[ハイブリッド車両1の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず図1を用いて、ハイブリッド車両1の概略構成の例について説明する。図1に示すように、本実施の形態にて説明するハイブリッド車両1は、走行用の動力源として、内燃機関11とモータジェネレータ21とを有している。
内燃機関11は、例えばディーゼルエンジンであり、複数の気筒13A~13Dを有しており(図1の例では4個の気筒)、それぞれの気筒には燃料噴射弁14A~14Dが設けられている。燃料噴射弁14A~14Dには、図示省略したコモンレールや燃料配管等を介して燃料が供給されており、制御装置50からの制御信号によって駆動され、それぞれの気筒13A~13D内に燃料を噴射する。
内燃機関11のクランクシャフト15にはプーリP1が接続され、当該プーリP1には動力伝達ベルトB1が掛けられている。同様にモータジェネレータ21のロータ21RにはプーリP2が接続され、当該プーリP2には動力伝達ベルトB1が掛けられている。またエアコンコンプレッサ19にはプーリP3が接続され、当該プーリP3には動力伝達ベルトB1が掛けられている。エアコンコンプレッサ19には、動力伝達ベルトB1を介して内燃機関11やモータジェネレータ21からの回転動力が伝達される。クランクシャフト15からの回転動力はトランスミッション31に入力され、トランスミッション31は入力された回転動力を変速した回転動力をドライブシャフト34から出力する。ドライブシャフト34からの回転動力は、デファレンシャル35を介して左右の駆動輪36に伝達されている。
ドライブシャフト34には、車速検出装置44が設けられている。車速検出装置44は、例えば回転センサであり、ドライブシャフト34の回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、車速検出装置44からの検出信号に基づいてハイブリッド車両1の走行速度(車速)を検出することができる。
内燃機関11には、回転検出装置41が設けられている。回転検出装置41は、例えば回転センサであり、クランクシャフト15の回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、回転検出装置41からの検出信号に基づいてクランクシャフト15の回転角度(クランク角度)や回転数を検出することができる。
内燃機関11の吸気側には吸気マニホルド15Aが接続されており、吸気マニホルド15Aは吸気管15Bの一方端に接続されている。吸気管15Bの他方端は過給機12のコンプレッサ12Aの吐出側に接続され、コンプレッサ12Aの流入側は吸気管15Cの一方端に接続されている。
吸気マニホルド15Aには過給圧検出装置43が設けられている。過給圧検出装置43は、例えば圧力センサであり、吸気マニホルド15A内の吸気の圧力(すなわち過給圧力)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、過給圧検出装置43からの検出信号に基づいて吸気マニホルド15A内の過給圧を検出することができる。
吸気管15Cの他方端の側には吸気流量検出装置42が設けられている。吸気流量検出装置42は、例えば吸気流量センサであり、吸気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、吸気流量検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関11が吸入した吸気の流量を検出することができる。
内燃機関11の排気側には排気マニホルド16Aが接続されており、排気マニホルド16Aは排気管16Bの一方端に接続されている。排気管16Bの他方端は過給機12のタービン12Bの流入側に接続され、タービン12Bの吐出側は排気管16Cの一方端に接続されている。排気管16Cには、酸化触媒や微粒子捕集フィルタや選択式還元触媒等を有する排気浄化装置61が設けられている。
モータジェネレータ21は、インバータ23を介して高電圧バッテリ24に接続されている。またインバータ23には、DC-DCコンバータ25も接続されている。モータジェネレータ21とインバータ23は制御装置50からの制御信号にて制御される。高電圧バッテリ24は、例えば48[V]のリチウムイオンバッテリであり、バッテリ管理装置58にて充放電が管理されている。DC-DCコンバータ25には、低電圧バッテリ26と電気負荷27(種々の車載機器や車両電装品)と冷間始動用スタータ11S等が接続されている。低電圧バッテリ26は、例えば12[V]の鉛バッテリである。またトランスミッション31は、トランスミッション制御装置59からの制御信号にて制御される。また制御装置50とバッテリ管理装置58とトランスミッション制御装置59は、車両内通信回線C1に接続され、互いに種々のデータや制御状態等を送受信することができる。
モータジェネレータ21及びインバータ23は、制御装置50からの制御信号に基づいて、車両の走行用の動力源としてクランクシャフト15の回転をアシストするモータ動作と、発電機としてクランクシャフト15から回転駆動される発電動作と、に適宜切り替えられる。モータ動作の場合、制御装置50は、高電圧バッテリ24からの電力をインバータ23にて駆動信号に変換してモータジェネレータ21を回転駆動する。発電動作の場合、制御装置50は、モータジェネレータ21からインバータ23を介して発電電力を高電圧バッテリ24に蓄電し、インバータ23からDC-DCコンバータ25を介して発電電力を低電圧バッテリ26に蓄電する。またモータジェネレータ21は、内燃機関11の始動時におけるスタータとしての機能も有している。なお外気温度が非常に低い場合では、モータジェネレータ21をスタータとして利用する代わりに、冷間始動用スタータ11Sがスタータとして利用される。
アクセルペダル踏込量検出装置45は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出装置45からの検出信号に基づいて、ユーザによるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
