JP7372917B2 - miRNAを含有する、腎癌の処置における使用のための薬学的キャリア - Google Patents

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Description

本発明は、腎癌の新たな治療的処置に関する。より詳細には、本発明は、腎癌の処置に有効な特定のmiRNAのセットを担持する薬学的キャリアの使用に関する。腎癌を処置するための薬学的キャリアとしての、幹細胞に由来する細胞外小胞(EV)に焦点をあてる。
腫瘍の血管形成(vascularization)は、腫瘍の成長および転移における基本的なステップである。固形腫瘍は、実際に、血管による酸素および栄養素の供給なしでは数平方ミリメートルを超えて成長できない。さらに、転移の数は、原発腫瘍の血管密度に相互に関連する。
腫瘍内皮細胞(TEC)は、正常内皮細胞とは異なり、血管新生促進表現型(pro-angiogenic phenotype)を呈する。例えば、TECは、in vitroにおいて血清とは無関係な高い運動および増殖、ならびにAktシグナル伝達を介した生存率の向上を実証している。表現型の上では、TECは、VEGFおよびEGF受容体を含む増殖因子受容体の発現を向上させることがあった。TECは、ある化学療法薬物にも耐性であり、VEGFを標的とする抗血管新生薬にさほど感受性ではない。さらに、TECは、遺伝子学的に正常内皮細胞と異なる。
細胞外小胞(EV)は、細胞間コミュニケーションの重要な機構と思われ、その活性カーゴは、レシピエント細胞の機能および表現型を改変することにより、それを再プログラムし得る。実際に、EVの活性は、タンパク質、RNA、DNAおよび脂質を含むいくつかの異なる因子の移動にリレーするとみられ、中でもマイクロRNAは、主要な役割を有すると思われる。幹細胞に由来するEV、詳細にはヒト骨髄由来間葉系間質細胞(BM-MSC)は、腫瘍型および発現段階に応じて、腫瘍形成促進活性(pro-tumorigenic activity)および抗腫瘍形成活性の両方を呈することが公知である。同様に、MSC-EVも、腫瘍の血管形成を陽性にも、または陰性にも調整し得る(Zhu W, Huang L, Li Y, Zhang X, Gu J, Yan Y, et al. Exosomes derived from human bone marrow mesenchymal stem cells promote tumor growth in vivo. Cancer letters. 2012;315(1):28-37)。MSC-EVは、腫瘍を抱えるマウスへの投与後に、in vivoで血管新生促進性になると報告された(Zhu W, Xu W, Jiang R, Qian H, Chen M, Hu J, et al. Mesenchymal stem cells derived from bone marrow favor tumor cell growth in vivo. Exp Mol Pathol. 2006;80(3):267-74)。他の研究では、MSC-EVの、腫瘍細胞によるVEGF分泌に対する間接的効果が観察された。
最近、本発明者らは、肝臓から単離される肝細胞マーカーを発現するヒトに固有な非卵形(non-oval)多能性前駆細胞の別の供給源、すなわちヒト肝臓幹細胞(HLSC)が、抗腫瘍効果を呈し得ることを示した(Herrera MB, Bruno S, Buttiglieri S, Tetta C, Gatti S, Deregibus MC, et al. Isolation and characterization of a stem cell population from adult human liver. Stem cells. 2006;24(12):2840-50)。詳細には、HLSC-EVは、特定の抗腫瘍miRNAの送達を伴う機構により、肝細胞腫の成長を低下させることを示した(Fonsato V, Collino F, Herrera MB, Cavallari C, Deregibus MC, Cisterna B, et al. Human liver stem cell-derived microvesicles inhibit hepatoma growth in SCID mice by delivering antitumor microRNAs. Stem cells. 2012;30(9):1985-98)。しかし、HLSC-EVが、腫瘍血管新生にも影響を与えるかどうかは調査されなかった。
HLSCは、国際公開第2006/126236号に記載されている。
さらに、本発明者らの知る限りでは、腎癌に対して、特定のmiRNAの送達による、幹細胞に由来するEVの抗腫瘍効果は、これまで報告されていない。
国際公開第2011/107437号は、成体幹細胞に由来する微小胞、例えばBM-MSC、Gl-MSCおよびHLSCが、腫瘍疾患、例えば肝臓、上皮、肺、前立腺、卵巣、乳房、胃および結腸の腫瘍の処置に有効であることを開示している。国際公開第2011/070001号は、肝細胞腫、カポジ肉腫および乳腺癌を処置するための、HLSCに由来する馴化培地の使用を開示している。これらの特許では、腎癌もmiRNAの役割も論じられていない。
本明細書の実験セクションでより詳細に例証されるように、本発明者らは、今般、成体幹細胞に由来する細胞外小胞(EV)、例えばHLSC-EVおよびMSC-EVは、in vitroで腎臓の腫瘍内皮細胞の移行を阻害できること、ならびに、HLSC-EVは、血管様形成(vessel-like formation)も有意に低下させることを意外にも見出した。In vivo実験からも、HLSC-EVが、腫瘍の血管新生を阻害できることが示された。きわめて興味深いことに、これらの実験では、HLSC-EVは、正常内皮細胞に対しては効果を一切示さなかった。したがって、本発明により、腎癌の治療的処置において効率的な生成物を得る問題が解決される。
