JP7373475B2 - 解析装置、解析方法及びプログラム - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る炉心を示す模式図である。図1に示すように、炉心Cは、原子炉の炉心であり、原子炉の圧力容器内に設けられる。炉心Cには、複数の燃料集合体Aが収容される。燃料集合体Aは、Z方向に長い長軸状の部材であり、内部に核燃料である燃料棒が配置されている。燃料集合体Aには、燃料集合体A内の核燃料の反応を制御する制御棒Bが挿入される。制御棒Bは、上端部がまとめられて制御棒クラスタB0となり、鉛直方向の上側から燃料集合体A内に挿入可能となっている。なお、燃料集合体Aの数や形状は、図1の例に限られず任意であってよい。また、炉心Cは、任意の形式の原子炉の炉心であってよく、例えば、加圧水型原子炉の炉心であってもよいし、沸騰水型原子炉の炉心であってもよい。なお、本実施形態では、Z方向は、鉛直方向の上側の方向を指す。また、X方向は、Z方向に直交する一方向を指し、Y方向は、Z方向及びX方向に直交する方向を指す。すなわち、X方向及びY方向は、水平方向である。
図2は、本実施形態に係る解析装置の模式的なブロック図である。本実施形態に係る解析装置10は、炉心Cの位置毎の中性子束を解析によって算出する装置である。ここでの位置毎の中性子束とは、炉心C内の位置毎の中性子束の絶対値を示すデータである。本実施形態では、解析装置10は、炉心Cの時間毎の中性子束の絶対値を算出する。さらに言えば、本実施形態に係る解析装置10は、原子炉の運転訓練シミュレータに用いられ、運転訓練シミュレーション上での炉心Cの時間毎の中性子束を算出する。すなわち、解析装置10は、実際に稼働している炉心の中性子束を算出するものではなく、シミュレーション上の炉心における中性子束の予測値を算出するものである。ただし、解析装置10は、シミュレーションに用いられることに限られず、その用途は任意であり、例えば未稼働の炉心における中性子束の予測値を算出してもよいし、実際に稼働している炉心の中性子束を算出してもよい。
図3は、本実施形態に係るAIモデルの模式図である。AIモデル取得部30は、未学習のAIモデルを学習させることで機械学習済みのAIモデルMを生成して、生成したAIモデルMを記憶部24に記憶させる。AIモデルMは、AI(Artificial Interigence)におけるAIモデルを指す。具体的には、AIモデルMは、ディープラーニングによって学習されたAIモデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。ディープラーニングは、機械学習のうちの1つの手法であり、狭義には例えば複数層のニューラルネットワークから構成される。本実施形態の例では、AIモデルMは、教師データありの全結合型のニューラルネットワークモデルであり、入力層INと、中間層MNと、出力層ONとを含む。AIモデルMは、入力層INの入力パラメータINPに入力値が入力された場合に、中間層MNで演算を行って、出力層ONの出力パラメータONPについての出力値を出力する。図5の例においては、AIモデルMは、中間層MNが5層となっているが、中間層MNの層数は5層に限られず任意である。また、入力層INにおける入力パラメータINPの数、中間層MNにおけるニューロンの数、及び出力層ONにおける出力パラメータONPの数は、任意であってよい。また、AIモデルMは、全結合型のニューラルネットワークモデルであることが好ましいが、それに限られず任意の方式のAIモデルであってよく、例えばCNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルなどであってもよい。
AIモデル取得部30は、未学習のAIモデルに対して、教師データを入力することで、AIモデルを学習させて、言い換えれば重み係数及びバイアス値を設定して、機械学習済みのAIモデルMを生成する。すなわち、AIモデルMは、AIモデル取得部30によって重み係数及びバイアス値が学習されたAIモデルであるといえる。AIモデル取得部30は、ノードr単位の反応度、ノードr単位の制御棒挿入量、及び炉心出力を入力値とし、中性子束分布を出力値としたデータセットを、教師データとして用いる。AIモデル取得部30は、入力値及び出力値の少なくとも一部を変化させたデータセットを複数準備して、それらを未学習のAIモデルに入力することで、AIモデルを学習させて、機械学習済みのAIモデルMを生成する。なお、教師データにおける炉心と、AIモデルMを用いた解析対象となる炉心とは、同一の炉心である必要はないが、同じタイプの炉心であることが好ましい。同じタイプの炉心とは、例えば、燃料集合体Aの数や、ループの位置及び数が同じ炉心を指す。
