(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
図1は、スロットマシン100を示す斜視図である。また、図2は、スロットマシン100の筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシン100は、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分(上扉)と下側部分(下扉)とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシン100は、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。すなわち、上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面(奥側)には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。
また、前扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組合せによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシン100では、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシン100を操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技メダル、遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cのそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、等が設けられている。なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。また、前扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36(演出操作部)が設けられている。
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
また、前扉20の下部には、スロットマシン100の内部よりメダルを排出する(送り出す)ための払出口50と、払出口50から排出された(払い出された)メダルを溜めておくことが可能な受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
図2に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
また、筐体1の内部における、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(メダル払出装置11)11(払出装置)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給される。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
前扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーをドアキーシリンダ66に挿入して前扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
スロットマシン100は、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態に設定される。また、スロットマシン100は、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、メダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度として、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
スロットマシン100では、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
スロットマシン100の内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
図1で示したように、前扉20の下部には、受皿38と、払出口50と、が設けられている。また、図3(a)に示すように、受皿38の後方側にはキャンセルシュート40が設けられている。図示を省略するが、キャンセルシュート40の後方側(背面側)に、ホッパーユニット11(図2)が配置されている。
図3(b)は、受皿38とキャンセルシュート40を離間させた状態を示す図である。受皿38は、左右方向に長尺な略四角形状(略長方形状)の皿状に形成されている。受皿38は、底部381と、底部381を囲むように起立して形成された(立設された)縁部(壁部)382と、後方側の縁部382に形成された払出口50と、を主に備えている。なお、本実施形態では、受皿38は、メダル等を収容可能な凹状の収容部383を備えているが、収容部383は設けられていなくてもよい。換言すると、収容部383が設けられておらず、底部381がより大きく確保されていてもよい。
縁部382は、払出口50から払い出されたメダルが受皿38からこぼれ落ちるのを防ぐ機能を有している。縁部382は、底部381の前側に設けられている前側縁部(前壁部382a)と、底部381の右側に設けられている右側縁部と、底部381の左側に設けられている左側縁部と、底部381の後ろ側に設けられている後側縁部と、からなっている。本実施形態では、前側縁部の高さ(底部381からの高さ)が最も低くなっているが、その高さは、メダルの直径以上の寸法となっている。
キャンセルシュート40は、内側(内部)に空間を有するように形成されており、内側をメダルが通過可能となっている。キャンセルシュート40は、内部に侵入したメダルを受皿38に導くメダル通路(案内通路)として機能する。本実施形態では、キャンセルシュート40を「メダル通路」と言う場合がある。キャンセルシュート40は、複数の開口部(後述する)を備えている。換言すると、キャンセルシュート40は、メダルの入口部と出口部とを備えている。本実施形態では、キャンセルシュート40は、第1部材(前部材)と第2部材(後部材)とを前後から合わせて2部材で構成されているが、これに限らず1部材で構成されていてもよく、2部材以上の部材で構成されていてもよい。
メダル通路(すなわちキャンセルシュート40)は、通路内でのメダル詰まりを防止する観点から、メダルをスムーズに流下(通過)可能に形成することが求められている。しかし、メダル詰まりを防止するため、メダル通路を、メダルのスムーズな流下を優先し過ぎた形状としてしまうと、後方に位置するホッパーユニット11等に対する不正行為を行いやすくなるという問題が生じる(不正対策性能が低下する)。また、不正対策性能を向上させるため、メダル通路の形状を複雑な形状とした場合には、メダルのスムーズな流下が実現されにくいものとなり、さらに、複雑な形状となる分、前扉20への他の部材の設置(配置)の妨げとなる(他の部材の設置スペースを圧迫する)という問題が生じる。
本実施形態では、メダルのスムーズな流下の実現と、不正対策性能の向上と、他部材の設置の妨げの抑制と、をバランスよく達成(実現)することが可能なメダル通路の形状について説明する。
(第2開口部402)
図3(b)に示すように、キャンセルシュート40の前方側下部には、前後方向に開口する第2開口部402(受皿側開口部)が設けられている。図4(a)は、キャンセルシュート40を前方側から見た図である。第2開口部402は、前方から見て略四角形状となっている。図3(a)に示すように、第2開口部402は、受皿38の払出口50と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第2開口部402は、払出口50に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第2開口部402と払出口50とが重なるように形成されていると言うこともできる。第2開口部402は、キャンセルシュート40からのメダルの出口部となっている。
キャンセルシュート40は、前後方向において、受皿38とメダル払出装置11(図2)との間に設けられており、メダル払出装置11から送り出されたメダルを受皿38へ導くことが可能となっている(詳細は後述する)。
図5は、メダル払出装置11(ホッパー)を前方側から見た図である。メダル払出装置11の前方側(前面側)には、メダル払い出し部111(払出部、発射口部)が設けられている。メダル払い出し部111は、メダルを通過させることが可能に形成されており、例えば、小役が入賞した場合や、クレジットされたメダルが存在する状態で精算ボタン60が押下された場合等に、メダル払い出し部111からメダルが送り出される(発射される)。メダル払い出し部111の開口は、略長方形状となっており、前方から見た場合に、斜め右下がりとなっている。
メダル払い出し部111の周辺には周辺壁部112が設けられている。周辺壁部112は、メダル払出装置11の前面のうち、メダル払い出し部111の周辺の所定範囲の部分(壁部分)となっている。所定範囲とは、少なくとも、次に説明する第1開口部401(第1開口部401の開口面積)と対向する範囲を含む範囲(例えば、図5における破線Qの内側の範囲)となっている。周辺壁部112は、前後方向に対して垂直または略垂直な面となっている。
(第1開口部401)
図4(b)は、キャンセルシュート40を後方側(背面側)から見た図である。キャンセルシュート40の後方側には、前後方向に開口する第1開口部401(ホッパー側開口部)が設けられている。第1開口部401は、略長方形状となっており、後方から見た場合には左下がり(前方から見た場合には右下がり)となっている。第1開口部401は、前扉20を閉じた状態で、メダル払出装置11のメダル払い出し部111と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。
前扉20を閉じた状態で、第1開口部401とメダル払い出し部111とは互いに向かい合った状態となる。開口の大きさは、第1開口部401の方が、メダル払い出し部111(の開口)よりも大きくなっている。第1開口部401は、メダル払い出し部111に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第1開口部401とメダル払い出し部111とが重なるように形成されていると言うこともできる。第1開口部401は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第1の入口部)となっている。
図6は、前扉20(下扉)を背面側から見た図である。前扉20におけるメダル投入口34(図1)の下方には、メダルセレクタ(セレクタ)90が設けられている。メダルセレクタ90は、キャンセルシュート40よりも上方に設けられている。メダルセレクタ90は、メダル投入口34から投入されたメダルを選別する機能を有している。例えば、投入されたメダルが正規のメダルではない場合や、メダルの投入タイミングが適切なタイミングでない場合等に、メダルセレクタ90は、投入されたメダルを下方のキャンセルシュート40へ導く(下方のキャンセルシュート40に向けてメダルを落下させる)。
(第3開口部403)
図7(a)は、キャンセルシュート40を上方から見た図である。キャンセルシュート40の上方側(上方の右側)には、第3開口部403(セレクタ側開口部)が設けられている。第3開口部403は、上下方向に開口している。第3開口部403は、メダルセレクタ90の下端部と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第3開口部403は、略四角形状となっている。第3開口部403は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第2の入口部)となっている。
(各開口部の位置関係)
図7(b)は、キャンセルシュート40を左側から見た図(左側面図)である。第1開口部401と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さ(ずれた高さ)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
第3開口部403と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
第1開口部401と第3開口部403とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第1開口部401よりも上方に設けられている。
メダル払出装置11のメダル払い出し部111から発射されたメダルは、第1開口部401を介してキャンセルシュート40(メダル通路)の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第1開口部401から内部へ侵入したメダルを、前方へ導く(案内する)。第1開口部401からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過(流下、スライド)して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
また、メダルセレクタ90から送り出された(メダルセレクタ90を通過した)メダルは、第3開口部403を介してキャンセルシュート40の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第3開口部403から内部へ侵入したメダルを、下方へ導く(案内する)。第3開口部403からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
図8(a)は、キャンセルシュート40を前方から見た図であって、キャンセルシュート40の前方側を構成する部材を透視(透明化)したものである。第1開口部401と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも左側に設けられている。また、第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも右側に設けられている。また、第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。
本実施形態では、第1開口部401の左端は、第2開口部402の左端よりも左側に位置しているが、第1開口部401の右端は、第2開口部402の左端と第2開口部402の右端との間に位置している。第1開口部401と第2開口部402とは、前方から見た場合における、左右方向のずれ量が比較的小さいが、上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きいため、前方から見た場合に、重複する範囲(重なる部分)が存在していない。本実施形態では、第1開口部401と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
