JP7375506B2 - 光硬化性接着剤、偏光板および積層光学部材 - Google Patents

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本発明は、光硬化性接着剤及び該光硬化性接着剤を用いて偏光子に保護膜を貼合してなる偏光板に関する。
特許文献1には、芳香環を含まないエポキシ化合物を主成分とする接着剤組成物が記載されており、該接着剤組成物を活性エネルギー線の照射(具体的には紫外線の照射)によるカチオン重合により硬化させ、偏光子と保護膜とを接着させた偏光板が記載されている。また特許文献2には、脂環式エポキシ化合物、脂環式エポキシ基を有さないエポキシ化合物及び光カチオン重合開始剤を含む光硬化性接着剤が記載されており、偏光子と保護膜とを前記光硬化性接着剤を用いて接着させた偏光板が記載されている。
特開2004-245925号公報 特開2008-257199号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された偏光板は液晶表示装置に適用するため所定サイズに裁断した状態で、その端部を研磨すると、その端部で偏光子から保護膜(透明樹脂フィルム)が剥離することがあった。
本発明の課題は、偏光板を所定サイズに裁断した際に端部を研磨したとしても、偏光子と保護膜(透明樹脂フィルム)との間の良好な接着性を有する偏光板を与える光硬化性接着剤組成物を提供することである。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]以下の(A)及び(B)を含む光硬化性接着剤組成物。
(A)下記式(I)で表されるエポキシ化合物を含む光カチオン硬化性成分
(B)光カチオン重合開始剤
Figure 0007375506000001

[式(I)中、Rは少なくとも1つの水酸基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-はエステル結合に置き換わっていてもよい)、少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステル、水酸基、カルボキシ基、式(Ia)で表される基又は式(Ib)で表される基を表す。
Figure 0007375506000002
、X、X11及びX12は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基を表す。
及びY11は、それぞれ独立して、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基を表し、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基は、水酸基、炭素数2~8のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~6のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-は-CO-で置き換わっていてもよい)を有していてもよい。
Figure 0007375506000003
[*は、X又はX12との結合手を表す。]
[2]光硬化性接着剤組成物は、
(A)光カチオン硬化性成分100質量部に対して、
(B)光カチオン重合開始剤を1~10質量部
含有し、
前記光カチオン硬化性成分は、その全体量を基準に、
(A1)式(I)で表されるエポキシ化合物を0.1~20質量%
(A2)下記式(II)で示される脂環式ジエポキシ化合物を50~90質量%
含有する[1]に記載の光硬化性接着剤組成物。
Figure 0007375506000004

(式中、RおよびRは各々独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表すが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
は酸素原子、炭素数1~6のアルカンジイル基または下式(Ia)~(Id):
Figure 0007375506000005
のいずれかで示される2価の基を表し、ここでY~Yは各々炭素数1~20のアルカンジイル基を表すが、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
aおよびbは各々0~20の整数を表す。)
[3]さらに、(A3)下記式(III)で示される脂肪族ジグリシジル化合物を1~70質量%含有する[1]又は[2]に記載の光硬化性接着剤組成物。
Figure 0007375506000006
(式中、Zは炭素数3~8の分岐アルキレン基、または式-Cm2m-Z-Cn2n-で示される2価の基を表し、ここで-Z-は、-O-、-CO-O-または-O-CO-を表し、mおよびnの一方は1以上、他方は2以上の整数を表すが、両者の合計は8以下であり、かつCm2mおよびCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基を表す。)
[4]さらに、下記式(IVa)で表されるアントラセン系化合物または式(IVb)で表されるナフタレン系化合物から選択される一種以上を0.1~5質量部含有する[1]~[3]のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物。
Figure 0007375506000007
(式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~12のアルコキシアルキル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)
Figure 0007375506000008
(式中、R及びRは各々独立に炭素数1~6のアルキル基を表す。)
[5][1]~[4]のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物から形成される光硬化接着剤層。
[6]偏光子、接着剤層、透明樹脂フィルムの順に積層された積層体であって、
前記接着剤層が[5]に記載の光硬化接着剤層である積層体。
[7][6]に記載の積層体と他の光学層との積層体からなる、積層光学部材。
[8]前記他の光学層は位相差フィルムを含む[7]に記載の積層光学部材。
本発明の光硬化性接着剤を用いて、偏光子と透明樹脂フィルムとを貼合させた偏光板は良好な接着力を有する。
<光硬化性接着剤組成物>
本発明の光硬化性接着剤組成物は、以下の(A)および(B)を含有する。
(A)式(I)で表されるエポキシ化合物を含む光カチオン硬化性成分
(B)光カチオン重合開始剤
<光カチオン硬化性成分>
光カチオン硬化性成分は、少なくとも式(I)で表されるエポキシ化合物を含む。
Figure 0007375506000009
[式中、Rは少なくとも1つの水酸基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-はエステル結合に置き換わっていてもよい)、少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステル、水酸基、カルボキシ基、下式(Ia)で表される基又は式(Ib)で表される基を表す。
Figure 0007375506000010
、X、X11及びX12は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基を表す。
及びY11は、それぞれ独立して、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基を表し、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基は、水酸基、炭素数2~8のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~6のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-は-CO-で置き換わっていてもよい)を有していてもよい。
