JP7397950B2 - 時計ムーブメント用のナチュラル脱進機、およびそのような脱進機を備える時計ムーブメント - Google Patents

時計ムーブメント用のナチュラル脱進機、およびそのような脱進機を備える時計ムーブメント Download PDF

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Description

本発明は、接線衝撃脱進機という名でも知られている、時計ムーブメント用のナチュラル脱進機に関する。特に本発明は、脱進機衝撃の解放が早すぎる場合に生じ得る損傷が防止された、ナチュラル脱進機に関する。
ナチュラル脱進機の原理は、19世紀初頭に、アブラアム=ルイ・ブレゲが発明したものである。ブレゲによるナチュラル脱進機の具体的な利点は、自由脱進機であるという点にある。即ち、テンプが、その振動運動における小区間においてのみ、脱進機の動作により干渉を受けるのである。ブレゲ式ナチュラル脱進機のさらなる利点として、各行程において、テンプに直接、接線方向に衝撃が加わるということが挙げられる。即ち、アンクルを介することなく、エネルギーが脱進機歯車からテンプへと直接伝達されるのである。さらに、エネルギー伝達は接線方向にのみ生じる。したがって、この脱進機の動作により発生する摩擦は限定的である。デテント脱進機と異なり、ナチュラル脱進機はテンプの振動を維持するその機能に、coup perdu(失われた衝撃)を伴わない。すなわち、各行程において、対称的に、より均一に同様の衝撃が与えられる。したがって、coup perduによる機械的エネルギー損失がない。したがって、これら全ての特性により、ナチュラル脱進機は最も効率的なものとなり得るのである。
一方で、ブレゲはその後、自身が発明したナチュラル脱進機には、いくつかの欠点があることを発見した。とりわけ言及するとすれば、第1歯車が衝撃を与える、あるいはそれが係止している状態では、輪列の張力が、最後の脱進機歯車にかかっていないという事実がある。したがって、ブレゲ式ナチュラル脱進機の構成に組み込まれる、輪列の各種遊び、および各種部品の製造品質により、最後の脱進機歯車が不適切に配置され、その結果、寄生音を伴う脱進機の誤作動が生じ得る。さらに、脱進機歯車が自由であるということは、その位置が不安定であることを意味する。したがって、このようなナチュラル脱進機の動作安全性は低い。
上述の欠点を乗り越える試みとして、元のブレゲ式ナチュラル脱進機に対して数多くの改良がおこなわれてきたことは言うまでもない。しかし、後続の時計メーカーの研鑽にも関わらず、課題は残る。そこで一部の時計職人は、2つの脱進機歯車を重ねることを提案した。この手法は当然、ムーブメントの厚み増に帰結してしまう。したがって、時計ケースにそのようなムーブメントを組み込むことは難しくなる。一方、別の時計メーカーは、ムーブメントの平面で2つの脱進機歯車の間にアンクルを配置することを提案した。この手法もまた、ムーブメントの平面での嵩張りが生じる。また、実際に使用されると、脱進機歯車を重ねる場合であれ、アンクルを2つの脱進機歯車の間に置く場合であれ、時計職人は、脱進機の各種部品にアクセスすることが困難であることを理解した。これは特に、第2脱進機歯車の歯における、アンクルの入り爪および出爪の挿入深さの調整について顕著である。さらに、ナチュラル脱進機が低振幅で動作する場合、例えば香箱入りゼンマイの構造の終端において、あるいは、時計職人が制御操作を実施し、そのために天輪を保持した場合に、振り座により保持された2つの衝撃爪石のいずれもが、脱進機歯車の一方または他方の歯の回転円周に係合していない状態で、衝撃の解放が生じ得る。一般的に、そのような誤作動は、2つの衝撃爪石のいずれもが、脱進機歯車の一方または他方の歯の回転円周に到達していない状態で、脱進機歯車の衝撃歯が、衝撃爪石に衝撃を与えずに、その前を通過してしまうと生じる。このような状況は、テンプが過度に低速で、低振幅で回転した場合、または時計職人がテンプを操作した場合に確認される。このような場合に、脱進機歯車は、脱進機の機能により保持されず、制御不能に回転し得る。その結果、良くても正確な計時機能が喪失し、望まぬ時計の進みが生じ、最悪の場合、輪列がその係止位置の一方または他方で加速した後に突如停止してしまい、輪列と脱進機の部品の劣化につながり得る。
本発明の目的は、早すぎる解放が防止された、時計ムーブメント用のナチュラル脱進機を提供することで、上述の問題さらにその他を解消することを目的とする。
