JP7399389B2 - 水素充填装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池式フォークリフト(FCフォークリフト)に水素を充填するための水素充填装置に関する。
クリーンな次世代エネルギーである水素を燃料とする産業機械として、燃料電池式フォークリフトが開発されている。
そして、燃料電池式フォークリフトに燃料である水素を充填する水素充填装置も開発されており、その様な水素充填装置を配置した水素ステーションも開発されている。
ここで、水素充填装置には圧縮機が必要である。
しかし、水素充填装置の圧縮機としては、運転コストが低く、小規模水素ステーションから中規模水素ステーションに好適に用いられることが要求される。それと共に、同一の構造で低圧と高圧の双方の水素圧縮が可能であり、振動、騒音が無く、コンパクト設計が可能であることが要求される。
従来の機械式圧縮機、電気式圧縮機では、その様な要請に応えることは出来なかった。
その他の従来技術として、燃料電池式フォークリフトに水素を充填するための水素充填装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、例えば燃料電池自動車と燃料電池式フォークリフトを誤認して水素充填することを防止するための技術である。そのため、特許文献1の従来技術では、圧縮機の運転コストが低く、低圧と高圧の双方の水素圧縮が可能であり、振動、騒音が無く、コンパクト設計が可能でなければならない問題を解消することが出来ない。
特開2021-38812号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、運転コストが低く、低圧と高圧の双方の水素圧縮が可能であり、振動、騒音が無く、コンパクト設計が可能な圧縮機を備えた水素充填装置であって、燃料電池式フォークリフトに水素を充填することが出来る水素充填装置の提供を目的としている。
本発明の水素充填装置(50)は、燃料電池式フォークリフト(60)に水素を充填する水素充填装置(50)において、
水素供給源から供給される水素を加圧する電気化学式水素圧縮機(40)を備え、
当該電気化学式水素圧縮機(40)は、
アノード(1A)とカソード(1C)により電解質膜(1B:固体高分子電解質膜:PEM)を挟み込んで構成されたセル(1)を複数備え、複数のセル(1)を収容するセル用ケーシング(11)と、水分離装置(2)と、水分離装置(2)を収容する水分離装置用ケーシング(12)と、バブラー(3)と、バブラー(3)を収容するバブラー用ケーシング(13)を有し、
セル(1)を収容するセル用ケーシング(11)と、水分離装置(2)を収容する水分離装置用ケーシング(12)と、バブラー(3)を収容するバブラー用ケーシング(13)は一体的に結合されたことを特徴としている。
上述の構成を具備する本発明によれば、電気化学式水素圧縮機(40:EHC:Electric Hydrogen Compressor)を圧縮機(或いはポンプ)として用いているので、大容量化することにより大幅に水素ステーションの運転コストを削減できる可能性がある。そのため、小規模水素ステーションから中規模水素ステーションに用いられる圧縮機として最適である。
また、電気化学式水素圧縮機(40)であれば、同一構造で水素を低圧に圧縮する場合と高圧に圧縮する場合の双方に対応可能であり、振動、騒音が無い。しかも、コンパクトに設計することが可能である。
そのため、電気化学式水素圧縮機(40)を備えた本発明の水素充填装置(50)は、水素ステーションに配置するために要求される特性を充足することが出来る。
特に、本発明で用いられる電気化学式水素圧縮機(40)は、アノード(1A)とカソード(1C)により電解質膜(1B:固体高分子電解質膜:PEM)を挟み込んで構成されたセル(1)を複数備え、複数のセル(1)を収容するセル収容部外殻(11:セル用ケーシング)と、水分離装置(2)と、水分離装置(2)を収容する水分離装置用ケーシング(12)と、バブラー(3)と、バブラー(3)を収容するバブラー用ケーシング(13)を有し、セル(1)を収容するセル用ケーシング(11)と、水分離装置(2)を収容する水分離装置用ケーシング(12)と、バブラー(3)を収容するバブラー用ケーシング(13)は一体的に結合されているので、電気化学式水素圧縮機(40)全体の寸法を小さくして、極めてコンパクトに設計することが可能である。
また、本発明で用いられる電気化学式水素圧縮機(40)は、セル(1)がバブラー(3)、水分離装置(2)と一体的に構成されており、複数のセル(1)が圧力容器状のセル収容部外殻(11:セル用ケーシング)に収容されているので、電解質膜(1B:固体高分子電解質膜:PEM)には圧力容器としての基準(4倍圧の基準)は適用されない。そのため、例えば燃料電池自動車の水素充填に用いられる場合(80MPaの高圧水素が要求される場合)に、バブラー用ケーシング(13)及び水分離装置用ケーシング(12)と一体に構成されたセル収容部外殻(11)が4倍圧の基準を充足すれば(320MPaでも無事稼働することが出来れば)、セル収容部外殻(11)に収容されたセル(1)或いはその電解質膜(1B:固体高分子電解質膜:PEM)は圧力容器としての基準(4倍圧の基準:例えば320MPa)を充足する必要がない。
