1)遊技機の基本構成
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において、特に明示することなく「画像」というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、始動領域904(第一始動領域904a、第二始動領域904b)、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904(第一始動領域904a、第二始動領域904b)への遊技球の進入を契機として実行する。具体的には、始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。つまり、当該数値は、当否抽選に用いられる「当否抽選情報」である(以下の説明において、第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として取得された当否抽選情報を「第一当否抽選情報」と、第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として取得された当否抽選情報を「第二当否抽選情報」と称することもある)。なお、本実施形態では、第一始動領域904aおよび第二始動領域904bのいずれも、遊技球が進入することで所定数の賞球が払い出される「入賞領域」である。
本実施形態では、複数種の装飾図柄80を含む三つの装飾図柄80群が変動表示され、各装飾図柄80群から選択されて停止表示される装飾図柄80の組み合わせにより当否抽選結果が報知される。大当たりとなる場合には、装飾図柄80(図2参照)が所定の大当たり組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となる。はずれとなる場合には、大当たり組み合わせ以外のはずれ組み合わせが表示される。以下の説明においては、装飾図柄80群の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで停止するまでの演出を変動中演出(または単に「変動」や「回転」)と称する。
本実施形態では、上記当否抽選情報が取得された順に対応する変動中演出が開始される(装飾図柄80の変動が開始される)こととなるが、ある当否抽選情報が新たに取得されたときに、それより前に取得された当否抽選情報に基づく当否抽選結果についての変動中演出が実行されている際には、当該ある当否抽選情報に基づく当否抽選結果についての変動中演出が開始されるまで、当該ある当否抽選情報は図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ対応する当否抽選結果についての変動中演出が開始されていない数値が「保留(情報)」である(保留(情報)は当否抽選情報の下位概念であるといえる)。保留情報の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動領域904につき四つである。すなわち、第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として取得される保留情報(いわゆる特図1保留)を第一保留情報とし、第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として取得される保留情報(いわゆる特図2保留)を第二保留情報とすれば、第一保留情報および第二保留情報のそれぞれが最大四つ記憶されることになる。
なお、本実施形態では、変動中演出が開始される時点で、取得された当否抽選情報が大当たりとなるものか否かが判断される(当否抽選が実行される)こととなる(ただし、この当否抽選結果は変動中演出の開始時点では遊技者は分からない)が、当否抽選情報が取得されたときに当否抽選を行い、当否抽選結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された当否抽選情報は、当否抽選結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている保留情報のそれぞれに対応するマークである保留図柄70が、取得された順に並ぶようにして表示装置91の表示領域911に表示される(図2参照)。なお、本実施形態では、第一保留情報を表す保留図柄70については、表示領域911の幅方向中央よりも左側に、第二保留情報を表す保留図柄70については表示領域911の幅方向中央よりも右側に表示される。また、第一保留情報の取得を目指して遊技する遊技状態(左打ちすべき状態)においては第二保留情報を表す保留図柄70は表示されず、第二保留情報の取得を目指して遊技する遊技状態(右打ちすべき状態)においては第一保留情報を表す保留図柄70は表示されない。当否抽選結果の報知は完了していないが、既に変動中演出が開始されている当否抽選情報が存在することを示す図柄(いわゆる「当該変動保留」を示す図柄)が表示されるようにしてもよい。
当否抽選結果が大当たりとなった場合、大入賞領域906が開放される大当たり遊技が実行される(大当たり遊技という「特典」が遊技者に付与される)。当該大当たり遊技自体は公知であるから詳細な説明を省略する。ラウンド数(ラウンド振分)等は適宜設定することができる。
2)遊技状態
2-1)基本となる遊技状態
大当たり当選を目指して遊技する遊技状態は、大まかに、通常遊技状態と特別遊技状態に区分けされる(図3(a)参照)。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が進入しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率状態(確率変動状態)であり、かつ、始動領域904に遊技球が進入しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が進入しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。
通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904a(いわゆる特図1の始動領域)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。第一始動領域904aに遊技球が進入することで第一当否抽選情報が取得されるから、当該通常遊技状態は第一当否抽選情報に基づく当否抽選(いわゆる特図1抽選;以下第一当否抽選と称することもある)により大当たり当選を目指して遊技する遊技状態である。一方、特別遊技状態は、第二始動領域904b(いわゆる特図2の始動領域)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。第二始動領域904bに遊技球が進入することで第二当否抽選情報が取得されるから、当該特別遊技状態は第二当否抽選情報に基づく当否抽選(いわゆる特図2抽選;以下第二当否抽選と称することもある)により大当たり当選を目指して遊技する遊技状態である。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が進入する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
本実施形態における遊技機1は、いわゆる「V確変タイプ」の「ST機」である。大当たりとして、通常大当たりおよび特別大当たりが設定されている。通常大当たりに当選した後は、その大当たり遊技終了後に第二特別遊技状態(低確率・時短有)に移行する。第二特別遊技状態は所定回数(例えば100回;以下、当該回数を時短回数と称することもある)連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続する。特別大当たりに当選した後は、その大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態(高確率・時短有)に移行する。第一特別遊技状態は所定回数(いわゆるST回数;例えば150回)連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続する。
第一当否抽選(特図1抽選)にて当選した大当たり(大当たり振り分け)は、50%が通常大当たりであり、50%が特別大当たりである(いわゆる確変割合が50%である)。第二当否抽選(特図2)にて当選した大当たり(大当たり振り分け)は、100%特別大当たりである(いわゆる確変割合が100%)である(図3(b)参照)。特別大当たりに当選した場合には、当該大当たり遊技にていわゆるV領域(図示せず)が開放され(V領域を狙って遊技球を発射していればほぼ確実に遊技球が進入する時間開放され)、当該V領域に遊技球が進入することを条件として大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる。一方、通常大当たりに当選した場合には、V領域は開放されない、または遊技球が進入することは実質的には不可能な程度に開放されるため、当該V領域に遊技球が進入することはなく、大当たり遊技終了後の遊技状態は通常遊技状態となる。
なお、上記のような「V確変タイプ」の「ST機」とするのはあくまで一例である。「V確変タイプ」とせず、第一当否抽選と第二当否抽選の確変割合が同じである構成としてもよい。また、「ST」機とせず、いわゆる「確変ループ機」としてもよい。また、いわゆる「二種」の機能を持つ遊技機(「一種二種混合機」等)としてもよい。以下の説明において特に明示した場合を除き、大当たり振り分け等の遊技性は適宜変更可能である。
本実施形態では、低確率状態(通常遊技状態、第二特別遊技状態、後述する条件発動遊技状態)での大当たり確率は約1/280~1/319(後述する「遊技設定」によって異なる)であり、高確率状態(第一特別遊技状態)での大当たり確率は約1/100である。なお、当該大当たり確率の具体的な値等は適宜変更可能である。
2-2)条件発動遊技状態(天井)
本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「天井」が搭載されたものである。具体的には、所定の移行条件を満たした場合には、当否抽選に当選しなくても(大当たり遊技を経なくても)、通常遊技状態(厳密には詳細を後述する未発動通常遊技状態)から当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な条件発動遊技状態(現在では「遊タイム」等と称されることが多い)に移行する(図3(a)参照)。条件発動遊技状態は、第二特別遊技状態と同じ、大当たりに当選する確率が低い(通常遊技状態と同じであり、かつ、第一特別遊技状態よりも低い)低確率状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が進入しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である(条件発動遊技状態は、第二特別遊技状態の一種であるとみることもできる)。ただし、条件発動遊技状態は、上述した第二特別遊技状態よりも「継続回数」が多い。本実施形態では、条件発動遊技状態に移行してから900回連続して当否抽選結果がはずれとなることを契機として通常遊技状態(後述する既発動通常遊技状態)に移行する(900回連続して当否抽選結果がはずれとなることが、当否抽選に当選しない場合における条件発動遊技状態の終了条件である)。したがって、条件発動遊技状態に移行したとき、その間に(通常遊技状態に移行するよりも前に)大当たりに当選する確率は、第二特別遊技状態(100回連続してはずれとなるまで継続する)よりも高い。
移行条件は、低確率状態にて規定回数(以下、天井回数と称することもある)連続してはずれとなることである。本実施形態では、天井回数=900回とされている。なお、この低確率状態には、第二特別遊技状態である期間も含まれる。大当たり遊技終了後、第二特別遊技状態に移行し、当該第二特別遊技状態にて大当たりに当選せずにその後通常遊技状態に移行したというケースであれば、第二特別遊技状態(100回)の後、通常遊技状態(詳細を後述する未発動通常遊技状態)にて800回連続してはずれとなった場合に移行条件が成立するということである。一方、大当たり遊技終了後、第一特別遊技状態(ST状態)に移行し、当該第一特別遊技状態にて大当たりに当選せずにその後通常遊技状態(詳細を後述する未発動通常遊技状態)に移行したというケースであれば、通常遊技状態にて900回連続してはずれとなった場合に移行条件が成立する(第一特別遊技状態の150回は天井回数に含まれない)ということである。
