JP2005337758A - 人工血管のコンプライアンス評価用の装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 人工血管のコンプライアンスを簡便な構成でより詳細に評価することが可能な測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 液体導入口と、液体排出口と、人工血管の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記人工血管の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、前記液体導入口より液体を供給して前記人工血管を内部から加圧する加圧手段と、前記収容槽内の人工血管の断層像を得るための断層像取得手段と、を備える計測装置とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 液体導入口と、液体排出口と、人工血管の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記人工血管の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、前記液体導入口より液体を供給して前記人工血管を内部から加圧する加圧手段と、前記収容槽内の人工血管の断層像を得るための断層像取得手段と、を備える計測装置とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、生体への移植を前提とした人工血管(再生血管を含む)を調製する手段に関する。詳細には、人工血管のコンプライアンスを評価するための装置及び方法、並びに再生血管を作製するための装置及び方法(評価を含む)に関する。
動脈硬化性の疾患(狭心症・心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症など)は生活習慣の欧米化に伴い増加し、本邦における主要な死亡原因となっている。一方、その治療法は外科的なバイパス手術が根治療法として選択される。例えば冠動脈バイパス術は本邦では年間20,000例を数えるが、米国では500,000例を越え、本邦でも増加の一途を辿っている。バイパス手術のグラフト(移植血管)はほとんどが自家の動脈あるいは静脈を犠牲にしてグラフトとして利用されている。小口径の人工の材料で作製したグラフト(人工血管)は短期遠隔期に高率に閉塞し現在臨床応用に耐えうるものはほとんどないと考えてよい。人工血管を用いたバイパス術後の閉塞の原因の一つとして、血管と移植血管のコンプライアンス・ミスマッチが指摘され、このミスマッチによって吻合部の内膜肥厚が惹起され閉塞機転となることが解ってきた。
尚、本発明に関連する文献を以下に開示する。
尚、本発明に関連する文献を以下に開示する。
長期開存性の維持にはしなやかなコンプライアンスが必須と考えられる。コンプライアンスを計測する手段として従来は血管造影を用いてその径を計測する方法が用いられていた(Sonoda, H. et al. Compliance design of artificial graft: compliance determination by new digital X-ray imaging system-based method. J Biomed Mater Res 60: 191-195, 2002.:非特許文献1)が、その手技は煩雑で大がかりで、さらには評価物が正円でないと正確な評価はできないといった制限があった。また、培養等の行程を含んでいる再生血管の場合はそれを一旦中断しなければ計測は不能であった。更に血管造影を用いる方法では評価の過程において、移植用の人工血管として備えるべき特性に大きな影響を与えることになる。特に無菌性については、人工素材のみによって構築している従来の人工血管などでは、移植前に滅菌操作を行うことも可能であるが、上記の再生血管の場合には同様の滅菌操作は容易でなく、またこれを実施することによってその他の特性に悪影響を与えかねない。
本発明は以上の課題に鑑みて、人工血管のコンプライアンスを簡便な構成でより詳細に評価することが可能な測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。また、人工血管のコンプライアンスを評価することが可能な測定装置及び測定方法であって、細胞培養等の工程を経て構築される再生血管についても、その特性に実質的な影響を与えることなくコンプライアンスを評価することが可能な評価装置及び測定方法を簡便な構成で提供することを他の目的とする。また、そのコンプライアンスの評価も含めた、再生血管の一連の作製工程を実施することが可能な作製装置及び作製方法を簡便な構成で提供することをさらなる目的とする。
本発明は以上の課題に鑑みて、人工血管のコンプライアンスを簡便な構成でより詳細に評価することが可能な測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。また、人工血管のコンプライアンスを評価することが可能な測定装置及び測定方法であって、細胞培養等の工程を経て構築される再生血管についても、その特性に実質的な影響を与えることなくコンプライアンスを評価することが可能な評価装置及び測定方法を簡便な構成で提供することを他の目的とする。また、そのコンプライアンスの評価も含めた、再生血管の一連の作製工程を実施することが可能な作製装置及び作製方法を簡便な構成で提供することをさらなる目的とする。
本発明は、以上の目的の少なくとも一つを達成すべく鋭意研究した結果として完成されたものであって、以下の構成からなる。
即ち本発明の第1の局面は、人工血管のコンプライアンスを評価するための計測装置であって、
液体導入口と、液体排出口と、人工血管の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記人工血管の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、
前記液体導入口より液体を供給して前記人工血管を内部から加圧する加圧手段と、
前記収容槽内の人工血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
を備える計測装置である。
即ち本発明の第1の局面は、人工血管のコンプライアンスを評価するための計測装置であって、
液体導入口と、液体排出口と、人工血管の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記人工血管の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、
前記液体導入口より液体を供給して前記人工血管を内部から加圧する加圧手段と、
前記収容槽内の人工血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
を備える計測装置である。
本発明の計測装置では、加圧手段によって加圧状態、即ち生体において血流による負荷を受けている状態に近似した環境をつくることができる。そして、当該環境下、断層像取得手段によって人工血管の断層像が取得される。一方で、加圧手段による加圧状態を解除することによって(又は加圧前に)、非加圧状態の断層像を取得することができる。このように本発明の計測装置によれば、加圧状態及び非加圧状態のそれぞれについて人工血管の所定位置(又は所定区間の)の断層像を取得することができる。このようにして取得した断層像は人工血管の面積(又は体積)を算出することに用いられる。即ち、取得した各断面積から人工血管の断面積(又は体積)を求め、続いてそれらを比較すれば、人工血管の所定位置の断面積(又は所定区間の体積)の変化量を算出することができる。このようにして得られた断面積(又は体積)の変化量を用いれば、圧負荷による人工血管の伸縮の程度や復元力などを詳細に調べることができ、またより正確な評価もできる。このように本発明の計測装置を用いれば人工血管のコンプライアンスを詳細且つ正確に評価できる。しかも本発明の計測装置は簡便な構成であり、製造コストの面や操作手順の面で有利なものである。
本発明において「人工血管」とは、人為的操作を経て作製ないし調製される血管代替物(通常、機能不全に陥った血管を置換する目的で使用される血管様構造体)をいう。人工血管はその材料の違いから、布製人工血管、PTFE製人工血管、生体材料製人工血管、合成高分子材料製人工血管、及び人工材料と生体材料とを用いたハイブリッド型人工血管に分類することができる。一方、血管細胞又は血管組織(或いは血管組織を形成しうる細胞又は組織)を利用した、様々な人工血管の開発が進められている。このような人工血管の一例として、生体吸収性材料などからなる細胞固定床(足場)の上で、心臓血管系領域を形成しうる細胞又は組織を培養して作製される再生血管がある。
本発明の適用対象となる人工血管のサイズは特に限定されない。即ち、大口径(一般に内径が10mm以上)、中口径(一般に内径が6mm〜10mm)、小口径(一般に内径が6mm未満)、いずれの人工血管に対しても本発明を適用することができる。但し、特に小口径の人工血管に対して本発明は有効である。
本発明における人工血管は、弁状部分(弁状構造体、人工弁)を備えていてもよい。ここでの弁状部分は、心臓弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)等の代替物として利用されることを予定されたものであって、その利用目的に応じた形状を有する。
本発明において「コンプライアンス」とは、人工血管の伸展性ないし伸張性をいう。
また、「収容槽」とは、被験対象の人工血管が収容される容器をいう。但し、本発明の再生血管作製装置においては、収容槽は、再生血管の材料となる細胞固定床が収容され、その中で細胞又は組織が培養される容器をいう(培養操作の結果として再生血管が収容されることになる)。
人工血管内に供給される「液体」は、計測中に人工血管の特性を損なうことがないものが採用される。細胞や組織など生体材料を含む人工血管(典型的には再生血管)の場合は細胞等の維持が可能な培養液を用いることが好ましい。
本発明の適用対象となる人工血管のサイズは特に限定されない。即ち、大口径(一般に内径が10mm以上)、中口径(一般に内径が6mm〜10mm)、小口径(一般に内径が6mm未満)、いずれの人工血管に対しても本発明を適用することができる。但し、特に小口径の人工血管に対して本発明は有効である。
本発明における人工血管は、弁状部分(弁状構造体、人工弁)を備えていてもよい。ここでの弁状部分は、心臓弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)等の代替物として利用されることを予定されたものであって、その利用目的に応じた形状を有する。
本発明において「コンプライアンス」とは、人工血管の伸展性ないし伸張性をいう。
また、「収容槽」とは、被験対象の人工血管が収容される容器をいう。但し、本発明の再生血管作製装置においては、収容槽は、再生血管の材料となる細胞固定床が収容され、その中で細胞又は組織が培養される容器をいう(培養操作の結果として再生血管が収容されることになる)。
人工血管内に供給される「液体」は、計測中に人工血管の特性を損なうことがないものが採用される。細胞や組織など生体材料を含む人工血管(典型的には再生血管)の場合は細胞等の維持が可能な培養液を用いることが好ましい。
収容槽には液体導入口と液体排出口とが備えられる。この液体導入口には第1保持部を利用して人工血管の一端が接続される。第1保持部は通常、液体導入口に連続して形成されており、人工血管の一端を一時的に保持する機構を備えることとなる。一方で液体排出口には第2保持部を利用して人工血管の他端が接続される。第1保持部と同様に第2保持部も、通常、液体排出口に連続して形成されており、人工血管の他端を一時的に保持する機構を備える。ここでの「一時的に保持する機構」として、保持部を筒状とし、その外周に突起部を設けて人工血管の一端を係止めするものを例示することができる。また、筒状の保持部に人工血管を被せて装着したときに、両者の間に適度な摩擦力(抵抗)が生じるような材料で保持部を形成することによっても当該機構を備えた保持部となる。
収容槽にはその液体導入口を介して加圧手段が接続される。本発明では液体を利用する加圧手段が用いられる。具体的には、静水圧を発生することが可能な加圧手段、又は拍動流による周期的(間欠的)な圧負荷が可能な加圧手段を用いることができる。後者によれば、生体環境を再現した条件下で測定することができることから、人工血管を生体に移植した場合の実際の挙動をより詳細に把握することが可能となる。
断層像取得手段としては、超音波断層画像装置、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層画像装置(CT)、又は光干渉断層画像装置(OCT)を好適に用いることができる。中でも超音波画像装置は簡便且つ小型に構成できることから、これを用いることが特に好ましい。尚、超音波断層画像装置は超音波診断装置、超音波断層像装置、超音波断層像撮影装置、又は超音波断層画像撮影装置と呼ばれることがある。同様に磁気共鳴画像装置(MRI:magnetic resonance imaging)は磁気共鳴断層撮影装置、磁気共鳴映像装置、又は磁気共鳴画像診断装置と呼ばれることがある。同様にコンピュータ断層画像装置(CT:computed tomography)はコンピュータ断層撮影装置、又はX線CT装置と呼ばれることがある。同様に光干渉断層画像装置(OCT)は光干渉トモグラフィー装置、又は光干渉利用段像画像装置と呼ばれることがある。
人工血管をその長手軸に沿って走査し、連続的な断層像を撮影できる断層像取得手段を用いることが好ましい。尚、当該機能を備えている超音波断層画像装置やMRI、CT等は医療用等として広く利用されている。
