JP7381015B2 - 複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び複合酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び複合酸化物ナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合酸化物のナノ粒子を製造するための前駆体水溶液、及び、当該前駆体水溶液を用いる複合酸化物ナノ粒子の製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の燃料極は、金属ニッケル(Ni)とバリウム系プロトン伝導体(Ba(Zr,Ce,Y)O3、以下「BZCY」と記すこともある。)とで形成されている場合がある。従来、BZCY粒子は、各金属の硝酸塩を含有する水溶液を例えば1400℃の高温で焼成することによって合成される(例えば非特許文献1を参照)。そして、BZCY粒子と酸化ニッケル(II)粒子を混合し焼成した後に還元処理することにより、金属ニッケルとバリウム系プロトン伝導体との混合物からなる燃料極(混合電極)が得られる。
Journal of Power Sources,2009,193,p.400-407
上記のような従来の製造方法では、前駆体又はその水溶液を高温で焼成することにより粒子の成長が生じるため、ナノメートルオーダーのBZCY粒子は得られにくく、得られるBZCY粒子の平均一次粒子径はマイクロメートルオーダーとなる。その結果、触媒の表面積が小さくなり、燃料極の触媒活性が不十分となるおそれがあった。一方、水溶液を1000℃程度で焼成すると未反応物の残留や中間相の生成が生じやすいため、高純度なBZCY粒子を得ることは難しかった。
本発明は、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を低温での焼成によって製造することが可能な前駆体水溶液及び複合酸化物ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする
本発明の一態様に係る複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造するための前駆体水溶液であって、ジルコニウムセリウム成分と、イットリウム成分と、バリウムイオンと、ニッケルイオンと、金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物と、を含有し、ジルコニウムセリウム成分は、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子及び酸化セリウム(IV)のナノ粒子であるか、又は、酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物からなるナノ粒子であり、イットリウム成分は、イットリウム含有酸化物のナノ粒子又はイットリウムイオンであることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る複合酸化物ナノ粒子の製造方法は、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造する方法であって、上記の一態様に係る複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を焼成する焼成工程を有することを要旨とする。
本発明のさらに他の態様に係る固体酸化物形燃料電池単セルは、空気極、固体電解質層、及び燃料極がこの順で積層された積層構造を有する固体酸化物形燃料電池単セルであって、固体電解質層の表面、及び、燃料極を構成する多孔質基体の表面の少なくとも一方に、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子が配されていることを要旨とする。
本発明に係る複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び複合酸化物ナノ粒子の製造方法は、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を低温での焼成によって製造することが可能である
本発明に係る複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の一実施形態を説明する模式的概念図である。 本発明に係る複合酸化物ナノ粒子の製造方法の一実施形態を説明する模式的概念図である。 実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に生成した生成物をX線回折法により分析した結果を示す図である。 実施例及び比較例において評価に用いた固体酸化物形燃料電池単セルの構造を説明する模式的断面図である。 比較例1、比較例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に生成した生成物をX線回折法により分析した結果を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は、酸化ニッケル(II)(NiO)及びバリウム系プロトン伝導体(例えば、Ba(Zr,Ce,Y)O3(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造するための前駆体水溶液であって、ジルコニウムセリウム成分と、イットリウム成分と、バリウムイオン(Ba2+)と、ニッケルイオン(Ni2+)と、金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物と、を含有する。
ジルコニウムセリウム成分は、酸化ジルコニウム(IV)(ZrO2)のナノ粒子及び酸化セリウム(IV)(CeO2)のナノ粒子であるか、又は、酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物(例えば固溶体)からなるナノ粒子である。イットリウム成分は、イットリウム含有酸化物(例えば、イットリウム添加酸化ジルコニウム(YXZr1-X2-X/2)やイットリウム添加酸化セリウム(YXCe1-X2-X/2))のナノ粒子又はイットリウムイオン(Y3+)である。
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液においては、金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物が、含有されているバリウムイオン、ニッケルイオン、イットリウムイオン等の金属イオンに配位しているため、これら金属イオンは前駆体水溶液中に均一に分散している。また、この配位性有機化合物は、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子、酸化セリウム(IV)のナノ粒子、酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物からなるナノ粒子、イットリウム含有酸化物のナノ粒子にも配位しているため、これら金属酸化物ナノ粒子は前駆体水溶液中に均一に分散している。
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液において、各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子が配位性有機化合物の作用によって均一に分散している状態を、図1に模式的に示す。図1においては、各種金属酸化物ナノ粒子が○印で示されており、配位性有機化合物が短い波線で示されている。
図1に示すように、配位性有機化合物が各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子に配位しているため、各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子は、配位性有機化合物が含有されない場合と比較して、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に極めて均一に分散している。