制御装置50は、制御システムに相当しており、CPU51、RAM52、記憶装置53、タイマ54、EEPROM55等を有している。制御装置50(CPU51)には、上述した種々の検出装置からの検出信号が入力され、制御装置50(CPU51)は、上述した種々のアクチュエータへの制御信号を出力する。なお、制御装置50の入出力は、上記の検出装置やアクチュエータに限定されるものではない。また、各部の温度や圧力等はセンサを搭載せずに推定計算により算出しても良い。制御装置50は、上記の検出装置を含めた各種の検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関11の運転状態を検出し、上記のアクチュエータを含む各種のアクチュエータを制御する。記憶装置53は、例えばFlash-ROM等の記憶装置であり、内燃機関の制御や自己診断等を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。また制御装置50(CPU51)は、運転状態検出部51A、目標総合トルク算出部51B、内燃機関出力トルク制御部51C、内燃機関出力トルク算出部51D、不足トルク算出部51E、加速アシスト制御部51F等を有しているが、これらの詳細については後述する。
なお図1の例では、内燃機関11の制御と、モータジェネレータ21及びインバータ23の制御と、を制御装置50にて制御する例を示している。この場合、制御装置50による制御システムが、内燃機関11とモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御する。なお、内燃機関11用の制御装置Aと、モータジェネレータ21及びインバータ23用の制御装置Bとを別々に構成してもよい。制御装置Aと制御装置Bを別々に構成した場合、制御装置Aと制御装置Bによる制御システムが、内燃機関11とモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御する。
[平坦路走行時においてユーザが加速要求した場合の動作の例(図2)]
次に図2を用いて、平坦路走行時においてユーザがアクセルペダルを踏み込んで加速要求した場合の動作の例を説明する。図2に示すいずれの図も、横軸は時間を示している。
「アクセルペダル踏込量」は、ユーザのアクセルペダルの踏込量を示している。この場合、ユーザは時間T1にてアクセルペダルを急激に大きく踏み込んで加速を要求した状態を示している。
「加速要求フラグ」は、ユーザからの加速要求の有無を判定した結果を示すフラグである。例えば、加速要求フラグは、アクセルペダル踏込量の増加率が所定率以上となった場合にONに設定され、アクセルペダル踏込量が減少中かつ所定踏込量未満となった場合にOFFに設定される。
「トルク」には種々の情報が示されている。ユーザ要求トルクTQ21は、アクセルペダル踏込量を含む運転状態に基づいて制御装置50が算出した、ユーザが要求するトルクである。許容最大トルクTQ20は、ハイブリッド車両1にて許容されている最大トルクであり、制御装置50は、許容最大トルクTQ20を超えないようにトルクを制御する。
目標総合トルクTQ11(「トルク」中に一点鎖線で表示)は、制御装置50が算出した目標とする総合トルクであり、ユーザ要求トルクTQ21と許容最大トルクTQ20と運転状態に基づいて算出される。この例では安全等の目的で、制御装置50は、時間T1から時間T2の間では緩やかに目標総合トルクTQ11を増量させ、時間T2から時間T3にて目標総合トルクTQ11の上昇率を大きくするように算出している。目標総合トルクTQ11は、制御装置50にて、ユーザからの加速要求を含む内燃機関11の運転状態と、加速要求の開始からの経過時間と、に応じて算出される。
目標内燃機関出力トルクTQ12(「トルク」中に二点鎖線で表示)は、目標総合トルクTQ11と運転状態とに基づいて制御装置50が算出する、内燃機関11から出力するべき目標トルクである。制御装置50は、この目標内燃機関出力トルクTQ12に近づくように内燃機関11を制御する。図2に示す例では、過給機12の耐久性等に基づいて算出される過給圧制限トルクTQ23、目標内燃機関出力トルクTQ12を増量するための燃料噴射量の増量に伴うスモーク(黒煙)の発生を防止するスモーク制限トルクTQ22等の種々の制限により、目標内燃機関出力トルクTQ12は、目標総合トルクTQ11に達していない場合がある。
内燃機関出力トルクTQ13(「トルク」中に実線で表示)は、制御装置50による内燃機関11の制御により、実際に内燃機関11から出力されるトルクであり、内燃機関の運転状態に基づいて制御装置50が算出する。図2の例では、目標内燃機関出力トルクTQ12=内燃機関出力トルクTQ13である例を示している。
目標総合トルクTQ11に対して内燃機関出力トルクTQ13では不足しているトルクを、不足トルクTQ14とする。制御装置50は、不足トルクTQ14を算出し、不足トルクTQ14と内燃機関11の運転状態に基づいて、要求アシストトルクTQ15を算出する。そして制御装置50は、要求アシストトルクTQ15に近づくようにモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御し、モータジェネレータ21にて内燃機関11をアシストする。図2の例では、不足トルクTQ14=要求アシストトルクTQ15である例を示している。つまり、制御装置50は、内燃機関出力トルクTQ13と要求アシストトルクTQ15にて目標総合トルクTQ11を実現している。
平坦路走行時では、燃料噴射量を適切に増量させていくことで、図2に示す内燃機関出力トルクTQ13を実現させることができる。また制御装置50は、モータジェネレータ21(及びインバータ23)を適切に制御することで、図2に示す要求アシストトルクTQ15を実現させることができる。
「過給圧」は、過給圧検出装置43を用いて検出した内燃機関11の過給圧の変化の例を示している。「吸気流量」は、吸気流量検出装置42を用いて検出した吸気流量の変化の例を示している。「回転数」は、回転検出装置41を用いて検出したクランクシャフトの回転数の変化の例を示している。「車速」は、車速検出装置44を用いて検出したハイブリッド車両1の走行速度の変化の例を示している。目標内燃機関出力トルクTQ12に近づくように制御された内燃機関出力トルクTQ13に伴って、過給圧、吸気流量、回転数、車速も上昇していく。なお、上記の「過給圧」、「吸気流量」、「回転数」、「車速」は、内燃機関出力トルクに関連する内燃機関出力トルク関連量に相当している。
図2の例は、平坦路走行時の例を示しているが、登坂路走行時では、内燃機関出力トルクTQ13が期待するようには上昇せず、不足トルクTQ14が長時間にわたって発生し、モータジェネレータ21によるアシストが長時間にわたる場合がある。このような場合では、高電圧バッテリ24が過放電に近い状態となり、高電圧バッテリ24の寿命に影響を与える。本実施の形態にて説明するハイブリッド車両1では、以下に説明する制御装置50の処理により、ユーザに与える違和感を低減し、かつ、高電圧バッテリ24の寿命への影響をより低減させる(過放電を防止する)ことができる。
[制御装置50の処理手順(図3~図8)]
次に図3~図8に示すフローチャートを用いて、制御装置50の処理手順の例について説明する。以下では、制御装置50にて制御システムを構成している例で説明する。制御装置50(CPU51)は、例えば所定時間間隔(例えば数10[ms]程度の時間間隔)にて、図3に示す[全体処理]を起動し、ステップS010に処理を進める。
