JP7388975B2 - 振動試験装置、波形生成方法 - Google Patents
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Description
そして、過渡応答等で一時的に高い応答となることが総寿命にどれほどの影響を与えるかは、製品設計において重要な課題になると考えられる。
しかしながら、この試験では、最大応答が1回あれば応答スペクトルの条件を満たすため、稀に発生する大きな応答加速度によって条件を満たしてしまうことがある。
そして、制御部は、設定された応答スペクトルと包絡関数を使用して、正弦波合成法により振動の波形としてランダム波形を生成する。
制御部は、さらに、応答加速度または応答変位のスペクトルが応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍である、サブ応答スペクトルを使用し、ランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位がサブ応答スペクトルを超える回数をカウントし、カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるように、振動の波形を生成する。
そして、応答スペクトルと包絡関数を設定して、正弦波合成法によりランダム波形を生成する工程と、生成したランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位があらかじめ指定したサブ応答スペクトルを超える回数をカウントする工程と、カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるかを判定する工程と、判定に合格しない場合、乱数位相の基数を更新して、再度正弦波合成法によるランダム波形を生成する工程と、を有する。
また、サブ応答スペクトルとして、応答加速度または応答変位のスペクトルが応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍である、サブ応答スペクトルを使用する。
これにより、制御部が生成して加振機に付与する振動の波形を、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるように生成できるので、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができる。そのため、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
これにより、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるようなランダム波形を生成できるので、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができる。そのため、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
そして、制御部は、設定された応答スペクトルと包絡関数を使用して、正弦波合成法により振動の波形としてランダム波形を生成する。
制御部は、さらに、応答加速度または応答変位のスペクトルが応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍である、サブ応答スペクトルを使用し、ランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位がサブ応答スペクトルを超える回数をカウントし、カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるように、振動の波形を生成する。
そして、応答スペクトルと包絡関数を設定して、正弦波合成法によりランダム波形を生成する工程と、生成したランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位があらかじめ指定したサブ応答スペクトルを超える回数をカウントする工程と、カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるかを判定する工程と、判定に合格しない場合、乱数位相の基数を更新して、再度正弦波合成法によるランダム波形を生成する工程と、を有する。
また、サブ応答スペクトルとして、応答加速度または応答変位のスペクトルが応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍である、サブ応答スペクトルを使用する。
加振機は、少なくとも1つの方向に試験体を振動させる構成であり、試験体をその方向振動させるための駆動機構を備える。
加振機が試験体を振動させる方向は、上下方向、水平面内の方向(前後方向、左右方向、斜め方向)を問わず、振動させる方向が2つ以上の方向であってもよい。従って、本発明は、試験体を1方向に1次元で振動させる加振機を備えた構成、試験体を2方向に2次元で振動させる加振機を備えた構成、試験体を3方向に3次元で振動させる加振機を備えて構成、のいずれに適用することが可能である。
また、制御部は、試験体を振動させる振動の波形を生成して、生成した波形を加振機に付与する。
制御部は、例えば、制御回路、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(記憶装置)等を含み、コンピュータプログラムで動作する構成とすることが可能である。