第3開口部403の左端は、第2開口部402の右端よりも右側に設けられている。第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第3開口部403と第2開口部402とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第3開口部403と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第1開口部401と第3開口部403とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第1開口部401と第3開口部403は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
図8(b)は、キャンセルシュート40の後方側を構成する部材(のみ)を示す図である。キャンセルシュート40の内側の面(メダル通路を構成している面)には、第1傾斜面411と、第2傾斜面412と、第3傾斜面413と、が含まれる。
第1傾斜面411は、左右方向において、右側ほど下方となるように傾斜する面(右下がりの傾斜面)となっている。第1傾斜面411は、第1開口部401から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを右下(第2傾斜面412)に導く。
第3傾斜面413は、左右方向において、左側に向かうほど下方となるように傾斜する面(左下がりの傾斜面)となっている。第3傾斜面413は、第3開口部403から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを左下(第2傾斜面412)に導く。
第2傾斜面412は、第1傾斜面411および第3傾斜面413よりも下方に設けられている。第2傾斜面412は、前後方向において、前側ほど下方となるように傾斜する面となっている。なお、本実施形態では、第2傾斜面412は、勾配(傾き)が異なる2つの斜面からなり、手前側の斜面の方が後方側の斜面よりも傾斜(水平面に対する傾斜)が大きくなっている。
第2傾斜面412は、上方から落下してきたメダルと接触し得るように形成されており、接触したメダルを前方側(すなわち第2開口部402)へ導く。第2傾斜面412は、第2開口部402へ続くように形成されており、斜面を下って第2開口部402に到達したメダルは、第2開口部402から外(すなわち受皿38)へ排出される。
ここで、第1開口部401から第2開口部402に至る(第1開口部401と第2開口部402を結ぶ)メダル通路を第1通路F1とし、第3開口部403から第2開口部402に至る(第3開口部403と第2開口部402とを結ぶ)メダル通路を第2通路F2とする。
第1通路F1は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第1通路F1は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第1通路F1は、クランク状となっている。
第2通路F2は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第2通路F2は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第2通路F2は、クランク状となっている。
第1開口部401から第2開口部402に至る第1通路F1は、矢印F1に示すように、後方から前方に進み、曲がり部(第1曲がり部)で曲がって右側(右下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
第1開口部401を介して後方から前方に発射されたメダルは、通路内の平面状の前面(図12で符号Pを付した面)に衝突し得る。そして、メダルが衝突する前面には、メダル衝突による衝撃を緩和するための、金属板(緩衝部材)が配置されていてもよい。換言すると、メダル通路の(内面の)一部が金属板で形成されていてもよい。金属板を配置することで、メダルの衝突によって通路の内面が変形、破損等するのを防止できる。金属板は、例えば厚さ約0.4mmのステンレス鋼板であってもよい。なお、緩衝部材として金属板の代わりゴム(弾性体)を用いてもよい。
上記では、後方から前方に発射されたメダルが、通路内の平面状の前面に衝突するとしたが、これに限らず、当該メダルが通路内の曲面状の前面に衝突するようになっていてもよい。換言すると、当該前面が湾曲していてもよい。曲面状とは、例えば、前方に向かって凹となっている(窪んでいる)形状であってもよい。メダルが衝突する前面が曲面状となっている場合、平面状である場合に比べてメダル衝突による衝撃が緩和される。これにより、メダルを受皿38へ、よりスムーズに案内できる。
第3開口部403から第2開口部402に至る第2通路F2は、矢印F2に示すように、上方から下方に進み、曲がり部(第3曲がり部)で曲がって左側(左下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
また、第3開口部403から第1開口部401に至る通路を第3通路F3とする。図示を省略するが、第3通路F3は、第1通路F1および第2通路F2と同様に、少なくとも1つの曲がり部を有している。
仮に、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっておらず、直線状である場合(曲がり部が設けられていない場合)、遊技者側から器具(棒状の部材)等を差し込み、不正(いたずら)を行うことが容易となる。本実施形態では、上述のとおり、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっているため(曲がり部を有しているため)、遊技者側からの器具(部材)等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。なお、不正対策性能を向上できるとは、器具等の差し込みにより部品が壊されるリスクが低減されていることを含む。
ここで、図9に示すように、第1開口部401と第2開口部402とを通過する(通る)仮想直線を第1仮想直線Xとする。本実施形態では、第1仮想直線Xを、メダル通路(第1通路F1)の内面と接触することなく引く(描出する)ことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第2開口部402とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第1仮想直線X)で結ぶことができる。
このような構成によれば、メダル通路(第1通路F1)は、メダル通路の内面と接触することなく第1仮想直線Xを引くことが可能な形状(直線状に連通する空間を有する形状)となっているため、メダルのスムーズな通過(払い出し)を実現できる。また、メダル通路(第1通路)を、第1仮想直線Xを引くことができないほどの複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状である分、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
図10に示すように、第1開口部401と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第3仮想直線Zとする。本実施形態では、第3仮想直線Zを、メダル通路(第3通路F3)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第3仮想直線Zは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第3仮想直線Z)で結ぶことができない。第3仮想直線Zは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
このような構成によれば、メダル通路(第3通路F3)は、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているため、例えば、第3開口部403から器具(棒状の部材)等を差し込み、第1開口部401(メダル払い出し部111)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
また、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているので(直線状ではないため)、第3開口部403からキャンセルシュート40内に入ったメダルが、第1開口部401に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
図11に示すように、第2開口部402と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第2仮想直線Yとする。本実施形態では、第2仮想直線Yを、メダル通路(第2通路F2)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第2仮想直線Yは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第2開口部402と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第2仮想直線Y)で結ぶことができない。第2仮想直線Yは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
このような構成によれば、メダル通路(第2通路F2)は、第2仮想直線Yを引くことができない形状となっているため、第2開口部402から器具(棒状の部材)等を差し込み、第3開口部403(メダルセレクタ90)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
本実施形態では、第1通路F1の方が、第2通路F2よりもメダルが通過する頻度が高いものとなっている。第1通路F1は、不正対策を強化しつつ、メダルが高頻度で通過することを踏まえ、第1仮想直線Xを引くことができる形状とし、メダルのスムーズな通過を実現している。一方、第2通路F2は、メダルが通過する頻度が低い分、不正対策をより強化させ、第2仮想直線Yを引くことができない形状としている、と言える。
図12に示すように、第1仮想直線Xにおける前方側(手前側)の端部を一端X1(一端部)とする。第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前側縁部(前壁部382a)に接触せず、受皿38の底部381に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前壁部382aに接触することなく、底部381に接触することが可能な線となっている。
このような構成によれば、一端X1が前壁部382aではなく底部381に接触するため、メダル通路を通過したメダルは、前壁部382aではなく底部381に接触する。これにより、メダルが前壁部382aを乗り越えて受皿38の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。
また、一端X1が前壁部382aに接触する場合よりも底部381に接触する場合の方(一旦X1がより奥側に位置している方)が、底部381が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具(棒状の部材)等を差し込むことがより困難となる。これにより不正対策性能を向上させることができる。
図13に示すように、第1仮想直線Xにおける後方側(奥側)の端部を他端X2(他端部)とする。第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触せず、周辺壁部112(図5)に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触することなく、周辺壁部112に接触することが可能な線となっている。
このような構成によれば、他端X2がメダル払い出し部111ではなく周辺壁部112に接触するため、仮に第1通路F1に器具(棒状の部材)等が差し込まれた場合であっても、その先端がメダル払い出し部111に接触するのを(メダル払い出し部111にアクセスすることを)(その先端がメダル払い出し部111内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
(部材G)
ここで、所定の直径(例えば約5mm)を有し、かつ、所定の長さを有する棒状の部材を部材Gとする。所定の長さは、例えば、第3開口部403から第2開口部402までの直線距離よりも長い長さとする。
前扉20が開いた状態で、背面側から第1開口部401に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第2開口部402から出た部材Gの先端は、受皿38の底部381に接触する。
また、前扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第1開口部401から出た部材Gの先端は、メダル払出装置11の周辺壁部112に接触する。なお、実際には受皿38の存在が妨げとなるため、手前側から第1通路F1に部材Gを差し込むことは困難である。
また、前扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第2開口部402から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
また、前扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第3開口部403から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
また、前扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第1開口部401から出すことはできない。換言すると、部材Gを第3通路F3に挿し通すことはできない。
本実施形態では、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合(覗き込んだ場合)、受皿38の底部381を視認可能であり、受皿38の前壁部382aを視認可能であるが、前壁部382aの上端までは視認不能となっている。また、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合に、受皿38の底部381を視認可能であるが、前壁部382aは視認不能となっていてもよい。これにより、遊技価値のスムーズな通過を実現できる。
なお、変形例として、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合に、受皿38の底部381も前壁部382aも視認不能となっていてもよい。
本実施形態の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、前扉(例えば前扉20)と、を備える遊技機であって、
前記筐体は、ホッパー(例えばホッパーユニット11)を備え、
前記前扉は、受皿(例えば受皿38)と、案内通路(例えばキャンセルシュート40)と、を備え、
前記ホッパーは、遊技価値が発射される発射口部(例えばメダル払い出し部111)と、前記発射口部の周辺壁部(例えば周辺壁部112)と、を備え、
前記受皿は、底部(例えば底部381)と、前記底部の前側に設けられた前壁部(例えば前壁部382a)と、を備え、
前記案内通路は、ホッパー側開口部(例えば第1開口部401)と、受皿側開口部(例えば第2開口部402)と、を備え、