ステップS010にて制御装置50は、内燃機関の運転状態を検出してステップS015へ処理を進める。内燃機関の運転状態には、ユーザからのアクセルペダル踏込量が含まれており、制御装置50は、例えば、アクセルペダル踏込量の増加率が所定率以上となった場合に加速要求フラグをONに設定し、アクセルペダル踏込量が減少中かつ所定踏込量未満となった場合に加速要求フラグをOFFに設定する。検出する内燃機関の運転状態には、過給圧、吸気流量、回転数、車速の他にも種々のものがある。
ステップS010の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、ユーザからの加速要求を含む内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出部51A(図1参照)に相当している。
ステップS015にて制御装置50は、アクセルペダル踏込量を含む運転状態に基づいてユーザ要求トルクTQ21(図2参照)を算出してステップS020へ処理を進める。
ステップS020にて制御装置50は、ユーザ要求トルクTQ21(図2参照)と許容最大トルクTQ20と運転状態とに基づいて目標総合トルクTQ11(図2参照)を算出してステップS025へ処理を進める。図2の例では、安全等の目的で、制御装置50は、時間T1から時間T2の間では緩やかに目標総合トルクTQ11を増量させ、時間T2から時間T3にて目標総合トルクTQ11の上昇率を大きくするように算出しているが、これに限定されるものではない。なお目標総合トルクTQ11(図2参照)は、ユーザからの加速要求の開始からの経過時間に応じた値に設定され、内燃機関11にて実際に出力が可能なトルクである。なお、制御装置50は、運転状態に基づいて許容最大トルクTQ20(図2参照)を算出し、許容最大トルクTQ20を超えないように目標総合トルクTQ11(図2参照)を算出する。
ステップS020の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、ユーザからの加速要求を含む運転状態と、加速要求の開始からの経過時間とに応じた目標総合トルクTQ11(図2参照)を算出する目標総合トルク算出部51B(図1参照)に相当している。
ステップS025にて制御装置50は、内燃機関の運転状態に基づいて各種の制限等を算出し、ステップS030へ処理を進める。例えば制御装置50は、内燃機関の運転状態に基づいて、スモーク制限トルクTQ22や過給圧制限トルクTQ23(図2参照)等、目標内燃機関出力トルクTQ12(図2参照)を制限するべき各種の制限トルクを算出する。例えばスモーク制限トルクTQ22は、内燃機関11の排気中のスモーク(黒煙)の発生を防止する制限であり、過給圧制限トルクTQ23は、過給機12の耐久性等に基づいた制限である。なお各種の制限トルクは、スモーク制限トルクTQ22と過給圧制限トルクTQ23(図2参照)に限定されるものではない。
ステップS030にて制御装置50は、目標総合トルクTQ11(図2参照)、各種の制限トルク(スモーク制限トルクTQ22や過給圧制限トルクTQ23)等に基づいて目標内燃機関出力トルクTQ12を算出してステップS035へ処理を進める。目標内燃機関出力トルクTQ12(図2参照)には、各種の制限トルク(スモーク制限トルクTQ22や過給圧制限トルクTQ23(図2参照)等)による制限が反映されている。
ステップS035にて制御装置50は、内燃機関11からの出力トルクが目標内燃機関出力トルクTQ12(図2参照)に近づくように内燃機関11を制御(燃料噴射弁14A~14Dからの噴射量を制御等)してステップS040へ処理を進める。
ステップS025、S030、S035の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、目標総合トルクTQ11(図2参照)と運転状態とに基づいて、内燃機関11からの目標出力トルクである目標内燃機関出力トルクTQ12(図2参照)を算出し、算出した目標内燃機関出力トルクTQ12(図2参照)に近づくように内燃機関11を制御する内燃機関出力トルク制御部51C(図1参照)に相当している。
ステップS040にて制御装置50は、内燃機関の運転状態に基づいて、内燃機関11から実際に出力されているトルクである内燃機関出力トルクを算出してステップS045へ処理を進める。
ステップS040の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、運転状態に基づいて内燃機関から出力されているトルクである内燃機関出力トルクを算出する内燃機関出力トルク算出部51D(図1参照)に相当している。
ステップS045にて制御装置50は、[不足トルクを算出]する処理を実行してステップS050へ処理を進める。なお、[不足トルクを算出]する処理の詳細については後述する。
ステップS045の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、目標総合トルクTQ11(図2参照)に対して内燃機関出力トルクTQ13(図2参照)では不足しているトルクである不足トルクを算出する不足トルク算出部51E(図1参照)に相当している。
ステップS050にて制御装置50は、[加速要求の繰り返し判定]の処理を実行してステップS055へ処理を進める。なお、[加速要求の繰り返し判定]の処理の詳細については後述する。
ステップS055にて制御装置50は、[加速不充分の判定]の処理を実行してステップS060へ処理を進める。なお、[加速不充分の判定]の処理の詳細については後述する。
ステップS060にて制御装置50は、[アシストトルクガード値を算出]する処理を実行してステップS065へ処理を進める。なお、[アシストトルクガード値を算出]する処理の詳細については後述する。
ステップS065にて制御装置50は、[要求アシストトルクを算出]する処理を実行してステップS070へ処理を進める。なお、[要求アシストトルクを算出]する処理の詳細については後述する。
ステップS070にて制御装置50は、要求アシストトルクTQ15(図2参照)に近づくようにモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御して、図3に示す処理を終了する。
ステップS050~S070の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、不足トルクと運転状態とに基づいて要求アシストトルクを算出し、算出した要求アシストトルクを出力するようにモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御して内燃機関11をアシストする加速アシスト制御部51F(図1参照)に相当している。
