を移動させる。
第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bは、弁の出口側は大気に開放されており、弁の開閉によりエアの流止を制御する。
第1圧力センサ64Aは第1加圧ポンプ62Aから吐出されたエアの圧力を、第2圧力センサ64Bは、第2加圧ポンプ62Bから吐出されたエアの圧力を、それぞれ監視する。第1圧力センサ64Aおよび第2圧力センサ64Bは、それぞれエアシリンダ40に接続されているため、換言すれば圧力センサは、エアシリンダ40に供給されるエアの圧力、エアシリンダ内のエアの圧力を監視している。
エアシリンダ40の後方に設けられた前進側ポート44には、第1加圧ポンプ62Aが接続されている。途中分岐があり、さらに第1圧力センサ64Aと第1一方電磁弁66Aが接続されている。エアシリンダ40の前方に設けられた後進側ポート46には、第2加圧ポンプ62Bが接続されている。途中分岐があり、こちらには第2圧力センサ64Bと第2一方電磁弁66Bが接続されている。
ドア11の駆動源であるエアシリンダ40はシリンダボックス20内に配置され、その他の制御系の構成要素、即ち、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66Bは、ケース18内に配置される。
(ドア開閉時の動作)
次にドア11自動開閉時における各構成要素の動作を説明する。図7は、開閉機構60の動作表である。
次にドア11自動開閉時における各構成要素の動作を説明する。図7は、開閉機構60の動作表である。
まず、使用者が手動でドア11を開閉可能な「標準状態」では、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B共に作動せず、第1一方電磁弁66Aおよび第2一方電磁弁66Bは、開かれている。第1加圧ポンプ62A,第2加圧ポンプ62Bが動作せず、第1一方電磁弁66Aおよび第2一方電磁弁66Bが開いて大気と連通しているため、全くエアシリンダ40からの負荷はなく、ドア11を手動でスムーズに開閉させることが出来る。
例えば赤外線センサ36から入力があるなど、「ドアを開ける/閉じる」の命令が入力されると、制御部34は各要素に動作を命令する。
ドア11を開ける「自動開操作」の場合、即ち、エアシリンダ40のピストンを後方へ移動させる場合、第2一方電磁弁66Bは閉じられ、第2加圧ポンプ62Bの加圧が開始される。このとき、第1加圧ポンプ62Aは作動せず、第1一方電磁弁66Aは開かれているため、エア圧力によりピストンは後方へ移動し、ドア11が開かれる。
ドア11が開ききると、エア圧力が急激に上昇するため、この変化を第2圧力センサ64Bが検知すると、第2加圧ポンプ62Bは停止させられ、第2一方電磁弁66Bが開かれ、エアシリンダ内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
ドア11を閉じる「自動閉操作」の場合、即ち、エアシリンダ40内のピストンを前方へ移動させる場合、第1一方電磁弁66Aは閉じられ、第1加圧ポンプ62Aの加圧が開始される。このとき、第2加圧ポンプ62Bは動作せず、第2一方電磁弁66Bは開かれているため、エア圧力によりピストンは前方へ移動し、ドア11が閉じられる。
ドア11が閉じきると、やはりエア圧力が急激に上昇するため、この変化を第1圧力センサ64Aが検知すると、第1加圧ポンプ62Aは停止させられ、第1一方電磁弁66Aが開かれ、エアシリンダ内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
また、校正作業時には自動でドア11がロックされる。入力部37からの命令でドア11がロックされるように構成してもよい。校正時に限らず、運搬時にも、ドア11をロックすることができる。
(内蔵分銅の昇降機構70)
図8および図9に内蔵分銅の昇降機構70を示す。図8は内蔵分銅の昇降機構70の断面図であり、かつ図9(A)に示すA-A線に沿った断面図である。図9は内蔵分銅の軸心に直交する方向における内蔵分銅の昇降機構70断面図である。図8(A)および図9(A)が、空気袋がしぼんだ状態(空気袋の体積が最小)を示す。図8(B)および図9(B)が、空気袋が膨らんだ状態(空気袋の体積が最大)を示す。なお、内蔵分銅の昇降機構70は、一例であり、内蔵分銅の昇降機構はこれに限られない。例えば、本実施形態では内蔵分銅の昇降にポンプを用いたが、ラックアンドピニオンや送りねじなどで内蔵分銅を昇降させてもよい。