Figure 0007375506000011
[*は、X又はX12との結合手を表す。]
本発明におけるエステル結合とは、-OCO-及び-COO-の両方を意味する。
で表される炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
で表される炭素数1~8のアルキル基が水酸基を有する場合、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
で表される少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステルとしては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等の炭素数2~8のアルキルオキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニル基オキシ基等の炭素数2~8のアルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
、X、X11及びX12で表される炭素数1~3のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基等が挙げられる。
及びY11で表される環状飽和炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状飽和炭化水素基等のシクロアルキル基が挙げられる。
式(I)で表されるエポキシ化合物としては、具体的には、式(1)~式(24)の化合物が挙げられる。
Figure 0007375506000012
式(I)で表される化合物は2種以上含んでいてもよい。
式(I)で表される化合物は、偏光子と透明樹脂フィルムとの密着性の観点から、分子内に少なくとも1つの水酸基を有することが好ましく、
が少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、Rが少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1~4のアルキル基であることがさらに好ましい。
式(I)で表される化合物は、粘度の調製の観点から、Rは少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステルであることが好ましく、R1は炭素数2~8のアルキルカルボニルオキシ基であることがより好ましく、炭素数3~8のアルキルカルボニルオキシ基であることがさらに好ましい。
本発明の光硬化性接着剤組成物は、
が少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1~8のアルキル基である式(I)で表される化合物(以下、化合物(I-1)という場合がある。)と
が少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステルである式(I)で表される化合物(以下、化合物(I-2)という場合がある)とを含有することが好ましい。
式(I)で表されるエポキシ化合物の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)の全体量を基準に、通常0.1~20質量%である。光カチオン硬化性成分中に式(I)で表されるエポキシ化合物を0.1質量%以上含有させることにより、偏光子と透明樹脂フィルムとを貼合した偏光板の密着性を強固にできる。一方で、その量が20質量%を上回ると、以下に述べる脂環式ジエポキシ化合物(A2)の量が相対的に少なくなって、光硬化性接着剤の硬化膜の材料強度が低くなり、冷熱耐久試験等の耐久性試験において、偏光子が割れる可能性が高くなる。式(I)で表されるエポキシ化合物の含有量は、光カチオン硬化性成分の全体量を基準に、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%、さらに好ましくは1~5質量%にすることが好ましい。
なお、式(I)で表される化合物を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であればよい。
化合物(I-1)と化合物(I-2)とを含有する場合、化合物(I-1)の含有量が化合物(I-2)の含有量よりも多い方が好ましい。化合物(I-1)の含有量をW1、化合物(I-2)の含有量をW2とした場合、その比率(W1/W2)は1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましく、10以下であることが好ましく、8以下であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
また、光カチオン硬化性成分は、さらに、式(II)で示される脂環式ジエポキシ化合物及び下記式(III)で示される脂肪族ジグリシジル化合物を含むことが好ましい。
Figure 0007375506000013
(式中、RおよびRは各々独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表すが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
は酸素原子、炭素数1~6のアルカンジイル基または下式(IIa)~(IId):
Figure 0007375506000014
のいずれかで示される2価の基を表し、ここでY~Yは各々炭素数1~20のアルカンジイル基を表すが、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
aおよびbは各々0~20の整数を表す。)
Figure 0007375506000015
(式中、Zは炭素数3~8の分岐アルキレン基、または式-Cm2m-Z-Cn2n-で示される2価の基を表し、ここで-Z-は、-O-、-CO-O-または-O-CO-を表し、mおよびnの一方は1以上、他方は2以上の整数を表すが、両者の合計は8以下であり、かつCm2mおよびCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基を表す。)
式(II)において、RおよびRは各々独立に、水素原子または炭素数1~6のアルキル基であるが、アルキル基が炭素数3以上の場合は直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよいし、脂環構造を有していてもよい。このアルキル基は、式(II)においてZに結合するシクロヘキサン環の位置を1-位として(したがって、2つのシクロヘキサン環におけるエポキシ基の位置はいずれも3,4-位となる)、1-位~6-位のいずれの位置に結合することもできる。脂環構造を有するアルキル基としては、シクロペンチルやシクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。
は、酸素原子、炭素数1~6のアルカンジイル基または前記式(IIa)~(IId)のいずれかで示される2価の基である。ここで、アルカンジイル基は、アルキレンやアルキリデンを含む概念であり、アルキレンは直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよいし、脂環構造を有していてもよい。
が前記式(IIa)~(IId)のいずれかで示される2価の基である場合、各式における連結基Y1、Y2、Y3およびY4は、各々炭素数1~20のアルカンジイル基であり、このアルカンジイル基が炭素数3以上の場合は直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよいし、脂環構造を有していてもよい。脂環構造を有するアルカンジイル基としては、シクロペンチレンやシクロヘキシレン等が挙げられる。
