JP7366402B2 - 易接着性ポリオレフィン成型体及びその製造方法並びにその製造方法に用いられる含熱分解材料塗布液及び熱分解材料担持シート - Google Patents
易接着性ポリオレフィン成型体及びその製造方法並びにその製造方法に用いられる含熱分解材料塗布液及び熱分解材料担持シート Download PDFInfo
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Description
しかしながら、易接着面の形成に重金属塩や濃硫酸などの強酸性の酸化性溶液などを用いるため、処理工程が煩雑となることに加え、廃液処理の環境負荷が大きい問題がある。
しかしながら、前記火炎プラズマ処理は、種々のガスを原料とする火炎プラズマによりプラスチック表面に官能基を導入し接着性を誘起する手法であるが、前記火炎プラズマの制御が難しく、また、処理対象が可燃性であるため、前記火炎プラズマに対する厳重な安全管理が求められる問題がある。
また、前記プラズマ処理は、安全性が高いものの、プラズマを発生させるためのノズルの開口面積が狭く、延いては、一度の処理で形成できる前記易接着面の面積が狭いことから、効率性が低い問題がある。
(3)プライマー処理は、あらかじめ下地処理剤となるプライマーを前記ポリオレフィン成型体の表面に塗布することで、前記ポリオレフィン成型体の前記接着剤との接着性を向上させる表面処理方法である。
しかしながら、前記ポリオレフィン成型体の前記プライマ-処理に用いられる前記プライマーとして、含アクリル樹脂接着剤に対して高い接着性が得られるプライマーが開発されているものの(非特許文献1参照)、前記含エポキシ樹脂接着剤に対しては、高い接着性が得られるプライマーが存在しない。また、前記含アクリル樹脂接着剤は、耐水性等が低く、前記プライマー処理が適切でも、劣化により剥がれ易い問題がある。また、前記プライマ-処理では、有機溶剤等の薬剤を使用するため、取扱いが煩雑となる問題がある。
したがって、前記ポリオレフィン成型体と前記含エポキシ樹脂接着剤との接着性を向上させる表面処理方法として、より実用的な方法の新開発が求められている。
<1> 芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料を含むターゲット材に対し、前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを発生させるとともに、前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面と接触させ、前記ポリオレフィン成型体の表面に前記易接着面を形成する易接着面形成工程を含むことを特徴とする易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<2> 熱分解材料として、Fluorescein、Quinoline Yellow SS、Hansa Yellow、Yellow AB、Yellow OB、Alizurine Purple SS、Indigo、Sudan Blue B、Rhodamine B Stearate、Toluidine Red、Sudan III、Brilliant Fast Scarlet、Sudan IV、Oil Red XO、Quinizarin Green SS、Permanent Orange、Pigment Orange 1及びOrange SSから選択される少なくとも1種以上の色素を用いる前記<1>に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<3> ターゲット材として、熱分解材料を含む含熱分解材料塗布液を用いる前記<1>から<2>のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<4> ターゲット材として、熱分解材料がシート材に担持された熱分解材料担持シートを用いる前記<1>から<2>のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<5> 熱分解材料担持シートのパルス光の照射面と反対側の面全体が、前記熱分解材料担持シートより大面積のベースシートで支持される前記<4>に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<6> 易接着面形成工程が、ポリオレフィン成型体の表面上にターゲット材を配した状態で前記ターゲット材にパルス光を照射して熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第1の易接着面形成工程、及び、一の面を有するターゲット配置部材の前記一の面上に前記ターゲット材を配するとともに、前記一の面と前記ポリオレフィン成型体の表面とが当接された連続面を成すように前記ターゲット配置部材と前記ポリオレフィン成型体とを密着させた状態で前記ターゲット材に前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第2の易接着面形成工程のいずれかとして実施される前記<1>から<5>のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<7> 第1の易接着面形成工程が、熱分解材料がシート材に担持されるとともに線状に切り出された熱分解材料担持シートを熱分解ガスの拡散範囲よりも狭い間隔でポリオレフィン成型体の表面上に複数並置した状態で実施され、第2の易接着面形成工程が、前記熱分解材料担持シートを前記熱分解ガスの拡散範囲よりも狭い間隔でターゲット配置部材の表面上に複数並置した状態で実施される前記<6>に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
<8> 表面の全体又は一部に、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分と結合して形成される前記易接着面を有することを特徴とする易接着性ポリオレフィン成型体。
<9> 前記<1>に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法におけるターゲット材として用いられ、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料を含むことを特徴とする含熱分解材料塗布液。
<10> 前記<1>に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法におけるターゲット材として用いられ、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料がシート材に担持されることを特徴とする熱分解材料担持シート。