EVは、複雑な組成を有し、いくつかの機能タンパク質、脂質および核酸を含有する。本発明者らは、HLSC-EVが担持する4種のマイクロRNA、すなわちmiR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874を同定しており、これらは、腎癌-TECトランスフェクション後に、in vitroで腫瘍の血管新生を阻害できる。これらのmiRNAを用いたトランスフェクションにより、それぞれの標的遺伝子FGF1、PLAU、ITGB3およびEPHB4の発現が低下した。TECが、上で同定されているmiRNAを担持するEVで刺激される場合、FGF1およびPLAU発現の阻害に関連するmiRNAの発現の有意な向上が観察された一方、ITGB3およびEPHB4の阻害は観察されなかった。FGF1は、腫瘍の血管新生に関与する、最も重要な血管新生促進因子の1つであり、VEGFと無関係に血管新生を調節できる。PLAUは、プラスミノーゲンからプラスミンを活性化する酵素のウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)をコード化する遺伝子である。プラスミンは、血管新生およびがんの進行に重要な細胞外マトリックス分解のタンパク質分解プロセスに加わる。FGF1およびPLAUは、uPAを活性化でき、その受容体uPARの発現を向上できるFGF1(FGFR)の受容体によって結び付けられる。こうしたFGF1、uPAおよびuPARのすべてが、FGFRを介した正のフィードバックループに連結する。
これらの結果を踏まえると、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874またはそれらの混合物を含む薬学的キャリアは、腎癌の処置にきわめて有望な治療剤である。
図1は、HLSC-EVまたはMSC-EVの、in vitroにおけるTECの血管新生特性に対する効果を示す。対照TECによる(A)、HLSC-EVで処理したTECによる(B)、およびMSC-EVで処理したTECによる血管様構造の形成(C);対照TECにより形成された、またはEVで処理した、フィールド当たりの血管様構造の全長のダイアグラム(D);創傷治癒アッセイ中のTEC移行のダイアグラム(E);HMECにより形成された、EVで処理した、フィールド当たりの血管様構造の全長のダイアグラム(F)。 図2は、in vivoにおける腫瘍の血管新生を示す。Massonの三色反応(細胞外マトリックスが青、細胞が赤、また、赤血球が黄色に染色される)で染色したMatrigel切片の代表的な画像:(A)対照TECを含有したMatrigelプラグ;(B)HLSC-EVで処理したTECを含有したMatrigelプラグ;(C)MSC-EVで処理したTECを含有したMatrigelプラグ。赤血球を含有する血管は、矢印で示されている;(D)対照を含有した、またはEV TECで前処理したMatrigelにおける血管密度のダイアグラム(n=8、5フィールド/実験を分析した、***-p<0.001vs.対照TEC);(E)注入後3日目および7日目にHLSCEVで処理した、またはしていないMatrigelを含有したTECにおける血管密度のダイアグラム(n=8、5フィールド/実験を分析した、*-p<0.05vs.対照Matrigel)。 図3は、標識したEVの生体内分布を示す。AおよびB。EV注入後5時間で収集した、Matrigelプラグ(A)および移植器官(B)の光学撮像による代表的な画像。CTL:未処理;MSC-EV:DiD MSC-EVで処理した;HLSC-EV:DiD HLSC-EVで処理した。C.DiD MSC-EVおよびDiD HLSC-EVで処理したマウスを屠殺してから5時間後の平均放射輝度±SDとして表現される、Matrigelプラグおよび隣接した皮膚の蛍光強度の定量。未処理マウスに由来するバックグラウンドを除去した(N=5)。D.器官(肺、肝臓、脾臓および腎臓)の蛍光強度の定量は、DiD MSC-EVおよびDiD HLSC-EVで処理したマウスを屠殺してから5時間後の平均放射輝度±SDとして表現した。未処理マウスに由来するバックグラウンドを除去した(N=5)。 図4は、組織における標識DiL EVの検出を示す。MSC-またはHLSC-標識EVの静脈内注入から5時間後における、Matrigelプラグおよびマウスの皮膚(A)、ならびに他の器官(肝臓、脾臓、腎臓および肺)の代表的な蛍光画像。DiL EV(赤色スポット)は、Matrigelにおける細胞内および排泄器官で検出可能である。核は、DAPI(青)と同時染色する(N=5)。 図5は、TECに対する抗血管新生効果に反応するHLSC-EV特異的miRNAの選択を示す。(A)HLSC-EVでの処理後にTECにおいて下方調節された遺伝子のリスト(n=3、データは、平均倍率変化±CI(信頼区間)として提示されている;これらの遺伝子は、136種のmiRNAにより標的化でき(B)、そのうち42種はHLSC-EVが担持する。これらの42種のmiRNAから、26種はMSC-EVが担持し、26種は、抗腫瘍効果をTECに対して一切示さなかった。したがってこれら26種のmiRNAは、試験から排除した(C)。EVのTECに対する生物学的作用に関連性があり得る、16種のHLSC-EV特異的miRNA。試験に選択されたmiRNAは太字である。 図6は、選択されたHLSC-EV特異的miRNAのTECの血管新生促進特性および生存能力に対する影響を示す。(A)選択された模倣RNAまたはスクランブルRNAでトランスフェクトされたTECによる、in vitroにおける血管様構造形成のダイアグラム(n=3、繰り返し、ウェルに対し画像10枚、*-p<0.05vs.スクランブル);(B)トランスフェクトされたTECのアポトーシス速度;(C)トランスフェクトされたTECの増殖速度。 図7は、選択された模倣miRNAでトランスフェクトされたTECにおけるmiRNAおよびその標的の発現を示す。(A)miR-15aおよびその標的遺伝子FGF1、EPHB4の発現;(B)miR-181bおよびその標的遺伝子PLAU、ITGB3、FGF1、EPHB4の発現;(C)miR-320cおよびその標的遺伝子PLAU、ITGB4、FGF1の発現;(D)miR-874およびその標的遺伝子EPHB4、PLAU、ITGB3、FGF1の発現;(n=5、*-p<0.05vs.スクランブル)。 図8は、HLSC-EVで処理したTECにおけるmiRNAおよびその標的の発現を示す。(A)対照TECおよびHLSC-EVで処理したTECにおけるmiRNAの相対発現(n=7、*-p<0.05vs.対照);(B)対照TECおよびHLSC-EVで処理したTECにおける標的遺伝子の相対発現(n=7、*-p<0.05vs.対照);(C)対照TEC、miR-15aでトランスフェクトされたTEC、またはHLSC-EVで刺激されたTECにおけるFGF1発現のウエスタンブロット分析の代表的な画像。(D)対照TEC、miR-181bでトランスフェクトされたTEC、またはHLSC-EVで刺激されたTECにおけるPLAU発現のウエスタンブロット分析の代表的な画像。 図9は、単一の、または組み合わせたmiRNAをトランスフェクトされたTECにより形成された血管様構造の相対量を示す棒グラフである(*=p<0.01vs.スクランブル)。