そして、チェック弁等の低圧回路保護機構を設けることにより圧力容器を守ることが出来るので、電解質膜(1B)が圧力容器としての基準を満たす必要がない。仮に電解質膜(1B)が少々破損したとしても、セル(1)全体を交換する必要は無く、セル交換のため電気化学式水素圧縮機(40)の稼働を中止する必要も無くなる。
本発明で用いられる電気化学式水素圧縮機(40)において、バブラー(3)で生じた水素と水蒸気の混合気は、セル用ケーシング(11)内に収容された複数のセル(1)内のポート及び溝を連通して構成した部分を有する水素ガス流路(4)を介してセル(1)に供給され、セル(1)のアノード(1A)で発生したオフガスは当該水素ガス流路(4)を介してバブラー(3)に戻される様に構成すれば、セル(1)或いはセルスタック外にオフガス循環系統を構成しなくても、バブラー用ケーシング(13)及びセル収容部外殻(11)内でオフガスを循環させることが出来る。
そのため、複数のセル(1)を積層或いは密集して配置してもオフガス循環系統と干渉する恐れはなく、複数のセル(1)を積層或いは密集してセル収容部外殻(11)内に配置(収容)することが出来る。従って、複数のセル(1)を配置するのに大きなスペースは必要とせず、各セル(1)とオフガス循環系統との干渉を防止するレイアウトを考慮する必要がない。
本発明で用いられる電気化学式水素圧縮機(40)において、セル収容部外殻(11)の上方に水分離装置(2)を設け、カソード(1C)の圧縮水素は水(水蒸気)と共に水分離装置2の内部空間に供給され、水分離装置(2)の内部空間には水が貯留しており、カップフロート(25)が配置されており、カップフロート(25)は中心部に棒状部(25B)を有し、棒状部(25B)の先端(下端)にはバルブ本体(25C)が設けられ、水分離装置(2)の内部空間の中心部とバブラー(3)を連通する水降下用パイプ(26)が設けられて、水降下用パイプ(26)は水分離装置用ケーシング(12)を貫通してバブラー(3)に連通しており、水降下用パイプ(26)の上端部(26A)は水分離装置(2)の内部空間の下方で開放され、カップフロート(25)に設けられたバルブ本体(25C)が座着可能な弁座を構成すれば、セル(1)のカソード(1C)から水分離装置(2)に移動した水素はカップフロート(25)を介して水分離装置(2)内の水中を浮上する。そして、高圧の水素ガスは水分除去装置(18)へ移動する。
水分離装置(2)内の水によりカップフロート(25)に浮力が作用して浮き上がると、カップフロート(25)に設けられたバルブ本体(25C)は弁座である水降下用パイプ(26)の上端開口部(26A)から離隔する。そして、水分離装置2内の水は水降下用パイプ26内を降下し、バブラー(3)側に戻される。
一方、水分離装置(2)内の水量が減少すると、カップフロート(25)が下降し、バルブ本体(25C)が弁座である水降下用パイプ(26)の上端開口部(26A)に座着して閉鎖する。その状態では、水分離装置(2)内の水はバブラー(3)側に下降することはなく、水分離装置(2)内に留まる。
すなわち、水分離装置(2)内の水は、水分離装置(2)の内部空間の中心部とバブラー(3)を連通する水降下用パイプ(26)によりバブラー(3)に戻されるので、従来技術の様にセルスタック外部に別途水循環系統を形成する必要がない。そして、セルスタック外部に水循環系統を形成する必要がないため、セルを集積し易く、レイアウトが容易になる。
さらに、カップフロート(25)は下方に開口部(25D)を有し、内部空間が開空間であるため、高圧下においてもカップフロート(25)内外の圧力差が無い。そのため、外殻が薄いカップフロート(25)を高圧環境下の水分離装置(2)内に設けても潰れることはない。
さらに、本発明で用いられる電気化学式水素圧縮機(40)において、バブラー(3)とセル(1)の間をヒートチューブ(5)で接続し、ヒートチューブ(5)の一端はヒートチューブ受熱部(5A)が複数分散設置(固体伝熱)されて複数のセル(1)の各々に接続(固体接続)されており、ヒートチューブ(5)の他端をヒートチューブ放熱部(5B)としてバブラー(3)の液相領域(3B)に浸漬すれば、セル(1)における熱量が複数分散設置(固体伝熱)したヒートチューブ受熱部(5A)に伝熱され、ヒートチューブ(5)の受熱部(5A)を介して当該熱量はヒートチューブ(5)内の純水に伝達されて純水を水蒸気に気化し、当該水蒸気がヒートチューブ(5)内を移動してバブラー(3)の液相領域(3B)に投与されることにより、セル(1)を運転状態に応じてセルフ冷却をすることが出来る。そのため、セル(1)には高品質のチラーを設ける必要がない。
さらに、バブラー用ケーシング(13)にフィン(6)を設け、ブロワ(7)により熱風或いは冷風をフィン(6)に向かって噴射すれば、バブラー(3)の温度調整が可能である。或いは、バブラー(3)を加熱するヒーター機構(8)及び/又はバブラーを冷却するクーラー機構を設ければ、バブラー(3)の温度調整が可能である。さらに、バブラーに供給される水素の温度を温調装置(9)により調節することで、バブラー(3)の温度調整が出来る。そのため、電気化学式水素圧縮機(40)のバブラー(3)の温度調整に高品質な機器であるチラーを設ける必要がなく、その分だけ、電気化学式水素圧縮機(40)及び水素充填装置(50)の製造コストを低く抑えることが出来る。
