JP7408382B2 - 洗浄剤組成物及び洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、洗浄剤組成物及び当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法に関する。
従来、自動車・車両関連部品、機械部品、電気・電子部品、光学機器部品等の各種工業分野において扱われる部品の加工の際、(i)鉱物油等を主体とする不水溶性加工油、(ii)鉱物油等に界面活性剤を加えて水に分散させた水溶性加工油、(iii)研磨剤等の微粒子などが使用されている。
切削や研削加工などを中心に水溶性加工油が多く使用されているが、複数の加工工程を経て製造される部品は、工程毎に使用される加工油が異なることがある。加工後の部品の表面には不水溶性加工油、水溶性加工油、加工屑等の様々な汚れが混ざった状態で付着している場合が多い。
不水溶性加工油や水溶性加工油などの有機や無機の様々な汚れが付着した部品を洗浄する場合には、W/O型マクロエマルションを形成した洗浄剤を用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、沸点130~350℃の炭化水素(A)を20~60質量部と、沸点130~350℃の水に微溶であって、水酸基を有しない極性有機化合物(B)を40~80質量部と、水(C)を前記炭化水素(A)および前記水酸基を有しない極性有機化合物(B)の合計100質量部に対し1.0~100質量部の割合で含み、静置の際、前記炭化水素(A)と前記水酸基を有しない極性有機化合物(B)とが相溶した有機相と前記水(C)相とに2相分離し、洗浄の際、物理力の付加によりW/Oマクロエマルションを形成することにより、有機から無機までの幅広い汚れが洗浄可能であることを特徴とする洗浄剤組成物が開示されている。
特開2017-179287号公報
特許文献1に開示された洗浄方法に用いられる前記洗浄剤組成物のように、炭化水素(A)及び極性有機化合物(B)などの有機溶剤を含む洗浄剤組成物は、環境負荷の軽減や経済性の観点から再利用されることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の洗浄剤組成物では、洗浄に用いた後の前記洗浄剤組成物の再利用について、さらなる検討の余地がある。すなわち、特許文献1に開示された洗浄方法に用いられる前記洗浄剤組成物では、研磨工程で部品に付着する研磨粉、切り粉(金属、セラミック)等の微粒子の洗浄性能を向上させるために、水(C)のpHを1.5以下としている。そのため、洗浄に用いた後の前記洗浄剤組成物を微粒子の洗浄に再利用する際には、新たにpHが1.5以下の水を加えなければならず、洗浄剤組成物の再利用は不完全であった。加えて、微粒子の洗浄にpHが1.5以下の水を使用しているために、金属製の部品を腐食させるおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、微粒子の除去性に優れ、かつ、洗浄に用いた後に再利用が可能な洗浄剤組成物、及び当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、炭化水素系溶剤(A)と、下記一般式(C-1)で表される化合物(C)と、水(W)とを含有し、前記炭化水素系溶剤(A)と、前記化合物(C)との沸点の差が30℃以下である、洗浄剤組成物である。
Figure 0007408382000001
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1又は2のアルキル基又はアルケニル基である。Xは、単結合又は炭素原子数1~4の2価の脂肪族炭化水素基である。但し、R、R及びXの炭素原子数の総数は、4以上である。]
本発明の第1の態様に係る洗浄剤組成物において、前記炭化水素系溶剤(A)は、飽和炭化水素系溶剤であってもよい。
本発明の第1の態様に係る洗浄剤組成物において、前記炭化水素系溶剤(A)の沸点は、130~350℃であってもよい。
本発明の第1の態様に係る洗浄剤組成物において、前記化合物(C)は、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、及びアジピン酸ジメチルからなる群から選択される一種以上の化合物であってもよい。
本発明の第1の態様に係る洗浄剤組成物において、前記化合物(C)の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上であってもよい。
本発明の第1の態様に係る洗浄剤組成物は、粒子除去用洗浄剤として用いてもよい。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄された被洗浄物を前記炭化水素系溶剤(A)及び前記化合物(C)を含むすすぎ液、又は前記炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程で用いた粗すすぎ液を蒸留して、次回以降の前記洗浄工程で使用する蒸留再生工程とを有する、洗浄方法である。
本発明によれば、微粒子の除去性に優れ、かつ、洗浄に用いた後に再利用が可能な洗浄剤組成物、及び当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法を提供することができる。
図1は、清浄度の評価基準を示す図である。
(洗浄剤組成物)
本実施形態の洗浄剤組成物は、炭化水素系溶剤(A)と、一般式(C-1)で表される化合物(C)と、水(W)とを含有する。
<炭化水素系溶剤(A)>
