JP7402448B2 - 生体組織血管の試験装置 - Google Patents

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Description

本発明は、拍動流及び定常流を生成する遠心ポンプを備える生体組織血管の試験装置に関する。
我が国における三大死因の一つが心疾患である。この心疾患には、動脈硬化により、冠動脈に血栓が生じ、冠動脈が完全に閉鎖することで心筋が壊死した状態に陥る心不全があり、死亡者数が最多となっている。この心不全の原因の一つである心筋梗塞に対する治療法として、外科的治療法などが行われている。ここで、外科的治療法の一つとして、血液を血流不足となった部位に流すために、大伏在静脈や内胸動脈などの自己血管を流れの悪い血管をバイパスするように接続させるバイパス手術が実施されている。
このバイパス手術は、心筋梗塞以外にも、動脈硬化に起因する脳梗塞や、末梢動脈の閉塞性動脈硬化症などにも実施されている。
このバイパス手術で用いられる自己血管には、長さや品質にばらつきがあるうえ、使用できる自己血管の数も限られるため、自己血管に依存しない再生医療による生体組織血管の作成が要望されていた。
この再生医療による生体組織血管の作成は、例えば、細胞塊同士を積層及び融合させている。よって、作成された生体組織血管には、個体差による品質のばらつきが生じているため、信頼性を確保するには、長期間における耐久性の評価などを試験により確認することが不可欠である。
ここで、特許文献1(特に、段落[0032]-[0033]参照)には、人工血管(生体組織血管を含む)のコンプライアンス評価用の装置であって、心臓血管、心臓弁、心筋などの心臓に比較的近い心臓血管領域における心臓の心拍、加圧環境(収縮期血圧(最高血圧)及び拡張期血圧(最低血圧))を模擬した拍動流を生成するために、心臓の収縮・拡張運動を模擬するバルーンポンプと、大動脈弁の動きを模擬する機械弁と、弾力性のある大動脈の動きを模擬する緩衝槽と、左心房を模擬する貯蔵槽と、僧帽弁の動きを模擬する機械弁と、を備えるものが記載されている。
特開2005-337758号公報
Kinichi Nakata, Yoshiyuki Sankai, Kenji Akiyama, Yukihiko Orime, Satoshi Kashiwazaki, Hayato Koba, Motomi Shion, ‘Evaluation of a New Device for the Intraoperative Assessment of Coronary Artery Bypasses Grafting’, Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 2011, Vol.17, No.2, p.160-165 Ryo Kosaka, Yoshiyuki Sankai, Tomoaki Jikuya, Takashi Yamane, Tatsuo Tsutsui, ‘On-Line Parameter Identification of Systemic Circulation Using the Delta Operator’, Artificial Organs, 2002, Vol.26, No.8, p.723-72 Gow, B.S. and Hadfield, C. D., 'The Elasticity of Canine and Human Coronary Arteries with Reference to Postmortem Changes', Circulation Research, 1979, Vol.45, p.588-594 岩崎清隆, 梅津光生,"冠動脈ステントの疲労破壊:破損耐久性の可視化",可視化情報学会,2013年10月,第33巻,第131号,p.19-24 Osamu Maruyama, Yosuke Tomari, Daisuke Sugiyama, Masahiro Nishida, Tatsuo Tsutsui, Takashi Yamane, ‘Simple In Vitro Testing Method for Antithrombogenic Evaluation of Centrifugal Blood Pumps’, ASAIO journal, 2009, Vol.55, No.4, p.314-322
しかしながら、特許文献1は、以下の問題点を有していた。第1の問題点は、生体組織血管のコンプライアンス評価用の装置が模擬することができる生体内環境は、心臓血管領域のみにおける著しい拍動流であり、末梢血管領域などの他の様々な血管における定常流を模擬することはできない(以下、「一部の生体内環境のみを模擬」という)。第2の問題点は、生体組織血管のコンプライアンス評価用の装置は、構成部品が非常に多くメンテナンス等の管理が複雑であり、また、バルーンポンプの応答速度、機械弁の開閉圧力、及び、緩衝槽の加圧状態などの設定も複雑であるため、異なる研究機関等で、同一の評価条件を再現することは、非常に困難となっていた(以下、「同一の評価条件の再現が困難」という)。第3の問題点は、バルーンポンプにおける送液部(バルーン)には、繰り返しの加圧により劣化が生じるため、数十ヶ月などの長期間の試験が困難となっていた(以下、「長期間の試験が困難」という)。第4の問題点は、生体組織血管のコンプライアンス評価を行う際には、生体組織血管の外側に培養液が滞留状態で供給されるが、生体組織血管の外側と培養液との界面では、局所的な酸素・栄養素の不足又は老廃物の蓄積が生じるため、生体組織血管の外側における壊死を引き起こしてしまうおそれがあった(以下、「生体組織血管の外側界面における酸素・栄養素の不足」という)。
本発明の目的は、様々な生体内環境を模擬する拍動流及び定常流を生成するとともに、生体組織血管を良好な状態に保ち、構成部品及び実験条件の設定を簡素化することができる生体組織血管の試験装置を提供することにある。
本発明による生体組織血管の試験装置は、回転速度を変化させることにより、拍動流及び定常流を生成する遠心ポンプと、生体組織血管を培養液中に浸漬状態で収容する培養槽であって、浸漬された前記生体組織血管を、前記生体組織血管の長手方向が前記培養槽に保持される培養液の液面と直交する方向に沿うよう配置する培養槽と、前記遠心ポンプと前記培養槽とを連通する流体管路と、を備え、前記培養槽は、前記生体組織血管の一端側が流体連通される生体組織血管入口部と、前記生体組織血管の他端側が流体連通される生体組織血管出口部と、前記生体組織血管の外側に循環される培養液が流入する循環培養液流入部と、前記生体組織血管の外側に循環された培養液が流出する循環培養液流出部と、を有し、前記流体管路は、前記生体組織血管入口部を介して、前記遠心ポンプと前記生体組織血管の一端側とを直接連通する供給管路と、前記生体組織血管出口部及び前記循環培養液流入部を介して、前記生体組織血管の他端側と前記培養槽とを直接連通する循環管路と、前記循環培養液流出部を介して、前記培養槽と前記遠心ポンプとを直接連通する戻り管路と、を有し、前記循環培養液流入部及び前記循環培養液流出部を結ぶ仮想直線は、前記生体組織血管と交差することを特徴とするものである。
本発明によれば、様々な生体内環境を模擬する拍動流及び定常流を生成するとともに、生体組織血管を良好な状態に保ち、構成部品及び実験条件の設定を簡素化することができる生体組織血管の試験装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における生体組織血管の試験装置の一例を示す概略図である。 図1に示される試験装置の循環管路に、抵抗調整手段として第1の抵抗器を採用した試験装置の概略図である。 図2に示される試験装置の流体管路に、シャント回路を採用した試験装置の概略図である。 図1に示される試験装置の戻り管路中に、脱泡槽を採用した試験装置の概略図である。 図4に示される試験装置に基づいて、実際に作製された試験装置を示す写真である。 図5に示される試験装置により取得された波形図であり、(a)圧力波形の経時変化、(b)流量波形の経時変化、をそれぞれ表す。 図5に示される試験装置により取得された波形図であり、(a)開始時における圧力波形、(b)開始時における流量波形、をそれぞれ表す。 図5に示される試験装置により取得された波形図であり、(a)1週間経過時における圧力波形、(b)1週間経過時における流量波形、をそれぞれ表す。 図1に示される試験装置において、生体組織血管の耐久性の評価を行う試験装置の一例を示す概略図である。 図1に示される試験装置において、生体組織血管の耐久性の評価を行う試験装置の他の例を示す概略図である。 図1に示される試験装置において、生体組織血管の耐久性の評価を行う試験装置のさらに他の例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態における複数の生体組織血管に対して同時に試験を行う試験装置の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態における複数の生体組織血管に対して同時に試験を行う試験装置の他の例を示す概略図である。 本発明の第3の実施形態における血液適合性の評価を行う試験装置の一例を示す概略図である。 本発明の第3の実施形態における血液適合性の評価を行う試験装置の他の例を示す概略図である。
