以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
[第一実施形態]
図1は、調剤システム100を示す概略図である。図2は、実施形態に係る薬剤分包装置1の概略構成図である。図3は、分包部33を平面視した模式図である。図4は、薬剤分包装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、調剤システム100は、薬剤分包装置1と、他の薬剤分包装置95と、を備える。調剤システム100は、例えば、薬局又は病院に設置される。
薬剤分包装置1は、薬剤を供給して分包する。薬剤分包装置1は、薬剤を供給するために、1又は複数の薬剤をそれぞれ量り取ることができる。本明細書において、薬剤の量り取りとは、薬剤収容庫等に収容された薬剤を必要な分だけ取り出すことをいう。薬剤分包装置1は、薬剤として散剤(粉状、細粒状、又は顆粒状の薬剤)を量り取る。薬剤分包装置1は、散剤に加えて錠剤を分包可能であってもよい。
薬剤分包装置1が行う薬剤の供給及び分包は、オペレータにより入力された調剤データに基づいて行われる。
薬剤分包装置1は、薬剤の分包のみを行うこともできる。この場合、薬剤分包装置1の外部で、たとえばオペレータが適宜の薬瓶または薬剤収容庫等から薬剤を取り出すことにより、薬剤が用意され、その薬剤が薬剤分包装置1に導入される。薬剤分包装置1は、薬剤の量り取りのみを行うこともできる。この場合、量り取られた薬剤は、分包されずに薬剤分包装置1の外部に出される。薬剤分包装置1は、量り取った薬剤を容器に収容し、当該容器をオペレータが取り出すことができるようにする。
以下の説明では、薬剤分包装置1が薬剤を分包することを第1動作と称し、薬剤分包装置1が薬剤の量り取りを行ってその後に分包をしないことを第2動作と称する。第1動作において、薬剤分包装置1が量り取りを行なってもよく、薬剤分包装置1は量り取りを行わなくてもよい。薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を、薬剤分包装置1が分包する場合も、第1動作に含まれる。
薬剤分包装置1は、図2に示すように、第1保管部11と、第2保管部12と、第3保管部13と、を備える。また、薬剤分包装置1は、図2及び図4に示すように、搬送部14と、薬剤収容庫15と、第1情報処理部16と、量り取り部30と、第2情報処理部19と、第3情報処理部20と、表示部21と、操作部22と、印刷部24と、薬剤排出部32と、分包部33と、清掃部38と、制御部50と、を備える。
第1保管部11は、薬剤が収容されていない複数の内部計量容器91を保管することができる。内部計量容器91は、供給及び分包の対象である薬剤を収容して薬剤分包装置1の各部に搬送するために用意されている。内部計量容器91の構成については後述する。
第1保管部11は、例えば、複数の内部計量容器91を待機させるための複数の支持台を有し、それぞれの支持台で各内部計量容器91の底面を支持する構成とすることができる。ただし、内部計量容器91を実質的に保管できる限り、第1保管部11の構成は任意に変更することができる。
第2保管部12は、薬剤が収容されていない複数の外部薬剤導入容器92を保管することができる。外部薬剤導入容器92は、オペレータが薬剤分包装置1の外部で用意した薬剤を収容し、その薬剤の分包のために薬剤分包装置1に導入される容器として用いられる。外部薬剤導入容器92は、薬剤分包装置1が薬剤の量り取りを行うのではなく薬剤分包装置1の外部で薬剤が用意される場合に、薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を収容した状態で薬剤分包装置1内へ導入するために、薬剤分包装置1において用意されている。薬剤分包装置1に第2保管部12が設けられず、薬剤分包装置1の外部に外部薬剤導入容器92が保管される構成であってもよい。外部薬剤導入容器92の構成については後述する。
第3保管部13は、薬剤が収容されていない複数の搬出容器93を保管することができる。搬出容器93は、薬剤分包装置1が量り取り後に分包をしない場合に、量り取られた薬剤を収容して薬剤分包装置1から他の薬剤分包装置95へ薬剤を搬出するために、薬剤分包装置1において用意されている。
第2保管部12及び第3保管部13は、例えば第1保管部11と同様に、外部薬剤導入容器92又は搬出容器93の底面を支持する構成とすることができる。
内部計量容器91について説明する。図5は、内部計量容器91(外部薬剤導入容器92)の斜視図である。内部計量容器91は、図5に示すように、収容部91aと、排出経路部91bと、開閉部91cと、情報表示部(表示部)91dと、情報記録部(情報記録部材)91eと、を備える。
収容部91aは、内部計量容器91が実質的に薬剤を収容する部分である。収容部91aは、上方を開放させた中空状に形成されている。
排出経路部91bは、収容部91aの内部空間と外部空間とを接続する細い通路として構成されている。排出経路部91bは、収容部91aの端部に連通するように形成されている。
開閉部91cは、シャッター状の可動部材として構成されている。開閉部91cは、収容部91aと排出経路部91bとの接続部分を開閉することができる。
情報表示部91dは、調剤データ及び調剤に関する情報を表示可能なディスプレイである。情報表示部91dは、例えば、マイクロカプセル式又は電気泳動式の電子ペーパとして構成することができる。
情報記録部91eは、例えば不揮発性のメモリを有しており、容器固有情報を記録することができる。容器固有情報には、容器の識別情報が含まれる。なお、容器固有情報には、容器の種類を示す情報(内部計量容器91、外部薬剤導入容器92、搬出容器93)を含むようにしてもよい。情報記録部91eは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグとして構成することができる。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の内部計量容器91が複数用意されている。なお、互いに収容部91aの大きさが異なる複数種類の内部計量容器91が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤の量り取り等、量り取りを行う様々な状況に対応することができる。
外部薬剤導入容器92について説明する。外部薬剤導入容器92は、図5に示すように、内部計量容器91と実質的に同様の構成である。外部薬剤導入容器92は、収容部92aと、排出経路部92bと、開閉部92cと、情報表示部92dと、情報記録部92eと、を備える。
収容部92a、排出経路部92b、開閉部92c、情報表示部92d、及び情報記録部92eは、内部計量容器91における収容部91a、排出経路部91b、開閉部91c、情報表示部91d、及び情報記録部91eと同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の外部薬剤導入容器92が複数用意されている。なお、互いに収容部92aの大きさが異なる複数種類の外部薬剤導入容器92が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤を薬剤分包装置1の外部から導入する等、様々な状況に対応することができる。
搬出容器93について説明する。図6は、搬出容器93の斜視図である。搬出容器93は、図6に示すように、内部計量容器91から排出経路部91b及び開閉部91cを省略したものに相当する。搬出容器93は、収容部93aと、情報表示部93dと、情報記録部93eと、を備える。
収容部93a、情報表示部93d、及び情報記録部93eは、内部計量容器91における収容部91a、情報表示部91d、及び情報記録部91eと同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施形態の薬剤分包装置1では、同じ形状の搬出容器93が複数用意されている。なお、互いに収容部93aの大きさが異なる複数種類の搬出容器93が用意されていてもよい。この場合、多種の薬剤の量り取り等、量り取りを行う様々な状況に対応することができる。
