以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
(1)画像形成装置
図1(a)は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す概略図である。画像形成装置1は、外部機器から入力される画像情報に基づいて記録材に画像を形成するモノクロプリンターである。記録材には、普通紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布等の、材質の異なる様々なシート材が含まれる。
(1-1)全体構成
画像形成装置1は、図1(a)(b)に示すように、装置本体としてのプリンタ本体100と、プリンタ本体100に開閉可能に支持される読取装置200と、プリンタ本体100の外装面に取付けられた操作部300と、を有している。プリンタ本体100は、画像形成部10と、給送部60と、定着部70と、排出ローラ対80と、を有している。給送部60は画像形成部10に記録材を給送し、画像形成部10は記録材にトナー像を形成する。定着部70は、画像形成部10によって形成されたトナー像を記録材に定着させ、排出ローラ対80は定着部70を通過した記録材を装置外に排出する。また、本実施形態のプロセスカートリッジ20には、補給用のトナーが充填されたトナーパック40を用いて、画像形成装置1の外部からトナーを直接補給する直接補給方式を採用している。
画像形成部10は、スキャナユニット11と、プロセスカートリッジ20と、転写ローラ12と、を有する電子写真式の画像形成手段である。プロセスカートリッジ20は、感光ドラム21と、感光ドラム21の周囲に配置された帯電ローラ22、現像ローラ31及びクリーニングブレード24と、を有している。
本実施形態における像担持体としての感光ドラム21は、円筒型に成形された感光体である。本実施形態の感光ドラム21は、アルミニウムで成形されたドラム状の基体上に、負帯電性の有機感光体で形成された感光層を有している。また、感光ドラム21は、モータによって所定の方向(図中時計周り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
帯電ローラ22は、感光ドラム21に所定の圧接力で接触し、帯電部を形成する。また、帯電高圧電源によって所望の帯電電圧を印加されることで、感光ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施形態では、感光ドラム21は帯電ローラ22により負極性に帯電する。
スキャナユニット11は、外部機器又は読取装置200から入力された画像情報に対応したレーザ光Lを、ポリゴンミラーを用いて感光ドラム21に照射することで、感光ドラム21の表面を走査露光する。この露光により、感光ドラム21の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。なお、スキャナユニット11は、レーザスキャナ装置に限定されることはなく、例えば、感光ドラム21の長手方向に沿って複数のLEDが配列されたLEDアレイを有するLED露光装置を採用してもよい。
現像ユニット802は、現像剤を担持する現像剤担持体としての現像ローラ31と、現像ユニット802の枠体となる現像容器32と、現像ローラ31に現像剤を供給可能な供給ローラ33と、を備えている。現像ローラ31及び供給ローラ33は、現像容器32によって回転可能に支持されている。また、現像ローラ31は、感光ドラム21に対向するように、現像容器32の開口部に配置されている。供給ローラ33は現像ローラ31に回転可能に当接しており、現像容器32に収容されている現像剤としてのトナーは供給ローラ33によって現像ローラ31の表面に塗布される。
本実施形態の現像ユニット802は、現像方式として接触現像方式を用いている。即ち、現像手段としての現像ローラ31に担持されたトナー層が、感光ドラム21と現像ローラ31とが対向する現像部(現像領域)において感光ドラム21と接触する。現像ローラ31には現像高圧電源によって現像電圧が印加される。現像電圧の下で、現像ローラ31に担持されたトナーが感光ドラム21の表面の電位分布に従って現像ローラ31からドラム表面に転移することで、静電潜像がトナー像に現像される。なお、本実施形態では、反転現像方式を採用している。即ち、帯電工程において帯電させられた感光ドラム21の表面のうち、露光工程において露光されることで電荷量が減衰した領域にトナーが付着することでトナー像が形成される。
また、本実施形態では、粒径が6μm、正規の帯電極性が負極性のトナーを用いている。本実施形態のトナーは一例として重合法により生成された重合トナーを採用している。また、本実施形態のトナーは磁性成分を含有せず、主に分子間力や静電気力(鏡像力)によってトナーが現像ローラ31に担持される、所謂非磁性の一成分現像剤である。ただし、磁性成分を含有する一成分現像剤を用いてもよい。また、一成分現像剤には、トナー粒子以外にもトナーの流動性や帯電性能を調整するための添加物(例えば、ワックスやシリカ微粒子)が含まれている場合がある。また、現像剤として非磁性のトナーと磁性を有するキャリアとによって構成された二成分現像剤を用いてもよい。磁性を有する現像剤を用いる場合、現像剤担持体としては、例えば内側にマグネットが配置された円筒状の現像スリーブが用いられる。つまり、現像容器32に収容されるのは、トナー成分からなる一成分現像剤に限らず、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤であってもよい。
現像容器32の内部には、撹拌手段としての撹拌部材34が設けられている。撹拌部材34は、駆動されて回動することで、現像容器32内のトナーを撹拌すると共に、現像ローラ31及び供給ローラ33に向け、トナーを送り込む。また、撹拌部材34は、現像に使用されず現像ローラ31から剥ぎ取られたトナーを現像容器内で循環させ、現像容器内のトナーを均一化する役割を有する。
また、現像ローラ31が配置される現像容器32の開口部には、現像ローラ31に担持されるトナーの量を規制する現像ブレード35が配置されている。現像ローラ31の表面に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って現像ブレード35との対向部を通過することで、均一に薄層化され、また摩擦帯電により負極性に帯電させられる。
給送部60は、プリンタ本体100に開閉可能に支持される前扉61と、積載トレイ62と、中板63と、トレイバネ64と、ピックアップローラ65と、を有している。積載トレイ62は、前扉61が開かれることで現れる記録材収容空間の底面を構成しており、中板63は、積載トレイ62に昇降可能に支持されている。トレイバネ64は、中板63を上方に付勢しており、中板63に積載された記録材Pをピックアップローラ65に押し付ける。なお、前扉61は、プリンタ本体100に対して閉じられた状態で記録材収容空間を閉塞し、プリンタ本体100に対して開かれた状態で積載トレイ62、中板63と共に記録材Pを支持する。
転写手段としての転写ローラ12は、プロセスカートリッジ20の感光ドラム21に形成されたトナー像を記録材に転写する。なお、本実施形態は、像担持体に形成されたトナー像を、像担持体から記録材に直接転写する直接転写方式について説明するが、像担持体から中間転写ベルト等の中間転写体を介して記録材にトナー像を転写する中間転写方式であってもよい。その場合、例えば、中間転写ベルトと、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を一次転写する一次転写ローラと、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写する二次転写ローラとによって構成される転写ユニットが転写手段として機能する。
定着部70は、記録材上のトナーを加熱して溶融させることで画像の定着処理を行う熱定着方式のものである。定着部70は、定着フィルム71と、定着フィルム71を加熱するセラミックヒータ等の定着ヒータと、定着ヒータの温度を測定するサーミスタと、定着フィルム71に圧接する加圧ローラ72と、を備える。
次に、画像形成装置1の画像形成動作について説明する。画像形成装置1に画像形成の指令が入力されると、画像形成装置1に接続された外部のコンピュータ又は読取装置200から入力された画像情報に基づいて、画像形成部10による画像形成プロセスが開始される。スキャナユニット11は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム21に向けてレーザ光Lを照射する。このとき感光ドラム21は、帯電ローラ22により予め帯電されており、レーザ光Lが照射されることで感光ドラム21上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラ31によりこの静電潜像が現像され、感光ドラム21上にトナー像が形成される。
上述の画像形成プロセスに並行して、給送部60のピックアップローラ65は、前扉61、積載トレイ62及び中板63に支持された記録材Pを送り出す。記録材Pは、ピックアップローラ65によってレジストレーションローラ対15に給送され、レジストレーションローラ対15のニップに突き当たることで斜行が補正される。そして、レジストレーションローラ対15は、スキャナユニット11の露光開始時刻から求められるトナー像の転写タイミングに合わせて駆動され、記録材Pを転写ローラ12及び感光ドラム21によって形成されるニップ部である転写部に向けて搬送する。
転写ローラ12には、転写高圧電源から転写電圧が印加され、レジストレーションローラ対15によって搬送される記録材Pに感光ドラム21に担持されているトナー像が転写される。転写後の感光ドラム21は、感光ドラム21に当接した弾性体ブレードであるクリーニングブレード24によって表面の転写残トナーが除去される。トナー像を転写された記録材Pは、定着部70に搬送され、定着部70の定着フィルム71と加圧ローラ72との間のニップ部を通過する際にトナー像が加熱及び加圧される。これによりトナー粒子が溶融し、その後固着することで、トナー像が記録材Pに定着する。定着部70を通過した記録材Pは、排出ローラ対80によって画像形成装置1の外部に排出され、プリンタ本体100の上部に形成された排出トレイ81に積載される。
排出トレイ81は、記録材の排出方向における下流に向けて上方に傾斜しており、排出トレイ81に排出された記録材は、排出トレイ81を滑り下りることで、後端が規制面84によって整合される。
(1-2)画像形成装置の開閉可能な部分
図2(a)、(b)及び図3に示すように、プリンタ本体100の上部には、上方に開口した第1開口部101が設けられている。第1開口部101は、使用中の状態ではトップカバー82によって覆われ(図1(b))、トップカバー82を上方に開くことでプロセスカートリッジ20が露出する(図2(b))。トップカバー82は、左右方向に延びる回動軸82c(図3)を中心にプリンタ本体100に対して開閉可能に支持されており、上面に排出トレイ81が設けられている。トップカバー82は、読取装置200がプリンタ本体100に対して開かれた状態で、手前側から奥側に向けて開かれる。なお、読取装置200及びトップカバー82は、ヒンジ機構等の保持機構によって、開かれた状態及び閉じられた状態で保持されるように構成されてもよい。
例えば、ピックアップローラ65によって給送された記録材が通過する搬送路CPにおいて、記録材がジャム(紙詰まり)してしまった場合、ユーザは読取装置200と共にトップカバー82を開く。そして、ユーザは、トップカバー82が開かれたことで露出した第1開口部101からプロセスカートリッジ20にアクセスし、プロセスカートリッジ20をカートリッジガイド102に沿って引き出す。カートリッジガイド102は、感光ドラム21の軸方向におけるプロセスカートリッジ20の端部に設けられた突出部21a(図5(a))に摺動して案内する。
そして、第1開口部101から外部にプロセスカートリッジ20が引き出されることで、搬送路CPに手を入れることができるスペースができる。ユーザは、第1開口部101からプリンタ本体100の内部に手を入れ、搬送路CPでジャムした記録材にアクセスすることで、ジャムした記録材を除去することができる。
また、本実施形態では、図1(b)及び図4(c)に示すように、トップカバー82に開閉部材83が開閉可能に設けられている。排出トレイ81が設けられているトップカバー82の上面には、上方に開口した開口部82aが設けられており、開閉部材83が閉じられることで開口部82aが覆われる。開閉部材83及び開口部82aは、トップカバー82の右側に設けられている。また、開閉部材83は、前後方向に延びる回動軸83aを中心に開閉可能にトップカバーに82に支持されており、トップカバー82に設けられた溝部82bから指を掛けることで右方向に開かれる。開閉部材83は、トップカバー82の形状に沿って、略L字状に形成されている。なお、開閉部材83は、上記の開閉機構に限らない。例えば補給容器装着部701を覆うようにしてトップカバー82上に配置し、且つトップカバー82と垂直に交わる回動軸を中心にしてトップカバー82の上面を滑るように回動することで開口部82aを開閉するように構成されていてもよい。ここで、トップカバー82の上面を滑るとは、開閉部材83の回動軸線方向の移動が規制されていることを意味する。
開口部82aは、プロセスカートリッジ20の上部に設けられたトナー補給用の補給容器装着部701が露出するように開口している。開閉部材83を開くことで、ユーザは、トップカバー82を開けることなく補給容器装着部701にアクセスすることができる。ユーザは、トナーパック40を補給容器装着部701に装着することで、トナーをプロセスカートリッジ20に補給することができる。
本実施形態では、プロセスカートリッジ20が画像形成装置1に装着された状態のまま、ユーザが補給用のトナーが充填されたトナーパック40(図1(a)(b))からプロセスカートリッジ20へとトナーを補給する方式(直接補給方式)を採用している。このため、プロセスカートリッジ20のトナー残量が少なくなった場合に、プロセスカートリッジ20をプリンタ本体100から取り出して新品のプロセスカートリッジに交換する作業が不要になるので、ユーザビリティを向上することができる。なお、画像形成装置1及びトナーパック40は、画像形成システムを構成している。
なお、本実施形態は画像形成装置1の上部に読取装置200が設けられており、開閉部材83を開く場合には、先に読取装置200を開いてトップカバー82を露出させる必要がある。しかしながら、読取装置200を省略し、はじめから開閉部材83が画像形成装置1の上部に露出している構成であってもよい。
(1-3)読取装置
読取装置200は、図4(a)(b)に示すように、内部に不図示の読取部を内蔵する読取ユニット201と、読取ユニット201に開閉可能に支持される圧板202と、を有している。読取ユニット201の上面には、読取部から出射される光を透過すると共に、原稿が載置される原稿台ガラス203が設けられている。
ユーザは、原稿の画像を読取装置200によって読取らせる場合には、圧板202を開いた状態で原稿台ガラス203に原稿を載置する。そして、圧板202を閉じることで原稿台ガラス203の上の原稿の位置ずれを防止し、例えば操作部300を操作することで画像形成装置1に読取指令を出力する。読取動作が開始されると、読取ユニット201内の読取部が副走査方向、すなわち画像形成装置1の操作部300を正面に臨んだ状態で左右方向に読取部が往復移動する。読取部は、発光部から原稿に対して光を出射しつつ、原稿によって反射した光を受光部によって受光し、光電変換することで原稿の画像を読み取る。
なお、以下では、操作部300を正面に臨んだ状態を基準にして、画像形成装置1における前後方向、左右方向及び上下方向(重力方向)を規定する。プロセスカートリッジ20を始めとしてプリンタ本体100に対して着脱可能な部材の位置関係は、プリンタ本体100に装着された状態を基準にして説明する。また、プロセスカートリッジ20の「長手方向」とは、感光ドラム21の軸線方向を指す。
(1-4)プロセスカートリッジの構成
次に、プロセスカートリッジ20の構成について説明する。図5(a)は、プロセスカートリッジ20及びトナーパック40を示す斜視図であり、図5(b)は、プロセスカートリッジ20及びトナーパック40を示す側面図である。図6(a)は、図5(b)の6A-6A断面図であり、図6(b)は、図5(b)の6B-6B断面図であり、図6(c)は、図6(a)、(b)の6C-6C断面図である。なお、図5及び図6において、補給容器装着部701の外形を簡略化して図示している(詳細な形状は、例えば図9(a)参照)。
図5乃至図6に示すように、プロセスカートリッジ20は、トナー受けユニット801、現像ユニット802及びクリーニングユニット803から構成されている。トナー受けユニット801、クリーニングユニット803及び現像ユニット802は、重力方向上方から下方にこの順に配置されている。以下、順に各ユニットについて説明する。