式(II)におけるZが式(IIa)で表される2価の基である化合物としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔式(II)(ただし、Zはa=0である式(IIa)で示される2価の基)において、R=R=Hの化合物〕、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じZを有する式(II)において、R=6-メチル、R=6-メチルの化合物〕、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じZを有する式(II)において、R=1-メチル、R=1-メチルの化合物〕、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じZを有する式(II)において、R=3-メチル、R=3-メチルの化合物〕などが挙げられる。
式(II)におけるZが式(IIb)で示される2価の基である化合物は、アルキレングリコール類と3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸(そのシクロヘキサン環に炭素数1~6のアルキル基が結合していてもよい)とのエステル化物である。式(II)におけるZが式(IIc)で示される2価の基である化合物は、脂肪族ジカルボン酸類と3,4-エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1~6のアルキル基が結合していてもよい)とのエステル化物である。また、式(II)におけるZが式(IId)で示される2価の基である化合物は、3,4-エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1~6のアルキル基が結合していてもよい)のエーテル体(b=0の場合)、または、アルキレングリコール類もしくはポリアルキレングリコール類と3,4-エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1~6のアルキル基が結合していてもよい)とのエーテル化物(b>0の場合)である。
式(III)におけるZが分岐アルキレン基である化合物は、分岐アルキレングリコールのジグリシジルエーテルである。その具体例としては、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,3-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジグリシジルエーテル、2-メチル-1,8-オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、式(III)において、Zが上記の式-Cm2m-Z-Cn2n-で示される2価の基である化合物は、Zが分岐アルキレン基であり、そのアルキレン基のC-C結合が、-O-、-CO-O-または-O-CO-で中断されている場合に相当する。
式(II)で表される脂環式ジエポキシ化合物の含有量は、光カチオン硬化性成分全量に対して、通常、50~90質量%である。光カチオン硬化性成分中に式(II)で表される脂環式ジエポキシ化合物を50質量%以上含有させるで、光硬化性接着剤を硬化させた後の貯蔵弾性率を高い値に保ちながら、偏光子と透明樹脂フィルムとの間の密着力を高めることができる。一方で、含有量が90質量%を上回ると、偏光子と透明樹脂フィルムとの間の密着力が十分でなくなる。偏光子と透明樹脂フィルムとの間の密着力や光硬化性接着剤の硬化後の貯蔵弾性率をより一層好ましい値とするうえでは、式(II)で表される脂環式ジエポキシ化合物の含有量は、光カチオン硬化性成分全量に対して、50~90質量%であることが好ましく、50~80質量%であることがより好ましい。
式(III)で表されるジグリシジル化合物の含有量は、光カチオン硬化性成分全量に対して、通常1~69質量%であり、好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは5~40質量%である。光カチオン硬化性成分中の式(III)で表されるジグリシジル化合物の含有量が70質量%より多くなると、硬化が不十分となり、偏光子と透明樹脂フィルムとの間の密着力が低下する。
光カチオン硬化性成分(A)は、さらに他のカチオン重合性化合物を含んでいてもよい。具体的には、単官能脂肪族エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
単官能脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等が挙げられ、その具体例は、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、炭素数12及び13混合アルキルグリシジルエーテル、アルコールのグリシジルエーテル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル等を含む。
オキセタン化合物としては、オキセタニル基を有する化合物であり、その具体例は、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、脂肪族又は脂環式のビニルエーテル化合物が挙げられ、その具体例は、n-アミルビニルエーテル、i-アミルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、オレイルビニルエーテル等の炭素数5~20アルキル又はアルケニルアルコールのビニルエーテル類;2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;シクロヘキシルビニルエーテル、2-メチルシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の脂肪族環又は芳香族環を有するモノアルコールのビニルエーテル類;グリセロールモノビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサンモノビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル等の多価アルコールのモノ又はポリビニルエーテル類;ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルモノビニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノ又はジビニルエーテル類;グリシジルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテルメタクリレート等のその他のビニルエーテル類等が挙げられる。
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、または電子線の如き活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、光カチオン硬化性成分の重合反応を開始するものである。光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、光カチオン硬化性成分に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄-アレーン錯体などを挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、次のような化合物が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなど。
芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、次のような化合物が挙げられる。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなど。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、次のような化合物が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4’-ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど。
鉄-アレーン錯体としては、たとえば、次のような化合物が挙げられる。
キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなど。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも特に芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、光カチオン硬化性成分全体100質量部に対して、通常1~10質量部である。光カチオン硬化性成分(A)100質量部あたり光カチオン重合開始剤を1質量部以上配合することにより、光カチオン硬化性成分を十分に硬化させることができ、得られる偏光板に高い機械強度と接着強度を与える。一方、その量が多くなると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、偏光板の耐久性能を低下させる可能性があるため、光カチオン重合開始剤の量は、光カチオン硬化性成分100質量部あたり10質量部以下であることが好ましい。光カチオン重合開始剤の配合量は、光カチオン硬化性成分100質量部あたり2質量部以上とすること好ましく、また6質量部以下とすることが好ましい。
(光硬化性接着剤の反応促進剤)
本発明の光硬化性接着剤は、式(I)で表されるエポキシ化合物を含む光カチオン硬化性成分および光カチオン重合開始剤に加えて、光増感剤および光増感助剤を含むことができる。光増感剤は、光カチオン重合開始剤が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、光カチオン重合開始剤による重合開始反応を促進させる化合物である。また光増感助剤は、光増感剤の作用を一層促進させる化合物である。透明樹脂フィルムの種類によっては、光増感剤、さらには光増感助剤を配合することが好ましいことがある。
光増感剤は、380nmよりも長い波長の光に極大吸収を示す化合物であることが好ましい。前記の光カチオン重合開始剤は、300nm付近またはそれよりも短い波長に極大吸収を示し、その付近の波長の光に感応してカチオン種またはルイス酸を発生し、光カチオン硬化性成分のカチオン重合を開始させるが、上記のような光増感剤を配合すれば、それよりも長い波長、特に380nmよりも長い波長の光にも感応するようになる。かかる光増感剤としては、アントラセン系化合物が有利に用いられる。
アントラセン系化合物としては、下記式(IVa)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007375506000016
(式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~12のアルコキシアルキル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)
アントラセン系光増感剤としては、以下のような化合物が挙げられる。
9,10-ジメトキシアントラセン、
9,10-ジエトキシアントラセン、
9,10-ジプロポキシアントラセン、
9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
9,10-ジブトキシアントラセン、
9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、
9,10-ビス(2-メトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-エトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-ブトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(3-ブトキシプロポキシ)アントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
2-メチル-または2-エチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセンなど。
光硬化性接着剤に上記のような光増感剤を配合することにより、接着剤の硬化性が向上する。光カチオン硬化性成分の100質量部に対して光増感剤を0.1質量部以上配合することにより、光硬化性接着剤の硬化性が向上する。一方、光増感剤の配合量が多くなると、低温保管時に析出する等の問題が生じることから、その量は、光カチオン硬化性成分100重量部に対して2質量部以下とするのが好ましい。偏光板のニュートラルグレーを維持する観点からは、偏光子と透明樹脂フィルムとの接着力が適度に保たれる範囲で、光増感剤の配合量を少なくするほうが有利であり、たとえば、光カチオン硬化性成分(A)100質量部に対し、光増感剤の量を0.1~0.5質量部、さらには0.1~0.3質量部の範囲とするのが一層好ましい。
光増感助剤としては、ナフタレン系化合物好ましく、式(IVb)で表されるナフタレン化合物であることがより好ましい。
Figure 0007375506000017
(式中、R及びRは各々独立に炭素数1~6のアルキル基を表す。)
ナフタレン系光増感助剤としては、4-メトキシ-1-ナフトール、4-エトキシ-1-ナフトール、4-プロポキシ-1-ナフトール、4-ブトキシ-1-ナフトール、4-ヘキシルオキシ-1-ナフトール、1,4-ジメトキシナフタレン、1-エトキシ-4-メトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジプロポキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
光硬化性接着剤組成物にナフタレン系光増感助剤を配合することにより、それを配合しない場合に比べ、接着剤の硬化性が向上する。光カチオン硬化性成分の100質量部に対してナフタレン系光増感助剤を0.1質量部以上配合することにより、このような効果が発現する。一方、ナフタレン系光増感助剤の配合量が多くなると、低温保管時に析出する等の問題を生じることから、その量は、光カチオン硬化性成分100質量部に対して5質量部以下とするのが好ましく、さらには3質量部以下とするのがより好ましい。
(5-5)その他の成分
光硬化性接着剤組成物は、上記以外のその他の成分を含むことができる。その他の成分としては、熱カチオン重合開始剤、ポリオール類、イオントラップ剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、色素、有機溶剤等を挙げることができる。
(光硬化性接着剤組成物の物性)
本発明の光硬化性接着剤組成物は、偏光子と透明樹脂フィルムとの貼合に使用される。偏光子及び透明樹脂フィルムのうち少なくとも一方の貼合面にこの光硬化性接着剤組成物を塗布した後、その接着剤層を介して両者を重ね合わせ、接着剤が硬化される。そして、偏光子および/または透明樹脂フィルムへの塗工適性を向上させるためには、その光硬化性接着剤組成物の粘度は低いほうが好ましい。具体的には、この光硬化性接着剤は、25℃における粘度が100mPa・sec以下となるようにすることが好ましい。
また、偏光子と保護膜との間の密着性を向上させるうえでは、この接着剤を硬化させることにより得られる接着剤層の貯蔵弾性率が高いほど好ましい。具体的には、その光硬化性接着剤の硬化物が、80℃において1,000MPa以上の貯蔵弾性率にすることが好ましい。
[偏光板]
本発明では、偏光子の少なくとも一方の面に、本発明の光硬化性接着剤組成物を介して、透明樹脂からなる透明樹脂フィルムを貼合し、その光硬化性接着剤組成物を硬化させて偏光板とする。
