以下に、実施の形態にかかる付加製造装置および付加製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる付加製造装置の構成を示す図である。実施の形態1にかかる付加製造装置100は、溶融させた溶加材を被加工物へ付加することによって造形物を製造する工作機械である。付加製造装置100は、ビームの照射によって溶加材を溶融する。実施の形態1において、ビームはレーザビーム10であって、溶加材は金属のワイヤ5である。ワイヤ5は、金属以外であっても良い。溶加材は、ワイヤ5に限られず、金属または樹脂の粉末であっても良い。付加製造装置100は、設計データ26により指定された形状の造形物を製造する。
付加製造装置100は、レーザビーム10の照射位置である加工点9へワイヤ5を供給しながら加工点9を移動させることによって、ビード8を形成する。付加製造装置100は、基材11の上においてビード8を積み重ねることによって3次元造形物を製造する。図1に示す基材11は、板材である。基材11は板材以外の物であっても良い。被加工物は、溶融させた溶加材が付加される物体であって、基材11または基材11上のビード8である。実施の形態1において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な3軸である。X軸とY軸とは、水平方向の軸である。Z軸は、鉛直方向の軸である。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各々において、矢印で示す向きをプラス向き、矢印とは逆の向きをマイナス向きと称することがある。
ビーム源であるレーザ発振器1は、レーザビーム10を発振する。レーザ発振器1により出力されたレーザビーム10は、光伝送路であるファイバーケーブル2を通って加工ヘッド3へ伝搬する。レーザ発振器1とファイバーケーブル2と加工ヘッド3とは、供給された溶加材を溶融させるレーザビーム10を被加工物へ照射する照射部を構成する。レーザ出力制御器18は、レーザ発振器1を制御する。
加工ヘッド3の内部には、レーザビーム10を平行化させるコリメート光学系と、強度分布調整部19とが設けられている。強度分布調整部19は、被加工物におけるレーザビーム10の強度分布を調整する。強度分布制御器17は、強度分布調整部19を制御する。コリメート光学系の図示は省略する。
加工ヘッド3は、被加工物へ向けてレーザビーム10を出射するビームノズル4を有する。レーザビーム10は、集光レンズを透過して、ビームノズル4から出射する。集光レンズは、被加工物においてレーザビーム10を集約させる。集光レンズの図示は省略する。コリメート光学系と集光レンズとは、加工点9におけるレーザビーム10のスポットの大きさが所望の大きさとなるように設計されている。
強度分布調整部19は、強度分布制御器17からの制御信号に従って、強度分布を調整する。強度分布調整部19が強度分布調整を行わない場合、被加工物におけるレーザビーム10の強度分布は、強度分布調整部19以外の光学素子群によって定められる強度分布である。強度分布調整部19は、強度分布を調整することによって、被加工物におけるレーザビーム10の強度分布を、強度分布調整部19以外の光学素子群によって定められる強度分布とは別の強度分布へ変換させる。
ビームノズル4は、被加工物へ向けてシールドガスを噴射する。シールドガスとしては、不活性ガスであるアルゴンガスが使用される。付加製造装置100は、シールドガスの噴射によって、ビード8の酸化を抑制するとともに、形成されたビード8を冷却する。シールドガスは、ビームノズル4へ供給される。ガス流量調整器21は、ビームノズル4へ供給されるシールドガスの流量を調整する。シールドガスの供給源は、ガスボンベである。ガスボンベの図示は省略する。
付加製造装置100には、ワイヤ5の供給源であるワイヤスプール6が取り付けられる。ワイヤ5は、ワイヤスプール6に巻き付けられている。ワイヤ送給器7は、加工ヘッド3に取り付けられている。ワイヤ送給器7は、被加工物へ溶加材を供給する供給部である。ワイヤ送給器7は、ワイヤスプール6から被加工物へ向けてワイヤ5を送り出す。また、ワイヤ送給器7は、送り出されたワイヤ5をワイヤスプール6のほうへ引き戻す。ビームノズル4とワイヤ送給器7とが加工ヘッド3に設けられていることで、ビームノズル4とワイヤ送給器7との相対位置は固定されている。
基材11は、ロータリーステージ12に固定される。ロータリーステージ12は、Z軸周りに回転する。ロータリーステージ13は、Y軸周りにおける回転によって、ロータリーステージ12の傾きを変化させる。XYZステージ14は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の各方向へ加工ヘッド3を移動させる。付加製造装置100は、ロータリーステージ12,13の動作によって、基材11の姿勢を変化させる。付加製造装置100は、基材11の姿勢を変化させるとともに加工ヘッド3を移動させることによって、被加工物におけるレーザビーム10の照射位置を移動させる。付加製造装置100は、加工点9に形成された溶融池にワイヤ5を送給し、ワイヤ5を溶融させることによってビード8を形成する。
駆動制御器22は、XYZステージ14を駆動することによって加工ヘッド3を移動させるヘッド駆動部23と、ワイヤ送給器7を駆動するワイヤ送給駆動部24と、ロータリーステージ12,13を駆動するステージ駆動部25とを有する。
加工ヘッド3には、測定部であるセンサユニット20が設けられている。センサユニット20は、被加工物の状態または形成されたビード8の状態を測定する。センサユニット20は、被加工物の形状、被加工物の温度、溶融池の形状などを測定する。センサユニット20は、測定データ30を生成する。
付加製造装置100は、付加製造のための演算を行う演算装置15と、付加製造装置100を制御する数値制御(Numerical Control:NC)装置16とを有する。NC装置16は、演算装置15から受けた加工プログラム27と加工条件情報28とに従って付加製造装置100を制御する。
設計データ26は、演算装置15へ入力される。設計データ26は、造形物の形状を指定するための3次元形状情報と、加工時のさまざまな条件を表すデータとを含む。3次元形状情報は、コンピュータ支援設計(Computer-Aided Design:CAD)データ、STL(Standard Triangulated Language)データなどである。条件は、加工時の制約条件、および、加工時に優先させる事項を表す優先条件と、これらの条件に付与される重み付けなどを含む。制約条件は、例えば、加工中における温度の上限値などである。制約条件が設定されることで、製品の品質を一定の範囲に保つことが可能となる。
設計データ26は、溶加材情報、レーザ出力、レーザビーム10の強度分布などを含む。ワイヤ5についての溶加材情報には、ワイヤ5の径およびワイヤ5の材料の情報が含まれる。設計データ26には、センサユニット20による測定が可能な各種変数のデータが含まれても良い。各種変数には、ワイヤ5の融点またはワイヤ5におけるレーザビーム10の反射率といった溶加材の物性、被加工物の温度、溶融池の大きさなどを示す変数が含まれる。
演算装置15は、設計データ26に基づいて、加工プログラム27と、加工条件と、レーザビーム10の強度分布とを最適化させるための演算を行う。演算装置15は、演算によって、加工プログラム27と、加工条件を表す加工条件情報28と、レーザビーム10の強度分布を調整させるための指令である調整指令29とを生成する。演算装置15は、加工プログラム27と加工条件情報28とをNC装置16へ送る。演算装置15は、強度分布制御器17へ調整指令29を送る。
センサユニット20は、測定の結果を表す測定データ30を、演算装置15へ送る。演算装置15は、測定データ30に基づいて、加工条件の調整と強度分布の変更とを行う。演算装置15は、加工条件を調整した場合、調整後の加工条件を表す加工条件情報28をNC装置16へ送る。演算装置15は、強度分布を変更した場合、変更された強度分布での調整を行わせるための調整指令29を強度分布制御器17へ送る。
加工プログラム27には、移動経路が指定されている。移動経路は、被加工物において加工点9を移動させる経路である。NC装置16は、加工プログラム27に記述されている内容を基に、移動経路を解析する。
NC装置16は、移動経路と加工条件とに従って各種指令を生成する。NC装置16は、移動経路上における単位時間ごとの補間点群である位置指令を生成する。NC装置16は、ヘッド駆動部23へ位置指令を送ることによって、XYZステージ14を制御する。NC装置16は、加工プログラム27の記述に従った軸指令を生成する。NC装置16は、ステージ駆動部25へ軸指令を送ることによって、ロータリーステージ12,13を制御する。
NC装置16は、加工プログラム27と加工条件とに従ったレーザ出力指令31を生成する。NC装置16は、レーザ出力制御器18へレーザ出力指令31を送ることによって、レーザ発振器1を制御する。
NC装置16は、加工プログラム27と加工条件とに従った送給指令を生成する。NC装置16は、ワイヤ送給駆動部24へ送給指令を送ることによって、ワイヤ送給器7を制御する。NC装置16は、加工プログラム27に従ったガス供給指令を生成する。NC装置16は、ガス流量調整器21へガス供給指令を送ることによって、ガス流量調整器21を制御する。
NC装置16は、強度分布調整部19の制御をレーザ出力指令31に連携させるための同期信号32を強度分布制御器17へ送る。NC装置16は、加工プログラム27の記述に従って同期信号32を生成する。強度分布制御器17は、同期信号32に従って、強度分布調整部19へ制御信号を送るタイミングを調整する。これにより、強度分布調整部19は、レーザ発振器1によるレーザ出力に合わせて強度分布を調整することができる。
なお、強度分布調整部19による強度分布の調整は、レーザ発振器1によるレーザ出力の調整とともに行われても、レーザ発振器1によるレーザ出力が一定である状態において行われても良い。付加製造装置100は、レーザ出力を低下させずにレーザビーム10の強度分布を調整することができる。付加製造装置100は、レーザ出力を低下させないことで、加工速度を低下させずに強度分布を最適化させることができる。
