JP7406356B2 - 煙感知器 - Google Patents
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Description
従来の火災報知システムを構成する煙感知器には、ブザーのような鳴動手段は設けられていないが、住宅用の煙感知器には、感知器のハウジングケース内にブザーを内蔵させるようにしたものがある(例えば特許文献1)。また、自機が煙を検知していない場合であっても、他の感知器が煙を検知すると連携してブザーを鳴動させるものもある。
例えば特許文献1に記載されている煙感知器の発明においては、感知器のハウジングケース内にブザーを設ける場合、ブザー音が外部で明瞭に聞こえるようにするためケースに通気孔を形成することとなるが、ケースに通気孔を形成した場合には、その通気孔からケース内に煙の一部が流入することで煙感知部へ流入する煙の量が減少して検出感度が低下(変動)することとなるので、それを防止するために、通気孔の感知部から遠い側の縁部に下向きに突出した防煙用の突片を設けるようにしている。
このように、ブザー鳴動中に煙濃度の測定を行う場合、非鳴動中の測定とは測定環境が異なることで、測定結果に影響が及ぶおそれがある。
本体ベースと該本体ベースの上側を覆うカバー部材とからなる筐体の内部に、監視対象の変化を検出する素子および該素子からの信号に基づいて煙濃度に関連する物理量を測定する測定回路および制御回路が実装された回路基板が収納され、前記筐体の内部に連続音を発生する鳴動手段が設けられてなる煙感知器において、
前記回路基板には、前記鳴動手段を駆動する駆動回路が設けられ、
前記制御回路は、前記駆動回路を制御して前記鳴動手段の鳴動中に、前記測定回路を制御して測定を実行させる場合に、前記鳴動手段の鳴動音の音量レベルを段階的に変化させ、前記鳴動音が変動範囲内において前記音量レベルが最小となる期間で前記測定回路による濃度測定を実行させるように構成され、
前記鳴動音を段階的に変化させる際の1段階あたりの音量変化は5%以下に設定されているようにしたものである。
前記記憶回路には、前記鳴動音の音量変化の位相が異なる複数の変化パターンのデータが記憶され、
前記制御回路は、
所定の周期で前記測定回路による濃度測定を実行させるとともに、
外部の装置からの鳴動要求に応じて前記駆動回路を制御して前記鳴動手段を鳴動させる際に、前記鳴動要求から前記測定回路による濃度測定タイミングまでの時間に応じた変化パターンのデータを前記記憶回路より読み出し、読み出した変化パターンで前記駆動回路を制御して前記鳴動手段の鳴動音の音量レベルを変化させ、前記鳴動音が変動範囲内において前記音量レベルが最小となる期間で前記測定回路による濃度測定を実行させるように構成する。
かかる構成によれば、各感知器が他の感知器からの連携鳴動の要求に応じて鳴動音を発生することができる火災感知システムにおいて、鳴動中における煙濃度の測定値が非鳴動中における測定値からずれるのを抑制することができる。
前記駆動回路はパルス幅変調方式で前記鳴動手段を駆動するように構成され、前記変化パターンのデータは各パルスのデューティ比を表わす情報であるようにする。
かかる構成によれば、鳴動手段を駆動するパルスのデューティ比を変えるだけで鳴動音を段階的に変化させることができ、1段階あたりの音圧変化量を容易に設定することができる。また、音圧(音量レベル)が変化される鳴動音の各段階における所要時間は同一であるため、違和感を与えることが少なくなる。
かかる構成によれば、感知器が予備鳴動と本警報の鳴動を実行する機能を有し予備鳴動中においても煙濃度の測定を行う場合に、煙濃度の測定値が非鳴動中における測定値からずれるのを抑制することができる。
本実施形態の光電式煙感知器(以下、単に感知器と記す)10は、火災に伴い発生した煙を感知可能な感知器であり、建造物の天井面などに設置されて使用されるように構成されている。なお、以下の説明では、感知器10を建造物の天井面に設置した状態で上になる側を下側、下になる側を上側とする。
第1実施例の感知器10は、図1に示すように、感知部を収容するための収容凹部11Aを有し建造物の天井面に取り付けるための円筒状の本体ベース11と、ドーム状をなし前記本体ベース11の上側全体を覆う感知器カバー12と、感知器カバー12の中央に形成されている開口部を覆うヘッドカバー21とを備え、本体ベース11と感知器カバー12とにより内部に収容空間を有する筐体が形成される。
図2に示すように、煙感知器の回路(13)は、CPU(中央処理装置)とROMやRAMなどのメモリおよび発振器を内蔵しROMに格納されているプログラムに従って動作するMCU(マイクロコンピュータユニット)などからなる制御回路31と、図示しない火災受信機から延設された伝送線40からの電圧を受けて制御回路31を含む内部回路の動作電圧を生成する電源回路としての定電圧回路(電圧レギュレータ)32と、暗箱内に配設された上記受光素子19Bの信号に基づいて煙濃度を測定する煙濃度測定回路33と、該煙濃度測定回路33の出力信号を増幅する増幅回路34と、伝送線40を介して火災受信機との間で信号の送受信を行う伝送回路(I/F)35を備える。
