以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、パレット、トレイの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。
まず図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
両方の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。また、一方の部品供給部4には、大型部品やコネクタなどの部品Dを収容した複数のトレイ6が載置されたパレット7を部品取出し位置に供給するトレイフィーダ8が装着されている。すなわち、部品実装装置1には、部品Dを収容した複数のトレイ6が載置されたパレット7から部品Dが供給される。
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9が配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、実装ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド11は、部品Dを保持して昇降し、鉛直軸(Z軸)回りに回転可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備える。吸着ユニットのそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
Y軸テーブル9およびビーム10は、実装ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構12を構成する。実装ヘッド移動機構12および実装ヘッド11は、部品供給部4から部品Dを取り出して基板3の実装位置に装着する部品実装作業を実行する部品実装機構を構成する。部品実装作業において実装ヘッド11は、部品供給部4の上方に移動し、各吸着ノズルで所定の部品Dをそれぞれピックアップし、基板3の上方に移動し、各吸着ノズルが保持する部品Dを所定の方向に回転させ、それぞれの実装位置に装着する一連のターンを繰り返す。
図1において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して実装ヘッド11とともに一体的に移動するヘッドカメラ13が装着されている。実装ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ13は基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板3の位置を認識する。また、ヘッドカメラ13は、部品取出し位置に供給されたパレット7の上方に移動して、パレット7に載置されたトレイ6に設けられたトレイマークM(図2参照)、トレイ6に形成された面取り形状6a(図2参照)を撮像する。撮像結果は、部品実装装置1が備える制御装置20(図4参照)に送信される。
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が設置されている。部品認識カメラ14は、部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、吸着ノズルに保持された部品Dを下方から撮像する。実装ヘッド11による部品Dの基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ13による基板3の認識結果と部品認識カメラ14による部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
次に、図2、図3を参照して、パレット7とトレイ6の詳細について説明する。図2において、パレット7の上面には、Y方向に延びるX方向位置決め部7xと、X方向に延びるY方向位置決め部7yが配置されている。X方向位置決め部7xとY方向位置決め部7yが直交する位置が、パレット7の原点Cpである。
図2において、トレイ6の1辺をX方向位置決め部7xに当接させると、トレイ6がパレット7におけるX方向の原点に位置決めされる。同様に、トレイ6の1辺をY方向位置決め部7yに当接させると、トレイ6がパレット7におけるY方向の原点に位置決めされる。すなわち、トレイ6の互いに直交する2辺をX方向位置決め部7xとY方向位置決め部7yに当接するように載置することで、トレイ6をパレット7の原点Cpに位置決めすることができる。
パレット7の上面には、X方向位置決め部7x、Y方向位置決め部7y、または載置されたトレイ6に当接するように他のトレイ6並べて載置することで、複数のトレイ6の位置が位置決めされる。パレット7の上面には、Y方向に延びてX方向に摺動可能なX方向保持部7aと、X方向に延びてY方向に摺動可能なY方向保持部7bが配置されている。パレット7に複数のトレイ6を並べた後、X方向保持部7aとY方向保持部7bをそれぞれ移動させて(矢印a、b)トレイ6の縁に当接させることで、パレット7上に複数のトレイ6が保持される。