次に、センサユニット20について説明する。センサユニット20は、カメラ、温度計、形状測定器などを含む。センサユニット20は、加工開始時の加工点9の位置、移動経路における任意の位置、および、加工終了時の加工点9の位置のうちの少なくとも1つの位置において測定を行う。センサユニット20は、ビームノズル4と同軸であっても、ビームノズル4とは同軸でなくても良い。センサユニット20は、加工ヘッド3の任意の位置に設けられても良い。センサユニット20は、加工ヘッド3以外の位置に設けられても良い。
カメラは、可視光カメラ、赤外カメラ、高速度計測カメラなどである。カメラは、被加工物の形状、溶融状態、溶融池の形状、温度などを測定する。付加製造装置100は、センサユニット20にカメラが設けられることによって、被加工物の溶融状態、ワイヤ5の溶融状態、加工時に発生するヒュームまたはスパッタ、ワイヤ5の位置、被加工物の温度、ワイヤ5の温度、溶融池の温度などを観察することができる。
温度計は、被加工物から放射される光を検出する。温度計は、放射温度計またはサーモカメラといった、非接触タイプの温度計である。形状測定器は、Z軸方向の高さ、X軸方向およびY軸方向における形状を測定する測定器であって、レーザ変位計、光干渉断層撮影を行う光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)等である。センサユニット20は、分光器、音響測定器などを有しても良い。
センサユニット20は、レーザビーム10からの分岐された光を用いて各種測定を行っても良い。光の分岐には、レーザビーム10と同軸上に配置されたダイクロイックミラーを用いることができる。ダイクロイックミラーは、特定波長の光を透過させ、特定波長以外の波長の光を反射する。測定位置は、ガルバノスキャナなどによるミラーの駆動、あるいはプリズムといった光学素子の使用によって、逐次移動させても良い。
次に、演算装置15による処理について説明する。図2は、実施の形態1にかかる付加製造装置が有する演算装置の構成を示すブロック図である。図2には、演算装置15が有する機能構成を示している。
演算装置15は、情報が入力される入力部41と、移動経路を示す経路データを生成する経路生成部42と、加工プログラム27を生成するプログラム生成部43と、加工条件を調整する加工条件調整部44と、設計データ26に基づいた演算によってレーザビーム10の強度分布を求める強度分布演算部45とを有する。設計データ26と測定データ30とは、入力部41へ入力される。
演算装置15は、データを記憶するデータ記憶部46と、設定された加工条件と、レーザビーム10の設定された強度分布とを評価する評価部47と、ビード8の形状を決定するビード形状決定部48と、移動経路を基に造形物の形状を推定する形状推定部49とを有する。
経路生成部42は、付加製造によって造形物を製造するための移動経路を、設計データ26に基づいて決定する。経路生成部42は、決定された移動経路を示す経路データを生成する。プログラム生成部43は、経路データに基づいて、NCプログラムである加工プログラム27を生成する。
加工が開始される前において、付加製造装置100を使用する使用者によって加工条件の初期値が決定される。付加製造装置100には、加工が開始される前に、初期値である加工条件が設定される。加工条件調整部44は、設計データ26または測定データ30に基づいて、設定された加工条件を調整する。加工条件調整部44は、設定された加工条件を表す加工条件情報28を生成する。
付加製造装置100には、加工が開始される前に、レーザビーム10の強度分布として、初期値である強度分布が設定される。初期値である強度分布は、強度分布調整部19が強度分布調整を行わない場合における強度分布である。すなわち、初期値である強度分布は、強度分布調整部19以外の光学素子群によって定められる強度分布である。強度分布演算部45は、設計データ26または測定データ30に基づいて、設定された強度分布を変更する。強度分布演算部45は、設定された強度分布での調整を行わせるための調整指令29を生成する。調整指令29は、強度分布演算部45によって求められた強度分布を示す強度分布情報である。
ビード形状決定部48は、ビード8の外形であるビード形状を決定する。ビード8は、線ビードと点ビードとに分類される。線ビードは、加工点9を移動させながらワイヤ5の送給とレーザビーム10の照射とを行うことによって形成される線状のビードである。点ビードは、点状のビードである。点ビードは、加工点9を停止させた状態でワイヤ5の送給とレーザビーム10の照射とを行うことによって形成される。点ビードには、加工点9をわずかに移動させながら形成された点状のビードが含まれても良い。ビード形状決定部48は、線ビードまたは点ビードについてのビード形状を決定する。
ここで、移動経路を決定する方法の1つの例を説明する。この説明では、ビード8は、線ビードとする。経路生成部42は、3次元形状情報により表される3次元形状のうち、基材11から一定の高さにおける切断面の形状である2次元形状を求める。経路生成部42は、かかる2次元形状をさらに複数の短冊形状に分ける。経路生成部42は、各短冊形状の中心線と、中心線同士の間の移動とを含む移動経路を決定する。経路生成部42は、3次元形状における一定の高さごとの切断面について移動経路を決定する。
形状推定部49は、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいて形成される3次元形状を推定する。形状推定部49は、決定された移動経路に、設定された加工条件と設定された強度分布とによって決まるビード形状を組み合わせることによって、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいて形成される3次元形状を推定する。
評価部47は、設計データ26に示される形状と推定された3次元形状との差に基づいて、設定された加工条件と設定された強度分布とに従った造形の良否を評価する。造形が不良と判定された場合に、加工条件調整部44は、設定された加工条件を調整する。または、造形が不良と判定された場合に、強度分布演算部45は、設定された強度分布を変更する。
次に、付加製造装置100の動作手順について説明する。図3は、実施の形態1にかかる付加製造装置の動作手順を示す第1のフローチャートである。第1のフローチャートは、加工が開始される前に加工条件の調整または強度分布の変更を行う場合における付加製造装置100の動作手順を示す。
ステップS1において、付加製造装置100は、設計データ26を取得する。付加製造装置100は、入力部41へ設計データ26が入力されることによって、設計データ26を取得する。
ステップS2において、付加製造装置100は、加工条件を設定する。ここでは、初期値である加工条件が設定される。使用者は、加工条件表を参照することにより、任意の加工条件を選択することができる。加工条件表には、レーザ出力、ワイヤ送り速度、および軸送り速度の各値が記載されている。使用者は、加工条件表に記載されている値の中から、レーザ出力、ワイヤ5の供給量、および加工ヘッド3の送り速度の各初期値を選ぶことによって、加工条件を選択する。
ステップS3において、付加製造装置100は、ビード形状を決定する。ビード形状決定部48は、データベースを参照することによって、ビード形状を決定する。ビード形状決定部48は、データベースには無い条件についてのビード形状を決定する場合は、3次元形状を基にビード形状を推定するための演算を行う。ビード形状決定部48は、試し加工の結果に基づいてビード形状を決定しても良い。
ステップS4において、付加製造装置100は、移動経路を決定する。経路生成部42は、設計データ26に示される3次元形状と、決定されたビード形状とを基に、移動経路を決定する。
ステップS5において、付加製造装置100は、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいて形成される3次元形状である造形形状を推定する。形状推定部49は、決定された移動経路にビード形状を組み合わせることによって造形形状を推定する。移動経路に組み合わせられるビード形状は、ステップS3において決定されたビード形状を目標として、設定された加工条件と設定された強度分布とに従ってビード8を形成した場合に得られるビード形状を推定したものである。
ステップS6において、付加製造装置100は、設定された加工条件と設定された強度分布とに従った造形を評価する。評価部47は、設計データ26に示される3次元形状と推定された造形形状との差を求める。評価部47は、求めた差があらかじめ設定された閾値以下である場合、造形を良と判定する。造形が良と判定された場合、付加製造装置100は、後述するステップS8へ手順を進める。一方、評価部47は、求めた差があらかじめ設定された閾値を超える場合、造形を不良と判定する。
造形が不良と判定された場合、ステップS7において、付加製造装置100は、強度分布を変更し、加工条件を調整する。強度分布演算部45は、上記の求めた差に基づいて、当該差がゼロに近くなるように強度分布を調整する。加工条件調整部44は、上記の求めた差に基づいて、当該差がゼロに近くなるように加工条件を調整する。付加製造装置100は、当該差がゼロに近くなるように、強度分布の変更と加工条件の調整とのうちの一方のみを行うこととしても良い。付加製造装置100は、ステップS7を終えると、ステップS3へ手順を戻す。
ステップS8において、付加製造装置100は、演算装置15からNC装置16へ加工プログラム27と加工条件情報28とを出力する。付加製造装置100は、強度分布が初期値から変更された場合は、変更された強度分布での調整を行わせるための調整指令29を演算装置15から強度分布制御器17へ出力する。以上により、付加製造装置100は、図3に示す手順による動作を終了する。付加製造装置100は、加工プログラム27と、設定された加工条件と、設定された強度分布とに従った加工を開始する。
図4は、実施の形態1にかかる付加製造装置の動作手順を示す第2のフローチャートである。第2のフローチャートは、加工を開始してから加工を終了するまでの間に加工条件の調整または強度分布の変更を行う場合における付加製造装置100の動作手順を示す。
ステップS11において、付加製造装置100は、NC装置16において加工プログラム27と加工条件情報28とを取得する。NC装置16による加工プログラム27と加工条件情報28とに従った制御によって、付加製造装置100は加工を開始する。ステップS12において、付加製造装置100は、造形を行う。
ステップS13において、付加製造装置100は、測定データ30を取得する。センサユニット20による測定によって得られた測定データ30は、入力部41へ入力される。入力部41へ入力された測定データ30は、データ記憶部46に記憶される。