本発明の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法は、少なくとも、易接着面形成工程を含む。
前記易接着面形成工程は、ターゲット材に対し、パルス光を照射して熱分解ガスを発生させるとともに、前記熱分解ガスをポリオレフィン成型体の表面と接触させ、前記ポリオレフィン成型体の表面に易接着面を形成する工程である。
前記ポリオレフィン成型体は、エンジニアリングプラスチックとして広汎に用いられる公知のポリオレフィン成型体が該当し、代表的なものとしては、ポリエチレン成型体、ポリプロピレン成型体が挙げられる。また、前記ポリオレフィン成型体は、前記含エポキシ樹脂接着剤との間で難接着性を示す。
前記易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、前記易接着面形成工程により、前記ポリオレフィン成型体の表面に前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面を形成することを目的とする。
なお、前記含エポキシ樹脂接着剤としては、接着剤として広汎に用いられる公知の前記含エポキシ樹脂接着剤が該当する。
また、「前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ」とは、JISK6850に規定される引張せん断試験に準拠した引張せん断試験により測定され、前記易接着面を形成しない2つの前記ポリオレフィン成型体を前記含エポキシ樹脂接着剤を用いて接着したときの引張せん断強度よりも前記引張せん断強度が強いことを意味する。
前記ターゲット材は、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともに前記ポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料を含む。
前記熱分解材料は、前記π共役系環構造に基づくπ電子を持つ。このようなπ電子を持つ前記熱分解材料がパルス光を吸収すると、温度上昇によるガス化と前記環構造周辺に位置する化学結合の切断が瞬間的に生じ、前記ポリオレフィン反応性成分を含む前記熱分解ガスが発生する。
前記ポリオレフィン反応性成分としては、前記熱分解ガス中の分子としてみたときに、芳香族化合物、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香族化合物のいずれかであるπ共役系有機化合物を構成する成分が該当する。後述の実施例の欄においても説明するが、本発明者の検討では、前記熱分解ガスが前記ポリオレフィン成型体の表面に接触した際に、前記ポリオレフィン成型体の表面に前記π共役系有機化合物が残留することが、ラマン分光測定の結果から確認されている。即ち、ラマン散乱を測定すると、前記易接着面を形成した前記ポリオレフィン成型体から前記π共役系有機化合物由来の強いピークが観測される一方で、このピークは、前記易接着面を形成しない状態である未処理の前記ポリオレフィン成型体から観測されない。このピークは、前記π共役系有機化合物の共鳴ラマン効果に基づくピークである。
つまり、前記熱分解ガス中の前記π共役系有機化合物が前記ポリオレフィン成型体の表面に残留することで、この残留表面と前記含エポキシ樹脂接着剤を構成する芳香環を有する高分子との間の分子間相互作用が増加される。その結果、前記ポリオレフィン成型体の表面が前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面に改質され、前記ポリオレフィン成型体の表面と前記含エポキシ樹脂接着剤との間で優れた接着性が発現する。
また、前記熱分解材料としては、特に制限はないが、可視光領域のパルス光光源を選択できること及び前記パルス光を照射する際の目印となることから、前記可視光領域に光吸収波長を有する色素であることが好ましい。なお、本明細書において「可視光領域」とは、360nm~830nmの波長域を指す。
また、前記色素としては、特に制限はないが、取扱時の安全性を向上させる観点及び環境負荷を低減する観点から、法定色素(食品添加物として使用することが認められているタール色素)であることが好ましい。中でも、有毒成分としてのハロゲン元素を含まず、また、前記熱分解後の残渣となる金属塩を含まず、水に難溶性の前記法定色素が特に好ましい。
このような特性を有する前記法定色素としては、Fluorescein(黄色201号)、Quinoline Yellow SS(黄色204号)、Hansa Yellow(黄色401号)、Yellow AB(黄色404号)、Yellow OB(黄色405号)、Alizurine Purple SS(紫色201号)、Indigo(青色201号)、Sudan Blue B(青色403号)、Rhodamine B Stearate(赤色215号)、Toluidine Red(赤色221号)、SudanIII(赤色225号)、Brilliant Fast Scarlet(赤色404号)、Sudan IV(赤色501号)、Oil Red XO(赤色505号)、Quinizarin Green SS(緑色202号)、Permanent Orange(橙色203号)、Pigment Orange 1(橙色401号)及びOrange SS(橙色403号)が挙げられる。
したがって、前記熱分解材料としては、これら色素から選択される少なくとも1種以上の色素を含むことが好ましい。
また、前記熱分解材料として粒子状の熱分解粒子を用いる場合、その粒子径としては、特に制限はないが、効果的に熱分解させる観点から、1μm~10μmであることが好ましい。
市販の前記熱分解粒子の粒子径としては、一般に、10μm~100μm前後であることが多く、微粒子化させる場合には、乳鉢、ミルで粉砕する。こうした方法で粉砕を行うと、粒子径が1μm~10μmの前記熱分解粒子を得ることができる。
前記ターゲット材としては、前記熱分解材料を含む含熱分解材料塗布液を用いることができる。
前記含熱分解材料塗布液としては、特に制限はないが、前記熱分解材料の水分散液にバインダーを加えたものが挙げられる。
前記バインダーとしては、特に制限はないが、粘性の高いものが好ましく、粘性を有することで、前記熱分解材料が水分散液中で沈殿することが抑制されるとともに、前記熱分解材料の水分散液を目的の場所に塗工し易く、かつ、乾燥後、その場所に留めやすい。
また、前記バインダーとしては、前記熱分解材料と同様に前記ハロゲン元素及び前記金属塩を含まないものが好ましい。
こうした観点から、前記バインダーを構成するポリマーとしては、アラビア糊と呼ばれるポリビニルアルコール、澱粉糊、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体などが好ましい。