(偏光子)
偏光子は、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムで構成される。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルおよびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体であってもよい。酢酸ビニルに共重合される他の単量体として、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%、好ましくは98~100モル%の範囲である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用しうる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
偏光子は、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。またもちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素または二色性有機染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01~0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5~10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20~40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30~300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3~1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20~80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30~300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2~15質量部程度、好ましくは5~12質量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2~20質量部程度、好ましくは5~15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100~1,200秒程度、好ましくは150~600秒程度、さらに好ましくは200~400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上、好ましくは50~85℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度であり、浸漬時間は、通常2~120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40~100℃である。また、乾燥処理の時間は、通常120~600秒程度である。
偏光子の厚さは、3~30μm程度とすることができる。
(透明樹脂フィルム)
透明樹脂フィルムは、従来から偏光板の保護フィルムとして使用されているものであれば特に制限されない。例えば、トリアセチルセルロースをはじめとするアセチルセルロース系樹脂フィルムや、トリアセチルセルロースよりも透湿度の低い樹脂フィルムで構成することができる。トリアセチルセルロースの透湿度は、概ね400g/m2/24hr程度である。
一つの好ましい形態では、偏光子の少なくとも一方の面に貼合される透明樹脂フィルムが、アセチルセルロース系樹脂で構成される。特に偏光子の一方の面に貼合される透明樹脂フィルムは、紫外線吸収剤が配合されているアセチルセルロース系樹脂で構成することもできる。もう一つの好ましい形態では、偏光子の少なくとも一方の面に貼合される透明樹脂フィルムが、トリアセチルセルロースより透湿度の低い樹脂フィルム、たとえば、透湿度が300g/m2/24hr以下の樹脂フィルムで構成される。このような透湿度の低い樹脂フィルムを構成する樹脂として、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらのなかでも、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂および鎖状ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。さらにもう一つの好ましい形態では、偏光子の一方の面に前記接着剤層を介して、アセチルセルロース系樹脂からなる保護膜が貼合され、偏光子の他方の面に同じく前記接着剤層を介して、上記のような透湿度の低い透明樹脂からなる保護膜が貼合される。
アセチルセルロース系樹脂は、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部が酢酸エステル化されている樹脂であり、一部が酢酸エステル化され、一部が他の酸でエステル化されている混合エステルであってもよい。アセチルセルロース系樹脂の具体例として、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどを挙げることができる。
非晶性ポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンやテトラシクロドデセン(別名ジメタノオクタヒドロナフタレン)、あるいはそれらに置換基が結合した化合物のような、環状オレフィンの重合単位を有する重合体であり、環状オレフィンに鎖状オレフィンおよび/または芳香族ビニル化合物を共重合させた共重合体であってもよい。環状オレフィンの単独重合体、あるいは2種以上の環状オレフィンの共重合体の場合は、開環重合によって二重結合が残るので、そこに水素添加されたものが、非晶性ポリオレフィン系樹脂として一般的に用いられる。なかでも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が代表的である。
ポリエステル系樹脂は、二塩基酸と二価アルコールとの縮合重合によって得られる重合体であり、ポリエチレンテレフタレートが代表的である。アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主な単量体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体のほか、メタクリル酸メチルと、アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステルや芳香族ビニル化合物などとの共重合体であってもよい。ポリカーボネート系樹脂は、主鎖にカーボネート結合(-O-CO-O-)を持つ重合体であり、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合重合によって得られるものが代表的である。鎖状ポリオレフィン系樹脂は、エチレンやプロピレンの如き鎖状オレフィンを主な単量体とする重合体であり、単独重合体や共重合体であることができる。なかでも、プロピレンの単独重合体や、プロピレンに少量のエチレンが共重合されている共重合体が代表的である。
このような透明樹脂フィルムは、偏光子に貼合される面とは反対側の面に、ハードコート層、反射防止層、防眩層、または帯電防止層の如き、各種の表面処理層を有していてもよい。保護膜は、このような表面処理層が形成されている場合を含めて、その厚さを5~150μm程度とすることができる。その厚さは、好ましくは10μm以上であり、また好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
(偏光板の製造方法)
