以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る便座を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、便座装置4と、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」という)6と、を備える。
便座装置4は、便器6の上に取り付けられる。便座装置4は、便器6に対して一体的に取り付けてもよいし、便器6に対して着脱可能に取り付けてもよい。便座装置4は、便座10と、便蓋12と、本体部14と、を有する。
ここで、本願明細書においては、便座10に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座10に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋12に背を向けて便座10に座った使用者からみて左右方向を、それぞれ「左側方」及び「右側方」とし、前後方向を、それぞれ「前方」及び「後方」とする。図1には、上方UW、下方DW、左側方LW、右側方RW、前方FW、及び後方BWの一例が表されている。
便器6は、下方に向けて窪んだボウル部6aを有する。便器6は、ボウル部6aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。便座装置4の本体部14は、便器6のボウル部6aよりも後方の上部に設けられる。本体部14は、便座10及び便蓋12を開閉可能に軸支している。
便座10は、便座本体20と、一対のヒンジ部22と、を有する。便座本体20は、開口部20aを有する。便座10は、ボウル部6aの外縁を囲むように便器6の上に便座本体20を配置し、開口部20aを介してボウル部6aを露呈させる。これにより、使用者は、便座10の便座本体20に座った状態でボウル部6aに排泄を行うことができる。この例では、貫通孔状の開口部20aが形成された、いわゆるO型の便座本体20を示している。便座本体20は、O型に限ることなく、U字型などでもよい。便座本体20の内部には、例えば、着座部210(使用者の臀部が接する部分)を温めるヒータ等が適宜設けられる。
一対のヒンジ部22は、便座本体20の後端部の両側端に設けられる。これにより、便座10は、一対のヒンジ部22を介して便座装置4の本体部14に回動可能に軸支される。一対のヒンジ部22は、例えば、便座本体20の後端部の両側端から後方に突出するように設けられる。一対のヒンジ部22は、例えば、略矩形の箱状である。但し、一対のヒンジ部22の形状は、上記に限ることなく、本体部14に回動可能に軸支させることが可能な任意の形状でよい。
図2は、実施形態に係る便座を模式的に表す分解斜視図である。
図3は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す斜視断面図である。
図2及び図3に表したように、便座10は、底板100と、上板200と、接合部材300と、を備える。上板200は、底板100の上に設けられている。底板100と上板200とは、接合部材300によって接合されている。
以下で、便座10のより具体的な構造について説明する。なお、ここでは、「上方」や「下方」などの方向は、便座10の底板100が水平面上に載置された状態(便器6の上に載置され、使用者が着座可能な状態)を基準にしている。
底板100は、第1本体部102と、一対の第1ヒンジ部104と、を有する。第1本体部102は、第1開口部102aを有する。一対の第1ヒンジ部104は、第1本体部102の第1後端部102bの両側端に設けられる。一対の第1ヒンジ部104は、例えば、第1本体部102の第1後端部102bの両側端から後方に突出するように設けられる。
また、第1本体部102は、第1外縁部102cを有する。第1外縁部102cは、第1後端部102b及び一対の第1ヒンジ部104の前方において第1開口部102aの外側に位置する。第1外縁部102cは、例えば、第1後端部102b及び一対の第1ヒンジ部104よりも前方の略U字状の部分全体である。
上板200は、第2本体部202と、一対の第2ヒンジ部204と、を有する。第2本体部202は、第1開口部102aと対向する第2開口部202aを有する。一対の第2ヒンジ部204は、第2本体部202の第2後端部202bの両側端に設けられる。一対の第2ヒンジ部204は、例えば、第2本体部202の第2後端部202bの両側端から後方に突出するように設けられる。