本発明の一形態では、上記の構成に加えて、断層像から断面積又は体積を計算する手段が備えられる。当該手段を上記の断層像撮影手段と一体的に構成してもよい。即ち、断層像の撮影と、断層像から断面積又は体積を計算することを連続して実行することが可能な手段を備える計測装置としてもよい。
人工血管をその長手軸に沿って走査し、連続的な断層像を撮影できる断層像取得手段を用いることが好ましい。尚、当該機能を備えている超音波断層画像装置やMRI、CT等は医療用等として広く利用されている。
本発明の一形態では、上記の構成に加えて、断層像から断面積又は体積を計算する手段が備えられる。当該手段を上記の断層像撮影手段と一体的に構成してもよい。即ち、断層像の撮影と、断層像から断面積又は体積を計算することを連続して実行することが可能な手段を備える計測装置としてもよい。
本発明の一形態では、収容槽の液体導入口より人工血管内に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定するための流れ測定手段がさらに備えられる。流れ測定手段による測定結果(液体の流れ方向及び/又は流速)は、被験対象の人工血管の機能評価に利用される。例えば、(1)十分な内径を確保できているか否か、(2)閉塞箇所の有無、(3)閉塞及び狭窄のおそれの程度、(4)漏洩箇所の有無、(5)漏出の程度の評価に利用される。
上記の流れ測定手段に加えて又はこれに代えて、収容槽の液体排出口より排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段を使用してもよい。この第2流れ測定手段は、上記の流れ測定手段と同様の目的に利用される。二つの流れ測定手段を併用することにすれば、人工血管を通過する前後の液体の流速等を測定し比較することができることから、人工血管のより詳細な評価が可能となる。
上記の流れ測定手段に加えて又はこれに代えて、収容槽の液体排出口より排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段を使用してもよい。この第2流れ測定手段は、上記の流れ測定手段と同様の目的に利用される。二つの流れ測定手段を併用することにすれば、人工血管を通過する前後の液体の流速等を測定し比較することができることから、人工血管のより詳細な評価が可能となる。
本発明の一形態では、収容槽の液体導入口より人工血管内に供給される液体の圧力と、収容槽の液体排出口より排出される液体の圧力とを測定するための圧力測定手段がさらに備えられる。圧力測定手段による測定結果は、被験対象の人工血管の機能評価に利用される。例えば、(1)人工血管が全体に亘って十分な内径を確保しているか否か、(2)閉塞箇所の有無、(3)閉塞及び狭窄のおそれの程度、(4)漏洩箇所の有無、(5)漏出の程度、さらには(6)破裂強度の評価に利用される。
本発明の一形態では、収容槽内の人工血管の内部表面を撮影するための撮影手段(例えばCCDカメラ)がさらに備えられる。この撮影手段によれば人工血管の内部表面の状態を可視的に把握でき、より多面的なコンプライアンス評価が可能となる。
本発明の第2の局面は上記計測装置を利用した方法、即ち人工血管のコンプライアンス評価方法に関し、以下のステップを含むことを特徴とする。
(1)その一端側から液体を供給して人工血管を内部から加圧する加圧ステップ。
(2)加圧状態の前記人工血管の断層像を所定位置において(又は所定区間について連続的に)取得して、前記所定位置における前記人工血管の断面積(又は前記所定区間における前記人工血管の体積)を計測する加圧時計測ステップ。
(3)前記ステップで求めた断面積(又は体積)と、非加圧状態の前記所定位置における断面積(又は前記所定区間の体積)とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ。
(4)前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。
(1)その一端側から液体を供給して人工血管を内部から加圧する加圧ステップ。
(2)加圧状態の前記人工血管の断層像を所定位置において(又は所定区間について連続的に)取得して、前記所定位置における前記人工血管の断面積(又は前記所定区間における前記人工血管の体積)を計測する加圧時計測ステップ。
(3)前記ステップで求めた断面積(又は体積)と、非加圧状態の前記所定位置における断面積(又は前記所定区間の体積)とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ。
(4)前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。
本発明の方法では、断層像を用いて、加圧状態の人工血管の断面積(又は体積)と非加圧状態の断面積(又は体積)とを比較して人工血管のコンプライアンスを評価する。
本発明の方法の一態様では、所定位置の面積変化量を指標として人工血管のコンプライアンスを評価する。即ちこの態様ではます、人工血管の所定位置において断層像を撮影する。そして断層像から断面積を計算する。このような手順で加圧状態及び非加圧状態のそれぞれについて断面積を求め、両者を比較して変化量を算出する。最後に、変化量を用いて人工血管のコンプライアンスを評価する。断層像を取得する位置は特に限定されない。好ましくは複数の位置において断層像を取得する。このようにすれば人工血管の複数箇所の計測結果に基づいた評価が可能となり、より有用な評価結果が得られる。
本発明の方法の一態様では、所定位置の面積変化量を指標として人工血管のコンプライアンスを評価する。即ちこの態様ではます、人工血管の所定位置において断層像を撮影する。そして断層像から断面積を計算する。このような手順で加圧状態及び非加圧状態のそれぞれについて断面積を求め、両者を比較して変化量を算出する。最後に、変化量を用いて人工血管のコンプライアンスを評価する。断層像を取得する位置は特に限定されない。好ましくは複数の位置において断層像を取得する。このようにすれば人工血管の複数箇所の計測結果に基づいた評価が可能となり、より有用な評価結果が得られる。
本発明の方法の他の態様では、所定区間の体積変化量を指標として人工血管のコンプライアンスを評価する。即ちこの態様ではまず、人工血管の所定区間について連続的に断層像を撮影する。そして、各断層像から得られる断面積を積算(積分)して当該所定区間の体積を求める。このような手順で加圧状態及び非加圧状態のそれぞれについて所定区間の体積を求め、両者を比較して変化量を算出する。最後に、変化量を用いて人工血管のコンプライアンスを評価する。このように体積変化量を用いれば、所定区間の総合的なコンプライアンスを評価することが容易となる。
尚、ここでの所定区間は、これらに限定されるものではないが、例えば被験対象の人工血管の全長の1/50〜全長、全長の1/20〜全長、全長の1/10〜全長の1/2、全長の1/5〜全長の1/3の範囲内で設定することができる。また、所定区間として複数の区間を設定してもよい。即ちこの場合には、互いに連続しない複数の区間(例えば、被験人工血管の両端領域及び中央領域の3区間)について体積変化量を計測することになる。このように複数の区間についての体積変化量を求め、それらを総合的に評価することとすれば、より詳細にコンプライアンスを評価することができる。
尚、ここでの所定区間は、これらに限定されるものではないが、例えば被験対象の人工血管の全長の1/50〜全長、全長の1/20〜全長、全長の1/10〜全長の1/2、全長の1/5〜全長の1/3の範囲内で設定することができる。また、所定区間として複数の区間を設定してもよい。即ちこの場合には、互いに連続しない複数の区間(例えば、被験人工血管の両端領域及び中央領域の3区間)について体積変化量を計測することになる。このように複数の区間についての体積変化量を求め、それらを総合的に評価することとすれば、より詳細にコンプライアンスを評価することができる。
本発明の方法において「非加圧状態」は、加圧前の状態、又は加圧状態を解除した状態を意味する。「加圧状態を解除した状態」とは、加圧状態を継続した後に加圧することを停止し、停止後所定時間経過した状態をいう。ここでの所定時間は、コンプライアンス評価の基準や目的などに応じて適宜設定することができる。例えば、瞬間的な伸縮性ないし弾性を評価する場合には加圧停止直後の状態を計測することとなり、所定時間は短く設定される。具体的には、所定時間を例えば、0秒、0秒〜1秒、1秒〜5秒、5秒〜20秒、20秒〜1分とすることができる。
好ましくは、加圧前の状態と加圧状態を解除した状態の両者について人工血管の断面積(又は体積。以下、断面積と体積をまとめて「断面積等」という)を計測する。そして、得られた各断面積等と、加圧状態の断面積等とを相互に比較して人工血管のコンプライアンスを評価する。このようにすれば、人工血管の復元性をより詳細且つ正確に評価することができる。
さらに好ましくは、加圧と加圧の解除とを繰り返し行った後の人工血管の断面積等を計測し、これによって得られた、非加圧状態の断面積等と加圧前の断面積等及び加圧状態の断面積等とを相互に比較して人工血管のコンプライアンスを評価する。このようにすれば耐久性を含めた評価が行えることとなる。この場合において、加圧状態の断面積等として、一連の操作(加圧及びその解除)の初期の断面積等、中期の断面積等及び終期の断面積等など複数の断面積等を計測することとし、得られた各断面積等をコンプライアンス評価の材料にしてもよい。このようにすれば、加圧及びその解除を繰り返すことによる伸展性の変化を評価することができる。尚、この場合に計測する断面積等の数は特に限定されず、例えば2〜50、2〜30、又は2〜10とする。
同様に、加圧解除後の断面積等として、それまでに行った加圧及び加圧解除の回数が異なる、複数の断面積等を計測することとし、得られた各断面積等をコンプライアンス評価の材料にしてもよい。このようにすれば、加圧及びその解除を繰り返すことによる伸展性の変化を評価することができる。尚、この場合においても計測する断面積等の数は特に限定されず、例えば2〜20、2〜30、又は2〜10とする。
好ましくは、加圧前の状態と加圧状態を解除した状態の両者について人工血管の断面積(又は体積。以下、断面積と体積をまとめて「断面積等」という)を計測する。そして、得られた各断面積等と、加圧状態の断面積等とを相互に比較して人工血管のコンプライアンスを評価する。このようにすれば、人工血管の復元性をより詳細且つ正確に評価することができる。
さらに好ましくは、加圧と加圧の解除とを繰り返し行った後の人工血管の断面積等を計測し、これによって得られた、非加圧状態の断面積等と加圧前の断面積等及び加圧状態の断面積等とを相互に比較して人工血管のコンプライアンスを評価する。このようにすれば耐久性を含めた評価が行えることとなる。この場合において、加圧状態の断面積等として、一連の操作(加圧及びその解除)の初期の断面積等、中期の断面積等及び終期の断面積等など複数の断面積等を計測することとし、得られた各断面積等をコンプライアンス評価の材料にしてもよい。このようにすれば、加圧及びその解除を繰り返すことによる伸展性の変化を評価することができる。尚、この場合に計測する断面積等の数は特に限定されず、例えば2〜50、2〜30、又は2〜10とする。
同様に、加圧解除後の断面積等として、それまでに行った加圧及び加圧解除の回数が異なる、複数の断面積等を計測することとし、得られた各断面積等をコンプライアンス評価の材料にしてもよい。このようにすれば、加圧及びその解除を繰り返すことによる伸展性の変化を評価することができる。尚、この場合においても計測する断面積等の数は特に限定されず、例えば2〜20、2〜30、又は2〜10とする。
本発明の一態様では、人工血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップがさらに実施される。そして評価ステップでは、上記の手順で求めた断面積等に加えて、流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速を評価材料の一つとして用いて人工血管のコンプライアンスが評価される。例えば、期待される流速が得られない場合には、(1)人工血管の一部において十分な内径が確保できていない、(2)閉塞箇所が存在する、(3)閉塞のおそれがある、(4)漏洩箇所が存在する等と判定することができる。被験対象として弁状部分(人工弁)を備える人工血管を用いる場合においては特に弁状部分の機能を評価することが可能である。例えば、拍動流を用いてコンプライアンス評価することとし逆流が認められれば、弁状部分が正しく閉鎖できない(閉鎖不全)と判定することができる。一方、期待される流速が得られない場合には、弁状構造体が十分に開口できない(開口不全)と判定することができる。
また、流れ方向及び/又は流速について経時的な変化を測定することによって、人工血管の耐久性を評価することも可能である。
好ましくは、人工血管が加圧状態のとき及び非加圧状態のときの両方において当該ステップを実施し、その結果をコンプライアンス評価に利用する。
また、流れ方向及び/又は流速について経時的な変化を測定することによって、人工血管の耐久性を評価することも可能である。
好ましくは、人工血管が加圧状態のとき及び非加圧状態のときの両方において当該ステップを実施し、その結果をコンプライアンス評価に利用する。
上記の流れ測定ステップに加えて又はこれに代えて、人工血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップを実施することにしてもよい。この第2流れ測定ステップの結果得られる情報は、上記の流れ測定ステップの結果得られる情報と同様の目的に利用される。二つの流れ測定ステップを併用することにすれば、人工血管を通過する前後の液体の流速等を測定し比較することができることから、人工血管のより詳細な評価が可能となる。尚、この場合には原則、二つの流れ測定ステップが同時に並行して実施される。