本実施形態の洗浄剤組成物における炭化水素系溶剤(A)(以下、(A)成分ともいう)としては、脂肪族飽和炭化水素系溶剤、脂肪族不飽和炭化水素系溶剤(オレフィン系炭化水素)、脂環式炭化水素系溶剤(ナフテン系炭化水素)、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
該脂肪族飽和炭化水素系溶剤は、直鎖状の飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)であっても、分岐鎖状の飽和炭化水素系溶剤(イソパラフィン系炭化水素)であってもよい。
直鎖状の飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)としては、炭素原子数7~22の直鎖状の飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)が好ましく、炭素原子数7~16の直鎖状の飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)がより好ましく、炭素原子数9~15の直鎖状の飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)がさらに好ましい。
好適な具体例としては、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン、n-ヘキサデカン等が挙げられ、その中でも、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカンがより好ましい。
分岐鎖状の飽和炭化水素系溶剤としては、炭素原子数7~22の分岐鎖状の飽和炭化水素系溶剤(イソパラフィン系炭化水素)が好ましく、炭素原子数7~16の分岐鎖状の飽和炭化水素系溶剤(イソパラフィン系炭化水素)がより好ましく、炭素原子数9~15の分岐鎖状の飽和炭化水素系溶剤(イソパラフィン系炭化水素)がさらに好ましい。
好適な具体例としては、イソノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン(2,2,4,6,6、-ペンタメチルヘプタン等)、イソトリデカン(2,3,4-トリメチルデカン、2,3-ジメチルウンデカン、2-メチルドデカン等)、イソテトラデカン、イソヘキサデカン(2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン等)、イソオクタデカン(2-メチルヘプタデカン)等が挙げられる。
環式炭化水素系溶剤(ナフテン系炭化水素)として、具体的には、デカヒドロナフタレン、ヘキシルシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤として、具体的には、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル)ベンゼン等が挙げられる。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分は、上記の中でも、沸点が130~350℃の炭化水素系溶剤が好ましく、沸点が140~300℃の炭化水素系溶剤がより好ましく、沸点が140~250℃の炭化水素系溶剤がさらに好ましく、沸点が150~240℃の炭化水素系溶剤が特に好ましい。
(A)成分の沸点を上記の好ましい下限値以上にすることにより、引火点が高くなり、安全上好ましい。
一方、(A)成分の沸点を上記の好ましい上限値以下にすることにより、洗浄剤組成物の動粘度が適度となり、洗浄剤組成物の取り扱い性がより優れる。
また、本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分は、上記の中でも、脂肪族飽和炭化水素系溶剤が好ましく、直鎖状の脂肪族飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)がより好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における(A)成分の含有量は、例えば、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。
(A)成分の含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、不水溶性加工油の洗浄性がより向上する。
(A)成分の含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、水溶性加工油や微粒子の洗浄性がより向上する。
<化合物(C)>
本実施形態の洗浄剤組成物における化合物(C)は、下記一般式(C-1)で表される化合物(以下、(C)成分ともいう)である。
Figure 0007408382000002
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1又は2のアルキル基又はアルケニル基である。Xは、単結合又は炭素原子数1~4の2価の脂肪族炭化水素基である。但し、R、R及びXの炭素原子数の総数は、4以上である。]
式(C-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1又は2のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、及びビニル基が挙げられる。その中でも、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましく、いずれもメチル基であることがより好ましい。