図3(a)、図3(b)において、トレイ6は、樹脂などを成形加工することで形成されている。トレイ6は平面視して略正方形(X方向の幅Wx,Y方向の幅Wy)の形状をしており、すなわち、トレイ6は、外形がパレット7に載置する際の載置方向を90°単位で変更可能な回転対称形状である。トレイ6の有する4つの角の1つには、トレイ6の載置方向を示す面取り形状6aが形成されている。また、トレイ6の上面6bには、部品Dの形状に合わせて格子配列で形成された凹状の収容部6cが所定の間隔(X方向のピッチX1,Y方向のピッチY1)で形成されている。各収容部6cの中には、部品Dが収容される。このように、収容部6cの形状は収容する部品Dの形状に応じて作成されるが、トレイ6の外形は同じサイズである。
図3(a)の例では、トレイ6の原点Ctは、面取り形状6aが右上となるように載置したトレイ6の左下の角に設定されている。また、一の収容部6cに設定された基点位置とトレイ6の原点Ctとのオフセットは(ΔX1,ΔY1)である。トレイ6の4つの縁辺の1つには、トレイマークMが設けられている。図3(a)の例では、トレイマークMは、右側を面取り形状6aに接する外周縁の中央付近に設けられている。トレイマークMは、トレイ6の所定の位置に付与されているバーコード、2次元マーク、その他の図形であり、そのトレイ6に固有の情報が記録されたマークである。なお、面取り形状6aの形状、トレイマークMの位置、トレイ6の原点Ct、収容部6cの基点位置はこの例に限定されることはなく、自由に設計することができる。
次に図4を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。部品実装装置1が備える制御装置20には、基板搬送機構2、部品供給部4、実装ヘッド11、実装ヘッド移動機構12、ヘッドカメラ13、部品認識カメラ14、タッチパネル15が接続されている。制御装置20は、実装記憶部21、データ作成処理部22、情報認識処理部23、方向検知処理部24、パレットデータ変更部25、判定処理部26、実装制御部27を備えている。実装記憶部21は記憶装置であり、生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21c、パレットデータ21dなどを記憶している。
生産データ21aには、実装基板の生産機種名、基板3に装着される部品Dを特定する部品番号(部品の種類)、部品供給部4における部品Dの供給位置(テープフィーダ5、トレイフィーダ8など)、実装位置(XY座標)、実装方向、実装順序などが記憶されている。部品データ21bには、部品Dの部品番号毎に、部品Dのサイズ、電気的特性などが記憶されている。トレイデータ21cには、トレイ6を特定するトレイ番号毎に、収容される部品Dの種類(部品番号)、トレイ6に収容された部品Dの配列、部品Dの方向などが記憶されている。
ここで、図5を参照して、トレイデータ21cの一例について説明する。トレイデータ21cには、トレイ番号30毎に、部品番号31、部品配列32、配列ピッチ33、部品方向34、原点位置35、オフセット36が含まれている。トレイ番号30は、トレイ6を特定する情報であり、トレイ6の各々に異なる番号が付与されている。部品番号31は、部品Dの種類を特定する情報である。部品配列32は、トレイ6上に碁盤の目状に収容されている部品DのX方向の数32xとY方向の数32yで示されている。配列ピッチ33は、トレイ6に収納される部品D(収容部6c)のピッチであり、X方向のピッチ33xとY方向のピッチ33yで示されている。部品方向34は、トレイ6に収容された部品Dの方向を示している。
図5において、原点位置35は、トレイ6において設定された原点Ctの位置を示しており、「左下」は、トレイ6の面取り形状6aが右上となるように載置した場合の左下に原点Ctが設定されていることを示している。オフセット36は、原点Ctとトレイ6に配列される部品D(収容部6c)の基点位置との差であり、X方向の距離36xとY方向の距離36yで示される。
図5において、トレイ番号30が「1021」~「1024」のトレイ6は、同じ種類の部品Dを格納する同形状のトレイ6であり、部品番号31が「Q56」の部品DをX方向のピッチが「X1」で「4個」、Y方向のピッチが「Y1」で「4個」の配列で、部品方向34が「0°」となるように収容されていることを示している。
図4において、パレットデータ21dは、パレット7に載置されるトレイ6の配置情報であり、パレット7に配置されるトレイ6のトレイ番号30、パレット上の載置座標、載置方向などが含まれている。ここで、図6を参照して、パレットデータ21dの一例について説明する。パレットデータ21dには、位置番号37、トレイ番号30、トレイ載置座標38、トレイ方向39が含まれている。位置番号37は、パレット7に配置されたトレイ6の位置を特定する情報である。トレイ載置座標38は、パレット7の原点Cpを基点とするトレイ6の原点Ctの位置であり、X座標38xとY座標38yで示される。トレイ方向39は、パレット7に載置されたトレイ6の載置方向を示している。