また、第2本体部202は、第2外縁部202cを有する。第2外縁部202cは、第2後端部202b及び一対の第2ヒンジ部204の前方において第2開口部202aの外側に位置する。第2外縁部202cは、例えば、第2後端部202b及び一対の第2ヒンジ部204よりも前方の略U字状の部分全体である。
底板100及び上板200を上方から見た形状は、便座10を上方から見た形状と実質的に同じである。すなわち、底板100及び上板200を上方から見た形状は、環状又はU字状である。
上板200は、第2外縁部202cを第1外縁部102cの上に当接させ、第2後端部202bを第1後端部102bの上に当接させ、一対の第2ヒンジ部204を一対の第1ヒンジ部104の上に当接させ、第2開口部202aの開口端を第1開口部102aの開口端の上に当接させる。
図3に表したように、接合部材300は、底板100の外周側に設けられる第1接合部材310と、底板100の内周側に設けられる第2接合部材320と、を有する。第1接合部材310は、底板100及び上板200の外周側を接合する。第2接合部材320は、底板100及び上板200の内周側を接合する。
便座10の便座本体20は、底板100の第1本体部102と上板200の第2本体部202とを接合することによって形成される。開口部20aは、第1本体部102と第2本体部202とを接合することにより、第1開口部102aと第2開口部202aとによって形成される。また、一対のヒンジ部22は、一対の第1ヒンジ部104と一対の第2ヒンジ部204とを接合することによって形成される。一対の第2ヒンジ部204は、例えば、下方に開口する開口箱状である。一対のヒンジ部22の回転軸部分は、例えば、一対の第2ヒンジ部204に設けられる。一対の第1ヒンジ部104は、例えば、一対の第2ヒンジ部204の下方の開口を塞ぐ板状である。但し、一対のヒンジ部22の回転軸部分は、一対の第1ヒンジ部104に設けてもよいし、第1ヒンジ部104と第2ヒンジ部204とを接合することによって形成されるようにしてもよい。但し、上記のように、一対のヒンジ部22の回転軸部分を一対の第2ヒンジ部204に設けることにより、一対の第1ヒンジ部104と一対の第2ヒンジ部204とを接合し易くすることができる。
図4は、実施形態に係る便座を模式的に表す平面図である。
図4に表したように、第1接合部材310は、底板100及び上板200の外周側において、第1外縁部102cと第2外縁部202cとを接合し、第1後端部102bと第2後端部202bとを接合し、一対の第1ヒンジ部104と一対の第2ヒンジ部204とを接合する。
第2接合部材320は、第1開口部102aの開口端と、第2開口部202aの開口端と、を接合する。
また、図4に表したように、便座10では、第1接合部材310が、底板100及び上板200の外周側を全周に亘って接合する。そして、便座10では、第2接合部材320が、底板100及び上板200の内周側を全周に亘って接合する。換言すれば、第1接合部材310は、底板100及び上板200の外周縁に沿って連続的に延びる環状である。第2接合部材320は、底板100及び上板200の内周縁に沿って連続的に延びる環状である。
但し、第1接合部材310及び第2接合部材320は、必ずしも底板100及び上板200の全周に設けられていなくてもよい。第1接合部材310は、底板100及び上板200の外周縁に沿う方向において途切れた部分を有していてもよい。第2接合部材320は、底板100及び上板200の内周縁に沿う方向において途切れた部分を有していてもよい。第1接合部材310は、例えば、底板100及び上板200の外周縁に沿う方向に並べて設けられた複数の部分を有していてもよい。第2接合部材320は、例えば、底板100及び上板200の内周縁に沿う方向に並べて設けられた複数の部分を有していてもよい。換言すれば、便座10は、底板100及び上板200の外周縁に沿う方向に並ぶ複数の第1接合部材310を有してもよい。便座10は、底板100及び上板200の内周縁に沿う方向に並ぶ複数の第2接合部材320を有してもよい。
図3に表したように、底板100は、外周嵌合部121と、内周嵌合部122と、を有する。外周嵌合部121は、第1本体部102及び一対のヒンジ部104の外周縁に沿って設けられる。外周嵌合部121は、下方に凹む凹状である。外周嵌合部121は、例えば、第1本体部102及び一対のヒンジ部104の外周縁(底板100の外周縁)の全周に亘って設けられる。