前記含熱分解材料塗布液の調製方法としては、例えば、前記熱分解材料の水分散液に前記バインダーを加え、マグネチックスターラー、メカニカルスターラー、自転・公転ミキサー、超音波ホモジナイザー等で撹拌する方法が挙げられる。
前記含熱分解材料塗布液における前記熱分解材料の濃度としては、特に制限はなく、種類によっても差異が生じるが、前記濃度が低くすぎると塗工時に目的の場所を完全に被覆できないことがあることから、5質量%を超え90質量%以下とすることが好ましい。
また、前記含熱分解材料塗布液における前記バインダーの濃度については、特に制限はないが、前記濃度が低くすぎると前記水分散液の粘度が下がり塗布が困難なこと、前記熱分解材料の沈殿が生じること、塗布後に対象から剥離し易いこと、また、前記濃度が高すぎると前記パルス光照射時に前記熱分解材料の熱分解量が減少してしまうことから、5質量%を超え30質量%以下とすることが好ましい。
前記ターゲット材としては、前記熱分解材料がシート材に担持された熱分解材料担持シートとして用いることができる。
前記熱分解材料担持シートの調製方法としては、特に制限はないが、前記シート材上に前記含熱分解材料塗布液を塗工し、乾燥させる方法が挙げられる。
塗工方法としては、例えば、ドクターブレード、刷毛、ローラー、スプレー等での塗工が挙げられる。塗工後の乾燥方法としては、室温環境下において風乾により行うが、乾燥用オーブン等を使用してもよい。また、必要に応じて、塗工及び乾燥の各工程を繰り返し、前記熱分解材料の塗布層が十分な厚みに達するまで重ね塗りを行う。前記水分散液の粘度が低い場合は、前記水分散液を前記シート材上で静置して乾燥させてもよい。なお、前記塗布層の十分な厚みとは、前記パルス光照射に伴なって前記塗布層が熱分解された際に、下地の前記粘着層が露出しない厚みが該当する。
前記シート材としては、シート基材の両面又は片面に粘着層が形成されたものが挙げられ、市販の両面テープ、片面テープそのものや、これらを適当な大きさ、形状に裁断したものを用いることができる。
裁断する場合、一般的なハサミ、ナイフ、カッター、レーザーカッター等が使用できる。前記熱分解材料担持シートとしては、直径0.5mm~5mmの円状や幅0.5mm~5mmの線状の形状として使用する。
また、前記粘着層の形成材料としても、熱に強いものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤などが挙げられる。
前記シート材の厚みとしては、特に制限はないが、厚くとも1mmを超えないことが好ましい。前記厚みが1mmを超えると、前記易接着面の形成処理が困難となることがある。
このようなベースシートを用いると、前記熱分解ガスにより前記ポリオレフィン成型体が熱損傷を受けることを抑制することができる。
前記ベースシートとしては、ベースシート基材の片面に粘着層が形成されたものが挙げられ、市販の片面テープそのものや、これを適当な大きさ、形状に裁断したものを用いることができる。
また、前記ベースシートにおける前記粘着層の形成材料としては、前記ポリオレフィン成型体から剥離し易く、かつ、熱に強い材料であれば、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤などが挙げられる。
前記ベースシート基材の厚みとしては、特に制限はないが、厚くとも5mmを超えないことが好ましい。前記厚みが5mmを超えると、前記易接着面の形成処理が困難となることがある。
前記ベースシートの大きさとしては、前記熱分解材料担持シートよりも大面積であることが好ましく、直径0.5mm~5mmの円状の前記熱分解材料担持シートに適用する場合、直径10mm~100mmの円状の前記ベースシートとして、その中心に前記熱分解材料担持シートを貼付する。
また、0.5mm~5mm幅の線状の前記熱分解材料担持シートに適用する場合、10mmから100mm幅の線状の前記ベースシートの中心部分に1本から複数本の線状の前記熱分解材料担持シートを貼付する。線状の前記熱分解材料担持シートを複数本、前記ベースシートに貼付する場合の前記各熱分解材料担持シート間の間隔としては、0.5mm幅の前記熱分解材料担持シートの場合で5mm、1mm幅の前記熱分解材料担持シートの場合で10mm、5mm幅の前記熱分解材料担持シートの場合で25mm程度である。
前記パルス光は、前記熱分解材料を熱分解させて前記熱分解ガスを発生させる。前記熱分解ガスは、瞬時に膨張して、前記ポリオレフィン成型体の表面上に拡散される。
前記パルス光の照射装置としては、前記熱分解材料の前記光吸収波長(200nm~10.6μm)を含む光を照射可能な光源を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、公知のYAGレーザー、炭酸ガスレーザーなどの各種レーザー、ランプ等のパルス光照射装置が挙げられる。
また、前記パルス光照射装置としては、特に制限はないが、効果的に前記熱分解ガスを発生させる観点から、パルス幅が100μsec~100msec、パルス強度が0.1J/cm2~100J/cm2のパルス光を照射可能であることが好ましい。
中でも、前記熱分解材料が前記色素である場合には、キセノンランプを光源とする白色パルス光照射装置が好ましい。前記白色パルス光の照射装置としては、例えば、Novacentrix社製Pulseforge3300及びPulseforge1300などが挙げられる。これらの白色パルス光照射装置の光源波長は、200nm~1,500nmであり、様々な吸収スペクトルを有する前記熱分解材料に適応できる。また、これら白色パルス光照射装置を用いる場合、前記ターゲット材と前記光源との距離は、1mm~50mmとすればよく、前記白色パルス光の照射は、通常、1回だけ行えばよい。照射面積が広いときは、複数回の照射を行ってもよいが、その場合は、各照射毎に前記ターゲット材を設置するか、あらかじめ複数個所に前記ターゲット材を設置しておく場合は、照射したくない前記ターゲット材をアルミ箔等で遮蔽する。
前記易接着面形成工程としては、前記ポリオレフィン成型体の表面上に前記ターゲット材を配した状態で前記ターゲット材に前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第1の易接着面形成工程、及び、一の面を有するターゲット配置部材の前記一の面上に前記ターゲット材を配するとともに、前記一の面と前記ポリオレフィン成型体の表面とが当接された連続面を成すように前記ターゲット配置部材と前記ポリオレフィン成型体とを密着させた状態で前記ターゲット材に前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第2の易接着面形成工程のいずれかとして実施することができる。
