JP7373475B2 - 解析装置、解析方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、解析装置、解析方法及びプログラムに関する。
燃料集合体が装荷される炉心の状態を解析するために、炉心における中性子束分布を計算することが知られている。例えば特許文献1には、核定数計算コードを用いて、核特性として中性子束分布を算出する旨が記載されている。このような中性子束分布の計算は、例えば原子力プラントの運転訓練シミュレータなどにも用いられることがある。
特開2015-52518号公報
ここで、従来の中性子束分布の計算は、様々な入力値を用いる複雑な計算となるために演算負荷が高くなり、算出速度の向上には改善の余地がある。一方、演算負荷を低くするために簡易な計算式とすると、算出精度が低下するおそれもある。従って、中性子束の算出にあたり、算出精度の低下を抑制しつつ、算出速度を向上させることが求められている。
本開示は、上述した課題を解決するものであり、中性子束分布の算出にあたり、算出精度の低下を抑制しつつ、算出速度の向上が可能な解析装置、解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る解析装置は、炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する指定値取得部と、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得する演算部と、を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る解析方法は、炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、を、コンピュータに実行させる。
本開示によれば、中性子束分布の算出にあたり、算出精度の低下を抑制しつつ、算出速度を向上できる。
図1は、本実施形態に係る炉心を示す模式図である。 図2は、本実施形態に係る解析装置の模式的なブロック図である。 図3は、本実施形態に係るAIモデルの模式図である。 図4は、炉心を複数に区分するノードを説明する模式図である。 図5は、教師データ用の反応度の設定を説明するための模式図である。 図6は、AIモデルの生成フローを説明するフローチャートである。 図7は、中性子束の算出フローを説明するフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
(炉心)
図1は、本実施形態に係る炉心を示す模式図である。図1に示すように、炉心Cは、原子炉の炉心であり、原子炉の圧力容器内に設けられる。炉心Cには、複数の燃料集合体Aが収容される。燃料集合体Aは、Z方向に長い長軸状の部材であり、内部に核燃料である燃料棒が配置されている。燃料集合体Aには、燃料集合体A内の核燃料の反応を制御する制御棒Bが挿入される。制御棒Bは、上端部がまとめられて制御棒クラスタB0となり、鉛直方向の上側から燃料集合体A内に挿入可能となっている。なお、燃料集合体Aの数や形状は、図1の例に限られず任意であってよい。また、炉心Cは、任意の形式の原子炉の炉心であってよく、例えば、加圧水型原子炉の炉心であってもよいし、沸騰水型原子炉の炉心であってもよい。なお、本実施形態では、Z方向は、鉛直方向の上側の方向を指す。また、X方向は、Z方向に直交する一方向を指し、Y方向は、Z方向及びX方向に直交する方向を指す。すなわち、X方向及びY方向は、水平方向である。
(解析装置)
図2は、本実施形態に係る解析装置の模式的なブロック図である。本実施形態に係る解析装置10は、炉心Cの位置毎の中性子束を解析によって算出する装置である。ここでの位置毎の中性子束とは、炉心C内の位置毎の中性子束の絶対値を示すデータである。本実施形態では、解析装置10は、炉心Cの時間毎の中性子束の絶対値を算出する。さらに言えば、本実施形態に係る解析装置10は、原子炉の運転訓練シミュレータに用いられ、運転訓練シミュレーション上での炉心Cの時間毎の中性子束を算出する。すなわち、解析装置10は、実際に稼働している炉心の中性子束を算出するものではなく、シミュレーション上の炉心における中性子束の予測値を算出するものである。ただし、解析装置10は、シミュレーションに用いられることに限られず、その用途は任意であり、例えば未稼働の炉心における中性子束の予測値を算出してもよいし、実際に稼働している炉心の中性子束を算出してもよい。
解析装置10は、本実施形態ではコンピュータであり、入力部20と、出力部22と、記憶部24と、制御部26とを有する。入力部20は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボードやタッチパネルなどである。出力部22は、情報を出力する装置であり、例えば、画像を表示する表示装置を含む。記憶部24は、制御部26の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部24は、後述する中性子束分布を算出するためのAI(Artificial Intelligence)モデルであるAIモデルMを記憶している。また、記憶部24が記憶する制御部26用のプログラムやAIモデルMは、解析装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
