JP7388597B1 - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

Si傾斜磁性材料における低鉄損化および高磁束密度化を実現する。内層部と、前記内層部の両側に位置する表層部との積層構造を有する複層型電磁鋼板であって、前記表層部および前記内層部は所定の成分組成を有し、前記表層部におけるSi含有量:[Si]1と前記内層部におけるSi含有量:[Si]0との差([Si]1-[Si]0)として定義されるΔSiが0.1~0.5質量%であり、前記電磁鋼板の板厚:tに対する前記表層部の合計厚さ:t1の比率(t1/t)が0.04~0.78であり、磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度B50に対する飽和磁化Bsの比(B50/Bs)が0.825以上であり、かつ周波数:800Hz、最大磁束密度:1.0Tにおける鉄損:W10/800と前記板厚tとが式W10/800≦13+80×tを満たすものとする。

Description

本発明は、無方向性電磁鋼板、特に板厚方向にSi濃度勾配を有する無方向性電磁鋼板に関する。
例えば、ドローン用モータやサーバ用ファンモータは、小型化・軽量化・高効率化の観点より400Hz~1kHzといった高周波域での駆動が行われるようになってきている。このようなモータのコア材として使用される無方向性電磁鋼板には高周波鉄損が低く、かつ磁束密度の高い特性が要望されている。
高周波鉄損を低減するためには固有抵抗の増大が効果的であるため、従来は高Si鋼の開発が行われている。しかし、Siは非磁性元素であるため、磁束密度、ならびに飽和磁化が低下するという問題があった。
高周波鉄損の低減と高磁束密度を両立する手法として、板厚方向のSi濃度勾配を制御する、いわゆるSi傾斜磁性材料が開発されている。例えば、特許文献1には、板厚方向にSiの濃度勾配を有し、鋼板表面のSi濃度が鋼板の板厚中心部のSi濃度よりも高く、Si 濃度5~8%の部分が、鋼板の両表面から板厚深さ方向に板厚の10%以上であって、かつ板厚中心部のSi濃度が3.4%以上である電磁鋼板が開示されている。
特開平11-293422号公報
しかし、板厚方向にSi濃度勾配を付与したのみの材料をドローンや掃除機モータ等(例えば、周波数:400Hz~1kHz、磁束密度:0.8~2.0T)の鉄心材料として使用すると、ヒステリシス損が大きく、かつ磁束密度が低くなるため、鉄損および銅損が十分に低下しない。そこで、本発明は、Si傾斜磁性材料における低鉄損化および高磁束密度化を課題とするものである。
発明者らは、上記の課題の解決に向け低鉄損と高磁束密度を両立すべく、Si傾斜材の磁気特性におよぼす成分の影響に着目して検討を重ねた。その結果、Si傾斜材の表層部と内層部のSi濃度差を適切にし、さらにCoと、SnおよびSbから選ばれる1種または2種とを添加することにより、高周波低鉄損かつ高磁束密度を両立可能であることを見出した。
本発明の要旨は、以下の通りである。
1.内層部と、前記内層部の両側に位置する表層部との積層構造を有する複層型電磁鋼板であって、
前記表層部は、質量%で、Si:4.0~7.0%およびC:0.0010~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である成分組成を有し、
前記内層部は、質量%で、Si:3.5~6.5%およびC:0.0010%~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である成分組成を有し、
前記表層部におけるSi含有量:[Si]と前記内層部におけるSi含有量:[Si]との差([Si]-[Si])として定義されるΔSiが0.1~0.5質量%であり、
前記電磁鋼板の板厚:t(mm)に対する前記表層部の合計厚さ:t (mm)の比率(t/t)が0.04~0.78であり、
飽和磁化Bsに対する磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度B 50 の比(B50/Bs)が0.825以上であり、かつ周波数:800Hz、最大磁束密度:1.0Tにおける鉄損:W10/800 (W/kg)と前記板厚tとが下記(1)式を満たす無方向性電磁鋼板。
10/800≦ 13+80×t ・・・(1)
2.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、P:0.100%以下を含む前記1に記載の無方向性電磁鋼板。
3.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0100%以下含む前記1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
4.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で1.00%以下含む前記1から3のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