搬送部14は、内部計量容器91、外部薬剤導入容器92、及び搬出容器93を搬送することができる。搬送部14は、図2に示すように、第1搬送部14aと、第2搬送部14bと、を備える。
第1搬送部14a及び第2搬送部14bのそれぞれの動作は、制御部50により制御される。第1搬送部14aと第2搬送部14bとは、搬送を行う範囲が異なるだけであり、搬送を行う構成は実質的に同じであるため、以下では第1搬送部14aを例に挙げて説明する。
第1搬送部14aは、内部計量容器91、外部薬剤導入容器92、又は搬出容器93を保持するための容器保持部を備えている。容器保持部は、薬剤分包装置1に定められた経路に沿って移動可能に構成されている。第1搬送部14aは、内部計量容器91、外部薬剤導入容器92、又は搬出容器93を容器保持部に保持した状態で、容器保持部を移動させることで、内部計量容器91、外部薬剤導入容器92、又は搬出容器93を搬送する。
このように、本実施形態では、内部計量容器91、外部薬剤導入容器92及び搬出容器93を、共通の第1搬送部14aによって搬送する構成となっている。従って、3種類の容器のそれぞれにおいて、第1搬送部14a(容器保持部)に取り付けられる部分を同一の構成とすると、第1搬送部14aの構成を簡素化できるために好ましい。
内部計量容器91、外部薬剤導入容器92及び搬出容器93は、構成及び機能の点で互いに類似している。従って、内部計量容器91は、第1動作に用いられる外部薬剤導入容器92としても使用可能である。また、内部計量容器91は、第2動作に用いられる搬出容器93としても使用可能である。外部薬剤導入容器92は、第1動作に用いられる内部計量容器91としても使用可能である。また、外部薬剤導入容器92は、第2動作に用いられる搬出容器93としても使用することもできる。容器の種類を減らすことで、構成の簡素化を実現することができる。
図2には、第1搬送部14aの経路が破線で示され、第2搬送部14bの経路が2点鎖線で示されている。第1搬送部14aと第2搬送部14bは、個別の駆動源を備えており、それぞれが独立して動作可能である。従って、薬剤分包装置1は、第1搬送部14aによる容器の搬送と、第2搬送部14bによる容器の搬送と、を同時に並行して行うことができる。
搬送部14が容器を保持する構成は様々であり、例えば、伸縮可能又は回転可能なアームの先端に容器保持部を設け、アームを伸縮させたり回転させたりして容器保持部の位置を変更する構成としてもよい。また例えば、容器をチャックで掴んだり、容器を吸引して保持したりしてもよい。
薬剤収容庫15は、量り取りの対象となる薬剤を収容する。それぞれの薬剤収容庫15には、薬剤を容器外に排出して取り出すための開口が形成されている。
原則として、複数の薬剤収容庫15には、それぞれ異なる種類の薬剤が収容される。ただし、例えば使用頻度が高い薬剤に関しては、同一の薬剤が複数の薬剤収容庫15に収容されてもよい。
薬剤分包装置1は、薬剤のほかに賦形剤を取り扱うこともできる。複数の薬剤収容庫15のうち何れかの収容庫には、賦形剤が収容されてもよい。薬剤分包装置1は、薬剤(散剤)の賦形が必要な場合には、賦形剤を薬剤収容庫15から取り出す。この場合は、薬剤と同様に、賦形剤の供給を行うことができる。複数の薬剤収容庫15の何れかの収容庫には、清掃材が収容されてもよい。この場合、薬剤と同様に清掃材の供給を行うことができる。清掃材が薬剤収容庫15から取り出されて、薬剤分包装置1の薬剤経路に接触しながら分包されることにより、清掃材が接触する薬剤経路が清掃される。清掃材には、賦形剤が用いられてもよい。賦形剤および/または清掃材は、乳糖であってもよい。
薬剤収容庫15の外面には、情報記録部71が設けられている。情報記録部71は、例えばRFIDタグとすることができる。情報記録部71には、薬剤収容庫15に収容された薬剤に関する情報(収容薬剤情報)を記憶することができる。収容薬剤情報には、薬剤名、薬剤収容庫15内の薬剤残量、薬剤の使用期限、前回補充日、量り取り部30の作動条件等が含まれる。薬剤分包装置1は、情報記録部71を読み取ることにより、収容薬剤情報を得ることができる。なお、情報記録部71に薬剤収容庫15の識別情報のみを記憶させておき、これを薬剤分包装置1で読み取ると、前述の収容薬剤情報が後述の記憶部61から呼び出されるようにしてもよい。
第1情報処理部16は、情報記録部71から収容薬剤情報を読み取ることができる。第1情報処理部16は、例えばRFIDリーダライタとして構成することができる。第1情報処理部16は、薬剤分包装置1の任意の位置に設けられている。
量り取り部30は、薬剤取出部17と、計量部18と、を備える。薬剤取出部17は、薬剤収容庫15から薬剤を取り出す。計量部18は、薬剤収容庫15から取り出された薬剤を計量する。
薬剤取出部17は、複数の薬剤収容庫15を着脱可能に保持する。薬剤取出部17は、保持された薬剤収容庫15を所定位置に移動させ、当該所定位置において、薬剤収容庫15に収容されている薬剤を、開口を介して下方に取り出す。薬剤取出部17の動作は、第1情報処理部16が読み取った収容薬剤情報に基づいて、制御部50により制御される。
計量部18は、載置台18aと、検出部18bと、を備える。載置台18aは、薬剤取出部17の上記の所定位置の下方に配置されている。載置台18aには、内部計量容器91又は搬出容器93を載置することができる。第1搬送部14aは、容器保持部に保持した内部計量容器91又は搬出容器93を搬送して、載置台18aに置いたり、載置台18aから取り去ったりすることができる。
検出部18bは、載置台18aに内部計量容器91又は搬出容器93が載せられた状態で、容器の内部の薬剤を計量することができる。言い換えれば、計量部18は電子天秤として構成されており、載置台18aは電子天秤における計量皿の部分に相当する。検出部18bは、例えば電磁式又はロードセル式の荷重センサとして構成することができる。
量り取り部30は、薬剤情報が示す薬剤のそれぞれについて全服用分を量り取るように、制御部50により制御される。制御部50は、薬剤情報が示す薬剤が収容された薬剤収容庫15を、薬剤取出部17により載置台18aの真上に適宜移動させる。その後、制御部50は、薬剤収容庫15から薬剤を下方に取り出し、取り出された薬剤を載置台18aに載置された内部計量容器91又は搬出容器93に収容するとともに、収容された薬剤について検出部18bにより計量を行う。
第2情報処理部19は、計量部18にセットされた、内部計量容器91の情報記録部91e又は搬出容器93の情報記録部93eに記憶された、容器固有情報を取得する。また、第2情報処理部19は、計量部18にセットされた、内部計量容器91の情報表示部91d又は搬出容器93の情報表示部93dの、表示内容を変更することができる。第2情報処理部19は、例えばRFIDリーダライタとして構成されている。
第3情報処理部20は、第1保管部11に保管された内部計量容器91の情報記録部91eに記憶された容器固有情報を取得する。第3情報処理部20による容器固有情報の取得は、第2保管部12に保管された外部薬剤導入容器92、又は第3保管部13に保管された搬出容器93に対しても同様に行われる。
第3情報処理部20は、内部計量容器91又は搬出容器93に対して表示内容の変更を行うようにしてもよい。この場合、第2情報処理部19は、計量部18にセットされた内部計量容器91又は搬出容器93に対して、計量結果のみに関して表示内容の変更を行うようにしてもよい。
表示部21は、薬剤分包装置1に関する様々な情報を表示可能な表示画面を有する装置である。表示部21としては、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等とすることが考えられる。表示部21は、薬剤分包装置1の適宜の位置に配置される。