以下、図1から図15を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
<用語について>
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「生体組織血管」とは、生体組織を用いた血管であり、再生医療による再生血管や、動物から採取された血管などを示すものとする。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「動物」とは、例えば、ヒト、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシなどが挙げられる。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「培養液」とは、細胞等の培養に通常使用され、細胞等の維持が可能である液体や、動物から採取された血液などを示すものとする。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「拍動流」とは、例えば、心臓血管領域(大動脈及び分配動脈)における、流量及び圧力が周期的に変動する流れを示すものである。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「定常流」とは、例えば、末梢血管領域(細動脈、毛細血管及び細静脈)における、流量及び圧力が変動しない略一定の流れを示すものである。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「試験装置」とは、生体組織血管の耐久性の評価試験や、生体組織血管の血液適合性の評価試験などに用いられる装置を示すものである。
(第1の実施形態)
<生体組織血管の試験装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態における生体組織血管1の試験装置(以下、「試験装置」という)100aの一例を示す概略図である。
試験装置100aは、遠心ポンプ10と、培養槽20と、流体管路30と、回転速度制御手段40と、を備える。以下、それらの概要を順に説明する。
まず、遠心ポンプ10(図5参照)は、非容積型ポンプであり、詳細は後述するが、回転速度制御手段40による回転速度制御により、所望の吐出流量及び吐出圧力となるように調整される。
次に、培養槽20は、下端部の略中心位置に設けられる生体組織血管入口部21と、上端部の略中心位置に設けられる生体組織血管出口部22と、一方の側壁部の下端側に設けられる循環培養液流入部23と、他方の側壁部の上端部及び中間部の間に設けられる循環培養液流出部24と、上端部に設けられ外気と常時連通する空気抜き管路25(脱泡手段)と、を有する。
具体的には、生体組織血管入口部21及び生体組織血管出口部22は、供給管路接続コネクタ31j及び循環管路接続コネクタ32jをそれぞれ備える。この供給管路接続コネクタ31j及び循環管路接続コネクタ32jは、評価試験の対象である生体組織血管1の一端側及び他端側にそれぞれ流体接続される。また、循環培養液流入部23及び循環培養液流出部24は、詳細は後述するが、生体組織血管1の外側へと培養液Cを供給する循環管路32及び生体組織血管1の外側からの培養液Cを排出する戻り管路33にそれぞれ流体接続される。ここで、循環培養液流入部23及び循環培養液流出部24を結ぶ仮想的な直線を仮想直線Vとして定義し、この仮想直線Vは、生体組織血管1と交差するものとする。
ここで、培養槽20に供給及び排出される培養液Cの液面Wは、常時、生体組織血管1の他端側及び循環培養液流出部24より上方に位置する。これにより、生体組織血管1を培養液C中に浸漬状態で収容するとともに、培養液C中に含有される空気Aが戻り管路33に導入されることを防止することができる。また、空気抜き管路25の一端は、培養槽20内において、培養槽20に貯留される培養液Cの液面Wより上方に位置する。これにより、培養液C中に含有される空気Aを脱泡することができる。
さらに、流体管路30は、供給管路31と、循環管路32と、戻り管路33と、を有する。本実施形態における流体管路30の内径は、例えば、約4(mm)であるが、これに限らない。
供給管路31は、生体組織血管入口部21に設けられる供給管路接続コネクタ31jを介して、遠心ポンプ10と生体組織血管1の一端側とを直接連通し、遠心ポンプ10から培養槽20へと培養液Cを供給する。ここで、供給管路31には、詳細は後述するが、第1の圧力p1が取得される第1の圧力計P1と、第1の流量f1が取得される第1の流量計F1と、が設けられている。
循環管路32は、生体組織血管出口部22に設けられる循環管路接続コネクタ32j及び循環培養液流入部23を介して、生体組織血管1の他端側と培養槽20とを直接連通し、生体組織血管1の外側へと培養液Cを循環させる。
戻り管路33は、循環培養液流出部24を介して、培養槽20と遠心ポンプ10とを直接連通し、培養槽20から遠心ポンプ10へと培養液Cを戻す。
また、回転速度制御手段40は、圧力計P1又は流量計F1に接続される圧力又は流量の計測装置(不図示)と、モータ回転数の制御信号発生装置(不図示)と、モータドライバ(不図示)と、を備える。この回転速度制御手段40は、第1の流量f1又は第1の圧力p1が、インターフェース(不図示)から入力される目標圧力p0又は目標流量f0と、それぞれ一致するようにフィードバック制御を行うとともに、モータ回転数の制御信号発生装置及びモータドライバを介して、所望の周波数及び振幅を生成し、遠心ポンプ10に接続されるモータ(不図示)の回転速度vを制御する。
<生体組織血管の圧力及び流量制御について>
試験装置100aは、生体組織血管1の圧力及び流量の制御を行うことにより、心臓血管領域や末梢血管領域などを含む広い範囲の生体内環境を模擬するものである。
抵抗調整手段50は、図1に示すように、管路抵抗を調整するために、循環管路32の少なくとも一部を着脱可能な構造(図1の循環管路32中の破線部分)とし、循環管路32の少なくとも一部(抵抗調整手段)における管路抵抗を調整するものである。しかしながら、管路抵抗を調整する毎に、循環管路32の少なくとも一部を取り替えることは非常に煩雑な作業である。よって、図2に示すように、循環管路32に第1の抵抗器R1を設け、この第1の抵抗器R1を用いて管路抵抗r1を調整しても良い。
以下では、図2に示す様態を用いて、生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段について説明する。
試験装置100bは、循環管路32に設けられる第1の抵抗器R1と、第1の流量f1及び第1の圧力p1に基づいて、第1の抵抗器R1の管路抵抗r1を調整する抵抗調整手段50と、をさらに備える。
生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段は、1)評価試験前に、一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる、遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めること、及び、2)評価試験前に求めた1)の遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1に設定し、評価試験を行うこと、が順次行われる。