図8および図9に内蔵分銅の昇降機構70を示す。図8は内蔵分銅の昇降機構70の断面図であり、かつ図9(A)に示すA-A線に沿った断面図である。図9は内蔵分銅の軸心に直交する方向における内蔵分銅の昇降機構70断面図である。図8(A)および図9(A)が、空気袋がしぼんだ状態(空気袋の体積が最小)を示す。図8(B)および図9(B)が、空気袋が膨らんだ状態(空気袋の体積が最大)を示す。なお、内蔵分銅の昇降機構70は、一例であり、内蔵分銅の昇降機構はこれに限られない。例えば、本実施形態では内蔵分銅の昇降にポンプを用いたが、ラックアンドピニオンや送りねじなどで内蔵分銅を昇降させてもよい。
内蔵分銅の昇降機構70は、内蔵分銅を昇降させることにより、荷重検出部3の荷重受け部に対して内蔵分銅を乗降させ、荷重検出部3に内蔵分銅の荷重を加除する(荷重を負荷する/無負荷にする)機構である。この荷重検出部3に対する内蔵分銅の荷重の加除は、内蔵分銅の秤量動作であり、荷重検出部3に対しては、秤量皿31に分銅等を乗降することと同等となる。
図8および図9に示すように、内蔵分銅の昇降機構70は、内蔵分銅75の昇降を直接行う昇降部71と、昇降部71に対して、内蔵分銅75の昇降を行うための空気の供給および供給した空気の排出を行う空気吸排部72とを備える。
まず、昇降部71の構成から説明する。固定部73は、昇降部71のフレームであり、昇降機構70は、固定部73を介して天びん本体30に固定されている。昇降部71を構成する部材は、直接または間接に固定部73に固定されている。固定部73は、上部固定部73a、および上部固定部73aに連接する下部固定部73bを含む。
内蔵分銅75を保持する分銅ホルダー74は、固定部73に対して、昇降可能に構成されている。
駆動ピン76は、下端が下部固定部73bに固定され、かつ上端が上部固定部73aに固定されている。駆動ピン76に対しては、弾性体としてコイルばね77が設けられている。コイルばね77は駆動ピン76の下端と分銅ホルダー74の下面部との間に位置することにより、コイルばねの弾発力によって、分銅ホルダー74は上部固定部73a側、即ち上昇方向に向かって付勢されている。
ガイドピン78は、駆動ピン76同様に、下端が下部固定部73b側に固定され、かつ上端が上部固定部73aに固定されているが、ガイドピン78にはコイルばねは設けられておらず、分銅ホルダー74の昇降動作を案内するガイドとしての機能を果たしている。
空気袋79は、エアの流入・排出により体積が変化する気密性の容器であり、上部固定部73aと分銅ホルダー74との間の空間部に配置されている。図8(A)および図9(A)は、空気袋79内のエアが排出され、空気袋79がしぼんで最小の体積となっている状態である。
空気袋79が最小の体積となっている状態で、分銅ホルダー74は、コイルばね77の弾発力により、最上部に位置している。この状態で、内蔵分銅75の前後は、上部固定部73aの上係止部73a´と分銅ホルダー74の下係止部74aとで挟持された状態となり、内蔵分銅75は上昇位置で確実に固定された状態となっている。このように内蔵分銅75が固定されることにより、電子天びん1の移動や輸送を行っても、内蔵分銅75が動くことはない。
昇降部71の下部に位置する荷重受け部80は、内蔵分銅75の荷重を荷重検出部3に伝達するための荷重の受け部であり、荷重検出部3に接続される。
空気吸排部72の構成について説明する。空気吸排部72は、昇降部71に連接して一体の装置として構成され、空気吸排部72は、第3加圧ポンプ81、空気を排出するための第3一方電磁弁82、エアフィルタ83を備える。第3一方電磁弁82は、出口側をエアの吸排口である空気穴85と接続されている。
第3加圧ポンプ81と駆動ピン76の上部とは、エアチューブ84で接続されており、第3加圧ポンプ81から送り出されたエアは、エアチューブ84を通り、駆動ピン76を押し上げる。
次に、上記構成の昇降機構70の動作について説明する。まず、電子天びん1が通常の秤量可能状態であるとき、図8(A)および図9(A)に示すように、空気袋79の体積は最小となっており、これにより内蔵分銅75の荷重が荷重検出部3には負荷されないように、内蔵分銅は最上部に位置している。即ち、図8(A)および図9(A)は、荷重検出部3に対して内蔵分銅75の荷重が無負荷となっている状態を示している。
