JP7409733B1 - 洗浄水処理システム - Google Patents

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英雄 井口
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Abstract

【課題】ミキサー車のドラムなどの容器の内壁に付着した生コンクリート由来の固着物あるいは洗浄後の洗浄水が流れる流路や容器などに付着した上記の固着物を短期間で容易に除去することができるとともに、これらの容器や管の内壁や流路などに上記の固着物が生成されて付着するのを防止することができる洗浄水処理システムを提供する。【解決手段】この洗浄水処理システムは、生コンクリートが収容される容器または生コンクリートが流される管の内部の洗浄に用いられる洗浄水または当該洗浄後の洗浄水が流される管(10)と、管の外周面の少なくとも一箇所に巻回されたコイル(C1、C2)と、コイルに100Hz~10kHzの周波数領域の少なくとも一部の周波数領域で連続的に周波数の増減を反復する交流電流を流すための交流電流供給装置(20)とを有し、管に洗浄水を流しながらコイルに上記の交流電流を流す。【選択図】図1

Description

この発明は洗浄水処理システムに関し、例えば、ミキサー車のドラムの内部を洗浄するための洗浄水の処理に適用して好適なものである。
生コンクリート製造工場(コンクリートプラント)においては、生コンクリートの材料であるセメント、骨材(砂や砂利)、水、混和剤がミキサで練り混ぜられることにより生コンクリートが製造される。こうして製造された生コンクリートは積み込みホッパーからミキサー車のドラムに注入され、ミキサー車は生コンクリートを使用する現場に向かう。現場に到着したミキサー車は、ドラム内の生コンクリートを使用した後、生コンクリート製造工場に戻る。そして、生コンクリート製造工場に併設された洗浄水処理プラントにおいて、ミキサー車のホッパーから洗浄水として、上澄水槽内の上澄水がドラム内に注入され、ドラム内に残された生コンクリート(以下においては「残コン」と言うこともある)の洗浄が行われる(例えば、非特許文献1参照)。ここで、上澄水は残コン処理後の水である。ドラム内の洗浄に用いられた洗浄水は、洗車シュート、バイブロスクリーン、集水槽、砂サイクロン、クラッシュファイア、スラッジ水槽などを通って最終的に上澄水槽内に戻される。
なお、液体を流す管にソレノイド型のコイルを巻回し、このコイルにほぼ700~3000Hzの範囲の周波数領域で連続的に周波数の変化を反復する交流電流を流すことにより、管の内壁へのスケール生成防止や管の内壁に付着したスケールの除去を図るスケール生成および/またはスケール付着防止用液体処理装置が知られている(特許文献1)。また、水道管にソレノイド型のコイルを巻回し、このコイルに3.6~7.5kHzの範囲の周波数領域で連続的に周波数の変化を反復する交流電流を流すことにより水道管内壁へのスケール生成防止や水道管の内壁に付着したスケールの除去を図る水道水用水処理装置が知られており、既に実用化されている(特許文献2)。
米国特許第5074998号明細書 実用新案登録第3224220号明細書
[令和5年7月31日検索]、インターネット〈URL:https://prod.kiw.co.jp/kkplant/mizu/〉 [令和5年7月31日検索]、インターネット〈URL:https://www.nr-mix.co.jp/new_nama/blog/_kiwar2.html 〉
しかしながら、洗浄水でミキサー車のドラム内の洗浄を行った後でも、ドラムの内壁に生コンクリート由来の硬質の固着物が付着してしまうのが実態である。さらには、ドラム内の洗浄に用いられた洗浄水が通る洗車シュート、バイブロスクリーン、集水槽、砂サイクロン、クラッシュファイアなどにも同様な硬質の固着物が付着してしまう。この固着物はケレンと呼ばれるたがね状の工具などを使って剥がすのが一般的であるが、時間も労力もかかり重労働であるだけでなく、剥がすことが困難な場合も多い(例えば、非特許文献2参照)。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ミキサー車のドラムなどの生コンクリートを内部に収容する各種の容器や生コンクリートが流される管の内壁に付着した生コンクリート由来の固着物あるいは洗浄後の洗浄水が流れる流路や容器などに付着した生コンクリート由来の固着物を短期間で容易に除去することができるとともに、これらの容器や管の内壁や流路などに上記の固着物が生成されて付着するのを防止することができる洗浄水処理システムを提供することである。