本発明の実施形態に係る水素充填装置を配置した水素ステーションの説明図である。 図1の水素ステーションで水素を充填する燃料電池式フォークリフトの説明図である。 実施形態に係る水素充填装置の説明図である。 実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機の実施形態を示す説明図である。 実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機における水分離装置を示す説明図である。 実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機におけるバブラーを示す説明図である。 実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機におけるヒートチューブによるセルの冷却を模式的に示す説明図である。 実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機において起動時にバブラーを加熱する機構を示す説明図である。 図4と同様な説明図であって、実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機におけるセルが積層されている態様を具体的に示す説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、水素充填装置50は、水素充填ホース51の先端には設けられた水素充填ノズル52により、燃料電池式フォークリフト60(FCフォークリフト)に搭載された水素タンク61に水素を充填している。
FCフォークリフト60に充填された水素により、FCフォークリフト60は、走行及びフォーク62の昇降を行うことが出来る。
図2において、FCフォークリフト60は燃料電池63(FC)を内蔵しており、燃料電池63で生じた電気を蓄電装置64に蓄電して、FCフォークリフト60の駆動輪用のモータ65と、フォーク62昇降用のモータ66を駆動する。FCフォークリフト60における蓄電制御はコントローラ67により実行される。図2において、符号68は水タンクを示している。
ここで、図示の実施形態に係る水素充填装置50で水素充填されるFCフォークリフト60は、図2で示す構造のフォークリフトに限定される訳ではない。図2は、あくまでもFCフォークリフト60の例示である。
水素充填装置50について、図3を参照して説明する。
図3において、水素充填装置50はスタックエリア53、バルブユニット54、蓄圧器55、計量ユニット56、制御エリア57を有している。スタックエリア53は電気化学式水素圧縮機40(EHC:Electric Hydrogen Compressor)を内蔵している。また、計量ユニット56からは水素供給充填用ホース51が延設され、水素供給充填ホース51の先端には水素充填ノズル52が設けられている。
明示しない水素供給源は、配管58により電気化学式水素圧縮機40に連通しており、電気化学式水素圧縮機40に水素を供給する。水素を加圧する機能を有する電気化学式水素圧縮機40における構成、作用については、図4~図9を参照して後述する。
スタックエリア53の電気化学式水素圧縮機40で加圧された水素は図示しない水素流路を介して蓄圧器55(ボンベなど)に供給され、貯蔵される。
図示はされていないが、図3において、計量器ユニット56は流量計、計数部、流量調整弁、漏洩検知装置その他の検知装置等を包含している。FCフォークリフト60(図1、図2)に水素を供給するに際しては、計量ユニット56の水素充填ノズル52をFCフォークリフト60の水素タンク61(図1、図2)のレセプタクル(図示せず)と接続し、蓄圧器55内の高圧水素を、バルブユニット54、計量ユニット56の水素供給充填用ホース51、水素充填ノズル52を介して、FCフォークリフト60の水素タンク61に充填する。バルブユニット54では、高圧水素がFCフォークリフト60の水素タンク61に充填される際に、関連バルブの開閉制御を実行する機能を有している。
図3において、水素供給源からの水素は、スタックエリア53において電気化学式水素圧縮機40により加圧され、加圧された水素は蓄圧器55(ボンベ等)に貯蔵される。
FCフォークリフト60の水素タンク61に水素を供給するに際しては、蓄圧器55内の高圧水素は、計量ユニット56、水素供給充填用ホース51、水素充填ノズル52を介して、FCフォークリフト60に充填される。
水素充填装置50の制御エリア57は、水素充填装置50における水素充填を制御する機能を有している。制御エリア57は水素ステーションの管理機構である保安制御盤70と通信ライン59を介して電気通信で接続されており、制御エリア57で実行、対応する制御の中で、火災検出、ガス検出、その他の重大な事象に対応する際には、制御エリア57と保安制御盤70は相互に連携を図る事が出来る。
次に、図示の実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機40(EHC:Electric Hydrogen Compressor)について、図4~図9を参照して説明する。
電気化学式水素圧縮機40は、大容量化することによって水素ステーションの運転コストを削減することが出来て、特に小規模水素ステーションから中規模水素ステーションで用いられるのに適している。
また、電気化学式水素圧縮機40であれば、同一構造で水素を低圧に圧縮する場合と高圧に圧縮する場合の双方に対応可能であり、振動、騒音が無い。しかも、コンパクトに設計することが可能である。