即ち、前記易接着面形成工程としては、前記ターゲット材を前記ポリオレフィン成型体の表面に配した状態で前記易接着面の形成を行う(第1の易接着面形成工程)ことに加え、前記ターゲット材を前記ターゲット配置部材の表面に配した状態で前記ポリオレフィン成型体に対する前記易接着面の形成を行う(第2の易接着面形成工程)こととしてもよい。
前記ターゲット配置部材としては、前記一の面を有し、前記ポリオレフィン成型体と密着させたときに前記連続面を形成可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、前記易接着面の形成対象となる前記ポリオレフィン成型体とは別の前記ポリオレフィン成型体、公知のプラスチック成型体、公知の金属成型体等を適用することができる。
本発明の易接着性ポリオレフィン成型体は、表面の全体又は一部に、前記芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む前記複素芳香環のいずれかである前記π共役系環構造を有するとともに前記ポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面に改質させる前記ポリオレフィン反応性成分と結合して形成される前記易接着面を有する。
前記易接着性ポリオレフィン成型体は、本発明の前記易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法により製造することができ、前記易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法において説明した事項を適用して構成可能とされる。
本発明の含熱分解材料塗布液は、本発明の前記ポリオレフィン成型体の製造方法おける前記ターゲット材として用いられ、前記芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む前記複素芳香環のいずれかである前記π共役系環構造を有するとともに前記ポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面に改質させる前記ポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む前記熱分解ガスが発生可能とされる前記熱分解材料を含む。
前記含熱分解材料塗布液としては、前記易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法において説明した事項を適用して構成可能とされる。
本発明の熱分解材料担持シートは、本発明の前記ポリオレフィン成型体の製造方法における前記ターゲット材として用いられ、前記芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む前記複素芳香環のいずれかである前記π共役系環構造を有するとともに前記ポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を前記含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ前記易接着面に改質させる前記ポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む前記熱分解ガスが発生可能とされる前記熱分解材料が前記シート材に担持されて構成される。
前記熱分解材料担持シートとしては、前記易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法において説明した事項を適用して構成可能とされる。
第1実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、前記ターゲット材として前記熱分解材料を含む前記含熱分解材料塗布液を用いる。
先ず、図1(a),(b)に示すように前記含熱分解材料塗布液をピペット等を用いてポリオレフィン成型体1の表面に滴下し、乾燥させ、塗布層10を形成する。なお、図1(a)は、第1実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造過程を示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。
前記熱分解ガスは、図2に示すように塗布層10を中心として同心円状に拡散してポリオレフィン成型体1の表面と接触する。
すると、前記熱分解ガスに含まれる前記ポリオレフィン反応性成分がポリオレフィン成型体1の表面に存するポリオレフィン分子と高温雰囲気下で反応して結合し、前記熱分解ガスの拡散範囲に易接着面2Aが形成される(易接着面形成工程)。
これにより、ポリオレフィン成型体1に易接着面2Aが形成された第1実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体3Aが得られる。なお、図2は、第1実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体を説明するための上面図である。
加えて、前記含熱分解材料塗布液に含まれる前記熱分解材料として、ハロゲン元素及び金属塩を含まない前記法定色素を選択すれば、安全管理のための工程が簡素化されるとともに環境負荷が低減されることとなり、より一層、実用的である。
第2実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、前記ターゲット材として前記熱分解材料が前記シート材に担持された前記熱分解材料担持シートを用いる。
前記熱分解材料担持シートの構成例を図3(a)~(c)に示す。なお、図3(a)は、熱分解材料担持シートの構成例を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A線断面図であり、図3(c)は、図3(a)のB-B線断面図である。
シート材21は、シート基材21Aと2つの粘着層21B,21Cで構成され、シート基材21Aには、塗布層20と接する面側に粘着層21Bが貼り付けられ、塗布層20と接する面と反対側の面に粘着層21Cが貼り付けられる。シート材21としては、市販の両面テープを用いることができる。なお、熱分解材料担持シート20Aとしては、粘着層21Bがない態様の公知の片面テープのシート基材(シート基材21Aに相当)上に直接、塗布層20を担持させて構成してもよい。