なお、第二特別遊技状態での抽選回数は天井回数に含まれない構成としてもよい。すなわち、通常遊技状態での抽選回数が天井回数に到達した場合に移行条件が成立する構成としてもよい。
上記のように、基本的には通常遊技状態におけるはずれの連続が移行条件の成立につながるものであるが、条件発動遊技状態を経て移行した通常遊技状態(前回の大当たり当選後、条件発動遊技状態を経ていない通常遊技状態を未発動通常遊技状態と、条件発動遊技状態を経た通常遊技状態を既発動通常遊技状態とする)においては移行条件が成立しない。すなわち、既発動通常遊技状態にて900回連続してはずれとなったとしても、再び条件発動遊技状態には移行しない(「天井の再突入」はない)。換言すれば、一旦条件発動遊技状態に移行したときには、(遊技機1をリセットしなければ)大当たりに当選しない限り、再び条件発動遊技状態に移行することはない。遊技機1をリセットすれば、未発動通常遊技状態となる。なお、遊技機1の「リセット」とは単純な電源OFF→ONではない。所定のリセット操作を行わなければ遊技機1はリセットされない。当該リセット操作は、遊技者は行うことができない(遊技機1内部を開放しなければ行うことができない)。
2-3)可動示唆演出
本実施形態にかかる遊技機1は、可動体10を備える(図1、図4参照)。当該可動体10は、遊技機1の筐体上部に設けられている(遊技者が接触可能な位置にある)。可動体10は、原位置(図4(a)参照)と進出位置(図4(c)参照)との間を往復動作する。原位置は、最も下方の位置、進出位置は最も上方の位置である。つまり、可動体10は、原位置から離れるにつれて遊技機1の本体側から離れるように上方に変位するよう動作する。そのため、可動体10は、進出位置に近づくほど「目立つ」状態になるといえる。可動体10を動作させるための駆動機構(駆動源および当該駆動源に至るまでの動力伝達構造)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
上記原位置と進出位置との間の位置を特定位置(図4(b)参照)とする。つまり、特定位置は、原位置よりも上方かつ進出位置よりも下方の位置ということである。可動体10は、所定の事前条件を満たした場合に原位置から特定位置に向かって動作する。当該可動体10を特定位置に位置させる演出(原位置から特定位置に変位させる演出)が可動示唆演出である。本実施形態では、低確率状態にて450回連続して当否抽選結果がはずれとなること(大当たりに当選することなく、低確率状態にて450回変動中演出が実行されたこと)が事前条件として設定されている。上述した通り、条件発動遊技状態に移行する移行条件(天井回数)は900回連続して当否抽選結果がはずれとなることである。その半分の「450回転」が事前条件として設定されている。換言すれば、移行条件の成立(天井回数の到達)まで必要な残りのはずれ回数(以下、残回数と称することもある)が450回(特定回数)以下となることを事前条件とし、それを満たした場合には可動体10は特定位置に向かって変位するということである。
本実施形態では、事前条件の成立後、移行条件が成立するまで、可動体10は特定位置に位置し続ける。つまり、(後述する好機可動演出が発生する場合を除き)低確率状態に移行してから0~449回転の間は、可動体10は原位置に位置(常態において原位置に位置)し(図4(a)参照)、450~900回転の間は、可動体10は特定位置に位置(常態において特定位置に位置)している(図4(b)参照)ということである。
このように構成されているため、可動体10の位置により、移行条件の成立(天井到達)までのおおよその遠近を瞬時に把握することが可能である。すなわち、本実施形態では、天井到達までの期間を前半(0~449回転)と後半(450~900回転)に分け、前半においては可動体10が原位置に位置し、後半においては可動体10が特定位置に位置するものとされるため、当該可動体10が原位置および特定位置に位置しているかを見ることで、「天井」にどれだけ近づいているかを簡単に判別することができる。
また、本実施形態では、可動体10は筐体上部に設けられており、しかも原位置よりも特定位置の方が「上」であるから、特定位置に位置する可動体10はより「目立つ」ことになる。そのため、遊技する台(空台)を探している遊技者の目安にもなる。すなわち、遊技するのであれば、「天井」(移行条件の成立)に近い状態にあるものの方が遊技者にとって有利であるため、可動体10の位置を目安として遊技する台を探せばよいことになる。
なお、電源をOFF/ONしただけでは残回数がリセットされない(リセット操作がなされない場合、前営業日の残回数を引き継ぐ)。したがって、いわゆる朝一状態(遊技店の開店後、誰も遊技していない状態)において、可動体10が特定位置に位置していれば、前営業日の残回数を引き継いでおり、リセットされていないことが確定することになる。つまり、前営業日の閉店時に可動体10が特定位置に位置していた遊技機1が、次営業日の朝一状態にて特定位置に位置しているか否かをみることで、当該遊技機1がリセットされたか否か(残回数を引き継いでいるか否か)を判別することができる。
本実施形態における可動体10は、変動中演出を構成する好機可動演出にも用いられる。好機可動演出は、可動体10を進出位置に位置させる演出である。変動中演出にて好機可動演出が発生した場合には、発生しなかった場合に比して、当該変動中演出に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(信頼度)が高くなる。つまり、好機可動演出は、いわゆるチャンスアップ演出である。低確率状態に移行してから0~449回転の間は、常態において可動体10は原位置に位置しているから、好機可動演出は可動体10を原位置から進出位置に変位させる演出となる(図5(a)参照)(好機可動演出終了後は原位置に戻る)。一方、低確率状態に移行してから450~900回転の間は、常態において可動体10は特定位置に位置しているから、好機可動演出は可動体10を特定位置から進出位置に変位させる演出となる(図5(b)参照)(好機可動演出終了後は特定位置に戻る)。つまり、回転数に応じ、好機可動演出が発生する際における可動体10の出発位置が異なるということである。
基本的に可動体10は、当該好機可動演出を実行するために用いられるものであり、「チャンス」であることを示す際に可動体10が進出位置に位置させられる。上記可動示唆演出は、可動体10を進出位置に位置させずに、特定位置に位置させるものである。つまり、可動体10を進出位置に位置させるのは「信頼度示唆」であり、特定位置に位置させるのは「移行条件成立(天井到達)までの遠近の示唆」であり、示唆の内容に応じ可動体10の位置を異ならせ、両者の差異を明確にしている。仮に、可動示唆演出として可動体10を進出位置に位置させてしまうと、当該可動示唆演出を「信頼度示唆」であると遊技者が勘違いしてしまう可能性があるから、可動示唆演出では可動体10を進出位置に位置させず、特定位置に位置させることに留める設定としている。
移行条件が成立したとき(天井到達時)には、可動体10は進出位置に変位する構成としてもよいし、可動体10が原位置に戻る構成としてもよい。前者のような構成とすると、原位置(天井到達まで比較的「遠い」状態)→特定位置(天井到達まで比較的「近い」状態)→進出位置(天井到達)というように可動体10が変位していくことになるから、天井到達前から天井到達に至るまでの流れが分かりやすいものとなる。一方、後者のような構成とした場合、天井到達によっても可動体10は進出位置に位置しないのであるから、可動体10が進出位置に位置することは好機可動演出の「信頼度示唆」であることが明確になるという利点がある。つまり、前者のような構成とすると、天井到達時に可動体10が進出位置に位置することが「信頼度示唆」であると遊技者が勘違いしてしまうおそれがあるが、後者のような構成とすればこのような勘違いが生じることはない。
以下、可動示唆演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例1-1
上記実施形態では、特定回数(450回)=天井回数(900回)/2であることを説明したが、当該特定回数の値は適宜変更可能である。例えば、特定回数=300回(天井回数/3)とし、残回数が天井回数の1/3以下となることを契機として可動体10が特定位置に位置する構成としてもよい。ただし、上記実施形態のように、特定回数が天井回数の半分である設定とすることで、「天井」に至るまでに必要な道程の前半部分に位置しているのか、後半部分に位置しているのかを瞬時に理解することができるという利点がある。
〇具体例1-2
上記実施形態では、事前条件が成立すること(残回数が特定回数以下となること)を契機として可動体10が特定位置に位置し、移行条件の成立まで可動体10は特定位置に位置し続けることを説明したが、それとは異なる可動体10の動作態様としてもよい。事前条件の成立前において可動体10は原位置に位置しているのであるから、事前条件の成立後はそれとは異なる態様となるようにすればよい。
一例として、事前条件が成立した後は、可動体10が原位置と特定位置の間を継続的に往復動作するものとすることが考えられる(図6参照)。当該往復動作は、変動中演出の開始/終了とは関係なく、実際の時間(実時間)の経過に基づき制御されるようにするとよい。例えば、20秒毎に可動体10が原位置と特定位置との間を一往復するようにし、当該往復動作が天井到達(または大当たり当選)まで継続的に実行されるものとする(往復動作間で一時的に停止する状態が生じるようにしてもよい)。このように事前条件の成立後は可動体10が継続的に動作するようにすることで、天井に近づいていることがより明確に示されることになる。なお、このように継続的に動作する構成とする場合であっても、好機可動演出(「信頼度示唆」の演出)と遊技者が勘違いしないようにするため、可動体10は進出位置に位置しないようにすること(往復動作の範囲に進出位置が含まれないようにすること)が好ましい。
〇具体例1-3
上記実施形態では、事前条件が成立している(残回数が特定回数以下である)か否かで可動体10の位置が異なるように制御されるものであることを説明したが、残回数が少なくなるに従って段階的に可動体10の位置が変化する構成としてもよい。
例えば、残回数が100回少なくなる度に可動体10が原位置から離れるように変位するものとする。つまり、100回転連続してはずれとなる度に可動体10は所定量進出位置に向かって動作する(100、200、300、400、500、600、700、800回転目で動作する)。端的にいえば、可動体10は原位置から進出位置に向かって複数段階(三段階以上)で変位していくものであり、低確率状態での回転数(連続はずれ回数)が多くなるほど進出位置に近づくものとする。900回連続してはずれとなった際、すなわち天井回数に到達した際に可動体10は進出位置に位置するようにしてもよいし、原位置に戻るようにしてもよい。
このようにすることで、残回数(天井到達までの遠近)に応じて可動体10の位置が段階的に変化する(残回数が少なくなるほど上方に位置して目立つようになる)から、上記実施形態よりも残回数の多少の把握が容易になる。
〇具体例1-4
可動体10の外観(可動体10の位置の違いは外観の違いに含まれないものとする)が変化するものとする。例えば、可動体10に発光部を設け、当該発光部の発光態様(例えば「色」)が変化するものとする。上記実施形態のように、残回数が450回となったときに可動体10が特定位置に変位するのであれば、可動体10が特定位置に位置した後、残回数450~301回の状態では「青」で発光部が発光し、残回数300~151回の状態では「緑」で発光部が発光し、残回数150~1回の状態では「赤」で発光部が発光するものとする。つまり、事前条件成立により可動体10が特定位置に位置した後、残回数が少なくなるにつれて、発光部の発光態様が変化するものとする。
