JP7372586B1 - 継目無鋼管 - Google Patents

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Abstract

明細書に記載の化学組成を有し、当該化学組成が、[5C+Mo+Cr≧1.00]を満足し、旧γ結晶粒度GNとの関係において、[GN-1.96×(Mn+70P+100N)≧7.50]および[GN-1.37×(Mn+85P-30Ca)≧8.90]を満足し、引張強さが1200MPa以上であり、限界水素濃度が2.5ppm以上である、継目無鋼管。

Description

本発明は、継目無鋼管に関する。
自動車産業において、安全性を追求した装置の導入が積極的に進められている。その中でも、衝突時に乗員がハンドルまたはインストルメントパネル等に衝突する前に、それらと乗員との間にガス等でエアバッグを展開させ、乗員の運動エネルギーを吸収して傷害軽減を図るエアバッグシステムが搭載されるようになっている。エアバッグシステムとしては、従来、爆発性薬品を使用する方式が採用されてきたが、環境リサイクル性の面から高圧充填ガスを使用するシステムが開発され、その適用が広がっている。
上記のシステムは、衝突時にエアバッグ内に吹出するガス等を常時高圧に保ったうえで、衝突時には一気にガスを噴出させるものである。このため、高圧ガスのアキュムレータに用いる鋼管には、極めて短時間に大きな歪速度で応力が負荷されることとなる。したがって、使用される鋼管には、高い強度と優れた耐バースト性とが要求される。
最近では、自動車の軽量化に対する要求が強まっている。その観点から、車載用のエアバッグ用鋼管に対しても薄肉化、軽量化が要望されており、薄肉であっても高いバースト圧を確保するため、引張強度が900MPa以上、さらには1000MPa以上の高強度の継目無鋼管から製造されたアキュムレータがエアバッグシステムに用いられるようになってきた。
さらに、例えば寒冷地においても、衝突時にアキュムレータが脆性破壊して2次災害を招くようなことがないように、アキュムレータには優れた低温靭性が求められている。
これらを背景に、例えば、特許文献1には、焼入れ・焼戻しを行わずに、焼ならし熱処理のみで製造可能な、引張強度850MPa以上、-20℃での耐バースト性能を有するエアバッグアキュムレータ用継目無鋼管が開示されている。
また、特許文献2には、冷間加工に続いて、焼入れ+焼き戻しを施し、縮径部を含むエアバッグアキュムレータ部品としても優れた低温バースト性能を有する、引張強度1000MPa以上のエアバッグシステム用継目無鋼管が開示されている。
さらに、特許文献3には、冷間抽伸の工程簡略化、合金コストの削減が可能な、高強度かつ高靭性のエアバッグ用鋼管の製造方法が開示されている。
国際公開第2008/050628号 特開2010-132999号公報 国際公開第2011/152447号
特許文献1~3に記載される技術によれば、高い強度と優れた低温靭性を有するエアバッグ用鋼管が得られる。しかし、近年のさらなる軽量化の要求から、1200MPa以上の引張強さを有するエアバッグ用継目無鋼管が求められている。
そこで、本発明者らが低温靭性を維持しつつ高強度化させる方法について検討を行ったところ、単に鋼管の高強度化を行っただけでは、鋼管の耐水素脆化特性が顕著に低下する場合があることが分かった。エアバッグ用鋼管として、より高い信頼性を確保するためには、高い強度を付与した場合であっても、製造工程および使用環境において鋼管へ侵入する水素による脆化を抑制することが要求される。
本発明は、高い強度と優れた低温靭性を有し、さらに優れた耐水素脆化特性を備えた継目無鋼管を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記に示す継目無鋼管を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.05~0.20%、
Si:0.05~0.50%、
Mn:0.40~1.50%、
P:0.025%以下、
S:0.020%以下、
Cu:0.10~0.50%、
Ni:0.10~0.50%、
Cr:0.10~1.20%、
Mo:0.10~0.50%、
Ti:0.005~0.050%、
Nb:0.005~0.100%、
Ca:0.0005~0.0025%、
Al:0.080%以下、
N:0.0100%以下、
V:0~0.100%、
B:0~0.0050%、
Mg:0~0.0050%、
REM:0~0.0050%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記各元素含有量が上述の範囲内であることを前提として、下記(i)式を満足し、
さらに、前記化学組成は、旧オーステナイト結晶粒度との関係において、下記(ii)式および(iii)式を満足し、
引張強さが1200MPa以上であり、