トナー受けユニット801は、プロセスカートリッジ20の上部に配置されている。トナー受けユニット801の内部にはトナーを収容する枠体で構成されるトナー収容部8011が設けられ、長手方向端部にはトナーパック40と結合する補給容器装着部701が設けられている。なお、トナー収容部8011を構成する枠体は1つの部材で構成されても、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。補給容器装着部701は、トナーパック40から排出されるトナーを受ける補給口8012を有する。補給容器装着部701の詳細な構成及び補給容器装着部701に対するトナーパック40の装着については後述する。
さらに、トナー受けユニット801の内部には、第一搬送部材8013、第二搬送部材8014及び第三搬送部材8015が設けられている。第一搬送部材8013は、補給口8012を介して長手方向におけるトナー収容部8011の端部に落下したトナーを、トナー収容部8011の中央部に向かって矢印H方向(図6(c))に搬送する。第二搬送部材8014は、第一搬送部材8013によって搬送されたトナーを、長手方向に垂直な矢印J方向(図6(c))に向かって、現像ユニット802の上方、即ち、排出口8016まで搬送する。第三搬送部材8015は、第二搬送部材8014から主に長手方向の中央部でトナーを受け取り、長手方向の一方側と他方側(矢印K方向と矢印K’方向)に搬送する。なお、第一乃至第三搬送部材を、トナーを移動させるように動作するので、第一乃至第三現像剤移動部材と言い換えることもできる。
補給容器としてのトナーパック40からのトナーがトナー受けユニット801に流入してくる際に、空気も同時に流入する。トナー受けユニット801は、トナー補給時にトナーが補給されやすいように、トナー補給時に空気が矢印H方向に流れることを許容するためのエアフィルタ8017(図5(a)参照)を有している。このエアフィルタ8017は、トナー補給時にトナー受けユニット801の内圧が高まって一部の空気が矢印H方向とは反対方向に流れることで補給口8012からトナーが噴出することを防いでいる。なお、図5(a)に示す排気部(エアフィルタ8017)の数は、変更することができる。例えば、図20に示すように、トナー補給時に空気が矢印H方向に流れることを許容するための第一排気部811及び第二排気部812(図20参照)を有していてもよい。第一排気部811及び第二排気部812の詳細については後述する。
そして、トナー受けユニット801の長手方向両端部には、トナー収容部8011から現像ユニット802の現像容器32へトナーを排出するための排出口8016(図6(b)が設けられている。第三搬送部材8015によって排出口8016に到達したトナーは、重力によって現像容器32へと落下する。なお、排出口8016経路途中に搬送部材を更に設け重力によるトナー移動を保持しても良い。
プロセスカートリッジ20の下部に位置する現像ユニット802は、排出口8016から排出されたトナーを受ける開口8021を有する(図6(b))。排出口8016と開口8021の間には不図示のシール部材が設けられており、排出口8016と開口8021の間の隙間からトナーが漏れ出ないようにシールされている。
トナーパック40から補給口8012を介してトナー受けユニット801に落下したトナーは、トナー受けユニット801の内部を第一搬送部材8013、第二搬送部材8014及び第三搬送部材8015により搬送される。そして、長手方向の両端部の排出口8016及び開口8021を介して、トナー受けユニット801から現像ユニット802に受け渡される。このようにして、長手方向においてプロセスカートリッジ20の端部に位置し、かつ、長手方向から見て現像容器32から水平方向に離れた位置にある補給口8012を介して補給されるトナーが、カートリッジ内部で搬送されて現像容器32に到達する。
このように、トナー受けユニット801のトナー収容部8011及び現像ユニット802の現像容器32は、互いに連通することにより、プロセスカートリッジ20においてトナーを収容する空間を形成する収容容器を構成している。従って、本実施形態では、外部からトナーを補給するための補給口8012がプロセスカートリッジ20の収容容器の一部として設けられていることになる。ただし、補給容器と直接連結される補給口がプリンタ本体に設けられ、プロセスカートリッジがこの補給口を介してトナーを受け取るようにしてもよい。この場合、補給口を除く部分のプロセスカートリッジ20が、図3に示されるように画像形成装置1から着脱可能になる。
開口8021を介して現像ユニット802に供給されたトナーは、現像ユニット802の枠体で構成される現像容器32の内部に形成される搬送室36に収容されることになる(図6(a)、(b))。なお、現像容器32を構成する枠体は1つの部材で構成されても、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。ここで、搬送室36には撹拌部材34が設けられている。撹拌部材34は、撹拌部材34の回転中心の近傍に設けられる軸部材34aと、軸部材34aから径方向に延びる羽根部34bと、を有している。断面において、羽根部34bの先端の回転軌跡内にあるトナーは羽根部34bの移動に応じて押され移動する。開口8021を介して補給されたトナーは、撹拌部材34によって撹拌されながら、現像ローラ31、供給ローラ33及び現像ブレード35に向かって搬送されることになる。
クリーニングユニット803は、第四搬送部材8031、第五搬送部材8032及び枠体で構成される廃トナー室8033を備えている(図6(a)、(b))。なお、廃トナー室8033を構成する枠体は1つの部材で構成されても、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。廃トナー室8033は、クリーニングブレード24によって感光ドラム21から回収された転写残トナー等の回収物(いわゆる廃トナー)を収容する空間であり、トナー受けユニット801及び現像ユニット802の内部空間とは独立している。クリーニングブレード24によって回収された廃トナーは、第四搬送部材8031及び第五搬送部材8032により矢印M方向に搬送され、廃トナー室の奥部8033aから手前に徐々に堆積されていく。
ここで、クリーニングユニット803と現像ユニット802との間には、スキャナユニット11(図1(a))から感光ドラム21に向けて出射されるレーザ光Lが通過可能な空隙としてのレーザ通過空間SPが形成されている(図6(a))。上述した通り、トナー受けユニット801から現像ユニット802にトナーを受け渡すための排出口8016及び開口8021は、長手方向における各ユニットの端部に設けられている。このため、プロセスカートリッジ20全体としてコンパクトな構成で、レーザ通過空間SPを確保しつつ、画像形成装置の外部から(特に、装置の上面に開口する補給口を介して)補給されるトナーを、カートリッジ下部の現像容器32まで搬送できる。
(1-5)トナーパックの構成
トナーパック40の構成について説明する。図7(a)はシャッタ部材41が閉状態にあるトナーパック40を示す斜視図であり、図7(b)はその下面図である。図8(a)はシャッタ部材41が開状態にあるトナーパック40を示す斜視図であり、図8(b)はその下面図であり、図8(c)はトナー補給時にユーザがトナーパック40を手で絞る様子を表している。また、図12は、シャッタ部材41が閉状態にあるトナーパック40を下方から見た斜視図である。
図7乃至図8に示すように、補給容器の一例であるトナーパック40は、トナーが充填される袋部材43と、袋部材43に取付けられた樹脂製の排出部42と、排出部42の開口部を開閉可能なシャッタ部材41と、を備えている。また、排出部42には、トナーパック40の情報を記憶する記憶手段としてのメモリユニット45が取付けられている。メモリユニット45は、後述する補給容器装着部701の接点部70133(図9参照)と接触する接点部45aとして、トナーパック40の外側に露出した複数の金属板(金属端子)を有している。また、袋部材43について、材質として、PP樹脂(ポリプロピレン)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、段ボール、紙などを採用することができる。また、厚みは0.01mm~1.2mmとすることができる。また袋のユーザによる解しやすさ、丈夫さという観点では、0.05mm~1.0mm以下が更に好適である。
図7(b)、図8(b)及び図12に示すように、シャッタ部材41は、排出部42に対して相対回転可能な円盤の一部を切り欠いた形状をしている。切り欠きされた部分でのシャッタ部材41の厚みを形成する側面が係合面41sとして機能する。一方、排出部42も、切り欠きが施された形状を持つ。排出部42は、切り欠きされた部分で、係合面41sと平行な係合面42sを有する。そして、排出口42aは排出口42aの周方向において係合面42sとは略180度離れた位置に設けられている。なお、係合面41s及び係合面42sについては、図12にその詳細が示されている。
図7(b)及び図12に示すように、シャッタ部材41及び排出部42の上面或いは下面から見たときの切り欠きの位置が揃っているとき、排出口42aはシャッタ部材41によって覆われる(閉状態)。図8(b)に示すように、シャッタ部材41が排出部42に対して180度回転すると、シャッタ部材41の切り欠き部分を介して排出口42aが露出して、袋部材43の内部空間がトナーパック40の外部空間に連通する。なお、図12に示すように、シャッタ部材41は、剛性を有する本体部41aに、スポンジ等の弾性材料で形成されたシール層41bを貼り合わせた構造とすると好適である。この場合、閉状態においてシール層41bが排出口42aの周縁部を覆うシール層42cと密着することで、トナー漏れを防ぐことができる。図12中でシール層42cが示されているが、このシール層42cもシール層41bと同様に、スポンジ等の弾性材料で形成されている。
後述するように、トナーパック40から画像形成装置1にトナーを補給する際は、排出部42を所定の位置に位置合わせしてトナーパック40を補給容器装着部701に挿入・結合する。そして、排出部42を180度回転させることで、排出部42がシャッタ部材41に対して相対回転して排出口42aが開き、袋部材43のトナーが重力に従いトナー受けユニット801に流下する構成となっている。このときシャッタ部材は補給容器装着部701に対しては相対的に移動しない。
図8(c)に示すように、ユーザは、トナーパック40を補給容器装着部701に装着して180度回転させた状態で袋部材43を手で絞ることにより、トナーパック40からのトナーの排出を促すことができる。
なお、ここでは回転式のシャッタ部材41を例示したが、シャッタ部材は省いてもよく、回転式のシャッタ部材41の代わりにスライド式のシャッタ部材を適用してもよい。また、シャッタ部材41は、トナーパック40を補給口8012に装着したり装着状態でトナーパックを回転させたりすることで破壊される構成でも良く、シールのような取外し可能な蓋構造であってもよい。
また、未使用のトナーパック40の排出部42に対して保護キャップを装着し、輸送時等にトナーが漏れ出ないようにすると好適である。保護キャップは、例えば排出部42に装着された状態においてシャッタ部材41及び排出部42の切り欠き部分に係合し、シャッタ部材41と排出部42の相対回転を規制するように構成される。保護キャップを取り外すことで、ユーザはトナーパック40を補給容器装着部701に装着できるようになる。
(1-6)補給容器装着部の構成
プロセスカートリッジ20のトナー受けユニット801に設けられたトナー収容部8011は、トナーパック40のトナーが供給可能な構成とされている。具体的には、トナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701にトナーパック40の排出部42が挿入された後、プロセスカートリッジ20に対して(画像形成装置1に対して)トナーパック40が回転させられる。これにより、補給容器装着部701に設けられた補給口8012を覆う補給口シャッタ7013の蓋部70131と、トナーパック40に設けられた排出部42の一部である係合面42sとが係合し、トナーパック40と連動して補給口シャッタ7013が回る。この回動により、補給口シャッタ7013に設けられた蓋部70131が退避し、補給口8012が露出する。そして、トナーパック40の回動により、補給口8012の上方に排出口42aが移動する。これにより、トナーパック40の排出口42aから補給容器装着部701の補給口8012へトナーが供給可能とされている。以下では、トナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701とトナーパック40の排出部42の構成及びトナー補給時の動作等のうち、トナー受けユニット801(プロセスカートリッジ20)に設けられた補給容器装着部701の構成及び動作について切り出し、説明を行う。
まず、トナーパック40とトナー受けユニット801のシャッタ開閉機構、及びシャッタ部材41のロック機構について説明する。図9(a)は、補給容器装着部701の斜視図であり、図9(b)はその上面図である。補給容器装着部701は、補給口8012、補給口シャッタ7013、ロック部材7014及び回転検知部7015を有している。
補給口8012は、トナー受けユニット801のトナー収容部8011(図6参照)に連通する開口部であり、トナー受けユニット801の枠体8010に対して固定されている。補給口シャッタ7013は、補給口8012を覆う蓋部70131と、トナーパック40の排出部42を受け入れる筒状部70132と、トナーパック40のメモリユニット45の接点部45a(図8(b)参照)と接続される接点部70133と、を有している。図中、接点部70133を覆う筒状部70132の部分を符号70132aで示してある。補給口シャッタ7013は、これら蓋部70131、筒状部70132及び接点部70133が一体化され、トナー受けユニット801の枠体8010に回転可能に取付けられた部材である。接点部70133に露出している各導体は、プロセスカートリッジ20に設けられた配線及びプロセスカートリッジ20とプリンタ本体100との間の接点を介して、プリンタ本体100に搭載される画像形成装置1の制御部と電気的に接続されている。
回転検知センサとしての回転検知部7015は、補給口シャッタ7013の回転を検知する機構である。本実施形態の回転検知部7015は、2枚の導電性のある板バネ70151、70152によって構成される。板バネ70152は時計回りの方向にバネ付勢しており、補給口シャッタ7013の外周に設けられた突出部70135aによって押圧された場合に、先端部701521において他方の板バネ70151に接触する。つまり、回転検知部7015は、補給口シャッタ7013の回転角度(回転位置)に応じて、導通状態と切断状態とが切り替わるように構成された電気回路である。後述するように、画像形成装置の制御部90(図19)は、回転検知部7015が導通しているか切断しているかに基づいて、トナーパック40の排出口42aと補給容器装着部701の補給口8012とが連通した状態か否かを認識する。言い換えると、ユーザによるトナーパック40への補給操作が少なくとも排出口42aと補給口8012との連通まで正常に行われたことを制御部90は判断できる。
図9(a)乃至図10(c)に示すように、補給口シャッタ7013の筒状部70132の外周部には、複数の突出部70135a、70135bが設けられている。また、枠体8010は、シャッタ支持部7011を有しており、シャッタ支持部7011は、補給口シャッタ7013の筒状部70132を回転可能に支持している。シャッタ支持部7011の円筒部分7011aにも、複数の突出部70125a、70125bが設けられている。複数の突出部70125a、70125bは、突出部70135a(図10(a)中右側)よりも重力方向で下方に位置する。突出部70125bは、突出部70135a(図10(a)中右側)の回転移動による通過を許容する。一方、突出部70135a(図10(a)左側)は、突出部70135a(図10(a)中右側)と同じ高さで、且つ突出部70125a、突出部70125bと重複する高さまで下に伸びている。従って、突出部70125bは、補給口シャッタ7013の回転角度(回転位置)によって、突出部70135a(図10(a)中左側)と当接し、突出部70135a(図10(a)中左側)の回転移動を規制する。