また、本実施形態の煙感知器は、発光ダイオードと光放出部材23とからなる表示灯22を点灯駆動する表示灯駆動回路36と、鳴動手段としての圧電ブザー24を鳴動駆動するブザー駆動回路37と、圧電ブザー24を鳴動させて発生する音圧(音量レベル)の変化パターンを記憶するパターン記憶回路38を備えている。音圧変化パターンは、制御回路31のメモリ(ROM)に記憶しても良い。
火災受信機は感知器から煙濃度測定値を受信すると、煙濃度値またはその変化率が予め設定しておいたしきい値を超える場合に火災発生と判断して、警告表示処理や警報用ベルの鳴動処理、連動処理を実行して火災発生を報知する。具体的には、火災受信機は伝送線40を介して各感知器へコマンドを送信することで、圧電ブザー24を鳴動させたり、停止させたりすることができる。
図3(a),(c)に示すように、タイミングt1で煙感知器へのブザー鳴動制御信号が立ち上がると、制御回路31よりブザー駆動回路37へ供給される鳴動制御信号がハイレベルに変化される。これにより、圧電ブザー24は例えば3m離れた位置で65dBとなるような音量レベルで鳴動を開始する。
すると、ブザー駆動回路37は、供給された音圧変化パターンに応じて例えばPWM(パルス幅変調)方式の鳴動駆動信号を生成して圧電ブザー24を駆動し、鳴動音の音圧を変化させる。そして、図3(e)に示すように、鳴動音の音圧レベルが最も低くなる期間Tsの開始直後のタイミングt3で、測定制御信号(パルス)が煙濃度測定回路33へ供給されて煙濃度測定が実行される。
図3(f)に示すデューティ比A,B,C,Dは、それぞれ鳴動駆動パルスのデューティ比すなわち周期Tsに対するパルス幅が異なることを意味しており、図4に示すように、A→B→C→Dの順に、デューティ比(パルス幅)が小さくなるように設定されている。そのため、図3(F)に示すように鳴動駆動信号のデューティ比を変化させると、図3(e)に示すように音圧のレベルが周期的に大小変化することとなる。また、デューティ比の変化周期は濃度測定周期と同じであり、濃度測定周期が例えば5秒の場合、音圧1段階あたり0.625秒の鳴動期間となるように設定される。
また、デューティ比と音圧との関係は使用するデバイスの特性によって異なり、デューティ比が25%と75%で最も音圧が高くなり、50%で最も音圧が低くなるものもあるので、デューティ比の変化は使用するデバイスの特性に応じて決定すれば良い。
さらに、周囲音の周波数によっても聴き取り易さが異なるので、周囲音の周波数に応じて1段階の変化量を変えるように制御しても良い。また、周囲音の周波数に応じて、発生する鳴動音の周波数を変えるようにしても良い。
図5のコマンド処理においては、先ず火災受信機からコマンドを受信したか否か判定する(ステップS1)。ここで、コマンドを受信した(Yes)と判定するとステップS2へ進み、ブザー鳴動コマンドを受信したか否か判定し、ブザー鳴動コマンドを受信した(Yes)と判定するとステップS3へ進み、煙濃度測定回路33による煙濃度の測定中であるか否か判定する。
上記のような手順に従った制御を行うことで、鳴動中における煙濃度測定による測定値のずれを抑制することができる。なお、図示しないが、動作クロックの誤差によりに測定周期がずれてしまわないように、コマンドを受信するたびにタイマーをリセットして、周期を維持できるようにしても良い。
第2実施例の感知器は、火災発生を検知した他の感知器からの鳴動要求(連携信号)に応じてブザーを鳴動させるとともに、連携による鳴動中においても煙濃度測定を実施できるように構成したものであり、感知器10の構成は図1に示すものとほぼ同じである。
図6には、第2実施例の煙感知器の回路の機能ブロック図が示されている。図2に示されている第1実施例の煙感知器の回路との差異は、第1実施例の煙感知器では伝送線(感知器回線)40に接続され受信機との間で信号の伝送を行う伝送回路(I/F)35が設けられているのに対し、第2実施例の煙感知器では他の感知器からの連携信号を受けるとともに他の感知器へ連携信号を送信する連携信号送受信回路35’が設けられている点にある。
煙感知器の動作手順は、図3のタイミングチャートや図5のフローチャートと同様であり、本実施例では、連携信号送受信回路35’が他の感知器からの連携信号を受けると、制御回路31がブザー駆動回路37を駆動制御して圧電ブザー24を鳴動させるとともに、連携によるブザー鳴動中も煙濃度測定を実施するように構成されており、第1実施例と同様に、煙濃度測定の割込みが入ると、所定の音圧変化パターンを読み込んで圧電ブザー24の鳴動音の音圧を段階的に下げ、音圧が最も低くなったタイミングで煙濃度測定を実行する。煙感知器の煙濃度測定が一定時間毎に定期的に行われる場合は、煙濃度測定タイミングに音圧が最も低くなるパターンを設定し、煙濃度測定を実行する。そして、このような制御を行うことで、鳴動中における煙濃度測定による測定値のずれを抑制することができる。なお、連携信号の送信元と送信先の「他の感知器」は同一の感知器でも良いし、異なる感知器でも良い。