限界水素濃度が2.5ppm以上である、
継目無鋼管。
5C+Mo+Cr≧1.00 ・・・(i)
GN-1.96×(Mn+70P+100N)≧7.50 ・・・(ii)
GN-1.37×(Mn+85P-30Ca)≧8.90 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)を意味し、含有されない場合はゼロとする。また、GNは、旧オーステナイト結晶粒度を意味する。
(2)前記化学組成が、質量%で、
V:0.001~0.100%、
B:0.0001~0.0050%、
Mg:0.0001~0.0100%、および、
REM:0.0001~0.0100%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)に記載の継目無鋼管。
本発明によれば、高い強度と優れた低温靭性を有し、さらに優れた耐水素脆化特性を備えた継目無鋼管を得ることが可能である。
靭性評価に用いられる試験片の形状を説明するための図である。 限界水素濃度の測定に用いられる弧状引張試験片の形状を説明するための図である。
本発明者らは、継目無鋼管の低温靭性を維持しつつ高強度化させ、かつ耐水素脆化特性を確保するための方法について鋭意研究を重ねた。その結果、下記の知見を得た。
(a)継目無鋼管の高強度化を実現するためには、焼入れ性を向上させる元素の含有量を増加させる必要がある。なかでも、C、MoおよびCrの含有量を十分に確保することが効果的である。そのような観点から、下記(i)式を満足することとする。
5C+Mo+Cr≧1.00 ・・・(i)
(b)Mnも焼入れ性を向上させる元素であるが、過剰に含有すると粒界に偏析して低温靭性を劣化させる。また、Mnに加えて、Pも粒界に偏析して低温靭性を劣化させる元素である。一方、Nは窒化物として析出するが、N含有量が過剰であると、窒化物量が増加することで低温靭性を劣化させる。
(c)ここで、粒界偏析による低温靭性の低下の度合いは、旧オーステナイト結晶粒度に応じて変化する。そこで、Mn、PおよびNの含有量と、旧オーステナイト結晶粒度GNとが低温靭性に与える影響を評価した結果、各元素の含有量を所定の範囲内に調整するとともに、下記(ii)式を満足することによって、優れた低温靭性を維持することが可能であることを見出した。
GN-1.96×(Mn+70P+100N)≧7.50 ・・・(ii)
(d)また、Mn含有量が過剰であると、水素の拡散速度が低下し、局所的な濃化を生じさせるだけでなく、MnSを生成することで、耐水素脆化特性の劣化を招く。また、Pは粒界に偏析して耐水素脆化特性を劣化させる。一方、CaはMnSの生成を抑制する効果を有するため、耐水素脆化特性を向上させる。
(e)本発明者らの検討により、耐水素脆化特性の劣化の度合いも、旧オーステナイト結晶粒度に応じて変化することが明らかとなった。そして、Mn、PおよびCaの含有量と、旧オーステナイト結晶粒度GNとが耐水素脆化特性に与える影響を評価した結果、各元素の含有量を所定の範囲内に調整するとともに、下記(iii)式を満足することによって、優れた耐水素脆化特性を得ることが可能であることを見出した。
GN-1.37×(Mn+85P-30Ca)≧8.90 ・・・(iii)
(f)さらに、耐水素脆化特性を向上させるためには、焼戻し工程において、予熱を行う必要がある。予熱を行うことによって耐水素脆化特性が向上するメカニズムについては明らかになっていないが、肉厚方向における温度分布が解消し、金属組織が均一になるためであると考えられる。
(g)Mnと同様に、Cu、Ni、CrおよびMoは、焼入れ性を向上させる元素である。また、TiおよびNbは、結晶粒界を強くピン止めする効果を有する元素である。本発明においては、強度と低温靭性とを両立させるため、これらの全ての元素の効果を活用する必要があり、いずれの元素もバランスよく所定値以上含有させる必要がある。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
(A)化学組成
本発明の一実施形態に係る継目無鋼管の化学組成の限定理由は次のとおりである。以下の説明において各元素の含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.05~0.20%
Cは、安価に鋼の強度を高めるのに有効な元素である。その含有量が0.05%未満では所望の引張強さを得ることが困難であり、0.20%を超えると加工性および溶接性が低下する。したがって、Cの含有量を0.05~0.20%とする。C含有量の好ましい範囲は0.07%以上、0.18%以下であり、より好ましい範囲は0.09%以上、0.17%以下である。なお、継目無鋼管をエアバッグの形状にする際には、縮径加工等が必要である。そのため、加工性を特に重視する場合には、C含有量は0.17%未満であるのがさらに好ましい。
