JP7375327B2 - リチウムの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムの回収方法に関する。さらに詳しくは、リチウムを含有する製品の製造工程排水からリチウムを回収するリチウムの回収方法に関する。
リチウムは、陶器やガラスの添加剤、鉄鋼連続鋳造用のガラスフラックス、グリース、医薬品、電池等、産業において広く利用されている。とくに近年、リチウム二次電池は、エネルギー密度が高く電圧が高いことから、ノートパソコンなどの電子機器のバッテリーや電気自動車・ハイブリッド車の車載バッテリーとしての用途が拡大しており、リチウムの需要が急増している。
バッテリーの正極材料は、様々な種類があるが、近年では、三元系であるNCA(Li(NiaCobAla-b)O)やNCM(Li(NiaMnbCoa-b)O)と呼ばれる組成のものが普及している。
このようなバッテリーの正極材料は、ニッケル、コバルト、マンガンなどの硫酸塩水溶液を中和するなどして混合水酸化物(「MHP」とも呼ばれる)を生成し、その後、水酸化リチウムや炭酸リチウムなどのリチウム化合物を添加し、焼成して焼成物とした後、水洗し乾燥して製品となる。一方、このような製造工程における排水には、未反応のリチウム化合物が含有していることが知られている。
上述したようなリチウムの需要増加に伴い、かつ資源の有効活用のため、リチウムを主原料としたバッテリーに用いられるリチウム二次電池用正極材料の製造工程で排出される排水(以下、「製造工程排水」ともいう)からリチウムを回収する技術の開発が望まれている。
排水に含有するリチウムを回収する方法としては、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、溶媒抽出法を多段階で行い、リチウムを回収する方法が開示されている。また、特許文献2には、イオン交換膜を利用した電気透析を用いる方法が開示されている。
特開2006-57142号公報 特開2012-234732号公報
しかるに、特許文献1の技術では、多段抽出であるため、工程が長く製造に要する工数が増加したり、設備投資の増加に伴うコストの増加が問題となっている。
また、特許文献2の技術では、排水処理のような処理量が膨大な工程に電気透析装置を用いるのは設備規模が著しく大規模となり工業的には効率的ではない。さらに一般に電池を製造する工程で発生する排水中のリチウム濃度は、数g/Lのオーダーと比較的高い塩濃度であることから、電気透析装置を用いた場合、装置内に塩が析出して、閉塞したり頻繁な洗浄が必要となったりするなど効率が悪くなりその分効率が低下するといった問題が生じている。
ここで、一般的に、製造工程排水中に含まれる金属類を回収する方法として、水分を蒸発させて乾固物を得る蒸発乾固法が存在する。
しかしながら、この方法では、不純物も乾固物内に分配された状態となるため乾固物から不純物の分離も困難なことから、得られる回収物中に含まれる不純物の品位が高くなるといった問題が生じる。しかも、この方法では、排水全体を加熱して水分を蒸発させ、乾固させる必要があるため膨大なエネルギーが必要になるといった問題も生じる。さらに、回収した乾固物は、水酸化リチウムを主成分とするため、乾固物を水などで洗浄した際の濾過性が著しく劣るため、洗浄用の特別な設備等を導入する必要があり、コストおよび手間が増加するなどの問題も生じる。
つまり、従来の技術では、大幅な設備投資をすることなく、工業用排水から効率よくリチウムを回収するのに適した方法は存在していないというのが実情である。
本発明は上記事情に鑑み、排水中に含まれリチウムを効率よく回収することができるリチウムの回収方法を提供することを目的とする。
第1発明のリチウムの回収方法は、排水中からリチウムを回収する方法であって、前記リチウムが、水酸化リチウムの形態で前記排水中に溶解しており、リチウムを含有する排水を濃縮する濃縮工程と、該濃縮工程で得られた濃縮液(ただし、濃縮液中のリチウムイオンの濃度が20000mg/L以下のものを除く)に対して二酸化炭素を供給する炭酸化工程と、該炭酸化工程で得られた炭酸化リチウムの結晶を含むスラリーから固形物を分離する固液分離工程と、を含み、前記炭酸化工程における濃縮液の温度が、60℃以上であることを特徴とする。