5.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、Ca、MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0200%以下含む前記1から4のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
6.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、Znを0.0500%以下含む前記1から5のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
7.前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、MoおよびWから選ばれる1種または2種を合計で0.0500%以下含む前記1から6のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
8.前記複層型電磁鋼板の表面から板厚の1/4の深さの面における方位分布関数のΦ=45°断面において、{100}面集積度の最高強度値が6.0以上である前記1から7のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
9.前記板厚が0.03~0.20mmである前記1から8のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
本発明によれば、低鉄損かつ高磁束密度のSi傾斜磁性材料を提供することができる。
表層部と内層部におけるSi含有量の差([Si]-[Si])として定義されるΔSi(質量%)と、1.0T、800Hzにおける全鉄損:W10/800(W/kg)との相関を示すグラフである。 ΔSiと、磁束密度比(B50/Bs)との相関を示すグラフである。 複層比と全鉄損(W10/800)との相関を示すグラフである。
発明者らは、上記の課題を解決するために種々の実験を行って本発明を導くに到った。これらの実験の一例について、以下に説明する。無方向性電磁鋼板を、内層部とこれを両側から挟む表層部との間にSi含有量差のある、複層型電磁鋼板とする場合に、表層部と内層部とのSi含有量の差ΔSi(以下、単にΔSiとも示す)が磁気特性に与える影響について検討した。すなわち、ΔSiが異なる複層型電磁鋼板を以下の手順で作製し、その磁気特性を評価した。なお、以下に示す「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を示している。
まず、電磁鋼板の板厚(全厚)に対する表層部各々の厚さの比率が0.3(合計で0.6)となるように、内層部用の鋼素材の両面に表層部用の鋼素材を貼り合わせてから、熱間圧延に供した。前記表層部用の鋼素材と内層部用の鋼素材には、いずれも所望の成分組成となるように溶製した、インゴットを用いた。内層部のSi含有量[Si]は4.0%とした。表層部のSi含有量[Si]は4.0%~7.0%の範囲で変化させるようにSi含有量の異なる表層部用の鋼素材を複数用意した。なお、表層部と内層部のいずれについても、C含有量を0.0025%、Co含有量を0.0030%、Sn含有量を0.030%とした。表層部および内層部のいずれの成分組成も、残部はFeおよび不可避的不純物とした。また、表層部の成分組成は、内層部の両側の表層部において同じとした。
前記熱間圧延後、1000℃×30sの熱延板焼鈍を行い、次いで、冷間圧延により板厚を0.10mmとした。その後、1080℃×30sの仕上焼鈍を行って、電磁鋼板を得た。
得られた電磁鋼板のそれぞれから、幅30mmおよび長さ180mmの試験片を採取し、エプスタイン試験を行って磁気特性を評価した。前記エプスタイン試験では、試験片の長さ方向が圧延方向(L方向)となるように採取したL方向試験片と、試験片の長さ方向が圧延直角方向(C方向)となるように採取したC方向試験片とを等量用いて測定し、L方向とC方向における磁気特性の平均値で評価した。
図1に、表層部と内層部におけるSi含有量の差([Si]-[Si])として定義されるΔSi(質量%)と、1.0Tおよび800Hzにおける全鉄損:W10/800(W/kg)との相関を示す。また、図2に、ΔSiと、磁束密度比(B50/Bs)との相関を示す。ここで、前記「磁束密度比」とは、飽和磁化Bsに対する磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度B 50 の比(B50/Bs)を指すものとする。
図1に示した結果から分かるように、ΔSiが0.1質量%以上、0.5質量%以下であれば、鉄損を低く抑えることができる。具体的には、板厚t=0.10mmの場合、次式(1)
10/800 ≦13+ 80×t ・・・(1)
に、板厚t=0.10mmを代入した値である、21.0W/kg以下に鉄損W10/800を抑えることができる。
