以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、調剤システム100を示す概略図である。図2は、実施形態に係る薬剤分包装置1の概略構成図である。図3は、薬剤分包装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、調剤システム100は、薬剤分包装置1と、計量装置80と、を備える。
薬剤分包装置1は、薬剤を供給して分包する。薬剤分包装置1は、薬剤を供給するために、1又は複数の薬剤をそれぞれ量り取ることができる。本明細書において、薬剤の量り取りとは、薬剤容器等に収容された薬剤を必要な分だけ計量し取り出すことをいう。薬剤分包装置1は、薬剤として散剤(粉状、細粒状、又は顆粒状の薬剤)を量り取る。薬剤分包装置1は、散剤に加えて錠剤を分包可能であってもよい。
計量装置80は、薬剤分包装置1の外部に設置されている。計量装置80は、薬剤分包装置1に代わって薬剤を量り取ることができる。薬剤分包装置1及び計量装置80は、例えば、薬局又は病院に設置される。
薬剤分包装置1が行う薬剤の供給及び分包は、オペレータにより入力された調剤データに基づいて行われる。
薬剤分包装置1は、薬剤の分包のみを行うこともできる。この場合、薬剤の量り取りには、計量装置80等が用いられる。計量装置80は、オペレータが薬瓶等から取り出した薬剤を計量する。薬剤分包装置1は、薬剤の量り取りのみを行うこともできる。この場合、量り取られた薬剤は、分包されずに薬剤分包装置1の外部に出される。薬剤分包装置1は、量り取った薬剤を容器に収容し、当該容器をオペレータが取り出すことができるようにする。
以下の説明では、薬剤分包装置1が薬剤を分包することを第1動作と称し、薬剤分包装置1が薬剤の量り取りを行ってその後に分包をしないことを第2動作と称する。第1動作において、薬剤分包装置1が量り取りを行なってもよく、薬剤分包装置1は量り取りを行わなくてもよい。薬剤分包装置1の外部で計量装置80等が量り取った(計量した)薬剤を、薬剤分包装置1が分包する場合も、第1動作に含まれる。
薬剤分包装置1は、図2に示すように、第1保管部11と、第2保管部12と、第3保管部13と、を備える。また、薬剤分包装置1は、図2及び図3に示すように、搬送部14と、薬剤容器15と、第1情報処理部16と、量り取り部30と、第2情報処理部19と、第3情報処理部20と、表示部21と、操作部22と、薬剤排出部32と、分包部33と、清掃部38と、制御部50とを備える。
第1保管部11は、薬剤が収容されていない複数の中間容器91を保管することができる。中間容器91は、供給及び分包の対象である薬剤を収容して薬剤分包装置1の各部に搬送するために用意されている。中間容器91の構成については後述する。
第1保管部11は、例えば、複数の中間容器91を待機させるための複数の支持台を有し、それぞれの支持台で各中間容器91の底面を支持する構成とすることができる。ただし、中間容器91を実質的に保管できる限り、第1保管部11の構成は任意に変更することができる。
第2保管部12は、薬剤が収容されていない複数の外部薬剤容器92を保管することができる。外部薬剤容器92は、オペレータが薬剤分包装置1の外部で用意した薬剤を収容し、その薬剤の分包のために薬剤分包装置1に導入される容器として用いられる。外部薬剤容器92は、薬剤分包装置1ではなく図1の計量装置80等が計量を行う場合に、計量装置80で計量される薬剤を収容し、計量された薬剤を収容した状態で薬剤分包装置1内へ導入するために、薬剤分包装置1において用意されている。外部薬剤容器92の構成については後述する。
第3保管部13は、薬剤が収容されていない複数の搬出容器93を保管することができる。搬出容器93は、薬剤分包装置1が量り取り後に分包をしない場合に、量り取られた薬剤を収容して薬剤分包装置1から他の薬剤分包装置95へ薬剤を搬出するために、薬剤分包装置1において用意されている。
第2保管部12及び第3保管部13は、例えば第1保管部11と同様に、外部薬剤容器92又は搬出容器93の底面を支持する構成とすることができる。
中間容器91について説明する。図4は、中間容器91(外部薬剤容器92)の斜視図である。中間容器91は、図4に示すように、収容部91aと、排出経路部91bと、開閉部91cと、情報表示部(表示部)91dと、情報記録部(情報記録部材)91eと、を備える。
収容部91aは、中間容器91が実質的に薬剤を収容する部分である。収容部91aは、上方を開放させた中空状に形成されている。
排出経路部91bは、収容部91aの内部空間と外部空間とを接続する細い通路として構成されている。排出経路部91bは、収容部91aの端部に連通するように形成されている。
開閉部91cは、シャッター状の可動部材として構成されている。開閉部91cは、収容部91aと排出経路部91bとの接続部分を開閉することができる。
情報表示部91dは、調剤データ及び調剤に関する情報を表示可能なディスプレイである。情報表示部91dは、例えば、マイクロカプセル式又は電気泳動式の電子ペーパとして構成することができる。
情報記録部91eは、例えば不揮発性のメモリを有しており、容器固有情報を記録することができる。容器固有情報には、容器の識別情報が含まれる。なお、容器固有情報には、容器の種類を示す情報(中間容器91、外部薬剤容器92、搬出容器93)を含むようにしてもよい。情報記録部91eは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグとして構成することができる。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の中間容器91が複数用意されている。なお、互いに収容部91aの大きさが異なる複数種類の中間容器91が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤の量り取り等、量り取りを行う様々な状況に対応することができる。
外部薬剤容器92について説明する。外部薬剤容器92は、図4に示すように、中間容器91と実質的に同様の構成である。外部薬剤容器92は、収容部92aと、排出経路部92bと、開閉部92cと、情報表示部92dと、情報記録部92eと、を備える。
収容部92a、排出経路部92b、開閉部92c、情報表示部92d、及び情報記録部92eは、中間容器91における収容部91a、排出経路部91b、開閉部91c、情報表示部91d、及び情報記録部91eと同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の外部薬剤容器92が複数用意されている。なお、互いに収容部92aの大きさが異なる複数種類の外部薬剤容器92が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤の外部計量等、外部計量を行う様々な状況に対応することができる。
搬出容器93について説明する。図5は、搬出容器93の斜視図である。搬出容器93は、図5に示すように、中間容器91から排出経路部91b及び開閉部91cを省略したものに相当する。搬出容器93は、収容部93aと、情報表示部93dと、情報記録部93eと、を備える。
収容部93a、情報表示部93d、及び情報記録部93eは、中間容器91における収容部91a、情報表示部91d、及び情報記録部91eと同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の搬出容器93が複数用意されている。なお、互いに収容部93aの大きさが異なる複数種類の搬出容器93が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤の量り取り等、量り取りを行う様々な状況に対応することができる。
搬送部14は、中間容器91、外部薬剤容器92、及び搬出容器93を搬送することができる。搬送部14は、図2に示すように、第1搬送部14aと、第2搬送部14bと、を備える。
第1搬送部14a及び第2搬送部14bのそれぞれの動作は、制御部50により制御される。第1搬送部14aと第2搬送部14bとは、搬送を行う範囲が異なるだけであり、搬送を行う構成は実質的に同じであるため、以下では第1搬送部14aを例に挙げて説明する。
第1搬送部14aは、中間容器91、外部薬剤容器92、又は搬出容器93を保持するための容器保持部を備えている。容器保持部は、薬剤分包装置1に定められた経路に沿って移動可能に構成されている。第1搬送部14aは、中間容器91、外部薬剤容器92、又は搬出容器93を容器保持部に保持した状態で、容器保持部を移動させることで、中間容器91、外部薬剤容器92、又は搬出容器93を搬送する。
このように、本実施形態では、中間容器91、外部薬剤容器92及び搬出容器93を、共通の第1搬送部14aによって搬送する構成となっている。従って、3種類の容器のそれぞれにおいて、第1搬送部14a(容器保持部)に取り付けられる部分を同一の構成とすると、第1搬送部14aの構成を簡素化できるために好ましい。