第2発明のリチウムの回収方法は、第1発明において、前記炭酸化工程で得られる処理液から上澄み液を分離したスラリーを回収し、回収したスラリーに前記排水を新たに混合し前記濃縮工程に供して濃縮する、という操作を少なくとも1回以上繰り返すことを特徴とする。
第3発明のリチウムの回収方法は、第1または第2発明において、前記固液分離工程で得られた固形物を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする。
第4発明のリチウムの回収方法は、第1、第2または第3発明のいずれかの発明において、前記排水が、リチウムを用いた電池を製造する工程で発生した排水であることを特徴とする。
第1発明によれば、リチウムが水酸化リチウムの形態で溶解している排水を対象とすることにより、濃縮液中のリチウム換算濃度を20000mg/Lよりも高くしても硫酸リチウムの析出を生じさせることなく、リチウムを炭酸化リチウムの形態で適切に回収することができる。しかも、炭酸化工程における濃縮液を60℃以上で加熱することによって、高濃度の水酸化リチウムを溶解させた状態で二酸化炭素を供給するので、炭酸リチウムをより効率よく回収することができる。さらに、炭酸化に二酸化炭素を用いるので、炭酸塩を用いる場合と比べて品位の高い炭酸リチウムを製造できる。
第2発明によれば、繰り返し濃縮を行うことにより、品位の高い炭酸リチウムを効率よく回収することができる。
第3発明によれば、固形物を水などで洗浄することによって、より品位の高い炭酸リチウムを回収することができる。
第4発明によれば、電池を製造する工程排水から効率よく炭酸リチウムを回収することができる。
本実施形態のリチウムの回収方法のフローチャートである。 従来の蒸発乾固法によるリチウムの回収フローチャートである。
本実施形態のリチウムの回収方法は、濃縮した排水に二酸化炭素を供給することによって、排水中に含まれるリチウムを効率的に回収することができるようにしたことに特徴を有している。
本実施形態のリチウムの回収方法を利用することができる排水は、リチウムを含有する排水であればとくに限定されない。例えば、リチウムを用いた電池を製造する工程で排出される排水のほか、陶器の製造工程やガラスの添加剤の製造工程、鉄鋼連続鋳造用のガラスフラックスの製造工程、グリースの製造工程、医薬品の製造工程などで排出される排水などを挙げることができる。
以下では、リチウムイオン電池の正極材を製造する工程で排水から本実施形態のリチウムの回収方法を用いてリチウムを回収する場合を代表として説明する。
以下、図面に基づいて本実施形態のリチウムの回収方法を説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムの回収方法(以下、単に本リチウムの回収方法という)は、濃縮工程S1と、炭酸化工程S2と、固液分離工程S3とを有している。
(濃縮工程S1)
本リチウムの回収方法の濃縮工程S1は、供給された排水を濃縮して濃縮液を調製する工程であり、排水を濃縮することができるものであれば、とくに限定されない。
例えば、排水を収容した容器や配管などを電熱や化石燃料等を用いて直接加熱したり、熱交換器等を介して蒸気等のエネルギーを加えたりして、排水中の溶媒等を除去する方法のほか、浸透膜等の物理的な方法を用いたりするなどの様々な方法を用いることができる。
排水を容器等に収容して加熱濃縮する場合には、排水を入れた容器等を減圧する方法を採用してもよい。この場合、排水の溶媒の沸点を低下させることができるので、溶媒を効率よく除去することができるからエネルギーコストを抑制することができる。
なお、濃縮工程S1においては、容器等に収容した排水を攪拌することが望ましい。撹拌により濃縮時の排水中の溶媒を均一的に除去できるので、撹拌をしない場合に比べて濃縮効率を向上させることができる。
また、濃縮工程S1における濃縮倍率は、とくに限定されず、濃縮液が乾固しない程度に濃縮することができる。
