JP7374847B2 - 切羽評価システム、切羽評価学習システム、切羽評価方法、切羽評価学習方法、コンピュータプログラム - Google Patents
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Description
特に、近年の深層学習手法(ディープラーニング)の台頭によりAIによる画像分類技術の精度が飛躍的に向上したことで、切羽写真や三次元データなどのデジタル地質データを活用し、多くの企業や団体が積極的に地山評価AIの開発を進めている。
AIを切羽の監視に用いる技術として、例えば、特許文献1では、カメラで撮像された画像から得られる特徴点に基づいて計測領域を定め、変状点を得ることで監視し、切羽における崩落や肌落ちについての評価することができる。
そのため、地山評価をAIで行うためには、部分的な特徴を反映しつつ切羽全体を評価できるとともに、複数の評価項目(例えば岩盤強度と切羽の外観に基づく切羽の質(風化変質等))の評価できることが望ましい。
まず、本実施形態における切羽評価システムにおいて用いるデータを収集する流れについて図1を用いて説明する。
撮像装置群110は、例えば撮像装置110a、撮像装置110b、撮像装置110cの3台の撮像装置が含まれる。これら撮像装置110a、110b、110cは、同じ切羽100をそれぞれ撮像するが、撮像アングルが異なる。撮像アングルは、異なる位置、異なる撮像方向等の少なくともいずれかを条件として撮像されればよい。これら撮像装置群110は、それぞれ、施工機械に取り付けられていてもよいし、三脚等に固定された状態で撮像する箇所に設置されていてもよいし、作業員が安全な場所から撮像するようにしてもよい。撮像装置は、例えば、カメラである。
また、撮像装置群110は、3台である場合について説明したが、少なくとも2台以上であればよい。少なくとも2台の撮像装置で撮像することができれば、奥行き情報を得ることが可能である。
測定機器群155は、施工機械150によって切羽100に対する施工が行われる施工時における施工状況を計測し、計測データ160を得る。
測定機器群155は、例えば、各種センサや、湧水量測定機器等である。測定機器群155は、各種センサや湧水量測定機器からそれぞれ計測データ160を得る。
切羽データDB290は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この切羽データDB290は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
切羽評価システム1は、撮像装置群110と、測定機器群155と、入力装置156と、切羽評価装置200とを含む。
切羽評価装置200は、切羽画像データ取得部210と、三次元切羽モデル生成部220と、計測データ取得部230と、評価データ取得部240と、データ前処理部250と、数値化データ算出部260と、評価データ算出部270と、学習部280と、切羽データDB290と、出力部295とを含む。
これにより、クラックの状態をより明確に示すことができる。後述するように、切羽評価装置200は、この数値標高モデルを用いて教師データを生成し学習済みモデルを生成することで、数値標高モデルを切羽AIに適用することができる。また、三次元切羽モデルは、画像データとして取り扱うことができるため、学習するための教師データとして用いる場合であっても、適用しやすいというメリットがある。
評価データは、例えば、切羽観察項目に基づいて評価された結果が入力装置156から入力される。この評価者は、切羽を評価する習熟技術者であることが好ましい。そしてこの習熟技術者よって判断や評価された結果を評価データ取得部240から取得することで、切羽評価システム1において学習データの一部として用いることができる。このような習熟技術者の評価結果を取り込んで切羽評価システムにおいて生成される学習済みモデルを用いることで、切羽に関する各種データを入力することができれば、習熟技術者自身が評価を行わなくても、切羽評価システムから、習熟技術者の評価結果を反映させた評価結果を出力することができる。
湧水は、湧水が切羽の特定部位から集中して生じているか全面的に生じているか否か、湧水の量等を表す。水による劣化は、水によって切羽が軟弱化している度合いを表す。割目の方向性は、生じている割目の方向を表す。