本発明者らは、上記の課題の解決を図る技術の開発を目的として長年に亘り鋭意検討を行った結果、特許文献2記載の水道水用水処理装置で使用されているコイルと同様なコイルをミキサー車のドラムの内部の洗浄に用いる洗浄水または洗浄後の洗浄水を流すための管に巻回し、この管に洗浄水を流しながらコイルに特許文献2記載の交流電流供給装置と同様な装置を用いて交流電流を流し、管から洗浄水をミキサー車のドラム内に供給して洗浄を行うことにより、ドラムの内壁に付着した生コンクリート由来の固着物、さらにはドラム内の洗浄を終えた後の洗浄水が流れる各種の機器に付着した生コンクリート由来の固着物を短期間でかつ容易に除去することができるという新たな効果が得られることを見出し、さらにこの知見に基づいて検討を重ねてこの発明を案出するに至った。本発明者らの知る限り、このような効果が得られることはこれまで報告されていない。上記のような効果が得られる理由については現在解明中である。
すなわち、上記課題を解決するために、この発明は、
生コンクリートが収容される容器または生コンクリートが流される管の内部の洗浄に用いられる洗浄水または当該洗浄後の洗浄水が流される管と、
上記管の外周面の少なくとも一箇所に巻回されたコイルと、
上記コイルに100Hz~10kHzの周波数領域の少なくとも一部の周波数領域で連続的に周波数の増減を反復する交流電流を流すための交流電流供給装置と、
を有し、
上記管に上記洗浄水を流しながら上記交流電流供給装置により上記コイルに上記交流電流を流す洗浄水処理システムである。
生コンクリートが収容される容器は、典型的には、ミキサー車のドラムまたは生コンクリート製造工場のミキサーであるが、これに限定されるものではない。また、生コンクリートが流される管は、例えば、生コンクリート製造工場における生コンクリートの輸送管であるが、これに限定されるものではない。また、洗浄水または洗浄後の洗浄水が流される管は、典型的には、生コンクリート製造工場に併設される洗浄水処理プラントにおいて上澄水を供給する管および/または集水槽と砂サイクロンとを接続する管であるが、これに限定されるものではない。
上記の少なくとも一部の周波数領域は、典型的には、4.5kHz~8kHzの周波数領域に含まれ、例えば、4.5kHz~8kHzの周波数領域である。交流電流の周波数の増減は、典型的には直線的に行うが、これに限定されるものではなく、非直線的に行ってもよい。交流電流は、典型的には、上記の少なくとも一部の周波数領域内で1秒間に複数回、周波数の増減を反復する。交流電流は、例えば、100Hzから10kHzまで周波数をスイープする。交流電流の波形は、特に限定されず、必要に応じて選択されるが、典型的には、方形波が用いられる。交流電流の電流値は必要に応じて選択されるが、一般的には1mA~2.5A(2500mA)、典型的には0.5A~2.5Aである。コイルは、管の外周面の少なくとも一箇所に巻回されれば足りるが、複数箇所に巻回されてもよい。コイルの巻き数は管の口径(直径)等に応じて適宜選択されるが、コイルに交流電流を流すことにより発生する磁場の強さがある程度大きい方がより優れた効果が得られる傾向があるため、コイルの巻き数は一般的には10以上20以下に選ばれる。
この発明によれば、生コンクリートが収容される容器または生コンクリートが流される管の内部の洗浄に用いられる洗浄水または当該洗浄後の洗浄水を供給するための管に洗浄水を流しながらコイルに100Hz~10kHzの周波数領域の少なくとも一部の周波数領域で連続的に周波数の増減を反復する交流電流を流すことにより、簡単な手法で上記の容器または管の内壁に付着した生コンクリート由来の固着物あるいは洗浄後の洗浄水が通る流路や容器などに付着した生コンクリート由来の固着物を短時間で容易に除去することができるとともに、これらの容器や管の内壁や流路などに上記の固着物が生成されて付着するのを防止することができる洗浄水処理システムを実現することができる。