前記ホッパー側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第1通路(例えば第1通路F1)とすると、
前記第1通路は、前記発射口部から発射された遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第1通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記ホッパー側開口部と前記受皿側開口部とを通る仮想直線を第1仮想直線(例えば第1仮想直線X)とすると、
前記第1仮想直線は、前記第1通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。
このような構成によれば、第1通路が、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状となっているため、遊技者側からの器具等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。換言すると、器具等の差し込みにより部品が破損するリスクを低減できる。
また、第1通路は、第1仮想直線を第1通路の内面に接触することなく描出可能となっている。これにより、遊技価値のスムーズな通過を実現できる。また、第1通路は、第1仮想直線を描出できないほど複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状となっている。これにより、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
また、本実施形態の遊技機において、
前記第1仮想直線は、一端(例えば一端X1)が前記底部に接触し、他端(例えば他端X2)が前記周辺壁部に接触するように描出することが可能な線である。
このような構成によれば、案内通路を通過した遊技価値は、前壁部ではなく底部に接触する。これにより、遊技価値が前壁部を乗り越えて受皿の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。また、底部が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具等を差し込むことがより困難となる。これにより、不正対策性能をより向上させることができる。
また、仮に第1通路に器具等が差し込まれた場合であっても、その先端は発射口部ではなく周辺壁部に接触する。このため、当該先端が発射口部に接触するのを(発射口部にアクセスすることを)(当該先端が発射口部内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
また、本実施形態の遊技機は、
前記前扉は、セレクタ(例えばメダルセレクタ90)をさらに備え、
前記案内通路は、セレクタ側開口部(例えば第3開口部403)をさらに備え、
前記セレクタ側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第2通路(例えば第2通路F2)とすると、
前記第2通路は、前記セレクタから送られた遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第2通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記受皿側開口部と前記セレクタ側開口部とを通る仮想直線を第2仮想直線(例えば第2仮想直線Y)とすると、
前記第2仮想直線は、前記第2通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
このような構成によれば、第2通路は、第2仮想直線を第2通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、受皿側開口部から器具等を差し込み、セレクタ側開口部(セレクタ)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
また、本実施形態の遊技機において、
前記セレクタ側開口部から前記ホッパー側開口部に至る通路を第3通路(例えば第3通路F3)とし、
前記セレクタ側開口部と前記ホッパー側開口部とを通る仮想直線を第3仮想直線(例えば第3仮想直線Z)とすると、
前記第3仮想直線は、前記第3通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
このような構成によれば、第3通路は、第3仮想直線を第3通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、例えば、セレクタ側開口部から器具等を差し込み、ホッパー側開口部(発射口部)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
また、第3通路は、第3仮想直線を描出できない形状となっているので(直線状ではないため)、セレクタ側開口部から案内通路内に入った遊技価値が、ホッパー側開口部に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、遊技機の概略構成について説明する。なお、本実施の形態では、本発明を遊技機の1つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
図14はスロットマシンXを示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体10を備えており、この筐体10は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体10の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。また、筐体10の正面には、筐体10の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられている。また、前扉12は、筐体10の正面開口部の開口上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、開口下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。なお、前扉12を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。
筐体10内の下部には、図15に示すように、各部品に電力を供給するための電源装置(電源手段)を内蔵した電源ユニット14、メダル(遊技媒体、遊技価値)を貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置(払出手段)としてのホッパーユニット16、ホッパーユニット16内のメダルの量が所定量以上となるとホッパーユニット16からメダルが送り出されるキャッシュボックス18等が設けられている。また、電源ユニット14は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット14から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット14がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
また、筐体10内には、リールユニット20や主制御手段(第1制御手段、メイン制御基板)70、副制御手段(第2制御手段、サブ制御基板)72等が設けられている。リールユニット20は、周囲に複数の図柄を表示した3個の第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cと、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)とを有している。
主制御手段70には、設定変更キーシリンダや設定変更ボタン26(図16)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや、設定変更ボタン26は、例えば、電源ユニット14等の、他の部分に設けられていてもよい。設定変更キーシリンダ(設定キースイッチ)は、OFF状態とON状態との2つの状態を有している。換言すると、OFF状態とON状態とを切り替え可能となっている。設定変更キーシリンダは、設定キーを挿入可能に形成されている。設定変更キーシリンダは、初期状態ではOFF状態となっている。挿入された設定キーが初期位置から時計回りに90度回転されると、設定変更キーシリンダの状態がOFF状態からON状態に切り替わる。設定変更キーシリンダの状態がON状態となる位置から初期位置となるように設定キーが反時計回りに90度回転されると、ON状態からOFF状態に切り替わるようになっている。設定変更ボタン26は押下操作が可能となっている。
図14に示すように、上扉30の下部中央には、表示窓31が設けられ、この表示窓31の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。各リール20a~20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a~20cが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄(連続して配列されている3つの図柄)が表示される。表示窓31には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数、規定数)が3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、各リール20a~20cの中段によって構成される有効ラインが有効化される。また、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
表示窓31の下方には、遊技情報表示部32が設けられている。遊技情報表示部32は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、遊技情報表示部32は、第1メイン表示器90、第2メイン表示器92およびサブ表示器93を備えている。
上扉30の上部中央には、表示窓31の上方に表示窓33が設けられている。この表示窓33の奥には、液晶ディスプレイ(表示手段)34が設けられている。液晶ディスプレイ34には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(画像)が表示される。また、上扉30や下扉40には、スピーカ(音出力手段)36が複数設けられている。スピーカ36からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音が出力される。また、前扉12には、報知や演出などを行うための照明装置(照明手段)38が複数設けられている。
下扉40の上部には、スロットマシンXを操作するための操作領域50が設けられている。操作領域50には、各種の操作手段が設けられている。メダルを精算する際に操作される精算ボタン52、遊技(ゲーム)を開始させる際に操作されるスタートレバー53、リールの回転を停止させる際に操作されるストップボタン54(54a,54b,54c)、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン(図示せず)、メダルを投入(ベット)する際に操作されるベットボタン56、演出を進行させる(液晶ディスプレイ34に表示される演出画像の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン57等が設けられている。本実施形態の遊技機は、ベットボタン56として、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン56(第1ベットボタン)と、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン56(第2ベットボタン)と、が設けられている。
演出ボタン57は、操作領域50における幅方向(左右方向)の略中央部に配置されている。演出ボタン57は、押圧部が押下可能に形成されたプッシュボタンであり、演出等を選択するためのジョグダイヤル等を備えていてもよい。演出ボタン57は、例えば、遊技者にとって有利な状態に移行することを期待させる演出の実行中に操作が有効な状態となり、その操作を指示する画像が液晶ディスプレイ34に表示される。そして、演出ボタン57が操作されると、遊技の結果(例えば有利な状態へ移行するか否か)が報知される。
本実施形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入され、遊技を開始可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下すると、リール20a~20cが回転を始め、リール20a~20cの回転速度が所定の速度まで上昇して定常回転状態となると、ストップボタン54a~54cの押下操作が有効な状態(有効化された状態)となる。その後、遊技者が任意のタイミングで各リール20a~20cに対応する各ストップボタン54a~54cを押下していくと、各リール20a~20cの回転が停止する。具体的には、ストップボタン54aを押下すると第1リール20aの回転が停止し、ストップボタン54bを押下すると第2リール20bの回転が停止し、ストップボタン54cを押下すると第3リール20cの回転が停止する。そして、全てのリール20a~20cの回転が停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
前扉12の下端部には、スロットマシンXの内部よりメダルを排出するためのメダル払出口60と、メダル払出口60から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿62と、が設けられている。また、操作領域50とメダル受け皿62との間にはスロットマシンXの外観を装飾するための下パネル64が設けられている。また、下パネル64の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源から照射される光によって下パネル64が背後から照らされるようになっている。
下扉40には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーシリンダ66にドアキーを挿入して下扉40(前扉12)を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、下扉40の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。なお、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態では上扉30を開くことができない構造になっている。すなわち、上扉30を開く際には、下扉40を解錠して開いてから上扉30を開くように構成されている。
メダル投入口42から投入されたメダルは、メダルセレクタ67(図15)を通過した後に、メダルシュート69を経由してホッパーユニット16に入るようになっている。ただし、遊技を開始した後などの所定の条件下では、メダルセレクタ67に内蔵されたメダルブロッカー68(図16)が作動して、メダルシュート69(図15)へ向かう流路が閉塞され、投入されたメダルがメダル払出口60から返却されるようになっている。