内周嵌合部122は、第1本体部102の内周縁に沿って設けられる。内周嵌合部122は、下方に凹む凹状である。内周嵌合部122は、例えば、第1本体部102の内周縁の全周に亘って設けられる。外周嵌合部121及び内周嵌合部122は、例えば、下方に向かうに従って幅が狭くなるV字状の溝である。
図3に表したように、上板200は、着座部210と、側壁部220と、を有する。着座部210は、底板100の上に設けられ、使用者の臀部が接する部分である。着座部210は、第2本体部202により構成されている。側壁部220は、着座部210から下方に延びる。側壁部220は、外周側壁部221と、内周側壁部222と、を有する。外周側壁部221は、第2本体部202(着座部210)及び一対の第2ヒンジ部204の外周縁から下方に延びる。内周側壁部222は、第2本体部202(着座部210)の内周縁から下方に延びる。
第1本体部102と第2本体部202は、上下方向において離間している。また、外周側壁部221と内周側壁部222とは、水平方向において離間している。これにより、便座10には、底板100及び上板200によって囲まれた内部空間Sが形成されている。
なお、便座10がU字状である場合には、底板100の前端側において外周嵌合部121と内周嵌合部122とが接続され、上板200の前端側において外周側壁部221と内周側壁部222とが接続される。同様に、便座10がU字状である場合には、底板100及び上板200の前端側において第1接合部材310と第2接合部材320とが接続される。
図5~図8は、実施形態に係る便座の一部を模式的に表す断面図である。
図5は、図4に示すA1-A2線による断面図である。図6は、図4に示すB1-B2線による断面図である。図7は、図4に示すC1-C2線による断面図である。図8は、図4に示すD1-D2線による断面図である。
図5及び図6は、外周嵌合部121の一部及び外周側壁部221の一部を表している。図7及び図8は、内周嵌合部122の一部及び内周側壁部222の一部を表している。
図5及び図6に表したように、上板200は、第1垂下部231と、第2垂下部232と、を有する。第1垂下部231は、外周側壁部221の下端から下方に延び、底板100の上に重なり、外周嵌合部121に嵌合する。第2垂下部232は、外周側壁部221の下端に第1垂下部231と離間して第1垂下部231よりも外周側に設けられ、第1垂下部231との間に上方に向かって凹む第1凹部241を設ける。
図7及び図8に表したように、上板200は、第3垂下部233と、第4垂下部234と、を有する。第3垂下部233は、内周側壁部222の下端から下方に延び、底板100の上に重なり、内周嵌合部122に嵌合する。第4垂下部234は、内周側壁部222の下端に第3垂下部233と離間して第3垂下部233よりも内周側に設けられ、第3垂下部233との間に上方に向かって凹む第2凹部242を設ける。
第1接合部材310は、第1凹部241内に設けられる。第2接合部材320は、第2凹部242内に設けられる。これにより、第1接合部材310及び第2接合部材320によって底板100と上板200とが接合される。
底板100、上板200、第1接合部材310、及び第2接合部材320には、例えば、樹脂材料が用いられる。底板100、上板200、第1接合部材310、及び第2接合部材320は、例えば、ポリプロピレン、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、またはPBT(Polybutylene Terephthalate)、またはポリカーボネート系複合材料などを含む。
便座10は、例えば、底板100と上板200とを型に嵌め込み、底板100と上板200とを合わせた状態で保持しつつ、第1接合部材310となる樹脂を第1凹部241に注入するとともに、第2接合部材320となる樹脂を第2凹部242に注入することによって製造される。便座10の製造方法については、後述する。
第1接合部材310の幅W1は、略一定である。この例において、第1接合部材310の幅W1は、底板100及び上板200の全周に亘って略一定である。また、第2接合部材320の幅W2は、略一定である。この例において、第2接合部材320の幅W2は、底板100及び上板200の全周に亘って略一定である。
