JP7385122B2 - 触媒、電極、水の分解方法および二酸化炭素の分解方法 - Google Patents

触媒、電極、水の分解方法および二酸化炭素の分解方法 Download PDF

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Description

本発明は触媒、電極、水の分解方法および二酸化炭素の分解方法に関する。
エネルギー・環境問題を背景として、化石燃料に依存しないクリーンなエネルギー供給システムの開発が望まれている。
例えば、水や二酸化炭素は、自然界に豊富に存在する資源であり、特に、水は、酸素および水素の製造において重要な資源であり、二酸化炭素は、一酸化炭素の製造において重要な資源であるといえる。
水の分解に用いられる触媒として、イリジウムやルテニウム等の希少金属を含む触媒が知られているが、これらに替えて、豊富に存在する鉄を含む触媒が提案されている(例えば、非特許文献1、2)。
しかしながら、従来の鉄を含む触媒では、触媒活性が十分に高くないという問題があった。
J.L.Fillol,Z.Codola,I.Garcia-Bosch,L.Gomez,J.J.Pla,M.Costas,Efficient water oxidation catalysts based on readily available iron coordination complexes., Nat. Chem. 3 (2011) 807-13. doi:10.1038/nchem.1140 L.D. Wickramasinghe, R. Zhou, R .Zong, P.Vo, K. J.Gagnon, R. P. Thummel, Iron Complexes of Square Planar Tetradentate Polypyridyl-Type Ligands as Catalysts for Water Oxidation, J.Am. Chem. Soc. 137(2015) 13260-13263.doi:10.1021/jacs.5b08856
本発明の目的は高い触媒活性を有する触媒を提供すること、電気化学的反応を効率よく行うことができる電極を提供すること、水を効率よく分解できる水の分解方法を提供すること、また、二酸化炭素を効率よく分解し、効率よく一酸化炭素を生成することができる二酸化炭素の分解方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(20)に記載の本発明により達成される。
(1) 下記一般式(1)で表される鉄錯体を含有し、
水の分解反応に用いられることを特徴とする触媒
Figure 0007385122000001
(式(1)中、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基を表し、X、Xは、それぞれ独立に、任意の配位原子を表す。)
) 前記水の分解反応は、水の電気分解または光分解によるものである上記()に記載の触媒。
(3) 前記水の電気分解における酸素発生の開始電位が、対RHE(可逆水素電極)で、1.23V以上1.6V以下である上記()に記載の触媒。
) 前記水の電気分解におけるターフェル勾配が、10mV/dec以上100mV/dec以下である上記()または()に記載の触媒。
下記一般式(1)で表される鉄錯体を含有し、
二酸化炭素の分解反応に用いられることを特徴とする触媒。
(式(1)中、R ~R 12 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基を表し、X 、X は、それぞれ独立に、任意の配位原子を表す。)
(6) 前記一般式(1)において、R 1、 12 がカルボキシル基であり、R ~R 11 が水素原子である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の触媒。
(7) 前記一般式(1)において、R 、R 12 が水酸基である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の触媒。
(8) 前記一般式(1)において、さらに、R 、R がハロゲン原子であり、R ~R 、R ~R 11 が水素原子である上記(7)に記載の触媒。
(9) 前記R および前記R が、塩素原子である上記(8)に記載の触媒。
(10) 前記一般式(1)において、R 、R 11 がハロゲン原子である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の触媒。
(11) 前記ハロゲン原子が、フッ素原子である上記(10)に記載の触媒。
(12) 前記一般式(1)において、さらに、R 、R がハロゲン原子であり、R 、R ~R 、R ~R 10 、R 12 が水素原子である上記(10)または(11)に記載の触媒。
(13) 前記R および前記R が、塩素原子である上記(12)に記載の触媒。
14) 上記()ないし()のいずれかに記載の触媒を含み、
水の電気分解または光分解におけるアノードであることを特徴とする電極。
15) 導電性基体と、前記導電性基体の表面の少なくとも一部に設けられた上記()ないし()のいずれかに記載の触媒を含む触媒層とを有する上記(14)に記載の電極。
16) 前記導電性基体は、表面の少なくとも一部に酸化被膜が形成された金属または金属酸化物半導体を含む上記(15)に記載の電極。
17上記(5)に記載の触媒を含み、
二酸化炭素の分解反応におけるカソードであることを特徴とする電極。
18) 上記(14ないし(16)のいずれかに記載の電極を用いて、水を分解することを特徴とする水の分解方法。
19) 上記(17)に記載の電極を用いて、二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素の分解方法。
20) 前記二酸化炭素の分解は、水を含む液体中で行う上記(19)に記載の二酸化炭素の分解方法。
本発明によれば高い触媒活性を有する触媒を提供すること、電気化学的反応を効率よく行うことができる電極を提供すること、水を効率よく分解できる水の分解方法を提供すること、および、二酸化炭素を効率よく分解し、効率よく一酸化炭素を生成することができる二酸化炭素の分解方法を提供することができる。
図1は、実施例A1の鉄錯体を均一系触媒として用いた、電解質溶液の電気分解における電流密度-電位曲線である。 図2は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極についての、水の電気分解における電流密度-電位曲線である。 図3は、実施例B1、B5および比較例B2の電極についての、水の電気分解における電流密度-電位曲線である。 図4は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極についての、水の電気分解におけるターフェル勾配を示す図である。 図5は、実施例B1、B5および比較例B2の電極についての、水の電気分解におけるターフェル勾配を示す図である。 図6は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極をアノードとして用いて、10mA/cm電流密度で、1MでKOHが溶解された水(pH14.0)を電気分解した際の、酸素発生の過電圧と、時間との関係を示す図である。 図7は、実施例B2の電極について、水を電気分解した際の時間と酸素発生量との関係を示す図である。 図8は、実施例B7および比較例B3の電極についての、間欠的な光照射下でのバルク光分解におけるLSV曲線である。 図9は、実施例B7および比較例B3の電極についての、連続的な光照射下でのバルク光分解におけるLSV曲線である。 図10は、実施例A2の鉄錯体について、水を含むDMF溶液の電気分解における電流密度と時間との関係を示す図である。 図11は、実施例A2の鉄錯体についての、水を含むDMF溶液の電気分解によるCOおよびHの発生量と時間との関係を示す図である。 図12は、実施例B12および比較例B4の電極についての、COで飽和された水溶液の電気分解における電流密度と時間との関係を示す図である。 図13は、実施例B12の電極についての、COで飽和された水溶液の電気分解によるCOおよびHの発生量と時間との関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]鉄錯体
まず、本発明の鉄錯体について説明する。
本発明の鉄錯体は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
(式(1)中、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基を表し、X、Xは、それぞれ独立に、任意の配位原子を表す。)
これにより、触媒として用いられた場合に高い触媒活性を有する鉄錯体を提供することができる。特に、鉄は、豊富な資源で、かつ、安価であるため、触媒等のコスト、安定供給等の観点からも特に有利である。また、式(1)中のR~R12等の選択により、鉄錯体自体の触媒活性を高いものとしつつ、親水性等の特性を好適に調整することができ、鉄錯体の使用形態等に応じて、より好適に触媒活性を発揮させることができる。