また、図2に示した結果から分かるように、ΔSiが0.5質量%を超えると、磁束密度比が急激に低下する。これは、次のような理由によると考えられる。すなわち、表層部のSi量が内層部に比べて高い場合、表層部の透磁率が内層部より高くなる。その結果、磁束が表層部に集中し、渦電流損が低下する。しかし、ΔSiが過度に大きいと、それにともなって表層部と内層部との格子定数の差および磁歪の差が大きくなる。その結果、鋼板を磁化した際にかかる応力が増大するため、ヒステリシス損が増加し、中磁場域における磁束密度は低下する。
以上の理由により、本発明では表層部におけるSi含有量と前記内層部におけるSi含有量の差([Si]-[Si])として定義される、ΔSiを0.1~0.5質量%とする。好ましくは、ΔSiが0.2~0.4質量%である。
次に、複層型電磁鋼板の板厚:tに対する、表層部の合計厚さ:t1の比率(t/t)(以下、「複層比」という場合がある)が磁気特性に与える影響について検討した。すなわち、複層比が異なる電磁鋼板を以下の手順で作製し、その磁気特性を評価した。ここで、「表層部の合計厚さ」とは、内層部の両側に設けられている表層部の厚さの和を指す。
まず、表層部用の鋼素材と内層部用の鋼素材を、複層比が0.02~0.80となるように貼り合わせ、熱間圧延した。前記表層用の鋼素材と内層部用の鋼素材は、いずれも所望の成分組成となるように溶製した、インゴットを用いた。表層部のSi含有量[Si]は6.3%、内層部のSi含有量[Si]は6.0%とした。また、表層部および内層部のいずれにおいても、C:0.0030%、Co含有量:0.0015%、Sn含有量:0.050%とし、残部はFeおよび不可避的不純物とした。また、表層部の成分組成は、内層部の両側で同じとした。
前記熱間圧延後、980℃×30sの熱延板焼鈍を行い、次いで、冷間圧延により板厚を0.08mmとした。その後、1100℃×30sの仕上焼鈍を行って、電磁鋼板を得た。
図3に、複層比と全鉄損(W10/800)との相関を示す。この結果より、複層比が0.04~0.78の場合に鉄損が大きく低下していることがわかる。具体的には板厚t=0.08mmの場合、次式(1)
10/800 ≦ 13 + 80×t ・・・(1)
に、板厚t=0.08mmを代入した値である、19.4W/kg以下に鉄損W10/800を抑えることができる。この鉄損の低下は、以下の理由によると考えられる。まず、複層比が0.04未満である場合、高抵抗である表層部の割合が低いため、表層部に集中する渦電流を効果的に低減することができない。一方、複層比が0.78超である場合には表層部と内層部の透磁率差が小さくなるため、内層部にまで磁束が浸透し、内層部からも渦電流損が発生する。したがって、複層比を0.04~0.78とすることによって鉄損を低減できる。以上の理由から、本発明では複層比(t/t)を0.04~0.78とする。好ましくは、t/tが0.10~0.70であり、より好ましくは0.30~0.60である。
なお、内層部を挟む一方の表層部の厚さt1―1と同他方の表層部の厚さt1―2とは、同じであることが好ましいが、必ずしも同じである必要はない。すなわち、t1―1とt1―2とは20%程度(厚い方を100%としたとき、薄い方が80~100%)の厚み差を有していてもよい。
[板厚]
なお、上記複層型電磁鋼板の板厚:tは特に限定されず、任意の値とすることができる。しかし、複層型電磁鋼板が薄すぎると、該複層型電磁鋼板の製造における冷間圧延や焼鈍の実施が困難となり、コストアップを招く場合がある。そのため、製造コスト削減の観点からは、tを0.03mm以上とすることが好ましい。一方、tを0.20mm以下とすれば、渦電流損をさらに低減し、その結果、全鉄損を一層低下させることができる。そのため、tは0.20mm以下とすることが好ましい。
[磁束密度比]
50/Bs:0.825以上
飽和磁化Bsに対する磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度B 50 の比(B50/Bs)を0.825以上とする。B50/Bsを高く(0.825以上)することにより、小型モータで使用される設計磁束密度領域における磁化曲線の立ち上がりを良好にすることができる。これより、所定のトルクを得るために必要なモータ電流が少なくなるため、銅損を低減し、モータ効率を改善することができる。

[鉄損]
本発明においては、周波数:800Hz、最大磁束密度:1.0Tにおける鉄損(全鉄損):W10/800(W/kg)と、前記板厚:t(mm)とが、下記(1)式を満たす必要がある。
10/800≦13+80×t …(1)
上記(1)式の関係を満たさない場合、モータ効率の低下を招くだけでなく、ステータコアの発熱が100℃を超えてしまい冷却系統が必要となるためである。なお、鉄損は板厚に依存するため、上記(1)式では板厚の影響を考慮して鉄損の上限値を規定した。
なお、上記(1)式を満足させるには、集合組織制御によりヒステリシス損を低減するとともに、Si濃度勾配および複層比を所定の範囲に制御することで渦電流損を低減する。
[集合組織]
{100}面集積度の最高強度値が6.0以上