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液に対して、金属の一部が予め酸化物とされて金属酸化物ナノ粒子として配合されていることと、金属酸化物ナノ粒子と金属イオンが共に均一に分散されていることにより、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を焼成すれば、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(例えばBZCY)を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造することができる。すなわち、マイクロメートルオーダーの複合酸化物粒子ではなく、ナノメートルオーダーの極微細な複合酸化物ナノ粒子を得ることができる。酸化ニッケル(II)とバリウム系プロトン伝導体が互いに粒子成長を抑制し合うことも、極微細な複合酸化物ナノ粒子を得ることができる要因となっている。
よって、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から得られた複合酸化物のナノ粒子を用いて固体酸化物形燃料電池単セルを製造すれば、大きな表面積を有する触媒を得ることができるので、燃料極の触媒活性が優れる固体酸化物形燃料電池単セルを製造することができる。
また、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液に対して、金属の一部が予め酸化物とされて金属酸化物ナノ粒子として配合されていることと、金属酸化物ナノ粒子と金属イオンが共に均一に分散されていることから、焼成に1000℃以上の高温を必要とせず、例えば800℃以上850℃以下の低温の焼成温度であっても、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(例えばBZCY)を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造することができる。
詳述すると、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成により、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子が生成する際には、まず複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中の水等の溶媒が除去されて、バリウムイオン及びニッケルイオンが均一に分布した非晶質ゲルが形成され、その後に焼成が行われて複合酸化物のナノ粒子が生成する。なお、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の溶媒は、水のみでもよいが、水と有機溶剤の混合物でもよい。
この非晶質ゲルは、非晶質であるために元素の偏在が抑制されバリウムイオン及びニッケルイオンが均一に分布しているとともに、上記各種金属酸化物ナノ粒子が内部に均一に分散している。よって、例えば800℃以上850℃以下の低温での焼成であっても、未反応物、中間生成相等の不純物が生成しにくく、高純度なバリウム系プロトン伝導体が得られる。また、低温で焼成可能であることから、低コストで焼成を行うことができ、上記複合酸化物のナノ粒子や、上記複合酸化物のナノ粒子を備える固体酸化物形燃料電池単セルを安価に製造することができる。
さらに、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液であれば、例えば、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルに使用される金属製の多孔質支持体や、固体酸化物形燃料電池単セルの燃料極を構成する多孔質基体へ、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸して焼成することによって燃料極を製造することが可能である。すなわち、従来は混合電極しか製造できなかったのに対して、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は低温での焼成が可能であるので、上記した金属製の多孔質支持体や燃料極を構成する多孔質基体に高温による損傷(例えば酸化や変形)を与えることなく、上記した金属製の多孔質支持体の表面や電解質の表面に燃料極を形成することができる。
ここで、本発明におけるナノ粒子とは、以下のことを意味する。焼成により得られる複合酸化物のナノ粒子の場合は、その平均一次粒子径が数十nm程度である粒子を意味する。焼成により得られる複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径の下限は10nm以上であることが好ましく、上限は100nm未満であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
また、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液に含有される上記各種金属酸化物ナノ粒子の場合は、その平均一次粒子径が数nm~数十nmである粒子を意味する。上記各種金属酸化物ナノ粒子の平均一次粒子径の下限は、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。また、上記各種金属酸化物ナノ粒子の平均一次粒子径の上限は、40nm未満であることが好ましく、10nm未満であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
なお、ナノ粒子の平均一次粒子径の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。例えば、ナノ粒子の透過型電子顕微鏡画像を撮像し、撮像した画像に描画されたナノ粒子のうち任意の10個のナノ粒子の長径の平均値を算出して、この平均値をナノ粒子の平均一次粒子径としてもよい。
以下に、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液、複合酸化物ナノ粒子の製造方法、及び固体酸化物形燃料電池単セルについて、さらに詳細に説明する。
(1)複合酸化物のナノ粒子について
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造される複合酸化物のナノ粒子は、酸化ニッケル(II)とバリウム系プロトン伝導体を含有しており、酸化ニッケル(II)とバリウム系プロトン伝導体の混合物で形成されていてもよい。両者が分離せず混合物であることにより、触媒活性が向上する。
バリウム系プロトン伝導体の種類は特に限定されるものではないが、バリウムジルコネート系又はバリウムセレート系とすることができる。これらのバリウム系プロトン伝導体は、高いプロトン伝導性を示すため、触媒活性が優れている。バリウムジルコネート系のプロトン伝導体の例としてはBZCYが挙げられ、バリウムセレート系のプロトン伝導体の例としてはバリウムセレート(BaCeO3)が挙げられる。
複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径は、前述のように数十nm程度であり、100nm未満であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。前述したように、複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径が小さいため、触媒活性が優れている。
(2)ジルコニウムセリウム成分について