中間容器91、外部薬剤容器92及び搬出容器93は、構成及び機能の点で互いに類似している。従って、中間容器91は、第1動作に用いられる外部薬剤容器92としても使用可能である。また、中間容器91は、第2動作に用いられる搬出容器93としても使用可能である。外部薬剤容器92は、第1動作に用いられる中間容器91としても使用可能である。また、外部薬剤容器92は、第2動作に用いられる搬出容器93としても使用することもできる。容器の種類を減らすことで、構成の簡素化を実現することができる。
図2には、第1搬送部14aの経路が破線で示され、第2搬送部14bの経路が2点鎖線で示されている。第1搬送部14aと第2搬送部14bは、個別の駆動源を備えており、それぞれが独立して動作可能である。従って、薬剤分包装置1は、第1搬送部14aによる容器の搬送と、第2搬送部14bによる容器の搬送と、を同時に並行して行うことができる。
搬送部14が容器を保持する構成は様々であり、例えば、伸縮可能又は回転可能なアームの先端に容器保持部を設け、アームを伸縮させたり回転させたりして容器保持部の位置を変更する構成としてもよい。また例えば、容器をチャックで掴んだり、容器を吸引して保持したりしてもよい。
薬剤容器15は、量り取りの対象となる薬剤を収容する。それぞれの薬剤容器15には、薬剤を容器外に排出して取り出すための開口が形成されている。
原則として、複数の薬剤容器15には、それぞれ異なる種類の薬剤が収容される。ただし、例えば使用頻度が高い薬剤に関しては、同一の薬剤が複数の薬剤容器15に収容されてもよい。
薬剤分包装置1は、薬剤のほかに賦形剤を取り扱うこともできる。複数の薬剤容器15のうち何れかの容器には、賦形剤が収容されてもよい。薬剤分包装置1は、薬剤(散剤)の賦形が必要な場合には、賦形剤を薬剤容器15から取り出す。この場合は、薬剤と同様に、賦形剤の供給を行うことができる。複数の薬剤容器15の何れかの容器には、清掃材が収容されてもよい。この場合、薬剤と同様に清掃材の供給を行うことができる。清掃材が薬剤容器15から取り出されて、薬剤分包装置1の薬剤経路に接触しながら分包されることにより、清掃材が接触する薬剤経路が清掃される。清掃材には、賦形剤が用いられてもよい。賦形剤および/または清掃材は、乳糖であってもよい。
薬剤容器15の外面には、情報記録部71が設けられている。情報記録部71は、例えばRFIDタグとすることができる。情報記録部71には、薬剤容器15に収容された薬剤に関する情報(収容薬剤情報)を記憶することができる。収容薬剤情報には、薬剤名、薬剤容器15内の薬剤残量、薬剤の使用期限、前回補充日、量り取り部30の作動条件等が含まれる。薬剤分包装置1は、情報記録部71を読み取ることにより、収容薬剤情報を得ることができる。なお、情報記録部71に薬剤容器15の識別情報のみを記憶させておき、これを薬剤分包装置1で読み取ると、前述の収容薬剤情報が後述の記憶部61から呼び出されるようにしてもよい。
第1情報処理部16は、情報記録部71から収容薬剤情報を読み取ることができる。第1情報処理部16は、例えばRFIDリーダライタとして構成することができる。第1情報処理部16は、薬剤分包装置1の任意の位置に設けられている。
量り取り部30は、薬剤取出部17と、計量部18と、を備える。薬剤取出部17は、薬剤容器15から薬剤を取り出す。計量部18は、薬剤容器15から取り出された薬剤を計量する。
薬剤取出部17は、複数の薬剤容器15を着脱可能に保持する。薬剤取出部17は、保持された薬剤容器15を所定位置に移動させ、当該所定位置において、薬剤容器15に収容されている薬剤を、開口を介して下方に取り出す。薬剤取出部17の動作は、第1情報処理部16が読み取った収容薬剤情報に基づいて、制御部50により制御される。
計量部18は、載置台18aと、検出部18bと、を備える。載置台18aは、薬剤取出部17の上記の所定位置の下方に配置されている。載置台18aには、中間容器91又は搬出容器93を載置することができる。第1搬送部14aは、容器保持部に保持した中間容器91又は搬出容器93を搬送して、載置台18aに置いたり、載置台18aから取り去ったりすることができる。
検出部18bは、載置台18aに中間容器91又は搬出容器93が載せられた状態で、容器の内部の薬剤を計量することができる。言い換えれば、計量部18は電子天秤として構成されており、載置台18aは電子天秤における計量皿の部分に相当する。検出部18bは、例えば電磁式又はロードセル式の荷重センサとして構成することができる。
量り取り部30は、薬剤情報が示す薬剤のそれぞれについて全服用分を量り取るように、制御部50により制御される。制御部50は、薬剤情報が示す薬剤が収容された薬剤容器15を、薬剤取出部17により載置台18aの真上に適宜移動させる。その後、制御部50は、薬剤容器15から薬剤を下方に取り出し、取り出された薬剤を載置台18aに載置された中間容器91又は搬出容器93に収容するとともに、収容された薬剤について検出部18bにより計量を行う。
第2情報処理部19は、計量部18にセットされた、中間容器91の情報記録部91e又は搬出容器93の情報記録部93eに記憶された、容器固有情報を取得する。また、第2情報処理部19は、計量部18にセットされた、中間容器91の情報表示部91d又は搬出容器93の情報表示部93dの、表示内容を変更することができる。第2情報処理部19は、例えばRFIDリーダライタとして構成されている。
第3情報処理部20は、第1保管部11に保管された中間容器91の情報記録部91eに記憶された容器固有情報を取得する。第3情報処理部20による容器固有情報の取得は、第2保管部12に保管された外部薬剤容器92、又は第3保管部13に保管された搬出容器93に対しても同様に行われる。
第3情報処理部20は、中間容器91又は搬出容器93に対して表示内容の変更を行うようにしてもよい。この場合、第2情報処理部19は、計量部18にセットされた中間容器91又は搬出容器93に対して、計量結果のみに関して表示内容の変更を行うようにしてもよい。
表示部21は、薬剤分包装置1に関する様々な情報を表示可能な表示画面を有する装置である。表示部21としては、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等とすることが考えられる。表示部21は、薬剤分包装置1の適宜の位置に配置される。
操作部22は、オペレータが薬剤分包装置1に対して各種の指示を行うために操作される。操作部22は、薬剤分包装置1の適宜の位置(例えば、表示部21の近傍)に配置される。操作部22はキーボードを含んで構成されていてもよく、表示部21がタッチパネルであって操作部22は表示部21に組み込まれた構成とすることもできる。
薬剤排出部32には、第2搬送部14bにより搬送された中間容器91又は外部薬剤容器92がセットされる。薬剤排出部32は、セットされた中間容器91又は外部薬剤容器92内の薬剤を排出させることができる。薬剤排出部32には、中間容器91又は外部薬剤容器92を手動でセットすることも可能である。
薬剤排出部32は、容器取付部32aを備える。容器取付部32aは、中間容器91又は外部薬剤容器92を取付可能に構成されている。容器取付部32aへの中間容器91又は外部薬剤容器92の取付けは、第2搬送部14bによって自動で、または手動で、行われる。
容器取付部32aは、容器の開閉部91c,92cを閉鎖状態から開放状態に移動させる作動部を備える。容器取付部32aに取り付けられる前は、収容部91a,92aと排出経路部91b,92bとの接続部分が、閉鎖した状態となっている、容器取付部32aに容器が取り付けられる際に、作動部が開閉部91c,92cを移動させる。これにより、収容部91a,92aと排出経路部91b,92bとの接続部分が開放され、容器からの薬剤の排出が許容された状態になる。
薬剤排出部32は、振動装置32bを備える。振動装置32bは、振動を発生させるモータ等を含んで構成されている。振動装置32bは制御部50によって制御される。振動装置32bは、制御部50からの制御信号に応じて振動を発生させる。振動装置32bが発生させた振動は、容器取付部32aに取り付けられた中間容器91又は外部薬剤容器92に伝達される。
分包部33は、量り取り部30によって量り取られた薬剤を分包することができるように構成されている。分包部33は、量り取り部30によって量り取られた薬剤を一服用分ごとに分包するように、制御部50により制御される。分包部33は、分配部34と、包装部35と、を備える。
分配部34は、薬剤排出部32によって容器から排出された薬剤を、一服用分ずつに分配する。分配部34は、分配皿34aと、送り部34bと、を備える。分配皿34aは、鉛直方向の軸を中心として回転可能に構成されている。薬剤排出部32は、容器から薬剤を排出させて、排出させた薬剤を回転する分配皿34a上に供給する。送り部34bは、分配皿34aに供給された薬剤を所定の量ずつ下方へ落下させる。
薬剤容器15から中間容器91に薬剤を取り出して計量する量り取り部30と、中間容器91を搬送する搬送部14と、中間容器91から薬剤を排出させて分配皿34aに供給する薬剤排出部32とは、実施形態の供給部を構成している。分包部33は、供給部によって供給された薬剤を分包する。分配部34は、供給部によって供給された薬剤を分配する。
