JP7379111B2 - 無線タグ読取装置、及び無線タグ情報処理システム - Google Patents

無線タグ読取装置、及び無線タグ情報処理システム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、無線タグ読取装置、及び無線タグ情報処理システムに関する。
近年、流通システムや物流システム等にRFID(Radio Frequency Identification)技術を活用し、物品や商品の情報をRFIDタグ(以下、無線タグ)から読み取って、これら情報を処理することが行われている。
例えば、スーパーマーケットなどの量販店において、コンベアなどの搬送機構と無線タグ読取装置と会計機とを備えた会計システムが用いられている。コンベアは、載せられた商品に付された無線タグのタグ情報を読み取る無線タグ読取装置を備えている。会計機は、無線タグ読取装置が読み取ったタグ情報に基づいて会計処理を行う。このような会計システムによれば、会計を行うために必要な商品情報の入力を店員が行う必要がなく、容易かつ迅速に会計処理を行うことができる。
上記会計システムなどに用いられる搬送機構を備えた無線タグ読取装置として、以下の搬送機構付きアンテナ装置が知られている(特許文献1)。この搬送機構付きアンテナ装置は、土台と、複数のローラからなり物品を搬送するスライダと、土台とスライダとの間に配置されたアンテナとを備えており、スライダ上を搬送される物品に付された無線タグからアンテナが情報を受信するものである。特許文献1に記載のものは、部分的に閉塞されたトンネル状の読取部を設けないことにより構造の簡略化を図るものである。
しかしながら、この種の開放された空間でタグ情報を読み取る無線タグ読取装置では、搬送機構で搬送される物品に付された無線タグ以外の無線タグの情報を読み取ることがある。例えば、搬送機構の近くに置かれた商品に付された無線タグや、搬送機構が複数設置された場合に隣接する搬送機構によって搬送される商品に付された無線タグなどを読み取ることがある。その結果、例えば、上記読取装置を会計装置に適用した場合、顧客が購入しようとしていない商品も会計処理されてしまうおそれがある。このため、読取対象である搬送機構上の無線タグと、隣接する搬送機構で搬送されるなどの読取対象でない無線タグとを区別することが望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、読取対象である無線タグと読取対象でない無線タグとを区別することが可能な無線タグ読取装置、及び無線タグ情報処理システムを提供することである。
実施形態の無線タグ読取装置は、物品を搬送する搬送路と、搬送波を発信するとともに、当該搬送波に対して無線タグが発信する応答波を受信するアンテナと、前記搬送路の一部に対応して設けられ、前記アンテナからの搬送波を反射させる電波反射体と、前記応答波に含まれる無線タグのタグ情報、および、前記搬送波と前記応答波との位相差に係る電波情報を出力する電波情報出力部と、を備え、前記アンテナは、前記搬送路の下部に設けられ、前記電波反射体は、前記アンテナの下部に位置し、一部が前記アンテナに重なる。
図1は、実施形態の無線タグ情報処理システムを示す図である。 図2は、実施形態の無線タグ情報処理システムの構成概要の上面図である。 図3は、実施形態の無線タグ情報処理システムの構成概要の縦断側面図である。 図4は、実施形態の無線タグ読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図5は、実施形態の無線タグ読取装置の機能構成を示すブロック図である。 図6は、実施形態の無線タグ情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図7は、実施形態の無線タグ情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。 図8は、無線タグの移動距離を検出する手段を説明するための図である。 図9は、無線タグ読取装置が発信する搬送波とこれに対応する応答波との位相差を示すグラフである。 図10は、実施形態の無線タグ読取装置の制御部の処理を示すフローチャートである。 図11は、実施形態の無線タグ情報処理装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
以下、実施形態の会計システムについて、図面に基づき説明する。図1は、無線タグ情報処理システムの一例を示す会計システムを示す図である。量販店等で用いられる会計システム1は、無線タグ読取装置2と、情報処理装置の一例である会計装置3とを備える。
