JP7379219B2 - レーダシステムの試験装置及び試験設備 - Google Patents

Description

本実施形態は、レーダシステムの試験装置及び試験設備に関する。

レーダシステムの試験装置及びそのような試験装置を備える試験設備が知られている。この種の試験装置の中には、移動する目標からの反射エコー等の信号を模擬することができる試験装置もある。

特開２００７‐１０１２６０号公報

近年、試験設備におけるアンテナ等の小型化の要求のため、移動する目標の模擬を簡易な構成で実現できることが求められている。

本発明が解決しようとする課題は、移動する目標の模擬を簡易な構成で実現できるレーダシステムの試験装置及び試験設備を提供することにある。

実施形態によれば、試験装置は、模擬信号生成装置と、アンテナとを有する。模擬信号生成装置は、試験のための模擬信号を放射する。アンテナは、模擬信号生成装置から放射された模擬信号を受信する複数のアンテナ素子と、それぞれのアンテナ素子に対応して設けられ、それぞれのアンテナ素子で受信される模擬信号を反射してアンテナ素子を介して放射させるか又は終端させるかを切り替える複数の反射／終端切替回路とを備える。

図１は、第１の実施形態のレーダシステムの試験装置を備えたレーダシステムの試験設備の一例の構成を示す図である。 図２は、第２の実施形態のレーダシステムの試験装置を備えたレーダシステムの試験設備の一例の構成を示す図である。

以下、図面を参照して実施形態を説明する。
［第１の実施形態］
図１は、第１の実施形態のレーダシステムの試験装置を備えたレーダシステムの試験設備の一例の構成を示す図である。試験設備１は、レーダシステム２の試験のための設備であって、レーダシステム２の試験装置を含む。レーダシステム２の試験装置は、模擬信号生成装置３と、アンテナ４とを有している。そして、レーダシステム２、模擬信号生成装置３、アンテナ４は、電波暗室５に収容される。

レーダシステム２は、試験の対象となるレーダシステムである。レーダシステム２は、目標からの電波を受信することで目標を探索するレーダシステムであればよい。つまり、レーダシステム２は、それ自体が電波を送信できるように構成されていてもよいし、それ自体が電波を送信できるように構成されていなくてもよい。

模擬信号生成装置３は、試験のための模擬信号を生成し、模擬信号をアンテナ３１に給電し、アンテナ３１を介して模擬信号を空間に放射する。模擬信号は、移動する目標を模擬するための、レーダシステム２が受信できる周波数を有する高周波信号である。また、模擬信号生成装置３は、アンテナ４を制御するための制御信号をアンテナ４に供給する。模擬信号生成装置３は、アンテナ３１による模擬信号の送信範囲Ｒは、アンテナ４のすべてのアンテナ素子４１の設置範囲を含むように設定されている。アンテナ３１の構成は特定の構成には限定されない。例えば、アンテナ３１は、大電力の単一のアンテナ素子で構成されていてもよいし、フェーズドアレイアンテナのように複数のアンテナ素子で構成されていてもよい。

アンテナ４は、レーダシステム２と向かい合うように例えば電波暗室５の壁面に形成されている。アンテナ４は、複数のアンテナ素子４１と、それぞれのアンテナ素子４１に対応して設けられる複数の反射／終端切替回路４２と、複数の位相制御回路４３とを有している。

アンテナ素子４１は、電波暗室５の壁面に配置され、模擬信号生成装置３から放射された模擬信号を受信する。また、アンテナ素子４１は、反射／終端切替回路４２で反射された模擬信号を空間に放射する。それぞれのアンテナ素子４１は、例えばレーダシステム２で想定される目標の移動の軌跡に従って配置されている。例えば、目標がレーダシステム２に対して角度移動する目標であれば、アンテナ素子４１は、レーダシステム２を中心とする球面上に所定の角度ステップを持って配置される。この場合、電波暗室５の少なくとも模擬信号生成装置３と面する壁面は、図１に示すように、球面に形成されていてよい。

