JP7381866B2 - 連続鋳造設備の鋳片加熱装置 - Google Patents

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本発明は、溶鋼を連続して鋳造する際に用いられる連続鋳造設備の鋳片加熱装置に関する。
たとえば高合金鋼スラブの連続鋳造においては、鋳片のコーナー割れが課題となっている。これは、鋳片内部からの復熱を受けづらく温度の下がりやすい鋳片コーナー部が、連鋳機の湾曲部から水平部に移行する際の鋳片の曲げ戻し変形を受け、高合金成分で延性に乏しい鋳片の場合に亀裂が生じるというものである。コーナー割れが発生すると、その部分を手入れして取り除くために歩留りと生産性が悪化する。そのため従来から鋳片のコーナー部を別途加熱することが提案されている。
すなわち特許文献1には、連続鋳造装置系の矯正機入側近傍の鋳片通過相当領域に、鋳片面を指向して設けた一以上の誘導加熱用インダクターもしくはコイルを用い、連続鋳造中鋳片の表面もしくは偶角部を適宜加熱することが記載されている。
また特許文献2には、鋳片の上コーナー領域を該鋳片の進行方向に沿って所定長誘導加熱する導体からなる加熱コイルを備えた連続鋳造設備の鋳片加熱装置において、前記加熱コイルは、前記鋳片の左右の上コーナー領域の上方にそれぞれ前記鋳片と隙間を有して平行配置された1又は複数本の第1、第2の上直線群と、前記鋳片の左右の上コーナー領域の側方にそれぞれ前記鋳片と隙間を有して平行配置された1又は複数本の第1、第2の側直線群とを有し、前記第1の上直線群と前記第1の側直線群とにそれぞれ同一方向の電流を流し、前記第2の上直線群と前記第2の側直線群にそれぞれ同一方向の電流を流すことが記載されている。
特開昭55-42109号公報 特開2012-218062号公報
ところで、スラブの連続鋳造設備においては、ブルームと比較してロール間隔が狭いことなどに起因して、鋳片に近接して新たな装置が設置できるスペースが極めて狭い。したがって、スラブの連続鋳造設備においてこの種の誘導加熱装置を設置する場合、極力小型化する必要がある。一方で小型化しても、誘導加熱装置によって搬送中の鋳片を加熱するには大電流を投入する必要があり、また高温の鋳片に近接して設置するため、耐久性及び鉄心の磁性保持の観点から、コイル並びに鉄心を冷却する必要がある。
この点に関し、特許文献1に開示された技術は、鉄心の冷却についての技術的記載は格別見当たらない。一方、特許文献2に開示された技術も、特に鉄心についての冷却に関し提案するところはない。スペースのことを考慮しなければ、鉄心を大型化したり、鉄心内に冷却用の冷媒の流路を形成すればよいが、そうすると結局装置自体が大型化してしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、連続鋳造設備の鋳片加熱装置において、スラブの連続鋳造設備など設置スペースが限られた連続鋳造設備にも設置が可能であり、しかも鉄心の冷却も効率よく行うことを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、連続鋳造設備において鋳片のコーナー領域を誘導加熱する加熱装置であって、前記鋳片のコーナー領域における上面部と側面部を覆う鉄心と、前記鋳片の搬送方向に沿って前記鉄心の外周に接して配置されたコイルとを有し、前記コイルの導体は中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体が通流し、前記鉄心は、前記鋳片のコーナー領域における上面部と側面部とに対応した上面対応部と側面対応部とを有する形状であり、
前記コイルは、前記上面対応部と側面対応部に各々独立して配置された上面コイルと側面コイルとを有することを特徴としている。
ここでコーナー領域とは、たとえば鋳片の上面部についていえば、例えば鋳片のコーナー角部から幅方向の長さの1/2までの任意の領域を言い、鋳片の側面部について言えば、例えば前記角部から厚み方向の1/2までの任意の領域を言う。
本発明によれば、鉄心の外周に接して配置されたコイルの導体が中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体が通流するので、当該冷却媒体によってコイルが冷却されるのみならず、導体を介して鉄心も冷却される。したがって、コイルに大電流を流してもコイル及び鉄心の双方が冷却される。それゆえ、鉄心を大型化することなく、鉄心を効率よく冷却することが可能である。
