JP7384288B2 - 無線基地局制御装置、通信救済方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
複数の救済局候補における救済局候補毎のチルト角毎に、電界強度推定を行うことなく、電波伝搬範囲を扇形による幾何的な近似を用いて算出する推定部と、
障害エリアにおける電波伝搬範囲によりカバーされるエリアの割合に基づいて、救済局候補とチルト角の複数の組み合わせの中から、特定の救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として決定する決定部と
を備える無線基地局制御装置が提供される。
図1に、本発明の実施の形態におけるシステムの全体構成の例を示す。図1に示すように、本実施の形態に係るシステムは、複数の無線基地局10と無線基地局制御装置100がネットワーク200に接続された構成を備える。ネットワーク200は例えば、モバイルのコアネットワークを含むネットワークである。各無線基地局の配下に通信端末が存在し、各通信端末は無線で無線基地局と通信を行う。
本発明の実施の形態に係る無線基地局制御装置100の構成及び動作を説明する前に、まず、従来技術に基づいて想定される技術(参考技術と呼ぶ)を説明する。この参考技術は、本発明の実施の形態に係る技術の特徴を分かり易くするために説明するものである。
参考技術のシステムでは、無線基地局のアンテナ角(チルト角)の制御と、それによって故障発生前のトラヒック量がどれだけ救済されるかの状況観測を交互に行いながら最終的なチルト角を決定する。しかしながら、故障発生前と故障発生後とでトラヒック量を比較するためには、十分な測定時間が必要となるため、救済が完了するまでに長い時間を要する。このことから故障に対する緊急措置の観点では課題が残る。
参考技術に係るシステムでは、障害エリアの各地点について平等に救済を行う。しかしながら、障害エリア内に救済を優先すべき重要施設が存在する可能性がある。この場合、地点ごとに優先度を考慮する必要があるが、参考技術に係るシステムではそれを考慮できていない。
参考技術のシステムでは基地局が同時複数故障した場合を考慮できていない。
救済局のチルト角を適切に制御するためには、チルト角に対応する電波伝播範囲を推定する必要がある。参考技術では、例えば、非特許文献1に開示されている公知技術を用いることが考えられる。つまり、電界強度の推定を行うことで、電波伝播範囲を推定する。また、厳密な電波伝播範囲は、緯度・経度・標高の3次元の空間に対して算出される。
本実施の形態に係る技術では、下記の特徴(ポイント)を備えることで、上述した想定される課題を解決できる。なお、以下で説明するポイントは、実施の形態の技術におけるポイントであり、発明として全部のポイントを含むことは必須ではない。例えば、地域メッシュを使用しなくても、本発明に係る技術を実現することは可能である。
本実施の形態では、チルト角が制御される都度、現在のトラヒック量や通信状況を観測することはせず、事前に定義した情報のみで救済局及びチルト角を決定する。
本実施の形態では、障害エリア内の重要施設が位置するエリア(重要エリア)に対して優先度を設けて、重要エリアから優先的に救済を行う。
本実施の形態では、全ての故障局において故障しているセクタ(故障セクタ)に対して優先度を定義することで、故障セクタが複数の場合にも対応することができる。そして優先度順に1つずつ故障セクタの救済を行うことができる。
本実施の形態では、電波伝播範囲推定に電界強度推定を行わない。電波伝播範囲を幾何的に近似し、推定を行う。また、地上1.5m(1.5mは一例)で電波カバーされた範囲のみを電波伝播範囲として考えることとしている。
本実施の形態では、地域メッシュによってエリアを表現する。地域メッシュは行政管理庁(現総務省)によって定められた「緯度・経度に基づいてエリアをほぼ同じ大きさのメッシュに分けたもの」である。地域メッシュには、そのメッシュの粒度、つまりメッシュ当たりの面積の大きさから複数の地域メッシュが存在する。例として、2分の1地域メッシュ(一辺の長さが約500m)、8分の1地域メッシュ(一辺の長さが約125m)などが存在する。
本実施の形態では、救済局の電波伝播範囲のメッシュ数に上限を設けることで、救済局のトラヒックの収容量の上限を考慮することとしている。
上述したポイントを有する本実施の形態に係る技術により、下記の効果を奏する。なお、下記の効果は、参考技術と比較した場合の効果を想定しているが、それに限らず、一般的な従来技術に対して奏する効果である。
救済の開始時を除いて、トラヒック量や通信状況の変化などの状況観測を行わない。これによって、参考技術に比べて、救済完了までの時間が大幅に短縮される。
重要エリアから優先的に救済される。これによって重要エリアが他の障害エリア以上に救済される可能性が参考技術よりも高くなる。
同時に複数の無線基地局が故障した場合でも救済を行うことができる。
電界強度推定を用いた3次元電波伝播範囲推定よりも、短い計算時間で電波伝播範囲の推定が可能となる。これによって推定結果の精度が低下するが迅速性を損なわずにチルト角を決定できる。
故障セクタの多さや障害エリアの大きさ等に応じて地域メッシュの粒度を変更することで、救済にかかる時間を短縮できる。
障害エリアをカバーする際に救済局のトラヒック負荷が増加してしまうが、本実施の形態に係る技術によって救済局が過負荷となることを回避できる。またメッシュ数を用いることでトラヒック測定等を必要としない。
図4に、本発明の実施の形態における無線基地局制御装置100の構成図を示す。図4に示すように、無線基地局制御装置100は、入力受付部110、データ処理部120、無線基地局制御部130を備える。