本例のようにした場合、可動体10の位置(原位置→特定位置)は「450回」基準で変化するものであるのに対し、可動体10の外観は「150回」基準で変化するものということになる。つまり、可動体10の位置は大まかな「残回数の多少」(天井までの遠近)を示す一方、動体の外観(発光部の発光態様)は細かな「残回数の多少」(天井までの遠近)を示すという設定となる(可動体10の「位置」と「外観」とで、示唆する残回数の減少量が異なる設定となる)。
〇具体例1-5
上記実施形態では、残回数を示唆するものとして可動体10を用いている(可動体10の位置により天井到達までの遠近を示唆している)が、それ以外の回数を示唆するものとして可動体10を用いてもよい。例えばSTの残り回数を示唆するものとして可動体10を用いてもよい。上記実施形態のようにST回数=150回である設定において、STの残り回数が150~75回であるときにおける可動体10の位置と、75~1回であるときにおける可動体10の位置を異ならせる。
〇具体例1-6
上記実施形態では、残回数が特定回数に到達していないとき(原位置)よりも、残回数が特定回数に到達したとき(特定位置)の方が、可動体10が上方に位置するものであることを説明したが、その逆の設定としてもよい。つまり、残回数が特定回数に到達していないときよりも、残回数が特定回数に到達したときの方が、可動体10が下方に位置するものとする。ただし、残回数が少ない遊技機を目立たせ、遊技の促進を図るという作用を発現させるのであれば、上記実施形態のようにすることが好ましい。
〇具体例1-7
上記実施形態では、残回数が特定回数に到達していないときと、到達しているときとで可動体10の位置が異なることを説明したが、その他の要素により残回数が特定回数に到達しているか否かが示唆される構成としてもよい。
例えば、所定の演出画像が表示される際の効果音として、第一効果音と第二効果音を用意しておく。残回数が特定回数に到達していないときには、当該演出画像が表示される際に第一効果音が出力されるものとする。一方、残回数が特定回数に到達しているときには、当該演出画像が表示される際に第二効果音が出力されるものとする。一般的に、表示領域911に表示される演出画像が同じである(視覚的な演出態様が同じである)場合、それに伴って出力される効果音も同じである(演出画像と効果音が1:1の関係にあるのが通常である)ところ、残回数が特定回数に到達しているか否かに応じ、当該効果音の態様が異なり得る設定とする。このようにすることで、演出画像が表示される際の効果音の違いにより残回数の多少が示唆される遊技性が実現される。
その他、装飾図柄80が変動中(リーチ成立後を除く)に出力される背景楽曲(BGM)の態様により残回数の対象を示唆する構成とすることが考えられる。すなわち、残回数が特定回数に到達していないときには第一背景楽曲が出力される一方、残回数が特定回数に到達しているときには第二背景楽曲(第一背景楽曲とは異なる楽曲)が出力されるものとする。このようにすることで、装飾図柄80の変動中の背景楽曲により残回数の多少が示唆される遊技性が実現される。
2-4)特定数値
大当たりに当選する確率が低い低確率状態においては、表示領域911に特定数値20が表示される(なお、当該特定数値20を説明するための図面以外の図面においては当該特定数値20の図示を省略している)。当該特定数値20は、移行条件が成立し、条件発動遊技状態に移行する時点までの遠近を示す数値である。具体的には、特定数値20は、低確率状態に移行してからはずれが報知される度に(はずれを報知する変動中演出が終了する度に)「1」増加するものである(図7参照)。つまり、特定数値20は、移行条件の成立に近づくに従い増加するものである。本実施形態では、移行条件が成立する変動回数、すなわち天井回数=900に設定されているため、移行条件が成立するときには特定数値20が「900」に到達することになる(図8(a)参照)(当該「900」は特定数値20の最大値である)。低確率状態は、条件発動遊技状態に移行する前の「移行前状態」であるといえるところ、当該移行前状態にて変動終了の度に増加する特定数値20を表示することで、どれだけ条件発動遊技状態に近づいているのかを遊技者が容易に把握することができる。なお、本実施形態における特定数値20は、一桁や二桁の数値を表現する場合、「001」、「010」といったように表す(どのような値であっても「0」を用いて三つの数字で表す)が、「1」、「10」といった表示態様としてもよい。
低確率状態(移行前状態)にて増加する特定数値20が「900」に到達し(図8(a)参照)、条件発動遊技状態に移行した後は、当該特定数値20が減少に転ずる(最大値に到達した特定数値20が減少に転ずる)。具体的には、条件発動遊技状態にてはずれが報知される度に(はずれを報知する変動中演出が終了する度に)特定数値20が「1」減少する(図8(b)~(d)参照)。つまり、特定数値20は、条件発動遊技状態の終了に近づくに従い減少することになる。上述した通り、本実施形態における条件発動遊技状態の終了(終了条件)は、900回連続してはずれとなること(継続回数=900回)であるから、特定数値20が「0」となることが条件発動遊技状態の終了ということになる(実際に「0」が表示されずに条件発動遊技状態が終了する構成としてもよい。「1」が条件発動遊技状態の最終変動ということになる)。
本実施形態では、移行条件成立前と、移行条件成立後とでは、表示領域911における特定数値20が表示される位置が異なる。具体的には、移行条件成立(特定数値=900到達)を契機として、特定数値20が表示される位置が変化する(図7、8参照)。これにより、特定数値20が表す内容が変化したということ(条件発動遊技状態に移行したこと)を分かりやすく示すことが可能となる。ただし、移行条件成立前後で、特定数値20が表示される位置が変化しない構成としてもよい。このようにした場合には、移行条件成立前までは増加していた数値が、そのままの状態で、移行条件成立後には減少に転ずるという構成となる。
このように、特定数値20は、低確率状態(移行前状態)では天井到達までカウントアップされるものであり、条件発動遊技状態では状態終了までカウントダウンされるものである。特に、本実施形態では、天井回数=継続回数(=900)であるから、低確率状態(移行前状態)にて増加して天井回数に到達した特定数値20を、条件発動遊技状態においてはそのまま減少に転じさせればよいことになる。遊技者視点でみれば、低確率状態(移行前状態)にて貯めた数値(ポイント)が、条件発動遊技状態(移行条件の成立)にて消化されるかのように見える遊技の流れとなる。
以下、特定数値20に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例2-1
移行前状態(低確率状態)にて特定数値20が増加して天井回数に到達した後、特定数値20が減少に転ずることを示す切替画像25(図9(b)参照)が表示されるものとする。つまり、特定数値20は、移行前状態にて増加し、条件発動遊技状態にて減少するものであるから、その切り替わりを示す(特定数値20が減少に転ずることを示す)演出として切替画像25を表示する。
切替画像25の具体的態様としては種々考えられる。例えば、「増加」から「減少」に切り替わることを端的に示すため、いわゆる「Uターン」を表す画像を含むものとすることが考えられる(図9(b)参照)。図示しないが、その他の例として、これから「減少」に転ずることを示すため、下向きの矢印を表す画像を含むものとすることが考えられる。また、「減少」を示す文字(例えば「DOWN」)を含むものとすることが考えられる。これと併せて「増加」を示す文字(例えば「UP」)を含むものとし、さらに「UP」から「DOWN」の切り替わりが生じることを示す画像(例えば「UP」から「DOWN」に向かう矢印)を含むものとすることが考えられる。
このようにすることで、移行条件の成立を境に、特定数値20が増加から減少に転ずることを分かりやすく示すことができる。
〇具体例2-2
上記実施形態では、天井回数=継続回数であること説明したが、天井回数≠継続回数である構成としてもよい。移行条件が成立したときに特定数値20が継続回数に到達するようにすればよい。
例えば、天井回数=1000回、継続回数=900回である場合には、図10に示すように、低確率状態(移行前状態)に移行してから100回転経過後に特定数値20の増加が「1」から(「0」から)開始されるものとする。つまり、天井回数が継続回数よりも多い場合には、低確率状態に移行してから「天井回数-継続回数」の差分(上記例では100回転分)は特定数値20が表示されず(または特定数値20が表示されても増加せず)(図10(a)参照)、その後は一変動毎に特定数値20が増加する(図10(b)参照)ものとする。このようにすることで、天井に到達したとき(移行条件が成立したとき)に特定数値20がちょうど条件発動遊技状態の継続回数に至ることになる(図10(c)(d)参照)。
一方、図示しないが、例えば、天井回数=800回、継続回数=900回である場合には、低確率状態(移行前状態)に移行した段階で特定数値20がすでに100である(特定数値の初期値=100である)状態とされる。つまり、天井回数が継続回数よりも多い場合には、「継続回数-天井回数」の差分の初期値(上記例では100)が予め表示され、一変動毎に特定数値20が増加するものとする。このようにすることで、天井に到達したとき(移行条件が成立したとき)に特定数値20がちょうど継続回数に至ることになる。
それ以外にも、一変動毎に特定数値20が「1」増加する構成としないことで、移行条件が成立したときに特定数値20がちょうど継続回数に至るようにしてもよい。具体的には、一変動あたりの特定数値20の増加数を「天井回数/継続回数」とすればよい。
天井回数が継続回数よりも多い場合には、一変動あたりの特定数値20の増加数を1未満とする。例えば、天井回数=500回、継続回数=1000回である場合には、一変動あたりの特定数値20の増加数を0.5とする。なお、特定数値20は「回数」を表すものであり自然数とされるべきものであるから、0.5ずつ増加することは不自然である。よって、例えば二変動毎に特定数値20が1増加するようにすればよい。このようにすることで、移行条件が成立したときに特定数値20がちょうど継続回数に至ることになる。
天井回数が継続回数よりも少ない場合には、一変動あたりの特定数値20の増加数を1超とする。例えば、天井回数=1000回、継続回数=800回である場合には、一変動あたりの特定数値20の増加数を1.25とする。例えば、四変動毎に特定数値20が5増加するようにするようにすればよい。このようにすることで、移行条件が成立したときに特定数値20がちょうど継続回数に至ることになる。
〇具体例2-3
上記実施形態では、移行前状態(低確率状態)にて一の変動中演出が終了する度に特定数値20が増加するように表示されることを説明したが、二以上の変動毎に特定数値20が増加するような構成としてもよい。例えば、十変動毎に特定数値20が増加するような構成としてもよい。同様に、条件発動遊技状態においても、二以上の変動毎に特定数値20が減少するような構成としてもよい。例えば、十変動毎に特定数値20が増加するような構成としてもよい。
このように、二以上の変動毎に特定数値20が増加/減少するような構成とする場合には、特定数値20の単位(特定数値「1」あたりの変動数)を変更することも可能である。例えば、上記実施形態のように、天井回数=継続回数=900回である場合には、移行前状態において十変動毎に特定数値20が「1」ずつ増加していき、特定数値20が「90」となったときに移行条件が成立し、条件発動遊技状態において十変動毎に特定数値20が「1」ずつ減少していく構成としてもよい。
〇具体例2-4
条件発動遊技状態にて、特定数値20の減少表示がなされない構成とする。例えば、上記実施形態のように、天井回数=継続回数=900回である場合において、移行前状態(低確率状態)にて一変動毎に特定数値20が「1」ずつ増加し、当該特定数値20が「900」に到達した時点で条件発動遊技状態に移行することになるが、条件発動遊技状態の開始前または開始直後(条件発動遊技状態の冒頭)にて、当該条件発動遊技状態が「900」回継続するものであることを特定数値20により示す(図11(b)参照)。その後、条件発動遊技状態においては、特定数値20が表示されない(図11(c)参照)ものとする。つまり、条件発動遊技状態が開始されることを示す開始画像にて、当該条件発動遊技状態の継続回数を示すことになるところ、当該開始画像が含む継続回数の表示を、特定数値20を用いたものとする。本例のようにしても、移行前状態(低確率状態)にて貯めた数値(ポイント)が、条件発動遊技状態(移行条件成立時に表示される開始画像)にてこれから消化されるかのように遊技者には見える遊技の流れとなる。