無線タグ読取装置2は、搬送部2Aと読取部2Bとを備えている。搬送部2Aは、顧客が購入しようとする商品を搬送するものである。図2、図3に示すように、搬送部2Aは、基台4と、受け台5とを備えている。基台4は、複数の支持脚6で支持されるとともに、内部に搬送機構7を有している。搬送機構7は、上下4か所に配置されるローラ8と、これらローラ8に架け渡された搬送ベルト9と、いずれかのローラ8を駆動するモータ52(図4参照)と、このモータ52を制御する制御部20(図4参照)とを備えている。搬送ベルト9は、モータ52によってローラ8が駆動されることで回転し、搬送ベルト9上に載置された商品Gを図2、図3の矢印方向に搬送する。基台4の上面に露出する搬送ベルト9が搬送路9Aを構成する。商品Gには無線タグRが張り付けられている。
搬送部2Aは、人感センサ10、始点センサ11、終点センサ12を備えている。これら各センサ10~12は基台4に取り付けられる。人感センサ10は、顧客が会計を始める際に位置する箇所、本実施形態では図2の左端に取り付けられて顧客を検知する。人感センサ10が顧客を検知すると、上記モータ52が駆動されて搬送ベルト9が回転する。
始点センサ11は、搬送路9Aの定められた区間である区間Xの始点に配置され、搬送ベルト9によって移動する商品を検知する。終点センサ12は、区間Xの終点に配置され、搬送ベルト9によって移動する商品を検知する。始点センサ11、終点センサ12の検出結果をどのように活用するかについては後述する。本実施形態では、人感センサ10、始点センサ11、終点センサ12は、光学センサを用いているが、画像センサ等、各種センサを適用できる。
受け台5は、搬送機構7の終端の位置に支持脚13によって支持される。受け台5は、その上面に斜面部14と載置部15とを備えている。搬送ベルト9に載置された商品は、搬送ベルト9から斜面部14に落下して載置部15に載置されていく。
読取部2Bは、アンテナ16と、電波反射体である金属板17を備えている。アンテナ16は、搬送路9Aの下側に設けられ、搬送機構7の搬送方向において、区間Xの中央部に位置している。金属板17は、アンテナ16の下側に位置し、一部がアンテナ16と重なっている。また、金属板17は、搬送路9Aの一部である定められた区間Xにおいて搬送方向中央部から偏位した位置、言い換えれば、アンテナ16よりも搬送方向下流側に配置されている。なお、無線タグ読取装置2は、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数の電波を利用している。
無線タグ情報処理装置である会計装置3は、搬送機構7の終端部に設けられている。会計装置3は、顧客が自身で支払処理を行う、いわゆるセルフ式の会計装置である。無線タグ読取装置2および会計装置3の詳細については後述する。なお、図2において、Cは顧客、SCは顧客が利用するショッピングカートである。
次に、図4に基づいて、無線タグ読取装置2のハードウェア構成について説明する。無線タグ読取装置2は、制御部20、メモリ部30、機器コントローラ40、通信I/F(Interface)50等を備えている。制御部20、メモリ部30、機器コントローラ40、通信I/F50はバス51を介して互いに接続されている。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23を備えている。CPU21、ROM22、RAM23は、互いにバス51を介して接続されている。CPU21は制御部20の制御主体となる。ROM22は、各種プログラムを記憶する。RAM23は、ROM22やメモリ部30に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部20は、CPU21がROM22やメモリ部30に記憶されRAM23に展開された制御プログラムに従って動作することによって、無線タグ読取装置2の各種制御処理を実行する。
メモリ部30は、各種制御プログラムを記憶する制御プログラム部31を備える。機器コントローラ40は、前述したアンテナ16、モータ52、人感センサ10、始点センサ11、終点センサ12に接続される。通信I/F50は、会計装置3に接続されている。これにより、制御部20は、会計装置3と情報の送受信が可能となっている。