内蔵分銅75の荷重を荷重検出部3に負荷する場合には、空気吸排部72の第3加圧ポンプ81が作動する。第3加圧ポンプ81から吐出されたエアは、エアフィルタ83、エアチューブ84を介して空気袋79に供給される。送られるエアによって空気袋79は徐々に膨らみ、体積が増加して、分銅ホルダー74を駆動ピン76のコイルばねの77に弾発力に抗して下降させる。即ち、空気袋79は、分銅ホルダー74を下降させるための駆動手段である。
図8(B)および図9(B)は、空気袋79が膨らむことにより、分銅ホルダー74が最下部まで降下した状態を示している。分銅ホルダー74が下降することにより、分銅ホルダー74に支持されていた内蔵分銅75は、荷重受け部80に係止され(荷重受け部80に乗る)、内蔵分銅75の全荷重が荷重受け部80に負荷される。これにより、内蔵分銅75の荷重は、荷重検出部3に負荷されることになる。即ち、図8(B)および図9(B)は、荷重検出部3に対して内蔵分銅75の荷重が負荷された状態を示している。
内蔵分銅75の荷重の負荷を除去する場合には、空気吸排部72の第3一方電磁弁82が開かれ、空気袋79内は空気穴85を介して大気と連通状態となる。この結果、コイルばね77の弾発力が復活し、この弾発力による分銅ホルダー74は上昇を開始し、この上昇に対応して空気袋79内のエアは、エアチューブ84を介して第3一方電磁弁82を経て空気穴85から外部に放出される。これに対応して、内蔵分銅75は荷重受け部80から降りることとなり、荷重受け部80側に係止されていた内蔵分銅75を再度分銅ホルダー74が係止する。分銅ホルダー74は、最終的には図8(A)および図9(A)に示す最上部まで内蔵分銅75を上昇させて、この位置でコイルばね77の弾発力にて固定される。第3一方電磁弁82が閉じられ、通常の秤量が可能な状態に戻ることになる。
以上に示すように、昇降機構70は、空気袋79の体積増減(膨萎)により、荷重検出部3に内蔵分銅75の荷重を加除することが実現できる。
(フローチャート)
次に、電子天びん1の予備荷重機能による、動作フローについて図を用いて説明する。図10は予備荷重のフローチャートである。
次に、電子天びん1の予備荷重機能による、動作フローについて図を用いて説明する。図10は予備荷重のフローチャートである。
まずステップS1で、ユーザが押圧スイッチ39を押す。これをトリガーとして、予備荷重の動作が開始される。トリガーとして、予備荷重が開始される他のケースは後述する。
次に、ステップS2で、開閉機構60がドア11を開ける。具体的には、制御部34の命令により、第2一方電磁弁66Bが閉じられ、第2加圧ポンプ62Bの動作が開始される。この時、第1一方電磁弁66Aは開かれたままで、第1加圧ポンプ62Aは作動しない(図6、図7参照)。これによりエアが後進側ポート46に送られ、エア圧力によりエアシリンダ40のピストン(ピストンロッド40a)が後方側に移動する。ピストンロッド40aに連結されたドア11が後方に移動して、ドア11が開かれる。これにより、秤量室S内の環境温度が、秤量室S外の環境温度と同等となる。
次に、ステップS3で、昇降機構70が、内蔵分銅75の荷重を荷重検出部3にかける。まず、制御部34が、第3一方電磁弁82を閉じ、第3加圧ポンプ81を作動させ、エアチューブ84を介して空気袋79にエアを送らせる。送られるエアにより空気袋79が膨らみ、内蔵分銅75が荷重受け部80に乗ることで、内蔵分銅75の全荷重が荷重受け部80に連結された荷重検出部3にかけられる。
次に、ステップS4で、開閉機構60がドア11を閉じる。具体的には、制御部34の命令により、第1一方電磁弁66Aが閉じられ、第1加圧ポンプ62Aの動作が開始される。この時、第2一方電磁弁66Bは開かれたままで、第2加圧ポンプ62Bは作動しない(図6、図7参照)。これにより、エアが前進側ポート44に送られ、エア圧力によりエアシリンダ40のピストン(ピストンロッド40a)が前方側に移動する。ピストンロッド40aに連結されたドア11が前方に移動して、ドア11が閉じられる。秤量室S内の環境温度を、秤量室S外の環境温度と同等とし、秤量皿31に分銅等を乗せて秤量を行ったと同等となる。
次に、ステップS5で、所定時間経過後に、開閉機構60がドア11を開ける。まず、ステップS4においての、内蔵分銅75の秤量値を安定させるため、所定時間の経過が待たれる。その後、ドア11が開かれる。ドア11を開けるための、制御部34による開閉機構60への具体的な命令は、ステップS2と同じである。