濃縮液を乾固させてしまうと、排水に含まれるリチウム以外の不純物(例えば、硫黄やケイ素、アルミニウムなどの金属等)が乾固物中に分配された状態となり、その後の工程においてもこれらの不純物を除去するのが難しくなる。一方、濃縮倍率を高くすることによって、後述する次工程の炭酸化工程S2における炭酸化物の沈殿効率を向上させることができるが、濃縮倍率をあまり高くしすぎると、濃縮に要する加熱コスト等が増加する傾向にある。逆に、濃縮工程S1における濃縮倍率が低いと、後述する次工程の炭酸化工程S2における炭酸化物の沈殿率が低下する傾向にある。
したがって、濃縮工程S1における濃縮液の濃縮倍率は、排出中のリチウム濃度にも依存するが、操作性および経済的観点から、供給された排水を5~20倍程度とするのが好ましく、より好ましくは10倍程度になるように調整する。
なお、本明細書中の乾固とは、濃縮液が流動性を有しない状態を意味している。つまり、溶媒等がある程度除去された状態でも流動性を有する状態であれば、乾固とはいわない。
(炭酸化工程S2)
本リチウムの回収方法の炭酸化工程S2は、濃縮工程S1で濃縮された濃縮液に対して二酸化炭素ガスを供給する工程である。具体的には、濃縮工程S1で調製された濃縮液の液温が所定の温度以上となるように維持された状態で二酸化炭素ガスを供給することによって、濃縮液中にリチウムの炭酸化物である炭酸リチウムの結晶を生成させる工程である。
また、本リチウムの回収方法の炭酸化工程S2において、二酸化炭素ガスを供給する際の濃縮液は、液温が所定の温度以上となっていればとくに限定されない。
例えば、濃縮液は、液温が所定の値以上となるように直接または間接的に熱を供給された状態であってもよいし、二酸化炭素ガスを供給する間に液温が所定の温度以上となっていれば濃縮液に対して直接または間接的に熱を供給しない状態であってもよいし、機械的に濃縮液の液温を検出しながら、濃縮液に対して間欠的に熱を供給するような状態であってもよい。
本リチウムの回収方法の炭酸化工程S2において、濃縮液を加熱しながら二酸化炭素ガスを供給する場合としては、例えば、濃縮工程S1において容器に収容した排水を撹拌しながら、かかる容器を加熱して濃縮液を調製し、調製した濃縮液の液温が所定の温度以上となるように加熱状態を維持したまま二酸化炭素ガスを濃縮液に吹き込むようにしてもよい。
炭酸化工程S2において、濃縮液の液温は、濃縮液中のリチウムと供給された二酸化炭素が反応して炭酸リチウムの結晶が生成される温度であれば、とくに限定されない。
炭酸リチウムは、濃縮液の温度が高い方が溶解度が低下する性質を有するため、沈殿効率を向上させる上では濃縮液の液温を高くするのが望ましい一方、高温の状態を維持するには、加熱コストがかかる上に高温に耐え得るだけの設備等に設計するなどの必要性が生じる。
したがって、経済的、操作性の観点から、炭酸化工程S2における濃縮液の液温は、60℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上、100℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上、90℃以下となるように調整する。
炭酸化工程S2において、濃縮液に供給する二酸化炭素の供給量は、炭酸リチウムの結晶が生成することができる量であれば、とくに限定されない。例えば、供給量は反応槽の形状、吹き込み口の液面からの深さ、攪拌の強弱などを考慮して、二酸化炭素が効率良く溶け込める供給量とすれば良い。
なお、炭酸化工程S2において、二酸化炭素ガスを供給する濃縮液から溶媒等を除去させながらさらに濃縮を継続してもよい。濃縮を継続することによって、濃縮液中のリチウム濃度を向上させることができるので、炭酸リチウムの生成を向上させることができる。しかし、かかる工程においても上述した濃縮工程S1と同様に二酸化炭素ガスを供給する濃縮液が乾固しない程度に濃縮する。
炭酸化工程S2では、上述したように二酸化炭素ガスを供給した濃縮液中に二酸化炭素とリチウムの炭酸化物である炭酸リチウムが生成される。そして、この炭酸リチウムは、スラリーとして濃縮液中に形成される。このスラリーは、水分を多量に含むので次工程の固液分離工程S3に供給することによって、液体と固形物に分離される。
(固液分離工程S3)