ここで、第1接合部材310の幅W1は、例えば、底板100及び上板200の外周縁に沿う方向に対して直交する方向における第1接合部材310の長さである。また、幅W1は、例えば、外周嵌合部121の上端部121aにおける第1接合部材310の幅である。第2接合部材320の幅W2は、例えば、底板100及び上板200の内周縁に沿う方向に対して直交する方向における第2接合部材320の長さである。また、幅W2は、例えば、内周嵌合部122の上端部122aにおける第2接合部材320の幅である。なお、幅W1、W2が略一定(実質的に同じ)とは、例えば、幅W1、W2の変化が、2mm以下の状態である。換言すれば、幅W1、W2の最大値と最小値との差が、2mm以下の状態である。但し、幅W1、W2は、必ずしも一定でなくてもよい。第1接合部材310及び第2接合部材320は、一部に幅の異なる部分を有していてもよい。
接合部材300は、底板100と上板200の側壁部220との間において外部に露出する露出面300aを有する。露出面300aは、底板100の下端部と側壁部220の下端部との間に位置し、下方を向く面である。
より具体的には、図5及び図6に表したように、第1接合部材310は、底板100と上板200の外周側壁部221との間において外部に露出する第1露出面310aを有する。第1露出面310aは、例えば、底板100及び上板200の外周側の全周に亘って設けられる。
また、図7及び図8に表したように、第2接合部材320は、底板100と上板200の内周側壁部222との間において外部に露出する第2露出面320aを有する。第2露出面320aは、例えば、底板100及び上板200の内周側の全周に亘って設けられる。
第2垂下部232は、底板100と上下方向において重ならない位置に配置される。第1接合部材310は、外部に露出する第1露出面310aを第2垂下部232と底板100との間に有する。第1露出面310aは、外周側壁部221の下端の幅方向の中央C1よりも外周側に配置されている。外周側壁部221の下端の幅方向の中央C1は、換言すれば、第1凹部241(第1接合部材310)の上端部における外周側壁部221の幅方向の中央である。なお、図5及び図6では、第2垂下部232が、外周側壁部221の下端から下方に向かって略鉛直方向に延びている。これに限ることなく、第2垂下部232は、下方に向かうほど底板100に近づくように傾斜又は湾曲してもよい。
第4垂下部234は、底板100と上下方向において重ならない位置に配置される。第2接合部材320は、外部に露出する第2露出面320aを第4垂下部234と底板100との間に有する。第2露出面320aは、内周側壁部222の下端の幅方向の中央C2よりも内周側に配置されている。内周側壁部222の下端の幅方向の中央C2は、換言すれば、第2凹部242(第2接合部材320)の上端部における内周側壁部222の幅方向の中央である。なお、第1露出面310aの外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅及び第2露出面320aの内周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅は、例えば、1mm程度(例えば0.5mm以上3mm以下)である。なお、図7及び図8では、第4垂下部234が、内周側壁部222の下端から下方に向かって略鉛直方向に延びている。これに限ることなく、第4垂下部234は、下方に向かうほど底板100に近づくように傾斜又は湾曲してもよい。
露出面300aは、平坦部301と、平坦部301から上方に凹む穴部302と、からなる。より具体的には、図5及び図6に表したように、第1露出面310aは、第1平坦部311と、第1平坦部311から上方に凹む第1穴部312と、からなる。また、図7及び図8に表したように、第2露出面320aは、第2平坦部321と、第2平坦部321から上方に凹む第2穴部322と、からなる。つまり、平坦部301は、第1接合部材310に設けられた第1平坦部311と、第2接合部材320に設けられた第2平坦部321と、を有する。また、穴部302は、第1接合部材310に設けられた第1穴部312と、第2接合部材320に設けられた第2穴部322と、を有する。
第1平坦部311と第1穴部312とは、底板100及び上板200の外周縁に沿う方向に並ぶ。また、第2平坦部321と第2穴部322とは、底板100及び上板200の内周縁に沿う方向に並ぶ。