かかる場合、導体の軸方向断面の外形を矩形とすれば、鉄心との接触面積が増大し、さらに冷却効率が向上する。
かかる場合、前記上面コイルと側面コイルは、各々1または2以上のコイルを有するようにしてもよい。
前記上面コイルと側面コイルにおける各コイルに対して、独立して電流が供給可能であるようにしてもよい。
かかる場合、前記上面コイルと側面コイルにおける各コイルの電流の向き、電流の相対的強弱または電流のON-OFFが、各コイルごとに独立して制御可能であるようにしてもよい。かかる場合、これらの制御対象のうちの1または2が制御可能であってもよく、もちろん双方が制御可能であってもよい。
前記鉄心における前記上面対応部と側面対応部との間は、斜面部または外側に凸の湾曲部を形成している形状としてもよい。
前記斜面部または湾曲部の外周に接して、前記鋳片の搬送方向に沿ってさらにコイルが配置され、当該コイルの導体は中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体が通流する構成としてもよい。
かかる場合も、前記導体の軸方向断面の外形は、矩形であるようにしてもよい。
前記した鉄心における前記上面対応部と側面対応部の端部には、各々対応する前記鋳片の上面、側面に向けて突出する突出部を設けてもよい。かかる場合、鉄心の両端部の突出部が、鋳片の上面、側面に各々近接することになるため、磁束が鋳片に出入りし易くなるようにすることが可能となる。
本発明によれば、連続鋳造設備の鋳片加熱装置において、スラブの連続鋳造設備など設置スペースが限られた連続鋳造設備にも設置が可能であり、しかも鉄心の冷却も効率よく行うことができる。
本実施形態にかかる鋳片加熱装置が設置された連続鋳造設備の構成を模式的に示した説明図である。 本実施形態にかかる鋳片加熱装置の斜視図である。 本実施形態にかかる鋳片加熱装置の構成を、鋳片の搬送方向からみて模式的に示した説明図である。 図3に示した鋳片加熱装置において上面コイルと側面コイルに対して同一方向の電流を流した場合に形成される磁束を示した説明図である。 図4に示した電流方向の場合に加熱される鋳片の角部の温度分布を示す説明図である。 図3に示した電流方向の場合に加熱される鋳片の角部の温度変化を復熱の場合と比較したグラフである。 図3に示した鋳片加熱装置において上面コイルと側面コイルに対して逆の電流を流した場合に形成される磁束を示した説明図である。 図7に示した電流方向の場合に加熱される鋳片のコーナー領域の温度分布を示す説明図である。 鋳片のコーナー領域の温度の測定点の配置を示す説明図である。 上面コイルと側面コイルに対して同一方向の電流を流した場合の図9に示した測定点の温度履歴を示すグラフである。 上面コイルと側面コイルに対して逆方向の電流を流した場合の図9に示した測定点の温度履歴を示すグラフである。 加熱開始から9秒経過した時点でのスラブの幅方向位置における表面温度分布を示したグラフである。 湾曲部を有するコアを備えた他の実施の形態にかかる鋳片加熱装置の構成を、鋳片の搬送方向からみて模式的に示した説明図である。 コアの斜面部に他のコイルを配置した他の実施の形態にかかる鋳片加熱装置の構成を、鋳片の搬送方向からみて模式的に示した説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明の実施形態にかかる鋳片加熱装置が設置されたスラブの連続鋳造設備の構成について説明する。図1は、連続鋳造設備1の構成の概略を示す説明図である。
図1に示すように連続鋳造設備1は、溶鋼を貯留するタンディッシュ2、タンディッシュ2の底部から鋳型3に溶鋼4を注入する浸漬ノズル5、鋳型3から引き出される鋳片6を通過させる一対のロール群7、7を備えている。ロール群7には、鋳片6を案内する複数の圧下ロール8が、鋳片6の鋳造方向(搬送方向)に並べて配置されている。
タンディッシュ2には、当該タンディッシュ2を鋳型3の厚み方向、すなわち鉛直方向へ移動させるための、例えばアクチュエータ等の昇降機構(図示せず)が設けられる。これにより、タンディッシュ2は底部に設けられた浸漬ノズル5と一体となって鉛直方向に移動自在に構成されており、当該浸漬ノズル5は鋳型3に対して進退自在に構成されている。そして実施の形態にかかる鋳片加熱装置10は、圧下ロール8の搬送方向下流側のロール9、9間に設置されている。
