JP7395068B1 - 固体絶縁母線 - Google Patents
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Abstract
Description
母線部分に関しては、ガス絶縁開閉装置据付時に隣り合う母線タンク同士を接続し、母線タンク内の母線導体を接続するガス母線方式が一般的である。近年は固体絶縁母線を用いることでガス絶縁開閉装置据付時の現地ガス処理作業を無くすガス絶縁開閉装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
本願に開示される固体絶縁母線は、母線導体及び母線導体の周囲を覆う絶縁層を有する母線と、母線を支持する絶縁アダプタと、絶縁アダプタの鉛直方向の上方に設けられた絶縁アダプタと接続される絶縁栓と、絶縁アダプタと外部とを接続するために絶縁アダプタの鉛直方向の下方に設けられたブッシングを備えた固体絶縁母線において、絶縁栓は、上埋金、下埋金と導電性の蓋部を備え、蓋部は絶縁アダプタの表面の接地遮蔽層と接触しており、上埋金と蓋部は一体構造であり、蓋部の上部に、絶縁栓を絶縁アダプタに締め付けるボルト部を設け、ブッシングの中心導体にねじ込まれたスタッドボルトに、めねじ加工された下埋金をねじ締結することで、絶縁栓が一定の面圧を確保した状態で固定され、ボルト部を締付けることで絶縁栓を絶縁アダプタに締め付ける力を管理できる構造としたものである。
実施の形態1は、母線導体及び母線導体の周囲を覆う絶縁層を有する母線と、母線を支持する絶縁アダプタと、絶縁アダプタの鉛直方向の上方に設けられた絶縁アダプタと接続される絶縁栓と、絶縁アダプタと外部とを接続するために絶縁アダプタの鉛直方向の下方に設けられたブッシングを備え、絶縁栓は、絶縁栓に埋め込まれた上埋金と一体構造の蓋部を備え、蓋部は絶縁アダプタの表面の接地遮蔽層と接触している固体絶縁母線に関するものである。
なお、各図において、同一部分もしくは相当部分は、同一符号で示し、重複する説明は、省略する。
実施の形態1の固体絶縁母線100は、主要構成要素として絶縁アダプタ1、母線2、ブッシング3、および絶縁栓4を備えている。
固体絶縁母線100は隣接する外部の盤の主回路を接続する母線2と、各盤と母線2の接続部を覆うように設けられた着脱可能な絶縁アダプタ1によって構成される。絶縁アダプタ1は、その外周全体に導電塗料等で構成される接地遮蔽層を有している。
絶縁栓4は、絶縁アダプタ1に挿入される円錐形状の絶縁物であり、エポキシ樹脂等の絶縁層とその絶縁層に埋め込まれる銅、アルミ等の埋金から構成される。
絶縁アダプタ1に対して絶縁栓4の蓋部は、盤の主回路と母線2との接続作業を行った後、電界の遮蔽、循環電流の接地、および異物混入の防止の役割を果たす。
固体絶縁母線100は、絶縁アダプタ1とそれらを繋ぐ絶縁物で覆われた導体に高電圧が印可されるため、この高電圧導体から各絶縁物表面に電荷が誘起される。このため、絶縁アダプタ1と各絶縁物表面を接地する必要がある。
絶縁アダプタ1は、絶縁層1a、接地遮蔽層1b、および導電層1cから構成される。
絶縁層1aは、シリコーンゴムまたはエチレンプロピレンゴム等の比較的柔らかく、かつ、弾性を有する絶縁物で構成され、充電部(母線導体2aおよび中心導体3a)と外部を絶縁する。
接地遮蔽層1bは、充電部から発生する電界を遮蔽し、導電層1cは充電部の電界を緩和する。
また、絶縁アダプタ1は鉛直方向に円錐部、円錐部と交差する水平方向に円筒部が設けられたT字型の形状をしている。