図16は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。本実施形態の遊技機(スロットマシンX)は、制御手段としての主制御手段(メイン基板)70と副制御手段(サブ基板)72とを備えている。主制御手段70は、精算ボタン52、スタートレバー53、ストップボタン54、ベットボタン56、設定変更ボタン26、ドア開閉スイッチ74、投入検知センサ78および払出センサ88等からの入力信号を受けて、遊技機の設定、エラーの管理あるいは遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリール20a~20cや、ホッパーユニット16等の出力手段の制御を行う。
副制御手段72は、主制御手段70から送られてくる情報(信号)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ34、スピーカ36、照明装置38等の演出用の装置の制御を行う。
主制御手段70と副制御手段72とは電気的に接続されており、主制御手段70から副制御手段72へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御手段72から主制御手段70へは情報を送信できないようになっている。また、主制御手段70や副制御手段72の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
主制御手段70は、設定変更手段101、設定確認手段102、払出制御手段103、遊技制御手段104、乱数発生手段105および主記憶手段108等を備えている。
設定変更手段101は、主記憶手段108に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更処理)を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更キーシリンダの状態に応じて、遊技モードで起動される場合と、設定変更モードで起動される場合と、が切り替えられるようになっている。設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転された状態で、電源スイッチが作動することにより電源ユニット14から電力が供給されると(すなわち電源が投入されると)、設定変更手段101が、遊技機を設定変更モードで起動する。本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっている。そして、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて設定変更ボタン26が押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー53が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を主記憶手段108に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定キーを初期位置に戻すと、設定変更モードから遊技モードへ移行するようになっている。なお、本実施形態では、設定変更モードにおいて第1メイン表示器90に選択中の設定値が表示されるようになっている。
また、本実施形態では、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置にある状態で電源が投入されると、遊技機が遊技モードで起動する。本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
設定変更手段101は、設定変更モードにおいて、主記憶手段108における読み出しおよび書き込みが可能な記憶領域であるリードライトメモリ(RWM)に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。なお、初期化処理においては、リードライトメモリに記憶されている全ての情報を初期化するのではなく、所定の情報(メダルのクレジット情報等の一部の情報)については初期化されずに保持されるようになっている。
設定確認手段102は、電源が投入された状態における遊技モードにおいて、設定変更キーシリンダに設定キーが挿入され、設定キーが初期位置から時計回りに90度だけ回転されると、遊技機(スロットマシンX)を遊技モードから設定確認モードへ移行させ、液晶ディスプレイ34や遊技情報表示部32等を介して現在の設定値を報知する処理(設定報知処理)を行う。設定確認モードでは、液晶ディスプレイ34に設定確認モードである旨を報知する画像(例えば「設定参照中」という文字)が表示される。また、設定確認モードでは、遊技情報表示部32における第1メイン表示器90に、現在設定されている設定値が表示される。設定確認モードでは現在の設定値を参照(報知)することはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。また、設定確認モードでは設定値を参照することはできるが、設定値の変更を行うことはできないようになっている。
遊技制御手段104は、遊技の進行を制御する手段であって、メダルの投入を受け付けて遊技が開始されると、内部抽選により役の当否を決定するとともに、第1リール20a~第3リール20cを回転させ、ストップボタン54a~54cに対する停止操作が行われると、内部抽選の結果に応じて回転中のリールを停止させて、有効ライン上に表示された図柄組合せに基づいて役が入賞したか否かを判定し、判定結果に応じた処理を行うことによって遊技を進行させるメインループ処理を行う。以下、その詳細を説明する。
遊技制御手段104は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー53に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお、本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー53の最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リール20a~第3リール20cの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
本実施形態の遊技機では、メダル投入口42にメダルが投入されると、メダルセレクタ67内の投入検知センサ78が作動することに伴って、遊技制御手段104が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、本実施形態の遊技機では、主記憶手段108に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタン56が押下されると、遊技制御手段104が、規定投入数を限度して、主記憶手段108にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、第2メイン表示器92にクレジット数が表示されるようになっている。遊技制御手段104は、主記憶手段108に記憶されているメダルのクレジット数の増減に従って第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
遊技制御手段104は、スタートレバー53に対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバー53への最初の押下操作)に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行い、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理および抽選フラグ設定処理等を行う。
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、各内部抽選テーブルにおいて、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお、本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に遊技状態に応じた内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを消費することなくスタートレバー53の操作が有効化され、スタートレバー53の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて複数種類の内部抽選テーブルのいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
乱数判定処理では、スタートレバー53に対する遊技開始操作に基づいて、遊技毎に乱数発生手段105から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について主記憶手段108に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
乱数発生手段105は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお、本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段108に記憶されるようになっている。
抽選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナスがあり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの抽選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき遊技制御手段104は、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。このように抽選フラグ設定処理では、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
また、遊技制御手段104は、主制御手段70による制御のもと有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン54a~54cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御(抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御)を行う。
遊技制御手段104は、ストップボタン54a~54cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシンXでは、ストップボタン54aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン54bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン54cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン54a~54cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン54a~54cの操作順序)について、ストップボタン54a~54cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン54a、54b、54cの操作を「打順6」とする。また、「打順1」と「打順2」とをまとめて「左押し」と呼び、「打順3」と「打順4」とをまとめて「中押し」と呼び、「打順5」と「打順6」とをまとめて「右押し」と呼ぶ。また、「中押し」と「右押し」とをまとめて「変則押し」と呼ぶことがある。
ストップボタン54a~54cが操作された際の停止制御において、遊技制御手段104は、抽選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の抽選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の抽選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、遊技制御手段104は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位は、それぞれ同一のものとして扱われる。また、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先度を求める場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が同数となる停止位置の候補についての優先度は、それぞれ同一のものとして扱われる。
遊技制御手段104は、第1リール20a~第3リール20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、第1リール20a~第3リール20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、主記憶手段180のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。遊技制御手段104は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理である。遊技制御手段104は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット16に払い出させる。
ホッパーユニット16は、遊技制御手段104によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う装置である。ホッパーユニット16には、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出センサ88が備えられており、遊技制御手段104は、払出センサ88からの入力信号に基づいてホッパーユニット16から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、本実施形態の遊技機では、各遊技においてメダルの払い出しが行われる場合には、メダルの払出数が第1メイン表示器90に表示されるようになっている。遊技制御手段104は、小役の入賞によってメダルが払い出される場合には、当該小役の入賞に伴うメダルの払出数を第1メイン表示器90に表示させる。
なお、メダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニット16によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段108に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。なお、メダルの払出数の一部または全部をクレジット数に加算する場合には、遊技制御手段104は、クレジット数の増加分に対応して第2メイン表示器92の表示内容を変化させる。
リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理である。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー53に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