また、図4に表したように、穴部302(第1穴部312及び第2穴部322)は、例えば、左右対称に複数設けられる。この例では、6個の第1穴部312と3個の第2穴部322とが設けられている。各穴部302の位置は、接合部材300を形成する際に樹脂を注入する金型のゲートの位置に対応する。第1穴部312及び第2穴部322の数や位置は、これに限定されず、便座10の製造条件などに応じて適宜変更することができる。
第1平坦部311は、第2垂下部232の下端と略面一である。また、第1平坦部311は、底板100の底面100bと略面一である。同様に、第2平坦部321は、第4垂下部234の下端と略面一である。また、第2平坦部321は、底板100の底面100bと略面一である。これにより、底板100と上板200との接合部分に隙間や段差などが生じることを抑制し、便座10の清掃性を向上させることができる。ここで、「略面一」とは、例えば、隣接する2つの部材間に生じる高さの差が、1mm以下であることをいう。より好ましくは、0.3mm以下である。
第1平坦部311及び第2平坦部321は、略平坦である。なお、第1平坦部311及び第2平坦部321は、例えば、高さ(深さ)0.01mm未満の凹凸を含んでもよい。つまり、第1平坦部311の上端と第1平坦部311の下端との間の差は、0.02mm未満である。同様に、第2平坦部321の上端と第2平坦部321の下端との間の差は、0.02mm未満である。
第1穴部312は、第1平坦部311から上方に凹む凹部である。第1穴部312の上端は、例えば、外周嵌合部121の上端部121aよりも下方に位置する。第1穴部312の上端は、例えば、第1垂下部231の下端よりも下方に位置する。つまり、第1接合部材310の一部は、第1穴部312の上方に位置する。第2穴部322は、第2平坦部321から上方に凹む凹部である。第2穴部322の上端は、例えば、内周嵌合部122の上端部122aよりも下方に位置する。第2穴部322の上端は、例えば、第3垂下部233の下端よりも下方に位置する。つまり、第2接合部材320の一部は、第1穴部312の上方に位置する。
第1穴部312の深さD1及び第2穴部322の深さD2は、それぞれ、例えば、0.01mm以上1mm以下である。なお、深さD1は、第1平坦部311の上端と下端との中央から第1穴部312の上端までの間の上下方向の長さである。深さD2は、第2平坦部321の上端と下端との中央から第2穴部322の上端までの間の上下方向の長さである。但し、第1穴部312が複数ある場合、深さD1は、必ずしも一定でなくてもよい。また、第2穴部322が複数ある場合、深さD2は、必ずしも一定でなくてもよい。
第1穴部312の外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅は、第1露出面310aの外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅(例えば、1mm程度)よりも小さい。また、第1穴部312の外周縁に沿う方向の幅は、例えば、第1穴部312の外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅と同程度である。第1穴部312の外周縁に沿う方向の幅は、例えば、第1穴部312の外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅の0.5倍以上2倍以下である。上面視における第1穴部312の形状は、例えば、第1接合部材310の形成に使用するノズル(後述のノズル500の先端501)の形状に対応する。
同様に、第2穴部322の内周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅は、第2露出面320aの内周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅(例えば、1mm程度)よりも小さい。また、第2穴部322の内周縁に沿う方向の幅は、例えば、第2穴部322の内周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅と同程度である。第2穴部322の内周縁に沿う方向の幅は、例えば、第2穴部322の内周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅の0.5倍以上2倍以下である。上面視における第2穴部322の形状は、例えば、第2接合部材320の形成に使用するノズル(後述のノズル500の先端501)の形状に対応する。