この状態のポリオレフィン成型体1の表面上から前記パルス光を照射することで、第1実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法と同様、ポリオレフィン成型体1に易接着面2Bが形成された第2実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体3Bが得られる(図5参照)。なお、図5は、第2実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体を示す上面図である。
第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、前記ターゲット材として前記熱分解材料担持シートが前記ベースシートで支持される前記積層シートを用いる。
前記積層シートの構成例を図6(a),(b)に示す。なお、図6(a)は、積層シートの構成例を示す上面図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A線断面図である。
熱分解材料担持シート30A並びに熱分解材料担持シート30Aを構成するシート基材31A及び2つの粘着層31B,31C(シート材31)としては、円状に切り出された第2実施形態における熱分解材料担持シート20A並びにシート基材21A及び粘着層21B,21C(シート材21)と同様に構成することができる。
また、ベースシート32は、熱分解材料担持シート30Aと接する面側から順にベースシート基材32Aと粘着層32Bとが積層されて構成され(図6(b)参照)、例えば、市販の片面テープを用いて構成することができる。
ここで、易接着面2Cの中心には、ベースシート32が残り、これを剥がすと、図9に示すように、前記熱分解ガスによる損傷が抑制された被保護面1Cを有する易接着性ポリオレフィン成型体3Cが得られる。
つまり、ベースシート32は、前記パルス光の照射により発生する高温状態の前記熱分解ガスにより熱分解材料担持シート30A自身が分解、気化する状況であっても、ベースシート32が前記熱分解ガスとポリオレフィン成型体1との間の緩衝剤となり、ポリオレフィン成型体1が熱損傷を受けることを抑制する目的で配される。
また、ベースシート32を熱分解材料担持シート30Aよりも大面積とする目的は、熱分解材料担持シート30Aを中心として同心円状に拡散する高温状態の前記熱分解ガスにより、ポリオレフィン成型体1が熱損傷を受けることを抑制することにある。
こうした観点から、ベースシート32としては、熱分解材料担持シート30Aの面積に対して1.5倍~5倍の大きさの面積を持つことが好ましく、2倍~3倍の大きさの面積を持つことが特に好ましい。つまり、小面積すぎると、ベースシート32の外周縁の位置でポリオレフィン成型体1が前記熱分解ガスによる熱損傷を受けることがあり、大面積すぎると、前記熱分解ガス中の前記ポリオレフィン反応性成分が拡散距離に応じた温度低下や濃度低下を原因に前記ポリオレフィン成型体1との反応が十分に進まないことがある。
なお、図7(a)は、第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造過程を示す上面図であり、図7(b)は、図7(a)のA-A線断面図である。また、図8は、第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体のパルス光照射後の様子を示す上面図である。また、図9は、第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体のベースシート剥離後の様子を示す上面図である。
例えば、第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法の変形例として、図10~図12に示すように、1つのポリオレフィン成型体1に対し、前記ターゲット材としての前記積層シートを4つ用いて実施してもよい。
なお、図10は、1つのポリオレフィン成型体に対し、ターゲット材としての前記積層シートを4つ配した状態を示す説明図であり、図11は、第3実施形態の変形例に係る易接着性ポリオレフィン成型体のパルス光照射後の様子を示す上面図である。また、図12は、第3実施形態の変形例に係る易接着性ポリオレフィン成型体のベースシート剥離後の様子を示す上面図である。
第4実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、第3実施形態における円状の熱分解材料担持シート30A及びベースシート32を持つ前記積層シートに代えて、線状の熱分解材料担持シート40A及びベースシート42を持つ前記積層シートを用いる。
つまり、第4実施形態における前記積層シートは、図13(a)~(c)に示すように、線状のベースシート42の中心線上に熱分解材料担持シート40が積層されて構成される。
なお、図13(a)は、積層シートの構成例を示す上面図であり、図13(b)は、図13(a)のA-A線断面図であり、図13(c)は、図13(a)のB-B線断面図である。
また、ベースシート42(ベースシート基材42A、粘着層42B)としては、その形状以外、第3実施形態におけるベースシート32(ベースシート基材32A、粘着層32B)と同様に構成することができる。
熱分解材料担持シート40A及びベースシート42の各線状形状は、市販の両面テープ、片面テープからサイズを選択して得ることができ、また、市販の両面テープ、片面テープを裁断して得ることもできる。
また、熱分解材料担持シート40A及びベースシート42の大きさとしては、第3実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法と同様の理由から、ベースシート42が熱分解材料担持シート40Aよりも大面積とされ、熱分解材料担持シート40Aの面積に対して1.5倍~5倍の大きさの面積を持つことが好ましく、2倍~2.5倍の大きさの面積を持つことが特に好ましい。
なお、図14は、第4実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造過程を示す上面図であり、図15は、第4実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の前記パルス光照射後の様子を示す上面図であり、図16は、第4実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体のベースシート剥離後の様子を示す上面図である。
第5実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法では、第4実施形態におけるベースシート42上に線状の熱分解材料担持シート40Aが1本配された前記積層シートに代えて、ベースシート52上に線状の熱分解材料担持シート50Aが2本配された前記積層シートを用いる。