また、遊技制御手段104は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では、遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口42にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン56に対する操作を受け付けないようにし、ベットボタン56が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
また、遊技制御手段104は、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、主記憶手段108に記憶される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてボーナスが当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また、通常状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役、リプレイおよびボーナスが抽選対象として設定されている内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
ボーナス成立状態は、内部抽選でボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、通常状態と同じ確率で小役の当否が決定され、ボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。なお、ボーナス成立状態においてもリプレイは抽選対象として設定されているが、通常状態とはリプレイの当選確率や当選態様が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
ボーナス成立状態では、ボーナスが入賞するまでボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持されたまま小役およびリプレイの当否が決定され、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技制御手段104は、ボーナスの入賞に基づいて遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
ボーナス状態は、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、主記憶手段108に記憶されている複数種類の内部抽選テーブルのうち、小役の当選確率が通常状態およびボーナス成立状態よりも高く設定され、リプレイが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。すなわち、ボーナス状態では、通常状態やボーナス成立状態よりも小役が頻繁に当選するようになっている点で、通常状態やボーナス成立状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
ボーナス状態では、ボーナス状態でのボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かが判断され、予め定められた終了予定払出数(例えば250枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技制御手段104は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。なお、本実施形態では、ボーナス状態における払出数についてのカウント情報は主記憶手段108に累計して記憶される。
本実施形態では、主制御手段70から副制御手段72への情報の送信はシリアル通信によってコマンドを送信することによって実現されているが、主制御手段70から副制御手段72へ送信されるコマンドに含まれる情報としては、設定値、遊技状態、メダルの投入数や払出数、内部抽選の結果、各種スイッチ等の信号状態、リールの停止制御の内容、入賞判定の結果および発生したメインエラーに関するもの等がある。
本実施形態では、メインエラーが発生した場合に、主制御手段70が、エラー検出フラグが設定されているエラー種別に対応するエラー発生コマンドや、エラーの解除操作(設定変更ボタン26の操作またはドアキーの操作)が行われたことを示すエラー解除コマンドを、副制御手段72に送信する。また、主制御手段70は、ドア開閉スイッチ74の信号状態が変化した場合には、信号状態がOFF状態(前扉12が閉まっていることを示す信号状態)からON状態(前扉12が開いていることを示す信号状態)へ変化したことに基づいてドア開コマンドを副制御手段72に送信し、信号状態がON状態からOFF状態へ変化したことに基づいてドア閉コマンドを送信する。本実施形態では、前扉12が開放されていても、それ自体はメインエラーとしては取り扱わずに他のメインエラーが発生していなければメインループ処理は続行可能となっている。
次に、副制御手段72について説明する。副制御手段72は、演出制御手段131および副記憶手段132等を備えている。
演出制御手段131は、副記憶手段132に記憶されている演出データに基づいて、液晶ディスプレイ34を用いて行う演出や、スピーカ36を用いて行う演出や、照明装置38を用いて行う演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入、ベットボタン56、スタートレバー53およびストップボタン54a~54cに対する操作や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生に応じて照明装置38を点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイ34の表示内容を変化させたり、スピーカ36から音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
遊技において実行される演出の内容は、遊技状態、演出状態および内部抽選の結果等に対応して主制御手段70から送信されるコマンドに応じて、副記憶手段132に記憶されている演出抽選テーブルを用いて決定される。本実施形態では、副記憶手段132のROMに記憶されている画像データを副記憶手段132に設けられたイメージバッファに読み込んで、イメージバッファに読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイ34に出力される。また、副記憶手段132のROMに記憶されているサウンドデータを副記憶手段132に設けられたサウンドバッファに読み込んで、サウンドバッファに読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカ36から出力される。
本実施形態では、副制御手段72から主制御手段70へは何らの情報も送信されないようになっており、サブエラーの発生が遊技制御手段104でのメインループ処理の進行に影響を与えることはなく、メインエラーが発生していなければサブエラーが発生している状況でも遊技制御手段104がメインループ処理を続行可能となっている。
次に、遊技の進行を制御するメインループ処理について、図17に示すフローチャートを用いて説明する。まず、遊技を行うために必要な数(規定枚数)のメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われ(ステップS100)、遊技開始条件として設定されている規定枚数(3枚)のメダルの投入を受け付けたか否かが判定される(ステップS101)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口42にメダルを投入したことに基づき投入されたメダルが投入状態に設定される。また、1ベットボタン56やMAXベットボタン56が押下されたことに基づき遊技機内にクレジットされたメダルが投入状態に設定される。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、前回の遊技で投入された枚数と同数のメダル(前回の遊技と同じ投入数のメダル)が自動的に投入状態に設定される。
ステップS101において、規定枚数のメダルの投入を受け付けたと判定された場合(規定投入数のメダルが投入状態に設定されたと判定された場合)(ステップS101:YES)、スタートレバー53の操作が有効化される(ステップS102)。一方、ステップS101において、規定投入数のメダルの投入を受け付けていないと判定された場合(ステップS101:NO)、ステップS100に戻る。
次いで、スタートレバー53が操作されたか否かが判定される(ステップS103)。ステップS103において、スタートレバー53が操作されたと判定された場合(ステップS103:YES)、内部抽選が行われる(ステップS104)とともに、第1リール20a~第3リール20cの回転が開始される(ステップS105)。一方、ステップS103において、スタートレバー53が操作されていないと判定された場合(ステップS103:NO)、ステップS103の処理が繰り返される。
次いで、各リールの回転速度が所定速度以上となっているか否かが判定される(ステップS106)。ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていると判定された場合(ステップS106:YES)、ストップボタン54a~54cに対する操作が有効化される(ステップS107)。一方、ステップS106において、各リールの回転速度が所定速度以上となっていないと判定された場合(ステップS106:NO)、ステップS106の処理が繰り返される。
次いで、所定のストップボタンが操作されたか否かが判定される(ステップS108)。ステップS108において、所定のストップボタンが操作されたと判定された場合(ステップS108:YES)、操作されたストップボタンに対応するリールの回転が停止され(ステップ109)、全てのリールが停止したか否かが判定される(ステップS110)。一方、ステップS108において、所定のストップボタンが操作されていないと判定された場合(ステップS108:NO)、ステップS108の処理が繰り返される。
ステップS110において、全てのリールが停止していないと判定された場合(ステップS110:NO)、ステップS108に戻る。一方、ステップS110において、全てのリールが停止したと判定された場合(ステップS110:YES)、各リールの停止状態(停止態様)に基づき、内部抽選で当選した役に入賞したか否かが判定される(ステップS111)。ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞したと判定された場合(ステップS111:YES)、入賞した役に対応する処理(入賞処理)が実行され(ステップS112)、一連の処理(1遊技)が終了する。一方、ステップS111において、内部抽選で当選した役に入賞しなかったと判定された場合(あるいは内部抽選の結果がハズレ(不当選)であった場合)(ステップS111:NO)、各リール20a~20cが停止したことをもって一連の処理(1遊技)が終了する。
本実施形態では、遊技が継続して行われていない(遊技機に対する所定の操作が入力されていない)時間を、副記憶手段132の監視タイマー(計時手段)が計測するようになっている。演出制御手段131は、遊技機の電源が投入されている間は監視タイマーを常に作動させており、所定の信号(主制御手段70からの信号等)が入力されると、作動中の監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。演出制御手段131は、監視タイマーが所定時間(例えば60秒)を計時した場合に、所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった(遊技機に対する所定の操作が入力されなかった)と判定する。
(パワーセーブモード)
本実施形態では、所定の状態(後述する第1状態または第2状態)で所定時間にわたって遊技が継続して行われなかった場合(遊技機に対する所定の操作が入力されない状態が所定時間にわたって継続された場合)に、パワーセーブモード(低電力モード)へ移行させる。パワーセーブモードでは、演出装置の消費電力が抑制されるようになっている。演出装置としては、液晶ディスプレイ34、照明装置38およびスピーカ36等がある。
以下、所定時間を60秒(1分)として説明するが、所定時間は60秒よりも長い時間であってもよく、60秒よりも短い時間であってもよい。
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態:メダル投入の受付が開始されてから(投入受付処理(図17)が開始されてから)、メダルが投入される前の状態)(メダルの投入を受け付けている状態)で、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(メダル投入口42からのメダルの投入やベットボタン56の操作等)が行われなかった場合に、パワーセーブモード(第1パワーセーブモード)に移行させる。換言すると、第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第1パワーセーブモードへ移行する。パワーセーブモードに移行すると、演出装置を介して、非遊技中(遊技休止中)であることを報知する待機演出(遊技休止演出)が実行される。なお、本実施形態では、パワーセーブモードが複数用意されていて、パワーセーブモードの種類に応じた演出態様で待機演出が実行されるようになっている。
(第1パワーセーブモード)
第1パワーセーブモードでは、第1待機演出(第1遊技休止演出)が実行される。第1待機演出が実行されると、図18(a)に示すように、デモ演出画像(デモ画面)が液晶ディスプレイ34に表示される。また、照明装置38(ランプ、照明手段)がデモ演出パターンの点灯態様となる(点灯または点滅する)。また、デモ演出音に係る音響データが再生されるが、スピーカ36から出力される音の音量は「消音」に制御される。なお、消音とする場合、デモ演出音に係る音響データが再生されないように構成されていてもよい。
本実施形態では、音量として、「0」(消音)、「1」(最小音量)、「2」、「3」、「4」、「5」(最大音量)の6段階の音量が設定可能となっており、「0」<「1」<「2」<「3」<「4」<「5」の順で音量が大きくなるように設定されている。初期状態では音量は「3」に設定されており、第1パワーセーブモードに移行すると、音量が「0」に設定される。
本実施形態では、後述する特定状態(第2状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合に、第2パワーセーブモードに移行させる。換言すると、第2状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、第2パワーセーブモードへ移行する。本実施形態では、パワーセーブモードとして、第1パワーセーブモードと、第2パワーセーブモードとの2種類のモードが用意されている。