ステップS14において、付加製造装置100は、取得された測定データ30に基づいて造形を評価する。例を挙げると、評価部47は、造形物の目標形状と測定された形状との差、または、加工時における被加工物の目標温度と測定された被加工物の温度との差を求める。評価部47は、ワイヤ5の供給量の測定値と供給量の目標値との差を求めても良い。評価部47は、ビード8の形成に要した時間である加工時間の測定値と加工時間の目標値との差を求めても良い。評価部47は、求めた差があらかじめ設定された閾値以下である場合、造形を良と判定する。造形が良と判定された場合、付加製造装置100は、後述するステップS16へ手順を進める。一方、評価部47は、求めた差があらかじめ設定された閾値を超える場合、造形を不良と判定する。
造形が不良と判定された場合、ステップS15において、付加製造装置100は、強度分布を変更し、加工条件を調整する。強度分布演算部45は、上記求めた差に基づいて、当該差がゼロに近くなるように強度分布を調整する。加工条件調整部44は、上記の求めた差に基づいて、当該差がゼロに近くなるように加工条件を調整する。付加製造装置100は、当該差がゼロに近くなるように、強度分布の変更と加工条件の調整とのうちの一方のみを行うこととしても良い。付加製造装置100は、ステップS15を終えると、ステップS12へ手順を戻す。
ステップS16において、付加製造装置100は、造形を終了するか否かを判断する。加工プログラム27に従った造形物が完成していない場合、付加製造装置100は、造形を終了しないと判断する。造形を終了しない場合(ステップS16,No)、付加製造装置100は、手順をステップS12へ戻す。一方、付加製造装置100は、加工プログラム27に従った造形物が完成することによって、造形を終了とすると判断する。造形を終了する場合(ステップS16,Yes)、付加製造装置100は、図4に示す手順による動作を終了する。
次に、強度分布調整部19について説明する。図5は、実施の形態1にかかる付加製造装置が有する強度分布調整部の構成例を示す図である。強度分布調整部19には、コリメート光学系において平行化されたレーザビーム10が入射する。図5に示す構成例によると、強度分布調整部19は、レーザビーム10の照射位置を移動させることによって強度分布を調整する。
強度分布調整部19は、レーザビーム10を偏向させるガルバノスキャナ33X,33Yと、強度分布制御器17からの制御信号に従ってガルバノスキャナ33Xを駆動するガルバノ駆動部35Xと、強度分布制御器17からの制御信号に従ってガルバノスキャナ33Yを駆動するガルバノ駆動部35Yとを有する。
ガルバノスキャナ33Yは、加工ヘッド3へ入射したレーザビーム10を反射するガルバノミラー34Yを有する。ガルバノスキャナ33Yは、特定の振り角の範囲内においてガルバノミラー34Yを回転させることによって、レーザビーム10の照射位置をY軸方向へ移動させる。
ガルバノスキャナ33Xは、ガルバノスキャナ33Yから入射したレーザビーム10を反射するガルバノミラー34Xを有する。ガルバノスキャナ33Xは、特定の振り角の範囲内においてガルバノミラー34Xを回転させることによって、レーザビーム10の照射位置をX軸方向へ移動させる。
強度分布調整部19は、fθレンズ36を有する。ガルバノスキャナ33Xで反射したレーザビーム10は、fθレンズ36へ入射する。fθレンズ36は、fθレンズ36の焦点距離fにガルバノミラー34X,34Yの偏向角θを掛け合せたfθの位置にて、レーザビーム10を収束させる。fθレンズ36は、レーザビーム10の光路のうち、ガルバノスキャナ33X,33Yへ入射する前のレーザビーム10の光路に設けられても良い。fθレンズ36が用いられることによって、像面の歪みを少なくさせることができる。fθレンズ36は、高精度な強度分布調整に適している。なお、強度分布調整部19には、fθレンズ36の代わりに、fθレンズ36以外のレンズが設けられても良い。
図6は、図5に示す強度分布調整部による強度分布調整の例について説明するための第1の図である。図7は、図5に示す強度分布調整部による強度分布調整の例について説明するための第2の図である。図6および図7に示す例では、強度分布調整部19は、レーザビーム10の強度を変化させながらレーザビーム10を移動させることによって強度分布を調整する。
強度分布調整部19は、レーザビーム10により経路37を走査する。強度分布調整部19は、ガルバノスキャナ33YによってY軸方向においてレーザビーム10を往復させながら、ガルバノスキャナ33XによってX軸方向のプラス向きにレーザビーム10を移動させる。
図7に示すグラフは、強度分布調整部19から出射するレーザビーム10の強度の変化を表す。グラフの縦軸「P」は、レーザビーム10の強度を表す。グラフの横軸「t」は、時間を表す。強度分布調整部19は、ガルバノスキャナ33Xがレーザビーム10を移動させるごとにレーザビーム10の強度を低下させる。付加製造装置100は、レーザ発振器1のレーザ出力を変化させることによって、強度分布調整部19から出射するレーザビーム10の強度を変化させる。付加製造装置100は、同期信号32を用いて、レーザ出力の変化とレーザビーム10の走査とを互いに連携させる。
レーザビーム10の強度は、Y軸方向においてレーザビーム10が1回往復するごとに、段階的に低下する。強度分布調整部19は、かかるレーザビーム10により経路37を走査することによって、経路37の範囲におけるレーザビーム10の強度分布を、目標である強度分布Dx,Dyへ調整する。強度分布Dyは、Y軸方向における強度分布を表す。Y軸方向において照射位置が移動する間においてレーザビーム10の強度は一定である。強度分布Dxは、X軸方向における強度分布を表す。X軸方向のプラス向きに照射位置が移動するに従いレーザビーム10の強度は低下する。
強度分布調整部19は、レーザビーム10の強度を変化させながらレーザビーム10を移動させる方法以外の方法によって強度分布を調整しても良い。強度分布調整部19は、レーザビーム10の出力の変化、ビーム外形の回転、ビーム外形のサイズ変化、ビーム外形の形状変化、レーザビーム10の多点ビームへの変更などによって強度分布を調整しても良い。ビーム外形は、レーザビーム10の断面形状であって、一定強度を表す等高線の形状である。多点ビームは、ビーム外形が2つ以上に分離しているものを指す。互いに分離された複数のビームが、光学系の使用によって重ね合わせられる場合も、多点ビームに含まれる。次に示す図8では、強度分布調整の他の例について説明する。
図8は、図5に示す強度分布調整部による強度分布調整の他の例について説明するための図である。図8に示す第1の例では、強度分布調整部19は、レーザビーム10を多点ビームである5つのビーム10a,10b,10c,10d,10eに変換する。被加工部において、各ビームのスポット50a,50b,50c,50d,50eの一部同士が重ね合わせられる。強度分布調整部19は、各ビーム10a,10b,10c,10d,10eの強度を適宜調整することによって、強度分布を調整する。
図8に示す第2の例において、ビーム10fは、X軸方向において往復するレーザビーム10である。強度分布調整部19は、Y軸方向に対してX軸方向へ長い線形の領域においてビーム10fを照射させることで、レーザビーム10を線形のビーム外形に変換させる場合と同様の効果を得ることができる。強度分布調整部19は、X軸方向およびY軸方向の少なくとも一方においてレーザビーム10を移動させることによって、任意のビーム形状にレーザビーム10を変換させる場合と同様の効果を得ることができる。また、強度分布調整部19は、ビーム10fのスポット50fを移動させる態様を変化させることで、ビーム10fが照射する領域における強度分布を調整することができる。このように、ガルバノスキャナ33Xとガルバノスキャナ33Yとの少なくとも一方を用いてレーザビーム10を移動させることを、以下の説明ではラスタスキャンと称することがある。
図8に示す第3の例では、強度分布調整部19は、レーザビーム10を、ビーム外形の大きさが互いに異なる2つのビーム10h,10gに変換する。強度分布調整部19は、2つのビーム10h,10gのうちビーム外形が小さいほうのビーム10gをミラー38で反射させて、ビーム10gのスポット50gをビーム10hのスポット50hに内包させる。このように、1つのビームのスポットを他のビームのスポットに重畳させることを、以下の説明ではスポットインスポットと称することがある。
スポット50hのうちスポット50gが重なり合う領域の強度は、スポット50hのうちスポット50gが重なり合う領域以外の領域よりも高くなる。第3の例において、強度分布調整部19は、スポットインスポットを用いることで、強度分布を調整する。さらに、強度分布調整部19は、ミラー38を動かすことによって、スポット50hの外形を変化させずに、スポット50h内の強度分布を変化させることができる。強度分布調整部19は、ミラー38の代わりにプリズムを用いることによってスポットインスポットを実現しても良い。
このように、強度分布調整部19は、多点ビーム、ラスタスキャン、またはスポットインスポットのうちのいずれかを用いて、強度分布を調整することができる。強度分布調整部19は、被加工物におけるレーザビーム10の強度分布をさまざまな強度分布へ変換させることができる。強度分布調整部19は、多点ビーム、ラスタスキャン、およびスポットインスポットのうちの2つ以上を組み合わせて、強度分布を調整しても良い。この他、強度分布調整部19は、非球面レンズ、光干渉、ズーム光学、ビームシェーパ、イメージローテータなどを用いることによって強度分布を調整しても良い。
付加製造装置100は、強度分布調整部19でのこのような調整によって、レーザ出力を低下させずに、被加工物におけるレーザビーム10の強度分布を自在に変化させることができる。付加製造装置100は、レーザ出力を低下させないことで、加工速度を低下させずに強度分布を最適化させることができる。付加製造装置100は、加工速度を低下させないことで、高速な加工を実現できる。
実施の形態1によると、付加製造装置100は、強度分布調整部19により設計データ26に基づいて強度分布を調整することで、溶加材を溶融させる際における入熱量の過不足を低減させることができる。これにより、付加製造装置100は、造形物を高精度に製造することができるという効果を奏する。
実施の形態2.