この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムを示す略線図である。 この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムにおいて配管に巻回されたコイルおよびこのコイルに交流電流を流すための交流電流供給装置を示す略線図である。 この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムにおいて交流電流供給装置によりコイルに流す交流電流の波形の一例を示す略線図である。 この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムにおいて交流電流供給装置によりコイルに流す交流電流の周波数スペクトルの一例を示す略線図である。 この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムにおいて交流電流供給装置によりコイルに流す交流電流の周波数スペクトルの実測例を示す略線図である。 この発明の一実施の形態による洗浄水処理システムを適用した洗浄水処理プラントの具体例を示す略線図である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100にそれぞれコイルが巻回され、これらのコイルが交流電流供給装置に接続された様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時の洗車シュート60の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後の洗車シュート60の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時のバイブロスクリーン70の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後のバイブロスクリーン70の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時の集水槽90の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後の集水槽90の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時の砂利回収コンベア80の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後の砂利回収コンベア80の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時のクラッシュファイア120の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後のクラッシュファイア120の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置時の砂サイクロン110のホッパーノズル部の様子を示す図面代用写真である。 図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントにおいて配管40、100に対するコイルおよび交流電流供給装置の設置から約2か月後の砂サイクロン110のホッパーノズル部の様子を示す図面代用写真である。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について説明する。
〈一実施の形態〉
[洗浄水処理システム]
図1は一実施の形態による洗浄水処理システムを示す。図1に示すように、この洗浄水処理システムは、ミキサー車のドラムや生コンクリート製造工場のミキサーの内部あるいは生コンクリートの輸送管などの内部の洗浄に用いる洗浄水または当該洗浄後の洗浄水が流される配管10と、配管10の途中の外周面に巻回されたソレノイド型のコイルC1 、C2 と、コイルC1 、C2 に交流電流を流すための交流電流供給装置20とを有する。
交流電流供給装置20は、配管10の外周面に巻回されたコイルC1 、C2 とケーブルCにより接続されている。コイルC1 、C2 はケーブルCをらせん状に巻くことにより形成されている。交流電流供給装置20にはAC100Vを供給するための電源ケーブル21が設けられている。配管10の外周面に巻回されたコイルC1 、C2 の詳細を図2に示す。図2に示すように、この場合、コイルC1 とコイルC2 との間には配管10に平行にケーブルCが設けられており、これらのコイルC1 、C2 の配管10の外周面上の巻き付け方向は互いに同一である。コイルC1 、C2 に流す交流電流は、100Hzから10kHzまで周波数をスイープし、波形は方形波である。この場合、100Hz~10kHzの周波数領域の一部の周波数領域(f1 ~f2 の周波数領域とする)で1秒間に複数回、典型的には2~5回(例えば3.5回)直線的に周波数を増減し、これを反復する。f1 ~f2 の周波数領域は、典型的には4.5kHz~8kHzである。図3Aにこの交流電流の波形の一例を模式的に示す。図3Aに示すように、f1 ~f2 の周波数領域では、100Hzからf1 までの周波数領域およびf2 から10kHzまでの周波数領域に比べて最大電流値を高くしている。