母線2は、盤の主回路を接続する母線導体2aの周囲をシリコーンゴムまたはエポキシ樹脂等の絶縁層2bで覆われている。
ブッシング3は、例えばガス絶縁開閉装置の母線接続用ブッシングであり、内部に盤の主回路に接続されている中心導体3aを備え、周囲をエポキシ樹脂等の絶縁層3bで覆われている。絶縁層3bは、先端側が細くなった円錐形状をしている。なお、ブッシング3はガス絶縁開閉装置のタンク(図示なし)にボルトで固定されている。
ブッシング3の中心導体3aには、スタッドボルト5と嵌合するめねじ加工がされており、ブッシング3の中心導体3aにスタッドボルト5をねじ込むことでスタッドボルト5が固定される。絶縁アダプタ1内部の導電層1cに固定用導体6を入れた状態で、絶縁アダプタ1を鉛直方向の上方よりスタッドボルト5、ブッシング3に挿入する。母線2の端部は、絶縁アダプタ1の水平方向の円筒部に挿入され、母線導体2aを固定用導体6ではさみスタッドボルト5とナット7で締付けることで、絶縁アダプタ1及び母線2が固定される。
固定用導体6は、母線2の母線導体2aとブッシング3の中心導体3aとの間の通電性能を担うため、銅またはアルミニウム等の導電性の高い金属が用いられる。また、締付ける際、固定用導体6と母線導体2aとが面を合わせて接触するよう支持導体8が使用される。
絶縁栓4は、エポキシ樹脂等の絶縁層4aに銅またはアルミニウム等の上埋金4b、下埋金4cが埋め込まれて成形される。
絶縁層4aは、先端側が細くなった円錐形状をしている。下埋金4cは、めねじ加工がされており、スタッドボルト5とねじ締結することで絶縁栓4が一定の面圧を確保した状態で固定される。
ブッシング3と絶縁栓4は、絶縁アダプタ1の鉛直方向の円錐部にそれぞれグリスを介してねじ込まれ、絶縁アダプタ1と一定の面圧を確保した状態で接続される。
すなわち、絶縁アダプタ1の上部開口部を塞ぐ導電性の蓋部4dを上埋金4bと一体構造としている。
実施の形態1の固体絶縁母線100では、蓋部4dと接地遮蔽層1bが通電性能を確保して接触しているため、接地線9A(接地遮蔽層1bに接続している)または接地線9B(蓋部4dに接続している)の内いずれか一方があれば固体絶縁母線100の表面の電荷を接地に流すことができる。
図2の固体絶縁母線100Aと実施の形態1の固体絶縁母線100との相異点は、絶縁栓4Aの構造である。
絶縁栓4Aは、絶縁層4a、上埋金4b、下埋金4c、および導電性キャップ10とから構成される。
導電性キャップ10は、盤主回路と母線2の接続作業後に電界の遮蔽、循環電流の接地、異物混入の防止を目的として、絶縁アダプタ1に取付けられる。
導電性キャップ10と絶縁アダプタ1とは、導電性キャップ10の内径を絶縁アダプタ1の外径よりも小さくし、導電性キャップ10を絶縁アダプタ1に被せることで、絶縁アダプタ1と導電性キャップ10との間に面圧を発生させて、接触を確実にする構造としている。
しかし、このようにゴムまたはプラスチック材料を使用すると、環境の温湿度の変動による劣化、長期間面圧を掛け続けることによるクリープ変形が発生し面圧が低下する問題がある。面圧が低下すると導電性キャップ10と絶縁アダプタ1との接触が不安定になり、絶縁栓4の導電性キャップ10が電気的に浮遊状態になり、導電性キャップ10の表面の電荷を接地に流せなくなる可能性がある。
図3に示す様に、母線2が絶縁アダプタ1の左右両側から接続される場合には、母線2挿入箇所が左右の両側に配置され、全体的に十字型の形状となる。