Si:0.05~0.50%
Siは、脱酸作用を有するほか、鋼の焼入れ性を高めて強度を向上させる元素である。この目的でSiの含有量を0.05%以上とする。しかし、その含有量が0.50%を超えると靭性が低下するため、Siの含有量を0.50%以下とする。Si含有量の好ましい範囲は0.10%以上、0.40%以下であり、より好ましい範囲は0.15%以上、0.30%以下である。
Mn:0.40~1.50%
Mnは、脱酸作用を有するほか、鋼の焼入れ性を高めて強度と靭性とを向上させるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.40%未満では十分な強度および靭性が得られない。一方、Mn含有量が1.50%を超えるとMnSの粗大化が起こり、これが熱間圧延時に展伸し、靭性および耐水素脆化特性が低下する。加えて、過剰なMnは、水素の拡散速度を低下させ、局所的な濃化を生じさせることによって、耐水素脆化特性の低下を招く。このため、Mnの含有量を0.40~1.50%とする。好ましいMnの含有量は0.45%以上、1.20%以下であり、より好ましい範囲は0.50%以上、1.00%以下である。
P:0.025%以下
Pは、鋼中に不純物として含まれ、粒界偏析に起因する靭性および耐水素脆化特性の低下をもたらす。特に、Pの含有量が0.025%を超えると、靭性および耐水素脆化特性の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.025%以下とする。Pの含有量は好ましくは0.020%以下、より好ましくは0.015%以下である。
S:0.020%以下
Sも、鋼中に不純物として含まれ、特に鋼管のT方向(鋼管の管軸方向に直交する方向)の靭性を低下させる。Sの含有量が0.020%を超えると、鋼管T方向の靭性低下が著しくなるので、Sの含有量を0.020%以下とする。好ましいSの含有量は0.010%以下である。
Cu:0.10~0.50%
Cuは、鋼の焼入れ性を高めることで強度と靭性とを向上させる。その効果は、0.10%以上のCuを含有していれば発現する。しかし、0.50%を超えてCuを含有させると、合金コストの上昇を招く。したがって、Cuの含有量を0.10~0.50%とする。好ましいCu含有量は0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。また、Cu含有量は、好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.35%以下である。
Ni:0.10~0.50%
Niは、鋼の焼入れ性を高め、それにより強度と靭性とを向上させる。その効果は、0.10%以上のNiを含有していれば発現する。しかし、0.50%を超えてNiを含有させると、合金コストの上昇を招く。したがって、Niの含有量を0.10~0.50%とする。好ましいNi含有量は0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。Ni含有量は、好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.40%以下である。
Cr:0.10~1.20%
Crは、鋼の焼入れ性を高め、また、焼き戻し軟化抵抗を高めて、強度と靭性とを向上させる。その効果は、0.10%以上のCrを含有していれば発現する。しかし、1.20%を超えてCrを含有させると、合金コストの上昇を招く。したがって、Crの含有量を0.10~1.20%とする。好ましいCr含有量は0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。Cr含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.90%以下である。
Mo:0.10~0.50%
Moは、鋼の焼入れ性を高め、また、焼き戻し軟化抵抗を高めて、強度と靭性とを向上させる。その効果は、0.10%以上のMoを含有していれば発現する。しかし、0.50%を超えてMoを含有させると、合金コストの上昇を招く。また、Mo含有量が過剰に高いと、継目無鋼管の熱間製管後の空冷においても、強度が高くなる傾向があり、冷間抽伸加工前に軟化熱処理が必要となり、製造コストの上昇を招く。したがって、Moの含有量を0.10~0.50%とする。好ましいMo含有量は0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。Mo含有量は、好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.40%以下である。
Ti:0.005~0.050%