式(C-1)中、Xは、単結合又は炭素原子数1~4の2価の脂肪族炭化水素基である。但し、R、R及びXの炭素原子数の総数は、4以上である。
該炭素原子数1~4の2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルカジエニレン基及びアルカトリエニレン基が挙げられる。
・炭素原子数1~4のアルキレン基
炭素原子数1~4の直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、及びテトラメチレン基[-(CH-]が挙げられる。
炭素原子数2~4の分岐鎖状のアルキレン基としては、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
・炭素原子数2~4のアルケニレン基
式(C-1)中のR及びRにおける炭素原子数2~4のアルケニレン基は、直鎖状のアルケニレン基であっても、分岐鎖状のアルケニレン基であってもよい。
炭素原子数2~4の直鎖状のアルケニル基としては、エテニレン基(ビニレン基)、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、及びブチニレン基が挙げられる。
炭素原子数3又は4の分岐鎖状のアルケニル基としては、1-メチルビニレン基、1-メチルプロペニレン基、及び2-メチルプロペニレン基が挙げられる。
式(C-1)中のR及びRにおける炭素原子数3又は4のアルカジエニレン基としては、プロパジニエレン基及びブタジエニレン基が挙げられ、炭素原子数4のアルカトリエニレン基としては、ブタトリエニレン基が挙げられる。
上記の中でも、式(C-1)中のXは、単結合又は炭素原子数1~4のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1~4の直鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数2~4の直鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]であることがさらに好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における化合物(C)として、具体的には、コハク酸ジメチル(下記化学式(C-1-1)で表される化合物)、グルタル酸ジメチル(下記化学式(C-1-2)で表される化合物)、アジピン酸ジメチル(下記化学式(C-1-3)で表される化合物)、マロン酸ジエチル(下記化学式(C-1-4)で表される化合物)、シュウ酸ジエチル(下記化学式(C-1-5)で表される化合物)が好ましく、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルがより好ましい。
Figure 0007408382000003
本実施形態の洗浄剤組成物において、(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の洗浄剤組成物において、(C)成分は、原料が安価であり、かつ、低融点であるという観点から、コハク酸ジメチルと、グルタル酸ジメチルと、アジピン酸ジメチルとの混合物を用いてもよい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上であることが好ましく、11.2質量%以上であることがより好ましく、11.9質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における(C)成分の含有量は、例えば、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、11.2質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、11.9質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、微粒子の洗浄性がより向上する。
(C)成分の含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、洗浄剤組成物の動粘度が適度となり、洗浄性が十分な洗浄剤組成物がより得られやすい。
上記の中でも、本実施形態における(C)成分において、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、及びアジピン酸ジメチルからなる群から選択される一種以上の化合物(以下、(C1)成分ともいう)の含有量が、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上であることが好ましく、11.2質量%以上であることがより好ましく、11.9質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、(C1)成分の含有量が、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における(C)成分において、(C1)成分の含有量が、例えば、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、11.2質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、11.9質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(C1)成分の含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、微粒子の洗浄性がより向上する。