図2に示すように、薬剤分包装置1は、複数(具体的には、2つ)の分配部34を備えている。それぞれの分配部34は、複数(具体的には、2つ)の薬剤排出部32を備えている。2つの薬剤排出部32のいずれか一方または両方から、1つの分配皿34a上に薬剤が供給される。2つの薬剤排出部32から、同じ種類の薬剤が1つの分配皿34aに供給されてもよく、異なる種類の薬剤が1つの分配皿34aに供給されてもよく、薬剤と賦形剤とが1つの分配皿34aに供給されてもよい。
包装部35は、分配部34によって分配された薬剤を、包装材40によって包装する。包装部35は、ホッパ35aと、ヒータ35bと、を備える。ホッパ35aは、容器から分配皿34aに供給され分配皿34aから落下する薬剤を受ける。ホッパ35aは、分配皿34aから包装材40へ向けて落下する薬剤が通過する、薬剤経路を形成している。包装部35は、分配部34で一服用分ずつに分配された薬剤をホッパ35aを通じて包装材40に落下させる動作と、ヒータ35bにより包装材40を熱で溶着する動作とを繰り返す。これらの動作の繰り返しにより、一服用分ずつの薬剤が包装材40に封入される。薬剤が入れられた包装材40は、薬剤分包装置1の外部又は内部の貯留部へ送り出される。
供給待機部23は、薬剤の量り取りを行う量り取り部30と、薬剤の排出を行う薬剤排出部32との中間に設けられている。薬剤を収容する中間容器91又は外部薬剤容器92を、必要に応じて供給待機部23に置いて、待機させることができる。
清掃部38は、中間容器91又は外部薬剤容器92の清掃を行うことができる。清掃は、例えば、中間容器91又は外部薬剤容器92の内面への、圧縮空気の吹き付け、吸引、ブラシなどによる払拭、などの任意の手段で行なわれてもよい。清掃を行うことにより、容器の内面に残留した薬剤が除去される。
清掃部38の近傍には、清掃待機部37が設けられている。清掃される前の中間容器91又は外部薬剤容器92を、必要に応じて清掃待機部37に置いて、待機させることができる。
供給待機部23及び清掃待機部37は、例えば、容器を載せることが可能な板状の部材として構成することができるが、これに限定されない。
制御部50は、薬剤分包装置1に入力された調剤データに基づいて、薬剤分包装置1の各部(具体的には、搬送部14、量り取り部30、薬剤排出部32及び分包部33等)を制御することができる。制御部50は、薬剤分包装置1の一部として構成されてもよく、他の薬剤分包装置95等の他の調剤機器を制御する調剤機器制御装置の一部として構成してもよい。
詳細に説明すると、制御部50は、公知のコンピュータとして構成されており、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、フラッシュメモリ又はハードディスク等の記憶装置と、外部と通信するための入出力部と、を備える。記憶装置には、各種のプログラムや設定値が記憶されている。演算装置は、各種プログラム等を記憶装置から読み出し、薬剤分包装置1の各部に設けられたセンサの検出値及び記憶装置に記憶された各種の設定値等に基づいて、薬剤分包装置1の各部の動作を制御する。制御部50は、上記したソフトウェアとハードウェアとを協働させて、図3に示す記憶部61、量り取り選択部62、及び案内部65における処理をし、その処理の結果としての指令信号の出力をすることにより、薬剤分包装置1を動作させることができる。
記憶部61は、前述のように外部から入力された調剤データを記憶することができる。また、記憶部61は、第1情報処理部16で読み取った薬剤容器15の収容薬剤情報を、薬剤分包装置1内に配置された薬剤容器15の配置情報として記憶する。また、記憶部61は、薬剤分包装置1を動作するために必要な様々な設定値を記憶することができる。たとえば記憶部61は、薬剤分包装置1が分配部34による一回の分配動作で分配できる分配数の最大値(以下、最大可能分配数と称する)を記憶することができる。
また、記憶部61は、薬剤についての固有情報である薬剤マスタ情報等の各種データを記憶する。このマスタ情報には、例えば、薬剤コード、薬剤名、JANコード(又はRSS)、薬瓶(薬剤容器)コード、区分(剤形:散薬、錠剤、外用薬等)、比重、薬剤種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬等)、配合変化、注意事項、常用量、同時服用禁止情報等が含まれる。
また、記憶部61は、容器固有情報(容器の識別番号、容器の種類等)を容器マスタ情報として記憶することができる。
量り取り選択部62は、調剤データに含まれる薬剤のうち少なくともいずれか1つが、分包部33の能力の事情で分包できない場合に、当該薬剤のうち量り取り部30で量り取りができる薬剤について、量り取り部30による量り取り動作を実行するか否かを、オペレータに選択させることができる。選択を実現する構成は様々であるが、例えば、量り取り選択部62が選択肢(例えば、実行する/しないのボタン)を表示部21に表示させ、操作部22を用いてオペレータに選択させてもよい。
案内部65は、オペレータに案内(指示)を行うことができる。案内部65は、例えば、調剤データに含まれる薬剤のうち少なくとも何れかが分包部33の能力の事情で分包できない場合に、量り取り部30によって量り取られた薬剤を、他の薬剤分包装置95を使用して分包すべきことを、オペレータに知らせることができる。また、案内部65は、薬剤容器15から中間容器91に供給された薬剤が調剤データに基づく全服用分の量に対して不足する場合に、分包部33による分包動作を実行可能にするための対応として、外部計量対応を行うことが可能であることをオペレータに知らせることができる。
外部計量対応とは、オペレータが薬剤分包装置1の外部で薬剤を所定量(全服用分)収容する外部薬剤容器92を用意し、その外部薬剤容器92を薬剤分包装置1に導入する対応である。このとき、補充対応又は薬剤容器導入対応を行うことが可能であることをオペレータに知らせることもできる。補充対応とは、薬剤容器15に薬剤を補充する対応である。薬剤容器導入対応とは、必要な量の薬剤が入っている薬剤容器15を薬剤分包装置1に導入する対応である。
案内部65がオペレータへの案内を実現する方法は様々であるが、例えば、表示部21に適宜のメッセージを表示させることが考えられる。案内は、例えば、音声、又は通知ランプ等により行われてもよい。
次に、図2を参照して、薬剤分包装置1に設定される様々な位置について説明する。これらの位置は何れも、搬送部14による容器の搬送元及び搬送先となり得る。
第1待機位置P1は、第1保管部11において、薬剤を収容していない中間容器91が待機可能な位置である。第1待機位置P1は、第1保管部11で複数の中間容器91が保管されている保管位置ということもできる。
第2待機位置P2は、第2保管部12において、薬剤を収容していない外部薬剤容器92が待機可能な位置である。第2待機位置P2は、第2保管部12で複数の外部薬剤容器92が保管されている保管位置ということもできる。
第3待機位置P3は、第3保管部13において、薬剤を収容していない搬出容器93が待機可能な位置である。第3待機位置P3は、第3保管部13で複数の搬出容器93が保管されている保管位置ということもできる。
計量位置P4は、計量部18が中間容器91又は搬出容器93に収容される薬剤の計量を行う位置である。
第1取出位置P5は、中間容器91又は搬出容器93を薬剤分包装置1の外部に取り出すための位置である。たとえば、量り取り部30において薬剤容器15から中間容器91又は搬出容器93へ薬剤を量り取る場合であって、薬剤容器15に収容されている薬剤の量が不足している等のために取り出し量(計測量)が目標量である全服用分の量に対して不足したときに、目標量に満たない薬剤を収容する中間容器91又は搬出容器93を当該薬剤分包装置1の外部に取り出すために、第1取出位置P5が用いられる。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第1取出部25を介して行われる。
本実施形態では、第1取出位置P5は計量位置P4と異なる位置に設定されている。これに限られず、たとえば計量位置P4が第1取出位置P5を兼ねる設定としてもよい。
第2取出位置P6は、薬剤分包装置1ではなく計量装置80を用いて薬剤の計量を行う場合に、薬剤を収容する前の外部薬剤容器92を薬剤分包装置1の外部に取り出すための位置である。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第2取出部26を介して行われる。第2取出位置P6は、計量装置80で計量された薬剤を収容した外部薬剤容器92又は中間容器91を薬剤分包装置1に導入するためにセットする位置(導入位置)を兼ねてもよい。
第3取出位置P7は、薬剤分包装置1の外部に搬出容器93を取り出すための位置である。たとえば、薬剤分包装置1で薬剤の量り取りを行うが分包は行わない場合に、量り取り部30で量り取られた薬剤を収容する搬出容器93を薬剤分包装置1の外部に取り出すために、第3取出位置P7が用いられる。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第3取出部27を介して行われる。