この目的のため、本発明は、それぞれ、振り座に調整された天真上に天輪を備えるテンプの第1および第2行程から成る、一連の動作サイクルを実行する、時計ムーブメント用のナチュラル脱進機であって、少なくとも1つの第1歯を有する第1脱進機歯車組を備え、前記第1脱進機歯車組は、前記時計ムーブメントの輪列の歯車組により駆動されるように配置され、少なくとも1つの第2歯を有する第2脱進機歯車組を駆動し、前記第1および第2脱進機歯車組は、アンクル軸を中心に枢動可能なアンクルと協働するように配置される機構を形成し、前記振り座は、第2衝撃爪石を保持し、前記第2衝撃爪石を介して、前記第1行程時に前記第1脱進機歯車組から直接接線駆動衝撃を受け、第1衝撃爪石を保持し、前記第1衝撃爪石を介して、前記第2行程時に前記第2脱進機歯車組から直接接線駆動衝撃を受け、前記振り座はさらに、前記第1および第2脱進機歯車組の1つの前記歯と協働するように配置されることで、前記第1または第2脱進機歯車組が、それぞれ前記第2衝撃爪石、第1衝撃爪石に脱進した際に係止する、少なくとも1つの第1安全歯を保持する、ナチュラル脱進機に関する。
本発明の特別な実施形態によると、
前記振り座は、前記第1脱進機歯車組の前記歯と協働するように配置された第1安全歯と、前記第2脱進機歯車組の前記歯と協働するように配置された第2安全歯とを保持し、
前記第1および第2安全歯は、前記振り座と一体的に形成され、
前記第1および第2安全歯は、前記振り座に取り付けられる。
本発明はさらに、上述のタイプの脱進機を備える時計ムーブメントに関する。
これら特徴により、本発明は、衝撃の解放が早すぎることで生じ得る損傷から保護されたナチュラル脱進機を提供する。実際、振り座に、少なくとも1つの安全歯を設け、この安全歯を、対応する衝撃爪石が、脱進機歯車組の回転円周に係合する前に、脱進機歯車組の歯の同回転円周に係合するように配置するという教示により、本発明は、脱進機歯車組を、脱進機機能により保持されていない状態で保持可能とし、これら脱進機歯車組が制御不能に回転することが防止される。
次の添付図面を参照して単に図解するための非限定的な例として呈される本発明のナチュラル脱進機の一実施形態の以下の詳細な説明から、本発明のその他特徴および利点がより明らかになろう。
ナチュラル脱進機の概要図である。 サイクルの開始時点において、その第1終点に存在する図1のナチュラル脱進機の図である。 振り座がアンクルを枢動させようとするタイミングでの、第1行程時にその係止位置にあるナチュラル脱進機の図である。 第2歯車が、第1脱進機歯車組を介して、第2脱進機歯車組を駆動可能となり、第1脱進機歯車組がさらに、その衝撃歯を通じて、所謂直接接線駆動衝撃を振り座の衝撃爪石に加えるように、当該第2脱進機歯車組がその出爪との係合から解放されたタイニングでの、ナチュラル脱進機の図である。 アンクルの枢動の影響下で、第2脱進機歯車組が入り爪を押したことで、第2脱進機歯車組の枢動が再度中断されたタイミングでの、ナチュラル脱進機の図である。 ナチュラル脱進機の動作の第1行程の終わりとなる、振り座がその係止位置から完全に離脱し、第2終点にあるタイミングでの、ナチュラル脱進機の図である。 第2行程時に、振り座がその係止位置に戻り、再度アンクルを枢動させようとするタイミングでのナチュラル脱進機の図である。 第2脱進機歯車組がその入り爪との係合から解放され、第2歯車組が第1脱進機歯車組を介してこの第2脱進機歯車組を駆動可能となったタイミングでのナチュラル脱進機の図である。 第2脱進機歯車組が、第2衝撃爪石を駆動するその歯の1つを介して、振り座に、所謂直接接線駆動衝撃を与えるタイミングでの、ナチュラル脱進機の図である。 第2脱進機歯車組の枢動が、アンクルの枢動の影響下で、この第2脱進機歯車組が出爪に押し付けられることで、再度中断されたタイミングでの、ナチュラル脱進機の図である。 本発明のナチュラル脱進機の動作サイクルの終わりとなる、第1終点ヘ戻ったナチュラル脱進機の図である。 本発明に係る第1および第2安全歯が設けられた、振り座を有する図1のナチュラル脱進機の図である。 テンプが第2衝撃爪石を、第2脱進機歯車組の第2衝撃歯の回転円周に運ぶのに十分な速度有さない場合に、振り座の安全歯の1つが、第2脱進機歯車組の回転を阻止する、図3と同様の図である。