実施の形態2では、単体の線ビードの中で入熱量が不足する領域においてレーザビーム10の強度を高くする調整を行う場合について説明する。図9は、実施の形態2にかかる付加製造装置の動作について説明するための図である。図10は、実施の形態2における強度分布の調整について説明するための第1の図である。図11は、実施の形態2における強度分布の調整について説明するための第2の図である。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
実施の形態2において、強度分布演算部45は、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいてビード8の形成時における被加工物の入熱量を推定し、入熱量に基づいて強度分布を変更する。
付加製造装置100は、線ビードであるビード8を形成する際に、加工開始位置であるx1にレーザビーム10の照射位置が合うように、加工ヘッド3を移動させる。付加製造装置100は、レーザビーム10の出力をオンにする。それと同時に、付加製造装置100は、図11に示すように、一定の供給量Wでのワイヤ5の送給と、一定の送り速度Fでの加工ヘッド3の移動とを開始する。付加製造装置100は、加工終了位置であるx3まで、移動経路に沿って加工ヘッド3を移動させる。x2は、移動経路上の位置であって、x1とx3との間の位置とする。加工点9は、X軸方向のプラス向きへ移動するものとする。
加工点9において被加工物が溶融することによって、溶融池が形成される。加工点9の移動に伴って、加工点9が通り過ぎた位置の溶融池が固化するとともに、加工点9の移動先にて被加工物が溶融することによって、加工の進行に伴って溶融池の位置が移動する。溶融池には逐次ワイヤ5が送給される。加工点9が通り過ぎた位置において、溶融池とワイヤ5の溶融物とが固化することによって、ビード8が形成される。
加工点9がx3に到達したときに、付加製造装置100は、加工ヘッド3を停止させる。それと同時に、付加製造装置100が、レーザビーム10の出力をオフにするとともに、ワイヤ5の送給を停止する。付加製造装置100は、必要に応じてワイヤ5を引き戻すことによって、溶融池からワイヤ5を引き抜く。
図9には、強度分布調整部19による強度分布の変更前における被加工物の入熱量を表すグラフと、強度分布調整部19による強度分布の変更後における被加工物の入熱量を表すグラフとを示している。図10に示すように、被加工物におけるビーム形状51は、一辺の長さがdである正方形とする。変更前における強度分布は、D1とする。入熱量は、被加工物におけるX軸方向の単位長さにおける熱量とする。入熱量は、ビーム出力Pを送り速度Fで割ることにより、P/Fと表される。入熱量の単位はJ/mmである。
x1からx3まで、強度分布D1のレーザビーム10を移動させる場合において、x1では、レーザビーム10の出力がオンになるのと同時に加工ヘッド3の移動が開始される。レーザビーム10の中心がx1であるときにおけるレーザビーム10の照射領域では、x2寄りの部分ほど入熱量が多くなる。当該照射領域のうち入熱量が少ない部分では溶融させた溶加材の付加量が少なくなる一方、付加されず余剰となった溶加材が、入熱量が多いx2寄りの部分へ付加される。このため、加工開始時におけるレーザビーム10の照射領域では、x2寄りの部分にて付加される溶加材が多くなることによる形状誤差が生じ易い。レーザビーム10の中心がx3であるときにおけるレーザビーム10の照射領域では、x2寄りの部分ほど入熱量が多くなるため、余剰となった溶加材がx2寄りの部分へ付加される。加工終了時におけるレーザビーム10の照射領域でも、x2寄りの部分にて付加される溶加材が多くなることによる形状誤差が生じ易い。このため、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいてビード8が形成された場合でも、ビード8のうち加工開始位置である端と加工終了位置である端とにおいて、形状精度が低下し易い。
強度分布演算部45は、入熱量を推定し、所望の形状のビード8を形成するために必要な入熱量に対して不足する入熱量を計算する。強度分布演算部45は、入熱量の不足が生じる領域について、入熱量の不足を補い得る強度分布を求める。このように、強度分布演算部45は、推定された入熱量に基づいて強度分布を変更する。
例えば、レーザビーム10の中心がx3に到達したときにおけるレーザビーム10の照射領域では、図9に示すA1に相当する入熱量が不足する。強度分布演算部45は、当該領域に対して、A1に相当する熱量を補填可能な強度分布D3を求める。入熱量の不足を補うために必要な熱量は、入熱量であるP/Fに、X軸方向におけるビーム形状51の幅であるdを掛け合わせて、(P/F)×d×(1/2)=(P×d)/(2×F)と算出される。x3が加工終了位置であることから、強度分布演算部45は、当該領域では、X軸方向のプラス側ほど入熱量が少ないと推定する。強度分布演算部45は、かかる推定に基づいて、X軸方向のプラス側ほど強度が高くなるような強度分布D3を求める。このように、強度分布演算部45は、当該領域における入熱量の分布を推定し、推定された分布に適合する強度分布D3を求める。
当該領域におけるレーザビーム10の強度をP’、照射時間をsとして、入熱量の不足を補うために必要な照射時間は、s=(1/P’)×(P×d)/(2×F)と算出される。当該領域におけるレーザビーム10の強度がPのままである場合、すなわちP’=Pである場合、照射時間は、s=d/(2×F)と算出される。
レーザビーム10の中心がx1であるときにおけるレーザビーム10の照射領域については、レーザビーム10の中心がx3に到達したときの場合と同様に、必要となる熱量と照射時間とを算出することができる。x1が加工開始位置であることから、強度分布演算部45は、当該領域では、X軸方向のうちマイナス側ほど入熱量が少ないと推定する。強度分布演算部45は、かかる推定に基づいて、X軸方向のマイナス側ほど強度が高くなるような強度分布D2を求める。このように、強度分布演算部45は、当該領域における入熱量の分布を推定し、推定された分布に適合する強度分布D2を求める。
図11に示すように、強度分布演算部45は、レーザビーム10がx1から移動を開始するタイミングを含む時間T1においてx1における強度分布をD2へ変更する。強度分布調整部19は、強度分布をD2とする調整を行う。強度分布演算部45は、レーザビーム10がx3に到達したタイミングを含む時間T3における強度分布をD3へ変更する。強度分布調整部19は、強度分布をD3とする調整を行う。強度分布調整部19は、レーザビーム10がx1からx3へ移動するまでの時間T2において強度分布の調整を行わず、強度分布をD1のままにさせる。
このように、強度分布演算部45は、加工点9がx1であるときにレーザビーム10が照射する領域と、加工点9の位置がx3であるときにレーザビーム10が照射する領域とについて、入熱量を推定して、推定された入熱量に基づいて強度分布を変更する。これにより、付加製造装置100は、x1からx3までにおいて入熱量を一定にさせることができる。付加製造装置100は、x1からx3までにおける形状精度が高いビード8を形成することができる。付加製造装置100は、加工開始位置と加工終了位置とにおけるビード8の形状精度を向上させることができることによって、造形物を高精度に製造することが可能となる。
図11に示す例では、強度分布演算部45は、レーザビーム10の中心がx1であるときの強度分布がD2、レーザビーム10の中心がx3であるときの強度分布がD3となるように、強度分布を調整する。強度分布演算部45は、かかる方法によって強度分布を調整するものに限られない。ここで、実施の形態2における強度分布調整の変形例について説明する。
図12は、実施の形態2における強度分布調整の変形例について説明するための図である。ここでは、強度分布調整の2つの変形例について説明する。図12の(a)には、変形例1にかかる強度分布調整による強度分布の変化を模式的に表している。図12の(b)には、変形例2にかかる強度分布調整による強度分布の変化を模式的に表している。図12の(a)および(b)では、x2からx3へレーザビーム10を移動させてレーザビーム10をオフにするまでにおいて、レーザビーム10の強度分布が変化しながらレーザビーム10が移動する様子を表している。図12の(a)および(b)において、縦軸「t」は時間を表す。
図12の(a)に示す変形例1では、レーザビーム10の中心がx3に到達する前から強度分布を変化させることによって、レーザビーム10の中心がx3に到達したときの照射領域における入熱量の不足を補う。レーザビーム10がx2からx3へ向かうとき、レーザビーム10の強度分布はD1である。x3-dの位置に照射領域の中心が到達したタイミングから、照射領域の中心がx3に到達するまでの期間Δtaにおいて、強度分布演算部45は、D1から強度分布を変更する。強度分布演算部45は、x3が中心かつ幅がdである領域内において、X軸方向のプラス側ほど強度が高くなるように、強度分布を変更する。レーザビーム10の中心がx3に到達したタイミングにて、付加製造装置100は、ワイヤ5の送給とレーザビーム10の照射とを停止させる。付加製造装置100は、このような強度分布の調整によって、入熱量の不足を補う。