Tiは、鋼中でNを固定し、靭性を向上させる。また、微細に分散したTi窒化物は、結晶粒界を強くピン止めし、結晶粒を細粒化させ、鋼の靭性を向上させる。その効果を得るためには、0.005%以上含有させることが必要であるが、0.050%を超えて含有させると、窒化物が粗大化し、かえって靭性が低下する。したがって、Tiの含有量を0.005~0.050%とする。Ti含有量は、好ましくは0.040%以下、より好ましくは0.030%以下である。
Nb:0.005~0.100%
Nbは、鋼中で炭化物として微細に分散し、結晶粒界を強くピン止めする。それにより、結晶粒を細粒化させ、鋼の靭性を向上させる効果を有する。その効果を得るためには、0.005%以上含有させることが必要であるが、0.100%を超えて含有させると、炭化物が粗大化し、かえって靭性が低下する。したがって、Nbの含有量を0.005~0.100%とする。好ましいNb含有量は0.010%以上、より好ましくは0.015%以上である。Nb含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.030%以下である。
Ca:0.0005~0.0025%
Caは、鋼中に不可避不純物として存在するSを硫化物として固定し、靭性の異方性を改善して、鋼管のT方向の靭性を高め、これによって耐バースト性を高める。加えて、MnSの生成を抑制することで、耐水素脆化特性の向上にも寄与する。その効果は、0.0005%以上のCaを含有していれば発現する。しかし、0.0025%を超えて含有させると、介在物が増加して、かえって靭性が低下する。したがって、Caの含有量を0.0005~0.0025%とする。耐水素脆化特性の向上効果を確実に得るためには、Ca含有量は0.0010%以上であるのが好ましく、0.0010%超であるのがより好ましく、0.0012%以上であるのがさらに好ましく、0.0015%以上であるのがさらに好ましい。
Al:0.080%以下
Alは、脱酸作用を有し、靭性および加工性を高めるのに有効な元素である。しかし、0.080%を超えて含有させると、地疵の発生が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.080%以下とする。Al含有量は、好ましくは0.060%以下、より好ましくは0.040%以下である。なお、Al含有量は不純物レベルであってもよいので、その下限は特に定めないが、0.005%以上とすることが好ましい。なお、本発明にいうAl含有量とは、酸可溶Al(所謂「sol.Al」)の含有量を指す。
N:0.0100%以下
Nは、微細な窒化物を形成し、それにより、結晶粒界を強くピン止めし、結晶粒を細粒化させ、鋼の靭性を向上させる。しかし、0.0100%を超えて含有させると、窒化物が粗大化し、かえって靭性が低下する。したがって、Nの含有量を0.0100%以下とする。N含有量は、好ましくは0.0080%以下、より好ましくは0.0050%以下である。なお、N含有量は不純物レベルであってもよいので、その下限は特に定めないが、0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。
V:0~0.100%
Vは、靭性を確保するとともに、析出強化により強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.100%を超えて含有させると靭性の低下を招く。したがって、含有させる場合のVの含有量を0.100%以下とする。V含有量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.010%以下である。Vの作用は微量でも認めら得るが、十分な効果を得るには、0.001%以上含有させることが好ましい。
B:0~0.0050%
Bは、微量添加することにより鋼中で粒界偏析し、鋼の焼入れ性を著しく向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.0050%を超えるBを含有させると、結晶粒界に硼化物が粗大に析出し、靭性が低下する傾向が認められる。したがって、含有させる場合のBの含有量を0.0050%以下とする。B含有量は、好ましくは0.0030%以下、より好ましくは0.0020%以下である。Bの作用は微量でも認められるが、十分な効果を確保するには0.0001%以上含有させることが好ましく、0.0005%以上含有させることがより好ましい。
Mg:0~0.0050%
Mgは、Caと同様に、鋼中に不可避不純物として存在するSを硫化物として固定し、靭性の異方性を改善して、鋼管のT方向の靭性を高め、これによって耐バースト性を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.0050%を超えて含有させると、介在物が増加して、かえって靭性が低下する。したがって、含有させる場合のMgの含有量を0.0050%以下とする。Mg含有量は、好ましくは0.0040%以下、より好ましくは0.0030%以下である。Mgの作用は微量でも認められるが、十分な効果を確保するには0.0001%以上含有させることが好ましく、0.0005%以上含有させることがより好ましい。