ジルコニウムセリウム成分は、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子及び酸化セリウム(IV)のナノ粒子であってもよいし、酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物からなるナノ粒子であってもよい。酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物は、両者の単なる混合物であってもよいし、両者の固溶体であってもよい。これら各種金属酸化物ナノ粒子の平均一次粒子径は、前述のように数nm~数十nmであり、40nm未満であることが好ましい。前述したように、これら各種金属酸化物ナノ粒子は、平均一次粒子径が小さいため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に均一に分散しやすい。
(3)イットリウム成分について
イットリウム成分は、イットリウム含有酸化物のナノ粒子であってもよいし、イットリウムイオンであってもよい。ただし、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中により均一に分散することができることから、イットリウム含有酸化物のナノ粒子よりもイットリウムイオンを用いる方が好ましい。イットリウムイオンを用いる方が、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成しにくい。
(4)ジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度について
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度は、0.5質量%以上5質量%以下とすることができる。なお、この合計の濃度は、所定質量の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量を、前記所定質量で除し100倍することにより算出されるものである。ここで、本発明における「理論質量」とは、所定質量の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造しうる複合酸化物のナノ粒子の質量を理論的に算出したものを意味する。
上記合計の濃度が0.5質量%以上5質量%以下であれば、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を効率よく製造することができる。例えば、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させ、含浸させた多孔質体を焼成して、多孔質体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成する場合には、少ない含浸回数で複合酸化物のナノ粒子を製造することができる。
また、上記合計の濃度が0.5質量%以上5質量%以下であれば、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の粘度が好適であり、取り扱い性が優れている。例えば、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させ、含浸させた多孔質体を焼成して、多孔質体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成する場合には、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の多孔質体への含浸が容易である。
(5)金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物について
配位性有機化合物の種類は、金属イオンに配位可能な配位能を有する有機化合物であれば特に限定されるものではないが、例としては、キレート剤、高分子電解質、アニオン界面活性剤、アミノ酸等が挙げられる。
キレート剤の具体例としては、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン、ビピリジン、フェナントロリン、ポルフィリン、クラウンエーテルが挙げられる。高分子電解質の具体例としては、ポリアクリル酸、アルギン酸、ポリビニルアミン、ポリリン酸、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
これらの配位性有機化合物の中では、各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子の溶解性や分散性をより高めることができることから、キレート剤が好ましく、キレート剤の中でもクエン酸、エチレンジアミン四酢酸がより好ましい。
(6)配位性有機化合物の量について
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の量は、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンから製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量の4.5倍以上7倍以下とすることができる。すなわち、所定質量の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の質量は、上記所定質量の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量の4.5倍以上7倍以下とすることができる。
配位性有機化合物の量が上記理論質量の4.5倍以上7倍以下であれば、各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子を複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に極めて均一に分散させることができる。また、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の粘度が好適であり、取り扱い性が優れている。例えば、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させ、含浸させた多孔質体を焼成して、多孔質体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成する場合には、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の多孔質体への含浸が容易である。
(7)複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHについて
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHは、5以上9以下とすることができる。複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHが5以上9以下であれば、各種金属イオンと各種金属酸化物ナノ粒子の溶解性や分散性が優れている。なお、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHは、例えばpH調整剤(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニア、アミン)を添加することによって調整することができる。
(8)複合酸化物ナノ粒子の製造方法について
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を焼成することにより、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造することができる。本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を用いれば、800℃以上850℃以下という低い焼成温度で焼成しても、不純物が少なく高純度なバリウム系プロトン伝導体を有する極微細な複合酸化物ナノ粒子を得ることができる。また、低温で焼成可能であることから、低コストで焼成を行うことができる。