したがって、本発明の第1の態様は、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAを含む、腎癌の処置における使用のための薬学的に許容できるキャリアである。本発明の好ましい実施形態によれば、薬学的に許容できるキャリアは、少なくとも、miR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874のうち2つの組合せを含む。さらに好ましくは、薬学的に許容できるキャリアは、miR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874のすべてを含む。
miR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874は、それ自体公知のマイクロRNA(miRNA)であり、それらの特徴および配列は、例えば、miRBaseと呼ばれるデータベースにおいて、受託番号MI0000069、MI0000269、MI0003778、MIPF0000401で見出され得る。
薬学的効果は、薬学的キャリアに含有されるmiRNAに起因し得る。miRNAを用いた標的細胞の任意の効率的トランスフェクションは、腎癌の処置における有効な使用のために想定される。miRNAの効率的トランスフェクションは、好ましくはマイクロまたはナノ粒子の形態の適切な薬学的キャリアを必要とする。そのようなキャリアは市販されており、アルギネートベース(GEM、Global Cell Solutions)、デキストランベース(Cytodex、GE Healthcare)、コラーゲンベース(Cultispher、Percell)およびポリスチレンベース(SoloHill Engineering)微小キャリアを含む。
別法として、miRNAに対する薬学的キャリアは、ウイルスベクターであり得る。ウイルスベース系は、通常、例えば、Ningning Yang. An overview of viral and nonviral delivery systems for microRNA. Int J Pharm Investig. 2015 Oct-Dec; 5(4): 179-181で開示されているように、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス(AVV)を送達ベクターとして使用する。したがって、miRNAに好適なキャリアの選択および使用は、十分に当業者の能力の範囲内である。
miRNAにさらに好ましい薬学的キャリアは、小胞、例えばリポソームまたは細胞外小胞(EV)である。細胞外小胞、例えば細胞由来微小胞またはエキソソームが、最も好ましい薬学的キャリアである。
したがって、本発明の別の好ましい実施形態によれば、薬学的に許容できるキャリアは、幹細胞に由来する、好ましくは成体幹細胞からの、より好ましくは間葉系幹細胞(MSC)、例えば骨髄間質幹細胞からの、もしくは脂肪由来幹細胞(ADS)からの、または非卵形ヒト肝臓前駆細胞(HLSC)からの細胞外小胞(EV)である。HLSCおよびそれを得る方法は、国際公開第2006126219号として公表されている国際特許出願で開示されている。
本発明のさらなる態様は、幹細胞の馴化培地から、好ましくは成体幹細胞の馴化培地から、より好ましくは間葉系幹細胞(MSC)、もしくはヒト肝臓幹細胞(HLSC)、または脂肪由来幹細胞(ADS)の馴化培地から単離された、腎癌の処置における使用のための細胞外小胞の、組成物である。そのような細胞外小胞は、ナイーブ、すなわち、幹細胞の馴化培地から単離される、操作されていないEVであり、これは、生物学的活性分子、特にmiRNAの内因系カーゴ(intrinsic cargo)により腎癌の治療的処置において有効である。
したがって、本発明に従って使用するための細胞外小胞(EV)は、単離した、天然に存在するEV、あるいは、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたは複数のマイクロRNAを含有するように操作されたEVである。
欧州特許第2010663号として公表されている欧州特許出願は、当業者に、特定のmiRNAを用いてEVを操作する仕方の指導を提供している。RNAを小胞またはエキソソームに導入するための当業者に公知の技術は、トランスフェクションまたは共インキュベーションである。公知のトランスフェクション方法は、例えばエレクトロポレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターによるトランスフェクション、マグネットアシストトランスフェクション(magnet assisted transfection)およびソノポレーション(sonoporation)である。結果として、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAが、ex vivoで導入されている操作されたEVは、本発明の別の態様である。
本発明に従って使用するための操作された細胞外小胞(EV)は、天然に存在する細胞外小胞(EV)に含有されている量より著しく多量の上述のマイクロRNAを含有する。
本発明に従って使用するための細胞外小胞(EV)は、天然に存在するEV、あるいは、天然に存在する細胞外小胞(EV)と比較して著しく多量の、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたは複数のマイクロRNAを含有するように操作されているEVである。操作されたEVは、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたは複数のマイクロRNAを、単離した細胞外小胞にex vivoで負荷することにより得ることができる。別法として、操作されたEVは、上で定義されている幹細胞にmiRNAをトランスフェクトすること、次いでトランスフェクトされた幹細胞の馴化培地からEVを単離し精製することにより得ることができる。
天然に存在する細胞外小胞(EV)と比較して著しく多量のmiRNAを見積もる好適な方法は、qPCRデータ分析のΔΔCT法である。
相対値として表現すると、負荷効率、すなわち、天然の量と比較して、本発明の操作されたEVに存在する標的miRNAの量は、少なくとも2倍である。あるいは、負荷効率は、EV当たりの負荷された標的分子の数として絶対項(absolute term)で表現され得る。この値は、天然の量のものより多い、約1×103~約1×105個の標的分子/EVの範囲になり得ると考えられる。