本発明は、一般的な発明のアイデアを超えるものである。これは、時計ムーブメント用のナチュラル脱進機の振り座に、少なくとも1つの安全歯を設け、この安全歯を、振り座が保持する、対応する衝撃爪石が、脱進機歯車組の歯の回転円周に係合する前に、脱進機歯車組の1つの歯に係合するように配置されるという教示で実現される。したがって、本発明は、脱進機機能により保持されていない状態での脱進機歯車組を保持可能とし、これら脱進機歯車組を制御不能に回転することを防止する。制御不能に回転すると、計時機能が失われ、望まない進みが生じる。さらには、最悪の場合、係止位置での加速の後、突如停止すらし得る。これは、機構の特定の部品の劣化に帰結し得る。
全体を、概略的参照符号1で示す、ナチュラル脱進機は、例えば第2歯車組2である、時計ムーブメントの輪列の歯車組により駆動されるように構成される。第2歯車組2は、図1に示す例では、第1脱進機歯車8から成る第1脱進機歯車組の天真6に固着される、ピニオン4と噛み合う。一方、第1脱進機歯車8は、図示の例では、天真14を中心に枢動する第2脱進機歯車12から成る、第2脱進機歯車組と、歯10を介して噛み合う。
ナチュラル脱進機1はさらに、天真20が振り座22に調整された、天輪18を備えるテンプ16を備える。この振り座22は、振り石24と、それぞれの役割は後述する第1および第2衝撃爪石26および28とを保持する。
最後に、ナチュラル脱進機1は、出爪34および入り爪36を保持し、アンクル軸32を中心に枢動する、アンクル30を備える。第2脱進機歯車12の歯38内へと食い込むこれら出爪34および入り爪36により、アンクル30は、この第2脱進機歯車12を交互に係止および解放可能である。アンクル30はさらに、針44を保持する、第1および第2ツメ42aおよび42bから形成されるフォーク40を備える。この針44は、振り座22と協働し、振り座22がその係止位置に近い、リフト角と称する期間外での、フォーク40の不慮の動きを防止する機能を有する。アンクル30は、第1および第2脱進機歯車8および12により形成される、機構の終端で、第2脱進機歯車12の後に配置される。より具体的には、図示の非限定的な実施形態によると、アンクル軸32により実現されるアンクル30の支点は、180°未満で、2本の直線により画定される角度α外である。2本の内の一方は、天輪18の天真20と、第1脱進機歯車8の天真6とを通過し、他方は、天輪18の天真20と、第2脱進機歯車12の天真14を通過する。したがって、ナチュラル脱進機1は、一般的に爪が上述の第1および第2脱進機歯車の間および上に配置された従来技術のナチュラル脱進機よりも嵩張らない。したがって、ナチュラル脱進機1は、動作を規制する時計ムーブメント内に容易に収容可能である。同様に第1および第2脱進機歯車8および12により形成された機構の終端でのアンクル30の配置により、特に、第2脱進機歯車12の歯38内へと出爪34および入り爪36がどこまで侵入するかを測定、及び調整することに関する、時計メーカーの介入が容易となる。ナチュラル脱進機1は、アンクル30の枢動変位を制限する第1および第2どてピン46aおよび46bにより完成する。
図示のナチュラル脱進機1の実施形態において、ナチュラル脱進機1に対し、その動作に必要なエネルギーを与える第2歯車組2は、反時計回り方向に回転するものとされる。その結果、第2歯車組2は、ピニオン4と、ピニオン4に天真6が固定された第1脱進機歯車8とを時計回り方向に回転させ、第2脱進機歯車組12を反時計回り方向に回転させるよう作用する。
ナチュラル脱進機1の動作サイクルは、2つの行程を含む。即ち、振り座22が、中間係止位置を通過して、第1終点から第2終点へと連続的に移動し、その後その第2終点から、再度中間係止位置を通過して、その第1終点へと至る。サイクルの開始時点(図2Aを参照)において、第2脱進機歯車12は、出爪34に押し付けられ、アンクル30が第2どてピン46bに押し付けられることで、ナチュラル脱進機1が係止されている。実際、第2脱進機歯車12の歯先を出爪34に押し付けることで形成される規制角は、アンクル30を第2どてピン46bに対して、反時計回り方向に枢動させるように作用することによる、アンクル30の係止解除に対する抵抗を呈する。この振り座22の行程時の自由箇所において、第2脱進機歯車12がアンクル30を第2どてピン46bに規制する機能は、スイスレバー脱進機のそれと同様である。振り座22はその後、反時計回り方向に回転することで、この第1終点から離脱する。