本発明の一態様では、人工血管に供給される液体の圧力と、人工血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップがさらに実施される。そして評価ステップでは、上記の手順で求めた断面積等に加えて、圧力損失量算出ステップで求めた圧力損失量を評価材料の一つとして用いて人工血管のコンプライアンスが評価される。例えば供給される液体の圧力と排出される液体の圧力との差、即ち圧力損失をみれば、(1)人工血管が全体に亘って十分な内径を確保しているか否か、(2)閉塞箇所の有無、(3)閉塞のおそれの程度、(4)漏洩箇所の有無などを判定することができる。
被験対象として弁状部分(人工弁)を備える人工血管を用いる場合においては特に弁状部分の機能を評価することが可能である。具体的には例えば、適度の圧力損失があれば、弁状構造体が適切に機能していると判定することができる。これとは逆に極度の圧力損失が認められた場合には、弁状構造体の開閉機能に異常があると判定することができる。
被験対象として弁状部分(人工弁)を備える人工血管を用いる場合においては特に弁状部分の機能を評価することが可能である。具体的には例えば、適度の圧力損失があれば、弁状構造体が適切に機能していると判定することができる。これとは逆に極度の圧力損失が認められた場合には、弁状構造体の開閉機能に異常があると判定することができる。
本発明の一態様では、人工血管の内部表面を撮影する撮影ステップがさらに実施される。そして評価ステップでは、上記の手順で求めた断面積等に加えて、撮影ステップで取得した撮影像を評価材料の一つとして用いて人工血管のコンプライアンスが評価される。撮影像を用いて、加圧状態の人工血管の内部表面状態と非加圧状態の人工血管の内部表面状態とを形態的な観点から比較しその結果を評価材料の一つとすれば、上記の断層像撮影手段による断面積等の数値的な指標とは異なる指標による評価を加味したコンプライアンス評価を行うことができる。
一方、弁状部分を備える人工血管を被験対象とした場合には弁状部分の開閉状態などを把握し評価することも可能となる。このように、当該ステップは特に弁状部分を評価する場合に有用である。
一方、弁状部分を備える人工血管を被験対象とした場合には弁状部分の開閉状態などを把握し評価することも可能となる。このように、当該ステップは特に弁状部分を評価する場合に有用である。
尚、上記の流れ測定ステップ、第2流れ測定ステップ、圧力損失量算出ステップ、及び撮影ステップを任意に組み合わせて実施することにしてもよい。好ましくは、これら全てのステップを実施することにする。かかる態様によれば、一層詳細なコンプライアンス評価が可能となる。
次に本発明のさらに他の局面について説明する。当該局面は再生血管の作製装置に関し、以下の構成からなる。即ち、液体導入口と、液体排出口と、細胞固定床の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記細胞固定床の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、
前記収容槽内において前記細胞固定床及びその上に播種される細胞又は組織から構築される再生血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給する培養液供給手段と、
を備える再生血管作製装置である。
前記収容槽内において前記細胞固定床及びその上に播種される細胞又は組織から構築される再生血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給する培養液供給手段と、
を備える再生血管作製装置である。
本発明の再生血管作製装置では、再生血管の培養槽として機能する収容槽に加えて、作製された再生血管の断層像を得るための断層像取得手段を備えることから、再生血管の作製(即ち、細胞等の培養)と、断層像による再生血管のコンプライアンス評価とを連続して実施することが可能となる。従って、細胞等の培養からコンプライアンス評価に至る、再生血管作製の全工程を清潔操作で行うことができる。また、培養途中のコンプライアンス評価や成熟度の評価も可能となる。しかも、非常に簡便な構成であり、製造コストはもとより操作手順の面でも有利となる。尚、培養液供給手段によって加圧状態(培養液が供給されているとき)と、非加圧状態(培養液の供給を停止したとき)が形成されることとなり、上記本発明の第1の局面で説明したものと同様の態様及び手順で再生血管のコンプライアンスを評価することができる。従って本局面においても、コンプライアンス評価に関して上記第1の局面と同様の作用ないし効果が奏され、詳細且つ正確に再生血管のコンプライアンスを評価できる。
前記断層像取得手段は例えば、超音波断層画像装置、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層画像装置(CT)、又は光干渉断層画像装置(OCT)からなる。
本発明の一形態では、前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための流れ測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記液体排出口より排出される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の圧力と、前記排出口より排出される培養液の圧力とを測定するための圧力測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽内の再生血管の内部を撮影するための撮影手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽に収容された前記細胞固定床をその長手軸周りに回転させる回転駆動手段がさらに備えられる。この形態では例えば、細胞固定床に細胞等を播種するときに細胞固定床を回転させることで、細胞固定床の周方向において、より均一に細胞を播種することができる。即ち、細胞固定床の周方向における細胞播種密度の偏りが軽減されることとなる。従って、全周に亘って厚さがより均一な、高品質の再生血管を作製することが可能となる。回転駆動手段の方式は特に限定されず、例えば電動式(モーターとギアとの組合せなど)や手動式のものを用いることができる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽に収容された前記細胞固定床の一端又は両端を上方及び/又は下方に移動させる上下駆動手段がさらに備えられる。この上下駆動手段によれば、例えば、細胞固定床に細胞等を播種するときに細胞固定床の一端側から他端側への培養液の流れ又はその逆の流れ、或いはこれらの繰り返しによって、細胞等を細胞固定床の長さ方向において、より均一に細胞等を播種することができる。即ち、細胞固定床の長さ方向における細胞播種密度の偏りが軽減されることとなる。従って、より均一な内径の血管を作製することが可能となる。上下駆動手段の方式は特に限定されず、例えば電動式(モーターとギアとの組合せなど)や手動式のものを用いることができる。
尚、上記回転駆動手段と上下駆動手段とを併用することによって、細胞固定床の全体に亘って細胞播種密度の偏りを軽減することができ、もって一層高品質の再生血管の作製が可能となる。
本発明の一形態では、前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための流れ測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記液体排出口より排出される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の圧力と、前記排出口より排出される培養液の圧力とを測定するための圧力測定手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽内の再生血管の内部を撮影するための撮影手段がさらに備えられる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽に収容された前記細胞固定床をその長手軸周りに回転させる回転駆動手段がさらに備えられる。この形態では例えば、細胞固定床に細胞等を播種するときに細胞固定床を回転させることで、細胞固定床の周方向において、より均一に細胞を播種することができる。即ち、細胞固定床の周方向における細胞播種密度の偏りが軽減されることとなる。従って、全周に亘って厚さがより均一な、高品質の再生血管を作製することが可能となる。回転駆動手段の方式は特に限定されず、例えば電動式(モーターとギアとの組合せなど)や手動式のものを用いることができる。
また、本発明の他の形態では、前記収容槽に収容された前記細胞固定床の一端又は両端を上方及び/又は下方に移動させる上下駆動手段がさらに備えられる。この上下駆動手段によれば、例えば、細胞固定床に細胞等を播種するときに細胞固定床の一端側から他端側への培養液の流れ又はその逆の流れ、或いはこれらの繰り返しによって、細胞等を細胞固定床の長さ方向において、より均一に細胞等を播種することができる。即ち、細胞固定床の長さ方向における細胞播種密度の偏りが軽減されることとなる。従って、より均一な内径の血管を作製することが可能となる。上下駆動手段の方式は特に限定されず、例えば電動式(モーターとギアとの組合せなど)や手動式のものを用いることができる。
尚、上記回転駆動手段と上下駆動手段とを併用することによって、細胞固定床の全体に亘って細胞播種密度の偏りを軽減することができ、もって一層高品質の再生血管の作製が可能となる。
本発明の再生血管作製装置によって、弁状構造体(再生弁)を備える再生血管を作製することも可能である。この場合には、弁状部分を備える細胞固定床が使用される。
本発明の再生血管作製装置における収容槽及び断層像取得手段はそれぞれ、上記第1の局面の計測装置における収容槽及び断層像取得手段に相当する。また、本発明の再生血管作製装置における培養液供給手段は、上記計測装置における加圧手段を含む。このように、本発明の再生血管作製装置は上記計測装置を実質的に含んで構成される。そこで以下では、説明の便宜上、再生血管作製装置に特徴的な要素についてのみ説明し、その他の要素(即ち、上記第1の局面の要素と同一ないし実質的に同一の要素)については上記の説明を援用することとする。
本発明の再生血管作製装置における収容槽では、液体導入口に細胞固定床の一端が接続され、液体排出口には細胞固定床の他端が接続される。細胞固定床は、血管心臓系を形成しうる細胞又は組織の足場として機能する。細胞固定床は通常、筒状(管腔状)である。但し、再生弁の作製用の細胞固定床の場合には弁状部分が備えられる。ここでの弁状部分は、好ましくは、心臓弁(僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁)などを模した形状とされる。
細胞固定床の形成材料は特に限定されず、例えばキチン、キトサン、グリコサミノグリカン、コラーゲン、フィブリンなどの天然高分子;ポリウレタン(PUR)、ポリグリコール酸(Polyglycolic Acid:PGA)、ポリ乳酸(Polylactic Acid:PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate:PHA)、ポリヒドロキシオクタノエート(Polyhydroxyoctanoate:PHO)、ポリヒドロキシブチレート(Polyhydroxybutyrate:P4HB)、ポリカプロラクトン(Polycaprolacton:PCL)などの合成高分子;非細胞性マトリックス管などの生物的材料などを採用することができる。生体組織から細胞だけを取り除いて得られる無細胞化生体組織(acellularized matrix)も好適に用いることができる。これらのうちでは、天然高分子、合成高分子を好ましく用いることができ、天然高分子をより好ましく用いることができる。天然高分子を用いることにより、生体環境をより有効に模倣することができる。これらは1種単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
細胞固定床の形成材料は特に限定されず、例えばキチン、キトサン、グリコサミノグリカン、コラーゲン、フィブリンなどの天然高分子;ポリウレタン(PUR)、ポリグリコール酸(Polyglycolic Acid:PGA)、ポリ乳酸(Polylactic Acid:PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate:PHA)、ポリヒドロキシオクタノエート(Polyhydroxyoctanoate:PHO)、ポリヒドロキシブチレート(Polyhydroxybutyrate:P4HB)、ポリカプロラクトン(Polycaprolacton:PCL)などの合成高分子;非細胞性マトリックス管などの生物的材料などを採用することができる。生体組織から細胞だけを取り除いて得られる無細胞化生体組織(acellularized matrix)も好適に用いることができる。これらのうちでは、天然高分子、合成高分子を好ましく用いることができ、天然高分子をより好ましく用いることができる。天然高分子を用いることにより、生体環境をより有効に模倣することができる。これらは1種単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。