MSCおよびHLSCに由来するEVを用いて本発明者らにより実行された実験を開示する以下の実験の部は、例示の目的でのみ示されており、添付の特許請求の範囲により決定される本発明の範囲を限定することを意図していない。
実験の部
材料および方法
細胞培養
TECは以前に、本発明者らの研究室において、腎臓癌患者の切除標本4例から単離され、培養されている。TECは、磁気細胞選別(MACSシステム、Miltenyi Biotech、Auburn、CA)により、抗CD105ポジティブ選択を使用して、消化された組織から単離し、記載されているように(Bussolati B, Deambrosis I, Russo S, Deregibus MC, Camussi G. Altered angiogenesis and survival in human tumor-derived endothelial cells. FASEB journal, official publication of the Federation of American Societies for Experimental Biology. 2003;17(9):1159-61)、EndoGro完全培地(Millipore)において成長させた。
HLSCは、以前に記載されているように(Herrera MB, Bruno S, Buttiglieri S, Tetta C, Gatti S, Deregibus MC, et al. Isolation and characterization of a stem cell population from adult human liver. Stem cells. 2006;24(12):2840-50)、Lonzaから得た凍結保存された正常ヒト肝細胞から、本発明者らの研究室において単離した。簡潔には、細胞は、コラーゲンでコーティングした培養プレート上において、cm2当たり生細胞1.0~1.5×105個の密度で、肝細胞血清を含まない培地(Gibco Hepatozyme-SFM、Invitrogen)中に2週間播種した。培養の2週間後、肝細胞を死滅させ、次いで、培地は、L-グルタミン(5mM)、Hepes(12mM、pH7.4)、ペニシリン(50IU/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、(すべてSigmaから)、および10% FBS(Lonza)を補充したα-最少必須培地/内皮細胞基礎培地-1(α-MEM/EBM)(3:1)(Gibco/Euroclone)で置換した。個々の付着した細胞を、3週間後にクローン化し、増加させた。HLSCは、CD73、CD90、CD29およびCD44に対して陽性であり、CD45、CD34、CD117(c-キット)およびCD133に対して陰性であった。
MSCは、Lonzaから購入し、MSCBM完全培地(Lonza)中で培養した。
EV単離および特徴
EV単離は、改変をわずかにして、以前に記載されている(Herrera MB, Fonsato V, Gatti S, Deregibus MC, Sordi A, Cantarella D, et al. Human liver stem cell-derived microvesicles accelerate hepatic regeneration in hepatectomized rats. Journal of cellular and molecular medicine. 2010;14(6B):1605-18)ように行った。簡潔には、HLSCまたはMSCの密集培地は、FBSを含まないRPMIに18時間変えた。翌日、この培地は、3000gで30分遠心分離して、細胞デブリおよびアポトーシス小体を除去した。その後、上澄みは、Beckman Coulter Optima L-100K Ultracetrifugeとロータータイプ45 Ti、45000RPMを使用して、100000gで2時間、超遠心分離にかけた。EVペレットは、10%のDMSOを補充したRPMIに再懸濁した。HLSC-EVの懸濁液は、次いで、使用するまで-80℃にて冷凍した。EVは、NTA分析および電子顕微鏡法を使用して分析した。EVの平均径は、90nm(±20)であった。いくつかのin vivo撮像実験のために、EVは、1μM Vybrant Cell Tracers DiD(Ex:640nm、Em:700nm)または血清なしのDil溶液(Ex:530nm、Em:580nm)(Molecular Probes、Oregon、USA)により標識し、次いで、PBS 1×40中での超遠心分離により2回洗浄した。
生存能力および移行テスト
増殖のテストでは、TECは、2×103個/ウェルの密度で96ウェルプレートにシードした。翌日、細胞は、EndoGro完全培地(Lonza)中1×1010または5×1010または10×1010個のEV/TECの濃度で、HLSC-EVまたはMSC-EVを用いて処理した。増殖は、細胞増殖ELISA、BrdU(比色分析)キット(Roche、11647229001)を製造者の指示に従って使用したEV刺激後の24、48および72時間にて、BrdUの組み込みにより測定した。移行テストは、24ウェルプレートにシードしたTECで行い、密集するまで成長させた。EVを、スクラッチ直後に1×1015または5×1015または10×1015個のEV/ウェルの濃度で添加した。顕微鏡での優れた10×の撮像は、スクラッチ後0、3、7および24時間で行った。距離は、LASソフトウェア(Leica)により測定した。結果は、平均放射輝度±SDとして提示する。
in vitroにおける血管様構造形成
TECを、Matrigelでコーティングした24ウェルプレートに、ウェル当たり25×103個の細胞の密度でシードし、1×1010、5×1010、10×1010または20×1010個のEV/TECの存在下で、EndoGro完全培地において培養した。EVなしのTECを対照として使用した。24時間のインキュベーション後、位相差像(倍率×10)を記録し、LASソフトウェア(Leica)を使用して、ネットワーク構造の全長を測定した。フィールド当たりの全長を5つのランダムなフィールドで計算し、それぞれの対照に対する比として表現した。データは、平均放射輝度±SDとして表現した。
in vivo血管新生モデル