〇具体例2-5
上記実施形態のように、第二特別遊技状態(低確率・時短有)中の変動回数も天井回数に含まれる構成である場合において、第二特別遊技状態中には特定数値20が表示されない(図12(a)参照)ような設定としてもよい。第二特別遊技状態は、通常遊技状態(低確率・時短無)よりも有利な遊技状態であるし、遊技球の発射方法(右打ち)も通常遊技状態(左打ち)とは異なるのであるから、このような有利な状態においてまで「天井」到達までのカウントがなされることは不適当であるとして第二特別遊技状態にて特定数値20が表示されないようにする。換言すれば、特定数値20は、通常遊技状態(低ベース状態)にて表示され、特別遊技状態(高ベース状態)にて表示されないということである。
本例のようにする場合、第二特別遊技状態が終了し、通常遊技状態に移行することを契機として特定数値20が表示される(図12(b)参照)ようにすればよい。上記実施形態のように、第二特別遊技状態が100回連続してはずれとなることで終了する設定である(時短回数=100回である)のであれば、通常遊技状態に移行した後の最初の変動が101回目であることを示す特定数値20が表示されるようにすればよい。
また、例えば、時短回数=100回、天井回数=1000回、継続回数=900回といった設定で(「天井回数-継続回数=時短回数」の関係で)あれば、第二特別遊技状態においては特定数値20が表示されず(図13(a)参照)、通常遊技状態に移行後に特定数値20のカウントが開始され(図13(b)参照)、当該特定数値20が「900」となることを契機として移行条件が成立して(図13(c)参照)条件発動遊技状態に移行する(図13(d)参照)(条件発動遊技状態に移行後、「900」の減少が開始される)という構成としてもよい。つまり、厳密な天井回数(低確率状態でのはずれ回数)は「1000」ではあるが、時短回数(100回)を加味すれば通常遊技状態に移行した後の天井回数は「900」であるから、通常遊技状態に移行した後「1」から(「0」から)特定数値20のカウントが開始されるようにする。これにより、特定数値20がちょうど継続回数の値(上記例では「900」)に到達したときに移行条件が成立することになる。
3)設定示唆演出
3-1)遊技設定
本実施形態にかかる遊技機1は遊技設定(以下、単に「設定」と称することもある)が搭載されたものである(いわゆる「設定付ぱちんこ」である)。遊技設定とは、遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされたもののそれぞれをいう。「有利な度合」に差をつける手法としては種々考えられる。本実施形態では、当否抽選の当選する確率、すなわち大当たり確率に差をつけている。少なくとも、低確率状態における大当たり確率が設定毎に異なるものとされる。高確率状態における大当たり確率が設定毎に異なるものとしてもよい。本実施形態では、遊技設定として「設定1」~「設定6」の六種類が設けられている(六段階設定である)。「設定○」の数字が大きくなるほど大当たり確率が高くなる(図14参照)。当然ではあるが、大当たり確率が高いほど大当たりに当選しやすいということであるため、「設定1」が遊技者にとって最も不利な設定であり、「設定6」が遊技者にとって最も有利な設定であるといえる。当該遊技設定1~6のいずれかが現状の設定(以下、現状設定と称する)として遊技店員によりセットされ、遊技店において遊技者に供されることになる(遊技者は現状設定を変更することはできない)。当該現状設定のセット・変更のための構造はどのようなものであってもよいから詳細な説明を省略する。例えば、遊技機1内部に設定キーを挿入することが可能な鍵穴を設け、当該設定キーを操作することで、現状設定をセット・変更することができるようにすることが考えられる。
なお、「有利な度合」に差をつける手法は、大当たり確率に限られない。遊技者の利益(出玉の期待値)に影響を及ぼす確率であれば、その他の確率が対象とされていてもよい。例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率状態に移行する大当たりの割合(いわゆる確率変動割合)が対象とされていてもよい。つまり、確率変動割合が異なる複数種の遊技設定が設けられ、当該遊技設定のうちのいずれかが現状設定としてセットされる構成とする。
また、条件発動遊技状態に移行するまでに必要な低確率状態での変動数(「天井」までの回転数)が高設定ほど少ない(高設定ほど「天井」が近い)構成としてもよい。このようにした場合、上述した可動部材20による「天井」までの残りの変動数の示唆は、「現状設定」により異なることとなる。具体的には、高設定ほど天井に近いのであるから、一変動あたりの可動部材20の変位量は、高設定であるほど大きくなる。
3-2)設定示唆演出の具体的態様
本実施形態にかかる遊技機1は、現状設定に関する示唆を行う設定示唆演出を実行することが可能である。設定示唆演出の作用である「現状設定に関する示唆」の態様としては、大まかにみて二つある。一つは、いわゆる「設定変更」がなされたかどうかの示唆(設定変更示唆)である。遊技店側による現状設定の変更の方法等は上述した通りであるが、現状設定の変更がなされたことが設定示唆演出により示唆されることがある。なお、「設定変更」には現状設定とされている遊技設定と同じ遊技設定を設定した場合(いわゆる設定の「打ち直し」)も含まれるものとする。つまり、「設定変更」がなされたか否かは、厳密には、現状設定が変わったか否かではなく、複数の遊技設定のうちのいずれかを現状設定として設定する操作を新たに行ったか否かに相当するものである。
なお、設定変更示唆には、大きく分けて、設定変更がなされたことが確定する確定系示唆と、設定変更がなされた確率の高低を示す確率系示唆が存在する。例えば、ある画像が表示された場合に設定変更が確定するような態様が確定系示唆であり、ある画像が表示された場合に設定変更確率が〇〇%(100%未満)であるような態様が確率系示唆ということになる。
もう一つは、いずれの遊技設定が現状設定として設定されているのかについての示唆(現状設定示唆)である。このような設定示唆演出による示唆作用に基づきながら、遊技者は現状設定を推測しつつ遊技を楽しむことになる。
また、現状設定示唆には、大きく分けて、確率系示唆と確定系示唆が存在する。確率系示唆は、複数の遊技設定のうちのいずれかが現状設定とされていることが「確定」はしない(複数の遊技設定のうちのいずれかが現状設定とされていないことが「確定」はしない)ものの、特定の遊技設定が現状設定とされている確率が高まる(特定の遊技設定が現状設定とされている確率が低くなる)ようなものである。例えば、設定示唆演出として複数の設定示唆要素(例えば画像)のうちのいずれかが出力されるような構成において、どの設定示唆要素が出力されるかに応じ、複数の遊技設定のうちのいずれか現状設定とされている確率が高まるような態様をいう。このような確率系示唆は、実際に設定示唆がなされる回数が多くなるほど、現状設定の予想が的中する確率が高まることになる。
一方、確定系示唆は、複数の遊技設定のうちの一または複数のいずれかが現状設定とされていることが「確定」するものである。裏を返せば複数の遊技設定のうちの一または複数のいずれかが現状設定とされていないことが「確定」するものであるといえる。さらにいえば、上記確率系示唆において、ある設定示唆要素について所定の遊技設定に対応づけられた確率が100%であるものという見方もできる。例えば、ある特定の画像が表示された場合、現状設定が「設定4」~「設定6」のうちのいずれかが確定するといった態様や、現状設定が「設定6」であることが確定するといった態様や考えられる。この種の態様は、複数の遊技設定のうち、遊技者が有利な方から数えた一または複数の遊技設定が現状設定とされていることが確定するものであるから、いわゆる「高設定確定」演出であるといえる。また、現状設定が「設定2」ではないといった態様としてもよい(逆の見方をすれば、現状設定が「設定1」、「設定3」~「設定6」のうちのいずれかであることが確定するという意味ではある)。
3-3)リアルタイムでの設定示唆演出制御
本実施形態にかかる遊技機1は、実時間を計測する時間計測手段(リアルタイムクロック)を備える。当該時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することを条件として設定示唆演出が発生する。具体的には、所定の開始条件の成立を契機として複数の候補時間のうちのいずれかを選択する時間決定抽選が実行され、当該時間決定抽選により選択された候補時間が規定時間として設定される。本実施形態では、候補時間として60分、30分、20分、10分、5分の五種類が設定されている。
開始条件が成立し、上記時間決定抽選が実行されると略同時に時間計測手段によるカウントダウンが開始される。本実施形態では、電源ON時(いわゆる朝一状態)では、最初の変動中演出が開始されることが開始条件の一つとされている(図15(a)参照)。これとは異なり、電源ONとされること自体や、電源ONとされた後、所定時間経過することが開始条件とされた構成としてもよい。つまり、変動中演出の実行にかかわらずカウントダウンが開始される構成としてもよい。
表示領域911には、当該カウントダウンの経過、すなわち規定時間に至るまでの残り時間を表す時間画像30が表示される(なお、リアルタイムでの設定示唆演出制御を説明する図面以外の図面においては当該時間画像30の図示を省略する)。例えば、30分が規定時間として設定された場合には、初期状態の時間画像30として「30:00」が表示され、実時間の経過とともに秒単位でカウントダウンされていく(図15(a)(b)参照)。そして、当該時間表示が「0」(実際には「00:00」の表示がなされる)となることを契機として設定示唆演出が発生する(図16(a)(b)参照)。つまり、開始条件の成立後、時間計測手段による計測される時間が規定時間に到達すること(開始条件の成立後規定時間経過すること)を契機として設定示唆演出が発生する。
本実施形態では、時間計測手段による時間の計測(カウントダウン)は、変動中演出が実行されているか否かにかかわらず継続する。つまり、変動中演出が実行されている状態のみならず、変動中演出が実行されていない状態(当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が記憶手段に記憶されていない状態(待機状態)(図15(c)参照)や、大当たり遊技が実行されている状態(大当たり遊技状態))であってもカウントダウンが継続する。よって、開始条件が成立した後は、遊技状況がどのようなものであってもカウントダウンが継続し、規定時間到達により設定示唆演出が発生することになる。つまり、場合によっては、待機状態や大当たり遊技状態中であっても設定示唆演出が発生する。
時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することを契機として、現状設定を踏まえ、複数種の設定示唆演出のうちのいずれを発生させるかを決定し、決定された設定示唆演出を実行する(図16(b)参照。当該図には示唆画像35が表示される例を示す)。設定示唆演出の発生は、設定推測に役立つ遊技者にとって有利な事象の発生であるといえるから、短い時間が規定時間として設定される方が遊技者にとって喜ばしいといえる。
また、本実施形態では、時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することが次の規定時間に向けた時間計測の開始条件(開始条件の一つ)とされている。つまり、先のカウントダウンが終了することを契機として、新たに時間決定抽選が実行され、それによって決定された新たな規定時間に基づくカウントダウンが即座に開始される(図16(b)(c)参照)。換言すれば、本実施形態では、時間計測手段による規定時間に到達するまでの時間計測(設定示唆演出発生までのカウントダウン)が、間を置かずに連続的に発生する(時間計測手段によるカウントダウンが常時実行される)ということである。したがって、設定示唆演出が実行されている最中には、既に次の設定示唆演出の発生に向けたカウントダウンが実行されていることになる(図16(c)参照)。