振り座22は、第1行程(図2Bを参照)におけるその移動時の所定のタイミングで、その中間係止位置に到達する。この位置に到達する直前、振り座22はその振り石24が、フォーク40の第2ツメ42bに当接し、アンクル30を時計回り方向に枢動させる。
アンクル30が時計回りに枢動すると、第2脱進機歯車12を出爪34に対するその係合から解放する効果が得られる。これにより、第2歯車組2が、第2脱進機歯車12を、第1脱進機歯車8を介して反時計回り方向に駆動可能になる(図2Cを参照)。
アンクル30の枢動の影響により、この第2脱進機歯車12が入り爪36に押し付けられると、再度第2脱進機歯車12の枢動が中断され、アンクル30が第1どてピン46aに押し付けられていることで(図2Dを参照)、この位置が維持される。実際、第2脱進機歯車12の歯先を入り爪36に押し付けることで形成された規制角は、アンクル30を第1どてピン46aに抗して時計回り方向に枢動するように作用することによる、アンクル30の係止解除に対し、抵抗を呈する。この振り座22の行程時の自由箇所において、第2脱進機歯車12がアンクル30を第1どてピン46aに規制する機能は、スイスレバー脱進機のそれと同様である。
なお、第1脱進機歯車8は反時計回り方向に枢動することで、第2脱進機歯車12を駆動するのと同時に、さらに第2衝撃爪石28を駆動する、衝撃歯と称する、その歯48の内の1つにより、振り座22に対し、駆動衝撃を加えることに留意されたい(図2Cを参照)。この駆動衝撃は、直接接線衝撃と称される。第1脱進機歯車8が振り座22に直接与えるもので、衝撃歯48の経路が、振り座22の第2衝撃爪石28の経路を接線的に捉えるためである。これにより、摩擦無しで、略適時な接触が可能になる。
したがって、振り座22は、完全にその係止位置から離れると、その第2終点まで移動する。これにより、ナチュラル脱進機1の動作の第1工程が終了する(図2Eを参照)。
ナチュラル脱進機1の動作の第2行程の開始時に、テンプのぜんまい(不図示)により戻った振り座22が、その振り石24が、フォーク40の第1ツメ42aに当接し、アンクル30を時計回り方向に枢動させる(図2Fを参照)まで、時計回り方向に回転し始める。
アンクル30の反時計回りの枢動は、第2脱進機歯車12をその入り爪36との係合から解放する効果がある。これにより、第2歯車組2が、第2脱進機歯車12を、第1脱進機歯車8を介して反時計回り方向に駆動可能になる(図2Gを参照)。
アンクル30の枢動の影響により、この第2脱進機歯車12が出爪34に押し付けられると、再度第2脱進機歯車12の枢動が中断され、アンクル30が第2どてピン46bに押し付けられていることで(図2Iを参照)、この位置が維持される。
なお、第1脱進機歯車8が反時計回り方向に枢動することで、第2脱進機歯車12を駆動するのと同時に、第2脱進機歯車12も、第1衝撃爪石26を駆動する、衝撃歯と称する、その歯48の内の一つにより、振り座22に対し、所謂、駆動接線駆動衝撃を加える(図2Hを参照)。この衝撃がこのように称されるのは、第2脱進機歯車12が振り座22に直接与えるもので、衝撃歯50の経路が、振り座22の第2衝撃爪石28の経路を接線的に捉えるためである。これにより、摩擦無しで、略適時な接触が可能になる。これにより、振り座22はその第1終点に戻る。これにより、ナチュラル脱進機1の動作サイクルが終了する(図2Jを参照)。
図3は、本発明に係る第1および第2安全歯52、54が設けられた、振り座22を有する図1のナチュラル脱進機の図である。上述したように、ナチュラル脱進機1は、それぞれ、振り座22に調整された天真20上に天輪18を備えるテンプ16による第1および第2行程から成る、一連の動作サイクルを実行する。ナチュラル脱進機1は、第1歯10を有し、第2歯車組2により駆動されるように配置された第1脱進機歯車8を備える。一方、第1脱進機歯車8は、第2歯38を有する第2脱進機歯車12を駆動する。これら第1および第2脱進機歯車8、12は、機構を形成し、その後に、そのアンクル軸32を中心に枢動できるアンクル30が配置される。振り座22は、第2衝撃爪石28を保持しているため、第1行程時に第1脱進機歯車8から直接接線駆動衝撃を受け、また第1衝撃爪石26を保持しているため、第2行程時に第2脱進機歯車12から直接接線駆動衝撃を受ける。図4に示すように、本発明によると、振り座22はさらに、少なくとも1つの第1安全歯52を保持し、これは、第1脱進機歯車8の歯10と協働することで、この第1脱進機歯車8を、第2衝撃爪石28がその回転円周にある前に回転する際に、係止するように配置される。