動物研究は、国のガイドラインおよび規制に従って実施し、University of Torinoの治験審査委員会の承認を受けた(プロトコールナンバー:338/2016- PR)。Matrigel内にTECを注入することにより得られたin vivoにおける腫瘍の血管新生のモデルを使用して、記載されている(ref FASEB 2003)ように幹細胞に由来するEVの効果を見積もった。腫瘍の血管新生発現を防止するために、TECは、前処理してから注入した。この目的のために、SCIDマウス(6~8週齢)(Charles River Laboratories、Lyon、France)に、HLSC-EV/MSC-EVで前処理した、またはしていないMatrigel内の1×106個のTECを皮下注入した(細胞当たり10×103個のEV):(対照ではn=8、それぞれEV処理)。7日後、Matrigelプラグを切除し、血管密度をMassonの三色反応で分析した。EVの、確立された腫瘍血管に対する影響を評価するために、1×106個のTECをSCIDマウスのMatrigel内に皮下注入した。HLSC-EV(細胞当たり10×103個のEV)を、TEC注入から3日後および7日後に、Matrigelプラグに2回注入した。対照マウスは、ビヒクル(PBS)を注入した。実験の10日目に、マウスを屠殺し、組織化学的分析のためにMatrigelプラグを切除した(対照ではn=8、HLSC-EV処理)。
生体内分布分析
TECによるEV取込みをin vivo撮像するために、SCIDマウス25匹に、Matrigel内の1×106個のTECを皮下注入した。腫瘍血管が発達した(1週間)後、マウスを、ビヒクル(PBS)を受けた対照、DiL MSC-EV、DiD MSC-EV、DiL HLSC-EVおよびDiD HLSC-EVの5群に分けた(n=それぞれ5)。DiDまたはDiLで標識したEV(1.3×1010個のEV/マウス)を静脈内注入し、5時間後、マウスを屠殺した。DiL EVで処理したマウスから得た器官(Matrigelプラグ、皮膚、腎臓、脾臓、肝臓および肺)を、免疫蛍光のために回収した。各器官の冷凍切片を、核対比染色のためにDapiで染色し、共焦点顕微鏡法により分析して、DiL標識EVを検出した。
DiD-標識EVの生体内分布を光学的撮像により評価した。すべての研究は、640nmの励起フィルターおよび700nmの発光フィルターを使用して、IVIS 200小動物撮像システム(PerkinElmer、Waltham、MA)で行った。同一の照明設定、例えば曝露時間、ビニング係数、f/ストップ、および視野(Grange 2014)を、すべての画像取得で使用し、蛍光発光は、1秒当たり、平方センチメートル当たり、ステラジアン当たりの光子(p/秒/cm2/sr)に標準化した。画像は、EV注入から5時間後に収集した器官で取得した。バックグラウンド光子放射をコントロールするために、得られたデータに、535nmの励起でキャプチャーしたデータを使用して、平均バックグラウンド除去(average background subtraction)を施した。画像を取得し、Living Image4.0ソフトウェア(PerkinElmer)(Grange 2014)を使用して分析した。蛍光性(p/秒/cm2/sr)は、フリーハンドで描いた対象領域(ROI)で定量した。データは、平均放射輝度±SDとして表現した。
遺伝子発現研究およびリアルタイムPCR
HLSC-EVまたはMSC-EVにおけるmiRNA発現レベルは、Applied Biosystems TaqMan(登録商標)アレイヒトマイクロRNA A/Bカード(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して分析して、qRT-PCRにより754種の成熟miRNAの特性を明らかにした。キットは、マイクロRNA特異的ステムループ逆転写プライマーおよびTaqManプローブを使用して、2-ステップリアルタイム逆転写PCRアッセイで成熟miRNA転写産物を検出した。簡潔には、一本鎖cDNAは、全RNA試料(80ng)から、ループプライマー(マルチプレックスRTキット、Applied Biosystems)の混合物を製造者のプロトコールに従って使用した逆転写により生成した。RT反応を、次いで希釈し、Taqman universal master Mix(Applied)と1:1比で混合し、TaqManマイクロ流体カードに負荷し、qRT-PCR実験を行った。すべての反応は、384ウェル反応プレートを備えたApplied Biosystems 7900HTリアルタイムPCR機器を使用して行った。生Ct値は、SDSソフトウェアバージョン2.3を使用し、自動ベースラインおよび閾値を使用して計算した。筆者らは、3例のHLSC-EV試料でmiR発現を分析した。35サイクルのPCR後に増幅したマイクロRNAは、すべて非発現として分類した。検出された、または2例を超える試料で検出されていないマイクロRNAのみを考慮に入れた。
qRT-PCRを使用して、miRNAまたはTECにおける標的遺伝子発現を確認した。簡潔には、すべての試料からの200ngのインプットRNAを、miScript逆転写キットで逆転写し、次いでcDNAを使用して検出し、SYBR Green PCRキットを使用して、qRT-PCRにより対象miRNAまたは遺伝子を定量化した(すべてQiagen、Valencia、CA、USAから)。すべての試料は、製造者のプロトコール(Qiagen)により記載されているように、各反応に対して3ngのcDNAを使用して3回実行した。相対発現データは、次いで、Mestdagh P, Van Vlierberghe P, De Weer A, Muth D, Westermann F, Speleman F, et al. A novel and universal method for microRNA RT-qPCR data normalization. Genome biology. 2009;10(6):R64)に記載されているように、PCR35サイクルのCt検出カットオフに従って、各アレイにおける全体のmiRNA発現で計算した平均発現値を使用して標準化した。HLSC-EVで処理した、またはしていないTECにおける血管新生促進遺伝子発現のPCR分析は、製造者の指示に従って、ヒト血管新生PCRアレイ(RT2 Profiler PCRアレイ、96/ウェルフォーマット、Qiagen)を使用して3回行った。データは、SaBioscience(Qiagen)オンラインソフトウェアを使用して分析し、相対定量±CI(信頼区間)として表現した。
細胞トランスフェクション