供給待機位置P8は、量り取り部30で薬剤の量り取りが完了した後、分包部33で容器から薬剤を排出して分配皿34aに供給する前に、中間容器91を待機させておく位置である。供給待機位置P8は、計量装置80で計量された薬剤を収容した外部薬剤容器92又は中間容器91を、薬剤分包装置1に導入するためにセットする位置(導入位置)でもある。供給待機位置P8は、前述の供給待機部23に設定されている。供給待機位置P8は、第1取出位置P5、第2取出位置P6、又は第3取出位置P7を兼ねてもよい。
供給位置P9は、薬剤排出部32において分配皿34aへの薬剤の供給が行われる際の中間容器91又は外部薬剤容器92の位置である。第2搬送部14bは、供給待機位置P8から供給位置P9へ、中間容器91を搬送する。薬剤分包装置1の外部から、薬剤を収容する外部薬剤容器92又は中間容器91を薬剤分包装置1に導入する場合には、その容器の導入位置が供給位置P9に設定されて、オペレータが薬剤排出部32に容器を直接セットする設定としてもよい。前述のように、薬剤分包装置1は複数(具体的には、4つ)の薬剤排出部32を備えており、4つの薬剤排出部32に供給位置P9が割り当てられている。
清掃待機位置P10は、中間容器91又は外部薬剤容器92が、清掃部38における清掃を待機する位置である。清掃待機位置P10は、前述の清掃待機部37に設定されている。
清掃位置P11は、中間容器91又は外部薬剤容器92が清掃部38によって清掃される位置である。
本実施形態において、供給待機位置P8及び清掃待機位置P10は、搬送部14による容器の搬送の中継地点として機能する。
具体的に説明すると、第1搬送部14aは、上記の第1待機位置P1、第2待機位置P2、第3待機位置P3、計量位置P4、第1取出位置P5、第2取出位置P6、第3取出位置P7、供給待機位置P8、及び清掃待機位置P10の間で、容器を搬送可能に構成されている。一方、第2搬送部14bは、供給待機位置P8、供給位置P9及び清掃待機位置P10の間で、容器を搬送可能に構成されている。
従って、制御部50が第1搬送部14aにより中間容器91等を供給待機位置P8まで搬送した後、搬送された中間容器91等を適宜のタイミングで供給待機位置P8から第2搬送部14bにより搬送することができる。また、第2搬送部14bにより中間容器91等を清掃待機位置P10まで搬送した後、搬送された中間容器91等を適宜のタイミングで清掃待機位置P10から第1搬送部14aにより搬送することができる。
本実施形態では、第2保管部12に保管された外部薬剤容器92を、第1搬送部14aにより第2取出位置P6まで搬送して薬剤分包装置1の外部に取り出すことができるように構成したが、第2保管部12に保管された外部薬剤容器92をオペレータが取り出すことができるようにしてもよい。この場合、第2保管部12は、薬剤分包装置1の外部に設けられていてもよい。
次に、計量装置80について説明する。図6は、計量装置80の概略構成図である。計量装置80は、図6に示すように、制御部81と、計量部82と、情報処理部83と、表示部84と、を備える。計量部82、情報処理部83、及び表示部84は、それぞれ制御部81に電気的に接続されている。計量装置80は、外部薬剤容器92に収容する薬剤を計量することができる。中間容器91が外部計量のために用いられる場合は、計量装置80は、中間容器91に収容する薬剤を計量する。
制御部81は、薬剤分包装置1の制御部50と通信可能であり、薬剤分包装置1の記憶部61に記憶された調剤データを受信することができる。計量装置80は、計量(目標量に対して不足する薬剤の計量等)が完了すると、計量結果を薬剤分包装置1に送信する。
計量部82は、薬剤分包装置1の計量部18と実質的に同様の構成であるので、説明を省略する。計量装置80は、オペレータが適宜の薬瓶等から秤量皿等に取り出した薬剤を計量する。なお、計量装置80は、外部薬剤容器92に薬剤を収容する状態で外部薬剤容器92ごと薬剤の計量を行ってもよい。
情報処理部83は、計量部82の近傍に配置されている。情報処理部83は、バーコードリーダと、RFIDリーダライタと、を有する。バーコードリーダは、上記の薬瓶等に設けられたバーコードを読み取ることができる。RFIDリーダライタは、外部薬剤容器92の情報記録部92eの内容を読み取ることができる。
情報処理部83は、薬瓶等のバーコード及び外部薬剤容器92の情報記録部92eのそれぞれに記憶されている情報を読み取る処理を行う。具体的には、情報処理部83は、薬瓶等に設けられたバーコードから、当該薬瓶等の薬剤特定情報を読み取り、制御部81により当該薬瓶等に収容された薬剤を特定する。また、情報処理部83は、外部薬剤容器92の情報記録部92eに記憶されている容器固有情報を読み取る。計量装置80は、読み取った容器固有情報に対応する調剤データを、薬剤分包装置1の制御部50から取得する。その際、計量装置80は、計量対象となる薬剤の情報(薬剤の目標量を含む)も取得する。
そして、制御部81は、薬剤特定情報に基づいて特定した薬剤が、薬剤分包装置1の制御部50から取得した調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤のうち何れの薬剤に該当するかを特定する。制御部81は、薬剤特定情報に基づいて特定した薬剤が、調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤の何れかに一致すると判断した場合、一致した薬剤情報が示す薬剤を計量対象として選択する。計量対象として選択された薬剤の計量を終えると、計量装置80は、薬剤分包装置1の制御部50から取得した調剤データとともに、薬剤の計測量を含む計量結果を、制御部81を介して、薬剤分包装置1の制御部50に送信する。薬剤分包装置1の制御部50は、計量結果を受信し、記憶部61に記憶される調剤データを更新する。
情報処理部83は、外部薬剤容器92の情報表示部92dの表示内容を変更することができる。計量装置80での薬剤の計量を終えると、情報処理部83は、外部薬剤容器92の情報表示部92dに計測量(計量結果)を表示させる。また、調剤に関する情報として、目標量に相当する量の薬剤を収容しており、薬剤分包装置1に導入する準備ができた旨を、情報表示部92dに表示させるようにしてもよい。
表示部84は、文字等を表示することが可能な表示画面を有する装置である。表示部84は、計量装置80の適宜の位置に配置されている。表示部84は、例えば、タッチパネル付きのディスプレイとして構成することができる。表示部84には、例えば、薬剤の名称及び薬剤の目標量、計測量等を表示することができる。また、表示部84には、薬瓶等の薬剤と量り取るべき薬剤とが一致しているか否かに関して、制御部81が判断した結果を表示することができる。これにより、薬瓶等の薬剤が調剤データに基づく必要な薬剤に間違いないことを確認することができる。
次に、薬剤分包装置1を使用して行う処理について説明する。薬剤分包装置1を使用して行う処理の準備として、薬剤分包装置1への薬剤情報の登録が行われる。具体的には、薬剤分包装置1によって分包される薬剤について、その薬剤に関する情報が、薬剤の種類毎に記憶部61に記憶される。表示部50が薬剤情報の登録画面を表示部21に表示し、オペレータがこの登録画面に対して操作部22を用いて薬剤情報を入力してもよい。または、外部の機器から通信により薬剤分包装置1に薬剤情報を入力してもよい。記憶部61は、中間容器91に薬剤を収容可能な最大量(以下、最大可能収容量と称する)を、薬剤の種類毎に、記憶する。
図7は、薬剤の供給および包装の処理の流れを示すフロー図である。まず、薬剤分包装置1への調剤データの入力が行われる(ステップS101)。制御部50は、調剤データの入力画面を表示部21に表示する。調剤データには、たとえば服用する1又は複数の薬剤名、剤形(散剤/錠剤/カプセル剤/液剤/外用薬)、服用法、服用量等が含まれる。服用法とは、1日の服用回数、服用時点、服用日数であり、服用量とは、全服用分の量(例えば重量)、一日服用分の量(重量)、一服用分の量(重量)等である。調剤データにはまた、服用者、目標量、計量結果(計測量又は目標量に対する不足量、余剰量)、各調剤データを識別する識別情報(調剤データ番号等)が含まれる。
オペレータは、この入力画面に対して、操作部22を用いて調剤データを入力する。オペレータにより入力された調剤データは、制御部50の記憶部61に記憶される。オペレータが手動で調剤データを入力する構成に加えて、外部の調剤機器制御装置等の情報処理装置から通信により薬剤分包装置1に調剤データを入力してもよい。
調剤データの入力が完了すると、分包開始指令が行われる(ステップS102)。オペレータは、操作部22を用いて、制御部50に対して分包開始指令を入力する。一方、入力された調剤データについて薬剤の量り取りのみを行うことが指定されていれば、オペレータは、操作部22を用いて、制御部50に対して量り取り開始指令を入力する。