本リチウムの回収方法の固液分離工程S3は、炭酸化工程S2で形成された炭酸リチウムを含有するスラリーから炭酸リチウムを固形物として分離する工程である。
この固液分離工程S3に用いられる固液分離機は、濃縮液から上記スラリー中の固形物と液体(ろ液)を分離することができるものであれば、とくに限定されない。
例えば、固液分離機としては、ヌッチェ(ブフナー漏斗)等の漏斗や、フィルタープレス装置や真空ろ過機やベルトプレス等を使用することができる。
固液分離機は、フィルタープレス装置のように間欠的に固液分離処理を実施するもの(バッチ処理するもの)や真空ろ過機やベルトプレス等のように連続的に固液分離処理を実施するもののいずれも採用してもよい。
固液分離機としてバッチ方式のフィルタープレス装置等を採用する場合には、複数のフィルタープレス装置等を採用した構成にするのが好ましい。固液分離機がフィルタープレス装置のようなバッチ処理の装置であっても、連続した固液分離作業を行うことができるので、固液分離に要する作業時間を抑制して、作業効率を向上させることができるようになる。
以上のごとき構成であるので、本リチウムの回収方法を用いて排水を処理すれば、排水中に含まれるリチウムを効率的に回収することができる。
具体的には、本リチウムの回収方法において、濃縮工程S1では、リチウムを含む排水を乾固しない程度に濃縮することによって、濃縮液中のリチウム濃度を上昇させることができる。そして、炭酸化工程S2では、かかる濃縮液の液温が所定の温度以上となるように調整した状態で二酸化炭素ガスを供給することによって、炭酸リチウムを選択的に炭酸化物(つまり炭酸リチウム)として沈殿させることができる。しかも、この炭酸化工程S2では、加熱した状態で炭酸リチウムを生成させるので、排水中に存在する不純物を効果的に分離することができる。そして固液分離工程S3では、炭酸リチウムを含むスラリーを固液分離することによって、従来の蒸発乾固法により得られる乾固物と比べてリチウムの純度を高くした固形物を調製することができる。
したがって、本リチウムの回収方法を用いれば、リチウム品位の高い固形物を排水から効率よく回収することができる。
しかも、従来の蒸発乾固法では乾固物中にリチウムの形態が水酸化リチウムを主成分とするのに対して、本リチウムの回収方法では、得られる固形物中に存在するリチウムの形態が炭酸リチウムのみとなる。このため、従来の蒸発乾固法で得られる乾固物と比べて濾過性を著しく向上させることができるので、再利用を行う際の操作性を向上させることができる。
(洗浄工程S4)
なお、本リチウムの回収方法は、固液分離工程S3の後に、固液分離工程S3で得られた固形物を洗浄する洗浄工程S4を有してもよい。固液分離工程S3で得られた固形物を洗浄工程S4に供することによって、固形物の表面に付着した不純物が多く含まれた液を除去することができるので、回収した炭酸リチウムの品位をより向上させることができる。
(濃縮工程S1における繰り返し濃縮)
図1に示すように、本リチウムの回収方法の濃縮工程S1において、繰り返し濃縮を行ってもよい。具体的には、各工程S1、S2、S3で得られた濃縮液やスラリー、分離液等を濃縮工程S1に供給して繰り返し濃縮してもよい。なお、この繰り返し濃縮操作の回数は、とくに限定されない。
以下、濃縮工程S1における繰り返し濃縮について具体的に説明する。
まず、濃縮工程S1の濃縮液に対して新たに液体(固形物等を含有するものも含む)を供給し混合した混合溶液を繰り返し濃縮する場合について説明する。
この濃縮工程S1の濃縮液に対して新たに供給する液体としては、例えば、新たな排水や、本リチウムの回収方法の炭酸化工程S2で得られた炭酸化リチウムの結晶を含むスラリー、炭酸化工程S2においてスラリーの上部に位置する上澄み液、本リチウムの回収方法の固液分離工程S3で排出された分離液、他のバッチで得らえた濃縮工程S1における濃縮液、他のバッチで得らえた炭酸化工程S2で得られた炭酸化リチウムの結晶を含むスラリー、炭酸化工程S2においてスラリーの上部に位置する上澄み液、固液分離工程S3で排出された分離液などを挙げることができるが、これらに限定されず、各工程で発生するあらゆる液状のものを、上記新たに供給する液体として使用することができる。