まず、1)一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる、遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めることについて説明する。この際、生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段では、詳細は後述するが、以下の(1)「第1の流量f1→回転速度v、第1の圧力p1→第1の管路抵抗r1」、(2)「第1の圧力p1→回転速度v、第1の流量f1→第1の管路抵抗r1」、(3)「第1の流量f1→第1の管路抵抗r1、第1の圧力p1→回転速度v」、(4)「第1の圧力p1→第1の管路抵抗r1、第1の流量f1→回転速度v」のいずれかまたはこれらの組合せによって行われている。ここで、第1の圧力p1及び第1の流量f1における平均値が、それぞれ生体組織血管1の圧力及び流量を示すものとする。
(1)「第1の流量f1→回転速度v、第1の圧力p1→第1の管路抵抗r1」では、生体組織血管1の流量を目標流量f0とするために、第1の流量f1に基づいて、遠心ポンプ10の回転速度vを調整した後、生体組織血管1の圧力を目標圧力p0とするために、第1の圧力p1に基づいて、抵抗調整手段50により第1の管路抵抗r1を調整する。
(2)「第1の圧力p1→回転速度v、第1の流量f1→第1の管路抵抗r1」では、生体組織血管1の圧力を目標圧力p0とするために、第1の圧力p1に基づいて、遠心ポンプ10の回転速度vを調整した後、生体組織血管1の流量を目標流量f0とするために、第1の流量f1に基づいて、抵抗調整手段50により第1の管路抵抗r1を調整する。
(3)「第1の流量f1→第1の管路抵抗r1、第1の圧力p1→回転速度v」では、生体組織血管1の流量を目標流量f0とするために、第1の流量f1に基づいて、抵抗調整手段50により第1の管路抵抗r1を調整した後、生体組織血管1の圧力を目標圧力p0とするために、第1の圧力p1に基づいて、遠心ポンプ10の回転速度vを調整する。
(4)「第1の圧力p1→第1の管路抵抗r1、第1の流量f1→回転速度v」では、生体組織血管1の圧力を目標圧力p0とするために、第1の圧力p1に基づいて、抵抗調整手段50により第1の管路抵抗r1を調整した後、生体組織血管1の流量を目標流量f0とするために、第1の流量f1に基づいて、遠心ポンプ10の回転速度vを調整する。
以上の(1)乃至(4)をそれぞれ繰り返すことにより、生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段は、一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めることができる。
本実施形態の生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段において、一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めた後に、同様にして、他の一組の目標値(目標流量f0’及び目標圧力p0’)となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めること、つまり、二組の目標値となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1をそれぞれ求めることができる。
次に、2)評価試験前に求めた1)の遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1に設定し、評価試験を行うことについて説明する。
まず、1)において、一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めた場合には、一組の目標値となるように遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を設定し、評価試験を行う。これにより、生体組織血管1に流れる培養液Cは、定常流となることから、例えば、末梢血管領域における流れを模擬することができる。
一方、1)において、二組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0と、目標流量f0’及び目標圧力p0’)となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1をそれぞれ求めた場合には、二組の目標値の一方及び他方となるように、周期的に遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を設定しながら評価試験を行う。これにより、生体組織血管1に流れる培養液Cは、拍動流となることから、例えば、心臓血管領域における流れを模擬することができる。
このように、本実施形態における試験装置100bは、生体組織血管の圧力及び流量の制御を行うことにより、心臓血管領域や末梢血管領域などを含む広い範囲の生体内環境を模擬することができるという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1における第1の問題点(一部の生体内環境のみを模擬)を解消することができる。
本実施形態において、生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段は、1)評価試験前に、一組の目標値となる、遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求める際には、遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1の調整のタイミングを互いにずらしているが、これに限らず、調整のタイミングを同時に行っても良い。また、本実施形態において、生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段は、一組の目標値、又は、二組の目標値となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求めるものであるが、これに限らず、三以上の組の目標値となる遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求め、それぞれの目標値を用いて、周期的に遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を設定しながら、より複雑な流れを模擬するものであって良い。
<培養液の流れについて>
遠心ポンプ10から生成される培養液Cの流れは、定常流及び拍動流を模擬することができるが、ここでは、培養液Cの流れが拍動流である場合について説明する。
まず、図1及び図2に示すように、遠心ポンプ10から吐出された培養液Cは、拍動流として、供給管路31を介して、培養槽20内に収容された生体組織血管1の一端側に流入される。生体組織血管1は、この拍動流により、生体内環境(例えば、心臓血管領域)を模擬できることから、詳細は後述するが、様々な評価試験を行うことができる。
このように、本実施形態の試験装置100bにおいて、遠心ポンプ10のみにより拍動流を生成しているため、前述した特許文献1において、拍動流を生成するために必須の構成(バルーンポンプ、緩衝槽、貯蔵槽及び機械弁)が不要となる。よって、本実施形態においては、構成部品及び実験条件の設定を簡素化することができるという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1における第2の問題点(同一の評価条件の再現が困難)を解消することができる。
また、本実施形態の試験装置100bにおいて、拍動流を生成するために遠心ポンプ10を用いているため、バルーンポンプのように、繰り返しの加圧により劣化が生じることがないため、例えば、数十ヶ月などの長期間の試験を安定して行うことができるという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1における第3の問題点(長期間の試験が困難)を解消することができる。
次に、生体組織血管1の他端側から流出された培養液Cは、循環管路32及び循環培養液流入部23を介して、培養槽20内に導入される。培養槽20内に導入された培養液Cは、生体組織血管1と交差するように、循環培養液流出部24に向かう方向(図2の仮想直線V参照)へと流れる。
このように、本実施形態の生体組織血管1の外側において、培養槽20内に導入された培養液Cは、積極的に生体組織血管1と交差するため、生体組織血管1の外側と培養液Cとの界面における培養液Cの入れ替えを常に行うことができる。よって、本実施形態においては、この界面における局所的な酸素・栄養素の不足又は老廃物の蓄積を防止し、生体組織血管1を良好な状態を長時間維持できるという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1における第4の問題点(生体組織血管の外側界面における酸素・栄養素の不足)を解消することができる。