[不足トルクを算出する処理(図4)]
次に図4を用いて、図3に示すフローチャートのステップS045の[不足トルクを算出]する処理の詳細を説明する。図3に示すフローチャートのステップS045の処理を実行する場合、制御装置50は図4に示すステップSA020へ処理を進める。なお、以降の説明において、特に説明が無い場合、目標総合トルクTQ11、内燃機関出力トルクTQ13、不足トルクTQ14、要求アシストトルクTQ15は、図2、図9、図10にて示すものである。
ステップSA020にて制御装置50は、今回の不足トルクを算出する前に(前回の)不足トルクTQ14を読み出して「前回の不足トルク」に記憶し、ステップSA025へ処理を進める。
ステップSA025にて制御装置50は、内燃機関出力トルクTQ13が目標総合トルクTQ11未満であるか否かを判定する。制御装置50は、内燃機関出力トルクTQ13が目標総合トルクTQ11未満である場合(Yes)はステップSA030へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSA035へ処理を進める。
ステップSA030へ処理を進めた場合、制御装置50は、目標総合トルクTQ11から内燃機関出力トルクTQ13を減算した値を「今回の不足トルク」に記憶し、図4に示す処理を終了し、図3に示すステップS050へ処理を戻す。
ステップSA035へ処理を進めた場合、制御装置50は、ゼロ(不足トルク無し)を今回の不足トルクTQ14に記憶して図4に示す処理を終了し、図3に示すステップS050へ処理を戻す。
[加速要求の繰り返し判定の処理(図5)]
次に図5を用いて、図3に示すフローチャートのステップS050の[加速要求の繰り返し判定]の処理の詳細を説明する。図3に示すフローチャートのステップS050の処理を実行する場合、制御装置50は図5に示すステップSB020へ処理を進める。
ステップSB020にて制御装置50は、今回の不足トルクTQ14が0よりも大きいか否かを判定する。制御装置50は、今回の不足トルクTQ14が0よりも大きい場合(Yes)はステップSB025へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB030Cへ処理を進める。
ステップSB025へ処理を進めた場合、制御装置50は、前回の不足トルクが0であるか否かを判定する。制御装置50は、前回の不足トルクが0である場合(Yes)はステップSB030Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB030Bへ処理を進める。
ステップSB030Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始フラグをONに設定してステップSB040Aへ処理を進める。
ステップSB030Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始フラグをOFFに設定してステップSB040Aへ処理を進める。
ステップSB030Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始フラグをOFFに設定してステップSB035へ処理を進める。
ステップSB035へ処理を進めた場合、制御装置50は、前回の不足トルクが0よりも大きいか否かを判定する。制御装置50は、前回の不足トルクが0よりも大きい場合(Yes)はステップSB040Bへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB040Cへ処理を進める。
ステップSB040Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了フラグをOFFに設定してステップSB050へ処理を進める。
ステップSB040Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了フラグをONに設定してステップSB050へ処理を進める。
ステップSB040Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了フラグをOFFに設定してステップSB050へ処理を進める。
ステップSB020~SB040Cの処理にて、不足トルクが0の状態から0よりも大きい状態になった場合(不足トルクが発生した場合)に要求開始フラグがONに設定され、不足トルクが0よりも大きい状態から0の状態になった場合(不足トルクが消滅した場合)に要求終了フラグがONに設定される(図9、図10参照)。
ステップSB050にて制御装置50は、要求開始フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、要求開始フラグがONの場合(Yes)はステップSB055へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB065へ処理を進める。
ステップSB055へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始間隔タイマが維持用繰り返し判定時間以下であるか否かを判定する。制御装置50は、要求開始間隔タイマが維持用繰り返し判定時間以下である場合(Yes)はステップSB060Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB060Bへ処理を進める。なお、要求開始間隔タイマは、前回要求開始フラグがONに設定されてから今回要求開始フラグがONに設定されるまでの時間を計測するタイマであり、不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合、不足トルクTQ14が発生する間隔を計測するタイマである(図9、図10参照)。
ステップSB060Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、不足トルクTQ14が発生する間隔が、維持用繰り返し判定時間(例えば数[秒]程度に設定されている)以下であったため、不足トルクの発生と消滅が繰り返されていると判定し、要求開始繰り返しカウンタをカウントアップして(「1」を加算して)ステップSB065へ処理を進める。要求開始繰り返しカウンタは、不足トルクの発生と消滅が繰り返された場合において、不足トルクの発生が繰り返された回数を示している(図9、図10参照)。
ステップSB060Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、不足トルクの発生と消滅が繰り返されていないと判定し、要求開始繰り返しカウンタをゼロに初期化してステップSB065へ処理を進める。