例えばデータ前処理部250は、計測データ160に含まれる(または計測データ160に基づいて求まる)穿孔エネルギー値と湧水量計測値との少なくともいずれか一方に基づいて穿孔エネルギー値に応じて求まる切羽における圧縮強度の分布を示す圧縮強度分布データ、または、計測データに基づいて湧水量計測値に応じて求まる切羽における湧水の分布を示す湧水分布データを求める。
圧縮強度分布データは、切羽の垂直面方向における圧縮強度分布を示す画像データである。圧縮強度は、計測データに基づいて生成される値であり、切羽における岩盤の圧縮強度を示す。例えば、削孔エネルギー値が高いほど、圧縮強度が高く、削孔エネルギー値が低いほど圧縮強度が低い関係にある。例えば、圧縮強度分布データでは、切羽における位置(あるいは領域)毎に、その位置(領域)における圧縮強度に応じて異なる色で表現した画像データである。例えば、圧縮強度が高いほど赤に近い色で表し、圧縮強度が低いほど緑に近い色で表し、圧縮強度が中間よりであるほど黄に近い色で表すようにしてもよい。
このような分布データは、画像として表現されるため、画像データとして取り扱うことができる。なお、データ前処理部250は、計測データとして圧縮強度分布データと湧水分布データとのうち、圧縮強度分布データのみを計測データとして用いるようにしてもよい。
ここで、数値化データ算出部260が用いる学習済みモデルには、2種類の学習済みモデルがあり、数値化データ算出部260はその両方を用いることができる。
2種類の学習済みモデルのうち、1つの学習済みモデルは、分割切羽画像データと、切羽の風化度合いに応じて数値化した風化度合いデータとの関係を学習した学習済みモデル(第3学習済みモデル)である。
また、2種類の学習済みモデルのうち、もう1つの学習済みモデルは、三次元切羽モデルを所定の数に分割された分割三次元切羽モデルと、切羽の割れ目の状態に応じて数値化した割れ目状態データとの関係を学習した学習済みモデル(第4学習済みモデル)である。
数値化データ算出部260が用いる学習済みモデルは、例えば、ディープラーニングによって学習された学習済みモデルを用いることができる。
ここで、評価データ算出部207が用いる学習済みモデルの一例は、風化度合いデータと割れ目状態データと計測データとの組み合わせと、評価データとの関係を学習した学習済みモデルである。
評価データ算出部207は、学習済みモデル(第2学習済みモデル)に対して、数値化データ算出部によって得られた風化度合いデータと割れ目状態データとを入力することで、評価データを求める。
この評価データ算出部270が用いる学習済みモデルは、機械学習によって学習された学習済みモデルを用いることができる。
学習部280は、切羽を穿孔する施工機械の切羽を穿孔する際の施工状況を表す計測データを取得し、この計測データを学習の際に用いる。
これらのデータを用いることで、学習部280は、数値化データと計測データとの組み合わせと、切羽を評価する評価者によって評価された結果である評価データとを用いて、数値化データと計測データとの組み合わせと、評価データとの関係を学習することで学習済みモデルを生成する。
ここで、学習済みモデルを生成するにあたり、教師データに用いられる三次元切羽モデル130は、三次元写真画像130aと数値標高モデル130bの両方であってもよいし、いずれか一方であってもよい。この実施形態では、両方を用いる場合について説明する。
また、学習済みモデルを生成するにあたり、教師データに用いられる計測データは、データ前処理部250によって求められた圧縮強度分布データまたは湧水分布データを用いることができる。ここでは、計測データが画像データとして得られるのであれば、計測データをそのまま教師データとして用いるようにしてもよいし、計測データが画像データとして得られていない場合には、データ前処理部250によって前処理をすることで画像データを得るようにしてもよい。
ここでは、圧縮強度分布データまたは湧水分布データは、いずれも画像データであるため、教師データとして用いて学習済みモデルを生成するにあたり、学習データとして適用し易い。
図3は、切羽評価システム1の動作について説明する流れ図である。
切羽評価システム1の動作においては、トンネル切羽判定(ステップS100)、切羽AI学習フェーズ(ステップS200)、切羽AI実行フェーズ(ステップS300)が順に行われる。
《トンネル切羽判定(ステップS100)》