次に、ステップS6で、昇降機構70が内蔵分銅75の荷重を荷重検出部3から除去する。具体的には、制御部34が、第3一方電磁弁82を開かせて、空気袋79内の空気を大気と連通させる。空気袋79はしぼんで、内蔵分銅75が荷重受け部80から降りて分銅ホルダー74に保持される。
次に、ステップS7で、開閉機構60がドア11を閉じる。具体的な動作は、ステップS4と同一である。
次に、ステップS8で、制御部34は、秤量値のゼロ点調整を実施する。
これにより、一連の予備荷重の動作は終了し、その後、作業者は実際の秤量作業に移ることができる。
(作用効果)
上記のフローにて実施された動作について、作用効果を説明する。
上記のフローにて実施された動作について、作用効果を説明する。
電子天びんのような高精度な天びんにおいては、実際の秤量作業の前に、一度秤量をテスト秤量として予備荷重を実施することが推奨されている。特に電子天びんの電源が入れられて最初の秤量は、許容範囲内であるが僅かな秤量値のずれが生じやすく、予備荷重を実施して秤量機構を秤量環境になじませ秤量結果の安定性を向上させ、さらにゼロ点戻りの確認を行うためにも、予備荷重の実施が推奨されている。
風防付きの電子天びんでは、秤量室内温度と秤量室外との温度差を解消して、秤量機構に作業環境をなじませるためにも、予備荷重では扉を開閉する必要があるが、ユーザは手にピンセットやペンなど手に持っていることも多く、予備荷重のために、秤量室の扉の開閉や、分銅を持ち上げたりすることは非常に面倒であり、予備荷重を実施しない場合も多い。
本実施形態においては、ユーザが電子天びん1の押圧スイッチ39を押すだけで、予備荷重の一連の動作が自動で実施される。即ち、扉を開け(ステップS2)、秤量機構に分銅の荷重を負荷し(ステップS3)、扉を閉めて秤量を実施し(ステップS4)、秤量が終了した後は、扉を開けて(ステップS5)、分銅を取り出し(ステップS6)、扉を閉め(ステップS7)、ゼロ点調整(ステップS8)というユーザの作業に即して、一連の動作が行われる。全ては自動で行われるため、ユーザは押圧スイッチ39を押して、待つだけで良い。自動で予備荷重が行われる予備荷重機能により、ユーザは余計な動作をせず、秤量のみに集中できる。
風防付きの電子天びんの予備荷重がワンタッチで実施されるため、ユーザフレンドリーであり、予備荷重により秤量精度が向上し、ユーザは安定した高精度の試料の秤量を行うことができる。
予備荷重が行われれている最中には、ランプの点灯や表示部38に「予備荷重中」と表示される、あるいは終了時にブザーが鳴るなど、ユーザに予備荷重が実施中であること、または予備荷重の終了を知らせることが好ましい。ユーザは、押圧スイッチ39を押した後は、試料の準備など、自身の作業を行うことができ、表示やブザーなどにより、終わったことを認知することができる。
(追加機能)
上記構成に加え、以下の機能が予備荷重機能の一部として付加されると、より好ましい。
上記構成に加え、以下の機能が予備荷重機能の一部として付加されると、より好ましい。
予備荷重の実施の目的には、秤量室内温度と秤量室外温度の温度差解消も含まれている。天びんの発熱により、秤量室内の温度は上昇しやすい。その状態で扉が開かれると、秤量室内外の温度差を解消するため、気流が発生する。気流の発生は、風の発生となり、秤量皿に風圧として作用して、秤量に悪影響を与えることがある。これを回避するため、秤量室S内に配置された温度センサ4により、秤量室S内の温度をモニタし、秤量室S内の温度変化が所定値以上となったことが検出されると、ステップS2~ステップS8が自動で実施されるように構成されると好ましい。自動で秤量室S内外の温度差を解消するために予備荷重が行われることで、秤量室S内外の温度差による秤量への悪影響を抑制することができる。
タイマー7は、開閉機構60によるドア11の最終の自動開閉動作により、リセットし、またカウントをスタートするように構成されている。
まず、タイマー7は、開閉機構60によるドア11の最終閉動作からの経過時間を計測する。タイマー7により、ドア11が閉じられてから所定時間が経過したことが検出されると、制御部34は、ステップS2~ステップS8が実施されるように構成されると好ましい。風防の扉の開操作が一定時間以上行われていない場合、秤量室内の温度と秤量室外の温度とで温度差が発生している可能性が高い。このため、タイマー7により、ドア11の最終閉動作から所定時間以上が経過すると、自動で秤量室S内外の温度差を解消させるために、予備荷重を行うように構成することで、秤量室S内外の温度差による秤量への悪影響を抑制することができる。