ステップSB065へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、要求終了フラグがONの場合(Yes)はステップSB070へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB080へ処理を進める。
ステップSB070へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了間隔タイマがガード用繰り返し判定時間(例えば数[秒]程度に設定されている)以下であるか否かを判定する。制御装置50は、要求終了間隔タイマがガード用繰り返し判定時間以下である場合(Yes)はステップSB075Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB075Bへ処理を進める。なお、要求終了間隔タイマは、前回要求終了フラグがONに設定されてから今回要求終了フラグがONに設定されるまでの時間を計測するタイマであり、不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合、不足トルクTQ14が消滅する間隔を計測するタイマである(図9、図10参照)。
ステップSB075Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、不足トルクTQ14が消滅する間隔が、ガード用繰り返し判定時間(例えば数[秒]程度)以下であったため、不足トルクの発生と消滅が繰り返されていると判定し、要求終了繰り返しカウンタをカウントアップして(「1」を加算して)ステップSB080へ処理を進める。要求終了繰り返しカウンタは、不足トルクの発生と消滅が繰り返された場合において、不足トルクの消滅が繰り返された回数を示している(図9、図10参照)。
ステップSB075Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、不足トルクの発生と消滅が繰り返されていないと判定し、要求終了繰り返しカウンタをゼロに初期化してステップSB080へ処理を進める。
ステップSB080へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、要求開始フラグがONの場合(Yes)はステップSB085へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB090へ処理を進める。
ステップSB085へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求開始間隔タイマをゼロに初期化して起動(または再起動)し、ステップSB090へ処理を進める。
ステップSB090へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、要求終了フラグがONの場合(Yes)はステップSB095へ処理を進め、そうでない場合(No)は、図5に示す処理を終了して図3に示すステップS055へ処理を戻す。
ステップSB095へ処理を進めた場合、制御装置50は、要求終了間隔タイマをゼロに初期化して起動(または再起動)し、図5に示す処理を終了して図3に示すステップS055へ処理を戻す。
[加速不充分の判定の処理(図6)]
次に図6を用いて、図3に示すフローチャートのステップS055の[加速不充分の判定]の処理の詳細を説明する。図3に示すフローチャートのステップS055の処理を実行する場合、制御装置50は図6に示すステップSC020へ処理を進める。
ステップSC020にて制御装置50は、前回、加速要求フラグがOFFであったか否かを判定する。制御装置50は、前回、加速要求フラグがOFFであった場合(Yes)はステップSC025へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSC035へ処理を進める。
ステップSC025へ処理を進めた場合、制御装置50は、今回、加速要求フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、今回、加速要求フラグがONである場合(Yes)はステップSC030へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSC035へ処理を進める。
ステップSC030へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在の過給圧(過給圧検出装置43を用いて取得した過給圧)を、加速要求開始時過給圧に記憶してステップSC035へ処理を進める。加速要求開始時過給圧には、加速要求フラグがOFFからONに設定された場合の過給圧が記憶される。
ステップSC035へ処理を進めた場合、制御装置50は、前回の不足トルクが0であったか否かを判定する。制御装置50は、前回の不足トルクが0であった場合(Yes)はステップSC040へ処理を進め、そうでない場合(No)は図6に示す処理を終了して図3に示すステップS060へ処理を戻す。
ステップSC040へ処理を進めた場合、制御装置50は、今回の不足トルクが0より大きいか否かを判定する。制御装置50は、今回の不足トルクが0より大きい場合(Yes)はステップSC045へ処理を進め、そうでない場合は図6に示す処理を終了して図3に示すステップS060へ処理を戻す。
ステップSC045へ処理を進めた場合、制御装置50は、現在の過給圧から加速要求開始時過給圧を減算した値が所定圧力以上であるか否かを判定する。制御装置50は、前記の減算をした値が所定圧力以上である場合(Yes)はステップSC050Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSC050Bへ処理を進める。
ステップSC050Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、加速不充分フラグをOFFに設定して、図6に示す処理を終了し、図3に示すステップS060へ処理を戻す。
ステップSC050Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、加速不充分フラグをONに設定して、図6に示す処理を終了し、図3に示すステップS060へ処理を戻す。
加速不充分フラグは、加速要求フラグがOFFからONへと遷移したタイミング(加速要求の開始時)での過給圧から、しばらく加速要求が継続したタイミング(不足トルクが発生したタイミング)での過給圧の、上昇量が所定圧力以上でOFF、所定圧力未満でON、に設定されるフラグである。
[アシストトルクガード値を算出する処理(図7)]