操作部22は、オペレータが薬剤分包装置1に対して各種の指示を行うために操作される。操作部22は、薬剤分包装置1の適宜の位置(例えば、表示部21の近傍)に配置される。操作部22はキーボードを含んで構成されていてもよく、表示部21がタッチパネルであって操作部22は表示部21に組み込まれた構成とすることもできる。
印刷部24は、薬剤分包装置1による量り取り、供給及び分包の対象である薬剤に関する情報を印刷する。印刷部24は、制御部50によって制御される。印刷部24は、量り取り部30の薬剤取出部17によって薬剤収容庫15から取り出され、計量部18で計量された薬剤の重量を印刷出力してもよい。印刷部24は、量り取り部30による薬剤収容庫15からの取り出しの対象である薬剤の、取り出されるべき重量を印刷出力してもよい。印刷部24は、感熱式、インクジェット方式などの任意の方式のプリンタであってもよい。
薬剤排出部32には、第2搬送部14bにより搬送された内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92がセットされる。薬剤排出部32は、セットされた内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92内の薬剤を排出させることができる。内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92を手動で、薬剤排出部32にセットおよび/または薬剤排出部32から取り外しすることも可能である。
薬剤排出部32は、容器取付部32aを備える。容器取付部32aは、内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92を取付可能に構成されている。容器取付部32aへの内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92の取付けは、第2搬送部14bによって自動で、または手動で、行われる。
容器取付部32aは、容器の開閉部91c,92cを閉鎖状態から開放状態に移動させる作動部を備える。容器取付部32aに取り付けられる前は、収容部91a,92aと排出経路部91b,92bとの接続部分が、閉鎖した状態となっている、容器取付部32aに容器が取り付けられる際に、作動部が開閉部91c,92cを移動させる。これにより、収容部91a,92aと排出経路部91b,92bとの接続部分が開放され、容器からの薬剤の排出が許容された状態になる。
薬剤排出部32は、振動装置32bを備える。振動装置32bは、振動を発生させるモータ等を含んで構成されている。振動装置32bは制御部50によって制御される。振動装置32bは、制御部50からの制御信号に応じて振動を発生させる。振動装置32bが発生させた振動は、容器取付部32aに取り付けられた内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92に伝達される。容器の排出経路部91b、92bは、振動フィーダのトラフとして機能し得る。
分包部33は、量り取り部30によって量り取られた薬剤を分包することができるように構成されている。分包部33は、量り取り部30によって量り取られた薬剤を一服用分ごとに分包するように、制御部50により制御される。分包部33は、分配部34と、包装部35と、を備える。
分配部34は、薬剤排出部32によって容器から排出された薬剤を、一服用分ずつに分配する。分配部34は、分配皿34aと、送り部34bと、を備える。分配皿34aは、鉛直方向の軸を中心として回転可能に構成されている。薬剤排出部32は、容器から薬剤を排出させて、排出させた薬剤を回転する分配皿34a上に供給する。送り部34bは、分配皿34aに供給された薬剤を所定の量ずつ下方へ落下させる。
図2,3に示すように、薬剤分包装置1は、複数(具体的には、2つ)の分配部34を備えている。それぞれの分配部34は、複数(具体的には、2つ)の薬剤排出部32を備えている。2つの薬剤排出部32のいずれか一方または両方から、1つの分配皿34a上に薬剤が供給される。2つの薬剤排出部32から、同じ種類の薬剤が1つの分配皿34aに供給されてもよく、異なる種類の薬剤が1つの分配皿34aに供給されてもよく、薬剤と賦形剤とが1つの分配皿34aに供給されてもよい。
包装部35は、分配部34によって分配された薬剤を、包装材40によって包装する。包装部35は、ホッパ35aと、ヒータ35bと、を備える。包装部35は、分配部34で一服用分ずつに分配された薬剤をホッパ35aを通じて包装材40に落下させる動作と、ヒータ35bにより包装材40を熱で溶着する動作とを繰り返す。これらの動作の繰り返しにより、一服用分ずつの薬剤が包装材40に封入される。薬剤が入れられた包装材40は、薬剤分包装置1の外部又は内部の貯留部へ送り出される。
供給待機部23は、薬剤の量り取りを行う量り取り部30と、薬剤の排出を行う薬剤排出部32との中間に設けられている。薬剤を収容する内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92を、必要に応じて供給待機部23に置いて、待機させることができる。
清掃部38は、内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92の清掃を行うことができる。清掃は、例えば、内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92の内面への、圧縮空気の吹き付け、吸引、ブラシなどによる払拭、などの任意の手段で行なわれてもよい。清掃を行うことにより、容器の内面に残留した薬剤が除去される。
清掃部38の近傍には、清掃待機部37が設けられている。清掃される前の内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92を、必要に応じて清掃待機部37に置いて、待機させることができる。
供給待機部23及び清掃待機部37は、例えば、容器を載せることが可能な板状の部材として構成することができるが、これに限定されない。
薬剤分包装置1は、上述した計量部18とは異なる他の計量部としての、外部薬剤計量部82を備えている。外部薬剤計量部82は、薬剤分包装置1の外部で用意される薬剤を計量する。外部薬剤計量部82は、計量部18と実質的に同様の構成を備えており、載置台と検出部とを備えている。載置台には、外部薬剤導入容器92を載置することができる。外部薬剤計量部82は、薬剤分包装置1内に設けられ、オペレータが載置台に容易にアクセス可能な位置に配置されている。
外部薬剤計量部82は、載置台に外部薬剤導入容器92が載せられた状態で、外部薬剤導入容器92に収容された薬剤を外部薬剤導入容器92ごと計量することができる。薬剤分包装置1の外部において外部薬剤導入容器92に薬剤が収容され、その薬剤を収容した状態の外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入して、外部薬剤計量部82で外部薬剤導入容器92ごと薬剤の計量を行なってもよい。計量が行われた後、外部薬剤導入容器92は、搬送部14(第2搬送部14b)によって外部薬剤計量部82から薬剤排出部32へ搬送される。
薬剤分包装置1の外部において、乳鉢または秤量皿などの、外部薬剤導入容器92とは異なる容器に薬剤が収容される場合、その容器を外部薬剤計量部82の載置台に載せて、当該容器ごと薬剤の計量を行なってもよい。この場合、計量が行われた後で、容器から外部薬剤導入容器92に薬剤が移し替えられる。搬送部14が空の状態の外部薬剤導入容器92を第2保管部12から薬剤排出部32へ搬送し、薬剤排出部32へ搬送された外部薬剤導入容器92に薬剤が移し替えられてもよい。薬剤分包装置1の外部に外部薬剤導入容器92が取り出されて、薬剤分包装置1の外部において外部薬剤導入容器92に薬剤が移し替えられてもよい。薬剤が移し替えられた後の外部薬剤導入容器92は、供給待機部23もしくは後述の第2取出部26などにセットされて搬送部14によって薬剤排出部32へ搬送されてもよく、または直接薬剤排出部32にセットされてもよい。