f1 ~f2 の周波数領域の最大電流値は、100Hzからf1 までの周波数領域およびf2 から10kHzまでの周波数領域の最大電流値に比べて例えば2~3倍大きくするが、これに限定されるものではない。こうしてコイルC1 、C2 に交流電流を流したときの周波数スペクトルの一例を図3Bに模式的に示す。図3Bに示すように、コイルC1 、C2 に流れる交流電流は、f1 ~f2 の周波数領域で最大電流値がほぼ同一である。図3Cに実測の周波数スペクトルの一例を示す。f1 ~f2 の周波数領域は4.5kHz~8kHzである。この周波数スペクトルの縦軸は、コイルC1 、C2 が巻回された配管10の側面に音圧測定用のピックアップを取り付け、コイルC1 、C2 に交流電流が流れることにより発生する電磁騒音を測定した時の音圧を示し、交流電流の最大電流値に対応するものである。
[洗浄水処理システムの使用方法]
交流電流供給装置20の電源ケーブル21をAC100Vのコンセントに差し込み、交流電流供給装置20のスイッチをオンとする。そして、図示省略したポンプにより配管10を通じて洗浄水を流しながらコイルC1 、C2 に交流電流を流すことで洗浄水の処理を行う。配管10は、例えば、生コンクリート製造工場に併設される洗浄水処理プラントにおいて、残コン処理後の上澄水をミキサー車のドラムに供給するための配管や、洗浄後の洗浄水が流される集水槽と砂サイクロンとを接続する配管などである。
この一実施の形態による洗浄水処理システムによれば、配管10に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により所定の交流電流を流すことで洗浄水または洗浄後の洗浄水の処理を行い、こうして処理を行った洗浄水を用いてミキサー車のドラムの内部、生コンクリート製造工場のミキサーの内部、生コンクリートが流される管の内部あるいは洗浄後の洗浄水が流れる流路や容器などの洗浄を行っていることにより、ミキサー車のドラムや生コンクリート製造工場のミキサーなどの内壁、生コンクリートが流される管などの内壁に付着した生コンクリート由来の固着物あるいは洗浄後の洗浄水が流れる流路や容器などに付着した生コンクリート由来の固着物を短期間で容易に除去することができるとともに、これらの容器や管の内壁や流路などに上記の固着物が生成されて付着するのを防止することができる。また、この洗浄水処理システムは、従来より用いられている一般的な洗浄水処理プラントの洗浄水または洗浄後の洗浄水の供給用の配管10にコイルC1 、C2 を巻回し、コイルC1 、C2 に交流電流供給装置20を接続するだけで足りるため、簡単に構築することができる。
この一実施の形態による洗浄水処理システムを適用した洗浄水処理プラントの具体例について説明する。
図4は生コンクリート製造工場(コンクリートプラント)に併設される一般的な洗浄水処理プラントの概要を示す。図4に示すように、上澄水槽30に貯留された上澄水31が図示省略したポンプにより配管40を通って、生コンクリートの輸送を終了したミキサー車50のドラム51に取り付けられたホッパー52に洗浄水として供給されるようになっている。ドラム51内に供給されて洗浄が行われた後の洗浄水はスクープ53を通ってその先端のシュートから洗車シュート60に排出される。洗車シュート60を流れる洗浄水はバイブロスクリーン70に供給されて洗浄水中の砂利が回収される。回収された、水分を含む砂利は砂利回収コンベア80に移され、最終的に地面に投下される。符号81はこうして投下された砂利を示す。バイブロスクリーン70を透過した水は集水槽90に貯留される。集水槽90に貯留された水91は図示省略したポンプにより配管100を通って砂サイクロン110に供給され、この水91がクラッシュファイア120の一端に供給されるようになっている。クラッシュファイア110では、スパイラルスクリューの回転により水91に含まれる砂が分離され、クラッシュファイア120の他端から地面に投下される。符号121はこうして投下された砂を示す。必要に応じて、砂利回収コンベア80の下方に集水槽90とは別の集水槽が設けられ、砂利回収コンベア80を透過した水はこの集水槽に貯留され、この水がクラッシュファイア120の上方に設けられる微砂サイクロンに供給され、この水がクラッシュファイア120の一端に供給される。この場合、クラッシュファイア120では、スパイラルスクリューの回転により水に含まれる微砂が分離され、クラッシュファイア120の他端から地面に投下される。この場合、砂121には微砂も含まれる。微砂サイクロンからの水はスラッジ水槽に供給される。このスラッジ水槽に貯留された水は即時脱水ユニットに送られて脱水が行われ、脱水後のスラッジ水はフィルタープレスに通されて地面に脱水ケーキが形成される。フィルタープレスから排出されるろ過水は上澄水槽30に戻される。