REM:0~0.0050%
REMは、Caと同様に、鋼中に不可避不純物として存在するSを硫化物として固定し、靭性の異方性を改善して、鋼管のT方向の靭性を高め、これによって耐バースト性を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.0050%を超えて含有させると、介在物が増加して、かえって靭性が低下する。したがって、含有させる場合のREMの含有量を0.0050%以下とする。REM含有量は、好ましくは0.0040%以下、より好ましくは0.0030%以下である。REMの作用は微量でも認められるが、十分な効果を確保するには0.0001%以上含有させることが好ましく、0.0005%以上含有させることがより好ましい。
本実施形態において「REM」とは、Sc、Y、およびランタノイドの合計17元素を指し、「REMの含有量」とは、REMが1種の場合はその含有量、2種以上の場合はそれらの合計含有量を指す。また、REMは一般的には複数種のREMの合金であるミッシュメタルとしても供給されている。このため、個別の元素を1種または2種以上添加して含有させてもよいし、例えば、ミッシュメタルの形で添加してもよい。
本実施形態に係る継目無鋼管は、上述の各元素を含有し、残部がFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本実施形態に係る継目無鋼管の化学組成においては、各元素含有量が上述の範囲内であることを前提として、さらに下記(i)式を満足する。上述のように、C、MoおよびCrの含有量を十分に確保することによって、焼入れ性が向上し、継目無鋼管の高強度化を実現することが可能となる。下記(i)式の左辺値は、1.20以上であるのが好ましく、1.50以上であるのがより好ましい。
5C+Mo+Cr≧1.00 ・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)を意味し、含有されない場合はゼロとする。
また、本実施形態に係る継目無鋼管の化学組成は、旧オーステナイト結晶粒度との関係において、下記(ii)式を満足する。低温靭性の低下を招くMn、PおよびNの含有量を、旧オーステナイト結晶粒度に応じて調整することにより、優れた低温靭性を維持することが可能である。下記(ii)式の左辺値は、8.00以上であるのが好ましく、8.50以上であるのがより好ましい。
GN-1.96×(Mn+70P+100N)≧7.50 ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)を意味し、含有されない場合はゼロとする。また、GNは、旧オーステナイト結晶粒度を意味する。
さらに、本実施形態に係る継目無鋼管の化学組成は、旧オーステナイト結晶粒度との関係において、下記(iii)式を満足する。耐水素脆化特性を劣化させるMnおよびP、ならびに耐水素脆化特性を向上させるCaの含有量を、旧オーステナイト結晶粒度に応じて調整することにより、優れた耐水素脆化特性を得ることが可能である。下記(iii)式の左辺値は、9.50以上であるのが好ましく、10.00以上であるのがより好ましい。
GN-1.37×(Mn+85P-30Ca)≧8.90 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)を意味し、含有されない場合はゼロとする。また、GNは、旧オーステナイト結晶粒度を意味する。
旧オーステナイト結晶粒度は、ASTM E112(2013)に準拠して測定する。具体的には、継目無鋼管の管軸方向と肉厚方向を含む面(以下では、「縦断面」ともいう。)が被検面(以下、「観察面」という。)となるように全肉厚を含む試験片を採取し、観察面の鏡面研磨を実施する。研磨後、ピクラール腐食液を用いて観察面内の旧オーステナイト結晶粒界を現出させる。
その後、光学顕微鏡を用いて、継目無鋼管の外表面から1/4位置が視野の中心となるように、5視野について観察を行う。そして、ASTM E112(2013)に規定される比較法により、各視野の旧オーステナイト結晶粒度を求め、その平均値を継目無鋼管の旧オーステナイト結晶粒度とする。この際、100倍を基準の観察倍率とし、結晶粒度に応じて、200倍または400倍とする。また、観察倍率を200倍または400倍とした場合には、下記(I)式で定義される補正値Qを用い、ASTM E112(2013)に準拠して補正を行う。
Q=6.64log10(M/100) ・・・(I)
但し、上記式中のMは観察倍率である。
なお、旧オーステナイト結晶粒度については、上記の(ii)式および(iii)式を満足する限りにおいて特に制限されず、例えば、10.0以上または11.0以上とすることができる。