強度分布演算部45は、x1からレーザビーム10の移動を開始する際も、x3にレーザビーム10が到達するときと同じ要領により強度分布を変更する。強度分布演算部45は、x1が中心かつ幅がdである領域内において、X軸方向のマイナス側ほど強度が高くなるように、強度分布を変更する。その後、レーザビーム10の強度分布はD1へ変更されて、レーザビーム10はx1からx2へ移動する。変形例1によると、付加製造装置100は、x1とx3とにおける強度分布の調整によって、ビード8のうちx1における端とx3における端とにおける形状精度の低下を防ぐことができる。変形例1の場合、図11に示す例による強度分布調整の場合と比較して、加工時間を短縮することができる。
図12の(b)に示す変形例2では、レーザビーム10の中心がx3に到達したときからレーザビーム10の幅を縮小させるとともにレーザビーム10の移動を継続させることによって、入熱量の不足を補う。レーザビーム10がx2からx3へ向かうとき、レーザビーム10の強度分布はD1である。照射領域の中心がx3に到達したタイミングにて、付加製造装置100は、ワイヤ5の送給を停止する。x3の位置に照射領域の中心が到達したタイミングから、レーザビーム10の照射を停止するまでの期間Δtbにおいて、レーザビーム10の移動が継続される。強度分布演算部45は、期間Δtbにおいてレーザビーム10の移動が継続される間、照射領域の幅を変化させることによって強度分布を変更する。強度分布演算部45は、x3+2/dの位置よりもX軸方向のプラス側へ照射領域がはみ出ないように、X軸方向における照射領域の幅を漸次小さくさせる調整を行う。付加製造装置100は、照射領域の幅を漸次小さくさせながらレーザビーム10の移動を継続させた後、レーザビーム10の照射を停止させる。付加製造装置100は、このような強度分布の調整によって、入熱量の不足を補う。
強度分布演算部45は、x1からレーザビーム10の移動を開始する前にも、x3にレーザビーム10が到達した後と同じ要領により強度分布を変更する。付加製造装置100は、x1よりもX軸方向マイナス側にておいてレーザビーム10の照射を開始して、レーザビーム10を移動させる。レーザビーム10の照射開始時において、X軸方向における照射領域の幅は、dよりも小さい。強度分布演算部45は、レーザビーム10の中心がx1に到達したときにX軸方向における照射領域の幅がdとなるように、照射領域の幅を漸次大きくする。強度分布演算部45は、x1-2/dの位置よりもX軸方向のマイナス側へ照射領域がはみ出ないように、照射領域の幅を調整する。レーザビーム10の中心がx1に到達したときに強度分布はD1へ変更されて、レーザビーム10はx1からx2へ移動する。変形例2によると、付加製造装置100は、x1とx3とにおける強度分布の調整によって、ビード8のうちx1における端とx3における端とにおける形状精度の低下を防ぐことができる。変形例2の場合、レーザビーム10のエネルギー密度を変更せずに強度分布を調整することができる。
実施の形態2によると、付加製造装置100は、ビード8の形成時における被加工物の入熱量を推定し、入熱量に基づいて強度分布を変更する。付加製造装置100は、入熱量の不足を低減できることによって、設計データ26に示される3次元形状からの形状のずれを低減させることができる。これにより、付加製造装置100は、造形物を高精度に製造することができるという効果を奏する。
実施の形態3.
実施の形態3では、曲線状の線ビードの中で入熱量が不足する領域においてレーザビーム10の強度を高くする調整を行う場合について説明する。図13は、実施の形態3にかかる付加製造装置の動作について説明するための図である。図14は、実施の形態3における強度分布の調整について説明するための図である。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。
実施の形態3において、強度分布演算部45は、設計データ26と設定された加工条件と設定された強度分布とに基づいてビード8の形成時における被加工物の入熱量を推定し、入熱量に基づいて強度分布を変更する。
実施の形態3では、付加製造装置100が半径Rの円弧状のビード8を形成する場合を例とする。被加工物におけるビーム形状51は、図10に示す場合と同様に、一辺の長さがdである正方形とする。変更前における強度分布は、D1とする。付加製造装置100は、円弧状の移動経路に沿って一定の送り速度で加工点9を移動させる。
円弧に沿ってレーザビーム10を移動させると、ビーム形状51が通る領域では、内周側ほど入熱量が多くなり、外周側ほど入熱量が少なくなる。すなわち、図14に示すように、ビーム形状51が通る領域のうち内周側の端xr1では、当該領域のうち径方向における中心に比べて入熱量が多くなる。また、ビーム形状51が通る領域のうち外周側の端xr2では、当該領域のうち径方向における中心に比べて入熱量が少なくなる。
端xr2と、中心と、端xr1との各々における入熱量の比は、円弧の長さの比によって表すことができる。すなわち、端xr2と、中心と、端xr1との各々における入熱量の比は、2π(R+d/2):2πR:2π(R-d/2)と表される。
強度分布演算部45は、ビーム形状51が通る領域における入熱量を推定し、所望の形状のビード8を形成するために必要な入熱量に対して不足する入熱量を計算する。また、強度分布演算部45は、入熱量の過不足を補い得る強度分布を求める。このように、強度分布演算部45は、推定された入熱量に基づいて強度分布を変更する。
強度分布演算部45は、ビーム形状51が通る領域のうち中心よりも内周側では、入熱量の過剰分を少なくさせるように強度分布を変更する。強度分布演算部45は、ビーム形状51が通る領域のうち中心よりも外周側では、入熱量の不足分を補うように強度分布を変更する。強度分布演算部45は、決定されたビード形状を基に、内周側ほど入熱量が多く、かつ外周側ほど入熱量が少ないと推定する。強度分布演算部45は、かかる推定に基づいて、内周側ほど強度が低く、かつ外周側ほど強度が高くなるような強度分布D4を求める。このように、強度分布演算部45は、当該領域における入熱量の分布を推定し、推定された分布に適合する強度分布D4を求める。
付加製造装置100は、ビーム形状51が通る領域の内周側から外周側において、入熱量を一定にさせることができる。付加製造装置100は、内周側から外周側における形状精度が高いビード8を形成することができる。付加製造装置100は、加工開始位置と加工終了位置とにおけるビード8の形状精度を向上させることができることによって、造形物を高精度に製造することが可能となる。実施の形態3によると、付加製造装置100は、加工速度を低下させなくても、形状精度が高い造形物を製造することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、被加工物の溶融状態と溶加材の溶融状態とを測定した結果に基づいて強度分布を調整する場合について説明する。図15は、実施の形態4にかかる付加製造装置の動作について説明するための図である。図15には、ビード8の形成時におけるワイヤ5とワイヤ送給器7とビード8とを加工ヘッド3側から観察した様子を示している。図15には被加工物であるビード8を示している。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。
強度分布調整部19は、1つのビームのスポット52aを他の1つのビームのスポット52bに重畳させる。すなわち、強度分布調整部19は、スポットインスポットを用いて、強度分布を調整する。スポット52aの外形は、X軸方向の長軸を有する楕円形である。スポット52aは、ワイヤ5の先端部を照射する。スポット52bの外形は、矩形である。スポット52bは、ワイヤ5の先端部と、ワイヤ5の先端部の周囲とを照射する。
ワイヤ5が溶融状態を維持可能なレーザビーム10の強度をPa、被加工物が溶融状態を維持可能なレーザビーム10の強度をPbとする。被加工物の溶融状態とワイヤ5の溶融状態とのそれぞれを維持するために、強度分布調整部19は、スポット52aの強度をPa、スポット52bの強度をPbにそれぞれ調整する。
強度分布調整部19は、ワイヤ5の溶融状態の測定結果として、センサユニット20によって測定されたワイヤ5の温度の値を取得する。強度分布調整部19は、被加工物の溶融状態の測定結果として、センサユニット20によって測定された被加工物の温度の値を取得する。強度分布調整部19は、ワイヤ5の融点と、ワイヤ5におけるレーザビーム10の吸収率と、ワイヤ5の熱容量とに基づいて、ワイヤ5の溶融状態を推定しても良い。強度分布調整部19は、被加工物の融点と、被加工物におけるレーザビーム10の吸収率と、被加工物の熱容量とに基づいて、被加工物の溶融状態を推定しても良い。
強度分布調整部19は、ワイヤ5におけるレーザビーム10の強度と被加工物におけるレーザビーム10の強度とを個別に制御することによって、ワイヤ5の溶融状態と被加工物の溶融状態とを維持させることができる。付加製造装置100は、ワイヤ5と被加工物とに反射率などの物性の違いがある場合でも、ワイヤ5と被加工物との双方を適切に溶融させることができる。また、付加製造装置100は、被加工物に傾斜がある場合などのように、被加工物におけるエネルギー密度が低下する状況においても、ワイヤ5と被加工物との双方を適切に溶融させることができる。実施の形態4によると、付加製造装置100は、溶加材と被加工物とを安定して溶融させることができることによって、造形物を高精度に製造することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、任意の内部構造を有する造形物を製造するための強度分布の変更について説明する。図16は、実施の形態5にかかる付加製造装置の動作について説明するための図である。図16では、点ビードの形成についての3つの例を示している。3つの例の各々について、X軸方向およびY軸方向におけるビーム形状と、点ビードの側面とを示している。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。