分包開始指令が入力されると、指定された量の薬剤の分配動作を行うに当たり、分配動作を複数回に分けて行う必要があるか否かが判断される(ステップS103)。この判断は、調剤データに含まれる分配対象の薬剤が分配部34によって分配される必要分配数に基づいて行われる。次に、指定された量の薬剤の量り取り動作を行うに当たり、量り取り動作を複数回に分けて行う必要があるか否かが判断される(ステップS104)。この判断は、調剤データに含まれる量り取り対象の薬剤の全量に基づいて、行われる。これらの判断の詳細については後述する。
次に、薬剤容器15からの薬剤の量り取りが実行される(ステップS105)。ステップS105の処理において、必要な薬剤容器15が薬剤分包装置1に導入されていない場合には、前述の薬剤容器導入対応をすることで、量り取りを継続できる。または、薬剤容器導入対応に替えて、外部計量対応をすることも可能である。
続いて、量り取られた薬剤を収容する容器から分配皿34aへの薬剤の供給が実行され(ステップS106)、分包部における薬剤の分包が実行される(ステップS107)。ステップS107の処理においては、分配部34における薬剤の分配と、包装部35における薬剤の包装とが実行される。
ステップS107において薬剤の包装が実行された後に、すべての薬剤の包装が完了したか否かが判断される(ステップS108)。分配動作を複数回に分けて行う必要がある場合において、第1回目の分配動作により分配された薬剤の包装が行われた時点では、第2回目以降の分配動作により分配される薬剤の包装は未だ行われておらず、すべての分配対象薬剤の包装が完了していないことになる(ステップS108においてNO)。この場合、ステップS105の量り取り、ステップS106の供給、およびステップS107の分包が、再度実行される。
このとき、第1回目の包装が完了する前に第2回目の量り取りを開始してもよい。複数の分配皿34aのうちの1つが第1回目の分配動作で使用されておらず使用可能な状態にあれば、第1回目の包装が完了する前に、使用可能な分配皿34aに対して第2回目の供給動作を行ってもよい。
すべての薬剤の包装が完了したと判断されると(ステップS108においてYES)、薬剤を排出した後の容器および薬剤経路(ホッパ35a)の清掃が行われる(ステップS109)。そして、処理を終了する(END)。
以下、分配動作を複数回に分ける処理の詳細について説明する。図8は、分配対象薬剤の必要分配数に基づいて量り取りおよび分配動作を複数回に分けて行う処理の流れを示すフロー図である。
ここで、本明細書において用いられる用語を定義する。
「必要分配数」とは、薬剤分包装置1に入力された調剤データに含まれる薬剤の、全服用分を分包するために必要とされる分包数に基づく、分配部34によって分配されるべき必要数をいう。
「日毎服用回数」とは、薬剤分包装置1が分包した薬剤を服用する、患者などの服用者が、その薬剤を1日当たり服用する回数をいう。たとえば、服用者が朝夕の食後に薬剤を服用するのであれば、日毎服用回数は2である。服用者が3回の食事時および就寝前に薬剤を服用するのであれば、日毎服用回数は4である。
「全服用日数」とは、服用者が薬剤を服用する全日数をいう。したがって、上記の必要分配数は、日毎服用回数と全服用日数との積である。
「最大可能分配数」とは、上述の通り、薬剤分包装置1が分配部34による一回の分配動作で分配できる分配数の最大値をいう。最大可能分配数は、分配部34の能力として定められる、薬剤分包装置1に固有の情報である。分配部34においては、分配皿34aに供給された薬剤を、送り部34bが、一服用分ずつ下方の包装部35(ホッパ35a)へ落下させる。回転する分配皿34aの一回転分の360°の角度を分割した所定の角度内にある薬剤を、送り部34bが分配皿34aから掻き取ってホッパ35aへ落下させることで、薬剤が一服用分ずつに分配される。一服用分ずつとして分配皿34aからホッパ35aへ投入される薬剤の量のばらつきを十分に小さくできる程度に、分配皿34aに供給された薬剤を分配する回数を分けることができる最大数が、最大可能分配数である。
「一包量」とは、調剤データに含まれるある薬剤について、分包袋の一包当たり分包される薬剤の重量をいう。
「1日量」とは、調剤データに含まれるある薬剤について、1日当たり分包される薬剤の重量をいう。したがって1日量は、一包量と日毎服用回数との積である。
「全量」とは、調剤データに含まれるある薬剤について、分包される総重量をいう。したがって全量は、1日量と全服用日数との積である。
「最大可能収容量」とは、薬剤を収容する容器(たとえば、中間容器91、または搬出容器93)の能力として定められる、容器に収容可能な薬剤の最大量をいう。換言すると、最大可能収容量は、一回の量り取り動作で計量可能な薬剤の最大重量をいう。
図8に示されるように、まず、必要分配数が最大可能分配数よりも大きいか否かの判断(第1判断)がなされる(ステップS201)。最大可能分配数は、予め記憶部61に記憶されている。制御部50は、入力された調剤データに基づいて、必要分配数を参照または算出する。制御部50は、その必要分配数を、記憶部61から読み出した最大可能分配数と比較して、必要分配数が最大可能分配数よりも大きいか否かを判断する。
必要分配数が最大可能分配数よりも大きいと判断されると(ステップS201においてYES)、1回の分配動作では必要分配数の薬剤を分配することができないため、分配動作を複数回に分けて行うことになる。このため、制御部50は、調剤データを分割し、調剤分割データを作成する。調剤データが分割されることに伴って、量り取り部30による薬剤の量り取り動作、分配皿34aへの薬剤の供給動作、分配部34による薬剤の分配動作、および包装部35による薬剤の包装動作(ステップS105~S107)も、複数回に分けて行われることになる。
この場合は次に、分包パターンの判断が行われる(ステップS202)。分包パターンとは、調剤データに含まれる薬剤を分包部33で分包する(分配部34で分配し、包装部35で包装する)順序を示すものである。制御部50は、入力された調剤データに基づいて、分包部33で薬剤を分包する順序が、「服用順」に指定されているのか、または「服用時点順」に指定されているのか、を判断する。
図9は、「服用順」の分包パターンで分包された包装材40を示す模式図である。図9および後述する図10では、服用者が朝に服用する薬剤としてA剤、B剤およびC剤が分包され、服用者が夕方に服用する薬剤としてA剤およびB剤が分包される例が示されている。
図9に示される包装物40Aは、1~4包目の薬剤を収容する分包袋を含む。1包目の分包袋には、1日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。2包目の分包袋には、1日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。3包目の分包袋には、2日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。4包目の分包袋には、2日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。
包装物40Bは、5~8包目の薬剤を収容する分包袋を含む。5包目(包装物40Bとしては1包目)の分包袋には、3日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。6包目の分包袋には、3日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。7包目の分包袋には、4日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。8包目の分包袋には、4日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。
各包装物40A、40Bは、一体の包装物としてもよいし、別体の包装物としてもよい。一体の包装物とする場合、各包装物40A、40Bの間に薬剤が収容されない空包を形成しないようにして、各包装物40A、40Bが連続するようにしてもよい。または、一体の包装物とする場合、各包装物40A、40Bの間に薬剤が収容されない空包を形成するようにしてもよい。
このように、「服用順」の分包パターンでは、服用者が服用する順に薬剤が分包される。このとき、ある1日に服用されるべき薬剤が複数の包装物にまたがって収容されないように薬剤が分包される設定とされる。包装物の最初の分包袋は、1日のうちの最初の服用時点に服用される薬剤を収容する。包装物の最後の分包袋は、1日のうちの最後の服用時点に服用される薬剤を収容する。
図9に示される例では、包装物40Aの最後の分包袋は、2日目の最後の服用時点である、2日目の夕方に服用されるべき薬剤を収容する。包装物40Bの最初の分包袋は、3日目の最初の服用時点である、3日目の朝に服用されるべき薬剤を収容する。2日目におけるすべての服用時点に服用されるべき薬剤は、包装物40Aに含まれている。3日目におけるすべての服用時点に服用されるべき薬剤は、包装物40Bに含まれている。ある1日に服用されるべき薬剤が、包装物40A,40Bの両方にまたがって分包されることはない。ある1日に服用されるべき薬剤のすべてが、各包装物40A,40Bに含まれるように、分包パターンが設定される。