そして、具体的には、目標応答スペクトルと包絡関数を入力して、正弦波合成法により、すなわち、多数の正弦波を重ね合わせることにより、ランダム波形からなる時刻歴波形を生成する。生成した時刻歴波形は、入力した目標応答スペクトルと合致するかどうか検定を行い、検定に合格した時刻歴波形を使用する。
検定に不合格の場合は、上記の正弦波を構成するフーリエ振幅スペクトルを修正して、時刻歴波形を生成する。
上記の所定の定数は、1未満の正の数であればよいが、1とはある程度の差があって、かつ1から離れ過ぎない数値とすることが好ましい。例えば、0.7~0.95(目標応答スペクトルの-30%~-5%)の範囲内、より好ましくは、0.8~0.9(目標応答スペクトルの-20%~-10%)の範囲内、とすることができる。
さらに、ランダム波形の所定の周波数帯毎に、設定したサブ応答スペクトルを応答加速度または応答変位が超える回数の範囲をあらかじめ設定し、この設定した回数の範囲を、目標サブ応答スペクトルの規定とする。この目標サブ応答スペクトルの規定は、例えば、上記の所定の周波数帯のそれぞれに対応する一定幅(例えば、0.5Hz幅)の周波数範囲と、その周波数範囲においてサブ応答スペクトルを超える回数とを対応させた、表形式によって定義することができる。
判定の結果、目標サブスペクトルの規定を満たす場合には、合格として、判定した波形を時刻歴波形として採用し、時刻歴波形を制御部から加振機に付与して、振動試験を行う。
判定の結果、目標サブスペクトルの規定を満たさない場合には、不合格として、乱数位相の基数を更新して、正弦波合成法によるランダム波形の生成を続ける。
この構成は、例えば、以下に述べるように実施することができる。
そして、検定済み時刻歴波形群の波形の数が、あらかじめ設定した所定の数(例えば、10波、20波、等)に達したときに、その所定の数の波形のあらかじめ設定された周波数帯について、応答加速度または応答変位のスペクトルがサブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散を算出する。
ここで、回数の平均と分散を算出する対象である、「あらかじめ設定された周波数帯」は、判定を行うためにサブ応答スペクトルを超える回数をカウントする「所定の周波数帯」の全体の周波数帯群と必ずしも完全に一致していなくても構わない。全体の周波数群と同一であっても、全体の周波数帯群の一部の周波数帯群であっても、全体の周波数帯群に含まれる特定の周波数帯を抽出しても、構わない。周波数帯の数を絞れば、計算を簡略化することができる。
まず、算出した回数の平均と分散から、このサブ応答スペクトルを超える回数の分布を推測する。例えば、正規分布や、その他の分布等の特定の分布に当てはめる。
そして、当てはめた特定の分布から、検定を満たす1つの時刻歴波形を作成したとき(1回の試行)に、その波形が判定に合格する確率、すなわちサブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まる確率、が求められる。
この求めた確率(1回の試行で時刻歴波形が判定に合格する確率)に基づいて、判定に合格する時刻歴波形が生成されるまでの試行数を推測して求めることができる。求めた確率の逆数でも大まかな推測が可能であるが、好ましくは、例えば、1回目の試行からその回目の試行までの間に判定に合格する確率が定めた値(例えば、70%、80%、90%、95%等の特定の数)以上となる試行の回数を「試行数」として推測する。
さらに、推測して求めた試行数に、1つの波形を作成して判定まで行うために計算機が要する時間(1回の試行に要する時間)を乗じて、判定に合格する波形が生成されるまでに必要な時間(判定に合格するまでの予想時間)を求める。
推測した時間が許容演算時間よりも長い場合には、継続判定に不合格として、入力する応答スペクトル(目標応答スペクトル)の修正、あるいは設定されたサブ応答スペクトル(目標サブ応答スペクトル)の修正を行う。
推測した時間が許容演算時間よりも短い場合には、継続判定に合格として、正弦波合成法による波形の生成を継続する。
許容演算時間との比較は、あらかじめ許容演算時間を入力しておいてコンピュータプログラムで比較を行う方法、推測した時間を表示して使用者が許容演算時間と比較を行う方法、のいずれの方法でも実行することができる。
目標応答スペクトルの修正は、定義する周波数の範囲、周波数方向の密度、等の修正を行う。
目標サブ応答スペクトルの修正は、着目する周波数の領域に絞って、サブ応答スペクトルを算出する周波数方向の密度を変更する、着目しない周波数の領域のサブ応答スペクトルを規定しない、等の修正を行う。
(1)継続判定を実施する際の検定済み時刻歴波形の個数(この時刻歴波形の個数毎に予想時間を算出する。)
(2)各スペクトルについて、修正を行う対象(上述した、定義する周波数の範囲、周波数方向の密度、等)
(3)(2)のそれぞれの修正を行う対象について、密度減、高周波側除外、低周波側除外等の修正方法と、一回の継続判定における変更の程度
これにより、制御部が生成して加振機に付与する振動の波形を、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるように生成できるので、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができる。そのため、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