特定状態(特定の遊技状況)には、特定の遊技状態、特定の演出状態(例えばAT演出状態:所定の役に当選した場合に、所定の役の入賞を補助する打順ナビ演出が実行される演出状態)、特定のステージに滞在している状態、特定の演出が発生している状態、状態の切り替わり時(移行時)、およびメダルが投入されている状態(メダル投入状態)のうちの少なくとも1つが含まれる。メダル投入状態は、メダル投入口42を介してメダルが投入された場合、有効化されているベットボタン56が操作された場合、またはリプレイの入賞に伴う自動投入処理によりメダルが自動投入された場合、に移行する状態である。
(第2パワーセーブモード)
第2パワーセーブモードでは、第2待機演出(第2遊技休止演出)が実行される。第2待機演出が実行されると、図18(b)に示すように、液晶ディスプレイ34では第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に実行されていた演出画像の表示が維持される。また、照明装置38では第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた点灯態様(点灯または消灯)が維持される。また、スピーカ36では、第2パワーセーブモードへの移行時に実行されていた演出音に係る音響データの再生が継続され、第2パワーセーブモードへの移行時に出力されていた演出音が継続して出力されるが、スピーカ36から出力される音の音量が、低下(ボリュームダウン)するように制御される。具体的には、第2パワーセーブモードに移行すると、音量が「1」(最小音量)に設定される。なお、第2パワーセーブモードへの移行時(移行直前)に設定されていた音量よりも小さくなっていればよく、例えば、音量が「3」から「2」に変更されてもよい。
なお、第1パワーセーブモードの方が、第2パワーセーブモードよりも音量が小さく設定されていればよく、第1パワーセーブモードにおいて音量が例えば「1」に設定されてもよい。本実施形態において、音量が小さくなる(音量が低下する)という場合、音量が小さくなる場合の他、音量が「0」に設定される場合(音が出力されなくなる場合)が含まれるものとする。
本実施形態では、メダルが投入されていない状態(第1状態)で所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合、遊技が開始されるまでの期間が比較的長いものとみなして、第1パワーセーブモードに移行させる。一方、特定状態(第2状態)において所定時間(60秒)にわたって所定の操作が行われなかった場合には、遊技が開始されるまでの期間が比較的短いものとみなして、第1パワーセーブモードよりも消費電力の抑制度合いが相対的に低い第2パワーセーブモードに移行させる。これにより、遊技が開始されるまでの期間が長期化し得る遊技状況では、短期間で遊技が開始される可能性が高い遊技状況よりも消費電力が抑制されるようになっており、遊技状況に応じて消費電力を適切に抑制することができる。また、本実施形態では、パワーセーブモードが第1パワーセーブモードとなっているか第2パワーセーブモードとなっているか、すなわち第1待機演出が実行されているか第2待機演出が実行されているかによって、遊技の状況(上述の第1状態であるか第2状態であるか)が報知されるようになっている。
(パワーセーブモードの解除)
本実施形態では、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)において、遊技機に対する所定の操作が行われた場合に、パワーセーブモードを解除(終了)し、通常モードに復帰させる。具体的には、演出制御手段131は、所定の信号(後述する)が入力された場合にパワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。また、演出制御手段131は、所定の信号が入力されると、パワーセーブモードを解除するとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
所定の信号としては、主制御手段70から送信される信号の他、副制御手段72が受信する信号が含まれていてもよい。副制御手段72が受信する信号としては、演出ボタン57の操作に基づく信号がある。例えば、パワーセーブモードに移行すると演出ボタン57に対する操作が有効化され、演出ボタン57が操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、演出ボタン57の他に、副制御手段72が制御するボタン(音量調整ボタン等のサブ系の演出ボタン)が設けられていて、当該ボタンが操作されると、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。このように、パワーセーブモードにおいて、遊技を進行させるための操作(メダルの投入、ベットボタン56の操作、スタートレバー53の操作等)が行われた場合に限らず、遊技の進行に関わらないボタン(演出ボタン57等)の操作が行われた場合にも、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
また、精算ボタン52の操作に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、前扉12(上扉30または下扉40)の開閉に基づきパワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダル投入の有無に関わらず、ベットボタン56が操作された場合に、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。また、パワーセーブモードにおいて、メダルが投入されていない状態でのスタートレバー53の操作に基づいて、パワーセーブモードが解除されるようになっていてもよい。
なお、演出制御手段131は、パワーセーブモードに移行させる場合に、移行時に(移行直前に)実行している演出に関する情報を副記憶手段132に記憶し、パワーセーブモードが解除されると、待機演出を終了させ、副記憶手段132に記憶されているデータに基づきパワーセーブモードへの移行時(移行直前)の状態に復帰させる復帰処理を行う。復帰処理では、例えば、スピーカ36から出力される音の音量を、パワーセーブモードへの移行時に設定されていた音量に復帰させる。なお、パワーセーブモードが解除されると、元の状態(遊技状態や演出状態)に応じた演出が実行される、とも言うことができる。
図19(a)は、第1パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。遊技が開始されておらず、メダルの投入もされていない状態(第1状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第1パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第1パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量は消音(0)となる。第1パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばメダルが投入されると)、第1パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(メダルが投入されたことを示す信号)が入力されると、第1パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第1パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
図19(b)は、第2パワーセーブモードへの移行について説明するためのタイミングチャートである。ここでは特定状態(第2状態)を、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)としている。メダル投入状態において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されず、第2パワーセーブモードへ移行している。既述のとおり、第2パワーセーブモードでは、スピーカ36から出力される音の音量が低下する(ボリュームダウンする)。第2パワーセーブモードにおいて、遊技機に対する所定の操作が入力されると(例えばスタートレバー53がONとされると)、第2パワーセーブモードが解除され、通常モードに復帰する。演出制御手段131は、主制御手段70から所定の信号(スタートレバー53がONされたことを示す信号)が入力されると、第2パワーセーブモードを解除し、通常モードに復帰させる。このとき、スピーカ36から出力される音の音量は、第2パワーセーブモードへ移行する前(直前)に設定されていた音量と同じ音量となっている。
ここで、遊技が開始されてない状態(遊技が開始されておらず、リールが回転していない状態)を、メダルが投入されていない状態と、メダル投入状態(メダルが投入されてから、スタートレバー53がONとされる前の状態)と、を含むものとする。本実施形態では、遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過すると、パワーセーブモード(第1パワーセーブモードまたは第2パワーセーブモード)に移行するようになっている。
なお、メダル投入状態では、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が入力されなかった場合であっても、パワーセーブモードに移行しないように構成されていてもよい。比較的短期間で遊技が開始される可能性が高いためである。
スロットマシンでは、最後のストップボタンの操作(押下)の開放が検知されると、所定の演出(例えば遊技者にとって有利となる特典が付与されるか否かを報知する演出)が実行される場合がある。換言すると、最後のストップボタンの押下のOFFエッジが検知されると、それに基づき所定の演出が実行される場合がある。遊技者にとって有利となる特典としては、例えば、遊技者にとって有利な所定の状態(例えばAT演出状態)への移行がある。そのため、遊技者は、ドキドキ感をより長く味わうため、最後のストップボタンを押下したままの状態とし、すぐに押下を開放せず、所定時間にわたって押下を継続させる(押し続ける)場合がある。
図19(a)において、第1状態の開始点を、メダルの受け付けが開始された時点としたが、仮に、第1状態の開始点を、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点(タイミング)、とした場合を考える。この場合、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件(第1パワーセーブモードへの移行条件)を満たしたと判定され、第1パワーセーブモードへ移行し得る。第1パワーセーブモードへ移行した場合、ストップボタンを押下し続けているにも関わらず、第1パワーセーブモードへ移行してスピーカ36から出力される音量が低下する(消音となる)ため、遊技者が違和感を抱く。
本実施形態では、第1状態の開始点をメダルの受付が開始された時点とし、前回遊技の最後のストップボタンの押下のONエッジが検知された時点よりも後のタイミングとしている。このため、所定の遊技において最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、「第1状態において、遊技機に対する所定の操作が入力されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。したがって、第1パワーセーブモードへ移行することはない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
本実施形態では、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リールの回転が開始されて、少なくとも1つのリールが回転している状態をリール回転状態(第3状態)という。本実施形態では、有効化されているストップボタンの押下のONエッジの検知に基づき、対応するリールの回転が停止するようになっている。リール回転状態(第3状態)は、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)のONエッジが検知されると終了する(全てのリールの回転が停止すると終了する)ようになっている。
(リール停止警告演出)
本実施形態では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって遊技機に対する所定の操作(後述する)が行われなかった場合(監視タイマーが所定時間(60秒)を計時した場合)、パワーセーブモードに移行させずにリール停止警告演出を実行させる。遊技機に対する所定の操作とは、ストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)である。リール停止警告演出とは、リールの回転の停止を促す(指示する)演出である。リール停止警告演出が実行されると、例えば、所定の文字(「リールを停止してください」)を含む所定の表示(リール停止警告表示、リール回転中警告表示、指示表示)が、液晶ディスプレイ34(表示手段)に表示される。なお、リール停止警告演出が実行された場合に、リール停止警告表示に加えて、照明装置38(外周ランプ)(表示手段)が所定の点灯態様で点灯するように構成されていてもよい。表示手段は、発光(点灯)可能に形成されたランプ(照明装置)などであってもよい。液晶ディスプレイ34が設けられていない遊技機においてリール停止警告演出が実行されると、リールの回転の停止を促す演出(リール停止警告演出)が表示手段を介して実行され、表示手段が所定の点灯態様で点灯するようになっていてもよい。
本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作を契機として所定の演出が実行され、遊技者に演出ボタン57の操作を促す表示(PUSH表示)が、液晶ディスプレイ34に表示される場合がある。このようなPUSH表示が表示された遊技であっても、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(60秒)にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
また、本実施形態では、所定の遊技において、スタートレバー53の操作の後、特定の時間の間、リール演出(リールロック演出)が実行される場合がある。リールロック演出としては、スタートレバー53の操作後、特定の時間の間、リール20a~20cが停止状態で維持されるものがある。このようなリールロック演出の実行中はリール回転状態であると判定されず(リール回転状態が開始されたと判定されず)、所定時間(60秒)にわたってストップボタンが操作されなかった場合でもリール停止警告演出が実行されることはない。この場合、リールロック演出が終了した時点からリール回転状態が開始され、そのリール回転状態において、所定時間にわたって有効化されているストップボタンが操作されなかった場合には、リール停止警告演出が実行される。
(リール停止警告演出の終了)