ここで、循環管路32内においては、培養液Cは拍動流となっているが、培養液Cが循環管路32から培養槽20(拍動減衰手段)へと導入されると、循環管路32内における培養液Cの容積に比べ、培養槽20内に保持される培養液Cの容積は極めて大きくなることから、拍動流は急激に減衰され定常流となる。つまり、培養槽20が拍動減衰手段として機能することにより、生体組織血管1の外側における、拍動流の影響を考慮する必要はなく、生体組織血管1の内側のみに拍動流の影響が生じるという実際の生体内環境を模擬することができる。
本実施形態においては、培養槽20が拍動減衰手段として機能するものであるが、これに限らず、循環管路32の途中にエアチャンバー又はアキュームレータを設けても良い。
さらに、培養槽20の上端部には、外気と常時連通する空気抜き管路25(脱泡手段)が設けられていることから、培養液Cが循環管路32から培養槽20へと導入されると、培養液Cの圧力が大気圧へと急激に低下するため、培養液C中に含有されていた空気の脱泡を効率的に行うことができる。
続いて、循環培養液流出部24から流出した培養液Cは、戻り管路33を介して遠心ポンプ10へと戻される。
以上では、培養液Cの流れが拍動流である場合について説明したが、培養液Cの流れが定常流である場合には、生体組織血管1が半径方向に膨縮を繰り返さない点を除き、拍動流と同様の流れとなっている。
本実施形態における試験装置100bは、前述した特許文献1における第1の問題点(一部の生体内環境のみを模擬)、第2の問題点(同一の評価条件の再現が困難)、第3の問題点(長期間の試験が困難)、及び、第4の問題点(生体組織血管の外側界面における酸素・栄養素の不足)をそれぞれ解消することができる。よって、本実施形態における試験装置100bは、様々な生体内環境を模擬する拍動流及び定常流を生成するとともに、生体組織血管を良好な状態に保ち、構成部品及び実験条件の設定を簡素化することができる。
<シャント回路について>
図3は、図2に示される試験装置100bの流体管路30に、シャント回路36を採用した試験装置100cの概略図である。ここで、図3に示す試験装置100cの基本的な構成は、図2に示す試験装置100bの構成と同一であるから、以下では、図2に示す試験装置100bの構成と異なる部分(シャント回路36)を中心に説明する。
試験装置100cは、供給管路31及び循環管路32からそれぞれ分岐するとともに、生体組織血管1をバイパスするシャント回路36と、シャント回路36に設けられるシャント抵抗器Rsと、をさらに備える。
(生体組織血管の圧力及び流量制御について)
図3に示す生体組織血管1の圧力及び流量を制御する手段は、図2において説明した<生体組織血管の圧力及び流量制御について>と基本的な制御は同一であるから、以下では、図2において説明した<生体組織血管の圧力及び流量制御について>と異なる部分(制御対象にシャント抵抗器Rsが加わること)を中心に説明する。
抵抗調整手段50は、第1の流量f1及び第1の圧力p1に基づいて、第1の抵抗器R1の第1の管路抵抗r1及びシャント抵抗器Rsのシャント抵抗rsを調整する。
本実施形態におけるシャント抵抗器Rsは、初期状態として常時開放とするとともに、制御対象から外し、図2において説明した<生体組織血管の圧力及び流量制御について>と同様に、1)評価試験前に、一組の目標値(目標流量f0及び目標圧力p0)となる、遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を求める。この際、第1の管路抵抗r1をこれ以上小さくできない場合には、シャント抵抗器Rsを制御対象に加え、シャント抵抗rsが大きくなるように調整することが行われる。次に、2)評価試験前に求めた1)の遠心ポンプ10の回転速度v、第1の管路抵抗r1、及び、シャント抵抗rsに設定し、評価試験を行うことにより、生体組織血管1における流量を増加させることができる。よって、本実施形態における試験装置100cでは、図2に示される試験装置100bと比べ、生体組織血管1における流量の制御幅を大きくでき、より広い生体内環境を模擬することができるという効果を奏する。
<別体の脱泡手段について>
図4は、図1に示される試験装置100aの戻り管路33中に、脱泡槽60(脱泡手段)を採用した試験装置100dの概略図である。ここで、図4に示す試験装置100dの基本的な構成は、図1に示す試験装置100aの構成と同一であるから、以下では、図1に示す試験装置100aの構成と異なる部分(別体の脱泡手段60,63)を中心に説明する。
戻り管路33は、上流側戻り管路34及び下流側戻り管路35からなり、この上流側戻り管路34及び下流側戻り管路35の間には、脱泡槽60が設けられる。
この脱泡槽60は、上端部の略中心位置に設けられる脱泡培養液流入部61(脱泡手段)と、下端部の略中心位置に設けられる脱泡培養液流出部62(脱泡手段)と、上端部に設けられ、外気と常時連通する空気抜き管路63(脱泡手段)と、さらに有する。
上流側戻り管路34は、循環培養液流出部24及び脱泡培養液流入部61を介して、培養槽20と脱泡槽60とを直接連通し、培養槽20から脱泡槽60へと培養液Cを供給する。下流側戻り管路35は、脱泡培養液流出部62を介して、脱泡槽60と遠心ポンプ10とを直接連通し、脱泡槽60から遠心ポンプ10へと培養液Cを戻す。
この上流側戻り管路34の一端は、脱泡槽60内において、脱泡槽60に貯留される培養液Cの液面Wより下方に位置する。これにより、培養液C中に含有される空気Aが上流側戻り管路34に導入されることを防止することができる。また、上流側戻り管路34の他端は、培養槽20の上端部に設けられる循環培養液流出部24に流体接続される。これにより、培養槽20の培養液C中に含有される空気Aを効率的に脱泡槽60へと排出することができる。さらに、空気抜き管路63の一端は、脱泡槽60内において、脱泡槽60に貯留される培養液Cの液面Wより上方に位置する。これにより、脱泡槽60に貯留される培養液C中に含有される空気Aを脱泡することができる。
本実施形態において、試験装置100dは、培養槽20における空気抜き管路25が省略されるとともに、培養槽20が培養液Cで満たされている。これにより、生体組織血管1を確実に培養液C中に浸漬状態で収容できるため、生体組織血管1を良好な状態に維持することができるという効果を奏する。
<実際作製された試験装置及び耐久性評価手段について>
図5は、図4に示される試験装置100dに基づいて、実際に作製された試験装置100dを示す写真である。ここで、図5において、図4と対応する構成は、同一の記号を付記している。
試験装置100dは、データ記録手段70をさらに備えており、データ記録手段70は、試験装置100dによって計測される第1の流量f1及び第1の圧力p1の最大値、最小値、平均値や、遠心ポンプ10の回転速度vなどの経時情報を記録する。
ここで、生体組織血管1には、例えば、再生医療により、細胞塊同士を長手方向及び半径方向に積層及び融合させて作成するものがあるが、この細胞塊同士の融合力が長手方向や半径方向に不均一となるおそれがあった。よって、生体組織血管1に対して、実際の生体内環境を模擬した状況下において、長期間における耐久性の評価試験を行うことが要望されている。以下に、図6乃至図8を用いて、耐久性の評価試験の一例について説明する。
本実施形態における耐久性評価手段(不図示)は、以下の(1)「初期の実験条件のみ設定」、(2)「実験条件を一定に維持」のいずれかまたは組合せにより行う。
(1)「初期の実験条件のみ設定」では、初期の実験条件(例えば、目標流量f0、目標圧力p0を満たす、遠心ポンプ10の回転数v及び管路抵抗r1)のみを設定し、その後は、実験条件は修正しない。これにより、試験装置100dにより取得される圧力p1及び流量f1の波形における経時変化を観察し、波形に許容以上の変化が生じたら、生体組織血管1に耐久性がないものと判断する。
(2)「実験条件を一定に維持」では、実験条件(例えば、目標流量f0、目標圧力p0)を一定に維持するために、生体組織血管1の圧力及び流量を遠心ポンプ10の回転数vと管路抵抗r1を用いて制御し、実験条件の修正を行う。これにより、試験装置100dにより取得される圧力p1及び流量f1の波形における経時変化は生じない一方、実験条件(遠心ポンプ10の回転数vと管路抵抗r1)に許容以上の修正が生じたら、生体組織血管1に耐久性がないものと判断する。
(圧力及び流量の波形における経時変化に基づく耐久性指標について)