これにより、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるようなランダム波形を生成できるので、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができる。そのため、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
そして、これらの応答波形に期待する特徴は、実際の地震動や稼働状態の計測結果に基づいて決定されるようにできる。
また、当初の応答スペクトルまたはサブ応答スペクトルの設定が適切でなかった場合でも、生成した波形があらかじめ設定した回数の範囲内に収まらず無限ループに陥ることを回避できる。
本発明の実施例を適用する振動試験装置の構成として、振動試験装置の一実施の形態の概略構成図(ブロック図)を、図1に示す。
図1に示す振動試験装置は、加振コイル10と、加振コイル10の動作を制御する制御装置110と、電力増幅装置130で構成されている。
加振コイル10のコイルは、コイルに入力された入力加速度波形13に対応して、応答加速度波形12で振動する。
また、制御装置110は、入力された目標応答スペクトル1から、演算により、時刻歴波形120を生成する。例えば、後述するフローチャートに示す工程を経て、時刻歴波形120を生成する。
そして、制御装置110は、生成した時刻歴波形120を、電力増幅装置130を通じて加振コイル10に送る。これにより、加振コイル10のコイルに、時刻歴波形120に基づく入力加速度波形13が入力される。
制御装置110は、例えば、制御回路、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(記憶装置)等を含んで構成され、コンピュータプログラムで動作する。
また、電力増幅装置130は、制御装置110で生成した時刻歴波形120を、加振コイル10に送る。
以下の説明では、図1に示した振動試験装置に、図4のフローチャートに示す従来の正弦波合成法を適用した場合の波形の生成方法を説明する。
図1の振動試験装置では、目標応答スペクトル1と、包絡関数(図示せず)を、それぞれ制御装置110に入力する。
これにより、ステップS104に示す、初期フーリエ振幅スペクトルが得られる。
また、ステップS105において、乱数を生成させることにより、ステップS106に示す、フーリエ位相スペクトルが得られる。
これにより、ステップS108に示す、一定振幅の時刻歴波形が生成する。
さらに、ステップS110において、包絡関数を導入した、一定振幅の時刻歴波形に、帰線補正を行う。
これにより、ステップS111に示す、時間方向に振幅が変化する時刻歴波形とする。
検定に不合格だった場合は、ステップS115に進み、フーリエ振幅スペクトルを修正した修正フーリエ振幅スペクトルを作成し、再度処理を実施する。具体的には、初期フーリエ振幅スペクトルまたはフーリエ振幅スペクトルに、目標応答スペクトルを結果応答スペクトルで除したものを掛け合わせて修正する。そして、ステップS107に進み、ステップS115で作成した修正フーリエ振幅スペクトルと、ステップS106のフーリエ位相スペクトルとを、フーリエ逆変換する。以降は、ステップS114の検定で合格するまで、同様の過程が繰り返される。
検定に合格だった場合は、ステップS116に進み、検定済み時刻歴波形が得られ、正弦波合成法による入力波形生成は終了する。
そして、取得した検定済み時刻歴波形を、図1に示した時刻歴波形120として、電力増幅装置130に入力する。
本実施例では、図2のフローチャートに示すように、図4のフローチャートに示した、従来の正弦波合成法による波形生成方法に対して、目標サブ応答スペクトルを、入力する内容として追加する。
以下の説明では、図1に示した振動試験装置に、図2のフローチャートに示す実施例1の方法を適用した場合の波形の生成方法を説明する。
なお、図2に示すフローチャートでは、ステップS4において、図4のフローチャートに示した、ステップS101~S115の各ステップと同様にして、正弦波合成法を行い、ステップS5において、図4に示したステップS116と同様に、検定済み時刻歴波形を得る。
ステップS2において入力する目標サブ応答スペクトルは、例えば、前述したように、一定幅の周波数範囲と、その周波数範囲においてサブ応答スペクトルを超える回数とを対応させた、表形式によって定義することができる。
そして、ステップS4において、ステップS1で入力した目標応答スペクトルと、ステップS3で生成した乱数を用いて、図4に示したステップS103~S115の各ステップと同様にして、正弦波合成法を行う。
これにより、ステップS5において、図4に示したステップS116と同様に、検定済み時刻歴波形を得る。
結果サブ応答スペクトルは、検定済み時刻歴波形から、目標サブ応答スペクトルの定義に対応した内容で抽出する。すなわち、例えば、結果サブ応答スペクトルを、一定幅の周波数範囲と、その周波数範囲においてサブ応答スペクトルを超える回数とを対応させた、表形式として抽出することができる。
結果サブ応答スペクトルが目標サブ応答スペクトルの規定を満たさない場合には、判定に不合格となり、ステップS3に戻り、乱数を更新して、正弦波合成法による検定済み時刻歴波形の生成を繰り返す。
結果サブ応答スペクトルが目標サブ応答スペクトルの規定を満たす場合には、判定に合格となり、ステップS9に進み、このときの検定済み時刻歴波形を、時刻歴波形として、波形生成を終了する。