制御部26は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部26は、AIモデル取得部30と、指定値取得部32と、演算部34と、中性子束算出部36とを含む。制御部26は、記憶部24からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、AIモデル取得部30と指定値取得部32と演算部34と中性子束算出部36とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部26は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、AIモデル取得部30と指定値取得部32と演算部34と中性子束算出部36との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
(AIモデル取得部)
図3は、本実施形態に係るAIモデルの模式図である。AIモデル取得部30は、未学習のAIモデルを学習させることで機械学習済みのAIモデルMを生成して、生成したAIモデルMを記憶部24に記憶させる。AIモデルMは、AI(Artificial Interigence)におけるAIモデルを指す。具体的には、AIモデルMは、ディープラーニングによって学習されたAIモデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。ディープラーニングは、機械学習のうちの1つの手法であり、狭義には例えば複数層のニューラルネットワークから構成される。本実施形態の例では、AIモデルMは、教師データありの全結合型のニューラルネットワークモデルであり、入力層INと、中間層MNと、出力層ONとを含む。AIモデルMは、入力層INの入力パラメータINPに入力値が入力された場合に、中間層MNで演算を行って、出力層ONの出力パラメータONPについての出力値を出力する。図5の例においては、AIモデルMは、中間層MNが5層となっているが、中間層MNの層数は5層に限られず任意である。また、入力層INにおける入力パラメータINPの数、中間層MNにおけるニューロンの数、及び出力層ONにおける出力パラメータONPの数は、任意であってよい。また、AIモデルMは、全結合型のニューラルネットワークモデルであることが好ましいが、それに限られず任意の方式のAIモデルであってよく、例えばCNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルなどであってもよい。
本実施形態におけるAIモデルMは、ノード単位の反応度、ノード単位の制御棒挿入量、及び炉心出力と、炉心内での中性子束分布との対応関係を機械学習させたモデルである。すなわち、AIモデルMは、炉心Cのノードrにおける反応度と、炉心Cのノードrへの制御棒挿入量と、炉心Cの炉心出力とが入力パラメータとして入力された場合に、炉心Cの中性子束分布を出力パラメータとして出力する。AIモデルMは、中性子束分布として、高速群中性子束の中性子束分布と、熱群中性子束の中性子束分布とを、出力する。図3の例では、入力パラメータINP1が、後述のノードr毎の反応度であり、入力パラメータINP2が、後述のノードr毎の制御棒挿入量であり、入力パラメータINP3が炉心出力であり、出力パラメータONP1が、後述のノードr毎の高速群中性子束の相対値(高速群中性子束の中性子束分布)であり、出力パラメータONP2が、後述のノードr毎の熱群中性子束の相対値(熱群中性子束の中性子束分布)である。ここで、詳しくは後述するが、ノードrとは、炉心C及び燃料集合体Aを分割する空間メッシュを指す。ここで、反応度とは、中性子増倍のし易さを指し、制御棒挿入量とは、ノードr単位の制御棒の挿入量を指し、炉心Cのあるノードrに挿入されている制御棒の長さの度合いを指す。例えば、ノードrのZ方向における全区間にわたって制御棒が挿入されている場合は、制御棒挿入量が1となり、ノードrに制御棒が挿入されていない場合は、制御棒挿入量が0となる。また、炉心出力とは、炉心Cの出力を指す。そして、中性子束分布とは、炉心Cにおける位置毎の中性子束の相対値を指す。すなわち、中性子束分布は、炉心Cにおける位置毎の中性子束の相対値を指すため、中性子束分布は、炉心Cにおけるそれぞれの位置同士の中性子束の比率を示すものであるといえる。
(教師データ)
AIモデル取得部30は、未学習のAIモデルに対して、教師データを入力することで、AIモデルを学習させて、言い換えれば重み係数及びバイアス値を設定して、機械学習済みのAIモデルMを生成する。すなわち、AIモデルMは、AIモデル取得部30によって重み係数及びバイアス値が学習されたAIモデルであるといえる。AIモデル取得部30は、ノードr単位の反応度、ノードr単位の制御棒挿入量、及び炉心出力を入力値とし、中性子束分布を出力値としたデータセットを、教師データとして用いる。AIモデル取得部30は、入力値及び出力値の少なくとも一部を変化させたデータセットを複数準備して、それらを未学習のAIモデルに入力することで、AIモデルを学習させて、機械学習済みのAIモデルMを生成する。なお、教師データにおける炉心と、AIモデルMを用いた解析対象となる炉心とは、同一の炉心である必要はないが、同じタイプの炉心であることが好ましい。同じタイプの炉心とは、例えば、燃料集合体Aの数や、ループの位置及び数が同じ炉心を指す。