固定用導体6は、2つの母線2の母線導体2aとブッシング3の中心導体3aとの間の通電性能を担うため、銅またはアルミニウム等の導電性の高い金属が用いられる。
すなわち、絶縁栓4は、絶縁栓4に埋め込まれた上埋金4bと導電性の蓋部4dを備え、蓋部4dは絶縁アダプタ1の表面の接地遮蔽層1bと接触していてもよい。
したがって、実施の形態1の固体絶縁母線は、電界の遮蔽機能、電荷の接地機能、異物混入防止機能の長期劣化を防止することができる。
実施の形態2の固体絶縁母線は、組立性改善のため、絶縁栓の上部にボルト部を追加して、絶縁アダプタに締付ける力を管理できる構造としたものである。
実施の形態2の構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。なお、実施の形態1の固体絶縁母線100と区別するために、固体絶縁母線200、また絶縁栓4Bとしている。
絶縁栓4Bは、エポキシ樹脂等の絶縁層4aに銅またはアルミニウム等の上埋金4b、下埋金4cが埋め込まれて成形される。
絶縁層4aは、先端側が細くなった円錐形状をしている。下埋金4cは、めねじ加工がされており、スタッドボルト5とねじ締結することで絶縁栓4Bが一定の面圧を確保した状態で固定される。
ブッシング3と絶縁栓4Bは、絶縁アダプタ1の鉛直方向の円錐部にそれぞれグリスを介してねじ込まれ、絶縁アダプタ1と一定の面圧を確保した状態で接続される。
その他の構成は、実施の形態1の固体絶縁母線100と同様であるため説明は省略する。
したがって、実施の形態2の固体絶縁母線は、電界の遮蔽機能、電荷の接地機能、異物混入防止機能の長期劣化を防止することができる。さらに、絶縁アダプタに締付ける力を管理することができ、組立性の改善を図ることができる。
実施の形態3の固体絶縁母線は、絶縁栓の内の絶縁層、上埋金、および下埋金を絶縁アダプタに挿入後に蓋部を固定ボルトで取り付ける構造としたものである。
実施の形態3の構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。なお、実施の形態1の固体絶縁母線100と区別するために、固体絶縁母線300、また絶縁栓4Cとしている。
図5Bは、固定ボルト4hを用いて、蓋部4gを上埋金4fに固定する要領を示す。上埋金4fには、固定ボルト4hのねじ部と嵌合するめねじ加工がされている。
蓋部4gと固定ボルト4hとを除いた絶縁栓4Cの絶縁層4a、上埋金4f、下埋金4cを絶縁アダプタ1に挿入後に、蓋部4gを固定ボルト4hで上埋金4fに固定する。この結果、絶縁栓4Cの蓋部4gは、絶縁アダプタ1の接地遮蔽層1bに密着する。
ブッシング3と絶縁栓4Cは、絶縁アダプタ1の鉛直方向の円錐部にそれぞれグリスを介してねじ込まれ、絶縁アダプタ1と一定の面圧を確保した状態で接続される。
実施の形態1では絶縁栓4が回転しながら絶縁アダプタ1に挿入されるため、絶縁栓4Cの絶縁層4aと絶縁アダプタ1の絶縁層1aおよび接地遮蔽層1bの間にねじりが発生し、絶縁層1aおよび接地遮蔽層1bが摩耗する可能性がある。
実施の形態3では、上埋金4fにめねじ加工をすることで、絶縁栓4Cの絶縁層4a、上埋金4f、下埋金4cを絶縁アダプタ1に挿入後、固定ボルト4hで蓋部4gを上埋金4fに固定することができる。
その他の構成は、実施の形態1と同様であるため説明は省略する。
したがって、実施の形態3の固体絶縁母線は、電界の遮蔽機能、電荷の接地機能、異物混入防止機能の長期劣化を防止することができる。さらに、絶縁栓と絶縁アダプタの絶縁層とのねじりおよび摩耗を解消することができる。