(C1)成分の含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、洗浄剤組成物の動粘度が適度となり、洗浄性が十分な洗浄剤組成物がより得られやすい。
本実施形態の洗浄剤組成物において、炭化水素系溶剤(A)と、前記化合物(C)との沸点の差((A)成分の沸点から(C)成分の沸点を引いた値の絶対値)が30℃以下である。これにより、本実施形態の洗浄剤組成物を繰り返し蒸留再生しても洗浄剤組成物のロスが少なく、洗浄性能の維持がより容易となる。また、加工油等の汚れとの沸点差を大きくすることが容易となり、蒸留再生した洗浄剤組成物への汚れの混入を抑制して洗浄性能を維持することができる。
本実施形態の洗浄剤組成物における(C)成分は、上記の中でも、沸点が150~260℃の化合物であることが好ましく、沸点が160~240℃の化合物であることがより好ましく、沸点が180~230℃の化合物であることがさらに好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分と(C)成分との組み合わせとしては、沸点が140~290℃の炭化水素系溶剤((A)成分)と、沸点が150~260℃の化合物((C)成分)との組み合わせが好ましく、沸点が140~270℃の炭化水素系溶剤((A)成分)と、沸点が160~240℃の化合物((C)成分)との組み合わせがより好ましく、沸点が150~260℃の炭化水素系溶剤((A)成分)と、沸点が180~230℃の化合物((C)成分)との組み合わせがさらに好ましく、沸点が170~220℃の炭化水素系溶剤((A)成分)と、沸点が180~230℃の化合物((C)成分)との組み合わせが特に好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分及び(C)成分の沸点を上記の好ましい下限値以上にすることにより、安全上好ましくなる。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分及び(C)成分の沸点を上記の好ましい上限値以下にすることにより、被洗浄物に付着している汚れ(加工油等)との沸点差を大きくすることができるため、洗浄剤組成物を蒸留再生する際の分離効率をより高めることができる。
本実施形態の洗浄剤組成物における(A)成分と(C)成分との好適な組み合わせとして、具体的には、n-デカンとコハク酸ジメチルとの組み合わせ;n-デカンとコハク酸ジメチルとマロン酸ジエチルとの組み合わせ;n-デカンとコハク酸ジメチルとシュウ酸ジエチルとの組み合わせ;n-ウンデカンとコハク酸ジメチルとマロン酸ジエチルとの組み合わせ;n-ウンデカンとコハク酸ジメチルとシュウ酸ジエチルとの組み合わせ;n-ドデカンとコハク酸ジメチルとグルタル酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとの組み合わせ等が挙げられる。
≪水(W)≫
本実施形態の洗浄剤組成物における水(W)(以下(W)成分ともいう)としては、蒸留水、イオン交換水、水道水等を用いることが好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(W)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、(W)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における(W)成分の含有量は、例えば、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、7質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(W)成分の含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、水溶性加工油と微粒子の洗浄性がより向上する。
(W)成分の含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、不水溶性加工油の洗浄性がより向上する。
本実施形態の洗浄剤組成物は、炭化水素系溶剤(A)と、化合物(C)と、水(W)とを含有し、炭化水素系溶剤(A)、及び化合物(C)の総含有量が、水(W)の含有量より多いことが好ましく、((A)成分及び(C)成分の総含有量)/水(W)の含有量が、3.0以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、4.5以上であることがさらに好ましい。
上記(A)成分及び(C)成分の総含有量と、水(W)の含有量との比率が上記の範囲以上であれば、より洗浄性が向上する。
<任意成分>
本実施形態の洗浄剤組成物は、上述した(A)成分、(C)成分及び(W)成分を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの成分以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。該任意成分としては、極性溶剤(S)、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、防錆剤等が挙げられる。
≪極性溶剤(S)≫