続いて、無線タグ読取装置2の制御部20の機能構成について、図5を参照して説明する。制御部20は、CPU21がROM22やメモリ部30の制御プログラム部31に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、第1センサ入力部201、モータ制御部202、電波制御部203、電波情報処理部204、電波情報出力部205として機能する。
第1センサ入力部201は、人感センサ10、始点センサ11、終点センサ12で検知した情報が入力される。モータ制御部202は、第1センサ入力部201からの情報に基づいて、モータ52を制御する。具体的には、モータ制御部202は、人感センサ10が顧客を検知したことを示す情報が第1センサ入力部201から入力されると、モータ52の駆動を開始する。また、モータ制御部202は、終点センサ12が商品を検知してから一定時間経過したことを示す情報が第1センサ入力部201から入力されると、モータ52の駆動を停止する。
電波制御部203は、第1センサ入力部201からの情報に基づいて、アンテナ16に制御信号を出力する。詳細には、電波制御部203は、第1センサ入力部201が搬送部2Aから開始通知、すなわち、始点センサ11が商品を検知したことを示す情報を受信すると、アンテナ16から所定間隔で、あるいは連続的に搬送波を発信するように制御信号を出力する。また、電波制御部203は、終点センサ12が商品を検知してから一定時間経過したことを示す情報が第1センサ入力部201から入力されると、アンテナ16からの搬送波の出力を停止するように制御信号を出力する。
電波情報処理部204は、アンテナ16が発信した搬送波、アンテナ16が無線タグから受信した応答波の電波情報を生成して記憶する。電波情報は、搬送波と応答波の位相差、すなわち、搬送波に対する応答波の位相差(以下、単に位相差という)を算出することができる情報であり、本実施形態においては、搬送波、応答波の波形を特定できる情報である。また、電波情報は、応答波に含まれる無線タグ情報も含む。電波情報出力部205は、電波情報処理部204が記憶した情報を会計装置3に対して出力する。
次に、図6に基づいて、会計装置3のハードウェア構成について説明する。会計装置3は、POS(Point Of Sales)端末であって、制御部60、メモリ部70、機器コントローラ80、通信I/F(Interface)90等を備えている。制御部60、メモリ部70、機器コントローラ80、通信I/F90はバス91を介して互いに接続されている。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63を備えている。CPU61、ROM62、RAM63は、互いにバス91を介して接続されている。CPU61は制御部60の制御主体となる。ROM62は、各種プログラムを記憶する。RAM63は、ROM62やメモリ部70に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部60は、CPU61がROM62やメモリ部70に記憶されRAM63に展開された制御プログラムに従って動作することによって、会計装置3の各種制御処理を実行する。
メモリ部70は、制御プログラム部71、商品マスタ部72、位相差記憶部73を備える。制御プログラム部71は、会計処理に関する各種制御プログラム等を記憶する。商品マスタ部72は、商品マスタを記憶する。商品マスタは、商品コードに対応づけて商品の名称や価格等を記憶したマスタファイルであり、日々更新される。
位相差記憶部73は、位相差データを記憶する。詳細には、位相差の基準値に関する時系列データ、この時系列データに関する第1の範囲、第2の範囲等を記憶する。上記基準値は、本実施形態に示す無線タグ読取装置を用いた実験に基づき予め定められた値である。上記基準値は、無線タグが搬送機構7によって区間Xを移動する状態で、アンテナ16が発信する搬送波とこの搬送波に対する当該無線タグからの応答波との位相差を測定した値である(図9の曲線T参照)。また、第1の範囲とは、基準値からプラスマイナス20パーセントの範囲であり、各種誤差を考慮して、この範囲であれば無線タグが搬送部2Aによって搬送されていると判断できる範囲である。第2の範囲とは、基準値からプラスマイナス30パーセントの範囲であり、無線タグが搬送部2Aによって搬送されていると判断できるか否か微妙な範囲である。詳細は後述するが、同一の無線タグについて位相差の時系列データが、第1の範囲に含まれると第1の条件を満たし、第1の範囲には含まれないが第2の範囲に含まれると第2の条件を満たすものとする。