また、補給口シャッタ7013のR1方向回転前は、突出部70125aが突出部70135a(左側)に当接し、突出部70135aのR2方向の回転移動を規制する。また、突出部70135a(図10(a)中右側)がロック部材7014に当接し、ロック部材7014のR1方向の回転移動を規制する。一方、補給口シャッタ7013のR1方向回転後は、突出部70135bが、ロック位置に移動後のロック部材7014に当接し、ロック部材7014のR2方向の回転移動を規制する。また、突出部70135a(図10(a)右側)が、突出部70125bに当接し、突出部70135aのこれ以上のR1方向の回転移動を規制する。なお、補給口シャッタ7013の回転方向は、トナーパック40の取付け時にR1方向であり、取外し時にR2方向であるものとする。
ロック部材7014は、補給口シャッタ7013の回転を規制する部材である。図11(a)はロック部材7014がロック位置にある状態を表し、図11(b)はロック部材7014がロック解除位置にある状態を表している。ロック部材7014は、上下に移動することでロック位置(規制位置)とロック解除位置(許容位置)との間で遷移可能である。図9(b)及び図11(a)に示すように、ロック部材7014がロック位置において補給口シャッタ7013の突出部70135aに当接すると、補給口シャッタ7013の回転が規制される。図11(b)に示すようにロック部材7014がロック解除位置に移動すると、補給口シャッタ7013が回転するときの突出部70135aの移動軌跡からロック部材7014が退避することにより、補給口シャッタ7013の回転が許容される。
以下では、トナー受けユニット801へトナーパック40が装着され、トナーが供給されたときにおけるトナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701の構成について、順次説明する。
なお上述の通り、トナー受けユニット801の枠体8010は、(i)補給口8012と、(ii)補給口8012の周囲を取り囲むように形成された円筒部分7011aを含むシャッタ支持部7011と、を有している。このシャッタ支持部7011の円筒部分7011aには、突出部70125a、70125bが設けられている。またトナー受けユニット801には、上下に移動することでロック位置(規制位置)とロック解除位置(許容位置)との間で遷移可能なロック部材7014が設けられている。一方で円筒部分7011aに支持される形態で、補給口8012を覆う蓋部70131を有する補給口シャッタ7013が円筒部分7011aに対してトナーパック40と連動するようにして回動可能に設けられている。補給口シャッタ7013は、トナーパック40の排出部42が挿入される筒状部70132と、筒状部70132の外周部に設けられた複数の突出部70135aと突出部70135bと、を有している。
(i)補給容器装着部にトナーパックの排出部を挿入
まず初めにトナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701にトナーパック40の排出部42が挿入される。このとき、補給口シャッタ7013の二つの突出部70135aの間に、ロック位置に位置するロック部材7014が位置する(図10(a)、図11(a))。トナーパック40が補給容器装着部701に装着されると、後述の通り、トナーパック40に設けられたメモリユニット45の接点部45a(図7)が補給容器装着部701の接点部70133と接触・導通する。これにより、ロック部材7014は、ロック位置(図11(a))からロック解除位置(図11(b))へ移動する。このためロック部材7014は、ロック位置に位置する際には、ロック部材7014を基準として取り付け方向R1側に位置する第1突出部70135aと取り外し方向R2側に位置する第2突出部70135aとの間に位置する。
したがってロック部材7014は、ロック位置に位置するとき、取り付け方向R1側に位置する第1突出部70135aと係合してトナーパック40を取り付け方向R1に回動できないように規制している。また、ロック部材7014は、ロック位置に位置するとき、取り外し方向R2側に位置する第2突出部70135aと係合してトナーパック40を取り外し方向R2に、回動できないように規制している。一方、ロック部材7014は、ロック位置からロック解除位置に移動することにより、ロック部材7014を基準として取り付け方向R1側に位置する第1突出部70135aと係合しない位置に移動する。これにより、トナーパック40が取り付け方向R1に回動することが許容される。
このように、例えばメモリユニット45を有さないトナーパック40が誤って補給容器装着部701に装着された場合にあっては、トナーパック40を取り付け方向R1及び取り外し方向R2のいずれにも回動できない構成としている。なお、ロック部材7014がロック解除位置に位置するとき、補給口シャッタ7013の筒状部70132の外周部に設けられた、取り外し方向R2側に位置する第2突出部70135a(図10(a)参照)は、シャッタ支持部7011の円筒部分7011aに設けられた突出部70125bと係合可能とされ、トナーパック40の取り外し方向R2への回動を規制する構成とされている。
(ii)プロセスカートリッジに対してトナーパックを取り付け方向へ回転
続いて、トナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701にトナーパック40の排出部42が挿入された状態でトナーパック40を取り付け方向R1へ回転させる。これにより、取り付け方向R1側に位置する第1突出部70135aは、板バネ70152の先端部701521と接触し、回転検知部7015の板バネ70151、70152を接触させる。これにより制御部90は、回転検知部7015の状態を検知し、プロセスカートリッジ20に対してトナーパック40が一定の角度以上、回転させられたことを検知し、ロック部材7014を、ロック解除位置からロック位置へ移動させる。
(iii)プロセスカートリッジに対するトナーパックの取り付け方向への回転が完了
さらにトナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701にトナーパック40の排出部42が挿入された状態でトナーパック40を取り付け方向R1へ回転させる。この結果、取り外し方向R2側に位置する第2突出部70135aは、シャッタ支持部7011の円筒部分7011aに設けられた突出部70125bと接触し、取り付け方向R1への更なるトナーパック40の回動が規制される(図10(b)及び(c))。なお、取り外し方向R2側に位置する第2突出部70135aは、取り付け方向R1側に位置する第1突出部70135aに比べ、下方、つまりシャッタ支持部7011の円筒部分7011a側へ突出している。この構成により、突出部70125bと第2突出部70135aと接触するものの、第1突出部70135aは接触することなく、トナーパック40の回動が許容される構成となっている。一方で、ロック部材7014は、ロック位置に位置することにより、補給口シャッタ7013の筒状部70132の外周部に設けられた突出部70135bと係合可能とされ、トナーパック40の取り外し方向R2への回動を規制する構成となっている。
図10(e)は、ロック部材7014がロック位置に移動する直前の状態を示し、ロック部材7014が下方に移動することで、ロック部材7014と突出部70135bとが係合する。このように、プロセスカートリッジ20に対してトナーパック40が所定の角度だけ回転させられた状態とされることにより、トナーパック40からプロセスカートリッジ20のトナー受けユニット801に設けられたトナー収容部8011へより確実にトナーが供給できる構成としている。
なお本実施例では、トナー収容部8011へトナーパック40からトナーを充填し終える所定時間経過後、ロック部材7014は、ロック位置からロック解除位置へ移動するように構成されている。これによりロック部材7014は、補給口シャッタ7013の筒状部70132の外周部に設けられた突出部70135bと係合しない位置に退避させられる。このようにロック部材7014がロック位置からロック解除位置に移動することで、トナーパック40の取り外し方向R2への回動を許容し、補給容器装着部701からトナーパック40が取り外し可能となるように構成されている。
(1-7)ロック部材の押圧機構
図13は、ロック部材7014をロック位置とロック解除位置との間で移動させる押圧機構600を示している。押圧機構600は、モータ601、入力ギア602、カムギア603及び進退ピン604で構成される。入力ギア602はモータ601の出力軸に取付けられたねじ歯車である。カムギア603は、入力ギア602に噛み合うはす歯歯車からなるギア部6032と、進退ピン604を往復運動させるためのカム部6031と、を備えている。
進退ピン604は保持部材により重力方向とその逆方向(鉛直方向)に直線運動可能に支持されている。モータ601が回転すると、入力ギア602を介してカムギア603が回転し、カム部6031に押圧されることで進退ピン604が上下に往復運動し、これに伴ってロック部材7014もロック位置とロック解除位置との間で上下に移動する。図13ではロック状態が示されている。
なお、本実施形態の押圧機構600における駆動伝達構成は、はす歯歯車とねじ歯車の組み合わせとしたが、モータの回転を直線運動に変換可能な構成であればこれに限定されない。例えば、かさ歯歯車を用いたり、入力ギア602を排してカムギア603をモータ601で直接駆動させる構成としてもよい。また、モータ601に代えて、ソレノイドのように直線運動を出力するアクチュエータを駆動源としてもよい。
また、図13に示す押圧機構600を構成する各部材は、プリンタ本体の枠体609に支持されているが、進退ピン604は、プリンタ本体100の筐体に設けられた案内部604aによって、上下に往復移動可能に支持されている。一方、ロック部材7014の回動軸7014aは、トナー受けユニット801の枠体8010に設けられた保持部によって回動可能、かつ、鉛直方向にスライド可能に保持されている。従って、プロセスカートリッジ20を交換するときは、ロック部材7014も同時に交換され、押圧機構600はプリンタ本体に残る。回動軸7014aと進退ピン604とは別部材からなる。ロック部材7014がロック解除位置にあるときは、進退ピン604はロック部材から離れており、プロセスカートリッジ20は、進退ピン604を本体に残したまま、本体から取り外される。ただし、このような構成に限らず、例えばロック部材7014の回動軸7014aをプリンタ本体に支持させることも可能である。
(1-8)トナーパックを用いた補給動作の流れ
以上で説明したトナーパック40、補給容器装着部701及び押圧機構600の構成に基づいて、トナーパック40を補給容器装着部701に装着してトナーを補給した後に取り外す際の一連の動作を説明する。図10(a)は、補給口8012が閉状態にある補給容器装着部701の上面図であり、図10(b)は、補給口8012が開状態にある補給容器装着部701の上面図である。図10(c)は、補給口8012が開状態にある補給容器装着部701の斜視図である。
図10(a)に示すように、閉状態にある補給口シャッタ7013は、突出部70135aがロック位置にあるロック部材7014と回転方向において当接することにより、補給口8012に対して回転しないよう固定されている。このとき、補給口シャッタ7013の蓋部70131は補給口8012を完全に塞いでいる。また、回転検知部7015の板バネ70151、70152は離間しており、回転検知部7015は切断状態である。
トナーパック40を補給容器装着部701に挿入するとき、ユーザは、トナーパック40の排出部42及びシャッタ部材41の切り欠き部(図12)を補給口8012及び補給口シャッタ7013の蓋部70131に位置合わせして挿入する。すると、排出部42の係合面42sが蓋部70131の側面である係合面7013s(図9(c)参照)と係合し、シャッタ部材41の係合面41sが補給口8012の外周部に設けられた係合面8012s(図9(c)参照)と係合する。このとき、補給口シャッタ7013の蓋部70131と係合している排出部42は、後にロック部材7014による補給口シャッタ7013のロックが解除されるまでは回転不能であり、ロック解除によって補給口シャッタ7013と共に回転可能となる。一方、トナーパック40のシャッタ部材41は、トナー受けユニット801の枠体8010に固定された補給口8012に係合することで回転不能な状態となっている。なお、蓋部70131及び排出部42の他の係合構成として、蓋部70131の上面から上方に突出する凸部を設け、排出部42の下面42b(図12参照)にこの突起に係合する凹部を設けてもよい。
また、トナーパック40の挿入により、メモリユニット45の接点部45a(図7)が補給容器装着部701の接点部70133と接触し、メモリユニット45に記録された情報が画像形成装置の制御部90によって読み取られる。メモリユニット45には、トナーパック40にトナーが入っているか否か(使用済みのトナーパックか否か)を表す情報(新品フラグ)が記録されている。制御部90は、新品フラグを読み取り、現在装着されているトナーパック40にトナーが入っている(未使用である)と判断すると、押圧機構600を制御しロック部材7014を押し上げる。これにより、ロック部材7014はロック位置からロック解除位置(図11(b))に移動する。
ロック部材7014がロック解除位置に移動した状態では、ロック部材7014が補給口シャッタ7013の突出部70135aから離間することで、補給口シャッタ7013が、図10(a)、(b)のR1方向に回転可能な状態となる(図11(b))。これに対し、トナー受けユニット801の枠体8010に設けられた突出部70125aが突出部70135aと干渉するため(図10(a))、補給口シャッタ7013のR2方向への回転は規制されている。即ち、図10(a)中で、70125a及び70125bは、70135a及び70135bが回転方向に移動通過できるように、70135a及び70135bよりも、重力方向において下方に位置している。
ユーザがトナーパック40を把持して排出部42又はその近傍の袋部材43をR1方向に180度回転させると、図10(b)、(c)に示す状態となる。トナーパック40の排出部42と共に補給口シャッタ7013が180度回転することで、蓋部70131が補給口8012を覆う位置から移動して補給口8012が露出する。蓋部70131は、その側面が回転する排出部42の一部である係合面42sに押され係合面42sと共に回転移動する。また、シャッタ部材41が固定されている状態で排出部42が180度回転することで、トナーパック40の排出口42aが露出し(図8(b))、補給口8012に対向する。これにより、トナーパック40の内部空間と、トナー受けユニット801の内部空間とが、排出口42a及び補給口8012を介して連通し、袋部材43に充填されているトナーがトナー収容部8011に流下する。
トナー収容部8011に落下したトナーは、上述した通り、トナー受けユニット801の内部を搬送されて現像容器32に到達し、現像プロセスに使用可能な状態となる。なお、新たに補給されたトナーが現像容器32に到達する前であっても、現像容器32に画質を維持するために必要な量のトナーが残っている限りは、現像ユニット802が現像プロセスを実行可能な構成としてもよい。即ち、画像形成部10(図1(a))における画像形成動作の実行中であるか否かに関わらず、画像形成装置の外部にある補給容器から現像容器にトナーを補給可能な構成としてもよい。
また、突出部70125bは、補給口シャッタ7013が図10(a)の状態からR1方向に180度回転したときに補給口シャッタの突出部70135aと当接するように配置されている(図10(b)、(c))。即ち、突出部70125bも、70125aと同様に、70135a及び70135bよりも重力方向において下方に位置している。これにより、補給口シャッタ7013は180度を超えてR1方向に回動することを規制される。同時に、補給口シャッタ7013の突出部70135aが回転検知部7015の板バネ70152を押圧し、その先端部701521を板バネ70151に接触させる。回転検知部7015が導通状態になると、制御部90は補給口シャッタ7013が開状態となったことを認識し、押圧機構600を動作させ、ロック部材7014を再びロック位置へ移動させる。すると、ロック部材7014が補給口シャッタ7013の突出部70135bと係合してR2方向への回転を規制することで、補給口シャッタ7013及びトナーパック40がいずれの方向にも回転しない状態となる。
さらに、トナーパック40の排出部42及び補給口シャッタ7013が180度回転された図10(b)、(c)の状態では、トナーパック40のシャッタ部材41の上方を補給口シャッタ7013の蓋部70131が覆う位置関係となる。このため、トナーパック40を補給容器装着部701から上方に持ち上げようとしても、シャッタ部材41が蓋部70131に干渉するため、トナーパック40の移動は規制される。従って、ユーザが以下で説明する所定の手順でトナーパック40の取外し操作を行わない限り、トナーパック40が補給容器装着部701から脱落することが防がれる。