本実施形態の洗浄剤組成物は、上述した(A)成分、(C)成分及び(W)成分に加えて、極性溶剤(S)(以下、(S)成分ともいう)を含有することが好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における極性溶剤(S)としては、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、モノアルコール系溶剤等のプロトン性極性溶剤;エステル系溶剤、アミド系溶剤、スルホキシド系溶剤、スルホン系溶剤、ニトリル系溶剤等の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
グリコール系溶剤として、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤として、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
モノアルコール系溶剤として、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
エステル系溶剤として、具体的には、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
アミド系溶剤として、具体的には、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ブチルプロルドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
スルホキシド系溶剤として、具体的には、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
スルホン系溶剤として、具体的には、スルホラン等が挙げられる。
ニトリル系溶剤として、具体的には、アセトニトリル等が挙げられる。
本実施形態の洗浄剤組成物における極性溶剤(S)としては、上記の中でも、水溶性が低い極性溶剤であることが好ましい。ここで、水溶性が低い極性溶剤とは、水と極性溶剤とを1:1(質量比)で混合し、分液した場合、水層に含まれる該極性溶剤の含有量が、水層に含まれる溶液全量に対して、10質量%未満である極性溶剤である。詳細な試験方法は下記に示す通りである。
極性溶剤と蒸留水の20℃における屈折率をアタゴ社製自動屈折計RX-5000α-Plusにて測定する。具体的には、20mLスクリュー管瓶に、該極性溶剤5gと蒸留水5gを計量し、室温で一時間攪拌する。一晩静置後、上層と下層を採取し、20℃における屈折率をアタゴ社製自動屈折計RX-5000α-Plusにて測定する。試料と蒸留水と上層または下層との屈折率から水層に含まれる該極性溶剤の濃度を算出する。
上記水溶性が低い極性溶剤として、具体的には、エステル系溶剤又はグリコールエーテル系溶剤が好ましく、酢酸3-メトキシ-3-メチルブチル(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、プロピレングリコールモノブチルエーテル又はエチレングリコールモノヘキシルエーテルがより好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(S)成分1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の洗浄剤組成物における(S)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、(S)成分の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における(S)成分の含有量は、例えば、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(S)成分の含有量が上記の好ましい範囲の下限値以上であれば、(A)成分、(C)成分及び(W)成分のそれぞれの分散性をより向上させることができる。
(S)成分の含有量が上記の好ましい範囲の上限値以下であれば、他の成分とのバランスが取れ、洗浄性がより向上する。
上記極性溶剤(S)以外の任意成分として、具体的には、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系等の酸化防止剤;ニトロ化合物、エポキシ化合物、フェノール類、イミダゾール類、アミン類、リン化合物類、硫黄化合物類、含窒素アルコール化合物等の安定剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、多価アルコール部分エステル、金属スルフォネート、アミン類等の防錆剤などが挙げられる。
本実施形態の洗浄剤組成物の製造方法としては、例えば、上述した炭化水素系溶剤(A)、及び化合物(C)を所定量計量し、混合、撹拌した後に水(W)を添加することにより製造することができる。なお、炭化水素系溶剤(A)、及び化合物(C)に加えて上述した任意成分を混合してもよい。具体的には、炭化水素系溶剤(A)、及び化合物(C)を均一に撹拌混合した後に、水(W)を添加し、撹拌や超音波照射等の物理力を加えることで、本実施形態の洗浄剤組成物を製造することができる。
より具体的な、本実施形態の洗浄剤組成物の製造方法としては、炭化水素系溶剤(A)、及び上記一般式(C-1)で表される化合物(C)を均一に撹拌混合した後に、水(W)を添加し、撹拌や超音波照射等の物理力を加えることで、W/O型のエマルションである洗浄剤組成物を製造することができる。
また、本実施形態の洗浄剤組成物の製造方法としては、例えば、炭化水素系溶剤(A)、上記一般式(C-1)で表される化合物(C)及び極性溶媒(S)を均一に撹拌混合した後に、水(W)を添加し、撹拌や超音波照射等の物理力を加えることで、W/O型のエマルションである洗浄剤組成物を製造する方法であってもよい。