Coを適量添加し、偏析元素であるSn,Sbの少なくとも一つを適量添加することにより、無方向性電磁鋼板における{100}面を増加させることができ、この面内に磁化しやすくなる。また、Pも偏析元素であり、適量添加により、{100}面を増加させる効果が高まる。その結果、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損も低下する。よって、{100}面集積度を6.0以上とすることが好ましい。ここで、{100}面集積度は、無方向性電磁鋼板の表面から板厚の1/4の深さの面における方位分布関数(ODF)のΦ=45°断面における強度と定義する。
本発明の成分の規定理由について、以下に説明する。
[成分組成]
まず、前記表層部と内層部の成分組成について説明する。なお、以下の説明において、各元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を表すものとする。
[表層部の成分組成]
まず、前記表層部の成分組成について説明する。本発明においては、複層型電磁鋼板の一方の面に設けられた第1の表層部と他方の面に設けられた第2の表層部の両者が、以下に述べる成分組成を有する。一般的には、第1の表層部の成分組成と第2の表層部の成分組成は同一とすればよいが、両者が異なっていてもよい。また、ここで表層部における元素の含有量とは、各々の表層部における当該元素の平均含有量を指すものとする。
すなわち、表層部の成分組成は、Si:4.0~7.0%およびC:0.0010~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である。
Si:4.0~7.0%
Siは、鋼板の電気抵抗を高め、渦電流損を低減する作用を有する元素である。表層部のSi含有量([Si] )が4.0%未満であると、効果的に渦電流損を低減することができない。そのため、表層部のSi含有量は4.0%以上、好ましくは4.5%以上とする。一方、表層部のSi含有量が7.0%を超えると、飽和磁化の低下により磁束密度が低下する。そのため、表層部のSi含有量は7.0%以下、好ましくは6.8%未満、より好ましくは6.5%以下とする。なお、上述したように、表層部におけるSi含有量が4.0~7.0%であるとは、第1の表層部における平均Si含有量が4.0~7.0%であり、かつ第2の表層部における平均Si含有量が4.0~7.0%であることを意味する。第1の表層部における平均Si含有量と第2の表層部における平均Si含有量とは同じであっても、異なっていてもよい。以下に示す、他の元素についても同様の定義が適用される。
C:0.0010~0.0100%
Cは、結晶粒界に偏析して粒界強度を高め材料の加工性を改善する元素である。Cを0.0010%以上添加することにより、材料の伸びが改善する。このため、下限を0.0010%とする。好ましくは、0.0015%以上である。一方、添加量が0.0100%を超えると、磁気時効により鉄損が増加するため、上限を0.0100%とする。好ましくは、0.0060%以下である。
Co:0.0010~0.0100%
Coを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Coを添加する場合に、前記効果を得るためには、Co含有量を0.0010%以上とする。好ましくは、0.0015%以上である。一方、Co含有量が0.0100%を超えると、効果が飽和することに加えて、コストの上昇を招く。そのため、Co含有量は0.0100%以下とする。好ましくは、0.0050%以下である。
Sn、Sbの1種または2種:0.010~0.100%
Sn:0.010~0.100%
Snを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Snを添加する場合に、前記効果を得るためには、Sn含有量を0.010%以上とする。好ましくは、0.020%以上である。一方、Sn含有量が0.100%を超えると効果が飽和することに加えて、製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、Sn含有量は0.100%以下とする。好ましくは、0.080%以下である。
Sb:0.010~0.100%
Snと同様に、Sbを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Sbを添加する場合に、前記効果を得るためにSb含有量を0.010%以上とする。好ましくは、0.020%以上である。一方、Sb含有量が0.100%を超えると、効果が飽和することに加えて製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、Sb含有量は0.100%以下とする。好ましくは、0.080%以下である。
さらに、必要に応じて、Pを0.100%以下の範囲にて含有することが好ましい。
P:0.100%以下