図4において、図示の実施形態に係る電気化学式水素圧縮機40は、複数のセル1(セルスタック:図9参照)と、複数のセル1を収容するセル用ケーシング11と、水分離装置2と、水分離装置2を収容する水分離装置用ケーシング12と、バブラー3と、バブラー3を収容するバブラー用ケーシング13を有している。
セル1を収容するセル用ケーシング11と、水分離装置2を収容する水分離装置用ケーシング12と、バブラー3を収容するバブラー用ケーシング13は、例えばボルト14(図4では中心軸を一点鎖線で示す)により一体的に結合されている。
セル用ケーシング11内には、セル1が例えば40個程度収容されている。図4では明示されていないが、セル1は電極であるアノード1Aと、カソード1Cと、電解質膜である固体高分子電解質膜1B(PEM)を有しており、アノード1Aとカソード1Cにより電解質膜1Bを挟み込んでセル1を構成している。
セル1の各々は、1枚で80MPa程度まで水素ガスを加圧する機能を有する様に構成されている。図示の実施形態では、例えば80MPaという高圧は、複数のセルを直列につないで、セルごとに数MPaずつ加圧して得ている訳ではなく、水素を80MPaまで加圧できる能力を有する個々のセルを、複数(例えば40個)、積層している。
従来の電気化学式圧縮機では、低圧側と高圧側に曝されるセル或いは電解質膜に対して、圧力容器としてのハードな基準を充足することが要求される。例えば、電解質膜が4倍圧の基準(例えば、80MPaの高圧ガスを充填する充填機に用いられる電気化学室水素圧縮機では、320MPaでも無事稼働するという基準)をクリアしなければならなかった。
図示の実施形態では、セル1がバブラー3、水分離装置2と一体的に構成されており、複数のセル1が圧力容器状のセル用ケーシング11(セル収容部外殻)に収容されているので、電解質膜1B(固体高分子電解質膜:PEM)そのものには圧力容器としての基準(4倍圧の基準)は適用されない。そのため、例えば燃料電池自動車の水素充填に用いられる場合(80MPaの高圧水素が要求される場合)に、セル用ケーシング11が4倍圧の基準を充足すれば(320MPaでも無事稼働することが出来れば)、セル用ケーシング11に収容されたセル1或いは固体高分子電解質膜1B(PEM)には、圧力容器としての基準(4倍圧の基準)を充足することは要求されない。また、チェック弁等の低圧回路保護機構(図示せず)を設けることにより守ることが出来るので、固体高分子電解質膜1B(PEM)には圧力容器としての基準は要求されない。
そのため、固体高分子電解質膜1B(PEM)には気密性のみが要求され、4倍圧の基準に耐える様な耐圧性は必要なく、一般高圧容器程度の耐圧性を有していれば足りる。
図示の実施形態ではセル1或いは固体高分子電解質膜1B(PEM)は4倍圧の様な厳しい基準を充足する必要がないので、バブラー3(を収容するバブラー用ケーシング13)、水分離装置2(を収容する水分離装置用ケーシング12)と一体的に構成されたセル用ケーシング11が圧力容器としての基準を充足するのであれば、仮に固体高分子電解質膜1B(PEM)が僅かに破損したとしても、セル1全体としては水素を圧縮する機能を発揮する限り、破損したセル1を交換することなく、アノード1A側にチャッキ弁(図示せず)を配置して、水素や水が排出される様に構成して、稼働し続けることが出来る。
図4において、水素供給源から、配管15及び温調装置9を経由して供給された水素は、バブラー3内の気泡発生器16(図6参照:図4では図示せず)に供給される。配管15には、水循環ポンプ33を介装した水供給源からの配管28が合流している。
水素供給源から流路15を介して供給された水素は、バブラー3の液相領域3B内に貯留された水(純水)内を大量の気泡となって浮上し、その際に水蒸気を連行する。そして、水素と水蒸気の混合気体は、バブラー3の気相領域3Aから水素ガス流路4(図4の左側の水素ガス流路4)を流れ、セル1のアノード1A(図5)に供給される。符号29は気体用ポンプを示している。
明確には図示されていないが、セル用ケーシング11内に収容された複数のセル1内のポート及び溝を連通して、水素ガス流路4が構成されている。
セル1のアノード1Aに供給された水素は、イオン化されて電解質膜1B(固体高分子電解質膜:PEM)(図5)を透過してカソード1C(図5)側に移動して水素に戻り、圧縮された状態で水分離装置2に送られて、水分離される。
一方、カソード1C側に移動しなかった水素はオフガスとして水素ガス流路4(図4の右側の水素ガス流路4)を流れてバブラー3に戻される。
図4では水素ガス流路4がアノード1A側に向かう流路と、アノード1A側から戻る流路を、象徴的に、単一の太い配管状に表示しているが、実機では、アノード1A側に向かう水素ガス流路4と、アノード1A側から戻る水素ガス流路4は、セル1の数に応じて必要な数だけ分岐、合流して構成されている。
図4において、カソード1C(図5)側に移動した水素は、図5を参照して後述する水分離装置2を流過した後、配管17により水分除去装置18に供給され、水分除去装置18で水分を除去される。符号19は、水分離装置2内の高圧水素を水分除去装置18に送るための気体ポンプを示している。
水分を除去された水素は、例えば、図示しない水素充填装置(ディスペンサー)を介して高圧水素容器(例えば、燃料電池自動車の水素容器)に充填される。
水分除去装置18は、例えばカートリッジ内に吸着剤(ゼオライト等)を充填して構成されている。吸着剤は定期的に交換されるか、或いは、図4で示す様に真空ポンプ20に直結して再生される。