次に図7を用いて、図3に示すフローチャートのステップS060の[アシストトルクガード値を算出]する処理の詳細を説明する。図3に示すフローチャートのステップS060の処理を実行する場合、制御装置50は図7に示すステップSD020へ処理を進める。なおアシストトルクガード値は、内燃機関の運転状態に応じて要求アシストトルクの上限を規制する値である。
ステップSD020にて制御装置50は、運転状態に基づいてガードベース値を算出し、ステップSD025へ処理を進める。例えば制御装置50の記憶装置53には、運転状態として内燃機関の回転数と噴射量に応じたガードベース値が設定されたガードベース値マップが記憶されており、制御装置50は、ガードベース値マップと、回転数と、噴射量とに基づいてガードベース値を算出して記憶する。「ガードベース値」は、図10中の符号Vg1、Vg2、Vg3のベースとなる値として設定されている。
ステップSD025にて制御装置50は、「維持ベース時間-(短縮時間*要求開始繰り返しカウンタ)」を算出し、算出した値を仮アシスト維持時間に記憶し、ステップSD030へ処理を進める。「維持ベース時間」、「短縮時間」は、記憶装置53に記憶されており、例えば「維持ベース時間」は2[sec]程度、「短縮時間」は0.5[sec]程度に設定されている。例えば要求開始繰り返しカウンタの値が「2」である場合、仮アシスト維持時間には、2[sec]-0.5[sec]*2=1[sec]が記憶される。
ステップSD030にて制御装置50は、仮アシスト維持時間が維持下限時間以上であるか否かを判定する。制御装置50は、仮アシスト維持時間が維持下限時間以上である場合(Yes)はステップSD035Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD035Bへ処理を進める。なお、「維持下限時間」は、記憶装置53に記憶されており、「維持下限時間」は、アシスト維持時間(図10中の符号Tg1、Tg2、Tg3)の下限値として設定されており、例えば0.5[sec]程度に設定されている。
ステップSD035Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、仮アシスト維持時間の値をアシスト維持時間に記憶してステップSD040へ処理を進める。
ステップSD035Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、維持下限時間の値をアシスト維持時間に記憶してステップSD040へ処理を進める。
ステップSD040に処理を進めた場合、制御装置50は、復帰減衰量ベース*要求終了繰り返しカウンタを算出し、算出した値を仮ガード復帰時減衰量に記憶し、ステップSD045へ処理を進める。「復帰減衰量ベース」は、記憶装置53に記憶されており、例えば「復帰減衰量ベース」は5[Nm]程度に設定されている。例えば要求終了繰り返しカウンタの値が「2」である場合、仮ガード復帰時減衰量には、5[Nm]*2=10[Nm]が記憶される。
ステップSD045にて制御装置50は、仮ガード復帰時減衰量が減衰量上限値以下であるか否かを判定する。制御装置50は、仮ガード復帰時減衰量が減衰量上限値以下である場合(Yes)はステップSD050Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD050Bへ処理を進める。なお、「減衰量上限値」は、記憶装置53に記憶され、図10中のアシストトルクガード値Gを復帰させた場合の値である符号Vg1、Vg2、Vg3を徐々に減衰させる量の上限値を示しており、例えば20[Nm]等に設定されている。
ステップSD050Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、仮ガード復帰時減衰量をガード復帰時減衰量に記憶してステップSD055へ処理を進める。
ステップSD050Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、減衰量上限値をガード復帰時減衰量に記憶してステップSD055へ処理を進める。
ステップSD055へ処理を進めた場合、制御装置50は、今回の不足トルクが0であるか否かを判定する。制御装置50は、今回の不足トルクが0である場合(Yes)はステップSD060Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD060Bへ処理を進める。
ステップSD060Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、アシスト要求継続タイマをゼロに初期化してステップSD065へ処理を進める。
ステップSD060Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、アシスト要求継続タイマをカウントして(値を+1して)ステップSD065へ処理を進める。アシスト要求継続タイマは、不足トルクが0より大きい場合(不足トルクが発生している場合)の継続時間を計測するタイマである。
ステップSD065へ処理を進めた場合、制御装置50は、今回の不足トルクが0であるか否かを判定する。制御装置50は、今回の不足トルクが0である場合(Yes)はステップSD070へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD075へ処理を進める。
ステップSD070へ処理を進めた場合、制御装置50は、加速不充分フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、加速不充分フラグがONである場合(Yes)はステップSD090Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD090Bへ処理を進める。
ステップSD075へ処理を進めた場合、制御装置50は、アシスト要求継続タイマがアシスト維持時間以下であるか否かを判定する。制御装置50は、アシスト要求継続タイマがアシスト維持時間以下である場合(Yes)はステップSD080へ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD085へ処理を進める。
ステップSD080へ処理を進めた場合、制御装置50は、加速不充分フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、加速不充分フラグがONである場合(Yes)はステップSD090Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD090Bへ処理を進める。