第2垂下部232は、第1凹部241と反対側を向く側面232aを有する。側面232aは、換言すれば、外側を向く側面である。第2垂下部232の側面232aは、外周側壁部221の外側を向く側面221aと連続する。すなわち、外周側壁部221と第2垂下部232との間には、段差などが設けられていない。同様に、第4垂下部234は、第2凹部242と反対側を向く側面234aを有する。第4垂下部234の側面234aは、内周側壁部222の内側を向く側面222aと連続する。これにより、段差などによって清掃性が低下したり、段差などが使用者のお尻や足などに当たって使用者に違和感を与えてしまったりすることを抑制することができる。
第2垂下部232の側面232aの下端部は、例えば、凸曲面状に湾曲することにより、第1凹部241側に向かう。第4垂下部234の側面234aの下端部は、例えば、凸曲面状に湾曲することにより、第2凹部242側に向かう。換言すれば、第2垂下部232の下端部及び第4垂下部234の下端部には、いわゆるR面取りが施されている。
第2垂下部232の側面232aの下端部は、例えば、直線状に傾斜することによって第1凹部241側に向かってもよい。第4垂下部234の側面234aの下端部は、例えば、直線状に傾斜することによって第2凹部242側に向かってもよい。換言すれば、第2垂下部232の下端部及び第4垂下部234の下端部には、いわゆるC面取りを施してもよい。但し、側面232a、234aの下端部を凸曲面状に湾曲させることにより、直線状に傾斜させる場合と比べて、角などが生じることを抑制することができる。例えば、使用者のお尻や足などが、側面232a、234aの角などに当たって使用者に違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
第2垂下部232、第4垂下部234の湾曲又は傾斜していない部分の外周縁に沿う方向に対して直交する方向の幅は、1mm以上2mm以下である。これにより、例えば、第2垂下部232、第4垂下部234が過度に厚くなることを適切に抑制しつつ、第1接合部材310、第2接合部材320となる樹脂を充填する際の圧力を第2垂下部232、第4垂下部234において適切に受けることができる。
第1垂下部231の形状は、外周嵌合部121の形状に対応する。第3垂下部233の形状は、内周嵌合部122の形状に対応する。前述のように、外周嵌合部121及び内周嵌合部122は、下方に向かうに従って幅が狭くなるV字状の溝である。この場合、第1垂下部231及び第3垂下部233は、下方に向かうに従って幅が狭くなるV字状の突起である。これにより、第1垂下部231は、外周嵌合部121に嵌合し、第3垂下部233は、内周嵌合部122に嵌合する。第1垂下部231と外周嵌合部121との嵌合及び第3垂下部233と内周嵌合部122との嵌合により、例えば、第1接合部材310及び第2接合部材320となる樹脂を注入する際に、樹脂が内部空間S内に流れ込んでしまうことを抑制することができる。
底板100は、第2垂下部232と対向する対向面114と、対向面114の下端部から第2垂下部232に向かって延びる突出部116と、を有する。突出部116は、上方を向く上面116aを有する。突出部116の上面116aの少なくとも一部は、底板100の底面100bと略平行である。なお、第1穴部312の上端は、例えば、突出部116の上面116aよりも下方に位置する。
突出部116は、第2垂下部232と対向する側面116bを有する。突出部116の側面116bは、下方に向かうに従って第2垂下部232に近づく。側面116bは、例えば、直線状に傾斜することにより、下方に向かうに従って第2垂下部232に近づく。側面116bは、例えば、凸曲面状又は凹曲面状に湾曲することにより、下方に向かうに従って第2垂下部232に近付けてもよい。また、第2垂下部232の側面116bと対向する面は、下方に向かうに従って突出部116に近づくように傾斜又は湾曲してもよい。
また、突出部116の上面116aと底板100の底面100bとの成す角度は、突出部116の側面116bと底板100の底面100bとの成す角度よりも小さい。上面116aは、底面100bと略平行な面に限ることなく、例えば、側面116bよりも緩い傾斜を有する面などでもよい。なお、突出部116の形状は、上記の形状に限定されるものではない。突出部116は、例えば、略水平面状の上面116aと、略垂直面状の側面116bと、を有する略矩形状の形状などでもよい。あるいは、突出部116は、例えば、対向面114から連続的に下降傾斜する側面116bのみを有する形状などでもよい。