上述の生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21cは、これらに含まれる部品番号31に基づいて関連付けされているため、これらのデータから実装基板を生産するためにパレット7で供給しなければならない部品Dの種類、部品Dの数などの収容部品情報を得ることができる。すなわち、実装記憶部21は、パレット7上に収容されているべき部品の種類(部品番号31)を含む収容部品情報(生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21c)を記憶する記憶手段である。
図4において、データ作成処理部22は、タッチパネル15にパレットデータ作成画面を表示させて、作業者がパレットデータ21dの初期データを作成する作業を支援をする。ここで図7を参照して、データ作成処理部22によってタッチパネル15に表示されたパレットデータ作成画面40の例について説明する。パレットデータ作成画面40には、サイズ設定枠41、トレイ数設定枠42、設定状態表示枠43、決定ボタン44が表示されている。
図7において、サイズ設定枠41内には、トレイサイズの欄が設けられている。トレイサイズの欄には、プルダウンボタン41aが設けられている。タッチパネル15を使用してプルダウンボタン41aを操作することで、選択可能なトレイ6のサイズのリストが表示され、トレイサイズを選択することができる。選択可能なトレイ6のサイズは、「2インチ」「3インチ」「4インチ」などがあり、ここでは、「4インチ」が選択されている。4インチのトレイ6は、1辺の幅Wx,Wyが4インチの略正方形のトレイ6である。
トレイ数設定枠42内には、トレイ数(X方向)、トレイ数(Y方向)の欄が設けられている。トレイ数(X方向)とトレイ数(Y方向)は、それぞれパレット7に碁盤の目状に載置するトレイ6のX方向とY方向の数である。トレイ数(X方向)、トレイ数(Y方向)の欄には、それぞれアップダウンボタン42aが設けられている。タッチパネル15を利用してアップダウンボタン42aを操作することで、トレイ数(X方向)、トレイ数(Y方向)の欄に入力される数字を変更(増減)することができる。ここでは、X方向が3枚、Y方向が2枚のトレイ数が設定されている。
図7において、設定状態表示枠43には、トレイサイズ、トレイ数(X方向)、トレイ数(Y方向)の欄で設定された条件に基づいて、パレット7にトレイ6を並べて載置した状態の概略が表示されている。初期データでは、各トレイ6のトレイ方向39(載置方向)は「0°」に設定されている。すなわち、各トレイ6は面取り形状6aが右上で原点Ctが左下となる方向で初期データが作成される。各トレイ6(ここでは、6枚)には、それぞれ位置番号37が付されている。ここでは、位置番号37は、パレット7の原点Cpに原点Ctが重なる位置に載置されたトレイ6から順番に第1行が「T1」~「T3」、第2行が「T4」~「T6」が付されている。
決定ボタン44が操作されると、サイズ設定枠41で設定されたトレイサイズ、トレイ数設定枠42で設定されたX方向とY方向のトレイ数に基づいて、データ作成処理部22がパレットデータ21dの初期データを作成する。図6に示すパレットデータ21dは、図7に示すパレットデータ作成画面40で設定された条件に基づいて作成された初期データである。トレイ載置座標38のWxはトレイ6のX方向の幅、WyはY方向の幅であり(図3参照)、ここでは、Wx,Wyともに4インチである。トレイ番号30は、初期データでは空欄「-」である。
図4において、情報認識処理部23は、実装ヘッド移動機構12を制御してヘッドカメラ13をパレット7に載置されたトレイ6のトレイマークMの上方に移動させる。その後、ヘッドカメラ13でトレイマークMを撮像させ、撮像画像を画像認識処理してトレイマークMに含まれる情報を読み取り、実装記憶部21に記憶されたトレイデータ21c、部品データ21bと照合する読取処理を実行させる。
トレイデータ21c、部品データ21bと照合することで、そのトレイ6のトレイ番号30と、収容された部品Dの部品番号31(部品の種類)を取得することができる。すなわち、ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、情報認識処理部23は、複数のトレイ6の各々に付与された、該トレイ6に収容された部品の種類(部品番号31)を含むトレイ情報(トレイ番号30)を読み取る読取手段である。なお、トレイ情報はトレイマークMに書き込まれていてもよい。また、トレイデータ21c、部品データ21bなどと照合可能であれば、トレイマークMは「○」や「△」などのマークで表示されていてもよい。
図4において、方向検知処理部24は、実装ヘッド移動機構12を制御してヘッドカメラ13を移動させ、パレット7に載置されたトレイ6の面取り形状6aを検出してトレイ6の載置方向(トレイ方向39)を検知する検知処理を実行させる。ここで、図8を参照しながら、具体的な検知処理の検知方法について説明する。図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)は、それぞれ載置方向が「0°」「90°」「180°」「270°」でパレット7に載置されたトレイ6を示している。