、Xは、鉄錯体が存在する媒体(溶媒や基体等)によって異なり、任意の配位原子である。X、Xとしては、例えば、酸素原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。X、Xは、例えば、溶媒(例えば、水、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)等)の構成元素や、金属材料の表面に形成された金属酸化物の酸素等でもよい。
このような鉄錯体として、例えば、以下に示すようなものが挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されない。
例えば、本発明の鉄錯体は、前記一般式(1)において、R~R12が水素原子であるもの、すなわち、下記式(1a)で表されるものであってもよい。
また、本発明の鉄錯体は、前記一般式(1)において、R、Rが塩素原子であり、R~R、R~R12が水素原子であるもの、すなわち、下記式(1b)で表されるものであってもよい。
例えば、本発明の鉄錯体は、前記一般式(1)において、R1、12がカルボキシル基であり、R~R11が水素原子であるもの、すなわち、下記式(1c)で表されるものであってもよい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をより優れたものとすることができる。
また、本発明の鉄錯体は、前記一般式(1)において、R、R12が水酸基であるものであってもよい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をより優れたものとすることができる。
前記一般式(1)中のR、R12が水酸基である鉄錯体では、R~R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基であればよいが、このような鉄錯体は、R、Rがハロゲン原子であり、R~R、R~R11が水素原子であるもの、すなわち、下記式(1d)で表されるものであるのが好ましい。
(式(1d)中、X、Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。)
これにより、鉄錯体の触媒活性をより優れたものとすることができる。
本発明の鉄錯体が前記式(1d)で表されるものである場合、当該鉄錯体は、RおよびRが、塩素原子であるもの、すなわち、下記式(1e)で表されるものであるのが好ましい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をさらに優れたものとすることができる。
また、本発明の鉄錯体は、前記一般式(1)において、R、R11がハロゲン原子であるものであってもよい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をより優れたものとすることができる。
前記一般式(1)中のR、R11がハロゲン原子である鉄錯体では、当該ハロゲン原子が、フッ素原子であるのが好ましい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をさらに優れたものとすることができる。
また、前記一般式(1)中のR、R11がハロゲン原子である鉄錯体では、R、Rがハロゲン原子であり、R、R~R、R~R10、R12が水素原子であるのが好ましく、中でも、RおよびRが、ハロゲン原子の中でも塩素原子であるのがより好ましい。
これにより、鉄錯体の触媒活性をさらに優れたものとすることができる。
下記式(1f)に、このような条件を満たす鉄錯体の一例を示す。
[2]触媒
次に、本発明の触媒について説明する。
本発明の触媒は、上述したような本発明の鉄錯体、言い換えると、前記一般式(1)で表される鉄錯体を含有することを特徴とする。
これにより、高い触媒活性を有する触媒を提供することができ、触媒する反応を好適に促進させ、該反応を効率よく行うことができる。特に、鉄は、豊富な資源で、かつ、安価であるため、触媒のコスト、安定供給等の観点からも特に有利である。また、式(1)中のR~R12等の選択により、鉄錯体自体の触媒活性を高いものとしつつ、親水性等の特性を好適に調整することができ、触媒の使用形態等に応じて、より好適に触媒活性を発揮させることができる。
本発明の触媒の用途としては、例えば、水の分解触媒、二酸化炭素の分解触媒等が挙げられる。
本発明の触媒が水の分解反応に用いられるものであると、水の分解反応をより効率よく行うことができ、例えば、エネルギー変換、水素生成等の分野においてアノード触媒等として、より好適に使用することができる。
水の分解反応は、水の電気分解または光分解によるものであるのが好ましい。
これにより、水の分解反応をさらに効率よく行うことができる。
本発明の触媒が電気化学的酸素発生能を有する電極材料として機能するものである場合、以下の条件を満足するのが好ましい。
すなわち、例えば、本発明の触媒についての、水の電気分解における酸素発生の開始電位は、対RHE(可逆水素電極)で、1.23V以上1.6V以下であるのが好ましく、1.23V以上1.5V以下であるのがより好ましい。
これにより、より低い電位で水を安定的に電気分解することができ、水の酸化による酸素発生反応(例えば、水電解装置の酸素発生アノードでの反応)をさらに効率よく進行させることができ、酸素の発生効率をさらに優れたものとすることができる。また、これに伴い、対極から水素をより好適に発生させることができる。
前記の酸素発生の開始電位の値としては、例えば、以下のような条件での水の電気分解を行った際の測定値を採用することができる。すなわち、まず、本発明の触媒を酸素発生アノードとして用いるとともに、水素発生カソードとして白金線を用いて、水電解装置を製造し、当該水電解装置を用いて、25℃にて、1M水酸化カリウム水溶液に対して電気分解を行った際の電流密度-電位曲線を得る。そして、前記電流密度-電位曲線において、電位を増加させていくと、急激に電流値が増大する電流立ち上がり部が認められる。電流密度-電位曲線におけるこの電流立ち上がり部を直線近似し、その直線と横軸(電位軸)との交点を外挿法によって求め、この交点の電位を、酸素発生の開始電位とする。後述する実施例において示す酸素発生の開始電位も、このような方法で求めた値である。
また、前記水の電気分解におけるターフェル勾配は、10mV/dec以上100mV/dec以下であるのが好ましく、30mV/dec以上50mV/dec以下であるのがより好ましい。
これにより、より低い電位で水を安定的に電気分解することができ、より高活性なものとなる。したがって、水の酸化による酸素発生反応(例えば、水電解装置の酸素発生アノードでの反応)をさらに効率よく進行させることができ、酸素の発生効率をさらに優れたものとすることができる。また、これに伴い、対極から水素をより好適に発生させることができる。
電気分解反応において、過電圧ηは、電流iの関数として、以下のターフェル式:
η=a+b×log(i)
で表される。ここでaは定数であり、勾配bがターフェル勾配である。
一般的に、ターフェル勾配が小さいほど、電流密度の立ち上がりが大きいことを意味し、触媒としてより高い活性を有するものとなる。
本発明の触媒が二酸化炭素の分解反応に用いられるものであると、例えば、二酸化炭素の分解による一酸化炭素の発生反応(例えば、二酸化炭素の分解装置の一酸化炭素発生カソードでの反応)をより効率よく進行させることができ、一酸化炭素の発生効率をより優れたものとすることができる。
二酸化炭素の分解反応で得られる一酸化炭素は、有用性の高い物質である。例えば、一酸化炭素は、水素(H)と組み合わせて用いることにより、エタノール等の液体燃料の原料として好適に用いることができる。また、有機化学においては、カルボニル基源等として、無機化学においては、配位子等として、好適に用いることができる。
本発明の触媒の形状、大きさ等は、特に限定されず、当該触媒の用途等に応じて適宜調整することができる。
本発明の触媒の形状としては、例えば、粉末状、膜状、板状、ブロック状(塊状)等が挙げられる。
本発明の触媒は、前述した本発明の鉄錯体を含むものであればよく、さらに、他の成分を含んでいてもよい。
例えば、本発明の触媒は、前述した本発明の鉄錯体以外の成分として、金属材料、金属酸化物、金属窒化物等の金属化合物等を含んでいてもよい。また、本発明の触媒は、例えば、前述した本発明の鉄錯体に加え、触媒活性を有する他の成分を含んでいてもよい。
特に、例えば、本発明の触媒は、前述した本発明の鉄錯体に加えて、金属材料または導電性を有する金属化合物を含んでいるのが好ましい。
これにより、例えば、触媒全体としての導電性を優れたものとすることができ、本発明の触媒を電極材料等(特に、水の電解装置、光分解装置の電極の材料等)として好適に用いることができる。また、本発明の触媒を他の部材に好適に接合することができる。
なお、本発明の触媒は、均一系触媒としても用いることができる。例えば、本発明の触媒を水に溶解した状態で、該水を電気分解することにより、水の酸化による酸素発生反応を効率よく進行させることができ、酸素の発生効率を優れたものとすることができる。