トンネル切羽判定において、トンネル技術者は、評価対象の切羽を所定の評価項目に従い、目視による観察を行った評価結果に応じたクラスに分類する。所定の項目は、例えば、切羽観察表等において定められた項目を用いることができる。切羽観察表において定められた項目の一例を、図4に示す。切羽観察表における項目には、例えば、「切羽の状態」、「風化変質」、「割れ目の状態」、「湧水」等がある。これら評価項目毎に、クラスが付与される。クラスは、例えば、数値で表される。また、トンネル技術者は、硬さ、風化、割れ目等に関する評価項目に従い、チェックを行った評価結果に応じたクラスに分類する(ステップS101)。トンネル技術者は、これら分類した結果を所定の帳票に書き込む。このトンネル技術者は、習熟技術者であることが好ましい。
トンネル技術者は、所定の計算手法に基づいて切羽の評価点を求め、評価点を基に切羽の判定を行い(ステップS102)、判定結果を所定の帳票に書き込む。切羽の判定は、例えば、図5に示すように切羽を天端、左肩、右肩の3つの領域に分割し、それぞれ領域において図4に示すNo1からNo9までの9項目について評価を行い、下記の式(1)に基づいて、各領域における9項目におけるクラスを集計することで切羽評価点を算出する。このような切羽観察表に基づいて切羽評価点を求める手法は、既存の方法を用いてもよい。
切羽AI学習フェーズにおいて、学習部280は、切羽を撮影した切羽画像と、切羽画像から得られる三次元切羽モデルとを取得する(ステップS201)。また、切羽評価装置200は、測定機器群155によって得られた計測データに基づく分布データを取得する(ステップS202)。
学習部280は、切羽画像データ及び三次元切羽モデルと、ステップS101においてトンネル技術者によって評価結果との関係を学習する(ステップS203)。ここでの学習は、ディープラーニングによって行われる。また、データ前処理部250は、計測データに基づいて分布データ(例えば、穿孔エネルギー値に基づく圧縮強度分布データ)を生成する(ステップS204)。
次に、学習部280は、切羽画像や三次元切羽モデルに対して評価されることで得られるクラス(画像に応じた数値化されたデータ)と分布データとの組み合わせと、トンネル技術者によって評価された評価結果(例えばクラス)(符号101a)との関係を学習することで学習済みモデルを生成する(ステップS205)。ここでの学習は機械学習によって行われる。
また、ステップS205において用いられる数値化データは、ステップS203の学習によって学習済みモデルを用いて算出してもよいし、トンネル技術者の評価結果を用いるようにしてもよい。
ここでは、学習結果を評価検証し、その結果をフィードバックすることで(ステップS206)、繰り返し学習をし、学習済みモデルの精度を上げることもできる。
切羽AI実行フェーズにおいて、
数値化データ算出部260は、今回評価したい対象である切羽を対象として、切羽画像、三次元切羽モデル、計測データが得られると(ステップS301)、切羽画像データ、三次元切羽モデルを、ディープラーニングによって得られた学習済みモデルに入力することで、数値化データを求める(ステップS302)。ここでは、切羽画像データを分割することで得られる複数の分割切羽画像データを、それぞれ学習済みモデルに入力することで、それぞれの分割切羽画像データ毎に、数値化データを得ることができる。また、三次元切羽モデルを分割することで得られる複数の分割三次元切羽モデルを、それぞれ学習済みモデルに入力することで、それぞれの分割三次元切羽モデル毎に、数値化データを得ることができる。なお、三次元切羽モデルの代わりに、数値標高モデルを用いて予め学習した場合には、分割数値標高モデルをその学習済みモデルに入力することで、分割数値標高モデルに応じた数値化データを得ることもできる。
このようにして、画像の内容に応じて数値化することができる。
例えば、このディープラーニングが用いられる学習済みモデルを用いてAIによる処理を実行することで、切羽がもつ特徴量を数値化することができる。ここでは、切羽画像をメッシュ状に所定の数となるように分割されたデジタル地質データ(切羽写真データや三次元切羽モデル)を用いて、視覚的に判別しやすい特徴を程度に応じてn段階(例えば3段階)にクラス分けする。
《風化》
例えば、評価項目が「風化」の場合、切羽が風化している場合には岩石が酸化し茶色に変色する性質がある。この性質を利用し、分割された画像内において全体に茶色を呈する画像は風化のクラスを3、部分的に茶色の画像は風化のクラスを2、茶色が全くない画像は風化のクラスを1として付与する。
このような評価項目のそれぞれにおいて、AIモデルの学習と性能評価(評価検証)を行い、未知のデータ(これから評価を行う切羽の画像)をこの学習済みモデルに入力することで、特徴量ごとに切羽を数値で表現することが可能となる。
