JP7363462B2 - 材料評価方法 - Google Patents
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Description
材料評価の方法について説明する前に、本実施形態にかかる材料評価方法で、評価の対象となる材料組織の均一性について、説明する。
本実施形態にかかる材料評価方法においては、画像準備工程、統計処理工程、評価工程をこの順に実施する。
まず、画像準備工程において、評価対象材の評価に用いる対象画像を準備する。そのために、画像準備工程においては、観察像取得工程を実行する。さらに、画像処理工程を、適宜実行する。
画像準備工程においては、まず、観察像取得工程を実行する。観察像取得工程では、評価対象材の材料組織に対して、観察像を取得する。観察像の取得は、写真撮影、顕微鏡観察等、どのような方法で行っても構わない。顕微鏡観察としては、金属顕微鏡等の光学顕微鏡、SEM等の電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等のプローブ顕微鏡等を用いることができる。材料組織の均一性として、結晶粒や結晶粒集合体の化学状態における均一性を評価する場合には、結晶粒や結晶粒集合体程度の大きさの組織を観察するのに適しており、また、結晶粒や結晶粒集合体における化学状態の差を画像強度の差として検出しやすいという点で、SEM等の電子顕微鏡を用いることが好適である。観察像の取得は、評価対象材のどのような部位に対して行ってもよく、表面、断面等を、観察箇所として例示することができる。酸化等の表面変成の影響を避ける観点からは、断面に対して観察像の取得を行うとよい。
画像処理工程においては、観察像取得工程で得られた観察像に対して、以降の各工程の精度や簡便性を高めるための画像処理を施す。
二値化工程においては、閾値を設定して、観察像中の各画素の強度に対して、二値化を行い、二値化像を得る。
次に、平滑化工程を実行し、二値化工程で得られた二値化像に対して、各画素の強度を平滑化し、処理像を得る。
統計処理工程においては、画像準備工程で準備した対象画像に対して、強度分布を解析するための統計処理を行う。
強度整理工程においては、対象画像において、所定の強度が得られている画素の数を、強度の関数として整理して、強度分布関数を得る。つまり、図1(d)に示すように、強度を横軸にとった場合に、対象画像中で所定の強度値を示している画素の数を数え、その数を縦軸にとったものが、強度分布関数となる。強度分布関数は、対象画像中で、各強度がどのような頻度で出現しているのかを示すものとなる。多くの場合、強度分布関数は、図1(d)のように、頂点の両側にある程度の幅をもって広がった山状の分布をとる。
次に、得られた強度分布関数に対して、強度のばらつきの程度を評価する。つまり、強度分布関数が、どの程度の強度範囲にわたって分布しているかを、評価する。強度のばらつきの幅を定量的に示すものであれば、ばらつきの指標として、どのようなパラメータを用いてもよい。ばらつきの指標となるパラメータとして、標準偏差、半値全幅、変動係数、尖度等を例示することができる。標準偏差や半値全幅、また変動係数が小さいほど、強度分布関数の幅が狭く、強度のばらつきが小さいとみなすことができる。一方、尖度が大きいほど、強度分布が鋭いピークをなしており、強度のばらつきが小さいとみなすことができる。これらのパラメータのうち、強度分布関数の具体的なピーク形状やピーク強度によらず、分布幅の違いを敏感に反映しやすいパラメータとして、変動係数または尖度を用いることが、特に好ましい。
次に、評価工程において、統計処理工程で見積もられた対象画像における強度のばらつきの程度を、評価対象材の組織の均一性や特性に対応付ける。評価工程としては、次に説明する均一性判定工程および特性推定工程の少なくとも一方を実行することができる。
均一性判定工程においては、統計処理工程で見積もられた対象画像における強度のばらつきの程度を、評価対象材の組織の均一性の程度に対応付ける。
上記均一性評価工程で、評価対象材の組織の均一性を判定するのに加えて、あるいはその代わりに、特性推定工程によって、統計処理工程で見積もられた対象画像における強度のばらつきの程度から、評価対象材の特性を推定することができる。
まず、材料組織の均一性と、対象画像における画素ごとの強度分布が、どのような関係を示すかについて、確認した。
試験においては、チタン基よりなる複数相を有する合金を試料として用いた。この際、合金材を鋳造し、試料ごとに異なる鍛錬比にて鍛造を行い、材料組織の状態が異なる複数の試料を作製した。
図3に、各試料について、SEM像(観察像)と、二値化および移動平均による平滑化とを施した処理像と、強度分布関数を示す。また、強度分布関数より見積もった尖度の値を表示する。
次に、対象画像における画素ごとの強度分布が、材料特性とどのような関係を示すかについて、確認した。ここでは、材料特性として、破壊靱性について評価を行った。
上記試験[1]と同様に、複数相を有するチタン基合金に対して、試料ごとに異なる鍛錬比を採用し、材料組織の状態が異なる複数の試料を作製した。そして、ばらつき評価工程において、強度分布関数の変動係数を求めた。
図4に、各試料について、強度分布関数の変動係数と破壊靱性値との関係を示す。
Claims (8)
- 評価対象材の材料組織に対して得られたグレースケールの観察像、または前記観察像に対して不均一構造を強調する画像処理を行った処理像を、対象画像として準備する画像準備工程と、
前記対象画像において、画素ごとの強度のばらつきの程度を見積もる統計処理工程と、を実行し、
さらに、評価工程として、前記統計処理工程において見積もられた前記ばらつきの程度が小さいほど、前記評価対象材の組織の均一性が高いと判定する均一性判定工程と、前記統計処理工程において見積もられた前記ばらつきの程度に基づいて、前記評価対象材の特性を推定する特性推定工程と、の少なくとも一方を実行する、材料評価方法。 - 前記画像準備工程においては、
前記観察像における各画素の強度を二値化して、二値化像を得る二値化工程と、
前記二値化像に対して、各画素の強度を平滑化する平滑化工程と、を実行して、前記処理像を得る、請求項1に記載の材料評価方法。 - 前記平滑化工程は、前記二値化像に対して、移動平均または移動和を求めることによって実行される、請求項2に記載の材料評価方法。
- 前記統計処理工程においては、
前記対象画像に対して、所定の強度が得られている画素の数を、前記強度の関数として整理して、強度分布関数を得る強度整理工程と、
前記強度分布関数の分布幅が大きいほど、前記ばらつきの程度が大きいと見積もる、ばらつき評価工程と、を実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の材料評価方法。 - 前記ばらつき評価工程において、前記強度分布関数の変動係数が小さいほど、または尖度が大きいほど、前記強度分布関数の分布幅が小さいとみなす、請求項4に記載の材料評価方法。
- 前記観察像は、電子顕微鏡によって取得される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の材料評価方法。
- 前記評価対象材として、金属材料を適用し、
前記評価工程として、前記特性推定工程を実行し、前記ばらつきの程度を、前記評価対象材の破壊靱性に対応付ける、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の材料評価方法。 - 前記評価対象材として、複数の相が混在して生成しうる金属材料を適用する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の材料評価方法。
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