本発明の触媒における前述した本発明の鉄錯体は、特に限定されないが、例えば、本発明の触媒の使用時において、触媒としての機能を発揮しうる表面の単位面積当たりの本発明の鉄錯体の含有率が、0.1mg/cm以上であるのが好ましく、0.2mg/cm以上であるのがより好ましく、0.4mg/cm以上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような本発明による効果がより顕著に発揮される。
[3]電極
次に、本発明の電極について説明する。
本発明の電極は、上述したような本発明の触媒を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の電極は、高活性な触媒機能を有するものとなり、電気化学的反応に用いられた場合に、該電気化学的反応を好適に促進させることができる。
なお、本明細書において、電気化学的反応には、光電気化学的反応も含むものとする。電気化学反応としては、例えば、電気分解反応、光分解反応等が挙げられる。
電極は、導電性基体と、導電性基体の表面の少なくとも一部に設けられた本発明の触媒を含む触媒層とを有するものであるのが好ましい。
これにより、電気化学的反応、例えば、水の酸化による酸素発生反応(例えば、水の電解装置または光分解装置の酸素発生アノードでの反応)をより効率よく進行させることができ、酸素の発生効率をより優れたものとすることができる。また、これに伴い、対極からの水素の発生効率をより優れたものとすることができる。また、二酸化炭素の分解反応に適用した場合には、一酸化炭素の発生効率をより優れたものとすることができる。
導電性基体は、例えば、緻密体であってもよいし、多孔質体であってもよい。
導電性基体が多孔質体であると、導電性基体の表面積を効果的に大きくすることができ、より多くの触媒を好適に担持させることができ、電極の触媒機能をより高いものとすることができる。また、導電性基体と触媒層との密着性をさらに優れたものとすることができる。特に、多孔質体の空孔内に触媒が担持されていることにより、電極を長期間使用した場合や、過酷な環境で使用した場合であっても触媒の不本意な脱落をより好適に防止することができる。その結果、電極の耐久性をより優れたものとすることができる。
導電性基体としては、例えば、各種金属材料(特に、酸化反応を受けにくい金属材料等)、各種金属酸化物、セラミックス材料、各種炭素材料、各種ガラス材料や、これらにフッ素原子、酸素原子、窒素原子等がドープされた材料で構成されたもの等を用いることができる。より具体的な導電性基体の構成材料としては、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ガラス状炭素(GC)、ニッケルの多孔質体(NF)等が挙げられる。
特に、導電性基体は、表面の少なくとも一部に酸化被膜が形成された金属または金属酸化物半導体を含むものであるのが好ましい。
これにより、導電性基体の表面に、鉄錯体を触媒として含む触媒層を形成した場合、導電性基体表面に存在する酸素原子等が、鉄錯体の前記一般式(1)におけるXやXとして配位することにより、好適に吸着される。その結果、導電性基体と触媒層との密着性がさらに向上する。
表面の少なくとも一部に酸化被膜が形成された金属を含む導電性基体としては、例えば、後述するような方法により、ニッケルの多孔質体の表面の少なくとも一部に酸化被膜を形成したもの等を好適に用いることができる。
金属酸化物半導体としては、例えば、酸化タングステン(WO)等を好適に用いることができる。
酸素原子や窒素原子がドープされた材料としては、例えば、窒素ドープグラファイト(N-G)等を好適に用いることができる。
上記のように、導電性基体は、多孔質体であってもよいが、導電性基体が多孔質体である場合、「導電性基体の表面」には、空孔内の内表面も含むものとする。
導電性基体は、少なくとも表面の一部が、導電性を有する材料から構成されていればよい。
また、導電性基体の大きさや形状も、特に限定されないが、通常は、電極に対応する大きさ、形状を有している。
触媒層の厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上3.0μm以下であるのが好ましい。
これにより、電極自体の導電性をより優れたものとすることができ、電極により高い触媒機能を付与し、電気化学的反応をより効率よく行うことができる。
触媒層は、電極の表面のうち、触媒反応時において触媒反応を受ける基質(例えば、水分解反応における水、二酸化炭素分解反応における二酸化炭素等)と接触する部分の50%以上に設けられているのが好ましく、70%以上に設けられているのがより好ましい。
これにより、前述した効果をより顕著に発揮させることができる。
電極の表面のうち、触媒反応時において触媒反応を受ける基質と接触する部分における導電性基体表面への触媒の担持量は、0.1mg/cm以上1.0mg/cm以下であるのが好ましく、0.2mg/cm以上0.8mg/cm以下であるのがより好ましく、0.4mg/cm以上0.6mg/cm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電極自体の導電性をより優れたものとすることができ、電極により高い触媒機能を付与し、電気化学的反応をより効率よく行うことができる。
本発明の電極は、水の電気分解または光分解におけるアノードとして、好適に用いられる。
これにより、水の電気分解または光分解による酸素発生反応をより効率よく進行させることができ、酸素の発生効率をより優れたものとすることができる。
特に、電極が、導電性基体として金属酸化物半導体を含むものである場合、当該電極は、光酸素発生能を有するものとなり、水の光分解におけるアノードとして好適に利用することができる。
また、本発明の電極は、二酸化炭素の分解反応におけるカソードとして、好適に用いられる。
これにより、二酸化炭素の分解による一酸化炭素発生反応をより効率よく進行させることができ、一酸化炭素の発生効率をより優れたものとすることができる。
以下、電極の製造方法について説明する。
本発明の電極は、導電性基体を用意する導電性基体用意工程と、当該導電性基体の表面の少なくとも一部に触媒層を形成する触媒層形成工程とを有する方法により製造することができる。
触媒層は、例えば、本発明の触媒を含む液体を導電性基体に接触させることにより、形成することができる。
本発明の触媒を含む液体を用いることにより、導電性基体の所望の部位に、高い均一性で触媒層を形成することができる。
本発明の触媒を含む液体と導電性基体とを接触させる際には、これらのうちの少なくとも一方を加熱するのが好ましい。
これにより、本発明の鉄錯体を導電性基体により好適に吸着、担持させることができる。
特に、触媒層は、本発明の触媒を含む液体中に導電性基体を浸漬した状態で加熱することにより形成されたものであるのが好ましい。
これにより、液体中での触媒の凝集が抑えられて細かく分散されるため、触媒を導電性基体の表面により好適に担持させることができる。これにより、比較的短時間で、導電性基体の表面に、より均一な触媒層を好適に形成することができる。
前記液体は、全体として液状をなすものであればよいが、通常、前述した鉄錯体に加え、これらを溶解および/または分散する機能を有する液性媒体、言い換えると、溶媒および/または分散媒として機能する液状成分を含んでいる。
前記液体を構成する前記液性媒体としては、前述した鉄錯体を溶解することができるものであるのが好ましいが、より具体的には、例えば、水、アセトニトリル、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)等が挙げられる。中でも、DMFが好ましい。
液体中の触媒濃度としては、0.1μM以上1mM以下であるのが好ましい。
これにより、導電性基体の表面に、触媒層をより好適に形成することができる。
本発明の触媒を含む液体中に導電性基体を浸漬した状態での加熱は、Ar、N等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
これにより、導電性基体の表面に、触媒層をより好適に形成することができる。
本発明の触媒を含む液体中に導電性基体を浸漬した状態での加熱の処理時間(加熱時間)としては、1分間以上20分間以下であるのが好ましく、2分間以上15分間以下であるのがより好ましく、3分間以上10分間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電極の生産性をより優れたものとしつつ、導電性基体の表面に、十分な割合の触媒層を、導電性基体により強固に結合した状態で形成することができる。
なお、導電性基体が、表面に酸化被膜を有しない金属材料、例えば、ニッケルの多孔質体を含む場合、触媒層の形成、例えば、前記加熱に先立って、導電性基体の表面に酸化被膜を形成してもよい。
これにより、導電性基体の表面に、触媒、すなわち、前記鉄錯体を好適に吸着させることができ、触媒層をより好適に形成することができる。
酸化被膜の形成は、例えば、電気化学的な酸化反応(電気酸化)により形成することができる。
導電性基体の表面に対する電気酸化は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、電気酸化に先立って、導電性基体の表面を洗浄するのが好ましい。導電性基体表面の洗浄には、例えば、水洗浄、アルカリ洗浄、酸洗浄、有機溶媒(例えば、アセトン等)による洗浄等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。また、導電性基体表面の洗浄は、洗浄に用いる液体、導電性基体に対して、超音波振動を付与しつつ行ってもよい。