例えば、「風化」については、切羽状態と風化変質を示すクラスとの関係を深層学習させた「風化分類モデル」を用いて、切羽画像データを分割した各ブロックの風化の状態を複数の段階(風化クラス,ここでは一例として3段階)に分類することで、風化状態を数値化データにて表した風化状態データを得ることができる。
また、「割れ目」については、切羽状態と割れ目の状態を示すクラスとの関係を深層学習させた「割目分類モデル」を用いて、切羽画像データを分割した各ブロックの割目の状態を複数の段階(割目クラス,ここでは一例として3段階)に分類することで、割れ目の状態を数値化データにて表した割目状態データを得ることができる。
この図において、切羽画像データは、横方向に12行、縦方向に6列となるように分割された場合が図示されており、分割されたそれぞれの分割画像の下方に、分類されたクラスが示されている。風化の状態の段階(風化クラス)は、例えば、「風化なし」を示す風化クラス1、「風化少し有り」を示す風化クラス2、「風化有り」を示すクラス3、の3段階がある。
例えば、横方向に7行目、縦方向2列目にある分割切羽画像データにおいては、その分割切羽画像データの領域内において茶色の画素の数が多数あることから、風化のクラスが3として分類されている。一方、横方向に4行目、縦方向6列目にある分割切羽画像データにおいては、その分割切羽画像データの領域内において茶色の画素の数が非常に少なく、白色の画素が多めに存在することから、風化のクラスが2として分類されている。このような分類は、習熟したトンネル技術者が行うことで切羽の評価結果としての精度が高い。しかし、ここでは、習熟したトンネル技術者の評価結果を用いて学習しておき、その学習済みモデルを利用することで、習熟したトンネル技術者の知識や経験を反映させた上で、画像の内容に応じて数値化することができる。
風化分類モデルは、切羽画像データと、当該切羽画像データの画像領域を複数領域に分割したそれぞれの分割領域に割り当てられた風化のクラスとの関係を学習した学習済モデルである。風化分類モデルは、切羽画像データが入力されることに応じて風化状態データを得ることができるモデルである。
学習に用いられる切羽画像データは、RGB(赤、緑、青)データであり、縦方向及び横方向に所定の分割数で分割される。この分割画像から特徴的な画像を選択し、選択された分割画像に対して、風化クラス1~3のいずれかを示すラベルが付与される。この風化クラスがラベルとして付与された切羽画像データを風化教師データとし、学習部280が学習する。
このラベルの付与は、例えば上述のステップS100においてトンネル技術者によって評価された結果が、入力デバイスを介して入力される。
図7は、評価項目「割れ目の状態」において、数値化データ(割れ目状態データ)を得た場合の一例を示す図である。割れ目状態データは、撮像装置110a、撮像装置110b、撮像装置110cによって撮像された画像データを基に得られる三次元切羽モデルが複数の領域に分割され、その分割された領域毎に、割れ目の状態がいずれの段階であるかを示す割目のクラスが割り当てられたデータである。
この図において、切羽画像データは、上述の「風化」の場合と同様に横方向に12行、縦方向に6列となるように分割されており、分割されたそれぞれの分割画像の下方に、分類されたクラスが示されている。割目の状態の段階(割目クラス)は、例えば、「割目なし」を示す割目クラス1、「大きい割目」を示す割目クラス2、「複雑な割目」を示す割目クラス3、の3段階がある。
ここでは、三次元切羽モデルでは、切羽における凹凸を色の濃淡で表現することができ、この濃淡の度合いに基づいて、割れ目を把握することができる。この濃淡の度合いは、任意の段階であってもよいが、凹凸の特徴量をより強調するために、割れ目の深さ(奥行き方向)が所定値以上の場合に黒、所定値未満である場合に白、を割り当てるような二値化などの前処理をデータ前処理部250が行っておくようにしてもよい。
例えば、横方向に7行目、縦方向6列目にある分割三次元切羽モデルにおいては、その分割三次元切羽モデルの領域内において、黒を示す画素と、白を示す画素が複雑な配置になっていることから、割れ目が複雑な状態であるものとし、割れ目のクラスが3として分類されている。横方向に5行目、縦方向6列目にある分割三次元切羽モデルにおいては、その分割三次元切羽モデルの領域内において白色の画素が非常に多く、黒色の画素が非常に少ないことから、割れ目のクラスが1として分類されている。横方向に9行目、縦方向5列目にある分割三次元切羽モデルにおいては、その分割三次元切羽モデルの領域内において、黒色の画素と白色の画素が離散的に存在しているのではなく、黒色の画素が隣接している領域と、白色の画素が隣接している領域との2つに分けることも可能であることから、ある程度大きな割れ目であるといえることから、割れ目のクラスが2として分類されている。
