JP7402478B2 - 神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3a発現促進剤 - Google Patents

神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3a発現促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、天然物由来成分を有効成分とする神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3A発現促進剤に関するものである。
痒みは、乾燥、異物等による刺激、アトピー性皮膚炎など、多様な原因で生じ、ヒスタミン等のケミカルメディエーターが関与することが知られており、これらケミカルメディエーターを抑制すべく抗ヒスタミン剤等が使用される。しかし、抗ヒスタミン剤等が奏功しない痒み(難治性痒み)も知られていることから、ヒスタミン等の関与しない痒みのメカニズムも存在すると考えられている。
痒みや痛みを伝達する神経線維(C線維)は、正常皮膚では表皮真皮境界部で終焉しているが、近年、アトピー性皮膚炎の皮膚や乾燥肌(ドライスキン)などにおいては神経線維が皮膚の表皮内、特に角層直下まで伸長していることが見出されている。このような状態が、機械的、化学的、物理的刺激などの外的刺激により神経線維が容易に活性化され、痒みや痛みが知覚されやすい所謂敏感肌の症状と深く関与しているものと考えられている。
神経線維の表皮内伸長には、神経伸長因子である神経成長因子(nerve growth factor;NGF)や、神経反発因子であるセマフォリン3A(Sema3A)の関与が知られている。正常皮膚ではSema3AがNGFより優位になっているため神経線維は表皮内に伸長できないが、アトピー性皮膚炎やドライスキンなどにおいてはNGFがSema3Aより優位になっており、このため神経線維が表皮内に侵入しているものと考えられている(非特許文献1参照)。
このため、NGFによる神経伸長作用を抑制し、あるいはSema3Aによる神経反発作用を促進することができれば、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌などにおける痛みや痒みを抑制することができると考えられる。
NGFの発現を抑制する成分として、レモングラス抽出物等が提案されている(特許文献1参照)。
一方、Sema3Aタンパク質を皮膚炎モデルマウスに皮内投与すると、皮疹が改善し掻痒性も低減することが報告されており(特許文献2参照)、Sema3Aの発現を促進する成分としてオウゴンエキス等が提案されている(特許文献3参照)。
また、最近、Sema3Aが破骨細胞の分化抑制と骨芽細胞の分化促進とを同時に行うことで骨量を増加する作用(骨保護作用)を示すことが明らかとなっており、Sema3Aは骨吸収抑制と骨形成促進との2つの側面を兼ね備えた薬剤としての応用が期待されている(非特許文献2)。
特開2016-190823号公報 特開2008-297243号公報 特開2016-193863号公報
"ドライスキンとかゆみ",日本香粧品学会誌,2014年,vol.38,no.2,pp.92-95 Nature,2012年,vol.485,issue 7396,pp.69-74
本発明は、安全性の高い天然物由来成分の中から、優れた神経成長因子発現抑制作用またはセマフォリン3A発現促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とする神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3A発現促進剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3A発現促進剤は、ラベンダーからの抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明に係る敏感肌用皮膚外用剤は、前記神経成長因子発現抑制剤および/または前記セマフォリン3A発現促進剤を配合したことを特徴とする。
本発明によれば、天然物に由来するラベンダーからの抽出物を有効成分として用いることにより、作用効果に優れ、かつ安全性の高い神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3A発現促進剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の神経成長因子発現抑制剤およびセマフォリン3A発現促進剤は、ラベンダーからの抽出物を有効成分とするものである。
ここで、本実施形態における「抽出物」には、ラベンダーを抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
本実施形態において使用する抽出原料は、ラベンダー(学名:Lavandula vera,Lavandula angustifolia,またはLavandula officinalis)である。
ラベンダー(Lavandula vera,Lavandula angustifolia,またはLavandula officinalis)は、ヨーロッパ西部、大西洋諸島に分布しているシソ科ラベンダー属に属する多年生小低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るラベンダーの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、茎部、種子部、花部、根部またはこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは花部である。
なお、「花」とは、一般に、種子植物の有性生殖にかかわる器官の総体をいい、葉の変形である花葉と茎の変形である花軸とから構成され、花葉には、萼、花弁、雄しべ、心皮等の器官が含まれる。本実施形態において抽出原料として使用する「花部」には、種子植物の有性生殖にかかわる器官の総体の他、その一部、例えば、花葉、花被(萼と花冠)、花冠、花弁等も含まれる。
ラベンダーからの抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、上記抽出原料の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が9:1~1:9(容量比)であることが好ましく、7:3~2:8(容量比)であることがさらに好ましい。また、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比が9:1~2:8(容量比)であることが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比が8:2~1:9(容量比)であることが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
〔神経成長因子発現抑制剤,セマフォリン3A発現促進剤〕
以上のようにして得られるラベンダー抽出物は、優れた神経成長因子(NGF)発現抑制作用およびセマフォリン3A(Sema3A)発現促進作用を有しているため、NGF発現抑制剤およびSema3A発現促進剤の有効成分として用いることができる。本実施形態のNGF発現抑制剤およびSema3A発現促進剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等、飲食品の幅広い用途に使用することができる。