以上説明した本実施形態の洗浄剤組成物は、炭化水素系溶剤(A)と、化合物(C)と、水(W)とを含有する。本実施形態の洗浄剤組成物は、炭化水素系溶剤(A)と水(W)とを含有するため、洗浄性が高く、極性の高低によらず様々な汚れを洗浄することができる。加えて、本実施形態の洗浄剤組成物は、キレート剤として汚れを挟み込んで引き離すことができる化合物(C)を含有するため、従来の洗浄剤組成物では洗浄することが困難であった微粒子の洗浄性にも優れる。さらに、本実施形態の洗浄剤組成物における炭化水素系溶剤(A)と、化合物(C)との沸点の差が30℃以下であるため、蒸留再生が可能である。
本実施形態の洗浄剤組成物は、特に研磨工程で部品に付着する研磨粉、切り粉(金属、セラミック)等の微粒子を除去するための洗浄剤として用いるのに有用である。
(洗浄方法)
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄された被洗浄物を前記炭化水素系溶剤(A)及び前記化合物(C)を含むすすぎ液、又は前記炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程で用いた粗すすぎ液を蒸留して、次回以降の前記洗浄工程で使用する蒸留再生工程とを有する、洗浄方法である。
[洗浄工程]
洗浄工程は、上述した第1の態様に係る洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物を洗浄する工程である。
洗浄工程として、具体的には、被洗浄物を上述した第1の態様に係る洗浄剤組成物に浸漬洗浄する方法が挙げられる。また、該浸漬洗浄の際に、洗浄効果を高めるために、撹拌、揺動、超音波照射、噴流、エアバブリング又はこれらの組み合わせを行うことが好ましい。
浸漬洗浄の際に、超音波を照射する場合、超音波の照射条件は、発振周波数20~100KHz、発振出力0.1~200W/Lが好ましい。
上記洗浄工程の洗浄時間は、15秒~30分が好ましく、30秒~15分がより好ましい。
上記洗浄工程の洗浄温度は、20~90℃であることが好ましい。
被洗浄物としては、電子・電気部品、光学部品、精密機械部品、自動車部品等の各種部品が挙げられる。
電気・電子部品としては、プリント配線基板、セラミック配線基板等の配線基板;リードフレーム等の半導体パッケージ部材;リレー、コネクターなどの接点部材;液晶、プラズマディスプレイ等の表示部品;ハードディスク記憶媒体、磁気ヘッド等の磁気記憶部品;水晶振動子等の圧電部品;モータ、ソレノイド等の電動機部品;センサー部品;リチウムイオン電池等の電池缶などが挙げられる。
光学部品としては、眼鏡、カメラ用などのレンズ、その筐体などが挙げられる。
精密機械部品としては、航空機、工作機械等に用いられる精密ベアリングなどの部品が挙げられる。
自動車部品としては、自動車のエンジン部に使われる燃料噴射用のニードルや駆動部分のギヤなどが挙げられる。
被洗浄物に付着している汚れとしては、上述した各種部品の加工時に付着する金属切削屑、樹脂バリ屑、研磨屑、研磨砥粒、ハンダ屑、セラミック屑等の微粒子;鉱油等からなる加工油;機械油;植物油;ワックス;松脂;油脂;グリース;フラックス等が挙げられる。
本実施形態の洗浄方法は、微粒子が付着した被洗浄物を洗浄するのに有用な方法である。
[すすぎ工程]
すすぎ工程は、前記洗浄剤組成物が付着した被洗浄物を、前記炭化水素系溶剤(A)、及び前記化合物(C)を含有するすすぎ液、又は、前記炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐ工程である。
すすぎ液が含有する炭化水素系溶剤(A)としては、炭素原子数9~15の直鎖状の脂肪族飽和炭化水素系溶剤(ノルマルパラフィン系炭化水素)が好ましい。
すすぎ工程に用いられるすすぎ液が含有する炭化水素系溶剤(A)は、上記洗浄工程に用いられる洗浄剤組成物が含有する炭化水素系溶剤(A)と同一であっても、異なっていてもよい。すすぎ液が含有する炭化水素系溶剤(A)と、洗浄剤組成物が含有する炭化水素系溶剤(A)とがそれぞれ異なる場合は、すすぎ液が含有する炭化水素系溶剤(A)の方が、洗浄剤組成物が含有する炭化水素系溶剤(A)よりも沸点が低いことが好ましい。
また、すすぎ工程に用いられるすすぎ液が含有する炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)は、上記洗浄工程に用いられる洗浄剤組成物が含有する炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)と同一であってもよく、後述する蒸留再生工程によって得られる炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)を用いても良い。
また、すすぎ工程に用いられるすすぎ液は、上述した洗浄剤組成物から水(W)を除去した溶液でもよい。水を除去する方法として、具体的には、比重差分離法、吸着分離法、気化除去法が挙げられる。
比重差分離法は、(W)成分と、(W)成分以外の成分((A)成分、(C)成分等)との比重差を利用して分離する方法である。具体的には、静置分離、遠心分離等の分離方法を単独又は複数を組み合わせて、(W)成分と、(W)成分以外の成分とを分離する。
該遠心分離を行うために使用する装置としては、デカンター型、バスケット型、ディスク型、サイクロン型等の遠心分離機が挙げられる。その中でも、サイクロン型の遠心分離機は、構造が簡単で可動部を持たず小型化しやすいため好ましく、ディスク型の遠心分離機は、高遠心力を得やすく微細水滴を安定的に除去しやすいため好ましい。