トナーパック40からトナーの排出が始まった後、トナーの排出完了を判断するための条件が満たされると、制御部90は押圧機構600を動作させ、ロック部材7014をロック解除位置へと移動させる。本実施形態では、回転検知部7015が導通状態となった時点からの経過時間によってトナーの排出完了が判断される。
ロック部材7014がロック解除位置へと移動した後は、ユーザは、トナーパック40の取付け時とは逆の手順によってトナーパック40を取り外すことができる。すなわち、ユーザは、トナーパック40の排出部42又はその近傍の袋部材43を把持して、取付け時とは反対のR2方向に180度回転させる。すると、排出部42と共に補給口シャッタ7013が180度回転し、図10(a)に示すように補給口8012が補給口シャッタ7013の蓋部70131によって覆われる。また、補給口シャッタ7013の突出部70135a(図10(a)中左側)が突出部70125aに当接することで、補給口シャッタ7013が180度を超えてR2方向に回動することが規制される。
トナーパック40の排出部42がR2方向に180度回転された状態では、排出部42の切り欠き部の位置とシャッタ部材41の切り欠き部の位置とが揃っている(図12)。このため、トナーパック40が上方に移動しても、シャッタ部材41が補給口シャッタ7013の蓋部70131と干渉することはなく、ユーザはトナーパック40を把持して持ち上げることで補給容器装着部701から取り外すことができる。
なお、補給口シャッタ7013がR2方向に180度回転する過程で、突出部70135aが板バネ70152から離間し、回転検知部7015が切断状態に戻る。すると、制御部90は補給口シャッタ7013が閉状態となったことを認識し、押圧機構600を動作させてロック部材7014をロック位置へと移動させる。これにより、補給容器装着部701は、トナーの補給動作を行う前の初期状態に戻る。例えば、制御部90は、回転検知部7015が導通状態となってから所定時間経過することで、ロック部材7014をロック解除状態へ移動させる所定条件が満たされたと判断しても良い。なお、ロック部材7014をロック位置へと移動させるトリガーは、トナーパック40を補給容器装着部701から引き抜くことによって、補給容器装着部の接点部70133とトナーパックの接点部45a(図7参照)との導通が失われたことであってもよい。
本実施形態では180度の回転でトナーパック40の排出口42aと補給口8012が連通する位置関係としたが、本実施形態と同様の操作によってトナーパック40の着脱が可能となる構成であれば、連通に必要な回転角度は変更可能である。その変形例の一例を図32及び図33を用いて説明する。
図32(a)は、補給容器装着部701Aの斜視図であり、図9(a)の補給容器装着部701の変形例である。同じ参照符号が付された構成については説明を省略する。図9との差異は、図32(b)に示されるように、各突出部の位相関係が、図9のそれと異なっている。なお、補給口シャッタ7013の円筒高さ方向に沿った各突出部の位置(所謂高さ位置)の関係については、図9乃至図11で説明したものと同様なので再度の詳しい説明を省略する。また、各突出部同士或いはロック部材7014による、補給口シャッタ7013の回転移動規制についても上で説明したものと同様なので再度の詳しい説明を省略する。
具体的には、補給口シャッタ7013のR1方向の回転に関し、補給口シャッタ7013に設けられた突出部70135a2(図32(b)中上側)が突出部70125b2に当接するまでの回転角度θが、図32では160°(180°未満)になっている。そのほかの対応する突出部同士の関係も図10の場合と比べより小さく180°未満となっている。回転角度θは、170°以下、好ましくは120°以下が良い。また更に好ましくは90°以下が良い。これにより、ユーザは排出部42を180度回転させる必要がなく、操作性の良い補給システムを提供することができる。
ユーザがトナーパックの排出部42又はその近傍の袋部材43をR1方向に回転させ、補給口シャッタ7013の突出部70135a2が突出部70125b2に当接し、所定の回転操作が検知される前後の関係を図33に示す。図33(a)は、ユーザがトナーパック40をR1方向に回転させる前の補給容器装着部701の様子を表す上面図である。図33(b)は、ユーザがトナーパック40をR1方向に回転させて所定の回転操作が検知されたときの補給容器装着部701の様子を表す上面図である。ここで、所定の回転操作の検知とは、制御部90が、ロック部材70142を制御し、排出部42の回転を規制する処理に移行する為の条件が成立していると判断することを意味する。即ち、図33(b)では、上面図において、排出部42が160°(180°未満)回転したときに、所定の回転操作が検知されており、このとき、制御部90は、ロック部材70142を下方に移動させ、排出部42のR2方向の回転を規制する。
所定の回転操作を検知するための回転検知部7015の構成は、図9及び図10を用いて説明したものと同様である。即ち、回転検知部7015は、2枚の導電性のある板バネ70151,70152によって構成されている。ただし、本変形例では、図33(a)中下側の突出部70135a2の位置からR1方向に160°離れた位置に、当該突出部70135a2によって押圧される板バネ70152の先端701521が位置している。そのため図33(a)の状態から補給口シャッタ7013がR1方向に160°回転すると、図33(b)のように突出部70135a2によって板バネ70152の先端701521が押圧されて板バネ70151,70152が接触する。制御部90は、板バネ70151,70152が導通したことをもって、補給容器に対して所定の回転操作が行われたことを検知する。また、補給口シャッタ7013がR1方向に160°回転したとき、図33(a)中上側の突出部70135a2は、突出部70125b2に当接し、補給口シャッタ7013の回転移動が規制されている。
図33(c)は、本変形例におけるトナーパック40を底部側から(補給容器装着部701に対する挿入方向の下流側から)見た図である。図7(b)、図8(b)及び図10(b)を用いて説明した実施例の形態では、回転前の排出口42aの位置は、補給口8012の位置とは点対称の関係にあった。しかし、図33(c)の場合には、図33(b)における回転方向R1に関し、回転中心周りに160°(180°未満)排出部42が回転することで、排出口42a2と補給口8012が十分に連通する。ここで十分に連通するとは、上面図において、排出口42a2の50%以上が、補給口8012と連通することを意味する。必ずしも、排出口42a2が、補給口8012の開口と完全に重なったり、補給口8012の開口に含まれる必要はない。また、図33(c)における、排出口42a2の位置に関し、ユーザが補給容器装着部701に排出部42を装着し、ユーザが排出部42を回転させる前の段階で、図7(b)の場合と比べ既にR1方向に回転した位相になっている。これにより、180°未満の回転操作によるトナー補給を実現できる。なお、排出口42a2の回転前の初期位置を、排出口42aと同様にし、一方で補給口8012の位置を、排出口42a2に近づくように、R2方向に回転させても良い。若しくは、排出口42a2及び補給口8012の両方を、排出口42a2の180°未満の回転移動により両社が連通するように配置しても良い。
また、図10(a)における突出部70125bと突出部70135aの配置関係と、図33(a)における突出部70125b2と突出部70135a2との配置関係を、図34、図35を用いて比較しながら説明する。図34の(a)及び図35の(a)は図32及び図33と同じ本変形例を表し、図34の(b)及び図35の(b)は図10(a)に示した実施例の形態を表している。なお、図34の状態から、図35の状態に移る場合には、実際には、トナーパック40が補給容器装着部701に装着されているが、ここでは説明しやすいように、トナーパック40の図示を省略してある。また、突出部の配置関係に関する基準の1つとして、ロック部材7014又は70142の回転中心と補給口シャッタ7013の回転軸線を通る仮想直線Xを図示している。
図34(a、b)は、ロック部材7014が、突出部70135a2又は突出部70135aのR1方向及びR2方向の回転移動を規制している場合の図である。図35は、突出部70125b2が突出部70135a2のR1方向の回転移動を、或いは70125bが突出部70135aのR1方向の回転移動を規制している場合を示した図である。また、図35は、ロック部材7014が、突出部70135b2又は突出部70135bのR2方向の回転移動を規制している場合の図でもある。
図34(a)では、突出部70135a2の回転方向R1の移動を規制する突出部70125b2の位置が、被規制部である突出部70135a2からR1方向に160°(180°未満)回転した位置に配置されている。また、図35(a)に示されるように、排出部42の160°の回転で、回転検知部7015の板バネ70151,70152が接触する。板バネ70151,70152が導通状態となったことに基づいて制御部90により、ロック部材7014をロック状態に移行させる、所定の回転操作検知が行われる。これにより、排出部42を180°回転させる場合と比べ、補給操作のユーザビリティを向上させることができる。
一方、図34(b)では、突出部70135aの回転方向R1の移動を規制する突出部70125bの位置が、被規制部である突出部70135aのR1方向に180°回転した位置に配置されている。つまり、図35(b)に示されるように、ユーザが、排出部42を約180°回転させた段階で、制御部90は、所定の回転操作を検知し、ロック部材7014をロック位置(下方位置)に移動させる。
なお、本変形例では、突出部70135a2が、所定の回転操作においてR1方向の回転を所定角度で規制するための被規制部としての機能と、所定角度まで回転したときに回転検知部7015を作動させて制御部90による検知を可能とする機能の両方を備えている構成を説明した。しかしながら、補給容器装着部701に挿入されたトナーパックがR1方向に180°未満の所定角度まで回転された際にR1方向への回転を規制する手段(規制手段)、及び、トナーパックをR1方向に所定角度まで回転させる所定の回転操作が行われたことを制御部90が検知するための手段(回転検知手段)を、突出部70135a2以外の構成によって実現してもよい。
例えば、補給口シャッタ7013に鉄板等の金属板を装着し、ロック部材70142に代えて金属板を吸着可能な電磁石を設けた電磁ロックを規制手段として用いることができる。この場合、補給容器装着部701に挿入されたトナーパックがR1方向に180°未満の所定角度まで回転された際に金属板が電磁石と対向するように、金属板の位置を調整すればよい。また、例えば補給口シャッタ7013の筒状部70132に穴又は溝をあけ、ロック部材70142に代えてこの穴又は溝に挿通可能なプランジャソレノイドを規制手段として用いることができる。この場合、補給容器装着部701に挿入されたトナーパックがR1方向に180°未満の所定角度まで回転された際に筒状部70132の穴又は溝がプランジャソレノイドと対向するように、穴又は溝の位置を調整すればよい。
また、回転検知手段の他の例として、回転検知部7015が、接点部70133を覆う筒状部70132の部分70132aによって押圧されるように構成したものを用いてもよい。この場合、図34(a)における筒状部70132の当該部分70132aの位置からR1方向に所定角度離れた位置(図35(a)中で当該部分70132aの右端位置)に先端701521が位置するように板バネ70151,70152を配置すればよい。その他、例えば突出部70135a2を光学的に検知する光電センサや、補給口シャッタ7013に取り付けた磁石を検知する磁気センサを回転検知手段として用いることも可能である。
(1-9)パネル
次に、パネル400について説明する。パネル400は、図1(b)及び図14(a)~(c)に示すように、例えば、プリンタ本体100の筐体の前面に設けられている。現像容器32内のトナーの残量(あるいは、現像容器32の空き容量)に関する情報を表す表示手段の一例である。パネル400は、複数の目盛り(インジケータ)を含む液晶パネルからなる。本実施例では、鉛直方向の上方から下方に3つの目盛り4001、4002,4003が配列されている。パネル400は、段階的に変化する目盛り4001~4003の表示により、現像容器32に対して補給可能なトナーの量を表している。制御部90は後述の補給動作完了認識に基づきパネル表示を随時更新する。また、補給動作完了が実際のトナー残量に反映されていなかった場合には、追ってトナー残量検知をし、パネル表示を更新しても良い。例えば、制御部90が、インジケータ4002を点灯させた後、実際にはトナー残量が十分補給されていないことを光学センサ(51a,51b、図6(a)参照)で検知した場合、制御部90は、インジケータ4002を消灯させ、パネル400の表示を更新する。また、最下部の目盛り4003は、現像容器32内のトナーがLowレベルであるかOutレベルであるかについても表している。ただし、Lowレベルとは、現像容器32に対するトナーの補給が必要であるが、画質を維持するために最低限の量のトナーは残っており、現時点では画像形成動作を実行可能であることを表す。Outレベルとは、現像容器32内にトナーがほとんど残っておらず、画像形成動作を実行不能であることを表す。
図示したパネル400の構成例において、3つの目盛り4001,4002,4003が全て消灯している場合には、現像容器32のトナーがOutレベルであることを示す(第4状態)。
図14(a)のように、下部の目盛り4003のみが点灯している場合には、現像容器32内のトナー残量がLowレベルであることを示す。この状態では、目盛り2つが消灯していることから、例えばトナーパック40で2本分のトナーを補給可能であることが分かる(第3状態)。また、目盛りに隣接する「+1」及び「+2」の数字パネルが点灯することからも、トナーパック40で2本分のトナーを補給可能であることが分かる。
図14(b)のように、下部及び中央の目盛り4002,4003が点灯し、上部の目盛り4001が消灯している場合には、現像容器32内のトナー残量がLowレベルより多く、Fullレベル(満タン)より少ない水準であることを示す。この状態では、目盛り1つが消灯していることから、例えばトナーパック40で1本分のトナーを補給可能であることが分かる(第2状態)。また、目盛りに隣接する「+1」の数字パネルが点灯し、「+2」の数字パネルが消灯していることからも、トナーパック40で1本分のトナーを補給可能であることが分かる。
図14(c)のように、3つの目盛り4001~4003の全てが点灯している場合には、現像容器32内のトナー残量がFullレベルであることを示す。この状態では、消灯している目盛りがないから、例えばトナーパック40からトナーを補給することできないことが分かる(第1状態)。また、目盛りに隣接する「+1」及び「+2」の数字パネルが消灯していることからも、トナーパック40からトナーを補給できないことが分かる。
なお、図14に図示したパネル400では、現像容器32内のトナー残量に応じて表示内容が変更される表示手段の一例であり、他の構成を用いてもよい。例えば、液晶パネルに代えて、LED又は白熱灯等の光源と拡散レンズとを組み合わせてパネルを構成してもよい。目盛りを省略して数字パネルのみを用いたり、数字パネルを省略して目盛りのみを用いてもよい。
また、パネル400における目盛りの数やその表示方法は適宜変更可能である。例えば、現像容器32内のトナー残量がLowレベルである場合に下部の目盛りを点滅させることで、ユーザにトナーの補給を促すようにしてもよい。
(2)第1変形例
次に、補給容器の他の例として、袋状のトナーパックに代えてボトル状のトナーボトルユニットを用いる第1変形例の形態について、図15を用いて説明する。なお、このトナーボトルユニットは、上述のトナーパック40と同じく上述の補給容器装着部701に対して取付け及び取外し可能に構成される。従って、第1の実施形態と共通である画像形成装置の構成については説明を省略する。
(2-1)トナーボトルユニットの構成
図15(a)はトナーボトルユニット900の外観を示す斜視図であり、図15(b)はトナー排出後のトナーボトルユニット900を示す斜視図である。図15(c)はトナーボトルユニット900をピストンの下方から見た図であり、図15(d)は図15(c)に示す断面位置D-Dにおけるトナーボトルユニット900の断面図である。
また、図16(a)は、外筒903(図15(a)参照)を非表示にしたトナーボトルユニット900の斜視図であり、図16(b)はトナー排出後の状態で外筒903を非表示にしたトナーボトルユニット900の斜視図である。図16(c)は、トナーボトルユニット900の押込み検知に関わる部品の押込み操作前の状態を表す図であり、図16(d)は、押込み検知に関わる部品の押込み操作後の状態を表す図である。図16(e)は、トナーボトルユニット900の回転検知に関わる部品の回転操作前の状態を表す図であり、図16(f)は、トナーボトルユニット900の回転検知に関わる部品の回転操作後の状態を表す図である。
