JP7398281B2 - 高圧噴射撹拌工法及び噴射装置 - Google Patents
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Description
この工法においては、まず地上に地盤改良装置を設置し、その下方の地盤に向けてほぼ鉛直に所定深度までケーシングで削孔する。
ケーシングが所定深度に達したら、ケーシングに代えて二重管ロッド等の注入ロッドを削孔内に挿入し、その先端に装着された噴射装置(造成モニタ)の側面のノズルからセメント系固化材液を半径方向外方に向けて高圧で噴射すると共に、注入ロッドを回転させる。
この注入ロッドを所定の速度で引き上げることで、土壌内に円筒形状の改良体が鉛直方向に造成される。
前記ノズルは一つの場合もあるが、施工の効率化等を図る目的で、注入ロッドの先端に二つ以上のノズルが形成される場合もある。
したがって、一定面積の地盤を改良するに当たっては、一本当たりの改良体の造成径(口径)をできるだけ大きく形成することにより、より少ない本数で対象地盤をカバーできることとなり、作業工程の簡素化と作業時間の短縮化が実現できる。
新しい高圧噴射攪拌による地盤改良工法の開発/2.2 大型径改良インターネットURL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgs/8/2/8_179/_pdf検索日:令和1年10月14日
しかし実際は、切削性に優れるツインノズルを用いると、固化材液の噴流の流線形状がシャープに窄まる分、土壌の撹拌不足(粉砕不足)が生じやすく、多数のディスクを縦に重ねたような、外周部がギザギザで有効面積の狭い改良体が形成されるという問題が生じる。
これを回避するためには、改良体が固化する前に同じ位置に注入ロッドを再挿入し、二度目ないし三度目の施工を繰り返すか、噴流の回転速度を遅くして土壌の撹拌性を高めることが考えられるが、何れの場合も作業工程の複雑化や所要時間の拡大という問題が生じ、全体としての作業効率が低下する結果となる。
前記「回転」には、注入ロッドを所定の角度範囲で往復回動させ、固化材液の噴流を揺動させる場合も含まれる。
しかも、ノズル毎に別個の高圧ポンプが用意されるのではなく、第1のノズル及び第2のノズルに対し、共通の高圧ポンプを介して固化材液が供給されるため、その分コストの上昇を抑えることができる。
初めに、図1及び図2に従い、高圧噴射攪拌工法の一般的な手順について説明する。
まず、図1(a)に示すように、地表10に地盤改良装置12を設置し、ケーシング14の先端から高圧の削孔水を噴射しながら所定のストローク速度で下降させることにより、計画深度まで縦孔16を穿設する。
この施工を通じて、土壌と水、固化材の混合物である排泥24が、二重管ロッド18と縦孔16の隙間を経由して地上に圧送され、スライムピット22に貯められる。
第1のノズル36は、中央開口部36aと、これを取り巻くように形成された周縁開口部36bを備えている。中央開口部36aは、内管32と連通接続されている。また周縁開口部36bは、外管34と連通接続されている。
第2のノズル38も、中央開口部38aと、これを取り巻くように形成された周縁開口部38bを備えている。中央開口部38aは、内管32と連通接続されている。また周縁開口部38bは、外管34と連通接続されている。
この結果、第1のノズル36及び第2のノズル38からは、セメントと固化材液がエアーと共に勢いよく噴射される。
これに対し、第2のノズル38から噴射される噴流50は、図5(b)に示すように、より広がりのある流線形状となる。
以上の結果、第1のノズル36から噴射される固化材液の噴流48は、土壌の撹拌性では第2のノズル38に劣るものの、土壌の切削性に優れ、より長い到達距離が実現される。
一方、第2のノズル38から噴射される噴流50は、土壌の切削性や到達距離では第1のノズル36に劣るものの、土壌の粉砕性(攪拌性)に優れたものとなる。
まず図6(a)は、第1のノズル36から所定距離を隔てた位置に設置された圧力感知部によって捉えられた噴流48の断面圧力分布図であり、噴流48の断面52の中心付近に50MPaを超える高圧帯54が広く存在することが示されている。