このような分類は、習熟したトンネル技術者が行うことで切羽の評価結果としての精度が高い。しかし、ここでは、習熟したトンネル技術者の評価結果を用いて学習しておき、その学習済みモデルを利用することで、習熟したトンネル技術者の知識や経験を反映させた上で、画像の内容に応じて数値化することができる。
割目分類モデルは、切羽画像データと、当該切羽画像データの画像領域を複数領域に分割したそれぞれの分割領域に割り当てられた割目のクラスとの関係を学習した学習済モデルである。割目分類モデルは、切羽画像データが入力されることに応じて割目状態データを得ることができるモデルである。
学習に用いられる数値標高モデルは、上述した三次元切羽モデル生成部220によってされる数値標高モデルを用いることができる。
数値標高モデルは、複数アングルの切羽画像データからSfM技術を用いて切羽の三次元点群化したデータである。
この割目分類モデルを作成するために、トンネル坑口側からある地点(例えば、50切羽(50メートル))までの範囲で得られる切羽画像データから、数値標高モデルを生成する。数値標高モデルを用いることで、切羽における凹凸形状に応じて色の濃淡で表現される画像データであり、この色の濃淡を元に、所定以上の標高である部位については、クラックであるとみなすことができる。
数値標高モデルの特徴量をより強調する場合には、色の濃淡で表現するのではなく、2値化処理することで、クラックがあるか否かを表すようにしてもよい。
学習に用いられる数値標高モデルは、縦方向及び横方向に所定の分割数で分割される。この分割画像から特徴的な画像を選択し、選択された分割画像に対して、割目クラス1~3のいずれかをラベルが付与され、学習部280が学習する。
このラベルの付与は、例えば地山評価をする技術が習熟した技術者によって判断された結果を、入力デバイスを介して入力される。
この機械学習によって学習済みモデルは、切羽画像データの画像の特徴量を数値化した数値化データを用いて、数値列と各切羽観察項目の点数との相関を学習した学習済みモデルである。この機械学習については、機械学習の一手法である決定木を応用した勾配ブースティング決定木という手法を採用した。決定木は、分類に至る過程が比較的容易に解釈できるというメリットがある。
切羽画像データに基づいて、「風化」について得られた数値化データ(符号801)、三次元切羽モデルに基づいて、「割れ目」について得られた数値化データ(符号802)、圧縮強度分布データに基づく切羽の「軟硬」について得られた数値化データ(符号803)は、それぞれの分割切羽画像データが配列された順に従い、各分割切羽画像データに対応する数値化データが配列されることで、特徴量データとして数列化される。
例えば、「風化」について得られた数値化データ(符号801)は、1つの切羽画像データにおいて、横方向12分割、縦方向6分割である場合には、72個の分割切羽画像データを含むため、各分割切羽画像データについてそれぞれ得られた数値化データが配列され、72変数の数値化データが得られる。
「割れ目」について得られた数値化データ(符号801)についても同様に、1つの切羽画像データにおいて、横方向12分割、縦方向6分割である場合には、72個の分割切羽画像データを含むため、各分割切羽画像データについてそれぞれ得られた数値化データが配列され、72変数の数値化データが得られる。
圧縮強度分布データに基づく切羽の「軟硬」について得られた数値化データ(符号803)は、1つの切羽において10箇所において計測されるが、センター部分の計測データは天端、右肩(または左肩)において重複して用いるようにし、4変数×3(天端、右肩、左肩)であり、合計12変数の数値化データが得られる。
ここでは、切羽画像データと三次元切羽モデルと圧縮強度分布データについては、縦方向及び横方向における分割数は互いに同じであり、数値化データを配列する順序も同じである。
数値化データは、特徴量データとして数列化され、切羽観察項目にそって特徴量を選択することで複数の変数を同時に評価することができる。いずれの特徴量を用いるか否かについては、選択メニュー画面(符号820)において、指定できるようになっている。例えば、この図では、切羽観察項目のうち「切羽の状態」について、「風化」の数値化データと、「割れ目」の数値化データと、「軟硬」の数値化データの全てを用いることが選択されている。また、切羽の観察項目「風化の変質」については、「風化」の数値化データのみ選択されている。