鋳片加熱装置10は、図2、図3に示したように、鉄心となるコア11を有している。本実施の形態では、コア11の材料として電磁鋼板を用いているが、もちろんこれに限られない。コア11は、鋳片6のコーナー領域の上面部を覆う上面対応部11aと、コーナー領域の側面部を覆う側面対応部11bとを有し、上面対応部11aと側面対応部11bとの間に位置し、コーナー領域の角部6aに対面する斜面部11cとを有し、鋳片6の搬送方向からみた全体の形状は略アングル形状である。上面対応部11aと側面対応部11bにおける各端部には鋳片6の上面に向けて突出する突出部11d、側面に向けて突出する突出部11eが設けられている。
上面対応部11aには、2本の独立したコイルである上面コイル21、22がコア11における鋳片6の搬送方向に沿って配置され、上面対応部11aにループ状に巻きつけられている。側面対応部11bには、2本の独立したコイルである側面コイル23、24が、コア11における鋳片6の搬送方向に沿って配置され、側面対応部11bにループ状に巻きつけられている。
これら上面コイル21、22、側面コイル23、24の導体は、図3に示したように中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体、例えば冷却水が通流するようになっている。また本実施の形態では、導体の軸方向断面の外形は矩形であり、上面コイル21、22、側面コイル23、24は、上面対応部11a、側面対応部11bに対して面で密着して配置されている。
各上面コイル21、22、側面コイル23、24には、各々高周波電源31、32、33、34が独立して接続されている。したがって、各上面コイル21、22、側面コイル23、24に供給される電流は、その向きが各上面コイル21、22、側面コイル23、24ごとに独立して切替制御可能である。また各上面コイル21、22、側面コイル23、24に供給される電流自体のON-OFFも、各々独立して制御可能である。なお説明の都合上、コア11の上面対応部11aに巻き付けられている上面コイル21、22において、外側に位置する導体を、外側導体21a、22a、鋳片6側に位置する導体を、内側導体21b、22bと呼称する。同様にコア11の側面対応部11bに巻き付けられている側面コイル23、24において、外側に位置する導体を、外側導体23a、24a、鋳片6側に位置する導体を、内側導体23b、24bと呼称する。
実施の形態にかかる鋳片加熱装置10は以上の構成を有しており、次にその作用等について説明する。図4に示したように、各上面コイル21、22、側面コイル23、24に対して、たとえば各コイルに同一方向の電流が流れると、図4中の矢印で示したような磁束が形成される。すなわち、上面コイル21、22、側面コイル23、24とも、外側導体21a、22a、23a、24aについては、図の紙面奥側から手前方向に電流が流れ、内側導体21b、22b、23b、24bについては、図の紙面手前から奥側方向に電流が流れる場合には、磁束は斜面部11cから上面対応部11a、突出部11dに向けて形成され、さらに突出部11dから鋳片6のコーナー領域の上面表層部に入り、角部6aから側面表層部に向けて形成され、さらにコア11の突出部11eからコア11内に入って、側面対応部11bから斜面部11cに向けてループ状に形成される。
このとき、コア11の両端部には、鋳片6の上面、側面に各々近接した突出部11d、11eが形成されているので、磁束は鋳片6に出入りしやすくなっている。またコア11は、上面対応部11aと側面対応部11bとの間は、斜面部11cが形成されているから、磁束が発生した際に、コア11外に磁束漏れが発生することが抑えられている。したがって、このような形状を有するコア11を有する鋳片加熱装置10によれば、鋳片6の上面及び側面に合わせて単にL字形のコアを採用した場合よりも、上面コイル21、22、側面コイル23、24に流れる電流によって発生する磁束を有効に誘導加熱に用いることができ、加熱効率がよい。
そしてこのような磁束が形成されることで、鋳片6の角部6aが集中して誘導加熱される。すなわち図5は、鋳片6の角部6a付近のみ2本の等温線で加熱した際の温度分布を示しており、これから分かるように鋳片6の角部6aを集中して加熱することができる。より詳述すれば、当該等温線の表示は、実施の形態にかかる鋳片加熱装置10の構成及び下記の条件の下でシミュレーションを行なった結果に基づくものである。
前記した条件は次の通りである。
鋳片であるスラブの断面サイズ:900×250mm
スラブの密度:7850kg/m
スラブの熱物性:普通鋼(非磁性温度域)