Pは、Sn,Sb,Coと同様に、添加することにより集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Pを添加する場合に、前記効果を得るためには、P含有量を0.010%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.030%以上である。一方、P含有量が0.100%を超えると、効果が飽和することに加えて、製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、P含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.070%以下である。
同様に、必要に応じて、以下の元素のいずれか1種以上を含有することができる。
GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で:0.0100%以下
GeおよびGaは、集合組織を改善する効果がある。GeおよびGaのいずれか一方または両方を添加する場合に、前記効果を得るためには、GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0005%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.0020%以上である。一方、GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0100%を超えて添加しても、上記効果が飽和し、合金コストが上昇するだけである。よって、GeおよびGaのいずれか一方または両方を添加する場合は、0.0100%以下とする。より好ましくは、0.0050%以下である。
Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で:1.00%以下
Cu,CrおよびNiは、比抵抗を増大し、鉄損低減に有利である。Cu,CrおよびNiのいずれか少なくとも1種を添加する場合に、前記効果を得るためには、Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で、0.03%以上とすることが好ましい。一方、過度の添加は磁束密度の低下を招くために、Cu,CrおよびNiのいずれか少なくとも1種を添加する場合は、1.00%以下とする。
Ca、MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で:0.0200%以下
Ca,MgおよびREMは、安定な硫化物を形成し、粒成長性を改善する効果がある。上記効果を得るためには、Ca,MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0010%以上添加することが好ましい。一方、Ca,MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0200%を超えて添加しても、上記効果は飽和してしまう。よって、Ca、MgおよびREMのいずれか少なくとも1種を添加する場合は、合計で0.0200%以下とする。
Zn:0.0500%以下
Znは、仕上焼鈍時の窒化を抑制する効果がある。この効果を得るためにZnを添加する場合は、0.0010%以上含有させることが好ましい。より好ましくは、0.0020%以上である。一方、Znを0.0500%超で添加すると、硫化物を形成して鉄損を増加させるため、Znを添加する場合は0.0500%以下とする。より好ましくは、0.0100%以下である。
MoおよびWから選ばれる1種または2種を合計で:0.0500%以下
MoおよびWは、いずれも無方向性電磁鋼板の表面欠陥(ヘゲ)を抑制するのに有効な元素である。本発明に従う無方向性電磁鋼板は、高合金鋼で表面が酸化され易いため、表面割れに起因するヘゲの発生率が高いが、高温強度を高める元素であるMoおよびWの一方または両方を微量添加することによって、上記割れを抑制することができる。この効果は、MoおよびWの1種または2種以上の合計で0.0010%を下回ると十分に得ることが難しくなるため、MoおよびWの一方または両方を添加する場合は、0.0010%以上とすることが好ましい。一方、MoおよびWの一方または両方を0.0500%超で添加しても、上記効果が飽和し、合金コストが上昇するだけである。よって、MoおよびWの一方または両方を添加する場合は、0.0500%以下とする。
本発明の一実施形態では、前記表層部が、上記元素を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有する。
なお、前記不可避的不純物として電磁鋼板に含まれうる元素の例としては、Alが挙げられる。Al含有量を0.10%以下に抑制すれば、磁束密度をさらに向上させることができる。そのため、Al含有量は0.10%以下に抑制することが好ましい。
[内層部の成分組成]
次に、内層部の成分組成について説明する。ここで、内層部における元素の含有量とは、内層部における当該元素の平均含有量を指すものとする。