本実施形態では、各包装物40A、40Bが連続するように分包部33で分包される。このようにすると、調剤データが分割されても、1つの調剤データに基づいて分包されて作られる各包装物40A、40Bが一体で連続するため、服用されるべき薬剤を収容する全ての分包袋を、「服用順」に並べることができる。
図10は、「服用時点順」の分包パターンで分包された包装材を示す模式図である。図10に示される包装物40Cは、1~4包目の薬剤を収容する分包袋を含む。1包目の分包袋には、1日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。2包目の分包袋には、2日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。3包目の分包袋には、3日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。4包目の分包袋には、4日目の朝に服用されるべき薬剤が収容されている。包装物40Cは、1つの服用時点、具体的には朝に服用されるべき薬剤が収容された分包袋のみを含んでいる。
図10に示される包装物40Dは、5~8包目の薬剤を収容する分包袋を含む。5包目(包装物40Dとしては1包目)の分包袋には、1日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。2包目の分包袋には、2日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。3包目の分包袋には、3日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。4包目の分包袋には、4日目の夕方に服用されるべき薬剤が収容されている。包装物40Cは、1つの服用時点、具体的には夕方に服用されるべき薬剤が収容された分包袋のみを含んでいる。
各包装物40C、40Dは、一体の包装物としてもよいし、別体の包装物としてもよい。一体の包装物とする場合、各包装物40C、40Dの間に薬剤が収容されない空包を形成しないようにして、各包装物40C、40Dが連続するようにしてもよい。または、一体の包装物とする場合、各包装物40C、40Dの間に薬剤が収容されない空包を形成するようにしてもよい。
このように、「服用時点順」の分包パターンでは、服用時点のまとまり順に薬剤が分包される。このとき、異なる服用時点に服用されるべき薬剤が1つの包装物にまとまって収容されないように薬剤が分包される設定とされる。
本実施形態では、各包装物40C、40Dが連続するように分包部33で分包される。このようにすると、調剤データが分割されても、1つの調剤データに基づいて分包されて作られる各包装物40C、40Dが一体で連続するため、服用されるべき薬剤を収容する全ての分包袋を、「服用時点順」に並べることができる。
図8に戻って、ステップS202の判断において、分包パターンが「服用順」であると判断された場合、まず、最大可能日数が算出される(ステップS203)。ここで算出される最大可能日数とは、1回の分配動作で分配可能な薬剤が、服用者が薬剤を服用する日数のうちの何日分に相当するかを表す値である。
制御部50は、入力された調剤データに基づいて、日毎服用回数を参照する。制御部50は、記憶部61から最大可能分配数を読み出す。制御部50は、最大可能分配数を日毎服用回数で除して得られた商の小数点以下を切り捨てる処理を行い、この処理により算出された値を、最大可能日数とする。日毎服用回数は、1日の服用回数を示す日毎服用回数に基づいて、算出される。
次に、調剤データの分割回数が算出される(ステップS204)。ここで算出される分割回数とは、必要分配数の薬剤の分配を完了するために分配動作を何回に分けて行うか、すなわち、ある1日に服用されるべき薬剤が複数の包装物にまたがって収容されないように薬剤が分包される設定において、何回の分配動作を行うことで必要分配数の薬剤の分配を完了できるか、を表す値である。
制御部50は、必要分配数を、最大可能日数と日毎服用回数とを乗じた積で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、分割回数とする。
次に、日数が算出される(ステップS205)。ここで算出される日数とは、分割されたある回の分配動作で分配される薬剤が、服用者が薬剤を服用する日数のうちの何日分に相当するかを表す値である。
制御部50は、全服用日数を分割回数で除して得られた商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、1分割目の日数とする。なお、1分割目の分配動作で分配される薬剤の分配数は、1分割目の日数と日毎服用回数とを乗じることで算出される。
次に、目標計量値が算出される(ステップS206)。ここで算出される目標計量値とは、分割されたある回の分配動作で分配される薬剤の重量の目標値であり、その分配動作のために量り取られる薬剤の重量の目標値である。
制御部50は、ステップS205で算出された1分割目の日数と、1日量(もしくは、一包量と日毎服用回数との積)とを乗ずる処理(または、1分割目の分配処理で分配される薬剤の分配数と一包量とを乗ずる処理)を行い、この処理により算出された値を、1分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、1分割目の調剤分割データを作成する。
2分割目以降の分配動作について、ステップS205の日数を算出する処理と、ステップS206の目標計量値を算出する処理とが繰り返される。
2分割目の分配動作について、制御部50は、全服用日数から1分割目の日数を減じた値を、ステップS204で算出された分割回数から1を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、2分割目の日数とする。2分割目の分配処理で分配される薬剤の分配数は、2分割目の日数と日毎服用回数とを乗じることで算出される。制御部50は、2分割目の日数と、1日量とを乗ずる処理を行い、この処理により算出された値を、2分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、2分割目の調剤分割データを作成する。
n(nは2以上の整数)分割目の分配動作について、制御部50は、全服用日数から、1分割目の日数から(n-1)分割目の日数までの総和を減じた値を、ステップS204で算出された分割回数から(n-1)を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、n分割目の日数とする。n分割目の分配処理で分配される薬剤の分配数は、n分割目の日数と日毎服用回数とを乗じることで算出される。制御部50は、n分割目の日数と、1日量とを乗ずる処理を行い、この処理により算出された値を、n分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、n分割目の調剤分割データを作成する。
このように1~n分割目の目標計量値が均等になるように調剤データを分割することで、各調剤分割データにおける量り取り動作で量り取られる薬剤の量のばらつきが低減されている。制御部50は、各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の量を均一化するように、各回の目標計量値を算出している。
そして、処理を終了する(END)。このようにして、調剤データを分割する回数に基づいて、分配動作を分けて行う回数と、量り取り動作を分けて行う回数と、各回の分配動作のために各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の目標計量値とが得られる。制御部50は、図7に示されるステップS105の処理において、この目標計量値の算出の結果に従って量り取り部30を制御して、各回の量り取り動作で目標計量値の薬剤を薬剤容器15から量り取ることになる。
また、このようにして、ある1日に服用されるべき薬剤が複数の包装物にまたがって収容されないように薬剤が分包されるため、調剤分割データ毎に作成される包装物の印刷用データの取り扱いが容易となる。すなわち、1日の服用時点の印刷用データが複数の調剤分割データにまたがらないため、印刷用データは服用時点単位のデータとすればよい。
ステップS202の判断において、分包パターンが「服用時点順」であると判断された場合、まず、調剤データの服用時点毎分割回数が算出される(ステップS207)。ここで算出される服用時点毎分割回数とは、ある服用時点(たとえば、朝)に服用されるべき薬剤について、その薬剤の全服用日数分の分配を完了するために、分配動作を何回に分けて行うかを表す値である。すなわち、異なる服用時点に服用されるべき薬剤が1つの包装物にまとまって収容されないように薬剤が分包される設定において、何回の分配動作を行うことで必要分配数の薬剤の分配を完了できるか、を表す値である。