制御部50は、調剤データに基づいて、薬剤分包装置1の各部(具体的には、量り取り部30、搬送部14、薬剤排出部32及び分包部33等)を制御することができる。制御部50は、薬剤分包装置1の一部として構成されてもよく、他の薬剤分包装置95等の他の調剤機器を制御する調剤機器制御装置の一部として構成してもよい。
詳細に説明すると、制御部50は、公知のコンピュータとして構成されており、CPU等の演算装置と、フラッシュメモリ又はハードディスク等の記憶装置と、外部と通信するための入出力部と、を備える。記憶装置には、各種のプログラムや設定値が記憶されている。演算装置は、各種プログラム等を記憶装置から読み出し、薬剤分包装置1の各部に設けられたセンサの検出値及び記憶装置に記憶された各種の設定値等に基づいて、薬剤分包装置1の各部の動作を制御する。制御部50は、上記したソフトウェアとハードウェアとを協働させて、図4に示す記憶部61、量り取り選択部62、及び案内部65における処理をし、その処理の結果としての指令信号の出力をすることにより、薬剤分包装置1を動作させることができる。
記憶部61は、前述のように外部から入力された調剤データを記憶することができる。また、記憶部61は、第1情報処理部16で読み取った薬剤収容庫15の収容薬剤情報を、薬剤分包装置1内に配置された薬剤収容庫15の配置情報として記憶する。また、記憶部61は、薬剤分包装置1を動作するために必要な様々な設定値を記憶することができる。
また、記憶部61は、薬剤についての固有情報である薬剤マスタ情報等の各種データを記憶する。このマスタ情報には、例えば、薬剤コード、薬剤名、JANコード(又はRSS)、薬瓶(薬剤容器)コード、区分(剤形:散薬、錠剤、外用薬等)、比重、薬剤種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬等)、配合変化、注意事項、常用量、同時服用禁止情報等が含まれる。
また、記憶部61は、容器固有情報(容器の識別番号、容器の種類等)を容器マスタ情報として記憶することができる。
量り取り選択部62は、調剤データに含まれる薬剤のうち少なくともいずれか1つが、分包部33の能力の事情で分包できない場合に、当該薬剤のうち量り取り部30で量り取りができる薬剤について、量り取り部30による量り取り動作を実行するか否かを、オペレータに選択させることができる。選択を実現する構成は様々であるが、例えば、量り取り選択部62が選択肢(例えば、実行する/しないのボタン)を表示部21に表示させ、操作部22を用いてオペレータに選択させてもよい。
案内部65は、オペレータに案内(指示)を行うことができる。案内部65は、例えば、調剤データに含まれる薬剤のうち少なくとも何れかが分包部33の能力の事情で分包できない場合に、量り取り部30によって量り取られた薬剤を、他の薬剤分包装置95を使用して分包すべきことを、オペレータに知らせることができる。また、案内部65は、薬剤収容庫15から内部計量容器91に供給された薬剤が調剤データに基づく全服用分の量に対して不足する場合に、分包部33による分包動作を実行可能にするための対応として、外部導入対応を行うことが可能であることをオペレータに知らせることができる。
外部導入対応とは、オペレータが薬剤分包装置1の外部で所定量(全服用分)の薬剤を用意し、その所定量の薬剤を薬剤分包装置1に導入する対応である。外部導入対応は、所定量の薬剤を、その薬剤を収容する外部薬剤導入容器92ごと薬剤分包装置1に導入する態様と、薬剤のみを薬剤分包装置1に導入する態様とを含む。このとき、補充対応又は薬剤収容庫導入対応を行うことが可能であることをオペレータに知らせることもできる。補充対応とは、薬剤収容庫15に薬剤を補充する対応である。薬剤収容庫導入対応とは、必要な量の薬剤が入っている薬剤収容庫15を薬剤分包装置1に導入する対応である。
案内部65がオペレータへの案内を実現する方法は様々であるが、例えば、表示部21に適宜のメッセージを表示させることが考えられる。案内は、例えば、音声、又は通知ランプ等により行われてもよい。
次に、図2を参照して、薬剤分包装置1に設定される様々な位置について説明する。これらの位置は何れも、搬送部14による容器の搬送元及び搬送先となり得る。
第1待機位置P1は、第1保管部11において、薬剤を収容していない内部計量容器91が待機可能な位置である。第1待機位置P1は、第1保管部11で複数の内部計量容器91が保管されている保管位置ということもできる。
第2待機位置P2は、第2保管部12において、薬剤を収容していない外部薬剤導入容器92が待機可能な位置である。第2待機位置P2は、第2保管部12で複数の外部薬剤導入容器92が保管されている保管位置ということもできる。
第3待機位置P3は、第3保管部13において、薬剤を収容していない搬出容器93が待機可能な位置である。第3待機位置P3は、第3保管部13で複数の搬出容器93が保管されている保管位置ということもできる。
計量位置P4は、計量部18が内部計量容器91又は搬出容器93に収容される薬剤の計量を行う位置である。
第1取出位置P5は、内部計量容器91又は搬出容器93を薬剤分包装置1の外部に取り出すための位置である。たとえば、量り取り部30において薬剤収容庫15から内部計量容器91又は搬出容器93へ薬剤を量り取る場合であって、薬剤収容庫15に収容されている薬剤の量が不足している等のために取り出し量(計測量)が目標量である全服用分の量に対して不足したときに、目標量に満たない薬剤を収容する内部計量容器91又は搬出容器93を当該薬剤分包装置1の外部に取り出すために、第1取出位置P5が用いられる。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第1取出部25を介して行われる。
本実施形態では、第1取出位置P5は計量位置P4と異なる位置に設定されている。これに限られず、たとえば計量位置P4が第1取出位置P5を兼ねる設定としてもよい。
第2取出位置P6は、薬剤分包装置1の外部で薬剤を用意する場合に、薬剤を収容する前の外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1の外部に取り出すための位置である。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第2取出部26を介して行われる。第2取出位置P6は、薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を収容した外部薬剤導入容器92又は内部計量容器91を薬剤分包装置1に導入するためにセットする位置(導入位置)を兼ねてもよい。導入された容器が計量部18に搬送されて、計量部18において容器ごと薬剤の計量が行われてもよい。第2取出位置P2は、外部薬剤計量部82において薬剤分包装置1の外部で用意され外部薬剤導入容器92に収容される薬剤を計量する位置としてもよい。つまり第2取出位置P2は、後述の外部薬剤計量位置P12を兼ねてもよい。
第3取出位置P7は、薬剤分包装置1の外部に搬出容器93を取り出すための位置である。たとえば、薬剤分包装置1で薬剤の量り取りを行うが分包は行わない場合に、量り取り部30で量り取られた薬剤を収容する搬出容器93を薬剤分包装置1の外部に取り出すために、第3取出位置P7が用いられる。この取り出しは、薬剤分包装置1に設けられた第3取出部27を介して行われる。
供給待機位置P8は、分包部33で容器から薬剤を排出して分配皿34aに供給する前の内部計量容器91または外部薬剤導入容器92を待機させておく位置である。供給待機位置P8は、薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を収容した外部薬剤導入容器92又は内部計量容器91を、薬剤分包装置1に導入するためにセットする位置(導入位置)でもある。供給待機位置P8は、前述の供給待機部23に設定されている。供給待機位置P8は、第1取出位置P5、第2取出位置P6、又は第3取出位置P7を兼ねてもよい。供給待機位置P8は、外部薬剤計量部82において薬剤分包装置1の外部で用意され外部薬剤導入容器92に収容される薬剤を計量する位置としてもよい。つまり供給待機位置P8は、後述の外部薬剤計量位置P12を兼ねてもよい。