ここで、耐久性評価手段の一例として、図6乃至図8を用いて、(1)「初期の実験条件のみ設定」による場合を示す。初期の実験条件として、目標流量f0を600(ml/min)、目標圧力p0を60~80(mmHg)と設定、つまり、二組の目標値の一方として、目標流量f0を600(ml/min)、目標圧力p0を60(mmHg)と設定し、二組の目標値の他方として、目標流量f0’を600(ml/min)、目標圧力p0’を80(mmHg)と設定する。その後、二組の目標値の一方及び他方となるように、周期的に遠心ポンプ10の回転速度v及び第1の管路抵抗r1を設定しながら試験開始する。試験開始後には、実験条件を修正せずに、図6乃至図8に示すような、試験開始時から1週間経過時まで圧力p1及び流量f1の波形を取得した。なお、図6は、圧力p1及び流量f1の波形が有する最大値、最小値及び平均値の連続的な経時変化を示し、図7及び図8は、試験開始時及び1週間経過時における圧力p1及び流量f1の波形を示す。
図6では、圧力p1及び流量f1の波形における経時変化は微差であり、また、図7及び図8を比較すると、圧力p1及び流量f1の波形における経時変化も微差であることから、生体組織血管1に耐久性があるものと判断することができる。
本実施形態における耐久性指標は、圧力及び流量の波形における経時変化について波形同士を比較するものであるが、これに限らず、統計処理等を用いた演算式により、波形における経時変化についての耐久性指標を算出しても良い。
<その他の耐久性評価手段について>
図6乃至図8においては、耐久性評価手段として、単に、波形における経時変化を耐久性指標とするものを説明したが、生体組織血管1においては、生体組織血管1の伸展性や弾性が重要な耐久性指標を示すことから、以下では、その他の耐久性評価手段80a,80b,80cについて説明する。
図9乃至図11は、図1に示される試験装置100aにおいて、生体組織血管1の耐久性の評価を行うために、様々な耐久性評価手段80a,80b,80cを採用した試験装置100e,100f,100gの概略図である。ここで、図9に示す耐久性評価手段80aにおいては、生体組織血管1の流量f1、上流側圧力p1及び下流側圧力pdを用いるものであり、図10に示す耐久性評価手段80bにおいては、生体組織血管1の内圧pi及び内径diを用いるものであり、図11に示す耐久性評価手段80cにおいては、生体組織血管1の内圧pi及び外径doを用いるものである。
(圧力及び流量に基づき算出される耐久性指標(コンプライアンスC)について)
試験装置100eは、図9に示すように、循環管路32に設けられる血管下流側の圧力計Pdと、生体組織血管1における耐久性指標の算出及び評価を行う耐久性評価手段80aと、をさらに備える。
耐久性評価手段80aは、第1の圧力計P1、血管下流側の圧力計Pd、及び、第1の流量計F1からそれぞれ取得される第1の圧力p1(t)、血管下流側の圧力pd(t)、及び、第1の流量f1(t)に基づき、非特許文献1に記載された生体組織血管1の耐久性指標であるコンプライアンスC=(f1(t)-p(t)/R)/(dp(t)/dt)の式を用いて、算出及び評価を行う。ここで、第1の圧力p1(t)及び血管下流側の圧力pd(t)は、それぞれ、生体組織血管1の上流側圧力及び下流側圧力を代表するものとし、圧力p(t)は、p1(t)-pd(t)を示し、Rは、生体組織血管1の血管抵抗を示す。
ここで、コンプライアンスCは、流路抵抗計(不図示)によって取得した生体組織血管1の血管抵抗Rを用いて算出しても良いが、例えば、非特許文献2に記載されたパラメータ同定法を用いて、生体組織血管1の血管抵抗R及びコンプライアンスCを、第1の流量f1(t)及び圧力p(t)から、同時に推定するようにしても良い。
本実施形態において、生体組織血管1のコンプライアンスCが、例えば、0.2±0.5(ml/mmHg)の数値範囲内にある場合には、生体組織血管1に耐久性があるものと判断する。
この耐久性評価手段80aにおいては、生体組織血管1の下流側流路における圧力変化を考慮するものであるが、例えば、生体組織血管1の下流側流路における圧力変化が極めて小さい場合には、血管下流側の圧力計Pdを省略、つまり、血管下流側の圧力pdを無視することができる。したがって、コンプライアンスC=(f1(t)-p1(t)/R)/(dp1(t)/dt)の式を用いることにより、生体組織血管1の耐久性指標の算出及び評価を行うことができる。
本実施形態の耐久性評価手段80aは、生体組織血管1の圧力及び流量制御において、既に用いられている第1の圧力p1及び第1の流量f1を利用することにより、構成部品を簡素化することができるという効果を奏する。
(圧力及び血管内径に基づき算出される耐久性指標(圧力歪み弾性係数Ep)について)
図10に示す試験装置100fの基本的な構成は、図9に示す試験装置100eの構成と同一であるから、以下では、図9に示す試験装置100eの構成と異なる部分(耐久性評価手段80b)を中心に説明する。
試験装置100fは、生体組織血管入口部21に設けられる計測装置接続コネクタ31j’と、計測装置接続コネクタ31j’を介して生体組織血管1に配置される血管内圧力計Pi及び血管内径計測装置(血管径計測装置)Diと、生体組織血管1の耐久性指標を算出及び評価を行う耐久性評価手段80bと、をさらに備える。
血管内圧力計Piは、例えば、光ファイバ方式のセンサや、圧トランスデューサ等からなり、生体組織血管1の内部に配置され、生体組織血管1の内圧piを計測するものである。また、血管内径計測装置Diは、例えば、超音波を用いたセンサ等からなり、生体組織血管1の内部に配置され、血管内超音波法(IVAS)を用いて、生体組織血管1の内径diを計測するものである。
耐久性評価手段80bは、血管内圧力計Pi及び血管内径計測装置Diから取得される生体組織血管1の内圧pi及び内径diに基づき、生体組織血管1の耐久性指標である圧力歪み弾性係数Ep=(dpi/(d(di)/di)の算出及び評価を行う。
本実施形態において、生体組織血管1の圧力歪み弾性係数Epが、例えば、非特許文献3に記載された若年(14~40歳)の正常な冠動脈のように、0.5~0.7(MPA)(100(mmHg)のとき)の数値範囲内にある場合には、生体組織血管1に耐久性があるものと判断する。
本実施形態の耐久性評価手段80bは、実際の生体組織血管1内の圧力pi及び内径diを用いていることから、生体組織血管1の耐久性を評価の精度を高めることができるという効果を奏する。
(圧力及び血管外径に基づき算出される耐久性指標(スティフネスパラメータβ)について)
図11に示す試験装置100gの基本的な構成は、図10に示す試験装置100fの構成と同一であるから、以下では、図10に示す試験装置100fの構成と異なる部分(耐久性評価手段80c)を中心に説明する。
試験装置100gは、生体組織血管入口部21に設けられる計測装置接続コネクタ31j’と、計測装置接続コネクタ31j’を介して生体組織血管1に配置される血管内圧力計Piと、生体組織血管1の外部に配置される血管外径計測装置(血管径計測装置)Doと、生体組織血管1の耐久性指標を算出及び評価を行う耐久性評価手段80cと、をさらに備える。
血管外径計測装置Doは、例えば、通常のカメラや近赤外線カメラ、レーザー測定器等からなり、生体組織血管1の外部に配置され、生体組織血管1の外径doを計測するものである。本実施形態における培養槽20は、生体組織血管1が外部から観察し易いように、透明度が高い方が好ましい。
耐久性評価手段80cは、血管内圧力計Pi及び血管外計測装置Doから取得される生体組織血管1の内圧pi及び外径doに基づき、非特許文献4に記載された生体組織血管1の耐久性指標であるスティフネスパラメータβ=In(pi/ps)/(do/ds-1)の式を用いて、算出及び評価を行う。ここで、psは、基準内圧、dsは、基準内圧時の外径を示す。
本実施形態において、生体組織血管1のスティフネスパラメータβが、例えば、非特許文献3に記載された若年(14~40歳)の正常な冠動脈のように、40~50の数値範囲内にある場合には、生体組織血管1に耐久性があるものと判断する。
本実施形態の耐久性評価手段80cでは、実際の生体組織血管1内の圧力pi及び外径doを用いることにより、生体組織血管1の耐久性を評価の精度を高めることができるという効果を奏する。
(第2の実施形態)
<複数の生体組織血管に対して同時に試験を行う構成について>
図12及び図13は、本発明の第2の実施形態における複数の生体組織血管1a,1b,1cに対して同時に試験を行う構成が採用された試験装置100h,100iの概略図である。