TECのトランスフェクションは、HiPerfect試薬(Qiagen)を使用して行った。理想的なトランスフェクション濃度を見出すために、TECに、模倣miR-FITCおよびHiPerfect試薬の推奨される濃度すべてをトランスフェクトした。HiPerfectの最大用量(50×103個のTEC当たり9μlのHiPerfect)の倍増を、同様に行った。FACS分析をトランスフェクションの翌日行い、この分析により、HiPerfectの最大用量の倍は、TECの60%超に生存能力および増殖にダメージを与えずにトランスフェクトできたことが明らかになった。この用量を、すべてのトランスフェクション実験に使用した。
TECのトランスフェクションは、以下の模倣miRNA:miR-15a、miR-20b、miR-23a、miR-93、miR-181b、miR-320c、miR-424およびmiR-874(すべてQiagenから)を使用して行った。トランスフェクション翌日、新たな増殖培地を置き換え、2日目に細胞をin vitro実験(増殖、アポトーシステスト、血管新生in vitroアッセイ)、または遺伝子発現分析(リアルタイムPCR、ウエスタンブロット、FACS分析)に使用した。
蛍光活性化細胞選別(FACS)分析
HLSC-EVおよびMSC-EVのFACS分析は、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して行った。使用される抗体は、FITC-結合体化抗体抗CD63(Abnova)、抗CD105(Dako Cytomation、Copenhagen、Denmark)、抗CD90(BD Pharmigen)、抗CD44(Miltenyi Biotech)、CD45(BD Pharmigen)、抗ICAMおよび抗VCAM(Serotec)、CD31(BioLegend)、インテグリンサブユニットα4、α5、α6(BD Pharmigenから);PE-結合体化抗体抗CD73(BD Pharmigen)、抗インテグリンサブユニットα4、α5(すべてBD Pharmigenから)およびVE-カドヘリン(BioLegend)であった。FITCまたはPEマウス非免疫アイソタイプIgG(Dako Cytomation)を対照として使用した。
ウエスタンブロット
タンパク質試料は、4%~15%勾配硫酸ドデシルナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)により分離し、PLAU(Abcam、ab131433)またはFGF1(Abcam ab9588)に対する抗体を用いて、免疫ブロッティングを施した。タンパク質バンドは、増強化学発光(ECL)検出キットおよびChemiDoc(商標)XRS+System(BioRad)で視覚化した。20μg/ウェルの細胞溶解物を負荷した。
統計値
データは、Kolmogorov-Smirnovテストを使用して、分布の正常性について見積もった。統計分析は、SigmaPlot 11.0ソフトウェアを使用して行った。処理群と対照群との間の差は、分布が正常である場合、Studentのt-検定を使用して分析した。データは、平均±SEMとして表現した。差は、p<0.05の場合、有意とみなした。
結果
HLSC-EVは、in vitroでの腎臓TECの血管新生能力、および移行を阻害する
MSCEVおよびHLSC-EVのTECに対する影響は、増殖、アポトーシスおよび血管様構造形成のin vitro評価により見積もった。HLSC-EVの刺激により、用量依存手段で、in vitroでのTECの血管新生が有意に阻害され、TEC当たり10×103個のEVの添加により、血管様構造形成が37%減少し、TEC当たり20×103個のEVの用量では、血管様構造形成が44%減少した(図1、A、B、D)。MSCEVおよびHLSC-EVのいずれも、TECの生存能力を変化させなかった(示されていないデータ)。MSC-EVおよびHLSC-EVの、TECの運動に対する効果も、創傷治癒アッセイにより評価した。いずれのEVも、TECの移行を有意に阻害し、HLSC-EVは、TEC当たり1×103個の用量で早くも有効となった(図1、E)。
対照実験では、MSC-EVおよびHLSC-EVの、正常内皮細胞に対する効果を評価した。MSC-EVは、ヒト微小血管内皮細胞(HMEC)の血管新生特性を向上できるが、HLSC-EVは、効果を一切示さなかった(図1、F)。これにより、MSCおよびHLSCからのEVは、正常な血管新生および腫瘍の血管新生に対して、異なる作用を有することが示される。
図1.HLSC-EVまたはMSC-EVの、in vitroにおけるTECの血管新生特性に対する効果。対照TECによる(A)、HLSC-EVで処理したTECによる(B)、およびMSC-EVで処理したTECによる血管様構造の形成(C);対照TECにより形成された、またはEVで処理した、フィールド当たりの血管様構造の全長のダイアグラム(D);創傷治癒アッセイ中のTEC移行のダイアグラム(E);HMECにより形成された、EVで処理した、フィールド当たりの血管様構造の全長のダイアグラム(F)。
HLSC-EVは、in vivoにおける腫瘍の血管新生を防止する
MSC-EVおよびHLSC-EVの効果は、SCIDマウスに皮下移植された場合、Matrigel内のTEC組織により誘導されるヒト腫瘍の血管新生モデルを使用することによりin vivoで評価した。このモデルでは、TECは、マウスの血液循環に接続した構造において7日以内に組織化する。前処理設定では、TECをHLSC-EVまたはMSC-EVで24時間処理し、SCIDマウスに皮下移植した。埋め込んでから7日後、Matrigelプラグを切除し、血管密度を免疫組織化学的に分析した。対照プラグの分析から、予想通り、マウスの血管系に接続した血管の存在が示された(図2、A)。埋め込み前にHLSC-EVで24時間処理したTECのプラグは、赤血球を含有する血管を提示しなかった(図2B、D)が、MSC-EVで前処理したものは、効果を一切示さなかった(図2C、D)。
HLSC-EVは、腫瘍の血管新生を防止できるので、確立された腫瘍の血管に対するその効果も評価した。この目的のために、HLSC-EVを、TECを埋め込みから3日後および7日後にMatrigelプラグ中に注入し、プラグを10日後に回収した。HLSC-EVの処理は、血管密度をほぼ50%有意に低下させた(図2、E)。