ステップSD085へ処理を進めた場合、制御装置50は、加速不充分フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、加速不充分フラグがONである場合(Yes)はステップSD090Cへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSD090Bへ処理を進める。
ステップSD090Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、ガードベース値からガード復帰時減衰量を減算した値をアシストトルクガード値に記憶し、図7に示す処理を終了し、図3に示すステップS065へ処理を戻す。
ステップSD090Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、ガードベース値をアシストトルクガード値に記憶し、図7に示す処理を終了し、図3に示すステップS065へ処理を戻す。
ステップSD090Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、前回のアシストトルクガード値から徐減減衰量を減算した値をアシストトルクガード値に記憶し、図7に示す処理を終了し、図3に示すステップS065へ処理を戻す。なお、「徐減減衰量」は、記憶装置53に記憶されており、図10中の時間T3Aから時間T3B、時間T4Aから時間T4B、時間T5Aから時間T5Bの間で、アシストトルクガード値を徐々にゼロに向けて減衰させるための値である。「徐減減衰量」は、例えば数[Nm]程度に設定され、減衰を開始した場合に1[sec]程度でゼロまで減衰する程度の値に設定されている。以上の図7に示す処理により、図9及び図10に示す「アシストトルクガード値」が設定される。
[要求アシストトルクを算出する処理(図8)]
次に図8を用いて、図3に示すフローチャートのステップS065の[要求アシストトルクを算出]する処理の詳細を説明する。図3に示すフローチャートのステップS065の処理を実行する場合、制御装置50は図8に示すステップSE020へ処理を進める。
ステップSE020にて制御装置50は、今回の不足トルクがアシストトルクガード値以下であるか否かを判定する。制御装置50は、今回の不足トルクがアシストトルクガード値以下である場合(Yes)はステップSE025Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSE025Bへ処理を進める。
ステップSE025Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、今回の不足トルクを仮要求アシストトルクに記憶してステップSE030へ処理を進める。
ステップSE025Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、アシストトルクガード値の値を仮要求シストトルクに記憶してステップSE030へ処理を進める。
ステップSE030へ処理を進めた場合、制御装置50は、仮要求アシストトルクの値がアシスト下限トルク以上であるか否かを判定する。制御装置50は、仮要求アシストトルクがアシスト下限トルク以上である場合(Yes)はステップSE035Aへ処理を進め、そうでない場合(No)はステップSE035Bへ処理を進める。
ステップSE035Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、仮要求アシストトルクの値を要求アシストトルクに記憶して、図8に示す処理を終了し、図3に示すステップS070へ処理を戻す。
ステップSE035Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、要求アシストトルクの値をゼロに初期化して、図8に示す処理を終了し、図3に示すステップS070へ処理を戻す。
[平坦路走行時においてユーザが加速要求の開始と終了を繰り返した場合の動作の例(図9)]
図9は、平坦路走行時においてユーザがアクセルペダルを急激に踏み込んで加速要求した後、アクセルペダルを戻す操作を3回実行した場合の例を示している。図9の例では、アクセルペダルを踏み込んだ加速要求の開始(加速要求フラグがOFFからONに遷移)の後、目標内燃機関出力トルクTQ12に沿って内燃機関出力トルクTQ13が上昇し、要求アシストトルクに沿ってモータジェネレータが制御された例を示している。
また「要求開始フラグ」は、不足トルクTQ14の発生時にONに設定され、「要求終了フラグ」は、不足トルクTQ14の消滅時にONに設定される。「要求開始間隔タイマ」は、要求開始フラグがONに設定される間隔の時間を計測し、「要求終了間隔タイマ」は、要求終了フラグがONに設定される間隔の時間を計測している。また「要求開始繰り返しカウンタ」は、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合において、不足トルクTQ14の発生の間隔(要求開始間隔タイマの計測時間)が維持用繰り返し判定時間以下である状態が繰り返された回数を示すカウンタである。また「要求終了繰り返しカウンタ」は、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合において、不足トルクTQ14の消滅の間隔(要求終了間隔タイマの計測時間)がガード用繰り返し判定時間以下である状態が繰り返された回数を示すカウンタである。
図9に示す例では、ユーザからの加速要求に応じて内燃機関出力トルクTQ13が適切に上昇して過給圧も適切に上昇しており、「加速不充分フラグがOFFに設定」されたままである。このため制御装置50は、ユーザからの加速要求の開始と終了(加速要求フラグのONとOFF)が繰り返されて不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合、不足トルクTQ14に応じた要求アシストトルクTQ15を算出している。そして制御装置50は、要求アシストトルクTQ15に近づくようにモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御して内燃機関11をアシストしている。
[登坂路走行時においてユーザが加速要求の開始と終了を繰り返した場合の動作の例(図10)]
平坦路走行時の例である図9に対して、図10は登坂路走行時の例を示している。図10は、登坂路走行時においてユーザがアクセルペダルを急激に踏み込んで加速要求した後、アクセルペダルを戻す操作を3回実行した場合の例を示している。図10の例では、登坂路であるため、アクセルペダルを踏み込んだ加速要求の開始(加速要求フラグがOFFからONに遷移)の後、目標内燃機関出力トルクTQ12に対して内燃機関出力トルクTQ13がほとんど上昇しなかった場合の例を示している。