量り取り部30で薬剤の量り取りが完了した後の内部計量容器91は、薬剤排出部32へ搬送される前に、必要に応じて供給待機位置P8で待機する。外部薬剤導入容器92は、必要に応じて、第2保管部12から搬出されたままの空の状態で、または薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を収容した状態で、供給待機位置P8で待機する。
供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2は、薬剤排出部32において分配皿34aへの薬剤の供給が行われる際の内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92の位置である。第2搬送部14bは、供給待機位置P8から供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2のいずれかへ、内部計量容器91を搬送する。薬剤分包装置1の外部から、薬剤を収容する外部薬剤導入容器92又は内部計量容器91を薬剤分包装置1に導入する場合には、その容器の導入位置が供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2のいずれかに設定されて、オペレータが薬剤排出部32に容器を直接セットする設定としてもよい。
前述のように、薬剤分包装置1は複数(具体的には、4つ)の薬剤排出部32を備えており、4つの薬剤排出部32に供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2が割り当てられている。図3に示されるように、供給位置P9-L1,P9-L2は、左側の分配皿34aに薬剤を排出する位置であり、供給位置P9-R1,P9-R2は、右側の分配皿34aに薬剤を排出する位置である。図3においては、図中の下側が薬剤分包装置1の前側である。供給位置P9-L1,P9-R1は、供給位置P9-L2,P9-R2よりも前方に配置されている。供給位置P9-L2,P9-R2は、供給位置P9-L1,P9-R1よりも装置の奥側にある。
そのため、薬剤分包装置1の外部からオペレータが薬剤排出部32に容器をセットする場合には、装置の手前側にある供給位置P9-L1,P9-R1への容器の取り付けがより容易であり、装置の奥側にある供給位置P9-L2,P9-R2への容器の取り付けがより困難とされている。
清掃待機位置P10は、内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92が、清掃部38における清掃を待機する位置である。清掃待機位置P10は、前述の清掃待機部37に設定されている。
清掃位置P11は、内部計量容器91又は外部薬剤導入容器92が清掃部38によって清掃される位置である。供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2で分配皿34aに薬剤を排出し終えると、内部計量容器91および外部薬剤導入容器92は、清掃位置P11を経由して、それぞれ第1待機位置P1および第2待機位置P2へ戻る。なお、薬剤分包装置1に第2保管部12が設けられず、薬剤分包装置1の外部に外部薬剤導入容器92が保管される構成の場合、外部薬剤導入容器92は、オペレータにより供給位置から取り外されて、外部で清掃された後に、第2待機位置P2へ戻される。
外部薬剤計量位置P12は、薬剤分包装置1の外部で用意され外部薬剤導入容器92に収容される薬剤を計量する位置である。外部薬剤計量位置P12は、前述の外部薬剤計量部82に設定されている。
本実施形態において、供給待機位置P8及び清掃待機位置P10は、搬送部14による容器の搬送の中継地点として機能する。
具体的に説明すると、第1搬送部14aは、上記の第1待機位置P1、第2待機位置P2、第3待機位置P3、計量位置P4、第1取出位置P5、第2取出位置P6、第3取出位置P7、供給待機位置P8、及び清掃待機位置P10の間で、容器を搬送可能に構成されている。一方、第2搬送部14bは、供給待機位置P8、供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2、清掃待機位置P10及び外部薬剤計量位置P12の間で、容器を搬送可能に構成されている。
従って、制御部50が第1搬送部14aにより内部計量容器91等を供給待機位置P8まで搬送した後、搬送された内部計量容器91等を適宜のタイミングで供給待機位置P8から第2搬送部14bにより搬送することができる。また、第2搬送部14bにより内部計量容器91等を清掃待機位置P10まで搬送した後、搬送された内部計量容器91等を適宜のタイミングで清掃待機位置P10から第1搬送部14aにより搬送することができる。
本実施形態では、第2保管部12に保管された外部薬剤導入容器92を、第1搬送部14aにより第2取出位置P6まで搬送して薬剤分包装置1の外部に取り出すことができるように構成したが、第2保管部12に保管された外部薬剤導入容器92をオペレータが取り出すことができるようにしてもよい。この場合、第2保管部12は、薬剤分包装置1の外部に設けられていてもよい。
次に、薬剤分包装置1を使用して行う薬剤の供給及び分包の処理について説明する。図7および図8は、薬剤の供給および分包の処理の流れを示すフロー図である。
まず、薬剤分包装置1への調剤データの入力が行われる(図7のステップS101)。制御部50は、調剤データの入力画面を表示部21に表示する。調剤データには、例えば服用者、薬剤情報、目標量、計量結果(計測量又は目標量に対する不足量、余剰量)、各調剤データを識別する識別情報(調剤データ番号等)が含まれる。薬剤情報とは、服用する1又は複数の薬剤名、剤形(散剤/錠剤/カプセル剤/液剤/外用薬)、服用法、服用量を含む情報である。服用法とは、1日の服用回数、服用時期、服用日数であり、服用量とは、全服用分の量(例えば重量)、一日服用分の量(重量)、一服用分の量(重量)等である。薬剤情報が示す薬剤に賦形剤が含まれる場合には、賦形剤を薬剤情報が示す薬剤の一つとして取り扱う。
オペレータは、この入力画面に対して、操作部22を用いて調剤データを入力する。オペレータにより入力された調剤データは、制御部50の記憶部61に記憶される。なお、オペレータが手動で調剤データを入力する構成に加えて、外部の調剤機器制御装置等の情報処理装置から通信により薬剤分包装置1に調剤データを入力してもよい。
調剤データの入力が完了すると、調剤指示が行われる(ステップS102)。調剤指示には、薬剤収容庫15に収容されている薬剤の供給および分包(前述の第1動作)をする指示と、薬剤収容庫15に収容されている薬剤を量り取って分包はせずに薬剤分包装置1の外部に搬出(前述の第2動作)をする指示とが含まれる。オペレータは、操作部22を用いて、制御部50に対して調剤指示を入力する。
次に、制御部50は、前のステップS102での調剤指示が、分包であるか否かを判断する(ステップS103)。分包が指示されたと判断された場合(ステップS103においてYES)、ステップS104に進み、制御部50は、調剤データに含まれる薬剤の服用量に基づいて、分包を実行可能であるか否かの判断を実行する。
なお、調剤指示は省略されてもよい。調剤指示が省略される場合、制御部50は、入力されるすべての調剤データに関して分包が指示されたものとして、調剤データに含まれる薬剤の服用量に基づいて、分包を実行可能であるか否かの判断を実行するようにする。
ここで、図9,10を参照して、分包の実行可否の判断についての詳細を説明する。図9は、分包の実行可否を判定するための設定値について示す図である。
図9に示される第1設定値は、分包部33の能力に従った、全服用分の重量として分包可能な薬剤の重量の下限値である。調剤データに含まれる分包対象薬剤の全服用分の重量が第1設定値より少なければ、分包部33は、その分包対象薬剤を分包することができない。第1設定値は、記憶部61に記憶されている。第1設定値は、たとえば、薬剤排出部32において容器から排出され分配皿34aに供給される薬剤が、分配皿34aに均等に振り撒かれて、分配皿34a上に均一に堆積するために必要な量として、設定される。図9に示される第1条件は、調剤データに含まれる分包対象薬剤の全服用分の重量が、第1設定値以上であるという条件である。