偏光板の製造にあたっては、光硬化性接着剤組成物の塗布層を、偏光子と透明樹脂フィルムとの貼合面の一方または両方に形成し、その塗布層を介して偏光子と透明樹脂フィルムとを貼合し、こうして形成される未硬化の光硬化性接着剤の塗布層を、活性エネルギー線の照射により硬化させ、透明樹脂フィルムを偏光子上に固着させる。光硬化性接着剤の塗布層は、偏光子の貼合面に形成してもよいし、透明樹脂フィルムの貼合面に形成してもよい。塗布層の形成には、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、偏光子と透明樹脂フィルムを両者の貼合面が内側となるように連続的に供給しながら、その間に接着剤を流延させる方式を採用することもできる。各塗工方式には、各々最適な粘度範囲があるため、溶剤を用いて粘度調整を行うことも有用な技術である。このための溶剤には、偏光子の光学性能を低下させることなく、光硬化性接着剤組成物を良好に溶解するものが用いられるが、その種類に特別な限定はない。たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。接着剤層の厚さは、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。接着剤層が厚くなると、接着剤の反応率が低下し、偏光板の耐湿熱性が悪化する傾向にある。
偏光子と透明樹脂フィルムを接着するにあたり、両者の貼合面の一方または双方には、光硬化性接着剤組成物の塗布層を形成する前に、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、またはアンカーコーティング処理の如き易接着処理が施されてもよい。
光硬化性接着剤組成物の塗布層に活性エネルギー線を照射するために用いる光源は、紫外線、電子線、X線などを発生するものであればよい。特に、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好適に用いられる。光硬化性接着剤への活性エネルギー線照射強度は、目的とする組成物毎に決定されるものであり、特に限定されないが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が5~3000mW/cm2となるようにすることが好ましい。光硬化性接着剤への光照射強度が小さすぎると、反応時間が長くなりすぎ、一方でその光照射強度が大きすぎると、ランプから輻射される熱および光硬化性接着剤の重合時の発熱により、光硬化性接着剤の黄変や偏光子の劣化を生じる可能性がある。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化する組成物毎に制御されるものであって、やはり特に限定されないが、照射強度と照射時間との積で表される積算光量が10~5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が小さすぎると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる可能性があり、一方でその積算光量を大きくしようとすると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
偏光子の両面に透明樹脂フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線の照射はどちらの透明樹脂フィルム側から行ってもよいが、たとえば、一方の透明樹脂フィルムが紫外線吸収剤を含有し、他方の透明樹脂フィルムが紫外線吸収剤を含有しない場合には、紫外線吸収剤を含有しない透明樹脂フィルム側から活性エネルギー線を照射するのが、照射される活性エネルギー線を有効に利用し、硬化速度を高めるうえで好ましい。
[積層光学部材]
本発明の偏光板は、偏光板以外の光学機能を有する光学層を積層して、積層光学部材とすることができる。典型的には、偏光板の透明樹脂フィルムに、接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することにより、積層光学部材とされるが、その他、たとえば、偏光子の一方の面に本発明に従って光硬化性接着剤を介して透明樹脂フィルムを貼合し、偏光子の他方の面に接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することもできる。後者の場合、偏光子と光学層を貼着するための接着剤として、本発明で規定する光硬化性接着剤を用いれば、その光学層は、同時に本発明で規定する透明樹脂フィルムともなりうる。
偏光板に積層される光学層の例を挙げると、液晶セルの背面側に配置される偏光板に対しては、その偏光板の液晶セルに面する側とは反対側に積層される、反射層、半透過反射層、光拡散層、集光板、輝度向上フィルムなどがある。また、液晶セルの前面側に配置される偏光板および液晶セルの背面側に配置される偏光板のいずれに対しても、その偏光板の液晶セルに面する側に積層される位相差フィルムなどがある。
反射層、半透過反射層、または光拡散層は、それぞれ反射型の偏光板(光学部材)、半透過反射型の偏光板(光学部材)、または拡散型の偏光板(光学部材)とするために設けられる。反射型の偏光板は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化しやすい。また半透過型の偏光板は、明所では反射型として、暗所ではバックライトからの光で表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。反射型偏光板としての光学部材は、たとえば、偏光子上の透明樹脂フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、反射層を形成することができる。半透過型の偏光板としての光学部材は、前記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料等を含有して光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることで形成できる。一方、拡散型偏光板としての光学部材は、たとえば、偏光板上の透明樹脂フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法など、種々の方法を用いて、表面に微細凹凸構造を形成する。
さらに、反射拡散両用の偏光板として作用する光学部材を形成することもでき、その場合は、たとえば、拡散型偏光板の微細凹凸構造面にその凹凸構造が反映した反射層を設けるなどの方法が採用できる。微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうるなどの利点を有する。また、微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光およびその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散され、明暗ムラを抑制しうるなどの利点も有する。表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、たとえば、真空蒸着、イオンプレーティング、又はスパッタリングの如き蒸着やメッキ等の方法により、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することで形成できる。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子は、たとえば、平均粒径が0.1~30μmであるシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンの如き無機系微粒子、架橋または非架橋のポリマーの如き有機系微粒子などでありうる。