すなわち、内層部の成分組成は、Si:3.5~6.5%およびC:0.0010%~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である。
Si:3.5~6.5%
内層部のSi含有量([Si])が3.5%未満であると、高周波鉄損が増加する。そのため、内層部のSi含有量は3.5%以上とする。好ましくは、4.0%以上である。一方、内層部のSi含有量が6.5%を超えると、モータコアの打ち抜き時にコアが割れるといった問題が生じる。そのため、内層部のSi含有量は6.5%以下とする。内層部のSi含有量は、6.0%以下とすることが好ましい。
C:0.0010~0.0100%
Cは、結晶粒界に偏析して粒界強度を高め材料の加工性を改善する元素である。Cを0.0010%以上添加することにより、材料の伸びが改善する。このため、下限を0.0010%とする。好ましくは、0.0015%以上である。一方、添加量が0.0100%を超えると、磁気時効により鉄損が増加するため上限を0.0100%とする。好ましくは、0.0060%以下である。
Co:0.0010~0.0100%
Coを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Coを添加する場合、前記効果を得るためには、Co含有量を0.0010%以上とする。好ましくは、0.0015%以上である。一方、Co含有量が0.0100%を超えると効果が飽和することに加えて、コストの上昇を招く。そのため、Co含有量は0.0100%以下とする。好ましくは、0.0050%以下である。
Sn、Sbの1種または2種:0.010~0.100%
Sn:0.010~0.100%
Snを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Snを添加する場合、前記効果を得るためには、Sn含有量を0.010%以上とする。好ましくは、0.020%以下である。一方、Sn含有量が0.100%を超えると効果が飽和することに加えて、製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、Sn含有量は0.100%以下とする。好ましくは、0.080%以下である。
Sb:0.010~0.100%
Snと同様に、Sbを添加することにより、最終焼鈍後の集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Sbを添加する場合、前記効果を得るためには、Sb含有量を0.010%以上とする。好ましくは、0.020%以上である。一方、Sb含有量が0.100%を超えると効果が飽和することに加えて、製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、Sb含有量は0.100%以下とする。好ましくは、0.080%以下である。
さらに、必要に応じて、Pを0.100%以下の範囲にて含有することができる。
P:0.100%以下
Pは、Sn,Sb,Coと同様に、添加することにより集合組織が大きく改善し、磁束密度が向上するとともにヒステリシス損を低下させることができる。Pを添加する場合に、前記効果を得るためには、P含有量を0.010%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.030%以上である。一方、P含有量が0.100%を超えると、効果が飽和することに加えて、製造性の低下およびコストの上昇を招く。そのため、P含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.070%以下である。
同様に、必要に応じて、以下の元素のいずれか1種以上を含有することができる。
GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で:0.0100%以下
GeおよびGaは、集合組織を改善する効果がある。GeおよびGaのいずれか一方または両方を添加する場合に、前記効果を得るためには、GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0005%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.0020%以上である。一方、GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0100%を超えて添加しても、上記効果が飽和し、合金コストが上昇するだけである。よって、GeおよびGaのいずれか一方または両方を添加する場合は、0.0100%以下とする。より好ましくは、0.0050%以下である。
Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で:1.00%以下