なお、上記制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、本実施形態の情報処理装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
機器コントローラ80は、タッチパネル81、釣銭機82、プリンタ83に接続される。タッチパネル81は、合計金額、商品名、単価等、顧客が支払を行う際に必要な各種情報を表示するとともに、必要に応じて顧客の操作を受け付ける。釣銭機82は、顧客が支払った紙幣、硬貨を収納するとともに、顧客に対して紙幣や硬貨で釣銭を払い出す。プリンタ83は、顧客の支払が完了したときにレシートを印字する。通信I/F90は、無線タグ読取装置2に接続されている。これにより、制御部20は、無線タグ読取装置2と情報の送受信が可能となっている。
続いて、会計装置3の制御部60の機能構成について、図7を参照して説明する。制御部60は、CPU61がROM62やメモリ部70の制御プログラム部71に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、電波情報受付部601、第2センサ入力部602、タグ情報認識部603、位相差算出部604、取得部605、判定部606、処理部である会計処理部607として機能する。
電波情報受付部601は、無線タグ読取装置2の電波情報出力部205から出力された電波情報を受付ける。第2センサ入力部602は、終点センサ12の検出に基づいて無線タグ読取装置2から停止通知が入力される。詳細には、終点センサ12が商品を検出してから所定時間商品を検出しないと、当該商品を購入する顧客の購入商品は全て無線タグ読取装置2で読み取られたとして、無線タグ読取装置2から第2センサ入力部602に停止通知が入力される。
タグ情報認識部603は、電波情報受付部601が受け付けた電波情報のうち、応答波から無線タグ情報、すなわち、商品コードや個品コード等の無線タグが付された商品に係る情報を認識する。位相差算出部604は、電波情報受付部601が受け付けた電波情報から、アンテナ16が発信した搬送波とこの搬送波に対する応答波との上記位相差を算出する。位相差算出部604は、電波情報受付部601が連続的に受け付ける搬送波とこの搬送波に対する応答波との上記位相差を算出し、当該位相差を時系列で示した時系列データを作成して出力する。
取得部605は、位相差算出部604が出力した情報を取得する。判定部606は、取得部605により取得された位相差の時系列データと位相差記憶部73に記憶された位相差データとを比較し、上記第1の条件を満たすか否か、すなわち上記第1の範囲に含まれるか否かを判定する。同様に、判定部606は、取得部605により取得された位相差の時系列データと位相差記憶部73に記憶された位相差データとを比較し、上記第2の条件を満たすか否か、すなわち上記第1の範囲には含まれないが上記第2の範囲に含まれるか否かを判定する。判定部606は、取得部605により取得された1つの無線タグに関する位相差が上記第1の条件を満たす場合、当該無線タグは搬送部2Aによって搬送されたものであると判定する。
会計処理部607は、判定部606で上記第1の条件を満たすと判断された無線タグが付された商品について会計処理を行う。また、会計処理部607は、判定部606で上記第2の条件を満たすと判断された無線タグが付された商品であって、顧客が購入することを確認した商品について会計処理を行う。会計処理とは、取引にかかる合計金額の表示、レシートの発行等、顧客が取引に関する支払を行う際にPOS端末として必要な処理である。
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態は、位相差を検知することで、無線タグの移動を検出するという技術を活用したものである。このため、まず、この点について図8を参照して説明する。
図8は、無線タグ読取装置Aと無線タグBとの位置関係を示した図で、無線タグBが無線タグ読取装置Aから近い位置a点にある状態と、遠い位置b点にある状態とを模式的に示している。図中、anAは無線タグ読取装置Aのアンテナ、anBは無線タグBのアンテナを示す。