本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、遊技機に対する所定の操作、すなわちストップボタン(有効化されているストップボタン)に対する操作(回転中のリールに対応するストップボタンの操作)が行われた場合に、リール停止警告演出を終了させる。具体的には、演出制御手段131は、主制御手段70から、有効化されているストップボタンの押下のONエッジ(ON状態)が検知(検出)されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させる。また、演出制御手段131は、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されたことを示す信号を受信すると、リール停止警告演出を終了させるとともに、監視タイマーの計測値を初期値「0」に初期化(リセット)して計時を再開(リスタート)する。
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、有効化されているストップボタンが操作された場合にリール停止警告演出が終了するようになっているが、次のように構成されていてもよい。リール停止警告演出実行中に、有効化されているか無効化されているかに関わらず(演出態様の変化が発生するか否かに関わらず)演出ボタン57が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、リール停止警告演出実行中に、ベットボタン56(すでに操作されて無効化されている)が操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(リール停止警告表示が非表示となり)、監視タイマーの計測値がリセットされるようになっていてもよい。
また、副制御手段72によって制御される、演出の設定に関するボタン(十字キー、音量調整ボタン)(サブ系の演出ボタン)が設けられていて、リール停止警告演出実行中に、当該ボタンが操作された場合に、リール停止警告演出が終了し(監視タイマーの計測値がリセットされ)、演出に関する設定(例えば音量)が変更されるようになっていてもよい。
なお、本実施形態では、リール停止警告演出実行中に、すでに操作されて無効化されたストップボタン(停止したリールに対応するストップボタン)が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。また、リール停止警告演出実行中に、スタートレバー53が操作されてもリール停止警告演出は終了しないようになっている。
図20は、リール停止警告演出の実行について説明するためのタイミングチャートである。図20では、リール回転状態(第3状態)において、所定時間(1分)の間、有効化されているストップボタンがいずれも操作されず、リール停止警告演出が実行されている。そして、リール停止警告演出が実行されている状態において、有効化されているストップボタンが操作され(第1停止操作がされ)、リール停止警告演出が終了している。
図示を省略するが、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前にいずれか1つのストップボタンが操作され、その後(いずれか1つのリールの回転が停止した後)(第1停止操作に基づき監視タイマーの計時がリスタートされた後)、残り2つのストップボタンがいずれも操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り2つのうちのいずれかのストップボタンが操作されると(第2停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
また、例えば、リールの回転が開始してから所定時間が経過する前に1つのストップボタンが操作され、その後、所定時間が経過する前に次の1つのストップボタンが操作され、その後、残り1つのストップボタンが操作されずに所定時間が経過した場合、リール停止警告演出が実行される。この場合、残り1つのストップボタンが操作されると(第3停止操作がされると)、リール停止警告演出が終了する。
本実施形態では、上述のとおり、リール回転状態(第3状態)において、所定時間にわたって遊技機に対する所定の操作が行われなかった場合(有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されなかった場合)、リール停止警告演出が実行される。換言すると、リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過すると、リール停止警告演出が実行される。
ここで、仮に、リール回転状態(第3状態)が、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)の開放(OFFエッジ)が検知されると終了する、となっている場合を考える。最後のストップボタンの押下を所定時間にわたり継続した場合(押しっ放しとした場合)に、その押下のONエッジの検知に基づき対応するリールの回転は停止する(監視タイマーの計測値はリセットされる)が、その押下のOFFエッジは検知されず、リール回転状態が終了していない(リール回転状態が続いている)と判定される。このため、最後のストップボタンの押下(第3停止操作)を所定時間にわたって継続した場合に、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件(リール停止警告演出の実行条件)を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行され得る。リール停止警告演出が実行された場合、全てのリールの回転が停止しているにも関わらず、リール停止警告演出が実行されるため、遊技者が違和感を抱く。
本実施形態によれば、最後のストップボタンの押下(第3停止操作のON状態)が所定時間にわたって継続された場合であっても、当該押下(第3停止操作)のONエッジの検知に基づきリール回転状態が終了したと判定されるため、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定されることがない。つまり、リール停止警告演出が実行されない。したがって、全てのリールの回転が停止しているにも関わらずリール停止警告演出が開始(実行)されることがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
なお、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
また、所定の遊技で、有効化されたスタートレバー53がONとされ、リール回転状態となり、所定時間が経過する前に最初のストップボタンが押下・開放され、その後、所定時間が経過する前に2番目のストップボタンが押下され、当該押下が所定時間にわたり継続された場合には、「リール回転状態において、有効化されているストップボタンの押下のONエッジが検知されずに所定時間が経過する」という条件を満たしたと判定され、リール停止警告演出が実行される。
本実施形態では、パワーセーブモードへの移行可否の判定に用いられる所定時間(第1所定時間)と、リール停止警告演出の実行可否の判定に用いられる所定時間(第2所定時間)とが、同じ60秒(1分)であるものとしたが、両者は同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。
本実施形態の遊技機は、
複数種類の図柄が配列された複数のリール(20a~20c)と、
前記複数のリールに対応して設けられ、前記リールの回転を停止させる操作に用いられるストップボタン(54a~54c)と、
遊技を開始させる操作に用いられるスタートレバー(53)と、
音出力手段(36)と、
表示手段(34)と、
演出に関する制御を行う制御手段(72)と、を備え、
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
遊技が開始されていない状態で、遊技機に対する所定の操作が入力されずに第1所定時間が経過した場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下するようになっており、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第1所定時間にわたって継続された場合、前記音出力手段から出力される音の音量が低下しないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第1所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず音量が低下するという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
また、遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、回転している前記リールに対応する前記ストップボタンが押下されずに第2所定時間が経過した場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されるようになっており、
遊技が開始され、前記リールが回転している状態で、最後の前記ストップボタンが押下され、当該ストップボタンの押下が前記第2所定時間にわたって継続された場合、前記リールの回転の停止を促す演出が前記表示手段を介して実行されないようになっている。
このため、遊技者が、最後の前記ストップボタンの押下を前記第2所定時間にわたって継続した場合に、当該ストップボタンを押下しているにも関わらず前記リールの回転の停止を促す演出が実行されるという事象が発生することがない。これにより、遊技者が違和感を抱くのを防ぐことができる。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。図21は、本実施形態に係る遊技機の正面図である。図22は、本実施形態に係る遊技機の側面図である。図23は、図22のC1部の拡大図である。図24は、図22のC2部の拡大図である。図25は、本実施形態に係る遊技機の背面斜視図である。
スロットマシン1の外装の損傷防止構成について説明をする。スロットマシン1の外装は、前扉FD及び筐体BXによって構成されており、前扉FDが閉じた状態であっても、遊技機の輸送時や、ホールへの設置時などに障害物と接触し、損傷し得る。特に、作業者は筐体BXの側面に形成された把持部400(図22参照)を掴んで抱え込むようにスロットマシン1を運搬する関係上、前扉FD及び筐体BXの角部については、障害物と接触する場合、その角部が接触する可能性が最も高く、また、応力集中し易い形状のため、傷が付き易いという問題があった。
図21に示すように、前扉FDの外形部(外周部)は、上面(天面)FDu、下面(底面)FDb、及び左右の側面FDl,FDrによって形成されており、また、筐体BXの外形部(外周部)も同様に上面(天面)BXu、下面(底面)BXb、左右の側面BXl,BXr及び背面BXh(図12参照)によって形成されている。
そして、本実施形態に係るスロットマシン1では、上記前扉FDの外形部は、筐体BXの外形部よりも小さく形成されており、筐体BXの外形部がスロットマシン1における最大外形となっている。即ち、本実施の形態では、前扉FDの上面FDu、下面FDb、及び左右の側面FDl,FDrは、それぞれ、筐体BXの上面BXu、下面BXb、及び左右の側面BXl,BXrよりも正面視で内側に位置するように形成されている。
また、別の言い方をすれば、筐体BXの上面BXuの左右方向(遊技機の幅方向)の寸法は、前扉FDの上面FDuの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの上面FDuが筐体BXの上面BXuの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法は、前扉FDの下面FDbの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの下面FDbが筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。また、筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向(遊技機の高さ方向)の寸法は、前扉FDの左右の側面FDl,FDrの上下方向の寸法よりも大きく、前扉FDの左右の側面FDl,FDrが筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。
従って、前扉FDの四方の角部は、いずれも、筐体BXの対応する角部から外方に突出しないように構成されている。例えば、図23は、図22におけるC1部(前扉FDと筐体BXとの合わせ面S1における右上角部)の拡大図であり、(a)はC1部の側面拡大図、(b)はC1部の平面拡大図、(c)はC1部の正面拡大図である。
図23(a)及び(c)に示す通り、C1部においても前扉FDの上面FDuは、筐体BXの上面BXuよりも内側(下方)に位置している。このため、筐体BXの上面(筐体天面)BXuの前辺601は、前扉FDの上面(前扉天面)FDuの後辺701よりも上方に位置している。また、図23(b)及び(c)に示すように、前扉FDの右側面FDrは、筐体BXの右側面BXrよりも内側(左方)に位置している。このため、筐体BXの右側面(筐体右側面)BXrの前辺602は、前扉FDの右側面(前扉右側面)FDrの後辺702よりも右方に位置している。
そして、上記前扉FDの上面FDuと前扉FDの右側面FDrとが交わる辺700は、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとが交わる辺600よりも内側に位置している。換言すると、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとで形成された筐体BXの右上辺600は、上面FDuと右側面FDrとで形成された前扉FDの右上辺700よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、上記2平面からなる辺を角部とした場合、前扉FDの角部700は、筐体BXの角部600から外方へと突出しないように構成されている。
また、3辺の交わる頂点を角部として比べてみても、当然に、前扉FDの右上辺700の後方側の頂部(右上辺700と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)701と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)702と、が交わる頂部、以下、単に右後頂点もしくは前扉FDの右上後頂点ともいう)710は、筐体BXの右上辺600の前方側の頂部(右上辺600と、上面BXuの前辺(上面BXuの前方側の左右の辺)601と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)602と、が交わる頂部、以下、単に右前頂点もしくは筐体BXの右上前頂点ともいう)610よりも内側に位置している。換言すると、右前頂点610は、右後頂点710よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、前扉FDの角部710は、筐体BXの角部610から外方へと突出しないように構成されている。
上述のような構成を取った場合、筐体BXの右上辺600がスロットマシン1の最大外形を構成する事となり、障害物と接触する可能性が高い部分となる。このため、本実施形態では、上記右上辺600を面取り形状としている。より具体的には、本実施の形態においては、右上辺600を形成する筐体BXの上面BXuと右側面BXrとの間の角度が鈍角となるように構成している。筐体BXの右上辺600は、このように面取りされた状態において、前扉FDの右後頂点710よりも外方(右上方)に位置している。また、筐体BXの右上前頂点610についても面取り(角落ち)されている。