この洗浄水処理プラントにおいては、上澄水槽30の上澄水31をミキサー車50のドラム51のホッパー52に供給するための配管40の途中および集水槽90に貯留された水91を砂サイクロン110に供給するための配管100の途中にそれぞれコイルC1 、C2 を巻回し、交流電流供給装置20に接続する。
実施例について説明する。
図4に示す構成を有する実機の洗浄水処理プラントを実際に稼働させながら、コイルC1 、C2 および交流電流供給装置20の設置時(以下においては単に「設置時」という)および設置から約2か月後について、洗浄水または洗浄後の洗浄水の処理の効果を確認した。
図5は実機の配管40、100に相当する配管を示し、奥側の垂直方向の配管が配管40に相当し、手前の水平方向の配管が配管100に相当する。配管40、100とも口径10cmの鋼管である。図5においてはコイルC1 、C2 の大半はテーピングされていて一部しか見えない。図5には交流電流供給装置20の一部が見える。この交流電流供給装置20としては、市販されている株式会社マキシム製ドールマンショック型番MS-α1000を用いた。コイルC1 、C2 の巻き数はそれぞれ16回、単位長さ当たりの巻き数は概ね1.5回/cm、コイルC1 、C2 に流す交流電流の波形は図3Aに示すものであり、f1 ~f2 の周波数領域は4.5kHz~8kHzである。この交流電流の周波数スペクトルは図3Cに示す通りである。f1 ~f2 の周波数領域における最大電流値は約2.2A(2400mA)である。
図6Aは設置時の洗車シュート60、図6Bは設置から約2か月後の洗車シュート60を示す。図6Aおよび図6B中の「DS」はコイルC1 、C2 および交流電流供給装置20を意味する(以下同様)。図6Aに示すように、設置時には洗車シュート60の表面は生コンクリート由来の固着物で覆われている。これに対し、図6Bに示すように、設置から約2か月後では洗車シュート60の表面に付着した生コンクリート由来の固着物が広範囲にわたって剥離していることが分かる。これは、上澄水31が流れる配管40に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより洗浄水を処理した結果得られた効果である。
図7Aは設置時のバイブロスクリーン70、図7Bは設置から約2か月後のバイブロスクリーン70を示す。図7Aに示すように、設置時にはバイブロスクリーン70の篩の表面は生コンクリート由来の固着物で広範に覆われている。これに対し、図7Bに示すように、設置から約2か月後ではバイブロスクリーン70の篩の表面に付着した生コンクリート由来の固着物が広範囲にわたって剥離していることが分かる。これは、上澄水31が流れる配管40に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより洗浄水を処理した結果得られた効果である。
図8Aは設置時の集水槽90、図8Bは設置から約2か月後の集水槽90を示す。図8Aに示すように、設置時には集水槽90の鉄骨フレームの表面は生コンクリート由来の固着物で広範に覆われている。これに対し、図8Bに示すように、設置から約2か月後では集水槽90の鉄骨フレームの表面に付着した生コンクリート由来の固着物が広範囲にわたって剥離していることが分かる。これは、上澄水31が流れる配管40に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより洗浄水を処理した結果得られた効果である。
図9Aは設置時の砂利回収コンベア80、図9Bは設置から約2か月後の砂利回収コンベア80を示す。図9Aに示すように、設置時には砂利回収コンベア80の表面は生コンクリート由来の固着物で広範に覆われている。これに対し、図9Bに示すように、設置から約2か月後では砂利回収コンベア80の表面に付着した生コンクリート由来の固着物がほぼ完全に剥離していることが分かる。これは、集水槽90に貯留された水91を砂サイクロン110に供給するための配管100に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより洗浄水を処理した結果得られた効果である。