無線タグBがa点にある場合でも、b点にある場合でも、無線タグ読取装置Aから搬送波が発信されると、無線タグBは、搬送波から電力を受けて駆動して応答波を発信する。無線タグ読取装置Aは、応答波を受信してこれに含まれるタグ情報を読み取る。このとき、a点における無線タグ読取装置Aと無線タグBとの距離と、b点における無線タグ読取装置Aと無線タグBとの距離とは、無線タグBの移動距離Y分異なっている。このため、無線タグ読取装置Aが発信した搬送波と無線タグ読取装置Aが無線タグBから受信する応答波の位相差は、無線タグBがa点に位置する場合とb点に位置する場合とで差異が生じる。a点は無線タグ読取装置Aからの距離が近いので、a点における位相差a1は、b点における位相差b1よりも小さい。本実施形態は、この位相差の差異に基づいて無線タグBの移動距離を算定する点に着目してなされたものである。
一例として、本実施形態で使用しているUHF帯の920MHz(メガヘルツ)の電波の場合について説明する。この場合、1波長は約326mm(ミリメートル)であり、1波長は位相角で360°であるので、位相角1°あたりの距離は、約0.91mm(326/360)となる。図8において、無線タグBがa点に位置する状態での位相差a1とb点に位置する状態での位相差b1の差異は、経路差(移動距離Yの2倍)に基づいて生じた差異である。したがって、a点からb点への移動距離Yは、(b1-a1)×0.91/2となる。このようにして、この無線タグの移動距離を把握できる。
続いて、本実施形態において、搬送部2Aで搬送されている商品か否かを判定する方法の概略を説明する。図9は、図2における区間Xを移動する商品に付された無線タグについて、位相差を時系列で示したグラフである。図9において、横軸は、始点センサ11が商品を検知してからの時間である。横軸は、搬送部2Aによって区間Xの始点から終点まで商品が搬送される時間の範囲としてある。縦軸は、上述した位相差(アンテナ16が発信した搬送波と受信した応答波との位相差)である。このグラフで示す位相差は、区間Xの始点での位相差を0と置き換えて、これを基準とした値となっている。また、所定間隔で算出される位相差は、基準値0°に対して累積した値で、いわゆるアンラップ処理した値である。
曲線Tは、基準値の時系列データ(基準データ)を示す曲線である。基準値は、上述したとおり、搬送部2Aによって無線タグが移動した場合に、区間Xの始点からの時間に対する、位相差を実験により測定した値である。なお、アンテナ16が搬送ベルト9上に位置していないので、商品の移動距離と無線タグ読取装置2の応答波検出に基づいて算出される移動距離とは一致しない。
曲線Tは、区間Xの一方側に偏位して設けた金属板17の影響を受けて、左右対称に近似する曲線にはなっていない。曲線Tは、金属板17が設けられていない場合、アンテナ16が区間Xの中央部に設けられていること、無線タグが一定速度で移動することから、理論上は左右対称となる。
しかしながら、本実施形態の構成では、アンテナ16からの搬送波が金属板17で反射することで、この反射波が無線タグの応答波に干渉したり、上記反射波によって無線タグから応答波が発信したりする。このため、位相差に乱れが生じて、曲線Tは、非対称に近い曲線にならない。金属板17による位相差の乱れは、金属板17の近くに無線タグが位置した場合に顕著に表れ、曲線Tは、図9のUに示すように特有な形状を持つ曲線となる。
本実施形態では、搬送路9Aの一部に対応して金属板17を設けることによって、搬送部2Aによって搬送される無線タグに関する上記位相差の基準値の時系列データに特徴を持たせている。言い換えれば、搬送路9Aの一部に位相差に関して強い影響を与える電波反射体を設けている。その結果、位相差の基準値の時系列データ曲線Tは非対称形となっている。これによって、無線タグ読取装置2は、搬送部2Aで搬送された商品に付された無線タグと、それ以外の無線タグとを確実に区別できるようにしている。なお、金属板17を上下に貫通するスリットを設けるとよい。スリットを設けることで、時系列データ曲線Tに部分的に急激な変化を発生させることでき、時系列データ曲線Tは、より特徴的な曲線となる。したがって、上記スリットを設けることにより、無線タグ読取装置2は、搬送部2Aで搬送された商品に付された無線タグと、それ以外の無線タグとをより確実に区別できる。なお、スリットを設ける場合、その長さ、形状等は周囲の環境に応じて最適なものとすればよい。
次に、曲線T1は、基準値に対して閾値であるプラスマイナス20パーセントを示す曲線である。曲線T1は、ある基準値とそれに対するプラスマイナス20パーセントの値との差異を一定の差異として、各基準値から一定の差異をプラスマイナスした値を結んだ曲線である。したがって、曲線T1は、曲線Tと並行となるもので、各基準値に対するプラスマイナス20パーセントの値を結んだ曲線ではない。この曲線T1によって囲まれる範囲が第1の範囲である。曲線T2は、基準値に対して閾値であるプラスマイナス30パーセントを示す曲線である。曲線T2も曲線T1と同様で、曲線Tと並行となる。曲線T2によって囲まれる範囲が第2の範囲である。