これに対し図6(b)は、第2のノズル38から同距離を隔てた位置に設置された圧力感知部によって捉えられた噴流50の断面圧力分布図であり、噴流50の断面56の径が比較的大きくなる代わりに、50MPaを超える高圧帯54はほとんど存在しておらず、わずかに点在しているに過ぎないことが看取できる。
これに対し、第2のノズル38から噴射された攪拌性に優れた噴流50は、その到達距離においては第1のノズル36に比べて劣るものの、噴流50の流線形状が比較的広い範囲に拡がるため、第1のノズル36からの噴流48によって切削された土壌間を突き崩して固化材液と十分に攪拌混合させることができ、改良体の品質向上に貢献する。
この結果、図7に示すように、噴射装置30によって形成される改良体60は外周部分に凹凸の少ない円筒体となり、比較的大きな有効径を備えたものとなる。
因みに、ここでいう有効造成径とは、各改良体の外周部分に形成された凹凸を除いた部分の径を意味している(図7、図8参照)。
ここで「L」とは、標準造成法において、各ノズルが一回転する毎に上昇する長さを意味しており、100Lはノズルが100回転した時点での改良体の長さを表している。
本発明造成法の場合、標準造成法の場合と同様、各ノズルを1回転させた後にLの長さ分ノズルが上昇されるため、ノズルを100回転させることによって100Lの長さを達成することができる。
これに対し、長距離造成法の場合には、各ノズルから噴射される噴流の幅が狭い分、1回転で上昇させられる距離は「2/3L」と短くせざるを得ない。これはすなわち、改良体70を100Lの長さに形成するためには、標準造成法や本発明造成法に比べて回転数を多くせざるを得ないことを意味している。
図10の例では、標準造成法による場合で12本を要するところ、長距離造成法であれば8本で済み、本発明造成法では9本で済むことが示されている。
すなわち、長距離造成法の場合には改良体70の本数が8本で済むのに対し、本発明造成法の場合には改良体60の本数が9本必要となるが、長距離造成法は撹拌性に劣るため1回転当たりの時間が1.1倍必要となり、また1回転で上昇する距離(リード)も2/3と短くなるため、トータルの所要時間では本発明造成法に劣る結果となっている。
14 ケーシング
16 縦孔
18 二重管ロッド
30 噴射装置
32 内管
34 外管
36 第1のノズル
38 第2のノズル
40 二重管スイベル
42 エアコンプレッサ
44 高圧ポンプ
46 スラリープラント
48 第1のノズルの噴流
50 第2のノズルの噴流
52 第1のノズルの噴流の断面
54 高圧帯
56 第2のノズルの噴流の断面
60 改良体
Claims (2)
- 先端に噴射装置を装着した注入ロッドを改良対象地盤中に挿入し、当該注入ロッドを回転させながら引き上げる際に、前記噴射装置のノズルから固化材液を高圧で噴射し、この固化材液の高圧噴流によって土壌を切削すると共に、切削した土壌と固化材液とを攪拌混合し、地盤中に改良体を造成する工法であって、
前記噴射装置の側面における同一高さ位置に第1のノズル及び第2のノズルが形成されており、
前記第1のノズル及び第2のノズルに対して共通の高圧ポンプを介して固化材液が供給され、
前記第1のノズル及び第2のノズルの各開口径、開口形状、断面形状の少なくとも一つについて差異を設けることにより、第1のノズルから噴射される固化材液の噴流の流線形状が、第2のノズルから噴射される固化材液の噴流に比較して狭く絞り込まれ、その到達距離がより長くなるように設定されていることを特徴とする高圧噴射攪拌工法。 - 高圧噴射攪拌工法に用いる注入ロッドの先端に装着される噴射装置であって、
その側面における同一高さ位置に高圧の固化材液を噴射するための第1のノズル及び第2のノズルが設けられており、
前記第1のノズル及び第2のノズルに対して共通の高圧ポンプを介して固化材液が供給され、
前記第1のノズル及び第2のノズルの各開口径、開口形状、断面形状の少なくとも一つについて差異が設けられることにより、第1のノズルから噴射される固化材液の噴流の流線形状が、第2のノズルから噴射される固化材液の噴流に比較して狭く絞り込まれ、その到達距離がより長くなるように設定されていることを特徴とする噴射装置。
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