図15(a)、(d)に示すように、トナーボトルユニット900は、大まかに、外筒903、内筒901、ピストン902、シャッタ部材904及びメモリユニット911を備えている。外筒903及び内筒901は筒状であり、外筒903の内側に内筒901が嵌め込まれており、ピストン902は、内筒901のさらに内側に嵌め込まれ、内筒901に対して摺動可能である。以下、ピストン902が移動する方向(外筒903及び内筒901の軸線の方向)を指して、トナーボトルユニット900の軸方向とする。また、ピストン902は押圧部材の一例である。
内筒901は、トナーを収容する筒形状のトナー収容部9014と、軸方向の一端側に設けられた底部9013と、底部9013に設けられた排出口9011と、を有している。内筒901は、トナー収容部9014の軸方向の一端部が底部9013によって閉じられたシリンダ形状である。トナー収容部9014の他端側は開口部9012となっており、ピストン902は開口部9012を介してトナー収容部9014に挿入されている。また、内筒901にはトナー収容部9014内を自在に移動可能な球形状の重り部材905が内包されている。
外筒903は、内筒901のトナー収容部9014を内側に収める筒形状の内筒収容部9034と、軸方向の一端側に設けられた底部9033と、底部9033に設けられた排出口9031と、を有している。外筒903は、内筒901と同じく、内筒収容部9034の軸方向の一端部が底部9033によって閉じられたシリンダ形状であり、内筒901を相対移動不能に保持している。内筒収容部9034の他端側は、ピストン902が挿通される開口部9032となっている。なお、図15には重り部材905(移動部材)が1つだけ図示されているが、後述するように、移動部材の数を変更することが可能である。
内筒901の排出口9011は、底部9013から軸方向の一端側に延びる細筒状である。外筒903の排出口9031は、底部9033において内筒901の排出口9011に対応する位置に設けられている。外筒903の排出口9031は、トナー収容部9014に収容されたトナーを、トナーボトルユニット900の外部に排出する排出口である。なお、内筒901の排出口9011に隣接して、ピストン押込み時に重り部材905が排出口9011を塞がないように退避する退避空間9013aが設けられている。
なお、内筒901の底部9013は、軸方向の排出口側に向かうほど断面積が小さくなる傾斜形状(特に、軸方向の排出口側に向かうほど内径が小さくなる円錐形状)を有している。内筒901の底部9013に対向する外筒903の底部9033も同様の傾斜形状を有している。内筒901の排出口9011及び退避空間9013aは、底部9033の傾斜形状の頂点部分に設けられている。重り部材905は球形で、この底部9013に案内され、重力により退避空間9013aに移動する。
ピストン902は、軸方向の一端側(排出口側)の端部9023に装着された弾性部材906と、他端側の端部9022(ピストン押込み時にユーザが押圧する部分)の付近に設けられた押込みリブ9021と、を備えている。弾性部材906は、トナー収容部9014の内周面に隙間なく接するように構成され、ピストン押込み時にトナーのすり抜けを防ぐ機能を有する。また、押込みリブ9021は、ピストン902の外周面から径方向外側に突出する凸形状である。
シャッタ部材904に関する構成は、上述のトナーパック40に設けられたシャッタ部材41と同様である。即ち、図15(c)に示すように、シャッタ部材904は、外筒903に対して相対回転可能な円盤の一部を切り欠いた形状をしている。切り欠きされた部分でのシャッタ部材904の厚みを形成する側面が係合面904sとして機能する。一方、外筒903も、切り欠きが施された形状を持つ。外筒903は、切り欠きされた部分で、係合面904sと平行な係合面903sを有する。そして排出口9031は外筒903の周方向において係合面903sとは略180度離れた位置に設けられている。
図15(c)は排出口9031が既に露出した状態を図示しているが、トナーボトルユニット900の出荷時の状態では、シャッタ部材904及び外筒903の切り欠き状の係合面903s、904sの位置は揃っている。この場合、排出口9031はシャッタ部材904によって覆われ、トナー収容部9014の封止状態が維持される(閉状態)。図15(c)に示すように、シャッタ部材904が外筒903に対して180度回転すると、シャッタ部材904の切り欠き部分を介して排出口9031が露出し、トナー収容部9014の封止が解除されてトナーを排出可能な状態となる(開状態)。排出口9031、係合面903s、シャッタ部材904の構成は、基本的に図7、図8及び図12で説明した構成と同様である。
外筒903における排出口9031の付近には、トナーボトルユニット900の情報を記憶する記憶手段としてのメモリユニット911が取付けられている。メモリユニット911は、補給容器装着部701の接点部70133(図9(a))と接触する接点部911aとして、トナーボトルユニット900の外側に露出する複数の金属板9111,9112,9113(図16(a))を有している。
(2-2)ピストンの押込み検知機構
また、図16(a)、(c)に示すように、外筒903と内筒901との間には、ピストン902の押込み動作を検知する押込み検知機構として、押込み検知棒907、第一接点板908及び第二接点板909が配置されている。押込み検知棒907は、樹脂等の絶縁材料で、第一接点板908、第二接点板909は金属等の導電材料で形成される。押込み検知棒907は、軸方向の一端側(排出口側)に接点解除部9072を有し、軸方向の他端側に、ピストン902の押込みリブ9021に当接可能なピストン接触部9071を有している。押込み検知棒907は、ピストン902の押込み動作に連動して、押込みリブ9021にピストン接触部9071が押圧されることで軸方向に移動する。
押込み検知棒907は、例えば内筒901の外周面又は外筒903の内周面に形成された軸方向の溝形状に嵌め込まれることで、軸方向に垂直な方向への移動を規制されつつ、且つ内筒901及び外筒903に対して軸方向に移動可能に保持されている。また、ピストン接触部9071は、軸方向に対して垂直に、つまりL字状に折り曲げられた形状を有し、押込みリブ9021がより確実に当接するように構成されている。なお、図16(a)では押込みリブ9021がピストン902の外周面に全周に亘って設けられているが、ピストン接触部9071に対応する周方向位置に限って押込みリブ9021を形成してもよい。
第一接点板908及び第二接点板909は、絶縁樹脂で形成された押込み検知棒907の位置によって導通状態と切断状態とが切り替わる金属板である。第一接点板908及び第二接点板909を用いたトナーボトルユニット900の新品検知方法については後述する。
また、外筒903の開口部側の端部には、筒カバー910(図15(a))が備え付けられており、押込み検知棒907が脱落するのを防止している。つまり、外筒903の開口部9032を構成している筒カバー910が、ピストン接触部9071(図16(b))の径方向外側の端部位置よりも内側に絞られている(図15(d))。そのため、押込み検知棒907を軸方向開口部側に移動させようとする力が加わっても、ピストン接触部9071が筒カバー910に干渉し、押込み検知棒907はトナーボトルユニット900から脱落しない。
(2-3)トナーボトルユニットの新品又は使用済み判断
次に、トナーボトルユニット900を補給容器装着部701に装着した場合に、トナーボトルユニット900が未使用(新品)か使用済みかを検知する構成について説明する。図16(c)、(d)に示すように、押込み検知棒907の接点解除部9072は第一接点板908及び第二接点板909近傍に位置している。
図16(c)は図16(a)に示すピストン押込み前の状態に対応し、第一接点板908及び第二接点板909が互いに接触することで導通状態にある。このとき、金属製の第一接点板908及び第二接点板909の一方を板バネ形状として、他方の接点板に圧接するように構成すると好適である。また、例えば第一接点板908及び第二接点板909の接触面に導電グリスを塗布しておくことで第一接点板908及び第二接点板909の導通をより確実にすることができる。
図16(d)は図16(b)に示すピストン押込み後の状態に対応し、第一接点板908及び第二接点板909が切断状態にある。この状態では、押込みリブ9021によって押込まれた押込み検知棒907の接点解除部9072が、第一接点板908及び第二接点板909の間に入り込むことでこれらを物理的に離間させている。押込み検知棒907は、少なくとも接点解除部9072が絶縁材料で形成されており、接点解除部9072が介在する図16(d)の状態では第一接点板908及び第二接点板909の導通が切断される。
第一接点板908及び第二接点板909は、押込み検知棒907の接点解除部9072と接触する端部とは反対側の端部において、複数の金属板9111~9113のうちで異なる金属板とそれぞれ接続されている。ここでは、第一接点板908が金属板9111に接続され、第二接点板909が金属板9113に接続されているものとする。この場合、金属板9111,9113の間に微弱な電圧を印加した際の電流の有無を検知することで、トナーボトルユニット900がピストン押込み前の状態(未使用)であるかピストン押込み後の状態(使用済み)であるかを判別可能である。即ち、トナーボトルユニット900が補給容器装着部701に装着された状態において、画像形成装置の制御部90は金属板9111、9113の間の導通の有無に基づいてトナーボトルユニット900が未使用か使用済みかを判断できる。また、制御部90は、第一接点板908、第二接点板909が非導通になったことをもって、ユーザによる補給操作が終了したと判断することができる。この判断に基づき、制御部90は、先に説明したパネル400の表示制御を行う。また、制御部90は、金属板9111、9113間の導通の変化で、トナーボトルユニット900が、使用済みであることを示す、新品フラグ(新品:1、使用済み:0)をメモリユニット45に書き込む。
なお、上記構成の場合、メモリユニット911は金属板9111,9112をつなぐ回路上に配置すると好適である。これにより、画像形成装置の制御部90は、金属板9111,91113を介してトナーボトルユニット900の押込み動作を監視しながら、これに並行して、金属板9111,9112を介してメモリユニット911にアクセスすることができる。
(2-4)トナーボトルユニットの回転検知
次に、図16(e)、(f)を用いてトナーボトルユニット900の回転を検知する方法について説明する。なお、本実施の形態における回転検知方法は、補給容器の排出口を封止するシャッタ部材904がトナーボトルユニット900の外筒903に取付けられている以外は、上述のトナーパック40を用いる実施の形態と同様である。
図16(e)、(f)に示すように、プロセスカートリッジの補給容器装着部701には、回転検知部7015として、2枚の導電性のある板バネ70151、70152が配置されている。また、補給口シャッタ7013の外周部には、突出部70135bが設けられている。
図16(e)に示すように、補給容器装着部701に挿入されたトナーボトルユニット900が回転される前の状態では、板バネ70152の先端701521が板バネ70152に接触しておらず、回転検知部7015は切断状態にある。即ち、板バネ70151,70152の間に微弱な電圧を印加しても電流は流れない。図16(f)に示すように、トナーボトルユニット900が180度回転されると、板バネ70152が突出部70135aによって押圧され、先端部701521において他方の板バネ70151に接触して導通状態となる。この状態では、板バネ70151,70152の間に微弱な電圧を印加すると電流が流れる。画像形成装置の制御部90は、回転検知部7015が導通しているか切断しているかに基づいて、トナーボトルユニット900の排出口9031と補給容器装着部701の補給口8012とが連通した状態か否かを認識する。
(2-5)トナーボトルユニットを用いた補給動作の流れ
トナーボトルユニット900を補給容器装着部701に装着してトナーの補給を行った後、トナーボトルユニット900を取り外す一連の動作について説明する。なお、トナーパック40を用いる上述の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
まず、ユーザは、未使用のトナーボトルユニット900を補給容器装着部701に装着する。具体的には、外筒903及びシャッタ部材904の切り欠き状の係合面903s、904s(図15(c))を補給口8012及び補給口シャッタ7013の蓋部70131(図9(a))に位置合わせして挿入する。すると、外筒903の係合面903sが蓋部70131の側面である係合面7013sと係合し、シャッタ部材904の係合面904sが補給口8012の外周部に設けられた係合面8012sと係合する。このとき、補給口シャッタ7013の蓋部70131と係合している外筒903は、後にロック部材7014による補給口シャッタ7013のロックが解除されるまでは回転不能であり、ロック解除により補給口シャッタ7013と共に回転可能となる。一方、シャッタ部材904は、トナー受けユニット801の枠体8010に固定された補給口8012に係合することで回転不能な状態となっている。また、回転検知部7015の板バネ70151、70152は離間しており、回転検知部7015は切断状態である(図16(e))。
未使用のトナーボトルユニット900が補給容器装着部701に挿入された場合、上述の新品検知構成によってトナーボトルユニット900が新品であることを制御部90が認識する。制御部90は、先に説明したように、金属板9111-91113間の導通を認識してもよいし、メモリユニット45の新品フラグ(新品:1、使用済み:0)を、読み込み判断しても良い。すると、制御部90は、押圧機構600を動作させてロック部材7014をロック解除位置へ移動させ、トナーボトルユニット900が回転可能な状態となる。
その後、ユーザがトナーボトルユニット900を把持して180度回転させると、シャッタ部材904及び補給口シャッタ7013が開放され、トナーボトルユニット900の排出口9031と補給容器装着部701の補給口8012とが連通する。トナーボトルユニット900の回転に伴ってシャッタ部材904及び補給口シャッタ7013が開く動作は、図10(a)、(b)、(c)を用いて説明したトナーパック40の場合と同様である。
図16(f)に示すように、トナーボトルユニット900が180度回転された状態では、補給口シャッタ7013の突出部70135bによって押圧される板バネ70152の端部701521が他方の板バネ70151に接触する。このように回転検知部7015が導通状態になると、画像形成装置の制御部90は、トナーボトルユニット900の回転操作が行われたことを検知する。つまり、制御部90は、シャッタ部材904及び補給口シャッタ7013の封止が解除されてトナーパック40の排出口42aと補給容器装着部701の補給口8012とが連通したことを認識する。また、制御部90は、押圧機構600を動作させてロック部材7014をロック位置へ移動させ、トナーボトルユニット900の回転可能を規制する。
次に、ユーザはトナーボトルユニット900のピストン902を押圧して、トナーの排出を開始する。トナー収容部8011に落下したトナーは、トナー受けユニット801の内部を搬送されて現像容器32に到達する。本変形例においても、ピストン902が最も奥まで押込まれると、上述の押込み検知機構により、ピストン902の押込み動作の完了が検知される。即ち、図16(b)に示すように、ピストン902の押込みリブ9021が押込み検知棒907のピストン接触部9071を押圧することで、押込み検知棒907がピストン902に連動して移動する。そして、図16(d)に示すように、押込み検知棒907の接点解除部9072が第一接点板908及び第二接点板909の導通を切断する。画像形成装置の制御部90は、第一接点板908に接続された金属板9111と、第二接点板909に接続された金属板9113との間に電圧を印加しても電流が流れなくなったことに基づき、ピストン902の押込み完了を認識する。つまり、本変形例の場合は、押込み検知機構によってピストン902の押込み動作の完了を検知することが、トナーの排出完了を判断するための条件となっている。なお、他の構成例として、第一接点板908及び第二接点板909の間の導通が切断された場合に制御部90がメモリユニット911の新品フラグを書き換えるとともに、新品フラグの書き換えをもってトナーの排出が完了したと判断するようにしてもよい。