底板100は、第4垂下部234と対向する対向面124と、対向面124の下端部から第4垂下部234に向かって延びる突出部126と、を有する。突出部126は、上方を向く上面126aと、第4垂下部234と対向する側面126bと、を有する。なお、第2穴部322の上端は、例えば、突出部126の上面126aよりも下方に位置する。対向面124及び突出部126の構成は、対向面114及び突出部116の構成と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。第4垂下部234の側面126bと対向する面は、第2垂下部232と同様に、下方に向かうに従って突出部126に近づくように傾斜又は湾曲してもよい。
図9及び図10は、実施形態に係る便座の製造工程を表す断面図である。
図9及び図10では、外周嵌合部121の一部及び外周側壁部221の一部を表している。上述した通り、内周嵌合部122及び内周側壁部222の構造は、外周嵌合部121及び外周側壁部221の構造と同様である。このため、ここでは外周嵌合部121の一部及び外周側壁部221の一部を例に挙げて、便座10の製造工程を説明する。
便座10は、底板100と上板200との間を、接合部材300(第1接合部材310及び第2接合部材320)により接合することで製造される。接合部材300は、例えば、ホットランナー方式の成形装置により底板100と上板200の側壁部220との間に樹脂材料を注入することで形成される。
ホットランナー方式の成形装置では、コールドランナー方式の成形装置とは異なり、ノズル500の先端501が金型のゲートの先端に設けられる。ホットランナー方式の成形装置では、例えば、底板100と上板200(側壁部220)との間の注入口となる隙間にノズル500の先端501が位置する状態で、注入口となる隙間から樹脂材料が注入される。
より具体的には、まず、着座部210(第2本体部202)を下にして上板200を金型M1の上に載置する。この際、上板200を金型M1に嵌め込むようにし、上板200の外側の面を金型M1で押さえるようにする。この後、上板200の上に底板100を配する。このとき、図9に表したように、外周側壁部221の第1垂下部231が外周嵌合部121に嵌合し、突出部116と第2垂下部232との間に注入口となる隙間が出来るように、底板100を上板200の上に配する。
この状態で、金型M2により底板100を下方に向かって押圧する。金型M2には、第1接合部材310及び第2接合部材320となる樹脂材料を注入するためのゲートGが設けられている。このゲートGが、突出部116と第2垂下部232との隙間に位置するように、金型M2を底板100及び上板200の上に配する。ゲートGの内部には、樹脂材料を吐出するノズル500が配置される。ノズル500は、先端501が突出部116と第2垂下部232との隙間に位置するように、配置される。
この状態で、突出部116と第2垂下部232との間の隙間から第1凹部241内に、加熱した樹脂材料をゲートGを介してノズル500から注入する。ノズル500の内部には、樹脂材料が流れる流路502と、流路502を開閉するバルブピン503と、が設けられている。バルブピン503は、ノズル500の先端501に向かって進退することで、流路502を開閉する。図9は、バルブピン503が後退することで流路502が開になった状態を示している。図10は、バルブピン503が進出することで流路502が閉になった状態を示している。
加熱された樹脂材料が隙間に注入されると、底板100及び上板200の樹脂と接する面が熱によって溶融し、樹脂と混ざり合う。その後、樹脂が冷えて硬化し、第1接合部材310及び第2接合部材320となることで、底板100と上板200が接合される。
このとき、金型M2によって、接合部材300の露出面300aに平坦部301が形成される。また、ノズル500の流路502を閉とするためにバルブピン503を進出させると、接合部材300の露出面300aの平坦部301がバルブピン503の先端により押し込まれて、接合部材300の露出面300aに穴部302が形成される。つまり、接合部材300の露出面300aにおいて、金型M2のゲートGが設けられた部分に穴部302が形成される。