つまり、第5実施形態における前記積層シートは、図17(a)~(c)に示すように、線状のベースシート52上に2本の線状の熱分解材料担持シート50Aが積層されて構成される。
ここで、2本の線状の熱分解材料担持シート50Aは、ベースシート52上にその長さ方向に沿って前記熱分散ガスの拡散範囲よりも狭い間隔で並置された状態で配される。
なお、熱分解材料担持シート50A(塗布層50、シート材51、シート基材51A、粘着層51B,51C)は、第4実施形態における熱分解材料担持シート40A(塗布層40、シート材41、シート基材41A、粘着層41B,41C)と同様に構成することができる。
また、ベースシート52(ベースシート基材52A、粘着層52B)は、第4実施形態におけるベースシート42(ベースシート基材42A、粘着層42B)と同様に構成することができる。
また、図17(a)は、積層シートの構成例を示す上面図であり、図17(b)は、図17(a)のA-A線断面図であり、図17(c)は、図17(a)のB-B線断面図である。
ここで、易接着面2Eは、図18,図19に示すように第4実施形態における易接着面2D(図15,図16参照)よりも大面積とされる。
これは、前記パルス光の照射を受けて2本の線状の熱分解材料担持シート50Aからそれぞれ発生する前記熱分解ガスのうち、相対する熱分解材料担持シート50Aに向けて拡散する前記熱分解ガスが2本の線状の熱分解材料担持シート50Aの間で衝突、反転し、ベースシート52の外縁を超えて広く拡散するためである。
なお、第5実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法について、2本の線状の熱分解材料担持シート50Aを用いた例を挙げて説明を行ったが、線状の熱分解材料担持シート50Aの本数を増やして実施してもよい。
例えば、第5実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法の変形例として、図21に示すように、3本の線状の熱分解材料担持シート50Aを用いて実施してもよい。なお、図21は、第5実施形態の変形例に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造過程を示す上面図である。
第6実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法は、第5実施形態におけるベースシート52上に線状の熱分解材料担持シート50Aが2本配された前記積層シートを、ポリオレフィン成型体1と別部材であるターゲット配置部材100上に配して実施するものである。
ターゲット配置部材100としては、前記易接着面の形成対象となるポリオレフィン成型体1とは別の前記ポリオレフィン成型体を用いてもよいし、任意のプラスチック成型体や金属成型体を用いてもよい。
なお、図22(a)は、第6実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造過程を示す上面図であり、図22(b)は、図22(a)のA-A線断面図である。
なお、図23は、第6実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体のパルス光照射後の様子を示す上面図である。また、図24は、ターゲット配置部材を外した状態の第6実施形態に係る易接着性ポリオレフィン成型体の様子を示す上面図である。
先ず、イオン交換水15mLにバインダーとしてアラビア糊(ヤマト株式会社製、アラビックヤマト)12.3gを加え、常温下、マグネチックスターラーで24時間撹拌し、バインダー水溶液を得た。
次に、前記ポリプロピレン板の表面に対し、1mm×25mmの大きさに裁断された前記熱分解材料担持シートを前記熱分解材料が担持された面と反対側の面の前記粘着層を介して粘着させ、前記ポリプロピレン板の表面上に前記熱分解材料担持シートが粘着された試験片を作製した。
次に、前記試験片を、白色パルス光照射装置(Novacentrix社製、Pulseforge1300)の試料ステージの所定位置(高さ15mm)に静置し、前記白色パルス光照射装置を操作してパルス幅が5msec、パルスエネルギーが13.2J/cm2(電圧480V)の白色パルス光を1回照射した(易接着面形成工程)。これにより、前記熱分解材料から熱分解ガスが発生し、前記試験片の表面と接触する前記熱分解ガスの拡散範囲に易接着面が形成される。
次に、前記白色パルス光照射装置から前記試験片を取り出した後、前記試験片から前記熱分解材料担持シートの残余を剥がすとともに、前記試験片の表面をイオン交換水で洗浄し、風乾した。
以上により、易接着面が形成された実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体を得た。なお、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体は、同一製造条件の下で2つ製造した。
実施例1において、前記易接着面形成工程を実施しない前記ポリプロピレン板自身を参考例1に係るポリオレフィン成型体とする。
2つの実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体を用いて、JISK6850に規定される引張せん断試験に準拠した引張せん断試験を行った。具体的には、次の通りである。
先ず、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体2つを、それぞれの前記易接着面が含エポキシ樹脂接着剤を介して対向するように貼り付けた。なお、前記含エポキシ樹脂接着剤としては、ナガセケムテックス社製のデナタイト2204を用いた。
次に、貼り付けられた状態の実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体2つをオーブンに入れ、100℃で1時間加熱した後、室温まで冷却し、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体2つを接着した。接着された様子を図25に示す。なお、図25は、2つの実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体を接着させた状態を示す図である。
次に、接着された状態の2つの実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対し、引張せん断強度測定装置(エー・アンド・デイ社製、シングルコラム型材料試験機STA-1225)を用いて、引張せん断強度を測定した。