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成により複合酸化物ナノ粒子を製造する際には、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させた状態で焼成を行ってもよい。すなわち、本実施形態の複合酸化物ナノ粒子の製造方法は、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させる含浸工程と、含浸工程において複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させた多孔質体を焼成する焼成工程と、を有する方法であってもよい。上記のような製造方法であれば、多孔質体の表面に、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を形成することができる。
図2を参照しながら複合酸化物ナノ粒子の製造方法の具体例を説明する。まず、含浸工程において、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させる。すると、多孔質体が有する細孔の内部に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が保持される。次に、乾燥工程において、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中の水等の溶媒を除去する。すると、バリウムイオン及びニッケルイオンが均一に分布し、且つ、上記各種金属酸化物ナノ粒子が内部に均一に分散した非晶質ゲルが、多孔質体が有する細孔の内面に形成される。次に、焼成工程において多孔質体を焼成すると、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子が生成し、多孔質体が有する細孔の内面に配される。
(9)固体酸化物形燃料電池単セルについて
本実施形態の固体酸化物形燃料電池単セルは、空気極、固体電解質層、及び燃料極がこの順で積層された積層構造を有する。そして、固体電解質層の表面、及び、燃料極を構成する多孔質基体の表面の少なくとも一方に、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子が配されている。
固体電解質層の表面に複合酸化物のナノ粒子が配されている場合は、固体電解質層と複合酸化物のナノ粒子とが最近接していることとなるため、イオン伝導抵抗を低減することができる。また、燃料極の触媒活性が優れている。燃料極を構成する多孔質基体の表面に複合酸化物のナノ粒子が配されている場合は、導電性が高くなるとともに、燃料極の触媒活性が優れている。
酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子は、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成により形成することができる。例えば、燃料極を構成する多孔質基体に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させた上で焼成すれば、多孔質基体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成して、複合酸化物のナノ粒子を有する燃料極を得ることができる。
また、本実施形態の固体酸化物形燃料電池単セルは、積層構造の燃料極側に多孔質支持体がさらに積層されていてもよい。すなわち、本実施形態の固体酸化物形燃料電池単セルは、多孔質支持体で支持されたメタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルであってもよい。そして、多孔質支持体の表面にも、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子が配されている。多孔質支持体の表面に複合酸化物のナノ粒子が配されている場合は、燃料極における炭素の析出が抑制される。
燃料極と多孔質支持体の互いに対向する表面には、多孔質を形成する細孔がそれぞれ開口しているが、これらの細孔の内面に複合酸化物のナノ粒子が配されていることが好ましい。このような構成であれば、燃料極を構成する多孔質基体の表面に複合酸化物のナノ粒子が配されている場合に奏される上記効果と、多孔質支持体の表面に複合酸化物のナノ粒子が配されている場合に奏される上記効果とを、同時に得ることができる。
メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルの場合でも、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子は、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成により形成することができる。例えば、金属製の多孔質支持体に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させた上で焼成すれば、金属製の多孔質支持体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成することができる。
本実施形態の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は、低温で焼成することができるので、金属製の多孔質支持体に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させて焼成を行っても、金属製の多孔質支持体に高温による損傷(例えば酸化や変形)を与えることなく、金属製の多孔質支持体の表面に複合酸化物のナノ粒子を形成することができる。
なお、本実施形態の固体酸化物形燃料電池単セルは、平板型とすることもできるし、円筒型とすることもできる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。
〔実施例1〕
まず、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の製造に用いた各原料について説明する(表1を参照)。ジルコニウムセリウム成分として、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子(J. Am. Chem. Soc., (2010) 132, p.2538に記載の方法により合成したもの)を用いた。酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子の平均一次粒子径は5nmである。
イットリウム成分(ジルコニウムセリウム成分でもある)として、イットリウム添加酸化セリウムY0.22Ce0.781.89のナノ粒子(Langmuir (2014) 30, p.12049に記載の方法により合成したもの)を用いた。イットリウム添加酸化セリウムのナノ粒子の平均一次粒子径は5nmである。
バリウムイオンとして炭酸バリウム(II)(堺化学工業株式会社製BaCO3)を用い、ニッケルイオンとして塩基性炭酸ニッケル(II)(富士フイルム和光純薬株式会社製NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O)を用いた。
金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物として、クエン酸を用いた。
Figure 0007381015000001
塩基性炭酸ニッケル(II)をクエン酸水溶液に添加し、100℃に加熱して30分間撹拌して、塩基性炭酸ニッケル(II)を水溶液に溶解させた。続いて、該水溶液を室温に冷却した後に、炭酸バリウム(II)を加えて30分間撹拌して、炭酸バリウム(II)を溶解させた。さらに、該水溶液に酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子とイットリウム添加酸化セリウムのナノ粒子を加えた後に、水酸化テトラメチルアンモニウムを添加してpHを6.5に調整した。これにより、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子とイットリウム添加酸化セリウムのナノ粒子は、水に均一に分散して、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が得られた。