吸着分離法は、(W)成分と、(W)成分以外の成分((A)成分、(C)成分等)との親水性(疎水性)の違いを利用して分離する方法である。具体的には、油分吸着又は水分吸着フィルターによる油水分離や、吸水性ポリマー等の有機物による油水分離、活性炭や珪藻土などの無機物による油水分離等を単独又は複数を組み合わせて、(W)成分と、(W)成分以外の成分とを分離する。
気化除去法は、(W)成分を気化させることにより、(W)成分と、(W)成分以外の成分((A)成分、(C)成分等)とを分離する方法である。具体的には、減圧、加温、気液接触、超音波照射などから単独又は複数を組み合わせて行い、水を気化させて排出し、(W)成分と、(W)成分以外の成分とを分離する。
上記すすぎ工程の際に、すすぎ効果を高めるために、撹拌、揺動、超音波照射、噴流、エアバブリング又はこれらの組み合わせを行うことが好ましい。
すすぎ工程の際に、超音波を照射する場合、超音波の照射条件は、発振周波数20~100KHz、発振出力0.1~200W/Lが好ましい。
上記すすぎ工程のすすぎ時間は、15秒~30分が好ましく、30秒~15分がより好ましい。
上記すすぎ工程のすすぎ温度は、20~90℃であることが好ましい。
すすぎ工程は、一回でもよく、複数回繰り返してもよい。また、すすぎ工程を繰り返す場合、すすぎ液の組成は、同一であっても、異なっていてもよい。
すすぎ工程を複数回行う方法としては、例えば、一回又は複数回上述したすすぎ液のいずれかのすすぎ液ですすぎ工程を行った後、最終的に炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐ方法が挙げられる。
[蒸留再生工程]
蒸留再生工程は、前記すすぎ工程で用いた粗すすぎ液を蒸留して、次回以降の前記洗浄工程で使用する工程である。ここで、粗すすぎ液とは、上記すすぎ工程で用いた汚染されたすすぎ液を意味する。
具体的には、炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)を含むすすぎ液ですすぎ工程を行った場合は、炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)を含む粗すすぎ液を蒸留再生し、炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)からなる溶液を得て、それらを次回以降の洗浄工程で使用する工程である。蒸留再生工程によって得られた炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)からなる溶液を次回以降の洗浄工程で使用する場合、その溶液に水(W)を適宜添加すればよい。
また、炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぎ工程を行った場合は、炭化水素系溶剤(A)を含む粗すすぎ液を蒸留再生し、炭化水素系溶剤(A)からなる溶液を得て、それを次回以降の洗浄工程で使用する工程である。蒸留再生工程によって得られた炭化水素系溶剤(A)を次回以降の洗浄工程で使用する場合、その溶液に化合物(C)及び水(W)を適宜添加すればよい。
蒸留再生工程は、粗すすぎ液をすすぎ槽から取り出してバッチ式で蒸留してもよく、すすぎ槽に蒸留機を設けて連続して粗すすぎ液を蒸留してもよい。
本実施形態の蒸留再生工程は、蒸留再生したすすぎ液を、次回以降の洗浄工程のみではなく、さらに次回以降のすすぎ工程で用いてもよい。
また、本実施形態の蒸留再生工程は、粗すすぎ液の蒸留再生のみではなく、さらに汚染された洗浄液(以下、「粗洗浄剤組成物」という)を蒸留再生してもよい。
すなわち、本発明の第2の態様における洗浄方法は、上述した第1の態様に係る洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄された被洗浄物を前記炭化水素系溶剤(A)及び前記化合物(C)を含むすすぎ液、又は前記炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐすすぎ工程と、前記洗浄工程で用いた粗洗浄剤組成物に含まれる炭化水素系溶剤(A)及び化合物(C)、並びに、前記すすぎ液工程で用いた粗すすぎ液をそれぞれ蒸留して、次回以降の前記洗浄工程及びすすぎ工程で使用する蒸留再生工程とを有する、洗浄方法であってもよい。
なお、本実施形態の洗浄方法は、上述した洗浄工程、すすぎ工程及び蒸留再生工程に加えて、被洗浄物を乾燥する仕上げ工程を有することが好ましい。
[仕上げ工程]
仕上げ工程は、すすぎ工程を行った後の被洗浄物を乾燥する工程である。乾燥方法としては、特に限定されず、温風、吸引及び減圧により乾燥する方法が挙げられる。また、加熱できない金属部品を乾燥する場合には、部品を回転させる液切り乾燥、高圧エアーでのブロー乾燥、ハロゲン系溶剤などの低沸点溶剤での置換乾燥を行うこともできる。
以上説明した本実施形態の洗浄方法は、上述した洗浄剤組成物が用いられているため、微粒子の除去性に優れ、かつ、洗浄に用いた後に上述した洗浄剤組成物を再利用が可能なため、環境負荷が低減され、経済的にも優れる。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<洗浄剤組成物の製造>
表1~4に示す各成分を混合し、各例の洗浄剤組成物を調製した。
なお、該洗浄剤組成物が(W)成分を含有する場合は、(W)成分以外の成分を均一に撹拌混合した後、(W)成分を加え、超音波洗浄機(28kHz、100W、30分)を用いて超音波照射を行い、洗浄剤組成物を製造した。
[清浄度の評価]
アルミ板を切削加工し、アルミ切削屑等が表面に付着したアルミ板を被洗浄物とした。