例えば、切羽観察項目「切羽の状態」を評価する際に、風化・割れ目・岩盤強度から総合的に判断するとした場合、「風化」の数値化データ、「割れ目」の数値化データ、「軟硬」の数値化データ、の全てが選択され、右肩または左肩においては、風化(18変数)、割れ目(18変数)、岩盤強度(4変数)を合わせた40変数を特徴量データとした数値列が得られる。天端においては、風化(36変数)、割れ目(36変数)、岩盤強度(4変数)を合わせた76変数を特徴量データとした数値列が得られる。
また、特徴量データは、切羽画像データが分割された際の各分割切羽画像データの配置関係に従い、切羽の左上から右下に向かって順に配列されるため、切羽全体における分割切羽画像データの位置も加味することができる。
学習部280は、作成した特徴量データの数値列パターンとトンネル技術者(地質専門技術者)が実際に評価した各項目の評価点との関連を学習することで学習済みモデルを得る。このようにして得られた学習済みモデルを用いることで、未知(これから評価する切羽)の特徴量データに対してその配列パターンの傾向から適切な地山評価を行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、2種類以上の特徴を同時に評価することができることから、より切羽観察項目に沿った地山評価が可能となる。
また、切羽を所定の分割数となるように細かく分割することで、切羽に良好な部分と劣悪な部分が混在する場合でも、適切な評価が可能となる。
Claims (12)
- 切羽を撮像した切羽画像データを取得する切羽画像データ取得部と、
切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データと、切羽画像データに基づく切羽の特徴を示す数値化データとの関係を学習した第1学習済みモデルに対して、判定対象である切羽画像データが前記所定の数に分割された分割切羽画像データをそれぞれ入力することで、分割切羽画像データ毎に、数値化データを求める数値化データ算出部と、
切羽を穿孔する施工機械の前記切羽を穿孔する際の施工状況を表す計測データを取得する計測データ取得部と、
前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記切羽を評価する評価者によって評価された結果である評価データとの関係を学習した第2学習済みモデルに対して、前記数値化データ算出部によって算出された数値化データと前記計測データ取得部によって得られた計測データとを入力することで、前記判定対象である切羽画像データに対する評価データを求める評価データ算出部と、
を有する切羽評価システム。 - 前記数値化データ算出部が用いる学習済みモデルは、ディープラーニングによって学習された学習済みモデルであり、
前記評価データ算出部が用いる学習済みモデルは、機械学習によって学習された学習済みモデルである
請求項1記載の切羽評価システム。 - 前記分割切羽画像データ毎の数値化データは、前記分割切羽画像データが配列された順序に従って、配列される
請求項1または請求項2に記載の切羽評価システム。 - 複数のカメラから得られる前記切羽画像データから生成される三次元切羽モデルを取得する三次元切羽モデル取得部を有し、
前記第1学習済みモデルは、
前記分割切羽画像データと、切羽の風化度合いに応じて数値化した風化度合いデータとの関係を学習した第3学習済みモデルと、
前記三次元切羽モデルを前記所定の数に分割された分割三次元切羽モデルと、切羽の割れ目の状態に応じて数値化した割れ目状態データとの関係を学習した第4学習済みモデルと、を含み、
前記第2学習済みモデルは、
前記風化度合いデータと前記割れ目状態データと前記計測データとの組み合わせと、前記評価データとの関係を学習した学習済みモデルであり、
前記数値化データ算出部は、前記第3学習済みモデルに対して、前記分割切羽画像データをそれぞれ入力することで、分割切羽画像データ毎に、風化度合いデータを求めるとともに、前記第4学習済みモデルに対して、前記分割三次元切羽モデルをそれぞれ入力することで、分割三次元切羽モデル毎に、割れ目状態データを求め、
前記評価データ算出部は、前記第2学習済みモデルに対して、前記数値化データ算出部によって得られた風化度合いデータと割れ目状態データとを入力することで、評価データを求める