スラブの初期温度:実ラインにおける推算値であり、中心部は1550℃、角部6aは約740℃である。
鋳造速度:1m/min
コア11の搬送方向の長さ、加熱時間:150mm、9秒間加熱
鋳片6におけるコーナー領域(鋳片6における角部6aから突出部11d、11eの内側に対応する上面位置、側面位置までの長さ):50mm
高周波電源の周波数:1kHz
電力:8kW
電流:2000A(実効値)
その結果、図5に示したように鋳片6の角部6aでは、約825℃、次の等温線で示される領域は、約800℃であり、鋳片6のコーナー領域において角部6aが集中して加熱されることが分かった。また鋳片6の角部6aの温度変化については、図6のグラフの実線で示した通りである。
これによれば、鋳片6の角部6aは、初期温度約740℃から、9秒後には約825℃にまで昇温した。これに対し、このような誘導加熱をせずに復熱のみの場合には、図6のグラフの破線で示した通りである。したがって、実施の形態にかかる鋳片加熱装置10を使用すれば、復熱のみの場合と比較すると、前記した条件の下では約70℃昇温させることができる。
このように本実施の形態にかかる鋳片加熱装置10によれば、例えば前記したようにコア11の長さが150mmの小型のものであっても、鋳片6のコーナー領域を好適に加熱することができ、しかも上面コイル21、22、側面コイル23、24内に冷却媒体が通流するので、これらコイルのみならず、コア11を好適に冷却することができる。したがって、スラブの連続鋳造設備など設置スペースが限られた連続鋳造設備にも設置が可能であり、しかも鉄心の冷却も効率よく行うことができる。
図5に示した加熱例では、各上面コイル21、22、側面コイル23、24に対して同一方向に電流を流した場合であったが、これに代えて図7に示したように、上面コイル21、22と側面コイル23、24に対して逆方向の電流を流すようにしてもよい。
このように上面コイル21、22と側面コイル23、24に逆方向の電流を流すと、図7中の矢印に示したように、上面コイル21、22によって形成される磁束は、コア11の斜面部11cから上面対応部11a、突出部11dを出て鋳片6のコーナー領域の上面表層部に入って、角部6a付近から再び斜面部11cに戻るループ状となる。一方側面コイル23、24によって形成される磁束は、コア11の斜面部11cから側面対応部11b、突出部11eを出て鋳片6のコーナー領域の側面表層部に入って、角部6a付近から再び斜面部11cに戻るループ状となる。したがって、角部6aでは殆ど加熱されず、図8の等温線で示したように、鋳片6のコーナー領域の上面表層部と側面表層部が加熱される。
このように上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流の向きを制御することで、鋳片6のコーナー領域の上面表層部と側面表層部を加熱することができるので、例えば当該上面表層部、側面表層部に発生するおそれのある表面割れ等に対して、これを事前に加熱することで抑制することが可能である。
以上に説明した上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流の向きを同一方向、逆方向にした場合の、温度履歴についてのシミュレーション結果を図9~図11に示す。図9は、鋳片6におけるコーナー領域の測定点a~eの位置を示しており、角部6aに対応する測定点aから上面の端部の測定点cまでの距離は50mm、角部6aに対応する測定点aから側面の端部の測定点eまでの距離は50mmである。また電流の周波数は、同一方向の場合には10kHz、逆方向の場合には25kHz、電流値は2000Aとし、鋳造速度は1m/min、コア11の搬送方向の長さは150mm、加熱時間は9秒間とした。
まず同一方向に電流を流した場合の温度履歴は図10のグラフに示した通りである。実線は加熱した場合、破線は加熱せず復熱だけの場合を示している。加熱した場合、開始から9秒までは加熱状態であり、それ以降は放冷状態である。これによれば、測定点a(角部6a)は、加熱終了時には、1100℃に到達している。一方、他の測定点b~eについても昇温しているが、測定点a程ではなく、温度上昇勾配も緩やかである。これに対し、加熱せずに復熱のみの場合には、温度上昇は各測定点とも極めて緩慢であり、特に測定点a(角部6a)は、最も温度が低い状態のままである。