AIモデル取得部30は、教師データ用のノードr毎の反応度を、任意の方法で設定してよいが、本実施形態では、以下に説明する方法で設定する。具体的には、AIモデル取得部30は、ノードr毎の反応度の設定値を設定した上で、ノードr毎の反応度の設定値に対して摂動量を加味して、教師データ用の反応度とする。反応度の設定値は任意の方法で設定してよい。また、ここでの摂動量とは、反応度の微小な変動量を指す。
AIモデル取得部30は、教師データ用に、ノードr毎の制御棒挿入量を設定する。ノードrにおける制御棒挿入量、すなわちノードr単位の制御棒の挿入量とは、ノードrに挿入されている制御棒Bの長さを指す。より詳しくは、ノードrのZ方向における長さを長さL1とし、制御棒Bのそのノードr内に位置している部分の長さを長さL2とすると、ノードrにおける制御棒挿入量は、L2/L1であるといえる。すなわち、ノードrにおける制御棒挿入量は、ノードrのZ方向の長さに対する、そのノードrに挿入されている制御棒Bの長さの比率を指す。AIモデル取得部30は、ノードrにおける制御棒挿入量が異なるデータセットを複数準備することで、データセット毎に教師データ用の制御棒挿入量をバラつかせることができる。データセット毎の制御棒挿入量の変化方法は、任意に設定してよい。例えば、AIモデル取得部30は、制御棒挿入量が異なる組み合わせを、360種類準備する。ただし、制御棒挿入量が異なる組み合わせの数は任意であってよい。
AIモデル取得部30は、教師データ用に、炉心出力を設定する。炉心出力は、ノードr毎に異ならず、1つの炉心に対して共通の値として設定される。AIモデル取得部30は、炉心出力が異なる教師データ用のデータセットを複数準備することで、データセット毎に炉心出力をバラつかせることができる。データセット毎の炉心出力の変化方法は、任意に設定してよい。例えば、AIモデル取得部30は、炉心出力が異なる組み合わせを、5種類準備する。ただし、制御棒挿入量が異なる組み合わせの数は任意であってよい。
図2に戻り、解析装置10の指定値取得部32は、解析対象となる炉心Cの反応度の指定値と、解析対象となる炉心Cへの制御棒挿入量の指定値と、解析対象となる炉心Cの炉心出力の指定値とを取得する。指定値取得部32は、炉心Cのノードr毎の反応度の指定値と、炉心Cのノードr毎の制御棒挿入量の指定値と、炉心Cの全体についての炉心出力時の指定値とを取得する。すなわち、指定値取得部32は、解析対象となる炉心Cについての、AIモデルMの入力パラメータINPに対応する値を、指定値として取得するといえる。
図2に示す演算部34は、記憶部24からAIモデルMを読み出して、指定値取得部32が取得した反応度の指定値と制御棒挿入量の指定値と炉心出力の指定値とを、AIモデルMに入力して、中性子束分布を算出する。具体的には、演算部34は、炉心Cのノードr毎の反応度の指定値と、炉心Cのノードr毎の制御棒挿入量の指定値と、炉心出力の指定値とを、それぞれ入力パラメータINP1、INP2、INP3への入力値として入力し、AIモデルMで演算を実行する。これにより、演算部34は、AIモデルMの出力パラメータONP1、ONP2の出力値として、ノードr毎の熱群中性子束の相対値と、ノードr毎の高速群中性子束の相対値とを取得する。上述のように、反応度の指定値は形状関数として定義されているため、演算部34は、中性子束分布を、すなわちノードr毎の中性子束の相対値を、改良準静近似手法における形状関数として取得する。言い換えれば、演算部34は、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の相対値を取得するといえる。