本実施形態とは異なり、設定示唆演出が終了した後(設定示唆演出として表示される画像が消去された後)、次の設定示唆演出の発生に向けたカウントダウンが開始される構成としてもよい。設定示唆演出の実行中に次のカウントダウンが並行して行われると、次のカウントダウンに注目し設定示唆演出が発生していることを遊技者が見逃してしまうおそれがあるという点を懸念するのであれば、設定示唆演出の終了を待って次のカウントダウンが開始される構成としてもよい。
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達する度に設定示唆演出が発生するという斬新かつ面白みのある遊技性を有するものである。
また、本実施形態では、時間計測手段による時間の計測は、変動中演出が実行されているか否かにかかわらず継続するものであるため、始動領域904に遊技球が進入せず(当否抽選情報が取得されず)、変動中演出が実行されないことで時間の計測が停止してしまうことによる遊技者の苛立ちが抑制される。
また、本実施形態では、時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することを契機として直ぐに次の規定時間に向けた計測が開始される(常時規定時間に向けた時間の計測が行われている)ため、どのようなタイミングで遊技しても規定時間到達に向けたカウントダウンが実行されているということになる。
以下、設定示唆演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例3-1
上記実施形態では、変動中演出が実行されているか否かにかかわらず時間計測手段による計測が継続する(待機状態や大当たり遊技状態であっても時間の計測が継続する)ことを説明したが、変動中演出が実行されているときには計測が継続するものの、変動中演出が実行されていないときには計測が停止する構成としてもよい。変動中演出が実行されていないときにも計測が継続する構成とすると、待機状態中においては遊技せずに規定時間到達を待って設定示唆演出を発生させる遊技者が発生するおそれがあるし、大当たり遊技状態中においては意図的に大当たり遊技の進行を遅らせ(遊技球の発射速度を低下させ)、大当たり遊技に要する時間を長くするおそれがあるから、このような遊技(遊技の停止や、遊技の進行を遅らせる遊技態様)がなされてしまうことを防止するため、変動中演出が実行されていないときには時間の計測が停止するものとする。なお、本例のようにした場合、設定示唆演出の発生が変動中演出中に限られるという構成となる。ただし、上記実施形態のように変動中演出が実行されていないときにも時間の計測が継続する構成とすれば、変動中演出が実行されない(始動領域904に遊技球が進入しない)ことによる遊技者の苛立ちが抑制されるという利点がある。
待機状態中および大当たり遊技状態中の一方については時間の計測が継続するものの、他方については時間の計測が継続しない構成としてもよい。例えば、待機状態中においては時間の計測が停止するものの、大当たり遊技状態中においては時間の計測が継続する構成としてもよい。大当たり遊技は、大入賞領域906が閉鎖条件成立まで開放される単位遊技(ラウンド)が複数回繰り返されるものであり、規定個数(いわゆる「カウント」として設定される個数)の遊技球が進入する(進入条件)こと、および、大入賞領域906が開放されてから所定時間が経過すること(時間条件)のいずれか一方の成立が閉鎖条件として設定されるものである。遊技球の発射速度を低下させた場合、時間条件の成立により単位遊技が終了してしまうおそれがある(「カウント」数に応じた利益が得られないおそれがある)ところ、このようなリスクを負う遊技者は少ないと考えられる。つまり、大当たり遊技の進行を意図的に遅らせる遊技者は少ないと考えられる。よって、大当たり遊技状態中については時間の計測が継続する設定としてもよい。
〇具体例3-2
複数種の設定示唆演出が発生しうる構成であることを前提とした上で、規定時間到達を契機として発生する設定示唆演出は一種のみ(当該一種の設定示唆演出を対象示唆演出と称する)である構成とする。つまり、複数種の設定示唆演出のうち、規定時間到達を契機として発生するのは対象示唆演出のみであり、それ以外の種類の設定示唆演出は発生しない(規定時間到達とは異なる別の事象を契機として発生しうる設定示唆演出である)構成とする。換言すれば、規定時間到達を契機として発生する設定示唆演出(対象示唆演出)は、それ以外を契機としては発生することがない「専用の設定示唆演出」である構成とする。
例えば、現状設定に応じ、示唆画像A~Dのうちのいずれかが表示されることが抽選により決定されるものとする(図17参照;現状設定に応じて、示唆画像A~Dが表示される確率(振分)が決まっている)。つまり、規定時間到達時に、いずれの種類の示唆画像が表示されるかに応じ、現状設定を示唆する演出が対象示唆演出として発生するものとする。この場合において、示唆画像A~Dは、規定時間到達を契機としてしか表示されない(それ以外の事象を契機として表示されることがない)ものとする。
このようにすることで、規定時間到達を契機として発生する設定示唆演出(対象示唆演出)とそれ以外の設定示唆演出とは、異なる種類の設定示唆演出であるとして明確に区別することができる(混同しにくくなる)から、対象示唆演出に基づく設定推測がしやすくなるという利点がある。
〇具体例3-3
上記実施形態では、規定時間到達を契機として設定示唆演出が発生することを説明したが、規定時間到達を契機として設定示唆演出が発生しない場合もある構成とする。具体的には、規定時間到達を契機として抽選(示唆実行抽選)が実行され、当該示唆実行抽選に当選した場合には設定示唆演出が発生するものの、当該示唆実行抽選に当選しなかった場合には設定示唆演出が発生しない構成とする。
本例のようにする場合、示唆実行抽選に当選する確率が現状設定に応じて異なる構成としてもよい。このようにすることで、規定時間到達時に設定示唆演出が発生するか否かも設定推測に役立つ遊技性となる。例えば、現状設定が高設定であるほど示唆実行抽選に当選する確率が高い設定とすることが考えられる。このようにすることで、高設定ほど実際に設定示唆演出が発生する作用が享受しやすい、すなわち設定推測が容易になるという構成となる。これとは逆に、現状設定が低設定であるほど示唆実行抽選に当選する確率が低い設定とすれば、低設定ほど設定推測が容易になるという構成となる。
4)演出モード
4-1)演出モードの種類
本実施形態では、通常遊技状態中における変動中演出の態様を決定する要素である複数種の演出モード(「ステージ」等とも称される)が搭載されている。変動中演出は、複数種の演出モードのうちのいずれが設定されているか(以下、ある時点において設定されている演出モードを、現モードと称することもある)に応じて異なることになる。なお、当該演出モードは、遊技者の直接的な利益(出玉)に影響を及ぼすものではない。すなわち、いずれの演出モードが現モードとして設定されていても、当否抽選結果が大当たりであれば最終的には大当たりが報知されるし、はずれであれば最終的にははずれが報知される。
本実施形態における複数種の演出モードは、モチーフとしている「キャラクタ」が異なるものである。キャラクタAをモチーフとした演出モードA、キャラクタBをモチーフとした演出モードB、キャラクタCをモチーフとした演出モードC、キャラクタDをモチーフとした演出モードDの四種類のうちのいずれかが現モードとして設定される。また、本実施形態では、現モードとして設定されている演出モードの種類は、表示領域911に表示される。例えば、「モード○○」(○○は現モードの種類を示す文言である)といった画像(図示省略)が表示される。よって、遊技者は、現モードとされている演出モードの種類を容易に判別することができる。
本実施形態では、複数種の候補となる演出モード(以下、候補モードと称する)うちから好みの演出モードを現モードとして遊技者が任意に選択することが可能である。ここで、上述した演出モードA~Dのうち、演出モードA~Cについては常時現モードとして選択可能であるが、演出モードDについては以下に示す特定条件を満たした場合にしか選択可能とはならない。つまり、特定条件が成立していない場合には、演出モードA~Cの三種が候補モードとなる(図18(a)参照)が、特定条件が成立している場合には演出モードA~Dの四種が候補モードとなる(図18(b)参照)ということである。以下の説明においては、特定条件の成立の有無にかかわらず選択可能な演出モードA~Cを通常モードと、特定条件の成立時に選択可能となる演出モードDを特定モードと称することもある。また、演出モードA~Cの三種が選択可能な状態(通常モードが選択可能であるが、特定モードは選択できない状態)を通常選択可能状態と、演出モードA~Dの四種が選択可能な状態(通常モードに加え、特定モードが選択可能な状態)を特定選択可能状態と称することもある。
遊技者による現モードの選択方法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、遊技機1に設けられた操作手段の操作により変動中演出が実行されている最中であっても現モードを変更することができる。本実施形態では、操作手段である十字キー(図示せず)の左右を操作することで、現モードとされる演出モードの種類が変化する(候補モードの範囲で変化する)ことになる。表示領域911には、少なくとも現モードとされる演出モードの種類を示すサポート表示40が表示される(なお、演出モードに関する図面以外の図面においては当該サポート表示40の図示を省略する)(図18参照)。
ただし、変動中演出中に所定の禁止条件が成立した場合には変更不可能となる構成(例えば、リーチが成立した場合には変更不可能となる構成)としてもよい。また、ある変動中演出中に変更操作を行った場合、次の変動中演出(次変動)から当該変更が反映される構成としてもよい。
4-2)演出モードを利用した特定先読み演出
本実施形態では、記憶手段に記憶されている一または複数の保留情報(当否抽選情報)に、特定情報が含まれるか否かが常時判断される。特定情報以外の保留情報(当否抽選情報)を通常情報とすると、通常情報に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性よりも、特定情報に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高い。つまり、特定情報は、いわゆる「チャンス保留」であるということができる。なお、本実施形態では、通常情報の存在を示す保留図柄70の態様と、特定情報の存在を示す保留図柄70の態様は同じである(いずれも基本の態様とされる)。つまり、通常情報と特定情報とは、それぞれを表す保留図柄70について視覚的に差はない。よって、保留図柄70を見ただけでは、各保留図柄70に対応するのが通常情報であるのが特定情報であるのかは区別できない。端的いえば、特定情報が取得されたことは、遊技者に対し明確に報知されないということである。
記憶手段に記憶されている保留情報に、特定情報が含まれていない場合には通常選択可能状態(図18(a)参照)とされ、特定情報が含まれている場合には特定選択可能状態(図18(b)参照)とされる。具体的には、ある変動中演出が実行されている最中に特定情報が取得された場合において、当該ある変動中演出が終了した後も当該特定情報が保留情報として記憶手段に記憶されている場合には、少なくとも、当該ある変動中演出が終了した後、特定情報に対応する変動中演出が実行される前まで特定選択可能状態とされる。特定情報に対応する変動中演出が実行されている最中も特定選択可能状態とされる構成としてもよい。
つまり、本実施形態では、取得済みの保留情報に特定情報が存在しない場合には特定モード(演出モードD)は選択不能である(図18(a)参照)が、特定情報が存在する場合には特定モード(演出モードD)が選択可能となる(図18(b)参照)。遊技者視点でみれば、常態において選択不能である演出モードDが、「チャンス保留」である特定情報が取得されることを条件として選択可能となるということである。すなわち、演出モードDが選択可能状態となる(特定選択可能状態となる)ことは、保留内での大当たりに期待がもてるいわゆる先読み演出(特定先読み演出)として機能するということである。