実施の形態4の固体絶縁母線は、絶縁栓の内の絶縁層、上埋金、および下埋金を絶縁アダプタに挿入後に蓋部を形成する構造としたものである。
実施の形態4の構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。なお、実施の形態1の固体絶縁母線100と区別するために、固体絶縁母線400、また絶縁栓4Dとしている。
絶縁栓4D(蓋部4jを除く)は、エポキシ樹脂等の絶縁層4aに銅またはアルミニウム等の上埋金4b、下埋金4cが埋め込まれて成形される。
絶縁層4aは、先端側が細くなった円錐形状をしている。下埋金4cは、めねじ加工がされており、スタッドボルト5とねじ締結することで絶縁栓4Dが一定の面圧を確保した状態で固定される。
ブッシング3と絶縁栓4D(蓋部4jを除く)は、絶縁アダプタ1の鉛直方向の円錐部にそれぞれグリスを介してねじ込まれ、絶縁アダプタ1と一定の面圧を確保した状態で接続される。
絶縁栓4D(蓋部4jを除く)の絶縁層4a、上埋金4b、下埋金4cを絶縁アダプタ1に挿入後に、絶縁栓4Dの蓋部4jをスプレー等で導電性塗料を塗布して形成する。すなわち、絶縁栓4Dの鉛直方向の最上面に、蓋部4jが配置されている。
したがって、実施の形態4の固体絶縁母線400では、絶縁アダプタ1の接地遮蔽層1bおよび絶縁栓4Dの蓋部4jの全体が導電性塗料で覆われる構造となり、面圧による接続構造ではないため、面圧の低下による接触不良は発生しない。
その他の構成は、実施の形態1の固体絶縁母線100と同様であるため説明は省略する。
したがって、実施の形態4の固体絶縁母線は、電界の遮蔽機能、電荷の接地機能、異物混入防止機能の長期劣化を防止することができる。さらに、蓋部の面圧の低下による接触不良は発生しない効果がある。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組合せる場合が含まれるものとする。
Claims (2)
- 母線導体及び前記母線導体の周囲を覆う絶縁層を有する母線と、前記母線を支持する絶縁アダプタと、前記絶縁アダプタの鉛直方向の上方に設けられた前記絶縁アダプタと接続される絶縁栓と、前記絶縁アダプタと外部とを接続するために前記絶縁アダプタの鉛直方向の下方に設けられたブッシングを備えた固体絶縁母線において、
前記絶縁栓は、上埋金と導電性の蓋部を備え、前記蓋部は前記絶縁アダプタの表面の接地遮蔽層と接触しており、
前記上埋金と前記蓋部とを分離できる構造として、前記蓋部と前記上埋金とを締結する固定ボルトを設けた固体絶縁母線。 - 母線導体及び前記母線導体の周囲を覆う絶縁層を有する母線と、前記母線を支持する絶縁アダプタと、前記絶縁アダプタの鉛直方向の上方に設けられた前記絶縁アダプタと接続される絶縁栓と、前記絶縁アダプタと外部とを接続するために前記絶縁アダプタの鉛直方向の下方に設けられたブッシングを備えた固体絶縁母線において、
前記絶縁栓は、上埋金、下埋金と導電性の蓋部を備え、前記蓋部は前記絶縁アダプタの表面の接地遮蔽層と接触しており、
前記上埋金と前記蓋部は一体構造であり、
前記蓋部の上部に、前記絶縁栓を前記絶縁アダプタに締め付けるボルト部を設け、前記ブッシングの中心導体にねじ込まれたスタッドボルトに、めねじ加工された前記下埋金をねじ締結することで、前記絶縁栓が一定の面圧を確保した状態で固定され、前記ボルト部を締付けることで前記絶縁栓を前記絶縁アダプタに締め付ける力を管理できる構造とした固体絶縁母線。
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