以下、教師データの設定方法についてより詳細に説明する。図4は、炉心を複数に区分するノードを説明する模式図である。図4に示すように、教師データを設定する際には、図4に示すように、炉心Cを複数のノードrに区分する。そして、AIモデル取得部30は、炉心Cのノードr毎の反応度と、ノードr毎の制御棒挿入量と、炉心Cの全体の炉心出力とを、教師データ用のデータセットにおける入力値として設定する。なお、ノードrは、本実施形態では、炉心Cの燃料集合体Aのそれぞれに対して、軸方向であるZ方向に複数設定される。すなわち、それぞれの燃料集合体Aは、Z方向に沿って複数のノードrに区分されているといえる。燃料集合体Aの数や、ノードrの位置及び数は、それに限られず任意に設定されてよい。
そして、AIモデル取得部30は、ノードr毎の制御棒挿入量と、炉心Cの全体に対する炉心出力とを、既存の設計コードに入力して、ノードr毎の反応度と、ノードr毎の中性子束の相対値である中性子束分布とを算出する。ここでのノードr毎の中性子束の相対は、ノードr毎の高速群中性子束及び熱群中性子束の相対値を含む。ここで算出されるノードr毎の中性子束の相対値は、ある時刻におけるノードr毎の中性子束の相対値であり、静特性計算によって算出される値である。なお、中性子束分布の算出に用いる設計コードは、任意の設計コードであってよい。AIモデル取得部30は、算出した中性子束分布を出力値とし、算出したノードr毎の反応度、算出に用いた炉心Cのノードr毎の制御棒挿入量、及び炉心Cの全体に対する炉心出力を入力値とする一群のデータを、教師データ用のデータセットとして設定する。
AIモデル取得部30は、ノードr毎の制御棒挿入量と、炉心Cの全体に対する炉心出力との少なくとも一部の値を変化させて、同様の方法で中性子束分布を算出して、別のデータセットを生成する。AIモデル取得部30は、この処理を繰り返すことで、教師データ用に複数のデータセットを生成する。
(教師データ用の反応度)
AIモデル取得部30は、教師データ用のノードr毎の反応度を、任意の方法で設定してよいが、本実施形態では、以下に説明する方法で設定する。具体的には、AIモデル取得部30は、ノードr毎の反応度の設定値を設定した上で、ノードr毎の反応度の設定値に対して摂動量を加味して、教師データ用の反応度とする。反応度の設定値は任意の方法で設定してよい。また、ここでの摂動量とは、反応度の微小な変動量を指す。
具体的には、AIモデル取得部30は、炉心に設定されたノードrのうちから選択された基準ノードに対して予め設定された摂動量に基づいて、それぞれのノードrにおける摂動量を設定する。すなわち、AIモデル取得部30は、基準ノードを選択し、選択した基準ノードに対して摂動量を設定し、基準ノードに対して設定された摂動量に基づいて、それぞれのノードrの摂動量を設定する。AIモデル取得部30は、炉心におけるループの入口とループの出口との少なくともいずれかに対応する位置にあるノードrを、基準ノードとして設定することが好ましい。さらに言えば、AIモデル取得部30は、ループの入口に対応する位置にあるノードrと、ループの出口に対応する位置にあるノードrとの両方を、基準ノードとして設定することがより好ましく、ループの入口及び出口に対応する位置にあるノードrに加えて、ループの入口と出口との間にあるノードrについても、基準ノードとして設定することが更に好ましい。なお、ループの入口に対応する位置とは、炉心内に設定されるノードrのうちでループの入口に最も近いノードrを指し、ループの出口に対応する位置とは、炉心内に設定されるノードrのうちでループの出口に最も近いノードrを指してよい。
図5は、教師データ用の反応度の設定を説明するための模式図である。図5は、炉心Cにおける基準ノードの位置の例を示している。図5の例では、炉心Cにおいて、ノードr、r、r、r、rが、それぞれ基準ノードとして設定されている。ノードrとノードr2とノードr3は、ループの入口に対応する空間に位置する。ノードrは、平面PL1に対してZ方向側(鉛直方向上方側)にある平面PL2上に位置する。また、ノードrは、平面PL2に対してZ方向側(鉛直方向上方側)にある、ループの入口に対応する平面PL3上に位置する。なお、平面PL1、PL2、PL3は、Z方向に直交する平面である。ただし、図5は一例であり、基準ノードの位置及び数は任意に設定してもよい。
このようにして基準ノードを選択したら、AIモデル取得部30は、基準ノードに対して摂動量を設定する。AIモデル取得部30は、基準ノードを複数選択した場合には、基準ノード毎に摂動量を設定する。すなわち図5の例では、AIモデル取得部30は、ノードr、r、r、r、rのそれぞれに対して、摂動量を設定する。基準ノードに対する摂動量の設定方法は任意であり、例えば解析などによって設定してよい。
基準ノードに対する摂動量を設定したら、AIモデル取得部30は、基準ノードに対する摂動量に基づき、それぞれのノードrの摂動量を設定する。AIモデル取得部30は、基準ノードに対する摂動量に基づき、ノードrの位置(座標)に応じて摂動量が異なるように、それぞれのノードrの摂動量を設定する。ノードr、r、r、r、rのそれぞれに摂動量を設定するケースにおいては、例えば、AIモデル取得部30は、次の式(1)を用いて、ノードrの摂動量Δk(r)を設定する。