図8において、検知処理では、まず方向検知処理部24は、ヘッドカメラ13の撮像視野E1,F1,G1,H1がトレイ6の右上となるようにヘッドカメラ13を移動させて、面取り形状6aの有無を判断する。右上の撮像視野E1の中に面取り形状6aが検出されると(図8(a))、方向検知処理部24は載置方向が「0°」と判断する。トレイ6の右上に面取り形状6aがない場合、方向検知処理部24はヘッドカメラ13を下に(Y方向に)トレイ6のY方向の幅Wyだけ移動させ(矢印f1,g1,h1)、撮像視野F2,G2,H2をトレイ6の右下に位置させて面取り形状6aの有無を判断する。右下の撮像視野F2の中に面取り形状6aが検出されると(図8(b))、方向検知処理部24は載置方向が「90°」と判断する。
以下同様に、面取り形状6aが検出されまで、ヘッドカメラ13は左に(X方向に)トレイ6のX方向の幅Wxだけ(矢印g2,h2)移動し、次に上に(Y方向に)幅Wyだけ(矢印h3)の順に移動する。そして、方向検知処理部24は、左下の撮像視野G3の中に面取り形状6aが検出されると(図8(c))載置方向が「180°」と判断し、左上の撮像視野H4の中に面取り形状6aが検出されると(図8(d))載置方向が「270°」と判断する。
このように、ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、方向検知処理部24は、トレイ6の載置方向(トレイ方向39)を検知する検知手段である。また、面取り形状6aはトレイ6の所定の位置に形成された特徴形状であり、検知手段は特徴形状(面取り形状6a)を検出することによって該トレイ6の載置方向を検知する。なお、特徴形状は面取り形状6aに限定されることはなく、トレイ6の載置方向を検知できるものであれば何でもよく、例えば、トレイ6の縁辺の中央に形成した切り欠きであってもよい。
図8において、検知処理で載置方向を検知した後に読取処理を実行すると、トレイ6の載置方向が不明であったり初期データと違っていたりしても、トレイマークMの情報を読み取ることができる。すなわち、面取り形状6aが検出されると、情報認識処理部23はヘッドカメラ13の撮像視野E2,F3,G4,H5の中にトレイマークMが入るようにヘッドカメラ13を移動させ(矢印e1,f2,g3,h4)、トレイ6に付されたトレイマークMを撮像する読取処理を実行させる。これにより、トレイ6の載置方向のいかんによらずにトレイ情報(トレイ番号30)を読み取ることができる。
なお、検知処理では、ヘッドカメラ13で面取り形状6aを検出する代わりにトレイマークMを検出して、トレイ6の載置方向を検知するようにしてもよい。すなわち、検知手段はトレイ6の所定の位置に付与されたマーク(トレイマークM)を検出することによって、該トレイ6の載置方向(トレイ方向39)を検知するようにしてもよい。
図4において、パレットデータ変更部25(変更手段)は、読取手段によって読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)とパレット7上の該トレイ6が載置された載置位置の情報(位置番号37)と、検知手段によって検知されたトレイ6の載置方向(トレイ方向39)に基づいて、パレットデータ21dを変更する。
ここで、図9に示すパレット7に載置された各トレイ6に対して検知処理、読取処理を実行して取得されたトレイ情報、載置方向などに基づいて、図6に示すパレットデータ21dの初期データを変更する例を説明する。図10は、変更されたパレットデータ21dである。部品Dは複数の種類の部品に該当する。例えば、図9では部品D1と部品D2の2種類の部品である。
図9において、方向検知処理部24と情報認識処理部23は、パレット7の原点Cpの位置にトレイ6の原点Ct1がある位置番号37が「T1」のトレイ6に対して、それぞれ検知処理と読取処理を実行する。パレット6(T1)は、面取り形状6aが右上にあるため検知処理により載置方向(トレイ方向39)は「0°」と検知される。また、読取処理でトレイマークMを読み取った結果、トレイ情報(トレイ番号30)は「1021」と読み取られる。図10において、パレットデータ変更部25は、取得された情報に基づき、パレットデータ21dの位置番号37が「T1」のトレイ番号30を「1021」に変更する。
図9において、同様に方向検知処理部24と情報認識処理部23は、位置番号37が「T2」~「T6」のトレイ6に対して順番にそれぞれ検知処理と読取処理を実行し、パレットデータ変更部25は、取得された情報に基づき、パレットデータ21dを変更する。例えば、図10において、位置番号37が「T3」のトレイ方向39は「90°」に変更され、トレイ載置座標38はトレイ6の原点Ct3の位置に対応してY座標が「Wx」に変更されている。