第3実施例の感知器は、外部からの鳴動要求に応じてブザーを鳴動させる機能は備えていない代わりに、測定した煙濃度が火災発生と判断するレベルよりも低い所定のレベルに達したときに予備鳴動を実行し、この予備鳴動中においても煙濃度測定を実施するように構成したものであり、感知器10の構成は、図1に示すものとほぼ同じである。
図7には、第3実施例の煙感知器の回路の機能ブロック図が示されている。図2に示されている第1実施例や図6の第2実施例の煙感知器との差異は、伝送回路(I/F)35も連携信号送受信回路35’も設けられていない点とパターン記憶回路38を有していない点にある。また、この第3実施例の煙感知器では、第2実施例と同様、バッテリーを備えた電源回路32’が設けられている。
第3実施例の感知器の制御回路31は、図8(a)に示したタイミングt1で煙濃度測定のタイマー割込み(濃度測定要求)が入ると、図8(a)に示したタイミングt1に合わせて煙濃度測定制御が入り煙濃度の測定が行われる。煙濃度の測定結果として予備鳴動に対応した所定レベルが得られた時には、図8(b)に示されるようにブザー駆動回路37を駆動してタイミングt2でブザー鳴動制御信号を立ち上げ、圧電ブザー24を鳴動させる。
なお、本実施例では、音圧変化の各段の期間Tsを一定にした制御の場合、音圧レベルが最も高い期間Taは煙濃度測定周期Tfに応じて適宜な長さ(可変長)に設定される。
また、上記実施形態では、本発明を、発光素子と受光素子を有する煙感知器に適用したものを説明したが、本発明はそれに限定されず、赤外線を検知する焦電素子、サーミスタのような感熱素子あるいはCOなどの有害ガスを検知するガスセンサ等の素子およびこれらの素子からの信号を増幅する増幅回路が実装された感知器にブザーを設ける場合に広く利用することができる。
11 本体ベース
12 感知器カバー
13 回路基板
14 暗箱基台
16 暗箱カバー
19A 発光素子
19B 受光素子
21 ヘッドカバー
24 圧電ブザー(鳴動手段)
31 制御回路
33 煙濃度測定回路(測定回路)
37 ブザー駆動回路(駆動回路)
Claims (5)
- 本体ベースと該本体ベースの上側を覆うカバー部材とからなる筐体の内部に、監視対象の変化を検出する素子および該素子からの信号に基づいて煙濃度に関連する物理量を測定する測定回路および制御回路が実装された回路基板が収納され、前記筐体の内部に連続音を発生する鳴動手段が設けられてなる煙感知器において、
前記回路基板には、前記鳴動手段を駆動する駆動回路が設けられ、
前記制御回路は、前記駆動回路を制御して前記鳴動手段の鳴動中に、前記測定回路を制御して測定を実行させる場合に、前記鳴動手段の鳴動音の音量レベルを段階的に変化させ、前記鳴動音が変動範囲内において前記音量レベルが最小となる期間で前記測定回路による濃度測定を実行させるように構成され、
前記鳴動音を段階的に変化させる際の1段階あたりの音量変化は5%以下に設定されていることを特徴とする煙感知器。 - 前記回路基板には、外部の装置からの要求を受信可能な伝送回路および記憶回路が設けられ、
前記記憶回路には、前記鳴動音の音量変化の位相が異なる複数の変化パターンのデータが記憶され、
前記制御回路は、
所定の周期で前記測定回路による濃度測定を実行させるとともに、
外部の装置からの鳴動要求に応じて前記駆動回路を制御して前記鳴動手段を鳴動させる際に、前記鳴動要求から前記測定回路による濃度測定タイミングまでの時間に応じた変化パターンのデータを前記記憶回路より読み出し、読み出した変化パターンで前記駆動回路を制御して前記鳴動手段の鳴動音の音量レベルを変化させ、前記鳴動音が変動範囲内において前記音量レベルが最小となる期間で前記測定回路による濃度測定を実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の煙感知器。 - 前記制御回路は、前記駆動回路を制御して前記鳴動手段を鳴動させる際に、他の煙感知器に対して連携して鳴動することを要求する信号を出力可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の煙感知器。
- 音圧が変化される前記鳴動音の各音量レベルにおける所要時間は同一であり、
前記駆動回路はパルス幅変調方式で前記鳴動手段を駆動するように構成され、前記変化パターンのデータは各パルスのデューティ比を表わす情報であることを特徴とする請求項2または3に記載の煙感知器。 - 前記制御回路は、所定の周期で前記測定回路による濃度測定を実行させるとともに、前記測定回路の測定値が所定の第1レベルよりも高い場合に前記駆動回路を制御して前記鳴動手段を予備鳴動させ、該予備鳴動の開始後においても前記測定回路よる濃度測定を実行させて、前記測定回路の測定値が前記第1レベルよりも高い第2レベルよりも高い場合に前記駆動回路を制御して前記鳴動手段を本警報鳴動させるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の煙感知器。
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