(B)特性
本実施形態に係る継目無鋼管は、高い強度を有し、具体的には、引張強さが1200MPa以上である。引張強さが1200MPa以上であれば、極めて短時間に大きな歪速度で応力が負荷される高圧ガスのアキュムレータとして用いる場合においても、優れた耐バースト性を発揮する。
引張強さは、JIS Z 2241:2011に準拠して測定する。具体的には、継目無鋼管から、一定長さの管状試験片を切り出し、JIS Z 2241:2011に準拠した11号試験片を作製する。そして、当該11号試験片を用い、JIS Z 2241:2011に規定される管状引張試験を実施することで、引張強さを測定する。
また、本実施形態に係る継目無鋼管は、優れた低温靭性を有する。本実施形態に係る継目無鋼管においては、JIS Z 2242:2018に規定されるシャルピー衝撃試験によって求められる、延性破面率が100%となる下限温度(vTrs100)が-80℃以下であることが好ましく、-85℃以下であることがより好ましい。本実施形態において、vTrs100は、より具体的には以下の方法により求める。
まず、図1に示すように、継目無鋼管から、長さ10mmの管状試験片(図1a)を採取した後に、室温で管軸方向に切断してC字状にしてから(図1b)、板状に展開する(図1c)。そして、長手方向における両端を切断し、長さ55mm、幅10mm、厚さが鋼管の元肉厚dの矩形状の試験片とした後に、当該試験片の長手方向における中央部において、ノッチ底が上記試験片の厚さ方向に平行になるように、ノッチ角度45°、ノッチ深さ2mm、ノッチ底半径0.25mmのVノッチを導入する(図1d)。得られた試験片を用いて、JIS Z 2242:2018に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、vTrs100を求める。
さらに、本実施形態に係る継目無鋼管は、優れた耐水素脆化特性を有し、具体的には、限界水素濃度が2.5ppm以上である。これにより、エアバッグ用鋼管等として使用する際に、高い信頼性を確保することが可能となる。限界水素濃度は2.7ppm以上であるのがより好ましい。本実施形態において、限界水素濃度は、具体的には以下の方法により求める。
継目無鋼管から、図2に示す形状の弧状引張試験片を複数採取する。当該弧状引張試験片は、継目無鋼管から、長さ120mm、幅9.0mm、厚さが鋼管の元肉厚dの弧状の試験片を切り出した後、長手方向における両端にそれぞれ把持部を残した状態で、長手方向における中央部に、減幅部を設け、さらに減幅部の長手方向における中央部にUノッチを設けることによって作製される。把持部は、それぞれ長さ45mm、幅9.0mmであり、減幅部の長さは30mm、幅2.0mmである。また、減幅部の両端は、曲率半径が5.0mmの曲面となり、把持部と接続されている。さらに、Uノッチは、ノッチ幅0.20mm、ノッチ深さ0.35mm、ノッチ底半径0.10mmである。
続いて、複数の弧状引張試験片を3%NaClおよび0~30g/Lの範囲のチオシアン酸アンモニウムを含む種々の水溶液中に浸漬しながら、-0.9~-1.2Vの範囲の電位で陰極チャージ定荷重試験を行う。この際、各継目無鋼管の引張強さの90%の応力を負荷する。
その後、耐久時間が200時間を超えた弧状引張試験片のみについて、液体窒素中で保管後、減幅部の平行部分を切断して水素濃度測定用試験片とし、昇温脱離水素分析法により水素濃度を測定する。昇温脱離水素分析法では、水素濃度測定用試験片を常温から100℃/時間の昇温速度で200℃まで加熱した後、放出された水素量を測定することによって、試験片中の水素濃度を求める。そして、得られた水素濃度のうち、最も高い値を、限界水素濃度とする。
(C)製造方法
本発明の一実施形態に係る継目無鋼管は、以下の方法によって製造することができる。
前記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を、一般的な方法で溶製した後、鋳造によりインゴットまたは鋳片とする。なお、いわゆる「ラウンドCC」法によって、製管用の円形ビレット形状を有する鋳片にしてもよい。
次の工程として、鋳造されたインゴットまたは鋳片に、分塊圧延または熱間鍛造を施す。該工程は、最終的な熱間製管(例えば、熱間での穿孔、圧延および延伸工程による製管、または熱間押し出しプレスによる製管)に用いる素材を得る工程である。なお、上記「ラウンドCC」法によって、円形ビレット形状とした鋳片は、直接それを用いて継目無鋼管に仕上げることができるので、必ずしも分塊圧延または熱間鍛造を施す必要はない。
上記の分塊圧延または熱間鍛造で製造した、最終的な熱間製管に用いる素材、または円形ビレット形状とした鋳片(以下、これらをまとめて「鋼片」という。)に、熱間製管工程、冷間加工工程、焼入れ工程および焼戻し工程を順に施して、本実施形態の継目無鋼管が製造される。