図4において、判定処理部26は、実際にパレット7に載置されているトレイ6に基づいて変更されたパレットデータ21dと、パレット7上に収容されているべき部品Dの種類(部品番号31)を含む収容部品情報(生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21c)に基づいて、パレット7上に収容されているべき部品Dがあるか否かを判定する。すなわち、判定処理部26は、読取手段によって読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)と記憶手段(実装記憶部21)に記憶された収容部品情報とに基づいて、パレット7上に収容されているべき部品Dがあるか否かを判定する判定手段である。
判定処理部26は、指定されている部品Dの種類や数が不足していると判定すると、タッチパネル15にその旨(必要な部品の種類が不足、部品の数が不足など)を表示させて、作業者に注意を促す。すなわち、タッチパネル15と判定処理部26は、判定手段によってパレット7上に収容されているべき部品Dが不足していると判定された場合には、その旨を報知する報知手段である。
また、判定処理部26は、パレット7上に指定と異なる部品Dが配置されていると判定すると、タッチパネル15にその旨(配置された部品が間違っているなど)を表示させて、作業者に注意を促す。すなわち、タッチパネル15と判定処理部26は、判定手段によってパレット7上に収容されているべき部品Dとは異なる部品Dがあると判定された場合には、その旨を報知する報知手段である。
図4において、実装制御部27は、実際にパレット7に載置されているトレイ6に基づいて変更されたパレットデータ21dを含む実装記憶部21に記憶されている各種情報に基づいて、実装ヘッド11、実装ヘッド移動機構12を制御して、部品Dを基板3に装着する部品実装処理を実行させる。
すなわち、実装制御部27、実装ヘッド11、実装ヘッド移動機構12は、読取手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、情報認識処理部23)によって読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)とパレット7上の該トレイ6が載置された載置位置の情報(位置番号37)を基に、部品Dを基板3に装着する装着手段である。
また、装着手段は、変更手段によって変更されたパレットデータ21dとトレイ6に収容された部品Dの情報(部品番号31)を基に、部品Dを基板3に装着する。また、装着手段は、判定手段によってパレット7上に収容されているべき部品Dがあると判定された場合には、部品Dを基板3に装着する。すなわち、パレット7上に必要な部品Dが不足していたり、基板3に装着しない間違った部品Dが収容されていても、基板3に装着可能な部品Dが1個でも収容されている場合は、部品実装処理を開始させる。
次に図11のフローに沿って、パレット7にトレイ6を載置させて部品Dを基板3に装着させる実装基板の製造方法について説明する。まず、作業者は、基板3に装着させる部品Dを格納する複数のトレイ6をパレット7に載置してトレイフィーダ8に補給し、パレットデータ作成画面40を使用してパレットデータ21dの初期データを作成する(ST1)。次いで部品取出し位置に供給されたパレット7上の複数のトレイ6に対して、方向検知処理部24は検知処理(ST2)を、情報認識処理部23は読取処理(ST3)をそれぞれ順番に実行する。
なお、全てのトレイ6に対して検知処理(ST2)と読取処理(ST3)の2つの処理を実行する必要はない。例えば、パレットデータ21dの初期データに基づいて読取処理(ST3)を実行し、トレイ情報(トレイ番号30)が読み取れない場合のみ、すなわち、読取処理(ST3)の対象であるトレイ6の載置方向がパレットデータ21dの初期データと異なっている場合にのみ、検知処理(ST2)と読取処理(ST3)を実行するようにしてもよい。例えば、図9のトレイ6(T1)、トレイ6(T2)、トレイ6(T4)は、載置方向が初期データと同じであり、検知処理(ST2)を省略することが可能である。これにより、処理時間を短縮することができる。
図11において、パレット7上の全てのトレイ6に対する検知処理(ST2)と読取処理(ST3)が終了すると(ST4においてYes)、パレットデータ変更部25は取得されたトレイ情報(トレイ番号30)、載置方向(トレイ方向39)に基づいて、パレットデータ21dを更新する(ST5)。次いで判定処理部26は、変更されたパレットデータ21dと収容部品情報(生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21c)に基づいて、パレット7上に収容されているべき部品Dがあるか否かを判定する(ST6:判定工程)。
すなわち、パレット7上に必要な種類の部品Dが全て搭載されており、間違った種類の部品Dが搭載されていないことが確認される。例えば、図9で部品D1と部品D2がそれぞれ少なくとも1つのトレイ6に搭載され、かつ部品D1、部品D2以外の部品が搭載されていないことが確認される。