第1の例におけるビード53aは、円形のビーム外形を有するレーザビーム10を照射することによって形成される点ビードである。レーザビーム10の強度分布は、強度分布調整部19による変更が行われていないときの強度分布であるD10とする。図16には、6×4個のビード53aが基材11に形成された様子を示している。
付加製造装置100は、ビード53aの間隔を適宜調整することによって、複数のビード53aを隙間無く並べることができる。付加製造装置100は、隙間なく並べられた複数のビード53aの層を複数積み重ねることによって、中実のブロック形状を製造することができる。
第2の例において、ビード53bとビード53cとは、互いに同じ矩形の点ビードである。加工ヘッド3からビード53bとビード53cとを見た場合において、ビード53bは、ビード53cを45度回転させたものである。ビード53bを形成するときのビーム外形は、ビード53cを形成するときのビーム外形を45度回転させたものである。強度分布調整部19は、ビード53bが形成されるときの強度分布であるD11を、ビード53cが形成される強度分布であるD12から45度回転させるように、D11とD12とを変更する。
ビード53b同士の間隔と、ビード53c同士の間隔とは、互いに同じである。ビード53c同士が隙間無く並べられるのに対し、ビード53b同士の間には隙間が形成される。このため、複数のビード53bが配置される密度は、複数のビード53cが配置される密度よりも低くなる。このように、強度分布調整部19は、強度分布の変更によってビーム外形を回転させることによって、内部構造における材料の密度が互いに異なる造形物を製造することができる。
第3の例において、ビード53dとビード53eとは、互いに同じ楕円形の点ビードである。加工ヘッド3からビード53dとビード53eとを見た場合において、ビード53eは、ビード53dを45度回転させたものである。ビード53eを形成するときのビーム外形は、ビード53dを形成するときのビーム外形を45度回転させたものである。強度分布調整部19は、ビード53dが形成されるときの強度分布であるD13を、ビード53eが形成される強度分布であるD14から45度回転させるように、D13とD14とを変更する。
ビード53dと、ビード53eとは、X軸方向とY軸方向との各々において、一定の間隔で交互に配置される。複数のビード53dと複数のビード53eとが並べられることによって、2つのビード53dと2つのビード53eとによって囲まれた隙間が形成される。付加製造装置100は、ビード53dおよびビード53eの層を複数積み重ねることによって、中空構造を有する造形物を製造することができる。
実施の形態5によると、付加製造装置100は、強度分布調整部19による強度分布の調整によってビーム外形を変化させる。付加製造装置100は、ビーム外形を変更することによって、任意の内部構造を有する造形物を製造することができる。
実施の形態6.
実施の形態6では、被加工物の温度分布に基づいて強度分布を調整する例について説明する。図17は、実施の形態6にかかる付加製造装置の動作について説明するための第1の図である。図18は、実施の形態6にかかる付加製造装置の動作について説明するための第2の図である。図17には、ビード8の形成時におけるビード8と溶融池55とを加工ヘッド3側から観察した様子を示している。図17では、溶融池55へ供給されているワイヤ5の図示は省略する。実施の形態6では、上記の実施の形態1から5と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から5とは異なる構成について主に説明する。
実施の形態6において、ビーム外形は、直径がdである円形とする。図17において、加工点9は、X軸方向においてプラス向きに移動している。センサユニット20に備えられている温度計は、第1の測定ライン56Aにおける被加工物の温度分布を測定する。第1の測定ライン56Aは、移動経路上の位置を通る線分であって、移動経路に垂直な線分である。第1の測定ライン56Aと移動経路との交点は、現在の加工点9よりも先の位置である。
温度計は、加工ヘッド3に固定されている。第1の測定ライン56Aは、加工点9の移動とともに移動経路の前方へ移動する。被加工物上の位置を第1の測定ライン56Aが通過してから当該位置を加工点9が通過するまでの時間が分かるのであれば、加工点9と第1の測定ライン56Aとの距離は、固定されていても、固定されていなくても良い。強度分布調整部19は、第1の測定ライン56Aにおける温度の測定結果に基づいて、レーザビーム10の強度分布を調整する。
図18には、温度計による測定結果である測定値の分布と、強度分布の変換のための変換値の分布と、変換値に基づいて変換された後の強度分布とを示している。図18に示す測定値の分布は、Y軸方向における分布である。強度分布演算部45は、温度値の分布における測定値とは大小が逆である変換値を求め、変換値に基づいて強度分布を変更する。
第1の測定ライン56Aにおける温度の測定値の分布をT(y)、溶融池55の目標温度をα、係数をβとすると、目標温度の溶融池55を得るための強度分布は、β{α-T(y)}と表される。T(y)は、Y軸方向における位置ごとにおける測定値を表す。{α-T(y)}は、目標温度と測定値との差を表す。第1の測定ライン56Aが通過したある位置に加工点9が到達したとき、強度分布調整部19は、レーザビーム10の強度分布をβ{α-T(y)}へ調整する。
βは、主に、被加工物におけるレーザビーム10の吸収率と、被加工物の熱容量によって決まる係数である。βの値は、計算によって求められる。βの値は、試し加工の結果に基づいて補正されても良い。
実施の形態6によると、付加製造装置100は、被加工物の温度分布に基づいてレーザビーム10の強度分布を調整することによって、溶融池55における温度分布を均一にすることができる。付加製造装置100は、ビード8の形状精度を向上させることができ、形状精度が高い造形物を製造することができる。
なお、付加製造装置100は、図17に示す第2の測定ライン56Bにおける温度の測定結果に基づいてαおよびβの各値を逐次補正しても良い。この場合、センサユニット20に備えられている温度計は、第2の測定ライン56Bにおける被加工物の温度分布を測定する。第2の測定ライン56Bは、移動経路上の位置を通る線分であって、移動経路に垂直な線分である。第2の測定ライン56Bと移動経路との交点は、現在の加工点9よりも後の位置である。付加製造装置100は、αおよびβを補正することによって、形状精度が高い造形物を製造することができる。
実施の形態7.
実施の形態7では、被加工物の形状に基づいて強度分布を調整する場合について説明する。図19は、実施の形態7にかかる付加製造装置の動作について説明するための第1の図である。図20は、実施の形態7にかかる付加製造装置の動作について説明するための第2の図である。実施の形態7では、上記の実施の形態1から6と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から6とは異なる構成について主に説明する。
被加工物である2つのビード8は、X軸方向に並べられている。図19には、2つのビード8の間の凹部58にビード8を形成するときの様子を示している。実施の形態7において、スポット外形は、一辺の長さがdである正方形とする。変更前における強度分布は、図10に示す場合と同様のD1とする。
図19において、加工点9は、Y軸方向においてプラス向きに移動している。センサユニット20に備えられている形状測定器は、測定ライン59における被加工物の高さの分布を測定する。高さは、Z軸方向における高さである。測定ライン59は、移動経路上の位置を通る線分であって、移動経路に垂直な線分である。測定ライン59と移動経路との交点は、現在の加工点9よりも先の位置である。強度分布調整部19は、測定ライン59における高さの測定結果に基づいて、レーザビーム10の温度分布を調整する。
図20には、測定ライン59における被加工物の断面の形状と、高さの測定結果である測定値の分布と、測定値を微分した結果である微分値の分布と、当該微分値の絶対値と、当該絶対値に基づいて変換された後の強度分布とを示している。図20に示す測定値の分布は、X軸方向における分布である。
測定ライン59における測定値の分布をH(x)とする。H(x)は、Y軸方向における位置ごとにおける測定値を表す。被加工物における入熱量を均一にするためには、X軸に対する被加工物の表面の傾斜が大きくなるに従って、供給するエネルギーを多くする必要がある。かかる傾斜は、dH(x)/dxと表される。図20に示す微分値は、被加工物の表面における傾斜の分布を表す。X軸と被加工物の表面との角度をθとすると、θ=arctan|dH(x)/dx|が成り立つ。必要な強度分布は、D1(x)と1/cos(θ)との積であるD1(x)/cos(θ)と表すことができる。強度分布調整部19は、θ=arctan|dH(x)/dx|として、レーザビーム10の強度分布をD1(x)/cos(θ)へ調整する。
実施の形態7によると、付加製造装置100は、被加工物の形状に基づいてレーザビーム10の強度分布を調整することによって、被加工物における入熱量を均一にすることができる。付加製造装置100は、ビード8の形状精度を向上させることができ、形状精度が高い造形物を製造することができる。付加製造装置100は、入熱量が部分的に不足することによる濡れ性の低下を低減できる。これにより、付加製造装置100は、加工精度の低下と空隙の発生とを抑制することができる。
実施の形態8.