実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度は、表1に示すように5質量%である。ここで、合計の濃度とは、所定質量の実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造される複合酸化物(酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物)のナノ粒子の理論質量を、前記所定質量で除し100倍することにより算出されるものである。
また、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の量は、表1に示すように、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンから製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量の5倍である。
このようにして得られた実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、種々の評価を行った。
(A)分散性、溶解性
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液における上記原料の分散性、溶解性を評価した。実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の濁りを目視で確認したところ、透明であったため、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液においては、上記原料の分散性、溶解性は良好であると評価した。結果を表2に示す。なお、表2においては、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が透明である場合は○印、濁りがある場合は△印、沈殿がある場合は×印で示してある。
Figure 0007381015000002
(B)流動性
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の流動性を評価した。実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が入った容器を傾けると、すぐに前駆体水溶液が流動し始めたため、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の流動性は良好であると評価した。結果を表2に示す。なお、表2においては、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液がすぐに流動し始める場合は○印、すぐに流動し始めない場合は△印で示してある。
(C)不純物
次に、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を乾燥した後に焼成して、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造した。乾燥の条件は、乾燥温度150℃、乾燥時間6時間である。また、焼成の条件は、焼成温度850℃、焼成時間2時間である(表1を参照)。焼成により得られた複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径については、100nm未満であることを確認した。
得られた複合酸化物のナノ粒子をX線回折法により分析し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。結果を図3に示す。図3において、○印を付したピークはバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))に由来するピークであり、△印を付したピークは酸化ニッケル(II)に由来するピークである。図3から分かるように、酸化ニッケル(II)とBZCYのみが確認され、未反応の原料の残存や中間生成相等の不純物の生成は確認されなかった。結果を表2に示す。
なお、表2においては、酸化ニッケル(II)とバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))のみが確認され、未反応の原料の残存や中間生成相等の不純物の生成が確認されなかった場合は○印、ニッケルとバリウムの化合物が確認された場合は△印、原料である炭酸バリウム(II)の残存又は構造不明の不純物の生成が確認された場合は×印で示してある。
次に、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を用いて、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造した。図4を参照しながら説明する。
多孔質支持体10の上に燃料極20、固体電解質層30、中間層40、及び空気極50がこの順で積層された積層構造を有する積層構造物に、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させた。
多孔質支持体10は、鉄及びクロムを主成分とする金属の多孔質体からなり、厚さは300μm、気孔率は40%である。燃料極20は、鉄及びクロムを主成分とする金属とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物からなり、厚さは20μmである。固体電解質層30は、イットリア安定化ジルコニアからなり、厚さは5μmである。中間層40は、ガドリニウムドープセリア(GDC)からなり、厚さは2μmである。空気極50は、ストロンチウムドープランタンコバルタイト(LSC)からなり、厚さは50μmである。
積層構造物に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させる際には、多孔質支持体10に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を滴下した。この滴下により、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が多孔質支持体10、燃料極20、固体電解質層30の順に含浸していった。複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の滴下が終了したら5分間保持し、含浸後に余剰の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を除去した。その後、積層構造物をホットプレート上で80℃に加熱し10分間保持した後に、ホットプレートの温度を240℃に昇温して、さらに10分間保持した。さらに、上記の滴下、保持、及び加熱を6回繰り返した後に、空気中、焼成温度850℃、焼成時間20分間の条件で積層構造物を焼成して(表1を参照)、固体酸化物形燃料電池単セルを得た。このようにして得られた実施例1の固体酸化物形燃料電池単セルについて、種々の評価を行った。固体酸化物形燃料電池単セル内(つまり、固体電解質層の表面、燃料極を構成する多孔質基体の表面、多孔質支持体の表面、及び、燃料極と多孔質支持体の互いに対向する表面にそれぞれ形成された細孔の内面)に形成された複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径については、100nm未満であることを確認した。
(D)プロセスの容易性