必要な種類の部品Dが搭載されていない場合や間違った種類の部品Dが搭載されている場合は(ST6においてNo)、タッチパネル15に判定結果(部品の不足、部品の間違いなど)が報知される(ST7)。次いで判定処理部26は、部品の不足や間違いがあってもパレット7上に必要な種類の部品Dが少なくとも1つは搭載されている場合は部品実装を開始可能と判断し(ST8においてYes)、実装制御部27による部品実装処理が開始される(ST9)。この場合は、パレット7上から必要な種類の部品Dが取り尽くされると部品実装処理が停止する。
図11において、判定処理部26が、部品実装は不可能と判断すると(ST8においてNo)、すなわちパレット7上に必要な種類の部品Dが1つもない場合は、部品実装装置1における作業が停止され(ST10)、作業者による復旧作業が行われる。判定工程(ST6)において、必要な部品Dが全てあると判定された場合(ST6においてYes)、すなわち予定通りにパレット7上に部品Dが補給されたことが確認されると、通常の部品実装処理が開始される(ST9)。
このように、本実施の形態の実装基板の製造方法では、検知処理(ST2)で検知したトレイ6の載置方向(トレイ方向39)と、読取処理(ST3)で読み取ったトレイ情報(トレイ番号30)とに基づいてパレットデータ21dを変更(作成)している。そのため、作業者は、パレット7にトレイ6を載置する作業において、トレイ6の載置方向、トレイ6の載置位置を意識することなくパレット7に自由に配置することができる。すなわち、検知手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、方向検知処理部24)、読取手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、情報認識処理部23)、パレットデータ変更部25は、パレットデータ21dを作成するパレットデータ作成装置を構成する。
また、本実施の形態の実装基板の製造方法では、読取処理(ST3)で読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)に基づいて、部品実装処理が行われる(ST9)。これによって、作業者はパレット7上に載置するトレイ6の配置を意識することなく、パレット7における複数のトレイ6の配置を柔軟に設定することができる。
すなわち、本実施の形態の部品実装装置1は、複数のトレイ6の各々に付与された、該トレイ6に収容された部品の種類(部品番号31)を含むトレイ情報を読み取る読取手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、情報認識処理部23)と、読取手段によって読み取られたトレイ情報とパレット7上の該トレイ6が載置された載置位置の情報(位置番号37)を基に、部品Dを基板3に装着する装着手段(実装ヘッド11、実装ヘッド移動機構12、実装制御部27)と、を備えている。
また、本実施の形態の実装基板の製造方法では、読取処理(ST3)で読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)に基づいて判定工程(ST6)が実行され、必要な部品Dがあると判定された場合に(ST6においてYes)、部品実装処理が行われる(ST9)。これによって、作業者はパレット7上に載置するトレイ6の配置を意識することなく、パレット7における複数のトレイ6の配置を柔軟に設定することができる。また、パレット7上に収容された部品Dの正誤に応じて、適切に部品実装処理を実行することができる。
すなわち、本実施の形態の部品実装装置1は、パレット7上に収容されているべき部品の種類(部品番号31)を含む収容部品情報(生産データ21a、部品データ21b、トレイデータ21c)を記憶する記憶手段(実装記憶部21)と、読取手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、情報認識処理部23)と、読取手段によって読み取られたトレイ情報(トレイ番号30)と収容部品情報とに基づいて、パレット7上に収容されているべき部品Dがあるか否かを判定する判定手段(判定処理部26)と、装着手段と、を備えている。そして、判定手段によってパレット7上に収容されているべき部品Dがあると判定された場合には(ST6においてYes)、装着手段が部品Dを基板3に装着している。
また、本実施の形態の実装基板の製造方法では、検知処理(ST2)で検知されたトレイ6の載置方向に基づいてパレットデータ21dが変更され(ST5)、部品実装処理が行われる(ST9)。これによって、作業者はパレット7上に載置するトレイ6の配置方向を意識することなく、複数のトレイ6をパレット7に柔軟に配置することができる。
すなわち、本実施の形態の部品実装装置1は、トレイ6の載置方向(トレイ方向39)を検知する検知手段(ヘッドカメラ13、実装ヘッド移動機構12、方向検知処理部24)と、検知手段によって検知されたトレイ6の載置方向に基づいて、パレット7に載置されるトレイ6の配置情報であるパレットデータ21dを変更する変更手段(パレットデータ変更部25)と、変更手段によって変更されたパレットデータ21dとトレイ6に収容された部品の情報(部品番号31)を基に、部品Dを基板3に装着する装着手段と、を備えている。