本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤は、ラベンダー抽出物のみからなるものでもよいし、ラベンダー抽出物を製剤化したものでもよい。
本実施形態のNGF発現抑制剤およびSema3A発現促進剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。NGF発現抑制剤およびSema3A発現促進剤は、他の組成物(例えば、皮膚化粧料、飲食品等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤を製剤化した場合、ラベンダー抽出物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤は、必要に応じて、NGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を有する他の天然抽出物等を、ラベンダー抽出物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。中でも、経皮投与は、皮膚における痒みや痛みを抑制し、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌等における痒みや痛みを予防、治療または改善する用途において、特に好適な投与方法である。
また、本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤の投与量は、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態のNGF発現抑制剤は、有効成分であるラベンダー抽出物が有するNGF発現抑制作用を通じて、皮膚(特に表皮内)においてNGFの発現を抑制し、これにより神経線維の表皮内伸長を抑制することで痒みや痛み(特に、ヒスタミン等のケミカルメディエーターに依存しない痒みや痛み)を抑制し、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌等における痒みや痛みを予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態のNGF発現促進剤は、これらの用途以外にもNGF発現促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態のSema3A発現促進剤は、有効成分であるラベンダー抽出物が有するSema3A発現促進作用を通じて、皮膚(特に表皮内)においてSema3Aの発現を促進し、これにより神経線維の表皮内伸長を抑制することで痒みや痛み(特に、ヒスタミン等のケミカルメディエーターに依存しない痒みや痛み)を抑制し、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌等における痒みや痛みを予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態のSema3A発現促進剤は、これらの用途以外にもSema3A発現促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
例えば、本実施形態のSema3A発現促進剤は、そのSema3A発現促進作用を通じ、破骨細胞の分化を抑制するとともに骨芽細胞の分化を促進し、骨量増加(骨保護)の用途に用いることができる。
本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤は、優れたNGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤や飲食品に配合するのに好適である。この場合に、ラベンダー抽出物をそのまま配合してもよいし、ラベンダー抽出物から製剤化したNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、シャンプー、リンス、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。特に、皮膚における痒みや痛みを抑制し、アトピー性皮膚炎、乾燥肌等における痒みや痛みを予防、治療または改善する用途において、皮膚外用剤は特に好適な剤型である。
飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
また、本実施形態のNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤は、優れたNGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
〔敏感肌用皮膚外用剤〕
上記実施形態に係るNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤は、そのNGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を利用して、敏感肌用の皮膚外用剤に配合することができる。敏感肌における痒みや痛みを予防、治療または改善する用途において、皮膚外用剤は特に好適な剤型である。ここで、本実施形態において用いられるNGF発現抑制剤および/またはSema3A発現促進剤としては、ラベンダー抽出物をそのままの形態で用いてもよく、ラベンダー抽出物から製剤化したNGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤を用いてもよい。
上記NGF発現抑制剤および/またはSema3A発現促進剤を配合することにより、皮膚外用剤にNGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を付与することができ、これにより、皮膚における痒みや痛みを抑制し、敏感肌等における痒みや痛みを予防、治療または改善する用途に特に好適な皮膚外用剤とすることができる。
上記NGF発現抑制剤および/またはSema3A発現促進剤を配合し得る敏感肌用皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、ローション、ジェル、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、シャンプー、リンス、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
上記NGF発現抑制剤またはSema3A発現促進剤を敏感肌用皮膚外用剤に配合する場合、その配合量は、敏感肌用皮膚外用剤の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、約0.0001~10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001~1質量%である。
本実施形態の敏感肌用皮膚外用剤は、ラベンダー抽出物が有するNGF発現抑制作用またはSema3A発現促進作用を妨げない限り、通常の敏感肌用皮膚外用剤の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
本実施形態の敏感肌用皮膚外用剤は、NGF発現抑制剤および/またはSema3A発現促進剤の有効成分であるラベンダー抽出物が有するNGF発現抑制作用および/またはSema3A発現促進作用を通じて、皮膚における痒みや痛みを抑制し、敏感肌における痒みや痛みの予防、治療または改善をすることができる。