図10Aは設置時のクラッシュファイア120の内部、図10Bは設置から約2か月後のクラッシュファイア120の内部を示す。図10Aに示すように、設置時にはクラッシュファイア120の内部の壁面およびスパイラルスクリューの表面は生コンクリート由来の固着物で広範に覆われている。これに対し、図10Bに示すように、設置から約2か月後ではクラッシュファイア110の内部の壁面およびスパイラルスクリューの表面に付着した生コンクリート由来の固着物が広範囲にわたって剥離していることが分かる。これは、集水槽90に貯留された水91を砂サイクロン110に供給するための配管100に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより水91を処理した結果得られた効果である。
図11Aは設置時の砂サイクロン110のホッパーノズル部、図11Bは設置から約2か月後の砂サイクロン110のホッパーノズル部を示す。図11Aに示すように、設置時には砂サイクロン110のホッパーノズル部の先端部の表面は生コンクリート由来の固着物で覆われている。これに対し、図11Bに示すように、設置から約2か月後では砂サイクロン110のホッパーノズル部の先端部の表面に付着した生コンクリート由来の固着物が広範囲にわたって剥離し、下地が露出していることが分かる。これは、集水槽90に貯留された水91を砂サイクロン110に供給するための配管100に巻回されたコイルC1 、C2 に交流電流供給装置20により交流電流を流すことにより水91を処理した結果得られた効果である。
なお、ミキサー車50のドラム51に取り付けられたホッパー52から洗浄水を供給してドラム51内の洗浄を行ったが、ドラム51の内部の撮影は簡単に行うことができないためここでは写真を載せていない。しかし、ドラム51の内壁を目視で観察した結果、洗浄前に付着していた生コンクリート由来の固着物が洗浄後には広範囲にわたって剥離していることが確認された。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構成、形状、材料、方法などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成、形状、材料、方法などを用いてもよい。
10…配管、20…交流電流供給装置、21…電源ケーブル、30…上澄水槽、31…上澄水、40…配管、50…ミキサー車、51…ドラム、52…ホッパー、53…スクープ、60…洗車シュート、70…バイブロスクリーン、80…砂利回収コンベア、90…集水槽、100…配管、110…砂サイクロン、120…クラッシュファイア、C…ケーブル、C1 、C2 …コイル

Claims (4)

  1. 生コンクリートが収容される容器または生コンクリートが流される管の内部の洗浄に用いられる洗浄水または当該洗浄に用いられた後の洗浄水が流される管と、
    上記管の外周面の少なくとも一箇所に巻回されたコイルと、
    上記コイルに4.5kHz~8kHzの周波数領域で1秒間に2~5回直線的に周波数の増減を反復する電流値が0.5A~2.5Aの方形波の交流電流を流すための交流電流供給装置と、
    を有し、
    上記管に上記洗浄水を流しながら上記交流電流供給装置により上記コイルに上記交流電流を流すことにより、上記容器の内壁、上記管の内壁および洗浄後の上記洗浄水が流れる流路に付着した生コンクリート由来の固着物の除去および当該固着物の付着防止を行う洗浄水処理システム。
  2. 上記容器はミキサー車のドラムまたは生コンクリート製造工場のミキサーである請求項1記載の洗浄水処理システム。
  3. 上記管は生コンクリート製造工場に併設される洗浄水処理プラントにおいて上澄水を供給する管および/または集水槽と砂サイクロンとを接続する管である請求項1記載の洗浄水処理システム。
  4. 上記コイルに4.5kHz~8kHzの周波数領域で1秒間に3.5回直線的に周波数の増減を反復する電流値が2.2Aの方形波の交流電流を流す請求項1~3のいずれか一項記載の洗浄水処理システム。
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Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001038362A (ja) 1999-07-30 2001-02-13 Ska Kk 電磁界処理装置
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JP2005231339A (ja) 2004-02-22 2005-09-02 Makoto Yamada 混練水の供給装置及び生コンクリートの製造プラント
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