この濃縮工程S1の濃縮液に対して新たに供給する液体は、単独でもよいし、2種以上であってもよい。
つぎに、炭酸化工程S2、固液分離工程S3で得られる液体を再度濃縮工程S1へ供給して濃縮を繰り返す場合について説明する。
具体的には、この方法は、上述した濃縮工程S1で濃縮した濃縮液に繰り返し用の液体を供給して濃縮するのではなく、各工程で得られる液体を濃縮工程S1へ供給して繰り返し濃縮を行うという方法である。
この方法は、上述した濃縮工程S1の濃縮液に対して新たに液体を供給する方法のうち、供給先の濃縮液がない状態で繰り返し濃縮する以外は、上述した濃縮工程S1の濃縮液に対して新たに液体を供給して繰り返し濃縮を行う場合と同様に行われる。
この方法では、濃縮工程S1へ供給する液体は、上述した場合と同様に単独でもよいし、2種以上であってもよい。
なお、この方法において、炭酸化工程S2、固液分離工程S3で得られる液体を繰り返し濃縮する際に、新たに排水を混合してもよいのはいうまでもない。
本リチウムの回収方法の濃縮工程S1において、上記のごとく繰り返し濃縮を行えば、濃縮工程S1に供する排水のリチウム濃度が増加させることができるので、より少ないエネルギーで排水中のリチウム濃度を溶解度上限に達成させることができ、過飽和状態にすることができる。
また、炭酸リチウムの結晶が混在したスラリーを繰り返すことで、炭酸リチウムの結晶を種結晶として濃縮時の結晶成長を促進させることができるので、それだけ粗大な結晶となって回収率の増加や取扱性が向上させることができる。
なお、繰り返し濃縮に供給するスラリーは、沈降分離操作によって上澄み液とスラリーにある程度分離した状態のものを供給するのが望ましい。この場合、上澄み液を除去することによって、リチウム濃度の高い状態のスラリーを供給することができる。
本発明のリチウムの回収方法を用いることによって、排水から品位の高い炭酸リチウムを効率よく回収することができることを確認した。
(実験1)
製造工程排水5リットルを開放容器に入れ、撹拌を行いながら95℃以上100℃未満を維持しながら、液量が0.5リットルとなるまで濃縮した(本実施形態の濃縮工程S1に相当する)。
次に、この濃縮後の溶液を別の容器に移し入れた後、かかる容器を加熱して液温が80℃となるように調整した。液温80℃を維持しながら撹拌しつつ、同時にボンベから二酸化炭素ガス(99.5%)を0.1~0.2L/minの流量で約5時間、シンターガラスを介して液中に吹き込んだ(本実施形態の炭酸化工程S2に相当する)。なお、蒸発を防ぐように容器の上部に蓋をした。
約5時間後に二酸化炭素ガスの供給を止め、濃縮液中に形成されたスラリーを濾瓶とヌッチェを用いて固液分離し、乾燥重量で4.5gの固形物を回収した(本実施形態の固液分離工程S3に相当する)。
得られた固形物をX線回折(PANalytical製、XPert PRO)を用いて分析した。
X線回折の測定条件は、以下の通りである。
出力:45kV 40mA、スリットDS=1/2、SS=0.04rad
また、回収した固形物をICP(Perkin Elmer製、OPTIMA5300DV)を用いて分析した。
(実験結果)
固形物のX線回折結果から、リチウムが炭酸リチウムの形態で存在していることが確認できた。
固形物のICP分析結果を表1に示す。
実験結果から、後述の比較例1による従来法と比べて、特に硫黄・珪素・アルミニウムなどの不純物が少ない高純度で濾過性に優れたリチウムを炭酸リチウムという形態で回収できることが確認できた。
Figure 0007375327000001
(実験2)
実験2では、形成されたスラリーを繰り返し濃縮することによって、品位の高い炭酸リチウムを効率よく回収できることを確認した。
まず、(実験1)と同じ排水5リットルを用い、開放容器に入れて攪拌しながら95~98℃に維持し、(実験1)と同じように0.5リットルの容量になるまで濃縮した。
次に(実験1)と同様に、この濃縮液を別の容器に移して蓋をして、上記と同様に二酸化炭素ガスを0.1~0.2L/minの流量で約5時間吹き込んだ。