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の多孔質支持体への含浸回数と含浸のしやすさによって、プロセスの容易性を評価した。上記と同様の操作により積層構造物に複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させるが、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は積層構造物に含浸しやすく、且つ、上記の滴下、保持、及び加熱の操作を1サイクルとして10サイクル未満の操作によって十分な量の複合酸化物のナノ粒子を積層構造物内に形成することができた。よって、実施例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液は、プロセスの容易性が高いと評価した。
結果を表2に示す。なお、表2においては、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が積層構造物に含浸しやすく、且つ、10サイクル未満の操作によって十分な量の複合酸化物のナノ粒子を積層構造物内に形成することができた場合は、プロセスの容易性が高いと評価し、○印で示してある。複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が積層構造物に含浸し難い場合や、十分な量の複合酸化物のナノ粒子を積層構造物内に形成するために10サイクル以上の操作が必要な場合は、プロセスの容易性が不十分と評価し、△印で示してある。
(E)固体酸化物形燃料電池単セルの変形
上記のようにして製造した固体酸化物形燃料電池単セルの焼成前後での変形を評価した。すなわち、焼成前の積層構造物と完成した固体酸化物形燃料電池単セルとの形状を比較することにより、変形の度合いを評価した。形状の測定は、株式会社キーエンス製のワンショット3D形状測定機を用いて行った。
実施例1の固体酸化物形燃料電池単セルの形状を測定した結果、焼成前後で変形はみられなかった。結果を表2に示す。なお、表2においては、焼成前後で変形が無かった場合は○印、変形が見られた場合は×印で示してある。
(F)開回路電圧
完成した固体酸化物形燃料電池単セルの開回路電圧を測定した。測定条件は以下のとおりである。
作動温度 :600℃
単セルの昇温条件 :昇温速度5℃/minで室温から600℃まで昇温
アノードガスの種類:97%の水素ガスと3%の水蒸気との混合ガス
アノードガスの流量:200cc/min
カソードガスの種類:空気
カソードガスの流量:200cc/min
実施例1の固体酸化物形燃料電池単セルの開回路電圧を測定した結果、理論値どおりの開回路電圧であった。結果を表2に示す。なお、表2においては、開回路電圧の測定値が理論値どおりであった場合は○印、理論値よりも若干小さい値であった場合は△印、理論値を大きく下回る値であった場合は×印で示してある。
〔実施例2〕
ジルコニウムセリウム成分として、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子及びイットリウム添加酸化セリウムY0.22Ce0.781.89のナノ粒子の代わりに酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子及び酸化セリウム(IV)のナノ粒子を用いた点と、イットリウム成分として、イットリウム添加酸化セリウムY0.22Ce0.781.89のナノ粒子の代わりにイットリウムイオン源である炭酸イットリウム(III)三水和物(関東化学株式会社製Y2(CO33・3H2O)を用いた点と、イットリウムイオン源を塩基性炭酸ニッケル(II)とともにクエン酸水溶液に溶解した点とを除いては、実施例1と同様にして、実施例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
次に、実施例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を、実施例1の場合と同様に焼成して、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造した。得られた実施例2の複合酸化物のナノ粒子を、実施例1の場合と同様にX線回折法により分析し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。結果を表2に示す。
次に、実施例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を用いて、実施例1の場合と同様にしてメタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造した。そして、得られた実施例2の固体酸化物形燃料電池単セルについて、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例3〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度が0.3質量%である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例3の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例3の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例4〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度が0.5質量%である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例4の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例4の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例5〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度が2.5質量%である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例5の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例5の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例6〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度が7.5質量%である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例6の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例6の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例7〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の量が、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンから製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量の4倍である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例7の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例7の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例8〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の量が、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンから製造される複合酸化物のナノ粒子の理論質量の7.5倍である