トナーボトルユニット900からのトナーの排出完了を検知した制御部90は、再び押圧機構600を動作させてロック部材7014をロック解除位置へ移動させ、トナーボトルユニット900を回転可能な状態とする。ユーザは、トナーボトルユニット900を把持して180度回転させる。すると、トナーボトルユニット900の排出口9031はシャッタ部材904によって覆われ、補給容器装着部701の補給口8012は補給口シャッタ7013の蓋部70131によって覆われる。また、図16(e)に示すように板バネ70151、70152が離間し、回転検知部7015が切断状態に戻る。すると、制御部90は補給口シャッタ7013が閉状態となったことを認識し、押圧機構600を動作させてロック部材7014をロック位置へと移動させる。これにより、補給容器装着部701は、トナー補給を行う前の初期状態に戻る。
(3)第2変形例
次に、プロセスカートリッジの構成が異なる第2変形例の形態について説明する。本変形例は、プロセスカートリッジに関する構成以外の部分については第1の実施形態と共通の構成を備えるため、共通部分については説明を省略する。
(3-1)プロセスカートリッジ
図17は、本変形例に係るプロセスカートリッジ20Aの(a)斜視図、(b)側面図、(c)断面図、(d)断面図である。図17(c)、(d)は、それぞれ図17(b)に図示した切断位置における切断面を表している。
図17の各図に示すように、本変形例のプロセスカートリッジ20Aは、トナー受けユニット801、現像ユニット802及びドラムユニット803Aによって構成されている。第1の実施形態と比べた場合、ドラムユニット803Aには、感光ドラム21の表面を清掃するクリーニングブレード24や廃トナーを収容する廃トナー室8033(図6(a)参照)は設けられていない。本変形例は、記録材に転写されずに感光ドラム21の表面に残った転写残トナーを現像ユニット802に回収して再利用する、クリーナーレス構成を採用しているためである。なお、ここでも例えば非磁性又は磁性の一成分現像剤が用いられるものとする。
図示した例では、現像ユニット802がプロセスカートリッジ20Aの下部に位置し、トナー受けユニット801及びドラムユニット803Aは重力方向で現像ユニット802の上方に位置する。図17(b)に示すように、重力方向に見てトナー受けユニット801及びドラムユニット803Aの位置は重複していないが、両者が少なくとも部分的に上下に並ぶ構成であってもよい。また、第1の実施形態でクリーニングブレード24や廃トナー室8033が設けられていた空間には、トナー受けユニット801が配置されている。トナー受けユニット801に設けられた補給容器装着部701の構成は第1の実施形態と共通であるが、図17には簡略化された形状を図示している。
現像ユニット802と、ドラムユニット803A及びトナー受けユニット801との間には、スキャナユニット11(図1(a)参照)から感光ドラム21に向けて出射されるレーザ光Lが通過可能な空隙としてのレーザ通過空間SPが形成されている。また、ドラムユニット803Aには、感光ドラム21の回転方向において転写部の下流かつ帯電ローラ22の間に、感光ドラム21の表面に光を照射して静電潜像を消去する前露光装置を配置することが好ましい。
(3-2)クリーナーレス構成におけるトナーの挙動
クリーナーレス構成におけるトナーの挙動について説明する。転写部において感光ドラム21に残った転写残トナーは、以下の工程で除去される。転写残トナーには正極性に帯電しているトナーや、負極性に帯電しているものの充分な電荷を有していないトナーが混在する。前露光装置により転写後の感光ドラム21を除電し、帯電ローラ22による均一な放電を生じさせることで、転写残トナーは再び負極性に帯電させられる。帯電部において再び負極性に帯電させられた転写残トナーは、感光ドラム21の回転に伴い現像部に到達する。そして、帯電部を通過した感光ドラム21の表面領域は、転写残トナーが表面に付着した状態のまま、スキャナユニット11により露光されて静電潜像を書き込まれる。
ここで、現像部に到達した転写残トナーの挙動について、感光ドラム21の露光部と非露光部に分けて説明する。感光ドラム21の非露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム21の非露光部の電位(暗部電位)と現像電圧との電位差により現像ローラ31に転移し、現像容器32に回収される。これは、トナーの正規帯電極性が負極性であるものとして、現像ローラ31に印加される現像電圧が、非露光部の電位に対して相対的に正極性だからである。なお、現像容器32に回収されたトナーは、撹拌部材34によって現像容器内のトナーと撹拌されて分散すると共に、現像ローラ31に担持されることで再び現像工程に使用される。
一方、感光ドラム21の露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム21から現像ローラ31に転移せずにドラム表面に残る。これは、トナーの正規帯電極性が負極性であるものとして、現像ローラ31に印加される現像電圧が、露光部の電位(明部電位)よりもさらに負極性の電位となっているためである。ドラム表面に残った転写残トナーは、現像ローラ31から露光部へと転移する他のトナーと共に感光ドラム21に担持されて転写部へ移動し、転写部において記録材に転写される。
クリーナーレス構成とすることで、転写残トナー等を回収する回収容器の設置スペースが不要となって画像形成装置1のより一層の小型化が可能となり、また、転写残トナーを再利用することで印刷コストの低減を図ることもできる。
(4)第3変形例
次に、プロセスカートリッジの構成が上述のいずれの形態とも異なる第3の変形例について説明する。本変形例は、プロセスカートリッジに関する構成以外の部分については第1の実施形態と共通の構成を備えるため、共通部分については説明を省略する。
(4-1)プロセスカートリッジの第3の形態
図18は、本変形例に係るプロセスカートリッジ20Bの(a)斜視図、(b)側面図、(c)断面図である。図18(c)は、図18(b)に図示した切断位置における切断面を表している。
図18の各図に示すように、本変形例のプロセスカートリッジ20Bは、現像ユニット802及びドラムユニット803Aによって構成されている。第3の実施形態と比べた場合、トナー受けユニット801が省略される代わりに、補給容器装着部701、第一搬送部材8013及び第二搬送部材8014が現像ユニット802に配置されている。つまり、本変形例は、現像容器32に設けられた補給口8012に対して、トナーパック40やトナーボトルユニット900等の補給容器を画像形成装置の外部から装着してトナーの補給を行う構成である。補給容器装着部701の構成は第1の実施形態と共通であるが、簡略化された形状を図示している。
現像ユニット802と、ドラムユニット803A及びトナー受けユニット801との間には、スキャナユニット11(図1(a)参照)から感光ドラム21に向けて出射されるレーザ光Lが通過可能な空隙としてのレーザ通過空間SPが形成されている。また、ドラムユニット803Aには、感光ドラム21の回転方向において転写部の下流かつ帯電ローラ22の間に、感光ドラム21の表面に光を照射して静電潜像を消去する前露光装置を配置することが好ましい。本変形例は、クリーナーレス構成を採用している。クリーナーレス構成におけるトナーの挙動については第2変形例と同様であるため説明を省略する。
(5)画像形成装置の制御系
図19は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1の制御手段としての制御部90は、演算装置としてのCPU91と、CPU91の作業領域として使用されるRAM92と、各種プログラムを格納する不揮発性メモリ93と、を有している。また、制御部90は、外部の機器と接続される入出力ポートとしてのI/Oインターフェース94と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部95と、を有している。CPU91は、不揮発性メモリ93に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、画像形成装置1の各部を制御する。従って、不揮発性メモリ93は、画像形成装置を特定の方法で動作させるための制御プログラムを格納した非一過性の記憶媒体の例である。
また、制御部90には、トナーパック40やトナーボトルユニット900等の補給容器に搭載された不揮発メモリであるTメモリ57、プロセスカートリッジ20に搭載された不揮発メモリであるPメモリ58が接続される。補給容器に設けられた記憶手段としてのTメモリ57の例は、前述のトナーパック40に搭載されたメモリユニット45、及び、前述のトナーボトルユニット900に搭載されたメモリユニット911である。また、Tメモリ57には、トナーパック40やトナーボトルユニット900等の補給容器に収容されているトナーが現像容器32に補給可能なトナーであることを示すトナー情報も記憶されている。トナー情報とは、例えば、トナーパック40が未使用状態であるか、トナーの初期容量、使用期限等が記述された情報のことである。また、Pメモリ58には、現像容器32に収容されているトナーの残量、これまでに行われた補給容器からのトナーの補給総量、感光体寿命に関する情報、プロセスカートリッジ20の交換タイミングに関する情報などが記憶されている。
さらに、制御部90には回転ロック機構59及び画像形成部10が接続されている。回転ロック機構59の例は、補給容器装着部701に設けられたロック部材7014(図9及び図11)及びこのロック部材7014を移動させる押圧機構600(図13)である。画像形成部10は、感光ドラム21、現像ローラ31、供給ローラ33及び撹拌部材34等を駆動する駆動源としてのモータM1を有している。なお、これらの回転部材の駆動源は必ずしも同一でなくともよく、例えば感光ドラム21、現像ローラ31及び供給ローラ33と、撹拌部材34とを、それぞれ別個のモータによって駆動するように構成してもよい。また画像形成部10は、現像ローラ31等の各部材へ電圧印加するための電源部211や、スキャナユニット11を制御する露光制御部212も備える。
制御部90の入力側には、トナー残量検知手段51、廃トナー満タン検知手段52、装着検知手段53、開閉検知手段54、回転検知手段55、押込み検知手段56が接続されている。
トナー残量検知手段51は、現像容器32に収容されているトナーの残量を検知する。トナー残量検知手段51の例は、図6(a)に示す光学センサ(51a,51b)である。この光学センサは、現像容器32の内部に向けて検知光を照射する発光部51aと、検知光を検知する受光部51bとを含む。この場合、撹拌部材34が回転する際の回転周期に対して検知光の光路がトナーによって遮光されていた期間の割合(Duty)は、現像容器32内のトナー残量に相関がある。これを利用し、Duty値とトナー残量との対応関係を予め用意しておくことで、現在のDuty値からトナー残量を求めることができる。なお、このような光学センサはトナー残量検知手段の一例であり、感圧センサや静電容量式センサを用いてもよい。廃トナー満タン検知手段52は、クリーニングユニット803の廃トナー室8033(図6(a))に蓄積された廃トナーの量が所定の上限に到達したことを検知する。廃トナー満タン検知手段52としては、例えば廃トナー室8033に配置した感圧センサを用いることができる。また、画像情報の所定割合が廃トナーとなって回収されるという予想のもと、制御部90は、画像情報から廃トナー量を演算予想しても良い。
装着検知手段53は、トナーパック40等の補給容器が補給容器装着部701に装着されたことを検知する。装着検知手段53は、例えば、補給容器装着部701に設けられ、トナーパック40の底面によって押圧されることで検知信号を出力する感圧スイッチから構成される。また、装着検知手段53は、補給容器装着部701の接点部70133(図9)を介してTメモリ57が制御部90と電気的に接続されたことを検出する検出回路であってもよい。
回転検知手段55は、補給容器装着部701に装着された補給容器の回転を検知する。回転検知手段55の例は、板バネ70151,70152(図9及び図16)によって構成される回転検知部7015である。回転検知部7015は回転検知手段55の一例であり、例えば補給口シャッタ7013に設けられた突出部によって遮光される光電センサを回転検知センサとして用いることもできる。また、回転検知センサの他の例として、トナーパック40の排出部42に設けた突出部によって回転検知部7015の板バネ70151,70152が導通する構成としてもよい。
押込み検知手段56は、第1変形例のトナーボトルユニット900を用いる場合に追加される要素であり、トナーボトルユニット900のピストン902の押込み完了を検知する。押込み検知手段56の例は、トナーボトルユニット900に設けられた押込み検知棒907、第一接点板908及び第二接点板909からなる押込み検知機構(図16)の状態変化を検知する画像形成装置1に設けられた検出回路である。この検出回路は、第一接点板908及び第二接点板909がそれぞれ接続された金属板9111,9113に電圧を印加したときの電流値を監視することで、ピストン902の押込み前か押込み後かを検出する。
また、制御部90には、画像形成装置1のユーザインタフェースとなる操作部300と、ユーザに対して現像容器32内のトナー残量に関する情報を通知する通知手段(報知手段)としてのパネル400とが接続されている。ここでトナー残量に関する情報とは、トナー残量そのものを示すことに限定されない。その他にも、トナー残量に関する情報には、トナーパック40やトナーボトルユニット900を用いて、どれだけ既に補給済みであるかを示す情報も包含される。また、トナー残量に関する情報には、現像容器32にあと幾つのトナーパック40や、トナーボトルユニット900で補給を行えるかの現像容器32の空き容量を示す情報も包含される。
操作部300は、各種の設定画面を表示可能な表示部301を有している。表示部301は、例えば液晶パネルで構成される。また、操作部300は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力部302を備えている。入力部302は、例えば物理ボタンや液晶パネルのタッチパネル機能部で構成される。さらに、制御部90は、I/Oインターフェース94を介して、デスクトップコンピュータやスマートフォン等の外部機器と接続される。
(6)トナー受けユニットのエアフロー構成
以下、トナー補給に伴うトナー受けユニット801の気流を制御する構成について説明する。
(6-1)トナー受けユニット内の構成
図21は、トナー受けユニット801にトナーボトルユニット900を装着した状態のプロセスカートリッジ20を示す断面図である。上述した通り、トナー受けユニット801のトナー収容部8011には、現像ユニット802に向けてトナーを搬送する第一搬送部材8013、第二搬送部材8014及び第三搬送部材8015が取り付けられている。トナー受けユニット801の枠体8010及び現像ユニット802の枠体である現像容器32は、プロセスカートリッジ20の枠体を構成している。
また、トナー収容部8011の内部には、第一搬送部材8013と第二搬送部材8014の間に仕切り壁813が設けられている。仕切り壁813は、第一搬送部材8013から第二搬送部材8014にトナーが受け渡される接続部を残しつつ、プロセスカートリッジ20の長手方向に延びる壁状の部材である。仕切り壁813は、同じく長手方向に延びるトナー収容部8011の内壁8011x、8011yと共に、補給容器からプロセスカートリッジ20に流れ込むトナーをバッファするバッファ領域B0を形成している。
トナーボトルユニット900のピストン902(図15)を押し込むと、排出口9031から補給口8012を介してトナー収容部8011に空気と共にトナーが流入する。すると、バッファ領域B0に沿ってトナーが空気で搬送され、長手方向に分散する。このように、仕切り壁813を配置することで、現像ユニット802側へ急激なエアフローができてしまうのを防止することができる。
(6-2)トナー受けユニットの排気構成
図21に示すトナーボトルユニット900のピストン902が押し込まれてトナー収容部8011に空気と共にトナーが送り込まれると、プロセスカートリッジ20の内圧が上昇する。このとき、内圧の上昇によってプロセスカートリッジ20の収容容器が変形し得たり、補給口8012からトナーを含んだ空気が噴出してトナーが漏れたりする可能性がある。そこで、本実施形態では、トナー受けユニット801にカートリッジ内の空気を排出する排気部を設けている。なお、補給容器から補給口8012を介してプロセスカートリッジ20に流入する空気とは、補給容器にトナーと共に充填されていた気体のことであり、例えば窒素ガスのような不活性ガスであってもよい。その場合であっても、排気部が空気を排出可能に構成されていれば、当該不活性ガスは排気部から廃棄される。
トナーボトルユニット900の容量増大を図る場合、短時間により多くの空気及びトナーがプロセスカートリッジ20に流入することになる。そのため、以下の構成は、トナーボトルユニット900の容量を大きくした場合にも好適に適用できる。