図10の例では、目標内燃機関出力トルクTQ12に対して内燃機関出力トルクTQ13が追い付いていないので、目標総合トルクTQ11-内燃機関出力トルクTQ13に基づいた不足トルクTQ14が、図9と比較して大きく、かつ時間も長くなっている。この不足トルクTQ14に応じてモータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御すると、高電圧バッテリ24が過放電等して高電圧バッテリ24の寿命に影響するおそれがある。
本実施の形態では、図10の例のように加速要求に対して内燃機関出力トルクTQ13がほとんど上昇しない状態を、内燃機関出力トルク関連量が所定量以上上昇していないことで検出する。上述した実施の形態の例では、過給圧が所定量以上上昇していないことを検出した場合に、「加速不充分フラグ」がONに設定される。
そして「加速不充分フラグ」がONに設定されている場合では、不足トルクTQ14が発生してからアシスト維持時間Tg1、Tg2、Tg3の間、モータジェネレータ21(及びインバータ23)を制御して内燃機関11をアシストした後、当該アシストを徐々にゼロに向けて減少させるようにアシストトルクガード値Gを求め、当該アシストトルクガード値Gをゼロにすることで要求アシストトルクTQ15によるアシストを中止する。これにより、加速要求が継続しているにもかかわらず内燃機関出力トルク関連量が所定量以上上昇しない場合に、モータジェネレータ21(及びインバータ23)によるアシストが長時間にわたって継続されることを防止し、高電圧バッテリ24の過放電等を防止する。
また内燃機関11の運転状態に応じた値に設定されるアシストトルクガード値Gは、アシスト維持時間Tg1、Tg2、Tg3が経過した後、徐々に減衰(減少)されてゼロになるが、不足トルクTQ14が消滅した時点で、運転状態に応じた値に戻され、次の加速要求に備えられている。
また、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合、不足トルクTQ14の消滅時に戻すアシストトルクガード値Gの値を、図10の符号Vg1、Vg2、Vg3で示すように、繰り返しの回数(要求終了繰り返しカウンタの値)に応じて、徐々に小さくしていく。つまり、不足トルクの発生と消滅が繰り返されて不足トルクが消滅する毎(または加速要求の開始と終了が繰り返されて加速要求の終了が繰り返される毎)に、値を戻す際のアシストトルクガード値を小さくしていく。これにより、ユーザに違和感を与えることなく、高電圧バッテリ24の過放電等をより適切に防止できる。
また、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクTQ14の発生と消滅が繰り返された場合、要求アシストトルクを維持するアシスト維持時間を、図10の符号Tg1、Tg2、Tg3で示すように、繰り返しの回数(要求開始繰り返しカウンタの値)に応じて、徐々に短くしていく。つまり、不足トルクの発生と消滅が繰り返されて不足トルクが発生する毎(または加速要求の開始と終了が繰り返されて加速要求の開始が繰り返される毎)に、アシスト維持時間を短くしていく。これにより、ユーザに違和感を与えることなく、高電圧バッテリ24の過放電等をさらに適切に防止できる。
また、モータジェネレータ21によるアシストが、ユーザが体感できない程度に小さい場合(アシスト下限トルクGMN未満の場合)では、要求アシストトルクをゼロにすることでアシストを中止するので、ユーザに違和感を与えることなく、高電圧バッテリ24の過放電等をさらに適切に防止できる。
本発明のハイブリッド車両の制御システムは、本実施の形態で説明した構成、構造、処理手順(フローチャート)等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、制御装置50を、内燃機関とモータジェネレータを制御する制御システムとする例を説明したが、内燃機関用の制御装置とモータジェネレータ(及びインバータ)用の制御装置とを別々の制御装置とした制御システムとしてもよい。また内燃機関はディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジンであってもよい。
本実施の形態の説明では、不足トルクの発生にて要求開始フラグをONに設定し、不足トルクの消滅にて要求終了フラグをONに設定したが、加速要求の開始時(加速要求フラグがOFFからONに遷移時)に要求開始フラグをONに設定し、加速要求の終了時(加速要求フラグがONからOFFに遷移時)に要求終了フラグをONに設定するようにしてもよい。この場合、要求開始間隔タイマは、加速要求の開始の間隔の時間を計測し、要求終了間隔タイマは、加速要求の終了の間隔の時間を計測する。
本実施の形態の説明では、加速不充分フラグがONの場合にアシスト維持時間が経過した以降では、アシストトルクガード値を徐々に減衰させる例を説明したが、徐々に減衰させることなく、アシストトルクガード値をゼロにするようにしてもよい。
本実施の形態の説明では、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクの発生と消滅が繰り返された場合、かつ、加速不充分フラグがONの場合では、不足トルクの消滅時にアシストトルクガード値の値を戻す際、繰り返し回数に応じて徐々に小さな値にする例を説明したが、繰り返し回数に応じた値としなくてもよい。また、ユーザが加速要求の開始と終了を繰り返して不足トルクの発生と消滅が繰り返された場合、かつ、加速不充分フラグがONの場合では、要求アシストトルクを維持するアシスト維持時間を、繰り返し回数に応じて徐々に短くしていく例を説明したが、繰り返し回数に応じて短くしなくてもよい。
本実施の形態の説明では、ユーザからの加速要求が継続しているにもかかわらず内燃機関出力トルク関連量が所定量以上上昇しない場合に、加速不充分フラグをONに設定する例を説明した。そして内燃機関出力トルク関連量として、過給圧を用いる例を説明したが、内燃機関出力トルク関連量として、過給圧、吸気流量、内燃機関の回転数、車両の走行速度(車速)、の少なくとも1つを用いてもよい。また加速不充分フラグをONまたはOFFに設定するタイミング(加速要求を継続しているにもかかわらず内燃機関出力トルクが所定量以上上昇しないことを判定するタイミング)、及び判定の方法は、本実施の形態にて説明したタイミング及び方法に限定されるものではない。
本実施の形態の説明では、アシスト下限トルク未満の場合は要求アシストトルクをゼロにしてモータジェネレータによるアシストを中止する例を説明したが、アシスト下限トルク未満の場合であってもモータジェネレータによるアシストを実行するようにしてもよい。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(より小さい)(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。