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、常態(通常選択可能状態)においては選択できない演出モード(演出モードD)が選択可能となること(特定選択可能状態となること)が、保留内での大当たり当選に期待できることを示唆するという面白みのある遊技性を有するものである。
以下、演出モード(特定先読み演出)に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例4-1
特定情報は、大当たり確定となる保留情報であってもよい。つまり、選択可能な候補モードに特定モード(演出モードD)が含まれる特定選択可能状態となった場合、記憶手段に記憶されている保留情報のうちのいずれかに対応する当否抽選結果が大当たりとなる設定としてもよい。このようにした場合、特定先読み演出は大当たり確定の先読み演出として機能することになる。
〇具体例4-2
上記実施形態では、保留情報に特定情報が含まれるか否かで特定選択可能状態となるか否かが決まることを説明したが、保留情報だけではなく、現在実行されている変動中演出に対応する当否抽選情報(いわゆる「当該変動(保留)」)も含め、記憶手段に記憶されている当否抽選情報に特定情報が含まれるか否か判断され、特定情報が含まれる場合には特定選択可能状態となる構成としてもよい。このようにした場合には、特定選択可能状態となることは、現在実行されている変動中演出に対応する当否抽選結果が大当たりになる蓋然性が高まったことを示唆する演出にもなる。すなわち、保留についての当否抽選結果示唆、すなわち先読み演出としての機能だけでなく、「当該変動」についての当否抽選結果示唆機能も発現することになる。
「当該変動」に対応する当否抽選情報のみが判断の対象とされる(保留情報は判断の対象から除かれる)構成としてもよい。つまり、「当該変動」に対応する当否抽選情報が特定情報であれば特定選択可能状態され、通常情報であれば通常選択可能状態とされる構成としてもよい。このようにすれば、特定モード(演出モードD)が選択可能となる(候補モードとなる)ことは、先読み演出としては機能せず、「当該変動」についてのチャンスアップ演出として機能することになる。
〇具体例4-3
上記実施形態では、特定モードとして演出モードDの一種のみが設けられていることを説明したが、二種以上の特定モードが設定された構成としてもよい。
この場合、二種以上の特定モードのうち、いずれが選択可能となる(候補モードとなる)かに応じ、記憶手段に記憶されている特定情報が大当たりとなる蓋然性の高低が異なる設定としてもよい。例えば、特定モードとして、演出モードDと演出モードEの二種類が設定されているものとする。この場合において、演出モードDが選択可能となった場合(図19(a)参照)よりも、演出モードEが選択可能となった場合(図19(b)参照)の方が、特定情報(保留情報のいずれか)が大当たりとなる蓋然性が高い設定とする。
また、選択可能となる特定モードの数により、特定情報(保留情報のいずれか)が大当たりとなる蓋然性が示唆される設定としてもよい。例えば、特定モードとして、演出モードDと演出モードEの二種類が設定されていることを前提とし、演出モードDおよびEの一方が選択可能となった場合(図20(a)参照)よりも、演出モードDおよびEの両方が選択可能となった場合(図20(b)参照)の方が、特定情報(保留情報のいずれか)が大当たりとなる蓋然性が高い設定とする。
このようにすることで、特定選択可能状態となるか否かだけではなく、選択可能となった演出モード(特定モード)の種類にも遊技者が注目することになる遊技性が実現される。
〇具体例4-4
上記実施形態では、特定情報が取得されたことは遊技者に対し明確に報知されないことを説明したが、通常選択可能状態にある際(図21(a)参照)に、特定情報が取得される(図21(b)参照)ことを契機として、当該特定情報が取得されたことを示す演出(特定演出要素の出力)が発生(図21(c)参照)した上で特定選択可能状態となる(図21(d)参照)構成とする。特定演出要素は、通常情報が取得されることを契機として出力されるものではない。すなわち、特定演出要素の出力は、特定情報が取得された場合にしか発生しない固有の演出であるといえる。
特定演出要素としては種々考えられる。例えば、特定情報が取得された直後に、スピーカ60から所定の特定音が出力される(図21(c)参照)ものとすることが考えられる。つまり、「音」により特定情報の取得が遊技者に示されるものとする。
図示しないが、音ではなく、表示領域911に出力される特定画像により、特定情報の取得を示す構成としてもよい。つまり、特定演出要素として所定の特定画像が表示装置91に出力されることにより、特定情報の取得が遊技者に示されるものとする。保留図柄70自体を当該特定画像として機能させる構成としてもよい。つまり、特定情報に対応する保留図柄70の態様を特定態様(通常の態様とは異なる態様)とする。換言すれば、いわゆる保留変化演出により、特定情報が取得されたことを遊技者に示すということである。
本例のようにすることで、特定情報が取得され、特定モードが選択可能となっている(特定選択可能状態となっている)ことに遊技者が気付かないことが防止される。つまり、本例は、特定モードが選択可能となることによる当否抽選結果についての示唆機能を遊技者に対し積極的に開示する遊技性とする場合に採用すればよい。一方、上記実施形態のように特定情報が取得されたことが敢えて明確に示されないようにすれば、特定モードが選択可能となっているかどうか操作手段を操作する等して確認した遊技者のみが気付くという遊技性が実現される。
〇具体例4-5
上記の通り、現モードとされる演出モードの種類の変更は、遊技者が操作手段を操作することにより行われる。この際、表示領域911には、変更操作を行うために必要な表示(サポート表示40)がなされる。例えば、操作手段を操作することで、現設定モードとされる演出モードの名称が表示領域911に表示されることになる。遊技者は、当該表示を見つつ、好みの演出モードを現設定モードとすることになる。
このようなサポート表示40により表される各演出モードの名称について、特定モードを表す文字の態様が、それ以外の候補モード(通常モード)を表す文字の態様と異なる構成とする。上記実施形態に即していえば、演出モードDを表す文字の態様が、演出モードA~Cを表す文字の態様と異なる構成とする。なお、ここでいう「態様の違い」を構成する要素は、文字のフォントや色、大きさ等をいうものであり、文字が表す意味の違いは含まれない(例えば「あ」と「い」の違いといった文字そのもの違いは、ここでいう態様の違いに含まれない)。文字の態様について差を設定する手法としては種々考えられる。例えば、特定モードを表す文字(図22(b)参照)の方が、通常モードを表す文字(図22(a)参照)よりも大きくすることが考えられる。また、特定モードを表す文字は「赤」、通常モードを表す文字は「黒」とすることが考えられる。
本例のようにすることで、特定モードがそれ以外のモード(通常モード)とは何か異なる特殊なモードであることに遊技者が気付くきっかけになる。つまり、特定モードが選択可能とされることが何らかの示唆を行っていることに遊技者が気付く蓋然性が高まる。
〇具体例4-6
特定情報が取得されることを契機として、自動的に(遊技者が選択行動をとらなくても)特定モードに移行する構成とする(図23参照)。特定情報が取得されてすぐに自動的に特定モードに移行する構成としてもよいし、特定情報が取得された際に実行されている変動中演出の終了を契機として自動的に特定モードに移行する(次変動から特定モードに移行する)構成としてもよい(図23には、特定情報が取得されてすぐに特定モードに移行する例を示した)。
ただし、特定モードに移行した後も、別の演出モード(通常モード)に遊技者が変更することは可能であるとする(図23(c)参照)。すなわち、特定モードに自動的に移行するものの、遊技者が当該特定モードを終了させることは可能であるとする。自動的に特定モードに移行した後、別の演出モード(通常モード)に変更し、再び特定モードに変更することも可能である。本例のように、特定情報が取得された際、一旦は自動的に特定モードへの移行が発生するようにすることで、何らかの示唆がなされていることを遊技者に気付かせることができる。
なお、「チャンス保留」が取得されることを契機として自動的にモード移行(ステージ移行)が生じる構成自体は公知であるが、本例のように自動的に特定モードに移行した後、遊技者の選択により当該特定モードを終了させること(別の演出モードに変更すること)ができる構成は公知ではない。
5)予告演出
5-1)予告演出の種類
本実施形態では、変動中演出を構成する演出として予告演出が発生することがある。予告演出は、複数種の予告画像50(図24参照)のうちのいずれかが表示領域911に表示されるものである。本実施形態における当該予告画像50は「アイテム」を表すものとされる。本実施形態で表示されうる予告画像50(アイテム)の種類(一部のみ例示して示す)は以下の通りである。以下に示す予告画像50以外の予告画像50が表示されうる構成としてもよいし、以下に示す予告画像50の一部が表示されない構成としてもよい。
(A)色変化予告画像51(図24(a)参照;図面においては「赤」の文字を含むものとして示す)
同じ変動中演出にて、対象の演出画像(対象画像)の色が変化することを予告する。本実施形態では、対象画像の色を赤色に変化させる。対象画像の色としては、少なくとも、基準色(赤色ではない)および赤色が設定されており、基準色とされた場合よりも赤色とされた場合の方が、大当たり信頼度が高くなるように設定されている。なお、対象画像は一種類のみではない。
(B)疑似連予告画像52(図24(b)参照;図面においては「疑」の文字を含むものとして示す)
同じ変動中演出にて、「疑似連」(疑似連続演出)が発生することを予告する。疑似連自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、変動する装飾図柄80が一旦疑似停止した(停止したかのようにみせかけた)後、再び変動を開始することを一回の単位演出とするものである。当該単位演出の発生回数が多くなるほど大当たり信頼度は高い。
(C)特別リーチ予告画像53(図24(c)参照;図面においては「特」の文字を含むものとして示す)
同じ変動中演出にて、特別リーチ演出が発生することを予告する。特別リーチ演出自体の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、遊技者側のキャラクタ(味方キャラクタ)と敵キャラクタが戦い、当否抽選結果が大当たりである場合には味方キャラクタが勝利する結末に、はずれである場合には味方キャラクタが敗北する結末に至るものである。
なお、各予告画像50によって発生が予告される事象(演出)は、いずれも遊技者にとって有利な事象(大当たり信頼度が高まったことを示す事象)である。また、各予告画像50によって発生が予告される事象は、予告画像50が表示されずに発生する可能性があるものである。すなわち、予告画像50の表示が発生の必須条件とされたものではない。また、本実施形態では、ある変動中演出(対象変動中演出)にて表示された予告画像50は、少なくとも当該予告画像50に対応する事象が発生するまでは表示され続ける。
5-2)予告演出の態様(通常態様、特殊態様)
予告演出の態様は、大きく、通常態様と特殊態様に区分けされる。通常態様は、対象変動中演出にてある種の予告画像50が表示された後、当該ある種の予告画像50に対応する結果事象(各予告画像50により発生が予告される事象;以下、通常結果事象と称することもある)が対象変動中演出にて発生するものである。つまり、一般的な予告演出と同様の態様である。
特殊態様は、ある種の予告画像50(先の予告画像50)が表示された後、当該ある種の予告画像50に対応する結果事象(通常結果事象)が発生しない状態で、当該ある種の予告画像50とは異なる種類の予告画像50(後の予告画像50)が表示され、先の予告画像50と後の予告画像50の組み合わせに対応する結果事象(以下、特殊結果事象と称することもある)が対象変動中演出にて発生するものである。つまり、ある種の予告画像50(先の予告画像50)が表示された上で、その予告画像50に対応する結果事象(通常結果事象)がそのまま発生するのではなく、その後に表示された別種の予告画像50(後の予告画像50)と組み合わされた上で、その組み合わせに応じた結果事象(特殊結果事象)が発生するものである。遊技者には、先の予告画像50(アイテム)と後の予告画像50(アイテム)とが合成された結果、予告される事象が変化するかのように見える演出形態となる。