集光板は、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シートなどとして、形成することができる。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シートなどが挙げられる。
他方、光学層として作用する上記した位相差フィルムは、液晶セルによる位相差の補償等を目的に使用される。その例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたものなどが挙げられる。フィルム基材上に液晶層を形成する場合、フィルム基材として、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、たとえば、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレンのような鎖状ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリアミドなどが挙げられる。延伸フィルムは、一軸や二軸等の適宜な方式で処理したものであることができる。なお、位相差フィルムは、広帯域化など光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
積層光学部材においては、偏光板以外の光学層として位相差フィルムを含むものが、液晶表示装置に適用したときに有効に光学保障を行えることから、好ましく用いられる。位相差フィルムの位相差値(面内および厚み方向)は、適用される液晶セルに応じて、最適なものを選べばよい。
積層光学部材は、偏光板と、上述した各種の光学層から使用目的に応じて選択される1層または2層以上とを組み合わせ、2層または3層以上の積層体とすることができる。その場合、積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤や粘着剤を用いて偏光板と一体化されるが、そのために用いる接着剤や粘着剤は、接着剤層や粘着剤層が良好に形成されるものであれば特に限定はない。接着作業の簡便性や光学歪の発生防止などの観点から、粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)を使用することが好ましい。粘着剤には、アクリル系重合体や、シリコーン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするものを用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度な濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系粘着剤においては、メチル基やエチル基やブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
偏光板への粘着剤層の形成は、たとえば、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶媒に粘着剤組成物を溶解または分散させて10~40質量%の溶液を調製し、これを偏光板上に直接塗工する方式や、予めプロテクトフィルム上に粘着剤層を形成しておき、それを偏光板上に移着する方式などにより、行うことができる。粘着剤層の厚さは、その接着力などに応じて決定されるが、1~50μm程度の範囲が適当である。
また、粘着剤層には必要に応じて、ガラス繊維やガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粉やその他の無機粉末などからなる充填剤、顔料や着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが配合されていてもよい。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
積層光学部材は、液晶セルの片側または両側に配置することができる。用いる液晶セルは任意であり、たとえば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、スーパーツイステッドネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど、種々の液晶セルを使用して液晶表示装置を形成することができる。積層光学部材と液晶セルの接着には通常、上記したのと同様の粘着剤が用いられる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り質量基準である。また、以下の例で用いた光カチオン硬化性成分および光カチオン重合開始剤は次のとおりであり、以下それぞれの記号で表示する。
(合成例1)
式(a13)で表される化合物の合成
WO2014/157498に記載の方法により、下記式(a1-3)で表される化合物を合成し、液体クロマトグラフィーにて単離精製を行った。
Figure 0007375506000018

なお、液体クロマトグラフィーの条件は下記に示すとおりである。
エポキシ化物(a1)の単離は、液体クロマトグラフィーで実施した。
(分析条件)
測定装置:LC-20+FRC-10A[(株)島津製作所製]
カラム:ZORBAX SB-C18(5μm、9.4×150mm)
カラム温度:40℃
移動相:A:水、B:アセトニトリル
グラジエント:0分 A=90%、B=10%
30分 A=0%、B=100%
35分 A=0%、B=100%
35.1分 A=90%、B=10%
50分 STOP(TOTAL分析時間50分)
流量:5.0mL/分
検出:紫外吸収検出器(波長:254nm)
(A)光カチオン硬化性成分
(a1-1)Synnovator Product List社製の7-Oxabicyclo[4.1.0]heptane-3-methanol〔前記式(I)において、R=CHOHである化合物〕
(a1-2)シナシア社製のSyna-Epoxy30〔前記式(I)において、R=CHOCOCである化合物〕
(a1-3)上記合成例で合成した式(a1-3)で表される化合物
(a2)3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔前記式(II)において、R=R=H、Z=-COOCH2-の化合物〕、
(a3)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル〔前記式(III)において、Z=-CH2C(CH32CH2-の化合物〕、
(a4)2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製のEX121)
(B)光カチオン重合開始剤
(b1)式(B1)で表される化合物及び式(B2)で表される化合物の混合物のプロピレンカーボネート50%溶液
Figure 0007375506000019
[実施例1~3および比較例1]
(1)光硬化性接着剤組成物の調製
上記の光カチオン硬化性成分および光カチオン重合開始剤を、表1に示す配合割合(単位は部)で混合した後、脱泡して、光硬化性接着剤液を調製した。なお、光カチオン重合開始剤は固形分量の値である。
Figure 0007375506000020

(2)光硬化性接着剤組成物の25℃における粘度の測定
上記(1)で調製したそれぞれの光硬化性接着剤組成物(接着剤液)について、東機産業(株)製のE型粘度計「TVE-25L」を用いて、温度25℃における粘度(mPa・s)を測定した。結果を表2に示す。
(3-1)偏光子の製造