電気酸化は、電解質として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物(アルカリ性物質)を含む水溶液中で行うのが好ましい。これにより、導電性基体の表面に、酸化被膜をより好適に形成することができる。
電気酸化のスキャンレートは、20mV/秒以上80mV/秒以下であるのが好ましく、30mV/秒以上70mV/秒以下であるのがより好ましく、40mV/秒以上60mV/秒以下であるのがさらに好ましい。
これにより、導電性基体の表面に、酸化被膜をより好適に形成することができる。
電気酸化のサイクル数は、10サイクル以上100サイクル以下であるのが好ましく、20サイクル以上80サイクル以下であるのがより好ましく、40サイクル以上60サイクル以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電極の生産性をより優れたものとしつつ、導電性基体の表面に、酸化被膜をより好適に形成することができる。
また、導電性基体が、金属酸化物半導体を含む場合、該導電性基体は、例えば、基材上に金属イオンとイミダゾール類とを含む液体を付与する液体付与工程と、焼結処理を施す焼結工程とを有する方法により、好適に製造することができる。特に、導電性基体が、金属酸化物半導体としての酸化タングステン(WO)を含むものである場合、WO自体の触媒活性をより高いものとすることができ、製造される電極全体としての触媒活性をさらに優れたものとすることができる。
なお、以下の説明では、金属酸化物半導体として酸化タングステン(WO)を含む導電性基体を例に挙げて説明するが、金属酸化物半導体はこれに限定されない。
液体付与工程では、基材上に、金属イオンとイミダゾール類とを含む液体を付与する。
液体付与工程では、予め所定の組成となるように調製された前記液体を、前記基材上に直接付与してもよいが、例えば、複数種の組成物を用いて基材上で所定の組成の前記液体(金属イオンとイミダゾール類とを含む液体)を調製してもよい。
特に、前記液体が金属イオンとして、Wについてのイオンを含む場合、これに対応する金属酸化物、すなわち、酸化タングステン(WO)を好適に形成することができる。Wについてのイオンを含む金属塩(W塩)としては、例えば、WCl等が、好適に用いられる。
前記液体中に含まれるイミダゾール類としては、イミダゾールやイミダゾールの各種の誘導体(例えば、イミダゾールを構成する少なくとも1つの水素原子を他の原子または原子団で置換した化合物等)が挙げられる。前記液体は、例えば、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、(1-プロピルイミダゾール)、および、1-n-ブチルイミダゾールよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。
前記液体における前記金属イオンの含有率と前記イミダゾール類の含有率との比率は、質量比で、0.1:99.9以上99.9:0.1以下であるのが好ましく、0.8:99.2以上99.2:0.8以下であるのがより好ましく、2.5:97.5以上97.5:2.5以下であるのがさらに好ましい。
前記液体は、全体として液状をなすものであればよいが、通常、前述した金属イオンおよびイミダゾール類に加え、これらを溶解および/または分散する機能を有する液性媒体、言い換えると、溶媒および/または分散媒として機能する液状成分を含んでいる。
前記液体を構成する前記液性媒体としては、例えば、水;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン等のケトン系化合物;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等のアルコール系化合物;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2-メトキシエタノールや、前記多価アルコールの縮合物(多価アルコールエーテル)、前記多価アルコールまたは前記多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)等のエーテル系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系化合物;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系化合物;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系化合物;ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系化合物;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系化合物;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系化合物;アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系化合物;トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系化合物;アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系化合物;ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系化合物;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のように、前記液体は、溶液であってよいし、分散液であってもよいが、イミダゾール類を溶質として含む溶液であるのが好ましい。言い換えると、前記液体は、イミダゾール類を溶解する溶媒を含んでいるのが好ましい。
これにより、前記液体中において、イミダゾール類と金属イオンとをより均一に混合することができ、生成物における不本意な組成や特性のばらつきを効果的に抑制することができ、形成される触媒、金属酸化物の触媒活性をより高いものとすることができる。
前記液体が溶液である場合、前記液体は、溶媒としてアルコールを含んでいるのが好ましく、メタノールを含んでいるのがより好ましい。
これにより、焼結工程でより好適に反応を進行させることができ、形成される触媒、金属酸化物の触媒活性をより高いものとすることができるとともに、生成物中に好ましくない副生成物、残留物が含まれることをより効果的に防止することができる。
液体付与工程で前記液体を付与する基材は、いかなる材料で構成されたものであってもよく、例えば、各種金属材料(特に、酸化反応を受けにくい金属材料等)、各種金属酸化物、セラミックス材料、各種炭素材料、各種ガラス材料等で構成されたものを用いることができるが、ガラス状炭素(GC)で構成されたものであるのが好ましい。
基材を構成する金属材料としては、例えば、ニッケルの多孔質体等を好適に用いることができる。
基材への前記液体の付与方法は、特に限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗り等の各種塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷、タコ印刷等の各種印刷法等が挙げられる。
焼結工程では、前記液体が付与された基材を加熱することにより、前記液体の構成成分を焼結し、金属酸化物を含む材料で構成された部位を形成する焼結処理を施す。
特に、本実施形態では、基材に付与された前記液体から液性媒体を除去した後に、焼結処理を施す。
焼結工程における焼結温度(最高温度、保持温度)は、金属酸化物としてWOを形成する場合には、350℃以上650℃以下であるのが好ましく、400℃以上600℃以下であるのがより好ましく、450℃以上550℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、金属酸化物の形成反応をより好適に進行させることができる。また、基材の不本意な変性や変形等をより好適に防止することができる。
このようにして製造された金属酸化物半導体を含む導電性基体は、それ自身も高い触媒活性を有するものとなる。そして、このような導電性基体の表面に触媒層が形成された電極は、特に高活性な触媒機能を有するものとなり、電気分解や光分解に用いられた場合に、触媒反応を特に好適に促進させることができる。
また、導電性基体の表面に、触媒を直接担持させるのではなく、触媒を担持させた導電体を含むインクを調製し、該インクを導電性基体の表面に付与することにより、触媒層を形成してもよい。
導電体としては、例えば、窒素ドープグラファイト(N-G)等が挙げられる。
まず、触媒を含む液体中に、導電体を浸漬した状態で加熱することにより、導電体に触媒を担持させる。この触媒が担持された導電体を、溶媒に分散させることで均一なインクを調製する。
そして、前記インクを導電性基体の表面に付与し、乾燥することで、導電性基体の表面に触媒層を形成することができる。