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例8の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例8の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例9〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHが4.7である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例9の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例9の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例10〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHが8である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例10の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した。得られた実施例10の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例11〕
実施例2と同様にして、実施例11の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した。そして、焼成温度が800℃である点を除いては、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し(表1を参照)、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例12〕
複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される配位性有機化合物の種類が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例12の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。得られた実施例12の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、実施例2~12の場合も実施例1の場合と同様に、焼成により得られた複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径が100nm未満であることを確認し、固体酸化物形燃料電池単セル内に形成された複合酸化物のナノ粒子の平均一次粒子径が100nm未満であることを確認した。
〔比較例1〕
まず、比較例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の製造に用いた各原料について説明する(表1を参照)。ジルコニウムセリウム成分として、ジルコニウムイオンとセリウムイオンを用いた。ジルコニウムイオン源としてはオキシ硝酸ジルコニウム(IV)二水和物(関東化学株式会社製ZrO(NO32・2H2O)を用い、セリウムイオン源としては硝酸セリウム(III)六水和物(関東化学株式会社製Ce(NO33・6H2O)を用いた。
イットリウム成分としてイットリウムイオンを用い、イットリウムイオン源としては硝酸イットリウム(III)六水和物(関東化学株式会社製Y(NO33・6H2O)を用いた。
バリウムイオンとして硝酸バリウム(II)(関東化学株式会社製Ba(NO32)を用い、ニッケルイオンとして硝酸ニッケル(II)六水和物(キシダ化学株式会社製Ni(NO32・6H2O)を用いた。
金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物は、使用しなかった。
これら各原料と水を混合し、室温で30分間撹拌した。その結果、上記の各原料は水に溶解し、比較例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液が得られた。
比較例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度は、5質量%である。
このようにして得られた比較例1の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
そして、焼成温度が900℃である点を除いては、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し(表1を参照)、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。結果を図5及び表2に示す。図5から分かるように、未反応の原料の残存や構造不明の不純物の生成が確認された。
なお、図5において、○印を付したピークはバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))に由来するピークであり、△印を付したピークは酸化ニッケル(II)に由来するピークである。また、図5において、□印を付したピークは炭酸バリウム(II)に由来するピークであり、矢印を付したピークは構造不明の不純物に由来するピークである。
さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
比較例1と同様にして、比較例2の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した。そして、焼成温度が1000℃である点を除いては、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し(表1を参照)、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。結果を図5及び表2に示す。図5から分かるように、構造不明の不純物の生成が確認された。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
ジルコニウムセリウム成分として、酸化ジルコニウム(IV)のミクロ粒子(市販品の酸化ジルコニウム(IV)の粉末を1300℃で6時間熱処理したもの)と酸化セリウム(IV)のミクロ粒子(市販品の酸化セリウム(IV)の粉末を1300℃で6時間熱処理したもの)を用いた点を除いては、実施例2の場合と同様にして、比較例3の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を製造した(表1を参照)。酸化ジルコニウム(IV)のミクロ粒子の平均一次粒子径は1μmであり、酸化セリウム(IV)のミクロ粒子の平均一次粒子径は3μmである。得られた比較例3の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液について、実施例1の場合と同様に種々の評価を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1の場合と同様にして、酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体(BaZr0.1Ce0.70.23(BZCY))を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造し、焼成時に生成した不純物の有無を調べた。その結果、未反応の原料(炭酸バリウム(II)及び酸化セリウム(IV))の残存が確認された。さらに、実施例1の場合と同様にして、メタルサポート型の固体酸化物形燃料電池単セルを製造し、種々の評価を行った。結果を表2に示す。