中性子束算出部36は、演算部34がAIモデルMを用いて算出した、解析対象となる炉心Cの中性子束分布と、解析対象となる炉心Cの炉心出力の絶対値とに基づいて、解析対象となる炉心Cのノードr毎の中性子束の絶対値を算出する。より具体的には、中性子束算出部36は、演算部34が算出した炉心Cの中性子束分布を、すなわち、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の相対値を、形状関数として取得する。また、中性子束算出部36は、時間毎の炉心Cの炉心出力の絶対値を、振幅関数として取得する。本実施形態では、中性子束算出部36は、一点炉動特性方程式を用いて、時間毎の炉心Cの炉心出力の絶対値を算出する。なお、上述のようにAIモデルMへの入力パラメータとした炉心Cの炉心出力の指定値は、所定の時刻における炉心Cの炉心出力であって、所定の炉心出力に対して規格化した値(相対値)であるが、ここで一点炉動特性方程式を用いて算出する炉心出力は、時間毎の炉心出力の絶対値である。
以上説明したように、本実施形態に係る解析装置10は、指定値取得部32と演算部34とを有する。指定値取得部32は、炉心Cのノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する。演算部34は、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルMに、炉心Cの反応度の指定値と炉心出力の指定値とを入力して、炉心Cの中性子束分布を取得する。この解析装置10は、教師データによって学習を行ったAIモデルMによって中性子束分布を算出させているため、算出精度の低下を抑制しつつ計算速度を高くすることが可能となる。さらに、この解析装置10は、中性子束分布を算出するための入力パラメータとして、ノード単位の反応度及び炉心出力を用いることで、AIモデルMによる中性子束分布の算出精度を高くし、入力パラメータの種類を少なくして計算速度を向上させることを可能としている。
30 AIモデル取得部
32 指定値取得部
34 演算部
36 中性子束算出部
A 燃料集合体
B 制御棒
C 炉心
M AIモデル
r ノード
Claims (9)
- 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する指定値取得部と、
炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得する演算部と、
を含む、解析装置。 - 前記指定値取得部は、前記炉心のノード単位の制御棒の挿入量の指定値も取得し、
前記演算部は、前記反応度の指定値、前記制御棒の挿入量の指定値、及び前記炉心出力の指定値を、前記AIモデルに入力して、前記中性子束分布を取得する、請求項1に記載の解析装置。 - 前記演算部は、前記中性子束分布として、前記ノード毎の中性子束の相対値を示す形状関数を取得し、
前記形状関数と、前記炉心出力の絶対値の時間毎の変化を示す振幅関数とに基づき、前記炉心における位置毎の中性子束の絶対値を算出する中性子束算出部を含む、請求項1又は請求項2に記載の解析装置。 - 前記AIモデルは、前記ノード毎の反応度、及び前記炉心出力と、炉心の中性子束分布とが、教師データとして入力されることで、機械学習されたモデルであり、
前記教師データ用の前記ノード毎の反応度には、反応度の摂動量も加味されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の解析装置。 - 前記ノード毎の反応度の摂動量は、炉心内の一部の前記ノードである基準ノードに対して予め設定された摂動量に基づいて設定される、請求項4に記載の解析装置。
- 前記基準ノードは、前記炉心におけるループの入口及びループの出口の少なくともいずれかに対応する位置にある、請求項5に記載の解析装置。
- 前記指定値取得部は、核分裂が起きてから中性子が発生するまでの遅れ時間の要素を含めた反応度の値を、前記反応度の指定値として取得する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の解析装置。
- 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、
炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、
を含む、解析方法。 - 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、
炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、
を、コンピュータに実行させる、プログラム。
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