本実施形態では、通常態様の予告演出が発生した場合よりも、特殊態様の予告演出が発生した場合の方が対象変動中演出に対応する当否抽選結果の大当たり信頼度は高い。したがって、遊技者は、ある種の予告画像50が表示された場合、当該予告画像50に対応する結果事象(通常結果事象)が発生せず、別種の予告画像50が表示される(その結果として特殊結果事象が発生する)ことを願う演出形態となる。
例を挙げて通常態様および特殊態様を説明する。対象変動中演出にて、色変化予告画像51が表示されたとする(図25(a)、図26(a)参照)。この時点においては、遊技者には、予告演出が通常態様となるか特殊態様となるか判別できない。通常態様となる場合、色変化予告画像51が表示された(図25(a)参照)後、当該色変化予告画像51に対応するチャンスアップ演出である、対象画像の色変化が一回は発生する。例えば、表示されるキャラクタのセリフが黒文字(デフォルトの態様)(図25(b)参照)から赤文字(チャンスアップの態様)(図25(c)参照)に変化するチャンスアップ演出が一回は発生する。つまり、対象画像が「赤」に変化するというチャンスアップ演出が最低一回は発生する(色変化予告画像51が表示されることに起因して発生するチャンスアップ演出は一回である)ことが通常結果事象である。なお、本実施形態における通常態様は、予告画像に対応するチャンスアップ演出は一回だけ発生するものである。
一方、特定態様となる場合、先の予告画像50として色変化予告画像51が表示された(図26(a)参照)後、後の予告画像50としてそれとは異なる種類の予告画像50が表示されることになる。例えば、後の予告画像50として疑似連予告画像52が表示されたとする(図26(b)参照)。この場合、疑似連(最初の単位演出)発生(図26(c)参照)後に表示される対象画像が二回以上「赤色」に変化する。例えば、疑似連発生後に表示されるキャラクタのセリフが黒文字(デフォルトの態様)(図27(a)参照)から赤文字(チャンスアップの態様)(図27(b)参照)に変化するだけでなく、その後発生するカットイン画像の枠の色も黒(デフォルトの態様)(図27(c)参照)から赤(チャンスアップの態様)(図27(d)参照)に変化する。その他、「赤」で表示されることがチャンスアップとされている対象画像が表示されるのであれば、当該対象画像についても「赤」への変化が生じる。つまり、画像の色として複数種の候補色が設定されており、「赤」が表示されることがチャンスアップとされている画像が赤に変化することが複数回発生する。このように、色変化予告画像51に対応する対象画像が「赤色」に変化するチャンスアップ演出が、最初の単位演出(疑似連)発生後、最低二回は発生することが特殊結果事象である。
なお、先の予告画像50として疑似連予告画像52が表示された後、後の予告画像50として色変化予告画像51が表示された場合も同様である。
このように、特殊態様は、先の予告画像50が表示された後、後の予告画像50が表示され、先の予告画像50および後の予告画像50の一方に対応するチャンスアップ演出(上記の例でいえば疑似連)が発生した後、先の予告画像50および後の予告画像50の他方に対応するチャンスアップ演出(上記の例でいえば対象画像の「赤」への色変化)が二回以上発生するものであるといえる。色変化予告画像51が表示される通常態様の予告演出と、先の予告画像50または後の予告画像50として色変化予告画像51が表示される特殊態様の予告演出とを比較すれば、前者は色変化予告画像51に対応するチャンスアップ演出が最低一回であるのに対し、後者は色変化予告画像51に対応するチャンスアップ演出が最低二回であるという点で相違することになる。
なお、本実施形態では、通常態様および特殊態様のいずれであっても対象画像の色の「変化」(黒→赤といった変化)が示されるが、このような「変化」が示されない構成としてもよい。すなわち、対象画像が最初から「赤」で表示される(最初から「赤」で表示されることがチャンスアップ演出である)設定としてもよい。
別例として、先の予告画像50および後の予告画像50の一方として色変化予告画像51が表示され(図28(a)参照)、他方として特別リーチ予告画像53が表示される(図28(b)参照)特殊態様の予告演出が発生した場合には、特別リーチ演出が発生する(図28(c)参照)というチャンスアップ演出が発生した後、特別リーチ演出が開始された後に表示される対象画像が「赤」に変化するチャンスアップ演出が二回以上発生する(図29参照)ことになる。
なお、疑似連予告画像52が表示される通常態様の予告演出が発生した場合には、疑似連というチャンスアップ演出の発生は確定するものの、疑似連後に表示される対象画像が「赤」となるチャンスアップ演出の発生は確定しない(「確定」しないだけであり、発生する可能性はある)。同様に、特別リーチ予告画像53が表示される通常態様の予告演出が発生した場合には、特別リーチ演出というチャンスアップ演出の発生は確定するものの、特別リーチ演出の開始後に表示される対象画像が「赤」となるチャンスアップ演出の発生は確定しない(「確定」しないだけであり、発生する可能性はある)。したがって、対象変動中演出にて、疑似連予告画像52や特別リーチ予告画像53が色変化予告画像51を伴わずに(それぞれが単独で)表示された場合よりも、疑似連予告画像52や特別リーチ予告画像53が色変化予告画像51を伴って表示された場合の方が大当たり信頼度は高いことになる。
このように、本実施形態における予告演出は、ある種の予告画像50が表示され、そのまま当該予告画像50に対応する通常結果事象が発生する場合(通常態様となる場合)のみならず、ある種の予告画像50(先の予告画像50)が表示された後、別種の予告画像50(後の予告画像50)が表示され、先の予告画像50と後の予告画像50の組み合わせに対応する特殊結果事象が発生する場合(特殊態様となる場合)もあるから、ある種の予告画像50が表示された後も目が離せない面白みのある遊技性が実現される。
以下、予告演出(予告画像50)に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例5-1
特殊態様の予告演出が発生する場合、先の予告画像50(図30(a)参照)および後の予告画像50(図30(b)参照)が表示された後、先の予告画像50の種類と後の予告画像50の種類に応じた予告画像50(以下、特殊予告画像50sと称する)が表示される(図30(c)参照)ものとする。例えば、先の予告画像50と後の予告画像50が組み合わされたもの(合成されたもの)が特殊予告画像50sとして表示される構成とする。なお、特殊予告画像50sが表示された後は、先の予告画像50と後の予告画像50が消去される構成とすることが好ましい。このようにすることで、特殊予告画像50sは、先の予告画像50と後の予告画像50が元となって生じたものであることを印象付けることができる。
特殊予告画像50sは、先の予告画像50の種類を示す要素と、後の予告画像50の種類を示す要素の両方を含むものであることが好ましい。つまり、特殊予告画像50sは、それの元となった先の予告画像50の種類と後の予告画像50の種類が把握できるような態様であることが好ましい(図30(c)においては、色変化予告画像51と疑似連予告画像52が元となった特殊予告画像50sを「色/疑」と表している)。
本例のように、特殊態様の予告演出の発生時には予告画像50が組み合わされる(合成される)かのような表示がなされるようにすれば、特殊態様の予告演出が、通常(通常態様の予告演出)とは異なる演出であることが明確に示されることになる。
〇具体例5-2
上記実施形態では、対象変動中演出にて、ある種の予告画像50(先の予告画像50)が表示された後、それとは異なる種類の予告画像50(後の予告画像50)が表示された場合、予告演出は特殊態様となる(先の予告画像50と後の予告画像50の組み合わせに対応する特殊結果事象が発生する)こと、すなわち一の変動中演出にて二種の予告画像50が表示された場合には特殊結果事象が発生する結果に至ることを説明したが、一の変動中演出にて二種の予告画像50が表示された場合(図31参照)に、特殊結果事象が発生せずに、二種の予告画像50のそれぞれに対応する通常結果事象が発生する(図32参照)結果に至る可能性もある構成としてもよい。
すなわち、対象変動中演出にて、第一予告画像50とそれとは異なる第二予告画像50が表示された場合のパターンとして、
(1)第一予告画像50と第二予告画像50の組み合わせに対応する特殊結果事象が発生するパターン(図26、27や図28、29参照)と、
(2)第一予告画像50に対応する通常結果事象、第二予告画像50に対応する通常結果事象がそれぞれ発生するパターン(図31、32参照)
のいずれかが発生するものとする。
仮に、第一予告画像50が色変化予告画像51であり、第二予告画像50が疑似連予告画像52であるとした場合、(1)のパターンは『「疑似連」+「色変化最低二回」』が発生することになり(図26、27参照)、(2)のパターンは『「疑似連」+「色変化最低一回」』が発生することになる(図31、32参照)ため、(1)のパターンの方が、(2)のパターンよりも遊技者にとって有利である(大当たり信頼度が高い)といえる。
本例のようにすることで、一の変動中演出にて二種の予告画像50が表示された場合であっても、特殊結果事象が発生するとは限らないから、二種の予告画像50が表示された後の帰趨にも遊技者が注目する遊技性が実現される。
〇具体例5-3
予告演出(予告画像50の表示)の発生に起因するチャンスアップ演出(結果事象)の発生かどうかが区別できるようにする(以下、予告演出の発生に起因して発生する演出を対象演出、それ以外の演出を非対象演出と称する)。具体的には、予告演出は「アイテム」である予告画像50が表示される演出であるところ、当該「アイテム」を用いたタイミングが容易に把握できるようにするための演出(契機演出)(図33(b)参照)を発生させる。例えば、対象演出の発生時には、一時的に対応する予告画像50が拡大して表示されるものとする。上記実施形態に即して言えば、対象画像の「赤」への変化が実行される際には色変化予告画像51が拡大表示され、疑似連が実行される際には疑似連予告画像52が拡大表示され、特別リーチ演出が実行される際には特別リーチ予告画像53が拡大表示されるという契機演出を発生させる。
図示しないが、非対象演出の発生時には、このような予告画像50が拡大表示されることはない。つまり、契機演出は、対象演出の発生時にはそれに伴って発生するものの、非対象演出の発生時には発生しないものである。このようにすることで、当該対象演出が予告演出により予告された演出(結果事象)であるということを容易に把握することができる。
〇具体例5-4
予告演出により予告された結果事象が発生することを契機として対応する予告画像50が消去されるものとする。例えば、色変化予告画像51が表示される通常態様の予告演出(図34参照)が発生した場合には、一回の対象画像の色変化が示されたこと(通常結果事象の発生)を契機として色変化予告画像51が消去される(図34(c)参照)。また、例えば、色変化予告画像51および疑似連予告画像52が表示される特殊態様の予告演出(図35、36参照)が発生した場合には、疑似連(最初の単位演出)の発生が示されたことを契機として疑似連予告画像52が消去され(図35(c)、図36(a)参照)、それ以降に発生する二回以上の対象画像の色変化が示されたことを契機として色変化予告画像51が消去される(図36(d)参照)構成とする。つまり、特殊結果事象を構成する全てのチャンスアップ演出が発生することを契機として二つの予告画像50の両方ともが消去された状態となる。
なお、特殊態様の予告演出が発生した場合に、具体例5-1のような特殊予告画像50sが表示される構成とするのであれば、特殊結果事象を構成する全てのチャンスアップ演出が発生することを契機として特殊予告画像50sが消去されるようにすればよい。
本例のようにすることで、予告演出の予告対象である結果事象が既に発生しているか否か(アイテムが用い尽くされたか否か)の判別が容易になる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態にかかる遊技機1はぱちんこ遊技機であるが、ぱちんこ遊技機特有の構成を除き、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1-1