反射／終端切替回路４２は、アンテナ素子４１で受信された模擬信号を反射させるか又は終端させるかを模擬信号生成装置３から供給される制御信号に応じて切り替える。反射／終端切替回路４２は、例えばアンテナ素子４１に接続される伝送線路の端部を終端抵抗と接続するか又は開放するかを切り替えるスイッチを含む。伝送線路の端部が終端抵抗に接続されるとき、模擬信号の反射は生じない。一方、伝送線路の端部が開放されるとき、模擬信号は同相全反射する。反射／終端切替回路４２の構成は、アンテナ素子４１で受信された模擬信号を反射させるか又は終端させるかを切り替えることができれば特定の構成に限定されない。

位相制御回路４３は、アンテナ素子４１と、反射／終端切替回路４２との間に設けられ、反射／終端切替回路４２で反射された模擬信号の位相を模擬信号生成装置３から供給される制御信号に応じて制御する。

電波暗室５は、外部からの電波を遮断し、かつ、外部への電波を流出させないように構成されている。例えば、電波暗室５の天井、床面、側面といった壁面は、金属面によって構成されている。電波暗室５の構成は、特定の構成には限定されない。また、電波暗室５の壁面には電波吸収体５１が設けられている。電波吸収体５１は、針状等に形成されたスポンジであり、模擬信号生成装置３から放射される又はアンテナ４から放射される模擬信号を減衰させる。電波吸収体５１により、電波暗室５の内部での電波の乱反射等が抑制される。

試験設備１の動作を説明する。模擬信号生成装置３は、想定される目標の移動位置に応じた角度を表す制御信号を生成し、この制御信号をアンテナ４に供給する。また、模擬信号生成装置３は、模擬信号をアンテナ３１に給電し、アンテナ３１を介して模擬信号を空間に放射する。この模擬信号は、アンテナ４のそれぞれのアンテナ素子４１で受信される。

アンテナ４のそれぞれの反射／終端切替回路４２は、模擬信号生成装置３からの制御信号を受けて反射と終端との何れかに切り替えられる。具体的には、制御信号によって指定された角度に対応した反射／終端切替回路４２は、反射に切り替えられ、その他の反射／終端切替回路４２は、終端に切り替えられる。

また、アンテナ４のそれぞれの位相制御回路４３は、模擬信号生成装置３からの制御信号を受けて反射／終端切替回路４２で反射された模擬信号の位相を制御する。具体的には、制御信号によって指定された角度に対応した位相制御回路４３は、制御信号によって指定された位相の制御量に従って位相を制御する。位相の制御量は、アンテナ素子４１が配置される角度と制御信号によって指定された角度との差に応じて設定される。模擬する目標の速度等によっては、アンテナ素子４１の間の角度が制御信号によって指定される場合がある。このようなアンテナ素子４１の間の角度に目標が位置しているときの信号を模擬するために、この角度に隣接するアンテナ素子４１から放射される模擬信号の位相が調整される。

模擬信号生成装置３のアンテナから放射された模擬信号は、それぞれのアンテナ素子４１で受信される。受信された模擬信号は、反射／終端切替回路４２まで伝送される。

反射／終端切替回路４２が反射に切り替えられているとき、模擬信号は反射される。この模擬信号は、位相制御回路４３によって位相制御され、対応するアンテナ素子４１から放射される。アンテナ素子４１から放射された模擬信号Ｓは、レーダシステム２で受信される。一方、反射／終端切替回路４２が終端に切り替えられているとき、模擬信号は反射されない。この場合、模擬信号は、対応するアンテナ素子４１からは放射されない。つまり、アンテナ４は、特定の角度のアンテナ素子４１だけから模擬信号Ｓを放射する。このようにして、特定の角度に位置する目標からの信号が模擬される。想定される目標の角度移動を模擬するように反射／終端切替回路４２が順次に反射に切り替えられることにより、模擬信号が、目標の移動を模擬するように異なる角度のアンテナ素子４１から放射される。このようにして例えば角度移動する目標に対するレーダシステム２の追跡性能の試験が行われる。

以上説明したように第１の実施形態では、試験のための模擬信号を生成する模擬信号生成装置３と、レーダシステム２に向けて模擬信号を放射するアンテナ４とが別体で設けられている。アンテナ４は、複数のアンテナ素子４１のそれぞれで受信された模擬信号の反射と非反射とを切り替える回路を有している。これにより、アンテナ４に大規模な分配装置を持たせることなく、移動する目標を模擬することができる。このようにして、第１の実施形態によれば、模擬信号生成装置３及びアンテナ４のそれぞれの構成を簡素化しつつ、移動する目標が模擬され得る。