逆方向に流した場合の温度履歴は図11のグラフに示した通りであり、実線は加熱した場合、破線は加熱せず復熱だけの場合を夫々示している。この結果からみれば、鋳片6の上面の測定点b、c、側面部の測定点d、eは温度が急上昇している。すなわち、上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流を逆向きにすることで、鋳片6のコーナー領域におけるこれらの地点が大きく加熱されていることが分かる。一方で測定点a(角部6a)は、これらの地点よりも温度上昇度合いが小さい。したがって。上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流の向きを逆方向にすることで、鋳片6におけるコーナー領域における角部6aよりも、角部6aから離れた領域がより加熱されていることが分かった。したがって、上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流の向きを制御することで、鋳片6におけるコーナー領域の上面表層部、側面表層部に発生するおそれのある表面割れ等に対しても適切に対応することが可能である。
また上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流を同一方向にした場合、逆向きにした場合、電流を流さず復熱だけの場合の、加熱開始から9秒経過時点のスラブ幅方向における位置の表面温度を図12に示す。同グラフ中、幅方向位置が0[m]とあるのは、幅が900mmスラブの幅中央部であり、したがって幅方向位置が0.45[m]の位置は、スラブの角部である。同グラフ中、太い実線は同一方向に電流を流した場合、細い実線は逆方向に電流を流した場合、破線は加熱せず復熱のみの場合を示している。
この結果から分かるように、復熱のみの場合には、角部に近づくにつれて温度が下がっているが、上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流を同一方向にした場合には、角部をピークとして角部近傍の温度が高くなっている。これに対し上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流を逆向きにした場合には、角部から0.05[m]までのコーナー領域において、その中間地点がピークとして昇温している。したがって、かかる結果からも上面コイル21、22と側面コイル23、24に流す電流を同一方向にしたり、逆向きにしたりすることで、加熱領域を任意に設定できることが分かる。
また上面コイル21、22と側面コイル23、24の一方のコイルのみに、または、上面コイル21、22と側面コイル23、24における一本のコイルのみに電流を流すようにすることも可能であり、復熱のみによっては不足することに起因するコーナー領域における各地点での表面割れ等に対して、好適に対処することが可能である。
なお鋳造中の鋳片6は高温であり、鋳片加熱装置10は当該鋳片6に近接して設置することから、実際の設置にあたっては、鋳片6からの輻射熱を緩和するために、鋳片加熱装置10との間に適宜遮熱板などを設置してもよい。
前記した実施の形態にかかる鋳片加熱装置10のコア11の形状は、鋳片6の搬送方向からみて、例えば図3に示したように上面対応部11aと側面対応部11bとの間に位置し、コーナー領域の角部6aに対面する斜面部11cとを有する形状であったが、平板上の斜面部11cに代えて、たとえば図13に示したような湾曲部11fとしてもよい。すなわちこの湾曲部11fは鋳片6の角部6aに対面する部分が、外側に凸の湾曲した形状を有している。かかる形状を有するコア11によれば、上面コイル21、22、側面コイル23、24に電流を流した際に発生する磁束が、図3に示した形状よりもさらにコア11から空気中に漏れることを抑えることができ、より効率のよい誘導加熱を行なうことができる。
また前記した実施の形態では、上面コイル21、22、側面コイル23、24とも2本ずつであったが、もちろんコイルの数はこれに限らず、1本以上であればよく、また上面対応部11aと側面対応部11bに巻き付けるコイルの数も同数である必要はない。また前記した実施の形態では、上面コイル21、22、側面コイル23、24とも各々独立して、高周波電源31~34に接続されていたが、例えば2つのコイルに1つの高周波電源を接続するようにしてもよい。