表2の実施例1、2、12の結果から、イットリウム成分及び配位性有機化合物の種類にかかわらず、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の特性が優れており、多孔質支持体に含浸するプロセスの容易性が高いことが分かる。また、焼成温度が850℃という低温であるため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成しにくく、高純度なバリウム系プロトン伝導体を有する複合酸化物ナノ粒子を得ることができることが分かる。さらに、焼成温度が850℃という低温であるため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に固体酸化物形燃料電池単セルの変形が生じにくく、且つ、得られた固体酸化物形燃料電池単セルの開回路電圧が理論値どおりの値となることが分かる。
また、表2の実施例11の結果から、焼成温度が800℃の場合であっても、焼成温度が850℃の場合と同様の結果が得られることが分かる。
一方、表2の比較例1、2の結果から、配位性有機化合物を使用しないと、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の乾燥時に各種金属イオンを有する金属塩が不均一に析出するため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成温度が900℃及び1000℃である場合においても不純物が残留することが分かる。
また、表2の比較例2の結果から、焼成温度が1000℃と高温であるため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に固体酸化物形燃料電池単セルの変形が生じ、且つ、得られた固体酸化物形燃料電池単セルの開回路電圧が理論値と大きく異なることが分かる。
さらに、表2の実施例2と比較例3の結果から、原料のジルコニウムセリウム成分として使用する酸化ジルコニウム(IV)の粒子及び酸化セリウム(IV)の粒子の平均一次粒子径が大きいと、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液における酸化ジルコニウム(IV)の粒子及び酸化セリウム(IV)の粒子の分散性が不十分となることが分かる。また、酸化ジルコニウム(IV)の粒子及び酸化セリウム(IV)の粒子の平均一次粒子径が大きいと、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中で十分均一に分散せず、また、イットリウム成分及びバリウムイオンとの反応性が乏しくなるため、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成することが分かる。
さらに、表2の実施例2~6の結果から、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有されるジルコニウムセリウム成分、イットリウム成分、バリウムイオン、及びニッケルイオンの合計の濃度を表1に示す範囲内で種々変更しても、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び固体酸化物形燃料電池単セルの各種性能が優れ、且つ、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成しにくいことが分かる。
さらに、表2の実施例2、7、8の結果から、配位性有機化合物の量を表1に示す範囲内で種々変更しても、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び固体酸化物形燃料電池単セルの各種性能が優れ、且つ、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成しにくいことが分かる。
さらに、表2の実施例2、9、10の結果から、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液のpHを表1に示す範囲内で種々変更しても、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液及び固体酸化物形燃料電池単セルの各種性能が優れ、且つ、複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液の焼成時に不純物が生成しにくいことが分かる。
10・・・多孔質支持体
20・・・燃料極
30・・・固体電解質層
40・・・中間層
50・・・空気極

Claims (9)

  1. 酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造するための前駆体水溶液であって、
    ジルコニウムセリウム成分と、イットリウム成分と、バリウムイオンと、ニッケルイオンと、金属イオンに配位可能な配位能を有する配位性有機化合物と、を含有し、
    前記ジルコニウムセリウム成分は、酸化ジルコニウム(IV)のナノ粒子及び酸化セリウム(IV)のナノ粒子であるか、又は、酸化ジルコニウム(IV)と酸化セリウム(IV)の混合物からなるナノ粒子であり、
    前記イットリウム成分は、イットリウム含有酸化物のナノ粒子又はイットリウムイオンである複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  2. 前記配位性有機化合物がキレート剤である請求項1に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  3. 前記キレート剤がクエン酸及びエチレンジアミン四酢酸の少なくとも一方である請求項2に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  4. 当該複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される前記ジルコニウムセリウム成分、前記イットリウム成分、前記バリウムイオン、及び前記ニッケルイオンの合計の濃度は、0.5質量%以上5質量%以下であり、
    前記合計の濃度は、所定質量の当該複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液から製造される前記複合酸化物のナノ粒子の理論質量を、前記所定質量で除し100倍することにより算出されるものである請求項1~3のいずれか一項に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  5. 当該複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される前記配位性有機化合物の量は、当該複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液中に含有される前記ジルコニウムセリウム成分、前記イットリウム成分、前記バリウムイオン、及び前記ニッケルイオンから製造される前記複合酸化物のナノ粒子の理論質量の4.5倍以上7倍以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  6. pHが5以上9以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液。
  7. 酸化ニッケル(II)及びバリウム系プロトン伝導体を含有する複合酸化物のナノ粒子を製造する方法であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を焼成する焼成工程を有する複合酸化物ナノ粒子の製造方法。
  8. 焼成温度が800℃以上850℃以下である請求項7に記載の複合酸化物ナノ粒子の製造方法。
  9. 前記複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を多孔質体に含浸させる含浸工程を有し、前記含浸工程において前記複合酸化物ナノ粒子製造用前駆体水溶液を含浸させた前記多孔質体を前記焼成工程において焼成する請求項7又は請求項8に記載の複合酸化物ナノ粒子の製造方法
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