<熱間製管工程>
上述した鋼片を加熱した後、熱間製管を行って所定の形状を有する素管を製造する。熱間製管法については一般的な方法を用いればよく、例えば、マンドレル-マンネスマン法を採用してもよい。鋼片の加熱温度は、例えば、1000~1300℃とすることができる。
<冷間加工工程>
上記の方法によって得られた素管には、寸法精度の向上を目的として、冷間加工を施す。冷間加工方法としては、素管を均一に加工できる方法であれば、特に制限されなく、例えば、孔明きダイスとプラグとを用いるいわゆる冷間抽伸機またはコールドピルガーミルと称される冷間圧延機等を用いるのが工業的に有利である。
<焼入れ工程>
冷間加工後の素管には、次に、900~1050℃の温度に高周波加熱した後で急冷する高周波焼入れ処理が施される。加熱温度が900℃未満であると、オーステナイト化が完了しないので、高い強度を具備させることができない場合がある。一方、加熱温度が1050℃を超えると、オーステナイト粒が急激に成長することで粗大になり、優れた靭性を具備させることができなくなる。
また、高周波加熱によって急速に加熱することでオーステナイト粒の成長を抑え、微細な金属組織が得られる。オーステナイト粒の成長を抑制する観点から、上記加熱温度での保持時間は、素管のサイズにもよるが10秒以下とすることが好ましい。なお、加熱温度は、素管の外表面における温度を指す。急冷には、十分な焼入れ組織が得られるのであれば、水冷または油冷など適宜の方法を用いればよい。
<焼戻し工程>
高周波焼入れした素管には、370~410℃に加熱した後、室温まで冷却する、焼戻し処理が施される。焼戻しの加熱温度が370℃未満であると、強度は確保できても低温靭性が低下する。一方、焼戻しの加熱温度が410℃を超えると、優れた低温靭性は得られても強度が低下して、1200MPa以上の引張強さを得ることができなくなる。
上記加熱温度での保持時間は、素管のサイズにもよるが10~30分とすることが好ましい。この加熱温度は、素管の外表面における温度を指す。焼戻しの際の冷却速度については、特に制限がない。このため、大気中での放冷、強制風冷、ミスト冷却、油冷、水冷等、設備に応じた冷却を行えばよい。
また、優れた耐水素脆化特性を得るためには、上記の加熱温度まで昇温する前の段階において、予熱を行う必要がある。具体的には、250~350℃の温度域における滞留時間が5分以上となるように予熱を行う。上述のように、予熱を行うことによって肉厚方向における温度分布が解消し、金属組織が均一になるためであると考えられる。
以下、実施例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、転炉-連続鋳造プロセスにより、矩形ビレットを鋳造した。矩形ビレットは、さらに熱間鍛造により円形ビレットに成形し、室温まで冷却した。
Figure 0007372586000001
上記の円形ビレットを加熱し、マンネスマン-マンドレル方式によって素管を作製し、室温まで冷却した。得られた素管に対して、冷間抽伸機を用いて冷間加工を行った。続いて、表2に示す条件で焼入れおよび焼戻しを施して、継目無鋼管を製造した。表2における予熱時間は250~350℃の温度域における滞留時間を意味する。なお、焼入れは全て、高周波加熱してから水焼入れによって実施し、冷却速度が150℃/秒となるよう調整した。また、焼戻しの際の冷却は全て大気中での放冷とした。
Figure 0007372586000002
得られた各継目無鋼管について、まず、旧オーステナイト結晶粒度の測定を行った。旧オーステナイト結晶粒度は、ASTM E112(2013)に準拠して測定した。具体的には、継目無鋼管の縦断面が観察面となるように全肉厚を含む試験片を採取し、観察面の鏡面研磨を実施した。研磨後、ピクラール腐食液を用いて観察面内の旧オーステナイト結晶粒界を現出させた。その後、光学顕微鏡を用いて、継目無鋼管の外表面から1/4位置が視野の中心となるように、5視野について観察を行った。そして、ASTM E112(2013)に規定される比較法により、各視野の旧オーステナイト結晶粒度を求め、その平均値を各継目無鋼管の旧オーステナイト結晶粒度とした。この際、100倍を基準の観察倍率とし、結晶粒度に応じて、200倍または400倍とした。また、観察倍率を200倍または400倍とした場合には、下記(I)式で定義される補正値Qを用い、ASTM E112(2013)に準拠して補正を行った。
Q=6.64log10(M/100) ・・・(I)
但し、上記式中のMは観察倍率である。
次に、各継目無鋼管について、以下の方法により、引張強さ、低温靱性および耐水素脆化特性の評価を行った。
<引張強さ>
各継目無鋼管から、一定長さの管状試験片を切り出し、JIS Z 2241:2011に準拠した11号試験片を作製した。そして、当該11号試験片を用い、JIS Z 2241:2011に規定される管状引張試験を実施することで、引張強さを測定した。