図9に示される第2設定値は、分包部33の能力に従った、一服用分の重量として分包可能な薬剤の重量の下限値である。第2設定値は、記憶部61に記憶されている。第2設定値は、たとえば、分配皿34aに均一に堆積された薬剤が分配皿34aから送り部34bによって送られる量を均等にするために必要な量として、設定される。図9に示される第2条件は、調剤データに含まれる分包対象薬剤の一服用分の重量が、第2設定値以上であるという条件である。
第1設定値及び第2設定値は、薬剤分包装置1が設置される病院や薬局の内規等に基づいて、オペレータが任意で設定してもよい。この場合、第1設定値及び第2設定値は、分包部33において分包可能な薬剤の重量の下限値以上であることを条件に設定できるようにしてもよい。また、第1設定値及び第2設定値は、薬剤の種類毎に設定できるようにしてもよい。
図9に示される第3設定値は、量り取り部30の能力に従った、量り取ることができる薬剤の重量の下限値である。第3設定値は、第1設定値よりも小さい値である。第3設定値は、記憶部61に記憶されている。第3設定値は、たとえば、計量部18の最小計量値を考慮して設定されてもよい。図9に示される第3条件は、調剤データに含まれる分包対象薬剤の全服用分の重量が、第3設定値以上であるという条件である。
図9に示される薬剤収容庫登録とは、調剤データに含まれる分包対象薬剤を収容する薬剤収容庫15が、薬剤分包装置1に登録されているか否かの条件である。登録されている薬剤収容庫15の情報は、記憶部61に記憶されている。登録のない薬剤収容庫15は、記憶部61に記憶されていない。なお、薬剤収容庫15が薬剤分包装置1に登録されていると判断するには、登録されている薬剤収容庫15が、分包の実行可否を判断する時点で薬剤分包装置1内に収容されている必要は必ずしもない。
制御部50は、第1条件が満たされている場合、薬剤分包装置1による分包が実行可能であると判定する。より詳細には、第1条件が満たされており、かつ、薬剤収容庫15の登録がある場合、図9に示される「カセット分包」、すなわち、薬剤分包装置1を使用した供給および分包が可能であると判定される。第1条件が満たされているが薬剤収容庫15の登録がない場合、図9に示される「手差し分包」、すなわち、外部導入対応によって薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を外部薬剤導入容器92に収容して、その外部薬剤導入容器92から供給された薬剤を分包する処理が可能であると判定される。
制御部50は、第1条件が満たされていない場合、薬剤分包装置1が分包を実行不可能であると判定する。この場合において、薬剤収容庫15の登録がある場合、図9に示される「カップ出し」、すなわち、量り取り部30で薬剤収容庫15から搬出容器93に薬剤を取り出し、取り出した薬剤を計量し、搬出容器93を薬剤分包装置1の外部へ搬出する処理が可能であると判定される。搬出された薬剤は、たとえば、他の薬剤分包装置95に導入されて、他の薬剤分包装置95において分包される。
制御部50は、第1条件が満たされておらず、かつ、薬剤収容庫15の登録がない場合、図9に示される「不可」、すなわち、薬剤分包装置1としては何の処理も実行しないと判定する。
制御部50は、第2条件が満たされていない場合は、薬剤分包装置1が分包を実行不可能であると判定する。分包対象薬剤の全服用分の重量が第1設定値以上の条件を満たしている場合でも、分包対象薬剤の一服用分の重量が第2設定値未満であれば、分包は不可能であると判定される。この場合において、薬剤収容庫15の登録がある場合には「カップ出し」が可能と判定され、薬剤収容庫15の登録がない場合には「不可」と判定される。
制御部50は、第3条件が満たされていない場合は、薬剤収容庫15の登録の有無にかかわらず、「不可」と判定する。
分包対象薬剤の全服用分の重量に基づいて分包の実行の可否を判断し、分配皿34a上に均等に振り撒けない程度に薬剤の全服用分の重量が少ない場合には、分包を実行不可能と判断する。これにより、薬剤分包装置1は、調剤データに従った薬剤を均等に分包することができる。
分包対象薬剤の一服用分の重量に基づいて分包の実行の可否を判断し、分配皿34aからホッパ35aに均等に薬剤を送ることができない程度に薬剤の一服用分の重量が少ない場合には、分包を実行不可能と判断する。これにより、薬剤分包装置1は、調剤データに従った薬剤を均等に分包することができる。
図10は、調剤データが複数の薬剤を含みこれら複数の薬剤を一包化する場合の、調剤データ全体としての分包の実行可否の判断について示す図である。図10に示す第1~15の調剤データは、薬剤A、薬剤B、薬剤Cおよび薬剤Dの4種類の薬剤の、1つまたは複数を含んでいる。図9に示される薬剤毎の判定によって、薬剤Aは「カセット分包」が可能、薬剤Bは「手差し分包」が可能、薬剤Cは「カップ出し」が可能、薬剤Dは「不可」と判定されている。
分包可能と判定された薬剤A,Bのみを含む第1~3の調剤データの場合、薬剤分包装置1が調剤データに含む薬剤をまとめて分包することができるので、制御部50は、薬剤分包装置1が分包をすると判断する。
「カップ出し」が可能と判定された薬剤Cを含む第4~7,12~15の調剤データの場合、薬剤分包装置1は調剤データに含む薬剤をまとめて分包することができないので、制御部50は、薬剤分包装置1がカップ出しをすると判断する。この場合は、「カップ出し」が可能と判定された薬剤Cについては、薬剤分包装置1がカップ出しをする。「カセット分包」が可能と判定された薬剤Aを含む場合は、その薬剤Aについても、薬剤分包装置1がカップ出しをする。一方、「手差し分包」が可能と判定された薬剤Bを含む場合、その薬剤Bについて、薬剤分包装置1は何もしない。「不可」と判定された薬剤Dを含む場合、その薬剤Dについても、薬剤分包装置1は何もしない。すなわち、薬剤収容庫15から取り出せる薬剤については薬剤分包装置1がカップ出しをし、その他の薬剤についてはオペレータが手作業で計量し、これらの薬剤を、他の薬剤分包装置95でまとめて分包することになる。
「カセット分包」が可能と判定された薬剤Aと「不可」と判定された薬剤Dとを含む第9,11の調剤データの場合も、薬剤分包装置1は調剤データに含む薬剤をまとめて分包することができないので、制御部50は、薬剤分包装置1がカップ出しをすると判断する。この場合、「カセット分包」が可能と判定された薬剤Aについては、薬剤分包装置1がカップ出しをする。一方、「不可」と判定された薬剤Dについて、薬剤分包装置1は何もしない。また、「手差し分包」が可能と判定された薬剤Bを含む場合、その薬剤Bについても、薬剤分包装置1は何もしない。すなわち、薬剤収容庫15から取り出せる薬剤については薬剤分包装置1がカップ出しをし、その他の薬剤についてはオペレータが手作業で計量し、これらの薬剤を、他の薬剤分包装置95でまとめて分包することになる。
不可と判定された薬剤Dのみを含む第8の調剤データ、および「手差し分包」と判定された薬剤Bと薬剤Dとを含む第10の調剤データの場合、制御部50は、この薬剤分包装置1としては何もしないものと判断する。調剤データに含むすべての薬剤について、オペレータが手作業で計量し、他の薬剤分包装置95でまとめて分包することになる。
したがって、図7のステップS104の判断においては、制御部50は、第1~3の調剤データについては分包を実行可能である(YES)と判断し、第4~15の調剤データについては分包を実行不可能である(NO)と判断する。
ステップS104の判断において分包を実行可能と判断された場合、次に制御部50は、すべての薬剤収容庫15が登録されているか否かを判断する(ステップS105)。この判断では、薬剤収容庫15の登録の有無について判断され、薬剤収容庫15が登録されていると判断するには、その登録された薬剤収容庫15が薬剤分包装置1に導入されている必要は必ずしもない。