さらに、タイマー7は、開閉機構60によるドア11の最終開動作からの経過時間も計測する。ドア11が開放されたまま放置された場合にも、各種センサや荷重検出部3などの周辺環境とのなじみが失われていくため、秤量へ悪影響を及ぼすこととなる。これを回避するため、タイマー7によりドア11が開けられてから所定時間が経過したことが検出されると、制御部34は、ステップS2~ステップS8が実施されるように構成されると好ましい。この場合、経過時間を別のタイマーを用いて計測しても良い。
電子天びん1にはドア11が左右の二つ存在し、開閉機構60により、独立して自動に開閉可能に構成されている。予備荷重の動作に係るステップS2~ステップS8のドア11の動作に関し、片側のドア11だけが開閉されることが好ましい。秤量室に設けられた複数の扉を同時に開閉させると、秤量室内を風が通り抜けて気流を発生させ、扉を閉めた後にも秤量室内の気流が安定せず、秤量に悪影響を与えてしまう。これを回避するため、予備荷重におけるドア11の開閉は、片側のドア11のみであることが好ましい。
ここで、ユーザによる押圧スイッチ39の入力で、予備荷重が開始される場合には、ドア11の開閉は、開閉機構60により最後に開閉された側のドア11が開閉されることが好ましい。ユーザの動作を模した予備荷重を行うことができ、実際の秤量環境に、より近づけることができる。その際、もう一方の開閉されないドア11は、第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bを閉じてロックしておくと、ユーザによる誤作動を防止でき、より好ましい。
一方、押圧スイッチ39の入力以外、例えばタイマー7や温度センサ4の検出などをトリガーとした、ユーザの意思によらずに予備荷重が開始される場合、開閉されるドア11は、最後に開閉機構60により開閉された側のドア11とは逆のドア11が開閉されることが好ましい。例えば、ユーザが右側のドア11を開閉させて試料を秤量している際に、温度センサ4により秤量室S内外の温度差が所定値以上であることが検出され、自動で予備荷重が開始される場合、ステップS2~S7で開閉されるのは左側のドア11となる。これは、自動で予備荷重が開始された場合、予備荷重が実施されていることに、ユーザが気付かない可能性がある。自動で予備荷重が開始される場合、ユーザが使用していたドア11とは逆のドア11を開閉させて予備荷重を行うことで、誤ってユーザが予備荷重中にドアを開けてしまうことを防ぐことができる。その際、開閉されないドア11は、第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bを閉じてロックしておくと、誤作動を防止でき、好ましい。また、自動で予備荷重の開始を音や表示で知らせるように構成すると、より好ましい。
予備荷重に係るステップS2~ステップS8は、一度だけの実施でなく、複数回(2~3回程度)実施されるように構成すると、荷重検出部3を周囲環境により一層なじませることができ、好ましい。一連の動作には時間がかかるため、ユーザが実施回数を設定可能に構成されると、より好ましい。
また、電子天びん1の電源が入れられた後に、所定時間経過後、自動で予備荷重機能としてステップS2~ステップS8が動作するように構成しても好ましい。自動で予備荷重が実施されることで、ユーザによる押圧スイッチ39の押し忘れを回避できる。この場合、ステップS2においては、左右のドア11は、片側ずつ順に、両方開閉されるように構成されると好ましい。両方のドア11が開閉されることで、開閉機構60の動作チェック、および各種センサの動作チェックとなるためである。
また、本実施形態においては、電子天びん1は、風防10のドア11を自動で開閉させる開閉機構60を備えており、ドア11の開閉とともに、昇降機構70により内蔵分銅75を昇降させていた。これに限らず、秤量精度の向上のためには、開閉機構60がない風防を備えている場合、あるいは風防10がない場合にも予備動作が行われることが好ましい。例えば、室温の変化や、秤量機構や各種センサの周辺環境とのなじみ具合の変化によっても、最終的な結果である秤量値には、僅かにずれが生じてくることが知られている。このため、風防10のない天びん本体30のみの場合や手動で風防のドアを開閉する場合においても、タイマー7による所定時間経過の検出や温度センサ4の所定以上の温度変化の検出をトリガーとして、昇降機構70により内蔵分銅75を昇降させ、ゼロ点調整を行うことで、秤量精度の安定を図ることが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態及び追加機能を述べたが、当業者の知識に基づいて変形させることも可能であり、そのような形態は本発明の範囲に含まれる。