なお、本実施形態のNGF発現抑制剤、Sema3A発現促進剤および敏感肌用皮膚外用剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。なお、下記試験例においては、被験試料としてラベンダー抽出物(丸善製薬社製,試料1)を使用した。
〔試験例1〕神経成長因子(NGF)mRNA発現抑制作用およびセマフォリン3A(Sema3A)mRNA発現促進作用試験
ラベンダー抽出物(試料1)について、以下のようにして神経成長因子(NGF)mRNA発現抑制作用およびセマフォリン3A(Sema3A)mRNA発現促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を30×104 cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、35mmシャーレに2mLずつ播種し、24時間培養した。培養後に培地を除去し、増殖添加剤不含有の正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(KBM)2mLを加え、更に24時間培養した。
その後、培地を除去し、KBMに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表1および表2を参照)を各シャーレに2mLずつ添加し、3時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のKBMを用いて同様に培養した。培養後、培地を除去し、ISOGEN II(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-07361)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるように総RNAを調製した。
この全RNAを鋳型とし、NGF、Sema3Aおよび内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScriptTM RT-PCR Kit(Perfect Real Time)(タカラバイオ社製,code No. RR063A)によるリアルタイム2Step RT-PCR反応により行った。各遺伝子mRNAの発現量は、「被験試料添加」および「試料無添加」にてそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDH mRNAの発現量で補正し算出した。得られた値から、NGF mRNAについては被験試料添加による発現抑制率を、Sema3A mRNAについては被験試料添加による発現促進率を、それぞれ下記式により算出した。
NGF mRNA発現抑制率(%)={1-(A/B)}×100
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
NGF mRNA発現抑制率の結果を表1に示す。
Sema3A mRNA発現促進率(%)=A/B×100
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
Sema3A mRNA発現促進率の結果を表2に示す。
Figure 0007402478000001
Figure 0007402478000002
表1に示すように、ラベンダー抽出物(試料1)は、NGF mRNA発現抑制作用に優れていることが確認された。
また、表2に示すように、ラベンダー抽出物(試料1)は、優れたSema3A mRNA発現促進作用を有することが確認された。
〔配合例1〕
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
ラベンダー抽出物 0.01g
ホホバオイル 4.00g
1,3-ブチレングリコール 3.00g
アルブチン 3.00g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
オリーブオイル 2.00g
スクワラン 2.00g
セタノール 2.00g
モノステアリン酸グリセリル 2.00g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
黄杞エキス 0.10g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
コンキオリン 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カミツレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
ラベンダー抽出物 0.05g
クジンエキス 0.1g
オウゴンエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
スクワラン 10.0g
セタノール 3.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
油溶性甘草エキス 0.1g
1,3-ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記組成の美容液を常法により製造した。
ラベンダー抽出物 0.01g
カミツレエキス 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
キサンタンガム 0.3g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
1,3-ブチレングリコール 4.0g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
グリセリン 2.0g
水酸化カリウム 0.25g
香料 0.01g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
エタノール 2.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
下記組成のヘアートニックを常法により製造した。
ラベンダー抽出物 0.4g
酢酸トコフェロール 適量
セファラチン 0.002g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
グリセリン 15.0g
エタノール 15.0g
香料 適量
キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
防腐剤(ヒノキチオール) 適量
可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例5〕
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
ラベンダー抽出物 0.5g
マジョラム抽出物 1.0g
ウメ果実部抽出物 0.2g
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
プロピレングリコール 2.0g
香料 適量
精製水 残部(全量を100gとする)
本発明の神経成長因子発現抑制剤、セマフォリン3A発現促進剤および敏感肌用皮膚外用剤は、皮膚における痒みや痛みの抑制;アトピー性皮膚炎、乾燥肌、敏感肌における痒みや痛みの予防、治療または改善;などに大きく貢献できる。

Claims (2)

  1. ラベンダーからの抽出物を有効成分とすることを特徴とする神経成長因子発現抑制剤。
  2. 請求項1に記載の神経成長因子発現抑制剤配合したことを特徴とする神経成長因子発現抑制用皮膚外用剤。
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