制御部50は、入力された調剤データに基づいて、全服用日数を参照する。制御部50は、記憶部61から最大可能分配数を読み出す。制御部50は、全服用日数を最大可能分配数で除して得られた商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、服用時点毎分割回数とする。服用時点毎分割回数は、全服用日数に基づいて、算出される。
次に、日数が算出される(ステップS208)。ここで算出される日数とは、ある服用時点について、分割されたある回の分配動作で分配される薬剤が、服用者が薬剤を服用する日数のうち何日分に相当するかを表す値である。
制御部50は、全服用日数を服用時点毎分割回数で除して得られた商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、第1の服用時点における1分割目の日数とする。
次に、目標計量値が算出される(ステップS209)。ここで算出される目標計量値とは、分割されたある回の分配動作で分配される薬剤の重量の目標値であり、その分配動作のために量り取られる薬剤の重量の目標値である。
制御部50は、ステップS208で算出された1分割目の日数と、一包量とを乗ずる処理を行い、この処理により算出された値を、第1の服用時点における1分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、第1の服用時点の1分割目の調剤分割データを作成する。
第1の服用時点における2分割目以降の分配動作について、ステップS208の分配数を算出する処理と、ステップS209の目標計量値を算出する処理とが繰り返される。
第1の服用時点における2分割目の分配動作について、制御部50は、全服用日数から1分割目の日数を減じた値を、ステップS207で算出された服用時点毎分割回数から1を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、2分割目の日数とする。制御部50は、2分割目の日数と、一包量とを乗ずる処理を行い、この処理により算出された値を、2分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、第1の服用時点の2分割目の調剤分割データを作成する。
第1の服用時点におけるn(nは2以上の整数)分割目の分配動作について、制御部50は、全服用日数から、1分割目の日数から(n-1)分割目の日数までの総和を減じた値を、ステップS207で算出された服用時点毎分割回数から(n-1)を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、n分割目の日数とする。制御部50は、n分割目の日数と、一包量とを乗ずる処理を行い、この処理により算出された値を、n分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、第1の服用時点のn分割目の調剤分割データを作成する。
第2の服用時点以降の分配動作について、ステップS207の服用時点毎分割回数を算出する処理と、ステップS208の分配数を算出する処理と、ステップS209の目標計量値を算出する処理が繰り返される。このようにして、制御部50は、第2の服用時点の各調剤分割データを作成する。
このように、各服用時点における1~n分割目の目標計量値を算出することで、各調剤分割データにおける量り取り動作で量り取られる薬剤の量のばらつきが低減されている。制御部50は、各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の量を均一化するように、各回の目標計量値を算出している。
そして、処理を終了する(END)。このようにして、調剤データを服用時点毎に分割する回数に基づいて、服用時点毎の分配動作を分けて行う回数と、服用時点毎の量り取り動作を分けて行う回数と、各回の分配動作のために各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の目標計量値とが得られる。制御部50は、図7に示されるステップS105の処理において、この目標計量値の算出の結果に従って量り取り部30を制御して、各回の量り取り動作で目標計量値の薬剤を薬剤容器15から量り取ることになる。
また、このようにして、異なる服用時点に服用されるべき薬剤が1つの包装物にまとまって収容されないように薬剤が分包されるため、調剤データ毎に作成される包装物の印刷用データの取り扱いが容易となる。すなわち、異なる服用時点の印刷用データが1つの調剤分割データにまとまらないため、印刷用データは服用時点単位のデータとすればよい。
ステップS201の判断において、必要分配数が最大可能分配数以下であれば(ステップS201においてNO)、1回の分配動作によって必要分配数の薬剤を分配することができ、量り取りおよび分配動作を分けて行う必要がない。そのため、調剤分割データを作成する処理は行われず、そのまま処理を終了する(END)。
図11は、量り取り対象薬剤の全量に基づいて量り取り動作を複数回に分けて行う処理の流れを示すフロー図である。
図11に示されるように、まず、調剤データに含まれる薬剤の種類毎の全量が、最大可能収容量よりも大きいか否かの判断(第2判断)がなされる(ステップS301)。この判断は、調剤データに含まれる薬剤の種類毎に行われる。調剤分割データが作成されている場合は、各調剤分割データを対象として、各調剤分割データに含まれる薬剤の全量が、最大可能収容量よりも大きいか否かが判断される。最大可能収容量は、予め記憶部61に記憶されている。中間容器91の情報記録部91eまたは搬出容器93の情報記録部93eに記憶されている最大可能収容量が第3情報処理部20によって取得されてもよい。制御部50は、記憶部61から読み出すか、または第3情報処理部20によって取得することにより、最大可能収容量を取得する。制御部50は、入力された調剤データに基づいて、薬剤の種類毎に、全量を参照または算出する。制御部50は、全量を最大可能収容量と比較して、全量が最大可能収容量よりも大きいか否かを判断する。
全量が最大可能収容量よりも大きいと判断されると(ステップS301においてYES)、1回の量り取り動作では薬剤の全量を量り取ることができないため、量り取り動作を複数回に分けて行うことになる。このため、制御部50は、全量が最大可能収容量よりも大きいと判断された薬剤の薬剤情報を分割し、量り取り分割データを作成する。量り取られた薬剤が分包部33で分包される場合、複数回の量り取り動作によって量り取られた薬剤は、分配部34にまとめて供給され、分配部34による分配動作、および包装部35による包装動作により分包されることになる。
この場合は次に、分割回数が算出される(ステップS302)。ここで算出される分割回数とは、全量の薬剤の量り取りを完了するために量り取り動作を何回に分けて行うか、すなわち、何回の量り取り動作を行うことで全量の薬剤の量り取りを完了できるか、を表す値である。
制御部50は、全量を最大可能収容値で除して得られた商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、分割回数とする。
次に、目標計量値が算出される(ステップS303)。ここで算出される目標計量値とは、分割されたある回の量り取り動作で薬剤容器15から量り取られる薬剤の重量の目標値である。
制御部50は、全量を、ステップS302で算出された分割回数で除して得られた商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、1分割目の量り取り動作の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、1分割目の量り取り分割データを作成する。
2分割目以降の量り取り動作について、ステップS303の目標計量値を算出する処理が繰り返される。
2分割目の量り取り動作について、制御部50は、全量から1分割目の目標計量値を減じた値を、ステップS302で算出された分割回数から1を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、2分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、2分割目の量り取り分割データを作成する。
n(nは2以上の整数)分割目の量り取り動作について、制御部50は、全量から、1分割目の目標計量値から(n-1)分割目までの目標計量値までの総和を減じた値を、ステップS302で算出された分割回数から(n-1)を減じた値で除して、算出された商の小数点以下を切り上げる処理を行い、この処理により算出された値を、n分割目の目標計量値とする。このようにして、制御部50は、n分割目の量り取り分割データを作成する。
このように1~n分割目の目標計量値が均等になるように薬剤情報を分割することで、各量り取り分割データにおける量り取り動作で量り取られる薬剤の量のばらつきが低減されている。制御部50は、各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の量を均一化するように、各回の目標計量値を算出している。