そして、図1の振動試験装置では、ステップS9で得られた時刻歴波形を、図1に示す時刻歴波形120として、制御装置110から電力増幅装置130を通じて、加振コイル10に入力する。
これにより、取得した時刻歴波形が、目標サブ応答スペクトルの規定を満たし、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まる。従って、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
また、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができることから、試験体の固有振動数によらず、同じ時間内に同じ回数だけ塑性レベルを超えて応答するような応答波形や、最大応答加速度に近い応答をする回数が周波数に比例する応答波形、等を作成可能となる。
実施例1では、ステップS7の判定を、判定に合格する時刻歴波形が得られるまで繰り返すため、目標サブ応答スペクトルの規定を満たす波形が得られない場合に、無限ループに陥ってしまう。
無限ループとなった場合には、使用者の判断によって波形生成を停止させ、波形生成を続行する場合には、使用者の判断によって例えば目標応答スペクトル等の入力を変更しなければならない。
これに対して、本実施例では、目的とする時刻歴波形が得られるまでに必要となる予想時間を、それまでの波形生成の過程を基に算出する機能を備えることにより、無限ループに陥ることを解決する。
具体的には、目標応答スペクトルに対する検定に合格した、検定済み時刻歴波形群が上記の定めた波形の個数に達した時点で、検定済み時刻歴波形群から「結果サブ応答スペクトル特徴」を取得する。結果サブ応答スペクトルとしては、例えば、その個数の波形における、目標サブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散を算出する。
そして、これら回数の平均と分散を基にして、目標サブ応答スペクトルの規定(規定された回数)を満たす(判定に合格する)波形を得るのに必要となる試行数を、統計的手法等を用いて推測する。例えば、回数の平均と分散とから回数の分布を推測し、正規分布或いはその他の分布等の特定の分布に当てはめる。そして、当てはめた回数の分布から、1回の試行において目標サブ応答スペクトルの規定を満たす(判定に合格する)確率を求める。
さらに、求めた確率に基づいて、判定に合格する時刻歴波形が生成されるまでの試行数を推測して求める。例えば、前述したように、1回目の試行からその回目の試行までの間に判定に合格する確率が定めた値以上となる試行の回数を「試行数」として推測する。
次に、推測した試行数に、1つの波形を作成して判定まで行うために計算機が要する時間(1回の試行に要する時間)を乗じて、目標サブ応答スペクトルの規定を満たし判定に合格するまでの予想時間(判定合格予想時間)を求める。
継続判定の結果、許容演算時間内に波形が生成できない可能性が高い場合には、プログラム内で、目標応答スペクトルまたは目標サブ応答スペクトルを修正して、希望する時間内で波形が得られる設定を探索する。目標を修正した後に、波形生成を再実行する。
目標応答スペクトルについては、定義する周波数範囲等を修正する。
目標サブ応答スペクトルについては、着目する周波数の領域に絞って、サブ応答スペクトルを算出する周波数方向の密度を変更したり、着目しない周波数の領域のサブ応答スペクトルを規定しないようにしたりする、等の修正を行う。
目標応答スペクトルまたは目標サブ応答スペクトルの修正は、いずれか一方のみを修正するか、両方を修正する。好ましくは、修正の効果を考慮して、一方又は両方について必要な修正を行う。
図3に示すフローチャートでは、以下に説明するようにして、波形を生成する。
図1の振動試験装置では、目標応答スペクトル1、目標サブ応答スペクトル(図示せず)、許容演算時間(図示せず)、包絡関数(図示せず)を、それぞれ制御装置110に入力する。
また、ステップS18において、図2の実施例1のステップS8と同様に、検定済み時刻歴波形群を得る。
これらの各工程については、詳細な説明は省略する。
結果サブ応答スペクトル特徴は、前述したように、検定済み時刻歴波形群が、定めた波形の個数(例えば、10波)に達した時点で、取得する。
そして、例えば、前述したように、結果サブ応答スペクトル特徴として、その個数の波形における、目標サブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散を算出する。
例えば、結果サブ応答スペクトル特徴として算出した、目標サブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散に基づき、前述したように、判定に合格する波形を得るのに必要となる試行数を、統計的手法等を用いて推測する。例えば、回数の分布を推測し、1回の試行において判定に合格する確率を求め、求めた確率に基づいて、判定に合格する波形を得るのに必要となる試行数を推測する。さらに、推測した試行数に、1回の試行に要する時間を乗じて、判定合格予想時間を求める。
一方、ステップS23の継続判定において、許容演算時間内に波形形成が可能であって波形生成が継続可能と判定された場合には、ステップS13に進み、乱数を再生成して更新し、正弦波合成法による波形生成を継続する。
そして、図1の振動試験装置では、ステップS19で得られた時刻歴波形を、図1に示す時刻歴波形120として、制御装置110から電力増幅装置130を通して加振コイル10に入力する。