さらにまた実施の形態では、上面対応部11aと側面対応部11bにのみ各々上面コイル21、22、側面コイル23、24を配置していたが、図14に示したように、斜面部11cに他のコイル25を配置してもよい。このコイル25も、外側導体25a、内側導体25bは中空形状であり、その内部に冷却媒体、例えば冷却水を通流させることができる。かかる構成を採用することで、コア11のさらなる冷却を図ることができる。また鋳片6の角部6aをさらに加熱することができる。
また前記した実施の形態では、上面対応部11aと側面対応部11bにおける各端部には、鋳片6の上面に向けて突出する突出部11d、側面に向けて突出する突出部11eを配置していたが、これは磁束が鋳片6に出入りし易くなるようにするためのものであり、このような突出部を配置しなくても磁束を鋳片6に出入りさせることはできるため必須の構成ではない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、連続鋳造設備において鋳造される鋳片のコーナー部分の加熱に有用である。
1 連続鋳造設備
2 タンディッシュ
3 鋳型
4 溶鋼
5 浸漬ノズル
6 鋳片
7 ロール群
8 圧下ロール
9 ロール
10 鋳片加熱装置
11 コア
11a 上面対応部
11b 側面対応部
11c 斜面部
11d、11e 突出部
11f 湾曲部
21、22 上面コイル
21a、22a 外側導体
21b、22b 内側導体
23、24 側面コイル
23a、24a 外側導体
23b、24b 内側導体
31、32、33、34 高周波電源
a、b、c、d、e 測定点

Claims (9)

  1. 連続鋳造設備において鋳片のコーナー領域を誘導加熱する加熱装置であって、
    前記鋳片のコーナー領域における上面部と側面部を覆う鉄心と、
    前記鋳片の搬送方向に沿って前記鉄心の外周に接して配置されたコイルとを有し、
    前記コイルの導体は中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体が通流し、
    前記鉄心は、前記鋳片のコーナー領域における上面部と側面部とに対応した上面対応部と側面対応部とを有する形状であり、
    前記コイルは、前記上面対応部と側面対応部に各々独立して配置された上面コイルと側面コイルとを有することを特徴とする、連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  2. 前記導体の軸方向断面の外形は、矩形であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  3. 前記上面コイルと側面コイルは、各々1または2以上のコイルを有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  4. 前記上面コイルと側面コイルにおける各コイルに対して、独立して電流が供給可能であることを特徴とする、請求項3に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  5. 前記上面コイルと側面コイルにおける各コイルの電流の向き、電流の相対的強弱または電流のON-OFFが各々独立して制御可能であることを特徴とする、請求項4に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  6. 前記鉄心における前記上面対応部と側面対応部との間は、斜面部または外側に凸の湾曲部を形成していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  7. 前記斜面部または湾曲部の外周に接して、前記鋳片の搬送方向に沿ってコイルが配置され、前記コイルの導体は中空部を有する中空形状であり、当該導体の中空部に冷却媒体が通流することを特徴とする、請求項6に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  8. 前記導体の軸方向断面の外形は、矩形であることを特徴とする、請求項7に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
  9. 前記鉄心における前記上面対応部と側面対応部の端部には、各々対応する前記鋳片の上面、側面に向けて突出する突出部を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の連続鋳造設備の鋳片加熱装置。
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