Figure 0007373475000001
ただし、xは、X方向におけるノードrの位置(座標)を指し、yは、Y方向におけるノードrの位置(座標)を指し、zは、Z方向におけるノードrの位置(座標)を指す。また、C、C、C、C、Cは、係数である。
式(1)に示すように、係数C、C、C、C、Cが定義されれば、それぞれのノードrの摂動量が設定可能である。係数C、C、C、C、Cは、基準ノードに対して設定される摂動量から導出されるため、それぞれのノードrの摂動量は、基準ノードに対して設定される摂動量に基づき設定されるといえる。例えば基準ノードであるノードr1の摂動量Δk(r1)は、次の式(2)のように表される。そして、ノードr、r、r、r、rの摂動量の式を行列として表すと、式(3)のようになるノードr、r、r、r、rの摂動量は既知であるため、式(3)を変形して、式(4)、式(5)として、式(5)から、係数C、C、C、C、Cが算出される。
Figure 0007373475000002
Figure 0007373475000003
Figure 0007373475000004
Figure 0007373475000005
AIモデル取得部30は、以上のようにしてノードr毎に摂動量を設定する。AIモデル取得部30は、それぞれのノードrについて設計コードから算出した反応度の設定値と、設定した摂動量に基づいて、教師データ用の反応度とする。より具体的には、AIモデル取得部30は、設計コードから算出反応度の設定値に摂動量を加えて、教師データ用の反応度とするが、それに限られず、例えば反応度の設定値に摂動量を乗じることによって教師データ用の反応度を算出してもよい。
AIモデル取得部30は、基準ノードとする空間を異ならせることで、摂動量の与え方が異なる教師データ用のデータセットを準備する。例えば、AIモデル取得部30は、ノードr、r、r、r、rのうちで基準ノードとする空間が異なるデータセットを準備して、基準ノードが異なるデータセット毎に、上述の式(2)から(5)に示した方法で係数を設定して、データセット毎に式(1)のような摂動量の式を構築して、データセット毎に摂動量を算出する。例えば、AIモデル取得部30は、ノードr、r、r、r、rのうちで少なくとも1つを基準ノードとするデータセットと、基準ノードを設定せずに摂動量を与えないデータセットとを設定してよい。また、AIモデル取得部30は、ノードrの反応度の設定値が異なるデータセットも準備する。このように、AIモデル取得部30は、摂動量の与え方と反応度の設定値との少なくとも一方が異なるデータセットを準備することで、データセット毎に教師データ用の反応度をバラつかせることができる。例えば、AIモデル取得部30は、摂動量の与え方の組み合わせを24種類準備し、反応度の設定値の組み合わせを20種類準備して、合計480種類とし、さらに摂動量を与えない1種類を加えて、異なる反応度の組み合わせを合計481種類準備する。ただし、異なる反応度の組み合わせの数は任意であってよい。
(教師データ用の制御棒挿入量)
AIモデル取得部30は、教師データ用に、ノードr毎の制御棒挿入量を設定する。ノードrにおける制御棒挿入量、すなわちノードr単位の制御棒の挿入量とは、ノードrに挿入されている制御棒Bの長さを指す。より詳しくは、ノードrのZ方向における長さを長さL1とし、制御棒Bのそのノードr内に位置している部分の長さを長さL2とすると、ノードrにおける制御棒挿入量は、L2/L1であるといえる。すなわち、ノードrにおける制御棒挿入量は、ノードrのZ方向の長さに対する、そのノードrに挿入されている制御棒Bの長さの比率を指す。AIモデル取得部30は、ノードrにおける制御棒挿入量が異なるデータセットを複数準備することで、データセット毎に教師データ用の制御棒挿入量をバラつかせることができる。データセット毎の制御棒挿入量の変化方法は、任意に設定してよい。例えば、AIモデル取得部30は、制御棒挿入量が異なる組み合わせを、360種類準備する。ただし、制御棒挿入量が異なる組み合わせの数は任意であってよい。
(教師データ用の炉心出力)
AIモデル取得部30は、教師データ用に、炉心出力を設定する。炉心出力は、ノードr毎に異ならず、1つの炉心に対して共通の値として設定される。AIモデル取得部30は、炉心出力が異なる教師データ用のデータセットを複数準備することで、データセット毎に炉心出力をバラつかせることができる。データセット毎の炉心出力の変化方法は、任意に設定してよい。例えば、AIモデル取得部30は、炉心出力が異なる組み合わせを、5種類準備する。ただし、制御棒挿入量が異なる組み合わせの数は任意であってよい。
AIモデル取得部30は、以上のようにして、ノードr毎の反応度、ノードr毎の制御棒挿入量、及び炉心出力の少なくとも1つが異なる教師データ用のデータセットを準備する。そして、AIモデル取得部30は、設計コードを用いて、データセット毎に、ノードr毎の中性子束の相対値(中性子束分布)を算出する。そして、それぞれのデータセットを未学習のモデルに入力して、AIモデルMを構築する。なお、上述の例では、反応度の組み合わせが481種類、制御棒挿入量の組み合わせが360種類、炉心出力の組み合わせが5種類あるため、それぞれを乗じて、合計865800種類のデータセットが構築される。ただし、データセットの数はそれに限られず任意の数であってよく、AIモデルMの演算精度などに合わせて適宜設定してよい。