導電性基体が、例えば、ガラス状炭素(GC)等を含む場合、上述したような方法によることで、導電性基体の表面に触媒層を好適に形成することができる。
[4]水の分解方法
次に、本発明の水の分解方法について説明する。
本発明の水の分解方法は、上述した本発明の電極を用いて、水を分解することを特徴とする。
上述したような本発明の電極は、高活性な触媒機能を有しているので、本発明の電極を用いることで、水の分解反応を好適に促進させ、水を効率よく分解することができる。これにより、酸素(O)とともに水素(H)を好適に得ることができる。
本発明の水の分解方法では、前記電極をアノードとして用いて、水を電気分解または光分解するのが好ましい。
これにより、例えば、水の電気分解または光分解による酸素発生反応(例えば、水の電解装置または光分解装置の酸素発生アノードでの反応)をより効率よく進行させることができ、酸素の発生効率をより優れたものとすることができる。これに伴い、対極での水素の発生効率もより優れたものとすることができる。
[4-1]水の電気分解
以下、水の電気分解について説明する。
水の電気分解においては、高活性な触媒層を有する電極をアノードとして用いることで、水の酸化過電圧が低くなるため、より低電位で、すなわち、過剰なエネルギーを必要とせず水を分解することができる。
なお、本発明の方法においては、水は、下記反応により酸化分解される。
2HO→O+4H+4e
このように、本発明の方法においては、前記電極を用いて水を分解することにより、酸素だけでなく、電子およびプロトンを製造することもできる。さらに、該プロトンを還元することにより水素を製造することができる。
これにより、酸素および水素を効率よく製造することができる。
電気分解の際の対極(カソード)としては、特に限定されないが、例えば、Au電極、白金電極、炭素電極等が挙げられる。
本発明の方法において電気分解される水は、例えば、純水であってもよいが、さらに、他の成分を含んでいてもよい。例えば、導電性を上げるための電解質や、pHを保つための緩衝剤を含んでいてもよい。
これにより、水の分解をより好適に行うことができる。
[4-2]水の光分解
次に、水の光分解について説明する。
上述した電極が、導電性基体として、例えば、酸化タングステン(WO)等の金属酸化物半導体を含む場合、水の光分解によるアノードとして好適に用いることができる。
例えば、水の光分解装置においては、光触媒電極(アノード)と対極(カソード)とが電気的に接続され、これらが水中に浸されている。そして、少なくともアノードに光照射を行うことで電子と正孔が生成され、これら荷電粒子の酸化還元作用によって水の分解反応が引き起こされ、アノード側表面で酸素が生成され、カソード側で水素が生成される。
カソードとしては、水素の発生に高い触媒活性を示す白金電極等が好適に用いられる。これらアノードとカソードとは、例えば、導線を介して、電気的に接続されている。
このように電気的に接続された両電極は、透光性容器内に満たされた水中に設置される。そして、少なくともアノードに照射光を照射する。
照射光としては、紫外光およびそれよりも波長の長い成分、例えば、可視光や赤外光を含む多色混合光が、好適に用いられる。
酸化物半導体(例えば、WO)の価電子帯では、照射光により電子が励起されて伝導帯に遷移するとともに、価電子帯に正孔が形成される。照射光によって励起された電子は、バルク(内部)方向へ、正孔は、表面に向かう。
そして、水中に正孔によって酸化されるOHイオンが存在すると、アノードの表面では、酸化反応が起きて酸素が生成される。一方、前記電子は、カソードに移動する。水中に電子によって還元されるHイオンが存在すると、カソード表面では、還元反応が起きて水素が生成される。
特に、アノードとして本発明の電極を用いることにより、アノードでの酸素発生反応をより効率よく進行させることができ、酸素および水素の発生効率をより優れたものとすることができる。
対極(カソード)としては、特に限定されないが、例えば、Au電極、白金電極、炭素電極等が挙げられる。
本発明の方法において電気分解される水は、例えば、純水であってもよいが、さらに、他の成分を含んでいてもよい。例えば、導電性を上げるための電解質や、pHを保つための緩衝剤を含んでいてもよい。
これにより、水の分解をより好適に行うことができる。
[5]二酸化炭素の分解方法
次に、本発明の二酸化炭素の分解方法について説明する。
本発明の二酸化炭素の分解方法は、上述した本発明の電極を用いて、二酸化炭素を分解することを特徴とする。
上述したような本発明の電極は、高活性な触媒機能を有しているので、本発明の電極を用いることで、二酸化炭素の分解反応を好適に促進させ二酸化炭素を効率よく分解することができる。これにより、一酸化炭素を好適に得ることができる。
二酸化炭素の分解は、水を含む液体中で行うのが好ましい。
これにより、二酸化炭素の分解反応をより好適に行うことができ、効率よく一酸化炭素を生成することができる。
前記電極をカソードとして用いて電気分解することにより、液体中に含まれる二酸化炭素は還元されて、一酸化炭素が生成される。
このように、二酸化炭素を分解することにより、一酸化炭素を製造することができる。
特に、本発明の電極を用いることで、二酸化炭素から一酸化炭素への還元が選択的に進行する。これにより、一酸化炭素を非常に高い収率(例えば、約90%)で製造することができる。
二酸化炭素の分解の際の対極(アノード)としては、特に限定されないが、例えば、Au電極、白金電極、炭素電極等が挙げられる。
前記液体は、二酸化炭素で飽和されているのが好ましい。
これにより、二酸化炭素の分解反応を、より効率よく行うことができる。
また、二酸化炭素の分解反応は、バブリング等により、前記液体中に、二酸化炭素を供給しつつ行ってもよい。
本発明の方法において電気分解される水は、例えば、純水であってもよいが、さらに、他の成分を含んでいてもよい。例えば、導電性を上げるための電解質や、pHを保つための緩衝剤を含んでいてもよい。
これにより、水の電気分解をより好適に行うことができる。
二酸化炭素の分解に用いられる水を含む液体は、純水であってもよいが、さらに、他の成分を含んでいてもよい。例えば、導電性を上げるための電解質や、pHを保つための緩衝剤を含んでいてもよい。
これにより、二酸化炭素の分解をより好適に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に温度条件を示していない処理、測定については、25℃で行った。
[6]鉄錯体の製造
以下の方法により、鉄錯体を製造した。
<実施例A1>
以下に示す反応式の反応を行うことにより、鉄錯体を製造した。
(反応1)
まず、ピリジン-2-カルボン酸(東京化成工業社製)(5g、0.04mol)と、1,2-ジアミノベンゼン(東京化成工業社製)(2.163g、0.02mol)とを、ピリジン(30ml)に溶解させた。この溶液に、トリフェニルホスファイト(富士フィルム和光純薬社製)(12.411g、0.04mol)を加えた。混合物を100℃で4時間加熱し、室温まで一晩かけて冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄した。クロロホルムを用いて再結晶することにより、白く長い針状の1,2-ビス(2-ピリジンカルボキサミド)ベンゼン(以下、「Hbpb」ともいう。)を得た。収率は、46.2%であった。
(反応2)
次に、Hbpb(0.5g、1.58mmol)をメタノール(50ml)に溶解させた。この溶液に、FeCl・6HO(富士フィルム和光純薬社製)(0.5g、3.18mmol)と、CHCOONa(0.2g)とを添加し、混合物を1時間還流した。次に、溶媒を蒸発させ、溶離液としてメタノールを用いてセファデックスカラムで精製し、赤褐色の固体状の鉄錯体を得た。収率は、60%であった。
<実施例A2>
以下に示す反応式の反応を行うことにより、鉄錯体を製造した。
(反応1)
まず、ピリジン-2-カルボン酸(3g、0.024mol)と、4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミン(富士フィルム和光純薬社製)(2.157g、0.012mol)とを、ピリジン(25ml)に溶解させた。この溶液に、トリフェニルホスファイト(7.446g、0.024mol)を加えた。混合物を100℃で4時間加熱し、室温で一晩冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄して、紫色の固体状の4,5-ジクロロ-1,2-ビス(2-ピリジンカルボキサミド)ベンゼン(以下、「Hbpc」ともいう。)を得た。収率は50%であった。
(反応2)
次に、Hbpc(0.5g)をメタノール(50ml)に溶解させた。この溶液に、FeCl・6HO(0.5g)と、CHCOONa(0.2g)とを加えた。混合物を1時間還流し、冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄して、暗緑色の固体状の鉄錯体を得た。収率は、80%であった。
<実施例A3>
以下に示す反応式の反応を行うことにより、鉄錯体を製造した。
(反応1)