その結果、引張せん断荷重が2,350N(引張せん断強度換算で6.3MPa)で、接着された状態の2つの実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体のうち、片方が破断した。この様子を図26に示す。なお、図26は、引張せん断試験後の実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体の様子を示す図である。また、図27に引張せん断試験の試験結果を示す。
つまり、接着された状態の2つの実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体は、片方の前記ポリプロピレン板自身が破断を生じる引張せん断力が作用した状態においても、接着状態が維持され、前記含エポキシ樹脂接着剤に対する優れた接着性を有している。
その結果、引張せん断荷重が1N以下で、接着された状態の2つの参考例1に係るポリオレフィン成型体と含エポキシ樹脂接着剤との界面で剥離が生じ、参考例1に係るポリオレフィン成型体と含エポキシ樹脂接着剤とが分離することが確認された。
参考例1に係るポリオレフィン成型体及び実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対し、ラマン分光測定装置(東京インスツルメンツ社製、顕微レーザーラマン分光装置Nanofinder FLEX2)を用い、レーザー波長532nmでラマン分光測定を行った。なお、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対する前記ラマン分光測定は、前記易接着面にレーザーを照射して実施した。
図28(a)と図28(b)との比較から理解されるように、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体のみに、参考例1に係るポリオレフィン成型体から確認されない1,600cm-1付近をピークとするラマンシフトが確認される。このラマンシフトは、前記熱分解材料を構成する色素分子(Permanent Orange)の化学構造(前記π共役系環構造)が波長532nmに可視光吸収を有することによる共鳴ラマン効果に基づくピークである。また、このラマンシフトは、前記易接着面を水やエタノールで洗浄しても消滅せず、溶剤(アセトン等)を含ませた布材で拭くと消滅する。
この測定結果は、前記易接着面形成工程における前記パルス光の照射により熱分解された前記色素分子中のポリオレフィン反応性成分(前記π共役系有機化合物)が、熱分解ガス中の成分として前記ポリオレフィン成型体の表面と接触して結合し、前記易接着面が形成されることを意味する。
図28(c)に波長785nmのレーザー光を用いた参考例1に係るポリオレフィン成型体に対する前記ラマン分光測定の測定結果を示す。また、図28(d)に波長785nmのレーザー光を用いた実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対する前記ラマン分光測定の測定結果を示す。
図28(c)及び図28(d)からは、ともに図28(b)に確認される1,600cm-1付近をピークとするラマンシフトが確認されないが、これは前記熱分解材料を構成する色素分子(Permanent Orange)の化学構造(前記π共役系環構造)が波長785nmの光をほとんど吸収しないことによる。
このようにラマンシフトの確認は、前記熱分解材料の構成成分中の化学構造(前記π共役系環構造)が持つ光吸収波長に応じて行う必要がある。
参考例1に係るポリオレフィン成型体及び実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対し、協和界面科学社製、接触角計Dropmaster DMs-401を用いた液滴法により、水の静的接触角測定を実施した。なお、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体に対する前記静的接触角測定は、前記易接着面に水滴を滴下して実施した。
従来技術として実施されるプラズマ処理等の表面処理では、未処理の前記ポリオレフィン成型体と比べ、前記静的接触角が大きく減少する変化が見られるが、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体では、未処理の前記ポリオレフィン成型体と比べ、前記静的接触角が僅かに減少するにとどまる。
実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造条件において、前記熱分解材料担持シートを前記ポリオレフィン成型体の表面に粘着させることに代えて、前記含熱分解材料塗布液をマイクロピペットを用いて0.2mL計量し、前記ポリオレフィン成型体の表面に点状に塗布して、風乾したこと以外は、実施例1に係る易接着性ポリオレフィン成型体の製造条件と同じ製造条件で、実施例2に係る易接着性ポリオレフィン成型体を製造した。
この状態の実施例2に係る易接着性ポリオレフィン成型体をオーブンに入れ、100℃で1時間加熱した後、室温まで冷却し、実施例2に係る易接着性ポリオレフィン成型体と前記平リベットとを接着させた。
この試験試料に対し、株式会社イマダ製フォースゲージZTA-1000Nと、電動スタンドEMXとを用いて、実施例2に係る易接着性ポリオレフィン成型体と前記平リベットとの接着に対する引張強度を測定した。その結果、614Nの引張強度が測定され、実施例2に係る易接着性ポリオレフィン成型体に形成された前記易接着面は、前記含エポキシ樹脂接着剤との間で優れた接着性を示すことが確認された。
前記熱分解材料として下記表1に示す材料を用いて前記熱分解材料担持シート及び前記試験片を作製したこと、及び、前記易接着面形成工程において前記白色パルス光照射装置による前記白色パルス光の照射条件を下記表1に示すパルス幅及びパルスエネルギーとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3~7に係る各易接着性ポリオレフィン成型体を製造した。
また、実施例3~7に係る各易接着性ポリオレフィン成型体に対し、同一実施例に係る2つの前記易接着性ポリオレフィン成型体を用いて、実施例1と同様の前記引張せん断試験を行った。試験結果を下記表1に示す。
・Fluorescein:株式会社東京化成社製、F0095、平均粒径5μm
・Quinizarin Green SS:株式会社東京化成社製、Q0021、平均粒径5μm
・Hansa Yellow:株式会社東京化成社製、H0312、平均粒径5μm
・Quinoline Yellow SS:シグマ-アルドリッチ社製、234133、平均粒径5μm
・Alizurine Purple SS:別名Quinizarin Blue、株式会社東京化成社製、HQ0022、平均粒径5μm
また、前掲表1中、実施例3~7における「引張せん断強度(MPa)」は、実施例1と同様、接着された状態の2つの前記易接着性ポリオレフィン成型体のうち、片方が破断したときの数値を示している。