以上説明したAIモデルMの生成フローを、フローチャートに基づき説明する。図6は、AIモデルの生成フローを説明するフローチャートである。図6に示すように、AIモデル取得部30は、教師データ用の制御棒挿入量、及び炉心出力を、データセット毎に設定する(ステップS10)。AIモデル取得部30は、ノードr毎の制御棒挿入量と、炉心全体についての炉心出力とを、教師データとして設定する。そして、AIモデル取得部30は、制御棒挿入量、及び炉心出力に基づき、データセット毎に、ノードr毎の反応度と、中性子束分布とを算出する(ステップS12)。AIモデル取得部30は、ノードr毎の制御棒挿入量と炉心出力とを、所定の設計コードに入力して、ノードr毎の反応度と、ノードr毎の高速群中性子束及び熱群中性子束の相対値とを、算出する。AIモデル取得部30は、ノードr毎の反応度、ノードr毎の制御棒挿入量、炉心出力、ノードr毎の高速群中性子束の相対値、及びノードr毎の熱群中性子束の相対値を、教師データ用のデータセットとして設定する。そして、AIモデル取得部30は、未学習のAIモデルに対して、データセット毎に教師データを入力して、AIモデルMを生成する(ステップS14)。すなわち、AIモデル取得部30は、ノードr毎の反応度、ノードr毎の制御棒挿入量、炉心出力、ノードr毎の高速群中性子束の相対値、及びノードr毎の熱群中性子束の相対値を、準備したデータセット毎に入力して、AIモデルMを生成する。
なお、本実施形態では、AIモデルMは、ノード単位の反応度、ノード単位の制御棒挿入量、及び炉心出力を入力パラメータとしていたが、それに限られない。例えば、ノード単位の制御棒挿入量は必須ではなく、AIモデルMは、ノード単位の反応度及び炉心出力を入力パラメータとして、中性子束分布を出力パラメータとするモデルであってよい。この場合、教師データは、ノードr毎の反応度と、炉心出力と、ノードr毎の中性子束の相対値(中性子空間束分布)とになる。
また、以上説明したように、解析装置10は、AIモデル取得部30によってAIモデルMを生成するものであるが、それに限られず、例えば、外部の装置が生成したAIモデルMを通信によって取得してもよい。すなわち、解析装置10は、任意の方法でAIモデルMを取得してよい。
また、AIモデル取得部30は、AIモデルMを更新してもよい。例えば、AIモデル取得部30は、定期的に、別の教師データを用いてAIモデルMを再学習させて、AIモデルMを更新してもよい。
(指定値取得部)
図2に戻り、解析装置10の指定値取得部32は、解析対象となる炉心Cの反応度の指定値と、解析対象となる炉心Cへの制御棒挿入量の指定値と、解析対象となる炉心Cの炉心出力の指定値とを取得する。指定値取得部32は、炉心Cのノードr毎の反応度の指定値と、炉心Cのノードr毎の制御棒挿入量の指定値と、炉心Cの全体についての炉心出力時の指定値とを取得する。すなわち、指定値取得部32は、解析対象となる炉心Cについての、AIモデルMの入力パラメータINPに対応する値を、指定値として取得するといえる。
反応度の指定値、制御棒挿入量の指定値、及び炉心出力の指定値は、中性子束を予測したい解析対象となる炉心Cの状態に基づき、設定される。指定値取得部32は、任意の方法でこれらの指定値を設定してよく、例えば、ユーザによって入力部20に入力されたこれらの指定値を取得してもよいし、解析対象となる炉心Cの状態に基づいてこれらの指定値を算出してもよい。なお、AIモデルMが、ノード単位の反応度及び炉心出力を入力パラメータとして制御棒挿入量の指定値を入力パラメータとしない場合には、指定値取得部32は、ノード単位の制御棒挿入量の指定値を取得しなくてもよい。この場合、指定値取得部32は、ノード単位の反応度の指定値と炉心出力の指定値とを取得する。
本実施形態においては、指定値取得部32は、反応度の指定値を、動特性計算に適用可能な値に設定する。すなわち、指定値取得部32は、反応度の指定値を、時間に応じて変化する形状関数として設定する。ここで、AIモデルMは、静特性計算に基づいた教師データから、すなわちある時刻における炉心の静的な状態から、構築される。それに対し、指定値取得部32は、反応度の指定値を形状関数として定義してAIモデルMに入力することで、中性子束分布を、改良準静近似手法における形状関数として、すなわち時間に応じて変化する値として、適切に算出することができる。また、指定値取得部32は、反応度の指定値に対して、遅れ時間の要素を加味する。すなわち、指定値取得部32は、核分裂が起きてから中性子が発生するまでの遅れ時間の要素を含めた反応度の値を、反応度の指定値として取得する。より詳しくは、指定値取得部32は、次の式(6)に基づいて、反応度の指定値kを算出する。
Figure 0007373475000006