このように構成されているため、障害物に接触する場合、前扉FDの角部700(710)よりも先に筐体BXの右上辺(角部)600(610)が接触する事となり、例えば、種々の演出装置300が配置され、かつ、遊技者からも目が付きやすい前扉FDの外装に傷が付くことを防止することができる。加えて、筐体BXの角部600(610)は、面取りされているため、例え、筐体BXの角部600(610)が障害物と接触したとしても、直角の角部と比較して応力集中がし辛くなっており、傷が付きにくい。
なお、上記筐体BXの右上辺600は、面取りされた面取り面によって形成されているため、外形形状的としては、筐体BXの右上面とも言うことができる。この右上面600は、詳しくは、図23に示すように、上方側の上辺600uと下辺600lを備えている。本実施の形態において、この上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710)よりも上方かつ左方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置している。
また、本実施の形態では、筐体BXの上面BXuの前辺601についても面取りされており、右上辺600と同様に面取り面を形成している。この面取り面601は、図23(c)に示すように、上辺601uと下辺601lを備えており、鉛直方向において、下辺601lが、前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)よりも上方に位置するように形成されている。即ち、筐体上面BXuから前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)までの鉛直方向の寸法が、筐体上面BXuから面取り面601の下辺(前辺)601lよりも大きくなっている。そして、これにより、面取り面に起因して前扉FDと筐体BXとの間に余計な隙間が発生することが防止されている。面取り面(右上面600や面取り面601)について、図23(a)に示す寸法M1および寸法M2(面取りの寸法)は、1mm以上~3mm以下となるようにしている。寸法M1は上下方向寸法、寸法M2は前後方向寸法である。
本実施の形態では、スロットマシン1が並ぶ幅方向(左右方向)に比べて寸法制限の緩い上下方向への突出量を大きくしている。即ち、前扉FDの上面FDuから筐体BXの上面BXuが突出する突出量を、前扉FDの右側面FDrから筐体BXの右側面BXrが突出する突出量よりも大きくしている。そして、その結果として、上述した位置関係となったが、筐体BXの右上面600が前扉FDの角部700(710)よりも外方に位置する位置関係を保持していれば、上辺600u及び下辺600lと前扉FDの角部700(710)との位置関係は、これに限られない。例えば、上辺600uは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも下方かつ右方側に位置するようにしても良い。
なお、本実施形態では、前扉FDの角部700についても面取りされている。また、前扉FDの右上辺700(上面FDu)は、例えば、前方側から後方側に向かって下り傾斜するような抜き勾配を有していても良い。更に、右上辺700は、前扉FDの内、演出装置300等の前方側部分を構成する部分と、合わせ面S1を形成する後方側部分とによって形成されていても良く、上記傾斜は、右後頂点710を形成する後方側のみに形成されていても良い。また、本実施の形態では、前扉FDの右上辺700の全体が筐体BXの右上辺600から飛び出さないように構成されているが、少なくとも前扉FDの右後頂点710が筐体BXの右上辺600よりも内側に位置していれば良い。
前扉FD(前面上扉UD及び前面下扉DD)は、それぞれの左方側に設けられたヒンジHNによって筐体BXに開閉自在に取り付けられており、筐体BXに対して右方側が開閉可能となっている。スロットマシン1の前扉FDは、ヒンジHNの公差や劣化等により、多少のがたつきを有している。また、筐体BXに対して前扉FDが閉じられた状態であっても筐体BXと前扉FDとの間にはクリアランスがある。このため、前扉FDが閉状態(閉鎖状態)にあっても、前扉FDは、所定方向(上下左右前後方向)にがたつきを有している。従って、ヒンジHNが設けられた側(本実施の形態では左方)よりも、ヒンジHNが設けられていない側(本実施の形態では右方)の方が、前扉FDの角部が外方へと突出し易い。しかしながら、本実施の形態では、右側上方の角部(図23参照)のみならず、図24に示すように、右側下方の角部においても、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)よりも内側に位置し、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)から突出しないようになっている。また、筐体BXの右下辺800及び右下前頂点810は、右上辺600及び右上前頂点610と同様に面取りされている。
なお、前扉FDの辺900は、前扉FDの下面FDbと前扉FDの右側面FDrとが交わる右下辺であり、頂部910は、右下辺900と、下面FDbの後辺(下面FDbの後方側の左右の辺)と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)と、が交わる右下後頂点である。また、筐体BXの辺800は、筐体BXの下面BXbと右側面BXrとが交わる右下辺であり、頂部810は、右下辺800と、下面BXbの前辺(下面BXbの前方側の左右の辺)と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)と、が交わる右下前頂点である。
これにより、前扉FDが上記がたつきにより閉状態にて傾いだ状態となったとしても、ヒンジHNとは反対側において前扉FDの角部710(700)/910(900)が面取りされた筐体BXの角部600/800から突出することを防止することができる。また、前扉FDに外力が加わっていない通常状態(がたついていない状態、第1状態)から、例えば、スロットマシン1を移動させる際に前扉FDが把持されることによって、クリアランスの範囲内で前扉FDががたついた状態(上記通常状態よりも外方に移動した状態、第2状態)となっても、筐体BXの角部600/800は、前扉FDの角部710(700)/910(900)よりも内側に位置するようになっている。
なお、閉状態の前扉FDは、所定の外力が加えられない基準状態と、所定の外力が加えられたがたつき状態と、が生じるようになっている、と言うことができる。
更に、筐体BXは、上述した辺600,800以外にも、スロットマシン1の最外形を形成する角部として、図25に示す、辺920~970を備えており、これらの辺についても傷つきやすいため、面取りして形成されている。また、同様に頂部610,810以外にも、頂部1010~1060についても、面取り(角落ち)して形成されている。例えば、筐体左側面BXlの前辺(不図示)は、前扉左側面FDlの後辺(不図示)よりも左方に位置しており、筐体BXの左上辺920は、面取りされていると共に、前扉FDの左上辺720の後方側の頂部730よりも外方に位置している。
なお、前扉FDの頂部730は、前扉FDの上面FDuと前扉FDの左側面FDlとによって形成されており、より詳しくは、左上辺720と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)740と、左側面FDlの後辺(左側面FDlの後方側の上下の辺、不図示)と、が交わる頂部(左後頂点、前扉FDの左上後頂点)である。筐体BXの左上辺は、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとによって形成されている。辺930は筐体BXの左下辺であり、筐体BXの底面BXbと左側面BXlとによって形成されている(図21参照)。辺940は筐体BXの上面BXuの後辺であり、筐体BXの上面BXuと背面BXhとによって形成されている。辺950は筐体BXの底面BXbの後辺であり、筐体BXの底面BXbと背面BXhとによって形成されている。辺960は筐体BXの右側面BXrの後辺であり、筐体BXの右側面BXrと背面BXhとによって形成されている。辺970は筐体BXの左側面BXlの後辺であり、筐体BXの左側面BXlと背面BXhとによって形成されている。
また、頂部1010は、筐体BXの右上後頂点である。頂部1020は、筐体BXの右下後頂点である。頂部1030は、筐体BXの左上前頂点である。頂部1040は、筐体BXの左下前頂点である(図21参照)。頂部1050は、筐体BXの左上後頂点である。頂部1060は、筐体BXの左下後頂点である。上述したように本実施形態に係るスロットマシン1では、前扉FDの角部及び筐体DXの角部が傷つきにくいように構成されている。このため、スロットマシン1をリユースする際になど、外装の傷が少ないため、円滑にスロットマシン1のリユースを図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、前扉FDの四方の角部の全てが対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成されているが、いずれかの前扉FDの角部が対応する筐体BXの角部よりも内側となっていれば良い。例えば、前扉FDの右方や上方の角部のみ対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成することもできる。また、前扉FDの角部は対応する筐体BXの角部よりも内側に位置することがより望ましいが、例えば、前扉FDの角部と筐体BXの角部とが正面視で重なる(同じ位置となる)ように構成しても良い。
また同様に、スロットマシン1の最外形を形成する全ての筐体BXの角部を面取り形状とする必要はない。例えば、筐体BXの辺600,920,940,960,970及び頂部610,1010,1050のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺940のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図23参照),602(図23参照),920,940,960,970,800,950のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(図23参照),602(図23参照),920,940,960,970のみを面取りするように構成しても良い。
なお、上述した実施形態において「面取り」とは、所謂、角が斜めに削られた状態のC面取り及び角部の角を丸めるR面取りの両方を含むものとし、角部の角度とは、C面取りの場合、斜めに削られた面の角度を、R面取りの場合、角部のRの角度をいうものとする。更に、上述した実施形態において「面取り」とは、後加工としての面取り加工のみを意味するのでは無く、角部の角度が鈍角となった状態、そのものを指すものとする。即ち、例えば、上述した筐体BXのように、樹脂の一体成形品の場合、予め設計された角部のアールもしくは面の角度が鈍角となっていれば良い。また、筐体BXは、必ずしも一体成形品として制作される必要は無く、複数の部品によって箱形状を形成する組み立て式であってもよく、素材も、例えば、木製などであっても良い。
図26は、本実施形態に係る筐体の変形例を示す斜視図である。
具体的には、図26は、筐体を天板、底板及び左右の側板を組み付ける構成とした場合の変形例を示す図であり、変形例に係る筐体BX2の右上方部分を拡大した斜視図である。図26に示すように、当該筐体BX2は、天板BXu2と右側板BXr2とが別体の部材によって形成されている。天板BXu2は、右上辺6002及び前上辺6012が面取りして構成されており、これら右上辺6002及び前上辺6012が、それぞれ筐体BX2の右上辺及び筐体BXの上面BXuの前辺を構成している。また、同様に、右側板BXr2の右前辺6022も面取りして形成されており、この右前辺6022が筐体BXの右側面の前辺を構成している。
ここで、本実施形態において、上記右側板BXr2は、その前面BXr21が天板BXu2の前面BXu21よりも約1mm、前方に位置している。そして、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BX2の右側面BXr22の前辺を形成する右端Lの位置が天板BXu2の前面BXu21の位置と揃うように面取りされている。即ち、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BXの右側面BXr22との境界Lにおいて、その端部位置が天板BXu2の前面BXu21と右側面BXu22とが交差する角部6102の位置と揃うように面取りされている。つまり、右側板BXr2の右前辺6022は、面取りによって、その寸法が前面BXr21の位置から後方へ1mm少なくなくなるようになっている。そして、このように、右側板BXr2の右前辺6022の面取りの寸法を天板BXu2の前面BXu21に合せることによって、天板BXu2の下面の角6102が突出することを防止している。なお、図26では、筐体BX2の右上部を例に取って説明をしたが、筐体BX2は、右上部に限らず、左上部、右下部、左下部も上述した右上部と同様の構成となっている。
また、上述した実施の形態では、前扉FDと筐体BXの合わせ面S1は、側面視で上部よりも下部が前方となるように傾斜して構成し、前扉FDの開放時に前方側に倒れようとする力を緩和しているが、必ずしも合わせ面S1が傾斜している必要は無い。更に、上述した説明では、前扉FDは、上下に分割して構成されていたが、一体に構成されていても良い。更に、本発明は、パチンコ機のような遊技機に対して適用されても良い。加えて、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉は、閉じられた状態で前記筐体に対してがたつきを有し、
筐体天面の前辺は、前扉天面の後辺よりも上方に位置しており、
筐体右側面の前辺は、前扉右側面の後辺よりも右方に位置しており、
筐体左側面の前辺は、前扉左側面の後辺よりも左方に位置しており、
前記筐体天面と前記筐体右側面とで形成された右上辺は、面取りされており、
前記筐体天面と前記筐体左側面とで形成された左上辺は、面取りされており、
前記筐体に対して前記前扉ががたついていない状態において、
前記右上辺は、前記前扉天面と前記前扉右側面とで形成された右後頂点よりも外方に位置し、
前記左上辺は、前記前扉天面と前記前扉左側面とで形成された左後頂点よりも外方に位置し、
前記筐体に対して前記前扉ががたついた状態であっても、
前記右上辺は、前記右後頂点よりも外方に位置している。
このため、外装が損傷し辛い遊技機を提供することができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した構成等は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。また、遊技機の構成等は上述した実施の形態のそれに限定されない。また、本発明は、スロットマシンに限ることなく、遊技者が遊技メダルを用いることなく遊技を行う構造となった管理スロットマシン(メダルレス遊技機)等の他の遊技機にも適用できる。