厚み60μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレビニロンVF-PE#6000」、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送し、30℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間79秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が1/0.3/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間123秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が11/3.8/100(重量比)である53℃の第1架橋浴に滞留時間44秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が11/3.8/100(重量比)である40℃の第2架橋浴に滞留時間6秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程及び架橋工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.65倍とした。
(3-2)偏光板の作製
紫外線吸収剤を含む厚さ60μmのトリアセチルセルロース樹脂(TAC)フィルムとノルボルネン系樹脂(COP:シクロオレフィンポリマー)からなる厚さ50μmの位相差フィルム〔商品名“ZEONOR”、日本ゼオン(株)製〕を用意した。厚さ60μmのトリアセチルセルロース樹脂フィルム及び厚さ50μmの位相差フィルムの表面にコロナ放電処理を保護越し、そのコロナ放電処理面に、(1)で調製したそれぞれの接着剤液を接着剤塗工装置を用いてそれぞれのフィルムの片面に塗工した。各フィルムの塗工面を上記(3-1)で製造した偏光子にそれぞれ貼り合わせて、総積算光量が約350mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)の紫外線(UVA)を照射した。
(4)密着性
上記(3)で作製した偏光板を長さ200mm×幅25mmの大きさに裁断した。そして、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム側にアクリル系の粘着剤層を設けて、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムと偏光子の間のはく離強さを測定するための試験片とした。試験片の粘着剤層をガラス板に貼り、偏光子と粘着剤側の保護フィルム(厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム)の間にカッターの刃を入れ、長さ方向に端から30mm剥がして、その剥がした部分を試験機のつかみ部でつかんだ。この状態の試験片を、温度23℃および相対湿度55%の雰囲気中にて、JIS K 6854-2:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第2部:180度はく離」に準じて、つかみ移動速度300mm/分で180度はく離試験を行ない、つかみ部の30mmを除く170mmの長さにわたる平均はく離力を求めた。結果を表2に示した。
Figure 0007375506000021

表2に記載のとおり、本発明の光硬化性接着剤組成物を用いた偏光板は良好な密着性を有する。

Claims (7)

  1. 以下の(A)及び(B)を含む光硬化性接着剤組成物であり、
    (A)下記式(I)で表されるエポキシ化合物を含む光カチオン硬化性成分
    (B)光カチオン重合開始剤
    前記光カチオン硬化性成分は、その全体量を基準に、
    (A1)式(I)で表されるエポキシ化合物を0.1~20質量%
    (A2)下記式(II)で示される脂環式ジエポキシ化合物を50~90質量%
    (A3)下記式(III)で示される脂肪族ジグリシジル化合物を1~0質量%
    含有する光硬化性接着剤組成物。

    Figure 0007375506000022

    [式中、Rは少なくとも1つの水酸基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-はエステル結合に置き換わっていてもよい)、少なくとも1つ以上のエステル結合で中断されてもよい総炭素数2~8のアルキルエステル、水酸基、カルボキシ基、下式(Ia)で表される基又は式(Ib)で表される基を表す。
    Figure 0007375506000023
    、X、X11及びX12は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基を表す。
    及びY11は、それぞれ独立して、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基を表し、下記に記載の基又は炭素数3~8の環状飽和炭化水素基は、水酸基、炭素数2~8のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~6のアルキル基(該アルキル基に含まれる-CH-は-CO-で置き換わっていてもよい)を有していてもよい。
    Figure 0007375506000024
    [*は、X又はX12との結合手を表す。]
    Figure 0007375506000025
    (式中、RおよびRは各々独立に水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表すが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
    は酸素原子、炭素数1~6のアルカンジイル基または下式(IIa)~(IId):
    Figure 0007375506000026
    のいずれかで示される2価の基を表し、ここでY~Yは各々炭素数1~20のアルカンジイル基を表すが、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
    aおよびbは各々0~20の整数を表す。)
    Figure 0007375506000027
    (式中、Zは炭素数3~8の分岐アルキレン基、または式-Cm2m-Z-Cn2n-で示される2価の基を表し、ここで-Z-は、-O-、-CO-O-または-O-CO-を表し、mおよびnの一方は1以上、他方は2以上の整数を表すが、両者の合計は8以下であり、かつCm2mおよびCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基を表す。)
  2. 光硬化性接着剤組成物は、
    (A)光カチオン硬化性成分100質量部に対して、
    (B)光カチオン重合開始剤を1~10質量部
    含有する請求項1に記載の光硬化性接着剤組成物。
  3. さらに、下記式(IVa)で表されるアントラセン系化合物または式(IVb)で表されるナフタレン系化合物から選択される一種以上を0.1~5質量部含有する請求項1又は2に記載の光硬化性接着剤組成物。
    Figure 0007375506000028
    (式中、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~12のアルコキシアルキル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)
    Figure 0007375506000029
    (式中、R及びRは各々独立に炭素数1~6のアルキル基を表す。)
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の光硬化性接着剤組成物から形成される光硬化接着剤層。
  5. 偏光子、接着剤層、透明樹脂フィルムの順に積層された積層体であって、
    前記接着剤層が、請求項4に記載の光硬化接着剤層である積層体。
  6. 請求項5に記載の積層体と他の光学層との積層体からなる積層光学部材。
  7. 前記他の光学層は位相差フィルムを含む請求項6に記載の積層光学部材。
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