<培養槽を複数並列に配置する構成について>
まず、複数の生体組織血管に対して同時に試験を行う構成として、図12を用いて、培養槽20a,20b,20cを複数並列に配置する構成について説明する。ここで、図12に示す試験装置100hの基本的な構成は、図2に示す試験装置100bの構成に、図4に示す試験装置100dの脱泡手段60を採用したものと同一であるから、以下では、図2に示す試験装置100bの構成及び図4に示す試験装置100d(脱泡手段60)の構成と異なる部分(培養槽20a,20b,20cを複数並列に配置する構成)を中心に説明する。
試験装置100hは、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cを収容し複数並列に配置される第1乃至第3の培養槽20a,20b,20cと、供給管路31から分岐された第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cと、上流側戻り管路34から分岐された第1乃至第3の戻り管路34a,34b,34cと、をさらに備える。
また、第1乃至第3の培養槽20a,20b,20cは、それぞれ、下端部の略中心位置に設けられる生体組織血管入口部21a,21b,21cと、上端部の略中心位置に設けられる生体組織血管出口部22a,22b,22cと、一方の側壁部の下端側に設けられる循環培養液流入部23a,23b,23cと、他方の上端部に設けられる循環培養液流出部24a,24b,24cと、を備える。ここで、生体組織血管入口部21a,21b,21c及び生体組織血管出口部22a,22b,22cは、それぞれ、供給管路接続コネクタ31ja,31jb,31jc及び循環管路接続コネクタ32ja,32jb,32jcをそれぞれ備え、この供給管路接続コネクタ31ja,31jb,31jc及び循環管路接続コネクタ32ja,32jb,32jcは、それぞれ、評価試験の対象である第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cの一端側及び他端側にそれぞれ流体接続される。また、循環管路接続コネクタ32ja,32jb,32jc及び循環培養液流入部23a,23b,23cは、それぞれ、第1乃至第3の循環管路32a,32b,32cに流体接続される。さらに、第1乃至第3の培養槽20a,20b,20cにおける生体組織血管入口部21a,21b,21c及び循環培養液流出部24a,24b,24cが、それぞれ、第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cと、第1乃至第3の戻り管路34a,34b,34cと、に流体接続される。
<複数の生体組織血管の圧力及び流量制御について>
図12に示す複数の生体組織血管1a,1b,1cの圧力及び流量制御は、図2において説明した<生体組織血管の圧力及び流量制御について>と基本的な制御は同一であるから、以下では、図2において説明した<生体組織血管の圧力及び流量制御について>と異なる部分(制御に用いる第1乃至第3の流量f1,f2,f3、及び、制御対象である第1乃至第3の管路抵抗r1,r2,r3)を中心に説明する。
試験装置100hは、第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cのそれぞれに設けられる第1乃至第3の流量計F1,F2,F3と、第1乃至第3の循環管路32a,32b,32cのそれぞれに設けられる第1乃至第3の抵抗器R1,R2,R3と、第1乃至第3の流量f1,f2,f3及び第1の圧力p1に基づいて、第1乃至第3の抵抗器R1,R2,R3のそれぞれの管路抵抗r1,r2,r3を調整する抵抗調整手段50と、をさらに備える。
ここで、複数の生体組織血管1a,1b,1cの圧力及び流量を制御する手段は、生体組織血管1aの圧力及び流量を制御する手段、生体組織血管1bの圧力及び流量を制御する手段、及び、生体組織血管1cの圧力及び流量を制御する手段、を有し、各生体組織血管1a,1b,1cの圧力及び流量を制御する手段は、それぞれ同時に行われるものである。
具体的には、生体組織血管1aの圧力及び流量を制御する手段は、第1の流量f1及び第1の圧力p1に基づいて、回転速度v及び第1の管路抵抗r1を調整する。また、生体組織血管1bの圧力及び流量を制御する手段は、第1の流量f2及び第1の圧力p1に基づいて、回転速度v及び第2の管路抵抗r2を調整する。さらに生体組織血管1cの圧力及び流量を制御する手段は、第1の流量f3及び第1の圧力p1に基づいて、回転速度v及び第3の管路抵抗r3を調整する。
本実施形態の各生体組織血管1a,1b,1cの圧力及び流量を制御する手段において、それぞれの目標値である目標圧力p0を同一とするもの、つまり、生体組織血管1aにおける目標値(目標流量fa0及び目標圧力p0)、生体組織血管1bにおける目標値(目標流量fb0及び目標圧力p0)、生体組織血管1cにおける目標値(目標流量fc0及び目標圧力p0)するものである。
本実施形態における試験装置100hは、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cに流れる流体経路(第1乃至第3の供給管路31a,31b,31c、第1乃至第3の循環管路32a,32b,32c及び第1乃至第3の上流側戻り管路34a,34b,34c)を、それぞれ別経路としていることから、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cに対して異なる又は同一の試験条件下において同時に試験を行うことができるという効果を奏する。
<培養槽内に複数の生体組織血管を並列に配置する構成について>
次に、複数の生体組織血管1a,1b,1cに対して同時に試験を行う構成として、図13を用いて、培養槽20’内に複数の生体組織血管1a,1b,1cを並列に配置する構成について説明する。ここで、図13に示す試験装置100iの基本的な構成は、図12に示す試験装置100hの構成と同一であるから、以下では、図12に示す試験装置100hの構成と異なる部分(複数の生体組織血管1a,1b,1cを、個別の培養槽20a,20b,20c内に収容する代わりに、一つの培養槽20’内に並列に配置する構成)を中心に説明する。
試験装置100iは、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cを並列配置し、収容する一つの培養槽20’と、供給管路31から分岐された第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cと、循環管路32から分岐された第1乃至第3の循環管路32a,32b,32c、をさらに備える。
また、一つの培養槽20’は、下端部に設けられる第1乃至第3の生体組織血管入口部21a’,21b’,21c’と、第1乃至第3の生体組織血管入口部21a’,21b’,21c’と対応する垂直線上の上端部に設けられる第1乃至第3の生体組織血管出口部22a’,22b’,22c’と、を備える。
ここで、第1乃至第3の生体組織血管入口部21a’,21b’,21c’及び第1乃至第3の生体組織血管出口部22a’,22b’,22c’は、それぞれ、第1乃至第3の供給管路接続コネクタ31ja’,31jb’,31jc’及び第1乃至第3の循環管路接続コネクタ32ja’,32jb’,32jc’をそれぞれ備え、この第1乃至第3の供給管路接続コネクタ31ja’,31jb’,31jc’及び第1乃至第3の循環管路接続コネクタ32ja’,32jb’,32jc’は、それぞれ、評価試験の対象である第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cの一端側及び他端側にそれぞれ流体接続される。また、第1乃至第3の生体組織血管入口部21a’,21b’,21c’及び第1乃至第3の生体組織血管出口部22a’,22b’,22c’が、それぞれ、第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cと、第1乃至第3の循環管路32a,32b,32cと、に流体接続される。
試験装置100iは、図12に示す試験装置100hと同様に、第1乃至第3の供給管路31a,31b,31cのそれぞれに設けられる第1乃至第3の流量計F1,F2,F3と、第1乃至第3の循環管路32a,32b,32cのそれぞれに設けられる第1乃至第3の抵抗器R1,R2,R3と、第1乃至第3の流量f1,f2,f3及び第1の圧力p1に基づいて、第1乃至第3の抵抗器R1,R2,R3のそれぞれの管路抵抗r1,r2,r3を調整する抵抗調整手段50と、をさらに備える。