「手差し分包」と判定された薬剤Bを含まない調剤データ、すなわち図10に示される例では第1の調剤データの場合、全ての薬剤収容庫が制御部50に登録されており、調剤データに含まれる薬剤の全てを薬剤分包装置1により供給および分包可能であると判断される。
「手差し分包」と判定された薬剤Bを含む調剤データ、すなわち図10に示される例では第2,3の調剤データの場合、いずれかの薬剤収容庫が制御部50に登録されておらず、調剤データに含まれる薬剤の全てを薬剤分包装置1により供給可能ではないと判断される。
すべての薬剤収容庫が登録されていると判断された場合(ステップS105においてYES)、薬剤収容庫15からの薬剤の量り取りが実行される(ステップS106)。ステップS106の処理において、必要な薬剤収容庫15が薬剤分包装置1に導入されていない場合には、前述の薬剤収容庫導入対応をすることで、量り取りを継続できる。または、薬剤収容庫導入対応に替えて、薬剤収容庫15が登録されていない場合と同様に後述のステップS109に進み、外部導入対応をすることも可能である。
続いて、量り取られた薬剤を収容する内部計量容器91から分配皿34aへの薬剤の供給が実行され(ステップS107)、包装部35における薬剤の包装が実行される(ステップS108)。制御部50は、調剤データに含まれる分包対象薬剤を薬剤分包装置1で分包可能であると判断した場合に、自動的に、分包対象薬剤の供給および分包を実行する。そして、処理を終了する(END)。
薬剤分包装置1に入力された調剤データに基づいて制御部50が分包対象薬剤の分包の可否を判断し、分包可能であると判断した場合に自動的に分包対象薬剤の供給および分包が実行される。これにより、調剤データの入力を受け付けてから分包対象薬剤の分包を完了するまでに要する時間を、短縮することができる。
ステップS105の判断において、すべての薬剤収容庫が登録されていないと判断された場合(ステップS105においてNO)、制御部50は、一部の薬剤収容庫が登録されているか否かを判断する(ステップS109)。
第2,3の調剤データのうち、「カセット分包」と判定された薬剤Aを含む第3の調剤データの場合、すべての薬剤収容庫が登録はされていないが、一部の薬剤収容庫は登録されていると判断される。「手差し分包」と判定された薬剤Bのみを含む第2の調剤データの場合、すべての薬剤収容庫が登録されていないと判断される。
一部の薬剤収容庫が登録されていると判断された場合(ステップS109においてYES)、登録されている薬剤について、薬剤収容庫15からの量り取りが実行され(ステップS110)、量り取られた薬剤を収容する内部計量容器91から分配皿34aへの薬剤の供給が実行される(ステップS111)。分配皿34aに供給された薬剤の分包は待機される。
この内部計量容器91から分配皿34aへの薬剤の供給の際に、制御部50は、左側の分配皿34aを使用するのであれば装置の奥側にある供給位置P9-L2に内部計量容器91を搬送し、右側の分配皿34aを使用するのであれば装置の奥側にある供給位置P9-R2に内部計量容器91を搬送するように、第2搬送部14bを制御する。制御部50は、外部薬剤導入容器92の取り付けがより困難な供給位置P9-L2またはP9-R2に、内部計量容器91を割り当てる。
続いて制御部50は、薬剤収容庫が登録されていない薬剤について、調剤データに従った全服用分を薬剤分包装置1の外部で用意して薬剤分包装置1に導入する、外部導入対応の案内を実行する(ステップS112)。
ステップS109の判断において、すべての薬剤収容庫が登録されていないと判断された場合(ステップS109においてNO)、ステップS110,S111の処理はスキップされ、ステップS112の外部導入対応の案内が実行される。
外部導入対応を実行する場合、制御部50は、表示部21の表示等によって、外部導入対応を行うことを案内してもよい。表示部21を見たオペレータは、その表示に従って、薬剤分包装置1の外部において、たとえば手作業で、表示された所定の種類および量の薬剤を用意する。
または制御部50は、印刷部24から薬剤に関する情報を印刷出力することにより、外部導入対応を行うことを案内してもよい。図11は、印刷出力の第1の例を示す図である。図11に示されるように、年月日および時分と、薬剤収容庫15から取り出された薬剤(図11においてはA剤)の薬剤名および量り取られた計量値と、外部導入対応をすべき薬剤(図11においてはB剤)の薬剤名および用意すべき量と、が印刷された用紙240が、印刷部24から出力されてもよい。
図12は、印刷出力の第2の例を示す図である。図12に示される例では、薬剤収容庫15から取り出された薬剤はなく、外部導入対応をすべき複数の薬剤(図12においてはA剤およびB剤)の各々の薬剤名および用意すべき量が、用紙240に印刷されている。
印刷部24から出力された用紙240を見たオペレータは、用紙240の記載に従って、薬剤分包装置1の外部において、たとえば手作業で、記載された所定の種類および量の薬剤を用意する。
制御部50は、搬送対象とする外部薬剤導入容器92を決定する。制御部50は、第1搬送部14aを制御して、搬送対象の外部薬剤導入容器92を、第2保管部12(第2待機位置P2)から第2取出部26(第2取出位置P6)へ搬送する。オペレータは、外部薬剤導入容器92を、第2取出位置P6から取り出す。オペレータは、用意した薬剤を外部薬剤導入容器92に収容する。
オペレータは、薬剤を収容した外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入するためのロック解除を、操作部22を操作することにより行う。オペレータは、外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入する。このときオペレータは、外部薬剤計量部82の載置台に外部薬剤導入容器92を載せて、外部薬剤導入容器92に収容された薬剤を、外部薬剤導入容器92ごと計量する。オペレータは、外部薬剤導入容器92を導入したことを、操作部22を用いて、入力する。または、外部薬剤計量部82の計量の結果に基づいて所定量の薬剤が外部薬剤導入容器92に収容されたことを検知することで、制御部50は外部薬剤導入容器92が導入されたと判断してもよい。
制御部50は、外部薬剤導入容器92が導入されたか否かを判断する(図9のステップS113)。外部薬剤導入容器92が導入されていないと判断された場合(ステップS113においてNO)、ステップS113の判断が繰り返される。制御部50がオペレータの入力を受け付けることで、外部薬剤導入容器92が導入されたと判断される。薬剤分包装置1の再ロックは、オペレータが再ロックのための操作をすることで行われてもよい。または、外部薬剤導入容器92が導入されたと判断された場合に、薬剤分包装置1が自動で再ロックされてもよい。
外部薬剤導入容器92が導入されたと判断された場合(ステップS113においてYES)、制御部50は、第2搬送部14bを制御して、薬剤分包装置1に導入された外部薬剤導入容器92を、外部薬剤計量部82(外部薬剤計量位置P12)からいずれかの容器取付部32a(供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2のいずれか)に搬送する。
続いて、外部薬剤導入容器92に収容された薬剤の分配皿34aへの供給が行われる(ステップS114)。その後、分配皿34aへ供給された薬剤の分包が実行される(図8のステップS108)。そして、処理を終了する(END)。
分包対象薬剤を分包可能であると判断されたが、その薬剤に対応する薬剤収容庫15が登録されていない場合には、その薬剤の供給および分包は待機される。その薬剤を薬剤分包装置1の外部で外部薬剤導入容器92に収容して、その外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入することで、分包が実行可能である。外部導入対応が必要とされる場合に、オペレータが迅速に外部導入対応をすることで、分包の待ち時間を長時間発生することがないので、分包処理に要する時間を短縮することができる。