収容槽にはその液体導入口を介して培養液供給手段が接続される。これによって、液体導入口より細胞固定床内に培養液が供給されることとなる。培養液供給手段によって、細胞固定床に播種された細胞又は組織の培養に必要な培養液の流れが形成される。細胞固定床に播種された細胞等の増殖及びそれに伴う血管組織の形成を促す限り、任意の培養液供給手段を用いることができる。好ましくは、拍動流による培養液の供給を行える培養液供給手段を用いる。生体内における心臓血管領域の環境に類似した環境下での培養が可能となり、良好な細胞等の増殖及び組織の形成を期待できるからである。このような培養液供給手段の例として次のものを用いることができる。即ち、(1)ポンプから機械弁を介して緩衝槽へ培養液が供給されるのに連動して、前記緩衝槽から前記収容槽に培養液を供給するための緩衝手段と、(2)前記収容槽から排出される培養液を導管を通して貯蔵槽に流入させて、該培養液を、大気圧下で貯蔵槽に一時的に貯蔵するための回収貯蔵手段と、(3)前記ポンプにより、前記貯蔵槽から機械弁を介してポンプに培養液を吸引させるとともに、該吸引に連動して前記緩衝槽に培養液を加圧して間欠的に供給するための加圧手段と、を備える培養液供給手段である。このように構成されている培養液供給手段を使用することにより、細胞等が、心臓血管領域を形成するのに好適な環境を簡便に設定することができる。
心臓血管領域を形成しうる細胞又は組織とは例えば、心臓血管、心臓弁などの細胞あるいは組織などの心臓血管領域に由来する細胞または組織;血液あるいは骨髄中の幹細胞など心臓血管領域に由来しない細胞または組織が挙げられる。また、これらの細胞または組織を生体外でいったん増殖させた細胞または組織であってもよい。尚、本明細書において、動物とは、一般的に定義される動物と同じであり、たとえば哺乳類を含む。哺乳類としては、たとえば、ヒト、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシなどが挙げられる。
上記培養液供給手段ではポンプと収容槽との間に緩衝槽が設けられており、収容槽にかかる圧および流量の急激な変化を緩衝することができる。これと異なりポンプと収容槽の間に緩衝槽を有さない装置の場合、ポンプから培養液を流出させる弁の開閉時、特に弁が閉じる際に、培養液にかかる圧力が急激に陰圧に傾くことに起因して弁付近で、いわゆるウォーターハンマー現象が発生し、さらに培養液に小さな泡状のキャビテーションが発生することがある。このようなウォーターハンマー現象は急激な圧変化を与えるため細胞の細胞固定床等への接着あるいは増殖に悪影響を与える場合があり、またキャビテーションは細胞と培養液の接触面積を減らし、また、培養環境を不均一とするため好ましくない。ポンプと収容槽との間に緩衝槽を設けることにより急激な圧力変化を緩和し、キャビテーションの発生を抑制することができる。
本明細書において、ポンプから機械弁を介して緩衝槽へ培養液が供給されるのに「連動」するとは、ポンプから流入する培養液の圧、流量を緩衝槽で緩和させつつ、圧、流量を伝播して、緩衝槽から収容槽に培養液を供給することを意味する。
また、貯蔵槽内は大気圧下にあるため、収容槽から流出される培養液に対する過度の逆圧を防止することができる。
さらに、ポンプの流出部すなわちポンプと緩衝槽の間、ポンプの流入部すなわちポンプと貯蔵槽の間には機械弁が接合されており、培養液の流れる方向を一定方向にして、培養液の逆流を防止することができるとともに、ポンプにより加圧された培養液を、緩衝槽に培養液自体の流圧により、加圧状態が維持された状態でタイミングよく流出させることができる。なお、貯蔵槽とポンプとの間の機械弁は一方向弁であり、貯蔵槽からポンプへの培養液の流出を可能とする機械弁であり、ポンプと緩衝槽の間の機械弁も同様に一方向弁であり、ポンプから緩衝槽への培養液の流出を可能とする機械弁である。
以上のような緩衝槽、貯蔵槽、機械弁を有する構成を採用することにより、心臓の心拍、加圧環境に類似した、心臓血管領域の形成に好適な環境を設定することができる。
また、貯蔵槽内は大気圧下にあるため、収容槽から流出される培養液に対する過度の逆圧を防止することができる。
さらに、ポンプの流出部すなわちポンプと緩衝槽の間、ポンプの流入部すなわちポンプと貯蔵槽の間には機械弁が接合されており、培養液の流れる方向を一定方向にして、培養液の逆流を防止することができるとともに、ポンプにより加圧された培養液を、緩衝槽に培養液自体の流圧により、加圧状態が維持された状態でタイミングよく流出させることができる。なお、貯蔵槽とポンプとの間の機械弁は一方向弁であり、貯蔵槽からポンプへの培養液の流出を可能とする機械弁であり、ポンプと緩衝槽の間の機械弁も同様に一方向弁であり、ポンプから緩衝槽への培養液の流出を可能とする機械弁である。
以上のような緩衝槽、貯蔵槽、機械弁を有する構成を採用することにより、心臓の心拍、加圧環境に類似した、心臓血管領域の形成に好適な環境を設定することができる。
なお、本明細書において動物の心臓血管領域は、血管、心臓弁、心筋などの心臓の心拍によるストレスを血液の拍動により直接的に受けうる領域を意味し、好ましくは心臓血管、心臓弁、心筋を意味している。
前記収容槽と、並びに前記培養液供給手段の中の前記緩衝手段と、前記回収貯蔵手段と、及び前記ポンプとがCO2インキュベーター内に備えられていることが好ましい。CO2インキュベーターとは、内部の温度を一定に保つとともに、二酸化炭素濃度を一定に保つことができるインキュベーターを意味する。このようなCO2インキュベーター内では、二酸化炭素濃度、温度、湿度を、所望の条件に一定に保つことができるので、たとえば、保温装置あるいは二酸化炭素注入装置などを併設する必要がなく、装置をコンパクト化、低コスト化することができる。
本発明では、前記緩衝槽内には、培養液と培養液面上部に接する弾性空間とが存在し、該緩衝槽の内表面の上部表面と該緩衝槽内の培養液上面とは実質的に接触することがないことが好ましい。このように緩衝槽中に、培養液と弾性空間とを並存させることにより、緩衝槽への培養液の流入による昇圧をより緩衝させながら、適度な圧力で収容槽に培養液を供給させることができる。このため、心臓血管領域を形成するのに好適な環境を得ることができる。
また、本発明では、前記貯蔵槽に挿入される前記導管の出口面が、前記貯蔵槽に貯蔵される培養液の上部液面より、下方に位置することが好ましい。このような構成とすることにより、サイフォンの原理により導管の出口面における泡の発生を防止することができる。また、収容槽から貯蔵槽へ流入する培養液に対して、出口面から貯蔵される培養液の上部液面の差に相当する逆圧をかけることができる。このため、収容槽からの培養液の流出による急激な降圧による後負荷をより緩和させることができる。
前記ポンプとしては、具体的には例えば、バルーンポンプ、ローラーポンプ、空気ポンプなどを採用できる。これらのうちではバルーンポンプを用いることが好ましい。バルーンポンプは、バルーンの膨張、収縮により、貯蔵槽から該ポンプへ培養液を吸引しつつ、吸引された培養液を加圧して前記収容槽に培養液を間欠的に供給するポンプである。なお、本発明で用いられる好ましいバルーンポンプは、硬い外装を有する容器(モック)内に、弾力性を有するバルーンを有するもので、バルーン内への空気の出し入れによって、バルーンとモックとの間に流入させた培養液に、拍動流すなわち、流れと圧を発生させるものである。このようなバルーンポンプを採用することにより、心臓の心拍、ストレスにより近似した培養液の流れを作り出すことができるので、生体外における心臓血管領域の形成に有効である。
培養液供給手段が、収容槽にかかる圧力を制御する圧制御手段をさらに備えていることが好ましい。このような制御手段としては、たとえば、ポンプの作動を制御するための駆動装置、または前記収容槽と前記貯蔵槽とを介する制御弁が挙げられる。ポンプの作動を制御するための駆動装置としては、たとえば、IABP(Intra−Aortic Balloon Pump)が挙げられる。
また、培養液供給手段が、収容槽を流れる培養液の流れを制御しうる流れ制御手段を備えていることが好ましい。このような流れ制御手段としては、前記緩衝槽と前記収容槽とを介する調整弁が挙げられる。流れの制御としては、流量、流量の変動などが挙げられる。このような制御手段を備えることにより、収容槽へ供給される培養液の圧力あるいは収容槽から排出される培養液の圧力、加圧間隔などを心臓血管領域の形成に適した環境になるように制御することができる。
具体的には、収容槽と貯蔵槽との間の制御弁により、収容槽から培養液が流出した後の収容槽にかかる後負荷を調節することができる。これにより、最高圧力(収縮期圧)および最低圧力(拡張期圧)を微妙に調節することが可能である。なお、本明細書中、収縮期圧、拡張期圧は、心周期における期圧を意味している。
具体的には、収容槽と貯蔵槽との間の制御弁により、収容槽から培養液が流出した後の収容槽にかかる後負荷を調節することができる。これにより、最高圧力(収縮期圧)および最低圧力(拡張期圧)を微妙に調節することが可能である。なお、本明細書中、収縮期圧、拡張期圧は、心周期における期圧を意味している。
また、緩衝槽と収容槽との間の調整弁により、収容槽に流入する培養液の圧、さらには流量の伝播をより適切に調節することが可能であり、必要に応じ、層流に近い圧および流量を形成させることができる。特に、この調整弁を用いることにより、培養液の流れに関し、所望の流量の大きさおよび流量変化に調整することができる。したがって、該調整弁によって、培養液の流れにより生じる、細胞へのシェアストレス(ズリ応力)を調整することができる。
本発明の更に他の局面は上記再生血管作製装置を利用した方法、即ち再生血管作製方法に関し、以下のステップを含むことを特徴とする。
(1)液体導入口と液体排出口とを備える収容槽に細胞固定床を収容する収容ステップであって、前記細胞固定床の一端及び他端をそれぞれ前記液体導入口及び前記液体排出口に接続する収容ステップ。
(2)前記細胞固定床に、動物の心臓血管領域を形成しうる細胞又は組織を播種する細胞播種ステップ。
(3)前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給して前記細胞又は組織を培養する培養ステップと。
(4)前記液体導入口より液体を供給して、前記細胞固定床及び前記細胞又は前記組織から構築される再生血管を内側から加圧する加圧ステップ。
(5)加圧状態の前記再生血管の断層像を所定位置において(又は所定区間について連続的に)取得して、前記所定位置における前記再生血管の断面積(又は前記所定区間における前記再生血管の体積)を計測する加圧時計測ステップ。
(6)前記ステップで求めた断面積(又は体積)と、非加圧状態の前記所定位置における断面積(又は前記所定区間の体積)とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ。
(7)前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。
(1)液体導入口と液体排出口とを備える収容槽に細胞固定床を収容する収容ステップであって、前記細胞固定床の一端及び他端をそれぞれ前記液体導入口及び前記液体排出口に接続する収容ステップ。
(2)前記細胞固定床に、動物の心臓血管領域を形成しうる細胞又は組織を播種する細胞播種ステップ。
(3)前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給して前記細胞又は組織を培養する培養ステップと。
(4)前記液体導入口より液体を供給して、前記細胞固定床及び前記細胞又は前記組織から構築される再生血管を内側から加圧する加圧ステップ。
(5)加圧状態の前記再生血管の断層像を所定位置において(又は所定区間について連続的に)取得して、前記所定位置における前記再生血管の断面積(又は前記所定区間における前記再生血管の体積)を計測する加圧時計測ステップ。
(6)前記ステップで求めた断面積(又は体積)と、非加圧状態の前記所定位置における断面積(又は前記所定区間の体積)とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ。
(7)前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。
本発明の再生血管作製方法ではまず、収容槽に細胞固定床が収容される。このとき、細胞固定床の一端が収容槽の液体導入口に接続され、他端は収容槽の液体排出口に接続される。これによって、液体導入口から供給される培養液は細胞固定床内を通った後に液体排出口より排出されることとなる。通常、当該ステップの後に、細胞固定床が液体内に浸るように、細胞固定床の外部の収容槽内に液体が供給される。典型的には、細胞固定床内を除く収容槽内を液体で満たす。このようにすることで細胞固定床の乾燥が防止されるとともに、細胞固定床に播種される細胞等の増殖及び組織形成に好適な環境が作られる。ここでの液体としては、播種される細胞等の培養に通常使用される培養液を用いることができる。但し、培養液に限らず、リン酸緩衝液等の緩衝液や生理食塩水などを用いることもできる。
次に、細胞固定床に細胞等が播種される。例えば、培養液に懸濁した細胞等を収容槽の液体導入口(又は液体排出口)より細胞固定床内に導入する。細胞等を導入するとき又は導入した後(直後が好ましい)に細胞固定床をその長軸周りに回転させることが好ましい。細胞固定床の周方向において、より均一に細胞等を播種するためである。尚、回転回数及び回転速度は特に限定されない。例えば、回転数を1回〜30回、好ましくは2回〜15回の範囲内で設定し、回転速度を0.5秒/回転〜2分/回転、好ましくは1秒/回転〜1分/回転の範囲内で設定することができる。
また、細胞等を導入するとき又は導入した後(直後が好ましい)に、細胞固定床の一端側から他端側への培養液の流れ又はその逆の流れ、或いはこれらの繰り返しが生ずるように、細胞固定床の一端又は両端を上下運動させることが好ましい。細胞固定床の長さ方向において、より均一に細胞等を播種するためである。尚、上下運動における位置変動量(一端と他端との高さの差の最大値)、変動速度(平常状態から最大変動時までに要する時間)、及び繰り返し数(上下運動を繰り返し行う場合の回数)は特に限定されない。例えば、位置変動量を細胞固定床の長さの3/4〜1/30、好ましくは1/2〜1/10とし、変動速度を1秒〜1分、好ましくは2秒〜30秒とし、繰り返し数を2回〜30回、好ましくは4回〜20回とする。