そして、処理を終了する(END)。このようにして、薬剤情報を分割する回数に基づいて、量り取り動作を分けて行う回数と、各回の量り取り動作において量り取られる薬剤の目標計量値が得られる。制御部50は、図7に示されるステップS105の処理において、この目標計量値の算出の結果に従って量り取り部30を制御して、各回の量り取り動作で目標計量値の薬剤を薬剤容器15から量り取ることになる。
ステップS301の判断において、全量が最大可能収容量以下であれば(ステップS301においてNO)、1回の量り取り動作によって全量の薬剤を量り取ることができ、量り取り動作を分けて行う必要がない。そのため、量り取り分割データを作成する処理は行われず、そのまま処理を終了する(END)。
上述した通り、ステップS102において調剤データの入力が完了した後、入力された調剤データについて薬剤の量り取りのみを行うことが指定されていれば、ステップS103の分包開始指令に代えて、オペレータは、操作部22を用いて、制御部50に対して量り取り開始指令を入力することができる。量り取り指令が入力されると、薬剤分包装置1は、入力された調剤データについて薬剤の分包は行わず、量り取りのみを行う。
量り取り開始指令が入力されると、指定された量の薬剤の量り取り動作を行うに当たり、まず、他の薬剤分包装置95での分配動作を複数回に分けて行う必要があるか否かが判断される。この判断は、調剤データに含まれる分配対象の薬剤の必要分配数に基づいて行われる。この場合の必要分配数は、他の薬剤分包装置95の分配部によって分配されるべき必要数を指す。次に、量り取り動作を複数回に分けて行う必要があるか否かが判断される。この判断は、調剤データに含まれる量り取り対象の薬剤の種類毎の全量に基づいて行われる。これらの判断の詳細については後述する。
次に、薬剤容器15からの薬剤の量り取りが実行され、量り取られた薬剤を収容する容器の第3取出位置P7への搬送が実行される。
量り取られた薬剤を収容する容器を第3取出位置に搬送した後に、すべての薬剤の量り取り及び搬送が完了したか否かが判断される。すべての量り取り対象薬剤の量り取りが完了していない場合、量り取りが再度実行される。
以下、他の薬剤分包装置95での分配動作を複数回に分ける場合に、薬剤分包装置1においてなされる処理の詳細について説明する。
まず、必要分配数が他の薬剤分包装置95の最大可能分配数よりも大きいか否かの判断(第3判断)がなされる。他の薬剤分包装置95における最大可能分配数は、予め記憶部61に記憶されている。制御部50は、入力された調剤データに基づいて、必要分配数を参照または算出する。制御部50は、その必要分配数を、記憶部61から読み出した他の薬剤分包装置95の最大可能分配数と比較して、必要分配数が他の薬剤分包装置95の最大可能分配数よりも大きいか否かを判断する。
必要分配数が他の薬剤分包装置95の最大可能分配数よりも大きいと判断されると、他の薬剤分包装置95における1回の分配動作では必要分配数の薬剤を分配することができないため、他の薬剤分包装置95での分配動作を複数回に分けて行うことになる。このため、制御部50は、必要分配数と他の薬剤分包装置95の最大可能分配数に基づいて、調剤データを分割し、調剤分割データを作成する。調剤データが分割されることに伴って、量り取り部30による薬剤の量り取り動作は複数回行われることになる。これにより、他の薬剤分包装置95では分配動作を複数回に分けて行うことができる。
この場合は次に、分包パターンの判断が行われる。そして、図8または図9に示す例と同様に、分包パターンに従って調剤分割データを作成する。
必要分配数が他の薬剤分包装置95の最大可能分配数以下であれば、1回の分配動作によって必要分配数の薬剤を分配することができ、分配動作を分けて行う必要がない。薬剤分包装置1での量り取り動作を複数回に分けて行う必要もない。そのため、調剤分割データを作成する処理は行われず、そのまま処理を終了する。
次に、調剤データに含まれる薬剤の全量が、最大可能収容量よりも大きいか否かの判断(第4判断)がなされる。この判断は、調剤データに含まれる薬剤の種類毎に行われる。調剤分割データが作成されている場合は、調剤分割データに含まれる薬剤の全量が、最大可能収容量よりも大きいか否かが判断される。
全量が最大可能収容量よりも大きいと判断されると、1回の量り取り動作では薬剤の全量を量り取ることができないため、量り取り動作を複数回に分けて行うことになる。このため、制御部50は、全量が最大可能収容量よりも大きいと判断された薬剤情報を分割し、量り取り分割データを作成する。量り取られた薬剤が他の薬剤分包装置95で分包される場合、複数回の量り取り動作によって量り取られた薬剤は、他の薬剤分包装置95にまとめて供給されることになる。
このようにして、薬剤情報を分割する回数に基づいて、量り取り動作を分けて行う回数と、各回の量り取り動作において量り取られる薬剤の目標計量値が得られる。制御部50は、この目標計量値の算出の結果に従って量り取り部30を制御して、各回の量り取り動作で目標計量値の薬剤を薬剤容器15から量り取ることになる。
全量が最大可能収容量以下であれば、1回の量り取り動作によって全量の薬剤を量り取ることができ、量り取り動作を分けて行う必要がない。そのため、量り取り分割データを作成する処理は行われず、そのまま処理を終了する。
以上説明した実施形態の薬剤分包装置1において、制御部50は、図7,8に示されるように、調剤データに含まれる分配対象薬剤の必要分配数が、分配部34による一回の分配動作での最大可能分配数よりも大きいとき、分配対象薬剤を複数回に分けて量り取るように、量り取り部30を制御する。このように制御部50が量り取り部30を制御することで、調剤データにおける必要分配数が最大可能分配数を超える場合に、自動で量り取り動作を行うことができる。
図2に示されるように、分配部34は、量り取り部30によって量り取られた分配対象薬剤が供給される分配皿34aを有している。分配部34は、分配皿34aに供給された分配対象薬剤を、一服用分ずつに分配する。制御部50は、分配皿34aに供給された分配対象薬剤を分配部34が分配可能な最大数を、最大可能分配数として設定する。このようにすれば、薬剤分包装置1に係る固有の情報として最大可能分配数が設定されるので、薬剤分包装置1の機種毎に適切な最大可能分配数を設定することができる。制御部50は、この設定された最大可能分配数に従って、量り取り部30を適切に制御することができる。
また制御部50は、図7,11に示されるように、調剤データに含まれる分配対象薬剤の種類毎の全量が、中間容器91または搬出容器93への薬剤の最大可能収容量よりも大きいとき、分配対象薬剤を複数回に分けて量り取るように、量り取り部30を制御する。このように制御部50が量り取り部30を制御することで、調剤データにおける分配対象薬剤の種類毎の全量が最大可能収容量を超える場合に、自動で量り取り動作を行うことができる。
図3に示されるように、制御部50は、記憶部61を有している。記憶部61は、薬剤に関する情報を、薬剤の種類毎に記憶する。薬剤に関する情報は、最大可能収容量を含んでいる。薬剤の種類毎の最大可能収容量が記憶部61に記憶されていることで、制御部50は、量り取りおよび分配がなされる薬剤に対応する最大可能収容量を記憶部61から読み出して、その最大可能収容量に従って、量り取り部30を適切に制御することができる。
記憶部61は、分配部34による一回の分配動作での最大可能分配数を記憶している。制御部50は、記憶部61から最大可能分配数を読み出して、その最大可能分配数に従って、量り取り部30を適切に制御することができる。
図8,11に示されるように、制御部50は、各回の量り取り動作で量り取られる分配対象薬剤の量を算出する。制御部50は、その算出の結果に従って量り取り部30を制御する。このように制御部50が量り取り部30を制御することで、複数回に分割された各回の量り取り動作で、適切な量の薬剤を量り取ることができる。
図8に示されるように、制御部50は、調剤データに含まれる分配対象薬剤を分配する順序が服用順に指定されている場合、1日の服用回数に基づいて、最大可能日数、分割回数、目標計量値を順に算出する。算出された目標計量値に従って制御部50が量り取り部30を制御することで、複数回に分割された各回の量り取り動作で、適切な量の薬剤を量り取ることができる。
図8に示されるように、制御部50は、調剤データに含まれる分配対象薬剤を分配する順序が服用時点のまとまり順に指定されている場合、全服用日数に基づいて、服用時点毎分割回数、分配数、目標計量値を順に算出する。算出された目標計量値に従って制御部50が量り取り部30を制御することで、複数回に分割された各回の量り取り動作で、適切な量の薬剤を量り取ることができる。
制御部50が、各回の量り取り動作で量り取られる薬剤の量を均一化するように、目標計量値を算出することで、分割された各回毎に量り取られる薬剤の量の変動が小さくされている。これにより制御部50は、量り取り部30を容易に制御することができる。
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。