<低温靱性>
図1に示すように、各継目無鋼管から、長さ10mmの管状試験片(図1a)を採取した後に、室温で管軸方向に切断してC字状にしてから(図1b)、板状に展開した(図1c)。そして、長手方向における両端を切断し、長さ55mm、幅10mm、厚さが鋼管の元肉厚dの矩形状の試験片とした後に、当該試験片の長手方向における中央部において、ノッチ底が上記試験片の厚さ方向に平行になるように、ノッチ角度45°、ノッチ深さ2mm、ノッチ底半径0.25mmのVノッチを導入した(図1d)。
得られた試験片を用いて、JIS Z 2242:2018に準拠し、シャルピー衝撃試験を実施した。そして、vTrs100を求め、低温靭性の指標とした。本実施例においては、vTrs100が-80℃以下の場合に、低温靱性に優れると判断した。
<耐水素脆化特性>
各継目無鋼管から、図2に示す形状の弧状引張試験片を採取し、陰極チャージ定荷重試験を実施した。具体的には、把持部および減幅部を有する、複数の弧状引張試験片を3%NaClおよび0~30g/Lの範囲のチオシアン酸アンモニウムを含む種々の水溶液中に浸漬しながら、-0.9~-1.2Vの範囲の電位で陰極チャージ定荷重試験を行った。この際、各継目無鋼管の引張強さの90%の応力を負荷した。
そして、耐久時間が200時間を超えた試験片のみについて、液体窒素中で保管後、減幅部の平行部分を切断し、昇温脱離水素分析法により水素濃度を測定した。昇温脱離水素分析法では、試験片を常温から100℃/時間の昇温速度で200℃まで加熱した後、放出された水素量を測定することによって、試験片中の水素濃度を求めた。得られた水素濃度のうち、最も高い値を、限界水素濃度(Hc)とし耐水素脆化特性の指標とした。本実施例においては、Hcが2.5ppm以上の場合に、耐水素脆化特性に優れると判断した。
表2に、上記の各評価結果をまとめて示す。
表2に示されるように、本発明の規定を全て満足する試験番号1~10では、高い引張強さと優れた低温靭性を有し、さらに耐水素脆化特性に優れる結果となった。これらに対して、本発明の規定を満足しない比較例である試験番号11~29では、引張強さ、低温靭性および耐水素脆化特性の少なくともいずれかが劣化する結果となった。
本発明によれば、高い強度と優れた低温靭性を有し、さらに優れた耐水素脆化特性を備えた継目無鋼管を得ることが可能である。そのため、本発明に係る継目無鋼管は、エアバッグ用として好適である。

Claims (2)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.05~0.20%、
    Si:0.05~0.50%、
    Mn:0.40~1.50%、
    P:0.025%以下、
    S:0.020%以下、
    Cu:0.10~0.50%、
    Ni:0.10~0.50%、
    Cr:0.10~1.20%、
    Mo:0.10~0.50%、
    Ti:0.005~0.050%、
    Nb:0.005~0.100%、
    Ca:0.0005~0.0025%、
    Al:0.080%以下、
    N:0.0100%以下、
    V:0~0.100%、
    B:0~0.0050%、
    Mg:0~0.0050%、
    REM:0~0.0050%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    前記各元素含有量が上述の範囲内であることを前提として、下記(i)式を満足し、
    さらに、前記化学組成は、旧オーステナイト結晶粒度との関係において、下記(ii)式および(iii)式を満足し、
    引張強さが1200MPa以上であり、
    限界水素濃度が2.5ppm以上である、
    継目無鋼管。
    5C+Mo+Cr≧1.00 ・・・(i)
    GN-1.96×(Mn+70P+100N)≧7.50 ・・・(ii)
    GN-1.37×(Mn+85P-30Ca)≧8.90 ・・・(iii)
    但し、上記式中の元素記号は、各元素の鋼中含有量(質量%)を意味し、含有されない場合はゼロとする。また、GNは、旧オーステナイト結晶粒度を意味する。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    V:0.001~0.100%、
    B:0.0001~0.0050%、
    Mg:0.0001~0.0050%、および、
    REM:0.0001~0.0050%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項1に記載の継目無鋼管。
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