また、細胞等を導入するとき又は導入した後(直後が好ましい)に、細胞固定床の一端側から他端側への培養液の流れ又はその逆の流れ、或いはこれらの繰り返しが生ずるように、細胞固定床の一端又は両端を上下運動させることが好ましい。細胞固定床の長さ方向において、より均一に細胞等を播種するためである。尚、上下運動における位置変動量(一端と他端との高さの差の最大値)、変動速度(平常状態から最大変動時までに要する時間)、及び繰り返し数(上下運動を繰り返し行う場合の回数)は特に限定されない。例えば、位置変動量を細胞固定床の長さの3/4〜1/30、好ましくは1/2〜1/10とし、変動速度を1秒〜1分、好ましくは2秒〜30秒とし、繰り返し数を2回〜30回、好ましくは4回〜20回とする。
細胞等の播種後、収容槽の液体導入口より細胞固定床内に培養液を供給して培養を行う。間欠的、即ち拍動流として培養液を供給することが好ましい。このような培養液の供給は例えば、緩衝槽、貯蔵槽、ポンプ等を備えた上記の如き培養液供給手段によって実現可能である。この場合、培養液は、ポンプから機械弁を介して緩衝槽へ培養液を供給するのに連動して、緩衝槽から収容槽に供給されるようにする。この場合、少なくとも収容槽と、緩衝槽、貯蔵槽と、ポンプとが、CO2インキュベーター内に備えられていることが好ましい。通常、CO2インキュベーター内の二酸化炭素濃度は、5〜10体積%程度であることが好ましい。また、CO2インキュベーター内の温度は、通常、常温〜40℃、好ましくは生体の温度に近い36〜38℃とすることが好ましい。
また、緩衝槽内に、培養液と培養液面上部に接する弾性空間とが存在するように培養液の量を調節することが好ましい。すなわち、該緩衝槽の内表面の上部表面と該緩衝槽内の培養液上面とは実質的に接触することがないようにすることが好ましい。さらに、前記収容槽から排出される培養液は、導管を通して、貯蔵槽に流入させて大気圧下で一時的に貯蔵されるようにする。前記ポンプにより、前記貯蔵槽から機械弁を介して該ポンプに培養液を吸引するとともに、該吸引に連動して前記緩衝槽に培養液を加圧して間欠的に供給する。
本発明の再生血管作製装置に関して説明したとおり、前記貯蔵槽に挿入される前記導入管の出口面は、前記貯蔵槽に貯蔵される培養液の上部液面より、下方に位置することが好ましく、前記ポンプは、バルーンの膨張、収縮により、該ポンプから収容槽への培養液の供給、および貯蔵槽から該ポンプへの培養液の吸引を連動させながら、貯蔵槽から吸引された培養液を加圧して前記収容槽に培養液を間欠的に供給するバルーンポンプであることが好ましい。
また、培養液の流量および圧力(ポンプ圧)は、本発明の目的を害さなければ特に限定されない。たとえば、流量は、装置の大きさ、ポンプの容量、導管の太さなどにより、ゼロを超えて、任意に設定することができる。具体的には、たとえば、流量(平均流量(mean flow))については、好ましくは10mL〜3000mL/min.、より好ましくは10mL〜1000mL/min.程度の範囲にあればよい。このような流量の範囲にあると、適当なシェアストレスを細胞等に付与することができ、細胞増殖に好適である。
また、流量は、ポンプの加圧周期に対応して、周期的に変動しうるが、平均流量からの変動幅が小さいことが好ましい。具体的には、変動幅(変動の最大値の平均)は、平均流量をXmL/min.とすると、Xに対して、好ましくは±0.5X(変動幅50%)、さらに好ましくは±0.4X(変動幅40%)、特に好ましくは±0.3X(変動幅30%)の範囲内であることが望ましい。ポンプの加圧周期に対応して変動する流量変動が上記範囲にあると、培養している細胞に働くシェアストレスの変動を小さく抑えることができ、細胞増殖を有効に行うことができる。
また、本発明の再生血管作製装置の収縮期圧(最大圧力の平均)は、好ましくは10〜200mmHg、さらに好ましくは10〜100mmHg、特に好ましくは30〜50mmHgの範囲にあることが望ましい。
本発明の再生血管作製装置の拡張期圧(最小圧力の平均)は、好ましくはゼロを超え、さらに好ましくは5〜100mmHg、より好ましくは5〜50mmHgの範囲にあることが望ましい。拡張期圧がゼロ以下であると、細胞増殖が有効に進行しない場合がある。
ポンプの平均加圧周期は、流量、圧力等により異なり、限定されないが、たとえば、好ましくは10〜200bpm、より好ましくは20〜180bpm、特に好ましくは20〜160bpmの範囲にあることが望ましい。
また、前記圧、流量、周期は、培養の初期から、終了まで、上記範囲の中で、徐々にその負荷を増加させることが好ましい。負荷を増加させることにより、細胞増殖に係る刺激の慢性化を防止し、増殖速度を高めることができる。また、培養細胞によって、負荷に対する感受性が異なるため、培養開始直後は上記範囲内で低い値で上記圧、流量、周期を設定し、徐々に上昇させることにより、培養の対象となる細胞または組織のそれぞれに対して、好適な培養条件を与えることができ、培養効率を高めることができると考えられる。また、本発明の再生血管作製装置または再生血管作製方法では、上記の各パラメーターに関し、好ましい設定値を調節することが可能であるが、徐々に圧や流量を上げたり、下げたりすることができること、すなわち可変であることにより、好適条件を与えることが可能となる。
また、培養液の流量および圧力(ポンプ圧)は、本発明の目的を害さなければ特に限定されない。たとえば、流量は、装置の大きさ、ポンプの容量、導管の太さなどにより、ゼロを超えて、任意に設定することができる。具体的には、たとえば、流量(平均流量(mean flow))については、好ましくは10mL〜3000mL/min.、より好ましくは10mL〜1000mL/min.程度の範囲にあればよい。このような流量の範囲にあると、適当なシェアストレスを細胞等に付与することができ、細胞増殖に好適である。
また、流量は、ポンプの加圧周期に対応して、周期的に変動しうるが、平均流量からの変動幅が小さいことが好ましい。具体的には、変動幅(変動の最大値の平均)は、平均流量をXmL/min.とすると、Xに対して、好ましくは±0.5X(変動幅50%)、さらに好ましくは±0.4X(変動幅40%)、特に好ましくは±0.3X(変動幅30%)の範囲内であることが望ましい。ポンプの加圧周期に対応して変動する流量変動が上記範囲にあると、培養している細胞に働くシェアストレスの変動を小さく抑えることができ、細胞増殖を有効に行うことができる。
また、本発明の再生血管作製装置の収縮期圧(最大圧力の平均)は、好ましくは10〜200mmHg、さらに好ましくは10〜100mmHg、特に好ましくは30〜50mmHgの範囲にあることが望ましい。
本発明の再生血管作製装置の拡張期圧(最小圧力の平均)は、好ましくはゼロを超え、さらに好ましくは5〜100mmHg、より好ましくは5〜50mmHgの範囲にあることが望ましい。拡張期圧がゼロ以下であると、細胞増殖が有効に進行しない場合がある。
ポンプの平均加圧周期は、流量、圧力等により異なり、限定されないが、たとえば、好ましくは10〜200bpm、より好ましくは20〜180bpm、特に好ましくは20〜160bpmの範囲にあることが望ましい。
また、前記圧、流量、周期は、培養の初期から、終了まで、上記範囲の中で、徐々にその負荷を増加させることが好ましい。負荷を増加させることにより、細胞増殖に係る刺激の慢性化を防止し、増殖速度を高めることができる。また、培養細胞によって、負荷に対する感受性が異なるため、培養開始直後は上記範囲内で低い値で上記圧、流量、周期を設定し、徐々に上昇させることにより、培養の対象となる細胞または組織のそれぞれに対して、好適な培養条件を与えることができ、培養効率を高めることができると考えられる。また、本発明の再生血管作製装置または再生血管作製方法では、上記の各パラメーターに関し、好ましい設定値を調節することが可能であるが、徐々に圧や流量を上げたり、下げたりすることができること、すなわち可変であることにより、好適条件を与えることが可能となる。
本発明に係る培養手法では、収容槽に対する加圧・降圧を緩やかに行うことが可能であるが、このような緩和された加圧・降圧により培養効率を高めることができる。すなわち、たとえば、図6(上段)に示すように、加圧・降圧状態を示す波形(横軸時間、縦軸圧力)において、時間毎の圧力変化を示す連続する波形のそれぞれの波形(1周期)が概ねなみ型の波形である場合、換言すると緩い山型の曲線状の波形である場合、さらに圧力変化の波形の傾きの変化が概ね連続的である場合には、細胞培養を有効に行うことができる。一方、図7(上段)に示すように、圧力変化を示す連続する波形のそれぞれの波形(1周期)が概ねのこぎりの歯型(のこぎり歯型)の波形、換言すると急激な鋭角状の曲線の場合、さらに前記圧力の経時変化を示す波形の傾きの変化が不連続点を有するような場合、細胞培養が有効に進行しない場合がある。
なお、本明細書においてなみ型波形とは、緩い山型の曲線状の波形であり、急激な鋭角状の曲線の波形を含まない。このような加圧の緩和は、たとえば、時間(T)に対する圧力(P)の圧力傾斜により表すことができる。
なお、本明細書においてなみ型波形とは、緩い山型の曲線状の波形であり、急激な鋭角状の曲線の波形を含まない。このような加圧の緩和は、たとえば、時間(T)に対する圧力(P)の圧力傾斜により表すことができる。
図5に示すように、横軸をt、縦軸をPとした場合、加圧時の圧力変化(傾き)の最大値max dP/dt{(mmHg)/msec.}が、好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.2以下、特に好ましくは3.0以下であることが望ましい。下限値は特に限定されないが、たとえば、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上であることが望ましい。このような値であると、細胞培養を有効に行うことができる。
また、拍動流における流量波形についても、細胞培養を有効に行うに当たって至適な波形が存在する。たとえば、図6(下段)に示すように、流量の変動を示す波形(横軸時間、縦軸流量)において、流量変化を示す連続する波形のそれぞれの波形(1周期)が概ねなみ型の波形である場合、換言すると緩い山型の曲線状の波形である場合、さらに流量変化の波形の傾きの変化が概ね連続的である場合には、細胞培養を有効に行うことができる。一方、図7(下段)に示すように、流量変化を示す連続する波形のそれぞれの波形(1周期)が概ねのこぎりの歯型(のこぎり歯型)の波形、換言すると急激な鋭角状の曲線の場合、さらに前記圧力の経時変化を示す波形の傾きの変化に不連続点を有するような場合、細胞培養が有効に進行しない場合がある。
また、横軸をt、縦軸を流量とした場合、加圧時の流量変化(傾き)の最大値max dF/dt(mL/min./msec)が、好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下、特に好ましくは20以下であることが望ましい。下限値は特に限定されないが、たとえば、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上であることが望ましい。このような値であると、細胞培養を有効に行うことができる。
培養液の温度は、通常、常温〜40℃とすることができるが、好ましくは生体の温度に近い36〜38℃とすることが望ましい。
培養液としては、たとえば、公知の人工培養液を好ましく用いることができる。
培養液としては、たとえば、公知の人工培養液を好ましく用いることができる。
以上のような培養方法によれば、播種した細胞等を簡便に増殖させて再生血管を得ることができる。また、強度に優れる再生血管を得ることができる。尚、ここでの再生血管とは、細胞固定床内で細胞または組織を増殖して得られる、細胞または組織含有構造物である。
このようにして得られる、増殖した細胞または組織が細胞固定床内に含有された再生血管は一般に、細胞外基質(extracellular matrix)を多く含み、機械的強度に優れる。
このようにして得られる、増殖した細胞または組織が細胞固定床内に含有された再生血管は一般に、細胞外基質(extracellular matrix)を多く含み、機械的強度に優れる。
本発明の再生血管作製方法では、細胞等の培養に並行して、又は培養後(即ち再生血管の形成後)に、再生血管(形成途中のものを含む)のコンプライアンス評価を実施する。従って、本発明の再生血管作製方法によって作製される再生血管は既にそのコンプライアンスが評価されたものとなる。このように、本発明の作製方法によれば、移植に直接供することが可能な再生血管を作製することができる。また、培養途中のコンプライアンス評価や成熟度の評価も可能となる。
本発明の再生血管作製方法におけるコンプライアンス評価は、評価対象が人工血管一般ではなく細胞固定床及び細胞等から構築される再生血管であることを除いて、上記本発明のコンプライアンス評価方法に関して説明した手順と同様の手順で実施される。即ち、まず前記液体導入口より液体を供給して、前記細胞固定床及び前記細胞又は前記組織から構築される再生血管を内側から加圧し(加圧ステップ)、次に加圧状態の前記再生血管の断層像を所定位置において(又は所定区間について連続的に)取得して、前記所定位置における前記再生血管の断面積(又は前記所定区間における前記再生血管の体積)を計測し(加圧時計測ステップ)、続いて前記ステップで求めた断面積(又は体積)と、非加圧状態の前記所定位置における断面積(又は前記所定区間の体積)とを比較して変化量を求め(変化量算出ステップ)、最後に、前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する(評価ステップ)。評価を終えた再生血管は収容槽から取り出され、血管の再生ないし再建用として移植に供される。