まず、5-フルオロ-2-ピリジンカルボン酸(0.5g、0.0035mol)と、4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミン(0.314g、0.00175mol)とを、ピリジン(10ml)に溶解させた。この溶液に、トリフェニルホスファイト(1.085g、0.0035mol)を加えた。混合物を110℃で4時間加熱し、室温で一晩冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄して、淡いピンク色の固体状の化合物Hbpcfを得た。収率は50%であった。
(反応2)
次に、Hbpcf(50mg)をDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(5ml)に溶解させた。この溶液に、FeCl・6HO(50mg)と、CHCOONa(20mg)とを加えた。混合物を一晩還流した。その後、溶媒を蒸発させ、残渣を、DMFを溶離液として用いてセファデックスカラムで精製して、暗緑色の固体状の鉄錯体を得た。収率は、80%であった。
<実施例A4>
以下に示す反応式の反応を行うことにより、鉄錯体を製造した。
(反応1)
まず、6-ヒドロキシ-2-ピリジンカルボン酸(1.55g、0.0112mol)と、4,5-ジクロロ-o-フェニレンジアミン(1g、0.0056mol)とを、ピリジン(25ml)に溶解させた。この溶液に、トリフェニルホスファイト(3.5g、0.0112mol)を加えた。混合物を110℃で4時間還流し、室温で一晩冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄して、2gの化合物Hbpc(OH)を得た。収率は、86%であった。
(反応2)
次に、Hbpc(OH)(0.5g)をDMF(25ml)に溶解させた。この溶液に、FeCl・6HO(0.5g)と、無水CHCOONa(0.2g)とを加えた。混合物を一晩還流し、冷却した。溶媒を蒸発させ、残留物を、溶離液としてDMFを用いてセファデックスカラムで精製して、暗紫色の固体状のFepc(OH)錯体を得た。収率は、70%であった。
<実施例A5>
以下に示す反応式の反応を行うことにより、鉄錯体を製造した。
(反応1)
まず、2,6-ピリジンジカルボン酸(33.43g、0.20mol)をメタノール(100ml)に溶解させた。この溶液に、濃硫酸(10ml)を加えた。混合物を3時間還流し、室温まで冷却した。析出物を濾過し、メタノールで洗浄して白色固体を得た。収率は、77.5%であった。
(反応2)
次に、この白色固体を、2,6-ピリジンジカルボン酸ジメチルをメタノール(250ml)に溶解させ熱溶液とした。この熱溶液に、KOH(2.55g、45.4mmol、1等量)を最小量の水に溶解させた溶液を加え、混合物を室温で19時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、白色残留物を水(200ml)に溶解し、CHClで2回洗浄し、酢酸エチルで5回抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、白色固体を得た。収率は、65%であった。
(反応3)
次に、2,6-ピリジンジカルボン酸モノメチル(0.6g、3.3mmol)と、o-フェニレンジアミン(0.179g、1.66mmol)と、4-ジメチルアミノピリジン(0.4g、3.3mmol)とを、ピリジン(20ml)に溶解させた。この溶液に、トリフェニルホスファイト(0.86ml、3.3mmol)を加えた。混合物をN雰囲気下、70℃で48時間加熱した。溶媒を蒸発させて黄色の油性残留物を得た。この残留物を、CHClとEtOAcとの混合溶媒(CHCl:EtOAc=7:3)を溶離液として用いてシリカカラムで精製し、白色固体状のジメチル6,6’-(1,2-フェニレンビス(アザンジイル))ジピコリネート(以下、「HEstL」ともいう。)を得た。収率は、41.7%であった。
(反応4)
次に、HEstL(0.245g、0.565mmol)をメタノール(15ml)に溶解させた。この溶液に、KOH(0.317g、5.65mmol、10等量)を最小量の水に溶解させた溶液を添加した。混合物を室温で22時間撹拌した。溶媒を蒸発させて黄色の固体を得た。この固体を水(20ml)に溶解し、CHClで2回洗浄した。水相を1MのHCl(31.4ml)で酸性化すると白色固体が形成された。この白色固体を濾過し、真空下で乾燥させて6,6’-(1,2-フェニレンビス(アザンジイル))ビス(カルボニル)-ジピコリン酸(以下、「HCarL」ともいう。)を得た。収率は、93.8%であった。
(反応5)
そして、HCarL(0.05g)をDMF(5ml)に溶解させた。この溶液に、FeCl・6HO(0.165g)と、CHCOONa(0.02g)とを添加した。混合物をN雰囲気下で一晩還流した。溶媒を蒸発させ、溶離液としてDMFを用いてセファデックスカラムで精製し、黄褐色の固体状の鉄錯体を得た。収率は、40%であった。
以上のようにして製造された実施例A1~A5の鉄錯体について、NMRスペクトル、ESI-Massスペクトル、および紫外可視スペクトルにより、その構造を同定した。
[7]電極の製造
以下に示す実施例B1~B5、比較例B1、B2では、導電性基体として金属Niで構成された多孔質体(NF)を用いて、電極を製造した。
<実施例B1>
導電性基体として、金属Niで構成されたニラコ社製のNI-318161(純金属 ニッケル 多孔質体 1.6×100×110mm)(NF)を用い、前記実施例A1で製造した鉄錯体を触媒として用いて、電極を製造した。
まず、板状のNFを1cm×2cmの大きさに切断し、希塩酸中で10分間超音波処理した後、純水で洗浄した。さらに、アセトン中で10分間超音波処理し、70℃のオーブンで2時間乾燥した。
クリーンなNFを、1MのKOH(pH14)中で、50mV/秒のスキャンレートでの電気酸化を50サイクル行った。その後、NFを過剰の純水で洗浄し、空気中で乾燥した。これにより、NFの表面に酸化被膜を形成した。
このNFを、前記実施例A1で製造した鉄錯体鉄錯体のDMF溶液(2mM)に浸漬させた状態で、N雰囲気下、115℃で2時間加熱することにより、NFの表面に触媒を担持させた。
触媒が担持されたNFを、DMF、続いて純水で洗浄し、空気中で乾燥させた。
これにより、導電性基体である金属Niで構成された多孔質体の表面に、鉄錯体を含有する触媒層が形成されてなる電極を得た。
<実施例B2~B5>
それぞれ、前記実施例A1で製造した鉄錯体の代わりに、前記実施例A2~A5で製造した鉄錯体を触媒として用いた以外は、前記実施例B1と同様にして電極を製造した。
<比較例B1>
前記実施例A1で製造した鉄錯体の代わりに、FeCl(富士フィルム和光純薬社製)を用いた以外は、前記実施例B1と同様にして電極を製造した。
<比較例B2>
本比較例では、前記実施例B1で用いたのと同様の金属Niで構成されたニラコ社製のNI-318161(純金属 ニッケル 多孔質体 1.6×100×110mm)(NF)を1cm×2cmの大きさに切断し、これに対して、触媒層を形成することなく、そのまま、電極として用いた。
実施例B1~B5で得られた電極について、走査電子顕微鏡(SEM)により表面を観察したところ、いずれも、導電性基体の表面に、鉄錯体粒子が凝集することなく分布し、触媒層が均一に形成されていることが確認された。
以下に示す実施例B6~B10、比較例B3では、表面に酸化タングステン(WO)で構成された層を有する導電性基体を用いて、電極を製造した。
<実施例B6>
表面の少なくとも一部に酸化タングステン(WO)を有する導電性基体を用い、実施例A1で製造した鉄錯体を触媒として用いて、電極を製造した。
まず、体積比で、1:3のイミダゾール類としての1-n-ブチルイミダゾールとメタノールとの混合物としての溶液を用意し、この溶液中に、金属イオンを含む金属塩(W塩)としてのWClを投入し、その後、2時間の超音波処理を施し、金属塩およびイミダゾール類が溶解した溶液としての液体を得た。この液体中におけるWClの濃度は、1Mであった。
次に、ドクターブレードにより、前記液体を、基材としての板状のFTO(フッ素ドープ酸化スズ)の表面に、10μL/cmの割合で塗布し、その後、室温で放置することにより溶媒を除去した。
次に、大気中で、2段階オーブンプログラムで加熱した。より具体的には、まず、30分で室温から200℃に上げ、2時間200℃に保持した後、30分で500℃に到達させた。500℃で2時間保持した後、室温まで自然冷却した。これにより、基材上にWOで構成された被膜が設けられた導電性基体が得られた。
NFを、前記実施例A1で製造した鉄錯体のDMF溶液(2mM)に浸漬させた状態で、N雰囲気下、115℃で2時間加熱することにより、NFの表面に触媒である鉄錯体を担持させた。
触媒が担持されたNFを、DMF、続いて純水で洗浄し、空気中で乾燥させた。
これにより、導電性基体のWOの表面に、鉄錯体を含有する触媒層が形成されてなる電極を得た。
<実施例B7~B10>
それぞれ、前記実施例A1で製造した鉄錯体の代わりに、前記実施例A2~A5で製造した鉄錯体を触媒として用いた以外は、前記実施例B6と同様にして電極を製造した。
<比較例B3>
本比較例では、前記実施例B6と同様にして導電性基体を製造し、当該導電性基体に対して、触媒層を形成することなく、そのまま、電極として用いた。