次に、約5時間後に二酸化炭素ガスの供給を止め、スラリーが形成された濃縮液を静置して、上澄み液を除去した後、スラリーを固液分離しないまま、濃縮時に用いた開放容器に移し入れた。そして、この容器に新たに排水を加えて約5リットルに調製した。この状態で、再び加熱して液量が0.5リットルになるまで濃縮した。
次に再び二酸化炭素ガスの供給に用いられた容器に移して蓋をして、上記と同様に二酸化炭素ガスを0.1~0.2L/minの流量で約5時間吹き込んだのち、形成されたスラリーを上記と同様に固液分離しないまま前記開放容器に入れ、排水を加えて濃縮することを10回繰り返し、合計50リットルの排水を濃縮した。
50リットルの排水を濃縮した濃縮液に二酸化炭素ガスを吹き込んだ後、ヌッチェと濾瓶を用いて固液分離した。
得られた固形物を純水で洗浄(本実施形態の洗浄工程S4に相当する)して、乾燥し60gの固形物を回収した。
得られた固形物を(実験1)と同様にX線回折およびICPを用いて分析した。
(実験結果)
この固形物を分析すると、(実験1)と同様に、リチウムが炭酸リチウムの形態で存在していることが確認できた。また、固形物中に含まれる各元素濃度も表1と同等な品位で得られていることが確認できた。
しかも、リチウムが濃縮され、炭酸リチウムの結晶が析出したまま繰り返したことで、次のサイクルで濃縮した際の種結晶としても機能し、より回収率が向上する効果も得られた。
例えば、(実験1)では回収率が45%であったが、実験2では90%であった。
なお、n回繰り返しの場合の回収率の算出には、以下の式を用いた。

回収率=100×[4.5(n+1)]/(10+4.5n)
(比較例)
比較例として、従来の蒸発乾固法を用いて(実験1)と同じ排水からリチウムを回収した。従来の蒸発乾固法のフローを図2に示す。
(実験1)と同様に排水5リットルを容器に入れ、撹拌を行いながら95℃以上100℃未満の温度に維持した。排水が乾固するまで加熱を継続し、乾燥重量で33gの蒸発乾固物を回収した。
得られた蒸発乾固物を、(実験1)と同様にX線回折およびICPを用いて分析した。
(実験結果)
蒸発乾固物のX線回折から、リチウムが水酸化リチウムの形態で存在していることが確認できた。
蒸発乾固物のICP分析結果を表1に示す。
実験結果から、従来の蒸発乾固法を用いた場合、排水から回収された蒸発乾固物は、本リチウムの回収方法である(実験1)と比べると、硫黄や珪素やアルミニウム品位が高く、その分リチウムの純度が低いものであることが確認できた。
以上の実験結果から、本発明のリチウムの回収方法を用いれば、排水から高純度(つまり品位の高い)リチウムを炭酸リチウムの形態で効率よく回収することができることが確認できた。
本発明のリチウムの回収方法は、リチウムを含む排水からリチウムを回収する方法として適している。
S1 濃縮工程
S2 炭酸化工程
S3 固液分離工程
S4 洗浄工程

Claims (4)

  1. 排水中からリチウムを回収する方法であって、
    前記リチウムが、水酸化リチウムの形態で前記排水中に溶解しており、
    リチウムを含有する排水を濃縮する濃縮工程と、
    該濃縮工程で得られた濃縮液(ただし、濃縮液中のリチウムイオンの濃度が20000mg/L以下のものを除く)に対して二酸化炭素を供給する炭酸化工程と、
    該炭酸化工程で得られた炭酸化リチウムの結晶を含むスラリーから固形物を分離する固液分離工程と、を含み、
    前記炭酸化工程における濃縮液の温度が、60℃以上である
    ことを特徴とするリチウムの回収方法。
  2. 前記炭酸化工程で得られる処理液から上澄み液を分離したスラリーを回収し、回収したスラリーに前記排水を新たに混合し前記濃縮工程に供して濃縮する、という操作を少なくとも1回以上繰り返す
    ことを特徴とする請求項1記載のリチウムの回収方法。
  3. 前記固液分離工程で得られた固形物を洗浄する洗浄工程を含む
    ことを特徴とする請求項1または2記載のリチウムの回収方法。
  4. 前記排水が、リチウムを用いた電池を製造する工程で発生した排水である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のリチウムの回収方法。
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