Cu,CrおよびNiは、比抵抗を増大し、鉄損低減に有利である。Cu,CrおよびNiのいずれか少なくとも1種を添加する場合に、前記効果を得るためには、Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で、0.03%以上とすることが好ましい。一方、過度の添加は磁束密度の低下を招くために、Cu,CrおよびNiのいずれか少なくとも1種を添加する場合は、1.00%以下とする。
Ca、MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で:0.0200%以下
Ca,MgおよびREMは、安定な硫化物を形成し、粒成長性を改善する効果がある。上記効果を得るためには、Ca,MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0010%以上添加することが好ましい。一方、Ca,MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0200%超にて添加しても、上記効果は飽和してしまう。よって、Ca、MgおよびREMのいずれか少なくとも1種を添加する場合は、合計で0.0200%以下とする。
Zn:0.0500%以下
Znは、仕上焼鈍時の窒化を抑制する効果がある。この効果を得るためにZnを添加する場合は、0.0010%以上含有させることが好ましい。より好ましくは、0.0020%以上である。一方、Znを0.0500%超で添加すると、硫化物を形成して鉄損を増加させるため、Znを添加する場合は0.0500%以下とする。より好ましくは、0.0100%以下である。
MoおよびWから選ばれる1種または2種を合計で:0.0500%以下
MoおよびWは、いずれも無方向性電磁鋼板の表面欠陥(ヘゲ)を抑制するのに有効な元素である。本発明に従う無方向性電磁鋼板は、高合金鋼で表面が酸化され易いため、表面割れに起因するヘゲの発生率が高いが、高温強度を高める元素であるMoおよびWの一方または両方を微量添加することによって、上記割れを抑制することができる。この効果は、MoおよびWの1種または2種以上の合計で0.0010%を下回ると十分に得ることが難しくなるため、MoおよびWの一方または両方を添加する場合は、0.0010%以上とすることが好ましい。一方、MoおよびWの一方または両方を0.0500%超で添加しても、上記効果が飽和し、合金コストが上昇するだけである。よって、MoおよびWの一方または両方を添加する場合は、0.0500%以下とする。
[製造方法]
本発明の電磁鋼板の製造方法は、特に限定されることなく、任意の方法で製造することができる。製造方法の一例としては、Si含有量の異なる鋼素材をクラッドする方法が挙げられる。前記鋼素材の成分組成は、例えば、成分の異なる材料を転炉で吹練し、溶鋼を脱ガス処理することによって調整することができる。
クラッドする方法は特に限定されないが、例えば、上述した成分組成を有する表層部用の鋼スラブ(鋼素材)と内層部用の鋼スラブ(鋼素材)を用意し、最終的な複層比が所望の値となるような厚さで内層部用の鋼スラブの両面に表層部用の鋼スラブを貼り合わせ、圧延すればよい。前記圧延は、例えば、熱間圧延、温間圧延および冷間圧延からなる群より選択される1または2以上とすることができる。一般的には、熱間圧延と、その後の温間圧延の組み合わせ、または熱間圧延と、その後の冷間圧延の組み合わせとすることが好ましい。前記熱間圧延の後には、熱延板焼鈍を行うことが好ましい。また、前記温間圧延および冷間圧延は、中間焼鈍を挟んで2回以上行うこともできる。熱間圧延における仕上温度並びに巻取り温度は特に限定されず、常法に従って決定すればよい。前記圧延の後、仕上焼鈍を行う。
また、他の製造方法としては、浸珪処理を用いることもできる。浸珪処理を用いる場合は、Si含有量が厚さ方向に一定である鋼板に対して浸珪処理を施すことにより、鋼板両面の表層部のSi含有量を高めることができる。浸珪処理の方法は特に限定されず、任意の方法で行うことができる。例えば、化学気相蒸着法(CVD法)により鋼板表面にSiを堆積させ、その後、熱処理を行ってSiを鋼板の内部へ拡散させる方法を用いることができる。表層部と内層部のSi含有量は、CVD法によるSiの堆積量や、熱処理条件を調整することによって制御できる。
本発明の効果を確認するために、以下に述べる手順で複層型電磁鋼板を製造し、その磁気特性を評価した。
まず、表1~3に示すNo.3~No.27、No.32、No.33、No.36~No.76では、表1に示す成分組成を有する表層部用と表2に示す成分組成を有する内層部用の2種類の鋼スラブを用意した。次に、前記内層部用の鋼スラブの両面に前記表層部用の鋼スラブを積層し、積層された鋼スラブの外周を溶接した。したがって、表層部の成分組成は内層部を挟んだ両側において同じである。前記鋼スラブの成分組成は、転炉で吹練した後に脱ガス処理を行うことによって調整した。なお、前記成分組成は、最終的に得られる複層型電磁鋼板においても保持されている。
次いで、積層された前記鋼スラブを1120℃で1h加熱した後、熱間圧延を板厚2.0mmまで行って熱延鋼板とした。前記熱間圧延における熱延仕上げ温度は800℃とした。前記熱延鋼板を巻取り温度:610℃で巻取り、次いで、940℃×30sの熱延板焼鈍を施した。その後、酸洗および冷間圧延を行い、表3に示す仕上焼鈍温度で焼鈍を行って電磁鋼板を得た。最終的に得られた電磁鋼板の板厚:tと、前記tに対する前記表層部の厚さ:tの比率(複層比)は表3に示すとおりとした。