顧客によって搬送ベルト9上に載置された商品に付された無線タグについて、位相差の時系列データが、第1の範囲に含まれる場合、判定部606は、第1の条件を満たすものとして、当該無線タグは搬送部2Aによって搬送されていると判断する。また、ある無線タグについて、位相差の時系列データが、第1の範囲には含まれないが、第2の範囲に含まれる場合、判定部606は、第2の条件を満たすものと判断する。判定部606は、タッチパネル81に出力を行い、タッチパネル81は、当該無線タグが付された商品の情報を表示し、顧客に自身の買い物対象か否かを問い合わせる。なお、第1の条件、第2の条件は、上記に限らず、例えば、上記時系列データの80%以上が第1の範囲に含まれていれば搬送部2Aによって搬送されたものと判断する等、無線タグ読取装置2の周囲の環境などに基づいて適宜設定することができる。
ところで、無線タグ読取装置2は、搬送部2Aで搬送される商品に付された無線タグ以外の無線タグからも応答波を受信することがある。そのような無線タグについては、位相差の時系列データは、第1の範囲、第2の範囲には含まれないため、搬送部2Aによって搬送されたものでないと判断する。例えば、搬送部2Aの近くに置かれた商品に付された無線タグから応答波を受信した場合、当該商品は移動しないので位相差は検出誤差を除くと一定値となる。
また、同一の無線タグ読取装置が併設されている場合、読取対象ではない隣接する無線タグ読取装置で搬送される無線タグの応答波を受信することがある。この場合、読取対象の無線タグと上記読取対象でない無線タグとは同速度で移動するが、アンテナ16と読取対象でない無線タグとの距離は大きいので、読取対象でない無線タグに関する位相差の時系列データは図9の曲線Tに近似することはない。したがって、このような場合でも、読取対象の無線タグと、それ以外の無線タグとを区別することができる。なお、本実施形態の無線タグ読取装置2を近接して複数設ける場合、各無線タグ読取装置2の金属板17の形状や位置を変えることで、読取対象の無線タグと近接する無線タグ読取装置2で搬送される無線タグとを、より確実に区別することができる。また、アンテナ16を複数設けることも可能である。アンテナ16を複数設けることで、読取対象の無線タグと、それ以外の無線タグとを区別する精度の向上が期待できる。アンテナ16を複数設ける場合、搬送方向に沿って複数設けることがより好ましい。各アンテナ16と金属板17との距離を異ならせることで、それぞれのアンテナの時系列データ曲線Tが近似せず、双方を特徴的な曲線とすることができるので、上記精度の向上が効果的とすることができる。
次に、無線タグ読取装置2の制御部20の電波情報に関する処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。制御部20は、始点センサ11が商品を検知して第1センサ入力部201に開始通知が入力されたか否かを判断する(S1)。第1センサ入力部201に開始通知が入力されると、電波制御部203がアンテナ16に搬送波発信指示を出力し(S2)、第1センサ入力部201に開始通知が入力されない場合、制御部20は、S1に戻って待機する。
続いて、電波情報処理部204は、アンテナ16が受信した応答波を受付け(S3)、電波情報を記憶する(S4)。その後、制御部20は、開始通知が入力されてから所定時間経過したか否かを判断し(S5)、所定時間経過した場合、電波情報出力部205は、それまでに記憶した電波情報を会計装置3に送信する(S6)。S5で、所定時間経過していない場合は、制御部20は、S2に戻って以降の処理を繰り返す。ここで、所定時間とは、区間Xを商品が搬送される時間で、搬送部2Aの搬送速度によって定まる。本実施形態では、図9に示すように14秒である。
なお、搬送部2Aで搬送される商品に付された無線タグ以外の無線タグからもアンテナ16が応答波を受信する場合がある。この場合、S2~S4、S6の処理は、無線タグごとに並行して行われる。また、図10に示す処理は、商品が始点センサ11を通過するたびに行われ、区間Xに複数の商品が位置しているときには並行して進められる。したがって、電波情報出力部205は、無線タグごとの電波情報を会計装置3に送信することができる。