無線基地局制御部130の受信部131と送信部132はそれぞれ無線基地局と通信可能であり、受信部131は、無線基地局から情報を受信し、送信部132は、無線基地局に情報を送信する。
入力受付部110は、無線基地局制御部130から、各無線基地局に関する情報、故障局内で故障しているセクタ(故障セクタ)に関する情報、障害エリア情報、重要エリア情報を受け取る。障害エリア情報は、例えば、故障セクタ毎の、故障セクタの故障により通信不可となった障害エリアを示す情報である。重要エリア情報は、例えば、障害エリア毎の、障害エリアに含まれる重要エリアを示す情報である。なお、障害エリア情報、重要エリア情報は、故障セクタに関する情報から無線基地局制御部130において生成する情報であってもよいし、外部から受信する情報であってもよい。
・各アンテナのビームの鉛直方向・水平方向のビーム幅
・各アンテナに設定されているチルト角
・隣接局の情報
本実施の形態では、ある無線基地局(対象無線基地局)からn(km)以内の距離に位置し、かつ故障局でない無線基地局を、対象無線基地局の隣接局とする。
・故障セクタがカバーしていたエリアの大きさ
・故障セクタと通信していたアクティブユーザ数
・故障セクタが処理していた総トラヒック量
<救済優先度決定部121>
救済優先度決定部121は、入力受付部110からの情報を受けて、故障セクタの性質に基づいて、故障セクタの救済優先度を決定する。本実施の形態では、救済優先度の高い故障セクタから、1つずつ救済が行われる。
救済局候補選定部122は、1以上の救済局の候補を、故障セクタが属する故障局に対する1以上の隣接局から選定する。
救済局・チルト角決定部123は、救済局候補選定部122によって選定された1以上の救済局候補及びチルト角の中から、最も効果的に救済を実施できる救済局及びそのチルト角を決定する。
以下、上記構成を備える無線基地局制御装置100の動作例を、図5のフローチャートの手順に沿って詳細に説明する。
S1において、無線基地局制御部130の受信部131は、救済を実施するために必要な情報を無線基地局等から収集し、入力受付部110が当該情報を受信部131から受け取る。受け取る情報の内容は前述したとおりである。入力受付部110が受け取った情報は、データ処理部120に渡される。
無線基地局制御装置100は、故障セクタが複数存在する場合には、救済優先度の高い故障セクタから1つずつ救済を行う。
S4~S7において、救済局候補選定部122は、S3において決定された故障セクタに対する救済局の候補を、当該故障セクタの1以上の隣接局から選定する。
S8において、救済局・チルト角決定部123は、各救済局の候補の各チルト角の組み合わせに対して電波伝播範囲を推定する。これらの電波伝播範囲の推定は各組み合わせ同士、独立に計算することが可能なため並列計算が可能である。これによってS8における計算を高速化することが可能である。S8の計算時間は一般に本システムにおける実行時間の大部分を占めるため、この高速化は救済までの時間の短縮に大きく寄与する。
電波伝播範囲の近似に用いる2つの扇形の半径をdmin、dmaxとすると、それぞれ下記の式により求められる。
上記の式により得られるdmin、dmaxを図示すると図6に示すとおりである。
上記のとおり、2つの扇形の開始方位角、終端方位角は同じである。ただし、azstart、azendの定義域を0≦azstart,azend<360°とする。上記の式により、azstart、azendの算出される値が定義域外となった場合は360を法とした剰余を用いる。
S9において、救済局・チルト角決定部123は、救済局候補とチルト角の組み合わせのうち、後述するカバー率が最も高い1つの救済局とそのチルト角の組み合わせを採用する。
本実施の形態における救済局・チルト角決定部123は、S8で算出した電波伝播範囲の推定結果を用いてカバー率を計算し、計算したカバー率に基づいて、救済局及びそのチルト角を決定する。
次に、S9の処理の詳細として、障害エリアカバー率の計算方法を説明する。
<S9の処理の詳細:重要エリアカバー率の計算方法>
続いて、S9の処理の詳細として、重要エリアカバー率の計算方法を説明する。
<S11、S12>
S11、S12において、救済局・チルト角決定部123は、対象の故障セクタ(S3で選択された故障セクタ)の救済を終了するか否かを判定する。すなわち、救済局・チルト角決定部123は、救済の終了条件を満たしているか判定し、満たしている場合は現在救済の対象としている故障セクタの救済を終了し、S2に戻る。終了条件を満たしていない場合は、これまで救済局によってカバーされたエリアを除いた障害エリア、重要エリアに対してS4に戻り、更に救済を行う。
本実施の形態における無線基地局制御装置100は、例えば、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。なお、この「コンピュータ」は、物理マシンであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。仮想マシンを使用する場合、ここで説明する「ハードウェア」は仮想的なハードウェアである。
本明細書には、少なくとも下記の各項に記載した無線基地局制御装置、通信救済方法、及びプログラムが記載されている。
(第1項)
無線基地局が故障した際に生じる障害エリアの通信を救済する救済局とそのチルト角を決定する無線基地局制御装置であって、
複数の救済局候補における救済局候補毎のチルト角毎に、電界強度推定を行うことなく、電波伝搬範囲を推定する推定部と、
障害エリアにおける電波伝搬範囲によりカバーされるエリアの割合に基づいて、救済局候補とチルト角の複数の組み合わせの中から、特定の救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として決定する決定部と