実施例B6~B10で得られた電極について、走査電子顕微鏡(SEM)により表面を観察したところ、いずれも、導電性基体の表面に、鉄錯体粒子が凝集することなく分布し、触媒層が均一に形成されていることが確認された。
以下に示す実施例B11~B15、比較例B4では、導電性基体としてガラス状炭素(GC)を用いて、電極を製造した。
<実施例B11>
導電性基体としてガラス状炭素(GC)を用い、実施例A1で製造した鉄錯体を触媒として用いて、電極を製造した。
まず、粒子状の窒素ドープグラファイト(N-G)(シグマアルドリッチ社製)(2mg)を、前記実施例A1で製造した鉄錯体のDMF溶液(2mM、5mL)に分散し、Ar雰囲気下で24時間還流することにより、N-Gに触媒である鉄錯体を吸着させた。
鉄錯体を吸着したN-G(触媒/N-G)を濾過により単離し、DMFにより数回洗浄し、真空下で数時間乾燥した。
上記のようにして得られた鉄錯体を吸着した洗浄・乾燥済みN-G(1mg)を、純水とイソプロパノールとナフィオン(シグマアルドリッチ社製)との混合溶媒(体積比で、純水:イソプロパノール:ナフィオン=60:35:5の混合溶媒、合計100μL)に分散し、2時間超音波処理することにより均一なインクを調製した。
その後、当該インクをGCの表面に滴下し、その後、風乾した。その後、脱イオン水とアセトンでそれぞれ15分間超音波処理した後、60℃のオーブンで乾燥した。
これにより、ガラス状炭素の表面に鉄錯体を含有する触媒層が形成されてなる電極を得た。
<実施例B12~B15>
それぞれ、前記実施例A1で製造した鉄錯体の代わりに、前記実施例A2~A5で製造した鉄錯体を触媒として用いた以外は、前記実施例B11と同様にして電極を製造した。
<比較例B4>
本比較例では、触媒としての鉄錯体を担持させた窒素ドープグラファイト(N-G)を用いて調製したインクの代わりに、鉄錯体を担持させていない窒素ドープグラファイト(N-G)を用いて調製したインクを用いた以外は、前記実施例B11と同様にして電極を製造した。
実施例B11~B15で得られた電極について、走査電子顕微鏡(SEM)により表面を観察したところ、いずれも、GCの表面に、鉄錯体粒子が凝集することなく分布し、触媒層が均一に形成されていることが確認された。
[8]水の分解
[8-1]均一系触媒としての水の電気分解
実施例A1の鉄錯体を均一系触媒として用いて電解質溶液を電気分解した。
電解質溶液は、ドライアセトニトリルに、支持電解質として0.1MでTBAP(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)と、触媒とを溶解させることにより調製した。
非水溶液中の均一サイクリックボルタンメトリー(CV)測定は、単一コンパートメント電気化学セルを用いて、三電極方式で行った。また、測定には、ガラス状炭素(GC)(BAS社製)(直径3mm)をアノード、白金線をカソード、およびAg/AgCl(3MのNaCl)を参照電極として用い、スキャンレート150mV/秒で行った。
測定された電位は、参照電極が記載されていない限り、Ag/AgCl(3MのNaCl)参照電極の標準電位のE Ag/AgCl=0.198Vに基づいて、対標準水素電極電位(SHE)に変換した。
また、前記電解質溶液に水を9体積%の割合で添加し、同様に電気分解した。
図1は、実施例A1の鉄錯体を均一系触媒として用いた、電解質溶液の電気分解における電流密度-電位曲線である。
図1から、電解質溶液が水を含む場合、触媒電流が立ち上がることが確認された。すなわち、実施例A1の鉄錯体は、水の電気分解の触媒機能を有することが確認された。
実施例A2~A5の鉄錯体についても同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
[8-2]不均一系触媒としての水の電気分解
実施例B1、B2、B5、比較例B1、B2の電極をアノードとして用いて水を電気分解し、その触媒特性を評価した。
電気分解する水は、1MでKOHが溶解された水溶液(pH14.0)とした。また、カソードには、白金線電極を、参照電極には、Ag/AgCl(3MのNaCl)電極を、それぞれ使用した。
水溶液で測定された電位は、以下の式により、対可逆水素参照電極(RHE)の電位(ERHE)に変換した。
RHE=EAg/AgCl + E Ag/AgCl + 0.059pH
ここで、EAg/AgClは、Ag/AgCl参照電極に対して測定された電位である。
電気化学測定は、電気化学測定システム(北斗電工社製、HZ-7000)を使用して25℃で行った。
水の電気分解における電流密度-電位曲線を図2、図3に示す。図2は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極についての、水の電気分解における電流密度-電位曲線であり、図3は、実施例B1、B5および比較例B2の電極についての、水の電気分解における電流密度-電位曲線である。
また、ターフェル式に基づいて、ターフェル勾配を算出した。その結果を図4、図5に示す。図4は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極についての、水の電気分解におけるターフェル勾配を示す図であり、図5は、実施例B1、B5および比較例B2の電極についての、水の電気分解におけるターフェル勾配を示す図である。
実施例B1、B2、B5および比較例B1、B2の電極について、水の電気分解における酸素発生開始電位およびターフェル勾配の評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007385122000016
図2、図3および表1に示されるように、実施例B1、B2、B5の電極では、いずれも、1.46Vから1.48付近で水の酸化触媒電流が立ち上がり、その後急激に電流が増加し、1.53V付近で0.2mA/cmの電流密度に達した。
これに対し、比較例B1では、0.2mA/cmの電融密度を得るのに1.62Vもの高い電位を要した。
1.53V付近の電位で比較すると、実施例B1、B2では、比較例B1に比べて20倍以上、比較例B2に比べて100倍以上もの高い電流密度が得られている。
なお、実施例B1の電極を用いた水の電気分解における過電圧は、240mVであり、実施例B5の電極を用いた水の電気分解における過電圧は、260mVであった。これらの値は、分子触媒として非常に低い値である。
また、図4、図5および表1に示されるように、ターフェル勾配が、比較例B1、B2の電極では、60mV/decを超えているのに対し、実施例B1、B2、B5では、29V/decから42mV/decと非常に小さい値であった。一般的に、ターフェル勾配が小さいほど、電流密度の立ち上がりが大きく、触媒が高活性を有することを意味する。すなわち、本発明の触媒は、比較例の触媒に比べて非常に高い活性を有していることがわかった。
また、実施例B3、B4の電極について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
次に、触媒の安定性とファラデー効率について評価した。
図6は、実施例B1、B2および比較例B1、B2の電極をアノードとして用いて、10mA/cm電流密度で、1MでKOHが溶解された水(pH14.0)を電気分解した際の、酸素発生の過電圧と、時間との関係を示す図である。
実施例B1、B2では、比較例B1、B2に比べて過電圧が低いことがわかる。また、比較例B2では、時間経過につれ過電圧が増大したが、実施例B1、B2の電極では、過電圧は、例えば、20時間に亘ってほぼ一定の値を保っており、時間がたっても触媒活性が低下することなく安定に機能することが示された。
実施例B3~B5の電極について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
図7は、実施例B2の電極について、水を電気分解した際の時間と酸素発生量との関係を示す図である。なお、図7では、実測値に加えて、理論値も示している。
図7から明らかなように、理論値と実測値とがほぼ一致しており、これは、電流効率(ファラデー効率)が100%に近いことを表している。
実施例B1、B3~B5の電極について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
[8-3]水の光分解
実施例B7および比較例B3で製造した電極をアノードとして用いて、水を光分解し、その特性を評価した。
実施例B7および比較例B3で製造した電極をアノードとして用い、強度100mW/cmの光を照射するとともに、走査速度10mV/秒で電極電位を連続的に変化させ、流れる電流値を測定した。
図8は、間欠的な光照射下での、図9は、連続的な光照射下での、1.23V(対SHE)でのバルク光分解におけるリニアスイープボルタンメトリー(LSV)曲線である。なお、光分解される水には、緩衝剤として酢酸ナトリウムが0.1Mで添加されており、pHは、7.0であった。
図8、図9から明らかなように、間欠的な光照射、連続的な光照射のいずれにおいても、実施例B7の電極を用いた場合、比較例B3の電極を用いた場合に比べて、アノードにおける光電流が増加した。鉄錯体が光アノード上でも触媒として安定に機能することが確認された。