本実施形態における試験装置100iは、試験装置100hと比べ、複数の培養槽20a,20b,20c、複数の循環管路32a,32b,32cの一部及び複数の上流側戻り管路34a,34b,34cの一部を共通な構成とすることができるため、構成部品を簡略化することができるという効果を奏する。
<複数の生体組織血管の圧力及び流量制御について>
試験装置100iおける複数の生体組織血管1a,1b,1cの圧力及び流量を制御する手段は、図12に示す試験装置100hにおけるものと全く同じであるから、説明は省略する。
本実施形態における試験装置100iは、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cに流れる流体経路(第1乃至第3の供給管路31a,31b,31c及び第1乃至第3の循環管路32a,32b,32c)を、それぞれ別経路としていることから、第1乃至第3の生体組織血管1a,1b,1cに対して異なる又は同一の試験条件下において同時に試験を行うことができるという効果を奏する。
(第3の実施形態)
<血液適合性評価手段について>
図14及び図15は、本発明の第3の実施形態における生体組織血管1やステント2の血液適合性の評価を行うために、血液Bの循環に適した構成を採用した試験装置100j,100kの概略図である。
ここで、生体組織血管1は、実際の生体内環境下において、内皮の膜が破損等することにより、血栓が形成されるおそれがあった。よって、生体組織血管1には、実際の生体内環境を模擬した状況下において、血液適合性の評価試験が行われる必要がある。以下に、図14を用いて、生体組織血管1の血液適合性の評価試験の一例について説明する。
<生体組織血管の血液適合性の評価を行うための構成について>
図14に示す試験装置100jの基本的な構成は、図1に示す試験装置100aの構成と同一であるから、以下では、図1に示す試験装置100aの構成と異なる部分(血液適合性の評価を行うための構成)を中心に説明する。
この試験装置100jにおける血液適合性の評価を行うための構成は、試験装置100aで用いられている培養液Cに代えて、血液Bを採用するとともに、この血液Bの劣化を防ぐことために、試験装置100aで用いられている空気抜き25を省略し、流体管路30の全てを密閉回路とする。
さらに、試験装置100jは、血液Bの温度を調整するために培養槽20の少なくとも一部を覆う恒温槽90と、抗凝固された血液Bに凝固促進薬を投入する投薬ポート26と、血液Bの凝固能を計測するために採血を行うサンプルポート27と、をさらに備える。ここで詳細は後述するが、投薬ポート26とサンプルポート27を共通ポートとすると、凝固促進剤薬剤が共通ポートに付着し、凝固能に計測誤差が生じるため、本実施形態においては、投薬ポート26とサンプルポート27とは、個別に設けている。
恒温槽90は、培養槽20内の血液Bの温度を体温と同等の約37℃に保ち、血液Bの状態を維持するものである。
<血液を用いるための事前準備について>
試験装置100jでは、動物より採取した血液Bを用いる。ここで、動物より採取した血液Bは、例えば、非特許文献5に記載された凝固能の調整法を用いて、所望の凝固能へと調整することができる。
具体的には、この血液Bは、動物より採取された後に、血液Bが固まらないように、抗凝固剤(ヘパリンナトリウム又はクエン酸三ナトリウム)が投与される。その後、この抗凝固剤を含有する血液Bの温度を恒温槽90により約37℃に維持しながら、試験装置100jへとプライミングするとともに、血液Bの凝固能を回復させるために、投薬ポート26より、血液Bに凝固促進剤(プロタミン硫酸塩又は塩化カルシウム水溶液)が加えられる。ここで、所望の凝固能へと調整するため、血液凝固能測定装置を使用して、サンプルポート27から採血した血液Bの血液凝固時間(ACT:activated clotting time)を計測し、この血液凝固時間ACTが、例えば、200秒となるように凝固促進剤の投与量を調整する。この際、凝固促進剤の投与量を調整するため、一定時間毎にサンプルポート27より血液Bを採血して凝固能を計測する。
本実施形態において、血液Bの温度を体温の約37℃に維持しつつ、凝固能を調整するため、血液Bの凝固能が生体内環境を模擬することができるという効果を奏する。
<生体組織血管の血液適合性評価手段について>
試験装置100jは、生体組織血管1の血液適合性評価手段(不図示)をさらに備える。この生体組織血管1の血液適合性評価手段は、所定の試験期間経過後(例えば、30分毎、1時間毎など)に、生体組織血管1内に形成される初期の血栓の検出及び評価を行う。
具体的には、生体組織血管1の血液適合性評価手段は、所定の試験期間経過後などに、試験装置100jに収容された生体組織血管1の内面に対して、又は、試験装置100jから取り出した生体組織血管1の内面に対して、画像撮影装置による画像分析や目視により、血栓の有無や血栓が生じている場所を調べ、許容以上の量や範囲に血栓が生じたら、生体組織血管1の血液適合性がないものと判断する。
本実施形態における生体組織血管1の血液適合性評価手段は、生体組織血管1を試験装置100jに収容した状態で血栓の検出及び評価を行うことができるため、評価試験を中断せずに、連続的に生体組織血管1内に形成される血栓の経時変化を観察することができるという効果を奏する。
本実施形態における生体組織血管1の血液適合性評価手段は、生体組織血管1内に形成される血栓を対象とするものであるが、これに限らず、抗凝固した血液を使用して一定時間内に生じる赤血球破壊である溶血を対象とするものでもあっても良い。
<ステントの血液適合性の評価を行うための構成について>
図15は、図14に示される試験装置100jにおける生体組織血管1内に、拡張させたステント2を留置した試験装置100kの概略図である。ここで、図15に示す試験装置100kの基本的な構成は、図14に示す試験装置100jの構成と同一であるから、以下では、図14に示す試験装置100jの構成と異なる部分(生体組織血管1及びステント2)を中心に説明する。
ここで、本実施形態における生体組織血管1には、実際の生体血管や、所望の耐久性及び血液適合性を有する再生血管(以下、「生体血管等」という)1を採用し、この生体血管等1内に血液適合性の評価対象である拡張させたステント2を留置する。これにより、ステント2の血液適合性の評価試験において、生体血管等1が原因となって血栓が形成されることないため、ステント2のみの血液適合性の評価を行うことができる。
ここで本実施形態におけるステント2は、材料に316Lステンレスやタンタル、コバルト白金などを使用し、金属が露出したベアメタルステントやベアメタルステントにePTFE膜など被覆したカバーステントなどを用いることができる。さらに、ステント留置後の血栓形成を抑制するため、ステント表面に細胞増殖を抑制する薬剤を塗布している薬剤溶出性ステントなども用いることができる。
<ステントの血液適合性評価手段について>
試験装置100kは、ステント2の血液適合性評価手段(不図示)をさらに備える。このステント2の血液適合性評価手段は、生体組織血管1の血液適合性評価手段と同様に、所定の試験期間経過後(例えば、30分毎、1時間毎など)に、ステント2に形成される初期の血栓の検出及び評価を行う。
具体的には、ステント2の血液適合性評価手段は、所定の試験期間経過後などに、試験装置100kに収容されたステント2に対して、又は、試験装置100kから取り出したステント2に対して、画像撮影装置による画像分析や目視により、血栓の有無や血栓が生じている場所を調べ、許容以上の量や範囲に血栓が生じたら、ステント2の血液適合性がないものと判断する。
本実施形態におけるステント2の血液適合性評価手段は、生体血管等1に留置したステント2を試験装置100kに収容した状態で血栓の検出及び評価を行うことができるため、評価試験を中断せずに、連続的にステント2に形成される血栓の経時変化を観察することができるという効果を奏する。
本実施形態におけるステント2の血液適合性評価手段は、ステント2に形成される血栓を対象とするものであるが、これに限らず、抗凝固した血液を使用して一定時間内に生じる赤血球破壊である溶血を対象とするものであっても良い。
100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g,100h,100i 試験装置
1,1a,1b,1c 生体組織血管
2 ステント
10 ポンプ
20,20’,20a,20b,20c 培養槽(拍動減衰手段)
21,21a,21b,21c 生体組織血管入口部