ここで、Σmβmは遅発中性子割合の和であり、νは核分裂1回あたりの中性子発生数であり、Σf1は高速群核分裂断面積であり、Σf2は熱群核分裂断面積であり、Σrは除去断面積であり、Σ’a2は次の式(6-1)により算出される値であり、Σ’t1は、次の式(6-2)により算出される値であり、φ1は形状関数であり、aは振幅関数であり、λmは遅発先行核崩壊定数であり、Cmは遅発先行核密度であり、Sは中性子源である。また、式(6-1)のΣa1は高速群吸収断面積であり、ω1は高速群動的周波数であり、v1は高速群中性子速度であり、式(6-2)のΣa2は熱群吸収断面積であり、ω2は熱群動的周波数であり、v2は熱群中性子速度である。また、ω1とω2は式(6-3)にて算出する値であり、Δtは中性子束の更新間隔であり、Φは中性子束の絶対値であり、nは更新ステップである。式(6)に示すように、反応度の指定値kはφ1の関数となっている。反応度から形状関数を求めるAIモデルにおいては、反復計算が必要となるが、計算速度の低下を抑制するために、本実施形態においては、反復計算を用いずに、φ1について、直前の時刻における値を用いる。また、式(6)における分母のマイナス項((1/a)・ΣmλmCm、S/a)が、遅れ時間の要素に相当する。
Figure 0007373475000007
Figure 0007373475000008
Figure 0007373475000009
なお、式(6)は一例であり、指定値取得部32は、任意の方法で反応度の指定値kを算出してもよい。例えば、指定値取得部32は、時間の変化量が小さい場合には、例えば次の式(7)に示すように、反応度の指定値kを静特性の反応度として算出してもよい。
Figure 0007373475000010
(演算部)
図2に示す演算部34は、記憶部24からAIモデルMを読み出して、指定値取得部32が取得した反応度の指定値と制御棒挿入量の指定値と炉心出力の指定値とを、AIモデルMに入力して、中性子束分布を算出する。具体的には、演算部34は、炉心Cのノードr毎の反応度の指定値と、炉心Cのノードr毎の制御棒挿入量の指定値と、炉心出力の指定値とを、それぞれ入力パラメータINP1、INP2、INP3への入力値として入力し、AIモデルMで演算を実行する。これにより、演算部34は、AIモデルMの出力パラメータONP1、ONP2の出力値として、ノードr毎の熱群中性子束の相対値と、ノードr毎の高速群中性子束の相対値とを取得する。上述のように、反応度の指定値は形状関数として定義されているため、演算部34は、中性子束分布を、すなわちノードr毎の中性子束の相対値を、改良準静近似手法における形状関数として取得する。言い換えれば、演算部34は、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の相対値を取得するといえる。
なお、AIモデルMが、ノード単位の反応度及び炉心出力を入力パラメータINPとする場合には、すなわち制御棒挿入量を入力パラメータとしない場合には、演算部34は、ノード単位の制御棒挿入量の指定値をAIモデルMに入力しなくてもよい。この場合、演算部34は、ノード単位の反応度の指定値と炉心出力の指定値とをAIモデルMに入力して、中性子束分布を取得する。
(中性子束算出部)
中性子束算出部36は、演算部34がAIモデルMを用いて算出した、解析対象となる炉心Cの中性子束分布と、解析対象となる炉心Cの炉心出力の絶対値とに基づいて、解析対象となる炉心Cのノードr毎の中性子束の絶対値を算出する。より具体的には、中性子束算出部36は、演算部34が算出した炉心Cの中性子束分布を、すなわち、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の相対値を、形状関数として取得する。また、中性子束算出部36は、時間毎の炉心Cの炉心出力の絶対値を、振幅関数として取得する。本実施形態では、中性子束算出部36は、一点炉動特性方程式を用いて、時間毎の炉心Cの炉心出力の絶対値を算出する。なお、上述のようにAIモデルMへの入力パラメータとした炉心Cの炉心出力の指定値は、所定の時刻における炉心Cの炉心出力であって、所定の炉心出力に対して規格化した値(相対値)であるが、ここで一点炉動特性方程式を用いて算出する炉心出力は、時間毎の炉心出力の絶対値である。
中性子束算出部36は、ノードrの中性子束の相対値である形状関数に、炉心Cの炉心出力の絶対値である振幅関数を乗じて、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の絶対値を算出する。すなわち、時間tにおけるノードrの中性子束の絶対値をΦ(r、t)とし、時間tにおける炉心Cの炉心出力の絶対値をP(t)とし、時間tにおけるノードrの中性子束の相対値をΨ(r、t)とすると、中性子束算出部36は、次の式(8)のように、時間tにおける炉心Cの炉心出力の絶対値Φ(r、t)を算出する。
Figure 0007373475000011
中性子束算出部36は、時間及びノードr毎に、炉心Cの炉心出力の絶対値Φ(r、t)を算出することで、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の絶対値を算出する。