図4において、水分除去装置18は配管21を介して吸着剤再生用ポンプ20(真空ポンプ)に連通している。水分除去装置18の吸着剤が水分を十分に吸着したならば、真空ポンプ20を稼働して、配管21を介して水分除去装置18の吸着剤を真空乾燥して、吸着剤から水分を除去して再生させる。吸着剤の再生後、開閉弁22を開放し、配管23を介して配管21を外気に連通して、真空状態を開放する。
上述した様に、セル用ケーシング11と水分離装置用ケーシング12とバブラー用ケーシング13は、図示の実施形態ではボルト14により一体的に結合されている。
また、水分離装置2とバブラー3は水降下用パイプ26により連通しており、セル1とバブラー3は水素ガス流路4、ヒートチューブ5等により接続されている。
水分離装置2については図5を参照して後述する。また、バブラー3については図6を参照して後述する。
次に、図5を参照して水分離装置2について説明する。なお、図5では、セル用ケーシング11の図示は省略している。
図5において、水分離装置2の内部空間には水(ハッチングで示している)が貯留しており、カップフロート25が浮いている。カップフロート25は、図5において下方に突出した外方縁部25Aを有し、中心部には図5の下方に延在する棒状部25Bを有している。棒状部25Bの先端(下端)にはバルブ本体25Cが形成されている。そしてカップフロート25は、その下方に開口部25Dを有する開放された形状となっており、カップフロート25の内部空間は開空間となっている。
水分離装置2の内部空間の中心部と、バブラー3(図4、図6参照:図5では図示せず)は、水降下用パイプ26により連通されている。水降下用パイプ26は水分離装置2及び水分離装置用ケーシング12の底部を貫通して下方(図5では図示しないバブラー3側)に延在して、バブラー3に連通する。水降下用パイプ26の上端部26Aは水分離装置2の内部空間の下方で開放され、カップフロート25に形成されたバルブ本体25Cが座着可能な弁座を構成している。そして、カップフロート25のバルブ本体25Cと、水降下用パイプ26の上端開口部26Aにより、上端開口部26Aを開閉する機能を有する弁機構(ニードルバルブ)を構成している。
図4を参照して述べた様に、図5における水分離装置2の下方の領域には、セル1が配置されている。セル1のアノード1Aに供給され、電解質膜1Bを経てカソード1C側に移動した水素は、高圧の圧縮水素として、水(水蒸気)と共に、経路27によりセル1側から水分離装置2の内部空間に供給される。水は固体高分子電解質膜(PEM)の様な電解質膜1Bに必要であり、電解質膜1Bを水が透過して、カソード1C側に溜まるので、水分離装置2側には水が貯留する。
カップフロート25は、セル1のカソード1Cから水分離装置2に移動した水素の全量が、水中を浮上してカップフロート25の内部空間内に移動する様に構成されており、セル1が作動してカソード1Cに水素が移動する限り、当該水素はカップフロート25の内部空間に移動する様に構成されている。
図5において、下方に開口部25Dを有して内部空間が開空間を形成するカップフロート25を用いたのは、開口部を有しておらず内部空間が閉空間であるフロートでは、高圧(例えば80MPa)に耐えきれないからである。内部空間が閉空間である通常のフロートでは、内部空間は常圧であるため、高圧環境下では内部空間との圧力差でフロートが潰れてしまう。これに対して、当該圧力差の下でも潰れない様にフロートの外殻を厚くすると、フロートが水分離装置2内の水(カソード水)に浮かばない。
それに対して、図示の実施形態におけるカップフロー25であれば、下方に開口部25Dを有し、内部空間は開空間であるため、高圧下においてもカップフロート25の内部空間の圧力は水分離装置2内の圧力と等しく、上述した圧力差は存在しない。そのため、カップフロート25の外殻が薄くても、カップフロート25が潰れることはない。
水分離装置2内の水によりカップフロート25に浮力が作用し、カップフロート25が浮き上がると、カップフロート25に設けられたバルブ本体25Cは、弁座である水降下用パイプ26の上端開口部26Aから離隔して開弁する。そして、水分離装置2内の水は上端開口部26Aから水降下用パイプ26内を流下して、バブラー3側に戻される。
水分離装置2内の水量が減少すると、カップフロート25が下降し、バルブ本体25Cが弁座である水降下用パイプ26の上端開口部26Aに座着して、上端開口部26Aが閉鎖される。水降下用パイプ26の上端開口部26Aが閉鎖されるので、水分離装置2内の水はバブラー側に下降せず、水分離装置2内に留まる。
図5において、セル1側から水分離装置2の水の中を浮上してカップフロート25の内部空間に到達して溜まった高圧の水素ガスは、図5において矢印H2で示す様にカップフロート25の外側に移動する。セル1側から水分離装置2の水中を浮上してカップフロート25の内部空間に至る経路と、矢印H2で示す経路を高圧水素が移動する際に、水分が分離される。カップフロート25の外側に移動した高圧の水素ガスは、気体ポンプ19を介して、配管17を流れて水分除去装置18へ移動する。
ここで、カップフロート25内の水を経由してカップフロート25の外側に移動した高圧の水素ガスが水分を連行したとしても、水素ガスは高圧になるほどドライになる傾向があり、また、水分を連行しても水分吸着除去装置18で除去されるので、問題はない。