尚、以下において特に言及しない事項については上記本発明のコンプライアンス評価方法に関して説明した通りである。
尚、以下において特に言及しない事項については上記本発明のコンプライアンス評価方法に関して説明した通りである。
加圧ステップにおける加圧は、好ましくは、間欠的な液体の供給、即ち拍動流を利用したものであることが好ましい。生体内での環境を再現した条件下でコンプライアンス評価が行えることとなり、得られる評価結果は、生体に移植後の再生血管の挙動の予想に極めて有益な情報となるからである。ここでの液体として通常は培養液が用いられるが、これに限るものではない。
細胞固定床として弁状部分を備えるものを使用した場合には、評価ステップにおいて、該弁状部分と細胞等とから構築された再生弁の機能を評価することにしてもよい。再生弁の機能は特に、後述の流れ測定ステップ又は第2流れ測定ステップで得られる測定結果を用いて評価することができる。また、後述の圧力損失量算出ステップで得られた圧力損失量を用いて評価することができる。また、後述の撮影ステップで得られた撮影像を用いて評価することができる。
上記本発明のコンプライアンス評価方法の場合と同様に、本発明の再生血管作製方法においても、再生血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップをさらに実施することができる。また、当該流れ測定ステップに加えて又はこれに代えて、再生血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップを実施することにしてもよい。また、再生血管に供給される液体の圧力と、人工血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップをさらに実施することにしてもよい。加えて、再生血管の内部を撮影する撮影ステップをさらに実施することにしてもよい。尚、上記流れ測定ステップ、第2流れ測定ステップ、圧力損失量算出ステップ、及び撮影ステップを任意に組み合わせて実施することにしてもよい。好ましくは、これら全てのステップを実施することにする。
以下、実施例を用いて本発明の構成をさらに詳細に説明する。本発明の実施例の一つであるコンプライアンス計測装置1を図1に示す。コンプライアンス測定装置1は、収容槽10、超音波測定装置20、圧力計25、流量計30、及び撮影装置35を備える。
収容槽10の構成について図2及び図3を参照しながら説明する。尚、図2は収容槽10の斜視図であり、図3は図2におけるA−A線断面図である。収容槽10は、本体部11と、本体部11内に収納されるサンプル固定部12とからなる。本体部11の一端側にはその中央に開口部13が設けられており、他端側は開放されている(開放端14)。サンプル固定部12を本体部11にセットしたときには、サンプル固定部12の各端部がそれぞれ本体部11の開口部13及び開放端14に嵌合する。サンプル固定部12の両端にはそれぞれ金属製の人工血管保持部15が備えられている。人工血管保持部15はその中心を通る貫通孔を有する。一方の人工血管保持部15を人工血管17の一端に挿入し、他方の人工血管保持部15を人工血管17の他端に挿入することによって、サンプル固定部12に人工血管17が固定される。そしてサンプル固定部12を本体部11にセットすることで、最終的に人工血管17は収容槽10内に固定、収容されることとなる(図1を参照)。
収容槽10の構成について図2及び図3を参照しながら説明する。尚、図2は収容槽10の斜視図であり、図3は図2におけるA−A線断面図である。収容槽10は、本体部11と、本体部11内に収納されるサンプル固定部12とからなる。本体部11の一端側にはその中央に開口部13が設けられており、他端側は開放されている(開放端14)。サンプル固定部12を本体部11にセットしたときには、サンプル固定部12の各端部がそれぞれ本体部11の開口部13及び開放端14に嵌合する。サンプル固定部12の両端にはそれぞれ金属製の人工血管保持部15が備えられている。人工血管保持部15はその中心を通る貫通孔を有する。一方の人工血管保持部15を人工血管17の一端に挿入し、他方の人工血管保持部15を人工血管17の他端に挿入することによって、サンプル固定部12に人工血管17が固定される。そしてサンプル固定部12を本体部11にセットすることで、最終的に人工血管17は収容槽10内に固定、収容されることとなる(図1を参照)。
収容槽10の側面には、収容槽10内(人工血管17を収容したときに人工血管外となる領域)に液体を注入するための液体注入口16が設けられている。液体注入口16には例えばチューブを介して液体注入手段(例えば注射器)が接続される。
収容槽10の材質は特に限定されないが、たとえば、アクリルなどの透明の基材を用いることが好ましい。このような透明の基材を用いることにより、人工血管の様子を観察することができる。
収容槽10の材質は特に限定されないが、たとえば、アクリルなどの透明の基材を用いることが好ましい。このような透明の基材を用いることにより、人工血管の様子を観察することができる。
収容槽10の両側にはそれぞれ、アタッチメント19を介して導管36、37が接続される。導管36は途中で分岐し、これによって、液体供給手段(図示せず)からの液体を導入するための液体導入口38と、断層像撮影のための放射線プローブの挿入口39が形成されている。一方、導管37も同様に途中で分岐し、これによって、収容槽10に導入された液体を排出するための液体排出口40と、表面撮影のためのCCDカメラ35aの挿入口41が形成されている。液体導入口38の近傍及び液体排出口40の近傍にはそれぞれ流量計30が設置されている。また、収容槽10の両端には圧力計25が接続されている。圧力計25は、収容槽10に導入される液体の圧力と、収容槽10から排出される液体の圧力とを計測する。
コンプライアンス計測装置1による計測は次の手順で行う。まず、被験対象の人工血管17を、収容槽10のサンプル固定部12に固定する。次に、サンプル固定部12を収容槽本体部11にセットし、続いて収容槽10の両端にアタッチメント19を接続する。一方、液体導入口38に液体供給手段(例えば液体保持槽及びポンプ)を接続し、液体の供給を開始する。これによって、人工血管17内に液体が満たされる。これに並行して、その側面に設けられた液体注入口16を介して収容槽10内に液体を導入する。人工血管17内及び収容槽10内に導入する液体としては緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、生理食塩水、及び組織培養用の培養液などが使用される。被験対象の人工血管17として再生血管を使用する場合には、それが含有する細胞の維持の面から培養液を使用することが好ましい。
液体供給手段は例えば、一定の流速で一定時間の間、液体を供給した後、一定時間液体の供給を停止するというサイクルを繰り返す。これによって、人工血管17内が加圧された状態(加圧状態)と、加圧されていない状態(非加圧状態)がつくられる。
液体供給手段は例えば、一定の流速で一定時間の間、液体を供給した後、一定時間液体の供給を停止するというサイクルを繰り返す。これによって、人工血管17内が加圧された状態(加圧状態)と、加圧されていない状態(非加圧状態)がつくられる。
以上の準備の後、各計測手段による計測を行う。まず、人工血管17の断層像を撮影するために、人工血管17の一端側より放射性プローブ21が挿入される。放射性プローブ21は人工血管17の一端側から他端側(及びその逆)に向かって移動する。これによって人工血管17がその長手軸に沿って走査される。その結果得られるデータは超音波解析機22で解析される。得られた断層像を用いて、人工血管17の一定区間における体積が計算される。このようにして、人工血管17が加圧されているときの人工血管17の体積と、加圧されていないときの人工血管17の体積とを求め、両者を比較する。比較結果に基づいて、人工血管17のコンプライアンスを評価する。また、当該評価を経時的に実施することによって、人工血管17の耐久性を評価する。
一方、流量計30によって、人工血管17を通過することによる流量の変化がリアルタイムに計測される。計測結果に基づいて、(1)人工血管17が全体に亘って十分な内径を確保しているか否か、(2)閉塞箇所の有無、(3)閉塞のおそれの程度、(4)漏洩箇所の有無の評価等、人工血管17の機能が評価される。また、圧力計25によって、人工血管17を通過することによる、液体の圧力の変化がリアルタイムに計測される。計測結果に基づいて、(1)人工血管17が全体に亘って十分な内径を確保しているか否か、(2)閉塞箇所の有無、(3)閉塞のおそれの程度、(4)漏洩箇所の有無等、人工血管17の機能が評価される。さらにCCDカメラ35aによる表面像を解析することによって、人工血管17の内部表面の状態を評価することができる。即ち、圧負荷に伴う表面状態の変化や、培養の進行に伴う表面状態の変化を把握すること等ができる。
人工弁(弁状部分)を備える人工血管を評価対象とした場合には、上記のようにして測定される流速変化量及び圧力変化量を利用して人工弁の機能(十分な開口面積が確保されているか等)が評価される。また、CCDカメラ35aによる撮影像を用いて、人工弁の開口面積を求めることができる。これによって、開口不全や閉鎖不全がないかなど、人工弁の機能を評価できる。一方、拍動流として液体を供給して上記の如き計測を実施することにすれば、流量計30の計測結果を用いて、人工弁の閉鎖不全及び開口不全の有無を把握することも可能となる。即ち、流量計30によって逆流が観測されれば、人工弁が正しく閉鎖できていないおそれが高いと判断することができる。また、期待される流速が得られていない場合には、人工弁が十分に開口できない(開口不全)と判断することができる。
以上のように、コンプライアンス計測装置1によれば、加圧状態及び非加圧状態のそれぞれについて人工血管17の体積変化量などが計測される。これによって、圧負荷による人工血管17の伸縮の程度や復元力などを詳細に調べることができ、またより正確な評価もできる。即ち、以上の計測結果を総合的に利用すれば、人工血管17のコンプライアンスを含め、その他の機能ないし特性についても詳細に把握することが可能となる。
次に、本発明の他の実施例である再生血管作製装置50について説明する。再生血管作製装置50は、収容槽10、超音波測定装置20、圧力計25、流量計30、撮影装置35、ポンプ60、緩衝槽61および貯蔵槽62を備えている。収容槽10、ポンプ60、緩衝槽61、及び貯蔵槽62は、CO2インキュベーター70内に備えられている。尚、収容槽10、超音波測定装置20、圧力計25、流量計30、撮影装置35等は、上記実施例のコンプライアンス計測装置1と同様の構成である。但し、収容槽10の両端は駆動装置(図示せず)に接続されており、これによって収容槽10はその長手軸周りに回転することができるとともに、シーソーのごとく、各端部が交互に上下運動することができる。
収容槽10は、緩衝槽61と導管で接続されている。該導管は調整弁63を有している。調整弁63は、流量、流量変化の調節に主に用いることができる。収容槽10には、培養液が緩衝槽61から流入するが、その圧力は、収容槽10に取り付けた圧力計25によって計測することができる。また、流量は、流量計30によって計測することができる。流量計30の取り付け位置は特に限定されない。
収容槽10内には、細胞または組織を培養するための細胞固定床65が収容される。細胞固定床65は略円筒形状(管腔状)を有する。但し、内部に弁状部分を備えていてもよい。
細胞固定床65としては、細胞または組織が接着および増殖可能であって、培養液との間欠的な接触に対しても、その形態を維持することが可能であれば、その材質は特に限定されない。細胞固定床65の材料としては例えば、キチン、キトサン、グリコサミノグリカン、コラーゲン、フィブリンなどの天然高分子;ポリウレタン(PUR)、ポリグリコール酸(Polyglycolic Acid:PGA)、ポリ乳酸(Polylactic Acid:PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate:PHA)、ポリヒドロキシオクタノエート(Polyhydroxyoctanoate:PHO)、ポリヒドロキシブチレート(Polyhydroxybutyrate:P4HB)、ポリカプロラクトン(Polycaprolacton:PCL)などの合成高分子;非細胞性マトリックス管などの生物的材料などが挙げられる。細胞固定床65として、生体組織から細胞だけを取り除いて得られる無細胞化生体組織(acellularized matrix)も好適に用いることができる。
好ましくは、天然高分子又は合成高分子製の細胞固定床65を用いる。より好ましくは天然高分子製の細胞固定床65を用いる。天然高分子製の細胞固定床65を使用することにより、生体環境をより有効に模倣することができる。複数の材料からなる細胞固定床を用いることもできる。
細胞固定床65としては、細胞または組織が接着および増殖可能であって、培養液との間欠的な接触に対しても、その形態を維持することが可能であれば、その材質は特に限定されない。細胞固定床65の材料としては例えば、キチン、キトサン、グリコサミノグリカン、コラーゲン、フィブリンなどの天然高分子;ポリウレタン(PUR)、ポリグリコール酸(Polyglycolic Acid:PGA)、ポリ乳酸(Polylactic Acid:PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(Polyhydroxyalkanoate:PHA)、ポリヒドロキシオクタノエート(Polyhydroxyoctanoate:PHO)、ポリヒドロキシブチレート(Polyhydroxybutyrate:P4HB)、ポリカプロラクトン(Polycaprolacton:PCL)などの合成高分子;非細胞性マトリックス管などの生物的材料などが挙げられる。細胞固定床65として、生体組織から細胞だけを取り除いて得られる無細胞化生体組織(acellularized matrix)も好適に用いることができる。