次に、会計装置3の制御部60が行う処理について、図11のフローチャートに基づいて説明する。制御部60は、電波情報受付部601が無線タグ読取装置2から電波情報を受信したか否かを判断する(S11)。電波情報受付部601は、電波情報を受信すると、受信した電波情報を記憶する(S12)。電波情報受付部601が電波情報を受信しないと、制御部60は、S12をスキップする。
その後、制御部60は、第2センサ入力部602に無線タグ読取装置2から停止通知が入力されたか否かを判断する(S13)。この停止通知は、搬送部2Aの終点センサ12が設定時間商品を検知しなかった場合、顧客の購入対象商品は全て搬送部2Aで搬送されたものと判断して、無線タグ読取装置2から通知される。第2センサ入力部602に停止通知が入力されると、位相差算出部604は、記憶された電波情報のうち、搬送波とそれに対する応答波の位相情報から、搬送波ごとに応答波との位相差を算出する(S14)。続いて、取得部605は、電波情報に含まれる個品コードを参照して、S14で算出した位相差を個品コード別に記憶する(S15)。すなわち、取得部605は、個品コードごとに図9に対応する位相差の時系列データを取得する。
次に、判定部606は、個品コードごとの位相差の時系列データが第1の範囲内か否かを判断し(S16)、範囲内であれば第1の条件を満たすとして個品コードで特定される商品について商品コードを記憶する(S17)。S16で位相差の時系列データが第1の範囲内でない場合、判定部606は、位相差の時系列データが第2の範囲内であるか否かを判断し(S18)、範囲内であれば第2の条件を満たすとしてタッチパネル81に対して、個品コードで特定される商品に関する情報の表示指示を出力する(S19)。すなわち、判定部606は出力部としても機能する。タッチパネル81は、商品に関する情報を出力する出力装置として機能し、顧客に対してこの商品が購入対象であるか否かの入力を促す。S18で位相差の時系列データが第2の範囲内でないと判断されると、制御部60は、S17をスキップする。
続いて、判定部606は、タッチパネル81から購入入力があるか否かを判断し(S20)、購入入力があると対象商品が搬送部2Aによって搬送されたとものとしてS17に進んで商品コードを記憶する。S20で購入入力がない場合、制御部60は、S17をスキップする。その後、制御部60は、記憶された全個品コードの位相差の時系列データについて、判定部606の判定が終了したか否かを判断する(S21)。終了している場合、会計処理部607は、S17で記憶された商品コードの商品について会計処理を行い(S22)、処理が終了する。S21で全個品コードの位相差の時系列データについて、判定部606の判定が終了していない場合、制御部60は、S16に戻る。以上の処理によって、搬送部2Aで搬送された商品に関して会計処理が行われる。
以上説明したとおり、本実施形態の無線タグ読取装置は、搬送路9Aの一部に対応して設けられアンテナ16からの搬送波を反射させる金属板17と、搬送波と応答波との位相差に係る電波情報を出力する電波情報出力部205とを備えている。このため、搬送路9Aを移動する無線タグの位相差の時系列データは、特徴的部分を有するものとすることができる。したがって、会計装置3が、搬送路9Aによって搬送される商品に付された無線タグか否かを確実に判断することが可能となる。
また、本実施形態の無線タグ読取装置は、金属板17を搬送路9Aの搬送方向において中央部から一方側に偏位して設けたので、金属板17が位置しない他方側では金属板17による応答波への影響を抑えることができる。したがって、上記他方側で無線タグのタグ情報を確実に読み取ることができる。
本実施形態の会計処理システムは、取得部605により取得された位相差の時系列データが所定条件である第1の条件を満たすと、当該時系列データに係る無線タグのタグ情報を有効として処理する。すなわち、上記時系列データと基準データとの差異が閾値である20パーセント以下で、第1の条件を満たすと、会計装置3は、当該時系列データに係る無線タグが付された商品が搬送部2Aによって搬送されたものと判定して会計処理を行う。会計装置3は、それ以外の無線タグについては、会計処理は行わない。したがって、搬送部2Aで搬送される読取対象である無線タグと、それ以外の読取対象でない無線タグとを区別して会計処理を行うことができる。このため、顧客が購入しない商品を含めた誤った会計処理が行われることを抑制できる。しかも、無線タグ読取装置2が無線タグから商品情報を読み取るための電波を利用しているので、搬送部2Aによって搬送されていることを判定するための構成を簡略化できる。