セル1のカソード1Cから水分離装置2に移動した水素は、その全量がカップフロート25の内部空間に移動する様に、カップフロート25の位置を含めて構成されている。水分離装置2に移動した水素の全量がカップフロート25の内部空間内に進入する様に構成しないと、カップフロート25が下降した後(バルブ本体25Cが閉鎖された後)、水素がカップフロート25内に入らなくなる恐れがあり、水素がカップフロート25内に入らないとカップフロート25が浮き上がらなくなり、水降下用パイプ26の上端開口部26Aが開放されなくなってしまうからである。
また、カップフロート25を長期間放置すると、その内部に水が置換してカップフロート25が沈んでしまう。しかし図示の実施形態では、カップフロート25の内部空間内にカソード1Cからの水素が進入し続けるので、当該内部空間には常に水素が供給されて、カップフロート25が沈んでしまうことを防止出来る。
上述した様に、水分離装置2側に移動した水素の全量がカップフロート25の内部空間に入る様に構成されているので、水分離装置2内の水が増加すれば、カップフロート25は確実に当該水に浮いた状態を保持するので、水降下用パイプ26の上端開口部26Aが開放しないという事態を防止出来る。
ここで、図6で示すバブラー3内に貯留した純水は、水素と共にセル1のアノード1Aに供給され、カソード1Cから水分離装置2(カソード側)に移動し、水分離装置2内に貯留されるが、上述した様に、カップフロート25が水に浮いた状態を保持できれば、水分離装置2内の水は確実に水降下用パイプ26内を流過して、バブラー3内に流れ込む。これにより、バブラー3、セル1、水分離装置2の間で水が循環し続ける。
そのため、従来技術の様にセル1或いはセルスタック外部に別途水循環系統を形成する必要がなく、セルを集積し易く、レイアウトが容易になる。
図示の実施形態では、水分離装置2において水が水素ガスから分離してバブラー3に戻り、バブラー3、セル1、水分離装置2の間で、常時、循環し続ける。しかし、水分離装置2から水分除去装置18(図4参照)に移動した高圧水素は、図4を参照して上述した様に、水分除去装置18で水分が吸着除去され、吸着除去された水分はバブラー3には戻されない。水分除去装置18で除去された分の水を補給する必要がある場合には、図6において水循環ポンプ33を駆動し、水供給源からの配管28、バブラー3に水素を供給する配管15を介して給水すれば良い。係る給水を定期的に行うことも可能である。
図5において、カソード側に水が無くなると電解質膜1B(固体高分子電解質膜:PEM、図5)が乾燥し、PEMにおける抵抗が増大する。そしてPEMの抵抗が増大するとPEMにおける水素移動の効率が低下する。そのため、カソード側には常に水がある状態にしておくことが好ましい。
図示の実施形態では、水分離装置2に移動した水素は常にカップフロート25の内部空間に向かって浮上する様に配置されており、且つ、カップフロート25に設けたバルブ本体25Cが水降下用パイプ26の上端開口部26Aにより構成された弁座に座着しても水分離装置2に水が残留している。明確には図示されていないが、水分離装置2に水が残留している限り、カソード側には常時水が保持される。
次に図6を参照して、バブラー3について説明する。
図6において、バブラー3はウォーターパン或いはドレンパンとして構成されており、上方の領域は気相領域3A(水素と水蒸気の混合気が貯留する領域)であり、下方の領域は液相領域3B(水が貯留する領域)となっている。
バブラー3の液相領域3Bには気泡発生器16(気化器)が配置されており、気泡発生器16には、温調装置器9を介装した配管15を介して水素が供給される。
気泡発生器16はストーンで構成されるタイプ、メッシュで構成されるタイプ、自然蒸発するタイプの何れのタイプで構成しても良く、その他のタイプの気泡発生器を用いることも出来る。
図5を参照して上述した様に、水分離装置2(図4、図5)内の水をバブラー3内に戻すために、水分離装置2から水降下用パイプ26がバブラー3まで延設されている。
図6において、温調装置9で温度調節された水素が気泡発生器16に供給されると、バブラー3内に貯留された水(純水)中に、大量の水素気泡が噴出し、噴出した水素と共に水蒸気がバブラー3の気相領域3Aへ移動する(矢印AB)。そして、水素及び水蒸気の混合気は、気体用ポンプ29を介して、水素ガス流路4(図6の左側の水素ガス流路4)によりセル1のアノード1A(図5)へ供給される(矢印A1)。上述した様に、水素ガス流路4は、複数のセル1内のポート及び溝を連通して構成されている。
アノード1Aにおけるオフガスはカソード1C側に移動しなかった水素ガス及び水蒸気を含んでおり、係るオフガスは水素ガス流路4(図6の右側の水素ガス流路4)により、バブラー3の気相領域3Aに流入する(戻される:矢印A2)。
そのため、セル1或いはセルスタックの外部にオフガス循環系統を構成しなくても、バブラー用ケーシング13及びセル用ケーシング11(図4参照)内でオフガスを循環させることが出来る。そして、複数のセル1を積層或いは密集して配置しても、オフガス循環系統と干渉することが防止される。その際、複数のセル1を配置するのに大きなスペースは必要とせず、各セル1とオフガス循環系統との干渉を防止するレイアウトを考慮する必要がない。
従来技術では、チラーによりセルを冷却しているが、図示の実施形態では、バブラー3からセル1(複数のセル群)に亘って配置したヒートチューブ5によりセル1を冷却している。ヒートチューブ5によるセルの冷却について、図7を参照して説明する。