また、第１の実施形態のアンテナは、大規模な分配装置を持たない簡素な構成である。このため、電波暗室５の壁面に多くのアンテナ素子４１を細かな角度ステップで配置することが可能である。アンテナ素子４１を細かな角度ステップで配置することができれば、位相制御回路４３による位相制御は高精度でなくてもよい。したがって、位相制御回路４３の構成の簡素化も図られる。

［第２の実施形態］
次に第２の実施形態を説明する。図２は、第２の実施形態のレーダシステムの試験装置を備えたレーダシステムの試験設備の一例の構成を示す図である。第１の実施形態で説明したように、アンテナ素子４１は、細かな角度ステップで配置される。したがって、アンテナ素子４１毎の高精度の位相制御の必要はない。したがって、図２に示すように、位相制御回路を模擬信号生成装置３に持たせることもできる。位相制御回路３２は、位相制御回路４３と同様に、制御信号に応じて模擬信号生成装置３のアンテナ３１から放射される模擬信号の位相を制御する。一方で、アンテナ４では位相制御は行われない。その他の動作は第１の実施形態と同様である。したがって、説明を省略する。

以上説明したように第２の実施形態によれば、アンテナ素子４１毎の位相制御回路が省略されることにより、アンテナ４の構成がより簡素化される。これにより、アンテナ素子４１をより細かな角度ステップで配置することができる。

［その他の変形例］
前述した実施形態では角度移動する目標を模擬するために、アンテナ素子４１は、レーダシステム２を中心とする球面上に配置されるとしている。しかしながら、アンテナ素子４１は、必ずしも球面上に配置される必要はない。アンテナ素子４１は、想定される目標の移動の軌跡に応じて適宜に配置されてよい。

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

１ 試験設備、２ レーダシステム、３ 模擬信号生成装置、４ アンテナ、５ 電波暗室、３１ アンテナ、３２ 位相制御回路、４１ アンテナ素子、４２ 反射／終端切替回路、４３ 位相制御回路、５１ 電波吸収体。

Claims (7)

1. レーダシステムの試験装置であって、
   試験のための模擬信号を放射する模擬信号生成装置と、
   前記模擬信号生成装置から放射された前記模擬信号を受信する複数のアンテナ素子と、
   それぞれの前記アンテナ素子に対応して設けられ、それぞれの前記アンテナ素子で受信される前記模擬信号を反射して前記アンテナ素子を介して放射させるか又は終端させるかを切り替える複数の反射／終端切替回路と、
   を具備するアンテナと、
   を有するレーダシステムの試験装置。
2. 複数の前記アンテナ素子は、前記レーダシステムに向けられている請求項１に記載のレーダシステムの試験装置。
3. 複数の前記アンテナ素子は、前記レーダシステムの探索対象の目標において想定される移動の軌跡に沿って所定の間隔を持って配置されている請求項１又は２に記載のレーダシステムの試験装置。
4. 複数の前記反射／終端切替回路は、前記レーダシステムの探索対象の目標の移動を模擬するように順次に反射に切り替えられる請求項１乃至３の何れか１項に記載のレーダシステムの試験装置。
5. 前記模擬信号生成装置は、放射される前記模擬信号の位相を制御する位相制御回路をさらに具備する請求項１乃至４の何れか１項に記載のレーダシステムの試験装置。
6. 複数の前記反射／終端切替回路のそれぞれで反射された前記模擬信号の位相を制御する複数の位相制御回路をさらに具備する請求項１乃至４の何れか１項に記載のレーダシステムの試験装置。
7. レーダシステムの試験装置を備えた試験設備であって、
   試験のための模擬信号を放射する模擬信号生成装置と、
   前記模擬信号生成装置から放射された前記模擬信号を受信する複数のアンテナ素子と、
   それぞれの前記アンテナ素子に対応して設けられ、それぞれの前記アンテナ素子で受信される前記模擬信号を反射して前記アンテナ素子を介して放射させるか又は終端させるかを切り替える複数の反射／終端切替回路と、
   を有するアンテナと、
   を具備する試験装置と、
   前記レーダシステム及び前記試験装置が収容され、外部からの電波を遮断するように構成された電波暗室と、
   を有するレーダシステムの試験設備。