外部導入対応をする際に、薬剤分包装置1の外部で用意される薬剤は、薬剤分包装置1に設けられた外部薬剤計量部82で計量される。薬剤分包装置1は、薬剤分包装置1の外部で用意され、外部薬剤導入容器92に収容される薬剤を計量する、外部薬剤計量部82を備えている。薬剤分包装置1とは別の計量装置を用意する必要がないため、薬剤分包装置1の構成を簡略化することができ、したがって装置の小型化およびコスト低減を達成することができる。
外部薬剤導入容器92に薬剤が収容された状態で薬剤分包装置1に導入され、外部薬剤計量部82が外部薬剤導入容器92に収容された薬剤を外部薬剤導入容器92ごと計量するように構成されている。外部薬剤計量部82で計量した後に薬剤を移し替えなくてもよいので、作業性を向上することができる。
外部薬剤計量部82で計量された薬剤および外部薬剤導入容器92が搬送部14によって薬剤排出部32へ自動で搬送されるように構成されているので、作業性をさらに向上することができる。
分包対象薬剤を分包可能であると判断されたが、分包対象薬剤の一部のみに対応する薬剤収容庫15が登録されている場合には、先にその登録されている薬剤収容庫15から量り取られた薬剤の供給が実行される。その後、外部導入対応の案内がなされる。これにより、薬剤分包装置1が薬剤を供給する動作が、オペレータが外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入しようとする手動の動作によって妨げられることがないため、複数種類の薬剤を効率的に供給し分配することができる。
登録されている薬剤収容庫15から量り取られた薬剤を分配皿34aへ供給した後、外部導入対応の案内がなされることで、オペレータが外部薬剤導入容器92を薬剤分包装置1に導入しようとする手動の動作が、分配皿34aへの薬剤の供給を妨げることがない。したがって、複数種類の薬剤を効率的に供給し分配することができる。
制御部50が、外部導入対応されるべき薬剤に関する情報を出力することにより、オペレータは、その出力に従って、外部薬剤導入容器92に正確な種類および量の薬剤を収容することができる。
制御部50が、薬剤収容庫15から量り取られた薬剤の計量値の実測値を出力することにより、実際に量り取られた薬剤の量に関する記録を残すことができる。
制御部50は、印刷部24に薬剤に関する情報を出力させることにより、オペレータはその印刷された記録媒体を参照して外部導入対応をすることができる。またその印刷された記録媒体を、薬剤収容庫15から量り取られた薬剤の計量値の実測値の記録として用いることができる。
ステップS104の判断において分包を実行不可能と判断された場合(ステップS104においてNO)、薬剤の量り取りは自動的には実行されない。この場合、薬剤分包装置1を用いて薬剤の量り取りを実行するか否かのオペレータによる選択が行われる(ステップS115)。制御部50は、表示部21に、対象の薬剤と、その薬剤の量り取りを行うかどうかをオペレータに選択させる選択画面とを、表示する。オペレータは、操作部22を操作することにより、量り取りを実行するかどうかの選択を、制御部50に入力する。
オペレータが量り取りを実行しないとの選択をしたと判断された場合(ステップS115においてNO)、薬剤分包装置1は、そのまま処理を終了する(END)。
オペレータが量り取りを実行するとの選択をしたと判断された場合(ステップS115においてYES)、量り取りが実行され、搬出容器93に薬剤が収容される(ステップS116)。
ステップS103の判断において、前のステップS102での調剤指示が分包ではない、すなわち量り取りであると判断された場合(ステップS103においてNO)にも、ステップS116において、量り取りが実行され、搬出容器93に薬剤が収容される。量り取りが実行された後の搬出容器93は、第3取出位置P7などの、薬剤分包装置1の外部への搬出容器93の取り出しが可能な位置に、搬送される。その後、処理を終了する(END)。
制御部50が、薬剤分包装置1によって分包対象薬剤を分包不可能であると判断した場合には、その分包対象薬剤の供給および分包は待機され、供給および分包は実行されない。オペレータが選択した場合に、その薬剤の量り取りのみが実行される。待機中に、次の調剤データが薬剤分包装置1に入力され、その次の調剤データに含まれる分包対象薬剤が分包可能であると判断されたならば、自動的に、その次の調剤データに含まれる分包対象薬剤の供給および分包が実行される。
制御部50は、すべての薬剤収容庫15が登録されていないと判断された場合(ステップS109においてNO)には、分包対象薬剤の供給および分包は待機され、供給および分包は実行されないようにしてもよい。待機中に、次の調剤データが薬剤分包装置1に入力され、その次の調剤データに含まれる分包対象薬剤が分包可能であると判断され、すべての薬剤収容庫15が登録されていると判断されたならば、自動的に、その次の調剤データに含まれる分包対象薬剤の供給および分包が実行される。これにより、外部導入対応を行う必要がない調剤データについて、供給および分包を優先的に実行することができる。
分包不可能と判断された薬剤については、薬剤分包装置1での供給は待機されて、分包が実行されることがないので、分包不可能な薬剤を薬剤分包装置1が分包しようとして分包量のばらつきなどを発生することがなく、高品質な分包を実現できる。待機中に、分包可能な薬剤を含む次の調剤データが入力された場合には、その次の薬剤を先に分包することができ分包の待ち時間を発生することがないので、分包処理に要する時間を短縮することができる。
[第二実施形態]
図13は、第二実施形態に係る薬剤分包装置1の概略構成図である。第二実施形態に係る薬剤分包装置1は、薬剤収容庫15から取り出され内部計量容器91に収容される薬剤を計量する計量部18が、外部薬剤計量部82を兼ねている点において、図2に示される第一実施形態とは異なっている。
外部導入対応を実行する場合、オペレータは、計量部18の載置台18aに外部薬剤導入容器92を載せる。計量部18は、外部薬剤導入容器92に収容された薬剤を、外部薬剤導入容器92ごと計量する。制御部50は、第1搬送部14aを制御して、計量が実行された後の外部薬剤導入容器92を、計量部18(計量位置P4)から供給待機部23(供給待機位置P8)へ搬送する。制御部50は、第2搬送部14bを制御して、外部薬剤導入容器92を、供給待機部23(供給待機位置P8)からいずれかの容器取付部32a(供給位置P9-L1,P9-L2,P9-R1,P9-R2のいずれか)に搬送する。続いて、外部薬剤導入容器92に収容された薬剤の分配皿34aへの供給が行われる。
第二実施形態の薬剤分包装置1では、内部計量容器91に収容される薬剤を計量する計量部18が、薬剤分包装置1の外部で用意される薬剤を計量する外部薬剤計量部82を兼ねている。計量部18とは別の構成として外部薬剤計量部82を設けなくてもよいため、薬剤分包装置1の構成をさらに簡略化することができる。
薬剤分包装置1の外部で薬剤を収容した外部薬剤導入容器92は、計量部18に直接セットされてもよく、第2取出部26(第2取出位置P2)などの他の位置にセットされて第1搬送部14aによって計量部18に搬送されて計量が実行されてもよい。
第二実施形態においても、薬剤分包装置1の外部で外部薬剤導入容器92に薬剤を必ずしも収容しなくてもよい。第一実施形態で説明した通り、薬剤分包装置1の外部において、乳鉢または秤量皿などの、外部薬剤導入容器92とは異なる容器に薬剤が収容されてもよい。この場合、その容器を計量部18の載置台18aに載せることで、計量が行われる。その後、その容器から外部薬剤導入容器92に、薬剤が移し替えられる。これにより、薬剤分包装置1の外部で用意された薬剤を、薬剤分包装置1を使用して計量および分包処理することが可能である。
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。