所定の範囲を動作可能な可動体と、当否抽選に当選しなくても所定の移行条件が成立した場合に、通常遊技状態から当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な条件発動遊技状態に移行させる遊技状態移行手段と、前記移行条件の成立よりも前に成立する事前条件の成立を契機として前記可動体を動作させ、前記移行条件の成立までの遠近を示唆する可動示唆演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、可動体により、移行条件の成立までの遠近を判別することが可能になる。
・手段1-2
前記移行条件は、前記通常遊技状態にて所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることで成立するものであり、前記事前条件の成立は、前記移行条件の成立までに必要な残りのはずれ回数である残回数が特定回数以下となることであることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、可動体により、残回数が特定回数以下であるか否かを判別することが可能になる。
・手段1-3
前記可動体は、前記事前条件の成立を契機として原位置とは異なる特定位置まで動作し、前記移行条件の成立まで当該特定位置に位置し続けることを特徴とする請求項1または手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、可動体が特定位置に位置しているか否かにより、移行条件成立までの遠近を判別することが可能になる。
・手段1-4
前記可動体は、原位置と進出位置とを往復動作可能に設けられたものであり、前記特定位置は、当該原位置と進出位置との間の位置であることを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
このようにすることで、可動体が特定位置に位置することが、信頼度示唆の演出等として発生していると遊技者が勘違いしてしまうおそれが低減される。
・手段1-5
前記可動体は、筐体上部に設けられ、原位置から離れるにつれて上方に向かうよう動作するものであることを特徴とする手段1-1から手段1-4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、移行条件の成立まで比較的近い遊技機が目立つ状態となる(空台を探している遊技者の参考になり、遊技の促進に資する)。
・手段2-1
所定の移行条件の成立を契機として移行し、当否抽選結果がX回連続してはずれとなることで終了する条件発動遊技状態が設定された遊技機であって、前記条件発動遊技状態に移行する前の移行前状態にて、前記移行条件の成立に近づくに従い増加し、前記移行条件が成立するときに値が前記Xに到達する特定数値が表示され、前記条件発動遊技状態に移行後、当否抽選結果がはずれとなる度に前記特定数値が減少することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、移行条件の成立(条件発動遊技状態への移行)に近づくに従い特定数値が増加し、条件発動遊技状態に移行した後は当該特定数値が条件発動遊技状態の残回数(終了までのはずれ回数)を示すという斬新な遊技性が実現される
・手段2-2
前記特定数値が増加して前記Xに到達した後、当該特定数値が減少に転じることを示す切替画像が表示されることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、移行前状態にて増加していた特定数値が、条件発動遊技状態にて減少に転ずることを分かりやすく示すことが可能である。
・手段2-3
前記移行前状態にて、当否抽選結果がはずれとなる度に前記特定数値が増加することを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
このようにすることで、特定数値は、移行前状態における回転数(連続するはずれの回数)を示すものとして機能することになる。
・手段2-4
前記移行前状態にて、当否抽選結果が前記X回連続してはずれとなることが、前記移行条件の成立であることを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、条件発動遊技状態に移行するために必要な移行前状態でのはずれ回数と、条件発動遊技状態が終了するまでのはずれ回数(継続回数)が同じであれば、移行条件が成立したときには特定数値がちょうど継続回数に到達していることになるため、条件発動遊技状態にて当該特定数値をそのまま減少させていけばよいことになる。
・手段3-1
複数の遊技設定のうちのいずれが現状設定とされるかに応じ、遊技者が享受する利益の期待値が異なる遊技機であって、時間を計測する時間計測手段と、前記時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することを契機として、前記現状設定を示唆する設定示唆演出を発生させる演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、規定時間の経過により設定示唆演出が発生するという面白みのある遊技性が実現される。
・手段3-2
前記規定時間に至るまでの残り時間を表す時間画像が表示装置に表示されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このようにすることで、設定示唆演出が発生するまでの残り時間を容易に把握することができる。
・手段3-3
当否抽選結果を報知する変動中演出が実行されているか否かにかかわらず前記時間計測手段による計測が継続し、前記規定時間に到達しうることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
このようにすることで、変動中演出が実行されなくても計測は継続する(規定時間に近づく)ため、変動中演出が実行されず遊技者が苛立ってしまうおそれが低減される。
・手段3-4
当否抽選結果を報知する変動中演出が実行されている間は前記時間計測手段による計測が継続するものの、前記変動中演出が実行されていない間は前記時間計測手段による計測が停止し、前記規定時間に到達することがないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技を行わずに規定時間到達を待つ遊技者が発生してしまうことが防止される。換言すれば、設定示唆演出を発生させるためには遊技を行わなければならない(変動中演出が実行されなければならない)から、遊技の促進に資する。
・手段3-5
前記時間計測手段により計測される時間が規定時間に到達することを契機として新たな規定時間が抽選により決定されるとともに当該新たな規定時間に到達するまでの前記時間計測手段による時間の計測が開始されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、規定時間到達に向けた時間計測が常時行われているという遊技性が実現される。
・手段4-1
装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止するまでの変動中演出の演出モードを、複数種の候補モードのうちから遊技者が任意に選択することが可能な遊技機であって、当否抽選に用いられる当否抽選情報を、所定数を限度として記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶される前記当否抽選情報に特定情報が存在する場合には、複数種の前記候補モードに特定モードが含まれる特定選択可能状態となる一方、前記記憶手段に記憶される前記否抽選情報に前記特定情報が存在しない場合には、複数種の前記候補モードに前記特定モードが含まれない通常選択可能状態となることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定情報が取得された場合にしか選択できない演出モード(特定モード)があるという面白みのある遊技性が実現される。
・手段4-2
前記特定選択可能状態にある場合の方が、前記通常選択可能状態にある場合よりも、前記記憶手段に記憶されている前記当否抽選情報のうちのいずれかに対応する当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が高いことを特徴とする手段4-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定モードが選択可能となることがチャンスであることを示すという遊技性が実現される。
・手段4-3
前記特定情報が取得されることを契機として、前記特定情報ではない前記当否判定情報が取得されることを契機としては出力されない演出要素である特定演出要素が出力されることを特徴とする手段4-1または手段4-2に記載の遊技機。
このようにすることで、特定情報が取得されたこと(特定モードが選択可能となったこと)に遊技者が気付きやすくなる。
・手段4-4
前記演出モードを変更する際に表示装置に表示される前記特定モードを表す文字の態様が、それ以外の前記候補モードを表す文字の態様と異なることを特徴とする手段4-1から手段4-3に記載の遊技機。
このように、演出モードを変更する際における特定モードを示す表示(文字)を、特定モードが特殊なモードであることを示唆する要素として利用することができる。
・手段5-1
装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止するまでの変動中演出を構成するものとして、複数種の予告画像のうちの少なくとも一つが表示される予告演出を実行する遊技機であって、前記予告演出の態様として、ある予告画像が表示された後、当該ある予告画像に対応する通常結果事象が発生する通常態様と、先の予告画像が表示された後、当該先の予告画像と異なる種類である後の予告画像が表示され、当該先の予告画像と後の予告画像の組み合わせに対応する特殊結果事象が発生する特殊態様と、が設定されていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、予告画像が表示された後、さらに予告画像が表示されるか否かにより発生する結果事象が異なるという面白みのある遊技性が実現される。
・手段5-2
発生することで当否抽選結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示すチャンスアップ演出が実行可能であり、前記通常態様の前記予告演出が発生した場合には、前記通常結果事象として、前記ある予告画像に対応するチャンスアップ演出が最低一回は発生する一方、前記特殊態様の前記予告演出が発生した場合には、前記特殊結果事象として、前記先の予告画像および前記後の予告画像の一方に対応するチャンスアップ演出が発生した後、前記先の予告画像および前記後の予告画像の他方に対応するチャンスアップ演出が最低二回は発生することを特徴とする手段5-1に記載の遊技機。
このように、特殊態様の予告演出は、通常態様の予告演出に比してその後発生するチャンスアップ演出の発生回数が多い設定とし、通常態様よりも特殊態様の方が遊技者が有利な構成とすることが考えられる。
・手段5-3
前記特殊態様の前記予告演出の発生時には、前記先の予告画像と前記後の予告画像とを組み合わせた特殊予告画像が表示されることを特徴とする手段5-1または手段5-2に記載の遊技機。
このようにすることで、特殊態様の予告演出が発生すること(先の予告画像と後の予告画像が組み合わされた予告であること)が分かりやすくなる。
・手段5-4
第一予告画像が表示された後、当該第一予告画像とは異なる種類の第二予告画像が表示されたときであっても、前記特殊結果事象が発生せずに、当該第一予告画像に対応する前記通常結果事象と、当該第二予告画像に対応する前記通常結果事象とが発生する場合があることを特徴とする手段5-1から手段5-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、二種の予告画像が表示された場合でも特殊結果事象が発生するとは限らない構成とすることで、二種の予告画像が表示された後の展開に注目する遊技性が実現される。