該被洗浄物を各例の洗浄剤組成物100mlに浸漬し、超音波洗浄器(商品名:W-113、本多電子社製)を用いて、45kHz、室温(27℃)で10分間洗浄した。次いで、洗浄後の被洗浄物を別途用意した各例の洗浄剤組成物100mlに浸漬し、上記と同じ超音波洗浄器を用いて、28kHz、室温(27℃)で30秒間すすぎ洗浄した。次いで、すすぎ洗浄を行った被洗浄物を80℃で30分間乾燥した。乾燥後の被洗浄物を目視で観察し、以下の基準で清浄度を評価した。その結果を表1~4に示す。
また、下記の評価基準の参考図を図1に示す。
<評価基準>
A:被洗浄物の表面に汚れが観察されない
B:被洗浄物の表面に汚れが多少観察される
C:被洗浄物の表面に多くの汚れが観察される
-:各成分の相溶性が低く、均一な溶液が得られなかったため、評価を行っていない
[蒸留再生性の評価]
各例の洗浄剤組成物について、電子水分計(島津製作所 MOC-120H)を用いて、140℃で30分間加熱し、不揮発分を測定した。該不揮発分の量から以下の基準で蒸留再生性を評価した。その結果を表1~4に示す。
<評価基準>
A:不揮発分の量が0.1質量部未満である(蒸留再生可能)
B:不揮発分の量が0.1質量部以上である(蒸留再生不可)
Figure 0007408382000004
Figure 0007408382000005
Figure 0007408382000006
Figure 0007408382000007
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は洗浄剤組成物全量に対する含有量(質量%)である。
(A)-1:ノルマルデカン
(A)-2:ノルマルドデカン
(A)-3:ノルマルウンデカン
(C)-1:コハク酸ジメチル
(C)-2:コハク酸ジメチル、グルタミン酸ジメチル、及びアジピン酸ジメチルの混合物(商品名:414ソルベント、大伸化学社製)
(C)-3:マロン酸ジエチル
(C)-4:シュウ酸ジエチル
(W)-1:蒸留水
(S)-1:エチレングリコールモノヘキシルエーテル
(S)-2:プロピレングリコールモノブチルエーテル
(S)-3:3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート
Add-1:マロン酸ジメチル
Add-2:牛脂トリメチレンジアミンオレイン酸塩
Add-3:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
表1に示す通り、実施例の洗浄剤組成物は、微粒子の清浄度が高く、かつ、不揮発分の量が0.1質量部未満であり、蒸留再生が可能であることが確認できる。
表2~4に示す比較例の洗浄剤組成物において、(W)成分を含有しないものは、(A)成分、(C)成分、(S)成分の種類や含有量を変更しても、微粒子の清浄度が十分ではなかった。
(W)成分を含有しているが、本願発明の(C)成分には該当しない二塩基酸エステルを含有する比較例18の洗浄剤組成物は、他の比較例の洗浄剤組成物よりは微粒子の清浄度が優れていたが、実施例の洗浄剤組成物よりは微粒子の清浄度が劣っていた。
特定の界面活性剤を含む比較例25の洗浄剤組成物は、微粒子の清浄度は優れているが、該界面活性剤は不揮発性であるため、蒸留再生性に劣っていた。
以上より、本実施形態の洗浄剤組成物は、微粒子の除去性に優れ、かつ、洗浄に用いた後に再利用が可能であることが確認できる。

Claims (6)

  1. 炭化水素系溶剤(A)と、下記一般式(C-1)で表される化合物(C)と、水(W)とを含有し、
    前記炭化水素系溶剤(A)と、前記化合物(C)との沸点の差が30℃以下であり、
    前記炭化水素系溶剤(A)の沸点は、130~350℃であり、
    電子水分計を用い140℃にて30分間加熱した際の不揮発分の量が0.1質量部未満である、洗浄剤組成物。
    Figure 0007408382000008
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1又は2のアルキル基又はアルケニル基である。Xは、単結合又は炭素原子数1~4の2価の脂肪族炭化水素基である。但し、R、R及びXの炭素原子数の総数は、4以上である。]
  2. 前記炭化水素系溶剤(A)は、飽和炭化水素系溶剤である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  3. 前記化合物(C)は、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、及びアジピン酸ジメチルからなる群から選択される一種以上の化合物である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
  4. 前記化合物(C)の含有量は、洗浄剤組成物全量100質量%に対して、10.5質量%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
  5. 粒子除去用洗浄剤として用いる、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄された被洗浄物を前記炭化水素系溶剤(A)及び前記化合物(C)を含むすすぎ液、又は前記炭化水素系溶剤(A)からなるすすぎ液ですすぐすすぎ工程と、
    前記すすぎ工程で用いた粗すすぎ液を蒸留して、次回以降の前記洗浄工程で使用する蒸留再生工程とを有する、洗浄方法。
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