図2.in vivoにおける腫瘍の血管新生。Massonの三色反応(細胞外マトリックスが青、細胞が赤、また、赤血球が黄色に染色される)で染色したMatrigel切片の代表的な画像:A-対照TECを含有したMatrigelプラグ、B-HLSC-EVで処理したTECを含有したMatrigelプラグ、C-MSC-EVで処理したTECを含有したMatrigelプラグ。赤血球を含有する血管は、矢印で示されている。D-対照を含有した、またはEV TECで前処理したMatrigelにおける血管密度のダイアグラム(n=8、5フィールド/実験を分析した、***-p<0.001vs.対照TEC)。E-注入後3日目および7日目にHLSCEVで処理した、またはしていないMatrigelを含有したTECにおける血管密度のダイアグラム(n=8、5フィールド/実験を分析した、*-p<0.05vs.対照Matrigel)。
In vivoにおけるHLSC-EVのTECへの取込み
in vivoにおいて、既に血管へと組織化したTECがEVを取り込む能力を評価するために、標識したMSC-EVおよびHLSC-EV(1.3×1010個のEV/マウス)を静脈内注入した。EVを、蛍光色素、光学撮像の場合は近赤色(DiD)、また、免疫蛍光の場合は赤色(DiL)で標識した(方法を参照されたい)。5時間後、マウスを屠殺し、器官を回収した。EVの用量および時間を、予備実験(示されていない)に基づき選択した。光学撮像で、筆者らは、in vivoでMatrigel内に注入されたTECが、図3AおよびCで示されているように、両方のタイプのDiD標識EV(MSC-EVおよびHLSC-EV)を取り込めることを実証した。対照的に、プラグの近くで単離した皮膚組織では、きわめて蛍光性が低いシグナルが生じた(図3BおよびC)。すべての器官内における生体内分布に関して、EVは、主に肝臓内に蓄積した。
図3.標識したEVの生体内分布。AおよびB。EV注入後5時間で収集した、Matrigelプラグ(A)および移植器官(B)の光学撮像による代表的な画像。CTL:未処理;MSC-EV:DiD MSC-EVで処理した;HLSC-EV:DiD HLSC-EVで処理した。C.DiD MSC-EVおよびDiD HLSC-EVで処理したマウスを屠殺してから5時間後の平均放射輝度±SDとして表現される、Matrigelプラグおよび隣接した皮膚の蛍光強度の定量。未処理マウスに由来するバックグラウンドを除去した(N=5)。D.器官(肺、肝臓、脾臓および腎臓)の蛍光強度の定量は、DiD MSC-EVおよびDiD HLSC-EVで処理したマウスを屠殺してから5時間後の平均放射輝度±SDとして表現した。未処理マウスに由来するバックグラウンドを除去した(N=5)。
移植された器官での免疫蛍光により、似た結果が得られた。Matrigelプラグでは、MSCおよびHLSCのいずれによっても取り除かれるDiL標識EVは、共焦点分析によりヒトTEC内で検出可能であった(図4、A)。蓄積は、皮膚における正常内皮細胞と比較してTECにかなり特異的である(図4、A)。これにより、TECは、Matrigel内のEVを取り込めると確認される。免疫蛍光により、EVも、全試料の肝臓実質および脾臓内で可視になった(図4、B)。いくつかの陽性細胞は、肺および腎臓に存在していた。HLSCと比較して、MSCにより取り除かれたEVの生体内分布で、差は観察されなかった。
図4.組織における標識DiL EVの検出。MSC-またはHLSC-標識EVの静脈内注入から5時間後における、Matrigelプラグおよびマウスの皮膚(A)、ならびに他の器官(肝臓、脾臓、腎臓および肺)の代表的な蛍光画像。DiL EV(赤色スポット)は、Matrigelにおける細胞内および排泄器官で検出可能である。核は、DAPI(青)と同時染色する(N=5)。
HLSC-EVのTECに対する分子効果
これらの結果に基づき、HLSC-EV刺激後、in vitroにおける血管様構造の組織化中に、TECにおいて発生する変化の分子分析は、血管新生アレイを使用することにより行った。TECは、HLSC-EV(10×103個のEV/TEC)で処理し、血管新生アッセイからの伸展細胞(spreading cell)を採取した。テストした84種の遺伝子のうち、筆者らは、in vitroでの血管新生中に、HLSC-EVによりTECにおいて有意に下方調節された11種の血管新生促進因子を同定した(図5、A)。詳細には、TECは、Tie-1、ベータ3インテグリン(ITGB3)、エフリン受容体B4(EPHB4)およびエンドグリン(またはCD105))を含む血管新生促進表面受容体、ならびに、増殖因子、例えばFGF1、TGFファミリーメンバー、ウロキナーゼ-型プラスミノーゲンアクチベーター(PLAU)および組織因子(F3)を下方調節した。最終的に、TECの血管新生促進効果に関与することが公知のAkt1も下方調節された。
図5.TECに対する抗血管新生効果に反応するHLSC-EV特異的miRNAの選択。A-HLSC-EVでの処理後にTECにおいて下方調節された遺伝子のリスト(n=3、データは、平均倍率変化±CI(信頼区間)として提示されている;これらの遺伝子は、136種のmiRNAにより標的化でき(B)、そのうち42種はHLSC-EVが担持する。これらの42種のmiRNAから、26種はMSC-EVが担持し、26種は、抗腫瘍効果をTECに対して一切示さなかった。したがってこれら26種のmiRNAは、試験から排除した(C)。EVのTECに対する生物学的作用に関連性があり得る、16種のHLSC-EV特異的miRNA。試験に選択されたmiRNAは太字である。
HLSC-EVが担持する抗血管新生マイクロRNAの同定
続いて、観察された遺伝子調節の考えられるエフェクターを詳細に分析するために、関与すると考えられるHLSCのマイクロRNA含有量を研究した。この目的のために、バイオインフォマティクス分析の方略、続いてin vitro機能確認を使用した。
Funrich V3ソフトウェアを使用して、本発明者らは、11種の下方調節された遺伝子を標的化するmiRNAを予測した。136種のmiRNAを同定し、HLSC-EVが担持するmiRNAと適合させた(vesiclepediaで証言されているデータベース)。そのうち、HLSC-EVによって表現される42種のmiRNAを同定した(図5、B)。その後の分析は除いて、HLSC-EVが担持する42種のmiRNAのうち、MSC-EVにも存在するものは、TECに対する効果が足りないことを考慮する(図5、C)。同定された遺伝子を標的化する16種のmiRNAは、HLSC-EVとしてのみ提示され、機能研究に使用した(図5、D)。それらのうち、3種は、腫瘍形成促進性として記載され(hasmiR-30e-5p、has-miR-301a-3p、has-miR-212-3p)、また、3つ(miR-23、miR-181、miR-320)は、miRNAファミリーメンバーの1つ超として提示された。したがって、本発明者らは、8種のmiRNA:miR-15a、miR-20b、miR-23a、miR-93、miR-181b、miR-320c、miR-424およびmiR-874(図5、D、太字)を考慮に入れた。興味深いことに、これらの選択されたmiRNAは、対照TECにおいて下方調節された(Ct>33)。