ここで、炉心の中性子束分布は、従来から計算により算出可能であるが、様々な入力値を用いる複雑な計算となるため、演算負荷が高くなり、算出速度が遅くなっていた。一方、演算負荷を低くするために簡易な計算式とすると、算出精度が低下するおそれもあった。それに対し、本実施形態に係る解析装置10は、教師データによって学習を行ったAIモデルMによって中性子束分布の算出を算出しているため、算出精度の低下を抑制しつつ、複雑な計算となることを抑制して計算速度を高くすることが可能となる。特に、中性子束分布を算出するための入力パラメータとして、ノード単位の反応度、制御棒挿入度及び炉心出力を用いることで、AIモデルMによる中性子束分布の算出精度を高くし、入力パラメータの種類を少なくして計算負荷を抑制して計算速度を向上させることを可能としている。
次に、中性子束の算出フローを説明する。図7は、中性子束の算出フローを説明するフローチャートである。図7に示すように、解析装置10は、指定値取得部32により、反応度の指定値と、制御棒挿入量の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する(ステップS20)。指定値取得部32は、解析対象となる炉心Cについての、ノードr毎の反応度の指定値と、ノードr毎の制御棒挿入量の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する。そして、解析装置10は、演算部34により、反応度の指定値、制御棒挿入量の指定値、及び炉心出力の指定値を、AIモデルMに入力して、解析対象となる炉心Cの中性子束分布を取得する(ステップS22)。演算部34は、炉心Cの中性子束分布として、ノードr毎のノードr毎の熱群中性子束の相対値と、ノードr毎の高速群中性子束の相対値とを取得する。
また、解析装置10は、中性子束算出部36により、解析対象となる炉心Cについての、時間毎の炉心出力の絶対値を算出する(ステップS24)。ステップS24と、ステップS20、S22の実行順は任意であってよい。炉心Cの中性子束分布と時間毎の炉心出力の絶対値とを算出したら、解析装置10は、中性子束算出部36により、炉心Cの中性子束分布と時間毎の炉心出力の絶対値とから、時間毎の中性子束の絶対値を算出する(ステップS26)。上述のように、炉心Cの中性子束分布が形状関数として算出されており、時間毎の中性子束の絶対値が振幅関数として算出されているため、中性子束算出部36は、炉心Cの中性子束分布と時間毎の中性子束の絶対値とを乗じることで、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の絶対値を算出する。
なお、本実施形態では、解析装置10は、中性子束算出部36により、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の絶対値を算出したが、それに限られず、少なくとも演算部34によって中性子束分布を算出するものであってよく、時間毎のそれぞれのノードrの中性子束の絶対値の算出は必須でなくてよい。
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る解析装置10は、指定値取得部32と演算部34とを有する。指定値取得部32は、炉心Cのノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する。演算部34は、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルMに、炉心Cの反応度の指定値と炉心出力の指定値とを入力して、炉心Cの中性子束分布を取得する。この解析装置10は、教師データによって学習を行ったAIモデルMによって中性子束分布を算出させているため、算出精度の低下を抑制しつつ計算速度を高くすることが可能となる。さらに、この解析装置10は、中性子束分布を算出するための入力パラメータとして、ノード単位の反応度及び炉心出力を用いることで、AIモデルMによる中性子束分布の算出精度を高くし、入力パラメータの種類を少なくして計算速度を向上させることを可能としている。
また、指定値取得部32は、炉心Cのノード単位の制御棒Bの挿入量(制御棒挿入量)の指定値も取得し、演算部34は、反応度の指定値、制御棒Bの挿入量の指定値、及び炉心出力の指定値を、AIモデルMに入力して、中性子束分布を取得する。この解析装置10は、反応度及び炉心出力に加えて、制御棒Bの挿入量も入力パラメータとすることで、AIモデルMによる中性子束分布の算出精度をより適切に向上させることができる。
また、指定値取得部32は、炉心Cを複数のノードrに区分した場合のノードr毎の、反応度の指定値を取得し、演算部34は、ノードr毎の反応度の指定値をAIモデルMに入力して、ノードr毎の中性子束の値を、中性子束分布として取得する。この解析装置10は、ノードr毎に反応度を入力して、ノードr毎の中性子束を算出するため、AIモデルMによって中性子束分布を適切に算出することができる。
また、演算部34は、中性子束分布として、ノードr毎の中性子束の相対値を示す形状関数を算出する。そして、中性子束算出部36は、形状関数と、炉心出力の絶対値の時間毎の変化を示す振幅関数とに基づき、炉心Cにおける位置毎の中性子束の絶対値を算出する。この解析装置10は、このようにして炉心Cにおける位置毎の中性子束の絶対値を算出することで、算出精度及び算出速度を両立させつつ、中性子束の動特性を予測することができる。
また、指定値取得部32は、核分裂が起きてから中性子が発生するまでの遅れ時間の要素を含めた反応度の値を、反応度の指定値として取得する。この解析装置10は、AIモデルMの入力パラメータとする反応度の指定値に、遅れ時間の要素も含めるため、中性子束分布の動特性を適切に算出できる。