これにより、実施例1と同様に、取得した時刻歴波形が、目標サブ応答スペクトルの規定を満たし、サブ応答スペクトルを超える回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まる。従って、試験体の塑性レベルを超える応答の回数を制御することが可能になることから、低サイクル疲労による損傷度を試験実施前におおよそ把握することが可能になる。
また、最大応答加速度や最大応答変位に近い応答をする回数をある程度確保することができることから、試験体の固有振動数によらず、同じ時間内に同じ回数だけ塑性レベルを超えて応答するような応答波形や、最大応答加速度に近い応答をする回数が周波数に比例する応答波形、等を作成可能となる。
これにより、修正した目標応答スペクトルは、修正する前の前回の目標応答スペクトルよりも、演算時間が短くなるため、判定に合格する時刻歴波形を、許容演算時間内に取得できる可能性を向上できる。
従って、目標サブ応答スペクトルの規定を満たす波形が得られない場合に、生成した波形がステップS17の判定において合格しないことにより無限ループに陥ることを、回避できる。
上述の各実施例では、図1に示した振動試験装置、すなわち、試験体を上下方向の1方向振動させる構成の振動試験装置に適用する場合で説明した。
本発明は、試験体を2方向に振動させる、すなわち2次元で振動させる、加振機を備えた振動試験装置や、3方向に振動させる、すなわち3次元で振動させる、加振機を備えた振動試験装置に適用することも可能である。それらの場合には、それぞれの方向に振動させるための波形を生成して、試験体をそれぞれの方向に振動させる駆動機構に、駆動機構を制御する制御部から生成した波形を付与する。
本発明において、試験体を振動させる加振機の構成は、図1に示した加振コイル10に限定されず、入力した波形で試験体を振動させることが可能であれば、その他の構成を採用することも可能である。
これに対して、例えば、実施例1の構成では、演算時間を予測しないので、目標サブ応答スペクトルの規定を満たす波形が得られない場合、無限ループに陥る可能性がある。
そこで、実施例1の構成において、もし無限ループに陥ってしまった場合には、時刻歴波形の生成がいつまでも終了しないので、使用者が波形の生成を強制終了させる。その後、目標を修正して、波形の生成を再開する。
Claims (4)
- 試験体を振動させる加振機と、
前記加振機に加える振動の波形を生成して、生成した前記振動の波形を前記加振機に付与する制御部と、を備えた振動試験装置であって、
前記制御部は、設定された応答スペクトルと包絡関数を使用して、正弦波合成法により前記振動の波形としてランダム波形を生成し、応答加速度または応答変位のスペクトルが前記応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍である、サブ応答スペクトルを使用し、前記ランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位が前記サブ応答スペクトルを超える回数をカウントし、カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるように、前記振動の波形を生成する
振動試験装置。 - 前記制御部は、前記応答スペクトルの規定を満たす前記ランダム波形を所定の数生成した後に、前記所定の数の前記ランダム波形のうちのあらかじめ設定された周波数帯について、応答加速度または応答変位のスペクトルが前記サブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散を算出し、算出した前記回数の平均と分散から、前記あらかじめ設定した回数の範囲内に収まる前記振動の波形が生成されるまでに必要な時間を推測し、推測した時間が許容演算時間よりも長い場合には、前記応答スペクトルまたは前記サブ応答スペクトルの修正を行う
請求項1に記載の振動試験装置。 - 試験体を振動させる加振機と、前記加振機に加える振動の波形を生成して、生成した前記振動の波形を前記加振機に付与する制御部と、を備えた振動試験装置に対して、前記振動の波形を生成する波形生成方法であって、
応答スペクトルと包絡関数を設定して、正弦波合成法によりランダム波形を生成する工程と、
生成した前記ランダム波形の所定の周波数帯毎に、応答加速度または応答変位があらかじめ指定したサブ応答スペクトルを超える回数をカウントする工程と、
カウントされた回数があらかじめ設定した回数の範囲内に収まるかを判定する工程と、
判定に合格しない場合、乱数位相の基数を更新して、再度正弦波合成法によるランダム波形を生成する工程と、を有し、
前記サブ応答スペクトルとして、応答加速度または応答変位のスペクトルが前記応答スペクトルの1未満の正の数である所定の定数倍であるスペクトルを使用する
波形生成方法。 - 前記応答スペクトルの規定を満たす前記ランダム波形を所定の数生成した後に、前記所定の数の前記ランダム波形のうちのあらかじめ設定された周波数帯について、応答加速度または応答変位のスペクトルが前記サブ応答スペクトルを超える回数の平均と分散を算出する工程と、算出した前記回数の平均と分散から、前記あらかじめ設定した回数の範囲内に収まる前記振動の波形が生成されるまでに必要な時間を推測する工程と、推測した時間が許容演算時間よりも長い場合には、前記応答スペクトルまたは前記サブ応答スペクトルの修正を行う工程と、をさらに有する
請求項3に記載の波形生成方法。
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