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の切羽評価システム。 - 前記計測データは切羽の岩盤の圧縮強度である
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の切羽評価システム。 - 複数のカメラによって切羽を異なる撮像アングルから撮像した切羽画像データを取得する切羽画像データ取得部と、
前記切羽を評価する評価者によって切羽の外観に基づく切羽の状態が評価された結果である評価結果を取得する評価結果取得部と、
切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データと、前記評価結果とを用いて、分割切羽画像データと評価結果との関係を学習することで学習済みモデルを生成する学習部と、
を有する切羽評価学習システム。 - 切羽を撮像した切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データのそれぞれに対して求められた、切羽画像データに基づく切羽の特徴を示す数値化データを取得する数値化データ取得部と、
切羽を穿孔する施工機械の前記切羽を穿孔する際の施工状況を表す計測データを取得する計測データ取得部と、
前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記切羽を評価する評価者によって評価された結果である評価データとを用いて、前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記評価データとの関係を学習することで学習済みモデルを生成する学習部と、
を有する切羽評価学習システム。 - 切羽画像データ取得部が、切羽を撮像した切羽画像データを取得し、
数値化データ算出部が、切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データと、切羽画像データに基づく切羽の特徴を示す数値化データとの関係を学習した第1学習済みモデルに対して、判定対象である切羽画像データが前記所定の数に分割された分割切羽画像データをそれぞれ入力することで、分割切羽画像データ毎に、数値化データを求め、
計測データ取得部が、切羽を穿孔する施工機械の前記切羽を穿孔する際の施工状況を表す計測データを取得し、
評価データ算出部が、前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記切羽を評価する評価者によって評価された結果である評価データとの関係を学習した第2学習済みモデルに対して、前記数値化データ算出部によって算出された数値化データと前記計測データ取得部によって得られた計測データとを入力することで、前記判定対象である切羽画像データに対する評価データを求める
切羽評価方法。 - 切羽画像データ取得部が、複数のカメラによって切羽を異なる撮像アングルから撮像した切羽画像データを取得し、
評価結果取得部が、前記切羽を評価する評価者によって切羽の外観に基づく切羽の状態が評価された結果である評価結果を取得し、
学習部が、切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データと、前記評価結果とを用いて、分割切羽画像データと評価結果との関係を学習することで学習済みモデルを生成する
切羽評価学習方法。 - 数値化データ取得部が、切羽を撮像した切羽画像データを所定の数の領域に分割した分割切羽画像データのそれぞれに対して求められた、切羽画像データに基づく切羽の特徴を示す数値化データを取得し、
計測データ取得部が、切羽を穿孔する施工機械の前記切羽を穿孔する際の施工状況を表す計測データを取得し、
学習部が、前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記切羽を評価する評価者によって評価された結果である評価データとを用いて、前記数値化データと前記計測データとの組み合わせと、前記評価データとの関係を学習することで学習済みモデルを生成する
切羽評価学習方法。 - 請求項1に記載された切羽評価システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
- 請求項6または請求項7に記載された切羽評価学習システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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