実施の形態8では、設計データ26に適合した強度分布の選び方について説明する。実施の形態8では、レーザビーム10のビーム外形を、円形と矩形との2つから選択可能であるものとする。実施の形態8では、強度分布調整部19は、設計データ26により指定された形状に基づいて強度分布を調整する。実施の形態8では、上記の実施の形態1から7と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から7とは異なる構成について主に説明する。
図21は、実施の形態8において形成される第1のビードについて説明するための図である。図22は、実施の形態8において形成される第2のビードについて説明するための図である。図21に示す第1のビード60aは、ビーム外形が円形であるレーザビーム10を用いて形成される線ビードである。図22に示す第2のビード60bは、ビーム外形が矩形であるレーザビーム10を用いて形成される線ビードである。
図23は、実施の形態8にかかる付加製造装置において第1のビードを用いて製造される造形物について説明するための第1の図である。図24は、実施の形態8にかかる付加製造装置において第1のビードを用いて製造される造形物について説明するための第2の図である。実施の形態8では、X軸方向における長さがL、Y軸方向における幅がM、Z軸方向における高さがHである造形物を製造する場合について説明する。
第1のビード60aを形成する際における加工開始位置から加工終了位置までの距離をXL1とする。第1のビード60aのうち、加工開始側の第1端と加工終了側の第2端とは、どちらも半球形となる。第1端の半球形の半径をa11、第2端の半球形の半径をa12とすると、第1のビード60aのX軸方向における長さは、XL1+a11+a12と表される。第1のビード60aのY軸方向における幅はc1、第1のビード60aのZ軸方向における高さはh1とする。
図23には、4つの第1のビード60aが形成されたときの様子と、設計データ26の3次元形状情報に示される製品形状61とを示している。製品形状61よりも大型の付加加工形状を得るために、4つの第1のビード60aが必要となる。なお、付加加工形状のうち製品形状61からはみ出た部分は、後加工である切削加工により除去される。
図24には、図23に示す4つの第1のビード60aのうち、最初の1つが形成されたときの様子を示している。1つの第1のビード60aが形成されるときにおける移動経路である加工パス62の長さは、Lと同じ長さであるXL1である。第1のビード60aのうち、第1端側における長さa11の部分と、第2端側における長さa12の部分とは、切削加工により除去される。第1のビード60aの幅c1にも、製品形状61からはみ出る部分が含まれている。幅c1のうち製品形状61からはみ出る部分は、切削加工により除去される。第1のビード60aの高さh1にも、製品形状61からはみ出る部分が含まれている。高さh1のうち製品形状61からはみ出る部分は、切削加工により除去される。Y軸方向における加工パス62の位置は、c1とh1とが最小となるように決定される。
最初の第1のビード60aが形成されるときの加工パス62と、2番目の第1のビード60aが形成されるときの加工パス62との間隔をYpとする。Ypは、2つの第1のビード60aの各々における頂点が互いに同じ高さの位置となるように設定される。頂点とは、第1のビード60aのうちZ軸方向において最も高い位置とする。Ypは、第1のビード60aの断面形状から算出される。Ypは、試し加工の結果に基づいて決定されても良い。移動パス63は、加工を行わず加工ヘッド3を移動させる経路である。図24には、4つの第1のビード60aを形成する場合における加工パス62と移動パス63とを示している。加工パス62と移動パス63とは、図2に示す経路生成部42によって決定される。
図22に示すように、第2のビード60bを形成する際における加工開始位置から加工終了位置までの距離をXL2とする。第2のビード60bのうち、加工開始側の第1端と加工終了側の第2端とは、どちらも立方体状となる。第1端の立方体部分におけるX軸方向の幅をa21、第2端の立方体部分におけるX軸方向の幅をa22とすると、第2のビード60bのX軸方向における長さは、XL2+a21+a22と表される。第2のビード60bのY軸方向における幅はc2、第2のビード60bのZ軸方向における高さはh2とする。
図25は、実施の形態8にかかる付加製造装置において第2のビードを用いて製造される造形物について説明するための図である。図25には、3つの第2のビード60bが形成されたときの様子と、設計データ26の3次元形状情報に示される製品形状61とを示している。製品形状61よりも大型の付加加工形状を得るために、3つの第2のビード60bが必要となる。
1つの第2のビード60bが形成されるときにおける加工パス62の長さは、1つの第1のビード60aが形成されるときにおける加工パス62の長さよりも短い。すなわち、XL1>XL2が成り立つ。また、a11>a21,a12>a22,c1>c2,h1>h2が成り立つ。すなわち、ビーム外形が円形である場合とビーム外形が矩形である場合とを比べると、ビーム外形が矩形である場合のほうが、製品形状61に対して余剰となる材料の体積が少なくなる。さらに、第2のビード60bにより付加加工形状を製造する場合は、第1のビード60aにより付加加工形状を製造する場合よりもビード数が少ない。
図2に示す強度分布演算部45は、ビーム外形が円形である場合とビーム外形が矩形である場合とについて造形を評価する。強度分布演算部45は、経路生成部42によって加工パス62および移動パス63が決定されると、付加加工形状と加工時間とに基づいて造形を評価する。図23から図25に示す例の場合、強度分布演算部45は、ビーム外形が矩形である場合のほうが、ビーム外形が円形である場合よりも加工時間を短縮することができると評価する。強度分布演算部45は、加工時間についての評価の結果を基に、製品形状61の形成において矩形のビーム外形を選択する。このように、付加製造装置100は、設計データ26に基づいて最適なビーム形状を選択することができる。
図26は、実施の形態8によるビーム形状の選択例について説明するための第1の図である。図26に示す例では、付加製造装置100は、正三角形の製品形状66を製造するために、正三角形のビーム外形64のレーザビーム10を使用して線ビードを形成する。付加製造装置100は、製品形状66のうちの終点位置65では、正三角形の点ビードを形成する。
図27は、実施の形態8によるビーム形状の選択例について説明するための第2の図である。図27に示す例では、付加製造装置100は、平行四辺形の製品形状66を製造するために、平行四辺形のビーム外形64のレーザビーム10を使用して線ビードを形成する。
図28は、実施の形態8によるビーム形状の選択例について説明するための第3の図である。図28に示す例では、付加製造装置100は、楕円形の製品形状66を製造するために、楕円形のビーム外形64のレーザビーム10を使用して線ビードを形成する。付加製造装置100は、製品形状66のうちの終点位置65では、楕円形の点ビードを形成する。
実施の形態8によると、付加製造装置100は、設計データ26により指定されている3次元形状に合わせてビーム外形を最適化することにより、付加加工形状の余剰分を少なくすることができ、かつ加工時間を短縮することができる。これにより、付加製造装置100は、造形品を効率良く製造することができる。
実施の形態9.