図7において模式的に示す様に、ヒートチューブ5はバブラー3とセル1(実機では、ケーシング11内の複数のセル1の各々)とを接続している。ヒートチューブ5の一端はヒートチューブ受熱部5Aとして複数分散設置(固体伝熱)されて、複数のセル1の各々に接続(固体接続)されており、ヒートチューブ5の他端はヒートチューブ放熱部5Bとしてバブラー3の液相領域3Bに浸漬している。図示の簡略化のため、図7では単一のセル1のみが示されている。
ヒートチューブ5は銅製であり、内管5C及び外管5Dの二重管構造を有しており、内管5Cと外管5Dはヒートチューブ受熱部5A及びヒートチューブ放熱部5Bにおいて連通している。ヒートチューブ5の二重管には純水が充填されており、高速で熱を伝達する機能を有している。そして、ヒートチューブ5の高伝熱特性を利用して、電解質膜1B(PEM、図5)に電流を流す際にセル1に発生した熱をバブラー3内に排出することが出来る。
ヒートチューブ5でセル1を冷却するに際しては、セル1に発生した熱量が複数分散設置(固体伝熱)されたヒートチューブ5の受熱部5Aに伝熱され、伝熱された熱量は受熱部5Aを介してヒートチューブ5内の純水に伝達され、純水は気化熱を奪って直ちに気化する。気化した水蒸気はヒートチューブ5の内管5C内を高速で流過して(矢印F1)、ヒートチューブ5におけるバブラー3の液相領域3Bに浸漬された放熱部5Bに到達し、放熱部5Bで気化熱がバブラー3内に貯留された純水に投与される。
熱量をバブラー3内の純水に投与すると、ヒートチューブ5の内管5Cを流過した水蒸気は凝縮して純水となり、当該純水はヒートチューブ5の外管5D内を再びヒートチューブ5の受熱部5Aに向かって流れ(矢印F2)、受熱部5Aにおいて再びセル1の熱量で気化する。そして、ヒートチューブ5の内管5C、外管5D内に純水或いは水蒸気を循環させることにより、継続的にセル1を冷却する。
ここで、セル1とバブラー3内の純水間のヒートチューブ5による熱移動は、セル1における(受熱)温度とバブラー3内の純水(放熱)温度との温度差に依存する。
電解質膜1B(固体高分子電解質膜:PEM)或いはセル1には最適運転温度があり、適正に電気化学式水素圧縮機40を運転するためには電解質膜1B(固体高分子電解質膜:PEM)或いはセル1を温度調整する必要がある。また、セル1内での結露を防止するために、セル1の温度をバブラー3内の純水よりも所定温度だけ(例えば5℃程度)高めに設定する必要がある。この設定すべき温度差があるので、ヒートチューブ5を介してセル1からバブラー3まで熱を移動することが可能となる。
ここで、バブラー3とセル1をヒートチューブ5でつないだ系は、例えばバブラー3に供給する水素の温度制御をすること、或いは、バブラー3を加熱、冷却することにより、(バブラー3とセル1をヒートチューブ5でつないだ系の)外部から同時に温度調整することが出来て、バブラー3の温度もセル1の温度も、適切にコントロールすることが出来る。
すなわち、セル1とバブラー3は、ヒートチューブ5により熱交換され、セル1、バブラー3、ヒートチューブ5は連鎖的に作用するので、温度制御が容易且つ正確に行うことが出来る。そのため、特別な制御機器を必要とせず、安定的にセル1を冷却することが出来る。そして、セル1に高品質のチラーを設ける必要もない。
図9を参照して、図4~図7を参照して説明した電気化学式圧縮機40の構造であるが、図4~図7では明示されていない機器について説明する。
図9において、ケーシング11の内部には5個のセルが示されており、それぞれのセルの電解質膜が符号1B-1~1B-5で示されている。実機において、セルの数は5個よりもはるかに多い。
図9において、電解質膜1B-1~1B-5の各々の下方がアノード(1A-1~1A-5:図示の煩雑化を避けるため、図9では符号は示していない)であり、電解質膜1B-1~1B-5の各々の上方がカソード(1C-1~1C-5:図示の煩雑化を避けるため、図9では符号は示していない)である。5つのセルは、絶縁体ISにより仕切られており、図9において絶縁体ISは太い点線で表示されている。
5つのセルに対しては、電源PSから、符号ECで包括的に示す導線を介して電力が供給されている。
図9において、バブラー3の気泡発生器16の水素の泡BHで加湿された水素ガスは、矢印ABHで示す様に、循環用ポンプPBにより吸い込まれて図9の左側の水素ガス流路4Iに吐出される。水素ガス流路4Iを流れる水素は水蒸気と共に各セルのアノード1A-1~1A-5(図示せず)に供給される。そして水素イオンとなって電解質膜1B-1~1B-5を透過して、カソード1C-1~1C-5(図示せず)で水素に戻る。カソード1C-1~1C-5の高圧水素は、水素経路42、42(図9では2本のみ示すが、実機ではそれ以上の本数を設けている)を介して水分離装置2に移動する。図9では、水分離装置2に移動する高圧の水素は、水素経路42における上方に向かう矢印として表示されている。
各セルのアノード1A-1~1A-5に水素と水蒸気を供給した水素ガス流路4Iは、水平方向(図9では左右方向)に延在する水素ガス流路4Hを経由して図9の右側の水素ガス流路4Oに到達し、アノード1A-1~1A-5のオフガスは水素ガス流路4H、4Oを介して、バブラー3に戻る。
カソード1C-1~1C-5から水素経路42を介して水分離装置2に移動した高圧の水素ガスは、泡Hと矢印AHとして水分離装置2内を移動して、配管17を流れ、水分除去装置18(図4)に送られる。そして水分離装置2において高圧の水素ガスから分離された水は、水降下用パイプ26を流れてバブラー3に戻される。