実施例B6、B8~B10の電極について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
[9]二酸化炭素の分解
実施例B12および比較例B4で製造した電極をカソードとして用いて、二酸化炭素を分解し、その特性を評価した。
[9-1]均一系触媒として、水を含むDMF溶液の電気分解による二酸化炭素の分解
実施例A2の鉄錯体を均一系触媒として用いて、以下のようにして二酸化炭素を分解した。
電気分解には、ナフィオン膜で分離された、2コンパートメントの気密電気化学セルを使用した。作用電極としてガラス状炭素(1cm)と、参照電極としてAg/AgCl(3MのNaCl)とを一方のコンパートメントで互いに近くに設置し、対電極として白金箔(1cm)を他方のコンパートメントに設置した。
均一系触媒として実施例A2の鉄錯体を0.1mMと、2体積%の水と、支持電解質として0.1MのTBAP(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)とを含み、COで飽和されたDMF溶液について、-1.15V(対SHE)(η=0.41V)での定電位電解を6時間行った。
図10は、実施例A2の鉄錯体について、水を含むDMF溶液の電気分解における電流密度と時間との関係を示す図である。
図10に示すように、6時間の電気分解中に約0.25mA/cmの安定した触媒電流密度が観察された。これにより、実施例A2の鉄錯体は、触媒として高い耐久性を有することが確認された。
また、6時間の電気分解中にCOとHが還元生成物として観察された。
発生するガス(COおよびH)の生成量を、ガスクロマトグラフィー(TCD検出器、モレキュラーシーブ5Aカラム、リモートタイマーRT731、およびArキャリアガスを備えた、アジレント・テクノロジー社製、490 Micro GC)を使用して測定した。
また、生成物の電流効率(ファラデー効率)を、COまたはHの1分子を生成するために2つの電子が必要であると仮定して、生成されたガスの量と、セルを通過した電荷量とから計算した。
図11は、実施例A2の鉄錯体についての、水を含むDMF溶液の電気分解によるCOおよびHの発生量と時間との関係を示す図である。
図11から、COの総発生量は、26.6μmol(選択率:93%)であり、Hの総発生量は、2.3μmol(選択率:7%)であり、COからCOへの変換が非常に高い選択率で行われることが確認された。
また、図11には、バルク電解において必要な電荷のe/2から計算された理論値も併せて示している。実測値は、理論値と非常に近い結果が得られており、これは、電流効率(ファラデー効率)が非常に高いことを表している。
実施例A1、A3~A5の鉄錯体について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
[9-2]COで飽和された水溶液の電気分解による二酸化炭素の分解
COで飽和された、0.5MのNaHCO水溶液(pH7.3)について、実施例B12、比較例B4の電極をカソードとして用いて、-0.58V(対RHE)(η=0.47V)での定電位電解を4時間行った。
図12は、実施例B12および比較例B4の電極についての、COで飽和された水溶液の電気分解における電流密度-電位曲線を示す図である。
図12から、実施例B12では、約6.0mA/cmの触媒電流密度で約3時間安定していたが、4時間後には、約3%減少して5.8mA/cmとなった。一方、比較例B4の触媒電流密度は、0.10mA/cm未満であり、実施例B12の触媒電流密度は、比較例B4よりも2桁大きかった。
図13は、実施例B12の電極についての、COで飽和された水溶液の電気分解によるCOおよびHの発生量と時間との関係を示す図である。なお、図13には、バルク電解において必要な電荷のe/2から計算された、CO発生量についての理論値も併せて示している。
図13に示されるように、COの発生量は、Hのわずかな発生を伴う電気分解中に必要な電荷量とともに増加した。
比較例B4の電極を用いた場合、4時間の電気分解において、COの発生は、ほとんど見られず、Hの選択率は、約99%であった。これに対し、実施例B12の電極を用いた場合、4時間の電気分解中に発生したCOの総量は、410μmol(選択率:90%)であり、Hの総量は、44.2μmol(選択率:10%)であった。
これらの結果から、実施例B12の電極をカソードとして用いることで、水を含む溶液中において、選択的に二酸化炭素を還元することにより分解して、高い収率で一酸化炭素を生成できることがわかった。
実施例B11、B13~B15の電極について同様の実験を行ったところ、同様に優れた結果が得られた。
本発明の鉄錯体は、一般式(1)で表されることを特徴とする。これにより、触媒として用いられた場合に高い触媒活性を有する鉄錯体を提供することができる。
本発明の触媒は、本発明の鉄錯体を含有することを特徴とする。これにより、高い触媒活性を有する触媒を提供することができる。
本発明の電極は、本発明の触媒を含むことを特徴とする。これにより、電気化学的反応を効率よく行うことができる電極を提供することができる。
本発明の水の分解方法は、本発明の電極を用いて、水を分解することを特徴とする。これにより、水を効率よく分解できる水の分解方法を提供することができる。
本発明の二酸化炭素の分解方法は、本発明の電極を用いて、二酸化炭素を分解することを特徴とする。これにより、二酸化炭素を効率よく分解し、効率よく一酸化炭素を生成することができる二酸化炭素の分解方法を提供することができる。
したがって、本発明の鉄錯体、触媒、電極、水の分解方法および二酸化炭素の分解方法は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (20)

  1. 下記一般式(1)で表される鉄錯体を含有し、
    水の分解反応に用いられることを特徴とする触媒
    (式(1)中、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基を表し、X、Xは、それぞれ独立に、任意の配位原子を表す。)
  2. 前記水の分解反応は、水の電気分解または光分解によるものである請求項に記載の触媒。
  3. 前記水の電気分解における酸素発生の開始電位が、対RHE(可逆水素電極)で、1.23V以上1.6V以下である請求項に記載の触媒。
  4. 前記水の電気分解におけるターフェル勾配が、10mV/dec以上100mV/dec以下である請求項またはに記載の触媒。
  5. 下記一般式(1)で表される鉄錯体を含有し、
    二酸化炭素の分解反応に用いられることを特徴とする触媒
    (式(1)中、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基またはカルボキシル基を表し、X、Xは、それぞれ独立に、任意の配位原子を表す。)
  6. 前記一般式(1)において、R1、12がカルボキシル基であり、R~R11が水素原子である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の触媒
  7. 前記一般式(1)において、R、R12が水酸基である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の触媒
  8. 前記一般式(1)において、さらに、R、Rがハロゲン原子であり、R~R、R~R11が水素原子である請求項に記載の触媒
  9. 前記Rおよび前記Rが、塩素原子である請求項に記載の触媒
  10. 前記一般式(1)において、R、R11がハロゲン原子である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の触媒
  11. 前記ハロゲン原子が、フッ素原子である請求項10に記載の触媒
  12. 前記一般式(1)において、さらに、R、Rがハロゲン原子であり、R、R~R、R~R10、R12が水素原子である請求項10または11に記載の触媒
  13. 前記Rおよび前記Rが、塩素原子である請求項12に記載の触媒
  14. 請求項ないしのいずれか1項に記載の触媒を含み、
    水の電気分解または光分解におけるアノードであることを特徴とする電極。
  15. 導電性基体と、前記導電性基体の表面の少なくとも一部に設けられた請求項ないしのいずれか1項に記載の触媒を含む触媒層とを有する請求項14に記載の電極。
  16. 前記導電性基体は、表面の少なくとも一部に酸化被膜が形成された金属または金属酸化物半導体を含む請求項15に記載の電極。
  17. 請求項に記載の触媒を含み、
    二酸化炭素の分解反応におけるカソードであることを特徴とする電極。
  18. 請求項14ないし16のいずれかに記載の電極を用いて、水を分解することを特徴とする水の分解方法。
  19. 請求項17に記載の電極を用いて、二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素の分解方法。
  20. 前記二酸化炭素の分解は、水を含む液体中で行う請求項19に記載の二酸化炭素の分解方法。
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