HLSC-EV miRNAのTEC血管新生に対する効果
これら別々のmiRNAの、TEC血管新生特性に対する特異的効果を実証するために、TECに、選択された模倣体をトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、血管様構造形成のin vitroアッセイを行った。4種のmiRNA、miR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874は、in vitroにおいて血管様構造形成を有意に阻害した(図6、A)。模倣体の効果は、増殖またはアポトーシスで観察されなかった(図6、BおよびC)。
図6.選択されたHLSC-EV特異的miRNAのTECの血管新生促進特性および生存能力に対する影響。A-選択された模倣RNAまたはスクランブルRNAでトランスフェクトされたTECによる、in vitroにおける血管様構造形成のダイアグラム(n=3、繰り返し、ウェルに対し画像10枚、*-p<0.05vs.スクランブル);B-トランスフェクトされたTECのアポトーシス速度;C-トランスフェクトされたTECの増殖速度。
したがって、本発明者らは、4種の活性miRNA模倣体を用いたトランスフェクションが、予測された標的(EPHB4、ITGB3、FGF1およびPLAU)の発現をどのように変化させたかを調査した。TECトランスフェクションは、その標的を有意に下方調節した(表1、図7)。表1.選択されたmiRNAを用いてトランスフェクトしたTEC対対照TECにおける血管新生促進遺伝子の相対発現。
Figure 0007372917000001
図7.選択された模倣miRNAでトランスフェクトされたTECにおけるmiRNAおよびその標的の発現。A-miR-15aおよびその標的遺伝子FGF1、EPHB4の発現;B-miR-181bおよびその標的遺伝子PLAU、ITGB3、FGF1、EPHB4の発現;C-miR-320cおよびその標的遺伝子PLAU、ITGB4、FGF1の発現;D-miR-874およびその標的遺伝子EPHB4、PLAU、ITGB3、FGF1の発現;(n=5、*-p<0.05vs.スクランブル)。
これらのmiRNAの発現から、HLSC-EVで処理したTECにおいて有意に向上したことが見出され(図8、A)、in silico データの正当性を指し示した。並行して、模倣体のHLSC-EVの4種の標的遺伝子に対する効果(EPHB4、ITGB3、FGF1およびPLAU)をRNAおよびタンパク質レベルの両方で評価した。
図8.HLSC-EVで処理したTECにおけるmiRNAおよびその標的の発現。A-対照TECおよびHLSC-EVで処理したTECにおけるmiRNAの相対発現(n=7、*-p<0.05vs.対照);B-対照TECおよびHLSC-EVで処理したTECにおける標的遺伝子の相対発現(n=7、*-p<0.05vs.対照);C-対照TEC、miR-15aでトランスフェクトされたTEC、またはHLSC-EVで刺激されたTECにおけるFGF1発現のウエスタンブロット分析の代表的な画像。D-対照TEC、miR-181bでトランスフェクトされたTEC、またはHLSC-EVで刺激されたTECにおけるPLAU発現のウエスタンブロット分析の代表的な画像。
2つの標的、すなわちFGF1およびPLAUは、通常の培養条件において、HLSC-EVで処理した細胞において有意に減少したことを確認した(図8、B)。トランスフェクトされたTECまたはHLSC-EVで処理したTECにおける、FGF1およびPLAU発現の下方調節を、ウエスタンブロットにより確認した(それぞれ図8、CおよびD)。
miRNA組合せを用いた腫瘍内皮細胞のトランスフェクション、および抗血管新生効果の評価
TECは、HiPerfect試薬(Qiagen)を使用し、以下の組合せのmiRNA:miR-874/miR-15a;miR-874/miR-181b;miR-847/miR-320c;およびmiR181c/miR-320を使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、血管新生in vitroアッセイを行った。miRNAのすべての組合せが、TECの血管新生促進特性を有意に低下させた。さらに、miRNAの組合せは、単一のmiRNAより有効であった。
結果を図9に示し、これは、単一の、または組み合わせたmiRNAをトランスフェクトされたTECにより形成された血管様構造の相対量を示す棒グラフである。(*=p<0.01vs.スクランブル)。

Claims (6)

  1. miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマイクロRNAを含む薬学的に許容できる担体を含む、腎癌の抗血管新生治療における使用のための組成物
  2. miR-15a、miR-181b、miR-320cおよびmiR-874からなる群のうち少なくとも2つの組合せを含む、請求項1に記載の組成物
  3. 薬学的に許容できる担体が、マイクロまたはナノ粒子であり、1以上のマイクロRNAが、マイクロもしくはナノ粒子の内側に含有されているか、またはマイクロもしくはナノ粒子の表面に付着している、請求項1または2に記載の組成物
  4. 薬学的に許容できる担体が、非卵形ヒト肝臓前駆細胞(HLSC)由来の細胞外小胞(EV)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物
  5. 薬学的に許容できる担体が、miR-15a、miR-181b、miR-320c、miR-874およびそれらの任意の組合せの群から選択されるマイクロRNAを含有するように操作されている、成体幹細胞に由来する細胞外小胞(EV)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物
  6. 細胞外小胞(EV)が、間葉系幹細胞(MSC)および脂肪由来幹細胞(ASC)からなる群から選択される成体幹細胞に由来する、請求項5に記載の組成物
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