また、本実施形態の会計処理システムは、取得部605により取得された位相差の時系列データが所定条件である第2の条件を満たすと、当該時系列データに係る無線タグのタグ情報を出力する。すなわち、上記時系列データが第2の条件を満たすと、会計装置3は、当該時系列データに係る無線タグが付された商品の商品情報をタッチパネル81に表示して、顧客に対して購入商品か否かの入力を促す。したがって、上記時系列データによって、搬送部2Aによって搬送されているか否かの判定が微妙な場合は顧客に確認することができる。このため、誤った会計をより抑制することができる。
本実施形態においては、タグ情報処理装置を会計装置3として説明したが、無線タグが付された部品を搬送部によって搬送して識別する部品管理装置などにも適用することができる。この場合も同様に搬送部によって搬送される部品とそれ以外の部品とを区別することができる。また、本実施形態では、搬送部2Aによって搬送された商品か否かを判定する第1の条件と、顧客に確認するために商品情報を表示する第2の条件とを備えているが、いずれか1つであってもよい。さらに、本実施形態では、会計装置3の位相差算出部604で位相差を算出しているが、無線タグ読取装置2で位相差を算出して取得部605が取得してもよい。
さらに、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 会計システム(無縁タグ情報処理システム)
2 無線タグ読取装置
3 会計装置(無線タグ情報処理装置)
9A 搬送路
16 アンテナ
17 金属板(電波反射体)
205 電波情報出力部
605 取得部
607 会計処理部(処理部)
特開2018-157252号公報

Claims (5)

  1. 物品を搬送する搬送路と、
    搬送波を発信するとともに、当該搬送波に対して無線タグが発信する応答波を受信するアンテナと、
    前記搬送路の下部に設けられ、前記アンテナからの搬送波を反射させる電波反射体と、
    前記応答波に含まれる無線タグのタグ情報、および、前記搬送波と前記応答波との位相差に係る電波情報を出力する電波情報出力部と、
    を備え
    前記アンテナは、前記搬送路の下部に設けられ、
    前記電波反射体は、前記アンテナの下部に位置し、一部が前記アンテナに重なることを特徴とする無線タグ読取装置。
  2. 前記アンテナは、前記搬送路の定められた区間において、搬送方向中央部に配置され、
    前記電波反射体は、前記搬送方向中央部から偏位した位置に配置された
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線タグ読取装置。
  3. 請求項1または2に記載の無線タグ読取装置と、
    前記無線タグ読取装置の電波情報出力部から出力される電波情報に基づいて、同一の無線タグに関する前記位相差の時系列データを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時系列データが所定の条件を満たす無線タグに関するタグ情報を有効として処理する処理部と、を有する無線タグ情報処理装置と、
    を備えたことを特徴とする無線タグ情報処理システム。
  4. 請求項1または2に記載の無線タグ読取装置と、
    前記無線タグ読取装置の電波情報出力部から出力される電波情報に基づいて、同一の無線タグに関する前記位相差の時系列データを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時系列データが所定の条件を満たす無線タグに関するタグ情報を出力する出力部と、を有する無線タグ情報処理装置と、
    を備えたことを特徴とする無線タグ情報処理システム。
  5. 請求項1または2に記載の無線タグ読取装置と、
    前記無線タグ読取装置の電波情報出力部から出力される電波情報に基づいて、同一の無線タグに関する前記位相差の時系列データを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記時系列データが第1の条件を満たす無線タグに関するタグ情報を有効として処理する処理部と、前記取得部に取得された前記時系列データが第2の条件を満たす無線タグに関するタグ情報を出力する出力部と、を有する無線タグ情報処理装置と、
    を備えたことを特徴とする無線タグ情報処理システム。
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