なお、比較のために、クラッドしていない(非クラッド)通常の電磁鋼板を用いて同様の試験を行った(No.1、2)。これらの比較例の電磁鋼板では、板厚方向で成分が異なる層構造にはなっていない。すなわち、表層部が存在しない。
また、No.28、29、30、31、34、35の複層型電磁鋼板は浸珪法により製造した。具体的には、Si含有量:3.7%、板厚0.1mmの冷延鋼板に対して、1200℃で浸珪・拡散処理を行った。鋼板の全板厚におけるSi含有量の平均値を算出し、前記平均値よりもSi濃度が高い部分を表層部、低い部分を内層部とした。表層部のSi含有量は、前記表層部におけるSi量の平均値である。
Figure 0007388597000001
Figure 0007388597000002
Figure 0007388597000003
(磁気特性)
次いで、得られた電磁鋼板のそれぞれについて、磁気特性を測定した。前記磁気測定は、JIS C 2550-1に準じて、25cmエプスタイン枠を用いて行った。前記磁気特性としては、1.0T、800Hzにおける鉄損:W10/800(W/kg)、磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度:B50、および飽和磁化Bsを測定した。これらの測定結果を、表4に示す。
Figure 0007388597000004
表4に示した結果から分かるように、本発明の条件を満たす発明例の電磁鋼板は、高周波鉄損が低く、かつ磁束密度が高いという、優れた特性を有している。
本発明の電磁鋼板は、高周波で駆動されるハイブリッド電気自動車、電気自動車、掃除機、高速発電機、エアコンコンプレッサー、工作機械等のモータコアさらには変圧器、リアクトル等のコア材料として、極めて好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 内層部と、前記内層部の両側に位置する表層部との積層構造を有する複層型電磁鋼板であって、
    前記表層部は、質量%で、Si:4.0~7.0%およびC:0.0010~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である成分組成を有し、
    前記内層部は、質量%で、Si:3.5~6.5%およびC:0.0010%~0.0100%、Co:0.0010%~0.0100%を含み、さらにSn:0.010~0.100%およびSb:0.010~0.100%のいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避不純物である成分組成を有し、
    前記表層部におけるSi含有量:[Si]と前記内層部におけるSi含有量:[Si]との差([Si]-[Si])として定義されるΔSiが0.1~0.5質量%であり、
    前記電磁鋼板の板厚:t(mm)に対する前記表層部の合計厚さ:t (mm)の比率(t/t)が0.04~0.78であり、
    飽和磁化Bsに対する磁界の強さ:5000A/mにおける磁束密度B 50 の比(B50/Bs)が0.825以上であり、かつ周波数:800Hz、最大磁束密度:1.0Tにおける鉄損:W10/800 (W/kg)と前記板厚tとが下記(1)式を満たす無方向性電磁鋼板。
    10/800≦ 13+80×t ・・・(1)
  2. 前記表層部の成分組成と前記内層部の成分組成のいずれか一方、または両方がさらに質量%で、以下のA~F群からなる1以上の群より選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
    A群:
    P:0.100%以下
    B群:
    GeおよびGaから選ばれる1種または2種を合計で0.0100%以下
    C群:
    Cu、CrおよびNiから選ばれる1種または2種以上を合計で1.00%以下
    D群:
    Ca、MgおよびREMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0200%以下E群:
    Zn:0.0500%以下
    F群:
    MoおよびWから選ばれる1種または2種を合計で0.0500%以下
  3. 前記複層型電磁鋼板の表面から板厚の1/4の深さの面における方位分布関数のΦ=45°断面において、{100}面集積度の最高強度値が6.0以上である請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 前記板厚が0.03~0.20mmである請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
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