また、トナーボトルユニット900のようにピストン902を押込む方式の補給容器では、トナーパック40のような袋部材からトナーを絞り出す方式に比べてプロセスカートリッジ20の内圧が上昇しやすい。そのため、本実施形態は補給容器としてトナーボトルユニット900を用いる画像形成システムに特に好適に適用されるが、トナーパック40その他の補給容器を用いても構わない。
図22(a)は、トナー受けユニット801の上面図であり、図22(b)は図22(a)に示した切断線A-Aの断面図、図22(c)は図22(a)に示した切断線B-Bの断面図である。なお、図22(b)は、説明を分かりやすくするため、第一搬送部材8013、第二搬送部材8014及び第三搬送部材8015を非表示としたものである。また、図23は、図22(a)から後述するエアパスフィルタ(8112,8122)を非表示にした図である。
なお、以下の図22~図27の説明におけるトナー受けユニット801の上面図は、プロセスカートリッジ20をプリンタ本体100に装着した際と同じ姿勢にあるトナー受けユニット801を、鉛直方向に沿って見た様子を表している。より具体的には、トナー受けユニット801を、鉛直方向でトナー受けユニット801の上方から見た様子を表している。
図22(a)に示すように、トナー収容部8011の外周面には、第一排気部811と第二排気部812が設けられている。鉛直方向に見たとき、第一排気部811と第二排気部812は、補給口8012から送られたトナーを搬送する第一搬送部材8013の回転軸線L0に重なるように配置される。
第一排気部811は、回転軸線L0の軸線方向に関して(即ちトナー収容部8011の長手方向に関して)、補給口8012からなるべく遠くに配置することが好ましく、第二排気部812は第一排気部811と補給口8012の間に配置される。例えば、軸線方向におけるトナー収容部8011の中央位置H1に対して補給口8012とは反対側に第一排気部811を配置し、トナー収容部8011の中央位置H1と補給口8012との間に第二排気部812を配置すると好適である。また、軸線方向における現像ローラ31の中央位置h1に対して補給口8012とは反対側に第一排気部811を配置し、現像ローラ31の中央位置h1と補給口8012との間に第二排気部812を配置すると好適である。ここで、現像容器32には開口が設けられており、現像ローラ31の一部が、感光ドラム21と対向している。現像ローラ31の中央位置h1は、この現像容器32に設けられた開口の、軸線方向における中央位置とも一致する。
また、第二排気部812は、鉛直方向に見たときに補給口8012と第一排気部811とを通る直線L1と重なるように配置されており、直線的でロスの少ないエアフローを形成できる。なお、本実施形態において、鉛直方向に見たときに補給口8012と第一排気部811とを最短距離で結ぶ直線を直線L1とした。
また、仕切り壁813との関係では、第一排気部811及び第二排気部812は、補給口8012から現像ローラ31に向かうトナーの移動方向(図6(c)参照)において仕切り壁813の上流側に配置されている。言い換えると、第一排気部811及び第二排気部812は、仕切り壁813によって区画されたプロセスカートリッジ20内部の空間のうち、補給口8012と同じ区画(バッファ領域B0、図21参照)の空気を排出する。
図22(b)に示すように、第一排気部811は第一開口の例である第一排気口8111と第一フィルタの例である第一排気フィルタ8112で構成される。第二排気部812は第二開口の例である第二排気口8121と第二フィルタの例である第二排気フィルタ8122で構成される。第一排気口8111と第二排気口8121の各々は、鉛直方向に見て第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に直交する直交方向(X2)に複数の穴が並んだ構造を有する。これにより、排気フィルタへの空気圧をなるべく均等に分散することで排気部の破損を防止できる。本実施形態において、それぞれの穴の長手方向は、それぞれの穴が並ぶ方向(直交方向(X2))と交差する方向である。これにより、第一排気フィルタ8112や第二排気フィルタ8122を安定して取り付けることができる。第一排気口8111を構成する穴の開口面積の合計は、第二排気口8121を構成する穴の開口面積の合計と略等しい(図23参照)。第一排気フィルタ8112と第二排気フィルタ8122は、トナーの通過を防止し空気の通過を許す微細なメッシュ構造から成るエアパスフィルタで、それぞれの排気口を覆うようにトナー収容部8011に取り付けられる。
ユーザがトナーボトルユニット900のピストンを押込んでトナーを排出させると、トナーと一緒に流入した空気が、矢印AFに示す経路を通って第一排気部811と第二排気部812から抜けていく。このように、トナー補給に伴うエアフローを第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に向かって形成することができる。つまり、トナー収容部8011の端部に位置する補給口8012を介して流入するトナーを、軸線方向に移動させて第一搬送部材8013に供給する。これにより、収容容器の変形やトナーの漏れを回避しつつ、第一搬送部材8013によるトナーの搬送を円滑に進めさせることができる。
なお、本実施形態において、第一排気口8111及び第二排気口8121の開口面積は同等としたが、開口面積は異なっていてもよい。また、鉛直方向に見て第一排気口8111及び第二排気口8121が第一搬送部材8013の回転軸線L0と重なっていれば、X2方向に関して第一排気口8111及び第二排気口8121をオフセットさせてもよい。
また、第一排気口8111及び第二排気口8121を構成する穴の形状や数は変更可能である。その場合、排気フィルタが気圧により破損しない範囲内であれば、穴数は自由に設定してよく、例えば一つの穴で各排気口を構成してもよい。
以上説明したように、第1の実施形態では、プロセスカートリッジの枠体に第一開口及び第二開口を設け、それぞれの開口を第一フィルタ及び第二フィルタによって覆っている。これによってプロセスカートリッジ20の排気性能が高まるため、容器の変形やトナーの漏れをより確実に防ぐことができる。また、第1の実施形態の構成によればトナーボトルの大容量化に伴いプロセスカートリッジ20への流入空気量が増えても、充分な排気性能を確保しつつ第一撹拌部材に対して効率的にトナーを送るエアフローを形成ことができる。
なお、変形例として、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に延びるスリット状(軸線方向を長辺方向とする矩形状)の開口部を1つ配置し、1枚のエアパスフィルタで覆ってもよい。その場合、当該開口部は、軸線方向(X1)に関して本実施形態の第一排気口8111の位置から第二排気口8121の位置まで形成し、直交方向(X2)に関して鉛直方向に見て第一搬送部材8013と重なる位置に設けることが考えられる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図24を用いて説明する。本実施形態は、第一排気部811及び第二排気部812の配置が第1の実施形態と異なっている。その他の第1の実施形態と共通の構成及び作用を有する要素については、第1の実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
図24(a)は本実施形態に係るトナー受けユニット801の上面図であり、図24(b)は図24(a)から第一排気フィルタ8112と第二排気フィルタ8122を非表示にした図である。図24に示すように、第一排気部811は第一排気口8111と第一排気フィルタ8112から構成され、第二排気部812は第二排気口8121と第二排気フィルタ8122から構成される。第一排気口8111は、鉛直方向に見て第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に直交するX2方向に複数の穴(第一穴)が並んだ構造を有する。同様に、第二排気口8121は、鉛直方向に見てX2方向に複数の穴(第二穴)が並んだ構造を有する。
ここで、図24(b)に示すように、本実施形態では、第一排気口8111と第二排気口8121の開口面積が異なっている。即ち、第一排気口8111を構成する穴の開口面積の合計は、第二排気口8121を構成する穴の開口面積の合計よりも大きい。そのため、トナー補給時に補給口8012から流入した空気は、第二排気部812に比べて第一排気部811から優先的に排出される。言い換えると、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に沿って第二排気部812の位置から第一排気部811に向かって流れる空気の流量が、第1の実施形態に比べて増加する。これにより、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)端部までより安定したエアフローを形成することができる。
また、第一排気フィルタ8112と第二排気フィルタ8122の通気性は、第一排気部811からの空気流出量を第二排気部812よりも多くできれば好適であり、例えば第一排気フィルタ8112の通気性が第二排気フィルタ8122より高くてもよい。なお、第一排気口8111及び第二排気口8121を構成する穴の形状や数は、第1の実施形態と同じく変更可能である。
以上説明したように、第2の実施形態によっても、プロセスカートリッジ20の排気性能を高めて、容器の変形やトナーの漏れをより確実に防ぐことができる。また、トナーボトルの大容量化に伴いプロセスカートリッジ20への流入空気量が増えても、充分な排気性能を確保しつつ補給口から離れた位置までトナーを送るエアフローを形成ことができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第一排気部811及び第二排気部812の通気性に関する構成が第1の実施形態と異なっている。その他の第1の実施形態と共通の構成及び作用を有する要素については、第1の実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
図25(a)は本実施形態に係るトナー受けユニット801の上面図で、図25(b)は図25(a)から第一排気フィルタと第二排気フィルタを非表示にした図である。図25(a)(b)に示すように、第一排気部811は第一排気口8111と第一排気フィルタ8112から構成され、第二排気部812は第二排気口8121と第二排気フィルタ8122から構成される。図25(a)に示すように、第一排気口8111と第二排気口8121は同等の開口面積を有している。
ここで、図25(b)に示した、第一排気フィルタ8112と第二排気フィルタ8122は、互いに通気性が異なっており、第一排気フィルタ8112は、第二排気フィルタ8122よりもメッシュの構造が粗く通気性が高くなっている。つまり、本実施形態における第一フィルタとしての第一排気フィルタ8112は、第二フィルタとしての第二排気フィルタ8122よりも通気性が高い材質で構成されている。
これにより、補給口8012から流入した空気は、第一排気部811から優先的に排出される。言い換えると、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に沿って第二排気部812の位置から第一排気部811に向かって流れる空気の流量が、第1の実施形態に比べて増加する。そのため、例えば流入した空気の大半が第二排気部812から抜けてしまいトナーを送るエアフローが第一搬送部材8013の軸線方向端部まで届かなくなってしまうことを抑制できる。
なお、第一排気部811からの空気流出量を第二排気部812よりも多くできる構成であれば、第一排気口8111と第二排気口8121の開口面積を同等とする構成に代えて、例えば第二排気口8121の開口面積を第一排気口8111より大きくしてもよい。これに対し、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせて、第一排気口8111の開口面積を第二排気口8121より小さくして、第一排気部811からの空気の排出をさらに促すようにしてもよい。なお、第一排気口8111及び第二排気口8121を構成する穴の形状や数は、第1の実施形態と同じく変更可能である。
以上説明したように、第3の実施形態によっても、プロセスカートリッジ20の排気性能を高めて、容器の変形やトナーの漏れをより確実に防ぐことができる。また、トナーボトルの大容量化に伴いプロセスカートリッジ20への流入空気量が増えても、充分な排気性能を確保しつつ補給口から離れた位置までトナーを送るエアフローを形成ことができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第一排気部811及び第二排気部812の配置が第1の実施形態と異なっている。その他の第1の実施形態と共通の構成及び作用を有する要素については、第1の実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
図26(a)はトナー受けユニット801の上面図で、図26(b)は図26(a)から第一排気フィルタと第二排気フィルタを非表示にした図である。図26に示すように、第一排気部811は、鉛直方向に見て第一搬送部材8013の回転軸線L0に重なるように、かつ、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)に関して補給口8012からできるだけ遠方に配置される。第二排気部812は、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)において、第一排気部811と補給口8012の間に位置する。
ここで、本実施形態の第二排気部812は、鉛直方向に見たとき、X2方向に関して、トナー受けユニット801の排出口8016と補給口8012との間に配置される。排出口8016は、第一の収容部としてのトナー受けユニット801のトナー収容部8011と、第二の収容部としての現像容器32内のトナー収容室321とを連通する連通部である(図21参照)。つまり、本実施形態の第二開口である第二排気口8121は、第一搬送部材8013の回転軸線と直交する直交方向(X2)に関して、補給口8012と、連通部としての排出口8016の間に位置する。
これにより、第一排気部811により第一搬送部材8013にトナーを送るエアフローを形成しつつ、第二排気部812によりX2方向に関して排出口8016に近づく方向の気流を形成することができる。その際、第二排気部812が上記の位置に配置されることで、排出口8016の手前で空気を排出することができ、排出口8016にトナーが押し寄せて排出口8016が詰まることを抑制できる。
なお、第一排気口8111及び第二排気口8121を構成する穴の形状や数は、第1の実施形態と同じく変更可能である。また、第一排気口8111及び第二排気口8121の開口面積や第一排気フィルタ8112及び第二排気フィルタ8122について、第2及び第3の実施形態を組み合わせて適用してもよい。
以上説明したように、第4の実施形態によっても、プロセスカートリッジ20の排気性能を高めて、容器の変形やトナーの漏れをより確実に防ぐことができる。また、トナーボトルの大容量化に伴いプロセスカートリッジ20への流入空気量が増えても、充分な排気性能を確保しつつ、排気口のトナー詰まりを防止できる。
(変形例)
本実施形態における第二排気部と同様の排気部を、図27に示すように、中間排気部815として第1の実施形態に追加してもよい。この変形例では、第一搬送部材8013の軸線方向(X1)において、第一排気部811と第二排気部812との間に、第三排気部としての中間排気部815が設けられている。中間排気部815は、第三開口としての中間排気口8151と、中間排気口8151を覆うように取り付けられた第三フィルタとしての中間排気フィルタ8152とによって構成されている。
さらに、図27の配置例に限らず、3つ以上の排気部をプロセスカートリッジ20に配置しても構わない。
<第5の実施形態>
第5の実施形態について説明する。本実施形態は、排気部に設けられるフィルタの構成が第1の実施形態と異なっている。その他の第1の実施形態と共通の構成及び作用を有する要素については、第1の実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
図28は、第1の実施形態で説明した第一排気部811の断面図である。図28に示すように、空気の抜ける方向(矢印AF)に対して、第一排気口8111の下流に第一排気フィルタ8112が取り付けられ、さらにその下流に第一保護シート8113が取り付けられた二重構造になっている。第一保護シート8113は、繊維を絡め合わせた不織布状のシートで、トナーやトナーより小さな粒子(埃等)を捕集し、これら異物の通過を防止する。また、不図示の第二排気部812に関しても、第二排気口8121の下流に第二排気フィルタ8122と第二保護シートを有する二重構造になっている。