したがって、振り座22に、少なくとも1つの安全歯52を設け、この安全歯52を、この衝撃爪石28が、脱進機歯車8の歯の回転円周に係合する前に、対応する脱進機歯車8の歯10の同回転円周に係合するように配置するという教示により、本発明は脱進機機能により保持されていない状態での脱進機歯車8を保持可能とし、これら脱進機歯車8、12を制御不能に回転することを防止する。本発明の特別な実施形態によると、図4に示す振り座22は、第1脱進機歯車8の歯10と協働するように配置された第1安全歯52以外に、第1衝撃爪石26が第1脱進機歯車組12の回転円周に係合する前に、第2脱進機歯車12の歯38に係合するように配置された第2安全歯54を保持する。この状況を示す図4では、安全歯54のみが、第2脱進機歯車12の歯38に係合し、これにより脱進機歯車8、12の保持を保証する。
本発明が上述の実施形態に限定されず、本特許出願に添付の請求項により定義された本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により、様々なその他変形および単純な変更が考えられ得る。特に、第1および/または第2安全歯52、54は、振り座22と一体的に形成されるか、この振り座22に取り付けられてもよい。本発明はさらに、上述の種類のナチュラル脱進機が設けられた時計ムーブメントに関する。本発明が、上述した特定の種類のナチュラル脱進機に限定されることはなく、その他種類のナチュラル脱進機に適用され得ることは言うまでもない。
1 ナチュラル脱進機
2 第2歯車組
4 ピニオン
6 天真
8 第1脱進機歯車
10 歯
12 第2脱進機歯車
14 天真
16 テンプ
18 天輪
20 天真
22 振り座
24 振り石
26 第1衝撃爪石
28 第2衝撃爪石
30 アンクル
32 アンクル軸
34 出爪
36 入り爪
38 歯
40 フォーク
42a、42b ツメ
44 針
46a 第1どてピン
46b 第2どてピン
48 衝撃歯
50 衝撃歯
52 第1安全歯
54 第2安全歯

Claims (5)

  1. それぞれ、振り座(22)に調整された天真(20)上の天輪(18)を備えたテンプ(16)の第1および第2行程から成る、一連の動作サイクルを実行する、時計ムーブメント用のナチュラル脱進機(1)であって、
    少なくとも1つの第1歯(10)を有する第1脱進機歯車組を備え、
    前記第1脱進機歯車組は、前記時計ムーブメントの輪列の歯車組により駆動されるように配置され、少なくとも1つの第2歯(38)を有する第2脱進機歯車組を駆動し、
    前記第1および第2脱進機歯車組は、アンクル軸(32)を中心に枢動可能なアンクル(30)と協働するように配置される機構を形成し、
    前記振り座(22)は、第2衝撃爪石(28)を保持し、前記第2衝撃爪石(28)を介して、前記第1行程時に前記第1脱進機歯車組から直接接線駆動衝撃を受け、第1衝撃爪石(26)を保持し、前記第1衝撃爪石(26)を介して、前記第2行程時に前記第2脱進機歯車組から直接接線駆動衝撃を受け、
    前記振り座(22)はさらに、前記第1および第2脱進機歯車組の1つの前記歯(10、38)と協働するように配置されることで、前記第1または第2脱進機歯車組が、それぞれ前記第2衝撃爪石(28)、第1衝撃爪石(26)に脱進した際に係止する、少なくとも1つの第1安全歯(52)を保持する、ナチュラル脱進機(1)。
  2. 前記振り座(22)は、前記第1脱進機歯車組の前記歯(10)と協働するように配置された第1安全歯(52)と、前記第2脱進機歯車組の前記歯(38)と協働するように配置された第2安全歯(54)とを保持することを特徴とする、請求項1に記載のナチュラル脱進機(1)。
  3. 前記第1および第2安全歯(52、54)は、前記振り座(22)と一体的に形成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のナチュラル脱進機(1)。
  4. 前記第1および第2安全歯(52、54)は、前記振り座(22)に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のナチュラル脱進機(1)。
  5. 請求項1に記載のナチュラル脱進機(1)を備える、時計ムーブメント。
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