好ましくは、天然高分子又は合成高分子製の細胞固定床65を用いる。より好ましくは天然高分子製の細胞固定床65を用いる。天然高分子製の細胞固定床65を使用することにより、生体環境をより有効に模倣することができる。複数の材料からなる細胞固定床を用いることもできる。
収容槽10を二つ以上備えることにしてもよい。2つ以上備える場合は、収容槽10は直列または並列に並べられる。但し、培養環境の均一化の観点からは、複数の収容槽を並列に並べて備えることが好ましい。
ポンプ60は、緩衝槽61および貯蔵槽62とそれぞれ機械弁67、機械弁68を介して繋がっている。ポンプ60の収縮、膨張に連動して、貯蔵槽62から培養液がポンプ60中に流入し、ポンプ60から緩衝槽61に培養液が流出する。この場合、機械弁68は、貯蔵槽62からポンプ60への流入のみを可能とする機械弁であり、心臓の弁のごとく培養液が実質的にその逆に流れることがないように作動する。また、機械弁67は、ポンプ60から緩衝槽61への流入のみを可能とする機械弁であり、心臓の弁のごとく培養液が実質的にその逆に流れることがないように作動する。ポンプ60を駆動するための駆動装置69が備えられる。駆動装置69はCO2インキュベーター70の内部に備えられていてもよい。
ポンプ60は上記機能を果たせばその種類は特に制限されないが、たとえば、バルーンポンプを好ましく用いることができる。前述のとおり、バルーンポンプとは、バルーンとモックを有し、モック内にあるバルーンの膨張、収縮動作により、バルーンポンプからの液体の供給、およびバルーンポンプへの液体の吸引を連動させながら、吸引された液体を加圧して、液体を間欠的に供給するポンプである。バルーンポンプは、間欠的な動作が心臓の収縮、拡張運動に類似するものであり、心臓血管領域の生体環境の再現に優れる。
緩衝槽61は、ポンプ60からの機械弁67と、収容槽10への導管にそれぞれ接合している。緩衝槽62に対してポンプ60から培養液が供給されるが、この場合、緩衝槽61中には、培養液80と、弾性空間81とが並存していることが好ましい。弾性空間81と培養液80との体積比は特に限定はなく、緩衝槽61の内表面の上部表面82と培養液80の上面83とが実質的に接触することがないように、培養液80の流入量及び/又は弾性空間81中の媒体量を調節する。
弾性空間81を占める媒体としては、培養液80と反応するなどにより本発明の目的を害するものでなければ特に限定はない。弾性空間81を占める媒体としては例えば、アルゴンなどの不活性ガス、窒素、酸素、空気などが挙げられる。このうちでは、空気を用いることが好ましい。弾性空間81の形成はこのようなガスを緩衝槽61に注入すればよく、ガスの注入量に応じて、簡便に緩衝の程度を調整することが可能である。ガスの注入方法は特に限定されないが、たとえば、緩衝槽61に、ガス穴(図示せず)を設け、該ガス穴から調節フィルター(図示せず)を介して、例えば注射器等によりガスを注入することができる。ガスの注入量を調節することにより、所望の緩衝効果を得ることができる。調節フィルターは、弾性空間81が弾性力を発揮しうるよう空間内を密閉させる構造を有している。
貯蔵槽62には、収容槽10から排出される培養液を通す導管66が接続されている。また貯蔵槽62は、ポンプ60に通じる機械弁68に接合している。貯蔵槽62は空気フィルター85を有し、貯蔵槽62の外部と貫通した構造となっているため、培養液の上部液面86は大気圧下で空気と接している。この場合、導管66の出口面66aは、貯蔵槽62に存在する培養液の上部液面86より下方に位置していることが望ましい。
導管66の出口面66aと、培養液の上部液面86との差は、収容槽10、貯蔵槽62、ポンプ60の性能などにより決定され特に限定されず、本発明の目的を害さない範囲で任意に調節することが可能である。
導管66は、制御弁87を有しており、該制御弁87により収容槽10から貯蔵槽62への培養液の後負荷の制御が可能である。
導管66の出口面66aと、培養液の上部液面86との差は、収容槽10、貯蔵槽62、ポンプ60の性能などにより決定され特に限定されず、本発明の目的を害さない範囲で任意に調節することが可能である。
導管66は、制御弁87を有しており、該制御弁87により収容槽10から貯蔵槽62への培養液の後負荷の制御が可能である。
次に、以上の構成の再生血管作製装置50を用いた再生血管の作製方法を説明する。まず、収容槽10内に細胞固定床65を収容する。収容方法は、実施例1における、人工血管の収容方法と同様とする。次にポンプ60を駆動する。この場合、培養液80が、ポンプ60から機械弁67を介して緩衝槽61へ培養液を供給するのに連動して、緩衝槽61から収容槽10に供給されるようにする。これによって、加圧された培養液80が間欠的に細胞固定床65内に導入される。これに並行して、その側面に設けられた液体注入口16を介して収容槽10内に液体を導入する。続いて、その一端側より細胞固定床65内に細胞懸濁液を導入する。細胞懸濁液は例えば、末梢血管壁より採取した細胞を培養液に懸濁したものを用いる。細胞懸濁液の導入は例えば、超音波プローブ21の導入口39や圧力計25のための導管を介して行うことができる。
細胞懸濁を導入した後の一定時間、収容槽10を回転及び上下運動させる。これによって、細胞固定床65の周方向において、より均一に細胞を播種することができる。また、細胞固定床65の長さ方向においても、より均一に細胞等を播種することができる。従って、全体に亘って厚さがより均一な、高品質の再生血管を作製することが可能となる。尚、ここでの一定時間は例えば5分とする。また回転運動の周期及び上下運度の周期を例えば、それぞれ30秒及び15秒とする。細胞懸濁液を導入する前に収容槽10の駆動を開始してもよい。
培養液の流量および圧力(ポンプ圧)は特に限定されない。流量は、装置の大きさ、ポンプ60の容量、導管の太さなどにより、ゼロを超えて、任意に設定することができる。具体的には例えば、流量(平均流量(mean flow))を10mL〜3000mL/min.とする。また、収縮期圧(最大圧力の平均)は、好ましくは10〜200mmHgである。一方、拡張期圧(最小圧力の平均)は例えば5〜100mmHgである。
ポンプ65の平均加圧周期は例えば10〜200bpmの範囲である。
ポンプ65の平均加圧周期は例えば10〜200bpmの範囲である。
また、前記圧、流量、周期は、培養の初期から、終了まで、上記範囲の中で、徐々にその負荷を増加させることが好ましい。負荷を増加させることにより、細胞増殖に係る刺激の慢性化を防止し、増殖速度を高めることができる。また、培養細胞によって、負荷に対する感受性が異なるため、培養開始直後は上記範囲内で低い値で上記圧、流量、周期を設定し、徐々に上昇させることにより、培養の対象となる細胞または組織のそれぞれに対して、好適な培養条件を与えることができ、培養効率を高めることができると考えられる。また、本発明の細胞培養装置または細胞培養方法では、上記の各パラメーターに関し、好ましい設定値を調節することが可能であるが、徐々に圧や流量を上げたり、下げたりすることができること、すなわち可変であることにより、好適条件を与えることが可能となる。
以上のように培養を継続することに並行して、超音波プローブ21を用いた断層像の撮影及びその解析、流量計30による流れ方向及び流量の計測、圧力計25による圧力測定、CCDカメラ35aによる表面撮影を行う。これによって、培養途中の再生血管のコンプライアンスやその他の特性を評価することができる。また、それらの経時的な変化を把握することも可能となる。
一方、培養終了後においても同様に、断層像の撮影などを実施し、最終的に得られた再生血管のコンプライアンス等を評価する。
一方、培養終了後においても同様に、断層像の撮影などを実施し、最終的に得られた再生血管のコンプライアンス等を評価する。
以上のように、本発明の再生血管作製装置50によれば、細胞の播種から培養、作製された再生血管の評価を一連の操作として実施することができる。これによって、再生血管作製の全工程を清潔操作で行うことができる。また、培養途中のコンプライアンス評価や成熟度の評価も可能となる。また、コンプライアンスを評価する材料として、断層像、流速変化など複数のデータを組み合わせて用いることによって、より詳細且つ正確に再生血管のコンプライアンスを評価できる。尚、培養途中の再生血管の評価も併せて行えることから、以上の再生血管作製装置は、再生血管の培養条件の検討などを行うための実験ツールとしても有効なものである。
本発明は、再生血管を含め、様々な人工血管のコンプライアンス評価に利用され得る。今後一層発展するであろう再生医療の分野において、再生血管(特に小口径再生血管)の評価の一つとしてコンプライアンス評価は必須になると考えられる。本発明はこのようなコンプライアンス評価を可能とするものであり、その利用価値は非常に高い。
また、本発明の一形態である再生血管作製装置又は再生血管作製方法は、培養途中及び培養後の再生血管のコンプライアンス評価を、再生血管を培養装置から取り出すことなく可能とするものである。従って、生体に移植するための再生血管を得る手段として理想的なものであり、広範な利用が図られることが予想される。
また、本発明の一形態である再生血管作製装置又は再生血管作製方法は、培養途中及び培養後の再生血管のコンプライアンス評価を、再生血管を培養装置から取り出すことなく可能とするものである。従って、生体に移植するための再生血管を得る手段として理想的なものであり、広範な利用が図られることが予想される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
次の事項を開示する。
(11)少なくとも、前記収容槽と、前記緩衝手段と、前記回収貯蔵手段と、前記ポンプとが、CO2インキュベーター内に備えられている、ことを特徴とする請求項25に記載の再生血管作製装置。
(12)前記緩衝槽内に、培養液と培養液面上部に接する弾性空間とが存在し、該緩衝槽の内表面の上部表面と該緩衝槽内の培養液上面とは実質的に接触することがないことを特徴とする、請求項25又は(11)に記載の再生血管作製装置。
(13)前記貯蔵槽に導入される前記導管の出口面が、前記貯蔵槽に貯蔵される培養液の上部液面より下方に位置することを特徴とする請求項25、(11)、及び(12)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(14)前記ポンプが、バルーンの膨張、収縮により、貯蔵槽から該ポンプへ培養液を吸引するとともに、吸引された培養液を加圧して前記収容槽に培養液を間欠的に供給するバルーンポンプであることを特徴とする、請求項25、及び(11)〜(13)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(15)前記収容槽にかかる圧力を制御する圧制御手段を備えたことを特徴とする、請求項25、及び(11)〜(14)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(16)前記収容層を流れる培養液の流れを制御する流れ制御手段を備えたことを特徴とする、請求項25、(11)〜(15)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(11)少なくとも、前記収容槽と、前記緩衝手段と、前記回収貯蔵手段と、前記ポンプとが、CO2インキュベーター内に備えられている、ことを特徴とする請求項25に記載の再生血管作製装置。
(12)前記緩衝槽内に、培養液と培養液面上部に接する弾性空間とが存在し、該緩衝槽の内表面の上部表面と該緩衝槽内の培養液上面とは実質的に接触することがないことを特徴とする、請求項25又は(11)に記載の再生血管作製装置。
(13)前記貯蔵槽に導入される前記導管の出口面が、前記貯蔵槽に貯蔵される培養液の上部液面より下方に位置することを特徴とする請求項25、(11)、及び(12)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(14)前記ポンプが、バルーンの膨張、収縮により、貯蔵槽から該ポンプへ培養液を吸引するとともに、吸引された培養液を加圧して前記収容槽に培養液を間欠的に供給するバルーンポンプであることを特徴とする、請求項25、及び(11)〜(13)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(15)前記収容槽にかかる圧力を制御する圧制御手段を備えたことを特徴とする、請求項25、及び(11)〜(14)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
(16)前記収容層を流れる培養液の流れを制御する流れ制御手段を備えたことを特徴とする、請求項25、(11)〜(15)のいずれかに記載の再生血管作製装置。
1 コンプライアンス計測装置、10 収容槽、16 液体注入口、17人工血管、20 超音波測定装置、25 圧力計、30 流量計、35 撮影装置、35a CCDカメラ、38 液体導入口、39 放射線プローブの挿入口、40 液体排出口、60 ポンプ、61 緩衝槽、62 貯蔵槽、65 細胞固定床、67 機械弁、68 機械弁、69 駆動装置、70 CO2インキュベーター、80 培養液、
Claims (35)
- 人工血管のコンプライアンスを評価するための計測装置であって、
液体導入口と、液体排出口と、人工血管の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記人工血管の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、