例えば、底板100及び上板200がポリプロピレンである場合には、ポリプロピレンを用いて接合することが好ましく、可塑化温度及び射出温度は材料の融点以上から300℃以下の温度域が好ましい。強い接合強度を得るためには、この温度域内での高温側が適しているが、安定した生産のためには樹脂に応じた分解温度以下の範囲で条件を設定することが好ましい。ポリプロピレン以外の樹脂材料を用いて接合する場合であっても、溶融温度以上の範囲で可能な限り高温であることが好ましいが、生産性を考慮すれば実質的な温度範囲は分解温度以下である。底板100と上板200の接合後は、第2垂下部232の先端の面取りや、樹脂のバリ取りなどが適宜行われても良い。以上により、実施形態に係る便座10が作製される。
金型M2は、例えば、突出部116と第2垂下部232との隙間に沿って並ぶ複数のゲートGを有する。複数のゲートGの間隔は、例えば、接合のための熱量を基に設定される。具体的には、注入路に流れ込む二次樹脂が固化するまでの熱量が、接している一次樹脂(底板100及び上板200)の表層を融かすに充分である範囲(流動長)を算出して決定する。例えば、便座10の内外周の8分の1程度にあたる200mmを上限とし、金型M2の構成や製造性を考慮して適宜その範囲内で設定してよい。
なお、前述のように、第1凹部241は、第1接合部材310と互いに溶融するため、その界面が判別し難い可能性がある。この場合には、例えば、第1接合部材310の材料の成分よりも、上板200の材料の成分の方が高くなる部分を、第1凹部241の界面とすればよい。
以上、説明したように、本実施形態にかかる便座10では、接合部材300の露出面300aが平坦部301と穴部302とからなる。これにより、接合部材300の露出面300aに凸部が形成される場合と比べて、接合部材300の露出面300aに汚れが堆積したり、清掃時に雑巾などが引っかかりやすくなったりすることを抑制できる。また、例えば、樹脂を注入するためのゲートが設けられた部分が穴部302になるようにすることで、ゲートが設けられた部分を平坦にする場合と比べて、ゲートが設けられた部分の形状のコントロールが容易になるため、容易に製造することができる。したがって、汚れの堆積や清掃性の悪化を抑制できるとともに、容易に製造できる便座を提供することができる。
また、便座10では、穴部302(第1穴部312及び第2穴部322)の深さD1を0.01mm以上1mm以下とすることで、穴部302が深くなり過ぎることを抑制できる。これにより、穴部302に汚れが入り込んだとしても、穴部302に入り込んだ汚れを雑巾などでふき取りやすくすることができる。つまり、清掃性を向上させることができる。
また、便座10では、底板100の外周側と内周側との両方に接合部材300を設けることで、底板100と上板200とより強固に接合させることができる。さらに、便座10では、外周側の第1接合部材310と内周側の第2接合部材320の両方において、露出面300aが平坦部301と穴部302とからなる。つまり、外周側の第1接合部材310の第1露出面310aが第1平坦部311と第1穴部312とからなり、内周側の第2接合部材320の第2露出面320aが第2平坦部321と第2穴部322とからなる。これにより、底板100の外周側と内周側との両方に接合部材300を設ける場合にも、汚れの堆積や清掃性の悪化を抑制できるとともに、容易に製造できる。
また、便座10では、左右対称に複数の穴部320が形成されるように、左右対称に複数の箇所から樹脂材料を注入することで、底板100と上板200との間の全体に偏りなく接合部材300を供給することができる。これにより、接合不良の発生を抑制できる。
また、例えば、コールドランナー方式の成形装置により接合部材300を形成した場合には、ゲートが設けられた部分は凸部になりやすい。つまり、コールドランナー方式の成形装置により接合部材300を形成した場合には、接合部材300の露出面300a凸部が形成され、汚れの堆積や清掃性の悪化が生じやすい。
これに対し、実施形態によれば、便座10を製造する際に、ホットランナー方式の成形装置により底板100と上板200の側壁部220との間に樹脂材料を注入して接合部材300を形成する。これにより、成形後に別途穴部302を形成する後工程を行わなくとも、接合部材300の露出面300aに穴部302を形成することができる。また、ホットランナー方式の成形装置により接合部材300を形成することで、ノズル500の先端501から成形品までの間の樹脂材料の流路を省略可能である。したがって、コールドランナー方式の成形装置と比べて、樹脂材料を削減でき、製造コストを削減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。