を備える無線基地局制御装置。
(第2項)
前記障害エリアが、重要施設を含む重要エリアを含む場合において、前記推定部及び前記決定部は、重要エリアではない障害エリアよりも優先して、重要エリアに対する救済局とそのチルト角の決定を行う
第1項に記載の無線基地局制御装置。
(第3項)
前記推定部は、ユーザが使用する通信端末が所定の高さにあると想定した当該所定の高さにおける扇型の範囲を前記電波伝搬範囲として推定する
第1項又は第2項に記載の無線基地局制御装置。
(第4項)
前記決定部は、エリアを地域メッシュによって表現することにより、前記割合を計算する
第1項ないし第3項のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置。
(第5項)
前記決定部は、電波伝搬範囲のメッシュ数が上限を超える救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として選択しない
第4項に記載の無線基地局制御装置。
(第6項)
各無線基地局は1以上のセクタを有し、故障した1以上の無線基地局における1以上の故障セクタから、通信確立の緊急性に応じて定められる救済優先度の高い順に、救済の対象とする故障セクタを選定する救済優先度決定部
を更に備える第1項ないし第5項のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置。
(第7項)
無線基地局が故障した際に生じる障害エリアの通信を救済する救済局とそのチルト角を決定する無線基地局制御装置が実行する通信救済方法であって、
複数の救済局候補における救済局候補毎のチルト角毎に、電界強度推定を行うことなく、電波伝搬範囲を推定するステップと、
障害エリアにおける電波伝搬範囲によりカバーされるエリアの割合に基づいて、救済局候補とチルト角の複数の組み合わせの中から、特定の救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として決定するステップと、
を備える通信救済方法。
(第8項)
コンピュータを、第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
100 無線基地局制御装置
110 入力受付部
120 データ処理部
121 救済優先度決定部
122 救済局候補選定部
123 救済局・チルト角決定部
123-1 推定部
123-2 決定部
130 無線基地局制御部
131 受信部
132 送信部
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置
Claims (8)
- 無線基地局が故障した際に生じる障害エリアの通信を救済する救済局とそのチルト角を決定する無線基地局制御装置であって、
複数の救済局候補における救済局候補毎のチルト角毎に、電界強度推定を行うことなく、電波伝搬範囲を扇形による幾何的な近似を用いて算出する推定部と、
障害エリアにおける電波伝搬範囲によりカバーされるエリアの割合に基づいて、救済局候補とチルト角の複数の組み合わせの中から、特定の救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として決定する決定部と
を備える無線基地局制御装置。 - 前記障害エリアが、重要施設を含む重要エリアを含む場合において、前記推定部及び前記決定部は、重要エリアではない障害エリアよりも優先して、重要エリアに対する救済局とそのチルト角の決定を行う
請求項1に記載の無線基地局制御装置。 - 前記推定部は、ユーザが使用する通信端末が所定の高さにあると想定した当該所定の高さにおける扇型の範囲を前記電波伝搬範囲として推定する
請求項1又は2に記載の無線基地局制御装置。 - 前記決定部は、エリアを地域メッシュによって表現することにより、前記割合を計算する
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置。 - 前記決定部は、電波伝搬範囲のメッシュ数が上限を超える救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として選択しない
請求項4に記載の無線基地局制御装置。 - 各無線基地局は1以上のセクタを有し、故障した1以上の無線基地局における1以上の故障セクタから、通信確立の緊急性に応じて定められる救済優先度の高い順に、救済の対象とする故障セクタを選定する救済優先度決定部
を更に備える請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置。 - 無線基地局が故障した際に生じる障害エリアの通信を救済する救済局とそのチルト角を決定する無線基地局制御装置が実行する通信救済方法であって、
複数の救済局候補における救済局候補毎のチルト角毎に、電界強度推定を行うことなく、電波伝搬範囲を扇形による幾何的な近似を用いて算出するステップと、
障害エリアにおける電波伝搬範囲によりカバーされるエリアの割合に基づいて、救済局候補とチルト角の複数の組み合わせの中から、特定の救済局候補とチルト角の組み合わせを、救済局とそのチルト角として決定するステップと、
を備える通信救済方法。 - コンピュータを、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の無線基地局制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
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