実施の形態9では、機械学習の手法によって、設計データ26に適した移動経路と加工条件と強度分布とを学習する例について説明する。図29は、実施の形態9にかかる付加製造装置が有する演算装置の構成を示すブロック図である。演算装置70は、付加製造のための演算を行う。図29には、演算装置70が有する機能構成を示している。
演算装置70は、図2に示す演算装置15と同様に、入力部41、プログラム生成部43、データ記憶部46、評価部47、ビード形状決定部48および形状推定部49を有する。演算装置70は、機械学習を行う学習装置71と、加工条件の調整と強度分布を求める演算とを行う推論装置72と、学習済モデルを記憶するモデル記憶部73とを有する。
学習装置71は、設計データ26により指定されている3次元形状の造形に適する移動経路と加工条件と強度分布とを学習し、学習済モデルを生成する。推論装置72は、学習済モデルを用いて、造形に適した移動経路と加工条件と強度分布とを推論する。推論装置72は、経路生成部42と加工条件調整部44と強度分布演算部45との各機能を担う。
図30は、実施の形態9にかかる付加製造装置が有する学習装置の機能構成を示すブロック図である。学習装置71は、データ取得部74とモデル生成部75とを有する。データ取得部74は、設計データ26と、NC装置16において実行された加工に用いられた加工プログラム27と、加工条件情報28と、強度分布情報である調整指令29と、測定データ30とを、学習用データとして取得する。
データ取得部74は、設計データ26に含まれる3次元形状情報と、加工プログラム27に含まれる移動経路の情報と、加工条件情報28と、調整指令29とを含むデータセットを作成する。3次元形状情報は、設計データ26により指定された形状を表す情報である。データ取得部74は、作成されたデータセットをモデル生成部75へ出力する。また、データ取得部74は、測定データ30をモデル生成部75へ出力する。
モデル生成部75は、データセットを用いて学習済モデルを生成する。モデル生成部75が用いる学習アルゴリズムは、どのようなものであっても良い。一例として、強化学習(Reinforcement Learning)を適用した場合について説明する。強化学習は、ある環境内におけるエージェントである行動主体が、現在の状態を観測し、取るべき行動を決定する、というものである。エージェントは行動を選択することで環境から報酬を得て、一連の行動を通じて報酬が最も多く得られるような方策を学習する。強化学習の代表的な手法として、Q学習(Q-Learning)およびTD学習(TD-Learning)などが知られている。例えば、Q学習の場合、行動価値関数Q(s,a)の一般的な更新式である行動価値テーブルは、次の式(1)で表される。行動価値関数Q(s,a)は、環境「s」のもとで行動「a」を選択する行動の価値である行動価値Qを表す。
上記の式(1)において、「st」は、時刻「t」における環境の状態を表す。「at」は、時刻「t」における行動を表す。行動「at」により、状態は「st」から「st+1」へ変わる。「rt+1」は、状態が「st」から「st+1」へ変わることによってもらえる報酬を表す。「γ」は、割引率を表し、0<γ≦1を満たす。「α」は、学習係数を表し、0<α≦1を満たす。実施の形態9において、行動「at」は、移動経路の情報、加工条件情報28および調整指令29である。状態「st」は、測定データ30である。モデル生成部75は、時刻「t」の状態「st」における最良の行動「at」を学習する。
上記の式(1)により表される更新式は、時刻「t+1」における最良の行動「a」の行動価値が、時刻「t」において実行された行動「a」の行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻「t」における行動「a」の行動価値Qを、時刻「t+1」における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(s,a)を更新する。それにより、ある環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝播する。
モデル生成部75は、報酬計算部76と関数更新部77とを有する。報酬計算部76は、測定データ30に含まれる形状データと3次元形状情報との差に基づいて報酬を計算する。形状データは、ビード8の形状を表すデータであって、X軸方向およびY軸方向における形状と、Z軸方向における高さとを表す。関数更新部77は、報酬計算部76によって計算される報酬に従って、移動経路と、加工条件と、強度分布とを決定するための関数を更新する。関数更新部77は、関数の更新によって作成された学習済モデルをモデル記憶部73へ出力する。
報酬計算部76は、形状データと3次元形状情報との差に基づいて、報酬「r」を計算する。報酬計算部76は、当該差が小さくなった場合において、報酬「r」を増大させる。報酬計算部76は、報酬の値である「1」を与えることによって報酬「r」を増大させる。なお、報酬の値は「1」に限られない。また、報酬計算部76は、当該差が大きくなった場合に、報酬「r」を低減させる。報酬計算部76は、報酬の値である「-1」を与えることによって報酬「r」を低減させる。なお、報酬の値は「-1」に限られない。センサユニット20による測定が可能な各種変数、加工条件または強度分布についての制約条件が設計データ26に含まれる場合、報酬計算部76は、制約条件を満たさない場合に報酬を低減させても良い。
図31は、実施の形態9における学習装置の処理手順を示すフローチャートである。図31のフローチャートを参照して、行動価値関数Q(s,a)を更新する強化学習の方法について説明する。
ステップS21において、学習装置71は、学習用データを取得する。ステップS22において、学習装置71は、報酬を算出する。ステップS23において、学習装置71は、報酬に基づいて行動価値関数Q(s,a)を更新する。ステップS24において、学習装置71は、行動価値関数Q(s,a)が収束したか否かを判断する。学習装置71は、ステップS23における行動価値関数Q(s,a)の更新が行われなくなることによって行動価値関数Q(s,a)が収束したと判定する。
行動価値関数Q(s,a)が収束していないと判定された場合(ステップS24,No)、学習装置71は、動作手順をステップS21へ戻す。行動価値関数Q(s,a)が収束したと判定された場合(ステップS24,Yes)、学習装置71は、図31に示す手順による学習を終了する。なお、学習装置71は、ステップS24による判定を行わず、ステップS23からステップS21へ動作手順を戻すことによって学習を継続させることとしても良い。モデル記憶部73は、生成された行動価値関数Q(s,a)である学習済モデルを記憶する。
図32は、実施の形態9にかかる付加製造装置が有する推論装置の機能構成を示すブロック図である。推論装置72は、学習済モデルに基づいて、設計データ26に適した移動経路と加工条件と強度分布とを推論する。推論装置72は、データ取得部78と推論部79とを有する。
データ取得部78は、設計データ26を推論用データとして取得する。データ取得部78は、設計データ26を推論部79へ出力する。推論部79は、モデル記憶部73から読み出された学習済モデルへ設計データ26を入力することで、設計データ26に適した移動経路と加工条件と強度分布とを推論する。
図33は、実施の形態9における推論装置の処理手順を示すフローチャートである。ステップS31において、推論装置72は、データ取得部78において、推論用データを取得する。ステップS32において、推論装置72は、推論部79において、取得されたデータである推論用データを学習済モデルへ入力し、移動経路と加工条件と強度分布とを求める。ステップS33において、推論装置72は、移動経路の情報と加工条件情報28と調整指令29とを出力する。これにより、推論装置72は、図33に示す手順による処理を終了する。
実施の形態9では、学習装置71が用いる学習アルゴリズムに強化学習を適用する場合について説明したが、学習アルゴリズムには、強化学習以外の学習が適用されても良い。学習装置71は、強化学習以外の公知の学習アルゴリズム、例えば、深層学習(Deep Learning)、ニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、機能論理プログラミングあるいはサポートベクターマシンといった学習アルゴリズムを用いて機械学習を実行しても良い。
実施の形態9では、学習装置71は、付加製造装置100に内蔵されている。学習装置71は、付加製造装置100に含まれる装置に限られず、付加製造装置100の外部の装置であっても良い。学習装置71は、ネットワークを介して付加製造装置100に接続可能な装置であっても良い。学習装置71は、クラウドサーバ上に存在する装置であっても良い。
学習装置71は、複数の付加製造装置100に対して作成されたデータセットに従って、パラメータを学習しても良い。学習装置71は、同一の現場で使用される複数の付加製造装置100からデータセットを取得しても良く、あるいは、互いに異なる現場で使用される複数の付加製造装置100からデータセットを取得しても良い。データセットは、複数の現場において互いに独立して稼働する複数の付加製造装置100から収集されたものであっても良い。複数の付加製造装置100からのデータセットの収集を開始した後に、データセットが収集される対象に新たな付加製造装置100が追加されても良い。また、複数の付加製造装置100からのデータセットの収集を開始した後に、データセットが収集される対象から、複数の付加製造装置100のうちの一部が除外されても良い。
ある1つの付加製造装置100について学習を行った学習装置71は、当該付加製造装置100以外の他の付加製造装置100についての学習を行っても良い。当該他の付加製造装置100についての学習を行う学習装置71は、当該他の付加製造装置100における再学習によって、出力の予測モデルを更新することができる。
実施の形態9によると、付加製造装置100は、設計データ26に適した移動経路と加工条件と強度分布とを推論するための学習済モデルを使用して、移動経路の決定と、加工条件の調整と、強度分布の調整とを行う。付加製造装置100は、設計データ26に基づいて強度分布および加工条件を調整することで、溶加材を溶融させる際における入熱量の過不足を低減させることができる。これにより、付加製造装置100は、造形物を高精度に製造することができる。付加製造装置100は、設計データ26に従った加工に適した移動経路を決定することができ、付加加工形状の余剰分を少なくすることができ、かつ加工時間を短縮することができる。これにより、付加製造装置100は、造形品を効率良く製造することができる。
次に、実施の形態1から9にかかる演算装置15,70が有するハードウェア構成について説明する。図34は、実施の形態1から9にかかる付加製造装置が有する演算装置のハードウェア構成例を示す図である。図34には、プログラムを実行するハードウェアを用いることによって演算装置15,70の機能が実現される場合におけるハードウェア構成を示している。
演算装置15,70は、各種処理を実行するプロセッサ81と、内蔵メモリであるメモリ82と、情報を記憶する記憶装置83と、演算装置15,70への情報の入力と演算装置15,70からの情報の出力のためのインタフェース回路84とを有する。
プロセッサ81は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ81は、処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)であっても良い。メモリ82は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
記憶装置83は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。コンピュータを演算装置15,70として機能させるプログラムは、記憶装置83に格納される。プロセッサ81は、記憶装置83に格納されているプログラムをメモリ82に読み出して実行する。
プログラムは、コンピュータシステムによる読み取りが可能とされた記憶媒体に記憶されたものであっても良い。演算装置15,70は、記憶媒体に記録されたプログラムをメモリ82へ格納しても良い。記憶媒体は、フレキシブルディスクである可搬型記憶媒体、あるいは半導体メモリであるフラッシュメモリであっても良い。プログラムは、他のコンピュータあるいはサーバ装置から通信ネットワークを介してコンピュータシステムへインストールされても良い。
経路生成部42、プログラム生成部43、加工条件調整部44、強度分布演算部45、評価部47、ビード形状決定部48、形状推定部49、学習装置71および推論装置72の各機能は、プロセッサ81とソフトウェアの組み合わせによって実現される。当該各機能は、プロセッサ81およびファームウェアの組み合わせによって実現されても良く、プロセッサ81、ソフトウェアおよびファームウェアの組み合わせによって実現されても良い。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、記憶装置83に格納される。データ記憶部46およびモデル記憶部73の各機能は、記憶装置83の使用により実現される。
インタフェース回路84は、ハードウェアに接続される外部機器からの信号を受信する。外部機器は、NC装置16、強度分布制御器17、センサユニット20である。入力部41の機能は、インタフェース回路84の使用により実現される。
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。