前記液体導入口より液体を供給して前記人工血管を内部から加圧する加圧手段と、
前記収容槽内の人工血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
を備える計測装置。 - 前記断層像取得手段が、超音波断層画像装置、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層画像装置(CT)、又は光干渉断層画像装置(OCT)からなる、請求項1に記載の計測装置。
- 前記液体導入口より前記人工血管内に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定するための流れ測定手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の計測装置。
- 前記液体排出口より排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の計測装置。
- 前記液体導入口より前記人工血管内に供給される液体の圧力と、前記液体排出口より排出される液体の圧力とを測定するための圧力測定手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の計測装置。
- 前記収容槽内の人工血管の内部表面を撮影するための撮影手段をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の計測装置。
- 前記人工血管が弁状部分を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の計測装置。
- 以下のステップを含んでなる、人工血管のコンプライアンス評価方法:
その一端側から液体を供給して人工血管を内部から加圧する加圧ステップ;
加圧状態の前記人工血管の断層像を所定位置において取得して、該所定位置における前記人工血管の断面積を計測する加圧時計測ステップ;
前記ステップで求めた断面積と、非加圧状態の前記所定位置における断面積とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ;及び
前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。 - 以下のステップを含んでなる、人工血管のコンプライアンス評価方法:
その一端側から液体を供給して人工血管を内部から加圧する加圧ステップ;
加圧状態の前記人工血管の断層像を、所定区間について連続的に取得して、該所定区間における前記人工血管の体積を計測する加圧時計測ステップ;
前記ステップで求めた体積と、非加圧状態の前記所定区間の体積とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ;及び
前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。 - 前記人工血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する、請求項8又は9に記載のコンプライアンス評価方法。 - 前記人工血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記第2流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する、請求項8又は9に記載のコンプライアンス評価方法。 - 前記人工血管に供給される液体の圧力と、前記人工血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化算出ステップで求めた変化量に加えて、前記圧力損失算出ステップで求めた圧力損失量を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する、請求項8又は9に記載のコンプライアンス評価方法。 - 前記人工血管の内部表面を撮影する撮影ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記撮影ステップで取得した撮影像を用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する、請求項8又は9に記載のコンプライアンス評価方法。 - 前記人工血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップと、
前記人工血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップと、
前記人工血管に供給される液体の圧力と、前記人工血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップと、
前記人工血管の内部表面を撮影する撮影ステップと、をさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速と、前記第2流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速と、前記圧力損失量算出ステップで求めた圧力損失量と、及び前記撮影ステップで取得した撮影像とを用いて前記人工血管のコンプライアンスを評価する、請求項8又は9に記載のコンプライアンス評価方法。 - 前記人工血管が弁状部分を備え、前記評価ステップにおいて該弁状部分の機能も評価する、請求項8〜14のいずれかに記載のコンプライアンス評価方法。
- 液体導入口と、液体排出口と、細胞固定床の一端を前記液体導入口に接続する第1保持部と、及び前記細胞固定床の他端を前記液体排出口に接続する第2保持部とを有する収容槽と、
前記収容槽内において前記細胞固定床及びその上に播種される細胞又は組織から構築される再生血管の断層像を得るための断層像取得手段と、
前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給する培養液供給手段と、
を備える再生血管作製装置。 - 前記断層像取得手段が、超音波断層画像装置、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピュータ断層画像装置(CT)、又は光干渉断層画像装置(OCT)からなる、請求項16に記載の再生血管作製装置。
- 前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための流れ測定手段をさらに備える、請求項16又は17に記載の再生血管作製装置。
- 前記液体排出口より排出される培養液の流れ方向及び/又は流速を測定するための第2流れ測定手段をさらに備える、請求項16〜18のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記液体導入口より前記細胞固定床内に供給される培養液の圧力と、前記排出口より排出される培養液の圧力とを測定するための圧力測定手段をさらに備える、請求項16〜19のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記収容槽内の再生血管の内部表面を撮影するための撮影手段をさらに備える、請求項16〜20のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記収容槽に収容された前記細胞固定床をその長手軸周りに回転させる回転駆動手段をさらに備える、請求項16〜21のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記収容槽に収容された前記細胞固定床の一端又は両端を上方及び/又は下方に移動させる上下駆動手段をさらに備える、請求項16〜22のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記細胞固定床が弁状部分を備える、請求項16〜23のいずれかに記載の再生血管作製装置。
- 前記培養液供給手段が、
ポンプから機械弁を介して緩衝槽へ培養液が供給されるのに連動して、前記緩衝槽から前記収容槽に培養液を供給するための緩衝手段と、
前記収容槽から排出される培養液を導管を通して貯蔵槽に流入させて、該培養液を、大気圧下で貯蔵槽に一時的に貯蔵するための回収貯蔵手段と、
前記ポンプにより、前記貯蔵槽から機械弁を介してポンプに培養液を吸引させるとともに、該吸引に連動して前記緩衝槽に培養液を加圧して間欠的に供給するための加圧手段と、を備えることを特徴とする、請求項16〜24のいずれかに記載の再生血管作製装置。 - 以下のステップを含んでなる再生血管作製方法:
液体導入口と液体排出口とを備える収容槽に細胞固定床を収容する収容ステップであって、前記細胞固定床の一端及び他端をそれぞれ前記液体導入口及び前記液体排出口に接続する収容ステップ;
前記細胞固定床に、動物の心臓血管領域を形成しうる細胞又は組織を播種する細胞播種ステップと;
前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給して前記細胞又は組織を培養する培養ステップと;
前記液体導入口より液体を供給して、前記細胞固定床及び前記細胞又は前記組織から構築される再生血管を内側から加圧する加圧ステップ;
加圧状態の前記再生血管の断層像を所定位置において取得して、該所定位置における前記再生血管の断面積を計測する加圧時計測ステップ;
前記ステップで求めた断面積と、非加圧状態の前記所定位置における断面積とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ;及び
前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。 - 以下のステップを含んでなる再生血管作製方法:
液体導入口と液体排出口とを備える収容槽に細胞固定床を収容する収容ステップであって、前記細胞固定床の一端及び他端をそれぞれ前記液体導入口及び前記液体排出口に接続する収容ステップ;
前記細胞固定床に、動物の心臓血管領域を形成しうる細胞又は組織を播種する細胞播種ステップと;
前記液体導入口より前記細胞固定床内に培養液を供給して前記細胞又は組織を培養する培養ステップと;
前記液体導入口より液体を供給して、前記細胞固定床及び前記細胞又は前記組織から構築される再生血管を内側から加圧する加圧ステップ;
加圧状態の前記再生血管の断層像を所定区間について連続的に取得して、前記所定区間における前記再生血管の体積を計測する加圧時計測ステップ;
前記ステップで求めた体積と、非加圧状態の前記所定区間の体積とを比較して変化量を求める変化量算出ステップ;及び
前記変化量算出ステップで求めた変化量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する評価ステップ。 - 前記再生血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する、請求項26又は27に記載の再生血管作製方法。 - 前記再生血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記第2流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する、請求項26又は27に記載の再生血管作製方法。 - 前記再生血管に供給される液体の圧力と、前記再生血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化算出ステップで求めた変化量に加えて、前記圧力損失算出ステップで求めた圧力損失量を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する、請求項26又は27に記載の再生血管作製方法。 - 前記再生血管の内部表面を撮影する撮影ステップをさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記撮影ステップで取得した撮影像を用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する、請求項26又は27に記載の再生血管作製方法。 - 前記再生血管に供給される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する流れ測定ステップと、
前記再生血管から排出される液体の流れ方向及び/又は流速を測定する第2流れ測定ステップと、
前記再生血管に供給される液体の圧力と、前記人工血管から排出される液体の圧力とを測定し、圧力損失量を求める圧力損失量算出ステップと、
前記再生血管の内部表面を撮影する撮影ステップと、をさらに含み、
前記評価ステップにおいて、前記変化量算出ステップで求めた変化量に加えて、前記流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速と、前記第2流れ測定ステップで求めた流れ方向及び/又は流速と、前記圧力損失量算出ステップで求めた圧力損失量と、及び前記撮影ステップで取得した撮影像とを用いて前記再生血管のコンプライアンスを評価する、請求項26又は27に記載の再生血管作製方法。 - 前記細胞播種ステップの途中又は後に、前記細胞固定床をその長手軸周りに回転させるステップを行う、請求項26〜32のいずれかに記載の再生血管作製方法。
- 前記細胞播種ステップの途中又は後に、前記細胞固定床の一端を他端よりも高い位置とし、その後前記一端を前記他端よりも低い位置とし、最後に前記細胞固定床を水平状態に戻すステップを行う、請求項26〜33のいずれかに記載の再生血管作製方法。
- 前記細胞固定床が弁状部分を備え、前記評価ステップにおいて該弁状部分と前記細胞又は組織とから構築された再生弁の機能も評価する、請求項26〜34のいずれかに記載の再生血管作製方法。
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