また、AIモデルMは、ノードr毎の反応度及び炉心出力と、炉心の中性子束分布とが、教師データとして入力されることで、機械学習されたモデルであり、教師データ用のノードr毎の反応度には、反応度の摂動量も加味されている。AIモデルMは、摂動量も加味した反応度を教師データとするため、炉心の状態を適切に反映して学習することが可能となり、中性子束分布の算出精度を適切に向上できる。
また、ノードr毎の反応度の摂動量は、炉心内の一部のノードrである基準ノードに対して予め設定された摂動量に基づいて設定される。このように、本実施形態においては、教師データに用いるそれぞれのノードrの反応度の摂動量を、基準ノードについて設定された摂動量に基づいて設定するため、AIモデルMは、炉心の状態を適切に反映して学習することが可能となり、中性子束分布の算出精度を適切に向上できる。
また、基準ノードは、炉心におけるループの入口及びループの出口の少なくともいずれかに対応する位置にある。本実施形態においては、ループの入口やループの出口を基準ノードとして教師データ用の摂動量を設定することで、AIモデルMは、炉心の状態を適切に反映して学習することが可能となり、中性子束分布の算出精度を適切に向上できる。
また、本実施形態に係る解析方法は、炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルMに、反応度の指定値及び炉心出力の指定値を入力して、炉心の中性子束分布を取得するステップと、を含む。本方法によると、中性子束分布の算出精度の低下を抑制しつつ計算速度を高くすることが可能となる。
また、本実施形態に係るプログラムは、炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルMに、反応度の指定値及び炉心出力の指定値を入力して、炉心の中性子束分布を取得するステップと、を、コンピュータに実行させる。本プログラムによると、中性子束分布の算出精度の低下を抑制しつつ計算速度を高くすることが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
10 解析装置
30 AIモデル取得部
32 指定値取得部
34 演算部
36 中性子束算出部
A 燃料集合体
B 制御棒
C 炉心
M AIモデル
r ノード

Claims (9)

  1. 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得する指定値取得部と、
    炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得する演算部と、
    を含む、解析装置。
  2. 前記指定値取得部は、前記炉心のノード単位の制御棒の挿入量の指定値も取得し、
    前記演算部は、前記反応度の指定値、前記制御棒の挿入量の指定値、及び前記炉心出力の指定値を、前記AIモデルに入力して、前記中性子束分布を取得する、請求項1に記載の解析装置。
  3. 前記演算部は、前記中性子束分布として、前記ノード毎の中性子束の相対値を示す形状関数を取得し、
    前記形状関数と、前記炉心出力の絶対値の時間毎の変化を示す振幅関数とに基づき、前記炉心における位置毎の中性子束の絶対値を算出する中性子束算出部を含む、請求項1又は請求項2に記載の解析装置。
  4. 前記AIモデルは、前記ノード毎の反応度、及び前記炉心出力と、炉心の中性子束分布とが、教師データとして入力されることで、機械学習されたモデルであり、
    前記教師データ用の前記ノード毎の反応度には、反応度の摂動量も加味されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の解析装置。
  5. 前記ノード毎の反応度の摂動量は、炉心内の一部の前記ノードである基準ノードに対して予め設定された摂動量に基づいて設定される、請求項4に記載の解析装置。
  6. 前記基準ノードは、前記炉心におけるループの入口及びループの出口の少なくともいずれかに対応する位置にある、請求項5に記載の解析装置。
  7. 前記指定値取得部は、核分裂が起きてから中性子が発生するまでの遅れ時間の要素を含めた反応度の値を、前記反応度の指定値として取得する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の解析装置。
  8. 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、
    炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、
    を含む、解析方法。
  9. 炉心のノード単位の反応度の指定値と、炉心出力の指定値とを取得するステップと、
    炉心のノード単位の反応度及び炉心出力と、炉心内での中性子束の分布度合いを示す中性子束分布との対応関係を機械学習させたAIモデルに、前記反応度の指定値及び前記炉心出力の指定値を入力して、前記炉心の中性子束分布を取得するステップと、
    を、コンピュータに実行させる、プログラム。
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