22,22a,22b,22c 生体組織血管出口部
23,23a,23b,23c 循環培養液流入部
24,24a,24b,24c 循環培養液流出部
25 空気抜き管路(脱泡手段)
26 投薬ポート
27 サンプルポート
30 流体管路
31,31a,31b,31c 供給管路
31j,31ja,31jb,31jc 供給管路接続コネクタ
31j’ 計測装置接続コネクタ
32,32a,32b,32c 循環管路(抵抗調整手段)
32j,32ja,32jb,32jc 循環管路接続コネクタ
33 戻り管路
34,34a,34b,34c 上流側戻り管路
35 下流側戻り管路
40 回転速度制御手段
50 抵抗調整手段
60 脱泡槽(脱泡手段)
61 脱泡培養液流入部(脱泡手段)
62 脱泡培養液流出部(脱泡手段)
63 空気抜き管路(脱泡手段)
70 データ記録手段
80a,80b,80c 耐久性評価手段
90 恒温槽
A 空気
B 血液
C 培養液
Di 血管内径計測装置(血管径計測装置)
di 生体組織血管の内径
Do 血管外径計測装置(血管径計測装置)
do 生体組織血管の外径
f0,f0’,fa0,fb0,fc0 目標流量
F1 第1の流量計
f1 第1の流量
P1 第1の圧力計
p0,p0’ 目標圧力
p1 第1の圧力
P2 第2の圧力計
p2 第2の圧力
P3 第3の圧力計
p3 第3の圧力
Pd 血管下流側の圧力計
pd 血管下流側の圧力
Pi 血管内圧力計
pi 生体組織血管の内圧
R1 第1の抵抗器
r1 第1の管路抵抗
R2 第2の抵抗器
r2 第2の管路抵抗
R3 第3の抵抗器
r3 第3の管路抵抗
RS シャント回路の抵抗器
rs シャント抵抗
V 仮想直線
v 回転速度
W 液面

Claims (13)

  1. 回転速度を変化させることにより、拍動流及び定常流を生成する遠心ポンプと、
    生体組織血管を培養液中に浸漬状態で収容する培養槽であって、浸漬された前記生体組織血管を、前記生体組織血管の長手方向が前記培養槽に保持される培養液の液面と直交する方向に沿うよう配置する培養槽と、
    前記遠心ポンプと前記培養槽とを連通する流体管路と、
    を備え、
    前記培養槽は、前記生体組織血管の一端側が流体連通される生体組織血管入口部と、前記生体組織血管の他端側が流体連通される生体組織血管出口部と、前記生体組織血管の外側に循環される培養液が流入する循環培養液流入部と、前記生体組織血管の外側に循環された培養液が流出する循環培養液流出部と、を有し、
    前記流体管路は、前記生体組織血管入口部を介して、前記遠心ポンプと前記生体組織血管の一端側とを直接連通する供給管路と、前記生体組織血管出口部及び前記循環培養液流入部を介して、前記生体組織血管の他端側と前記培養槽とを直接連通する循環管路と、前記循環培養液流出部を介して、前記培養槽と前記遠心ポンプとを直接連通する戻り管路と、を有し、
    前記循環培養液流入部及び前記循環培養液流出部を結ぶ仮想直線は、前記生体組織血管と交差することを特徴とする生体組織血管の試験装置
  2. 前記生体組織血管の外側における培養液の拍動を減衰させる拍動減衰手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の生体組織血管の試験装置。
  3. 前記供給管路に設けられる第1の圧力計及び第1の流量計と、前記循環管路の抵抗を調整する抵抗調整手段と、前記遠心ポンプの回転速度を制御する回転速度制御手段と、をさらに備え、
    前記第1の流量計から取得される第1の流量及び前記第1の圧力計から取得される第1の圧力に基づき、前記抵抗調整手段は、前記循環管路の抵抗を調整するとともに、前記回転速度制御手段は、前記遠心ポンプの回転速度を制御し、
    一組の目標値に基づいて、前記回転速度制御手段は前記遠心ポンプの回転速度を制御するとともに前記抵抗調整手段は前記管路の抵抗を調整することにより前記定常流を生成し、および二組の目標値の一方と他方に基づいて、周期的に、前記回転速度制御手段は前記遠心ポンプの回転速度を制御するとともに前記抵抗調整手段は前記管路の抵抗を調整することにより前記拍動流を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体組織血管の試験装置。
  4. 前記生体組織血管をバイパスするシャント回路さらに備え、
    前記第1の流量及び前記第1の圧力に基づき、前記抵抗調整手段は、前記シャント回路の抵抗を調整することを特徴とする請求項に記載の生体組織血管の試験装置。
  5. 前記生体組織血管の耐久性を評価する耐久性評価手段をさらに備え、
    前記耐久性評価手段は、少なくとも前記第1の圧力計及び前記第1の流量計からそれぞれ取得される前記第1の圧力及び前記第1の流量に基づき、前記生体組織血管における耐久性の指標を算出し、評価することを特徴とする請求項又は請求項に記載の生体組織血管の試験装置。
  6. 前記循環管路に設けられる第2の圧力計をさらに備え、
    前記耐久性評価手段は、前記第1の圧力計、前記第2の圧力計及び前記第1の流量計からそれぞれ取得される前記第1の圧力、第2の圧力及び前記第1の流量に基づき、前記生体組織血管における耐久性の指標を算出し、評価することを特徴とする請求項に記載の生体組織血管の試験装置。
  7. 血管内圧力計及び血管径計測装置と、耐久性評価手段と、をさらに備え、
    前記耐久性評価手段は、前記血管内圧力計及び前記血管径計測装置から取得される血管内圧力及び血管径に基づき、前記生体組織血管における耐久性の指標を算出し、評価することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  8. 培養液中の空気を脱泡する脱泡手段をさらに備え、
    前記脱泡手段は、前記培養槽の上部に外気と常時連通する空気抜き管路を設け、
    前記培養槽内における前記空気抜き管路の一端は、前記培養槽に保持される培養液の液面より上方に位置することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  9. 培養液中の気体を脱泡する脱泡手段をさらに備え、
    前記脱泡手段は、脱泡培養液流入部及び脱泡培養液流出部を有するとともに培養液を保持する脱泡槽と、前記脱泡槽の上部に外気と常時連通する空気抜き管路と、を設け、
    前記脱泡槽内における前記空気抜き管路の一端は、前記脱泡槽に保持される培養液の液面より上方に位置しており、
    前記戻り管路は、第1の戻り管路と、第2の戻り管路とからなり、前記第1の戻り管路は、前記循環培養液流出部と前記脱泡培養液流入部とを直接連通し、前記脱泡槽内における前記第1の戻り管路の一端は、前記脱泡槽に保持される培養液の液面より下方に位置し、前記第2の戻り管路は、前記脱泡培養液流出部と前記遠心ポンプとを直接連通することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  10. 前記生体組織血管を収容する前記培養槽を複数並列に配置し、
    前記供給管路から分岐された複数の前記供給管路、及び、前記戻り管路から分岐された複数の前記戻り管路が、各前記培養槽の前記生体組織血管入口部及び前記生体組織血管出口部にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  11. 前記培養槽内に前記生体組織血管を複数並列に配置し、
    前記供給管路から分岐された複数の前記供給管路、及び、前記循環管路から分岐された複数の前記循環管路が、各前記生体組織血管の一端側及び他端側にそれぞれ連通されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  12. 前記培養液として血液を用い、前記流体管路を全て密閉回路とするとともに、
    前記培養槽の少なくとも一部を覆う恒温槽と、
    血液適合性評価手段と、をさらに備え、
    前記血液適合性評価手段は、前記生体組織血管内に形成される血栓の検出及び評価を行うことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の生体組織血管の試験装置。
  13. 前記生体組織血管内に拡張させたステントを留置させ、
    前記血液適合性評価手段は、前記ステントに形成される血栓の検出及び評価を行うことを特徴とする請求項12に記載の生体組織血管の試験装置。
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