上掲表1に示すように、前記ポリオレフィン成型体として、前記ポリプロピレン板に代えてポリエチレン板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る易接着性ポリオレフィン成型体を製造した。
また、実施例8に係る易接着性ポリオレフィン成型体を2つ用いて、実施例1と同様の前記引張せん断試験を行った。
なお、前掲表1において、実施例8で用いた前記ポリエチレン板は、サンプラテック社製、WEB8062であり、幅が25mm、長さが100mm、厚みが3mmである。
しかし、実施例8に係る易接着性ポリオレフィン成型体では、参考例1に係るポリオレフィン成型体のように、引張せん断荷重が1N以下で生じた前記含エポキシ樹脂接着材との界面における剥離が発生せず、前記ポリエチレン板自身が変形を生じる引張せん断力が作用した状態におけても接着状態が維持されており、前記含エポキシ樹脂接着剤に対する優れた接着性を有しているといえる。
1C,1D,1E 被保護面
2A,2B,2C,2D,2E,2F 易接着面
3A,3B,3C,3D,3E,3F 易接着性ポリオレフィン成型体
10,20,30,40,50 塗布層
20A,30A,40A,50A 熱分解材料担持シート
21,31,41,51 シート材
21A,31A,41A,51A シート基材
21B,21C,31B,31C,32B,41B,41C,42B,51B,51C,52B 粘着層
32,42,52 ベースシート
32A,42A,52A ベースシート基材
100 ターゲット配置部材
Claims (10)
- 芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料を含むターゲット材に対し、前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを発生させるとともに、前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面と接触させ、前記ポリオレフィン成型体の表面に前記易接着面を形成する易接着面形成工程を含むことを特徴とする易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- 熱分解材料として、Fluorescein、Quinoline Yellow SS、Hansa Yellow、Yellow AB、Yellow OB、Alizurine Purple SS、Indigo、Sudan Blue B、Rhodamine B Stearate、Toluidine Red、Sudan III、Brilliant Fast Scarlet、Sudan IV、Oil Red XO、Quinizarin Green SS、Permanent Orange、Pigment Orange 1及びOrange SSから選択される少なくとも1種以上の色素を用いる請求項1に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- ターゲット材として、熱分解材料を含む含熱分解材料塗布液を用いる請求項1から2のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- ターゲット材として、熱分解材料がシート材に担持された熱分解材料担持シートを用いる請求項1から2のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- 熱分解材料担持シートのパルス光の照射面と反対側の面全体が、前記熱分解材料担持シートより大面積のベースシートで支持される請求項4に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- 易接着面形成工程が、ポリオレフィン成型体の表面上にターゲット材を配した状態で前記ターゲット材にパルス光を照射して熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第1の易接着面形成工程、及び、一の面を有するターゲット配置部材の前記一の面上に前記ターゲット材を配するとともに、前記一の面と前記ポリオレフィン成型体の表面とが当接された連続面を成すように前記ターゲット配置部材と前記ポリオレフィン成型体とを密着させた状態で前記ターゲット材に前記パルス光を照射して前記熱分解ガスを前記ポリオレフィン成型体の表面に接触させる第2の易接着面形成工程のいずれかとして実施される請求項1から5のいずれかに記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- 第1の易接着面形成工程が、熱分解材料がシート材に担持されるとともに線状に切り出された熱分解材料担持シートを熱分解ガスの拡散範囲よりも狭い間隔でポリオレフィン成型体の表面上に複数並置した状態で実施され、第2の易接着面形成工程が、前記熱分解材料担持シートを前記熱分解ガスの拡散範囲よりも狭い間隔でターゲット配置部材の表面上に複数並置した状態で実施される請求項6に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法。
- 表面の全体又は一部に、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分と結合して形成される前記易接着面を有することを特徴とする易接着性ポリオレフィン成型体。
- 請求項1に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法におけるターゲット材として用いられ、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料を含むことを特徴とする含熱分解材料塗布液。
- 請求項1に記載の易接着性ポリオレフィン成型体の製造方法におけるターゲット材として用いられ、芳香環、並びに、環中に酸素原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1つ含む複素芳香環のいずれかであるπ共役系環構造を有するとともにポリオレフィン成型体と結合して前記ポリオレフィン成型体の表面を含エポキシ樹脂接着剤と接着性を持つ易接着面に改質させるポリオレフィン反応性成分が含まれ、200nm~10.6μmに光吸収波長を有し、かつ、前記光吸収波長を含む波長域のパルス光の照射により前記ポリオレフィン反応性成分を含む熱分解ガスが発生可能とされる熱分解材料がシート材に担持されることを特徴とする熱分解材料担持シート。
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