本実施形態によれば、排気フィルタの外側(排気フィルタの下流)に保護シートを追加することで、プロセスカートリッジ20外部へのトナー飛散をより確実に防止することができる。また、トナー受けユニット801の外部から侵入しようとする埃などの異物を保護シートで絡めとることで、排気フィルタに異物が堆積し通気性能が低下することを抑制できる。
なお、本実施形態のフィルタ構成は、第1~第4の実施形態及びその変形例における一部又は全部の排気フィルタに適用可能である。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。本実施形態は、補給容器の内部にトナーの凝集を防ぐ重り部材が複数個内包されている点で、第1の実施形態と異なっている。その他の第1の実施形態と共通の構成及び作用を有する要素については、第1の実施形態と共通の符号を付して説明を省略する。
以下、補給容器の例として、トナーボトルユニット900を用いて説明する。トナーボトルユニット900内に充填されたトナーは、トナーボトルユニット900が同じ姿勢で保管された場合や、同じ姿勢で輸送の振動等を受けた場合に、その自重により次第に凝集し、流動性が低下する。
図15を用いて説明したように、トナーボトルユニット900の内筒901には、凝集したトナーを解して排出し易くするための、球形状の重り部材905が内包されている。トナーボトルユニット900からプロセスカートリッジ20にトナーを補給する前に、ユーザは、好ましくはトナーボトルユニット900を振ってトナーを撹拌する。このとき、トナーボトルユニット900の内部では、重り部材905が内筒901に対して自在に動き回りトナーと接触を繰り返すことによって、凝集したトナーを解しながらトナー収容部9014の空気と混合する。これによってトナーの流動性が向上し、トナーボトルユニット900からのトナーの排出が円滑に行われやすくなる。
しかしながら、保管中又は輸送中にトナーが強く凝集することも考えられる。この場合、ユーザがトナーボトルユニット900を振る回数や勢いが十分でないときは、トナーの凝集が解消されずにトナーの排出が始まって排出不良が生じる懸念がある。また、トナーボトルユニット900の容量を大きくして充填されるトナー量を多くする場合にも、トナーの凝集による排出不良が懸念される。
そこで、本実施形態では、トナーボトルユニット900の内部に複数の重り部材を配置している。図29(a)は、トナーボトルユニット900の正面図であり、図29(b)は、図29(a)に示した切断線A-Aの断面図である。図29(c)は、図29(b)に示す矢印C1方向から見た排出口の図である。図中、矢印D1方向は、トナーボトルユニット900の着脱方向であり、ピストン902の押し込み方向である。矢印D2方向及び矢印D3方向は、いずれもD1方向に対して垂直な方向である。そして、矢印D2方向は矢印D3方向に対して垂直である。D1方向を第一方向とするとき、D2方向、D3方向はそれぞれ第二方向、第三方向の一例である。
上述した通り、トナーボトルユニット900の内筒901は、トナー収容部9014、底部9013、開口部9012及び排出口9011を備えており、外筒903に嵌め込まれている(図29(a)、(b))。排出口9011は、外筒903の排出口9031と共に、トナーボトルユニット900の排出口を構成している。また、押し部材としてのピストン902は、開口部9012を介して内筒901に対して摺動可能に嵌合している。内筒901及び外筒903は、本実施形態に係る補給容器(トナー収容容器)の枠体を構成している。
ここで、本実施形態のトナーボトルユニット900には、第一移動部材としての第一重り部材991と、第二移動部材としての第二重り部材992と、が内包されている。第一重り部材991及び第二重り部材992は金属でできた球体である。また、第一重り部材991及び第二重り部材992は、大きさ及び比重が互いに等しい。
さらに、第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーT1と共にトナー収容部9014に封入されており、排出口9011からトナーボトルユニット900の外部に脱出しないように構成されている。トナー収容部9014の内部において、第一重り部材991及び第二重り部材992は内筒901に拘束されずに自在に移動可能である。即ち、第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーボトルユニット900の枠体に対して、第一方向(D1方向)、第二方向(D2方向)及び第三方向(D3方向)に自由に(独立して)移動できる。つまり、第一重り部材991及び第二重り部材992のそれぞれの自由度は6である。言い換えれば、第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーボトルユニット900の枠体に対して、D1方向、D2方向、D3方向のうちの任意の方向に移動できる。例えば、第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーボトルユニット900の枠体に対して、D2方向、D3方向について変位しなくても、D1方向について変位することができる。第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーボトルユニット900の枠体に対して、D3方向について変位しなくても、D1方向およびD2方向について変位することができる。また、第一重り部材991及び第二重り部材992は、トナーボトルユニット900の枠体に対して、D1方向、D2方向、D3方向について変位することもできる。さらに、D1方向に延びる軸、D2方向に延びる軸、D3方向に延びる軸、のそれぞれの軸周りに回転できる。
図29(b)、(c)に示すように、排出口9011には、トナーボトルユニット900の外部に連通する開口部9011nと、第一収納部9011h1、第二収納部9011h2及び第三収納部9011h3が設けられている。開口部9011nと、第一収納部9011h1、第二収納部9011h2及び第三収納部9011h3とは、互いに連通しており、トナーの流路を構成している。これらの収納部は、トナーボトルユニット900がトナーを排出する際に重り部材(991、992)を収納する収納部(重り部材が退避する退避空間)として機能する。
図29(b)、(c)に示すように、第二収納部9011h2には、重り部材のD1方向の移動を規制する直動規制面9011a2と、重り部材のD2方向及びD3方向の移動を規制する転がり規制面9011b2と、が設けられている。転がり規制面9011b2は、重り部材の球径と略同径の円弧形状からなり、矢印C1の方向に見て180°以上の内周面を有している。
第三収納部9011h3にも、重り部材のD1方向の移動を規制する直動規制面9011a3と、重り部材のD2方向及びD3方向の移動を規制する転がり規制面9011b3と、が設けられている。転がり規制面9011b3は、重り部材の球径と略同径の円弧形状からなり、矢印C1の方向に見て180°以上の内周面を有している。なお、直動規制面9011a2と直動規制面9011a3は、D1方向において互いに同一平面上に設けられている。
第一収納部9011h1には、重り部材のD1方向の移動を規制する直動規制面9011a1を有する突出部9011wと、重り部材のD2方向及びD3方向の移動を規制する転がり規制面9011b1と、が設けられている。転がり規制面9011b1は、重り部材の球径と略同径の円弧形状からなり、矢印C1の方向に見て180°以上の内周面を有している。突出部9011wは、矢印C1の方向に見て開口部9011nを塞がないようにD2、D3方向に突出している(図29(c))。また、突出部9011wの直動規制面9011a1は、D1方向において、開口部9011nを塞がないように直動規制面9011a2及び直動規制面9011a3よりも開口部9011nから離れた位置に配置される(図29(b))。
第一重り部材991及び第二重り部材992の各々は、第一収納部9011h1、第二収納部9011h2及び第三収納部9011h3のいずれにも収納可能である(図29(b)参照、収納時の位置を点線で示している)。また、第一重り部材991と第二重り部材992が各収納部(9011h1、9011h2、9011h3)に収納されている状態では、各重り部材の第一方向(D1)を除く第二方向(D2)及び第三方向(D3)への移動は制限される。
以上説明した、直動規制面(9011a1~9011a3)と転がり規制面(9011b1~9011b3)により、一度収納部(9011h1~9011h3)に収納された重り部材(991、992)が収納部から離脱することが規制される。このため、ピストン902を押込むことで排出口9011の付近のトナーの圧力が高まったとしても、収納部から重り部材が飛び出してトナーの排出を妨げたりする事態は防がれる。
本実施形態では、2つの移動部材(991,992)に対し、それぞれ少なくとも1つの移動部材を収納可能な収納部(9011h1,9011h2,9011h3)を3つ設けている。また、各収納部が排出口9011の開口部9011nに連通した構成としている。このように、重り部材より多くの収納部を設けることで、3つの収納部のうちの2つに重り部材が収納されても、トナー収容部9014から排出口9011の開口部9011nまでのトナーの流路が確保される。
(トナー排出時の流路)
トナーボトルユニット900からトナーが排出される際のトナーの流路(移動経路)について、重り部材991,992の収納位置の組み合わせの例を挙げて説明する。図30(a)~(f)のうち、(a)、(c)、(e)はトナーボトルユニット900の排出口9011付近の断面図であり、(b)、(d)、(f)は排出口9011をD1方向に見た図である。
図30(a)、(b)は、第一重り部材991が第一収納部9011h1に収納され、第二重り部材992が第二収納部9011h2に収納された場合を表している。この場合、内筒901内のトナーT1は第一収納部9011h1と第二収納部9011h2を通過できなくなるが、第三収納部9011h3と開口部9011nをつなぐ移動経路TF1は残存する。従って、ユーザが図29(a)に示すピストン902をD1方向に押し込み内筒901内に圧を加えると、トナーT1が第三収納部9011h3を通って開口部9011nから排出される。
図30(c)、(d)は、第一重り部材991が第二収納部9011h2に収納され、第二重り部材992が第三収納部9011h3に収納された場合を表している。この場合、内筒901内のトナーT1は第二収納部9011h2と第三収納部9011h3を通過できなくなるが、第一収納部9011h1と開口部9011nをつなぐ移動経路TF2は残存する。従って、ユーザが図29(a)に示すピストン902をD1方向に押し込み内筒901内に圧を加えると、トナーT1が第一収納部9011h1を通って開口部9011nから排出される。
図30(e)、(f)は、第一重り部材991と第二重り部材992が第二収納部9011h2に積み重なるように収納された場合を表している。この場合、内筒901内のトナーT1は第二収納部9011h2を通過できなくなるが、第一収納部9011h1及び第三収納部9011h3と開口部9011nをつなぐ移動経路TF3は残存する。従って、ユーザが図29(a)に示すピストン902をD1方向に押し込み内筒901内に圧を加えると、トナーT1が第一収納部9011h1及び第三収納部9011h3を通って開口部9011nから排出される。
このように、2つの重り部材に対して3つの収納部を配置することにより、トナーの排出経路が確実に確保できるようになっている。どちらの場合でも、トナーの排出経路が少なくとも1つ確保される。
また、上述のいずれの場合であっても、重り部材(991、992)はピストン902と接触しないように各収納部(9011h1、9011h2、9011h3)に収容される。
(トナー補給時の重り部材の挙動)
次に、図9に示すトナー受けユニット801に、トナーボトルユニット900からトナーを補給する際の補給動作について説明する。
図31(a)は、ユーザがトナーボトルユニット900を振っているときのトナーボトルユニット900の断面図である。図31(b)は、ユーザがトナーボトルユニットを振り終え、トナー受けユニット801の補給容器装着部701に取り付ける直前のトナーボトルユニットの断面図である。図31(c)は、ユーザがトナーボトルユニット900を補給容器装着部701に取り付けて回転させた後のトナーボトルユニット900の断面図である。図31(d)は、ピストン902を押し込んでいる途中の状態のトナーボトルユニット900の断面図である。図31(e)は、ピストン902を押し切った後のトナーボトルユニット900の断面図である。
図31(a)に示すように、ユーザがトナーボトルユニット900を振ると、ユーザの振り動作によって第一重り部材991と第二重り部材992が内筒901内で自由に動き回り、トナーと接触を繰り返すことによって、凝集していたトナーが解れていく。このとき、第一重り部材991と第二重り部材992は、内筒901の内壁や、ピストン902に当接するように移動できる。
トナーボトルユニット900を十分に振った後、ユーザは、図31(b)に示すようにシャッタ部材904を鉛直方向下方に向けるようにトナーボトルユニット900の姿勢を決める。すると、第一重り部材991と第二重り部材992が重力方向に落下し収納部(9011h1、9011h2、9011h3)のいずれかに収容される。
次に、図31(c)に示すように、ユーザがトナーボトルユニット900をトナー受けユニット801の補給容器装着部701に装着し、所定の角度を回転させると、上述した通り、シャッタ部材904が開く。これにより、排出口9011が補給容器装着部701の補給口8012と連通する。そして、図31(d)に示すように、ユーザがピストン902を押し込み始めると、重り部材991、992に占有されていない収納部(図示した例では第一収納部9011h1)を介して開口部9011nにトナーが移動し、開口部9011nから排出される。
なお、ユーザがトナーボトルユニット900をトナー受けユニット801の補給容器装着部701に装着したとき、重り部材(991,992)がトナーの中に浮かんだ状態である場合がある。しかし、この場合であっても、ピストン902を押圧開始後に、重り部材はトナーと共に移動して、収納部に収納される。従って、重り部材が収納部に収納されるタイミングに関わらず、トナーは円滑に排出される。
図31(e)に示すように、ピストン902を最後まで押しトナーを排出し終えたら、ユーザがトナーボトルユニット900を所定の角度を回転させる。これによりシャッタ部材904が閉じて、排出口9011と補給口8012との連通が遮断される。その後、ユーザがトナーボトルユニット900を補給容器装着部701から引き抜いて画像形成装置から取り外すことで、補給動作完了となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の移動部材によってトナーボトルユニット900内のトナーを効果的に解すことができる。
なお、本実施形態では、移動部材の例である第一重り部材991と第二重り部材992を同一形状の金属球体としたが、これに限定する必要は無く、例えば、互いに大きさ、形状、比重、材質等が異なる組み合わせとしてもよい。また、移動部材の少なくとも一部を樹脂材料で構成してもよく、例えば金属球体の表面を樹脂コーティングしたものを移動部材としてもよい。また、トナーT同士の間に入り込んでトナーTを撹拌するために、第一重り部材991及び第二重り部材992の密度は、トナーの密度よりも高いことが好ましい。したがって、第一重り部材991及び第二重り部材992の材質は金属が好ましい。ただし、第一重り部材991及び第二重り部材992はトナーT1と接触するため、第一重り部材991及び第二重り部材992の材質は、錆びにくい材質を用いることが好ましい。例えば、ステンレス鋼、真鍮、鉛等を使用することができる。また、第一重り部材991及び第二重り部材992に、防錆処理(例えば樹脂コーティングや防錆めっき)を施してもよい。
また、本実施形態では、第一重り部材991と第二重り部材992が内筒901内で第一方向(D1)、第二方向(D2)及び第三方向(D3)に自由に移動可能としたが、トナーに接触し解すことができれば、特定の方向に移動を限定してもよい。
(画像形成システム)
本実施形態で説明した構成を備えた補給容器は、第1~第5の実施形態で説明した構成を備える画像形成装置と好適に組み合わせることができる。即ち、第1~第5の実施形態では、プロセスカートリッジの枠体に複数の排気部を設けることで排気性能を向上させたことで、補給容器が大容量化しても安定して空気を排出することができる。また、第6の実施形態によれば、補給容器内部に複数の移動部材を配置したことで、補給容器に収容するトナー量が多くなってもトナーの凝集をより確実に防ぐことができる。これらの構成を組み合わせることで、補給容器を大容量化してトナー補給の頻度を低減しつつ、容量の増加に伴う課題を解消した利便性の高い画像形成システムを提供することができる。