1 :電子天びん
3 :荷重検出部
4 :温度センサ
7 :タイマー
10 :風防
11 :ドア
30 :天びん本体
31 :秤量皿
34 :制御部
60 :開閉機構
70 :昇降機構
75 :内蔵分銅
S :秤量室
3 :荷重検出部
4 :温度センサ
7 :タイマー
10 :風防
11 :ドア
30 :天びん本体
31 :秤量皿
34 :制御部
60 :開閉機構
70 :昇降機構
75 :内蔵分銅
S :秤量室
Claims (5)
- 試料を載置する秤量皿と、
前記秤量皿に連結された秤量機構と、
前記秤量皿を覆う秤量室を含む風防と、
前記秤量室の壁の一部を構成する扉を自動で開閉する開閉機構と、
前記秤量機構に内蔵分銅の荷重を自動で加除する前記内蔵分銅の昇降機構と、
前記開閉機構および前記昇降機構の制御、および前記秤量機構による計測値からの秤量値の算出を行う制御部と、
を備え、
前記制御部の命令により、以下の(I)~(VII)の一連の動作が、実施可能に構成される、
(I)前記開閉機構が、前記扉を開ける
(II)前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構にかける
(III)前記開閉機構が、前記扉を閉める
(IV)所定時間経過後に、前記開閉機構が、前記扉を開ける
(V)前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構から除去する
(VI)前記開閉機構が、前記扉を閉める、
(VII)前記制御部が、前記秤量値のゼロ点調整を行う、
ことを特徴とする電子天びん。 - 前記秤量室内の温度を計測する温度センサを備え、
前記温度センサにより、前記秤量室の温度変化が所定値以上となったことが検出されると、
前記制御部により、前記(I)~(VII)の一連の動作が実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん。 - 前記開閉機構による前記扉の最終開閉動作からの経過時間を計測するタイマーを備え、
前記タイマーが所定時間以上をカウントすると、
前記制御部により、前記(I)~(VII)の一連の動作が実施される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子天びん。 - 前記秤量室の壁の一部を構成する前記扉は複数設けられており、
前記開閉機構は、前記複数の扉のうちの少なくとも2以上の前記扉を、個別に自動開閉可能に構成され、
前記制御部が前記(I)~(VII)の一連の命令を実施する際には、
前記開閉機構に、最後に開閉された前記扉以外の前記扉を開閉させる、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかの請求項に記載の電子天びん。 - 試料を載置する秤量皿と、前記秤量皿に連結された秤量機構と、前記秤量皿を覆う秤量室を含む風防と、前記秤量室の一部を構成する扉を自動で開閉する開閉機構と、前記秤量機構に内蔵分銅の荷重を自動で加除する昇降機構と、前記開閉機構および前記昇降機構の制御、および前記秤量機構による計測値からの秤量値の算出を行う制御部と、
を備えた電子天びんによる秤量精度の安定化方法であって、
前記開閉機構が、前記扉を開ける、第1ステップと、
前記第1ステップ後に、前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構にかける、第2ステップと、
前記第2ステップ後に、前記開閉機構が、前記扉を閉める、第3ステップと、
前記第3ステップ後に、所定時間経過後に、前記開閉機構が、前記扉を開ける、第4ステップと、
前記第4ステップ後に、前記昇降機構が、前記内蔵分銅の荷重を前記秤量機構から除去する、第5ステップと、
前記第5ステップ後に、前記開閉機構が、前記扉を閉める第6ステップと、
前記第6ステップ後に、前記制御部が、秤量値のゼロ点調整を実施する第7ステップと、
を備えることを特徴とする電子天びんの秤量精度の安定化方法。
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