バブラー3にはヒートチューブ5が設けられており、ヒートチューブ5については、図4、図7で前述した通りである。
図9において、水分離用ケーシング12にはコンディショニングポートCPが形成されており、電気化学式コンプレッサーのメンテナンスの際に、コンディショニングポートCPを介して電解質膜1B-1~1B-5に酸素を供給する様に構成されている。図9において、コンディショニングポートCPは水素経路42に連通している様にも見えるが、コンディショニングポートCPは水素経路42に連通してはおらず、図示しない流路を介して各セルのカソード1C-1~1C-5に連通している。
電気化学式コンプレッサーの運転前に、コンディショニングポートCPから酸素を供給し且つバブラー3から水素を供給することにより、電解質膜1B-1~1B-5において燃料電池と同様に 2H+O→2HO+電気 という反応が行われ、これにより電解質膜1B-1~1B-5の状態が向上する。
図示の実施形態で、起動時等においてセル1を加熱するためには、例えば図8(A)で示す様に、バブラー3を収容するバブラー用ケーシング13には加熱用のフィン6を設け、起動時には、ブロワ7により熱風をフィン6に噴射する(矢印H)。これにより、バブラー3が加熱され、バブラー3内の水も加熱され、昇温した水がヒートチューブ5を介してセル1を好適な温度まで加熱する。
一方、ブロワ7により冷風をバブラー用ケーシング13のフィン6に噴射すればバブラー3の温度が低下し、バブラー3内の水の温度も低下し、温度が低下した水がヒートチューブ5を介してセル1を好適な温度まで低下させる。
また、バブラー3を加熱する機構としては、図8(B)で示す様に、バブラー3を収容するバブラー用ケーシング13にセル起動用のヒーター8を設け、ヒーター8によりバブラー用のケーシング13を加熱しても良い。
一方、バブラー3を冷却する機構としては、バブラー冷却用のクーラー(図示せず)を用いることが出来る。
バブラー3を加熱或いは冷却するには、図示した以外の機構も選択することが可能である。
さらに、配管15(図4、図6)を介してバブラー3に供給される水素の温度を温調装置9(図4、図6)により調節することにより、バブラー3内の水の温度を調節して、セル1を好適な温度に調節することも出来る。
係る構成を採用可能であるため、図示の実施形態では、バブラー3の温度調整に高品質機器であるチラーを設ける必要がない。
従来技術ではバブラーとセルの間をチューブで接続している。そのため、当該チューブに特別な被覆をして断熱しないと結露を生じ、セルに悪影響を及ぼしてしまう。そして、特別な被覆で断熱されていないチューブでバブラーとセルを接続する場合には、バブラー、セル、その間の空間、チューブの温度をコントロールして、チューブにおける結露を防止しなければならない。
それに対して図示の実施形態では、ヒートチューブ5は、複数分散設置(固体伝熱)したヒートチューブ受熱部5A内が各セル1に接続(固体接続)した部分を有しており、バブラー3から供給される水素と水蒸気の混合気が流れる水素流路4はヒートチューブ5とは異なるレイアウト(経路)となっており、水素流路4を流れる気体(水素と水蒸気の混合気)はヒートチューブ5とは接触せず、水素流路4、ヒートチューブ5は結露しない。すなわち、ヒートチューブ5内を流れる冷媒である純水と、水素流路4を流れる気体は接触せず、熱交換することは無いため、水素流路4、ヒートチューブ5は結露しない。そのため、従来技術における結露防止の温度制御或いは特別な被覆による断熱が不要である。
そして、パブラやチラーの温度制御のため、高品質の機器を使用する必要も無い。
上述した構成を有する図示の実施形態で用いられる電気化学式水素圧縮機40は、レイアウトの自由度が高く、水素及び水を装置内で循環させるための特別な装置をセルスタック外部に設ける必要が無く、高価な設備を必要とせず、セルの温度管理も容易である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
1・・・セル
1A・・・アノード
1B・・・電解質膜(固体高分子電解質膜:PEM)
1C・・・カソード
2・・・水分離装置
3・・・バブラー
3A・・・気相領域
3B・・・液相領域
4・・・水素ガス流路
5・・・ヒートチューブ
5A・・・ヒートチューブ受熱部
5B・・・ヒートチューブ放熱部
11・・・セル用ケーシング(セル収容部外殻)
12・・・水分離装置用ケーシング
13・・・バブラー用ケーシング
40・・・電気化学式水素圧縮機
50・・・水素充填装置
60・・・燃料電池式フォークリフト(FCフォークリフト)

Claims (1)

  1. 燃料電池式フォークリフトに水素を充填する水素充填装置において、
    水素供給源から供給される水素を加圧する電気化学式水素圧縮機を備え、
    当該電気化学式水素圧縮機は、
    アノードとカソードにより電解質膜を挟み込んで構成されたセルを複数備え、複数のセルを収容するセル用ケーシングと、水分離装置と、水分離装置を収容する水分離装置用ケーシングと、バブラーと、バブラーを収容するバブラー用ケーシングを有し、
    セルを収容するセル用ケーシングと、水分離装置を収容する水分離装置用ケーシングと、バブラーを収容するバブラー用ケーシングは一体的に結合されていることを特徴とする水素充填装置。
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